(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348178
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】移送装置、特に延伸装置用サイド案内レール
(51)【国際特許分類】
B29C 55/20 20060101AFI20180618BHJP
B29C 55/16 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
B29C55/20
B29C55/16
【請求項の数】29
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-526462(P2016-526462)
(86)(22)【出願日】2014年7月1日
(65)【公表番号】特表2016-525031(P2016-525031A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】EP2014001799
(87)【国際公開番号】WO2015007366
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年3月8日
(31)【優先権主張番号】102013011953.7
(32)【優先日】2013年7月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510331593
【氏名又は名称】ブリュックナー・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ホイスル・トビアス
(72)【発明者】
【氏名】アウマイアー・ヴォルフラム
【審査官】
辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−174629(JP,A)
【文献】
特表平10−500913(JP,A)
【文献】
米国特許第05749131(US,A)
【文献】
特公昭42−013558(JP,B1)
【文献】
実開昭62−035816(JP,U)
【文献】
特開昭63−196442(JP,A)
【文献】
特開2011−189629(JP,A)
【文献】
特開2004−136613(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/035762(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0013121(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C55/00−55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却媒体(18)が貫流する少なくとも1つの冷媒通路(K1,K2,K3)形式の案内レール及び/又は支持レール(15)用冷却装置(KA)を備え、
冷却装置(KA)は、
a) 案内レール及び/又は支持レール(15)の長手方向(LX)に対して斜めに配置される複数の交差孔(154;154a-154d)を少なくとも1つの冷媒通路(K1,K2)に設け、案内レール及び/又は支持レール(15)の長手方向(LX)に対して交互に異なる傾斜角度(α,β)で交差孔(154;154a-154d)を設け、互いに連続する少なくとも2つの交差孔(154;154a-154d)は、連絡する冷媒通路(K1,K2)を形成して貫通領域(DX1a,DX1b;DX2a,DX2b)内で交差し、かつ/又は
b) 案内レール及び/又は支持レール(15)は、少なくとも1つのレール片(15.1,15.2)を有し、少なくとも1つの冷媒通路(K1,K2)を形成する可撓性の冷却管(1154)をレール片(15.1,15.2)間に配置し、かつ/又は
c) 案内レール及び/又は支持レール(15)の外部に平行に少なくとも1つの冷媒通路(K3)を配置し、かつ
案内レール及び/又は支持レール(15)の長手方向(LX)に間隔を空けてかつ横方向又は直角に配置された多数の付加孔(157)を案内レール(15)内に形成し、熱導管(181)及び/又は伝熱管(182)を付加孔(157)内に挿入し、案内レール及び/又は支持レール(15)から外部に突出する熱導管(181)及び/又は伝熱管(182)は、少なくとも1つの冷媒通路(K3)に熱連絡することを特徴とする移送装置又は延伸装置用案内レール。
【請求項2】
案内レール及び/又は支持レール(15)は、上縁と下縁(151,152)及び/又は幅狭頂縁と幅狭底縁(151’,152’)及び互いに平行に配置される2つの幅広側又は滑動面(15a,15b)を有する長手方向(LX)に対して横方向の矩形断面を形成し、幅広側又は滑動面(15a,15b)は、長手方向(LX)に対して横方向に滑動領域及び/又は移送領域(GH)と取付領域及び保持領域(MH)とに分割され、
滑動領域及び/又は移送領域(GH)内に少なくとも1つの冷媒通路(K1,K2)を設けた請求項1に記載の案内レール。
【請求項3】
幅広側(15a,15b)に対し横方向には屈曲せずに屈曲可能な又は屈曲する少なくとも1つの冷媒通路(K1,K2)を案内レール及び/又は支持レール内又はそれらに形成した請求項1又は2に記載の案内レール。
【請求項4】
少なくとも1つの冷媒通路(K1,K2,K3)の直径(D)は、案内レール及び/又は支持レール(15)の幅(B)の10%より大きく、かつ案内レール及び/又は支持レール(15)の幅(B)の90%より小さい請求項1〜3の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項5】
案内レール及び/又は支持レール(15)を通り長手方向(LX)に少なくとも2つの冷媒通路(K1,K2)を真直に又は千鳥状に形成した請求項1〜4の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項6】
案内レール及び/又は支持レール(15)の長手方向(LX)に対し互いに逆向き傾斜角度(+α,-α;+β,-β)で貫通領域(DX1a,Dx1b;DX2a,DX2b)を幅狭頂縁又は幅狭底縁(151’,152’)から案内レール及び/又は支持レール(15)に複数の交差孔(154)の互いに連続する2つの交差孔(154;154a,154b,154c,154d)を形成して、千鳥状の冷媒通路(K1,K2)を形成し、案内レール及び/又は支持レール(15)の幅狭頂縁又は幅狭底縁(151’,152’)で孔開口部(154’;154’a-154’d)を閉鎖した請求項1〜5の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項7】
ねじ込みかつ/又は接着される閉鎖ねじ(161)により、案内レール及び/又は支持レール(15)の幅狭頂縁又は幅狭底縁(151’,152’)で孔開口部(154’;154’a-154’d)を閉鎖した請求項6に記載の案内レール。
【請求項8】
幅狭頂縁及び幅狭底縁(151’,152’)から袋孔状の交差孔(154;154a-154d)を案内レール及び/又は支持レール(15)に形成し、案内レール及び/又は支持レール(15)の長手方向(LX)に変位する交差孔(154;154a-154d)は、交差して貫通領域(DX1a,DX1b;DX2a,DX2b)を形成しかつ案内レール及び/又は支持レール(15)内に千鳥状に並置される2つの冷媒通路(K1,K2)を形成する請求項1〜7の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項9】
案内レール及び/又は支持レール(15)の幅狭頂縁(151’)から交互に正と負の傾斜角度(+α,-α)で第1の冷媒通路(K1)の交差孔(154;154a,154b)を形成し、かつ
案内レール及び/又は支持レール(15)の反対側の幅狭底縁(152’)から交代する傾斜角度(+β,-β)で第2の冷媒通路(K2)の交差孔(154;154c,154d)を形成する請求項1〜8の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項10】
2つの冷媒通路(K1,K2)の交差孔(154;154a-154d)に異なる傾斜角度(+α,-α;+β,-β)を付与した請求項9に記載の案内レール。
【請求項11】
2つの冷媒通路(K1,K2)が互いに分離する長さの袋孔として交差孔(154;154a-154d)を形成した請求項8〜10の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項12】
一方の冷媒通路(K1又はK2)の一部として第2の冷媒通路(K2)の交差孔(154;154a-154d)と交差する長さに少なくとも幾つかの交差孔(154)を形成して、2つの冷媒通路(K1,K2)を互いに接続した請求項1〜11の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項13】
冷媒通路(K1,K2)が貫通する案内レール及び/又は支持レール(15)の案内レール終端領域(154’)内に接続孔(154e,154f)を形成し、
幅狭頂縁及び幅狭底縁(151’,152’)の一方から、案内レール及び/又は支持レール(15)に接続孔(154e,154f)を形成し、
案内レール及び/又は支持レール(15)を支持装置(21)に取付ける取付部(MH)を幅狭頂縁又は幅狭底縁(151’,152’)側に設けた請求項1〜12の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項14】
2つの冷媒通路(K1,K2)が貫通する案内レール及び/又は支持レール(15)の案内レール終端領域(154’)内に2つの接続孔(154e,154f)を夫々形成し、
各幅狭頂縁及び幅狭底縁(151’,152’)の一方に隣接して、支持装置(21)に案内レール及び/又は支持レール(15)を取付ける取付部(MH)を接続孔(154e,154f)に形成し、
案内レール及び/又は支持レール(15)の幅狭頂縁又は幅狭底縁(151’,152’)から接続孔(154e,154f)を形成する請求項1〜13の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項15】
接続孔(154e,154f)の孔開口部(154’e,154’f)を閉鎖しかつ閉鎖した穿孔(154’e,154’f)の前に案内レール及び/又は支持レール(15)の2つの幅広側(15a,15b)の1つから始まる接続孔(155)を形成し、
接続孔(155)を介して少なくとも1つの冷媒通路(K1,K2)内を流動する冷却媒体を排出し、供給し、分配器に案内でき又は次の案内レール及び/又は支持レール内に導入する接続部に更に案内できる請求項13又は14に記載の案内レール。
【請求項16】
少なくとも1つの幅狭頂縁又は幅狭底縁(151’,152’)から案内レール及び/又は支持レール(15)の長手方向(LX)に変位して、各幅狭頂縁又は幅狭底縁(151’,152’)に対して横方向又は垂直に配置される付加孔(157)を形成し、
対応する幅狭頂縁又は幅狭底縁(151’,152’)を越えて外側に突出する熱伝導ボルト(181)及び/又は伝熱管(182)を付加孔(157)内に挿入する請求項1〜15の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項17】
案内レール及び/又は支持レール(15)に形成される冷媒通路(K1,K2)の互いに連続する2つの交差孔(154,154a-154d)の貫通領域(DX1a,DX2a)を形成する箇所に、交差孔(154,154a-154d)から離間して、幅狭頂縁又は幅狭底縁(152,151)に付加孔(157)を設け、
付加孔(157)の内部に熱伝導ボルト(181)を取付けかつ/又は伝熱管(182)を設ける請求項16に記載の案内レール。
【請求項18】
案内レール及び/又は支持レール(15)内に設けられる少なくとも1つの冷媒通路(K1)は、案内レール及び/又は支持レールの全体高さ(H)の60%より多く延伸する請求項1〜16の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項19】
少なくとも2つの冷媒通路(K1,K2)は、案内レール及び/又は支持レール(15)の高さ(H)方向に互いに変位し、かつ
取付部(MH)を介して案内レール及び/又は支持レール(15)を支持構造体(11)に固定し、
案内レール及び/又は支持レール(15)の幅狭頂縁(151’)及び/又は幅狭底縁(152’)に隣接して又は案内レール及び/又は支持レール(15)の中央の領域内で支持構造体(11)から逆側の外側面(15b)側に把持具を配置する請求項1〜16の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項20】
金属材、金属積層体又は金属片により構成される案内レール及び/又は支持レール(15)の2つのレール片(15.1,15.2)間に配置される可撓性の冷却管(1154)は、変形可能であり、
組立状態の案内レール及び/又は支持レール(15)の付属のレール片(15.1,15.2)の互いに向き合う内側(15.1’,15.2’)に冷却管(1154)を押圧して接合する請求項1〜5の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項21】
組立状態の案内レール及び/又は支持レール(15)の付属のレール片(15.1,15.2)の互いに向き合う内側(15.1’,15.2’)に形成される平坦な接合面の間に冷却管(1154)を押圧して接合する請求項20に記載の案内レール。
【請求項22】
2つのレール片(15.1,15.2)は、平行平面に形成され、少なくとも1つの可撓性の冷却管(1154)を取り付けない残部の間隙内に少なくとも部分的にスペーサ(15.3,15.4)を取り付ける請求項1〜5又は18の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項23】
案内レール及び/又は支持レール(15)の2つのレール片(15.1,15.2)は、互いに対向する突出部及び/又はストッパ(15.4)を有し、
2つのレール片(15.1,15.2)は、組立状態でストッパ(15.4)を介して少なくとも間接的に互いに接合され、
2つのレール片(15.1,15.2)間に形成されるスペース間隙内に少なくとも1つの可撓性の冷却管(1154)を収容する請求項1〜5又は18、19の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項24】
幅広側(15a,15b)に対して平行に、案内レール及び/又は支持レール(15)に対して変位して2つのレール片(15.1,15.2)間に少なくとも2つの可撓性の冷却管(1154)を収容する請求項1〜5又は18〜20の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項25】
案内レール及び/又は支持レール(15)の長手方向(LX)に変位して幅狭底縁(152’)から1本又は複数本の潤滑剤通路(165)を配置し、
少なくとも1つの可撓性の冷却管(1154)の領域内まで潤滑剤通路(165)を延伸させ、
レール片(15.1,15.2)の内壁面(15.1’,15.2’)と、少なくとも1つの可撓性の冷却管(1154)の外壁との間に毛管として形成される潤滑剤通路(166)を通り反対側の幅狭頂縁(151’)に向かって潤滑剤が流動し、
毛管として形成される流出通路を通り潤滑剤を流出できる請求項1〜5又は18〜22の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項26】
少なくとも1つの可撓性の冷却管(1154)から離間して、案内レール及び/又は支持レール(15)のレール片(15.1,15.2)の少なくとも取付領域(MH)内で固定ねじ(1153)を貫通させ、
支持構造体(21)に接合される案内レール及び/又は支持レール(15)と支持構造体(21)との間に熱絶縁(20)を配置して支持構造体(11)と結合し、少なくとも2つのレール片(15.1,15.2)と少なくとも1つの可撓性の冷却管(1154)とを有する案内レール及び/又は支持レール(15)を固定ねじ(1153)で支持構造体(11)に固定できる請求項1〜5又は18〜23の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項27】
案内レール及び/又は支持レール(15)の長手側(LX)に互いに離間して配置される袋孔形式の複数の付加孔(157)を少なくとも1つの幅狭頂縁又は幅狭底縁(151’,152’)から非接続状態で形成し、
付加孔(157)内に挿入される熱伝導ボルト(181)又は伝熱管(182)を対応する幅狭頂縁又は幅狭底縁(152’,151’)の外部に突出させ、更に、付加孔(157)に整合する他の付加孔(157’)を貫通して、幅狭底縁又は幅狭頂縁(152’,151’)に平行に配置される冷媒通路(K3)内に熱伝導ボルト(181)又は伝熱管(182)を突出させる請求項1〜5の何れか1項に記載の案内レール。
【請求項28】
幅狭頂縁(151’)から案内レール及び/又は支持レール(15)に付加孔(157)又は袋孔形式の付加孔(157)を形成し、支持構造体(11)に固定する取付部(MH)を案内レール及び/又は支持レール(15)に形成する請求項25に記載の案内レール。
【請求項29】
熱伝導性の金属又は金属合金により案内レール及び/又は支持レール(15)を構成する請求項1〜26の何れか1項に記載の案内レール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載する移送装置、特に延伸装置用サイド案内レールを対象とする。
【背景技術】
【0002】
延伸装置は、特に樹脂箔形成に使用される。横方向と長手方向に樹脂薄膜を同時に延伸する所謂同時延伸装置は、公知である。また、例えば、長手方向に樹脂薄膜を延伸し、次に横方向に樹脂薄膜を連続的に延伸する(又は逆に横延伸後に縦延伸を行う場合もある)2段階連続延伸装置も知られている。
【0003】
延伸すべき帯状材料、通常、帯状材料の両側で一周する案内レール上に走行可能に配置される把持具により樹脂薄膜が把持される。その場合に、把持具は、延伸装置の進入領域(例えば、延伸すべき樹脂箔の端縁を進入領域で把持する)から延伸領域(延伸領域で案内レールに沿って対向する対の把持具を互いに離間する方向に移動して、帯状材料を移送方向に対して横方向に拡張する)を介して排出領域に順次走行させ、その後、必要に応じて、例えば、排出領域内で所定の内部応力緩和処理及び/又は熱処理を樹脂薄膜(箔)に施し、復路では、再び進入領域に移動する。
【0004】
同時延伸装置又は連続的延伸装置は、把持具又は移送装置を案内する案内レールを有する。
【0005】
移送装置〔把持装置とチェーン装置;リニアモータで駆動される延伸装置では、リニアモータ装置を使用し;所謂拡張装置(ペンタグラフ装置)では、案内制御一体装置を使用する]の重量を直接サイド案内レール上で支持する移送装置も公知である。移送装置では、滑動装置又はローラ装置を介して把持具を移動する。
【0006】
案内レールを備える幅広延伸装置は、例えば、特許文献1から知られている。幅広延伸装置では、一周する移送チェーンは、把持具保持体を介して案内レールに接して滑動可能に案内されかつ支持される。そのため、各垂直軸を中心に回転する2個の支持ホィール又は案内ホィールが矩形断面の案内レールの対向する2垂直面上に載置される。案内レールの上部に形成される幅狭水平面上に配置される他の支持ホィールは、水平軸を中心に回転しかつ移送チェーンと把持具の重量を支持する。
【0007】
ローラ軸受に代わる滑り軸受を案内装置に沿って移動することも基本的に可能である。
【0008】
滑り軸受又はローラ軸受を介して延伸力、チェーン長手方向力、遠心力及び各構造による重力が、案内レールに伝達される。特に、例えば延伸力等の側方力が発生する領域内では、案内レールの冷却、潤滑又は除荷が必要である。
【0009】
通常、案内レール上に支持されて滑り摩擦を介して前進する移送チェーンの摺動部の摩擦係数を低下すると同時に、間接的に移送装置を適切に冷却するために、潤滑油を摺動部に供給しなければならない。摺動部の面積当たりの温度変化(SdT)を最小にして、移送装置の支持構造体を介して間接的に案内レールを冷却しなければならない。
【0010】
適切に案内レールを冷却するため、通常案内レールの支持装置を含む案内レールの適切な箇所に冷却媒体を貫流する放熱器を構成する中空管が取付けられる。従来の解決法では、冷却媒体を貫流する冷却管は、滑動レールの側部にねじ止めされる。しかし、滑動レールは、伝熱抵抗が高いため、この解決法では摩擦熱を十分に放出できない。また、必然的に同時に冷却すべき支持体又は取付けた冷却レールは、著しい冷却損失を招来する。
【0011】
長い伝熱距離(熱抵抗は、比較的大きい)を経て放熱すべき重大な欠陥が前記2解決法にある。必要な熱量を除去するには、極めて大きい温度差(ΔT)が必要である。また、延伸すべき帯状箔を加熱する加熱炉内でも案内レールを冷却し又は冷却すべきことを考慮するとき、冷却温度が低過ぎると、延伸工程で蒸発する残渣(オリゴマー)は、加熱炉内に凝縮物が付着して、移送装置の低温部に堆積し、冷却により移送装置が顕著に汚染される別の難点が発生する。このため、実際の移送装置内では120°未満の冷却媒体温度は許容されない。従って、この冷却法では少量の摩擦熱しか放出できない。従って、移送速度が高い(摩擦熱量が多い)と、この種の冷却法は、むしろ非効率的である。
【0012】
更に、弾性領域内では、案内レールは、熱で屈曲するため、案内レールの接続領域では、案内レールを冷却できないことを考慮しなければならない。冷却不能な高熱負荷領域で潤滑油が熱分解を発生するので、冷却不能な事態は、大きな欠点となる。
【0013】
従って、接続領域でも案内レール装置を冷却して、潤滑油の熱分解の減少と、製造する形成品(通常、樹脂箔薄膜の形式の)の潤滑油汚染の回避とが極めて重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許第471052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、従来技術から出発して、案内レールを全体に良好に冷却し、少量の動力で所定の移送速度を達成し、少摩擦かつ無磨耗で移送装置を駆動できる移送装置用、特に例えば、樹脂箔薄膜等の帯状材料を延伸する改良された移送装置用案内レールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この課題は、請求項1に記載する特徴により解決する。好適な実施の形態を下位請求項に記載する。
【0017】
本発明は、特に、帯状材料を挟持し保持する把持具を備え、保持具を前進させて帯状材料を延伸して、顕著な利点を実現できる移送装置、特に移送チェーン装置用の案内レールの最適化実施の形態を提供するものである。本発明の移送装置は、過熱を招来せずかつ過度の摩擦力を発生せずに超高速で駆動できる。
【0018】
本発明は、特に下記利点を実現できる:
● 本発明では、特に滑動式レールでも案内レールを直接冷却できる。
● また、案内レールの所謂滑動式レールの接続構造体でも冷却できる。
● 移送装置の摺動部、固定される案内レールに対して移動する移送装置の摺動部をより低い温度水準に保持して、従来より高速移送を実現できる(冷却により潤滑油の熱分解も回避できる)。
● 案内レールの滑動面自体のみを冷却し、移送装置全体の他部分を同時に冷却する必要がなく、滑動部の直接冷却によりエネルギを節減できる。
● 案内レールの材料処理、例えばニトロ化を本発明の枠内で実施できる。
● 加熱路内に配置される案内レールを含め、滑動レール形式の案内レールのみを低温度水準に維持するので、従来の解決法に比べて生成凝縮物量を大幅に低減できる。
● また、凝縮物及び/又は分配される潤滑剤の残渣による箔の汚染を減少できる。
● 所定の循環路領域内でのみ連続的冷却を実現できる。
● 本発明では、案内レールの直接冷却を実現できる。
【0019】
本発明が提案する案内レールの直接冷却装置は、適切な案内レールを備える全種類の移送装置に使用できる。例えば、一定間隔で連続的に配置される把持具(TDO transversal direction oriented tenter)、同時延伸装置及びリニアモータ装置、転動軸受及び滑り軸受装置も移送装置に含まれる。単一又は複数の直接冷却可能な案内レール及び支持レールを全ての前記移送装置に設けることができる。前記のように、滑動部又は移動部が案内レールに沿って走行する全種類の移送装置に本発明で利用する冷却原理を適用することができる。例えば、ブリュックナー・マシーネンバウ社(www.brueckner.com)は、所謂複レール装置を提案する。同時に移送装置、即ち移送チェーンの全重量を支持する支持レールとしても案内レールを使用できる単レール装置にも全く同様に前記冷却装置を適用できる(例えば、案内レールの下方に設けられる別体の支持レールにより重量を支持する米国特許第5,797,172号公報とは異なる)。
【0020】
従って、本発明の解決法は、冷却装置を内蔵する極めて特有の案内レール又は案内レール装置を提案する。
【0021】
本発明の変形実施の形態では、少なくともほぼジグザグ状又は千鳥配列状の交差孔列が案内レールに形成される。次に、各交差孔の始端は、閉鎖される。ジグザグ状の導管部は案内レールの内部で交差しかつ互いに連絡する冷媒通路を形成する。
【0022】
従って、分岐通路及び合流通路等を含み、多重に並置される導管も形成できる。
【0023】
代替実施の形態では、2つ又は2つ以上のレール片内部の可撓性の冷却管は、接続領域内でも変形可能な小型の案内レールとして接合される。
【0024】
案内レールの幅狭頂縁又は幅狭底縁から案内レールに形成した袋孔内に挿入する伝熱管、即ち熱管を通じて案内レールの内部から放熱することもできる。前記放熱装置を補足する伝熱管又は熱管を使用する場合もある。
【0025】
完全を期して説明するが、案内レールの一方の長手側に適切な材料を使用して半田付け又は溶接して、直接熱接触により充分に冷却を行う可撓性管を使用することもできる。
【0026】
本発明での解決法は、特に、案内レール、移送レール又は案内レールと移送レールの両方にレールを用いる構造には無関係にレールを直接冷却することを特徴とする。真直レール、湾曲レール及び接続部を有するレールにも直接冷却法を適用することができる。換言すると、接続部を通じて冷却を実現できる。本発明を説明する解決手段により、従来の解決法を改良する冷却法のみならず、特に熱分配の均一な解決法も得られる。換言すると、この解決法は、従来発生したレール装置内の温度勾配を減少できる。
【0027】
また、移送装置全体内で少なくとも部分的に前記解決法を実現できる。同一のレール部でも冷却装置と接続部を構成する接続装置の2装置を部分的に実現することもできる。
【0028】
前記解決法は、特に延伸装置、例えば、同時延伸装置又は連続延伸装置、即ち幅延伸装置の移送装置に適する。案内レール及び/又は支持レールは、例えば、リニアモータ駆動体で駆動され又は同時延伸装置内で制御され、案内レールで移送する同時延伸装置内で使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の実施の形態を図面について以下詳細に説明する。
【0030】
【
図1a】加熱炉内部の処理側と帰還側の共通の支持構造体を有する横延伸装置を示す図式平面図
【
図1b】処理工程側から加熱炉の外部に帰還側を分離した
図1aとは異なる実施の形態を示す移送チェーンの平面図
【
図2】
図1aに示す延伸側RSと帰還側RLを通り一周する共通の移送チェーンと把持具とを有する基本的な支持装置を示す断面図
【
図3】内部に複数の交差孔を形成した案内レールの部分的斜視図
【
図4】冷媒通路を形成した本発明による案内レールを示す断面図
【
図5a】
図4とは異なり、案内レールの一方の幅狭側縁から対向する他方の幅狭側縁に交差孔を穿孔して冷媒通路を形成した案内レールの断面図
【
図5b】案内レールの一方の幅狭側縁のみから交差孔を穿孔して冷媒通路を形成した案内レールの断面図
【
図6】互いに分離してジグザグ状に2つの冷媒通路を形成した別の変形実施の形態を示す断面図
【
図6a】案内レールの中央部を支持構造体に固定する案内レールの断面図
【
図6b】案内レールの直交中央平面に対し少なくとも近似的対称に上方と下方の冷媒通路を形成した
図6aの案内レールを示す側面図
【
図7】案内レール終端部に形成した接続孔を示す部分縦断面図
【
図8】案内レール終端片内の接続領域を示す案内レールの直角断面図
【
図9】
図8の接続領域に取付けられる接続片を示す断面図
【
図11】本発明による案内レールを取り付けた延伸装置用移送装置の接続構造を示す部分斜視図
【
図13】案内レールに接触し滑動する移送装置の把持具と案内レールを示す断面図
【
図13a】把持具チェーン装置の支持レールとしても使用される上部案内レールと下部案内レールに沿って移動する滑動装置の断面図
【
図14】可撓性の冷却管を挟持する積層構造の案内レールを示す変形実施の形態の断面図
【
図14a】
図14の冷却管に使用する案内レールに必要な2つのレール片間に冷却管を配置する分解断面図
【
図14b】延伸領域の湾曲部を形成する案内レールの図式平面図
【
図14c】湾曲特性を改良する構造を有する一対のレール片を使用する案内レールの部分平面図
【
図15】案内レール片の金属積層体又は金属片を使用する
図14の変形実施の形態を示す断面図
【
図17】2つの案内レールの2つの冷媒通路を接続する構造を示す断面図
【
図18】冷媒通路を有する案内レールを示す変形実施の形態の断面図
【
図20】可撓管を使用する変形実施の形態を示す斜視図
【
図21】
図20に示す可撓管を使用する案内レールを示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明による冷却型案内レールの実施の形態を下記に詳細に説明するが、例えば、延伸装置、即ち連続的な延伸装置及び/又は、連続的な延伸装置の一部となる横延伸装置又は例えば同時延伸装置内で本発明の案内レールを実現できる。
【0032】
従って、本発明の枠内で以下に説明する案内レールは、例えば、リニアモータで駆動される同時延伸装置内でも実現でき、制御案内一体型レールを有する同時拡張型延伸装置内でも実現することができる。その限りでは、案内レールの用途に制限はない。
【0034】
本発明により冷却する案内レールの主要一適用例として延伸装置の構造原理を示す
図1aと
図1bとについて以下簡単に説明する。
【0035】
図1aに示す箔幅方向延伸装置又は箔横延伸装置又は同時延伸装置(リニアモータ駆動装置を使用し又は制御案内一体型レールを有する同時拡張装置を使用する)は、既知のように、対称に配置される2つの駆動装置を有する。
図1aは、図面平面に対して垂直な対称平面SEに対して対称に配置される2つの駆動装置を示し、循環軌道2上で周回する2つの駆動装置間を通る処理すべき帯状材料、特に延伸すべき樹脂箔薄膜Fは、搬送(引出)方向1(機械方向MD)に移動される。延伸装置は、横延伸装置(横延伸フレーム)と、横延伸装置の前又は後に配置される縦延伸装置とにより、連続的延伸装置を構成し、横延伸装置と縦延伸装置とをそれぞれ連続的延伸装置の一部を構成できる(必要なら、縦延伸装置を横延伸装置の後段に配置できる)。
図1aに示す延伸装置は、一周する一対の軌道2上で周回して駆動される一対のチェーン、拡張装置又はリニアモータにより駆動される移送装置3を有する。
【0036】
二軸延伸(図示の横延伸装置の前段に縦延伸装置を配置するとき)又は未延伸の樹脂箔薄膜F(延伸装置により処理帯状体Fを適切に処理して延伸しかつ同時延伸装置により長さと横の両方向に延伸する限り、本発明は、帯状樹脂箔に限定されないが、箔又は薄膜Fの処理を下記に説明する)は、進入領域Eで延伸装置内に進入し、所謂、操作側(OS-operator side)と駆動側(DS-drive side)で帯状樹脂箔の両端縁は、把持具により把持され牽引される。その後、箔Fは、後続の予熱領域PH内で加熱され、次に、延伸領域Rに供給され、横方向TDに延伸される。次に、延伸された薄膜Fは、種々の熱処理領域HTを通過し、熱処理領域内で薄膜の内部応力を除去し又は緩和することもできる。延伸装置の最後の所謂排出領域A内で、薄膜は適切な手段により把持具から外され、その後、延伸装置から排出される。
【0037】
図示の実施の形態とは異なり、例えば、
図1bに示すように、延伸側RSと帰還側RLに異なる支持構造体を設けることもできる。この支持構造体では、付属の案内レールと重量走行レールとを有する延伸側RSの支持構造体のみを加熱路Oに配置し、帰還側RLの支持構造体を加熱路Oの外部に配置する。
【0038】
図1aと
図1bは、更に、部分的にサイド案内レールとも称する案内レールの冷却部CLを示す。特に、延伸領域内でサイド案内レールを冷却しなければならない。また、延伸装置の転向領域内でも案内レールを冷却しなければならない。使用する一定半径のサイド案内レールを部分的に滑動レールとも称する。しかし、延伸領域の始端と終端の案内レールにも特に冷却が必要である。そこで、冷却を必要とする接続部の開発が特別な挑戦となる。即ち、各開発者は、弾性領域内でレールを屈曲させて調節すべき延伸角度又は薄膜製造幅を設計しなければならない。接続部では、案内レールの支持体を同時に移動しかつ弾性領域内でレールを屈曲させて、接続部の調節媒介変数を設定しなければならない。不可能とされた接続領域内での冷却は、既知の方法では必然的に行われていない。
【0040】
図1aの図式平面図及び
図2の案内レールに沿って走行可能な移送チェーンを通る垂直の断面図に原理的に示すように、延伸側又は処理側RS及び帰還側RLでの移送装置の共通の支持構造体として前記支持構造体を使用することができる。別法として、
図1bについて説明するように、延伸側又は処理側RSと帰還側RLで支持構造体を個別に形成することもできる。
【0041】
図2は、中央に垂直に配置される支持体19と、支持体19に支持されるフランジ21と、フランジ21の互いに逆向の各端部に垂直に固定されて延伸側RSと帰還側RLとを構成する矩形断面の案内レール15とを備える対称断面型(共通)の支持構造体11(支持体構成11)で支持される一対の移送装置3の例を断面で示す。共通の支持構造体では、一対の移送装置3は、共通に加熱路Oの内部を通過する(
図1a)。加熱路Oは、予熱領域PH、延伸領域Rも後加熱領域又は内部応力緩和領域HTにも及ぶので、結果的に進入領域Eと排出領域Aに設けられる転向装置と駆動装置のみが加熱路Oの外部に配置される。別法として、延伸側RSと帰還側RLに個別の支持構造体を設ければ、付属の案内レールと重量走行レールとを有する延伸側の支持構造体のみを加熱路Oに配置し、帰還側の別の支持構造体を加熱路Oの外部に配置することができる。
図1bは、その構造を図式平面図で示す。
【0042】
前記のように、排出領域Aでも進入領域Eでも、排出ホィール及び/又は進入ホィールAR又はERにより移送チェーン13を駆動しかつ方向転換できる。
【0043】
案内レールと支持レールの種々の箇所に設ける接続部Gにより構成する可撓性構造の移送装置3を詳細に後述する。接続部Gを様々に調節すると、特に延伸領域R内で樹脂箔薄膜Fの種々の横延伸比を得ることができる。
【0044】
案内レール15の滑り軸受29は、確実に牽引案内力を支持する適切な幅又は案内レール15の長さ方向に配置されるU字状断面の滑動体又は滑動片29aを有する。
【0045】
滑り軸受29の対向する2つの軸受面29bは、移送チェーン13の前進運動間に、案内レールとして構成される案内レール15の対向側面又は外側面15a,15bに接触して、把持具チェーン装置KKを案内するので、把持具チェーン装置KKに設けられるU字状断面の滑り軸受29(滑動片29a)は、案内レール15に摺動接触して案内される。
【0046】
図2に示す把持具チェーン装置KKを通常把持具移送装置KTと称する。延伸装置の把持具移送装置KT又は把持具チェーン装置KKは、所謂連結部BRを介してチェーン装置又は移送装置7に接続される所謂把持装置6を有する。把持装置6は、延伸装置を通過する間、延伸すべき薄膜Fの端縁を把持して保持し、延伸装置の終端で薄膜Fの端縁を再び解放する通常の把持開放構造を有する。
【0047】
公知のように、把持具チェーン装置KK又は把持具移送装置KTの各把持装置6と各チェーン装置7は、移送装置3内に設けられ、移送装置3は、適切な支持体構成を有する支持構造体11と共に軌道2に沿って一周する移送チェーン13とを有する。把持装置6は、一体走行可能に移送チェーン13に駆動接続される。
【0048】
C:案内レール内に相互に連絡する複数の交差孔:
【0049】
次に、通常矩形断面の案内レール15は、通常互いに離隔して平行にかつ垂直に配置される2つの外向走行面又は滑動面15aと15b(案内レールの移送方向に)を有し、案内レール15を冷却する本発明の解決原理を説明する。
【0050】
基本原理は、高さHに比較して狭い幅又は厚みBを有するレール形状の案内レール15を使用する。案内レールの高さは、幅又は厚みBの3倍又は4倍より通常大きい。
【0051】
図3は、厚みBと高さHを有する案内レール15の一部を図式的に斜視図で示す。
図4は、案内レール15の中心を通る垂直縦断面図を示す。
【0052】
単体の各案内レールの好適な長さLFは、特に2m、2.5mより大きく又は3m、4mより大きく又は特に5mである。6m又はそれを超える長さは、案内レールの接合部を減少し回避するため、極めて望ましい。
【0053】
合理的な手間と費用で案内レールの内部に複数の交差孔154が形成されて、冷媒通路装置が設けられる。
図3及び
図4に示すように、長手側面又は幅側面15’a,15’b(幅側15’a,15’bは、案内レール15の外側面、即ち滑動面15a,15bに相当する)比較的大きく寸法設計され、複数の交差孔154は、案内レール15の厚みBより小さい直径を有し、長手側面又は幅側面15’a,15’bに対して平行にかつ長手軸LXに対し角度αで形成される。角度αは、案内レール15の長手軸LX及び上縁151又は下縁152に対する交差孔154の傾斜角度を表す。
【0054】
図2と
図3に示す実施の形態では、複数の交差孔154は、幅狭底縁152’又は下縁152から特に長手方向LX又は案内レール15の下縁152に対し角度+α又はαで形成される。複数の交差孔154は、盲孔又は袋孔として形成されるが、2つの袋孔154の各々は、互いに接近して穿孔領域DX1aで交差する。換言すると、一方の袋孔154は、長手軸LXに対し角度+αの袋孔154aとして形成され、他方の袋孔154は、逆方向の角度−αの袋孔154bとして形成される。袋孔154aと154bは、長手方向LXに変位する位置の幅狭底縁152’から互いに交差する角度+αと角度−αで逆方向から接近する穿孔154’aと154'bとして案内レール15に形成され、下縁152又は幅狭底縁152’から離間する穿孔154’aと154'bの各端部は、穿孔領域DX1a内まで形成されかつ互いに交差して、連絡する。交差孔154の直径は、例えば案内レール15の厚みの40%と80%の間に設定できる。例えば、厚み10mmの案内レール15では、7mmの直径で交差孔154を形成できる。
【0055】
穿孔法により近似的にV字状の交差孔154を形成できる。
【0056】
図3と
図4に示すように、互いに隣接して連絡するV字対の交差孔154aと154bは、案内レール15の長手方向LXに下側又は下縁152に変位して逆方向に傾斜する2つの穿孔154’aと154’bを備え、2つの穿孔154’aと154’bは、案内レール15の幅狭底縁152’の第2の穿孔領域DX1b内に接近しかつ互いに交差して、幅狭底縁152’に設けられる。
【0057】
特に、
図4に示すように、例えば、栓又はねじピン257を接着して、各交差孔154の穿孔154’aと154’b(各ねじが形成される)は、再び閉鎖される。ねじピン257の接着により、長手方向に案内レールを通る冷媒通路K1によりジグザグ状又は千鳥状の冷媒通路装置KAが形成される。
【0058】
図3と
図4に示す実施の形態では、案内レール15の中央直交平面OEは、案内レール15の走行面及び/又は滑動面15a,15b及び幅広側15’a,15’bに対して直角(垂直)(図面平面に対して垂直)であり、形成される冷媒通路K1は、中央直交平面OEに対し非対称に配置される。特に、把持具又は通常移送装置KK又はKTを長手方向に走行し案内するとき、重心から見て案内レール15の下半分に滑動作用が重点的に発生する。
図2と
図3に示す案内レール15の上部領域、即ち上縁151の領域内が支持構造体(支持装置)11に取付けられて保持され、
図4に示す取付開口部(切欠き、固定孔)153は、案内レール15に横方向に貫通して形成される。
【0059】
前記実施の形態とは異なり、
図5aの部分断面図では、上縁151の幅狭頂縁151’からも正と負の角度αで逆方向に傾斜する2つの穿孔154’aと154’bを含む穿孔154が案内レール15に形成される。上縁151の幅狭頂縁151’からの穿孔154は、対向する下縁152の幅狭底縁152'付近まで形成される。逆方向に傾斜する2つの穿孔154’aと154’bは、上端付近と下端付近で連絡する。穿孔154を閉鎖するため、本実施の形態でもジグザグ形状の冷媒通路K1が形成される。
【0060】
完全を期して説明するが、
図4の実施の形態を補足して、反対側の幅狭(幅狭頂縁又は幅狭底縁(151’,152’))側に貫通させて一方の幅狭側から交差孔154を形成できる。この場合に、角度+α,−αで交互に傾斜する交差孔を貫通させて、連続する冷媒通路K1が勿論形成される。この穿孔法では、案内レール15の両幅狭側で開放する複数の孔端を事後閉鎖すべき難点が発生する。従って、常に長手側又は幅狭側、即ち、上縁151又は下縁152のみから袋孔として穿孔154を案内レール15に形成する構造が有利である。
【0061】
また、逆方向に傾斜する角度+αと−αを異なる大きさで選択できる。即ち、一方の交差孔を角度+αで形成し、角度αとは異なる大きさの例えば角度−βで逆方向の交差孔を形成することも考えられる。勿論、これは技術的な利点を得る目的ではない。
【0062】
しかし、滑り部材により移送装置を案内しかつ冷却する案内レール15の冷却領域は、滑動高さGH内のみにある
図4に示す実施の形態は、
図5aに対して有利である。例えば、長手間隔に変位する取付開口部153又は他の固定手段を案内レール15の残部、即ち上方の組立高さMH部に形成して、案内レール15の取付開口部153を支持体装置11に単に固定する目的のみに使用することができる。
【0063】
図4とは異なり、
図5bは、例えば、案内レール15の上縁151、下縁152又は案内レール15の長手方向LXに対し第2の交差孔154bを直角(垂直)に配置する交差孔154a,154bを有するジグザグ状の冷媒通路K1を図式で示す。この場合に、角度25°と65°の間の値、好適には角度45°の値に交差孔154aの第1の角度+αを設定することが好ましく、第2の交差孔154bの第2の角度β(α’)を90°に設定することが好ましい。また、
図5bの実施の形態では、特に第2の角度β(α’)を90°以上に設定(破線で示す交差孔154’b)して、他の交差孔154aの傾斜角度αと同一の方向に交差孔154bも傾斜することができる。全孔長が不必要に増大する本実施の形態では、勿論望ましくはない。
【0064】
従って、案内レール15の長手方向LX又は幅狭頂縁151’若しくは幅狭底縁152”に対し通常互いに異なる傾斜角度で連続する2つの交差孔154a,154b及び/又は154c,154dのみを形成し、互いに連続する2つの交差孔が共通の貫通領域内で常に終了する連続的な冷媒通路を案内レール15内に形成することができる。
【0065】
図6は、例えば、案内レール15の長手方向LXに2つの冷媒通路K1とK2を並置する他の変形例を示す。
【0066】
上縁151又は幅狭頂縁151’の穿孔開口部154’c又は154’dから穿孔154c,154’cと154d,154’dとを案内レール15に形成し、穿孔154c,154’cと154d,154’dとが連絡する内側の貫通領域DX2aは、上縁151よりも反対側の下縁152(幅狭底縁152’)に接近する深さで案内レール15内に形成される。次に、例えば、ボルトの接着又は閉鎖ねじ161により、穿孔154’c,154’d(交差孔154c,154dの開口部)が閉鎖される。
【0067】
図4と同様に、
図6に示す実施の形態では、交差孔154aと154bを有する第1の冷媒通路K1を幅狭底縁152’から案内レール15内に形成でき、図示の実施の形態では、交差孔154cと154dを有する第2の冷媒通路K2を幅狭頂縁151’から適切な傾斜角度で形成することができる。第1の冷媒通路K1と第2の冷媒通路K2との両開口部を閉鎖しなければならない。その場合に、
図6に示すように、第1の冷媒通路K1と第2の冷媒通路K2を僅かに異なる角度で配置することができる。実際に、第1(下方)の冷媒通路K1の交差孔154a,154bを傾斜角度+αと−αに配置するのに対し、第2(上方)の冷媒通路K2の交差孔154c,154dは、角度αよりも大きい角度+βと−βで配置される。従って、第2の冷媒通路K2の内側に配置される貫通領域DX2a付近に第1の冷媒通路K1と第2の冷媒通路K2との間の最小間隔部が形成される。即ち、孔開口部154'aと154’bとが交差する第2の貫通領域DX1bは、下方の案内縁152から離間して、第1の冷媒通路K1の外側の貫通領域DX2aの直近位置に配置される。第1の冷媒通路K1が内側に向かう案内レール15の第1の貫通領域DX1aと、第2の冷媒通路K2が外側の幅狭頂縁151’に向かう第2の貫通領域DX2bとの間に、第1の冷媒通路K1と第2の冷媒通路K2との間の最大間隔が形成される。
【0068】
幅狭頂縁151’に隣接する取付領域内で、適切な支持体を有する支持構造体に案内レール15を保持しかつ係止する例を示したが、必ずしも端縁領域に第1の案内レール15を固定する必要はなく、案内レール15の中央又は中央近傍の支持構造体に又は支持構造体11に、例えば案内レール15の長手側あるは幅広側15’bの中央に案内レール15を取付ける例を
図6aに図式断面で示し、案内レール15の各長手側又は幅広側15’b(又は15’a)の中央又は中央付近に適切な取付開口部153を設けることができる。
【0069】
この場合に、
図6bの図式側面図に示すように、例えば、フランジ21を有する水平の支持構造体11の上方に第1の冷媒通路K1を設け、下方に第2の冷媒通路K2を設けることができる。
図6bとは逆に、支持構造体11の上方に第1の冷媒通路K1を設け、下方に第2の冷媒通路K2を設けるほかに、例えば
図5aに示すように、多少でも案内レール15を全高さに形成する単一の冷媒通路装置を設けることもできる。この場合に、
図6aに示すように、支持構造体11を中央又はほぼ中央に取付けることができる。
【0070】
本実施の形態でも、案内レール15の取付開口部153を横切らずに交差孔が形成される。
【0071】
このように、本実施の形態では、第1の冷媒通路K1と第2の冷媒通路K2を異なる形態で形成できる。幅狭底縁152’からかつ/又は幅狭頂縁151’からも、特に1列で又は
図6に示すように、上方の幅狭側と下方の幅狭側から案内レールに2列の冷媒通路を形成できる。特に、2列の冷媒通路を形成する
図6に示す変形実施の形態では、極大の熱量を伝熱し又は廃熱することができる。従って、本実施の形態では、ジグザグ状に並置される2つの冷媒通路K1,K2が案内レール15の長手方向LX内部に形成される。
【0072】
完全を期して説明するが、例えば、
図6の実施の形態では、必ずしも分離して冷媒通路K1とK2を形成する必要はなく、第2の冷媒通路K2の交差孔を貫通する貫通点に接続する長さに第1の冷媒通路K1の交差孔154を形成して、共通の冷却装置として2つの冷媒通路K1とK2を互いに接続できる。
【0073】
次に、案内レール15の終端片を通る中央長手方向の図式断面図を
図7に示す。
【0074】
図7は、案内レールの始端と終端に形成され又は形成できる案内レール15の終端片15’の部分断面を示す。
【0075】
その場合に、
図6に原則的に示す2列の冷却装置を有する案内レール15の終端片15’を
図7に示す。1列の案内レールのみを形成するとき、設計変更を同様に行い、案内レールの端部で冷媒通路(K1又は例えばK2)の冷媒通路のみに冷却液(冷媒)を供給する。
【0076】
図7は、高さHを有する案内レール15の幅狭頂縁151’又は上縁151に隣接して形成される取付開口部153を示し、例えば、延伸装置の接続構造体を構成する支持構造体11に機械的に取付開口部153を結合することができる。
図7に示す取付開口部153を介して案内レール15を支持構造体11にねじ連結(ボルト)できる。案内レール15の幅狭底縁152’又は下縁152は、把持具チェーン装置KK又は移送装置KTの滑り軸受29内に相対的に摺動可能に嵌合される。例えば、既知の延伸装置と同様に、把持具チェーン装置KKは、適切に形成された案内レール15に走行可能に支承される。
【0077】
図示の実施の形態では、交差孔154a〜154dは、案内レール15の長手方向LX(
図3及び
図4)に対して直角(横又は深さ方向)に、直径Dで、案内レール15の長さLF方向(上縁151又は下縁152)に対して所定の適切な角度+α,+βに形成される。様々な直径、傾斜角度及び様々な数の交差孔列で交差孔154a〜154dを形成できる。交差孔154の各開放端部は、ねじ孔GVの内部に閉鎖ねじ161を固着、接着して閉鎖される。
【0078】
案内レール15の各端部に直近の交差孔154は、更に特殊な接続孔に接続される。例えば、第1の冷媒通路K1の交差孔154bは、接続孔154eに接続される。第2の冷媒通路K2の交差孔154cは、案内レール15の端部で接続孔154fに接続される。他の交差孔154よりも大きい横方向角度で案内レール15に接続孔154eと154fを形成できる。図示の実施の形態では、接続孔154eは、上縁151に対し角度α4で垂直に、案内レール15の幅狭頂縁151’に対し直角(長手方向LXに対し垂直)に形成される。長手方向LXの幅狭頂縁151’に対し、交差孔154の角度傾斜に対し90%より小さいが、他の角度α又はβよりも大きい例えば角度α3で第2の冷媒通路K2の第2の接続孔154fが形成される。
【0079】
2つの接続孔154eと154fは、同様に閉鎖ねじ161で密閉される。また、2つの冷媒通路K1とK2の関連する接続孔154e,154fは、案内レール15の同一長手縁又は幅狭側、図示の例では、案内レール15の取付側を形成する上縁151、即ち幅狭頂縁151’まで延びる。
【0080】
案内レール15の走行面及び/又は滑動面を形成する2つの外側面15a,15bに対して横方向又は直角(垂直)に配置される直径DVの入口孔又は出口孔155(
図8)を案内レール15の厚み方向に付加的に設けることが好ましく、入口孔又は出口孔155は、接続孔154eと154fの端部に装着する閉鎖ボルト161の直前で案内レール15の適切な長さに形成される。特に図示の実施の形態では、案内レール15の各外側面15a又は15bに対し直角(垂直)にかつ取付領域MH内の高さで出口孔155を形成することが好ましい。また、
図8に示すように、出口孔155は、2つの外側面15a又は15bの一方(片側)からのみ交差孔154の直径まで延びる。2つの案内レール15間に冷却媒体を確実に供給し、排出しかつ/又は接続する配管端(管継手)170が密閉状態で出口孔155に取付けられる(
図9)。次に接続時に、配管端170を介して冷却媒体を案内レール15から流出させて、配管端170に接続される配管を通じて後続の隣接する次の案内レール15の配管端170に冷却媒体を供給できる。別法として、必要に応じて、各案内レールに新しい流動性の冷却媒体(冷却水)を供給し、交差孔154の端部から再処理のため冷却媒体を冷却装置に更に案内することができる。配管端170は、ねじ156で案内レール15に固定される。
【0081】
長手方向LXの上縁151又は下縁152に対し接続孔154fは、角度α3で形成されて交差孔154に接続され、接続孔154eは、角度α4(垂直)に形成されて交差孔154に接続され、幅狭側151又は152で開口する交差孔154a〜154d及び接続孔154e又は154fは、ねじピン161が接着され同様に閉鎖される。
【0082】
例えば、
図7に示すように、案内レール15及び/又は案内レール端部15’に直径DHPの付加孔157を形成して、案内レール15内に熱を均一に拡散させて均一に冷却することができる。案内レール15材料に形成される付加孔157は、案内レール15の上縁151又は下縁152、幅狭頂縁151’及び/又は幅狭底縁152’に対して横方向、好ましくは垂直に延びる。また、冷媒通路K1又はK2は、互いに接近して斜めに配置される2つの交差孔154を有し、上縁151又は下縁152から離隔する交差孔154の貫通領域DX1a(又はDX2a)に隣接する位置にかつ案内レール15の全長にわたり間隔を空けて、各付加孔157が形成される。換言すると、上縁151又は下縁152まで冷媒通路K1又はK2が貫通しない案内レール15の大きい材料部分に付加孔157が設けられる。従って、案内レール15の長手方向に対し横方向に形成される袋孔形式の付加孔157は、交差孔154の微小間隔手前で終了し又は交差孔154に接続される場合もある。その後、付加孔157内に密閉状態で挿入される例えば銅ボルト181又は所謂伝熱ピン182(
図19)等の良好な熱伝導性の伝熱媒体は、境界縁151又は152を越えて外側に突出する。伝熱媒体を密閉接合した付加孔157を交差孔154に接続しても、冷却媒体は、外部に流出しない。
【0083】
図10aは、好適な冷却水を含む冷却媒体が貫流する案内レール15の2つの配管端170間の長さに相当する有効冷却長L(
図10b)と全組立長さBLを有する案内レール15の側面又は滑動面15a,15bに対して平行な断面図を示し、
図10bは、側面図(冷媒通路K1,K2と付加孔を破線のみで示す)を示す。
【0084】
各サイド案内レールの冷媒通路の接続構造を
図8と
図9について以下再度説明する。
【0085】
図10bは、必要な付加的構造を含む案内レール端部15’の領域内の案内レール15の長手方向又は長手軸LXに対する直角の断面図を示す。
【0086】
好ましくは
図8と
図9に示す案内レール15の冷却媒体の穿孔領域又は排出領域に交差孔154の終端を形成する接続孔154eと154fは、前記のように、案内レール15の外側面又は滑動面15a,15bに対して垂直に形成される接続孔155に接続されて貫通した冷媒通路となる。接続孔155を介して冷却媒体が交差孔154内に流入し又は交差孔154から流出する。配管端(管継手)170を介して各冷媒通路K1及び/又はK2を対応する配管に接続できる(
図9)。この場合に、垂直に配置される接続孔172と、ねじ連結部175とを有する装着盤171iを接続構造体に設けることが好ましい。ねじ連結部175を介して装着盤171iを案内レール15にねじ連結し、案内レール端部15’に設けられる対応する接続孔155(
図7)内に適切なねじ175を嵌入し又はねじ込み又は案内レール15の相手側に取付けられるナットを介して固定される。例えば、耐熱性の密封材173を介して案内レール15と配管端170とが密閉される。
【0087】
製造の際に、サイド案内部材は、i=1…−Nとして複数の案内レール15iにより構成される。サイド案内部材は、冷却長さLiに沿って冷却されかつ取付開口部153を介して支持体片Ti(
図11)に結合される。まさに周回ルートの延伸部分の冷却は不要か又は部分長さのみ冷却すればよい。
図11は、支持体片Ti-1とTiを結合する接続部を示す。
【0088】
冷却すべき長さLiとLi+1の間にボルト及び滑動片VSが設けられ、本明細書では不冷却構造で説明する滑動片内でも構造的に冷却が可能である。
【0089】
図11は、装着盤171iと、供給導管176を備えるボルト部174とを有しかつ装着盤171iに支承される供給排出導管170iの接続構造を示す。その場合に、管又は配管は冷却集合体との接続を表し又は案内レール15iを互いに接続する。
【0090】
本発明の実施の形態に使用する接続部Gの領域に使用する冷却構造を次に説明する。
【0091】
前記解決法では、周回式閉成移送軌道の周回全体にわたり、案内装置又は案内レールを冷却することができる。その場合に、滑動レール又は案内レール15は、無孔案内レールと全く同様に弾性的に変形するので、調節可能な接続構造部を冷却することもできる。そのため、
図12を以下説明する。
【0092】
本実施の形態は、レール及び支持構造体11全体に対し様々な角度位置でレールの2部分を調節できる接続装置Gを設ける点に特殊性がある。接続装置Gは、上部と、上部に対して垂直方向に変位して配置される下部の接続部Gとを有し、上部と下部は、平面図上軸方向に配置され、後続のレール部分に対して接続軸Xを中心に先行のレール部分を揺動できる(
図12)。
【0093】
図12は、上部と下部の支持部分の間に配置される案内レール15を示し、垂直に配置される案内レール15の大きい長手側又は外側15aと15b(幅側)は、揺動軸X周りに平行に揺動できる。揺動軸Xを中心に、所定の角度範囲内でレール部分と、関連する支持部とを揺動して方向調節すると、それに応じて、特に、内蔵される冷媒通路K1及び/又はK2を含む案内レール15は、連続的に屈曲される。
【0094】
要するに、案内レールの冷却すべき面を最適に覆いかつ大きな流れ損失を発生せずに交差孔154の角度α又はβを形成することが重要である。換言すると、特に、案内すべき移送装置(把持具)の滑り摩擦又は転がり摩擦による案内レール15の外側面15aと15bの発熱部が冷却される。その場合に、互いにある角度で配置される2つの交差孔154間の各中央部、即ち原則的にV字状又はほぼV字状に互い形成される交差孔154の中央部は、最大の温度が生じる接続孔(冷却孔)155から最遠箇所となる。接続孔(冷却孔)155に極力接近して最遠箇所を配置し、交差孔154の交差状態と配置角度を最適化して、案内レール15の各部での大きな温度差の発生を防止することが必要である。従って、案内レール15全体の温度を比較的良好に均一化して、最小温度と最大温度とを僅差に維持しなければならない。また、交差孔154内を流れる冷媒の圧力損失及び流動抵抗を極力減少して、最適な流動状態を形成するように交差孔154の交差状態を決定しなければならない。
【0095】
前記のように、例えば、伝熱管182形式の良好な熱導体を案内レール15の摩擦発生領域内に使用して、案内レール15の摩擦発生領域内の温度を均質化することができる。これにより、冷却孔の加熱領域から近傍領域に熱を伝達できる。銅、青銅、銀合金等の古典的材料で熱導体ボルト181を形成できる。高熱伝導率の伝熱管を使用すれば、良好な熱放出を達成できる。締まり嵌めで案内レール15内に放熱体又は熱担体を圧入して固定し、脱落を阻止することができる。
【0096】
D:2つ以上の半殻部に可撓性管を配置する変形案内レール:
【0097】
次に、冷却する案内レール15の異なる解決原理を説明する。
【0098】
図13は、滑り軸受を有する案内レールと、重量走行面を有する重量走行レールとを備える移送装置(延伸装置又は横延伸装置)の断面図を示す。
【0099】
案内レール15は、冷却システム、即ち冷却装置K1により互いに分離される一対のレール片15.1と15.2を備え、一対のレール片15.1と15.2は、支持構造体21に一体に固定される構造を有する。冷却装置K1は、冷却媒体18が内部を流動する少なくとも単一の例えば肉薄冷却管及び/又は長円管1154(例えば、ベーラント・ウェルク社製メッキ鋼(FennSteel)二重管「GEWA safe」)を基本的に有する。その場合に、案内レール片15.1と15.2で形成される案内レール15及び好適な長円管1154を円弧状のレール部に形成でき、例えば、延伸装置に使用する所謂接続部G又は接続領域でも、共通に屈曲する構造及び/又は材料を使用できる。また、後述の付加的な全スペーサ又は中間片15.3等も同時に屈曲できる。
【0100】
別法として、
図13は、横延伸装置で長手方向に走行する把持具6を案内する案内レールの断面を示す。
図13に示す変形実施の形態では、把持具6の下方に配置される支持レール17は、移送チェーン13と把持具6の重量を支持する支持レール走行面17aを有する。支持レール走行面17aは、案内レール15を介して特に横力を支持する。
図13に示すように、重量を支持する支持レール17の内部にも、長手方向に配置される冷媒通路41を形成できる。内部に冷媒通路41を形成する
図13の支持レール17は、例えば、絶縁材42を介して下方に配置される支持装置111上に支持されかつ保持される。例えば、中敷140を有する緩衝板支持面(中敷走行面)139として支持レール走行面17aを形成できる。その場合に、
図13に示す断面図では、連結部(ブリッジ)BRを介して把持具移送装置KTの本来の把持具チェーン装置KKに本来の把持装置6を接続し、U字状断面の滑動片29’を介して案内レール15の両方の側面又は滑動面15a,15bに接する移送装置KTを案内することができる。別法として、既知の解決法又は先行公開公報に開示される延伸装置、特に横延伸装置の他の構造も参考となろう。
【0101】
冷却管1154を包囲する一対のレール片(半殻)15.1と15.2により案内レール15を二重構造で形成すると、充分に大きい熱伝達用冷却面を形成できる。移送チェーン13の長手方向の引張力と横方向の延伸力は、接触面15aと15bにより支持されかつ接触面15aと15bにより形成される全機能面は、レール片15.1と15.2内に形成される冷媒通路K1内の冷媒により冷却される。
【0102】
冷媒通路K1を形成する薄肉の冷却管1154は、加圧される非圧縮性の冷却媒体により、案内レール15の一対のレール片15.1と15.2に対し密に接触する。一対のレール片15.1と15.2の内側構造を変更して熱接触構造を改良することは、勿論可能である。
【0103】
冷却管、特に長円管1154を使用して案内レール15を組み立てるとき、長円管1154の大きい一対の垂直壁をレール片15.1,15.2に対して平行に配置し、長円管1154の厚みを形成する小さい一対の水平壁は、一対の案内レール片15.1と15.2間の内法間隔よりも大きい。長円管1154a又は比較可能な可撓性管の管幅RBは、組立工程中に、一対のレール片15.1と15.2の内側面15.1’と15.2’間の内法間隔を保持する。換言すると、冷却管1154の壁1154’と一対のレール片15.1と15.2の内面15.1’と15.2’との間を大面積で接触させて、極力最良の熱伝達と極力最良の冷却効率を達成することができる。
【0104】
付加的に支持レールとしても案内レールに用いる滑り軸受では、上方の軸受領域をそれに応じた構造に形成して、良好な熱伝達特性を確保することができる。
図13aと
図13bには、良好な熱伝達目的の構造を示す。
図13aは、上方の案内レールと、延伸装置の把持具の案内レール及び支持レールとして同時に用いる下方の案内レールを有する滑り軸受(延伸装置)の垂直断面を示し、
図13bは、把持具と共に下方の案内レール上で滑動する移送装置の部分拡大断面を示す。
【0105】
冷却装置の複数の変形実施の形態を次に説明する。
【0106】
図14は、直接冷却する案内レールの基本的概念を表す断面を示す。
【0107】
案内レールを断面構造で示す
図14について詳述する前に、理解の容易な
図14aについて案内レールの原理的な構造をまず説明する。
【0108】
図14aは、一対のレール片(半殻)15.1と15.2を有する案内レールの分解断面図を示す。通常の事例では、矩形の中空フライス盤を用いて中実の金属片からレール片15.1と15.2を切削加工することができる。その場合に、一対の中空溝15.9、即ち切欠き15.9を真直な金属片に形成すれば、それ以上に正確な加工を必要としない。その後、ほぼ矩形断面の冷却管1154を一対の中空溝15.9内に挿入することができる。
【0109】
図14に示すように、中空溝15.9から垂直に起立する縁部(ウェブ)15.3と15.4の互いに対向する接合面15.3’及び15.4’が組立状態に接合される。レール片15.1と15.2と一体に縁部15.3と15.4を形成して、ストッパ、スペーサ又は中間片として用いることが好ましい。
【0110】
内側に冷却管を収容するレール片15.1と15.2を円弧状の案内レール部として特に接続部内でも使用でき、また、垂直に配置されてスペーサとなる縁部15.3と15.4を配置する
図14aに破線で示す溝又は切欠き15.5と15.6が設けられる。
【0111】
スペーサとして用いる縁部又は延長部15.3と15.4内の切欠き15.5と15.6は、真直な案内レール部内では不要である。
【0112】
図14b、
図14c及び
図14dは、垂直上方から案内レール15の幅狭頂縁151’又は幅狭底縁152’を
図14aの垂直下向の矢印A方向に見た平面図を示す。
【0113】
延伸装置の滑り軸受(滑動部)内の案内レールに前記冷却管及び
図14に示す冷却管1154を使用するとき、一対のレール片15.1と15.2で構成される案内レール15と共通にかつ同時に肉薄の冷却管1154が屈曲される。冷却管は、内側で潤滑され、また頻繁に屈曲されない案内レール15の大きい半径で屈曲される部分では、材料疲労の心配はない。
【0114】
しかし、案内レール、特に接続領域内に設けられる切込状又はジッパー式の切欠き又は類似の手段は、適切な冷却管と共に案内レールを良好に湾曲させることができる。
【0115】
図14cの平面図に示すように、例えば、各スペーサを構成する縁部又は延長部15.3と15.4の突出部15.3’と15.4’に複数の切欠き1030が形成される。長手方向LXに対して横方向に案内レール15を湾曲するとき、各切欠き1030は、一対のレール片15.1と15.2の接触面から始まり長手方向LXに対し横方向に若干圧縮され(湾曲部の内側)又は延伸(湾曲部の外側)される。
【0116】
図14cに示す変形実施の形態では、各レール片15.1と15.2の縁部又は延長部15.3に交互に形成される複数のほぞ溝(切欠き)1030とほぞ(突起)は、相手方のレール片15.2と15.1の縁部又は延長部15.3に形成される対応する複数のほぞ(突起)とほぞ溝(切欠き)1030に嵌合される。
図14dに示す変形実施の形態では、各レール片15.1又は15.2の縁部又は延長部15.3に蟻溝(切欠き)1030と蟻(突起)1030’とを交互に形成して、相手方のレール片15.2と15.1の縁部又は延長部15.3に形成される対応する複数の蟻(突起)1030’と蟻溝(切欠き)1030に嵌合される。前記凹凸嵌合構造により、相対的な長さを変更せずに、湾曲部で一対のレール片15.1と15.2を同時に湾曲又は屈曲することができる。この場合に、湾曲部の外側に配置される各レール片15.1又は15.2は、変形時に長さが短縮される難点がある。
【0117】
図示の2種の凹凸嵌合構造とは異なる全ての他の変形構造により、案内レール及び特にレール片15.1と15.2を互いに最適に結合することができる。前記凹凸嵌合構造では、一方のレール片のみをより大きく設計して加工することができる。他方のレール片に溝(スリット)のみを形成して、レール片15.1と15.2を組立てることができる。前記構造とは無関係に、金属積層体又は部分的金属積層体に案内レールを形成することもできる。
【0118】
次に、
図14は、一対のレール片15.1と15.2により構成される案内レール15と、レール片15.1と15.2により包囲されて、肉薄の管壁1154’内で冷却媒体18が流動する冷却管1154との断面を示す。案内レール15は、例えば、ねじ1153により支持構造体21に固定される。支持構造体21と案内レール15との間に
図14の斜線で示す断熱材20を取付けることができる。
図14に示すように、支持構造体21を貫通するねじ1153により上方の中間片15.3と下方の中間片15.4を介して、冷却管1154は、レール片15.1と15.2に取り付けられる。レール片15.1と15.2の内側間隔を決定する中間片15.3、15.4により、レール片15.1と15.2は、上縁151から下縁152まで等しい厚みで板状に形成される。
【0119】
図14は、例えば、スペーサとなる縁部又は延長部15.4に設けた潤滑剤供給部165を示し、下方から潤滑剤を供給する潤滑剤供給部165及び潤滑剤通路166を介して滑動部を潤滑することができる。潤滑剤に対する加圧と毛管作用により一対のレール片15.1と15.2間の間隙を介して案内面又は支持面15aと15bを潤滑することができる。
【0120】
下方から潤滑剤を供給する潤滑剤供給導管165の出口から始まり、一対のレール片15.1と15.2を接合する際に変形可能な冷却管1154の外壁と、冷却管1154に隣接する第1のレール片15.1の内側15.1’と第2のレール片15.2の内側15.2’との間に潤滑剤通路166が形成される。図示の実施の形態では、縁部15.3とは逆側に複数の中間片15.4(各中間片15.4又はレール片15.1と15.2に設けられるL字状断面の一対の拡幅部15.4)が一対のレール片15.1と15.2に設けられる。従って、レール片15.1と15.2の内接面15.4’と冷却管1154の外側面との間に潤滑剤通路166が、形成される。
【0121】
また、例えば、案内レール15の長手方向に一定間隔離隔して複数の小孔を上方の中間片15.4に設け、小孔を介して供給する潤滑剤は、上方の幅狭頂縁151’、即ち案内レール15の上縁151に流出し、更に側方の滑動面15.1’及び15.2’に流動する場合もある。
【0123】
図15は、金属積層体(金属片)により案内ユニットを構成する変形実施の形態を示す。必要に応じて、レール片15.1と15.2間を付加的に結合し保持しながら、支持構造体に設けられるボルト1153を介して、一対のレール片15.1と15.2(各金属積層体で構成する)を接続(結合)することができる。上部と下部とで金属片間に複数の可撓性管を装着して、一対のレール片15.1と15.2が結合され保持される。連結装置と他の結合構造体により保持結合体を形成して、各案内レール15の長さ方向に対し横方向に延びる上方及び/又は下方の保持結合部材により、レール片15.1と15.2(金属積層体又は金属片により構成される)とを固定位置に結合することができる。
【0124】
金属積層体間に所謂波形ばねを備える多くの移送装置では、少なくとも循環軌道の部分領域内で冷却管に代わる波形ばねを備える冷却システムを搭載することができる。
【0125】
図16の断面図に示すように、例えば、案内レール15内に上下に間隔を空けて配置される冷媒通路K1とK2を含む複数の冷媒通路Kを複数の冷却管1154で形成し又は案内レール15の長手方向にレール片15.1と15.2間に蛇行して冷却管1154を配置して、レール片15.1と15.2を介して冷却管1154を案内する他の解決法も実現できる。
図16に示す実施の形態でも、材料拡幅部を介してレール片15.1と15.2が互いに直接接触しない場所に(
図16の上方に示す)、一対の案内レール片15.1と15.2の内側面15.1’と15.2’の間でかつ冷却管1154の非貫通間隙内のレール片15.1と15.2間に付加的な中間片15.3を常に埋設することができる。スペーサ又は中間片15.3の代わりに、案内レール片15.1と15.2との間に複数の案内レール突出部15.4を互いに対向して配置し、一対のレール片15.1と15.2に隣接する当接境界を案内レール突出部15.4により形成することができる。また、一対の案内レール片15間方向に突出する突出部15.4を一方の案内レール片15.1又は15.2のみに設けて、例えば、板状に形成した他方の案内レール片に一方の案内レール片の突出部を接触させることもできる。一対の案内レール片の対向する内面間に形成される自由空間内に1本又は複数本の冷媒通路を形成することができる。
【0126】
図17は、2つの延伸部分での冷媒通路間の接続構造を示す断面図である。
【0127】
例えば、蛇管209等の可撓性接続部を介して液密に互いに接続される各延伸部を案内レール又は案内レールユニットに製造技術上設けることができる。
図17は、並置した2つの案内レール装置の冷却媒体接続通路を略示する断面を示す。別法として、前記説明から明らかなように、2つの案内レールの接続構造間で冷却媒体を導入し又は導出でき、必要に応じて、或る案内レール部分から後続の案内レール部分に直接接続することもできる。
【0129】
前記実施の形態では、使用できる熱管、即ち伝熱管を補足的に説明した。例えば、案内レールの長手方向に対し適切に変位する交差孔又は好ましくは袋孔に伝熱管又は熱管を構成でき、適切な長手方向の寸法で、案内レールの幅狭側又は下縁(又は上縁)を越えて伝熱管又は熱管が配置される。熱管又は伝熱管は、極めて迅速かつ集中的に熱を案内管から外部に放出する適切な手段である。不十分な冷却環境条件では、案内レールの外部に隣接しかつ配置される冷媒通路に熱管を接続し又はそこまで延伸させる。本発明の実施に使用する冷媒通路は、冷却媒体を貫流させて、熱管/伝熱管の各案内レールとは逆の端部を有効に冷却することができる。
【0130】
図18は、案内レール15と冷媒通路の横断面図を示し、
図19は、長さ方向断面図を示す。
【0131】
隣り合う熱管(伝熱管)182の間隔AHP又は案内レール15内の適切な孔157又は袋孔157の間隔AHPは、使用条件に依存する。搬出すべき熱が大きい程また冷却効果を増大する程、複数の孔157間の間隔を密に設定しなければならない。
図18と
図19に示すように、案内レール15の該当する縁(上縁151又は下縁152)又は案内レール15の幅狭頂縁151’又は幅狭底縁152’内に垂直に孔157を形成することが好ましい。その場合に、案内レール15の内側に配置されて互いに連続する2つの第1の冷媒通路K1の貫通領域DX1a又は第2の冷媒通路K2のDX2aの間の間隔に伝熱管182間の間隔AHPを対応させることが好ましい(
図6)。複数のこの種熱伝導管又は伝熱管を使用するとき、より大きい傾斜角度α又はβを設定して、貫通領域DX1a(又はDX2a)の間隔と付加孔157及び伝熱管の間隔AHPとを短縮しなければならない。他面、
図6の構造とは異なり、接続する2つの交差孔154a,154b間のV字状材料領域内に、案内レールに対して長手方向に狭く変位して2つの付加孔157を並置することもでき、
図6に示す各単一の付加孔157の代わりに、案内レール15の長手方向LXに互いに離間する2つの付加孔157をV字状の材料領域内に設け、同一間隔AHPで常に少なくとも1対の熱管又は伝熱管を設ける場合もある。
【0132】
傾斜状態に形成される交差孔154により案内レール15内にジグザグに延びる冷媒通路K1及び/又はK2を形成し、補足的な冷却手段として熱管181又は伝熱管182を使用する最初の実施の形態とは異なり、
図18及び
図19は、冷媒通路K3と協働して、案内レール15の外部に導出される熱管181及び/又は伝熱管182のみで、熱管/伝熱管を効率的に冷却する変形実施の形態を示す。
【0133】
図示の実施の形態では、例えば、前記取付け及び/又は固定孔153を介して、案内レール15は、支持装置21に適切な手段で固定される。その場合に、冷却管1154が内部形成された外部の冷媒通路K3が支持装置21の領域内に取付けられ、同様に案内レール15の付加孔157の延長上に適切な付加孔157’が冷却管1154に設けられ、案内レールの付加孔157内に挿入される熱管182又は伝熱管182は、付加孔157’を通して冷却媒体が貫流する冷媒通路K3内に突出する。冷却媒体と熱管182又は伝熱管182との熱接触により、極めて効率的に案内レール15を冷却することができる。また、例えば、銅製ボルト式の熱管181又は好ましい伝熱管は、案内レール15の出口又は入口に設けられる付加孔内に液密に挿入されるので、冷却媒体が流出しない。
【0134】
F:溶接又は半田付け可撓性管による冷却
【0135】
特に、案内レール15の設置領域内でも、湾曲状に案内レール15の配置方向を偏向する方向調節可能な接続領域内でも、他の冷却解決手段として、例えば、滑動レール又は案内レール、即ち滑動レール又は案内レールの側方に半田付けされる可撓性の蛇管(波形配管、可撓性配管又は可撓性管」ともいう)209を使用できる。この場合に、半田の流動化温度は、最大達成可能なレール温度(加熱路温度)よりも高いが、熱処理鋼の焼鈍温度より低いから、半田付け工程は、溶接工程に優先する。従って、半田付けする鋼は、軟化せず、本来の剛性と耐磨耗粘靱性を維持する。
【0136】
その場合、
図20と
図21に例示する蛇管209を通じて適切な冷却媒体を貫流できる。
【0137】
図21の断面図に示す案内レール15の側面領域(外面)(蛇管209領域内)の材料を浅く凹状に加工して、案内レール又は滑動レール又は滑動レール15に蛇管209を半田でより良好に接合できる。また、蛇管209の外側接触面213を案内レール15の凹状切欠き内に半田で良好接合できる。
【0138】
この解決法でも、熱管/伝熱管を組み合わせることができる。即ち、蛇管209で補助する熱管又は伝熱管を使用して、発生する摩擦熱を極力効率的かつ有効に除去できる。この場合も、例えば、冷却媒体が貫流する蛇管209の近傍領域内に別体の冷媒通路内まで延伸する伝熱管を設けて、熱管/伝熱管を効率的に冷却することができる。
【0139】
この解決法は、延伸領域内で円弧状に屈曲可能な案内レールを充分かつ確実に原理的に冷却できるが、高価で作動安全性が低く、半田付け時に使用する融剤も極めて活性と腐食性が高く、案内レールの滑動面が腐食する危険があるので、他の方法が優先する。
【0141】
冷却媒体として適切な全媒体、特に流動性の気体媒体も考えられる。冷却媒体として水又は熱担体潤滑油を使用することが好ましい。例えば、熱を均一化する媒体:ディフィル(「Diphyl」登録商標)等の他の全種類の冷却媒体も使用することができる。
【0143】
例えば、クロムモリブデン鋼(SCM440,42CrMo4)等の焼鈍鋼をレール材料として使用できる。また、金属材料を焼鈍して高耐磨耗性を付与できる。更に、例えば、ニトロ化又はガスニトロ浸炭化(Gasnitrucaburieren)等の表面処理を実施できる。前記材料は、弾性変形性を備えることが実験で判明した。
【0144】
穿孔深度及び穿孔角度の可能性、熱処理時期の可能性及び密封構造の可能性等の製造確認実験を実施した。
【0145】
多くの熱併用耐久限界実験を実施した。
【0146】
案内レールの破砕可能性、無歪ニトロ化可能性、穿孔工具の過度延伸性又は案内レールの不均一湾曲変形性、切断面状変形特性等の実験を実施した。
【0147】
I:支持構造体に対する案内レール構造体の熱絶縁
【0148】
摺動体−転動体と案内レールとの間の摩擦部/摩擦面の冷却に滑動レールの冷却目標を設定した。他の領域も必然的に同時に冷却され又は取付部又は支持体も同時に冷却された。これにより、加熱経路内での熱放射と熱対流により顕著な冷却損失を生ずる(加熱経路は、いわば側部案内冷却により冷却される)。このため、本来、摺動接触部本体の単純な冷却より遥かに大容量の冷却集合体が必要となる。案内レールと周囲との間の結合部に熱絶縁体20を配置して、冷却集合体の容量増加を回避することが望ましい。
【0149】
耐熱絶縁合成紙(「Nomex」登録商標)、他の合成紙材、ポリエーテルエーテルケトン材(「PEEK」登録商標)等全熱絶縁材料を使用できる。
【0150】
刷毛又はパレットナイフで塗布し又は塗付ける製品(ペースト状)により、塗付面を簡単に絶縁できる。
【0151】
冷却法及び冷却装置の種々の実施の形態を変更し、代替し、組み合わせ、同時に実現できることも理解できよう。例えば、
図18と
図19に示すように、
図6と
図7に示す付加孔181内に熱伝導管又は伝熱管を挿入し、案内レールに対して平行に配置する外側の冷媒通路K3内に幅狭側から熱伝導管又は伝熱管を突出させてもよい。また、他の冷却装置に加えて、外側の幅広側上に溶接又は半田付けで案内レール15に取り付けた可撓性管を付加的にでも使用できる。また、例えば、交差孔で形成する2つ又は複数の冷媒通路K1,K2の代わりに、案内レールと案内レール部を複数の案内レール内で使用して、案内レールの2つ以上のレール片15.1と15.2の内部に1本又は複数本の可撓性の冷却管を形成できる。その意味で、案内レールの全冷却装置を使用することができる。
【符号の説明】
【0152】
(15)・・案内レール及び/又は支持レール、 (15.1,15.2)・・レール片、 (18)・・冷却媒体、 (154;154a-154d)・・交差孔、 (157)・・付加孔、 (181)・・熱導管、 (182)・・伝熱管、 (1154)・・冷却管、 (DX1a,DX1b;DX2a,DX2b)・・貫通領域、 (K1,K2,K3)・・冷媒通路、 (KA)・・冷却装置、 (LX)・・長手方向、 (α,β)・・傾斜角度、