特許第6348124号(P6348124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348124
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20180618BHJP
【FI】
   A61M5/20 570
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-554169(P2015-554169)
(86)(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公表番号】特表2016-504131(P2016-504131A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】EP2014051472
(87)【国際公開番号】WO2014118109
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2017年1月16日
(31)【優先権主張番号】13153139.4
(32)【優先日】2013年1月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ポール・リチャード・ドレイパー
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・ケーヴ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ・バトラー
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/117404(WO,A2)
【文献】 特開平04−312469(JP,A)
【文献】 特表2011−517581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物を投与する薬物送達デバイス(1)であって:
− 薬物を収容するカートリッジ(3)を保持するように適合された本体(2)と、
− 少なくとも1つの電気ユニット(EU)および該電気ユニット(EU)に電気的に接触するポート(6)と、
− 薬物送達デバイス(1)に注射針(4)を取り付けるアダプタ(7)とを含み
本体(2)は、用量送達の間、薬物送達デバイスに取り付けられ、そして注射針(4)がカートリッジ(3)と流体連通している間、ポート(6)へのアクセスを防止するように配置され、かつポート(6)がアクセス可能である間、注射針(4)とカートリッジ(3)との間の流体連通を確立するのを防止するように配置された安全機構(S1〜S6)を含む前記薬物送達デバイス。
【請求項2】
本体(2)は、外側本体(2.2)内で近位位置(PP)と遠位位置(DP)との間を摺動可能な内側本体(2.1)を含み、アダプタ(7)は、内側本体(2.1)上に配置され、カートリッジ(3)およびポート(6)は、外側本体(2.2)に固定され、外側本体(2.2)内には、ポート(6)にアクセスするための第1の開口部(14)が設けられ、内側本体(2.1)には摺動カバー(8)が固定され、その結果、内側本体(2.1)が近位位置(PP)にあるときにはカバー(8)は第1の開口部(14)を閉じ、内側本体(2.1)が遠位位置(DP)にあるときにはカバー(8)は第1の開口部(14)を見せる、請求項1に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項3】
本体(2)は、外側本体(2.2)内で近位位置(PP)と遠位位置(DP)との間を摺動可能な内側本体(2.1)を含み、アダプタ(7)は、内側本体(2.1)上に配置され、外側本体(2.2)内の第2の開口部(15)を通って延びることができ、カートリッジ(3)およびポート(6)は、内側本体(2.1)に固定され、内側本体(2.1)内には、ポート(6)にアクセスするための第1の開口部(14)が設けられ、外側本体(2.2)には摺動カバー(8)が固定され、その結果、内側本体(2.1)が遠位位置(DP)にあるときにはカバー(8)は第1の開口部(14)を閉じ、内側本体(2.1)が近位位置(PP)にあるときにはカバー(8)は第1の開口部(14)を見せる、
請求項1に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項4】
ポート(6)およびアダプタ(7)は、薬物送達デバイス(1)の遠位端上に位置し、本体(2)の遠位面(10)内のそれぞれの第1の開口部(14)および第2の開口部(15)を通ってアクセス可能であり、遠位面(10)内を摺動カバー(8)が可動であり、その結果、摺動カバー(8)は、第1の開口部(14)または第2の開口部(15)のいずれかを覆う、請求項1に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項5】
本体(2)内には、カートリッジ(3)を保持するためのカートリッジホルダ(11)が配置され、アダプタ(7)は、カートリッジホルダ(11)上に配置される、請求項4に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項6】
カートリッジ(3)および/またはカートリッジホルダ(11)は、本体(2)内で、アダプタ(7)が本体(2)の内側に位置する近位位置(PP)と、アダプタ(7)が遠位面(10)を越えて延びる遠位位置(DP)との間を摺動可能に配置される、請求項4または5に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項7】
針(4)をアダプタ(7)に取り付けるために、第2の開口部(15)の直径は針(4)のニードルハブ(4.1)の直径より小さい、請求項3または6に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項8】
カートリッジ(3)および/またはカートリッジホルダ(11)を遠位位置(DP)の方へ動かすための駆動装置が配置される、請求項6または7に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項9】
駆動装置は、少なくとも1つのばね(12)を含む、請求項8に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項10】
駆動装置は、電気機械的駆動装置を含む、請求項8に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項11】
駆動装置は、カバー(8)の運動をカートリッジ(3)および/またはカートリッジホルダ(11)の運動に連結する機械的リンクを含む、請求項8に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項12】
カバー(8)に摺動ハンドル(9)が連結される、請求項2〜10のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項13】
薬物を投与する薬物送達デバイス(1)であって:
− 薬物を収容するカートリッジ(3)を保持するように適合された本体(2)と、
− 少なくとも1つの電気ユニット(EU)および該電気ユニット(EU)に電気的に接触するポート(6)と、
− 薬物送達デバイス(1)に注射針(4)を取り付けるアダプタ(7)と、
− 注射針(4)がカートリッジ(3)と流体連通している間、ポート(6)へのアクセスを防止するように配置され、かつ/またはポート(6)がアクセス可能である間、注射針(4)とカートリッジ(3)との間の流体連通を確立するのを防止するように配置された安全機構(S1〜S6)とを含み、
ポート(6)は本体(2)内に位置し、カートリッジハブ(13)が、本体(2)の遠位端を閉じ、それによって用量送達の間、ポート(6)を覆うように、用量送達の間、本体(2)に取り付けられるよう適合され、アダプタ(7)は、カートリッジハブ(13)上に配置され、そしてカートリッジハブが、ポート(6)を覆わないように、本体(2)
の少なくとも一部から取り外されるよう適合される、前記薬物送達デバイス(1)。
【請求項14】
カートリッジハブ(13)を本体(2)にヒンジ留めするためのヒンジ(16)が本体(2)上に設けられ、その結果、カートリッジハブ(13)は、本体(2)の遠位端を開閉するようにヒンジ(16)の周りを回転可能である、請求項13に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項15】
アダプタ(7)は、ねじ付針(4)を取り付けるためのねじ付領域(7)を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
注射を投与することは、使用者および医療従事者にとって、精神的にも身体的にも複数のリスクおよび難題をもたらすプロセスである。
【0003】
注射デバイス(すなわち、医薬品容器から薬剤を送達することが可能なデバイス)は、典型的には、2つの範疇、すなわち手動デバイスおよび自動注射器に入る。
【0004】
手動デバイスでは、使用者は、流体を針に通すために機械的なエネルギーを提供しなければならない。これは、典型的には、何らかの形のボタン/プランジャによって行われ、使用者はこれを注射中に押し続けなければならない。この手法には、使用者にとって多数の欠点がある。使用者がボタン/プランジャを押すのを止めた場合、注射も停止する。これは、デバイスが正しく使用されない場合(すなわち、プランジャが終端の位置まで完全に押されていない場合)、使用者が送達する用量が十分でない可能性があることを意味する。特に患者が高齢である場合、または手先の器用さに問題を抱えている場合、注射の力は使用者にとって大きすぎることがある。
【0005】
ボタン/プランジャの延長が大きすぎることもある。したがって、ボタンが完全に延びた状態に到達することは使用者にとって不便な可能性がある。注射の力とボタンの延長が組み合わさることで、手の揺れ/震えが生じる可能性があり、それによって挿入された針が動くときの不快さが増大する。
【0006】
自動注射デバイスは、注射される療法の自己投与を患者にとってより容易にすることを目的とする。自己投与式注射によって送達される現在の療法には、糖尿病向けの薬物(インスリンとより新しいGLP−1型の薬物との両方)、偏頭痛、ホルモン療法、抗凝血剤などが含まれる。
【0007】
自動注射器は、標準的なシリンジからの非経口的な薬物送達を伴う働きに完全または部分的に取って代わるデバイスである。これらの働きは、保護シリンジキャップの取り外し、患者の皮膚内への針の挿入、薬剤の注射、針の取り外し、針の遮蔽、およびデバイスの再利用の防止を含むことができる。これは、手動デバイスの欠点の多くを克服する。注射の力/ボタンの延長、手の震え、不完全な用量を送達する可能性が低減される。トリガは、多数の手段によって、たとえばトリガボタンによって、または針がその注射深さに到達する作用によって、実行することができる。いくつかのデバイスでは、流体を送達するためのエネルギーは、ばねによって提供される。他のデバイスでは、これは、電気機械的駆動装置によって実現される。電気機械的および/または電子的な構成要素を有するデバイスは、データ転送または充電のために別のデバイスとの有線通信を行うことができるポートを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、改善された薬物送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の薬物送達デバイスによって実現される。
【0010】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に与えられる。
【0011】
本発明によれば、薬物を投与する薬物送達デバイスは:
− 薬物を収容するカートリッジを保持するように適合された本体と、
− 少なくとも1つの電気ユニットおよび電気ユニットに電気的に接触するポートと、
− 薬物送達デバイスに注射針を取り付けるアダプタと、
− 注射針がカートリッジと流体連通している間、ポートへのアクセスを防止するように配置され、ポートがアクセス可能である間、注射針とカートリッジとの間の流体連通を確立するのを防止するように配置された安全機構とを含む。
【0012】
ポート、たとえばUSBポートは、データ転送または充電のために別のデバイスとの有線通信を行うことができる。安全機構は、使用者が注射を試みる間に不注意で薬物送達デバイスがケーブルを介して接続されたままにするリスクを回避する。この場合、外部に接続されたデバイスから薬物送達デバイスのケーブル、ポート、および電子機器を通って導電性の金属注射針を介して患者までつながる潜在的な導電経路が存在することがある。ポート上の電流が過負荷状態である場合、またはカートリッジが漏れている場合、薬物送達デバイス内に短絡が生じるため、患者は感電を受けるはずである。感電は、ケーブルがポートに接続されているか否かにかかわらず、患者とポートに接続された外部デバイスとの両方が接地されている場合、または患者が注射中にポートに接触した場合に生じることがある。同様に、ポートは、使用者の血糖値を測定する血糖ストリップとインターフェース接続するように適用することができる。したがって、ポートもまた、電子接点を特徴とする。したがって、同様のリスクが伴う。本発明による安全機構は、このリスクを防止する。
【0013】
上記のリスクは、注射針がカートリッジと流体連通している間、ポートへのアクセスを防止するように配置され、ポートがアクセス可能である間、注射針とカートリッジとの間に流体連通を確立するのを防止するように配置された安全機構を設けることによって対処される。
【0014】
他の選択肢は、使用者がポートにアクセスできるとき安全機構によって薬物送達デバイスの用量投入動作(dosing operation)を無効にすることである。これは、薬物送達デバイスの送達機構を無効にする動作を実行することによって、または使用者が薬物送達デバイスを動作させる人間−機械インターフェース上のボタンもしくはソフトボタンにアクセスするのを防止することによって実現することができる。
【0015】
例示的な実施形態では、本体は、外側本体内で近位位置と遠位位置との間を摺動可能な内側本体を含み、アダプタは内側本体上に配置され、カートリッジおよびポートは外側本体に固定される。外側本体内には、ポートにアクセスするための第1の開口部が設けられ、内側本体には摺動カバーが固定され、その結果、内側本体が近位位置にあるときにはカバーは第1の開口部を閉じ、内側本体が遠位位置にあるときにはカバーは第1の開口部を露出させる。
【0016】
内側本体が外側本体内で近位位置にあるとき、針の近位端がカートリッジ上のセプタムに穿孔して、針とカートリッジ内の空胴との間の流体連通を確立することができる。この実施形態のアダプタは、常に使用者にとってアクセス可能であり、したがって常に薬物送達デバイスに針を嵌合させることができる。しかし、内側本体が遠位位置に動かされた場合、アダプタは、カートリッジから離れる方へ動かされ、したがって針の近位先端部をセプタムから引き出して、針とカートリッジとの間の流体連通を遮断する。したがって、ポートがアクセス可能であるとき、潜在的な導電経路が遮断され、したがって感電の危険性を防止する。
【0017】
例示的な実施形態では、本体は、外側本体内で近位位置と遠位位置との間を摺動可能な内側本体を含み、アダプタは、内側本体上に配置され、外側本体内の第2の開口部を通って延びることができる。カートリッジおよびポートは内側本体に固定され、内側本体内には、ポートにアクセスするための第1の開口部が設けられ、外側本体には摺動カバーが固定され、その結果、内側本体が遠位位置にあるときにはカバーは第1の開口部を閉じ、内側本体が近位位置にあるときにはカバーは第1の開口部を露出させる。これにより、ポートがアクセス可能である場合は、針を取り付けるアダプタへのアクセスを防止する。
【0018】
例示的な実施形態では、ポートおよびアダプタは、薬物送達デバイスの遠位端上に位置し、本体の遠位面内のそれぞれの第1の開口部および第2の開口部を通ってアクセス可能であり、遠位面内を摺動カバーが可動であり、その結果、摺動カバーは、第1の開口部または第2の開口部のいずれかを覆う。
【0019】
例示的な実施形態では、本体内には、カートリッジを保持するためのカートリッジホルダが配置され、アダプタは、カートリッジホルダ上に配置される。
【0020】
例示的な実施形態では、カートリッジおよび/またはカートリッジホルダは、本体内で、アダプタが本体の内側に位置する近位位置と、アダプタが遠位面を越えて延びる遠位位置との間を摺動可能に配置される。これにより、カートリッジまたはカートリッジホルダが前進してアダプタを延ばすときにはアダプタへのアクセスを改善し、カートリッジまたはカートリッジホルダが後退してアダプタを隠すときにはアクセスをより困難にする。
【0021】
例示的な実施形態では、針をアダプタに取り付けるために、第2の開口部の直径は針のニードルハブの直径より小さい。これにより、針が取り付けられている間にアダプタが本体内へ後退するのを防止し、それによって摺動カバーの動きも防止し、したがって、針が取り付けられている間はポートを露出させることができない。
【0022】
例示的な実施形態では、カートリッジおよび/またはカートリッジホルダを遠位位置の方へ動かすための駆動装置が配置される。したがってアダプタは、カバーが第2の開口部を露出させるように動かされたとき自動的に前進することができる。
【0023】
例示的な実施形態では、駆動装置は、少なくとも1つのばねを含む。他の実施形態では、駆動装置は、カバーの運動をカートリッジおよび/またはカートリッジホルダの運動に連結する電気機械的アクタまたは機械的リンクを含むことができ、したがって、カートリッジは、カバーが第1の開口部を閉じるように動かされたとき前進し、カバーが第2の開口部を閉じるように動かされたとき後退する。
【0024】
動作を容易にするために、カバーに摺動ハンドルを連結することができる。
【0025】
例示的な実施形態では、ポートは本体内に位置し、カートリッジハブが、本体の遠位端を閉じ、それによってポートを覆うように適合され、アダプタは、カートリッジハブ上に配置される。カートリッジハブは、摩擦フィット、スナップフィット、ねじ山、バヨネットフィットなどによって本体に取り付けることができるキャップの形状を有することができる。
【0026】
例示的な実施形態では、カートリッジハブを本体にヒンジ留めするためのヒンジが本体上に設けられ、その結果、カートリッジハブは、本体の遠位端を開閉するようにヒンジの周りを回転可能である。
【0027】
例示的な実施形態では、アダプタは、ねじ付針を取り付けるためのねじ付領域を含む。ねじ付領域の代わりに、アダプタは、バヨネットフィット、円錐、またはルアーロックなど、針を取り付ける他の手段を含むことができる。
【0028】
本発明のさらなる適用可能範囲は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および特有の例は本発明の好ましい実施形態を示すが、本発明の精神および範囲内の様々な変更および修正がこの詳細な説明から当業者には明らかになるため、例示のみを目的として与えられることを理解されたい。
【0029】
本発明は、以下の詳細な説明および添付の図面からより完全に理解される。これらは、例示のみを目的として与えられ、したがって本発明を限定するものではない:
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】電気機械的薬物送達デバイスの第1の例示的な実施形態の概略図である。
図2】ポートが覆われている間に針がカートリッジと流体連通している、薬物送達デバイスの第1の実施形態の概略縦断面図である。
図3】ポートが露出されている間に針とカートリッジとの間の流体連通が遮断された、薬物送達デバイスの第1の実施形態の概略縦断面図である。
図4】内側本体および外側本体の配置が修正され、内側本体が遠位位置にある、薬物送達デバイスの第2の例示的な実施形態の図である。
図5】内側本体が近位位置にある、薬物送達デバイスの第2の例示的な実施形態の図である。
図6】ポートが露出された、薬物送達デバイスの第3の例示的な実施形態の概略縦断面図である。
図7】ポートが覆われ、アダプタが露出された、薬物送達デバイスの第3の例示的な実施形態の概略縦断面図である。
図8】ポートが覆われ、針がアダプタに嵌合された、薬物送達デバイスの第3の例示的な実施形態の概略縦断面図である。
図9】ポートが露出された、薬物送達デバイスの第4の例示的な実施形態の概略縦断面図である。
図10】ポートが覆われ、アダプタが前進した、薬物送達デバイスの第4の例示的な実施形態の概略縦断面図である。
図11】ポートが覆われ、針がアダプタに嵌合された、薬物送達デバイスの第4の例示的な実施形態の概略縦断面図である。
図12】ポートが本体内に位置し、カートリッジハブが本体を閉じるように配置された、薬物送達デバイスの第5の例示的な実施形態の概略縦断面図である。
図13】カートリッジハブが取り外された、薬物送達デバイスの第5の例示的な実施形態の概略縦断面図である。
図14】本体とカートリッジハブとの間にヒンジが配置され、カートリッジハブが本体を閉じるようにヒンジの周りを回転した、薬物送達デバイスの第6の例示的な実施形態の概略縦断面図である。
図15】カートリッジハブがポートを露出させるようにヒンジの周りを回転した、薬物送達デバイスの第6の例示的な実施形態の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
すべて図において、対応する部分は同じ参照記号で示す。
【0032】
図1は、薬物を投与する電気機械的薬物送達デバイス1の第1の例示的な実施形態の概略図である。薬物送達デバイス1は、薬物カートリッジ3またはシリンジを受けるように適用された本体2を含む。カートリッジ3には、皮下注射針4を取り付けることができる。薬物送達デバイス1は、使用者へ情報を通信して使用者が薬物送達デバイス1を動作させることを可能にする人間−機械インターフェース5などの電気ユニットEUをさらに含む。さらに、薬物送達デバイス1は、針4を注射部位、たとえば患者の皮膚内へ挿入し、かつ/または針4を通ってカートリッジ3からの薬物を投薬し、かつ/または注射後に針4を後退させる電気機械的駆動装置(図示せず)を含むことができる。
【0033】
針4は、使用者によって取り付けかつ取り外すことができ、したがって針は、薬物の単回の送達に使用することが可能となる。送達後、針は適宜取り外され、廃棄され、新しい針に交換される。
【0034】
図2は、薬物送達デバイス1の概略縦断面図である。
【0035】
薬物送達デバイス1は、データ転送または充電のために別のデバイスとの有線通信を行うことができるポート6を含む。この特徴には、使用者が注射を試みる間に不注意で薬物送達デバイス1がケーブルを介して接続されたままにするリスクが伴う。薬物送達デバイス1の制御ユニットは、この状況では薬物の送達を防止するための確認を含むソフトウェアを実行することができるが、外部に接続されたデバイスから薬物送達デバイス1のケーブル、ポート6、および電子機器を通って導電性の金属針4を介して患者までつながる潜在的な導電経路がやはり存在する。したがって、たとえば、ポート6上の電流が過負荷であり、またはカートリッジ3が漏れている可能性があり、それによって薬物送達デバイス1内に短絡が生じ、患者に感電を送達する可能性がある。これは、ケーブルがポート6に接続されているか否かにかかわらず、患者とポート6に接続された外部デバイスとの両方が接地されている場合、または患者が注射中にポート6に接触した場合に生じることがある。
【0036】
同様に、ポート6は、使用者の血糖値を測定する血糖ストリップとインターフェース接続するように適用することができる。したがって、ポート6もまた、電子接点を特徴とする。したがって、同様のリスクが伴う。
【0037】
上記のリスクは、使用者がポート6にアクセスすることができるとき薬物送達デバイス1の用量投入動作を無効にする安全機構を設けることによって対処される。これは、薬物送達デバイス1の送達機構を無効にする動作を実行することによって、または使用者が針4に接続するように適用された薬物送達デバイスのねじ付領域7などのアダプタ7または人間−機械インターフェース5上のボタンもしくはソフトボタンにアクセスするのを防止することによって実現される。
【0038】
図2の薬物送達デバイス1は、内側本体2.1および外側本体2.2を含む。内側本体2.1には薬物送達デバイス1のねじ付領域7が取り付けられ、外側本体2.2にはカートリッジ3が固定され、その結果内側本体2.1は、図2に示す近位位置PPと図3に示す遠位位置との間でねじ付領域7をカートリッジ3に対して動かすように、外側本体2.2内で摺動することができる。内側本体2.1が外側本体2.2内で近位位置にあるとき、針4の近位端がカートリッジ3上のセプタムに穿孔して、針4とカートリッジ3内の空胴との間の流体連通を確立することができる。
【0039】
この実施形態のねじ付領域7は、他の阻止構成要素、たとえばキャップが存在しないと仮定すると、常に使用者にとってアクセス可能であり、したがって常に薬物送達デバイス1にねじ付針4を嵌合させることができる。図2では、ポート6は、外側本体2.2に固定され、外側本体2.2内の第1の開口部14を通ってアクセス可能であり、安全機構S1の一部である摺動カバー8によって遮蔽される。使用者は、図3に示すように摺動カバー8を摺動させて開くハンドル9によって、ポート6へのアクセスを得ることができる。摺動カバー8およびハンドル9はどちらも、内側本体2.1の一部であり、したがって、使用者がカバー8を摺動させて開くと、内側本体2.1はカートリッジ3から離れて遠位位置へ軸方向に並進運動し、針4をカートリッジ3から切り離して流体連通を遮断する。したがって、使用者は、針4がカートリッジ3に連結されている間はポート6へアクセスすることができなくなり、したがって上記のリスクを軽減する。
【0040】
図4は、内側本体2.1および外側本体2.2の配置が修正された、第2の例示的な実施形態を示す。この実施形態では、安全機構S2は、内側本体2.1を取り囲む外側本体2.2に取り付けられた摺動カバー8およびハンドル9を含む。図4の実施形態では、ポート6は内側本体2.1に固定される。摺動カバー8は、内側本体2.1が外側本体2.2に対して遠位位置DPにあるときに使用者がポート6にアクセスするのを防止するように、ポート6を覆って閉じられている。内側本体2.1の遠位位置DPのみで、針4をねじ付領域7に取り付けることができる。
【0041】
使用者は、ポート6にアクセスしたいと考えた場合、ハンドル9によって外側本体2.2を作動させることができる。これにより、針4が存在しない場合、外側本体2.2の遠位端を内側本体2.1のねじ付領域7の上へ押し込み、したがって内側本体2.1は、図5に示すように、外側本体2.2内で近位位置PPに到達する。針4がねじ付領域7に取り付けられている場合、ニードルハブ4.1と外側本体2.2との間の衝突により、外側本体2.2が内側本体2.1に対して並進運動するのを防止する。これは、ニードルハブ4.1が外側本体2.2内の第2の開口部15より大きい直径を有することによって実現することができ、ねじ付領域7は、針4を取り付けるように第2の開口部15を通って延びることができる。
【0042】
針4がねじ付領域7から取り外されると、外側本体2.2は内側本体2.1に対して自由に摺動することができ、使用者は、図5に示すように、ポート6へのアクセスを得ることができるが、ねじ付領域7にアクセスするのは防止される。
【0043】
図6は、薬物送達デバイス1の第3の例示的な実施形態の概略縦断面図である。この実施形態では、本体2は、互いに対して摺動可能な2つの部分を含まなくてもよい。代わりに、ポート6とねじ付領域7はどちらも、薬物送達デバイス1の遠位端上に位置し、それぞれ第1の開口部14および第2の開口部15を通ってアクセス可能である。ねじ付領域7は、カートリッジ3を保持するカートリッジホルダ11上に配置することができる。安全機構S3は、本体2の遠位面10内を可動の摺動カバー8を含み、その結果、摺動カバー8は、ねじ付領域7を覆いかつポート6を露出させ、またはポート6を覆いかつねじ付領域7を露出させる。使用者がポート6にアクセスしたいと考えた場合、カバー8は、図6に示すように、ねじ付領域7の上に位置して、ねじ付領域7へのアクセスを阻止する。使用者は、図7に示すように、摺動ハンドル9を使用してカバー8を動かし、ポート6へのアクセスを阻止することができ、その際、ねじ付領域7へのアクセスを得ることができる。これにより、図8に示すように、使用者が薬物送達デバイス1に針4を嵌合させることが有効になる。
【0044】
図9は、薬物送達デバイス1の第4の例示的な実施形態の概略縦断面図である。この実施形態では、カートリッジホルダ11のねじ付領域7は、薬物送達デバイス1の遠位端を越えて延ばすことができる。図9に示す実施形態は、図6〜8の実施形態の修正形態であり、カートリッジ3は、カートリッジホルダ11内に拘束されており、カートリッジホルダ11は、本体2内で近位位置PP(図9)と遠位位置DP(図10、11)との間を摺動可能に配置され、ばね12を介して本体2へはね返る。摺動カバー8が、本体2の遠位面10内を可動であり、したがって、ねじ付領域7を覆いかつポート6を露出させ、またはポート6を覆いかつねじ付領域7を露出させる。使用者がポート6にアクセスしたいと考えた場合、カバー8は、図9に示すように、ねじ付領域7の上に位置して、ねじ付領域7へのアクセスを阻止する。使用者は、摺動ハンドル9を使用してカバー8を動かし、ポート6へのアクセスを阻止することができ、その際、カートリッジホルダ11は解放され、ばね12によって駆動されて本体2に対して遠位方向Dに動き、したがって図10に示すように、ねじ付領域7へのアクセスを使用者に与える。これにより、図11に示すように、使用者が薬物送達デバイス1に針4を嵌合させることが有効になる。薬物送達デバイス1を図9の初期状態に戻すには、使用者は、直接または本体2の側面上の別の摺動ハンドル(図示せず)を使用して、針4を取り外してカートリッジホルダ11を本体2内へ押し込み、次いでカバー8を動かして、ねじ付領域7へのアクセスを防止するが、ポート6へのアクセスを可能にすることができる。
【0045】
代替実施形態では、使用者によるカバー8の動きを検出するために、スイッチまたはマイクロスイッチなどの電子接点が使用される。電気機械的駆動装置をトリガしてカートリッジホルダ11を本体2に対して遠位方向Dに駆動させる電子信号が生成され、したがってばね12に取って代わる。電気機械的駆動装置を停止させるには、本体2に対するカートリッジホルダ11の肩部の当接を検出する別のスイッチまたはセンサを使用することができる。同様に、電気機械的駆動装置は、カバー8が再び動かされたことが検出されたとき、または別のボタンが押されたとき、カートリッジホルダ11を後退させることができる。
【0046】
第4の実施形態はまた、カバー8の運動をカートリッジホルダ11の運動に連結するように展開させることができる。これにより、カートリッジホルダ11を本体2から動かすためのばね12の必要がなくなるはずであり、カバー8を動かす前に使用者が手動でカートリッジホルダ11を本体2へ押し込む必要がなくなるはずである。
【0047】
第5の例示的な実施形態を図12に示す。ポート6は、本体2内でカートリッジ3に隣接して、安全機構S5内に含まれたカートリッジハブ13の後ろに位置する。カートリッジハブ13はねじ付領域7を含み、ねじ付領域7に針4を取り付けることができる。カートリッジハブ13は、図12に示すように、本体2に取り付けられるように適合される。この状態で、ポート6は、カートリッジハブ13の後ろに隠されており、使用者はアクセスすることができない。ポート6にアクセスするには、図13に示すように、薬物送達デバイス1から針4を取り外し、次いでカートリッジハブ13を本体2から取り外す。これにより、使用者にとってポート6へのアクセスが可能になるが、カートリッジ3がねじ付でないため、使用者がカートリッジ3に針4を嵌合させるのを防止する。使用者は同様に、針4がまだカートリッジハブ13に取り付けられている間に、カートリッジハブ13を本体2から取り外すこともできる。
【0048】
第6の実施形態を図14に示す。この実施形態は、第5の実施形態の展開である。ポート6は、本体2内でカートリッジ3に隣接して、安全機構S6内に含まれたカートリッジハブ13の後ろに位置する。カートリッジハブ13はねじ付領域7を含み、ねじ付領域7に針4を取り付けることができる。カートリッジハブ13は、図14に示すように、本体2に取り付けられるように適合される。第6の実施形態では、カートリッジハブ13を本体2にヒンジ留めしてカートリッジハブ13が本体2から完全に外れるのを防止するヒンジ16が本体2上に設けられる。図14に示す状態で、ポート6は、カートリッジハブ13の後ろに隠されており、使用者はアクセスすることができない。ポート6にアクセスするには、図15に示すように、薬物送達デバイス1から針4を取り外し、次いでカートリッジハブ13をヒンジ16の周りで回転させる。これにより、使用者にとってポート6へのアクセスが可能になるが、カートリッジ3がねじ付でないため、使用者がカートリッジ3に針4を嵌合させるのを防止する。使用者は同様に、針4がまだカートリッジハブ13に取り付けられている間に、カートリッジハブ13を回転させて本体2を開くこともできる。
【0049】
ねじ付領域7の代わりに、アダプタ7は、バヨネットフィット、円錐、またはルアーロックなど、針4を取り付ける他の手段を含むことができる。
【0050】
安全機構は概して、純粋に機械的な手段または電子的に作動される機械システムのいずれかを含むことができる。安全機構は、潜在的には、部材を開位置または閉位置へ掛止するのを助けるために、物理的な戻り止めまたは磁気要素を使用することもできる。
【0051】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0052】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0053】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0054】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0055】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0056】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0057】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0058】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0059】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり;分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0060】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖;システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり;それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0061】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され;これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0062】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり;αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し;重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0063】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン:1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し;哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0064】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0065】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0066】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0067】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0068】
本発明の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載する装置、方法、および/またはシステムの様々な構成要素、ならびに実施形態の修正(追加および/または削除)を加えることができ、本発明は、そのような修正およびそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0069】
1 薬物送達デバイス
2 本体
2.1 内側本体
2.2 外側本体
3 カートリッジ
4 針
4.1 ニードルハブ
5 人間−機械インターフェース
6 ポート
7 ねじ付領域
8 カバー
9 ハンドル
10 遠位面
11 カートリッジホルダ
12 ばね
13 カートリッジハブ
14 第1の開口部
15 第2の開口部
16 ヒンジ
D 遠位方向
DP 遠位位置
EU 電気ユニット
P 近位方向
PP 近位位置
S1からS6 安全機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15