特許第6348215号(P6348215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6348215
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】被覆方法
(51)【国際特許分類】
   B60P 7/04 20060101AFI20180618BHJP
【FI】
   B60P7/04
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-243824(P2017-243824)
(22)【出願日】2017年12月20日
【審査請求日】2017年12月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 靖浩
(72)【発明者】
【氏名】登澤 大介
(72)【発明者】
【氏名】岡本 勇一
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 雄基
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−168946(JP,U)
【文献】 実開昭59−002641(JP,U)
【文献】 実開昭56−087347(JP,U)
【文献】 米国特許第5964236(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 7/04
B60J 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
覆用シートを用いて運搬用車両の荷台に積載された荷物を覆う被覆方法であって、
前記被覆用シートが、前記荷物を覆うシート本体と、前記シート本体に一体または別体として設けられ、内部に剛性補強材を挿脱可能な導入路と、前記シート本体を吊り上げるための把持手段と、を備え、前記導入路に前記剛性補強材を挿入した状態で、平面視で前記シート本体のうちの少なくとも一部の領域が略平面形状に保持されるものであり、
前記剛性補強材が流体物であると共に、前記導入路が密閉可能となるように形成されており、
前記流体物を前記導入路に導入し、当該導入路を密閉状態で保持する第1ステップと、
前記第1ステップの後、前記被覆用シートの把持手段を重機で把持して吊り上げる第2ステップと、
前記第2ステップの後、前記被覆用シートを前記荷物に被せる第3ステップと、
前記第3ステップの後、前記被覆用シートを前記荷台に固定する第4ステップと、
を備えていることを特徴とする被覆方法。
【請求項2】
第3ステップの後かつ第4ステップの前に行われ、流体物を導入路から抜き取るステップを更に備えている請求項に記載の被覆方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、覆方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンプカーなどの運搬用車両の荷台に積載した荷物を覆うものとして、例えば、係止手段を備えた可撓性のシートが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなシートを用いる場合、シートを荷台上の荷物を覆うように広げた後、係止手段を用いて上記シートを固定するものであり、荷物を覆ったシートを容易に固定することができる点で優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−7613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来のシートを用いて荷物を被覆する場合、特にダンプカーなどの大型運搬用車両では、作業者が荷台上に登ってシートを荷物上に広げたり、脚立などの作業補助具に登って荷台の側方からシートを荷物上に広げる必要があり、このような高所作業を行う際、作業者の安全性やシート掛けの効率性が損なわれる虞がある。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、荷台上の荷物を安全かつ効率よく覆うことが可能な覆方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1)被覆用シートを用いて運搬用車両の荷台に積載された荷物を覆う被覆方法であって、
前記被覆用シートが、前記荷物を覆うシート本体と、前記シート本体に一体または別体として設けられ、内部に剛性補強材を挿脱可能な導入路と、前記シート本体を吊り上げるための把持手段と、を備え、前記導入路に前記剛性補強材を挿入した状態で、平面視で前記シート本体のうちの少なくとも一部の領域が略平面形状に保持されるものであり、
前記剛性補強材が流体物であると共に、前記導入路が密閉可能となるように形成されており、
前記流体物を前記導入路に導入し、当該導入路を密閉状態で保持する第1ステップと、
前記第1ステップの後、前記被覆用シートの把持手段を重機で把持して吊り上げる第2ステップと、
前記第2ステップの後、前記被覆用シートを前記荷物に被せる第3ステップと、
前記第3ステップの後、前記被覆用シートを前記荷台に固定する第4ステップと、
を備えていることを特徴とする被覆方法、および
)第3ステップの後かつ第4ステップの前に行われ、流体物を導入路から抜き取るステップを更に備えている前記()に記載の被覆方法
に関する。
【0008】
なお、本明細書において、「導入路」とは、内部に剛性補強材を保持すること可能な密閉または開放された空間を意味する。また、「所定の形状」とは、各部位において、あらかじめ定められた範囲の形状を意味する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、荷台上の荷物を安全かつ効率よく覆うことが可能な覆方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態を示す概略的斜視図である。
図2図1の導入路の概略的断面図であって、(a)は一態様、(b)は他の態様、(c)は更に他の態様をそれぞれ示している。
図3】厚み制限手段を示す概略的断面図であって、(a)は一態様、(b)は他の態様をそれぞれ示している。
図4】厚み制限手段の配置の一例を示す概略的平面図である。
図5図1の一部を拡大して示す概略的斜視図である。
図6図5の概略的断面図であって、(a)はVIa−VIa断面、(b)はVIb−VIb断面をそれぞれ示している。
図7図1の被覆用シートの概略的展開図であって、運搬用車両の荷台との比較を示す図である。
図8図1を背面側から見たときの概略的斜視図である。
図9図1の変形例を示す概略的斜視図である。
図10】本発明の第2の実施形態を示す概略的斜視図である。
図11図10の変形例を示す概略的斜視図である。
図12】本発明の第3の実施形態を示す概略的斜視図である。
図13図11の横断面の一部を拡大して示す概略図である。
図14】本発明の第4の実施形態を示す概略的斜視図である。
図15図14の一部を拡大して示す概略的斜視図である。
図16】本発明の被覆方法の一例を説明するための概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<被覆用シート>
本発明の被覆用シートは、運搬用車両の荷台に積載された荷物を覆うための被覆用シートであって、上記荷物を覆うシート本体と、上記シート本体に一体または別体として設けられ、内部に剛性補強材を挿脱可能な導入路と、を備え、上記導入路に上記剛性補強材を挿入した状態で、平面視で上記シート本体のうちの少なくとも一部の領域が略平面形状に保持されることを特徴とする。
【0012】
以下、当該被覆用シートの実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態を示す概略的斜視図である。当該被覆用シートA11は、図1に示すように、概略的に、シート本体11と、導入路31と、図示していない厚み制限手段61および把持手段71とにより構成されている。
【0014】
シート本体11は、運搬用車両Lの荷台に積載された荷物Nを覆う。具体的には、シート本体11は、図1に示すように、例えば、平面視で方形状に形成されている。
【0015】
このシート本体11は、自由に変形して荷物Nを覆うことができるように、可撓性を有するシート部材111で形成されている。シート部材111を構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等を採用することができる。
【0016】
導入路31は、剛性補強材Bを保持するものであり、シート本体11に一体または別体として設けられ、導入口31bを介して内部に剛性補強材Bを挿脱できるように形成されている。この導入路31は、内部が密閉可能なもの、外部に開放しているもののいずれであってもよい。なお、密閉可能な導入路は、通常、一つの連続した空間ごとに開閉可能な少なくとも一つの導入口が設けられる。本実施形態の被覆用シートA11は、図1に示すように、開閉可能な導入口31bを有する密閉可能なトンネル状の導入路31を備えている。
【0017】
導入路31の配置としては、導入路31に剛性補強材Bを挿入した状態で、平面視でシート本体11のうちの少なくとも一部の領域11aを略平面形状に保持することができれば特に限定されない。本実施形態の導入路31は、平面視で方形状の四辺それぞれに対応する位置に4つ(導入路311、導入路312、導入路313、導入路314)形成されており、四辺のうちの隣接する二辺に対応する導入路31どうしの相対的な位置関係が変化しないように、上記導入路31どうしの配置が固定されている。導入路31どうしの配置を固定する方法としては、例えば、導入路31を形成する隣り合う導入路形成部材21どうしを、剛性を有する連結部材41を用いて連結する方法等が挙げられる。これにより、4つの導入路311〜314で囲まれたシート本体11の部位に略平面形状の一部の領域11aが形成される。このように導入路31の配置を上述の構成とすることで、一部の領域11aの形状を、運搬用車両Lが通常有する荷台Mの形状に合わせることができる。
【0018】
なお、剛性補強材Bを挿入したときの導入路31の横断面の形状は、導入路31各部において所定の形状であることが好ましい。すなわち、剛性補強材Bの挿脱を繰り返した場合であっても、例えば、図5および図6に示すように、剛性補強材Bを挿入した状態における導入路31の任意の部位の横断面の形状が、上記任意の部位においてあらかじめ定められた形状(所定の形状)範囲に常に入っていることが好ましい。これにより、同じ形状の導入路31を繰り返して形成することができ、上記一部の領域11aを何度も略平面形状に形成することができる。
【0019】
また、導入路31どうしは、一つの連続した空間で形成されていることが好ましい。本実施形態では、導入路31どうしが相通するように、隣り合う導入路31の端部を連結するように接続路51が設けられており、この接続路51を介して剛性補強材Bが上記導入路31を自由に往来できるように形成されている。これにより、一つの導入口31bを介して剛性補強材Bを導入路31に簡易に挿脱することができる。
【0020】
上述の剛性補強材Bとしては、これを導入路31に挿入した状態で、平面視でシート本体11のうちの少なくとも一部の領域11aを略平面形状に保持することができれば特に限定されず、例えば、空気などの気体、水などの液体等の流動物;金属や木材などの棒状の固体等を採用することができる。本実施形態では、剛性補強材Bとして流体物B1(空気)が用いられている。
【0021】
導入路31の形成方法としては、図2に示すように、例えば、導入路形成部材21をシート本体11のシート部材111に固着(固着部w11)することで別体として形成する方法(図2(a)参照)、シート部材112を折り返して周囲を固着(固着部w12)することで一体として形成する方法(図2(b)参照)、重ね合わせた2枚のシート部材1131、1132の間に空間を設けて周囲を固着(固着部w13)することで形成する方法(図2(c)等を採用することができる。本実施形態の被覆用シートA11は、シート部材111とは別体の導入路形成部材21を用いて導入路31が形成されている。
【0022】
導入路31の固着方法としては、例えば、接着剤を用いて部材どうしを接着する方法、加熱により部材どしを溶着する方法、紐などを用いて部材どうしを固縛または縫合する方法等が挙げられる。
【0023】
なお、導入路の配置は、シート本体のうちの少なくとも一部の領域が略平面形状に保持可能であれば特に限定されず、図9に示す被覆用シートA12ような平面視で円環状の導入路315の配置等を採用することができる。
【0024】
ここで、シート本体11の一部の領域は、平面視で荷台Mの大きさよりも大きいことが好ましい。具体的には、当該被覆用シートA11は、図7に示すように、シート本体11の一部の領域11aにより運搬用車両Lの方形状の荷台M全体が平面視で隠れる程度の大きさに形成されている。これにより、当該被覆用シートA11を用いて荷物Nを確実に覆うことができる。
【0025】
厚み制限手段61は、シート本体11厚み方向に対向する導入路31の内周どうしの距離を制限する。具体的には、本実施形態の厚み制限手段61は、例えば、図3(a)に示すように、導入路31におけるシート本体11側の内周31a1と上記内周31a1に対面する導入路の内周31a2とが、紐部材611を溶着(溶着部w21)することで接続されており、内周31a1、31a2の間隔が所定の間隔内に収まるように制限されている。
【0026】
なお、厚み制限手段は、導入路の内周どうしの距離を制限できれば特に限定されず、伸び難い材料を用い、シート部材114、および導入路314を形成する導入路形成部材212の外周を取り囲む厚み制限手段62(図3(b)参照)など、種々の構成を採用することができる。
【0027】
ここで、当該被覆用シートA11は、厚み制限手段61を複数有し、厚み制限手段61どうしが所定の間隔で配置されていることが好ましく、導入路31の厚みを均等に制限できる観点から、例えば、本実施形態のように、導入路31に沿って一定の間隔で配設されていることがより好ましい(図4参照)。
【0028】
このように、当該被覆用シートA11は、厚み制限手段61を備えていることで、導入路31が膨らむのを抑制することができ、被覆用シートA11が無用に厚くなるのを防止することができる。
【0029】
また、当該被覆用シートA11は、複数の厚み制限手段61どうしが所定の間隔で配置されていることで、導入路31全体としての厚みを効果的に制限することができる。
【0030】
把持手段71は、シート本体11を吊り上げるための手段である。この把持手段71は、例えばクレーンなどの重機を用いて当該被覆用シートA11を吊り下げることができれば、その形態、配置、および数は特に限定されず、例えば、シート本体および/または導入路に接続することができる。本実施形態では、図8に示すように、把持手段71が、平面視でシート本体11の略中央部の1箇所に取り付けられている。なお、当該被覆用シートA11は、把持手段71を複数備えていてもよい。また、把持手段71は、シート本体11の表裏のいずれに設けられていてもよい。これにより、当該被覆用シートA11を、荷台M上の荷物Nに容易に被せることができる。
【0031】
なお、当該被覆用シートA11を用いた荷物Nの被覆方法については、後述の<被覆方法>の項において、剛性補強材Bが流動体B1であるものを例に取って詳述する。
【0032】
以上のように、当該被覆用シートA11は、上述した構成であるので、例えばシートを荷物上に広げる際に作業者が荷台上に登ることなく、荷台M上の荷物Nを安全かつ効率よく覆うことができる。特に、当該被覆用シートA11は、緊急で高い作業効率が求められるような、フレキシブルコンテナバッグ(フレコンバッグ)などを多量に取り扱う災害対策現場等において、好適に用いられる。
【0033】
[第2の実施形態]
図10は、本発明の第2の実施形態を示す概略的斜視図である。当該被覆用シートA21は、図10に示すように、概略的に、シート本体11と、導入路31と、略十字状の導入路321(以下、単に「導入路321」ともいう)と、図示していない厚み制限手段61および把持手段71とにより構成されている。本実施形態は、略十字状の導入路321を備えている点で、第1の実施形態と異なっている。なお、以下に示す構成以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と同一部位には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0034】
導入路31は、第1の実施形態にて詳述した4つの導入路311〜314と、シート本体11における上記4つの導入路311〜314で囲まれた部位に一体または別体として設けられ、端部が上記4つの導入路311〜314のうちの少なくともいずれか1つの導入路まで延設されている略十字状の導入路321とにより構成されている。具体的には、導入路321は、例えば、シート状の導入路形成部材221をトンネル状に成形することで、その内部に一つの連続した空間として形成されている。また、導入路321を構成する導入路形成部材221の各端部221aは、導入路形成部材21の方形状の4つの角部に接続され、導入路31と導入路321とが接続路52を介して一つの連続した空間を構成している。
【0035】
このように、当該被覆用シートA21は、略十字状の導入路321を更に備えているので、シート本体11の平面形状保持性を向上させることができ、より確実に当該被覆用シートA21を荷物Nに被せることができる。
【0036】
なお、図11の被覆用シートA22に示すように、略十字状の導入路322を形成する導入路形成部材222の各端部222aは、4つの導入路311〜314それぞれを形成する導入路形成部材21の中途に接続されていてもよい。
【0037】
[第3の実施形態]
図12は、本発明の第3の実施形態を示す概略的斜視図である。当該被覆用シートA31は、図12に示すように、概略的に、シート本体13と、導入路33と、厚み制限手段63とにより構成されている。本実施形態は、シート本体13、導入路33、および厚み制限手段63の構成が第1の実施形態と異なっている。なお、以下に示す構成以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態の説明を援用する。
【0038】
シート本体13は、表裏をなす同一形状のシート部材131、132で構成されている。具体的には、シート本体13は、例えば、1枚のシートを2つに折り畳んで周縁部を接合する構成、同一形状の2枚のシートを重ねて周縁部を接合する構成等を採用することができる。
【0039】
導入路33は、シート本体13に一体として設けられ、表裏をなすシート部材131、132どうしの間に形成された空間で構成されている。なお、導入路33に挿脱される剛性補強材Bは、挿脱を容易かつ迅速に行うことができるように、流体物B1であることが好ましい。
【0040】
厚み制限手段63は、シート部材131、132の対向する内周どうしの距離を制限する。具体的には、厚み制限手段63は、図13に示すように、例えば、重ねられた表裏のシート部材131、132の一部が溶着等により互いに固着されたもの、図示してないが表裏のシート部材を紐等の部材で接続したもの等を採用することができる。本実施形態の被覆用シートA31は、中央部の厚みを制限し、荷台の上部に配置される領域を略平面形状とするために所定の間隔で点在した複数の厚み制限手段63が配置されている。
【0041】
このように、当該被覆用シートA31は、上述した構成であるので、剛性補強材Bが挿入される領域を広く取ることができ、シート本体13の平面形状保持性をより向上させることができる。
【0042】
[第4の実施形態]
図14は、本発明の第4の実施形態を示す概略的斜視図である。当該被覆用シートA41は、図14に示すように、概略的に、シート本体14と、導入路34とにより構成されている。本実施形態は、シート本体14および導入路34の構成が第1の実施形態と異なっている。なお、以下に示す構成以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態の説明を援用する。
【0043】
シート本体14は、シート部材141で形成されており、所定の部位に後述する導入路形成部材24が配設されている。なお。本実施形態では、シート本体14における最外周の導入路形成部材24で囲まれた領域14aが、略平面形状に保持される一部の領域となる。
【0044】
導入路34は、例えば、図15に示すように、シート本体14の貫通孔14bに貫設されたリング状の導入路形成部材24の内側に形成されている。導入路形成部材24を構成する材料としては、例えば、プラスチック、金属等が挙げられる。
【0045】
なお、当該被覆用シートA41で用いられる剛性補強材Bとしては、例えば、プラスチック、金属などの堅牢な材料を用いて形成された棒状の部材B21、B22等が挙げられる。
【0046】
このように、当該被覆用シートA41は、上記構成であるので、簡易な構成で導入路34を形成することができ、被覆用シートの設計裕度を高めることができる。
【0047】
<被覆方法>
本発明の被覆方法は、当該被覆用シートを用いて運搬用車両の荷台に積載された荷物を覆う被覆方法であって、剛性補強材が流体物であると共に、導入路が密閉可能となるように形成されており、上記流体物を上記導入路に導入し、当該導入路を密閉状態で保持する第1ステップと、上記第1ステップの後、上記被覆用シートの把持手段を把持して吊り上げる第2ステップと、上記第2ステップの後、上記被覆用シートを上記荷物に被せる第3ステップと、上記第3ステップの後、上記被覆用シートを上記荷台に固定する第4ステップと、を備えていることを特徴とする。
【0048】
なお、当該被覆方法は、第3ステップの後かつ第4ステップの前に行われ、流体物を導入路から抜き取るステップ(以下、「第3−4ステップ」ともいう)を更に備えていることが好ましい。
【0049】
以下、当該被覆方法の一実施形態について、上述した被覆用シートA11を例にとって説明するが、本発明は、以下に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。
【0050】
[第1ステップ]
第1ステップでは、例えば、外部に設けられた送気装置(不図示)を用いて空気などの流体物B1を導入口31bを介して強制的に導入路31に導入し、シート本体11のうちの少なくとも一部の領域11aが略平面形状になるまで十分に流体物B1を充填た後、導入口31bを閉栓して導入路31を密閉状態で保持する。
【0051】
[第2ステップ]
第2ステップでは、上述した第1ステップの後、被覆用シートの把持手段を把持して吊り上げる。具体的には、図16に示すように、例えばクレーンなどの重機J用い、この重機Jのアームに取り付けられた把持用のアタッチメントJ1により被覆用シートA11の把持手段71を把持して吊り上げる。
【0052】
[第3ステップ]
第3ステップでは、上述した第2ステップの後、例えば上述した重機Jを操作し、吊り上げられた被覆用シートA11を運搬用車両Lの荷台Mに積載された荷物N上に被せる。この際、シート本体11のうちの少なくとも一部に形成された略平面形状の領域11aが、平面視で上記荷物Nの真上を覆うように被覆用シートA11を被せる。
【0053】
[第3−4ステップ]
第3−4ステップでは、上述した第3ステップの後、導入口31bを開栓し、導入路31内に挿入されている流体物B1を導入口31bを介して導入路31から抜き取る。この流体物B1を抜き取る際は、単に導入口31bを開栓することで自発的に流体物B1を排出させてもよく、外部に設けられた吸引装置(不図示)を用いて強制的に排出させてもよい。これにより、シート本体11の略平面形状に保持された一部の領域11aが消滅し、可撓性を有するシート部材111の自重によりシート本体11が荷物Nの外形に沿って変形することで荷物Nを覆うことができる。
【0054】
[第4ステップ]
第4ステップでは、上述した第3ステップの後、被覆用シートA11を荷台Mに固定する。具体的には、例えば、シート本体11の周縁部に設けられた紐部材などの係止具Kと、運搬用車両Lの荷台Mに設けられたフックなどの被係止具(不図示)とを締結することで被覆用シートA11が荷台Mに固定される。
【0055】
以上のように、当該被覆方法は、上述のステップを備えているので、流体物B1の挿脱を容易かつ迅速に行うことができ、荷台M上の荷物Nを安全かつ効率よく覆うことができる。
【0056】
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0057】
例えば、上述した当該被覆方法では、第1〜第4ステップと共に第3−4ステップを備えている被覆方法について説明したが、第1〜第4ステップのみからなる被覆方法であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
L 運搬用車両
M 荷台
N 荷物
A11、A12、A21、A22、A31、A41 被覆用シート
B、B1、B21、B22 剛性補強材
11、13、14 シート本体
11a、13a、14a 一部の領域
31〜34、311〜315 導入路
61、62、63 厚み制限手段
71 把持手段
321、322 略十字状の導入路
321a、322a 端部
【要約】
【課題】荷台上安全かつ効率よく覆うことが可能な被覆用シートおよび被覆方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の被覆用シートA11は、運搬用車両Lの荷台Mに積載された荷物Nを覆うための被覆用シートであって、荷物Nを覆うシート本体11と、シート本体11に一体または別体として設けられ、内部に剛性補強材Bを挿脱可能な導入路31と、を備え、導入路31に剛性補強材Bを挿入した状態で、平面視でシート本体11のうちの少なくとも一部の領域11aが略平面形状に保持されることを特徴とする。
【選択図】図1
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