特許第6348216号(P6348216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6348216二軸押出機用バレルブロックおよび二軸押出機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6348216
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】二軸押出機用バレルブロックおよび二軸押出機
(51)【国際特許分類】
   B29C 47/66 20060101AFI20180618BHJP
   B29C 47/40 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   B29C47/66
   B29C47/40 Z
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-253943(P2017-253943)
(22)【出願日】2017年12月28日
【審査請求日】2018年1月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】東芝機械株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大石 真伸
【審査官】 一宮 里枝
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104669584(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0063939(US,A1)
【文献】 特開昭50−156007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 47/00−47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のスクリュを回転可能に収容するシリンダが設けられたバレルを構成するための両端に接合部が形成された二軸押出機用バレルブロックであって、
一方の端面となる第1のブロック端面と、前記第1のブロック端面とは反対側に位置し、他方の端面となる第2のブロック端面と、前記第1のブロック端面と前記第2のブロック端面とをつなぐ4つのブロック側面と、を有する直方体状のブロック本体と、
前記第1のブロック端面の外周縁および前記第2のブロック端面の外周縁より、それぞれ外周側へ向けて突出させて形成された矩形枠状の第1のフランジ部および第2のフランジ部と、
前記第1のフランジ部および前記第2のフランジ部に、それぞれ前記ブロック本体を囲うように間隔を空けて設けられた複数の第1のボルト孔および第2のボルト孔と、
前記第1のブロック端面から前記第2のブロック端面までを真っ直ぐに貫通することにより形成された前記スクリュの挿通孔を規定するシリンダ構成部と、
を備え、
前記第1のブロック端面と前記第1のフランジ部の端面とにより構成される第1の接合部は、
前記スクリュの挿通孔の開口の周縁を連続して囲う第1の内側接合面と、前記第1の内側接合面の外周側に、前記第2のブロック端面の側に窪ませて形成された第1の逃げ面と、
前記複数の第1のボルト孔を囲うように、前記複数の第1のボルト孔の外周側に、前記第1の逃げ面から前記第2のブロック端面とは反対の側に突出させた第1の突出部の先端に形成された矩形枠状の第1の外側接合面と、を有し、
前記第1の外側接合面は前記第1の内側接合面よりも前記第2のブロック端面の側に窪ませて形成されていることを特徴とする二軸押出機用バレルブロック。
【請求項2】
前記スクリュの挿通孔が開口する前記第2のブロック端面と、前記第2のブロック端面の外周縁より連続して延出し、前記ボルト孔が開口する前記第2のフランジ部の端面と、により形成される第2の接合部は、前記スクリュの挿通孔の開口の周縁を連続して囲い、前記第2のフランジ部の端面の外周縁まで延びる第2の接合面を有していることを特徴とする請求項1に記載の二軸押出機用バレルブロック。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載された二軸押出機用バレルブロックを備えた二軸押出機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二軸押出機のバレルを構成する複数の二軸押出機用バレルブロックにおいて、これらバレルブロックを相互に接合するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
二軸押出機は、2本のスクリュを回転可能に収容するシリンダを有するバレルを具備している。バレルは、ブロック化された複数の二軸押出機用バレルブロックを相互に接合させて一体化されている。各バレルブロックは、その両端に設けられた接合部と、接合部相互間を貫通させて構成されたシリンダ構成部と、を備えている。
【0003】
ここで、例えば、二軸押出機用の複数のバレルブロックを、所定の方向に沿って並べて、隣り合うバレルブロックの接合部を相互に接触させる。この状態で、締結ボルトによって接合部を相互に接合する。このとき、複数のバレルブロックが相互に接合された一連のバレルが構成される。バレルには、複数のシリンダ構成部が相互に繋がった一連のシリンダが構成される。これにより、二本のスクリュを回転可能に収容するシリンダを有する二軸押出機のバレルが実現される。
【0004】
二軸押出機において、シリンダに投入された原料は、同時に回転する2本のスクリュによって搬送されつつ混練される。この後、混練物を、例えば、一定形状(輪郭)の隙間(吐出口)から押し出す。これにより、所定の形状(輪郭)を有する製品が加工される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭50−156007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、シリンダに沿って搬送される原料としては、例えば、粘度が高い原料や、粘度が低い原料のみならず、流動性を有する液体原料など、様々な原料が適用されている。そして、シリンダの内部は、高圧の環境下となっている。このため、シリンダ内を搬送される原料には、常に、高い圧力が作用する。そうすると、例えば、シリンダの内部圧力の程度や、シリンダ内を搬送される原料の種類によっては、当該原料の一部が、混練中に、バレルブロック相互間(即ち、接合部相互間)から漏出するおそれがある。
【0007】
そこで、特許文献1には、スクリューケーシング(即ち、バレルブロック)の両端のフランジ状接合部において、スクリュ孔(即ち、シリンダ)の周囲を突出させた技術が提案されている。かかる技術によれば、スクリューケーシングを相互に接合させる際に、スクリュ孔の周囲が互いに密に接触する。このようにして、スクリューケーシング相互間(即ち、接合部相互間)からの原料の漏出防止が図られている。
【0008】
しかし、特許文献1の技術では、スクリューケーシング相互の接合に際し、締結ボルトの締め込み量に応じて、フランジ状接合部が倒れ込んでしまう場合がある。この場合、当該接合部の倒れ込み量の程度によっては、上記のスクリュ孔の周囲で片当たりが生じ、接触状態(例えば、接触圧)を均一に維持することができなくなる。そして、スクリュ孔の周囲に沿って接触圧の弱い部分が発生すると、その部分から原料が漏出してしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、二軸押出機用バレルブロック相互の接合に際し、シリンダの周囲を密に接触させるとともに、その接触状態を均一にすることで、当該バレルブロック相互間からの原料の漏出を無くする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、実施形態の二軸押出機用バレルブロックは、2本のスクリュを回転可能に収容するシリンダが設けられたバレルを構成するための両端に接合部が形成された二軸押出機用バレルブロックであって、一方の端面となる第1のブロック端面と、第1のブロック端面とは反対側に位置し、他方の端面となる第2のブロック端面と、第1のブロック端面と第2のブロック端面とをつなぐ4つのブロック側面と、を有する直方体状のブロック本体と、第1のブロック端面の外周縁および第2のブロック端面の外周縁より、それぞれ外周側へ向けて突出させて形成された矩形枠状の第1のフランジ部および第2のフランジ部と、第1のフランジ部および第2のフランジ部に、それぞれブロック本体を囲うように間隔を空けて設けられた複数の第1のボルト孔および第2のボルト孔と、第1のブロック端面から第2のブロック端面までを真っ直ぐに貫通することにより形成されたスクリュの挿通孔を規定するシリンダ構成部と、を備え、第1のブロック端面と第1のフランジ部の端面とにより構成される第1の接合部は、スクリュの挿通孔の開口の周縁を連続して囲う第1の内側接合面と、第1の内側接合面の外周側に、第2のブロック端面の側に窪ませて形成された第1の逃げ面と、複数の第1のボルト孔を囲うように、複数の第1のボルト孔の外周側に、第1の逃げ面から第2のブロック端面とは反対の側に突出させた第1の突出部の先端に形成された矩形枠状の第1の外側接合面と、を有し、第1の外側接合面は第1の内側接合面よりも第2のブロック端面の側に窪ませて形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、二軸押出機用バレルブロック相互の接合に際し、シリンダの周囲を密に接触させるとともに、その接触状態を均一にすることで、当該バレルブロック相互間からの原料の漏出を無くする技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る二軸押出機の全体構成を示す断面図。
図2】本発明の一実施形態に係る二軸押出機用バレルブロックの構成を示す斜視図。
図3図2のF3−F3線に沿う断面図。
図4】一実施形態に係る二軸押出機用バレルブロック相互の接合状態を示す断面図。
図5】一実施形態に係る二軸押出機用バレルブロック相互の接合状態における解析結果を模式的に示す画像図。
図6】従来の形態に係る二軸押出機用バレルブロック相互の接合状態における解析結果を模式的に示す画像図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、一実施形態に係る二軸押出機1は、2本のスクリュ2と、一連のバレル3と、押出機本体4と、を有している。バレル3は、その基端が押出機本体4に固定され、ベース5から立ち上げられた複数の支柱6によって、水平方向に沿った姿勢で支持されている。
【0014】
上述のバレル3は、後述する二軸押出機用の複数のバレルブロック3pを相互に接合させて一体化され、一方向に沿って連続する一連のシリンダ7を有している。シリンダ7は、後述する複数のシリンダ構成部3bを相互につなげて構成されている。2本のスクリュ2は、押出機本体4に連結された状態で、シリンダ7に回転可能に収容されている。図1には、片方のスクリュ2のみが示されている。
【0015】
バレル3には、シリンダ7に加えて、原料の供給口8と、混練物の吐出口9と、が設けられている。
さらに、バレル3には、加熱装置10(例えば、ヒータ)が取り付けられている。加熱装置10は、バレル3を加熱して、予め設定した温度に維持可能に構成されている。
【0016】
押出機本体4は、駆動機構4aと、コントローラ4bと、を備えている。
コントローラ4bは、駆動機構4aに備えられたモータ4mの回転を制御し、2本のスクリュ2を回転させる。これにより、2本のスクリュ2は、シリンダ7に挿通(収容)された状態において、互いに噛み合いながら回転可能に構成されている。
【0017】
ここで、ホッパー11に原料を供給する。供給された原料は、供給口8を通って、シリンダ7に投入される。投入された原料は、加熱装置10および回転する2本のスクリュ2によって、溶融されつつ混練されて吐出口9まで搬送される。これにより、混練された溶融状態の原料(混練物)が、吐出口9から連続的に吐出される。
【0018】
次に、バレルブロック3pの構造について説明する。
図2および図3には、上述したシリンダ7を備えたバレル3を構成するための二軸押出機用のバレルブロック3pが示されている。
なお、本実施形態の二軸押出機1において、シリンダ7が水平面上に延びる方向を長手方向と規定する。
【0019】
バレルブロック3pは、ブロック本体20と、第1のフランジ部22および第2のフランジ部23と、シリンダ構成部3bと、を備えている。
【0020】
ブロック本体20は、直方体状に構成されている。詳細には、ブロック本体20は、一方の端面となる第1のブロック端面20aと、第1のブロック端面20aとは反対側に位置し、第1のブロック端面20aに対して他方の端面となる第2のブロック端面20bを有している。第1のブロック端面20aおよび第2のブロック端面20bは、同一の矩形状とされている。
さらにブロック本体20は、第1のブロック端面20aと第2のブロック端面20bとをつなぐ4つの矩形状のブロック側面20c、20d、20e、20fを有している。
【0021】
そして、ブロック本体20には、第1のブロック端面20aの外周縁より、外周側に向けて突出させて、第1のブロック端面20aと一体的に形成された第1のフランジ部22が設けられている。同様に、ブロック本体20には、第2のブロック端面20bの外周縁より、外周側に向けて突出させて、第2のブロック端面20bと一体的に形成された第2のフランジ部23が設けられている。第1のフランジ部22と第2のフランジ部23は、同一の矩形枠状に形成されている。
【0022】
第1のフランジ部22は、長手方向に所定の厚さを有しており、第1のブロック端面20aの外周縁で直交する4つブロック側面20c、20d、20e、20fの端縁から当該厚さに対応する領域において、第1のフランジ部22と4つのブロック側面20c、20d、20e、20fは一体化されて構成されている。同様に、第2のフランジ部23は、長手方向に所定の厚さを有しており、第2のブロック端面20bの外周縁で直交する4つのブロック側面20c、20d、20e、20fの端縁から当該厚さに対応する領域において、第2のフランジ部23と4つのブロック側面20c、20d、20e、20fは一体化されて構成されている。
【0023】
第1のフランジ部22は、一方の端面として、第1のブロック端面20aと同じ方向に面する第1のフランジ端面22aを有している。そして、第1のフランジ部22は、第1のフランジ端面22aとは反対側に位置し、第1のフランジ端面22aに対して他方の端面となる第1のフランジ裏面22bを有している。第1のフランジ端面22aは、第1のブロック端面20aの外周縁より、外周方向に、連続して延出した面とされている。
【0024】
同様に、第2のフランジ部23は、一方の端面として、第2のブロック端面20bと同じ方向に面する第2のフランジ端面23aを有している。そして、第2のフランジ部23は、第2のフランジ端面23aとは反対側に位置し、第2のフランジ端面23aに対して他方の端面となる第2のフランジ裏面23bを有している。第2のフランジ端面23aは、第2のブロック端面20bの外周縁より、外周方向に、連続して延出した面とされている。
【0025】
なお、第1のフランジ部22には、第1のボルト孔24が複数設けられ、第2のフランジ部23には、第2のボルト孔25が複数設けられている。本実施形態では、締結ボルト(図示せず)とナット(図示せず)を用いて、隣り合う2つのバレルブロック3p同士を接合することを想定しており、第1のボルト孔24の個数と第2のボルト孔25の個数は同じ個数とされている。複数の第1のボルト孔24と複数の第2のボルト孔25は、それぞれ、同一の矩形枠状に形成された第1のフランジ部22と第2のフランジ部23の同じ位置に設けられている。換言すると、第1のフランジ部22における第1のボルト孔24の配置と、第2のフランジ部23における第2のボルト孔25の配置は、同じ配置とされている。
【0026】
上述の第1のボルト孔24の配置および第2のボルト孔25の配置は、それぞれ、ブロック本体20を囲う矩形状の配置または略矩形状の配置とされている。矩形状の配置とは、間隔を空けて設けられている第1のボルト孔24および第2のボルト孔25の円形断面の中心が、それぞれ矩形状の枠線上にある状態を指している。略矩形状の配置とは、少なくとも第1のボルト孔24、第2のボルト孔25の円形断面のいずれかの箇所が、それぞれ矩形状の枠線と交差する、または接する状態を指している。
【0027】
さらに、ブロック本体20には、第1のブロック端面20aから第2のブロック端面20bまで、ブロック本体20の中央を長手方向に真っ直ぐに貫通する貫通孔21が設けられている。貫通孔21は、2本のスクリュ2が挿通される孔であり、2本のスクリュを回転可能に収容するシリンダ7を形成する孔である。以降、貫通孔21を挿通孔21と呼ぶものとする。
【0028】
長手方向からの視野において、第1のブロック端面20aの中央には、挿通孔21の第1の開口21aが形成され、第2のブロック端面20bの中央には、挿通孔21の第2の開口21bが形成されている。第1の開口21aおよび第2の開口21bの形状は同一形状であり、同一半径Rの2つの円が交わった眼鏡形をしている。矩形状の第1のブロック端面20aおよび第2のブロック端面20bの外周縁の長辺が水平に配置された姿勢において、2つの円の中心Q1、Q2は同一水平面上に位置している。
【0029】
第1の開口21aと第2の開口21bとを連通する挿通孔21は、長手方向に沿って互いに平行に、かつ交わって並ぶ2つの円筒状の孔により形成されている。2つの円筒状の孔が交わる部分において、2つの円筒状の孔は互いに連通している。矩形状の第1のブロック端面20aおよび第2のブロック端面20bの外周縁の長辺が水平に配置された姿勢において、2つの孔の軸心は同一水平面上に位置している。
【0030】
そして、ブロック本体20には、シリンダ構成部3bとして、挿通孔21を規定する内周面21sが形成されている。内周面21sは、2つの円弧状の曲面が互いの円弧の両端を突き合されて構成されている。換言すると、内周面21sは、眼鏡形の輪郭を有して長手方向に延びる曲面として構成されている。2つの円弧状の曲面を突き合せた箇所には、境界部分21t(図2参照)が形成されている。
【0031】
上述の如く、ブロック本体20と第1のフランジ部22および第2のフランジ部23とが一体化されることにより、バレルブロック3pには、第1のブロック端面20aと第1のフランジ端面22aとにより形成される第1の接合部26と、第2のブロック端面20bと第2のフランジ端面23aとにより形成される第2の接合部が構成される。なお、長手方向において、第1のブロック端面20aを含む第1の接合部26が、バレルブロック3pの一方の端面となり、第2のブロック端面20bを含む第2の接合部27が、バレルブロック3pの他方の端面となる。
【0032】
そして、隣り合う2つのバレルブロック3p同士の接合においては、先ず、隣り合う一方のバレルブロック3pの第1の接合部26と、隣り合う他方のバレルブロック3pの第2の接合部27と、を向い合せて当接させる。次いで、締結ボルトとナットを第1のボルト孔24および第2のボルト孔25に取り付けて、締結ボルトで締め込むことにより、隣り合う一方のバレルブロック3pと隣り合う他方のバレルブロック3pとが接合される。
【0033】
次に、長手方向からの視野に基づき、バレルブロック3pの一方の端面に構成される第1の接合部26について、詳細を説明する。
図2および図3に示すように、第1の接合部26は、挿通孔21が開口する第1のブロック端面20aと、第1のブロック端面20aの外周縁より連続して延出し、第1のボルト孔24が開口する第1のフランジ端面22aと、により形成されている。
【0034】
第1の接合部26には、第1のブロック端面20aの領域の中央で開口する第1の開口21aの外周側に、長手方向と直交する平坦面として形成された第1の内側接合面26aが設けられている。第1の内側接合面26aは、第1のブロック端面20aの領域において、第1の開口21aの周縁を連続して囲うとともに、第1の開口21aの周縁から外周側に平面状に延出させて形成されている。
【0035】
なお、隣り合う2つのバレルブロック3p同士を当接させた状態において、隣り合う一方のバレルブロック3pの第1の接合部26に形成された第1の内側接合面26aは、隣り合う他方のバレルブロック3pの第2の接合部27と接触する接合面として構成されている。
【0036】
第1の内側接合面26aの形状は、その内周縁が第1の開口21aの周縁と一致し、その外周縁が長円形に形成されている。矩形状の第1のブロック端面20aおよび第2のブロック端面20bの外周縁の長辺が水平に配置された姿勢において、第1の内側接合面26aの長円形とされた外周縁26bの直線部分も水平となるように配置されている。なお、外周縁26bの輪郭は、長円形に限らず、楕円形やオーバル形(oval)でもよく、第1の開口21aをバランスよく囲う形状であれば良い。
【0037】
さらに、第1の接合部26には、第1の内側接合面26aの外周側に、第1の内側接合面26aよりも第2の接合部27(第2のブロック端面20b)の側に窪ませて(凹ませて)形成された第1の逃げ面26cが設けられている。第1の逃げ面26cは、第1のブロック端面20aの領域と第1のフランジ端面22aの領域において、第1の内側接合面26aの外周縁を連続して囲うとともに、第1の内側接合面26aの外周縁から外周側に延出させ、第1のフランジ端面22aの外周縁まで延びる面として形成されている。
【0038】
第1の逃げ面26cの形状は、その内周縁が第1の内側接合面26aの外周縁と一致し、その外周縁が第1のフランジ端面22aの外周縁と一致するように形成されている。第1の逃げ面26cは、長手方向と直交する平坦面であることが好ましいが、第1の内側接合面26aおよび後述する第1の外側接合面26eよりも第2の接合部27の側に窪んでいれば平面状でなくてもよい。
【0039】
なお、隣り合う2つのバレルブロック3p同士を当接させた状態、および隣り合う2つのバレルブロック3p同士を接合させた状態において、隣り合う一方のバレルブロック3pの第1の接合部26に形成された逃げ面26cは、隣り合う他方のバレルブロック3pの第2の接合部27と接触しない面(非接触面)として構成されている。
【0040】
第1の接合部26には、さらに、第1のフランジ端面22aの領域において、第1の逃げ面26cから長手方向に突出させて形成された第1の突出部26dが設けられている。言い換えると、第1の接合部26は、第1のフランジ端面22aの領域において、第1の逃げ面26cから、第2のブロック端面20b(第2の接合部27)とは反対の側に突出させた第1の突出部26dを有している。そして、第1の突出部26dの先端には、長手方向と直交する平坦面として形成された第1の外側接合面26eが設けられている。
【0041】
上述の第1の突出部26dは、第1のフランジ端面22aの領域において、矩形状または略矩形状に配置された複数の第1のボルト孔24の群を連続して囲うように、第1のボルト孔24の群の外周側に、矩形状に設けられている。そして、第1の外側接合面26eは、第1の突出部26dの先端に、矩形枠状に設けられている。第1の外側接合面26eは、第1のボルト孔24の群を連続して囲うように形成されることが好ましいが、一部に窪み、凹みや切欠きが施されてもよい。
【0042】
ここで、上述した矩形枠状の第1の外側接合面26eは、その内周縁が、第1のボルト孔24の周縁から外周方向に離間して設けられることが好ましい。
【0043】
本実施形態では、第1のボルト孔24および第2のボルト孔25に、締結ボルトの頭部、またはナットを収容するためのザグリ穴が設けられている。このようにすることで、不要な出っ張りが無くなり、例えば、二軸押出機1のメンテナンスの際に、加熱装置10を容易に着脱できるようになる。
【0044】
このような場合、上述した第1のボルト孔24を、ザグリ穴を含むボルト孔として捉え、第1の外側接合面26eの内周縁は、ザグリ穴を含む第1のボルト孔24の群よりも外周側に設けられることがより好ましい。言い換えると、第1の外側接合面26eの内周縁は、第1のボルト孔24に挿入される締結ボルトの座面の位置よりも外周側に設けられることがより好ましい。図2および図3には、一例として、内周縁がザグリ穴を含む第1のボルト孔24から外周方向に離間し、外周縁が第1のフランジ端面22aの外周縁と一致するように設けられた矩形枠状の第1の外側接合面26eが示されている。
【0045】
ここで、上述した第1の内側接合面26aと、第1の逃げ面26cと、第1の外側接合面26eと、の長手方向の位置関係について説明する。
第1の外側接合面26eは、第1の内側接合面26aよりもH1(例えば、0.1mm〜0.25mm)程度、第2のブロック端面20b(第2の接合部27)の側に近づけて(寄せて)構成されている。
第1の逃げ面26cは、第1の内側接合面26aよりもH2(例えば、0.3mm〜0.4mm)程度、第2のブロック端面20b(第2の接合部27)の側に近づけて(寄せて)構成されている。
更に、第1の逃げ面26cは、第1の外側接合面26eよりもH3(例えば、0.05mm〜0.2mm)程度、第2のブロック端面20b(第2の接合部27)の側に近づけて(寄せて)構成されている。
つまり、第2のブロック端面20bに対して、第1の内側接合面26aが一番遠い位置に、第1の逃げ面26cが一番近い位置に設けられており、第1の内側接合面26aと第1の逃げ面26cとの間に、第1の外側接合面26eが設けられている。
【0046】
別の捉え方として、バレルブロック3pの姿勢を、第1の接合部26が鉛直方向の上を向き、第2の接合部27が鉛直方向の下を向く姿勢とし、第1の内側接合面26aを基準の面として、位置関係について説明する。
第1の外側接合面26eは、第1の内側接合面26aよりもH1程度、深くして(窪ませて)構成されている。換言すると、第1の外側接合面26eは、第1の内側接合面26aよりもH1程度、低くして構成されている。
第1の逃げ面26cは、第1の内側接合面26aよりもH2程度、深くして(窪ませて)構成されている。換言すると、第1の逃げ面26cは、第1の内側接合面26aよりもH2程度、低くして構成されている。
更に、第1の逃げ面26cは、第1の外側接合面26eよりもH3程度、深くして(窪ませて)構成されている。換言すると、第1の逃げ面26cは、第1の外側接合面26eよりもH3程度、低くして構成されている。
つまり、第1の内側接合面26aに対して、第1の外側接合面26e、第1の逃げ面26cの順に深くして(窪ませて)構成されている。換言すると、第1の内側接合面26aに対して、第1の外側接合面26e、第1の逃げ面26cの順に低くして構成されている。
【0047】
なお、第1の外側接合面26eは、第1の内側接合面26aよりもH1程度、第2のブロック端面20bの側に近づけて構成されているので、隣り合う2つのバレルブロック3p同士を当接させた状態においては、隣り合う一方のバレルブロック3pの第1の接合部26に形成された第1の外側接合面26eは、まだ、隣り合う他方のバレルブロック3pの第2の接合部27に接触していない。第1の外側接合面26eは、隣り合う2つのバレルブロック3p同士を、締結ボルトで締め込んで接合させた状態において、隣り合う他方のバレルブロック3pの第2の接合部27と接触する接合面とされている。
【0048】
また、上述の第1の外側接合面26eの幅Wは、3〜7mm程度に設定することが好ましい。これにより、隣り合う他方のバレルブロック3pと接合した状態において、第1の外側接合面26eは、隣り合う他方のバレルブロック3pの第2の接合部27に対して、全面で接触することが可能となる。
【0049】
次に、バレルブロック3pの他方の端面に構成される第2の接合部27について、詳細を説明する。
図2および図3に示すように、第2の接合部27は、スクリュ2の挿通孔21が開口する第2のブロック端面20bと、第2のブロック端面20bの外周縁より連続して延出し、第2のボルト孔25が開口する第2のフランジ端面23aと、により形成されている。
【0050】
第2の接合部27には、第2のブロック端面20bの領域の中央で開口する第2の開口21bの外周側に、長手方向と直交する平坦面として形成された第2の接合面27aが設けられている。第2の接合面27aは、第2のブロック端面20bの領域と第2のフランジ端面23aの領域において、第2の開口21bの周縁を連続して囲うとともに、第2の開口21bの周縁から外周側に平面状に延出させ、第2のフランジ端面23aの外周縁まで延びる面として形成されている。
【0051】
第2の接合面26aの形状は、その内周縁が第2の開口21bの周縁と一致し、その外周縁が第2のフランジ端面23aの外周縁と一致している。
【0052】
なお、隣り合う2つのバレルブロック3p同士を当接させた状態において、隣り合う一方のバレルブロック3pの第2の接合部27に形成された第2の接合面27aは、隣り合う他方のバレルブロック3pの第1の接合部26と接触して当接する接合面として構成されている。
【0053】
次に、複数のバレルブロック3pを接合して、一連のバレル3を組み立てる手順について説明する。
まず、複数のバレルブロック3pのうちの2つのバレルブロック3pを、第1番目のバレルブロック3pと第2番目のバレルブロック3pとして、隣り合うように配置する。このとき、隣り合う第1番目と第2番目のバレルブロック3pは、図4に示すように、第1番目のバレルブロック3pの第1の接合部26と、第2番目のバレルブロック3pの第2の接合部27が向い合うように配置される。次いで、第1番目のバレルブロック3pに第2番目のバレルブロック3pをゆっくりと近づけて、第1番目のバレルブロック3pの第1の接合部26に第2番目のバレルブロック3pの第2の接合部27を接触させ、当接させる。そして、締結ボルトとナットを第1のボルト孔24と第2のボルト孔25に取り付け、締結ボルトを締め込むことにより、隣り合う第1番目と第2番目のバレルブロック3pを接合する。
【0054】
次に、まだ接合されていない複数のバレルブロック3pのうちの1つのバレルブロック3pを、第3番目のバレルブロック3pとして、第2番目のバレルブロック3pと隣り合うように配置する。このとき、隣り合う第2番目と第3番目のバレルブロック3pは、第2番目のバレルブロック3pの第1の接合部26と、第3番目のバレルブロック3pの第2の接合部27が向い合うように配置される。そして、第2番目のバレルブロック3pと、第3番目のバレルブロック3pを、上述の手順にて接合する。これを繰り返し、所定の数のバレルブロック3pを接合すると、複数のバレルブロック3pが、長手方向に沿って、一列に並んで接合された一連のバレル3が組み立てられる。
【0055】
このとき、隣り合う一方のバレルブロック3pの第1の接合部26の第1の内側接合面26aと第1の外側接合面26eは、隣り合う他方のバレルブロック3pの第2の接合部27aに隙間無く接触する。それとともに、バレル3には、複数のシリンダ構成部3bが相互に繋がった一連のシリンダ7が構成される。
【0056】
本実施形態によれば、バレルブロック3pの第1の接合部26において、第1の逃げ面26cに開口する複数の第1のボルト孔24の外周に、第1の逃げ面26cから突出する第1の突出部26dを設け、その先端に第1の外側接合面26eを形成したので、隣り合う2つのバレルブロック3p同士を接合したときに、締結ボルトの締め込みによる第1のフランジ部22の倒れ込み量を制限することができる。換言すると、第1のフランジ部22の過剰な倒れ込みを防止することができる。
【0057】
さらに、複数の第1のボルト孔24の外周に第1の外側接合面26eを形成し、複数の第1のボルト孔が開口する箇所(位置)を第1の逃げ面26cとしたので、締結ボルトで締め込んだときに、その締結力が第1の内側接合面26aと第1の外側接合面26eに伝達される。
これにより、第1の接合部26の第1の内側接合面26aと、隣り合う他方のバレルブロック3pの第2の接合部27との接触圧を向上させるとともに、その接触状態(接触圧)を均一にすることができる。この結果、バレルブロック3p相互間からの原料の漏出を確実に防止することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、バレルブロック3pの第2の接合部27の形成を容易とするために、第2の接合部27に平坦面とした第2の接合面27aを設けているが、この第2の接合面27aにおいて、隣り合う他方のバレルブロック3pの第1の接合部26の第1の内側接合面26aおよび第1の外側接合面26eが接触する領域を外れた部分については、窪み、凹み、切欠きや逃げ面を設けてもよい。
さらに、第2の接合部27を、第1の接合部26に形成された第1の内側接合面26a、第1の逃げ面26c、および第1の外側接合面26eの構成と同様の構成にしてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、バレルブロック3pの4つのブロック側面20c、20d、20e、20fを閉じた面として想定しているが、いずれかの面に開口し、挿通孔21と連通する貫通孔を設けてもよい。このようなバレルブロック3pは、原料をシリンダ7に供給するためのフィード用バレルブロック、揮発分を脱気するためのベント用バレルブロック、添加材を添加するためのサイドフィード用バレルブロックとして利用される。
【0060】
ここで、本実施形態と従来の形態に対して、FEM(Finite Element Method)解析を行った結果を図5および図6に示す。
FEM解析による評価試験では、上述した本実施形態の第1の接合部26を有するバレルブロック3p、及び、従来の形態の接合部U1を有するバレルブロックUのモデルを用意する。なお、従来の形態の接合部U1には、例えば、特許文献1(特開昭50−156007号公報)に示されたスクリューケーシング(即ち、バレルブロック)のフランジ状接合部においてスクリュ孔(即ち、シリンダ)の周囲を突出させた形態を適用している。
【0061】
FEM解析による評価試験では、本実施形態のバレルブロック3pと従来の形態のバレルブロックUを、それぞれ隣り合う他方のバレルブロック3pの第2の接合部27に接合させる。そして、当該接合状態において、本実施形態のバレルブロック3pの第1の接合部26と従来の形態のバレルブロックUの接合部U1の接触圧の状態を評価する。なお、当該評価試験において、隣り合う他方のバレルブロック3pの第2の接合部27には、平坦面とした第2の接合面27aが構成されているものとしている。
【0062】
図5に示すように、第1の接合部26を備えた本実施形態のバレルブロック3pでは、第1の内側接合面26aの全体(全面)に亘って均一な接触圧の分布を呈している。なお、図5において、色が一番濃い部分が接触して接触圧が高くなっている箇所を示している。これに対して、従来の形態のバレルブロックUでは、図6に示すように、本実施形態の第1の内側接合面26aに相当する接合面U2のうち、境界部分21tの付近ないし近傍で色が薄くなっていることから、当該箇所の接触圧が低下していることがわかる。
【0063】
また、本実施形態のバレルブロック3pでは、図5によると、第1の外側接合面26eの部分の色が濃くなっていることから、第1の外側接合面26eが接触して、第1のフランジ部22の倒れ込み量が抑制されていることがわかる。これに対して、従来の形態のバレルブロックUでは、図6によると、締結ボルト孔付近まで色が濃くなっていることから、フランジ部が倒れ込んでいることがわかる。
【0064】
以上、本FEM解析結果によれば、第1の接合部26を備えた本実施形態のバレルブロック3pは、接合状態において、第1の内側接合面26aの全体(全面)に亘って均一な接触圧となること、その結果、第1の内側接合面26aが、隣り合う他方のバレルブロック3pに隙間無く接触すること、が判明した。かくして、上記した「一実施形態の効果」が立証された。
【符号の説明】
【0065】
1…二軸押出機、2…スクリュ、3…バレル、3b…シリンダ構成部、
3p…バレルブロック、7…シリンダ、20…ブロック本体、
20a…第1の端面、20b…第2の端面、21…挿通孔、
21a…第1の開口、21b…第2の開口、22…第1のフランジ部、
23…第2のフランジ部、24…第1のボルト孔、25…第2のボルト孔、
26…第1の接合部、26a…第1の内側接合面、26c…第1の逃げ面、
26e…第1の外側接合面、27…第2の接合部、27a…第2の接合面
【要約】
【課題】二軸押出機用バレルブロック相互の接合に際し、その接合部の倒れ込み量を制限しつつ、シリンダの周囲の接触状態を均一にすることで、当該バレルブロック相互間からの原料の漏出を無くする技術を提供する。
【解決手段】シリンダ7を備えたバレル3を構成するための二軸押出機用のバレルブロック3pは、両端に接合部を有する。第1の接合部26には、スクリュ2の挿通孔21の第1の開口21aの周縁に第1の内側接合面26aが形成され、第1の内側接合面26aの外周側に第1の逃げ面26c、および第1の外側接合面26eが形成されている。第1の外側接合面26eは、複数の第1のボルト孔24の外周側に設けられている。第1の外側接合面26eは第1の内側接合面26aよりも第2のブロック端面20bの側に窪ませて形成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6