特許第6348214号(P6348214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6348214
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】積層造形装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/16 20060101AFI20180618BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20180618BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20180618BHJP
   B29C 64/236 20170101ALI20180618BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20180618BHJP
   B29C 64/232 20170101ALI20180618BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   B22F3/16
   B33Y30/00
   B29C64/153
   B29C64/236
   B29C64/241
   B29C64/232
   B22F3/105
【請求項の数】3
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-196348(P2017-196348)
(22)【出願日】2017年10月6日
【審査請求日】2018年2月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 秀二
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−093411(JP,A)
【文献】 特開平01−078713(JP,A)
【文献】 特開平05−345245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00〜8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の最終製品の形状まで別の加工機で加工する前の積層造形物の形状を所定厚で分割してなる分割層ごとに、鉛直1軸方向に移動可能な造形テーブル上に前記所定厚の材料粉体層を形成し、続いて前記材料粉体層の所定箇所にレーザ光を照射することで焼結層を形成することを繰り返すことによって前記積層造形物を形成するように構成される積層造形装置であって、
一対の第1水平移動機構と、
前記一対の第1水平移動機構に設けられているガントリと、
前記ガントリに取り付けられている第2水平移動機構と、
前記第2水平移動機構に設けられている加工ヘッドを備え、
前記一対の第1水平移動機構のうちの一方と他方との間には、前記造形テーブルが配置され、
前記第2水平移動機構は、前記造形テーブルよりも上側に配置され、
前記加工ヘッドは、バイトを有し、
前記バイトは、前記積層造形物を前記別の加工機で加工する際の位置決めに使われる基準面として、前記積層造形物に対して前記造形テーブルに平行な前記基準面と前記造形テーブルに垂直で且つ互いに垂直な2つの前記基準面の形削りを実施可能に構成され、
前記加工ヘッドは、前記バイトを前記造形テーブルと平行な水平2軸方向に移動可能とし、且つ
前記鉛直1軸方向に中心軸を有して旋回可能とする、積層造形装置。
【請求項2】
記ガントリは、第1方向に移動可能に、前記一対の第1水平移動機構に設けられ、
前記加工ヘッドは、前記第1方向に直交する第2方向に移動可能に、前記第2水平移動機構に設けられ、
前記第1方向及び前記第2方向は、水平方向である、請求項1に記載の積層造形装置。
【請求項3】
前記加工ヘッドは、前記バイトが第1状態及び第2状態の何れか一方であるように旋回可能に構成され、
前記第2状態とは、前記第1状態である前記バイトを90度旋回させた状態である、
請求項1又は請求項2に記載の積層造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光による積層造形法では、不活性ガスが充満された密閉されたチャンバ内において、上下方向に移動可能な造形テーブル上に非常に薄い材料粉体層を形成し、この材料粉体層の所定箇所にレーザ光を照射して照射位置の材料粉体を焼結させることを繰り返すことによって、複数の焼結層を積層して一体となる焼結体からなる所望の三次元形状を造形する。このような積層造形法を実現するには、積層造形装置が使用される。
【0003】
例えば、特許文献1で開示されている積層造形装置は、上述の積層造形法に加え、鉛直1軸及び水平2軸方向に同期させて移動可能なエンドミル等の切削工具を用いて、造形物の造形途中に、材料粉体を焼結して得られた焼結体の輪郭を切削加工して必要な形状に仕上げていく。かかる工程の組み合わせと繰り返しとを経て、所望の積層造形物が形成される。このような積層造形装置(いわゆる複合加工機)は、1つの装置で所望の積層造形物を形成できる点が優れているといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−113679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複合加工機にあっては切削工具を適切に動作させる駆動装置を含むこととなり、複合加工機全体又はこれに含まれるチャンバが大型化する傾向にある。例えば、切削工具がエンドミルであれば、複合加工機は、切削工具を取り付けて移動する加工ヘッドを鉛直1軸方向及び水平2軸方向の合わせて3軸方向に移動させる移動装置を備える。加えて、加工ヘッドは、切削工具を高速回転させる高速回転機構が必要である。しかも切削加工を行う雰囲気は、ドライな状態である。ドライ切削加工は、加工位置に切削油及び冷却水をかけずに切削する。ドライ切削加工は、切削油等を掛けるウェット切削加工に比べて潤滑作用がなく摩擦が大きいので、加工中の切削工具の振れを抑制するために高精度で振れ精度を維持する必要がある。そのため、複合加工機は、加工ヘッドに取り付けた切削工具の位置および切削工具の長さを測定する精度、工具を交換する際の工具を取り付ける精度も重要視される。また、レーザ加工と切削加工とを同時に行うことはできないため、生産ラインの観点からも不利である。
【0006】
一方で、大部分の積層造形装置は切削機構がないので、造形後に当該造形物を他の加工装置へと移動させ、高精細な切削加工を行う必要がある。切削機構を搭載しない積層造形装置は、上述の複合加工機に比して小型化及び生産ライン上有利な実施が可能ではあるが、造形物をわざわざ別の装置に換装して加工(いわゆる2次加工)を行うため、複合加工機に比して加工時に大きな寸法の誤差等が生じやすく、2次加工後の最終製品を高精度の製品に仕上げられない。その結果、造形物は、位置ずれを見込んだ設計及び造形となり、切削取り代を大きめに設計する等、2次加工時の位置ずれを想定した十分に余裕を持った設計を余儀なくされて、積層造形の加工時間も2次加工の加工時間も総じて増大する。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、従来に比して大型化及び高コスト化を抑制しつつ且つ、その後の切削加工においても加工誤差を小さくすることができる積層造形装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、所望の最終製品の形状まで別の加工機で加工する前の積層造形物の形状を所定厚で分割してなる分割層ごとに、鉛直1軸方向に移動可能な造形テーブル上に前記所定厚の材料粉体層を形成し、続いて前記材料粉体層の所定箇所にレーザ光を照射することで焼結層を形成することを繰り返すことによって前記積層造形物を形成するように構成される積層造形装置であって、一対の第1水平移動機構と、前記一対の第1水平移動機構に設けられているガントリと、前記ガントリに取り付けられている第2水平移動機構と、前記第2水平移動機構に設けられている加工ヘッドを備え、前記一対の第1水平移動機構のうちの一方と他方との間には、前記造形テーブルが配置され、前記第2水平移動機構は、前記造形テーブルよりも上側に配置され、前記加工ヘッドは、バイトを有し、前記バイトは、前記積層造形物を前記別の加工機で加工する際の位置決めに使われる基準面として、前記積層造形物に対して前記造形テーブルに平行な前記基準面と前記造形テーブルに垂直で且つ互いに垂直な2つの前記基準面の形削りを実施可能に構成され、前記加工ヘッドは、前記バイトを前記造形テーブルと平行な水平2軸方向に移動可能とし、且つ前記鉛直1軸方向に中心軸を有して旋回可能とする、積層造形装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の積層造形装置は、加工ヘッドにバイトが設けられ、これが前記積層造形物に対して前記造形テーブルに平行な面(基準面)と、前記造形テーブルに垂直でかつ互いに垂直な2つの面(基準面)の形削りを実施可能に構成することを特徴とする。すなわち、本発明の積層造形装置では、従来の複合加工機のように大型な駆動装置を要さないので、装置全体を小型化できる。また、本発明の積層造形装置で造形された造形物は、その後に別の2次加工を行う装置で切削加工が行われるにあたり基準面が予め削り出されている状態のため、基準面と造形物の関係を保てるので、2次加工後の最終製品として高精度に仕上げられることが可能である。また、本発明の積層造形装置は、切削機構を有しない従来の積層造形装置を使用した場合に比して、2次加工時の位置ずれを見込んだ設計及び造形が不要になるので切削取り代を必要最低限の寸法に小さくすることを可能にして2次加工時間を短縮して、最終製品の加工時間を総じて短縮することを可能にする。
【0010】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0011】
好ましくは、前記加工ヘッドは、ガントリ構造によって前記水平2軸方向に移動可能である。
好ましくは、前記加工ヘッドは、前記バイトが第1及び第2状態の何れか一方であるように旋回可能に構成され、前記第2状態とは、前記第1状態である前記バイトを90度旋回させた状態である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る積層造形装置の概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る粉体層形成装置3等の斜視図である。
図3図2とは別の角度から見た斜視図であり、特に加工ヘッド57を示す拡大図である。
図4】積層造形装置を用いた積層造形方法(積層工程)の説明図である。
図5】積層造形装置を用いた積層造形方法(積層工程)の説明図である。
図6】積層造形装置を用いた積層造形方法(積層工程)の説明図である。
図7】積層造形装置を用いた積層造形方法(積層工程)の説明図である。
図8】積層造形装置を用いた積層造形方法(積層工程)の説明図である。
図9】積層造形装置を用いた積層造形方法(積層工程)の説明図である。
図10】積層造形装置を用いた積層造形方法(積層工程)の説明図である。
図11】積層造形装置を用いた積層造形方法(基準面形削り工程)の説明図である。
図12図12A図12Eは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の上方、図12F図12Gは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の前方、図12Hは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の左方から見た際の概略図である。
図13図13A図13Eは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の上方、図13F図13Gは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の後方、図13Hは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の右方から見た際の概略図である。
図14図14A図14Eは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の上方、図14F図14Gは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の左方、図14Hは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の前方から見た際の概略図である。
図15図15A図15Eは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の上方、図15F図15Gは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の右方、図15Hは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の後方から見た際の概略図である。
図16図16A図16Lは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の上方、図16Mは、第2仮造形物86の前方、図16Nは、第2仮造形物86の左方、図16Oは、第2仮造形物86の後方、図16Pは、第2仮造形物86の右方から見た際の概略図である。
図17】積層造形装置を用いた積層造形方法(基準面形削り工程)の説明図である。
図18】基準面形削り工程に際しての形削りの方向を示す概略図であり、特に図18Aは造形テーブル5に平行な方向、図18Bは造形テーブル5に垂直な方向、図18Cは造形テーブル5に平行及び垂直な方向に沿った形削りを示している。
図19図19Aは、上方、図19Bは、前方、図19Cは、左方から見た際の別の実施形態の第2仮造形物86の概略図である。
図20図20Aは、上方、図20Bは、前方、図20Cは、左方から見た際の別の実施形態の第2仮造形物86の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.実施形態
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0014】
1.1 全体構成
図1は、本発明の実施形態に係る積層造形装置の概略構成図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る積層造形装置は、チャンバ1とレーザ光照射部13とを有する。
【0015】
チャンバ1は、所要の造形領域Rを覆い且つ所定濃度の不活性ガスで充満される。チャンバ1には、内部に粉体層形成装置3が設けられ、上面部にヒューム拡散装置17が設けられる。粉体層形成装置3は、ベース台4とリコータヘッド11とを有する。
【0016】
ベース台4は、積層造形物が形成される造形領域Rを有する。造形領域Rには、造形テーブル5が設けられる。造形テーブル5は、造形テーブル駆動機構31によって駆動されて上下方向(図1の矢印U方向)で示される鉛直方向に移動することができる。積層造形装置の使用時には、造形テーブル5上に造形プレート7が配置され、その上に材料粉体層8が形成される。また、所定の照射領域は、造形領域R内に存在し、所望の三次元造形物の輪郭形状で囲繞される領域とおおよそ一致する。
【0017】
造形テーブル5の周りには、粉体保持壁26が設けられる。粉体保持壁26と造形テーブル5とによって囲まれる粉体保持空間には、未焼結の材料粉体が保持される。図1においては不図示であるが、粉体保持壁26の下側には、粉体保持空間内の材料粉体を排出可能な粉体排出部が設けられてもよい。かかる場合、積層造形の完了後に造形テーブル5を降下させることによって、未焼結の材料粉体が粉体排出部から排出される。排出された材料粉体は、シューターガイドによってシューターに案内され、シューターを通じてバケットに収容されることになる。
【0018】
図2及び図3は、本発明の実施形態に係る粉体層形成装置3等の斜視図である。また、図4は、図中において、本発明の実施形態に係るリコータヘッド11の側面の概略図を示している。リコータヘッド11は、材料収容部11aと材料供給部11bと材料排出部11cとを有する。
【0019】
材料収容部11aは材料粉体を収容する。なお、材料粉体は、例えば金属粉(例:鉄粉)であり、例えば平均粒径20μmの球形である。材料供給部11bは、材料収容部11aの上面に設けられ、不図示の材料供給装置から材料収容部11aに供給される材料粉体の受口となる。材料排出部11cは、材料収容部11aの底面に設けられ、材料収容部11a内の材料粉体を排出する。なお、材料排出部11cは、リコータヘッド11の移動方向(矢印X方向)に直交する水平1軸方向(矢印Y方向)に延びる不図示のスリット形状である。なお、リコータヘッド11は、図2に示されるように、一対のリコータヘッド水平移動機構11d、11dによって水平移動可能に構成されている。
【0020】
リコータヘッド水平移動機構11dは、リコータヘッド11の移動方向(矢印X方向)に延びるガイドレール11eと、ガイドレール11eに係合して移動するガイドブロック11fを含む。リコータヘッド11は、その両端が一対のガイドブロック11f、11fに固定されて、所定の移動方向(矢印Y方向)にガイドされる。一対のリコータヘッド水平移動機構11d、11dは、ベース台4上で造形テーブル5を挟んで配置される。一対のリコータヘッド水平移動機構11d、11dは、どちらか片方又は両方に、回転モータ11gと、回転モータ11gで回転し回転軸がガイドレール11eに平行して配置される不図示のボールねじ軸と、正回転又は逆回転するボールねじ軸に螺合して回転軸の軸方向に進退移動する不図示のナットを含む。移動するナットは、ガイドブロック11fを介してリコータヘッド11に取り付けられている。
【0021】
また、リコータヘッド11の両側面には、ブレード11fb、11rbが設けられる。ブレード11fb、11rbは、材料粉体を撒布する。換言するとブレード11fb、11rbは、材料排出部11cから排出された材料粉体を平坦化して材料粉体層8を形成する。
【0022】
チャンバ1の上面には、ウィンドウ1aを覆うようにヒューム拡散装置17が設けられる。ヒューム拡散装置17は、円筒状の筐体17aと、筐体17a内に配置された円筒状の拡散部材17cを備える。筐体17aと拡散部材17cの間に不活性ガス供給空間17dが設けられる。また、筐体17aの底面には、拡散部材17cの内側に開口部17bが設けられる。拡散部材17cには多数の細孔(不図示)が設けられており、不活性ガス供給空間17dに供給された清浄な不活性ガスはかかる細孔を通じて清浄室17fに充満される。そして、清浄室17fに充満された清浄な不活性ガスは、開口部17bを通じてヒューム拡散装置17の下方に向かって噴出される。本明細書において、「不活性ガス」とは、材料粉体と実質的に反応しないガスであり、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が例示される。
【0023】
レーザ光照射部13は、チャンバ1の上方に設けられる。レーザ光照射部13は、造形領域R上に形成される材料粉体層8の所定箇所にレーザ光Lを照射して照射位置の材料粉体を焼結させる。具体的には、レーザ光照射部13は、レーザ光源42とフォーカス制御ユニット44とレーザ光走査ユニットとを有する。本実施形態のレーザ走査ユニットは、2軸のガルバノミラー43a、43bである。なお、各ガルバノミラー43a、43bは、それぞれガルバノミラー43a、43bを回転させるアクチュエータを備えている。
【0024】
レーザ光源42はレーザ光Lを照射する。ここで、レーザ光Lは、材料粉体を焼結可能なレーザであって、例えば、COレーザ、ファイバーレーザ、YAGレーザ等である。
【0025】
フォーカス制御ユニット44は、レーザ光源42より出力されたレーザ光Lを集光し所望のスポット径に調整する。2軸のガルバノミラー43a、43bは、レーザ光源42より出力されたレーザ光Lを制御可能に2次元走査する。特にガルバノミラー43aは、レーザ光Lを矢印Xに走査し、ガルバノミラー43bは、レーザ光Lを矢印Yに走査する。ガルバノミラー43a、43bは、それぞれ、不図示の制御装置から入力される回転角度制御信号の大きさに応じて回転軸xの軸周りの回転角度および回転軸yの軸周りの回転角度が制御される。かかる特徴により、ガルバノミラー43a、43bの各アクチュエータに入力する回転角度制御信号の大きさを変化させることによって、所望の位置にレーザ光Lを照射することができる。
【0026】
ガルバノミラー43a、43bを通過したレーザ光Lは、チャンバ1に設けられたウィンドウ1aを透過して造形領域Rに形成された材料粉体層8に照射される。ウィンドウ1aは、レーザ光Lを透過可能な材料で形成される。例えば、レーザ光Lがファイバーレーザ又はYAGレーザの場合、ウィンドウ1aは石英ガラスで構成可能である。なお、ガルバノミラー43a、43bを採用することはあくまでも例であり、レーザ光Lを別の手段によって走査させてもよい。
【0027】
1.2 不活性ガス給排系統
次に、不活性ガス給排系統について説明する。不活性ガス給排系統は、チャンバ1に設けられる複数の不活性ガスの供給口及び排出口と、各供給口及び各排出口と不活性ガス供給装置15及びヒュームコレクタ19とを接続する配管を含む。本実施形態では、チャンバ供給口1b、副供給口1e、及びヒューム拡散装置供給口17gを含む供給口と、チャンバ排出口1c、副排出口1fを含む排出口とを備える。
【0028】
チャンバ排出口1cは、チャンバ1の側板に設けられる。また、チャンバ排出口1cに接続するように不図示の吸引装置が設けられるとよい。当該吸引装置は、レーザ光Lの照射経路からヒュームを効率よく排除することを助ける。また、吸引装置によってチャンバ排出口1cにおいて、より多くの量のヒュームを排出することができ、造形空間1d内にヒュームが拡散しにくくなる。
【0029】
チャンバ供給口1bは、ベース台4の端上に所定の照射領域を間に置いてチャンバ排出口1cに対面するように設けられる。チャンバ供給口1bは、不活性ガスをチャンバ排出口1cに向けて供給するので、常に同じ方向に不活性ガスの流れを作り出し、安定した焼結を行える点で有利である。チャンバ供給口1bとチャンバ排出口1cは、図1に示すように、造形テーブル5を挟んでリコータヘッド11の移動方向(矢印X方向)に並べて配置されてもよい。また、チャンバ供給口1bとチャンバ排出口1cは、造形テーブル5を挟んでリコータヘッド11の移動方向(矢印X方向)に直交する水平1軸方向(矢印Y方向)に並べて配置されてもよい。
【0030】
また、本実施形態の不活性ガス給排系統は、チャンバ排出口1cに対面するようにチャンバ1の側板に設けられヒュームコレクタ19から送給されるヒュームが除去された清浄な不活性ガスを造形空間1dに供給する副供給口1eと、チャンバ1の上面に設けられヒューム拡散装置17へ不活性ガスを供給するヒューム拡散装置供給口17gと、チャンバ排出口1cの上側に設けられチャンバ1の上側に残留するヒュームを多く含む不活性ガスを排出する副排出口1fとを備える。
【0031】
チャンバ1への不活性ガス供給系統には、不活性ガス供給装置15と、ヒュームコレクタ19が接続されている。不活性ガス供給装置15は、不活性ガスを供給する機能を有し、例えば、周囲の空気から窒素ガスを取り出す膜式窒素セパレータを備える装置である。本実施形態では、図1に示すように、チャンバ供給口1b、及びヒューム拡散装置供給口17gと接続される。
【0032】
ヒュームコレクタ19は、その上流側及び下流側にそれぞれダクトボックス21、23を有する。チャンバ1からチャンバ排出口1c及び副排出口1fを通じて排出されたヒュームを含む不活性ガスは、ダクトボックス21を通じてヒュームコレクタ19に送られ、ヒュームコレクタ19においてヒュームが除去された清浄な不活性ガスがダクトボックス23を通じてチャンバ1の副供給口1eへ送られる。このような構成により、不活性ガスの再利用が可能になっている。
【0033】
ヒューム排出系統として、図1に示すように、チャンバ排出口1c及び副排出口1fとヒュームコレクタ19とがダクトボックス21を通じてそれぞれ接続される。ヒュームコレクタ19においてヒュームが取り除かれた後の清浄な不活性ガスは、チャンバ1へと返送され再利用される。
【0034】
1.3 形削り装置
続いて、本実施形態に係る積層造形装置の形削り装置50について詳細に説明する。図1図3に示されるように、形削り装置50は、旋回機構60が設けられた加工ヘッド57を有する。また、旋回機構60には形削り用のバイト61が取り付けられている。本実施形態の加工ヘッド57は、造形テーブル5の上下方向(矢印U方向)に平行し移動可能な矢印X方向および矢印Y方向のそれぞれに垂直な図示省略の矢印Z方向にバイト61を上下移動させるための機構を有していないことで小型化、軽量化および低価格化を実現可能である。なお、本実施形態に限定されることなく加工ヘッド57にバイト61を上下移動させる機構を備えてもよい。
【0035】
特に図2に示されるように、加工ヘッド57は2軸のブリッジ機構(いわゆるガントリ機構)に設けられており、水平2軸方向に移動させることができる。より詳細には、図2に示されるように、一対のリコータヘッド水平移動機構11d、11dよりも外側に、一対の第1水平移動機構63a、63aが設けられており、かかる一対の第1水平移動機構63a、63aによって、第2水平移動機構63bが矢印X方向に移動可能となっている。そして、第2水平移動機構63bに加工ヘッド57が設けられることによって、加工ヘッド57が矢印Y方向に移動可能となっている。これらを合わせることで、加工ヘッド57が水平2軸方向(矢印X方向及びY方向)に移動可能な構成を実現している。そして、旋回機構60に取り付けられたバイト61を用いて、造形テーブル5に平行な面(矢印X方向と矢印Y方向で示す面)、および、造形テーブル5に垂直で且つ互いに垂直な2つの面(矢印Z方向と矢印X方向で示す面および矢印Z方向と矢印Y方向で示す面)の形削り加工を行うことができる。バイト61は、例えば、実施形態のように刃の形が丸い形状あるいはそれに限定されず必要に応じて各種形状が採用されるとよい。
【0036】
第1水平移動機構63aは、ガントリ63cが移動する矢印X方向に延びるガイドレール63aaと、ガイドレール63aaに係合して移動するガイドブロック63abを含む。ガントリ63cは、その両端が一対の第1水平移動機構63a、63aのガイドブロック63ab、63abに固定されて、移動方向が矢印X方向にガイドされている。一対の第1水平移動機構63a、63aは、ベース台4上で一対のリコータヘッド水平移動機構11d、11dのガイドレール11e、11eの外側に配置される。一対の第1水平移動機構63a、63aは、どちらか片方又は両方に、回転モータ63acと、回転モータ63acで回転し回転軸がガイドレール63aaに平行して配置される不図示のボールねじ軸と、正回転又は逆回転するボールねじ軸に螺合して回転軸の軸方向に進退移動する不図示のナットを含む。移動するナットは、ガイドブロック63abを介してガントリ63cに取り付けられている。
【0037】
第2水平移動機構63bは、加工ヘッド57が移動する矢印Y方向に延びるガイドレール63baと、ガイドレール63baに係合して移動するガイドブロック63bbを含む。ガイドレール63baは、ガントリ63cに取り付けられている。第2水平移動機構63bは、回転モータ63bcと、回転モータ63bcで回転し回転軸がガイドレール63baに平行して配置される不図示のボールねじ軸と、正回転又は逆回転するボールねじ軸に螺合して回転軸の軸方向に進退移動する不図示のナットを含む。移動するナットは、ガイドブロック63bbを介して加工ヘッド57に取り付けられている。なお、本発明の実施形態では、第1水平移動機構63aがガントリ63cと第2水平移動機構63bと加工ヘッド57を一緒に矢印X方向に移動させているのに対して、第2水平移動機構63bは加工ヘッド57を矢印Y方向に移動させているだけである。本発明の実施形態は、矢印X方向よりも矢印Y方向に形削りするための構成の方が単純なため剛性がより高いことから矢印Y方向に形削りする方が加工精度がより高い。
【0038】
旋回機構60は、高さ方向を示す図示省略の矢印Z方向(鉛直1軸方向)の回転軸Cを中心軸として軸周りに回動して、バイト61の向きを変更することができる。例えばエンドミル等の工具では高速回転させる構成が必須となるが、本実施形態にあっては単にバイト61の刃の向きさえ変えられればよい。より好ましくは、バイト61の刃の向きを矢印X方向に沿うものとした状態(第1状態)と、バイト61の刃の向きを矢印Y方向に沿うものとした状態(第2状態)とが切り替えられればよい。第1状態では、加工ヘッド57を矢印X方向に移動させることで形削り加工が実施される。一方、第2状態では、加工ヘッド57を矢印Y方向に移動させることで形削り加工が実施される。図1に示される概略図においては、バイト61が第2状態として描かれており、図2及び図3に示される斜視図においては、第1状態にあるバイト61の態様が示されている。本実施形態では、例えば、第1状態において左側から右側に移動して形削りするバイト61の刃先の向きと第2状態において手前側ら奥側に移動して形削りするバイト61の刃先の向きのうちのいずれか一方から他方に90度回動する。
【0039】
なお、従来の複合加工機においては、いくつかの焼結層ごとに切削加工を行うことが一般的であった。本実施形態に係る積層造形装置では、まずは積層工程(詳細については第2節において説明)によって積層造形物(便宜上、第1仮造形物と称する)を造形してしまうことに留意されたい。その後、第1仮造形物に対して上述のバイト61を用いて、造形テーブル5に平行な面(基準面)と造形テーブル5に垂直で且つ互いに垂直な2つの面(基準面)の少なくとも1つの基準面の形削りを行うことで、基準面だけが削り出された第2仮造形物が造形される。そして、本実施形態に係る積層造形装置とは異なる別の加工装置を用いて第2仮造形物を切削加工(2次加工)することによって、最終的な所望の造形物を得ることができる。
【0040】
本実施形態に係る積層造形装置は、このような構成や特徴を採用することによって、次に示すような効果が期待されうる。
【0041】
第1に、積層造形装置の小型化が期待されうる。例えば従来の複合加工機においては、切削工具としてスピンドル等が用いられため、これを高速回転させる巨大なモータと、鉛直方向の移動機構が必要となる。さらに加工環境は、ドライ切削加工が必要である。ドライ切削加工は、潤滑作用がなく摩擦が大きくなるので切削工具の振れを抑えるために、主軸の振れ精度を高精度に維持する必要がある。また、従来の複合加工機においては、荒加工、加工形状により複数の工具が必要になるので、工具長測定装置、工具交換装置を備えることが必須となる。一方で、本実施形態に係る積層造形装置にあっては、形削り用のバイト61であるため、高速回転させる必要がなく、当然それを実現しうる巨大なモータも必要とならない。また、形削りをするだけなので、造形テーブル5の高さを調節すればよく、加工ヘッド57を鉛直方向に移動可能に構成する必要もない。このため、従来の複合加工機に比して、加工ヘッド57及びこれを駆動させる機構全体を大幅に小型にすることができる。その結果、チャンバ1、ひいては装置全体を例えば20〜40%小型化することができる。また、本実施形態に係る積層造形装置は、主軸を有する必要がなく、主軸を鉛直方向に移動させる構成を有する必要がないので、安価で装置が構成できる。
【0042】
第2に、装置の小型化によって、不活性ガスの供給量が減り、不活性ガスを使用する量を少なくすることができる。また、窒素充填時間を短縮し、酸素濃度をより低く保持することができる。また、チャンバ1の小型化によってチャンバ1の中のヒュームの処理もしやすくなり造形品質が向上し、造形品質を安定化しやすくなる。
【0043】
第3に、従来に比して材料粉体への切削屑の混入防止対策が比較的容易になると考えられる。これは、第1仮造形物の造形終了後に基準面を切削することだけに注力するため、従来の複合加工機のように造形途中の切削による混入切削屑の発生がないことに由来するものである。なお、主軸を有する複合加工機でも造形途中の切削加工を行わずに造形後に基準面だけを加工するようにすれば第3の効果を得ることも可能である。
【0044】
第4に、第2仮造形物は基準面加工が終了しているため、その後の2次加工の際に、第2仮造形物の基準面を使って位置決めが確実にできるので、2次加工を含め最終の造形物の形状まで高精度に仕上げられる。例えば、射出成形用の金型では、積層造形装置によって3次元の内部配管を自由に配置できる。金型の内部配管は、例えば、温度調節された水を循環させて金型の温度を調整するための温度調整用配管であって、成形時間の短縮に大きく寄与できる代表例である。内部配管から成形面までの肉厚は、金型の性能に影響して、薄すぎると水漏れや金型寿命に影響し、厚すぎると冷却性能に影響する。したがって、金型第2仮造形物が金型であれば、2次加工の際に位置決め精度が安定するため、最終の形状まで仕上げられた金型の内部配管から成形面までの肉厚がバラツキなく形成されて、十分な冷却効果が設計通りに得られる。なお、主軸を有する複合加工機でも造形後に基準面の切削加工を行うことで第4の効果を得ることも可能である。
【0045】
2.積層造形方法
続いて、図1及び図4図18を用いて、上記の積層造形装置を用いた積層造形方法について説明する。特に、図4図18は、本発明の実施形態に係る積層造形装置を用いた積層造形方法の説明図である。ただし、これらの図では視認性を考慮し図1では示していた構成要素を一部省略している。また、以下に示す積層造形方法の手順は、予め作成されたプロジェクトファイルに基づいて行われるものであってよい。
【0046】
(積層工程)
本積層工程では、第1仮造形物85(図9等参照)が造形されることを特徴とする。まず、造形テーブル5上に造形プレート7を載置した状態で造形テーブル5の高さを矢印U方向の適切な位置に調整する(図4)。この状態で材料収容部11a内に材料粉体が充填されているリコータヘッド11を矢印X方向に造形領域Rの左側から右側に移動させることによって、造形プレート7上に1層目の材料粉体層8を形成する(図5)。
【0047】
次に、材料粉体層8中の所定部位にレーザ光Lを照射することで材料粉体層8のレーザ光照射部位を焼結させることによって、図6に示すように、積層造形物全体に対して鉛直方向(矢印U方向に平行する図示省略の矢印Z方向)に所定厚を有する分割層である1層目の焼結層81fを得る。
【0048】
次に、造形テーブル5の高さを矢印U方向に材料粉体層8の所定厚(1層)分下げ、リコータヘッド11を造形領域Rの右側から左側に移動させることによって、焼結層81f上に2層目の材料粉体層8を形成する。
【0049】
次に、材料粉体層8中の所定部位にレーザ光Lを照射することによって材料粉体層8のレーザ光照射部位を焼結させることによって、図7に示すように、2層目の焼結層82fを得る。また、同様の手順によって、3層目の焼結層83fを得る(図8)。
【0050】
以上の工程を繰り返すことによって、4層目以降の焼結層が形成され、ひいては、第1仮造形物85が造形される(図9)。隣接する焼結層は、互いに強く固着される。
【0051】
(基準面形削り工程)
続く基準面形削り工程では、第1仮造形物85の一部の表面85aの少なくとも一部を形削りすることで、造形テーブル5に平行な基準面85b(図13)および造形テーブル5に垂直で且つ互いに垂直な2つの基準面がそれぞれ削り出されることを特徴とする。まず、加工ヘッド57及び造形テーブル5を初期位置に移動させる。第1仮造形物85は、造形プレート7に載置されている。造形プレート7は、造形テーブル5に載置されている。造形テーブル5の初期位置は、第1仮造形物85がバイト61の高さよりも低い位置であることに留意されたい(図10)。加工ヘッド57の初期位置は、バイト61が第1仮造形物85の高さよりも高い位置である。また、加工ヘッド57の初期位置は、造形テーブル5を矢印U方向に上昇させても、すなわち造形テーブル5に対して相対的にバイト61が矢印Z方向に下降しても第1仮造形物85とは接触しないことに留意されたい。
【0052】
次に、第1仮造形物85の表面85aの少なくとも一部に対して形削りが行われる。これについて、図11図12A図12H図13A図13H図14A図14H図15A図15H及び図16A図16Pを用いて詳述する。特に、図12A図12E図13A図13E図14A図14E図15A図15Eおよび図16A図16Lは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の上方から見た際の概略図である。図12A図12E図13A図13E図14A図14E図15A図15Eおよび図16A図16Lは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の上方から見た際の概略図である。図12F図12H図13F図13H図14F図14H図15F図15Hおよび図16M図16Pは、基準面形削り工程を第1仮造形物85の正面、後面または側面からそれぞれ見た際の概略図である。本実施形態の基準面85bは、第1仮造形物85の表面85aのうちの第1仮造形物85の上面および第1仮造形物85の側面の上部に形成される。
【0053】
まず、第1仮造形物85の矢印X方向に平行な側面のうちの手前側(図12Aにおいて下方)の側面の上部を形削りして基準面85bを形成する。バイト61は、矢印X方向に沿って左側から右側に移動する際に形削り可能な方向に刃先が向くように予め回動させられる。既にバイト61が必要な方向を向いていればバイト61を回動させる動作を省略できる。次に、造形テーブル5を初期位置(図10及び図12A)から矢印U方向に上昇させることで、第1仮造形物85において形削りされる表面85aの高さがバイト61の先端よりも所定の距離だけ高くなる状態とする(図11及び図12A)。所定の寸法は、所望する基準面85bの矢印Z方向の距離よりも大きくてもよい。所定の距離は、所望する基準面85bの矢印Z方向の寸法よりも小さくてもよい。小さい場合は、造形テーブル5を所定ピッチで上昇させて形削りする回数を複数回行えばよい。
【0054】
次に、バイト61を矢印Y方向に沿って手前側から奥側(図12Bにおいて上方)の所定の位置まで移動させることにより位置合わせが行われる。かかる所定の位置は、図12Cに示されるように、バイト61を矢印X方向に移動させた際に、第1仮造形物85の手前側の側面上部がバイト61に接触するような位置であることに留意されたい。
【0055】
次に、バイト61を矢印X方向に沿って左側から右側に移動させることによって、第1仮造形物85の側面上部の手前側の端部近傍について形削りが実施される(図12C及び図12F)。
【0056】
次に、矢印Y方向における位置が初期位置(図12A)の矢印Y方向の位置と同じになるように、バイト61を矢印Y方向に沿って奥側から手前側に移動させる(図12D)。
【0057】
次に、バイト61を矢印X方向に沿って右側から左側に移動させることによって、バイト61を図12Aに示される初期位置へ再び移動させる(図12E)。
【0058】
さらに基準面85bを大きく形成する場合には、例えば、造形テーブル5を矢印U方向に所定の距離だけ再び上昇させて、バイト61を矢印Y方向に沿って手前側から奥側の所定の位置まで移動させて、バイト61を矢印X方向に沿って左側から右側に移動させて第1仮造形物85の側面上部の手前側の端部近傍にさらに形削りを実施することを繰り返す(図12G図12H及び図18B)。さらに第1仮造形物85の表面85aの凹凸が大きい場合等には、例えば、バイト61を矢印Y方向に沿って手前側から前回の位置よりも離れた奥側の所定の位置まで移動させて、造形テーブル5の矢印U方向の位置を初期位置まで下降させた上で、造形テーブル5を矢印U方向に所定の距離だけ再び上昇させて、バイト61を矢印X方向に沿って左側から右側に移動させて第1仮造形物85の側面上部の手前側の端部近傍にさらに形削りを実施することを繰り返してもよい(図17C)。
【0059】
次に、第1仮造形物85の矢印X方向に平行な側面のうちの奥側(図13Aにおいて上方)の側面の上部を形削りして基準面85bを形成する。バイト61は、矢印X方向に沿って左側から右側に移動する際に形削り可能な方向に刃先が向くように予め回動させられる。既にバイト61が必要な方向を向いていればバイト61を回動させる動作を省略できる。加工ヘッド57及び造形テーブル5を初期位置に移動させる。このときの初期位置は、これから形削りされる基準面58Bの近くに変更されてもよい(図13A)。次に、造形テーブル5を初期位置から矢印U方向に上昇させることで、第1仮造形物85において形削りされる表面85aの高さがバイト61の先端よりも所定の距離だけ高くなる状態とする。所定の寸法は、前述の通りである。
【0060】
次に、バイト61を矢印Y方向に沿って奥側から手前側(図13Bにおいて上方)の所定の位置まで移動させることにより位置合わせが行われる。かかる所定の位置は、前述の通りである。
【0061】
次に、バイト61を矢印X方向に沿って左側から右側に移動させることによって、第1仮造形物85の側面上部の奥側の端部近傍について形削りが実施される(図13C及び図13F)。
【0062】
次に、矢印Y方向における位置が初期位置(図13A)の矢印Y方向の位置と同じになるように、バイト61を矢印Y方向に沿って手前側から奥側に移動させる(図13D)。
【0063】
次に、バイト61を矢印X方向に沿って右側から左側に移動させることによって、バイト61を図13Aに示される初期位置へ再び移動させる(図13E)。
【0064】
さらに基準面85bを大きく形成する場合には、例えば、造形テーブル5を矢印U方向に所定の距離だけ再び上昇させて、バイト61を矢印Y方向に沿って奥側から手前側の所定の位置まで移動させて、バイト61を矢印X方向に沿って左側から右側に移動させて第1仮造形物85の側面上部の奥側の端部近傍にさらに形削りを実施することを繰り返す(図13G図13H及び図18B)。さらに第1仮造形物85の表面85aの凹凸が大きい場合等には、手前側と奥側の記載が反対になるだけで、前述と同じである。なお、バイト61は、矢印X方向に対して右側かつ矢印Y方向に対して奥側を初期位置として、矢印X方向に沿って右側から左側に移動する際に形削り可能な方向に刃先が向くように予め回動し、矢印X方向に沿って右側から左側に移動して、第1仮造形物85の表面85aを形削りしてもよい。
【0065】
次に、第1仮造形物85の矢印Y方向に平行な側面のうちの左側(図14Aにおいて左側)の側面の上部を形削りして基準面85bを形成する。バイト61は、矢印Y方向に沿って奥側から手前側に移動する際に形削り可能な方向に刃先が向くように予め回動させられる。既にバイト61が必要な方向を向いていればバイト61を回動させる動作を省略できる。加工ヘッド57及び造形テーブル5を初期位置に移動させる。このときの初期位置は、これから形削りされる基準面58Bの近くに変更されてもよい。次に、造形テーブル5を初期位置から矢印U方向に上昇させることで、形削りされる表面85aの高さがバイト61の先端よりも所定の距離だけ高くなる状態とする。所定の寸法は、前述の通りである。
【0066】
次に、バイト61を矢印X方向に沿って左側から右側(図14Bにおいて右側)の所定の位置まで移動させることにより位置合わせが行われる。かかる所定の位置は、前述の通りである。
【0067】
次に、バイト61を矢印Y方向に沿って奥側から手前側に移動させることによって、第1仮造形物85の側面上部の左側の端部近傍について形削りが実施される(図14C及び図14F)。
【0068】
次に、矢印X方向における位置が初期位置(図14A)の矢印X方向の位置と同じになるように、バイト61を矢印X方向に沿って右側から左側に移動させる(図14D)。
【0069】
次に、バイト61を矢印Y方向に沿って手前側から奥側に移動させることによって、バイト61を図14Aに示される初期位置へ再び移動させる(図14E)。
【0070】
さらに基準面85bを大きく形成する場合には、例えば、造形テーブル5を矢印U方向に所定の距離だけ再び上昇させて、バイト61を矢印X方向に沿って左側から右側の所定の位置まで移動させて、バイト61を矢印Y方向に沿って奥側から手前側に移動させて第1仮造形物85の側面上部の左側の端部近傍にさらに形削りを実施することを繰り返す(図14G図14H及び図18B)。さらに第1仮造形物85の表面85aの凹凸が大きい場合等には、例えば、バイト61を矢印X方向に沿って左側から前回の位置よりも離れた右側の所定の位置まで移動させて、造形テーブル5の矢印U方向の位置を初期位置まで下降させた上で、造形テーブル5を矢印U方向に所定の距離だけ再び上昇させて、バイト61を矢印X方向に沿って左側から前回よりも離れた右側の所定の位置まで移動させたあと、バイト61を矢印Y方向に沿って奥側から手前側に移動させて第1仮造形物85の側面上部の左側の端部近傍にさらに形削りを実施することを繰り返してもよい(図17C)。
【0071】
次に、第1仮造形物85の矢印Y方向に平行な側面のうちの右側(図15Aにおいて右側)の側面の上部を形削りして基準面85bを形成する。バイト61は、矢印Y方向に沿って奥側から手前側に移動する際に形削り可能な方向に刃先が向くように予め回動させられる。既にバイト61が必要な方向を向いていればバイト61を回動させる動作を省略できる。加工ヘッド57及び造形テーブル5を初期位置に移動させる。このときの初期位置は、これから形削りされる基準面58Bの近くに変更されてもよい。次に、造形テーブル5を初期位置から矢印U方向に上昇させることで、第1仮造形物85において形削りされる表面85aの高さがバイト61の先端よりも所定の距離だけ高くなる状態とする。所定の寸法は、前述の通りである。
【0072】
次に、バイト61を矢印X方向に沿って右側から左側(図15Bにおいて左側)の所定の位置まで移動させることにより位置合わせが行われる。かかる所定の位置は、前述の通りである。
【0073】
次に、バイト61を矢印Y方向に沿って奥側から手前側に移動させることによって、第1仮造形物85の側面上部の右側の端部近傍について形削りが実施される(図15C及び図15F)。
【0074】
次に、矢印X方向における位置が初期位置(図15A)の矢印X方向の位置と同じになるように、バイト61を矢印X方向に沿って左側から右側に移動させる(図15D)。
【0075】
次に、バイト61を矢印Y方向に沿って手前側から奥側に移動させることによって、バイト61を図15Aに示される初期位置へ再び移動させる(図15E)。
【0076】
さらに基準面85bを大きく形成する場合には、例えば、再び造形テーブル5を矢印U方向に所定の距離だけ再び上昇させて、バイト61を矢印X方向に沿って右側から左側の所定の位置まで移動させて、バイト61を矢印Y方向に沿って奥側から手前側に移動させて第1仮造形物85の側面上部の左側の端部近傍にさらに形削りを実施することを繰り返す(図15G図15H及び図18B)。さらに第1仮造形物85の表面85aの凹凸が大きい場合等には、左側と右側の記載が反対になるだけで、前述と同じである。なお、バイト61は、矢印X方向に対して右側かつ矢印Y方向に対して手前側を初期位置として、矢印Y方向に沿って手前側から奥側に移動する際に形削り可能な方向に刃先が向くように予め回動し、矢印Y方向に沿って手前側から奥側に移動して、第1仮造形物85の表面85aを形削りしてもよい。
【0077】
次に、第1仮造形物85の上面を形削りして基準面85bを形成する。まず、バイト61は、矢印Y方向に沿って奥側から手前側に移動する際に形削り可能な方向に刃先が向くように予め回動させられる。既にバイト61が必要な方向を向いていればバイト61を回動させる動作を省略できる。加工ヘッド57及び造形テーブル5を初期位置に移動させる。このときの初期位置は、これから形削りされる基準面58Bの近くに変更されてもよい。次に、造形テーブル5を初期位置(図16A)から矢印U方向に上昇させることで、第1仮造形物85において形削りされる表面85aの高さがバイト61の先端よりも所定の距離だけ高くなる状態とする。所定の寸法は、前述の通りである。
【0078】
次に、バイト61を矢印X方向に沿って右側(図16Aにおいて右側)から左側(図16Bにおいて左側)に移動させることにより位置合わせが行われる(図16B)。かかる位置は、図16Cに示される状態までバイト61を矢印Y方向に移動させた際に、第1仮造形物85の表面85aの右側の端部近傍とバイト61が接触するような位置であることに留意されたい。
【0079】
次に、バイト61を矢印Y方向に沿って奥側から手前側に移動させることによって、第1仮造形物85の表面85aの左側の端部近傍について形削りが実施される(図16C)。このように形削りがなされた面が基準面85b(この時点ではあくまでも左側の端部近傍のみ)となる。
【0080】
次に、矢印X方向における位置が初期位置(図16A)の矢印X方向の位置と同じになるように、バイト61を矢印X方向に沿って左側から右側に移動させる(図16D)。
【0081】
次にバイト61を矢印Y方向に沿って手前側から奥側に移動させることによって、バイト61を図16Aに示される初期位置へ再び移動させる(図16E)。
【0082】
次に、バイト61を矢印X方向に沿って右側から左側に移動させることにより位置合わせが行われる(図16F)。かかる位置は、図16Gに示される状態までバイト61を移動させた際に、第1仮造形物85の表面85aの手前側の端部近傍とバイト61が接触するような位置であることに留意されたい。
【0083】
次に、バイト61を矢印Y方向に沿って奥側から手前側に移動させることによって、第1仮造形物85の表面85aの右側の端部(ここでは第1仮造形物85の表面85aと基準面85bの境界)近傍について形削りが実施される(図16G)。
【0084】
次に、矢印X方向における位置が図16A図16Eの状態での位置と同じになるように、バイト61を矢印X方向に添って左側から右側に移動させる(図16H)。
【0085】
図18Aに示すように同様に繰り返していくと、図16I図16Lに示されるように、第1仮造形物85の上面に対して最終的に基準面85bの形削りがなされる。その結果、第2仮造形物86が造形される(図16M図16P図17)。
【0086】
さらに第1仮造形物85の表面85aの凹凸が大きい場合等には、例えば、造形テーブル5を矢印U方向に所定の距離だけ再び上昇させた上で、第1仮造形物85の上面に対する形削りが同様に繰り返し実施されてもよい(図18C)。
【0087】
バイト61を初期位置まで戻す方法は、前述の方法に限定されない。例えば、いったんバイト61よりも第1仮造形物85の方が低い位置まで造形テーブル5を矢印U方向に下降させてから、造形テーブル5が矢印U方向に再び上昇しても第1仮造形物とバイト61が接触することがない所定の位置までバイト61を移動させて、再び形削りができる高さ(図11に示される高さ)まで造形テーブル5を戻してもよい。なお、バイト61は、矢印X方向に対して右側かつ矢印Y方向に対して手前側を初期位置として、矢印Y方向に沿って手前側から奥側に移動する際に形削り可能な方向に刃先が向くように予め回動し、矢印Y方向に沿って手前側から奥側に移動して、第1仮造形物85の表面85aを形削りしてもよい。
【0088】
なお、基準面85bは、図19A図19Cに示すように、第1仮造形物85に形成された少なくとも1つの凸部に必要に応じて少なくとも1面に形成されてもよい。また、基準面85bは、図20A図20Cに示すように、造形プレート7の上面又は側面に必要に応じて少なくとも1面が形成されるとよい。また、基準面85bは、造形プレート7上に基準面85bを形成するだめだけに造形された少なくとも1つの凸部に必要に応じて少なくとも1面に形成されてもよい。
【0089】
(2次加工工程)
最後に、本実施形態に係る積層造形装置とは異なる別の装置によって、2次加工工程が実施される。つまり、第2仮造形物86が切削加工されて所望の積層造形物が造形される。なお、かかる2次加工工程に使用する装置は特に限定されるものではない。従来の複合加工機であれば切削油及び冷却水を使用しないドライ加工を余儀なくされるが、例えば、本2次加工工程では、積層造形装置と別のウェット加工を採用する切削加工装置を使用することができる。
【0090】
第2仮造形物86の基準面85bは、第2仮造形物86を2次加工工程に使用する装置に固定する際の位置合わせに使用される。例えば、2次加工工程に使用する装置は、鉛直方向のR軸周りに回転する主軸と、主軸に平行するZ方向に主軸を上下移動させる加工ヘッドと、Z方向に垂直で且つ互いに垂直なX方向およびY方向に移動する加工テーブルとを有する切削加工装置である。
【0091】
第2仮造形物86は、加工テーブルの上に固定される。ダイヤルゲージが加工ヘッドに取り付けられる。ダイヤルゲージは、加工ヘッドと同じ方向に移動する。ダイヤルゲージを第2仮造形物86の矢印X方向に平行する基準面85bに当接させた状態で加工テーブルと一緒に第2仮造形物86をX方向に移動させる。その際にダイヤルゲージが示す値の変化量が所定の範囲内におさまるまで第2仮造形物86を加工テーブルに固定する位置を調整する。同様に、ダイヤルゲージを第2仮造形物86の矢印Y方向に平行する基準面85bに当接させた状態で加工テーブルと一緒に第2仮造形物86をY方向に移動させる。その際にダイヤルゲージが示す値の変化量が所定の範囲内におさまるまで第2仮造形物86を加工テーブルに固定する位置を調整する。また、ダイヤルゲージを第2仮造形物86の上面に形成された基準面85bに当接させた状態で加工テーブルと一緒に第2仮造形物86をX方向及びY方向に移動させる。その際にダイヤルゲージが示す値の変化量がX方向及びY方向でそれぞれ所定の範囲内におさまるまで第2仮造形物86と加工テーブルの間にシム板を挟む等して固定する位置を調整する。
【0092】
さらに、切削加工装置は、例えば、主軸に取り付けた基準球を使って、加工テーブル上の第2仮造形物86の各種座標値を検出し、自身の座標系と第2仮造形物86の座標系が一致するように補正する。
【0093】
例えば、図16M図16Pで示す第2仮造形物86であれば、一般的に、切削加工装置は、主軸に取り付けた基準球を使って、第2仮造形物86の左右の2つの基準面58bに対して同一のY座標且つ同一のZ座標におけるそれぞれのX座標を検出してそれら座標の中間のX座標を演算し、第2仮造形物86の前後の2つの基準面58bに対して同一のX座標且つ同一のZ座標におけるそれぞれのY座標検出してそれら座標の中間のY座標を演算し、加工テーブルの所定の位置のZ座標と第2仮造形物86の上面の基準面58bの所定のX座標且つ所定のY座標におけるZ座標を検出してそれら座標の中間のZ座標を演算して、第2仮造形物86の中心座標を検出する。
【0094】
また例えば、図16M図16Pで示す第2仮造形物86であれば、一般的に、切削加工装置は、前後の2つの基準面58bのうちのどちらか一方の基準面58bに対して、2つの異なるX座標且つ同一のZ座標における2つのY座標を検出し、左右の2つの基準面58bのうちのどちらか一方の基準面58bに対して、2つの異なるY座標且つ同一のZ座標における2つのY座標を検出して、回転方向のズレを検出する。
【0095】
また例えば、図16M図16Pで示す第2仮造形物86であれば、一般的に、切削加工装置は、第2仮造形物86の前後の2つの基準面58bのうちのどちらか一方の基準面58bに対して、2つの異なるX座標且つ同一のZ座標における2つのY座標を検出し、第2仮造形物86の左右の2つの基準面58bのうちのどちらか一方の基準面58bに対して、2つの異なるY座標且つ同一のZ座標における2つのX座標を検出して、XY平面上における回転方向のズレを検出する。
【0096】
また例えば、図16M図16Pで示す第2仮造形物86であれば、一般的に、切削加工装置は、第2仮造形物86の上面の基準面58bに対して、2つの異なるX座標且つ同一のY座標における2つのZ座標を検出して、X方向の傾きを検出する。また例えば、図16M図16Pで示す第2仮造形物86であれば、一般的に、切削加工装置は、第2仮造形物86の上面の基準面58bに対して、2つの異なるY座標且つ同一のX座標における2つのZ座標を検出して、Y方向の傾きを検出する。
【0097】
それにより、別の加工機で積層造形物の2次加工を行う場合でも精度の高い加工を容易に行うことを可能にする。
【0098】
なお、以上のように、例えば、造形テーブル5に平行な面として1つの基準面85bの形削りを実施してもよいし、造形テーブル5に平行な面として複数の基準面85bの形削りを実施してもよい。また、造形テーブル5に平行な面の形削り(図18A)だけでなく、これに垂直な面の形削りをすることもでき(図18B)、更に第1仮造形物85の表面85aの凹凸が大きい場合などには、これらを組み合わせて表面85aから深い位置に基準面85bを形削りするようにしてもよい(図18C)。また、加工ヘッド57に有する旋回機構60は、例えば、形削りに使用されるバイト61にもよるが、行きの移動で形削りしたあとに、バイト61を180度回動させて、帰りの移動でも形削りできるようにして、行きと帰りでバイト61を交互に180度回動させるようにしてもよい。なお、以上に示す実施の形態に限定されずに、旋回機構60、第1水平移動機構および第2水平移動機構のうちの必要な機構を同時または必要なタイミングでそれぞれ駆動させて、基準面85bを形削りするとよい。
【0099】
3.結言
本発明の実施形態やその変形例を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
1 :チャンバ
1a :ウィンドウ
1b :チャンバ供給口
1c :チャンバ排出口
1d :造形空間
1e :副供給口
1f :副排出口
2 :水平
3 :粉体層形成装置
4 :ベース台
5 :造形テーブル
7 :造形プレート
8 :材料粉体層
11 :リコータヘッド
11a :材料収容部
11b :材料供給部
11c :材料排出部
11d :リコータヘッド水平移動機構
11e :ガイドレール
11f :ガイドブロック
11fb :ブレード
11g :回転モータ
11rb :ブレード
13 :レーザ光照射部
15 :不活性ガス供給装置
17 :ヒューム拡散装置
17a :筐体
17b :開口部
17c :拡散部材
17d :不活性ガス供給空間
17f :清浄室
17g :ヒューム拡散装置供給口
19 :ヒュームコレクタ
21 :ダクトボックス
23 :ダクトボックス
26 :粉体保持壁
31 :造形テーブル駆動機構
42 :レーザ光源
43a :ガルバノミラー
43b :ガルバノミラー
44 :フォーカス制御ユニット
50 :装置
57 :加工ヘッド
60 :旋回機構
61 :バイト
63a :第1水平移動機構
63aa :ガイドレール
63ab :ガイドブロック
63ac :回転モータ
63b :第2水平移動機構
63ba :ガイドレール
63bb :ガイドブロック
63bc :回転モータ
63c :ガントリ
81f :焼結層
82f :焼結層
83f :焼結層
85 :第1仮造形物
85a :表面
85b :基準面
86 :第2仮造形物
L :レーザ光
R :造形領域
【要約】
【課題】従来に比して大型化及び高コスト化を抑制しつつ且つ、その後の切削加工においても加工誤差を小さくすることができる積層造形装置を提供すること。
【解決手段】本発明によれば、所望の積層造形物の形状を所定厚で分割してなる分割層ごとに、鉛直1軸方向に移動可能な造形テーブル上に前記所定厚の材料粉体層を形成し、続いて前記材料粉体層の所定箇所にレーザ光を照射することで焼結層を形成することを繰り返すことによって積層造形物を形成するように構成される積層造形装置であって、バイトを有する加工ヘッドを備え、前記バイトは、前記積層造形物に対して前記造形テーブルに平行な面と前記造形テーブルに垂直で且つ互いに垂直な2つの面の形削りを実施可能に構成され、前記加工ヘッドは、前記バイトを前記造形テーブルと平行な水平2軸方向に移動可能とし、且つ前記鉛直1軸方向に中心軸を有して旋回可能とする、積層造形装置が提供される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
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図5
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図19
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