(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、前記単一燃焼室用前排気通路部の前記前後端口および前記単一燃焼室用後排気通路部の前記後後端口の両方から排ガスが流れ込む集合部と、前記単一燃焼室用前メイン触媒を通過した排ガスおよび前記単一燃焼室用後メイン触媒を通過した排ガスを大気に放出する放出口とを備え、
前記単一燃焼室用前メイン触媒、前記単一燃焼室用後メイン触媒、前記単一燃焼室用前上流酸素検出部材および前記単一燃焼室用後上流酸素検出部材は、前記集合部より排ガスの流れ方向の上流に設けられ、
前記単一燃焼室用前メイン触媒は、前記1つの前燃焼室から前記放出口までの排気経路において、前記1つの前燃焼室から排出された排ガスを最も浄化し、
前記単一燃焼室用後メイン触媒は、前記1つの後燃焼室から前記放出口までの排気経路において、前記1つの後燃焼室から排出された排ガスを最も浄化することを特徴とする請求項1に記載のビークル。
前記単一燃焼室用前メイン触媒は、前記1つの前燃焼室から前記単一燃焼室用前メイン触媒の上流端までの経路長が前記単一燃焼室用前メイン触媒の下流端から前記前後端口までの経路長と同じか短くなるように設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のビークル。
前記単一燃焼室用後メイン触媒は、前記1つの後燃焼室から前記単一燃焼室用後メイン触媒の上流端までの経路長が前記単一燃焼室用後メイン触媒の下流端から前記後後端口までの経路長と同じか長くなるように設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のビークル。
前記単一燃焼室用前メイン触媒は、前記ビークルの左右方向において、前記単一燃焼室用後メイン触媒と異なる位置に設けられ、且つ、前記ビークルの前後方向において、前記単一燃焼室用後メイン触媒と異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のビークル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、V型多気筒4ストロークエンジンユニットを搭載したビークルにおいても、排ガスの浄化性能の向上が求められている。
【0005】
本発明の目的は、触媒および酸素検出部材を備え、排ガスの浄化性能をより向上できるV型多気筒4ストロークエンジンユニットが搭載されたビークルおよびV型多気筒4ストロークエンジンユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
集合部で集合した排ガスの酸素濃度を詳しく分析したところ、次のことが判明した。酸素検出部材の位置をずらすと、その酸素検出部材から出力される信号が大きく変化する場合がある。つまり、集合部の中の酸素濃度は常に均一なわけではなく、場所によって異なる。そこで、種々の位置をテストし、実際の酸素濃度に近い位置を探して、酸素検出部材の位置を決めていた。テストを続ける中で、更なる排ガス浄化性能の向上には、酸素濃度の検出精度を向上させる必要があることがわかった。
さらに、V型多気筒エンジンでは、各気筒の排ガスの酸素濃度が異なる場合があることが判明した。特に、ビークルの前後方向において、燃焼室の位置が異なり、且つ、燃焼室から排出される排ガスが流れる各気筒の排気通路部の排気経路の長さが異なる複数の気筒を備えたV型多気筒エンジンほど顕著であることが判明した。
そこで、従来行われていた集合した排ガスの中の酸素濃度を検出するのではなく、各気筒の排ガスの酸素濃度を検出することで、解決できると考えた。
しかしながら、新たな問題があることが判明した。それは、各気筒の排ガスの状態を詳しく分析することで判明した。燃焼室から排出された時点の排ガスは、気体の未燃燃料と酸素を含む。排ガスは、排気経路中で未燃燃料の酸化を続けながら移動する。酸化が進むに従って、排ガス中の酸素濃度が減少する。
多気筒4ストロークエンジンユニットでは、複数の燃焼室から異なるタイミングで排ガスが排出される。異なる燃焼室から排出された排ガスは、排気経路中で集合することで、混合または衝突する。排ガスが混合または衝突することで、排ガスの流速が低下する。加えて、未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。それによって、未燃燃料の酸化が促進される。そして、その未燃燃料の酸化が促進された集合部の排ガスの酸素濃度を検出している。これに対して、V型多気筒4ストロークエンジンユニットの各気筒の燃焼室から排出される排ガスを集合する前に各々検出した場合、次のような作用が生じる。V型多気筒4ストロークエンジンユニットの各気筒の燃焼室から排出される排ガスは間欠的に排出される。そのため、V型多気筒4ストロークエンジンユニットの各気筒の燃焼室から排出される排ガスは、気筒ごとに独立した排気経路を流れているときに排ガスの混合または衝突が生じにくい。そのため、集合した排ガスとは異なり、集合前の排ガスは、酸化されない燃料をより多く含んでいる。
排気経路において酸化の進度が低い箇所では、排ガス中の酸素濃度が不安定となる。そこで、本発明者は、触媒と酸素検出部材の配置位置を工夫することで、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出することを思い付いた。
【0007】
本発明は、V型多気筒4ストロークエンジンユニットが搭載されたビークルに関する発明である。そのV型多気筒4ストロークエンジンユニットは、エンジン本体を備える。そのエンジン本体は、クランク軸を含むクランクケース部と
、クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の前方に配置される1つの前燃焼室と、1つの前燃焼室から排出される排ガスが流れる単一燃焼室用前シリンダ排気通路部とが形成された1つの前シリンダ部と
、クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の後方に配置される1つの後燃焼室と、1つの後燃焼室から排出される排ガスが流れる単一燃焼室用後シリンダ排気通路部とが形成された1つの後シリンダ部と、を有する。また、そのV型多気筒4ストロークエンジンユニットは、前後端口を有し、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部の下流端から前後端口まで排ガスを流す単一燃焼室用前排気通路部を備える。そのV型多気筒4ストロークエンジンユニットは、後後端口を有し、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部の下流端から後後端口まで排ガスを流す単一燃焼室用後排気通路部を備える。そのため、1つの前燃焼室から排出される排ガスの性状と1つの後燃焼室から排出される排ガスの性状が異なる場合がある。そのため、排ガスを単純に集合させても集合部の中の酸素濃度は常に均一になるわけではなく、場所によって異なる場合がある。集合部の中の酸素濃度を検出する場合、その検出精度の向上が困難であった。
しかしながら、本発明では、集合前の各燃焼室から排出された排ガスを検出することで、検出精度を向上できた。そのV型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部内または単一燃焼室用前排気通路部内に配置され、
クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の前方にある単一燃焼室用前メイン触媒を備える。単一燃焼室用前シリンダ排気通路部および単一燃焼室用前排気通路部のうち、単一燃焼室用前メイン触媒よりも上流の部分は、クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の前方にある。単一燃焼室用前メイン触媒は、1つの前燃焼室から前後端口までの排気経路において、1つの前燃焼室から排出された排ガスを最も浄化す
る。そのため、単一燃焼室用前メイン触媒は、排ガスの流れの抵抗となる。それにより、単一燃焼室用前メイン触媒よりも上流で、排ガスの流速が低下する。また、1つの前燃焼室から間欠的に排出された排ガスによって、単一燃焼室用前メイン触媒より上流の排気経路内の圧力は脈動する。圧力が脈動するとは、圧力が周期的に変動することである。排気経路には単一燃焼室用前メイン触媒が配置されている。そのため、単一燃焼室用前メイン触媒によって、圧力脈動の反射が生じる。これにより、単一燃焼室用前メイン触媒の上流において、1つの前燃焼室から排出された排ガスとこの反射波が衝突する。この衝突によって、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。よって、単一燃焼室用前メイン触媒より上流で、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。また、上記衝突によって、単一燃焼室用前メイン触媒の上流で、排ガスの流速をより低下させることができる。したがって、単一燃焼室用前メイン触媒より上流で、排ガスの流速をより低下させることができる。
そのV型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部内または単一燃焼室用後排気通路部内に配置され、
クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の後方にある単一燃焼室用後メイン触媒を備える。単一燃焼室用後シリンダ排気通路部および単一燃焼室用後排気通路部のうち、単一燃焼室用後メイン触媒よりも上流の部分は、クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の後方にある。単一燃焼室用後メイン触媒は、1つの後燃焼室から後後端口までの排気経路において、1つの後燃焼室から排出された排ガスを最も浄化す
る。そのため、単一燃焼室用後メイン触媒は、排ガスの流れの抵抗となる。それにより、単一燃焼室用後メイン触媒よりも上流で、排ガスの流速が低下する。また、1つの後燃焼室から間欠的に排出された排ガスによって、単一燃焼室用後メイン触媒より上流の排気経路内の圧力は脈動する。圧力が脈動するとは、圧力が周期的に変動することである。排気経路には単一燃焼室用後メイン触媒が配置されている。そのため、単一燃焼室用後メイン触媒によって、圧力脈動の反射が生じる。これにより、単一燃焼室用後メイン触媒の上流において、1つの後燃焼室から排出された排ガスとこの反射波が衝突する。この衝突によって、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。よって、単一燃焼室用後メイン触媒より上流で、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。また、上記衝突によって、単一燃焼室用後メイン触媒の上流で、排ガスの流速をより低下させることができる。したがって、単一燃焼室用後メイン触媒より上流で、排ガスの流速をより低下させることができる。
V型多気筒4ストロークエンジンユニットの各気筒の燃焼室から排出される排ガスを集合する前に各々検出した場合、未燃燃料が、排気経路のより下流の位置まで酸化されずに到達しやすい。しかしながら、本発明では、単一燃焼室用前メイン触媒および単一燃焼室用後メイン触媒より上流で、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。それに加えて、排ガスの流速を低下させることができる。その結果、排気経路の燃焼室に近い位置で、未燃燃料の酸化を促進させることができる。
そのV型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部または単一燃焼室用前排気通路部において単一燃焼室用前メイン触媒よりも排ガスの流れ方向の上流に配置される単一燃焼室用前上流酸素検出部材であって、
クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の前方にあり、1つの前燃焼室から単一燃焼室用前上流酸素検出部材までの経路長が、単一燃焼室用前上流酸素検出部材から、単一燃焼室用前メイン触媒の上流端までの経路長よりも長くなる位置に配置され、排ガス中の酸素濃度を検出する単一燃焼室用前上流酸素検出部材を備える。そのため、単一燃焼室用前上流酸素検出部材は、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、単一燃焼室用前上流酸素検出部材は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出することができる。
そのV型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部または単一燃焼室用後排気通路部において単一燃焼室用後メイン触媒よりも排ガスの流れ方向の上流に配置される単一燃焼室用後上流酸素検出部材であって、
クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の後方にあり、1つの後燃焼室から単一燃焼室用後上流酸素検出部材までの経路長が、単一燃焼室用後上流酸素検出部材から、単一燃焼室用後メイン触媒の上流端までの経路長よりも長くなる位置に配置され、排ガス中の酸素濃度を検出する単一燃焼室用後上流酸素検出部材を備える。そのため、単一燃焼室用後上流酸素検出部材は、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、単一燃焼室用後上流酸素検出部材は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出することができる。
そのV型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用前上流酸素検出部材および単一燃焼室用後上流酸素検出部材の信号を処理する制御装置を備える。排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できる単一燃焼室用前上流酸素検出部材および単一燃焼室用後上流酸素検出部材の信号を処理するため、検出精度を向上でき、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0008】
本発明のビークルにおいて、以下のように構成されることが好ましい。V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用前排気通路部の前後端口および単一燃焼室用後排気通路部の後後端口の両方から排ガスが流れ込む集合部と、単一燃焼室用前メイン触媒を通過した排ガスおよび単一燃焼室用後メイン触媒を通過した排ガスを大気に放出する放出口とを備える。単一燃焼室用前メイン触媒、単一燃焼室用後メイン触媒、単一燃焼室用前上流酸素検出部材および単一燃焼室用後上流酸素検出部材は、集合部より排ガスの流れ方向の上流に設けられる。単一燃焼室用前メイン触媒は、1つの前燃焼室から放出口までの排気経路において、1つの前燃焼室から排出された排ガスを最も浄化する。単一燃焼室用後メイン触媒は、1つの後燃焼室から放出口までの排気経路において、1つの後燃焼室から排出された排ガスを最も浄化する。したがって、1つの前燃焼室から排出された排ガスを単一燃焼室用前メイン触媒よりも浄化する触媒を、集合部に設ける場合に比べて、単一燃焼室用前メイン触媒は大きくなる。よって、単一燃焼室用前メイン触媒より上流で、排ガスの流速をより低下させることができる。また、1つの後燃焼室から排出された排ガスを単一燃焼室用後メイン触媒よりも浄化する触媒を、集合部に設ける場合に比べて、単一燃焼室用後メイン触媒は大きくなる。よって、単一燃焼室用後メイン触媒より上流で、排ガスの流速をより低下させることができる。
そのため、単一燃焼室用前上流酸素検出部材および単一燃焼室用後上流酸素検出部材は、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、単一燃焼室用前上流酸素検出部材および単一燃焼室用後上流酸素検出部材は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出することができる。排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できる単一燃焼室用前上流酸素検出部材および単一燃焼室用後上流酸素検出部材の信号を処理するため、検出精度を向上でき、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0009】
本発明のビークルにおいて、以下のように構成されることが好ましい。V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部または単一燃焼室用前排気通路部において、単一燃焼室用前メイン触媒よりも排ガスの流れ方向の下流で、且つ、集合部より排ガスの流れ方向の上流に配置され、排ガス中の酸素濃度を検出する単一燃焼室用前下流酸素検出部材を備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部または単一燃焼室用後排気通路部において、単一燃焼室用後メイン触媒よりも排ガスの流れ方向の下流で、且つ、集合部より排ガスの流れ方向の上流に配置され、排ガス中の酸素濃度を検出する単一燃焼室用後下流酸素検出部材を備える。制御装置は、単一燃焼室用前上流酸素検出部材、単一燃焼室用後上流酸素検出部材、単一燃焼室用前下流酸素検出部材および単一燃焼室用後下流酸素検出部材の信号を処理する。
そのため、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できる単一燃焼室用前上流酸素検出部材および単一燃焼室用後上流酸素検出部材に加えて、単一燃焼室用前メイン触媒を通過した排ガスおよび単一燃焼室用後メイン触媒を通過した排ガスの酸素濃度を検出する単一燃焼室用前下流酸素検出部材および単一燃焼室用後下流酸素検出部材を備える。これらの信号を処理することで、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0010】
本発明のビークルにおいて、以下のように構成されることが好ましい。V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部または単一燃焼室用前排気通路部において、単一燃焼室用前メイン触媒の排ガスの流れ方向の上流または下流に配置されており、1つの前燃焼室から排出された排ガスを浄化する単一燃焼室用前サブ触媒を備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部または単一燃焼室用後排気通路部において、単一燃焼室用後メイン触媒の排ガスの流れ方向の上流または下流に配置されており、1つの後燃焼室から排出された排ガスを浄化する単一燃焼室用後サブ触媒を備える。
そのため、1つの前燃焼室および1つの後燃焼室から排出された排ガスを、単一燃焼室用前メイン触媒および単一燃焼室用後メイン触媒に加えて、単一燃焼室用前サブ触媒および単一燃焼室用後サブ触媒で浄化することができる。これにより、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0011】
本発明のビークルにおいて、以下のように構成されることが好ましい。単一燃焼室用前排気通路部の排気経路の総経路長は、単一燃焼室用後排気通路部の排気経路の総経路長と同じか長く形成される。単一燃焼室用前メイン触媒および単一燃焼室用後メイン触媒は、1つの前燃焼室から単一燃焼室用前メイン触媒の上流端までの経路長が1つの後燃焼室から単一燃焼室用後メイン触媒の上流端までの経路長と同じか長くなるように設けられている。そのため、各燃焼室から排出される排ガスが流れる単一燃焼室用排気通路部にあわせて最適な位置にメイン触媒を配置できる。これにより、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できため、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0012】
本発明のビークルにおいて、以下のように構成されることが好ましい。単一燃焼室用前メイン触媒は、1つの前燃焼室から単一燃焼室用前メイン触媒の上流端までの経路長が単一燃焼室用前メイン触媒の下流端から前後端口までの経路長と同じか短くなるように設けられている。これにより、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できため、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0013】
本発明のビークルにおいて、以下のように構成されることが好ましい。単一燃焼室用後メイン触媒は、1つの後燃焼室から単一燃焼室用後メイン触媒の上流端までの経路長が単一燃焼室用後メイン触媒の下流端から後後端口までの経路長と同じか長くなるように設けられている。これにより、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できため、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0014】
本発明のビークルにおいて、以下のように構成されることが好ましい。単一燃焼室用前メイン触媒は、ビークルの左右方向において、単一燃焼室用後メイン触媒と異なる位置に設けられ、且つ、ビークルの前後方向において、単一燃焼室用後メイン触媒と異なる位置に設けられている。これにより、単一燃焼室用前メイン触媒および単一燃焼室用後メイン触媒を、相互干渉を抑制しつつそれぞれを最適な形状、大きさにすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できため、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0015】
本発明のビークルに搭載可能なV型多気筒4ストロークエンジンユニットは、以下のように構成されることが好ましい。V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、クランク軸を含むクランクケース部と
、クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の前方に配置される1つの前燃焼室と、1つの前燃焼室から排出される排ガスが流れる単一燃焼室用前シリンダ排気通路部とが形成された1つの前シリンダ部と
、クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の後方に配置される1つの後燃焼室と、1つの後燃焼室から排出される排ガスが流れる単一燃焼室用後シリンダ排気通路部とが形成された1つの後シリンダ部と、を有するエンジン本体を備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、前後端口を有し、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部の下流端から前後端口まで排ガスを流す単一燃焼室用前排気通路部を備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、後後端口を有し、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部の下流端から後後端口まで排ガスを流す単一燃焼室用後排気通路部を備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部内または単一燃焼室用前排気通路部内に配置され、
クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の前方にある単一燃焼室用前メイン触媒を備える。単一燃焼室用前シリンダ排気通路部および単一燃焼室用前排気通路部のうち、単一燃焼室用前メイン触媒よりも上流の部分は、クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の前方にある。単一燃焼室用前メイン触媒は、1つの前燃焼室から前後端口までの排気経路において、1つの前燃焼室から排出された排ガスを最も浄化す
る。V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部内または単一燃焼室用後排気通路部内に配置され、
クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の後方にある単一燃焼室用後メイン触媒を備える。単一燃焼室用後シリンダ排気通路部および単一燃焼室用後排気通路部のうち、単一燃焼室用後メイン触媒よりも上流の部分は、クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の後方にある。単一燃焼室用後メイン触媒は、1つの後燃焼室から後後端口までの排気経路において、1つの後燃焼室から排出された排ガスを最も浄化す
る。V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部または単一燃焼室用前排気通路部において単一燃焼室用前メイン触媒よりも排ガスの流れ方向の上流に配置される単一燃焼室用前上流酸素検出部材であって、
クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の前方にあり、1つの前燃焼室から単一燃焼室用前上流酸素検出部材までの経路長が、単一燃焼室用前上流酸素検出部材から、単一燃焼室用前メイン触媒の上流端までの経路長よりも長くなる位置に配置され、排ガス中の酸素濃度を検出する単一燃焼室用前上流酸素検出部材を備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部または単一燃焼室用後排気通路部において単一燃焼室用後メイン触媒よりも排ガスの流れ方向の上流に配置される単一燃焼室用後上流酸素検出部材であって、
クランク軸の中心線よりもビークルの前後方向の後方にあり、1つの後燃焼室から単一燃焼室用後上流酸素検出部材までの経路長が、単一燃焼室用後上流酸素検出部材から、単一燃焼室用後メイン触媒の上流端までの経路長よりも長くなる位置に配置され、排ガス中の酸素濃度を検出する単一燃焼室用後上流酸素検出部材を備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、単一燃焼室用前上流酸素検出部材および単一燃焼室用後上流酸素検出部材の信号を処理する制御装置を備える。これにより、酸素濃度の検出精度を向上でき、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、触媒および酸素検出部材を備えたV型多気筒4ストロークエンジンユニットが搭載されたビークルおよびV型多気筒4ストロークエンジンユニットにおいて、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明のビークルを自動二輪車に適用した例について説明する。以下の説明において、前、後、左、右は、それぞれ自動二輪車の乗員から見た前、後、左、右を意味するものとする。但し、自動二輪車は、水平な地面に配置されたものとする。各図面に付した符号F、Re、L、R、U、Loは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。
【0019】
(実施形態1)
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態1の自動二輪車の側面図である。
図2は、本発明の実施形態1の排気系部品の側面図である。
図3は、本発明の実施形態1の排気系部品の平面図である。
図4は、本発明の実施形態1の排気系部品のA−A断面図である。
【0020】
実施形態1のビークルは、自動二輪車1である。自動二輪車1は、車体フレーム2を備えている。車体フレーム2は、ヘッドパイプ3と、メインフレーム4を備えている。メインフレーム4は、ヘッドパイプ3から後方へ延びている。シートレール5は、メインフレーム4の中途部から後上向きに延びている。
【0021】
ヘッドパイプ3にはステアリングシャフトが回転可能に挿入されている。ステアリングシャフトの上部には、ハンドル7(
図1を参照)が設けられている。ハンドル7の近傍には、表示装置(図示せず)が配置されている。表示装置には、車速、エンジン回転速度、各種の警告などが表示される。
【0022】
ステアリングシャフトの下部には、左右一対のフロントフォーク6が支持されている。フロントフォーク6の下端部には、車軸8aが固定されている。この車軸8aには、前輪8が回転可能に取り付けられている。
【0023】
シートレール5には、シート9(
図1を参照)が支持されている。リアアーム14の前部は、ピボット軸14aを介して車体フレーム2に連結されている。リアアーム14は、ピボット軸14aを中心として上下に揺動可能である。リアアーム14の後部には、後輪15が支持されている。
【0024】
メインフレーム4の下方には、エンジン本体20が配置されている。エンジン本体20は、車体フレーム2に支持されている。具体的には、メインフレーム4に設けられたブラケット4aに対して、エンジン本体20の上部が、ボルト4bによって固定されている。また、エンジン本体20の後部も、車体フレーム2に設けられた他のブラケットに固定されている。メインフレーム4の下方で且つエンジン本体20の上方には、エアクリーナ(図示せず)が配置されている。
【0025】
自動二輪車1は、V型2気筒4ストロークエンジンユニット19を有している。V型2気筒4ストロークエンジンユニット19は、エンジン本体20と、前排気管34Fと、後排気管34Reと、集合装置33と、消音器35と、前メイン触媒39F(単一燃焼室用前メイン触媒)と、前上流酸素検出部材37FF(単一燃焼室用前上流酸素検出部材)と、後メイン触媒39Re(単一燃焼室用後メイン触媒)と、後上流酸素検出部材37ReF(単一燃焼室用後上流酸素検出部材)とを備えている。
【0026】
エンジン本体20は、V型2気筒の4ストロークエンジンである。エンジン本体20は、クランクケース部21と、前シリンダ部22Fと、後シリンダ部22Reを備えている。前シリンダ部22Fは、クランクケース部21から前方且つ上方に延びている。後シリンダ部22Reは、クランクケース部21から後方且つ上方に延びている。
【0027】
クランクケース部21は、クランクケース本体と、クランクケース本体に収容されたクランク軸27および変速機構等を有する。以下、クランク軸27の中心線Cr1を、クランク軸線Cr1と称する。クランク軸線Cr1は、自動二輪車1の左右方向に延びている。クランクケース本体内には潤滑用のオイルが貯蔵されている。かかるオイルはオイルポンプ(図示せず)によって搬送され、エンジン本体20内を循環している。
【0028】
前シリンダ部22Fは、前シリンダボディ24Fと、前シリンダヘッド25Fと、前ヘッドカバー26Fと、これらの内部に収容された部品とを有する。
図2に示すように、前シリンダボディ24Fは、クランクケース部21の前部に接続されている。前シリンダヘッド25Fは、前シリンダボディ24Fの上部に接続されている。前ヘッドカバー26Fは、前シリンダヘッド25Fの上部に接続されている。後シリンダ部22Reは、後シリンダボディ24Reと、後シリンダヘッド25Reと、後ヘッドカバー26Reと、これらの内部に収容された部品とを有する。
図2に示すように、後シリンダボディ24Reは、クランクケース部21の後部に接続されている。後シリンダヘッド25Reは、後シリンダボディ24Reの上部に接続されている。後ヘッドカバー26Reは、後シリンダヘッド25Reの上部に接続されている。
【0029】
前シリンダボディ24Fには、前シリンダ孔24aFが形成されている。前シリンダ孔24aF内には、前ピストン(図示せず)が往復移動可能に収容されている。ピストンはコンロッドを介してクランク軸27に連結されている。以下、前シリンダ孔24aFの中心線Cy1Fを、前シリンダ軸線Cy1Fと称する。エンジン本体20は、前シリンダ軸線Cy1Fが、上下方向(鉛直方向)に延びるように配置されている。より詳細には、前シリンダ軸線Cy1Fのクランクケース部21から前シリンダ部22Fに向かう方向は、前上向きである。前シリンダ軸線Cy1Fの鉛直方向に対する傾斜角度は、0度以上45度以下である。後シリンダボディ24Reには、後シリンダ孔24aReが形成されている。後シリンダ孔24aRe内には、後ピストン(図示せず)が往復移動可能に収容されている。ピストンはコンロッドを介してクランク軸27に連結されている。以下、後シリンダ孔24aReの中心線Cy1Reを、後シリンダ軸線Cy1Reと称する。エンジン本体20は、後シリンダ軸線Cy1Reが、上下方向(鉛直方向)に延びるように配置されている。より詳細には、後シリンダ軸線Cy1Reのクランクケース部21から後シリンダ部22Reに向かう方向は、後上向きである。後シリンダ軸線Cy1Reの鉛直方向に対する傾斜角度は、0度以上45度以下である。
【0030】
前シリンダ部22Fの内部には、1つの前燃焼室29Fが形成されている。1つの前燃焼室29Fは、前シリンダボディ24Fの前シリンダ孔24aFの内面と、前シリンダヘッド25Fと、前ピストンとによって形成されている。つまり、1つの前燃焼室29Fの一部は、前シリンダ孔24aFの内面によって区画されている。1つの前燃焼室29Fには、点火プラグ(図示せず)の先端部が配置されている。点火プラグは、1つの前燃焼室29F内で燃料と空気との混合ガスに点火する。1つの前燃焼室29Fは、クランク軸線Cr1よりも前方に位置する。これは、以下のように言い換えられる。左右方向から見て、1つの前燃焼室29Fは、クランク軸線Cr1を通り、上下方向と平行に延びる直線より前方に配置されている。後シリンダ部22Reの内部には、1つの後燃焼室29Reが形成されている。1つの後燃焼室29Reは、後シリンダボディ24Reの後シリンダ孔24aReの内面と、後シリンダヘッド25Reと、後ピストンとによって形成されている。つまり、1つの後燃焼室29Reの一部は、後シリンダ孔24aReの内面によって区画されている。1つの後燃焼室29Reには、点火プラグ(図示せず)の先端部が配置されている。点火プラグは、1つの後燃焼室29Re内で燃料と空気との混合ガスに点火する。1つの後燃焼室29Reは、クランク軸線Cr1よりも後方に位置する。これは、以下のように言い換えられる。左右方向から見て、1つの後燃焼室29Reは、クランク軸線Cr1を通り、上下方向と平行に延びる直線より後方に配置されている。
【0031】
前シリンダヘッド25Fには、前シリンダ吸気通路部(図示せず)と、前シリンダ排気通路部31F(単一燃焼室用前シリンダ排気通路部)が形成されている。本明細書において、「通路部」とは、ガスなどが通過する空間(経路)を形成する構造物のことである。前シリンダヘッド25Fにおいて、1つの前燃焼室29Fを形成する壁部には、前吸気ポートおよび前排気ポートが形成されている。前シリンダ吸気通路部は、前吸気ポートから前シリンダヘッド25Fの外面に形成された前吸入口まで延びている。前シリンダ排気通路部31Fは、前排気ポートから前シリンダヘッド25Fの外面に形成された前排出口まで延びている。1つの前燃焼室29Fに供給される空気は、前シリンダ吸気通路部内を通過する。1つの前燃焼室29Fから排出される排ガスは、前シリンダ排気通路部31Fを通過する。後シリンダヘッド25Reには、後シリンダ吸気通路部(図示せず)と、後シリンダ排気通路部31Re(単一燃焼室用後シリンダ排気通路部)が形成されている。後シリンダヘッド25Reにおいて、1つの後燃焼室29Reを形成する壁部には、後吸気ポートおよび後排気ポートが形成されている。後シリンダ吸気通路部は、後吸気ポートから後シリンダヘッド25Reの外面に形成された後吸入口まで延びている。後シリンダ排気通路部31Reは、後排気ポートから後シリンダヘッド25Reの外面に形成された後排出口まで延びている。1つの後燃焼室29Reに供給される空気は、後シリンダ吸気通路部内を通過する。1つの後燃焼室29Reから排出される排ガスは、後シリンダ排気通路部31Reを通過する。
【0032】
前シリンダ吸気通路部には前吸気弁(図示せず)が配置されている。前シリンダ排気通路部31Fには前排気弁(図示せず)が配置されている。前吸気弁および前排気弁は、クランク軸27と連動する動弁機構(図示せず)によって作動する。前吸気ポートは、前吸気弁の運動により開閉される。前排気ポートは、前排気弁の運動により開閉される。前シリンダ吸気通路部の端部(前吸入口)には前吸気管(図示せず)が接続されている。前シリンダ排気通路部31Fの端部(前排出口)には前排気管34Fが接続されている。後シリンダ吸気通路部には後吸気弁(図示せず)が配置されている。後シリンダ排気通路部31Reには後排気弁(図示せず)が配置されている。後吸気弁および後排気弁は、クランク軸27と連動する動弁機構(図示せず)によって作動する。後吸気ポートは、後吸気弁の運動により開閉される。後排気ポートは、後排気弁の運動により開閉される。後シリンダ吸気通路部の端部(後吸入口)には後吸気管(図示せず)が接続されている。後シリンダ排気通路部31Reの端部(後排出口)には後排気管34Reが接続されている。
【0033】
前シリンダ吸気通路部または前吸気管には、前インジェクタ(図示せず)が配置されている。前インジェクタは、1つの前燃焼室29Fに燃料を供給するためのものである。より具体的には、前インジェクタは、前シリンダ吸気通路部または前吸気管内で燃料を噴射する。なお、前インジェクタは、1つの前燃焼室29Fに燃料を噴射するように配置されていてもよい。また、前吸気管内には、前スロットルバルブ(図示せず)が配置されている。後シリンダ吸気通路部または後吸気管には、後インジェクタ(図示せず)が配置されている。後インジェクタは、1つの後燃焼室29Reに燃料を供給するためのものである。より具体的には、後インジェクタは、後シリンダ吸気通路部または後吸気管内で燃料を噴射する。なお、後インジェクタは、1つの後燃焼室29Reに燃料を噴射するように配置されていてもよい。また、後吸気管内には、後スロットルバルブ(図示せず)が配置されている。
【0034】
前吸気管は、前シリンダヘッド25Fの外面から上方に延びている。前吸気管は、エアクリーナに接続されている。後吸気管は、後シリンダヘッド25Reの外面から上方に延びている。後吸気管は、エアクリーナに接続されている。エアクリーナは、エンジン本体20に供給される空気を浄化する。エアクリーナを通過することによって浄化された空気が、前吸気管および後吸気管を通じてエンジン本体20に供給される。
【0035】
[排気系の構成]
以下、実施形態1の自動二輪車1の排気系について説明する。本明細書の排気系の説明において、上流とは、排ガスの流れ方向の上流のことである。また、下流とは、排ガスの流れ方向の下流のことである。また、本明細書の排気系の説明において、経路方向とは、排ガスの流れる方向のことである。
【0036】
上述したように、V型2気筒4ストロークエンジンユニット19は、エンジン本体20と、前排気管34Fと、後排気管34Reと、集合装置33と、消音器35と、前メイン触媒39Fと、後メイン触媒39Reと、前上流酸素検出部材37FFと、後上流酸素検出部材37ReFとを備えている。消音器35は、大気に面する放出口35eを有する。前排気通路部36F(単一燃焼室用排気通路部)は、前排気管34Fによって構成される。前排気通路部36Fは、前シリンダ排気通路部31Fの下流端から前排気管34Fの前後端口41Feまで排ガスを流す。1つの前燃焼室29Fから前後端口41Feに至る経路を、前排気経路41Fとする。前排気経路41Fは、前シリンダ排気通路部31Fと前排気通路部36Fとによって形成される。前排気経路41Fは、排ガスが通過する空間である。後排気通路部36Re(単一燃焼室用排気通路部)は、後排気管34Reによって構成される。後排気通路部36Reは、後シリンダ排気通路部31Reの下流端から後排気管34Reの後後端口41Reeまで排ガスを流す。1つの後燃焼室29Reから後後端口41Reeに至る経路を、後排気経路41Reとする。後排気経路41Reは、後シリンダ排気通路部31Reと後排気通路部36Reとによって形成される。後排気経路41Reは、排ガスが通過する空間である。
【0037】
前排気管34Fの上流端部は、前シリンダ排気通路部31Fの下流端部に接続される。前排気管34Fの下流端部は、集合装置33に接続される。前排気管34Fの前後端口41Feは、集合装置33の中に開口している。前排気管34Fの途中には、前触媒ユニット38Fが設けられている。前排気管34Fの前触媒ユニット38Fより上流の部分を、前上流排気管34aFとする。前排気管34Fの前触媒ユニット38Fより下流の部分を前下流排気管34bFとする。後排気管34Reの上流端部は、後シリンダ排気通路部31Reの下流端部に接続される。後排気管34Reの下流端部は、集合装置33に接続される。後排気管34Reの後後端口41Reeは、集合装置33の中に開口している。後排気管34Reの途中には、後触媒ユニット38Reが設けられている。後排気管34Reの後触媒ユニット38Reより上流の部分を、後上流排気管34aReとする。後排気管34Reの後触媒ユニット38Reより下流の部分を後下流排気管34bReとする。なお、
図5では、排気管を簡略化している。
【0038】
前排気管34Fの一部は、クランク軸線Cr1の下方に位置する。前排気管34Fは、2つの屈曲部を有する。2つの屈曲部のうち上流の屈曲部を、単に、前上流の屈曲部という。2つの屈曲部のうち下流の屈曲部を、単に、前下流の屈曲部という。前上流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、前後方向に延びる方向から上下方向に延びる方向に変化させる。より具体的には、前上流屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、前向きから下向きに変化させる。前下流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、下向きから後向きに変化させる。前下流の屈曲部より若干下流の部分が、クランク軸線Cr1の下方に位置する。前メイン触媒39Fは2つの屈曲部の間に配置されている。後排気管34Reの一部は、クランク軸線Cr1の下方に位置する。後排気管34Reは、1つの屈曲部を有する。後上流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、前後方向に延びる方向から上下方向に延びる方向に変化させる。より具体的には、後上流屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、後向きから下向きに変化させる。後メイン触媒39Reは後上流の屈曲部の下流に配置されている。
【0039】
前排気管34Fおよび後排気管34Reの下流端部は、集合装置33に接続されている。集合装置33は、前排気管34Fの前後端口41Feおよび後排気管34Reの後後端口41Reeが開口する集合室33a(集合部)を備えている。集合装置33には、集合サブ触媒39Cが設けられていてもよい。この場合、前排気管34Fの前後端口41Feおよび後排気管34Reの後後端口41Reeから集合室33aに流入した排ガスは、集合サブ触媒39Cを通過する。集合サブ触媒39Cを通過した排ガスは、消音器35に流入する。なお、集合サブ触媒39Cは設けなくてもよい。この場合、集合室33aに流入した排ガスは、集合サブ触媒39Cを介さずに、消音器35に流入する。
【0040】
消音器35は、集合装置33に接続されている。消音器35は、排ガスの脈動波を抑制するように構成されている。それにより、消音器35は、排ガスによって生じる音(排気音)の音量を低減できる。消音器35内には、複数の膨張室と、膨張室同士を連通する複数のパイプが設けられている。消音器35の下流端には、大気に面する放出口35eが設けられている。消音器35を通過した排ガスは、放出口35eから大気へ放出される。放出口35eは、クランク軸線Cr1よりも後方に位置する。
【0041】
前メイン触媒39Fは、前排気管34F(前排気通路部36F)内に配置されている。前触媒ユニット38Fは、筒状の前ケーシング40Fと、前メイン触媒39Fとを有する。前ケーシング40Fの上流端は、前上流排気管34aFに接続されている。前ケーシング40Fの下流端は、前下流排気管34bFに接続されている。前ケーシング40Fは、前排気管34F(前排気通路部36F)の一部を構成する。前メイン触媒39Fは、前ケーシング40Fの内部に固定されている。排ガスは、前メイン触媒39Fを通過することで浄化される。前メイン触媒39Fには、1つの前燃焼室29Fの前排気ポートから排出された全ての排ガスが通過する。前メイン触媒39Fは、前排気経路41Fにおいて、1つの前燃焼室29Fから排出された排ガスを最も浄化する。また、前メイン触媒39Fは、1つの前燃焼室29Fから放出口35eまでの排気経路において、1つの前燃焼室29Fから排出された排ガスを最も浄化する。後メイン触媒39Reは、後排気管34Re(後排気通路部36Re)内に配置されている。後触媒ユニット38Reは、筒状の後ケーシング40Reと、後メイン触媒39Reとを有する。後ケーシング40Reの上流端は、後上流排気管34aReに接続されている。後ケーシング40Reの下流端は、後下流排気管34bReに接続されている。後ケーシング40Reは、後排気管34Re(後排気通路部36Re)の一部を構成する。後メイン触媒39Reは、後ケーシング40Reの内部に固定されている。排ガスは、後メイン触媒39Reを通過することで浄化される。後メイン触媒39Reには、1つの後燃焼室29Reの後排気ポートから排出された全ての排ガスが通過する。後メイン触媒39Reは、後排気経路41Reにおいて、1つの後燃焼室29Reから排出された排ガスを最も浄化する。また、後メイン触媒39Reは、1つの後燃焼室29Reから放出口35eまでの排気経路において、1つの後燃焼室29Reから排出された排ガスを最も浄化する。なお、前メイン触媒39Fおよび後メイン触媒39Reを総称して、メイン触媒とする。前メイン触媒39Fおよび後メイン触媒39Reと同様の機能を備えている触媒を総称して、メイン触媒とする。また、前メイン触媒39F、後メイン触媒39Re、集合サブ触媒39C、および、後述する前上流サブ触媒39FF、後上流サブ触媒39ReF、前下流サブ触媒39FReおよび後下流サブ触媒39ReReを総称して、触媒とする。メイン触媒以外の触媒、集合サブ触媒39C、前上流サブ触媒39FF、後上流サブ触媒39ReF、前下流サブ触媒39FReおよび後下流サブ触媒39ReReを総称して、サブ触媒とする。集合サブ触媒39Cのように複数の燃焼室から排出された排ガスが通過する触媒を総称して集合排ガス触媒とする。
【0042】
本発明における触媒は、いわゆる三元触媒である。三元触媒とは、排ガスに含まれる炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物の3物質を酸化または還元することで除去する。三元触媒は、酸化還元触媒の1種である。触媒は、基材と、この基材の表面に付着された触媒物質とを有する。触媒物質は、担体と貴金属を有する。担体は、貴金属と基材の間に設けられる。担体は貴金属を担持する。この貴金属が、排ガスを浄化する。貴金属としては、例えば、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物をそれぞれ除去する、プラチナ、パラジウム、ロジウムなどが挙げられる。
【0043】
本発明の触媒は、多孔構造を有している。多孔構造とは、排ガスが流れる方向に垂直な断面に多孔が形成されている構造を言う。多孔構造の一例は、ハニカム構造である。触媒には、触媒が設けられた排気管の排ガスが流れる方向に垂直な断面に細い複数の孔が形成されている。
【0044】
本発明の触媒は、メタル基材触媒であっても、セラミック基材触媒であってもよい。メタル基材触媒とは、基材が金属製の触媒である。セラミック基材触媒とは、基材がセラミック製の触媒である。メタル基材触媒の基材は、例えば、金属製の波板と金属製の平板を交互に重ねて巻回することで形成される。セラミック基材触媒の基材は、例えば、ハニカム構造体である。
【0045】
図5に示すように、前メイン触媒39Fの経路方向の長さをc1Fとする。前メイン触媒39Fの経路方向に垂直な方向の最大幅をw1Fとする。前メイン触媒39Fの長さc1Fは、前メイン触媒39Fの最大幅w1Fより長い。前メイン触媒39Fの経路方向に直交する断面形状は、例えば円形状である。断面形状は、上下方向長さよりも左右方向長さが長い形状であってもよい。後メイン触媒39Reの経路方向の長さをc1Reとする。後メイン触媒39Reの経路方向に垂直な方向の最大幅をw1Reとする。後メイン触媒39Reの長さc1Reは、後メイン触媒39Reの最大幅w1Reより長い。後メイン触媒39Reの経路方向に直交する断面形状は、例えば円形状である。断面形状は、上下方向長さよりも左右方向長さが長い形状であってもよい。
【0046】
前ケーシング40Fおよび後ケーシング40Reは、触媒配置通路部と、上流通路部と、下流通路部とを有する。触媒配置通路部には、メイン触媒が配置される。経路方向において、触媒配置通路部の上流端および下流端は、メイン触媒の上流端および下流端とそれぞれ同じ位置である。触媒配置通路部の経路方向に直交する断面の面積は、経路方向においてほぼ一定である。上流通路部は、触媒配置通路部の上流端に接続されている。下流通路部は、触媒配置通路部の上流端に接続されている。
【0047】
上流通路部は、少なくとも一部が、テーパー状に形成されている。このテーパー部は、下流に向かって内径が大きくなっている。下流通路部は、少なくとも一部が、テーパー状に形成されている。このテーパー部は、下流に向かって内径が小さくなっている。触媒配置通路部の経路方向に直交する断面の面積をS1とする。上流通路部の少なくとも一部の経路方向に直交する断面の面積は面積S1よりも小さい。ここでの上流通路部の少なくとも一部には、上流通路部の上流端が含まれる。下流通路部の少なくとも一部の経路方向に直交する断面の面積は面積S1よりも小さい。ここでの下流通路部の少なくとも一部には、下流通路部の下流端が含まれる。
【0048】
前上流酸素検出部材37FFは、前排気管34F(前排気通路部36F)に配置されている。前上流酸素検出部材37FFは、前メイン触媒39Fよりも上流に配置される。前上流酸素検出部材37FFは、排ガスに含まれる酸素濃度を検出するセンサである。前上流酸素検出部材37FFは、酸素濃度が所定値より高いか低いかを検出する酸素センサであってもよい。また、前上流酸素検出部材37FFは、酸素濃度を複数段階またはリニアに表わす検出信号を出力するセンサ(例えばA/Fセンサ: Air Fuel ratio sensor)であってもよい。前上流酸素検出部材37FFは、一端部(検出部)が前排気管34F内に配置され、他端部が前排気管34Fの外に配置される。前上流酸素検出部材37FFの検出部は、高温に加熱されて活性化状態となったときに、酸素濃度を検出できる。前上流酸素検出部材37FFの検出結果は、電子制御ユニット45に出力される。後上流酸素検出部材37ReFは、後排気管34Re(後排気通路部36Re)に配置されている。後上流酸素検出部材37ReFは、後メイン触媒39Reよりも上流に配置される。後上流酸素検出部材37ReFは、排ガスに含まれる酸素濃度を検出するセンサである。後上流酸素検出部材37ReFは、酸素濃度が所定値より高いか低いかを検出する酸素センサであってもよい。また、後上流酸素検出部材37ReFは、酸素濃度を複数段階またはリニアに表わす検出信号を出力するセンサ(例えばA/Fセンサ: Air Fuel ratio sensor)であってもよい。後上流酸素検出部材37ReFは、一端部(検出部)が後排気管34Re内に配置され、他端部が後排気管34Reの外に配置される。後上流酸素検出部材37ReFの検出部は、高温に加熱されて活性化状態となったときに、酸素濃度を検出できる。後上流酸素検出部材37ReFの検出結果は、電子制御ユニット45に出力される。
【0049】
前シリンダ排気通路部31Fの上流端から前上流酸素検出部材37FFまでの排ガスの経路長をa1Fとする。前上流酸素検出部材37FFから前メイン触媒39Fの上流端までの経路長をb1Fとする。前メイン触媒39Fの経路長をc1Fとする。前メイン触媒39Fの下流端から前排気管34Fの前後端口41Feまでの経路長をd1Fとする。1つの前燃焼室29Fから前排気管34Fの前後端口41Feまでの経路長は、a1F+b1F+c1F+d1Fである。これは前排気経路41Fの経路長である。前排気経路41Fは、基本的に逆流を除いて、1つの前燃焼室29Fから排出された排ガスのみが流れる排気経路である。前排気経路41Fは、実質的に1つの前燃焼室29Fから排出された排ガスを流すための専用の排気経路である。後シリンダ排気通路部31Reの上流端から後上流酸素検出部材37ReFまでの排ガスの経路長をa1Reとする。後上流酸素検出部材37ReFから後メイン触媒39Reの上流端までの経路長をb1Reとする。後メイン触媒39Reの経路長をc1Reとする。後メイン触媒39Reの下流端から後排気管34Reの後後端口41Reeまでの経路長をd1Reとする。1つの後燃焼室29Reから後排気管34Reの後後端口41Reeまでの経路長は、a1Re+b1Re+c1Re+d1Reである。これは後排気経路41Reの経路長である。後排気経路41Reは、基本的に逆流を除いて、1つの後燃焼室29Reから排出された排ガスのみが流れる排気経路である。後排気経路41Reは、実質的に1つの後燃焼室29Reから排出された排ガスを流すための専用の排気経路である。
【0050】
実施形態1では、前上流酸素検出部材37FFは、経路長a1Fより経路長b1Fの方が短くなる位置に設けられている。前メイン触媒39Fは、経路長a1F+b1Fより経路長d1Fの方が長くなる位置に設けられている。後上流酸素検出部材37ReFは、経路長a1Reより経路長b1Reの方が短くなる位置に設けられている。後メイン触媒39Reは、経路長a1Re+b1Reより経路長d1Reの方が短くなる位置に設けられている。前メイン触媒39Fおよび後メイン触媒39Reは、経路長a1F+b1Fが、経路長a1Re+b1Reより長くなる位置に設けられている。なお、経路長a1F+b1Fは、経路長a1Re+b1Reと同じであってもよい。前上流酸素検出部材37FFおよび後上流酸素検出部材37ReFは、経路長a1Fが、経路長a1Reより長くなる位置に設けられている。経路長b1Fは、経路長b1Reより長い。経路長c1Fは、経路長c1Reと同じである。しかしながら、経路長c1Fは、経路長c1Reより短くてもよい。経路長d1Fは、経路長d1Reより長い。なお、本発明の範囲の中で、経路長を変更できる。
【0051】
次に、V型多気筒4ストロークエンジンユニット19の制御について説明する。
図6は、実施形態1の自動二輪車の制御ブロック図である。
【0052】
V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、
図6に示すように、エンジン回転速度センサ46a、スロットル開度センサ46b(スロットルポジションセンサ)、エンジン温度センサ46c、吸気圧センサ46d、吸気温センサ46eを有する。エンジン回転速度センサ46aは、クランク軸27の回転速度、即ち、エンジン回転速度を検出する。スロットル開度センサ46bは、スロットルバルブ(図示せず)の位置を検出することにより、スロットルバルブの開度(以下、スロットル開度という)を検出する。エンジン温度センサ46cは、エンジン本体の温度を検出する。吸気圧センサ46dは、吸気管内の圧力(吸気圧)を検出する。吸気温センサ46eは、吸気管内の空気の温度(吸気温)を検出する。
【0053】
V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、エンジン本体20の制御を行う電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)45を備えている。電子制御ユニット45は、本発明の制御装置に相当する。電子制御ユニット45は、エンジン回転速度センサ46a、エンジン温度センサ46c、スロットル開度センサ46b、吸気圧センサ46d、吸気温センサ46e、車速センサ等の各種センサと接続されている。また、電子制御ユニット45は、イグニッションコイル47、インジェクタ48、燃料ポンプ49、表示装置(図示せず)等と接続されている。電子制御ユニット45は、制御部45aと、作動指示部45bとを有する。作動指示部45bは、イグニッション駆動回路45cと、インジェクタ駆動回路45dと、ポンプ駆動回路45eとを備えている。
【0054】
イグニッション駆動回路45c、インジェクタ駆動回路45d、および、ポンプ駆動回路45eは、制御部45aからの信号を受けて、イグニッションコイル47、インジェクタ48、燃料ポンプ49をそれぞれ駆動する。イグニッションコイル47が駆動されると、点火プラグで火花放電が生じて混合ガスが点火される。燃料ポンプ49は、燃料ホースを介してインジェクタ48に接続されている。燃料ポンプ49が駆動されると、燃料タンク(図示せず)内の燃料がインジェクタ48へ圧送される。
【0055】
制御部45aは、例えばマイクロコンピュータである。制御部45aは、上流酸素検出部材37の信号、エンジン回転速度センサ46a等の信号に基づいて、イグニッション駆動回路45c、インジェクタ駆動回路45d、および、ポンプ駆動回路45eを制御する。制御部45aは、イグニッション駆動回路45cを制御することで、点火のタイミングを制御する。なお、上流酸素検出部材37は前上流酸素検出部材37FFおよび後上流酸素検出部材37ReFを含む。制御部45aは、インジェクタ駆動回路45dおよびポンプ駆動回路45eを制御することで、燃料噴射量を制御する。
【0056】
燃焼効率と、メイン触媒の浄化効率を高めるには、各燃焼室29F、29Re内の混合気の空燃比は、理論空燃比(ストイキオメトリ)であることが好ましい。制御部45aは、必要に応じて、燃料噴射量を増減させる。
【0057】
以下、制御部45aによる燃料噴射量の制御(燃焼制御)の一例について説明する。
制御部45aは、まず、エンジン回転速度センサ46a、スロットル開度センサ46b、エンジン温度センサ46c、吸気圧センサ46dの信号に基づいて、基本燃料噴射量を算出する。具体的には、スロットル開度およびエンジン回転速度に対して吸入空気量を対応付けたマップと、吸気圧およびエンジン回転速度に対して吸入空気量を対応付けたマップを用いて、吸入空気量を求める。そして、マップから求められた吸入空気量に基づいて、目標空燃比を達成できる基本燃料噴射量を決定する。スロットル開度が小さい場合には、吸気圧およびエンジン回転速度に対して吸入空気量を対応付けたマップを使用する。一方、スロットル開度が大きい場合には、スロットル開度およびエンジン回転速度に対して吸入空気量を対応付けたマップを使用する。
【0058】
また、制御部45aは、上流酸素検出部材37の信号に基づいて、基本燃料噴射量を補正するためのフィードバック補正値を算出する。具体的には、まず、上流酸素検出部材37の信号に基づいて、混合気がリーンであるかリッチであるかを判定する。なお、リッチとは、理論空燃比に対して燃料が過剰な状態をいう。リーンとは、理論空燃比に対して空気が過剰な状態をいう。制御部45aは、混合気がリーンであると判定すると、次回の燃料噴射量が増えるようにフィードバック補正値を算出する。一方、制御部45aは、混合気がリッチであると判定すると、次回の燃料噴射量が減るようにフィードバック補正値を求める。
【0059】
また、制御部45aは、エンジン温度、外気温度、外気圧等に基づいて、基本燃料噴射量を補正するための補正値を算出する。さらに、制御部45aは、加速及び減速時の過渡特性に応じた補正値を算出する。
【0060】
制御部45aは、基本燃料噴射量と、フィードバック補正値などの補正値に基づいて、燃料噴射量を算出する。こうして求められた燃料噴射量に基づいて、燃料ポンプ49およびインジェクタ48が駆動される。このように、電子制御ユニット45(制御装置)は、上流酸素検出部材37の信号を処理する。また、電子制御ユニット45(制御装置)は、上流酸素検出部材37の信号に基づいて、燃焼制御を行う。実施形態1では、V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、集合酸素検出部材37Cを備えていてもよい。集合酸素検出部材37Cは、集合部33a内に流れ込んだ排ガスの酸素濃度を検出する。電子制御ユニット45(制御装置)は、上流酸素検出部材37および集合酸素検出部材37Cの信号を処理する。なお、集合酸素検出部材37Cは設けなくてもよい。
【0061】
以上、実施形態1の自動二輪車1の構成について説明した。実施形態1の自動二輪車1は以下の特徴を有する。
V型多気筒4ストロークエンジンユニット19が搭載されたビークル1に関する発明である。そのV型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、エンジン本体20を備える。そのエンジン本体20は、クランク軸27を含むクランクケース部21と、少なくとも一部がクランク軸27の中心線Cr1よりもビークル1の前後方向の前方に配置される1つの前燃焼室29Fと、1つの前燃焼室29Fから排出される排ガスが流れる単一燃焼室用前シリンダ排気通路部31Fとが形成された1つの前シリンダ部22Fと、少なくとも一部がクランク軸27の中心線Cr1よりもビークル1の前後方向の後方に配置される1つの後燃焼室29Reと、1つの後燃焼室29Reから排出される排ガスが流れる単一燃焼室用後シリンダ排気通路部31Reとが形成された1つの後シリンダ部22Reと、を有する。また、そのV型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、前燃焼室29Fに対しビークル1の前後方向の異なる位置に設けられる前後端口41Feを有し、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部31Fの下流端から前後端口41Feまで排ガスを流す単一燃焼室用前排気通路部36Fを備える。そのV型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、後燃焼室29Reに対しビークル1の前後方向の異なる位置に設けられる後後端口41Reeを有し、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部31Reの下流端から後後端口41Reeまで排ガスを流す単一燃焼室用後排気通路部36Reを備える。後後端口41Reeは、ビークル1の前後方向において、前後端口41Feとの間の距離が1つの前燃焼室29Fと1つの後燃焼室29Reの間の距離より短くなる位置に設けられている。なお、後後端口41Reeは、ビークル1の前後方向において、前後端口41Feと同じ位置にあってもよい。そのため、1つの前燃焼室29Fから排出される排ガスの性状と1つの後燃焼室29Reから排出される排ガスの性状が異なる場合がある。そのため、排ガスの集合部の中の酸素濃度は常に均一なわけではなく、場所によって異なる。排ガスの集合部の中の酸素濃度を検出する場合、その検出精度の向上が困難であった。
しかしながら、本発明では、集合前の各燃焼室から排出された排ガスを検出することで、検出精度を向上できた。そのV型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部31F内または単一燃焼室用前排気通路部36F内に配置され、1つの前燃焼室29Fから前後端口41Feまでの排気経路において、1つの前燃焼室29Fから排出された排ガスを最も浄化する単一燃焼室用前メイン触媒39Fを備える。そのため、単一燃焼室用前メイン触媒39Fは、排ガスの流れの抵抗となる。それにより、単一燃焼室用前メイン触媒39Fよりも上流で、排ガスの流速が低下する。また、1つの前燃焼室29Fから間欠的に排出された排ガスによって、単一燃焼室用前メイン触媒39Fより上流の排気経路内の圧力は脈動する。圧力が脈動するとは、圧力が周期的に変動することである。排気経路には単一燃焼室用前メイン触媒39Fが配置されている。そのため、単一燃焼室用前メイン触媒39Fによって、圧力脈動の反射が生じる。これにより、単一燃焼室用前メイン触媒39Fの上流において、1つの前燃焼室29Fから排出された排ガスとこの反射波が衝突する。この衝突によって、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。よって、単一燃焼室用前メイン触媒39Fより上流で、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。また、上記衝突によって、単一燃焼室用前メイン触媒39Fの上流で、排ガスの流速をより低下させることができる。したがって、単一燃焼室用前メイン触媒39Fより上流で、排ガスの流速をより低下させることができる。
そのV型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部31Re内または単一燃焼室用後排気通路部36Re内に配置され、1つの後燃焼室29Reから後後端口41Reeまでの排気経路において、1つの後燃焼室29Reから排出された排ガスを最も浄化する単一燃焼室用後メイン触媒39Reを備える。そのため、単一燃焼室用後メイン触媒39Reは、排ガスの流れの抵抗となる。それにより、単一燃焼室用後メイン触媒39Reよりも上流で、排ガスの流速が低下する。また、1つの後燃焼室29Reから間欠的に排出された排ガスによって、単一燃焼室用後メイン触媒39Reより上流の排気経路内の圧力は脈動する。圧力が脈動するとは、圧力が周期的に変動することである。排気経路には単一燃焼室用後メイン触媒39Reが配置されている。そのため、単一燃焼室用後メイン触媒39Reによって、圧力脈動の反射が生じる。これにより、単一燃焼室用後メイン触媒39Reの上流において、1つの後燃焼室29Reから排出された排ガスとこの反射波が衝突する。この衝突によって、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。よって、単一燃焼室用後メイン触媒39Reより上流で、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。また、上記衝突によって、単一燃焼室用後メイン触媒39Reの上流で、排ガスの流速をより低下させることができる。したがって、単一燃焼室用後メイン触媒39Reより上流で、排ガスの流速をより低下させることができる。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19の各気筒の燃焼室から排出される排ガスを集合する前に各々検出した場合、未燃燃料が、排気経路のより下流の位置まで酸化されずに到達しやすい。しかしながら、本発明では、単一燃焼室用前メイン触媒39Fおよび単一燃焼室用後メイン触媒39Reより上流で、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。それに加えて、排ガスの流速を低下させることができる。その結果、排気経路の燃焼室に近い位置で、未燃燃料の酸化を促進させることができる。
そのV型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部31Fまたは単一燃焼室用前排気通路部36Fにおいて単一燃焼室用前メイン触媒39Fよりも排ガスの流れ方向の上流に配置される単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFであって、1つの前燃焼室29Fから単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFまでの経路長が、単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFから、単一燃焼室用前メイン触媒39Fの上流端までの経路長よりも長くなる位置に配置され、排ガス中の酸素濃度を検出する単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFを備える。そのため、単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFは、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFは、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出することができる。
そのV型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部31Reまたは単一燃焼室用後排気通路部36Reにおいて単一燃焼室用後メイン触媒39Reよりも排ガスの流れ方向の上流に配置される単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFであって、1つの後燃焼室29Reから単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFまでの経路長が、単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFから、単一燃焼室用後メイン触媒39Reの上流端までの経路長よりも長くなる位置に配置され、排ガス中の酸素濃度を検出する単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFを備える。そのため、単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFは、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFは、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出することができる。
そのV型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFおよび単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFの信号を処理する制御装置45を備える。排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できる単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFおよび単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFの信号を処理するため、検出精度を向上でき、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0062】
本発明のビークル1において、以下のように構成されることが好ましい。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用前排気通路部36Fの前後端口41Feおよび単一燃焼室用後排気通路部36Reの後後端口41Reeの両方から排ガスが流れ込む集合部33aと、単一燃焼室用前メイン触媒39Fを通過した排ガスおよび単一燃焼室用後メイン触媒39Reを通過した排ガスを大気に放出する放出口35eとを備える。単一燃焼室用前メイン触媒39F、単一燃焼室用後メイン触媒39Re、単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFおよび単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFは、集合部33aより排ガスの流れ方向の上流に設けられる。単一燃焼室用前メイン触媒39Fは、1つの前燃焼室29Fから放出口35eまでの排気経路において、1つの前燃焼室29Fから排出された排ガスを最も浄化する。単一燃焼室用後メイン触媒39Reは、1つの後燃焼室29Reから放出口35eまでの排気経路において、1つの後燃焼室29Reから排出された排ガスを最も浄化する。したがって、1つの前燃焼室29Fから排出された排ガスを単一燃焼室用前メイン触媒39Fよりも浄化する触媒を集合部33aに設ける場合に比べて、単一燃焼室用前メイン触媒39Fは大きくなる。よって、単一燃焼室用前メイン触媒39Fより上流で、排ガスの流速をより低下させることができる。また、1つの後燃焼室29Reから排出された排ガスを単一燃焼室用後メイン触媒39Reよりも浄化する触媒を集合部33aに設ける場合に比べて、単一燃焼室用後メイン触媒39Reは大きくなる。よって、単一燃焼室用後メイン触媒39Reより上流で、排ガスの流速をより低下させることができる。
そのため、単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFおよび単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFは、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFおよび単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFは、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出することができる。排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できる単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFよび単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFの信号を処理するため、検出精度を向上でき、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0063】
V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、集合部33a内に流れ込んだ排ガスの酸素濃度を検出する集合酸素検出部材37Cを備えていてもよい。制御装置45は、単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FF、単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFおよび集合酸素検出部材37Cの信号を処理する。
そのため、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できる単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFおよび単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFに加えて、集合部33a内に流れ込んだ排ガスの酸素濃度を検出する集合酸素検出部材37Cを備える。これらの信号を処理することで、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0064】
V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、集合部33a(集合装置33の一部)から排出される排ガスを浄化する集合サブ触媒39Cを備えていてもよい。集合サブ触媒39Cは、単一燃焼室用前メイン触媒39Fを通過した排ガスおよび単一燃焼室用後メイン触媒39Reを通過した排ガスの両方の排ガスを浄化対象とする。
そのため、単一燃焼室用前メイン触媒39Fおよび単一燃焼室用後メイン触媒39Reに加えて、それら触媒を通過した排ガスを集合させ、その集合させた排ガスをさらに、集合サブ触媒39Cで浄化することができる。これにより、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0065】
本発明のビークル1において、以下のように構成されることが好ましい。単一燃焼室用前排気通路部36Fの排気経路の総経路長は、単一燃焼室用後排気通路部36Reの排気経路の総経路長と同じか長く形成される。単一燃焼室用前メイン触媒39Fおよび単一燃焼室用後メイン触媒39Reは、1つの前燃焼室29Fから単一燃焼室用前メイン触媒39Fの上流端までの経路長が1つの後燃焼室29Reから単一燃焼室用後メイン触媒39Reの上流端までの経路長と同じか長くなるように設けられている。そのため、各燃焼室29F、29Reから排出される排ガスが流れる単一燃焼室用排気通路部36F、36Reにあわせて最適な位置にメイン触媒を配置できる。これにより、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できため、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0066】
本発明のビークル1において、以下のように構成されることが好ましい。単一燃焼室用前メイン触媒39Fは、1つの前燃焼室29Fから単一燃焼室用前メイン触媒39Fの上流端までの経路長a1F+b1Fが単一燃焼室用前メイン触媒39Fの下流端から前後端口41Feまでの経路長d1Fと同じか短くなるように設けられている。これにより、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できため、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0067】
本発明のビークル1において、以下のように構成されることが好ましい。単一燃焼室用後メイン触媒39Reは、1つの後燃焼室29Reから単一燃焼室用後メイン触媒39Reの上流端までの経路長a1Re+b1Reが単一燃焼室用後メイン触媒39Reの下流端から後後端口41Reeまでの経路長d1Reと同じか長くなるように設けられている。これにより、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できため、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0068】
本発明のビークル1において、以下のように構成されることが好ましい。単一燃焼室用前メイン触媒39Fは、ビークル1の左右方向において、単一燃焼室用後メイン触媒39Reと異なる位置に設けられ、且つ、ビークル1の前後方向において、単一燃焼室用後メイン触媒39Reと異なる位置に設けられている。これにより、単一燃焼室用前メイン触媒39Fおよび単一燃焼室用後メイン触媒39Reを、相互干渉を抑制しつつそれぞれを最適な形状、大きさにすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できため、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0069】
本発明のビークル1に搭載可能なV型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、以下のように構成されることが好ましい。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、クランク軸27を含むクランクケース部21と、少なくとも一部がクランク軸27の中心線Cr1よりもビークル1の前後方向の前方に配置される1つの前燃焼室29Fと、1つの前燃焼室29Fから排出される排ガスが流れる単一燃焼室用前シリンダ排気通路部31Fとが形成された1つの前シリンダ部22Fと、少なくとも一部がクランク軸27の中心線Cr1よりもビークル1の前後方向の後方に配置される1つの後燃焼室29Reと、1つの後燃焼室29Reから排出される排ガスが流れる単一燃焼室用後シリンダ排気通路部31Reとが形成された1つの後シリンダ部22Reと、を有するエンジン本体20を備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、前燃焼室29Fに対しビークル1の前後方向の異なる位置に設けられる前後端口41Feを有し、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部31Fの下流端から前後端口41Feまで排ガスを流す単一燃焼室用前排気通路部36Fを備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、後燃焼室29Reに対しビークル1の前後方向の異なる位置に設けられる後後端口41Reeを有し、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部31Reの下流端から後後端口41Reeまで排ガスを流す単一燃焼室用後排気通路部36Reを備える。後後端口41Reeは、ビークル1の前後方向において、前後端口41Feとの間の距離が1つの前燃焼室29Fと1つの後燃焼室29Reの間の距離より短くなる位置に設けられている。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部31F内または単一燃焼室用前排気通路部36F内に配置され、1つの前燃焼室29Fから前後端口41Feまでの排気経路において、1つの前燃焼室29Fから排出された排ガスを最も浄化する単一燃焼室用前メイン触媒39Fを備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部31Re内または単一燃焼室用後排気通路部36Re内に配置され、1つの後燃焼室29Reから後後端口41Reeまでの排気経路において、1つの後燃焼室29Reから排出された排ガスを最も浄化する単一燃焼室用後メイン触媒39Reを備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部31Fまたは単一燃焼室用前排気通路部36Fにおいて単一燃焼室用前メイン触媒39Fよりも排ガスの流れ方向の上流に配置される単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFであって、1つの前燃焼室29Fから単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFまでの経路長a1Fが、単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFから単一燃焼室用前メイン触媒39Fの上流端までの経路長b1Fよりも長くなる位置に配置され、排ガス中の酸素濃度を検出する単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFを備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部31Reまたは単一燃焼室用後排気通路部36Reにおいて単一燃焼室用後メイン触媒39Reよりも排ガスの流れ方向の上流に配置される単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFであって、1つの後燃焼室29Reから単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFまでの経路長a1Reが、単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFから単一燃焼室用後メイン触媒39Reの上流端までの経路長b1Reよりも長くなる位置に配置され、排ガス中の酸素濃度を検出する単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFを備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFおよび単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFの信号を処理する制御装置45を備える。これにより、酸素濃度の検出精度を向上でき、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0070】
本発明によれば、触媒および酸素検出部材を備えたV型多気筒4ストロークエンジンユニットが搭載されたビークルおよびV型多気筒4ストロークエンジンユニットにおいて、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0071】
前ケーシング40Fの上流通路部の少なくとも一部の排ガスの流れ方向に直交する断面の面積は、前メイン触媒39Fの断面の面積S1よりも小さい。後ケーシング40Reの上流通路部の少なくとも一部の排ガスの流れ方向に直交する断面の面積は、後メイン触媒39Reの断面の面積S1よりも小さい。面積S1は、前ケーシング40Fおよび後ケーシング40Reの触媒配置通路部の排ガスの流れ方向に直交する断面の面積である。これにより、メイン触媒39F、39Reの上流において、排気経路の断面積が変化する。そのため、排ガスの流れに変化を生じさせることができる。よって、未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。したがって、メイン触媒39F、39Reの上流で、未燃燃料の酸化が促進される。それにより、上流酸素検出部材37FF、37ReFは、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材37FF、37ReFは、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより一層安定的に検出することができる。
【0072】
(実施形態1の変形例1)
図7は、実施形態1の変形例1の自動二輪車の側面図である。
図7は、実施形態1の変形例1のエンジン本体および排気系を示す模式図である。変形例1において、実施形態1と同一の構成要素については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0073】
図7に示すように、前上流サブ触媒39FF(単一燃焼室用前上流サブ触媒)(単一燃焼室用前サブ触媒)は、前メイン触媒39Fの経路方向の上流、且つ、前上流酸素検出部材37FFの下流に設けられている。前上流サブ触媒39FFは、前排気管34Fに配置されている。後上流サブ触媒39ReF(単一燃焼室用後上流サブ触媒)(単一燃焼室用後サブ触媒)は、後メイン触媒39Reの経路方向の上流、且つ、後上流酸素検出部材37ReFの下流に設けられている。後上流サブ触媒39ReFは、後排気管34Reに配置されている。前下流サブ触媒39FRe(単一燃焼室用前下流サブ触媒)は、前メイン触媒39Fの経路方向の下流、且つ、前排気管34Fの前後端口41Feより上流に配置されている。後下流サブ触媒39ReRe(単一燃焼室用後下流サブ触媒)は、後メイン触媒39Reの経路方向の下流、且つ、後排気管34Reの後後端口41Reeより上流に配置されている。前上流サブ触媒39FFおよび後上流サブ触媒39ReFを備えず、前下流サブ触媒39FReおよび後下流サブ触媒39ReReを備えていてもよい。前下流サブ触媒39FReおよび後下流サブ触媒39ReReを備えず、前上流サブ触媒39FFおよび後上流サブ触媒39ReFを備えていてもよい。集合サブ触媒39Cは設けても設けなくてもよい。
【0074】
本発明において、サブ触媒は、排気管などの内壁に付着された貴金属だけで構成されていてもよい。この場合、サブ触媒の貴金属が付着される基材は、排気管などの内壁である。また、サブ触媒は、排気管などの内側に配置される基材を有していてもよい。この場合、サブ触媒は、基材と貴金属で構成される。サブ触媒の基材は、例えば、板状である。板状の基材の経路方向に直交する断面の形状は、S字状であっても、円形状であっても、C字状であってもよい。また、基本的な構成は、メイン触媒と同じであってもよい。サブ触媒も本発明の触媒の一つである。メイン触媒は、排気経路において、1つの燃焼室から排出された排ガスを最も浄化する。つまり、メイン触媒は、排気経路において、1つの燃焼室から排出された排ガスをサブ触媒よりも浄化する。言い換えると、サブ触媒は、メイン触媒に比べて、排ガスを浄化する寄与度が低い。そのため、サブ触媒は、メイン触媒と比較して排ガスによる圧力脈動の反射を生じさせる作用が小さい。また、サブ触媒は、メイン触媒に比べて、排ガスの流れの抵抗が小さい。
【0075】
本発明のメイン触媒とサブ触媒のそれぞれの浄化の寄与度は、以下の方法で測定できる。測定方法の設明において、上流に配置される触媒をフロント触媒と称し、下流に配置される触媒をリア触媒と称する。例えば、前上流サブ触媒39FFおよび後上流サブ触媒39ReFと、前メイン触媒39Fおよび後メイン触媒39Reの浄化の寄与度を測定する場合、前上流サブ触媒39FFおよび後上流サブ触媒39ReFがフロント触媒であって、前メイン触媒39Fおよび後メイン触媒39Reがリア触媒である。
【0076】
変形例1のエンジンユニットを運転して、暖機状態のときに放出口35eから排出された排ガスに含まれる有害物質の濃度を測定する。排ガスの測定方法は、例えば、欧州規制に従った測定方法とする。暖機状態では、フロント触媒とリア触媒は、高温となって活性化される。そのため、フロント触媒とリア触媒は、暖機状態のときに、浄化性能を十分に発揮できる。
【0077】
次に、試験で用いたエンジンユニットのリア触媒を取り外して、その代わりに貴金属を備えていないリア触媒の基材のみを配置する。この状態のエンジンユニットを、測定用エンジンユニットAとする。そして、同様に、暖機状態のときに放出口35eから排出された排ガスに含まれる有害物質の濃度を測定する。
【0078】
また、この測定用エンジンユニットAのフロント触媒を取り外して、その代わりに貴金属を備えていないフロント触媒の基材のみを配置する。この状態のエンジンユニットを、測定用エンジンユニットBとする。そして、同様に、暖機状態のときに放出口35eから排出された排ガスに含まれる有害物質の濃度を測定する。なお、サブ触媒が排気管の内壁に貴金属を直接付着させた構成の場合、排気管が基材に相当する。このようなサブ触媒の代わりに、貴金属を備えていないサブ触媒の基材のみを配置するとは、排気管の内壁に貴金属を付着させないことである。
【0079】
測定用エンジンユニットAは、フロント触媒を有し、リア触媒を有しない。測定用エンジンユニットBは、フロント触媒とリア触媒を有しない。そのため、測定用エンジンユニットAの測定結果と、測定用エンジンユニットBの測定結果の差から、フロント触媒の浄化の寄与度が算出される。また、測定用エンジンユニットAの測定結果と、変形例1のエンジンユニットの測定結果の差から、リア触媒の浄化の寄与度が算出される。この測定方法を応用することで、メイン触媒と上流サブ触媒と下流サブ触媒の浄化の寄与度も測定することができる。
【0080】
実施形態1の変形例1では、前上流サブ触媒39FFの浄化の寄与度は、前メイン触媒39Fの浄化の寄与度より小さい。前上流サブ触媒39FFの浄化の寄与度が、前メイン触媒39Fの浄化の寄与度より小さいとは、上述した測定方法で前上流サブ触媒39FFだけに貴金属を設けた場合の排ガスの浄化率が、前メイン触媒39Fだけに貴金属を設けた場合の排ガスの浄化率より小さいことをいう。後上流サブ触媒39ReFの浄化の寄与度は、後メイン触媒39Reの浄化の寄与度より小さい。後上流サブ触媒39ReFの浄化の寄与度が、後メイン触媒39Reの浄化の寄与度より小さいとは、上述した測定方法で後上流サブ触媒39ReFだけに貴金属を設けた場合の排ガスの浄化率が、後メイン触媒39Reだけに貴金属を設けた場合の排ガスの浄化率より小さいことをいう。また、集合サブ触媒39Cを設ける場合、前上流サブ触媒39FFおよび後上流サブ触媒39ReFの浄化の寄与度は、集合サブ触媒39Cの浄化の寄与度より大きい。
【0081】
実施形態1の変形例1では、前下流サブ触媒39FReの浄化の寄与度は、前メイン触媒39Fの浄化の寄与度より小さい。前下流サブ触媒39FReの浄化の寄与度が、前メイン触媒39Fの浄化の寄与度より小さいとは、上述した測定方法で前下流サブ触媒39FReだけに貴金属を設けた場合の排ガスの浄化率が、前メイン触媒39Fだけに貴金属を設けた場合の排ガスの浄化率より小さいことをいう。後下流サブ触媒39ReReの浄化の寄与度は、後メイン触媒39Reの浄化の寄与度より小さい。後下流サブ触媒39ReReの浄化の寄与度が、後メイン触媒39Reの浄化の寄与度より小さいとは、上述した測定方法で後下流サブ触媒39ReReだけに貴金属を設けた場合の排ガスの浄化率が、後メイン触媒39Reだけに貴金属を設けた場合の排ガスの浄化率より小さいことをいう。また、集合サブ触媒39Cを設ける場合、前下流サブ触媒39FReおよび後下流サブ触媒39ReReの浄化の寄与度は、集合サブ触媒39Cの浄化の寄与度より大きい。
【0082】
なお、実施形態1において、前メイン触媒39Fおよび後メイン触媒39Reの浄化の寄与度は、集合サブ触媒39Cの浄化の寄与度より大きい。
なお、触媒は使用時間が長くなると劣化する。上述した浄化の寄与度の関係は、触媒の劣化によって、変わる場合がある。そのため、上述した測定方法は、できるだけ触媒の劣化が進む前に行うのが好ましい。また、少なくとも触媒の劣化が進む前に上述した浄化の寄与度の関係になっていれば、本発明と同じ効果が得られる。
なお、触媒の浄化の寄与度と触媒の浄化性能は、異なる。触媒の浄化性能が低くても、触媒の配置によっては、浄化の寄与度が高くなる場合がある。また、その逆の場合もある。
なお、排気経路において燃焼室から排出された排ガスを最も浄化する触媒とは、排気経路において燃焼室から排出された排ガスの浄化の寄与度が最も高い触媒である。
【0083】
実施形態1の変形例1で、前下流酸素検出部材37FRe(単一燃焼室用前下流酸素検出部材)は、前メイン触媒39Fの経路方向の下流、且つ、前排気管34Fの前後端口41Feより上流に配置されている。前下流酸素検出部材37FReは、前下流サブ触媒39FReより上流に配置されている。後下流酸素検出部材37ReRe(単一燃焼室用後下流酸素検出部材)は、後メイン触媒39Reの経路方向の下流、且つ、後排気管34Reの後後端口41Reeより上流に配置されている。後下流酸素検出部材37ReReは、後下流サブ触媒39ReReより上流に配置されている。
【0084】
本発明のビークル1において、以下のように構成されることが好ましい。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部31Fまたは単一燃焼室用前排気通路部36Fにおいて、単一燃焼室用前メイン触媒39Fの排ガスの流れ方向の上流または下流に配置されており、1つの前燃焼室29Fから排出された排ガスを浄化する単一燃焼室用前サブ触媒(前上流サブ触媒39FFおよび前下流サブ触媒39FRe)を備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部31Reまたは単一燃焼室用後排気通路部36Reにおいて、単一燃焼室用後メイン触媒39Reの排ガスの流れ方向の上流または下流に配置されており、1つの後燃焼室29Reから排出された排ガスを浄化する単一燃焼室用後サブ触媒(後上流サブ触媒39ReFおよび後下流サブ触媒39ReRe)を備える。
そのため、1つの前燃焼室29Fから排出された排ガスを、単一燃焼室用前メイン触媒39Fに加えて、単一燃焼室用前サブ触媒(前上流サブ触媒39FFおよび前下流サブ触媒39FRe)で浄化することができる。また、1つの後燃焼室29Reから排出された排ガスを、単一燃焼室用後メイン触媒39Reに加えて、単一燃焼室用後サブ触媒(後上流サブ触媒39ReFおよび後下流サブ触媒39ReRe)で浄化することができる。これにより、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0085】
本発明のビークル1において、以下のように構成されることが好ましい。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用前シリンダ排気通路部31Fまたは単一燃焼室用前排気通路部36Fにおいて、単一燃焼室用前メイン触媒39Fよりも排ガスの流れ方向の下流で、且つ、集合部33aより排ガスの流れ方向の上流に配置され、排ガス中の酸素濃度を検出する単一燃焼室用前下流酸素検出部材37FReを備える。V型多気筒4ストロークエンジンユニット19は、単一燃焼室用後シリンダ排気通路部31Reまたは単一燃焼室用後排気通路部36Reにおいて、単一燃焼室用後メイン触媒39Reよりも排ガスの流れ方向の下流で、且つ、集合部33aより排ガスの流れ方向の上流に配置され、排ガス中の酸素濃度を検出する単一燃焼室用後下流酸素検出部材37ReReを備える。制御装置45は、単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FF、単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReF、単一燃焼室用前下流酸素検出部材37FReおよび単一燃焼室用後下流酸素検出部材37ReReの信号を処理する。
そのため、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出できる単一燃焼室用前上流酸素検出部材37FFおよび単一燃焼室用後上流酸素検出部材37ReFに加えて、単一燃焼室用前メイン触媒39Fを通過した排ガスおよび単一燃焼室用後メイン触媒39Reを通過した排ガスの酸素濃度を検出する単一燃焼室用前下流酸素検出部材37FReおよび単一燃焼室用後下流酸素検出部材37ReReを備える。これらの信号を処理することで、排ガスの浄化性能をより向上できる。
【0086】
(実施形態2)
図8は、実施形態2の自動二輪車の側面図である。
図8は、実施形態2エンジン本体および排気系を示す模式図である。実施形態2において、実施形態1およびその変形例と同一の構成要素については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0087】
V型2気筒4ストロークエンジンユニット19は、前消音器35Fと、大気に面する前放出口35eFとを備えている。V型2気筒4ストロークエンジンユニット19は、後消音器35Reと、大気に面する後放出口35eReとを備えている。前消音器35Fおよび後消音器35Reは、消音器35と同じ機能を備えている。前放出口35eFおよび後放出口35eReは、放出口35eと同じ機能を備えている。V型2気筒4ストロークエンジンユニット19は、前消音器35F内の酸素濃度を検出する前下流酸素検出部材37CFを備えていてもよい。V型2気筒4ストロークエンジンユニット19は、後消音器35Re内の酸素濃度を検出する後下流酸素検出部材37CReを備えていてもよい。前下流酸素検出部材37CFおよび後下流酸素検出部材37CReは、集合酸素検出部材37Cと同じ機能を備え、制御装置45に接続されている。
【0088】
実施形態1では、前排気管34Fの下流端部は、集合装置33に接続される。後排気管34Reの下流端部は、集合装置33に接続される。しかしながら、実施形態2では、前排気管34Fの下流端部は、前消音器35Fに接続される。後排気管34Reの下流端部は、前消音器35Fに接続される。そして、前消音器35Fに流入した排ガスは、他の燃焼室から排出された排ガスと集合することなく、前放出口35eFから放出される。後消音器35Reに流入した排ガスは、他の燃焼室から排出された排ガスと集合することなく、後放出口35eReから放出される。実施形態2のように、本発明では、前燃焼室29Fから排出される排ガスおよび後燃焼室29Reから排出される排ガスを集合させることなく、大気に放出してもよい。
【0089】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。また、後述する変更例は適宜組み合わせて実施することができる。
【0090】
上記実施形態1において、前排気管34Fは、前上流排気管34aF、前触媒ユニット38Fおよび前下流排気管34bFを接合して形成されている。また、各部材も複数の部品を接合して形成されている。しかしながら、必要に応じて各部品を接合の構成を変えることができる。後排気管34Reは、後上流排気管34aRe、後触媒ユニット38Reおよび後下流排気管34bReを接合して形成されている。また、各部材も複数の部品を接合して形成されている。しかしながら、必要に応じて各部品を接合の構成を変えることができる。
【0091】
上記実施形態1の前排気管34Fおよび後排気管34Reの形状は、ビークルに合わせて変形することができる。また、集合装置33および消音器35の内部構造は、機能を満たせば、変形することができる。
【0092】
<メイン触媒の組成>
上記実施形態1において、メイン触媒は、三元触媒である。しかし、本発明の単一燃焼室用メイン触媒は、三元触媒でなくてもよい。単一燃焼室用メイン触媒は、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のいずれか1つまたは2つを除去する触媒であってもよい。また、単一燃焼室用メイン触媒は、酸化還元触媒でなくてもよい。メイン触媒は、酸化または還元のいずれか一方だけで有害物質を除去する酸化触媒または還元触媒であってもよい。還元触媒の一例として、窒素酸化物を還元反応によって除去する触媒がある。この変形例は、サブ触媒に適用してもよい。
【0093】
上記実施形態1において、メイン触媒39F、39Reは、経路方向の長さc1F、c1Reが、最大幅w1F、w1Reよりも大きい。しかし、本発明の単一燃焼室用メイン触媒は、経路方向の長さが、経路方向に垂直な方向の最大幅より短くてもよい。但し、本発明の単一燃焼室用メイン触媒は、排気経路において、排ガスを最も浄化するように構成される。ここでの排気経路とは、燃焼室から、大気に面する放出口に至る経路である。
【0094】
本発明の単一燃焼室用メイン触媒は、複数ピースの触媒が近接して配置された構成としてもよい。各ピースは、基材と触媒物質を有する。ここで、近接とは、各ピースの経路方向の長さよりも、ピース同士の離間距離が短い状態のことである。複数ピースの基材の組成は、一種類でも、複数種類でもよい。複数ピースの触媒の触媒物質の貴金属は、一種類でも、複数種類でもよい。触媒物質の担体の組成は、一種類でも、複数種類でもよい。この変形例は、サブ触媒に適用してもよい。
【0095】
上記実施形態1の変形例1では、サブ触媒は、多孔構造を有しない。しかし、サブ触媒は、多孔構造を有していてもよい。サブ触媒が多孔構造であることにより、以下の効果が得られる。多孔構造のサブ触媒は、排ガスの流れの抵抗となる。それにより、サブ触媒の上流で、排ガスの流速を低下させることができる。また、多孔構造のサブ触媒は、圧力脈動の反射を生じさせる。そのため、サブ触媒の上流において、燃焼室から排出された排ガスとこの反射波が衝突する。これにより、サブ触媒の上流において、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。また、この衝突によって、サブ触媒の上流において、排ガスの流速をより低下させることができる。
よって、メイン触媒の上流において、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。さらに、メイン触媒の上流において、排ガスの流速をより低下させることができる。
したがって、上流酸素検出部材は、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより一層安定的に検出することができる。
【0096】
メイン触媒の配置位置は、各図に示された位置に限定されない。以下、メイン触媒の配置位置の具体的な変更例を説明する。
【0097】
メイン触媒は、排気管に配置されている。しかし、メイン触媒は、シリンダ部のシリンダ排気通路部に配置されていてもよい。
【0098】
下流サブ触媒が多孔構造でない場合、以下の効果が得られる。下流サブ触媒は、メイン触媒に比べて、排ガスの流れに対する抵抗が小さい。また、この場合、下流サブ触媒は、メイン触媒に比べて、排ガスによる圧力脈動の反射を生じさせる作用が小さい。そのため、下流サブ触媒を設けても、排ガスの流れに大きな影響を与えない。よって、メイン触媒と上流酸素検出部材の配置によって得られる効果を妨げない。
【0099】
下流サブ触媒が多孔構造の場合、以下の効果が得られる。多孔構造の下流サブ触媒は、排ガスの流れの抵抗となる。それにより、下流サブ触媒の上流で、排ガスの流速を低下させることができる。また、多孔構造の下流サブ触媒は、圧力脈動の反射を生じさせる。そのため、下流サブ触媒の上流において、燃焼室から排出された排ガスとこの反射波が衝突する。これにより、下流サブ触媒の上流において、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。また、この衝突によって、下流サブ触媒の上流において、排ガスの流速をより低下させることができる。
上流酸素検出部材は、下流サブ触媒より上流に配置される。したがって、上流酸素検出部材は、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより一層安定的に検出することができる。
【0100】
メイン触媒の下流に下流サブ触媒が設けられる場合、メイン触媒は下流サブ触媒よりも劣化の進行が速い。そのため、累積走行距離が長くなると、メイン触媒と下流サブ触媒の浄化の寄与度の大小関係が逆転する場合がある。本発明の単一燃焼室用メイン触媒は、排気経路において、燃焼室から排出された排ガスを最も浄化する。これは、上述したような逆転現象が生じる前の状態のことである。つまり、累積走行距離が所定距離(例えば1000km)に到達していない状態のことである。
【0101】
本発明において、V型多気筒4ストロークエンジンユニットに設けられるサブ触媒の数は、なしでも1つであっても複数であってもよい。触媒が複数の場合には、排気経路において、燃焼室から排出された排ガスを最も浄化する触媒が、本発明の単一燃焼室用メイン触媒に相当する。触媒が1つの場合は、この1つの触媒が、本発明の単一燃焼室用メイン触媒である。メイン触媒の上流と下流に上流サブ触媒と下流サブ触媒を設けてもよい。メイン触媒より上流に2つ以上の上流サブ触媒を設けてもよい。また、メイン触媒より下流に2つ以上の下流サブ触媒を設けてもよい。
【0102】
本発明において、V型多気筒4ストロークエンジンユニットは、2または2より多い気筒を備えていてもよい。
【0103】
上記実施形態1において、上流酸素検出部材は、排気管に配置されている。しかし、上流酸素検出部材は、シリンダ部のシリンダ排気通路部に配置されてもよい。
【0104】
上流酸素検出部材は、上流サブ触媒より上流に配置されている。しかし、メイン触媒の上流に上流サブ触媒を設けた場合、上流酸素検出部材の配置位置は、以下の位置であってもよい。上流酸素検出部材は、上流サブ触媒より下流に設けられてもよい。また、上流サブ触媒の上流と下流に2つの上流酸素検出部材を設けてもよい。上流酸素検出部材は、上流サブ触媒の上流に設けられる。上流酸素検出部材は、上流サブ触媒より下流でメイン触媒より上流に設けられる。
【0105】
上流酸素検出部材が、上流サブ触媒より上流に設けられた場合、以下の効果が得られる。上流サブ触媒が多孔構造の場合、上流サブ触媒の上流において、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。さらに、上流サブ触媒の上流において、排ガスの流速が低下する。そのため、上流酸素検出部材は、酸化がより進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより一層安定的に検出することができる。
【0106】
メイン触媒の下流に下流サブ触媒を設けた場合、下流酸素検出部材の配置位置は、以下の2つの位置のいずれであってもよい。下流酸素検出部材は、メイン触媒より下流で下流サブ触媒より上流に設けられてもよい。また、下流酸素検出部材は、下流サブ触媒より下流に設けられてもよい。また、下流サブ触媒の上流と下流にそれぞれ下流酸素検出部材を設けてもよい。
【0107】
メイン触媒より下流に下流酸素検出部材が設けられる場合、電子制御ユニット(制御装置)は、下流酸素検出部材の信号を処理する。電子制御ユニット(制御装置)は、下流酸素検出部材の信号に基づいて、メイン触媒の浄化能力を判定してもよい。また、電子制御ユニット(制御装置)は、上流酸素検出部材と下流酸素検出部材の信号に基づいて、メイン触媒の浄化能力を判定してもよい。また、電子制御ユニット(制御装置)は、上流酸素検出部材と下流酸素検出部材の信号に基づいて、燃焼制御を行ってもよい。
【0108】
下流酸素検出部材の信号に基づいてメイン触媒の浄化能力を判定する具体的な方法の一例を説明する。まず、一定期間(数秒間)、混合ガスがリッチとリーンを繰り返すように燃料噴射量を制御する。そして、燃料噴射量の変化に対する、下流酸素検出部材の信号の変化の遅れを検出する。下流酸素検出部材の信号の変化の遅れが大きい場合に、メイン触媒の浄化能力が所定のレベルより低下したと判定する。この場合、電子制御ユニットから表示装置に信号が送られる。そして、表示装置の警告灯(図示せず)が点灯される。これにより、乗員にメイン触媒の交換を促すことができる。
【0109】
このように、メイン触媒の下流に配置された下流酸素検出部材の信号を用いることで、メイン触媒の劣化を検知できる。そのため、メイン触媒の劣化が所定のレベルに達する前に報知して、メイン触媒の交換を促すことができる。それにより、ビークルの排気浄化に関する初期性能をより長期間維持することができる。
【0110】
上流酸素検出部材と下流酸素検出部材の信号に基づいてメイン触媒の浄化能力を判定する具体的な方法の一例を説明する。例えば、上流酸素検出部材の信号の変化と下流酸素検出部材の信号の変化を比較して、メイン触媒の浄化能力を判定してもよい。メイン触媒の上流と下流に配置された2つの酸素検出部材の信号を使うことで、メイン触媒の劣化の程度をより精度よく検出できる。そのため、下流酸素検出部材の信号だけを使ってメイン触媒の劣化を判定する場合に比べて、より適切なタイミングでメイン触媒の交換を促すことができる。よって、車両の排気浄化性能に関する初期性能を維持しつつ、1つのメイン触媒をより長期間使用することが可能となる。
【0111】
上流酸素検出部材と下流酸素検出部材の信号に基づいて燃焼制御を行う具体的な方法の一例を説明する。まず、上記実施形態1と同様に、上流酸素検出部材の信号に基づいて基本燃料噴射量を補正して、インジェクタから燃料を噴射させる。この燃料の燃焼によって発生する排ガスを下流酸素検出部材で検知する。そして、下流酸素検出部材の信号に基づいて燃料噴射量を補正する。これにより、目標空燃比に対する混合ガスの空燃比のずれをより低減できる。
【0112】
メイン触媒の上流と下流に配置された2つの酸素検出部材の信号を用いることで、メイン触媒による実際の浄化の状況を把握できる。そのため、2つの酸素検出部材の信号に基づいて、燃料制御を行った場合には、燃料制御の精度を向上できる。また、上流酸素検出部材は、排ガス中の酸素濃度を安定的に検出できる。したがって、燃料制御の精度をより一層向上できる。それにより、メイン触媒の劣化の進行を遅らせることができるため、ビークルの排気浄化に関する初期性能をより長期間維持することができる。
【0113】
上記実施形態1では、上流酸素検出部材の信号に基づいて、点火タイミングおよび燃料噴射量を制御する。しかし、上流酸素検出部材の信号に基づく制御処理は、特に制限されるものではなく、点火タイミングおよび燃料噴射量のうちの一方のみであってもよい。また、上流酸素検出部材の信号に基づく制御処理は、上記以外の制御処理を含んでいてもよい。
【0114】
酸素検出部材は、ヒータを内蔵していてもよい。酸素検出部材の検出部は、高温に加熱されて活性化状態となったときに、酸素濃度を検知できる。そのため、酸素検出部材がヒータを内蔵していると、運転開始と同時にヒータにより検出部を加熱することで、酸素検出の開始を早めることができる。
【0115】
排気管のメイン触媒より上流の少なくとも一部は、多重管で構成されていてもよい。多重管は、内管と、内管を覆う少なくとも1つの外管とを有する。二重管は、内管と、内管を覆う外管とを含む。内管と外管は、両端部のみ互いに接触していてもよい。多重管の内管と外管は、両端部以外の部分で接触していてもよい。例えば、屈曲部において、内管と外管が接触していてもよい。接触している面積は、接触していない面積より小さいことが好ましい。また、内管と外管は全体的に接触していてもよい。排気管が多重管を有する場合、上流酸素検出部材は多重管の途中もしくは多重管より下流に配置することが好ましい。多重管を設けることで、排ガスの温度が低下するのを抑制できる。それにより、エンジン始動時に、上流酸素検出部材をより早期に活性化温度まで上昇させることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出することができる。
【0116】
触媒ユニットの外面の少なくとも一部を覆う触媒プロテクターを備えていてもよい。触媒プロテクターを設けることで、触媒ユニットおよびメイン触媒を保護できる。さらに、触媒プロテクターを設けることで、外観性を向上できる。また、触媒プロテクターを設けることで、周囲への熱の影響を調整できる。
【0117】
上記実施形態1において、エンジン駆動時に排気経路を流れるガスは、燃焼室から排出された排ガスだけである。しかし、本発明のV型多気筒4ストロークエンジンユニットは、排気経路に空気を供給する二次空気供給機構を備えていてもよい。二次空気供給機構の具体的な構成は、公知の構成が採用される。二次空気供給機構は、エアポンプによって強制的に排気経路に空気を供給する構成であってもよい。また、二次空気供給機構は、排気経路の負圧によって空気を排気経路に引き込む構成であってもよい。この場合、二次空気供給機構は、排ガスによる圧力脈動に応じて開閉するリード弁を備える。二次空気供給機構を設ける場合、上流酸素検出部材の配置位置は、空気が流入する位置よりも上流に設けても下流に設けてもよい。
【0118】
上記実施形態1において、燃焼室に燃料を供給するために、インジェクタが用いられている。燃焼室に燃料を供給する燃料供給装置は、インジェクタに限らない。例えば、負圧により燃焼室に燃料を供給する燃料供給装置を設けてもよい。
【0119】
上記実施形態1において、1つの燃焼室に対して、排気ポート1つだけ設けられている。しかし、1つの燃焼室に対して複数の排気ポートが設けられていてもよい。例えば、可変ポート機構を備える場合がこの変形例に該当する。ただし、複数の排気ポートから延びる排気経路は、メイン触媒よりも上流で集合する。複数の排気ポートから延びる排気経路は、シリンダ部において集合することが好ましい。
【0120】
本発明の燃焼室は、主燃焼室と、主燃焼室につながる副燃焼室とを有する構成であってもよい。この場合、主燃焼室と副燃焼室とによって、1つの燃焼室が形成される。
【0121】
上記実施形態1において、クランクケース部と、シリンダボディとは、別体である。しかし、クランクケース部とシリンダボディとは、一体成形されていてもよい。また、上記実施形態1において、シリンダボディと、シリンダヘッドと、ヘッドカバーとは、別体である。しかし、シリンダボディと、シリンダヘッドと、ヘッドカバーのいずれか2つまたは3つが一体成形されていてもよい。
【0122】
本発明が適用されるV型多気筒4ストロークエンジンユニットは、V型2気筒4ストロークエンジンユニットに限らない。例えば、V型4気筒4ストロークエンジンユニットであってもよい。また、V型6気筒4ストロークエンジンユニットであってもよい。これらのV型多気筒4ストロークエンジンユニットは、複数の前燃焼室と複数の後燃焼室を有する。そして、前燃焼室ごとに前メイン触媒と前上流酸素検出部材が設けられる。また、後燃焼室ごとに前メイン触媒と前上流酸素検出部材が設けられる。
【0123】
上記実施形態では、V型多気筒4ストロークエンジンユニットを備えたビークルとして、自動二輪車を例示した。しかし、本発明のビークルは、V型多気筒4ストロークエンジンユニットの動力で移動するビークルであれば、どのようなビークルであってもよい。本発明のビークルは、自動二輪車以外の鞍乗型車両であってもよい。鞍乗型車両とは、乗員が鞍にまたがるような状態で乗車する車両全般を指す。鞍乗型車両には、自動二輪車、三輪車、四輪バギー(ATV:All Terrain Vehicle(全地形型車両))、水上バイク、スノーモービル等が含まれる。本発明のビークルは、鞍乗型車両でなくてもよい。また、本発明のビークルは、運転者が乗車しないものであってもよい。また、本発明のビークルは、人を乗せずに走行可能なものであってもよい。これらの場合、ビークルの前方向とは、ビークルの前進方向のことである。
【0124】
本明細書および本発明において、メイン触媒の上流端とは、メイン触媒において燃焼室からの経路長が最も短くなる端を意味する。メイン触媒の下流端とは、メイン触媒において燃焼室からの経路長が最も長くなる端を意味する。メイン触媒以外の要素の上流端および下流端についても同様の定義が適用される。
【0125】
本明細書および本発明において、通路部とは、経路を囲んで経路を形成する壁体等を意味し、経路とは対象が通過する空間を意味する。排気通路部とは、排気経路を囲んで排気経路を形成する壁体等を意味する。なお、排気経路とは、排気が通過する空間を意味する。
【0126】
本明細書および本発明において、排気経路の経路長とは、排気経路の真ん中のラインの経路長を言う。また、消音器の膨張室の経路長は、膨張室の流入口の真ん中から膨張室の流出口の真ん中を最短で結んだ経路の長さを意味する。
【0127】
本明細書において、経路方向とは、排気経路の真ん中を通る経路の方向で、且つ、排ガスが流れる方向を意味する。
【0128】
本明細書において、通路部の経路方向に直交する断面の面積という表現が用いられている。また、本明細書および本発明において、通路部の排ガスの流れる方向に直交する断面の面積という表現が用いられている。ここでの通路部の断面の面積は、通路部の内周面の面積であってもよく、通路部の外周面の面積であってもよい。
【0129】
また、本明細書および本発明において、部材または直線がA方向に延びるとは、部材または直線がA方向と平行に配置されている場合だけを示すのではない。部材または直線がA方向に延びるとは、部材または直線が、A方向に対して±45°の範囲で傾斜している場合を含む。なお、A方向は、特定の方向を指すものではない。A方向を、水平方向や前後方向に置き換えることができる。
【0130】
本発明は、本明細書の開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ)、改良および/または変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきである。クレームの限定事項は、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。そのような実施形態は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、本明細書において、「好ましくは」や「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」や「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味するものである。