【課題を解決するための手段】
【0016】
熱電発電装置の実施形態は、高温流体を通過させるための第1の流路と、低温流体を通過させるための第2の流路と、上記第1の流路と上記第2の流路との間に配置された複数の熱電対素子と、上記複数の熱電対素子と上記第1の流路の壁との間に位置する第1の接点部材と、上記複数の熱電対素子と上記第2の流路の壁との間に位置する第2の接点部材とを含む。上記第1の流路は、入口と出口とを含み、これにより上記高温流体のための第1の流れ方向を規定する。よって、上記高温流体は、第1の流路の入口を通って第1の流路に入り、出口を通って第1の流路から出ていく。したがって、上記第2の流路も、入口と出口とを含み、これにより上記低温流体のための第2の流れ方向を規定する。よって、上記低温流体は、第2の流路の入口を通って第2の流路に入り、出口を通って第2の流路から出ていく。上記複数の熱電対素子のうちのいくつかの熱電対素子は、上記第1の流路と上記第2の流路との間に、上記第1の流れ方向に沿って対をなして互いに隣接するように配置される(これにより、上記第1の流れ方向に沿う熱電対素子の直列配列が得られる)。隣接する熱電対素子は、互いに直接隣り合っていてもよく、離間されていてもよい。上記複数の熱電対素子と上記第1の流路の壁との間に配置された上記第1の接点部材は、個々の熱電対素子に対応付けられた接点部分であって、それぞれの熱電対素子と上記第1の流路の壁との間に熱伝導結合を提供する接点部分を含む。この熱伝導結合は、熱抵抗を有し、熱伝導を促進(比較的低い熱抵抗の場合)または阻害(比較的高い熱抵抗の場合)し得る。したがって、上記複数の熱電対素子と上記第2の流路の壁との間に配置された第2の接点部材も、個々の熱電対素子に対応付けられた接点部分であって、それぞれの熱電対素子と上記第2の流路の壁との間に熱伝導結合を提供する接点部分を含む。この熱伝導結合は、熱抵抗を有し、熱伝導を促進(比較的低い熱抵抗の場合)または阻害(比較的高い熱抵抗の場合)し得る。上記第1の流れ方向において第2の熱電対素子の上流(よって、上記高温流体の入口に近い方)に位置する第1の熱電対素子に対応付けられた上記第1および第2の接点部材の接点部分の熱抵抗の和は、第2の熱電対素子(上記高温流体の入口から遠い方に位置する)に対応付けられた上記第1および第2の接点部材の接点部分の熱抵抗の和よりも大きい。
【0017】
本明細書中、第1の流路を通る流体に関する「高温」という形容詞は、当該流体の温度が第2の流路を通る「低温」流体よりも高いことを意味する。
【0018】
さらに、本明細書中、「流路」という用語は、一般に、例えば管路のような、流体流を通過させるための本体(body)をいう。流体流を通過させる本体の断面は一定であることが好ましい。
【0019】
本明細書中、「熱電対素子(thermocouple element)」という用語は、熱を電気エネルギーに直接変換することを可能にする電気デバイスをいう。
【0020】
最後に、本明細書中、「熱抵抗」という用語は、各接点部材の各接点部分の熱伝達率と伝達面積の大きさとの積の逆数をいう。熱伝達率は、ある一定期間に各接点部分を通して伝達される熱量を測定することによって測定され得、一実施形態によると、対応付けられた熱電対素子が最も高い効率を示す各接点部分の前後における温度差に温度差が用いられる。あるいは、800℃(高温側)と300℃(低温側)との温度差が熱伝達率を測定するために用いられてもよい。
【0021】
上記の構成により、熱電発電装置は、従来技術に比べて、高温流体に関して、より高い温度で動作することが可能である。これは、上記第1の接点部材のそれぞれの熱電対素子に対応付けられた接点部分に相応に高い熱抵抗を故意に付与することによって、上記第1の流路の入口近傍に配置された熱電対素子の熱的過負荷を防止することができるからである。この結果、熱電発電装置の特に広い範囲の動作温度がバイパスを必要とすることなく達成されることにもなる。
【0022】
また、第1の流れ方向に沿って配置された熱電対素子に対応付けられた第1および第2の接点部材の接点部分の熱抵抗の和のそれぞれを、高温流体および低温流体の温度、流量、および熱容量に対して適切に調節することによって、上記第1の流路と上記第2の流路との間で上記第1の熱電対素子を通って伝達される熱量(熱流)と、上記第1の流路と上記第2の流路との間で上記第2の熱電対素子(および上記第1の流れ方向に沿って下流に(次に)配置された各熱電対素子)を通って伝達される熱量とが、確実にほぼ同じになり得る。このことは、第1の流れ方向に沿って順次配置された熱電対素子のそれぞれに、ほぼ同じ温度差を与えること、ひいては同じ効率範囲での動作を可能にする。この結果、ほぼ同一の出力が熱電対素子から得られることになる。そして、熱電対素子がほぼ同一の電気電圧も提供するため、接続される電力変換装置の構成が簡単化される。
【0023】
一実施形態によると、上記第1の接点部材の異なる熱抵抗は、上記第1の熱電対素子と上記第1の流路との間の接点部分における上記第1の接点部材の厚さが、上記第2の熱電対素子(および、任意に、上記第1の流れ方向に沿って下流に(次に)配置された各熱電対素子)と上記第1の流路との間の接点部分における上記第1の接点部材の厚さよりも大きいことによって達成される。しかしながら、これには、上記各熱電対素子と上記第1の流路との間の距離を異ならせることが必要である。そこで、上記第1の熱電対素子を、上記第1の流れ方向に沿って下流に配置された熱電対素子よりも、上記第1の流路の壁から遠くに位置させる。
【0024】
一実施形態によると、上記第1の接点部材の異なる熱抵抗は、上記第1の接点部材の、高い熱伝導性を有する物質の含有量が、上記第1の熱電対素子と上記第1の流路との間の接点部分において、上記第2の熱電対素子(および、任意に、上記第1の流れ方向に沿って下流に(次に)配置された各熱電対素子)と上記第1の流路との間の接点部分におけるよりも低いことによって、達成される。したがって、上記第1の熱電対素子に対応付けられた接点部分における上記第1の接点部材の材料組成は、上記第2の熱電対素子に対応付けられた接点部分における上記第1の接点部材の材料組成とは異なる。上記第1の接点部材は、例えば、上記第1の熱電対素子に対応付けられた接点部分において、熱伝導性が比較的低い材料を、上記第2の熱電対素子に対応付けられた接点部分におけるよりも高い含有量で備えていてもよい。
【0025】
一実施形態によると、上記第1の接点部材の異なる熱抵抗は、上記第1の熱電対素子と第1の流路との間の接点部分における上記第1の接点部材の有効断面積が、上記第2の熱電対素子(および、任意に、上記第1の流れ方向に沿って下流に(次に)配置された各熱電対素子)と第1の流路との間の上記第1の接点部材の有効断面積よりも小さいことによって達成される。ここで、一実施形態に係る上記第1の接点部材の有効断面積は、上記第1の流路の壁と上記対応付けられた熱電対素子との中間で測定される。有効断面積は、例えば、上記第1の接点部材のそれぞれの接点部分に空洞または凹部を形成することによって操作されてもよく、そのことにより、大体において、上記第1の接点部材の接点部分の密度が異なることにもなる。
【0026】
一実施形態によると、上記第1の接点部材の異なる熱抵抗は、上記第1の熱電対素子に接触する上記第1の接点部材の接点部分の表面の大きさが、上記第2の熱電対素子(または、任意に、上記第1の流れ方向に沿って下流に配置された各熱電対素子)に接触する上記第1の接点部材の接点部分の表面の大きさよりも小さいことによって達成される。例えば、上記第1の流路の壁と上記対応付けられた熱電対素子との間のそれぞれの接点部分において上記第1の接点部材を完全に貫通する凹部を、上記第1の接点部材の接点部分に設けてもよい。この場合、熱抵抗の調節は、上記第1の接点部材のそれぞれの接点部分における凹部の数および大きさによって達成されてもよい。
【0027】
実施形態によると、上記第2の接点部材の上記接点部分における異なる熱抵抗も、上記第1の接点部材に関して説明した手段のうちの1つまたは複数によって達成され得る。
【0028】
例えば、上記第1の熱電対素子と第2の流路との間の接点部分における上記第2の接点部材の厚さが、上記第2の熱電対素子と第2の流路との間の接点部分における上記第2の接点部材の厚さと異なっていてもよく、それにより、この場合においても、上記第1および第2の熱電対素子の上記第2の流路までの距離が異なることになる。あるいは、またはさらに、上記第2の接点部材が上記第1の熱電対素子と第2の流路との間の接点部分において備える高い熱伝導性を有する物質の含有量が、第2の熱電対素子と上記第2の流路との間の接点部分における高い熱伝導性を有する物質の含有量と異なっていてもよく、それにより、上記第1の熱電対素子に対応付けられた接点部分における上記第2の接点部材の材料組成は、前記第2の熱電対素子に対応付けられた接点部分における上記第2の接点部材の材料組成とは異なることになる。あるいは、またはさらに、上記第1の熱電対素子と記第2の流路との間の接点部分における上記第2の接点部材の有効断面積が、上記第2の熱電対素子と第2の流路との間の接点部分における上記第2の接点部材の有効断面積と異なっていてもよく、この場合においても、一実施形態に係る上記第2の接点部材の有効断面積は、上記第2の流路の壁と上記対応付けられた熱電対素子との中間で測定される。あるいは、またはさらに、上記第1の熱電対素子に接触する上記第2の接点部材の接点部分の表面の大きさが、上記第2の熱電対素子に接触する上記第2の接点部材の接点部分の表面の大きさと異なっていてもよい。この場合においても、上記第2の熱電対素子は、上記第1の流れ方向において上記第1の熱電対素子の下流に(次に)配置された各熱電対素子を象徴的に代表するものである。
【0029】
上記の手段は、容易に低コストで実施することができ、それぞれの熱抵抗の精密な調整を可能にする。
【0030】
一実施形態によると、上記第1および第2の接点部材のうちの少なくとも一方が、上記第1の熱電対素子に対応付けられた接点部分と上記第2の熱電対素子に対応付けられた接点部分との間に、熱抵抗を平均熱抵抗に比較して少なくとも5倍、特に少なくとも10倍増大させた隔離領域を含む。
【0031】
一実施形態によると、上記第1の熱電対素子に対応付けられた接点部分と上記第2の熱電対素子に対応付けられた接点部分との間の隔離領域(内)における接点部材の熱抵抗は、当該接点部材の隣接する接点部分の平均熱抵抗に比べて10000倍未満、特には1000倍未満、さらに特には100倍未満で増大される。このため、本実施形態においては以下の範囲が可能である。
【0032】
5倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<10000倍の増大;5倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<1000倍の増大;5倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<100倍の増大;10倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<10000倍の増大;10倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<1000倍の増大;10倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<100倍の増大。
【0033】
このことにより、それぞれの接点部材にわたり、流れ方向において互いに隣接する熱電対素子間の不所望な熱流を低減する、または防止さえもすることが可能になる。
【0034】
一実施形態によると、上記第1の接点部材は、少なくとも1つの接点部分に、上記第1の流れ方向に沿う向きに最大寸法を有する凹部を含む。一実施形態によると、該凹部は長穴である。一実施形態によると、上記第2の接点部材は、少なくとも1つの接点部分に、上記第2の流れ方向に沿う向きに最大寸法を有する凹部を含む。一実施形態によると、該凹部は長穴である。
【0035】
そうすることにより、それぞれの接点部材の接点部分を流れる熱流に、それぞれの流体の流れ方向に沿う向きの優先方向を与えることができる。このことは、それぞれの流体の流れ方向に沿う熱電対素子の表面に実質的に同じ高さの温度を与えるのに役立つ。これは、接点部材の内部においてそれぞれの流体の流れの方向に沿う熱伝導が抑制されない、または実質的に抑制されないからである。
【0036】
一実施形態によると、上記第1の接点部材は、上記第1の熱電対素子に対応付けられた接点部分と上記第2の熱電対素子に対応付けられた接点部分との間に、最大寸法が上記第1の流れ方向を横断するように配置された少なくとも1つの凹部を含む。一実施形態によると、該凹部は長穴である。一実施形態によると、上記第2の接点部材は、上記第1の熱電対素子に対応付けられた接点部分と上記第2の熱電対素子に対応付けられた接点部分との間に、最大寸法が上記第1の流れ方向を横断するように配置された少なくとも1つの凹部を含む。一実施形態によると、該凹部は長穴である。
【0037】
このことにより、それぞれの接点部材にわたり、それぞれの流体の流れ方向において互いに隣接する熱電対素子間の不所望な熱流をほぼ完全に防止することが可能になる。
【0038】
一実施形態によると、上記第1の熱電対素子に対応付けられた接点部分における上記第1の接点部材の熱抵抗は、上記第2の熱電対素子に対応付けられた接点部分における上記第1の接点部材の熱抵抗よりも高い。
【0039】
このことにより、高温流体のための第1の流路の入口近傍に位置する熱電対素子の熱的過負荷が確実に防止される。
【0040】
一実施形態によると、上記第1の流れ方向と上記第2の流れ方向とが同じ向きである場合、上記第1の熱電対素子に対応付けられた接点部分における上記第2の接点部材の熱抵抗は、上記第2の熱電対素子に対応付けられた接点部分における上記第2の接点部材の熱抵抗よりも高く、上記第1の流れ方向と上記第2の流れ方向とが反対向きである場合、上記第1の熱電対素子に対応付けられた接点部分における上記第2の接点部材の熱抵抗は、上記第2の熱電対素子に対応付けられた接点部分における上記第2の接点部材の熱抵抗よりも低い。
【0041】
一実施形態によると、上記第1の接点部材が配置された上記第1の流路の壁は、平滑であり、冷却フィンを有しない。代替の実施形態によると、上記第1の接点部材が配置された上記第1の流路の壁は、上記第1の流れ方向に沿って均一に分布された冷却フィンを有する。一実施形態によると、上記第2の接点部材が配置された上記第2の流路の壁は、平滑であり、冷却フィンを有しない。代替の実施形態によると、上記第2の接点部材が配置された上記第2の流路の壁は、上記第2の流れ方向に沿って均一に分布された冷却フィンを有する。一実施形態によると、上記冷却フィンは、それぞれの流路の壁の、流体と接触し、それぞれの接点部材とは接触しない側に設けられる。このため、上記冷却フィンは、それぞれの流路の内部に設けられる。
【0042】
平滑な壁を有する流路を使用し、流路内部に配置される冷却フィンを省略することによって、流路を通過する流体の流れ抵抗の増加が回避され、ひいては、流れ損失による全体効率の低下が回避される。そうでない場合は、冷却フィンを設けることによって、熱伝導に利用可能な面積が増加する。そして、それぞれの流れ方向に沿う冷却フィンの均一な分布により、熱伝達に利用可能な面積は、それぞれの流路の延びる全範囲にわたって確実にほぼ同じとなる。そのうえ、流れ抵抗も、それぞれの流路の延びる全範囲にわたってほぼ同じとなる。
【0043】
一実施形態によると、全ての接点部分が上記第1の接点部材によってモノブロック(monobloc)の設計で提供される。一実施形態によると、全ての接点部分が上記第2の接点部材によってモノブロックの設計で提供される。
【0044】
接点部材とこれに対応する接点部分のモノブロックの設計により、熱電発電装置の組み立てが容易になる。これは、使用される部品の数が少なく抑えられるためである。さらに、モノブロックの設計により、接点部分の配列順序が固定された仕様が可能になる。
【0045】
一実施形態によると、上記複数の熱電対素子は、上記第1の流路と上記第2の流路との間に単一層として配置される。
【0046】
一実施形態によると、上記第1の熱電対素子および上記第2の熱電対素子(すなわち、上記第1の流れ方向に沿って互いに隣り合って配置された熱電対素子)が、対をなして、互いに構造が同一であるか、または、上記複数の熱電対素子のうちの全ての熱電対素子が、互いに構造が同一である。
【0047】
一実施形態によると、上記第1の接点部材は、黒鉛、シリコーンゴム、ポリイミド、アルミナ、マイカナイト、またはアクリルポリマーからなる熱伝導フィルムである。一実施形態によると、上記第2の接点部材は、黒鉛、シリコーンゴム、ポリイミド、アルミナ、マイカナイト、またはアクリルポリマーからなる熱伝導フィルムである。
【0048】
これらの材料に穴を導入することによって、熱抵抗が異なる接点部分を容易に設けることができる。
【0049】
上記熱電発電装置の実施形態にはバイパス導管がない。
【0050】
代替の熱電発電装置の実施形態は、流体を通過させるための入口と出口とを有する流路であって、該流路の該入口と該出口とが該流体のための流れ方向を規定する流路を含む。熱電発電装置は、上記流路の隣に上記流れ方向において互いに隣接して配置された複数の熱電対素子を含む。さらに、熱電発電装置は、上記複数の熱電対素子と上記流路の壁との間に位置する接点部材を含み、該接点部材は、それぞれが1つの熱電対素子に対応付けられた接点部分であって、それぞれに対応付けられた熱電対素子と上記流路の壁との間に熱伝導結合を提供する接点部分を含む。上記接点部材は、直接隣り合う熱電対素子に対応付けられた直接隣り合う接点部分の間に、当該直接隣り合う接点部分の熱抵抗を、上記接点部材の当該直接隣り合う接点部分の平均熱抵抗に比べて少なくとも5倍、特に、少なくとも10倍増大させた隔離領域を含む。
【0051】
一実施形態によると、直接隣り合う熱電対素子に対応付けられた直接隣り合う接点部分の間の隔離領域(内)における上記接点部材の熱抵抗は、上記接点部材の当該直接隣り合う接点部分の平均熱抵抗に比べて10000倍未満、特に、1000倍未満、さらには、特に100倍未満で増大される。このため、本実施形態においては以下の範囲が可能である。
【0052】
5倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<10000倍の増大;5倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<1000倍の増大;5倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<100倍の増大;10倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<10000倍の増大;10倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<1000倍の増大;10倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<100倍の増大。
【0053】
隔離領域を設けることにより、上記接点部材にわたり、隣接する熱電対素子間の熱流が低減または完全に防止され得る。さらに、モノブロックの接点部材を用いることにより、組み立ての手間が低減される。
【0054】
一実施形態によると、上記直接隣り合う熱電対素子は、異なる温度領域用に構成されたものである。このことにより、上記熱電対素子の熱的過負荷を避けることが可能になる。これは、上記接点部材にわたり、隣接する熱電対素子間の熱流をなくすことが可能だからである。
【0055】
一実施形態によると、上記接点部材は、上記第1の熱電対素子に対応付けられた接点部分と上記隣接する第2の熱電対素子に対応付けられた接点部分との間に、流れ方向を横断する方向に最大寸法を有する少なくとも1つの凹部を含む。一実施形態によると、該凹部は長穴である。
【0056】
このことにより、それぞれの接点部材にわたり、それぞれの流体の流れ方向において互いに隣接する熱電対素子間の不所望な熱流をほぼ完全に防止することが可能になる。
【0057】
内燃機関によって駆動される車両のための排気系の実施形態は、上記の熱電発電装置を含み、ここで、上記第1の流路は、該排気系の排気ガス配管であるか、または、該排気系の排気ガス配管に連結されるように構成される。
【0058】
熱電発電装置のための接点部材の実施形態は、複数の接点部分を含み、該複数の接点部分は、熱電発電装置の該複数の接点部分のそれぞれに対応付けられた隣り合う熱電対素子と流路の隣接した壁との間に熱伝導結合を提供するように構成されている。上記接点部材は、互いに隣接する熱電対素子に対応付けられた隣接する接点部分の間に、隔離領域を含み、当該隔離領域(内)における熱抵抗は、上記隣接する接点部分の平均熱抵抗に比べて少なくとも5倍、特には、少なくとも10倍増大されている。このことは、例えば、上記隔離領域において上記接点部材に異なる材料組成を用いてか、または、上記接点部材の上記隔離領域における密度もしくは材料厚さを上記隣接する接点部分におけるよりも少なくすることによって、実施され得る。あるいは、上記接点部材は、隣接する熱電対素子に対応付けられた隣接する接点部分の間に、隣接する接点部分間の分離線の方向に沿う方向に最大寸法を有する凹部(またはいくつかの凹部)を含み得る。該凹部は、例えば、長穴、または、ある線に沿って配置されたいくつかの(円形)穴であり得る。
【0059】
一実施形態によると、互いに隣接する熱電対素子に対応付けられた隣接する接点部分間の隔離領域(内)における上記接点部材の熱抵抗は、上記接点部材の当該隣接する接点部分の平均熱抵抗に比べて10000倍未満、特には1000倍未満、さらに特には100倍未満で増大される。このため、本実施形態においては以下の範囲が可能である。
【0060】
5倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<10000倍の増大;5倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<1000倍の増大;5倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<100倍の増大;10倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<10000倍の増大;10倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<1000倍の増大;10倍の増大≦隔離領域における熱抵抗<100倍の増大。
【0061】
このことにより、上記接点部材にわたり、隣接する熱電対素子間の熱流を低減または防止することが可能になる。
【0062】
一実施形態によると、上記接点部材は、平行な2つの長辺と平行な2つの短辺とを有する矩形の形状を有し、上記接点部材の上記短辺に平行な方向に最大寸法を有する凹部が、隣接する熱電対素子に対応付けられた隣接する接点部分の間に設けられる。
【0063】
一実施形態によると、上記接点部材は、全ての接点部分をモノブロックの設計で提供する。
【0064】
一実施形態によると、上記接点部材は、黒鉛、シリコーンゴム、ポリイミド、アルミナ、マイカナイト、またはアクリルポリマーからなる熱伝導フィルムである。