特許第6348228号(P6348228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6348228核燃料被覆管、その作製方法および酸化/水素化を防ぐその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348228
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】核燃料被覆管、その作製方法および酸化/水素化を防ぐその使用
(51)【国際特許分類】
   G21C 3/06 20060101AFI20180618BHJP
   G21C 3/07 20060101ALI20180618BHJP
   G21C 3/20 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   G21C3/06 G
   G21C3/06 N
   G21C3/20 A
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-514603(P2017-514603)
(86)(22)【出願日】2015年9月16日
(65)【公表番号】特表2017-527816(P2017-527816A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】FR2015052475
(87)【国際公開番号】WO2016042261
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2017年5月10日
(31)【優先権主張番号】62/051,913
(32)【優先日】2014年9月17日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513155611
【氏名又は名称】コミサーリャ ア レナジー アトミック エー オー エナジー アルタナティブ
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ブラシェット,ジャン−クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ビラード,アライン
(72)【発明者】
【氏名】シュスター,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ル フレム,マリオン
(72)【発明者】
【氏名】イダーラガ−トゥルジロ,イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ル ソー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ロメロ,フェルナンド
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/160587(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/045454(WO,A2)
【文献】 特表2014−523476(JP,A)
【文献】 特開2009−148884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 3/06
G21C 3/07
G21C 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)ジルコニウム系内層(1)の上に配置される少なくとも1つの介在層(3)によってコーティングされているかまたはコーティングされていない前記内層(1)を含む、基材と、ii)前記基材の上に配置された、クロムまたはクロム合金から選択される保護材料からなる少なくとも1つの外層(2)とを含む核燃料被覆管を製造するプロセスであって、下記の一連のステップ:
a)前記基材の表面のイオンエッチングを行うステップ;
b)マグネトロンカソードが前記保護材料からなる、高出力インパルスマグネトロンスパッタリング(HiPIMS)プロセスを用いて、前記基材の上に前記少なくとも1つの外層(2)を堆積させるステップ
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記被覆管が、前記内層(1)の下に配置された内部コーティングを含む、請求項1に記載の核燃料被覆管を製造するプロセス。
【請求項3】
前記内層(1)がジルコニウムまたはジルコニウム合金からなる、請求項1または2に記載の核燃料被覆管を製造するプロセス。
【請求項4】
前記内部コーティングがジルコニウムまたはジルコニウム合金からなる、請求項2に記載の核燃料被覆管を製造するプロセス。
【請求項5】
前記ジルコニウム合金が、重量表示で:
― 0〜3%のニオブ;
― 0〜2%のスズ;
― 0〜0.5%の鉄;
― 0〜0.2%のクロム;
― 0〜0.2%のニッケル;
― 0〜0.2%の銅;
― 0〜1%のバナジウム;
― 0〜1%のモリブデン;
― 0.05〜0.2%の酸素
を含む、請求項3または4のいずれかに記載の核燃料被覆管を製造するプロセス。
【請求項6】
前記ジルコニウム合金がジルカロイ−2またはジルカロイ−4である、請求項3〜5のいずれかに記載の核燃料被覆管を製造するプロセス。
【請求項7】
前記エッチングステップa)の前に行われる下記の一連のステップ:
a’)前記内層(1)の表面のイオンエッチングを行うステップ;
b’)マグネトロンカソードが少なくとも1つの介在材料からなる、高出力インパルスマグネトロンスパッタリング(HiPIMS)プロセスを用いて、前記少なくとも1つの介在層(3)を前記内層(1)の上に堆積させることによって基材を作製するステップ
を行うことによって、前記少なくとも1つの介在層(3)を前記内層(1)の上に配置する、請求項1〜のいずれか1項に記載の核燃料被覆管を製造するプロセス。
【請求項8】
ステップb)による前記HiPIMSスパッタリングプロセスを用いて前記基材の上に最初の外層(2)を堆積させた後、ステップb)の間に、ステップb)による前記HiPIMSスパッタリングプロセスと同時に行われるHiPIMSとは異なる種類のマグネトロンカソードスパッタリングプロセスを用いて付加的な(1つ以上の)外層(2)の少なくとも一部を堆積させる、請求項1〜のいずれか1項に記載の核燃料被覆管を製造するプロセス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの外層(2)の各々が1〜50μmの厚みを有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の核燃料被覆管を製造するプロセス。
【請求項10】
前記外層(2)の累積厚みが2〜50μmである、請求項1〜のいずれか1項に記載の核燃料被覆管を製造するプロセス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの介在層(3)が、タンタル、モリブデン、タングステン、ニオブ、バナジウム、ハフニウムまたはそれらの合金から選択される少なくとも1つの介在材料からなる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の核燃料被覆管を製造するプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力分野において使用される材料、詳しくは、例えば加圧水型原子炉(PWR)、沸騰水型原子炉(BWR)または「カナダ型重水炉」(Canadian Deuterium Uranium CANDU)型の炉などの原子炉の公称条件下および事故シナリオの間において遭遇する物理化学的条件に対して最大の可能な耐性を発揮することを意図した材料の分野に属する。
【0002】
本発明は、より詳しくは、核燃料被覆管、それらを製造するプロセス、ならびに酸化および/または水素化を防ぐそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
原子炉被覆管の構成物質であるジルコニウム合金は、PWRもしくはBWR原子炉またはCANDU型の原子炉の冷却材を構成している水と接触すると酸化する。
【0004】
形成された酸化物は脆く、酸化に関連する水素の吸収は、脆化を引き起こす水素化ジルコニウムの析出を生じるため、被覆管の寿命は主に、許容可能な酸化物の最大厚み、および関連する吸収された水素の含有量によって制限される。核燃料の最適な封じ込めを確保することを目指して被覆管の十分な残留機械的特性を保証するためには、健全で延性のあるジルコニウム合金の残存厚みを十分なものとし、水素化物の割合を十分に制限して、核燃料の最適な封じ込めを確保することを目指して被覆管の良好な残留機械的特性を保証しなければならない。
【0005】
したがって、そのような酸化および/または水素化の制限または遅延の可能性は事故状況において極めて重要であると判明し得る。
【0006】
これらの状況は、例えば、RIA(Reactor Insertion Accident 「反応度事故」)またはLOCA(冷却材喪失事故)型の仮想上の事故シナリオにおいてもたらされ、実際には使用済燃料貯蔵プールの脱水の状況においてさえもたらされる。それらの状況はとりわけ、通常700℃より高い温度、詳しくは800〜1200℃の高温によって特徴付けられ、それは温度の高速上昇によってもたらされ得る。そのような温度では、冷却材は蒸気の形態である。
【0007】
事故状況における酸化は、原子炉の正常な作動状況における場合よりもはるかに重大である、というのも、燃料を封じ込めるための最初の障壁である被覆管の劣化がより速く、関連する危険性がより大きいからである。これらの危険性は、とりわけ下記のとおりである:
― 水素の放出;
― 酸化によってもたらされ、実際には特定条件下での被覆管の水素化によってさえもたらされる、高温での被覆管の脆化;
― 原子炉の炉心を安全にするために大量の水を供給する間に温度が急降下することによって引き起こされる、急冷時の被覆管の脆化;
― とりわけ事故後処理作業や余震などの場合における、急冷後または冷却後の被覆管の低い機械的強度。
【0008】
これらの危険性に鑑みれば、冷却材として特に水を使用する原子炉の安全性を向上させるためには、被覆管の高温での酸化および/または水素化を可能な限り制限することが必須である。
【0009】
特許出願「WO2013/160587」によって提案されている解決策は、クロム、クロム合金および/またはNb−Cr−Ti系の三元系合金からなる金属層を含む多層コーティングでジルコニウム系基材を覆った核燃料被覆管を作製することにある。
【0010】
ところが、ジルコニウム系基材上への多層被覆の堆積を従来型のマグネトロンカソードスパッタリングによる物理蒸着(PVD)プロセスにより行った場合、高温での酸化に対する耐性は、従来の被覆管に関しては向上するものの、非常に高い温度、典型的には1200度以上の温度では不十分であると判明することが、追加の実験から示された。
【0011】
これらの非常に高い温度は、事故制御条件によって決まる700〜1200℃の高温における最高温度であり、実際にはそれさえも超える温度である。
【0012】
実際に、1970年代から定義された「LOCA」型のシナリオによる大規模事故を抑制する制御基準は、被覆管の最高温度が1204℃(2200°F)を超えず、「ECR」酸化度の最大限度が17%であることを要求する。
【0013】
「ECR」(Equivalent Cladding Reacted 「被覆管化学量論的酸化量」)酸化度は、核燃料被覆管に含まれるジルコニウムの酸化によって生じるジルコニア(ZrO)へと変換された金属被覆管の厚みの割合であり、反応した全ての酸素が化学量論的なジルコニアを形成すると仮定している。
【0014】
使用中での被覆管の水素化に関連するさらなる脆化影響を考慮に入れるため、このとき以来この許容可能な残留「ECR」酸化度は、例えば使用中に水素化される被覆管を重量表示で数百ppm以下とするなど、特定条件下では17%よりもはるかに低い場合があり、実際面でそれは、被覆管の1200℃で数分を超えるべきでない酸化持続時間に対応する。
【0015】
非常に高い温度での酸化および/または水素化に対する耐性の向上は、とりわけ事故状況が悪化または持続する場合における被覆管の劣化のいっそうの防止または遅延によって、さらなる安全範囲の獲得を有益に可能にするであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第2013/160587号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の目的の1つは、(とりわけ蒸気の存在下での)酸化および/または水素化に対する耐性の向上を可能にする、核燃料被覆管およびそれを製造するプロセスを提供することによって、上記不都合のうちの1つ以上を防止または軽減することである。
【0018】
本発明のもう1つの目的は、非常に高い温度、すなわち1200℃超、詳しくは1200〜1400℃、より詳しくは1200〜1300℃での酸化および/または水素化に対するこの耐性を、とりわけ0.1〜300℃/秒の温度上昇速度でこれらの温度に到達する場合に、向上させることである。
【0019】
本発明のもう1つの目的は、酸化および/または水素化に対する耐性の持続時間を増大させることであるが、その持続時間を超えるともはや核燃料の封じ込めは確実でなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明は、i)ジルコニウム系内層の上に配置される少なくとも1つの介在層によってコーティングされているかまたはコーティングされていない当該内層を含む、基材と、ii)基材の上に配置された、クロムまたはクロム系合金から選択される保護材料からなる少なくとも1つの外層とを含む核燃料被覆管を製造するプロセスであって、下記の一連のステップ:
a)基材の表面のイオンエッチングを行うステップ;
b)マグネトロンカソードが保護材料からなる、高出力インパルスマグネトロンスパッタリング(HiPIMS)プロセスを用いて、基材の上に少なくとも1つの外層を堆積させるステップ
を含む、プロセスに関する。
【0021】
現状技術のプロセスとは対照的に、本発明の製造プロセスはとりわけ、ステップb)に従って少なくとも1つのクロム系外層をジルコニウム系内層の上に堆積するために高出力インパルスマグネトロンスパッタリング(「High Power Impulse Magnetron Sputtering」を表すHiPIMS)を用いるという独特な特徴を有する。そのようなプロセスは当業者に既知であり、例えば文献「Techniques de l’ingenieur、La pulverisation cathodique magnetron en regime d’impulsions de haute puissance(HiPIMS) pulverisation cathodique magnetron、Reference IN207」[Techniques of the Engineer、Magnetron cathode sputtering under high power impulse conditions(HiPIMS) magnetron sputtering、Reference IN207]に記載されている。
【0022】
HiPIMSスパッタリングプロセスは、数々の面で従来のマグネトロンカソードスパッタリングプロセスとは異なる。
【0023】
「WO2013/160587」において使用されているような従来のマグネトロンカソードスパッタリングプロセス(これ以降、従来型マグネトロンPVDプロセスと呼ぶ)によれば、負に分極させたクロムターゲット(マグネトロンカソード)と、接地されたカソードスパッタリング反応器の壁との間に電位差を印加する。
【0024】
この種のプロセスに関して、ターゲットに印加される連続的な分極電圧は通常、−600〜−200Vである。放電電流は数アンペアである。
【0025】
その後、これらの条件下で、概してアルゴンからなる希薄な雰囲気を部分的にイオン化して、低温のプラズマを形成させる。このときそれは、アルゴン原子Arと小さな割合を占めるアルゴンイオンArとを本質的に含むが、金属イオンを全く含まないか、または10−6をはるかに下回る極微量の金属イオンを含む。続いてArイオンはターゲットの電場によって加速されてターゲットに衝突し、それにより、ターゲットに概ね面しているコーティングすべき基材上に堆積されるクロム原子が放出される。
【0026】
HiPIMSスパッタリングプロセスは特に、いくつかの特徴、とりわけ下記の特徴において、「WO2013/160587」で用いられている従来型マグネトロンPVDとは異なっている:
― マグネトロンカソードを構成するクロムターゲットに高周波数の分極インパルスを印加する。インパルスは例えば、分極の全持続時間の1/1000〜1/100だけ継続される;
― 各インパルスによって送達される瞬間出力が数十キロワット〜数メガワットである。これは、分極の持続時間全体に亘って平均した出力がせいぜい数キロワット、例えば1.2kW未満ではあるものの、大量のCr金属イオンの放出をもたらす;
― 実質的にCr金属イオンからなる雰囲気を作り出す。
【0027】
予想外なことに、本発明者らは、本発明の製造プロセスにより得られる核燃料被覆管によって、その酸化および/または水素化に対する耐性(詳しくは非常に高い温度での耐性、とりわけ蒸気の存在下での耐性)を向上させることが可能になる、ということを発見した。
【0028】
そのような特性は、原子力用途に使用されるジルコニウムおよびジルコニウム合金の固有の化学的および冶金学的属性、とりわけそれらの化学組成、表面状態、結晶組織、(鍛錬されたかまたはいくぶん再結晶した)冶金学的最終状態に鑑みれば、予期できないものであり、当該特性はコーティングの属性および作用に影響を与えやすいものである。
【0029】
詳しくは、低温におけるジルコニウム合金のα相(稠密六方格子結晶構造の「Zr−α」で表される)は、通常700〜1000℃の温度範囲においてβ相(体心立方格子結晶構造の「β−Zr」で表される)に変換される。Zr−α構造からβ−Zr立方構造に変化する際、合金は局所的な寸法変動を受ける。これらの変動は先験的に、ジルコニウム系内層を覆うであろう外層の機械的強度にとって好ましくない、というのも、とりわけそれらの膨張係数が一致しないからである。これらの接着の困難さは、Zr−α相よりもβ−Zr相においてより速く拡散し、基材とそのコーティングとの間の境界面を改変させ得る化学的存在物の拡散機構によって、強められる。
【0030】
また、本発明は、本発明の製造プロセスによって得られるかまたは得ることのできる核燃料被覆管に関する。
【0031】
また、本発明は、境界層を有する核燃料被覆管であって:
i)重量表示で100〜3000ppmの鉄を含むジルコニウム合金からなる内層を含む基材;
ii)基材の上に配置された、クロムまたはクロム合金から選択される保護材料からなる少なくとも1つの外層;および
iii)内層と外層との間に配置された、立方晶構造のZrCr、六方晶構造のZr(Fe,Cr)、または立方晶構造のZrFeから選択される少なくとも1つの金属間化合物を含む境界材料からなる境界層
を含む、核燃料被覆管に関する。
【0032】
境界層は、内層の構成物質であるジルコニウム合金が重量表示で100〜3000ppmの鉄を含む場合であって内層の上に配置される少なくとも1つの介在層が存在していない場合に、ステップb)に従って基材上への外層のHiPIMS堆積を行う間に形成される。境界層は通常、特に内層と外層の間に配置される。
【0033】
予想外なことにそれは、脆い種類の機械的特性が金属間化合物について知られているにも拘らず、基材に関する外層の接着性を低下させない。
【0034】
さらに、蒸気存在下での酸化のもとでは、高温、実際には非常に高い温度(例えば1200℃)においてさえ、少なくとも1つの金属間化合物を主として含むかまたは全面的に含む境界層が分厚くなることを本発明者らは見出した。またここで、予想外なことに、金属間化合物に想定される固有の脆性と、理論的には製造ステップの間、実際にはその後の使用中および/または諸条件下もしくは所定の事故状況下においてさえ発生し得る境界面応力とがあるにも拘らず、全体的な剥離は見受けられない。
【0035】
好ましくは、境界層は10nm〜1μmの平均厚みを有する。
【0036】
また、本発明は、i)ジルコニウム系内層と、内層の上に配置された、タンタル、モリブデン、タングステン、ニオブ、バナジウム、ハフニウムまたはそれらの合金から選択される少なくとも1つの介在材料からなる少なくとも1つの介在層とを含む基材、およびii)基材の上に配置された、クロムまたはクロム合金から選択される保護材料からなる少なくとも1つの外層を含む、複合型核燃料被覆管に関する。
【0037】
この場合、介在材料または保護材料を、任意の種類のプロセス、例えばHiPIMSスパッタリングプロセスとは異なるマグネトロンカソードスパッタリングによる物理蒸着のプロセスによってそれぞれ内層上または基材上に堆積させてもよい。
【0038】
本発明による、つまり本発明の製造プロセスによって得られるかまたは得られやすい、複合型であるかもしくは非複合型であるかまたは境界層を有するこれらの類の核燃料被覆管は、本明細書中に記載される本発明の上記製造プロセスの1つ以上の代替的形態、とりわけ核燃料被覆管の構造および/または組成に関する代替的形態に応じて提供され得る。
【0039】
これらの代替的形態は、とりわけ、限定はしないが:内層、内部コーティング、ジルコニウム合金またはクロム合金の組成、外層の構造、例えば本明細書中、とりわけ本発明の製造プロセスの説明の中で詳しく記載されているような外層の構造に関するものである。
【0040】
これらの被覆管の形状は、それらが管の形態または、より詳しくは2つのサブユニットの集合によって生じる板の形態で提供され得るような形状である。
【0041】
また、本発明は、下記の一連のステップ:
A)タンタル、モリブデン、タングステン、ニオブ、バナジウム、ハフニウムまたはそれらの合金から選択される少なくとも1つの介在材料からなる少なくとも1つの介在層をジルコニウム系内層上に堆積させることによって基材を作製するステップ;
B)クロムまたはクロム合金から選択される保護材料からなる少なくとも1つの外層を基材上に堆積させるステップ
を含む、複合型核燃料被覆管を製造するプロセスに関する。
【0042】
ステップA)および/またはB)による堆積は、物理蒸着またはパルス電解によって行うことができる。
【0043】
物理蒸着は、カソードスパッタリング、より詳しくはマグネトロン型のカソードスパッタリング、さらに詳しくは(好ましくは本明細書中に示す1つ以上の特徴による)HiPIMSスパッタリングプロセスであってもよい。
【0044】
介在層がハフニウムからなる場合、その厚みは1nm〜1μmである。
【0045】
また、本発明は、水を特に蒸気の形態で含む多湿雰囲気下での酸化および/または水素化に対抗するための、これらの種類の被覆管の使用に関する。
【0046】
また、本発明は、水素を含む水素化雰囲気下、特に、50モル%超の水素および/または付加的な水(特に蒸気の形態の水)を含む水素化雰囲気下における水素化に対抗するための、これらの種類の被覆管の使用に関する。
【0047】
多湿雰囲気または水素化雰囲気はさらに、空気、窒素、二酸化炭素またはそれらの混合物から選択される付加的な気体を含んでいてもよい。
【0048】
好ましくは、これらの使用の目的は:
― 多湿雰囲気または水素化雰囲気が、25〜1400℃(実際には25〜1600℃でさえある)の温度、より詳しくは200〜1300℃の温度、さらに詳しくは1200〜1300℃(実際には1300〜1600℃でさえある)の温度であり;かつ/または
― (特に温度が1200〜1300℃である場合に)少なくとも5000秒以内、より詳しくは1000〜5000秒の間であり;かつ/または
― 0.1〜300℃/秒の温度上昇速度の存在下であり;かつ/または
― 水による核燃料被覆管の急冷(特に25〜400℃の温度で起こる急冷)を行った後での
酸化および/または水素化に対抗することである。
【0049】
発明の詳細な説明
本発明の記載において、「含む」、「組み込む」、「包含する」、「含有する」、「からなる」などの動詞およびその活用変化形は、非限定的用語であり、したがってこれらの用語の前に挙げられた最初の(1つ以上の)要素および/または(1つ以上の)ステップに加えられる付加的な(1つ以上の)要素および/または(1つ以上の)ステップの存在を排除するものではない。しかしながら、これらの非限定的用語はさらに、他のいずれをも排除して最初の(1つ以上の)要素および/または(1つ以上の)ステップのみを対象とする具体的な実施形態を対象とするものであり、その場合、非限定的用語はさらに、限定的用語「から構成される」、「構成する」およびその活用変化形を対象とするものである。
【0050】
「および/または」という表現は、これらのうちのたった1つ、両方とも、実際にはそれらの混合または組み合わせさえも同時に表すことを目的として要素を連結させることを対象とするものである。
【0051】
要素またはステップについての不定冠詞「1つ」の使用は、特に明記しない限り、複数の要素またはステップの存在を排除するものではない。
【0052】
請求項における括弧内のいかなる引用符号も、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0053】
さらに、特に明記しない限り、示されたパラメータの範囲には端点の値が含まれ、示された温度は、大気圧での実施のために考慮されるものである。
【0054】
本発明の製造プロセスは:
i)核燃料に接触するかまたは面していることを意図されたジルコニウム系内層を含む基材;および
ii)基材の上に配置され、外部環境、特に冷却材に関して被覆管を保護することを意図された、少なくとも1つのクロム系外層
を含む核燃料被覆管を製造することを目的とする。
【0055】
好ましくは、内層と外層との間に、それらの層に関して拡散障壁としての役目を果たす少なくとも1つの介在層が配置される。この実施形態において、基材は、内層と少なくとも1つの介在層との組合せによって形成される。
【0056】
また、被覆管は、内層の下に配置された内部コーティングを含んでいてもよく、その厚みは例えば50〜150μmである。内部コーティングは、1つ以上の層を含んでいてもよい。それは、燃料との物理化学的および機械的な相互作用に関して被覆管の強度を向上させる内部の「内張り」(liner)を構成する。それは通常、熱間共押出によって内層の製造中に得られる。
【0057】
内層はジルコニウム系であり、つまり内層は、重量表示で50%超、詳しくは90%超、さらに実際には95%超のジルコニウムからなる。
【0058】
より具体的には、内層および/または内部コーティングはジルコニウムまたはジルコニウム合金からなる。ジルコニウム合金は、重量表示で:
― 0〜3%、好ましくは0〜1.2%のニオブ;
― 0〜2%、好ましくは0〜1.3%のスズ;
― 0〜0.5%、好ましくは100ppm〜2000pmの鉄;
― 0〜0.2%のクロム;
― 0〜0.2%のニッケル;
― 0〜0.2%の銅;
― 0〜1%のバナジウム;
― 0〜1%のモリブデン;
― 0.05〜0.2%の酸素
を含み得る。
ジルコニウム合金は、例えばジルカロイ−2またはジルカロイ−4である。
【0059】
ジルコニウム合金は、特に、原子力分野の制約を満たす合金、例えばジルカロイ−2、ジルカロイ−4、Zirlo(商標)、最適化Zirlo(商標)またはM5(商標)から選択され得る。これらの合金の組成は、重量表示で、例えば下記を含むような組成である:
― ジルカロイ−2合金:1.20〜1.70%のSn;0.07〜0.20%のFe;0.05〜1.15%のCr;0.03〜0.08%のNi;900〜1500ppmのO;残余はジルコニウムである。
― ジルカロイ−4合金:1.20〜1.70%のSn;0.18〜0.24%のFe;0.07〜1.13%のCr;900〜1500ppmのO;0.007%未満のNi;残余はジルコニウムである。
― Zirlo(商標)合金:0.5〜2.0%のNb;0.7〜1.5%のSn;0.07〜0.28%の、Fe、Ni、Crから選択される少なくとも1つの元素;200ppm以下のC;残余はジルコニウムである。
― 最適化Zirlo(商標)合金:0.8〜1.2%のNb;0.6〜0.9%のSn;0.090〜0.13%のFe;0.105〜0.145%のO;残余はジルコニウムである。
― M5(商標)合金:0.8〜1.2%のNb;0.090〜0.149%のO;200〜1000ppmのFe;残余はジルコニウムである。
【0060】
基材の上に配置される少なくとも1つの外層は、クロムまたはクロム合金(特に、原子力分野での使用および/または放射線照射下での使用が可能な任意のクロム合金)から選択される保護材料からなる。
【0061】
より詳しくは、保護材料を成り立たせているクロム合金は、ケイ素、イットリウムまたはアルミニウムから選択される少なくとも1つの合金元素を例えば0.1〜20原子%の含有量で含み得る。
【0062】
少なくとも1つの外層は、場合によって柱状構造体を有する。
【0063】
好ましくは、柱状構造体の構成要素である柱状粒は100nm〜10μmの平均径を有する。
【0064】
少なくとも1つのクロム外層は、下記の一連のステップ:
a)基材の表面のイオンエッチングを行うステップ;
b)高出力インパルスマグネトロンスパッタリング(HiPIMS)プロセスを用いて基材の上に少なくとも1つの外層を堆積させるステップ
による本発明の製造プロセスを用いて基材の上に堆積される。
【0065】
さらにまた、ターゲットを構成しているマグネトロンカソードは保護材料からなる。
【0066】
ステップa)およびb)は、基材の最終層の上で、つまり少なくとも1つの介在層によってコーティングされているかまたはコーティングされていないかのいずれである内層を基材が含むのかに応じてそれぞれジルコニウム系内層の上または最終介在層の上で、行われる。
【0067】
少なくとも1つの介在層を内層の上に配置するためには、エッチングステップa)の前に行われる下記の一連のステップ:
a’)内層の表面のイオンエッチングを行うステップ;
b’)マグネトロンカソードが少なくとも1つの介在材料からなる、高出力インパルスマグネトロンスパッタリング(HiPIMS)プロセスを用いて、少なくとも1つの介在層を内層の上に堆積させることによって基材を作製するステップ
を行うことが可能である。
【0068】
この実施形態は、HiPIMSスパッタリングプロセスを用いて少なくとも1つの介在層を堆積させるという点で、本発明による複合型核燃料被覆管を製造するプロセスの具体的な事例を構成する。
【0069】
基材と、エッチングステップa)もしくはa’)および/または堆積ステップb)もしくはb’)により使用されるマグネトロンカソードとを隔てる距離は、40〜150mmであり得る。
【0070】
ステップa)および/またはa’)によるイオンエッチングは、HiPIMSエッチングプロセスまたはカソーディックアークエッチングプロセスを用いて行われ得る。
【0071】
ステップb)またはb’)によるHiPIMSスパッタリングプロセスを用いるには、カソードスパッタリング反応器内に存在するターゲットに印加される分極インパルスを使用した分極電圧の確立が必要である。
【0072】
マグネトロンカソードは、平坦なカソードまたは中空のカソード、例えば円筒形のカソードであり得る。
【0073】
分極電圧および分極インパルスに関して結果として生じる値の範囲は、300cmの表面積を有するマグネトロンカソードについての示度として与えられる。印加される分極電圧はターゲットの表面積に反比例して変動することが知られているため、特に当業者であれば、推奨される出力密度範囲を保つためにマグネトロンカソードに印加される分極インパルスについて示される値を調整し得る。
【0074】
ステップa)および/またはa’)において用いるHiPIMSエッチングプロセスは、マグネトロンカソードを−1000〜−500Vの電圧で分極させることを含み得る。
【0075】
ステップa)および/またはa’)によるカソーディックアークエッチングプロセスは、アークカソードを−20〜−50Vの電圧で、または50〜250Aの強度によって分極させることを含み得る。
【0076】
ステップa)および/またはa’)によるHiPIMSエッチングプロセスまたはカソーディックアークエッチングプロセスは、基材を−800〜−600Vの電圧で分極させることを含み得る。
【0077】
ステップa)および/またはa’)の間に生成したCrイオンは、堆積させる外層の接着性を向上させるために基材表面を食刻する。
【0078】
ステップb)および/またはb’)によるHiPIMSスパッタリングプロセスは通常、マグネトロンカソードの分極を−1000〜−500Vの電圧が残存するように維持することを含む。
【0079】
基材の分極に関しては、ステップa)および/またはa’)によるエッチングのステップに対して減らされ、その結果として、例えば、ステップb)および/またはb’)によるHiPIMSスパッタリングプロセスは基材を−200〜0Vの電圧で分極させることを含む。
【0080】
ステップb)および/またはb’)によるHiPIMSスパッタリングプロセスは、マグネトロンカソードに分極インパルスを印加することを含み得、当該分極インパルスの各々は、下記特徴のうちの少なくとも1つを呈し得る:
― 10〜200μ秒の持続時間;
― 50〜1000A、例えば50〜200Aの平均瞬間ピーク強度;
― 50kW〜2MW、より詳しくは100kW〜2MWの瞬間出力;
― 0.2〜5kW/cm2、より詳しくは1〜5kW/cmの出力密度。
【0081】
分極インパルスは、50〜600Hz、より詳しくは100〜600Hzの周波数によりマグネトロンカソードに印加され得る。
【0082】
ステップa)および/もしくはa’)によるHiPIMSエッチングプロセスまたはステップb)および/もしくはb’)によるHiPIMSスパッタリングプロセスは、少なくとも1つの希ガスを含むキャリアガスを使用して行われる。
【0083】
希ガスは、アルゴン、キセノンまたはクリプトンから選択され得る。
【0084】
キャリアガスの圧力は、例えば0.2〜2Paである。
【0085】
本発明の製造プロセスの具体的な実施形態によれば、ステップb)および/またはb’)によるHiPIMSスパッタリングプロセスを用いて基材の上に最初の外層を堆積させた後、ステップb)および/またはb’)の間に、ステップb)および/またはb’)によるHiPIMSスパッタリングプロセスと同時に行われるHiPIMSとは異なる種類のマグネトロンカソードスパッタリングプロセスを用いて付加的な(1つ以上の)外層の少なくとも一部を堆積させる。
【0086】
HiPIMSとは異なる種類のマグネトロンカソードスパッタリングプロセスは、例えば、ターゲットの分極が連続的(Direct Current 「直流」を表す「DC」)であるかまたは中程度の周波数のパルス状(「パルスDC」)であり数キロワットの瞬間出力を送達する分極電圧をもたらすような、プロセスである。
【0087】
ステップb)および/またはb’)によるHiPIMSスパッタリングプロセスと組み合わせて従来型マグネトロンPVDプロセスを用いる付加的な外層の堆積は、付加的な外層の堆積速度を上昇させることによって本発明の製造プロセスの工業操作の改善を可能にする。
【0088】
本発明の製造プロセスの最後には、1〜50μm、好ましくは3〜25μm、よりいっそう好ましくは3〜10μmの厚みを有する少なくとも1つの外層が得られる。外層の累積厚みは、通常は1〜50μm、さらに実際には2〜50μmである。
【0089】
基材上にいくつかの外層を堆積させてもよい。例えば、核燃料被覆管は、多層外部コーティングを構成すべく1〜50個の外層を含む。適切な場合には、例えば外層に熱処理を適用した後または、エッチングおよび堆積の条件を変えることによって、単層外部コーティングを構成すべく外層を融合させて単一の外層を得てもよい。
【0090】
本発明の製造プロセスの好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの介在層は、タンタル、モリブデン、タングステン、ニオブ、バナジウム、ハフニウムまたはそれらの合金から選択される少なくとも1つの介在材料からなる。
【0091】
そのような介在層は、下記事象を制限する(実際には防止さえする)拡散障壁を構成する:
― 酸化クロムを生じる(1つ以上の)外層の酸化に加えてその消耗加速をもたらす、外層からジルコニウム系内層へのクロムの拡散;
― 燃料被覆管の機械的強度およびその冷却される能力を潜在的に低下させ得る、おおよそ1330℃超での共晶の形成。
【0092】
好ましくは、介在材料はタンタルである。
【0093】
タンタルまたはその合金は、少なくとも1つの耐熱性金属元素またはその合金と置換または併用されることができ、その物理化学的特性は1300℃までジルコニウム系内層と相性がよい。特に、1300℃以下では、耐火性金属元素またはその合金は共晶を形成せず、ジルコニウムおよび/またはクロムの中への拡散が制限される。
【0094】
タンタルは別として、そのような耐火性金属元素は例えば、モリブデン、タングステンまたはニオブである。
【0095】
これより、本発明のその他の主題、特徴および利点を、添付図を参照して非限定的な例示として与えられる本発明のプロセスの具体的な実施形態についての以下の記載の中で明記する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1A図1Aは、従来型マグネトロンPVDプロセスを用いて堆積させたクロムコーティングが与えられたジルカロイ−4板の表面状態を示す、電界放出銃型走査電子顕微鏡(SEM−FEG)写真を表す。
図1B図1Bは、本発明によるHiPIMSスパッタリングプロセスを用いて堆積させたクロム外層が与えられたジルカロイ−4板の表面状態を示す、電界放出銃型走査電子顕微鏡(SEM−FEG)写真を表す。
図1C図1Cは、電界放出銃を備えた走査電子顕微鏡によって得られた、図1Bの板の断片の写真を表す。
図1D図1Dは、透過型電子顕微鏡(TEM)によって得られた、図1Bの板の基材と外層との間の境界領域の写真を表す。
図1E図1Eは、境界領域についての、高分解能TEMにより得られた写真および関連する電子散乱写真を表す。
図1F図1Fは、境界領域についての、高分解能TEMにより得られた写真および関連する電子散乱写真を表す。
図1G】図Gは、境界領域についての、高分解能TEMにより得られた写真および関連する電子散乱写真を表す。
図2A図2Aは、1200℃で300秒間の酸化に曝された後での、図1Aに示す板の厚み内に作られた断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を表す。
図2B図2Bは、1200℃で300秒間の酸化に曝された後での、図1Bに示す板の厚み内に作られた断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を表す。
図3A図3Aは、電子マイクロプローブを使用して、金属境界面に関してマイクロメートル単位での距離の関数としてジルコニウム、クロム、鉄および酸素の原子について測定された、対応する重量濃度を示す。この境界面は、クロム外層(または適切な場合には、クロム外層が酸化されてCrを生じているときのジルカロイ−4基材)を酸化クロムCr外層から隔てている。
図3B図3Bは、電子マイクロプローブを使用して、金属境界面に関するマイクロメートル単位での距離の関数としてジルコニウム、クロム、鉄および酸素の原子について測定された、対応する重量濃度を示す。この境界面は、クロム外層(または、適切な場合には、クロム外層が酸化されてCrを生じているときのジルカロイ−4基材)を酸化クロムCr外層から隔てている。
図4図4は、1300℃での酸化後に図1Bの板に類似する板の厚み内に作られた断面の最適な顕微鏡写真を表す。
図5図5は、タンタル介在層が与えられている(「Cr+Ta」で示す点線)かまたは与えられていない(「Cr」で示す実線)、図1Bで得られた板に類似する板のジルカロイ−4/クロム外層境界面に関する、ミリメートル単位での距離の関数としてのクロムの重量濃度のプロファイルを示す。
図6A図6Aは、1000℃で15000秒間、蒸気下で酸化に曝された後での、図1Aに示す板の厚み内に作られた断面のSEM写真を表す。
図6B図6Bは、1000℃で15000秒間、蒸気下で酸化に曝された後での、図1Bに示す板の厚み内に作られた断面のSEM写真を表す。
図7A図7Aは、介在層が与えられていない管形状の核燃料被覆管の断面の模式図を表す。
図7B図7Bは、介在層が与えられた管形状の核燃料被覆管の断面の模式図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0097】
1.本発明のプロセスを用いる板の製造
本発明の製造プロセスを実施するこの例は、Huettinger発電機を装備した、Balzersにより販売されているカソードスパッタリング反応器(BAK640モデル)で行われる。しかしながらそれにも拘らず、適用する実験条件は、使用する反応器またはその磁気的構成、ターゲットの形状および寸法などの関数として変化させてもよい。
【0098】
しかし、一般的知識によれば当業者は、少なくとも1つのパラメータ、例えば内層のイオンエッチングのステップa)もしくは堆積のステップb)の間に印加される基材の分極電圧、分極インパルスの持続時間、周波数、強度もしくは分極電圧、クロムターゲットと基材との間の距離、またはキャリアガスの圧力などを変更することによってこれらの変化形態に容易に適応し得る。
【0099】
より詳しくは、これらのパラメータは、ステップa)またはb)の間に生成するCrイオンの平均エネルギーに影響を与える。このエネルギーは、外層の密度、均一性、組織、微細構造または応力状態を調節できる。
【0100】
1.1. イオンエッチングを行うステップ
寸法45mm×14mm×1.2mmのジルカロイ−4板をアルカリ溶液中で脱脂し、水ですすぎ、エタノール中で超音波洗浄する。
【0101】
続いてそれを、通常は6〜8cmの距離、この事例においては8cmの距離で配置されたクロム製マグネトロンカソードを収容したHiPIMSカソードスパッタリング反応器内に配置する。反応器のチャンバを2・10−5mbar未満の真空下に置き、次いで圧力0.5Paのアルゴンからなるキャリアガスで満たす。
【0102】
内層(したがって基材)を構成するコーティングされる板を、−800Vの分極電圧で負に分極させる。
【0103】
続いて、強くイオン化された放電を発生させるべく、−800Vの分極電圧によりHiPIMS発生器を使用してクロムターゲットが供給される。そうしてクロムは、基材の電場によって加速されるイオンの形態でスパッタされる。その後、外層の接着性を向上させるために基材の表面から、吸収された炭素系存在物、および元々の酸化ジルコニウムまたは水素化ジルコニウムのナノメートル規模の層が除去される。この基材のイオンエッチングは、板の温度上昇を制限するために3分間継続される。
【0104】
1.2.HiPIMSスパッタリングにより外層を堆積させるステップ
エッチングされた板に印加する分極電圧を8時間の間、例えば−50〜0V、この事例においては−50Vに減らす。堆積速度は通常0.5〜1μm/時であるため、これらの条件は厚み6μmでのクロム外層の堆積をもたらす。
【0105】
クロムターゲットの分極電圧を−800Vに維持する。マグネトロンカソードにいくつかの分極インパルスを下記特徴により印加する:
― インパルスの持続時間=40μ秒;
― インパルスの周波数=500Hz;
― 全体平均強度=おおよそ2A;
― 平均瞬間強度=おおよそ100A;
― 全体平均出力=おおよそ1kW;
― インパルスの平均瞬間出力=60kW。
【0106】
クロム外層でコーティングした板の表面状態を図1Bに示す。比較として、図1Aは、「WO2013/160587」の実施例1に記載されているプロセスに類似する従来型マグネトロンPVDプロセスを用いて同じ厚みのクロムコーティングを堆積させた対照ジルカロイ−4板について得られた非常に異なる表面形態を示す。
【0107】
図1Cは、クロム系外層の柱状粒の構造を示す。
【0108】
図1Dもまた外層の柱状構造を示し、境界層の存在をも示す。
【0109】
図1Eは、境界領域の中間部、ジルコニウム系基材と境界領域との間、およびクロム系外層と境界領域との間にそれぞれ位置している境界領域のゾーン1、2および3を示す。また、ゾーン1および、このゾーンを成り立たせている六方晶構造の金属間化合物Zr(Fe,Cr)を特定する構造パラメータも示す。
【0110】
図1Fは、ゾーン2および、このゾーンを成り立たせている立方晶構造の金属間化合物ZrFeを同定する構造パラメータを示す。
【0111】
図1Gは、ゾーン3および、このゾーンを成り立たせている立方晶構造の金属間化合物ZrCrを特定する構造パラメータを示す。
【0112】
このように、図1E、1Fおよび1Gを合わせると境界層の組成は、ジルカロイ−4基材を有する境界面からクロム外層を有する境界面へと向かって金属間化合物ZrFe、Zr(Fe,Cr)およびZrCrの順に徐々に変化することが示される。あらゆる予想に反し、基材のジルコニウム合金とクロムとの相互作用によって、鉄を含有するナノメートル規模の相ZrFeおよびZr(Fe,Cr)が形成された。
【0113】
2.酸化/水素化に関する特性
2.1.1200℃での事故状況における酸化に対する耐性の評価
酸化に対する耐性を評価するために、実施例1により6μmの単一のクロム外層の与えられたジルカロイ−4に基づく板を、1200℃にされた蒸気が循環する炉内に300秒間留める。
【0114】
比較のために、「WO2013/160587」の実施例1による従来型カソードスパッタリングプロセスを用いて同じ厚みのクロムコーティングで覆った対照ジルカロイ−4板を使用して、同じ実験を行う。
【0115】
この酸化の完了時に得られた板の状態を図2Aおよび2Bに示す。
【0116】
図2Aは、厚みの制限された酸化クロムCrの層が形成されることを示す。このように、現状技術のプロセスにより堆積させたクロムコーティングは1200℃での酸化に関して部分的に保護的な性質を有する。しかしながら、酸化クロムCrの層の下にある残存金属クロム層には孔および亀裂が存在する。それらはとりわけジルカロイ−4基材とクロムコーティングとの間の境界面における剥離によって生じ、それは対照板の残存金属クロム層の脆化およびその酸化に耐える特性の低下(とりわけ酸素の拡散に関する耐漏洩性の喪失による低下)を反映している。
【0117】
他方、周辺の酸化クロムCrの層がより分厚く形成されていることが図2Bに示されてはいるものの、HiPIMSスパッタリングプロセスを用いて最初に堆積させた、下にある残存金属クロムの層に関しては、損傷を受けていない。このことは、ジルカロイ−4内層との境界面に剥離が存在していないこと、および孔の数も非常に少ないことによって確認される。この保存された微細構造は、少なくとも1200℃までのジルコニウム合金の酸化/水素化に関するクロムコーティングの保護的性質、特にジルカロイ−4内層の中への酸素の拡散を制限するその能力を裏付けている。
【0118】
このような結果は図3Aおよび3Bによって確証を与えられるが、これらの図は、電子マイクロプローブを使用してコーティングの厚み内およびジルカロイ−4/クロム境界面の近傍において測定したジルコニウム、クロムおよび酸素の拡散のプロファイルを示すものである。
【0119】
測定可能な酸素の拡散がHiPMSコーティングの残存金属層内に存在せずジルコニウム系内層にはなおさら存在しない、ということが認められ得る。
【0120】
対照板については、図3Aの測定結果は、クロムコーティングを通じた酸素の顕著な拡散を示しており、当該クロムコーティングは重量表示でおおよそ1%の平均酸素含有量を呈している。この拡散はジルカロイ−4の中で実質的に継続しており、当該ジルカロイ−4内でのクロムコーティング/ジルカロイ−4基材境界面から100μm以内における酸素含有量は重量表示で0.3〜0.4%程度である。
【0121】
本発明の製造プロセスにより作製された板については、図3Bの測定結果は、ジルカロイ−4における平均酸素含有量が重量表示で0.14%の初期値と事実上同一であることを示している。酸素の拡散が残存クロム層内に存在せずジルカロイ−4基材にはなおさら存在しないことは、基材の機械的特性、とりわけ残留延性および残留靱性の保存を可能にする。したがってこれは、1200℃での酸化がもたらす有害な結果に関してよりよい保護範囲を提供する。
【0122】
さらに、異なる結晶組織を含むにも拘わらず板形状を管状被覆管形状で置き換えた場合には、1200℃で300秒間の酸化の後に室温の水で急冷する同様の実験によってそのような作用の確証が得られた:本発明のプロセスによって作製された管についての酸素吸収を表す重量増加は、従来型カソードスパッタリングプロセスを用いてクロムコーティングで覆った管について測定した場合に比べて10分の1〜30分の1である。
【0123】
2.2.1300℃での事故状況における酸化に対する耐性の評価
本発明の製造プロセスにより製造した別の板試料を、1300℃にされた等モルの酸素/ヘリウム雰囲気下に5600秒間留める。
【0124】
この具体的な酸化温度領域において、そのような雰囲気組成は、特定の事例(封じ込められた蒸気、質の低い合金、劣化した表面状態など)を別とすれば1300℃での酸化の間に基材の著しい水素化を起こさないため、蒸気下での酸化条件を合理的に代表する。
【0125】
これらの温度条件は「LOCA」制御限界よりも100℃高いが、図4の写真は、おおよそ1mmの厚みを有する板が破壊されず、15〜20μmの初期厚みを有するクロム外層の一部のみが酸化されて酸化クロムCrを生じることを示している。
【0126】
ジルカロイ−4基材は主に、板の残留延性の大部分を与えるZr−ex−β型の構造を呈する。
【0127】
それに比べて、同じ酸化条件に曝された、クロム外層でコーティングされていない対照板のジルカロイ−4の残存金属内層に関しては、低温において脆く横割れによる完全性の低下の原因となるα−Zr(O)構造を全体的に呈する。
【0128】
安全制御限界をはるかに上回る1300℃での酸化条件においてさえ、本発明の製造プロセスにより得られる核燃料被覆管はその機械的完全性を保持し得、酸化/水素化に対する耐性の十分な残存余裕を呈し得る。
【0129】
2.3.タンタル介在層についての酸化に対する耐性の評価
HiPIMSスパッタリングプロセスを用いて概ねタンタルからなる厚み2〜3μmの介在層を内層上に堆積させるという事実を別にすれば、実施例1の場合と同様の条件下で、板を作製する。タンタル介在層の堆積は、タンタルターゲットを25μ秒のインパルス持続時間、−800Vで分極させるという事実を別にすれば、実施例1でのクロム外層の堆積の場合と同様の条件に従って行われる。タンタル介在層のイオンエッチングを(本発明の製造プロセスのステップa)により)行った後、本発明の製造プロセスのステップb)に従って厚み4μmのクロム外層をこの介在層上に引き続き堆積させる。
【0130】
比較のために、タンタル介在層が与えられていないという事実を別とすればそれに対応している対照板を、いくつか作製する。
【0131】
1200℃の蒸気が循環する炉内に300秒間留めた後、ジルカロイ−4内層への外層のクロムの拡散のプロファイルをこれらの層の間の境界面から測定する。
【0132】
図5に示すこれらの測定結果は、下記事項を示している:
― タンタル介在層を与えられていない対照板に関して得られた結果の再現性が非常に良好であること;
― ジルカロイ−4内層の中へのクロムの拡散は対照板の場合の方が大きいこと。これは、1200℃では、ジルコニウム合金へと向かうクロムの拡散の内部現象と酸化クロムを生じるクロムの外部酸化とによって比較的類似した比率でクロム外層が消費されるためである;
― 拡散障壁としての役目を果たすタンタル介在層の1200℃での酸化条件における有利な効果:したがって、対照板と比較すると、外層からジルカロイ−4内層に向かって拡散するクロムの合計量はおおよそ4分の1であり、外層の寿命は場合によって2倍になり得る。
【0133】
総じて、介在層は拡散現象を軽減し、実際にはそれをなくしさえするが、そのことは、とりわけ事故状況、例えば使用済燃料貯蔵プールの脱水またはLOCA型の大規模事故の基準によって定義される状況などにおいて外層の寿命を延ばし、ゆえに対応する核燃料被覆管の寿命を延ばす。
【0134】
さらに、介在層がジルコニウム合金へのクロムの拡散に対して与える効果は、1330℃超でのジルコニウムとクロムとの共晶の形成を遅らせてそれゆえに表面の液相の生成を遅らせる利点も有し、当該利点により、それらが引き起こしかねない潜在的に悪い結果を、約1320℃超で侵入が生じる場合に回避または制限することが可能になる。
【0135】
2.4.1000℃での水素化に対する耐性の評価
水素化は、公称条件または特定の事故状況において核燃料被覆管内で発生する現象である。水素化は、下記の一連の反応(1)および(2)によって生じる:反応
(1) Zr + 2HO −> ZrO + 2H
により、核燃料被覆管に存在するジルコニウムが加圧水または蒸気によって酸化され、その後、このようにして放出された水素の一部が被覆管のジルコニウム合金中へ拡散し、反応
(2) Zr + xH −> ZrH
により、被覆管の未酸化ジルコニウムと水素化物を形成し得る。
【0136】
添え字「x」は、様々な化学量論の水素化物が形成し得ることを示し、この添え字は詳しくは2以下である。
全水素含有量および/または温度に応じて、水素の全てまたは一部が析出し、その残余が固溶体中に(α−ジルコニウム結晶格子内に挿入されて)残存することになる。
【0137】
例えば、20℃では実質的に全ての水素が水素化物の形態で析出するが、それらは高温(典型的には600℃超)において全て溶解し得る。
【0138】
固溶体中の水素は、ジルコニウム合金の延性を低下させてそれゆえ(とりわけ低温での)被覆管の脆化をもたらすという欠点を有する(なお水素化ジルコニウム析出物の形態にある水素は特にそうである)。この脆化は、大きな燃焼速度が望まれる場合になおいっそう恐れられるべきである、というのもこれらの速度では反応(1)により酸化されるジルコニウムの比率の増加、ゆえに反応(2)により形成される水素化物の量の増加が認められるからである。次いでそれは大抵、安全基準および被覆管の完全性に関して危険なレベルで通常の産業用合金の腐食をもたらし、使用後の輸送および貯蔵に関する問題を提起し得る。
【0139】
水素化は、核燃料被覆管のジルコニウム合金M5(商標)またはZirlo(商標)に関する通常の状況で認められるが、事故状況では大抵1000℃付近または長い酸化時間で800℃に向かう場合においてのみ認められる。この現象は、「ブレイクアウェイ」として知られており、一定の臨界時間を超える酸化の反応速度論の増大に関連している。それは、おそらく正方晶ZrOの単斜晶ZrOへの可逆的変換に関係してZr/ZrO境界面に発生する応力の存在に関する、ZrO相における亀裂および/または孔の顕在化に起因する。この水素吸収は通常の状況での場合と同様に、急冷中または低温に戻った後に材料の破砕を生じ得る1000℃付近での材料の脆化を引き起こす。
【0140】
「ブレイクアウェイ」現象はふつう、ジルカロイ−4またはM5(商標)などのジルコニウム合金では1000℃で5000秒間の後に発生する。
【0141】
本発明による核燃料被覆管の水素化に対する耐性を評価するために、本発明の製造プロセスにより作製された別の板試料を、1000℃にされた蒸気雰囲気下に15000秒間留める。
【0142】
比較のために、「WO2013/160587」の実施例1による従来型カソードスパッタリングプロセスを用いて同じ厚みのクロムコーティングで覆ったジルカロイ−4の対照板を使用して、同じ実験を行う。
【0143】
得られた結果を図6Aおよび6Bに示す。
【0144】
図6Aは、対照板が、部分的に酸化されてCrを生じたクロム外層の局所的な剥離を呈することを示す。板の中に溶解した水素の含有量を、文献「WO2013/160587」の実施例1による間接的で不正確な評価の代わりに、この目的のために提供された分析器内での還元溶融後の気体の分析によって測定する:この含有量は重量表示でおおよそ1000ppmである。またそのジルカロイ−4板は、ジルカロイ−4の中への酸素の拡散ゆえに、低温においてα−Zr(O)構造の脆い相をも含む。事実、水素含有量が重量表示でおおよそ600ppmを超えて増加する場合、ジルカロイ−4はβ領域(>900〜1000℃)から水で急冷された後に低温(20〜150℃)においてその残留延性を失うことが知られている。
【0145】
他方、図6Bは、本発明の製造プロセスにより作製された板が、対照板の場合の5分の1の厚みを有する酸化物Crの層を呈することを示す。さらに、溶解した水素の含有量は重量表示でせいぜい60〜80ppmであり、ジルコニウム系基材中にはα−Zr(O)構造の相が見受けられない。当該板は、その機械的強度に関してはおおよそ900MPaであり、破砕様式は数%の破壊時伸び率を有する粒内延性ディンプルであることから、顕著な残留延性を有している。これらの結果は、例えば「ブレイクアウェイ後」(post−breakaway)の状況下での、本発明による核燃料被覆管の水素化に対する非常に良好な耐性を裏付けている。
【0146】
3.本発明による核燃料被覆管の形状
図7Aおよび7Bを参照して、管状形状の非限定的な具体的事例において本発明の製造プロセスにより得られる核燃料被覆管を描写する。
【0147】
本発明の第1の実施形態によれば、図7Aに示す被覆管はジルコニウム系内層(1)からなり、その内面は、核燃料を受け入れることのできる閉鎖容積の境界を定める。内層(1)は、非常に高い温度での被覆管の酸化に対する耐性を向上させることを可能にするクロム系保護材料からなる外層(2)が上に配置される基材を形成する。
【0148】
図7Bにより示される第2の実施形態によれば、被覆管には、内層(1)と外層(2)との間に配置された介在層(3)が与えられ得る。この場合、内層(1)と介在層(3)との組合せが基材を形成する。介在層(3)は、外層(2)から内層(1)へのクロムの拡散を防止または制限することのできる少なくとも1つの介在材料、例えばタンタルなどからなる。
【0149】
図示されていない第3の実施形態によれば、内層(1)の下に、したがって核燃料を受け入れることのできる容積に直接面して、内部コーティングが配置される。
【0150】
これまでの記載から、本発明のプロセスによって、非常に高い温度での酸化に対する耐性の向上を呈する核燃料被覆管の製造が可能になることが分かる。こうして得られたさらなる安全範囲は、とりわけ、事故状況の悪化または持続が生じた場合における被覆管の劣化の防止または遅延を可能にする。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B