【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の特徴を有する支持装置、及び請求項10の特徴を有する自動車のウィンドウガラスによって解決される。本発明の好適な発展形態を有する有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0009】
少なくとも1台のカメラのハウジングを固定するために支持構成が形成されている、自動車のウィンドウガラスに固定可能な基板を有する本発明の支持装置は、支持構成が少なくとも1つのばね部材を有する少なくとも1つの保持部材を含み、ハウジングに配置され、かつハウジングの周壁上に突出しているロッド形状構成部品に基板へ向かう方向に作用する圧力を直接加えるようにばね部材が形成されていることを特徴とする。言い換えると、自動車のウィンドウガラスでの支持装置10の配置に関して、少なくとも1つの保持部材により、カメラのハウジングは、ウィンドウガラスの方向に押し付けられる。それにより本発明では、少なくとも1台のカメラに対してウィンドウガラス上に設けられることとなる視野範囲は、比較的狭く形成される場合がある。なぜなら、ウィンドウガラスにカメラが接近するそれぞれの度合によって、カメラの視野錐又は検知範囲のサイズが小さくなるからである。 ウィンドウガラスからのカメラの距離が1ミリメートルだけ短くなると、それを通して少なくとも1台のカメラが周辺を検知するカメラの視野錐の直径がウィンドウガラスの位置で5ミリメートル縮小する。
【0010】
したがって、支持装置の光学的遮蔽に用いられる、ウィンドウガラス上に設けられる黒色印刷部では、視野錐に必要な切り込み部はより小さくなる場合がある。また、基板の比較的近くに配置されたカメラハウジングでは、乗員室側でカメラを覆うカバーは、対応してより小さく寸法設計してもよい。
【0011】
更に、この種類の固定によって、カメラのハウジングに直接に力が引き起こされるのではなく、ばねを有する保持部材によって及ぼされた圧力は、カメラのハウジングの周壁上に突出しているロッド形状構成部品にのみ作用する。したがって、支持装置は、カメラの改善された位置決めを可能にする。
【0012】
好ましくは、支持構成は、3つの保持部材を含み、この保持部材は、カメラのハウジング用に設けられた支持装置の収容部分のそれぞれ異なる側面に配置されている。収容部分に割り当てられ、かつ保持部材によって提供された3つの固定点にカメラハウジングをそのように固定することは、組み立てられたカメラハウジングの特に良好な位置画定をもたらす。基板に対するカメラハウジングの動き、すなわちぐらつきは、そのようにして特に十分に防止することができる。このことは、カメラによって果たされる機能を満たすために、位置が安定し、明確かつ画定されたカメラの基板に対する位置決め、及びそれによる自動車のウィンドウガラスに対する位置決めが特に重要であるという理由から、特に有利である。
【0013】
カメラのハウジング用に設けられた収容部分は、カメラのハウジングもまた、実質的に方形の底面を有してもよいため、特に実質的に方形であってもよい。
【0014】
基板に2つの異なる収容部分を設けてもよく、それぞれ3つの保持部材がそれぞれの収容部分に割り当てられている。この場合、両方の保持部材の2つが同じ収容部分に割り当てられていてもよい。これにより、2台のカメラを有するハウジング、すなわちいわゆるステレオカメラ、又は1台のカメラのみ有するハウジング、すなわちいわゆるモノカメラのどちらでも自由に選んで、支持装置に3つの保持部材のそれぞれを用いて固定することが可能である。それにもかかわらず、支持装置は、保持部材を合計で4つのみ有するだけでよく、それによりそれぞれの収容部分に3つの保持部材が割り当てられている。したがって、支持装置にステレオカメラを配置する場合にモノカメラ用に設けられた収容部分に割り当てられている保持部材は、未使用のままである。同様に、支持装置にモノカメラを配置する場合にモノカメラ用に設けられた収容部分で、ステレオカメラ用に収容部分に割り当てられている同じ保持部材は、未使用のままである。
【0015】
少なくとも1台のカメラのハウジング用にそれぞれの収容部分に3つの保持部材を設けることによって、少なくとも1台のカメラが基板に対して、かつそれによりウィンドウガラスに対して有することとなる角度は、特に高い精度を伴って再現可能である。
【0016】
3つの保持部材のうち2つは、収容部分の側面に配置してもよく、この側面は、自動車のウィンドウガラスでの支持装置10の配置に関して、自動車の縦方向側面に対して少なくとも実質的に平行に延びている。2つのロッド形状構成部品にこの2つの保持部材を固定することによって、カメラハウジングの配向は、自動車縦方向に対して不変に設定できる。収容部分の側面に配置された2つの保持部材が、固定されたこのロッド形状構成部品と互いに一直線に並ぶように配置されているとき、有利には、ハウジング用の回転軸が生じる。この回転軸周りのカメラハウジングの枢動によって、その場合、基板に対するカメラハウジングの角度は、第3のロッド形状構成部品を3つのうち第3の保持部材に固定することによって、特に容易かつ確実に設定できる。
【0017】
好ましくは、収容部分の側面に配置された2つの保持部材は、それぞれ挿入部分を有し、この挿入部分は、それぞれのロッド形状構成部品に対するそれぞれの係止凹部となる。挿入部分によって、基板に対して少なくとも実質的に平行に延びている設置方向は、少なくとも1台のカメラのハウジング用に規定されている。かかる設置方向は、カメラハウジングの設置時に高すぎる圧力をウィンドウガラスに付与する必要がないため、有利である。カメラハウジングのこの種の改良された装着運動は、ウィンドウガラスが損傷するリスクが発生することなく、ウィンドウガラスに対して平行に組立時により大きな作用力を付与することができるようにする。特に容易な組立は、傾斜させたウィンドウガラスにおいて設置方向がウィンドウガラスの傾斜と一致する場合に生じる。したがって、ハウジングは、基板に対して平行に移動される場合、例えば、基本的に上から下へ向けて装着される。
【0018】
係止凹部は、ロッド形状構成部品のポジティブロック保持をもたらし、それにより、衝突時に支持装置でのカメラハウジングのポジティブロック固定をもたらす。すなわち、ロッド形状構成部品が2つの保持部材の係止凹部に収容されている限り、係止凹部は、少なくとも1台のカメラのハウジングの自動車縦方向での動揺を防止する。
【0019】
設置方向が自動車のウィンドウガラスでの支持装置10の配置に関して自動車の前進方向を示す場合、更に有利であることが明らかとなっており、2つの保持部材の挿入部分は、設置方向に対してU字型又はV字型に開口して形成されている。挿入部分のかかる形成は、例えば、自動車の正面衝突時に有利である。なぜならその場合、少なくとも1台のカメラのハウジングは、挿入部分がテーパになっている自動車縦方向に確実に保持されているからである。
【0020】
好ましくは、2つの保持部材のうち第3の保持部材は、収容部分の側面に配置され、その側面は、自動車のウィンドウガラスでの支持装置10の配置に関して自動車後部よりも自動車前部に近い。言い換えると、第3の保持部材は、収容部分の前面側に設けられてもよい。すなわちその場合、少なくとも1台のカメラのハウジングの、この前面側に対向している側面は、ここでロッド形状構成部品が邪魔にならずに、接続などをもたらすために利用することができる。
【0021】
第3の保持部材の基材部分に凹部又はくぼみが形成され、その中に、設置方向へハウジングの周壁上に突出しているロッド形状構成部品が挿入可能である場合に、更に有利であることが明らかとなっている。
【0022】
ロッド形状構成部品のくぼみへの挿入によって、カメラのハウジングは、特に容易に組み立てることができる。このことは特に、設置方向へハウジングの周壁上に突出しているロッド形状構成部品が、カメラハウジングの側面に設けられた2つのロッド形状構成部品よりも長い場合に当てはまる。更に、ロッド形状構成部品のくぼみへの挿入を容易にするために、ロッド形状構成部品は、先を斜めに又は円錐状になるように形成してもよい。
【0023】
それに対して、2つの係止凹部に収容されることとなるロッド形状構成部品は、カメラハウジングの可能な限り容易な設置を確立するために、好ましくは円形かつ滑らかな表面を有するように形成されている。
【0024】
第3の保持部材の高さが自動車のウィンドウガラスの傾斜及び少なくとも1台のカメラの検知範囲に応じて調整される場合、更に有利であることが明らかとなっている。したがって、保持部材の高さを変えることによって、それ以外では変わらない支持装置は、ウィンドウガラスの異なる傾斜を有する自動車の量産モデルにおいて非常に容易に使用することができる。このことは特に、基板と、基板と一体鋳造で形成された保持部材の基体とが、プラスチックから製造される場合、例えば、支持装置が射出成型法で製造される場合に特に容易である。すなわちその場合、基板の製造に使用される金型では、交換可能なインサートのみを使用するだけでよく、このインサートを用いて、第3の保持部材の高さを規定することができる。したがって、基板の製造のために、すべての金型を新たに製作する必要はない。むしろ、それ以外では変わらない金型に、第3の保持部材の成形のために設けられることとなる交換可能なインサートのみを施すことが適切である。
【0025】
それに加えて又は別法として、基板の第1の側面上に配置されたスペーサは、ウィンドウガラスの傾斜に応じて高さを調整することができる。またここでは、プラスチックから基板を製造する場合に、交換可能なインサートを使用することができ、このインサートは、自動車の量産モデルにおいて規定されたウィンドウガラスの傾斜に対応してスペーサの高さが異なることとなる。したがって、自動車のそれぞれの量産モデルにおいて存在しているウィンドウガラスの傾斜に依存せずに、適切な角度を規定することができ、その角度で、少なくとも1台のカメラは、周辺を水平方向で検知する。
【0026】
好ましくは、基板に向かう方向に作用する圧力をロッド形状構成部品に加えることに役立つ、少なくとも1つの保持部材の少なくとも1つのばね部材は、金属から形成されている。金属ばね部材は、特に弾性があり、かつ堅牢である。特に、金属ばね部材として、単純な板ばねを使用することができ、この板ばねは、単一の材料で、小型に、かつ安価に製造することができる。加えて、この種のばね部材は、特に低いコストで基板の製造時に既に保持部材のそれぞれの基体に配置することができる。それにより、支持装置及びカメラのハウジングを自動車に装備する際に製造の観点から利点が生じる。ばね部材の機械化された設置は、例えば、旋回型ロボット又は他の自動化技術を介して行うことができる。
【0027】
ばね部材は、有利には、保持部材の基体からのばね部材の脱落を防ぐ固定部材を備える。例えば、切り込みのように形成されたラッチなどを設けることができ、このラッチは、ばね部材を移動させる際にその設置位置に跳ね返り、すなわちその場合、保持部材の基体に配置されたばね部材の状態で基体と共に設置されている。
【0028】
少なくとも1台のカメラに、基板に固定可能な絞り部材を設けることができる。基板に脱着可能に固定可能な、例えば、レンズフードの形式のかかる絞り部材は、1台又は2台のカメラを有する支持装置の装備に応じてそれぞれの絞り部材を有する基板の適切な配置を可能にする。基板での絞り部材の固定は、例えば、クリップ留めなどによって行うことができる。基板での絞り部材の脱着可能な保持によって、形状がそれぞれのカメラ形式に適合した絞り部材を、それぞれ使用することができる。
【0029】
更に、絞り部材の材料及び表面又は塗装も異なるように設けることが可能であり、これらは、基体のものと異なっていてもよい。したがって、絞り部材は、既に基板に脱着可能に固定されて利用可能となっており、絞り部材のそれぞれの使用目的に特に良好に適合させることができる。
【0030】
かかる絞り部材は基板に固定可能であり、また加熱装置を有してもよい。それにより、ウィンドウガラスの領域に温熱を当てることが可能であり、その領域は、ウィンドウガラスを通したカメラの観察を確保するために曇りが除かれることとなる。絞り部材に加熱装置を一体化することによって、カメラの対物レンズがあるウィンドウガラスの領域に正確に温熱を当てることができる。加えて、熱線などが絞り部材内に配置されている場合、熱線などをウィンドウガラス内に設ける必要はない。これは、1台又は2台(又は0台)のカメラを有する自動車の装備に応じて設けられることとなるウィンドウガラスの変形形態を少なくし、したがって特に有利である。
【0031】
加えて、加熱装置の故障時に、絞り部材は、特に容易に交換することができる。絞り部材の加熱装置を電子システムに接続することもまた、基板上に対応する配電装置用の固定手段を備えることによって特に容易に達成することができ、その配電装置を介して、熱線などは、自動車の電子システムによって供給される電気エネルギを用いて作用することができる。
【0032】
最後に、支持装置が基板から取り外し可能な少なくとも1つのカバー部材を含み、このカバー部材を用いてカメラ用又は別のセンサ用に設けられた切り欠き部を基板内で覆うことができる場合、有利であることが明らかとなっている。すなわち、支持装置がカメラ又は別のセンサを装備していない場合には、カバー部材は基板の切り欠き部を覆うために基板に置かれたままにしてもよい。それにより、支持装置に配置された構成部品及び、支持装置の設置位置において、ウィンドウガラスの埃からの保護が保証されている。
【0033】
更に、原則としてステレオカメラのハウジングの保持のために設計された支持装置を、モノカメラのハウジングの保持のために使用することができ、第2のカメラ用に設けられた切り欠き部は、少なくとも1つのカバー部材によって覆われたままである。少なくとも1つのカバー部材の信頼性のある取り外しに関して、好ましくは、設定破壊点が設けられている。
【0034】
自動車の本発明によるウィンドウガラスは、本発明による支持装置との正確な位置での接着によって装備されている。支持装置の支持構成をウィンドウガラス上に正確な位置で配置することによって、少なくとも1台のカメラのハウジングは、自動車へのウィンドウガラスの設置後、少なくとも1台のカメラを用いて自動車の周辺を少なくとも特定の領域を検知できるように、ウィンドウガラスに固定することができる。この場合、支持構成は、少なくとも1台のカメラのハウジングの容易かつ安価な固定を、支持装置の基板で、ただし、少なくとも自動車の周辺の領域を検知するために設けられているような角度位置で可能にする。この場合、少なくとも1台のカメラのハウジングの基板での確実な保持は、保証され、カメラのハウジングと支持装置との間の相対的な動きは、十分に防止されている。これは、自動車のウィンドウガラスに対するカメラの光軸の所望の向きを、特に正確に固定することをもたらす。したがって、カメラのウィンドウガラス上での位置決めは、本発明による支持装置のすべての利点により改良されている。
【0035】
本発明の支持装置について記載する利点及び好ましい実施形態は、本発明による自動車のウィンドウガラスにも当てはまり、かつその逆も当てはまる。
【0036】
本明細書に前述した特徴と特徴との組み合わせ、及び図面の説明で後述し、かつ/又は図面に示すだけの特徴と特徴との組み合わせは、そのつど示す組合わせだけではなく、本発明の範囲から逸脱することなく別の組み合わせにも、又は単独でも使用できる。したがって、明確には図示、又は説明はしないが、個々の特徴の組み合わせによって説明する実施形態から明らかになり、製造可能な実施形態も本発明に含まれ、開示されるものと見なされる。
【0037】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細は、特許請求の範囲、好適な実施形態の以下の説明、及び図面を参照して明らかになり、同一の又は機能的に同一の要素には、同じ参照符号が付されている。