特許第6348209号(P6348209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6348209希釈剤を用いない反応性混合物から形成されるシリコーンヒドロゲル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348209
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】希釈剤を用いない反応性混合物から形成されるシリコーンヒドロゲル
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/075 20060101AFI20180618BHJP
   C08F 230/08 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   C08J3/075CFH
   C08F230/08
【請求項の数】49
【全頁数】52
(21)【出願番号】特願2017-122887(P2017-122887)
(22)【出願日】2017年6月23日
(62)【分割の表示】特願2014-548881(P2014-548881)の分割
【原出願日】2012年12月20日
(65)【公開番号】特開2017-165987(P2017-165987A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2017年6月23日
(31)【優先権主張番号】61/579,690
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/579,683
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/720,239
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アリ・アザーム
(72)【発明者】
【氏名】バンダーラーン・ダグラス・ジー
(72)【発明者】
【氏名】フォード・ジェームズ・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ジョスリン・スコット・エル
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/045299(WO,A1)
【文献】 特許第6169604(JP,B2)
【文献】 特許第6227552(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00〜 2/60
6/00〜246/00
283/01
290/00〜290/14
299/00〜299/08
301/00
G02C 1/00〜 13/00
C08J 3/00〜 3/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
8〜17重量%のケイ素を含み、表面改質のない状態で80°未満の前進動的接触角を有する、シリコーンヒドロゲルであって、
7〜120個のジアルキルシロキサン反復単位を有する、少なくとも1種の単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーであって、任意に少なくとも1種のヒドロキシル基で置換される場合がある、単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーと、
前記単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーが、少なくとも1種のヒドロキシルを含まない場合に、少なくとも1種の単官能性ヒドロキシル含有シロキサンモノマーを含むという条件付きの、任意の、7個未満のジアルキルシロキサン反復単位、トリアキルシロキサン基又はこれらの組み合わせを有する1種又は2種以上の単官能性ヒドロキシル含有シロキサンモノマーと、
40〜60重量%の少なくとも1種の遅反応性の親水性モノマーと、
少なくとも1種のヒドロキシル含有の親水性モノマーと、を含む反応性混合物から形成され、前記遅反応性の親水性モノマーに対するヒドロキシル含有成分のモル比が、0.15〜0.4であり、前記反応性混合物が希釈剤を含まず、
前記少なくとも1種の遅反応性の親水性モノマーが、最も遅い単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーに対する動力学的半減期の少なくとも2倍である動力学的半減期を有する親水性モノマーであ
単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマー及び/又は前記単官能性ヒドロキシル含有シロキサンモノマーが、1つ又は2つのヒドロキシル基を含む、シリコーンヒドロゲル。
【請求項2】
8〜15重量%のケイ素を含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項3】
前記単官能性シロキサンモノマーが、7〜60個のジアルキルシロキサン反復単位を含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項4】
前記単官能性シロキサンモノマーが、7〜30個のジアルキルシロキサン反復単位を含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項5】
少なくとも60のDkを更に有し、Dkが、明細書の第0113段落に記載の方法によって測定されたものである、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項6】
少なくとも80のDkを更に有し、Dkが、明細書の第0113段落に記載の方法によって測定されたものである、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項7】
少なくとも55%の含水率を更に有する、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項8】
少なくとも60%の含水率を更に有する、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項9】
80°未満の前進接触角を更に有する、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項10】
50%未満のヘイズ(%)を更に有する、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項11】
10%未満のヘイズ(%)を更に有する、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項12】
120psi未満の弾性率を更に有する、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項13】
100psi以下の弾性率を更に有する、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項14】
前記遅反応性の親水性モノマーが、(メタ)アクリルアミド類、ビニル類、アリル類、及びこれらの組み合わせ、からなる群から選択される反応基を含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項15】
前記遅反応性の親水性モノマーが、ビニル類、アリル類、及びこれらの組み合わせ、からなる群から選択される反応基を含み、前記単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマー、及び前記単官能性ヒドロキシル含有シロキサンモノマーが、(メタ)アクリレート類、スチリル類、アミド類、及びこれらの混合物からなる群から選択される反応基を含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項16】
前記遅反応性の親水性モノマーが、N−ビニルアミド類、O−ビニルカルバメート類、O−ビニルカーボネート類、N−ビニルカルバメート類、O−ビニルエーテル類、O−2−プロペニル、からなる群から選択される反応基を含み、前記ビニル基又はアリル基が、メチル基と更に置換される場合がある、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項17】
前記遅反応性の親水性モノマーが、ヒドロキシル類、アミン類、エーテル類、アミド類、アンモニウム基、カルボン酸、カルバメート類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の親水性基を含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項18】
前記遅反応性の親水性モノマーが、ヒドロキシル類、エーテル類、アミド類、カルボン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の親水性基を含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項19】
前記遅反応性の親水性モノマーが、式IのN−ビニルアミドモノマー、式II〜式IVのビニルピロリドン、式Vのn−ビニルピペリドンから選択され、
【化1】
式中、Rは、H又はメチルであり、
、R、R、R、R、R10、及びR11は、H、CH、CHCH、CHCHCH、C(CHから独立して選択され、
及びRは、CH、CHCH及びC(CHから独立して選択され、
は、H、メチル、エチルから選択され、
は、CH=CH、CCH=CH、及びCH=CHCHから選択される、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項20】
前記遅反応性の親水性モノマーが、式II若しくは式IVの前記ビニルピロリドン、又は式Iの前記N−ビニルアミドモノマーから選択され、かつR及びRの炭素原子の総数が4以下である、請求項19に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項21】
前記遅反応性の親水性モノマーが、式III又は式IVのビニルピロリドンから選択され、Rはメチルであり、Rは水素であり、RはCH=CHであり、R10及びR11はHである、請求項19に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項22】
前記遅反応性の親水性モノマーが、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、N−ビニルピロリドン(NVP)、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド(VMA)、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、アリルアルコール、N−ビニルカプロラクタム、N−2−ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N−カルボキシ−β−アラニンN−ビニルエステル、N−カルボキシビニル−β−アラニン(VINAL)、N−カルボキシビニル−α−アラニン、及びこれらの混合物、から選択される、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項23】
前記遅反応性の親水性モノマーが、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、及びこれらの混合物、からなる群から選択される、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項24】
前記遅反応性の親水性モノマーが、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、及び1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドンからなる群から選択される、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項25】
前記遅反応性の親水性モノマーがN−ビニルピロリドンを含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項26】
前記反応性混合物が、式Xのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドモノマー、又は式XIのスチリル化合物、から選択され、
【化2】
式中、Rは、H又はメチルであり、
Xは、O又はNR16であり、R16は、H、少なくとも1種のOHで更に置換される場合があるC〜Cアルキルであり、
17は、C〜Cモノヒドロキシ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択される前記ヒドロキシアルキルモノマーを更に含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項27】
前記ヒドロキシアルキルモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル−2−(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ビス−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項28】
前記ヒドロキシアルキルモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項29】
前記ヒドロキシアルキルモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、及びこれらを含む混合物を含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項30】
前記単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーは、式VIのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマー、又は式VIIの前記スチリルポリジアルキルシロキサンモノマーから選択され、
【化3】
式中、R12は、H又はメチルであり、
Xは、O又はNR16であり、
13は、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基によって更に官能化される場合がある二価のアルキル基であり、
それぞれのR14は、独立して、フッ素置換される場合があるC〜Cアルキル、又はフェニルであり、
15は、C〜Cアルキルであり、
aは、7〜120であり、
16は、H、1つ又は2つ以上のヒドロキシル基で更に置換される場合がある、C1〜4、から選択される、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項31】
それぞれのR14が、エチル基及びメチル基から独立して選択される、請求項30に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項32】
すべてのR14がメチルである、請求項30に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項33】
12及びそれぞれのR14がメチルである、請求項30に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項34】
少なくとも1種のR14が、3,3,3−トリフルオロプロピルである、請求項30に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項35】
13は、エーテル、ヒドロキシル及びこれらの組み合わせで置換される場合があるC1〜C6アルキレン基から選択される、請求項30に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項36】
13は、エーテル、ヒドロキシル、及びこれらの組み合わせで置換される場合があるC又はC3〜6アルキレン基から選択される、請求項30に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項37】
aが、7〜30である、請求項30に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項38】
16が、H又はメチルである、請求項30に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項39】
前記単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーが、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジエチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジエチルシロキサン、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミド、α−(2−ヒドロキシ−1−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル)−ω−ブチル−オクタメチルペンタシロキサン、及びこれらの混合物、からなる群から選択される、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項40】
前記単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーが、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジメチルシロキサン、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミド、及びこれらの混合物、からなる群から選択される、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項41】
少なくとも1種の架橋性モノマーを更に含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項42】
少なくとも1種の光開始剤を更に含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項43】
前記反応混合物が、少なくとも1種の紫外線吸収化合物を更に含む、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項44】
1重量%〜2重量%の紫外線吸収剤を含む、請求項43に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項45】
前記反応混合物が、少なくとも1種の遅反応性架橋剤及び少なくとも1種の速反応性架橋剤を更に含み、前記少なくとも1種の遅反応性架橋剤が、ジ−ビニル類、トリ−ビニル類、ジ−アリル類、トリ−アリル類から成る群から選択され、前記少なくとも1種の速反応性架橋剤が、アクリレート類またはメタアクリレート類から成る群から選択される、請求項41に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項46】
前記少なくとも1種の遅反応性架橋剤及び少なくとも1種の速反応性架橋剤がそれぞれ、前記反応混合物中に0.05〜0.3重量%の量で存在する、請求項45に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項47】
前記少なくとも1種の遅反応性架橋剤及び少なくとも1種の速反応性架橋剤がそれぞれ、前記反応混合物中に0.1〜0.2重量%の量で存在する、請求項45に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項48】
少なくとも1種のヒドロキシル基及び速反応性反応基を含むすべての成分が、0.16〜0.4のヒドロキシル対ケイ素のモル比を提供するのに十分な濃度で存在する、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項49】
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドモノマーが、0.13〜0.35のHO:Si比を提供するのに十分な濃度で存在する、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「SILICONE HYDROGELS FORMED FROM ZERO DILUENT REACTIVE MIXTURES」と題する2012年12月19日出願の米国特許出願第13/720,239号と、「SILICONE HYDROGELS FORMED FROM ZERO DILUENT REACTIVE MIXTURES」と題する2011年12月23日出願の米国仮特許出願第61/579690号と、「SILICONE HYDROGELS HAVING A STRUCTURE FORMED VIA CONTROLLED REACTION KINETICS」と題する2011年12月23日出願の米国仮特許出願第61/579683号と、の優先権を主張し、その内容は、参照により組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、希釈剤を用いずに形成することができる、望ましい特性のバランスを有するシリコーンヒドロゲルに関する。
【背景技術】
【0003】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズから作製されたソフトコンタクトレンズは、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(HEMA)などの非シリコーン材料から作製されたソフトレンズと比較して、改善された酸素透過性を提供する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを作製するための初期の努力は、不十分な湿潤性、高い弾性率、不十分な透明性、加水分解の不安定性、又はこれらのシリコーンヒドロゲルの多くを作製するために使用する原材料の高いコストによって妨げられた。様々な解決法が、これらのそれぞれ欠陥に対する若干の成功を証明したが、安価な市販されているモノマーから作製することができ、かつ優れた湿潤性(表面改質の必要無しに)、低い弾性率、良好な透明性、及び望ましい酸素透過性を有するシリコーンヒドロゲルに対する必要性が残っている。
【0004】
ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)及び非環式ポリアミド類などの、高分子湿潤剤を含有するシリコーンヒドロゲル処方が開示されている。しかしながら、これらのポリマーは、極めて大きく、受注生産される必要がある特殊な相溶化成分の使用を必要とする。相溶化成分の他の例としては、2−プロペン酸,2−メチル−,2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(SiGMA)が挙げられる。
【0005】
モノマー状のN−ビニルピロリドン(NVP)も、典型的にはモノマー混合物の約25〜55%(重量による)の量で、シリコーンヒドロゲルポリマーを作製するために使用されるモノマー混合物中に組み込まれてきた。かかる材料は、米国特許第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,260,725号、及び同第6,867,245号に記載されている。これらの参照に記載される材料は、殆どの場合架橋剤として作用する多官能性シリコーンモノマー又はマクロマーを組み込み、それによって最終的なポリマーの弾性率が増加する。
【0006】
米国特許第4,139,513号は、NVP及びHEMAを含む処方からレンズを形成するために、2−プロペン酸、2−メチル、−2−トリメチルシリル−3−[3−[1,3,3,3−テトラエチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(SiGMA)を使用することができることを開示する。SiGMAは、開示されたシリコーンの唯一の供給源である。しかしながら、それらのモノマー中の比較的低いシリコーン含有量のために、最終的なポリマーで望ましいレベルの酸素透過性を達成するのは困難である。
【0007】
米国特許第2010/0048847号は、モノメタクリルオキシアルキルポリジメチルシロキサンメタクリレートの、約52% NVP、HEMA及びTRISとのブレンドから作製されたシリコーンヒドロゲルを開示する。希釈剤が必要であるように開示されており、エタノールとエチルアセテートとのブレンドを希釈剤として使用しても、開示されるポリマーは、(様々な程度に)曇っている。曇りは、少なくとも約1.5%のメタクリル酸(MAA)の追加によって減少される。
【0008】
しかしながら、MAAなどのアニオン性のモノマーの添加は、「The role of ionic hydrophilic monomers in silicone hydrogels for contact lens application」、Lai,Y.,Valint,P.,and Friends,G.;213th ACS National Meeting,San Francisco,April 13〜17,1997に開示されるように、シリコーンヒドロゲル内に加水分解性の不安定性を生じる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
約8〜約17重量%のケイ素を含み、表面改質のない状態で約80°未満の前進接触角を有する、シリコーンヒドロゲルであって、
7〜120個のジアルキルシロキサン反復単位を有する、少なくとも1種の単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーであって、任意に少なくとも1種のヒドロキシル基で置換される場合がある、単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーと、
前記単官能性ポリジアルキルシロキサンが、少なくとも1種のヒドロキシルを含まない場合に、少なくとも1種の単官能性ヒドロキシル含有シロキサンモノマーを含むという条件付きの、任意の、7個未満のジアルキルシロキサン反復単位、トリアキルシロキサン基又はこれらの組み合わせを有する1種又は2種以上の単官能性ヒドロキシル含有シロキサンモノマーと、
約40〜約60重量%の少なくとも1種の遅反応性の親水性モノマーと、
少なくとも1種のヒドロキシル含有の親水性モノマーと、を含む反応性混合物から形成され、前記遅反応性の親水性モノマーに対するヒドロキシル含有成分のモル比が、約0.15〜約0.4であり、前記反応性混合物が希釈剤を含まない、シリコーンヒドロゲルに関する。
【0010】
本発明はまた、
約8〜約17重量%のケイ素を含み、表面改質のない状態で約80°未満の前進接触角を有する、シリコーンヒドロゲルであって、
2〜120個のジアルキルシロキサン反復単位を有する、少なくとも1種のヒドロキシル置換された単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーと、
前記単官能性ヒドロキシル含有シロキサンモノマーが、4個未満のジアルキルシロキサン反復単位を有するか、又はこれが以下の式IXである場合に、7〜120個ジアルキルシロキサン反復単位を有する少なくとも1種の単官能性シロキサンモノマーを含むという条件付きの、任意の、7〜120個ジアルキルシロキサン反復単位を有する1種又は2種以上の単官能性シロキサンモノマーであって、式IXは、
【0011】
【化1】
であり、式中、R、R12、X、R15、R17、及びpは、本明細書で定義される通りであり、7〜120個ジアルキルシロキサン反復単位を有する少なくとも1種の単官能性シロキサンモノマーが含まれ、
約40〜約60重量%の少なくとも1種の遅反応性の親水性モノマーと、
遅反応性の親水性モノマーに対するヒドロキシル含有成分のモル比が、約0.15〜約0.4であり、反応性混合物が希釈剤を含まない、シリコーンヒドロゲルに関する。
【0012】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、生物医学用デバイス、眼用デバイス、及び特にコンタクトレンズの作製のために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】レンズアセンブリの概略図である。
図2】動力学的評価のために使用されるデュアルコンパートメント硬化ボックスの概略図である。
図3図2に示す硬化ボックスのコンパートメント2の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、希釈剤を用いずに形成することができる、望ましい特性のバランスを有するシリコーンヒドロゲルに関する。シリコーンヒドロゲルは、2〜120個のジアルキルシロキサン反復単位を有する、少なくとも1種のヒドロキシル置換された単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーと、少なくとも1種の遅反応性の親水性モノマーと、少なくとも1種のヒドロキシル含有親水性モノマーを含む反応性混合物から形成される。結果として得られるシリコーンヒドロゲルは、処理するのが驚くほど容易であり、かつヘイズ、含水率及び酸素透過性を含む特性の並はずれたバランスを示す。
【0015】
本明細書で使用する場合、「希釈剤」は、反応性成分に対する非反応性溶媒を指す。生物医学用デバイスの部分を形成するためには、希釈剤は反応しない。
【0016】
本明細書で使用する場合、「生物医学用デバイス」は、哺乳類組織若しくは哺乳類体液中、又は哺乳類組織若しくは哺乳類体液上で、あるいはヒト組織若しくはヒト体液中、又はヒト組織若しくはヒト体液上で使用するように設計されている任意の物品である。これらのデバイスの例としては、カテーテル、インプラント、ステント、並びに、眼内レンズ、涙点プラグ、及びコンタクトレンズなどの眼用デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、一実施形態では、生物医学用デバイスは、眼用デバイス、特にコンタクトレンズ、最も詳細にはシリコーンヒドロゲルで作製したコンタクトレンズである。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「眼用デバイス」は眼内又は眼上に常駐する製品を指す。本明細書で使用する場合、「レンズ」及び「眼用デバイス」は、眼内又は眼上に常駐するデバイスを指す。これらのデバイスは、光学補正、創傷手当て、薬物送達、診断機能、美容補強、若しくは美容作用、グレア低減、紫外線遮断、又はこれらの性質の組み合わせを提供することができる。眼用デバイスの非限定例としては、レンズ、涙点プラグ、及び同種のものが挙げられる。レンズ(又はコンタクトレンズ)という用語は、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼内インサート、及び光学インサートを含むが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書で使用する場合、「反応混合物」は、本発明のシリコーンヒドロゲルを形成するために一緒に混合され、かつ反応する、反応性及び非反応性成分を指す。反応性成分は、希釈剤及びポリマーの構造の一部にはならない任意の追加的な加工助材以外の、反応混合物中のすべてのものである。
【0019】
本明細書で使用する場合、「(メタ)」は、任意のメチル置換を指す。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリル及びアクリルラジカルの両方を示す。
【0020】
本明細書における百分率は全て、特に指定しない限り重量パーセントである。
【0021】
本明細書で使用する場合、語句「表面処理を用いない」又は「表面処理されていない」は、本発明のデバイスの外面が機器の湿潤性を改善するために別途処理されてはいないことを意味する。本発明のために先行してもよい処理としては、プラズマ処理、グラフト化、コーティング、及び同様のものが挙げられる。抗菌コーティング、及び着色剤の塗布又は他の美容補強などのしかしこれに限定されない、湿潤性改善以外の性質を提供するコーティングは、表面処理とは見なされない。
【0022】
本明細書で使用する場合、「シリコーンマクロマー」及びシリコーン「プレポリマー」は、約2000を超える分子量を有する、単官能性及び多官能性シリコーン含有化合物を意味する。
【0023】
本明細書で使用する場合、「ヒドロキシル含有成分」は、少なくとも1種のヒドロキシル基を含有する任意の成分である。
【0024】
本明細書で使用する場合、「動力学的半減期」は、反応性成分の50%が消費される状態に対する既定の反応における経過時間を意味する。動力学的的半減期は、本明細書に記載する方法及び計算を使用して計算できる。
【0025】
本明細書で使用する場合、「一価反応性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合を受けることができる基である。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C2〜12アルケニル、C2〜12アルケニルフェニル、C2〜12アルケニルナフチル、C2〜6アルケニルフェニルC1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート、及びO−ビニルカーボネートが挙げられる。カチオン反応性基の非限定例としては、ビニルエーテル、又はエポキシド基、及びこれらの混合物が挙げられる。フリーラジカル反応性基の非限定的例としては、(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
本明細書で使用する場合、「親水性の」は、水溶性を意味する。親水性の成分は、25℃の水中で、9重量部の水に対して親水性成分の1重量部の濃度で可溶性のものである。
【0027】
本明細書で使用する場合、「透明」は、約50%未満のヘイズ値を意味する。
【0028】
本発明では、成分は、反応中の特定の時点で反応するように選択される。例えば、「速反応性」成分は、主として全体的な共重合反応の開始時において、重合するように選択され、一方、遅反応性の親水性モノマーは、主として全体的な共重合反応の終了時に重合するように選択される。速反応性成分としては、シリコーン含有成分、ヒドロキシアルキルモノマー、及びいくつかの架橋剤が挙げられる。一実施形態では遅反応性成分は、最も速いシリコーン含有モノマーよりも少なくとも約2倍大きい動力学的半減期を有する。動力学的半減期は、本明細書に記載するように測定できる。動力学的半減期が、具体的な処方と関係があることを理解するべきである。
【0029】
遅反応性基の例としては、(メタ)アクリルアミド類、ビニル類、アリル類、及びこれらの組み合わせ、並びに少なくとも1種の親水性基が挙げられる。別の実施形態では、遅反応性基は、N−ビニルアミド類、O−ビニルカルバメート類、O−ビニルカーボネート類、N−ビニルカルバメート類、O−ビニルエーテル類、O−2−プロペニル、から選択され、前記ビニル基又はアリル基は、メチル基で更に置換される場合がある。更に別の実施形態では、遅反応性基は、N−ビニルアミド類、O−ビニルカーボネート類、及びO−ビニルカルバメート類から選択される。
【0030】
速反応性基の例としては、(メタ)アクリレート類、スチリル類、(メタ)アクリルアミド類、及びこれらの混合物が挙げられる。概して、(メタ)アクリレート類は(メタ)アクリルアミド類より速く、そしてアクリルアミド類は、(メタ)アクリルアミド類より速い。
【0031】
本明細書を通して化学的構造が既定の時はいつでも、構造上の置換基に対して開示される代替的物は、任意の組合せで組み合わせられる場合があることを理解するべきである。したがって、構造が置換基R及びRを含み、そのそれぞれは可能性のある基の3つのリストを含む場合、9つの組合せが開示される。同じことが、特性の組合せに適用される。
【0032】
驚くべきことに、反応混合物の成分を選択することによって、望ましい特性のバランスを有するシリコーンヒドロゲルが、希釈剤の使用無しに形成される場合があることが見出された。
【0033】
シリコーンヒドロゲルは、ポリマーを形成するために数多くの異なる重合性成分を反応することによって形成される。シリコーンヒドロゲル反応性混合物は、概して、ポリマーが相当な量の水を吸収できるようにする親水性の成分と、ポリマーが酸素を透過できるようにするシリコーン成分との両方を含有する。残念なことに、シリコーンは、高度に疎水性であり、成分がより多くのシリコーンを有するほど、親水性の成分との親和性がより低減する。また、コンタクトレンズのようないくつかの最終使用に対しては、結果として得られるシリコーンヒドロゲルが、高い含水率(50%以上)と良好な酸素透過性(60バーラーより高い、又は80バーラーより高い)との両方の組合せを有するのが望ましい。しかしながら、それらの特性は異なる成分から生じるので、両立しない可能性があり、このバランスを達成するのは困難であり、1つの特性(例えば含水率)の増加は、概して結果として別の特性(通常酸素透過性)の減少をもたらす。過去の試みは、成分を相溶化するために希釈剤の使用を必要としてきた。しかしながら、希釈剤は、高価であり、可燃性であり、レンズから除去するのが困難であり、製造をより困難にする可能性がある。
【0034】
驚くべきことに、希釈剤を用いずに望ましい特性のバランスを有する、一群のシリコーンヒドロゲルポリマーを作製できることが見出された。これらの処方の多くは、レンズ成形型から乾燥離型することを可能にする機械的な特性を有し、レンズ作製工程を更に単純化する。
【0035】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、少なくとも約50%の含水率、及び少なくとも約60又は少なくとも約80のDk値の組み合わせを示す。シリコーンヒドロゲルは、また透明でもある。
【0036】
本発明の反応混合物は、希釈剤を含まず、約40及び約60重量%の少なくとも1種の遅反応性の親水性モノマーと、少なくとも1種の単官能性のヒドロキシル含有シロキサンモノマーと、少なくとも1種のヒドロキシル含有の親水性モノマーと、を含み、ヒドロキシル含有成分の、遅反応性の親水性モノマーに対するモル比は、約0.15〜約0.4である。
【0037】
反応性混合物の第1の成分は、少なくとも1種の遅反応性の親水性モノマーである。遅反応性の親水性モノマーは、少なくとも1種の遅反応性基及び最低1つの親水性基を含む。遅反応性基は、N−ビニルアミド類、O−ビニルカルバメート類、O−ビニルカーボネート類、N−ビニルカルバメート類、O−ビニルエーテル類、O−2−プロペニルから選択されてもよく、ここでビニル基又はアリル基は、メチル基で更に置換されてもよい。遅反応性基は、N−ビニルアミド類、O−ビニルカーボネート類、及びO−ビニルカルバメート類から選択されてもよい。親水性基としては、ヒドロキシル類、アミン類、エーテル類、アミド類、アンモニウム基、カルボン酸、カルバメート類、これらの組み合わせ、及び同種のものが挙げられる。好適な親水性基としては、ヒドロキシル類、エーテル類、アミド類、カルボン酸、これらの組み合わせ、及び同種のものが挙げられる。遅反応性の親水性モノマーとして、(メタ)アクリルアミドが選択される場合、アクリレートなどの非常に短い動力学的半減期を有するシリコーン含有モノマーを使用する必要がある。
【0038】
遅反応性の親水性モノマーは、式IのN−ビニルアミドモノマー、式II〜IVのビニルピロリドン、及び式VのN−ビニルピペリドンから選択されてもよく、
【0039】
【化2】
であり、式中、Rは、H又はメチルであり、一実施形態ではRは、Hであり、
、R、R、R、R、R10、及びR11は、H、CH、CHCH、CHCHCH3,C(CHから独立して選択され、
及びRは、CH、CHCH、及び−C(CH)から独立して選択され、
は、H、メチル、エチルから選択され、
は、CH=CH、CCH=CH、及びCH=CHCHから選択される。
【0040】
及びRの中の炭素原子の総数は、4以下であってもよく、好ましくは、R及びRは、メチルであってもよい。
【0041】
遅反応性の親水性モノマーは、式IのN−ビニルアミドモノマー、又は式II若しくはIVのビニルピロリドンから選択されてもよい。更に別の実施形態ではRはメチルであり、Rは水素であり、RはCH=CHであり、R10及びR11は、Hである。
【0042】
遅反応性の親水性モノマーは、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、N−ビニルピロリドン(NVP)と、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドンと、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドンと、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドンとを含むN−ビニルラクタム;1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド(VMA)、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、アリルアルコール、N−ビニルカプロラクタム、N−2−ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N−カルボキシビニル−β−アラニン(VINAL)、N−カルボキシビニル−α−アラニン、及びこれらの混合物から選択されてもよい。
【0043】
遅反応性の親水性モノマーは、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、及びこれらの混合物から選択されてもよい。好ましくは、遅反応性の親水性モノマーは、NVP、VMA、及び1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドンから選択されてもよい。より好ましくは、遅反応性の親水性モノマーは、NVPからなる。
【0044】
本発明の希釈剤を含まない処方は、少なくとも2つのアルキルシロキサン基を含む、少なくとも1種の速反応性、単官能性、ヒドロキシル含有シロキサン成分を更に含む。少なくとも1種の単官能性、ヒドロキシル含有シロキサン成分は、約4〜約120個、約4〜約60個、又は約4〜約30個の反復単位を有するポリジアルキルシロキサンを含んでもよい。アルキルシロキサン基は、ジアルキルシロキサン基、トリアキルシロキサン基、又はこれらの組み合わせとすることができるが、しかしながら、トリス(トリメチルシロキサン)基などの高度に分枝したシロキサン基は、結果として得られるポリマーに望ましくない機械的な特性を提供するので、好ましくない。シリコーンヒドロゲルは、約10%未満、5%未満、及び0%のTRISを含む、反応性混合物から形成される。
【0045】
単一のシロキサン含有成分が望ましいとき、少なくとも1種の速反応性、単官能性、ヒドロキシル含有シロキサン成分は、結果として得られる、水を含まないコポリマーの重量に基づいて、約8〜約17重量%のケイ素を有する、シリコーンヒドロゲルを提供するために、十分な数のアルキルシロキサン基を含むであろう。この実施形態に対する、好適な少なくとも1種の速反応性、単官能性、ヒドロキシル含有シロキサン成分は、約4〜約120個の、約6〜約60個の、又は約6〜約30個のジアルキルシロキサン反復単位を含んでもよい。
【0046】
本発明の反応混合物は、少なくとも2つのアルキルシロキサン基及び7〜120個のジアルキルシロキサン反復単位、約4〜約60個、及び約4〜約30個の反復単位を有し、かつ少なくとも1種の単官能性、シロキサンモノマーを含む、少なくとも1種の単官能性、ヒドロキシル含有シロキサン成分を含んでもよい。
【0047】
少なくとも1種の単官能性、シロキサンモノマーは、(a)速反応性基と、(b)ポリジアルキルシロキサン鎖と、を含んでもよい。したがって、少なくとも1種の単官能性、シロキサンモノマーは、(メタ)アクリレート類、スチリル類、(メタ)アクリルアミド類、及びこれらの混合物から選択される反応基を含んでもよい。単官能性、シロキサンモノマーは、少なくとも1個のフッ素も含有してもよい。単官能性、シロキサンモノマーは、式VIIのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマー、又は式VIIIのスチリルポリジアルキルシロキサンモノマーから選択されてもよく、
【0048】
【化3】
であって、式中、R12は、H又はメチルであり、
Xは、O、又はNR16であり、
それぞれのR14は、独立してC〜Cアルキルであって、これは、フッ素置換されていても、若しくはフェニルであってもよく、又はそれぞれのR14は、エチル基及びメチル基から独立して選択されてもよく、すべてのR14は、メチルであってもよく、又は少なくとも1種のR14は、3,3,3−トリフルオロプロピルであってもよい。
12及びそれぞれのR14は、メチルであってもよい。
15は、C〜Cアルキルであり、
13は、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される基を用いて更に官能化されてもよい二価のアルキル基であり、又はエーテル、ヒドロキシル、及びこれらの組み合わせで置換されてもよいC〜Cアルキレン基であり、好ましくは、エーテル、ヒドロキシル、及びこれらの組み合わせで置換されてもよい、C又はC〜Cアルキレン基であり、
aは、7〜120、7〜60、又は7〜30である。
【0049】
16は、好ましくは、H又はメチルであってもよい1つ又は2つ以上のヒドロキシル基で更に置換されてもよい、H、C1〜4アルキルから選択される。
12及びそれぞれのR14は、メチルであってもよい。
少なくとも1種のR14は、3,3,3−トリフルオロプロピルであってもよい。
【0050】
少なくとも1種の単官能性、シロキサンモノマーは、式VIIのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマーから選択されてもよい。好適なシリコーン含有モノマーの実施例としては、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジエチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジメチルシロキサン、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミド、α−(2−ヒドロキシ−1−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル)−ω−ブチル−デカメチルペンタシロキサン、及びこれらの混合物から成る群から選択されるモノメタクリルオキシアルキルポリジメチルシロキサンメタクリレート類が挙げられる。
【0051】
シリコーン含有成分は、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジメチルシロキサン、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミド、α−(2−ヒドロキシ−1−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル)−ω−ブチル−デカメチルペンタシロキサン、及びこれらの混合物から成る群から選択されてもよい。
【0052】
シリコーン含有成分は、米国公開特許第20110237766号のアクリルアミドシリコーンから選択されてもよく、特に以下の一般式(s1)〜(s6)で表現されるシリコーンモノマーから選択されてもよい。
【0053】
【化4】
であり、式中、mは、4〜12であり、又は適切には4〜10である。
【0054】
更なるシリコーン含有成分も含まれてもよい。本明細書に開示される反応基を有する、任意の追加的な開示されるシリコーン成分が含まれてもよい。実施例は、SiMAA及びTRISなどの分枝状シロキサン鎖を示すシリコーン含有モノマーを含む。
【0055】
少なくとも1種の単官能性シリコーン含有モノマーが、所望の酸素透過性を提供するために十分な量で反応性混合物中に存在する。約80バーラーより高い、約90バーラーより高い、又は約100バーラーより高い酸素透過性が達成される場合があるのは、本発明の利点である。シリコーン含有モノマー中に含まれる好適な量は、シロキサン鎖の長さに依存することになり、より長い鎖を有するシリコーン含有モノマーは、より少ないモノマーを必要とする。量は、約20〜約60重量%、又は約30〜約55重量%を含む。
【0056】
単官能性シリコーン含有モノマーが少なくとも1種のヒドロキシル基を含有しないとき、本発明の反応混合物は、少なくとも2つのアルキルシロキサン基を含む、少なくとも1種の単官能性、ヒドロキシル含有シロキサン成分を更に含む。単官能性、ヒドロキシル含有シロキサン成分は、単官能性シリコーン含有モノマーと同一の反応性官能基を含有する。いくつかの実施形態では、単官能性、ヒドロキシル含有シロキサン成分は、式IXの化合物であり、
【0057】
【化5】
であり、式中、R12、R、R15、Xは、上記に定義される通りである。
pは、4〜20、又は4〜12である。
18は、エーテル基、カルバメート基、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される基で更に官能化されてもよい、少なくとも1種のヒドロキシル基で置換された二価のアルキル基、又は少なくとも1種のエーテル基で置換されてもよい、少なくとも1種のヒドロキシル基で置換されたC〜Cアルキレン基、又は少なくとも1種のエーテル基で置換されてもよい、少なくとも1種のヒドロキシル基で置換されたC又はC〜Cアルキレン基である。
17は、R14又はトリメチルシロキシ基から選択される。
【0058】
単官能性、ヒドロキシル含有シロキサン成分の実施例としては、3−(メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(SimMA)、α−(2−ヒドロキシ−1−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル)−ω−ブチル−オクタメチルペンタシロキサン、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミド:
【0059】
【化6】
及び以下の構造のモノマー:
【0060】
【化7】
が挙げられる。
【0061】
単官能性、ヒドロキシル含有シロキサン成分は、α−(2−ヒドロキシ−1−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル)−ω−ブチル−オクタメチルペンタシロキサンを含んでもよい。
【0062】
反応混合物は、実質的にTRISを含まない場合があり、また実質的に約8,000より大きい、又は約5,000より大きい数平均分子量を有するシリコーン含有マクロマー又はプレポリマーも含まない。
【0063】
本発明の反応混合物は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、又は式Xの(メタ)アクリルアミドモノマー、又は式XIのスチリル化合物から選択される少なくとも1種のヒドロキシアルキルモノマーを更に含み、
【0064】
【化8】
であり、式中、Rは、H又はメチルであり、
Xは、O又はNRであり、Rは、少なくとも1種のOH、メチル、若しくは2−ヒドロキシエチルで更に置換されてもよい、H、C〜Cアルキルであり、
Rは、C〜Cモノヒドロキシ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)、2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、又は2−ヒドロキシプロピルから選択される。
【0065】
適切には、Rは、H又はメチルであり、Xは、酸素であり、Rは、C〜Cモノヒドロキシ又はジヒドロキシ置換されたアルキルから選択され、ポリ(エチレングリコール)は、1〜10個の反復単位を有し、あるいはRは、メチルであり、Xは、酸素であり、Rは、C〜Cモノヒドロキシ又はジヒドロキシ置換されたアルキルから選択され、ポリ(エチレングリコール)は、2〜20個の反復単位を有し、あるいはRは、メチルであり、Xは、酸素であり、Rは、C〜Cモノヒドロキシ又はジヒドロキシ置換されたアルキルから選択される。適切には、少なくとも1種のヒドロキシル基は、Rアルキル基の末端部上にある。
【0066】
好適なヒドロキシアルキルモノマーの実施例としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル−2−(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ビス−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0067】
ヒドロキシアルキルモノマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピルメタクリレート、及びこれらの混合物から成る群から選択されてもよい。
【0068】
ヒドロキシアルキルモノマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピルメタクリレート、又はグリセロールメタクリレートを含んでもよい。
【0069】
ヒドロキシル含有成分は、シリコーン含有モノマーと同じ反応性官能基を有してもよい。
【0070】
ヒドロキシアルキルモノマーは、少なくとも約0.15、例えば約0.15〜約0.4の、遅反応性の親水性モノマーに対するヒドロキシル基のモル比を形成するモルパーセントで存在する。これは、モノマー混合物の所与の質量当たりにつき、ヒドロキシアルキルモノマー(遅反応性の親水性モノマー及びシリコーン含有モノマー上のあらゆるヒドロキシル基を含む)中のヒドロキシル基のモル数を、遅反応性の親水性モノマーのモル数で割ることによって計算される。この実施形態では、HO−mPDMS、HEMA、EGVE、及びNVPを含む反応混合物に対しては、HO−mPDMS、HEMA、及びEGVEのそれぞれのヒドロキシル基が数に入れられることになる。希釈剤(使用される場合)中に存在するいかなるヒドロキシル基は、集計には含まれない。約50%未満、又は約30%未満の最終的なレンズのヘイズ値を提供するために、より低いヒドロキシアルキルモノマーの量が選択される。
【0071】
代替的には、反応混合物中の反応成分のすべてのヒドロキシル基の、ケイ素に対するモル比(HO:Si)は、約0.16〜約0.4であってもよい。モル比は、反応性混合物(遅反応性の親水性モノマー又は希釈剤の一部であるあらゆるヒドロキシル類以外の)成分中のヒドロキシル基のモル濃度を、ケイ素のモル濃度で割ることによって計算される。この場合、ヒドロキシアルキルモノマー及びあらゆるヒドロキシル含有シリコーン成分の両方が、計算に含まれる。したがって、HO:Si比を計算する際、HO−mPDMS、HEMA、NVP、及びEGVEを含む反応混合物のHO−mPDMS、HEMAのそれぞれのヒドロキシル基のみが数に入れられることになる。
【0072】
最小限の量のヒドロキシル成分は、ヒドロキシアルキルモノマー上のヒドロキシル基の数、及びシリコーン含有成分上の親水性の官能基の量、分子量、及び存在又は不在を含む、いくつもの要因に応じて変動することが理解されるであろう。例えば、HEMAが、ヒドロキシアルキルモノマーとして使用されるとき、及びmPDMSが、唯一のシリコーン含有モノマーとして約38重量%の量で使用されるとき、所望のヘイズ値を提供するために少なくとも約8重量%のHEMA(0.16 HO:Si)が含まれる。しかしながら、より少ない量(約20%)のmPDMSが使用されるとき、約2又は3%程度の少量のHEMAが、約50%未満のヘイズ値を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。同様に、処方が相当な量のヒドロキシル含有シリコーン成分(実施例68〜73のように、約20重量%より多くのHO−mPDMSなどの)を含むとき、約7重量%程度の少量のHEMA(0.13 HO:Si、又は0.24 HOtotal:Si)は、所望のレベルのヘイズを提供できる。
【0073】
約60、80、又は100バーラーより高いDk値が望ましい場合に、所望のヘイズを達成するために必要な量を超えてヒドロキシアルキルモノマーを過剰にするのは、望ましくない。
【0074】
反応性混合物は、追加的な親水性モノマーを更に含んでもよい。ヒドロゲルを調製するために使用される任意の親水性モノマーが使用されてもよい。例えばモノマー含有アクリル基(CH=CROX、式中、Rは、水素又はC1〜6アルキル、Xは、O又はN)又はビニル基(−C=CH)が使用されてもよい。追加的な親水性モノマーの実施例は、N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、これらの組み合わせ、及び同種のものである。
【0075】
本発明の反応性混合物は、少なくとも1種の架橋剤を追加的に含んでもよい。
【0076】
好適な架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート(「EGDMA」)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(「TMPTMA」)、グリセロールトリメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート(ポリエチレングリコールは、好ましくは、例えば最大で約5000の分子量を有する)、並びに2つ以上の末端メタクリレート部分を含有する上記に述べたエンドキャップ化ポリオキシエチレンポリオールのような他のポリアクリレート及びポリメタクリレートエステルなどの2つ以上の重合性二重結合を有するモノマーが挙げられる。架橋剤の量は、所望の弾性率を達成するように選択されるシリコーン成分の量及び種類でバランスがとられる。好適な量としては、反応混合物中に反応性成分100g当たり約0.6〜約2.4mmolのモル濃度、又は反応性成分100g当たり約0.6〜約1.8mmolが挙げられる。代替的には、親水性モノマー及び/又はシリコーン含有モノマーが、架橋剤として作用する場合、反応混合物への架橋剤の追加は任意である。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応混合物への追加架橋剤の添加を必要としない親水モノマーの例としては、2つ以上の末端メタクリレート部分を含有する上記ポリオキシエチレンポリオールが挙げられる。
【0077】
架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応混合物への追加的な架橋モノマーの追加を必要としないシリコーン含有モノマーの例としては、α,ω−ビスメタクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(α,ω−bismethacryloypropyl polydimethylsiloxane)が挙げられる。
【0078】
反応混合物は、親水性成分の反応速度に応じて多重の架橋剤も含有することができる。非常に遅い反応性の親水性の成分(例えば、VMA、EGVE、DEGVE)により、遅反応性官能性基(例えば、ジ−ビニル、トリ−ビニル、ジ−アリル、トリ−アリル)又は遅反応性官能性基と速反応性官能性基(例えば、HEMAVc)との組み合わせを有する架橋剤は、最終的なヒドロゲルにおける遅反応性モノマーのポリマーの保持を改良するために、速反応性官能性基((メタ)アクリレート)を有する架橋剤と組み合わせることができる。
【0079】
反応混合物は、少なくとも2つの架橋剤、すなわち、シリコーン成分及びヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートと反応する官能性基を有する少なくとも1種の第1の架橋剤、並びに遅反応性の親水性モノマーと反応する官能性基を有する少なくとも1種の第2の架橋剤を含んでもよい。この速反応性架橋剤と遅反応性架橋剤との混合物は、特にレンズの表面上の改善された弾性力及び回復力を有する最終的なポリマーを提供する。好適な第1の架橋剤の実施例としては、EGDMA、TEGDMA、及びこれらの組み合わせなどの、(メタ)アクリレート官能基のみを有するものが挙げられる。好適な第2の架橋剤の実施例としては、トリアリルシアヌレート(TAC)などの、ビニル官能基のみを有するものが挙げられる。混合物が使用されるとき、反応性混合物中のすべての架橋剤の好適な量としては、約0.10〜約1%重量%、及び希釈剤を除外して約0.1〜約2重量%が挙げられる。別の実施形態では、反応性混合物中のすべての架橋剤の総量は、重合性成分100g当たり0.7〜約6.0mmol、反応性成分100g当たり約0.7〜約4.0mmolである。速反応性架橋剤及び遅反応性架橋剤は、それぞれ、重合性成分100g当たり約0.30〜約2.0mmol、及び反応性成分100g当たり約0.4〜約2.0mmolの量で存在する。
【0080】
反応混合物は、少なくとも1種の紫外線吸収化合物を含んでもよい。好適な紫外線吸収剤は、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシフェニルトリアジン、オキサニリド、シアノアクリレート、サリシレート、及び4−ヒドロキシベンゾエートに由来する場合があり、これは、(メタ)アクリレートなどの反応性重合性基を組み込むように更に反応する場合がある。重合性基を含む紫外線吸収剤の具体的な実施例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリルイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(Norbloc)、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの5−ビニル及び5−イソプロペニル誘導体、並びに2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール又は2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3−2H−ジベンゾトリアゾールの4−アクリレート若しくは4−メタクリレート、これらの混合物、及び同種のものが挙げられる。紫外線吸収剤が含まれるとき、約0.5〜約4重量%、又は約1重量%〜約2重量%の量で含まれてもよい。
【0081】
重合開始剤は、反応性混合物中に含まれるのが好ましい。重合開始剤としては、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、イソプロピルペルカーボネート、アゾビスイソブチロニトリル及び同種のものなどの、中程度に上昇させた温度にて遊離ラジカルを生じる化合物、芳香族α−ヒドロキシケトン及び第三級アミンにジケトンを加えたものなどの光開始剤系が挙げられる。光開始剤系の例示的な例は、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、及びカンファーキノンとエチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートの組み合わせである。
【0082】
本発明の反応性混合物は、少なくとも1種の光開始剤を含んでもよい。光開始の使用により、約30分未満、約20分未満、又は約15分未満の、望ましい硬化時間(本質的に完全な硬化に達する時間)が与えられる。好適な光開始剤系としては、芳香族α−ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、及び第三級アミンにジケトンを加えたもの、これらの混合物、及び同種のものが挙げられる。光開始剤の例示的な例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、並びにカンファーキノンとエチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートとの組み合わせが挙げられる。市販の可視光開始剤系としては、Irgacure 819、Irgacure 1700、Irgacure 1800、Irgacure 819、Irgacure 1850(すべてCiba Specialty Chemicalsより)及びLucirin TPO開始剤(BASFより入手可能)が挙げられる。市販の紫外線開始剤としては、Darocur 1173及びDarocur 2959(Ciba Specialty Chemicals)が挙げられる。使用されてもよいこれら及び他の光開始剤は、Volume III,Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization,2nd Edition by J.V.Crivello & K.Dietliker;edited by G.Bradley;John Wiley and Sons;New York;1998において開示されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。この開始剤は、反応混合物の光重合を開始するのに有効な量、例えば反応性モノマー100重量部に対して、約0.1〜約2重量部、で反応混合物中で使用される。
【0083】
反応阻害剤が含まれてもよい。遊離基反応阻害剤は、成長ラジカルと速やかに反応して、連鎖を終端させる安定なラジカル種を生成する化合物である。反応阻害剤の分類としては、キノン、置換フェノール、第二級芳香族アミン、ラクトン、及びニトロ化合物が挙げられる。反応阻害剤の具体例としては、BHT、MEHQ、ヒドロキシアミン、ベンゾフラノン誘導体、分子酸素、ビタミンE、一酸化窒素/二酸化窒素混合物(その場でニトロキシドを形成する)、及びこれらの混合物及びこれら組み合わせ、並びに同種のものが挙げられる。
【0084】
いくつかの反応阻害剤が、選択されたモノマーに含まれてもよい。反応阻害剤は、本出願の反応混合物に意図的に添加されてもよい。含まれてもよい反応阻害剤の量は、1gの反応混合物当たり約100〜約2,500μgである。
【0085】
反応混合物の重合は、適切に選ばれた可視光又は紫外線を使用して開始することができる。或いは、例えば電子線を使用することにより光開始剤を使用することなく反応を開始させることもできる。反応開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))などのビスアシルホスフィンオキシド、又は1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)との組み合わせから選択されてもよい。重合の好ましい方法は、可視光である。ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))は、光開始剤である。
【0086】
本発明の反応混合物は、希釈剤を用いずに、すなわち「薄めない(neat)」で形成される。
【0087】
反応性混合物は、薬剤、抗微生物化合物、反応性発色剤、顔料、共重合性及び非重合性染料、離型剤、並びにこれらの組み合わせなどの追加的な成分を含有してもよいが、これに限定されるものではない。
【0088】
反応性成分の組み合わせとしては、約30〜約50重量%のシリコーン含有モノマー(単官能性シリコーン含有モノマーと単官能性ヒドロキシル含有シロキサン成分との両方を含む)、約40〜約60重量の少なくとも1種の遅反応性モノマー、約1〜約15重量%のヒドロキシアルキルモノマー(すべてが、すべての反応性成分の重量%に基づく)を有するものが挙げられる。
【0089】
本発明の反応性混合物は、振盪又は攪拌などの当業者に既知のいずれかの方法で形成することができ、既知の方法によるポリマー物品又はデバイスの形成に使用することができる。
【0090】
例えば、本発明の生物医学用機器は、反応性成分を重合開始剤と混合し、適切な条件によって硬化させることによって調製して、生成物を形成し、その後、旋盤加工、切断及び同種のものによって適切な形状に形成することができる。代替的には、反応性混合物は、成形型に配置した後に硬化させ、適切な物品とすることができる。
【0091】
コンタクトレンズの生産における反応性混合物の加工には、スピンキャスティング及び静的鋳造法(static casting)を含めた様々なプロセスが既知である。スピンキャスティング法については米国特許第3,408,429号及び同第3,660,545号に開示されており、静的鋳造法については米国特許第4,113,224号及び同第4,197,266号に開示されている。本発明のポリマーからのコンタクトレンズの生産方法は、経済的で、かつ水和したレンズの最終的な形状の精密な制御を可能とする、シリコーンヒドロゲルの直接型成形によってもよい。この方法では、反応混合物を所望のシリコーンヒドロゲルの最終形状を有する成形型、すなわち水膨潤ポリマー中に配置し、反応混合物をモノマーが重合する条件に供し、それにより所望の最終製品の形状のポリマーを作製する。
【0092】
図1を参照すると、コンタクトレンズなどの眼科用レンズ100、及び眼科用レンズ100の形成に用いられる成形型部品101〜102の図が図示される。成形型部品は、背面成形型部品101及び前面成形型部品102を備えてもよい。本明細書で使用する場合、用語「前面成形型部品」は、その凹面104が、眼科用レンズの前面を形成するのに用いられるレンズ形成面である、成形型部品を指す。同様に、用語「背面成形型部品」は、その凸面105が、眼科用レンズ100の背面を形成するレンズ形成面を形成する成形型部品101を指す。成形型部品101及び102は凹凸形状であってもよく、好ましくは、成形型部品101〜102の凹凸部の最上端縁部周囲を囲む平面環状フランジを含む。
【0093】
典型的には、成形型部品101〜102は「サンドイッチ」状に配置される。前面成形型部品102は、成形型部品の凹面104が上向きの状態で底部にある。背面成形型部品101は、背面成形型部品101の凸面105が前面成形型部品102の凹部に部分的に突出している状態で、前面成形型部品102の上に対称的に配置することができる。背面成形型部品101は、その凸面105が前面成形型部品102の凹面104の外側縁部に、その周囲全体に係合するような寸法としてもよく、それにより、眼科用レンズ100が形成される封止された成形型空洞を形成するように協働する。
【0094】
成形型部品101〜102は、熱可塑性樹脂で作製されてもよく、重合開始用の化学線に対して透明であり、そのことは、成形型空洞中の反応性混合物の重合を開始するのに有効な照射の強度並びに波長の少なくとも一部、及び時には全てが成形型部品101〜102を通過することができることを意味する。
【0095】
例えば、成形型部品の作製に好適な熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレンなど)、スチレンとアクリロニトリル又はブタジエンとのコポリマー若しくは混合物、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、環状オレフィンコポリマー(Ticonaから入手可能なTopas、又はZeonから入手可能なZeonorなど)、上記の任意のもののコポリマー及びブレンド、又は他の既知の材料を挙げることができる。
【0096】
レンズ100を形成するための反応性混合物の重合の後、レンズ表面103は、典型的には成形型部品表面104に付着するであろう。本発明の工程は、表面103の成形型部品表面からの離型を容易にする。第1の成形型部品101は、脱型プロセスにおいて第2の成形型部品102から分離することができる。レンズ100は、硬化プロセス中に第2の成形型部品102(すなわち、前方湾曲成形型部品)に付着してもよく、分離後、レンズ100が前方湾曲成形型部品102から離型されるまで、第2の成形型部品102に付着した状態で残ってもよい。代替的には、レンズ100は第1の成形型部品101に付着することができる。
【0097】
レンズ100は、溶媒との接触又は乾燥離型を含む任意のプロセスによって成形型から離型されてもよい。例えば、レンズ100及び離型後にレンズが付着する成形型部品は、水溶液と接触されてもよい。水溶液を、水溶液の沸点より低い任意の温度まで加熱することができる。爆発の可能性を最低限にするために、加熱は、熱交換ユニットによって、又は他の可能な手段若しくは液体の加熱のための装置によって達成することができる。
【0098】
本明細書で使用する場合、処理は、レンズを成形型から取り外し、かつ希釈剤を除去又は水溶液と交換する工程を含む。これらの工程は、別々に、又は単一の工程若しくは段階的に行われてもよい。処理温度は、約30℃と水溶液の沸点との間、例えば約30℃〜約95℃、又は約50℃〜約95℃の任意の温度であってもよい。
【0099】
水溶液は、主として水である。水溶液は、少なくとも約70重量%の水、少なくとも約90重量%の水、又は少なくとも約95重量%の水であってよい。この水溶液は、ホウ酸緩衝生理食塩水、ホウ酸ナトリウム溶液、重炭酸ナトリウム溶液及び同種のもの等のコンタクトレンズ包装溶液であってもよい。水溶液はまた、添加剤、例えば、界面活性剤、防腐剤、離型助剤、抗菌剤、薬学的及び栄養学的成分、潤滑剤、湿潤剤、塩類、緩衝剤、これらの混合物、並びに同種のものも含んでもよい。水溶液中に含めてよい添加剤の具体的な例としては、Tween 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、Tyloxapol、オクチルフェノキシ(オキシエチレン)エタノール、アンホテリック(amphoteric)10、EDTA、ソルビン酸、DYMED、グルコン酸クロルヘキシジン、過酸化水素、チメロサール、塩化ポリドロニウム(polyquad)、ポリヘキサメチレンビグアニド、これらの混合物及び同種のものを挙げてもよい。様々な領域が使用される場合、異なる領域に異なる添加剤を含んでもよい。0.01〜10重量%の様々な量で、ただし累積約10重量%未満の量で、添加剤を水和溶液に添加してもよい。
【0100】
眼科用レンズ100の水溶液への曝露は、洗浄、噴霧、加温浸漬、浸漬、又はこれらの任意の組み合わせなどの任意の方法で達成することができる。例えば、レンズ100は水和塔内で脱イオン水を含む水溶液で洗浄することができる。
【0101】
水和塔を使用して、レンズ100を収容する前方湾曲成形型部品102を、パレット又はトレイ内に配置し、垂直方向に積み重ねることができる。水溶液がレンズ100にわたって流下するように、この溶液を積み重ねたレンズ100の一番上に導入することができる。また、塔に沿った様々な位置にこの溶液を導入することもできる。レンズ100を徐々により新しい溶液にさらすように、トレイを上方に移動することができる。
【0102】
代替的には、眼科用レンズ100は、水溶液中に加温浸漬され、又は浸漬されてもよい。
【0103】
接触工程は、最大約12時間、最大約2時間、又は約2分間〜約2時間継続することができるが、接触工程の長さは、任意の添加剤を含むレンズ材料、溶液又は溶媒に用いられる材料、及び溶液温度に依存する。十分な処理時間により、典型的にはコンタクトレンズが収縮し、成形型部品からレンズが離型される。接触時間を長くすると、浸出がより大きくなる。
【0104】
使用される水溶液の量は、レンズ1枚当たり約1mLを超える、いくつかの実施形態ではレンズ1枚当たり約5mLを超える任意の量であってもよい。
【0105】
分離又は脱型後、フレームの一部となる場合がある前側曲線上のレンズは、これらが前側曲線から離型されるときに、コンタクトレンズを受け入れるための個々の凹状の溝が付けられたカップに嵌合する。このカップはトレイの一部であることができる。例として、それぞれ32枚のレンズを搭載するトレイを挙げることができ、このトレイ20枚はマガジン内に積み上げることができる。
【0106】
代替的には、レンズは、水溶液中に浸漬されてもよい。マガジンを積み上げることができ、次いで水溶液を含有するタンクの中に下げることができる。この水溶液もまた、上述したように、他の添加剤を含んでもよい。
【0107】
本発明の眼用デバイス、特に眼用レンズは、これらを特に有用にする、バランスのとれた性質を有する。かかる特性としては、透明性、光学性、含水率、酸素透過性及び前進接触角が挙げられる。したがって生物医学デバイスは、約55%を超える、約60%を超える含水率を有するコンタクトレンズであってもよい。
【0108】
本明細書で使用する場合、透明性は、視認できるヘイズが実質的にないことを意味する。約70%未満、より好ましくは約50%未満、又は約10%未満のヘイズ値を有する透明レンズは、本明細書に記載されるヘイズ試験のうちの1つを使用する。
【0109】
好適な酸素透過性としては、約80バーラーを超えるもの、約85バーラーを超えるもの、又は少なくとも約100バーラーのものが挙げられる。
【0110】
また、生物医学デバイス、特に具体的には眼用デバイス及びコンタクトレンズは、約1034kPa(150psi)未満、又は約689kPa(100psi)未満の弾性率を有する。
【0111】
また、生体医療用機器、特に眼用デバイス及びコンタクトレンズは、約80°未満、約75°未満、又は約70°未満の平均前進接触角を有する。いくつかの実施形態では、本発明の物品は上述した酸素透過率、含水率、及び前進接触角の組み合わせを有する。上記の範囲のすべての組み合わせは、本発明の範囲に含まれるものとみなされる。
【0112】
ヘイズの測定
水和された試験レンズを、周囲温度において平坦な黒い背景上で20×40×10mmの透明なガラスセル内のホウ酸緩衝生理食塩水中に設置し、光ファイバーランプ(電力設定4〜5.4に設定された直径0.5インチの光ガイドを有する、Dolan−Jenner PL−900光ファイバーライト、又はTitan Tool Supply Co.光ファイバーライト)を用いて、レンズセル対して法線に対し66°の角度で下から照明し、レンズプラットフォームから14mm上に設置されたビデオカメラ(Navitar TV Zoom 7000ズームレンズを備えるDVC 1300C:19130 RGBカメラ)を用いて、レンズセルに対して垂直に上からレンズの画像を撮影することによって、ヘイズを測定した。バックグラウンド散乱は、EPIX XCAP V 2.2ソフトウェアを使用して、ブランクセルの画像を差し引くことによって、レンズの散乱から差し引かれる。差し引かれた散乱光画像は、レンズの中心10mmの上方での統合によって、次いで、ヘイズ値0としてレンズが設定されないように、ヘイズ値100に任意に設定された、−1.00ジオプターのCSI Thin Lens(登録商標)との比較によって定量的に分析される。5個のレンズを分析され、標準的なCSIレンズのパーセンテージとしてヘイズ値を生成するように結果が平均化される。レンズは、約150%未満(上記に説明するように、CSIの)、又は約100%未満のヘイズレベルを有する。
【0113】
代替的には、−1.00ジオプターCSI Thin Lenses(登録商標)の代わりに、ストックのラテックス粒子の一連の水性分散液(0.49μm Polystyeneラテックス粒子としてTed Pella、Inc.から製品番号610−30として市販されている−保証済みナノ粒子寸法標準)を、標準として使用することができる。一連の較正サンプルは、脱イオン水中で調製された。様々な濃度のそれぞれの溶液が、キュベット(2mmパスレングス)中に配置され、上記の方法を使用して溶液ヘイズが測定された。
【0114】
【表1】
平均GS=平均グレイスケール
【0115】
濃度(47.1)に対する平均GSのプロットの傾きを、実験的に得られた標準曲線の傾きで除算することによって、修正係数が導出され、この比にレンズに対する測定された散乱値を乗算し、GS値を得る。
【0116】
「CSIヘイズ値」は、以下のように計算されてもよい。
CSIヘイズ値=100×(GS−BS)/(217−BS)
式中、GSはグレイスケールであり、BSは、背景散乱である。
【0117】
含水率
コンタクトレンズの含水率を以下のように測定した。1組3枚のレンズ3組を包装溶液中に24時間静置する。各レンズを湿った拭き取りシートで拭き取り、秤量する。レンズを1.4kPa(0.4インチHg)以下の圧力下で、60℃で4時間乾燥する。乾燥したレンズを秤量する。含水率は次のように計算する。
【0118】
【数1】
【0119】
サンプルに対する含水率の平均及び標準偏差を計算して報告する。
【0120】
弾性率
弾性率は、初期ゲージ高さにまで下げられたロードセルを備えた一定速度移動タイプの引張試験機のクロスヘッドを使用して測定される。好適な試験機としては、Instronモデル1122が挙げられる。長さ1.33cm(0.522インチ)、「耳」幅0.701cm(0.276インチ)、及び「首」幅0.541cm(0.213インチ)の犬用の骨形状のサンプルをグリップに装填し、破断するまで2インチ/分という一定のひずみ速度で引張した。サンプルの初期ゲージ距離(Lo)及び破断時のサンプル長(Lf)を測定する。各組成物ごとに12個の標本を測定し、平均を報告する。伸び(パーセント)は、[(Lf−Lo)/Lo]×100である。応力/ひずみ曲線の初期の直線部分で引っ張り係数を測定する。
【0121】
前進接触角
本明細書に報告するすべての接触角は前進接触角である。前進接触角を以下のように測定した。幅約5mmで中央ストリップをレンズから切り取ることによって、各セットから4個のサンプルを調製し、包装溶液中で平衡化した。サンプルを生理食塩水中に浸漬ながら又は引き出したりしながら、レンズ表面とホウ酸緩衝生理食塩水との間の湿潤力を、Wihelmy微量天秤を使用して23℃で測定する。以下の式
F=2γpcosθ 又は θ=cos−1(F/2γp)
を使用し、式中、Fは湿潤力であり、γはプローブ液体の表面張力であり、pはメニスカスにおけるサンプルの周長であり、θは接触角である。前進接触角は、包装溶液中にサンプルが浸漬されつつあるときの湿潤実験部分から得られる。各サンプルについて4回繰返し、結果の平均をとってレンズの前進接触角を得た。
【0122】
酸素透過性(Dk)
Dkは以下のようにして測定される。直径4mmの金陰極及び銀リング陽極からなるポーラログラフィー酸素センサー上にレンズを位置付け、次いでメッシュ支持体で上面を覆う。レンズを加湿した2.1% Oの雰囲気に曝す。レンズを通って拡散する酸素をセンサーによって測定する。複数のレンズを互いに重ねて厚さを増加させるか、さらに厚いレンズを使用する。厚さの値が大きく異なる4個のサンプルのL/Dkを測定し、厚さに対してプロットする。回帰直線勾配(regressed slope)の逆数がサンプルのDkである。参照値は、この方法を使用して市販のコンタクトレンズについて測定した値である。Bausch & Lombより販売されるバラフィルコンAレンズは約79バーラーの測定値を示す。Etafilconレンズは、20〜25バーラーの測定値を示す。(1バーラー=10−10(cmの気体×cm)/(cmのポリマー×sec×cm Hg))。
【0123】
取り込み(リゾチーム、リポカリン、ムチン)
リゾチームの取り込みは、以下のように測定した:リゾチームの取り込み試験に使用されたリゾチーム溶液は、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD−ブドウ糖を補ったホスフェート生理食塩水緩衝液の中に、2mg/mLの濃度で可溶化したニワトリの卵白(Sigma、L7651)からのリゾチームを含んでいた。
【0124】
各実施例について、3枚のレンズがそれぞれのタンパク質溶液を使用して試験され、3枚が対照溶液としてのPBS(ホスフェート生理食塩水緩衝液)を使用して試験された。試験レンズを、滅菌ガーゼの上で包装溶液を除去するために拭き取り、減菌鉗子を使用して、各ウェルが2mLのリゾチーム溶液を含む、減菌した24個のウェルの細胞培養プレート(ウェル当たり1枚のレンズ)へ、無菌状態で移動した。各レンズを溶液中に完全に浸した。対照として、コンタクトレンズを含まない1つのウェルに2mLのリゾチーム溶液を配置した。
【0125】
レンズを含むプレート及びタンパク質溶液のみを含む対照用プレート及びPBS中のレンズは、蒸発と脱水を防ぐためパラフィルムでシールし、軌道振とう器上に配置し、35℃で、100rpmで攪拌しながら、72時間培養した。72時間の処理期間の後、レンズを約200mLの容積のPBSを含む3個の別々のバイアル瓶に浸し3〜5回洗浄した。レンズを、紙タオルの上で拭き取り過剰のPBS溶液を除去し、減菌した円錐形チューブに移した(チューブ当たり1枚のレンズ)。各チューブは、各レンズの組成から予想されるリゾチーム取り込み量の推定を基に決められる量のPBSを含んでいた。検査される各チューブ内のリゾチーム濃度は、製造業者が記載している(0.05マイクログラム〜30マイクログラム)アルブミン標準レンジ内であることが必要である。レンズ当たり100μg未満のリゾチームレベルを取り込むことが分かっているサンプルは、5倍に希釈した。レンズ(etafilcon Aレンズなど)当たり500μgを超えるリゾチームレベルを取り込むことが分かっているサンプルは、20倍に希釈した。
【0126】
etafilcon以外の全てのサンプルに対して、1mLのアリコートのPBSを使用した。etafilcon Aレンズに対しては、20mLを使用した。各対照レンズについては、ウェルプレートがリゾチーム溶液の代わりにPBSを含むこと以外は、同じように処理した。
【0127】
リゾチームの取り込みは、オンレンズ・ビシンコニン酸法により、QP−BCAキット(Sigma、QP−BCA)を使用し、製造業者の説明する手順に従って測定し(標準前処理はキットに記載されている)、リゾチーム溶液に加温浸漬したレンズについて測定した光学密度から、PBSに加温浸漬したレンズについて測定した光学密度(バックグラウンド)を減じて計算した。
【0128】
光学密度は、562nmの光学密度を読み取る能力のある、SynergyIIマイクロプレートリーダにより測定した。
【0129】
リポカリンの取り込みは、次の溶液及び方法を使用して測定した。リポカリン溶液は、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD−ブドウ糖を補ったホスフェート生理食塩水緩衝液(Sigma、D8662)に、2mg/mLの濃度で可溶化したウシのミルク(Sigma、L3908)からのBラクトグロブリン(リポカリン)を含んでいた。
【0130】
各実施例について、3枚のレンズがリポカリン溶液を使用して試験され、3枚が対照溶液としてのPBSを使用して試験された。テストレンズを、滅菌ガーゼの上で包装溶液を除去するために拭き取り、減菌鉗子を使用して、各ウェルが2mLのリポカリン溶液を含む、減菌した24個のウェルの細胞培養プレート(ウェル当たり1枚のレンズ)へ、無菌状態で移動した。各レンズを溶液中に完全に浸した。対照レンズは、リポカリンの代わりに、加温浸漬液としてPBSを使用して準備した。リポカリン溶液中に浸したレンズを含むプレート及びPBS中に浸した対照レンズを含むプレートは、蒸発と脱水を防ぐためパラフィルムでシールし、軌道振とう器上に配置し、35℃で、100rpmで攪拌しながら、72時間培養した。72時間の処理期間の後、レンズを約200mLの容積のPBSを含む3個の別々のバイアル瓶に浸し3〜5回洗浄した。レンズを、紙タオルの上で拭き取り、過剰のPBS溶液を除去し、各ウェルが1mLのPBS溶液を含む、減菌した24個のウェルプレートに移動した。
【0131】
リポカリンの取り込みは、オンレンズ・ビシンコニン酸法により、QP−BCAキット(Sigma、QP−BCA)を使用し、製造業者の説明する手順により測定し(標準前処理はキットに記載されている)、リポカリン溶液に浸したレンズについて測定した光学密度から、PBSに浸したレンズについて測定した光学密度(バックグラウンド)を減じて計算した。光学密度は、562nmの光学密度を読み取る能力を有する、SynergyIIマイクロプレートリーダにより測定した。
【0132】
ムチンの取り込みは、次の溶液及び方法を使用して測定した。ムチン溶液は、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD−ブドウ糖を補ったホスフェート生理食塩水緩衝液(Sigma、D8662)に、2mg/mLの濃度で可溶化したウシの顎下腺(Sigma、M3895−type 1−S)からのムチンを含んでいた。
【0133】
各実施例について、3枚のレンズがムチン溶液を使用して試験され、3枚が対照溶液としてPBSを使用して試験された。テストレンズを、滅菌ガーゼの上で包装溶液を除去するために拭き取り、減菌鉗子を使用して、各ウェルが2mLのムチン溶液を含む、減菌した24個のウェルの細胞培養プレート(ウェル当たり1枚のレンズ)へ、無菌状態で移動した。各レンズを溶液中に完全に浸した。対照レンズは、リポカリンの代わりに、加温浸漬液としてPBSを使用して準備した。
【0134】
ムチン溶液中に浸漬したレンズを含むプレート及びPBS中に浸した対照レンズを含むプレートは、蒸発と脱水を防ぐためパラフィルムでシールし、軌道振とう器上に配置し、35℃で、100rpmで攪拌しながら、72時間培養した。72時間の処理期間の後、レンズを約200mLの容積のPBSを含む3個の別々のバイアル瓶に浸し3〜5回洗浄した。レンズを、紙タオルの上で拭き取り、過剰のPBS溶液を除去し、各ウェルが1mLのPBS溶液を含む、減菌した24個のウェルプレートに移動した。
【0135】
ムチンの取り込みは、オンレンズ・ビシンコニン酸法により、QP−BCAキット(Sigma、QP−BCA)を使用し、製造業者の説明する手順により測定し(標準前処理はキットに記載されている)、ムチン溶液に浸したレンズについて測定した光学密度から、PBSに浸したレンズについて測定した光学密度(バックグラウンド)を減じて計算される。光学密度は、562nmの光学密度を読み取る能力を有する、SynergyIIマイクロプレートリーダにより測定した。
【0136】
成分に対する動力学的半減期は、以下のように決定することができる。それぞれの動力学的な実施例に対する成分は、秤量されて、20mLの琥珀色のボロシリケートガラスシンチレーションバイアル瓶(Wheaton 320ブランド、カタログ番号80076−576、又は同等品)内に入れられた。バイアル瓶は、キャップ(PTFEライニング付きグリーンキャップ、Qorpak、供給元番号5205/100、カタログ番号16161−213を使用して)を付け、すべての固体が溶解され、均質な混合物が得られるまで、ジャーローラー上で転動させた。
【0137】
脱気
反応性モノマー混合物は、真空下で、黄色灯下で、7〜10分間脱気され、真空を中断した後、窒素でバックフィルした。バイアル瓶を、迅速にキャップ付けし、図2に示すように、2つのコンパートメントの窒素硬化ボックスのうちのコンパートメント1内に、ゲート付きの開口部、7を介して配置した。コンパートメント1内の状態は、室温で、<0.5%の酸素濃度(連続的な窒素パージを使用)である。
【0138】
窒素硬化ボックス−コンパートメント2
両方のコンパートメント内の酸素濃度は、連続的な/一定の窒素パージによって維持された。コンパートメント2内の温度は、加熱器(COY,Laboratory Products Inc.)で維持された。窒素硬化ボックスは、それぞれの運動学の研究を実施するために、最低でも4時間前に均衡化することができた。脱気した反応性混合物(緊密にキャップをした琥珀色のバイアル瓶)は、均衡化期間の間、コンパートメント1内に配置された。
【0139】
光源及び強度の設定
図3に示すように、それぞれ2つの蛍光ランプ(Philips TLK 40W/03、58cm)を装備する、2つの蛍光灯器具設備(Lithonia Lighting Fluorescent Luminaire(ガス電子管照明装置)、60cm×10.5cm)が、平行に配設された。硬化強度は、光源に対して棚の高さを調節する(図2及び図3に示す)ことによって弱められる。所与の棚の高さにおける強度は、図3に示すように、サンプルの位置と一致した鏡面上で、較正された線量計/測光器のセンサーを定置することによって測定された。センサーは、4つのランプの配設では、第2のランプと第3のランプとの間の空間の真下に配置された。
【0140】
較正された化学てんびん(少数第4位)を使用して、キャップ(ポリエチレンインサート付きの白いキャップ)付きの透明ホウケイ酸ガラスシンチレーションバイアル瓶(Wheaton 986541)の重量を測定した。キャップ付きのバイアル瓶は、窒素硬化ボックスのコンパートメント1へ移された。キャップを捩じって外し、較正された10〜100μLのEppendorfピペットを使用して、100μLの反応性モノマー混合物をバイアル瓶内へ移した。バイアル瓶は、緊密にキャップを付けられ、ドア6を介して迅速にコンパートメント2内へ移動され、図2に示すように鏡面4上に配置された。サンプルは、4つのランプの配設の、第2のランプと第3のランプとの間の空間の真下に配置された。光源3をオンにし、サンプルを特定された期間暴露した。光源を4〜5mW/cmに設定しても、サンプルのガラスバイアル瓶上のキャップのせいで、サンプルに到達する実際の強度は、0.7〜1.3mW/cmである。暴露後、光源3を、オフにして、差によってサンプルの重量を測定するために、バイアル瓶(キャップ付き)を再度秤量した。較正された500〜5000μLのEppendorfピペットを使用して、10mLのHPLC等級のメタノールをバイアル瓶に添加した。
【0141】
反応性モノマー混合物のアリコート(100μL)を、別個のホウケイ酸ガラスシンチレーションバイアル瓶内へピペットで移し、サンプルを生成するために以下の最少時点(分):0、0.25、0.50、0.75、1、2、4、6、8、10、で上記の手順を実施した。
【0142】
硬化したポリマーは、室温でゆっくりと振盪することによって、メタノール中で一晩抽出された。
【0143】
下記の手順を使用して、抽出物を、残留成分についてUV検出法(HPLC/UV)を用いた高速液体クロマトグラフィーによって分析した。
【0144】
抽出物中のmPDMSの定量は、典型的には1μg/mL〜800μg/mLの範囲を対象とし、外部検量線サンプル(約6〜11、n=6オリゴマーの応答を使用)に対して、実施された。抽出物中のmPDMSの濃度が検量線範囲外である場合、より正確な定量のために、メタノールで抽出物を希釈して、濃度を検量線範囲内にした。
【0145】
クロマトグラフの条件
カラム:Agilent Zorbax Eclipse XDB18、4.6×50mm×1.8μm
カラム温度:30℃
紫外線検出器:217nm
注入量:20μL
移動相
溶離剤A:脱イオン水
溶離剤B:アセトニトリル
溶離剤C:イソプロパノール
流量:1mL/分
【0146】
【表2】
【0147】
抽出物内のmPDMS以外の成分の定量は、典型的には1μg/mL〜800μg/mLの範囲を対象とし、外部検量線サンプル(約6〜11)に対して、実施された。抽出物中の成分の濃度が検量範囲外である場合、より正確な定量のために、メタノールで抽出物を適切に希釈して、濃度を検量線範囲内にした。
【0148】
クロマトグラフの条件
カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus 18、4.6×75mm×1.8μm
カラム温度:30℃
紫外線検出器:217nm
注入量:5μL
移動相
溶離剤A:0.05% HPOを含む脱イオン水
溶離剤B:0.05% HPOを含むアセトニトリル
溶離剤C:メタノール
流量:1mL/分
【0149】
【表3】
【0150】
計算
1.各時点において、以下の値が決定される。
サンプル抽出物中のそれぞれの成分の濃度(μg/mL)
以下のように、サンプル重量のパーセントで表示される、サンプル抽出物中のそれぞれの成分の濃度。
%成分=[(μg/mL抽出物の容積*希釈係数10−6g/μg)/(gサンプル重量)]100
存在する未反応成分のパーセント、Tに対するパーセントで表示(Tは、100%未反応成分示す)
における%=(Tで測定された%/Tで測定された%)100
2.上記で計算した%成分を使用して、μmol/gでのそれぞれの成分の濃度が、以下のように計算される。
μmol/g=(%成分10)/(成分の分子量)
3.工程2において、μmol/gで決定したそれぞれの成分の濃度を使用して、Timeにおける濃度が
Log[A]/[A]で決定され、
式中、[A]は、成分Aのx分における濃度であり、
[A]は、成分Aの0分における濃度(T)である。
Log[A]/[A]の表示は、それぞれの時点で決定された。
【0151】
それぞれの成分に対して重合反応速度と半減期との両方を決定するために一次速度式を仮定した。以下の式が使用された:重合速度の計算用に
Log[A]/[A]=−kt/2.303
そして半減期の計算用に
ln[A]/[0.5A]=kt1/2又はt1/2=0.693/k
それぞれの成分について、Log[A]/[A]対時間(分)のプロットが作成される。典型的には、直線的増加に最も良好に対応する(より短い硬化時間)データ点(x,y)がプロットされ、データは直線式にフィッティングされた。
【0152】
勾配を使用して、以下の式によりそれぞれの成分の動力学速度定数(k)の値が求められた。
k(min−1)=勾配−2.303
【0153】
それぞれの成分の半減期(分)は、以下の式により求められた。
1/2=0.693/k
【0154】
それぞれの成分に対して求められた半減期は、各時点において、Tに対する、それぞれの成分のパーセントに対して生成されたデータと、比較された。典型的には、それぞれの成分に対して、50%の消費に達するのにかかる時間は、一次速度式に基づいた半減期に近い。この2つが著しく異なる場合、(典型的には約1分未満の半減期に対して約30%、約2.5分未満の半減期に対して25%だが1分を超える、及び2.5分を超える半減期に対して20%)、データ点(x,y)は、測定した値とより一貫性のある(20%以内)半減期(一次の考慮に基づいて)を与えることになる動力学速度定数(k)を生成するために再評価された。
【0155】
以下の実施例は本発明を更に説明するものであるが発明を限定するものではない。これらの例は、本発明を実施する方法を提案するものにすぎない。ソフトコンタクトレンズ、及び他の専門分野に精通した当業者は、本発明を実行する他の方法を見出すことができる。しかしながら、これらの方法は本発明の範囲に含まれるものとみなされる。
【0156】
実施例で用いられるその他材料の一部は以下のとおりである。
【実施例】
【0157】
以下の実施例では次の略記を使用する。
【0158】
【表4】
【0159】
(実施例1〜5)
反応混合物が、表1に列記された成分を混合することによって形成され、周囲温度で約17(±3)分間真空をかけることによって脱気された。次いで、反応混合物(75μL)は、<0.5% Oで、RT(コンパートメント1、図1)において、Nボックス中で、最低でも投与前12時間脱気されている、熱可塑性樹脂製コンタクトレンズ成形型(FC−Zeonor、BCポリプロピレン)内に、室温で投与された。BCは、FC成形型上に配置され、8 BC/FCアセンブリをパレット内で生産した。8つのパレットが組み立てられ、硬化コンパートメント(コンパートメント2、図1)内へと運び込まれた。成形型アセンブリは、鏡面上に配置され、石英プレート(厚さ0.50mm)がBC成形型の上に配置された。レンズは、18分間、4〜5mW/cmの強度で、<0.5% Oで、50〜55℃で硬化された。
【0160】
レンズ成形型は分離された。レンズは、前方湾曲成形型内に残され、FC成形型の下側を叩くことによって乾燥離型された。
【0161】
レンズは、ガラスジャー内の脱イオン水中で、周囲温度で転動させながら90分間、抽出された(500mL中に64個のレンズ)。レンズは、レンズバイアル瓶内のホウ酸緩衝包装溶液中に保存され、122℃で30分間滅菌された。
【0162】
【表5】
モル比
【0163】
実施例5のブレンドは、わずかに曇りがあり、反応混合物の僅かな不均一性を示している。実施例1及び4のレンズの特性は、下記の表2に示される。
【0164】
【表6】
【0165】
実施例1からのレンズは脆性で、いくつかのレンズは、レンズ成形型からの機械的な離型の間に破損し、又はひびが入った。PDMSの濃度が増加すると、観察した脆さのレベルは低減し、乾燥したレンズの離型及び取り扱いのレベルは増加した。15重量%のmPDMSを含有し、mPDMS:HOmPDMSのモル比が0.37である実施例4は、良好な離型及び脱型を示す。実施例4のレンズは、望ましい含水率、ヘイズ、及びDkも示す。
【0166】
(実施例6〜10)
レンズは、実施例1〜5に記載される手順を使用して作製されたが、処方は、表3に示される。
【0167】
【表7】
【0168】
【表8】
【0169】
すべてのレンズは、低いヘイズ値を示し透明であり、水和したとき滑らかに感じられる。実施例10からのレンズは脆性で、離型時にいくらか破損し、ひびが入った。実施例8及び9のレンズは、約689kPa(100psi)より低い弾性率を示し、これはソフトコンタクトレンズ用途には望ましい。実施例6〜11の一連は、最高約0.8重量%(反応性成分100g当たり1.8mmol)の架橋剤濃度を示し、そしていくつかの場合には架橋剤濃度が約0.2〜約0.6重量%(反応性成分100gの当たり0.6〜2.4mmol)であり、望ましい弾性率を提供する。
【0170】
(実施例11)
実施例10のようにレンズが作製され、下記のイソプロパノール「ステップダウン」を使用して次の極性溶媒PSの中でレンズを抽出した。
25/75 iPA/HO(10分間)、HO(30分間)、HO(10分間)、HO(10分間)。
特性は、上記の表4に示される。
【0171】
(実施例12〜16)
コンタクトレンズは、表5の処方から、実施例1〜5に記載された手順を使用して作製された。
【0172】
【表9】
【0173】
実施例12のレンズは、成形型から機械的に離型するのが困難であり、包装溶液中で曇った。実施例12のレンズの特性は、測定されなかった。実施例13〜16のレンズの特性が測定され、表6に報告された。
【0174】
【表10】
【0175】
実施例12〜16は、希釈剤を用いない処方で、HEMAなどのヒドロキシルアルキルメタクリレートのレベルを増加するころがヘイズレベルを減少し、結果として得られるレンズの歪みを減少し、成形型からの機械的な離型を改良することを示す。
【0176】
HO:Si比(HEMAとHO−mPDMSとの両方を含む)は、実施例12に対して0.11であり、一方で実施例13〜16に対してその比は、0.17(実施例13)〜0.33(実施例16)の範囲である。
【0177】
(実施例17〜19)
コンタクトレンズは、表7の処方から、実施例1〜5に記載される手順を使用して作製された。特性が測定され、表8に報告される。
【0178】
【表11】
HO:Si=RMM中のすべてのヒドロキシル
【0179】
【表12】
【0180】
実施例17のレンズは、良好な特性のバランスを示すが、機械的な離型に対してもろい。レンズの約25%は、水和時に破壊を示し、いくつかのレンズは、機械的な離型時に後方湾曲成形型上に残った。
【0181】
実施例18及び19のレンズは、高いmPDMSの濃度及びSi含有量を有した。これらのレンズは、水和したレンズに破壊が見られること無しに、優れた機械的な離型、及び望ましいレンズ特性のバランスを示した。実施例19のレンズは、98のDk及び50%を超える含水率を示した。
【0182】
比較実施例1及び実施例20〜27
レンズは、表9の処方から、実施例1〜5に記載される手順を使用して作製された。特性が測定され、表10に示される。生体データ(リポカリン、ムチン、リゾチーム取り込み、及びリゾチーム活性)も測定され、表12に示される。
【0183】
【表13】
【0184】
【表14】
【0185】
【表15】
【0186】
実施例21〜26のすべてのレンズは、レンズ特性及び取り込み特性の望ましいバランスを示した。
【0187】
実施例27のレンズは、硬化後はハードであり、もろく、機械的な乾燥離型の間に破損した。しかしながら、実施例27のレンズは、70/30 IPA/水を使用して、うまく離型した。
【0188】
(実施例29〜33)
レンズは、表13の処方から、実施例1〜5に記載される手順を使用して作製された。特性が測定され、表14に示される。
【0189】
【表16】
【0190】
【表17】
【0191】
実施例29及び30のレンズは、望ましい特性のバランスを示した。処方中のNVPの濃度が約40重量%未満に下がると、前進接触角(DCA)は、80°を超えて増加し、これは、コンタクトレンズに対しては、表面改質又はコーティング無しでは望ましくない。驚くべきことに、すべての処方が5重量%のPVP(K90)を含有すると、PVPを含まない処方から作製されたコンタクトレンズの湿潤性の劇的な改良を示した。この一連では、HO−mPDMSの濃度も、実施例29での25重量%から実施例33での45重量%へと増加した実施例32では、807kPa(117psi)の弾性率を示し、これは一部のコンタクトレンズ向けに辛うじて許容できるが、架橋剤含有量を低減することによって調節できる可能性がある。実施例33では、1027kPa(149psi)の弾性率を示し、これは望ましくないほど高いが、架橋剤濃度を低減することによって、実施例28のように低減できる可能性がある。
【0192】
(実施例34〜39)
レンズは、表15の処方から、実施例1〜5に記載される手順を使用して作製された。特性が測定され、表16に示される。
【0193】
【表18】
【0194】
【表19】
【0195】
実施例−33と同様に、約40重量%未満のNVPを含有する処方では、約80°未満の前進接触角を示さなかった。また、実施例37及び39も考慮すると、約32重量%を超えるHO−mPDMSの濃度は、いくつかの場合では望ましい弾性率より高い可能性がある弾性率を示す。架橋剤濃度の低減、HO−mPDMS濃度の低減、又は組合せによって、これらの弾性率は低減する可能性がある。
【0196】
実施例40〜43、並びに比較実施例1及び2
コンタクトレンズは、表17 3に列記された処方から、実施例1〜5に記載される方法を使用して作製された。レンズの特性が測定され、下記の表18に示される。
【0197】
【表20】
【0198】
【表21】
【0199】
実施例40〜43のレンズは、望ましいヘイズ及び湿潤性、並びに他の望ましい特性のバランスを示す。実施例42及び43は、SA2、メタクリルアミドシリコーン含有成分を使用して作製される。これらの実施例のそれぞれは、約2より大きい、遅反応性の親水性モノマーの半減期:シリコーン含有成分の半減期の割合を有する。比較実施例1及び2では、NVPの代わりにDMAを使用し、望ましい接触角が示されない。
【0200】
比較実施例2(372kPa(54psi)、Norblocあり)と比較実施例3(538kPa(78psi)、Norblocなし)との弾性率を比較すると、Norblocを含むことによって発生するTEGDMAに対する反応性の割合の変化が、結果として得られるポリマーのネットワーク内の架橋を低減するのに十分であることを見ることができる。したがって、所望のポリマー構造及び弾性率を達成するためには、架橋剤の量を変化させることに加えて、異なる反応性比の架橋剤を選ぶこともできる。同一の挙動が、実施例42及び43のSA2/NVP含有処方を比較しても観察される。
【0201】
(実施例44〜49)
レンズは、表84に示される処方を使用して作製された。反応混合物は、周囲温度で約17(±3)分間真空をかけることによって脱気された。反応混合物(75μL)は、次いで室温において、<0.1% Oで、熱可塑性樹脂製コンタクトレンズ成形型(FC−Zeonor、BCポリプロピレン)内に投与され、その成形型は、投与の前にRT(コンパートメント1、図1)における、Nボックス内で、最低12時間脱気された。BC成形型は、FC成形型上に配置され、レンズは、コンパートメント2内へと移動され、4〜5mW/cmの強度、<0.1%のO、及び62〜65℃で、20分間硬化された。
【0202】
すべてのレンズ用の成形型は、機械的に分離され、レンズは、FC成形型内に留まった。レンズは、前側曲線の背面を押すことによって、乾燥離型した。レンズは、脱イオン水中で抽出された。
【0203】
すべてのレンズは、レンズバイアル瓶内のホウ酸緩衝包装溶液中に保存され、122℃で30分間滅菌された。
【0204】
レンズ特性が測定され、表20に示される。
【0205】
【表22】
【0206】
【表23】
【0207】
望ましい特性のバランスを有するレンズは、VMAと、VMAとNVPの混合物とを含む処方から作製された。
【0208】
〔実施の態様〕
(1) 約8〜約17重量%のケイ素を含み、表面改質のない状態で約80°未満の前進動的接触角を有する、シリコーンヒドロゲルであって、
7〜120個のジアルキルシロキサン反復単位を有する、少なくとも1種の単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーであって、任意に少なくとも1種のヒドロキシル基で置換される場合がある、単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーと、
前記単官能性ポリジアルキルシロキサンが、少なくとも1種のヒドロキシルを含まない場合に、少なくとも1種の単官能性ヒドロキシル含有シロキサンモノマーを含むという条件付きの、任意の、7個未満のジアルキルシロキサン反復単位、トリアキルシロキサン基又はこれらの組み合わせを有する1種又は2種以上の単官能性ヒドロキシル含有シロキサンモノマーと、
約40〜約60重量%の少なくとも1種の遅反応性の親水性モノマーと、
少なくとも1種のヒドロキシル含有の親水性モノマーと、を含む反応性混合物から形成され、前記遅反応性の親水性モノマーに対するヒドロキシル含有成分のモル比が、約0.15〜約0.4であり、前記反応性混合物が希釈剤を含まない、シリコーンヒドロゲル。
(2) 約8〜約17重量%のケイ素を含み、表面改質のない状態で約80°未満の前進動的接触角を有する、シリコーンヒドロゲルであって、
2〜120個のジアルキルシロキサン反復単位を有する、少なくとも1種のヒドロキシル置換された単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーと、
前記単官能性ヒドロキシル含有シロキサンモノマーが、4個未満のジアルキルシロキサン反復単位を有するか、又はこれが以下の式IXである場合に、7〜120個のジアルキルシロキサン反復単位を有する少なくとも1種の単官能性シロキサンモノマーを含むという条件付きの、任意の、7〜120個のジアルキルシロキサン反復単位を有する1種又は2種以上の単官能性シロキサンモノマーであって、式IXは、
【0209】
【化9】
であって、Xが、O又はNR16であり、
12が、H又はメチルであり、
15が、C〜Cアルキルであり、
pが、4〜20であり、
17が、独立して、フッ素置換される場合があるC〜Cアルキル、又はフェニル、又はトリメチルシロキシ基であり、
18が、少なくとも1種のヒドロキシル基で置換された二価のアルキル基であり、
Xが、O又はNR16であり、R16が、H、C1〜4アルキルから選択される、単官能性シロキサンモノマーと、
約40〜約60重量%の少なくとも1種の遅反応性の親水性モノマーと、
少なくとも1種のヒドロキシル含有の親水性モノマーと、を含む反応性混合物から形成され、前記遅反応性の親水性モノマーに対するヒドロキシル含有成分のモル比が約0.15〜約0.4であり、前記反応性混合物が希釈剤を含まない、シリコーンヒドロゲル。
(3) 前記少なくとも1種の遅反応性の親水性モノマーが、最も遅い単官能性シリコーン成分に対する動力学的半減期(kinetic half-life)の少なくとも2倍である動力学的半減期を有する、実施態様1又は2に記載のシリコーンヒドロゲル。
(4) 約8〜約15重量%のケイ素を含む、実施態様1〜3のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(5) 前記単官能性シロキサンモノマーが、7〜60個のジアルキルシロキサン反復単位を含む、実施態様1〜4のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
【0210】
(6) 前記単官能性シロキサンモノマーが、7〜30個のジアルキルシロキサン反復単位を含む、実施態様4に記載のシリコーンヒドロゲル。
(7) 前記単官能性シロキサンモノマーが、1つ又は2つのヒドロキシル基を含む、実施態様1〜6のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(8) 前記ヒドロキシルが、単官能性反応性端部又は末端部のいずれかの近くに位置する、実施態様7に記載のシリコーンヒドロゲル。
(9) 前記シリコーンヒドロゲルが、約45〜約60重量%のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドを含む、実施態様1〜8のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(10) 少なくとも約60のDkを更に有する、実施態様1〜9のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
【0211】
(11) 少なくとも約80のDkを更に有する、実施態様10に記載のシリコーンヒドロゲル。
(12) 少なくとも約55%の含水率を更に有する、実施態様1〜11のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(13) 少なくとも約60%の含水率を更に有する、実施態様12に記載のシリコーンヒドロゲル。
(14) 約50%未満のヘイズ(%)を更に有する、実施態様1〜13のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(15) 約10%未満のヘイズ(%)を更に有する、実施態様14に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0212】
(16) 約827kPa(120psi)未満の弾性率(modulus)を更に有する、実施態様1〜15のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(17) 約689kPa(100psi)以下の弾性率を更に有する、実施態様16に記載のシリコーンヒドロゲル。
(18) 前記遅反応性の親水性モノマーが、(メタ)アクリルアミド類、ビニル類、アリル類、及びこれらの組み合わせ、からなる群から選択される反応基を含む、実施態様1〜17のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(19) 前記遅反応性の親水性モノマーが、ビニル類、アリル類、及びこれらの組み合わせ、からなる群から選択される反応基を含み、前記単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマー、及び前記単官能性ヒドロキシル含有シロキサンモノマーが、(メタ)アクリレート類、スチリル類、アミド類、及びこれらの混合物からなる群から選択される反応基を含む、実施態様1〜18のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(20) 前記遅反応性の親水性モノマーが、N−ビニルアミド類、O−ビニルカルバメート類、O−ビニルカーボネート類、N−ビニルカルバメート類、O−ビニルエーテル類、O−2−プロペニル、からなる群から選択される反応基を含み、前記ビニル基又はアリル基が、メチル基と更に置換される場合がある、実施態様1〜19のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
【0213】
(21) 前記遅反応性の親水性モノマーが、ヒドロキシル類、アミン類、エーテル類、アミド類、アンモニウム基、カルボン酸、カルバメート類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の親水性基を含む、実施態様1〜20のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(22) 前記遅反応性の親水性モノマーが、ヒドロキシル類、エーテル類、アミド類、カルボン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の親水性基を含む、実施態様21に記載のシリコーンヒドロゲル。
(23) 前記遅反応性の親水性モノマーが、式IのN−ビニルアミドモノマー、式II〜式IVのビニルピロリドン、式Vのn−ビニルピペリドンから選択され、
【0214】
【化10】
式中、Rは、H又はメチルであり、
、R、R、R、R、R10、及びR11は、H、CH、CHCH、CHCHCH、C(CHから独立して選択され、
及びRは、CH、CHCH及びC(CH)から独立して選択され、
は、H、メチル、エチルから選択され、
は、CH=CH、CCH=CH、及びCH=CHCHから選択される、実施態様1又は2に記載のシリコーンヒドロゲル。
(24) 前記遅反応性の親水性モノマーが、式II若しくは式IVの前記ビニルピロリドン、又は式Iの前記N−ビニルアミドモノマーから選択され、かつR及びRの炭素原子の総数が4以下である、実施態様23に記載のシリコーンヒドロゲル。
(25) 前記遅反応性の親水性モノマーが、式III又は式IVのビニルピロリドンから選択され、Rはメチルであり、Rは水素であり、RはCH=CHであり、R10及びR11はHである、実施態様23に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0215】
(26) 前記遅反応性の親水性モノマーが、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、N−ビニルピロリドン(NVP)、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド(VMA)、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、アリルアルコール、N−ビニルカプロラクタム、N−2−ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N−カルボキシ−β−アラニンN−ビニルエステル、N−カルボキシビニル−β−アラニン(VINAL)、N−カルボキシビニル−α−アラニン、及びこれらの混合物、から選択される、実施態様1〜22のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(27) 前記遅反応性の親水性モノマーが、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、及びこれらの混合物、からなる群から選択される、実施態様26に記載のシリコーンヒドロゲル。
(28) 前記遅反応性の親水性モノマーが、NVP、VMA、及び1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドンからなる群から選択される、実施態様27に記載のシリコーンヒドロゲル。
(29) 前記遅反応性の親水性モノマーがNVPを含む、実施態様1〜28のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(30) 前記ヒドロキシアルキルモノマーが、式Xのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドモノマー、又は式XIのスチリル化合物、から選択され、
【0216】
【化11】
式中、Rは、H又はメチルであり、
Xは、O又はNR16であり、R16は、H、少なくとも1種のOHで更に置換される場合があるC〜Cアルキルであり、
17は、C〜Cモノヒドロキシ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択される、実施態様1〜29のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
【0217】
(31) RはH又はメチルであり、Xは酸素であり、Rは、C〜Cモノヒドロキシ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び1〜10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択される、実施態様30に記載のシリコーンヒドロゲル。
(32) Rはメチルであり、Xは酸素であり、Rは、C〜Cモノヒドロキシ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び2〜20個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択される、実施態様30に記載のシリコーンヒドロゲル。
(33) 前記ヒドロキシアルキルモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル−2−(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ビス−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様30に記載のシリコーンヒドロゲル。
(34) 前記ヒドロキシアルキルモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様33に記載のシリコーンヒドロゲル。
(35) 前記ヒドロキシアルキルモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、及びこれらを含む混合物を含む、実施態様34に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0218】
(36) 前記単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーは、式VIのモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンモノマー、又は式VIIの前記スチリルポリジアルキルシロキサンモノマーから選択され、
【0219】
【化12】
式中、R12は、H又はメチルであり、
Xは、O又はNR16であり、
13は、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基によって更に官能化される場合がある二価のアルキル基であり、
それぞれのR14は、独立して、フッ素置換される場合があるC〜Cアルキル、又はフェニルであり、
15は、C〜Cアルキルであり、
aは、7〜120であり、
16は、H、1つ又は2つ以上のヒドロキシル基で更に置換される場合がある、C1〜4、から選択される、実施態様1〜35のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(37) それぞれのR14が、エチル基及びメチル基から独立して選択される、実施態様36に記載のシリコーンヒドロゲル。
(38) すべてのR14がメチルである、実施態様36に記載のシリコーンヒドロゲル。
(39) R12及びそれぞれのR14がメチルである、実施態様36に記載のシリコーンヒドロゲル。
(40) 少なくとも1種のR14が、3,3,3−トリフルオロプロピルである、実施態様36に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0220】
(41) R13は、エーテル、ヒドロキシル及びこれらの組み合わせで置換される場合があるC1〜C6アルキレン基から選択される、実施態様36に記載のシリコーンヒドロゲル。
(42) R13は、エーテル、ヒドロキシル、及びこれらの組み合わせで置換される場合があるC又はC3〜6アルキレン基から選択される、実施態様36に記載のシリコーンヒドロゲル。
(43) aが、7〜30である、実施態様36に記載のシリコーンヒドロゲル。
(44) R16が、H又はメチルである、実施態様36に記載のシリコーンヒドロゲル。
(45) 前記単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーが、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジエチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジエチルシロキサン、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミド、α−(2−ヒドロキシ−1−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル)−ω−ブチル−オクタメチルペンタシロキサン、及びこれらの混合物、からなる群から選択される、実施態様36に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0221】
(46) 前記単官能性ポリジアルキルシロキサンモノマーが、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−メチル末端ポリジメチルシロキサン、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミド、及びこれらの混合物、からなる群から選択される、実施態様45に記載のシリコーンヒドロゲル。
(47) 少なくとも1種の架橋性モノマーを更に含む、実施態様1〜46のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(48) 前記架橋剤が、反応性成分100g当たり約0.6〜約2.4mmolのモル濃度で存在する、実施態様47に記載のシリコーンヒドロゲル。
(49) 前記架橋剤が、反応性成分100g当たり約0.6〜約1.8mmolのモル濃度で存在する、実施態様48に記載のシリコーンヒドロゲル。
(50) 少なくとも1種の光開始剤を更に含む、実施態様1〜49のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
【0222】
(51) 前記反応混合物が、少なくとも1種の紫外線吸収化合物を更に含む、実施態様1〜50のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(52) 前記少なくとも1種の紫外線吸収化合物が反応性である、実施態様51に記載のシリコーンヒドロゲル。
(53) 約1重量%〜約2重量%の紫外線吸収剤を含む、実施態様51又は52に記載のシリコーンヒドロゲル。
(54) 前記反応混合物が、少なくとも1種の遅反応性架橋剤及び少なくとも1種の速反応性架橋剤を更に含む、実施態様47〜53のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(55) 前記少なくとも1種の遅反応性架橋剤及び少なくとも1種の速反応性架橋剤がそれぞれ、前記反応混合物中に約0.05〜約0.3重量%の量で存在する、実施態様54に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0223】
(56) 前記少なくとも1種の遅反応性架橋剤及び少なくとも1種の速反応性架橋剤がそれぞれ、前記反応混合物中に約0.1〜約0.2重量%の量で存在する、実施態様55に記載のシリコーンヒドロゲル。
(57) 少なくとも1種のヒドロキシル基及び速反応性反応基を含むすべての成分が、約0.16〜約0.4のヒドロキシル対ケイ素のモル比を提供するのに十分な濃度で存在する、実施態様1〜56のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(58) 前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドモノマーが、0.13〜0.35のHO:Si比を提供するのに十分な濃度で存在する、実施態様10〜57のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
図1
図2
図3