(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ジカルボン酸、ジカルボン酸塩、トリカルボン酸、及びトリカルボン酸金属塩からなる群から選ばれる1以上の化合物および緩衝液を含むサンプル希釈液と、乳幼児糞便由来サンプルを接触させる工程を含む、乳幼児糞便由来サンプルの免疫測定における非特異反応を抑制するためのサンプル前処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、糞便由来のサンプルを不溶性メンブレン中を展開させることによりサンプル中の被検出物質を検出するイムノクロマトグラフィーを利用した検出方法において、糞便に特有の非特異反応を抑制する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、カルボキシ基を分子内に2以上有する化合物を利用することにより、糞便由来サンプルに起因する非特異反応を抑制し、糞便由来サンプル中の検出対象物質を正確に検出できることを見出した。
特に、乳幼児の糞便由来サンプルについて、従来の方法では抑制できなかった非特異反応を本発明の分子内に2以上のカルボキシ基を有する化合物を含むサンプル希釈液を利用することで抑制することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
<1>
糞便由来サンプル中の被検出物質をイムノクロマトグラフィーを利用して検出する方法であって、
分子内に2以上のカルボキシ基を有する化合物の存在下で免疫反応を行う工程を含む、前記検出方法。
<2>
糞便由来サンプル中の被検出物質をイムノクロマトグラフィーを利用して検出する方法であって、(A)〜(C)の工程を含む検出方法。
(A)下記テストストリップのサンプル供給部に、分子内に2以上のカルボキシ基を有する化合物および緩衝液を含むサンプル希釈液ならびに糞便由来サンプルを供給する工程
テストストリップ;
少なくともサンプル供給部、展開部および検出部とを備えた多孔質体からなるメンブレンを有し、展開部の一部には、標識物質で標識された第一の抗体を含むコンジュゲートが溶出可能に保持され、さらに展開部の一部であってコンジュゲート保持部分より下流側に第二の抗体が固定化されている検出部を有する
(B)サンプル中の検出対象物質をコンジュゲートと接触させる工程
(C)サンプル中の検出対象物質とコンジュゲートの複合体を検出部において検出する工程
<3>
糞便由来サンプルが、乳幼児の糞便由来サンプルである<1>又は<2>に記載の検出方法。
<4>
糞便由来サンプル中の被検出物質をイムノクロマトグラフィーを利用して検出する方法における非特異反応抑制方法であって、
分子内に2以上のカルボキシ基を有する化合物の存在下で免疫反応を行う工程を含む、前記方法。
<5>
糞便由来サンプル中の被検出物質をイムノクロマトグラフィーを利用して検出する方法における非特異反応抑制方法であって、(A)〜(C)の工程を含む方法。
(A)下記テストストリップのサンプル供給部に、分子内に2以上のカルボキシ基を有する化合物及び緩衝液を含むサンプル希釈液ならびに糞便由来サンプルを供給する工程
テストストリップ;
少なくともサンプル供給部、展開部および検出部とを備えた多孔質体からなるメンブレンを有し、展開部の一部には、標識物質で標識された第一の抗体を含むコンジュゲートが溶出可能に保持され、さらに展開部の一部であってコンジュゲート保持部分より下流側に第二の抗体が固定化されている検出部を有する
(B)サンプル中の検出対象物質をコンジュゲートと接触させる工程
(C)サンプル中の検出対象物質とコンジュゲートの複合体を検出部において検出する工程
<6>
糞便由来サンプルが、乳幼児の糞便由来サンプルである<4>又は<5>に記載の方法。
<7>
以下の構成(1)および(2)を含む、糞便由来サンプル用イムノクロマトグラフィー用検出キット。
(1)少なくともサンプル供給部、展開部および検出部とを備えた多孔質体からなるメンブレンを有し、展開部の一部には、標識物質で標識された第一の抗体を含むコンジュゲートが溶出可能に保持され、さらに展開部の一部であって前記コンジュゲート保持部分より下流側に、第二の抗体が固定化されている検出部を有するイムノクロマトグラフィー用テストストリップ
(2)分子内に2以上のカルボキシ基を有する化合物及び緩衝液を含むサンプル希釈液
<8>
糞便由来サンプルが、乳幼児の糞便由来サンプルである<7>に記載の検出キット。
<9>
分子内に2以上のカルボキシ基を有する化合物および緩衝液を含む免疫測定用の乳幼児糞便由来サンプル希釈液。
<10>
分子内に2以上のカルボキシ基を有する化合物および緩衝液を含むサンプル希釈液と、乳幼児糞便由来サンプルを接触させる工程を含む、乳幼児糞便由来サンプルの免疫測定における非特異反応を抑制するためのサンプル前処理方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の、カルボキシ基を分子内に2以上有する化合物を利用することにより、イムノクロマトグラフィーを利用した検出方法において、糞便サンプルに起因する特有の非特異反応を抑制して、サンプル中の被検出物質を正確に検出することができる。
本発明は、乳幼児の糞便由来サンプルについて、従来の方法では抑制できなかった特有の非特異反応を抑制することが可能であるから、成人サンプルだけでなく、乳幼児サンプルも対象となるような検出項目において、いずれの糞便サンプルであってもイムノクロマトグラフィーを利用して、被検出物質を正確に検出することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(サンプル)
本発明において、サンプルとしてはヒトの糞便由来のものが対象となる。ヒトの糞便は、成人の糞便および乳幼児の糞便のいずれも対象となるが、本発明は特に、乳幼児の糞便に由来する非特異反応を抑制する効果を奏する。本発明でいう乳幼児とは、新生児、乳児、幼児(7歳未満)のいずれも含む意味で用いる。糞便は、そのままサンプルとして用いてもよく、適宜サンプル希釈液によって希釈してサンプルとしてもよい。また、適宜希釈し濾過したものをサンプルとして用いてもよい。なお、サンプル希釈液は、他では検体希釈液、サンプル抽出液、サンプル展開液などと呼ばれることもあり、いずれも同義で用いられる。
【0012】
(サンプル希釈液)
本発明のサンプル希釈液は、カルボキシ基を分子内に2個以上含む化合物を少なくとも含み、好ましくはさらに緩衝液を含む。カルボキシ基を分子内に2個含む化合物として、いわゆるジカルボン酸であるシュウ酸(エタン二酸)、マロン酸(プロパン二酸)、コハク酸(ブタン二酸)、グルタル酸(ペンタン二酸)、アジピン酸(ヘキサン二酸)、フマル酸((E)-ブタ-2-エン二酸)、マレイン酸((Z)-ブタ-2-エン二酸)、L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸、等が挙げられ、好ましくは、マレイン酸、L-アスパラギン酸、グルタミン酸が挙げられる。
カルボキシ基を分子内に3個含む化合物としては、トリカルボン酸であるアコニット酸(2-カルボキシプロパ-1-エントリカルボン酸)、クエン酸、イソクエン酸、トリカルバリル酸、トリメシン酸が挙げられ、好ましくは、クエン酸が挙げられる。
また、本発明において、カルボキシ基を分子内に2個以上含む化合物としては、カルボキシ基を分子内に2個以上含む上記のような化合物それ自体のほかに、当該化合物の塩や誘導体も含まれる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシム塩などの金属塩が挙げられ、誘導体としては、アミド、エステル、酸無水物、などが挙げられる。
本発明のサンプル希釈液中のカルボキシ基を分子内に2個以上含む化合物の濃度範囲は、5mM〜300mMが好ましい。
カルボキシ基が2個の場合には、10mM〜300mMがさらに好ましく、20mM〜300mMがよりいっそう好ましく、50mM〜300mMがさらにいっそう好ましい。また、このほかにも、30mM〜300mM、40mM〜300mM、60mM〜300mM、70mM〜300mM、80mM〜300mM、90mM〜300mM、100mM〜300mMが挙げられる。また、10mM〜250mM、10mM〜200mM、10mM〜150mM、10mM〜100mMも挙げられる。
カルボキシ基が3個の場合には、5mM〜250mMがさらに好ましく、10mM〜250mMがよりいっそう好ましく、20mM〜250mMがさらにいっそう好ましい。また、このほかにも30mM〜250mM、40mM〜250mM、50mM〜250mM、60mM〜250mM、70mM〜250mM、80mM〜250mM、90mM〜250mM、100mM〜250mMが挙げられる。また、5mM〜200mM、5mM〜150mM、5mM〜100mMも挙げられる。
本発明のサンプル希釈液に含まれる緩衝液としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液など通常使用される緩衝液をあげることができる。本発明のサンプル希釈液は、上記化合物と緩衝液を含むものであればよく、上記化合物を含む緩衝液でもよく、さらに塩化ナトリウムなどの塩類、スクロースなどの安定剤や保存剤、プロクリン(登録商標)などの防腐剤等を含んでもよい。塩類は塩化ナトリウムなどのようにイオン強度の調整のために含ませるもののほか、水酸化ナトリウムなど緩衝液のpHを調整する目的で添加するものも含まれる。本発明のサンプル希釈液のpHは、6.0〜9.0の範囲が好ましく、6.5〜8.0がより好ましく、7.0〜8.0がよりいっそう好ましい。
本発明のサンプル希釈液は、サンプルを希釈するための液であるから、糞便サンプルをサンプル希釈液に添加して、サンプルを溶解、抽出、あるいは分散して希釈する役割を担っている。したがって、典型的には、テストストリップのサンプルパッドにサンプルを供給する時点でサンプルとサンプル希釈液は混合されている。しかし、このほかに、サンプルを直接あるいは他の本発明のサンプル希釈液以外の希釈液で希釈したものをサンプルパッドに供給し、同時にあるいは遅れて本発明のサンプル希釈液を前記サンプルパッドに供給する場合も本発明の検出方法に含まれる。
本発明のサンプル希釈液は、免疫測定における乳幼児糞便由来サンプルの非特異反応を抑制することができることから、免疫測定用の乳幼児糞便由来サンプル用の希釈液として特に有用である。
免疫測定法としては、免疫反応を利用する検出方法であればいずれでもよく、例えば、粒子凝集イムノアッセイ法であるラテックス免疫凝集法(以下、LTIA法という)、代表的な標識イムノアッセイ法であるELISA法、イムノクロマトグラフィーを利用した検出方法等が挙げられるが、このうちでも特にイムノクロマトグラフィーを利用した検出方法が望ましい。免疫測定法として前記LTIA法において本発明のサンプル希釈液を使う場合は、糞便由来サンプルを本発明のサンプル希釈液で希釈した後、ラテックス試薬と混合することで免疫凝集反応を検出することができる。ラテックス試薬が、緩衝液を含む第一試薬とラテックス試薬を含む第二試薬からなる場合は、第一試薬として本発明の検体希釈液を使用することができる。
また、本発明は、本発明のサンプル希釈液と、乳幼児糞便由来サンプルとを接触させる工程を含む、乳幼児糞便由来サンプルの非特異反応を抑制するためのサンプル前処理方法も提供する。
【0013】
(被検出物質)
本発明の被検出物質としては、サンプルである糞便中に含まれ、抗原抗体反応を利用して検出し得るものであればいずれでもよく、ウイルス、寄生虫、タンパク質などが挙げられる。
例えば感染性胃腸炎は、ウイルスおよび寄生虫が主な原因であり、被検出物質となるウイルスとしては、ノロウイルス、アデノウイルス、ロタウイルス、サポウイルス、エンテロウイルス等があげられ、被検出物質となる寄生虫としてはクリプトスピリジウム、アメーバ赤痢、ジアルジア等があげられる。
このほかにも、被検出物質となるウイルスとしてインフルエンザウイルス、被検出物質となるタンパク質としては、ヒトヘモグロビン、B型肝炎ウイルス抗体、C型肝炎ウイルス抗体、ヒト免疫不全ウイルス抗体等が挙げられる。
【0014】
(イムノクロマトグラフィー用テストストリップ)
本発明のイムノクロマトグラフィー用テストストリップは、糞便由来のサンプルを不溶性メンブレン中を展開させることにより、サンプル中の被検出物質とコンジュゲートとの複合体を検出するテストストリップである。当該テストストリップは、(1)サンプル供給部(2)展開部(3)検出部、とを備えた多孔質体からなるメンブレンを有し、展開部の一部には、標識物質で標識された第一の抗体を含むコンジュゲートが溶出可能に保持され、さらに展開部の一部であってコンジュゲート保持部分より下流側に第二の抗体が固定化されている検出部を有する。
本発明のカルボキシ基を分子内に2個以上含む化合物は、前記サンプル希釈液に含まれている態様のほか、テストストリップを構成するパッドの一部に含浸させる態様もあり得る。例えば、サンプルパッド、サードパッド、コンジュゲートパッド、不溶性メンブレンなどである。また、本発明のカルボキシ基を分子内に2個以上含む化合物は、フィルターチップに含浸される態様もあり得る。
【0015】
コンジュゲートは、被検出物質に対して免疫学的に反応する抗体または抗原が標識体に固定化されたものであり、コンジュゲートの存在様式としては、コンジュゲートパッドとして、サンプルパッド、サードパッド、不溶性メンブレン以外の別のパッドに含浸された状態で存在してもよいし(タイプA)、サンプルパッドの一部にコンジュゲート部として存在してもよいし(タイプB)、さらには、テストストリップとは別に、検体と混合されるように個別のコンジュゲート試薬として存在してもよい(タイプC)。
【0016】
以下、コンジュゲートの存在様式が上記タイプAのテストストリップについて説明する。
サンプルの流れ方向の上流より下流に向かって、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、サードパッド、不溶性メンブレンの順で配置され、それぞれ上下の層と少なくとも一部が重複するように配置される。このような配置例のテストストリップを
図1に示す。
このようなテストストリップのサンプルパッドに、被検出物質を含有するサンプルが供給されると、被検出物質はサンプルパッドを通過して下流側のコンジュゲートパッドへと流れる。コンジュゲートパッドでは、被検出物質とコンジュゲートが接触して複合体(凝集体)を形成しながら当該パッドを通過する。その後、複合体はコンジュゲートパッドの下面に接触して配置された多孔質サードパッドを通過し、不溶性メンブレンへと展開される。
不溶性メンブレンには、その一部に被検出物質に対して免疫学的に反応する抗体または抗原が固定化されているため、該複合体がここで免疫反応により結合して固定化されることになる。固定化された複合体は、コンジュゲートに由来する吸光度、反射光、蛍光、磁気等を検出する手段により検出される。
【0017】
次に、コンジュゲートの存在様式がタイプBのテストストリップについて説明する。
上記タイプAのテストストリップとの違いは、サンプルパッドとコンジュゲートパッドが一体になった点であり、つまり、サンプルパッドの一部にサンプル供給部およびコンジュゲート部が構成されている点である。
上記サンプル供給部は、被検出物質を含有するサンプルを供給する部位であり、上記コンジュゲート部は、コンジュゲートを含有する部位であり、サンプル供給部がコンジュゲート部の上流側となる。
【0018】
次に、コンジュゲートの存在様式がタイプCのテストストリップについて説明する。
上記タイプAのテストストリップとの違いは、コンジュゲートパッドが存在せず、コンジュゲートは個別のコンジュゲート試薬として存在する点である。例えば、フィルター中にコンジュゲートが内蔵されたフィルターチップが挙げられる。このようなフィルターチップを使って、サンプル希釈液及び被検出物質を通過させることでコンジュゲートと被検出物質が結合し、複合体(凝集体)を形成する。これをコンジュゲートパッドを有さないこと以外はタイプAと同一の前記テストストリップに供給することで、被検出物質を検出することができる。
コンジュゲートパッドやフィルターチップには、このほかに、本発明のカルボキシ基を分子内に2個以上含む化合物を含ませることもできる。
【0019】
(サンプルパッド)
本発明に用いられるサンプルパッドとは、サンプルを受け入れる部位であり、パッドに成型された状態で液体のサンプルを吸収し、液体と検出対象物とが通り抜けることができるどんな物質及び形態をも含む。サンプルパッドに適した材料の具体例として、ガラス繊維(グラスファイバー)、アクリル繊維、親水性ポリエチレン材、乾燥紙、紙パルプ、織物等が含まれるが、これらに限定されない。好適には、グラスファイバー製パッドが用いられる。該サンプルパッドには、後述するコンジュゲートパッドの機能を併せ持たせることも出来る。また、サンプルパッドには、抗体固定化メンブレンにおける非特異的反応(吸着)を防止・抑制する目的で、通常使用されるブロッキング試薬を含ませることができる。
サプルパッドには、このほかに、本発明のカルボキシ基を分子内に2個以上含む化合物を含ませることもできる。
【0020】
(サードパッド)
サードパッドは、試料の性状等により必要に応じて配置されることが望ましく、サンプル中の被検出物質とコンジュゲートの複合体を透過させることができるものであればいずれでもよい。本発明では、不溶性メンブレンの目詰まりを抑制するため、あるいは糞便由来の非特異反応物質を捕捉することを目的とするため、サードパッドは、ポリスルホンまたはセルロースアセテートからなる多孔質性の部材であることが望ましい。
また、本発明の多孔質性サードパッドの平均孔径は、1〜100μmが例示され、5〜80μmが好ましく、10〜60μmがより好ましく、15〜55μmがさらに好ましく、20〜50μmが特に好ましく、25〜45μmが最も好ましい。
1μm未満では詰まりの原因となり、検体の流れ自体が遅くなるからであり100μmより大きいと前記非特異反応物質を捕捉する機能が低下するためと思われるからである。
サードパッドには、このほかに、本発明のカルボキシ基を分子内に2個以上含む化合物を含ませることもできる。
【0021】
(不溶性メンブレン)
本発明に用いられる不溶性メンブレンは、被検出物質に対して免疫学的に反応する抗体または抗原が固定化された少なくとも1つの検出部を有する。被検出物質に対して免疫学的に反応する抗体または抗原の不溶性メンブレン担体への固定化は、従来公知の方法で実施することができる。ラテラルフロー式のイムノクロマト試薬の場合には、上記の抗体または抗原を所定の濃度で含有する液を調製し、ノズルから液を一定の速度で吐出しながら水平方向に移動させることのできる機構を有する装置などを用いて、上記液をライン状に不溶性メンブレン担体に塗布し、乾燥させることにより固定化させることができる。上記液の抗体または抗原の濃度は0.1〜5mg/mLが好ましく、0.5〜2mg/mLがさらに好適である。また、抗体または抗原の不溶性メンブレン担体への固定化量は、ラテラルフロー式の場合には上記の装置のノズルからの吐出速度を調節することによって最適化でき、0.5〜2μL/cmが好適である。
なお、上記ラテラルフロー式のイムノクロマト試薬を用いた測定方法は、サンプルが毛細管現象により不溶性メンブレン担体に対して並行方向に移動するように展開する方式の測定方法である。
また、上記の抗体または抗原を所定の濃度で含有する液は、緩衝液に抗体または抗原を添加することにより調製することができる。該緩衝液の種類としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液など通常使用される緩衝液をあげることができる。緩衝液のpHは6.0〜9.5の範囲が好ましく、6.5〜8.5がより好ましく、7.0〜8.0がさらに好ましい。緩衝液には、さらに塩化ナトリウムなどの塩類、スクロースなどの安定剤や保存剤、プロクリン(登録商標)などの防腐剤等を含んでもよい。塩類は塩化ナトリウムなどのようにイオン強度の調整のために含ませるもののほか、水酸化ナトリウムなど緩衝液のpHを調整する目的で添加するものも含まれる。
不溶性メンブレンに抗体または抗原を固定化した後、さらに、通常使用されるブロッキング剤を溶液あるいは蒸気状にして抗体または抗原を固定化した部位以外を被覆し、ブロッキングを行うこともできる。
なお、不溶性メンブレンには、従来からイムノクロマト試薬で用いられているコントロール捕捉試薬を固定化してもよい。該コントロール捕捉試薬は、アッセイの信頼性を担保するための試薬であって、コンジュゲートパッドに含ませたコントロール試薬を捕捉するものである。例えば、コンジュゲートパッドに標識されたスカシ貝由来ヘモシアニン(以下、KLHという)をコントロール試薬として含む場合には、抗KLH抗体などがコントロール捕捉試薬に該当する。コントロール捕捉試薬を固定化する位置は、アッセイ系の設計に適合するよう適宜選択することができる。
不溶性メンブレンには、このほかに、本発明のカルボキシ基を分子内に2個以上含む化合物を含ませることもできる。
【0022】
本発明で用いられる不溶性メンブレンを構成するメンブレンとしては、従来からイムノクロマト試薬の不溶性メンブレン担体として用いられている公知のメンブレンが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン類、ガラス、セルロースやセルロース誘導体などの多糖類、セラミックス等からなる繊維から構成されるメンブレンがあげられる。具体的には、ザルトリウス社、ミリポア社、東洋濾紙社、ワットマン社などから市販されているガラス繊維ろ紙やセルロースろ紙などが挙げられる。中でも、ザルトリウス社、UniSart CN140が好ましい。また、この不溶性メンブレン担体の孔径と構造を適宜選択することにより、コンジュゲートとサンプル中の被検出物質との複合体が不溶性メンブレン担体中を流れる速度を制御することが可能である。
【0023】
上記イムノクロマトグラフィー用テストストリップは、プラスチック製粘着シートのような固相支持体上に配置させることが好ましい。該固相支持体は、サンプル及びコンジュゲートの毛管流を妨げない物質で構成する。また、イムノクロマトグラフィー用テストストリップを固相支持体上に接着剤等で固定化してもよい。この場合、接着剤の成分等においてもサンプル及びコンジュゲートの毛管流を妨げない物質で構成する。該イムノクロマトグラフィー用テストストリップは、イムノクロマトグラフィー用テストストリップの大きさ、サンプルの添加方法や添加位置、不溶性メンブレンの検出部の形成位置、シグナルの検出方法などを考慮した適当な容器(ハウジング)に格納・搭載して使用することができ、このように格納・搭載された状態を「デバイス」という。
【0024】
(被検出物質に対して免疫学的に反応する抗体または抗原)
本発明で用いられる被検出物質に対して免疫学的に反応する抗体または抗原は、被検出物質に結合可能な抗体または抗原であり、被検出物質がウイルスや抗原の場合は抗体、被検出物質が抗体の場合は抗原が好ましい。被検出物質に対して免疫学的に反応する抗体または抗原は、後述する標識体および検出部に固定化される。標識体および検出部に固定化される抗体または抗原は同一であってもよいが、標識体と検出部とで別のものであることが好ましい。
【0025】
(標識体)
本発明で用いられる標識体は、従来からイムノクロマトグラフィー用テストストリップに用いられている公知の標識体を用いることができる。例えば、金コロイド粒子や白金コロイド粒子などのコロイド状金属粒子、カラーラテックス粒子、磁性粒子、蛍光粒子などが好ましく、特に金コロイド粒子、カラーラテックス粒子が好ましい。
【0026】
(コンジュゲート)
本発明で用いられるコンジュゲートは、上記のような標識体に被検出物質に対して免疫学的に反応する抗体または抗原が固定化されたものである。コンジュゲートは、被検出物質がロタウイルス、アデノウイルスまたはノロウイルスを検出する場合、金コロイド粒子に抗ロタウイルスモノクローナル抗体、抗アデノウイルスモノクローナル抗体または抗ノロウイルスモノクローナル抗体が固定化されたものが好ましい。
被検出物質に対して免疫学的に反応する抗体または抗原を標識体へ固定化させる方法としては、物理吸着、化学結合等が挙げられ、物理吸着により固定化させるのが一般的である。
【0027】
(他の非特異抑制方法との併用)
本発明のイムノクロマトグラフィー用テストストリップを利用した検出方法は、さらに測定条件、サンプルの種類に応じて他の非特異抑制方法との併用も可能である。
他の非特異抑制方法との併用により、乳幼児の糞便由来サンプルと成人の糞便由来サンプルに対してより効果的に非特異が抑制された検出方法が実現可能となる。例えば、非特異反応を防止する他のブロッキング剤を同時に採用することも可能である。他のブロッキング剤は、本発明のサンプル希釈液に添加する場合や、サンプルパッド、サードパッド、不溶性メンブレン、コンジュゲートに含ませる場合などがある。
他のブロッキング剤としては、ブロッキング効果のあるものであればよい。
また、本発明のサンプル希釈液は、特に乳幼児の糞便由来サンプルに対して非特異反応抑制効果を発揮するため、成人の糞便由来サンプルに対して非特異抑制効果を発揮する他の試薬や、他の構成と組み合わせることで、同じ検査項目について、サンプルの種類(成人か乳幼児か)によらずに同種類のイムノクロマトグラフィーテストストリップにて検出が可能である。
他の構成としては、例えば、サードパッド等が挙げられる。
【0028】
(キット)
本発明のイムノクロマトグラフィーを利用した検出キットは、前記イムノクロマトグラフィー用テストストリップおよびサンプル希釈液を含むものであればよい。本検出キットは、他に検出に必要な試薬、試験用チューブ、便採取用の綿棒、取扱い説明書、テストストリップ格納用のハウジングなどを含んでもよい。
【0029】
(その他)
本明細書中、上流または下流という意味は、サンプルの流れる方向の上流側、下流側という意味で用いる。すなわち、本発明のテストストリップで上からサンプルパッド、コンジュゲートパッド、サードパッド、不溶性メンブレンが一部で重なるように積層されている場合、サンプルパッドがもっとも上流であり、不溶性メンブレンが下流ということになる。また、不溶性メンブレンの下流側端部が重なるように上にエンドパッドが積層されることがあるが、この場合、エンドパッドがもっとも下流である。
【実施例】
【0030】
〔実施例1〕サンプル希釈液への陰イオン性物質の添加検討<ロタウイルスおよびアデノウイルス測定試薬の場合>
非特異反応を抑制できる物質の探索のため、陰イオン性物質について検討を行った。
1.試験材料
(1)テストデバイス
抗ロタウイルス抗体及び抗アデノウイルス抗体を使用したイムノクロマトグラフィー用テストストリップを含むテストデバイスを製造した。
図1に、本発明のイムノクロマトグラフィー用テストストリップの模式構成図を示した。
プラスチック製粘着シート(a)に不溶性メンブレン(b)を貼り、次いで、サードパッド(g)、コンジュゲートパッド(d)、サンプルパッド(e)を順に配置装着し、反対側の端には吸収パッド(f)を配置装着した。コンジュゲートパッドには、金コロイドに抗アデノウイルスモノクローナル抗体を感作したコンジュゲート及び金コロイドに抗ロタウイルスモノクローナル抗体を感作したコンジュゲートが含浸されており、不溶性メンブレンには、抗アデノウイルスモノクローナル抗体、抗ロタウイルスモノクローナル抗体およびコントロール試薬が流れ方向に対して垂直にライン上に固定化されている。各パッドは、上下のパッドとその一部が接するように積層して配置される。抗アデノウイルスモノクローナル抗体および抗ロタウイルスモノクローナル抗体からなるラインをテストライン(c1、c2)、コントロール試薬からなるラインをコントロールライン(c3)という。
このように各構成要素を重ね合わせた構造物を一定幅に切断してイムノクロマトグラフィー用テストストリップを作製した。テストストリップを専用のプラスチック製ハウジングに格納・搭載し、イムノクロマトテストデバイス(図示せず)の形態にした。
【0031】
(2)サンプル希釈液
クエン酸3Na2H
20(カルボキシ基が分子内に3つ)、マレイン酸(カルボキシ基が分子内に2つ)、L−アスパラギン酸Na(カルボキシ基が分子内に2つ)、L−グルタミン酸Na(カルボキシ基が分子内に2つ)、1−ヘプタスルホン酸Na(従来のサンプル希釈液に含まれていた化合物)またはトリクロロ酢酸3Na(カルボキシ基が分子内に1つ)を表1に示す添加濃度となるようにリン酸緩衝液(pH7.6)に添加してサンプル希釈液を調整した。添加剤を含まないサンプル希釈液も調製した。
【0032】
(3)サンプル
ロタウイルス及びアデノウイルス陰性の乳幼児(生後40日未満、3名)の糞便を検体として用いた。各検体0.1mgを上記(2)で調製したサンプル希釈液1.0mLに懸濁し、その上清をサンプルとした。
【0033】
2.試験方法
テストデバイスにサンプル120μLを滴下し、10分、20分、30分後にテストラインの発色強度を「カラーチャート」という色見本を用いて評価した。
カラーチャートによる発色強度は0〜4まで0.25刻みの値で数値化されており、0.25未満の極めて弱い非特異反応についてはさらに、SS(非常に弱い)、S(弱い)という基準にて評価した。発色強度の評価結果から、非特異反応の強さの評価を行った。
各評価基準は、表1の下に示した。評価は後述する実施例でも同様に行った。
表1〜表6中、「Rota」、「Adeno」、「noro」は、それぞれロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスを検出項目とした場合を示す。
【0034】
3.試験結果
結果を表1に示す。表1によれば、クエン酸3Na2H
20(カルボキシ基が分子内に3つ)、マレイン酸(カルボキシ基が分子内に2つ)、L−アスパラギン酸Na(カルボキシ基が分子内に2つ)、L−グルタミン酸Na(カルボキシ基が分子内に2つ)を添加したサンプル希釈液を使用して乳幼児糞便中のロタウイルス及びアデノウイルスを検出した場合は、いずれかの添加濃度あるいはすべての濃度で、非特異反応抑制効果がみられた。
一方、トリクロロ酢酸3Na(カルボキシ基が分子内に1つ)を添加したサンプル希釈液を使用した場合は、いずれの添加濃度においても非特異反応抑制効果がみられなかった。また、従来のサンプル希釈液である1−ヘプタスルホン酸Naを含むサンプル希釈液を使用した場合にも非特異反応抑制効果がみられなかった。
【0035】
【表1】
【0036】
〔実施例2〕カルボキシ基を分子内に2以上含む化合物のサンプル希釈液への添加濃度の検討<ロタウイルスおよびアデノウイルス測定試薬の場合>
1.試験材料
(1)テストデバイス
実施例1に同じ。
【0037】
(2)サンプル希釈液
クエン酸3Na2H
20を表2に示す添加濃度となるようにリン酸緩衝液(pH7.6)に添加してサンプル希釈液を調整した。クエン酸3Na2H
20を含まないサンプル希釈液も調製した。
【0038】
(3)サンプル
実施例1に同じ。
【0039】
2.試験方法
実施例1に同じ。
【0040】
3.試験結果
結果を表2に示す。表2によれば、クエン酸3Na2H
20のサンプル希釈液の添加濃度5mMから250mMまでの範囲で無添加に比べて非特異反応を抑制して、ロタウイルス、アデノウイルスを検出することができた。特に、アデノウイルスの検出において、すべての検体において非特異反応がみられたところ、本発明のサンプル希釈液を用いることでこれらの非特異反応を完全に抑制することができた。
【0041】
【表2】
【0042】
〔実施例3〕分子内にカルボキシ基を2以上含む化合物のサンプル希釈液への添加検討<ノロウイルス測定試薬の場合>
1.試験材料
(1)テストデバイス
抗ノロウイルス抗体を使用したイムノクロマトグラフィー用テストストリップを含むテストデバイスを製造した。
プラスチック製粘着シート(a)に不溶性メンブレン(b)を貼り、次いで、サードパッド(g)、コンジュゲートパッド(d)、サンプルパッド(e)を順に配置装着し、反対側の端には吸収パッド(f)を配置装着した。コンジュゲートパッドには、金コロイドに抗ノロウイルスモノクローナル抗体を感作したコンジュゲートが含浸されており、不溶性メンブレンには、抗ノロウイルスモノクローナル抗体およびコントロール試薬が流れ方向に対して垂直にライン上に固定化されている。各パッドは、上下のパッドとその一部が接するように積層して配置される。抗ノロウイルスモノクローナル抗体からなるラインをテストライン(c1)、コントロール試薬からなるラインをコントロールライン(c3)という。
このように各構成要素を重ね合わせた構造物を一定幅に切断してイムノクロマトグラフィー用テストストリップを作製した。テストストリップを専用のプラスチック製ハウジングに格納・搭載し、イムノクロマトテストデバイス(図示せず)の形態にした。
【0043】
(2)サンプル希釈液
クエン酸3Na2H
20(カルボキシ基が分子内に3つ)、マレイン酸(カルボキシ基が分子内に2つ)、L−アスパラギン酸Na(カルボキシ基が分子内に2つ)、L−グルタミン酸Na(カルボキシ基が分子内に2つ)を表3に示す添加濃度となるようにリン酸緩衝液(pH7.6)に添加してサンプル希釈液を調整した。添加剤を含まないサンプル希釈液も調製した。
【0044】
(3)サンプル
ノロウイルス陰性の乳幼児(生後40日未満、3名)の糞便を検体として用いた。各検体0.1mgをサンプル希釈液1.0mLに懸濁し、その上清をサンプルとした。
【0045】
2.試験方法
テストラインの発色強度を評価するタイミングを「10、15、30分後」とした以外は実施例1に同じ。
【0046】
3.試験結果
結果を表3に示す。表3によれば、クエン酸3Na2H
20(カルボキシ基が分子内に3つ)、マレイン酸(カルボキシ基が分子内に2つ)、L−アスパラギン酸Na(カルボキシ基が分子内に2つ)、L−グルタミン酸Na(カルボキシ基が分子内に2つ)を添加したサンプル希釈液を使用して乳幼児糞便中のノロウイルスを検出した場合は、いずれかの添加濃度あるいはすべての濃度で、非特異反応抑制効果がみられた。
【0047】
【表3】
【0048】
〔実施例4〕カルボキシ基を分子内に2以上含む化合物のサンプル希釈液への添加濃度の検討<ノロウイルス測定試薬の場合>
1.試験材料
(1)テストデバイス
実施例3と同じテストデバイスを製造した。
【0049】
(2)サンプル希釈液
クエン酸3Na2H
20を表4に示す添加濃度となるようにリン酸緩衝液(pH7.6)に添加してサンプル希釈液を調整した。クエン酸3Na2H
20を含まないサンプル希釈液も調製した。
【0050】
(3)サンプル
ノロウイルス陰性の乳幼児(生後40日未満、3名)の糞便を検体として用いた。各検体0.1mgをサンプル希釈液1.0mLに懸濁し、その上清をサンプルとした。
【0051】
2.試験方法
実施例3に同じ。
【0052】
3.試験結果
結果を表4に示す。表4によれば、クエン酸3Na2H
20のサンプル希釈液の添加濃度5mMから250mMまでの範囲で無添加に比べて非特異反応効果が認められた。
【0053】
【表4】
【0054】
〔実施例5〕分子内にカルボキシ基を2以上含む化合物のサンプル希釈液への添加検討<ノロウイルス測定試薬、幼児検体の場合>
上記実施例1〜4は乳児(新生児)の糞便を検体とした試験であるが、幼児の検体についても本発明の非特異反応抑制効果が見られるかどうか確認した。
1.試験材料
(1)テストデバイス
実施例3と同じ。
【0055】
(2)サンプル希釈液
クエン酸3Na2H
20を表5に示す添加濃度となるようにリン酸緩衝液(pH7.6)に添加してサンプル希釈液を調整した。クエン酸3Na2H
20を含まないサンプル希釈液も調製した。
【0056】
(3)サンプル
ノロウイルス陰性の幼児(2歳、2名)の糞便を検体として用いた。各検体0.1mgをサンプル希釈液1.0mLに懸濁し、その上清をサンプルとした。
【0057】
2.試験方法
テストラインの発色強度を評価するタイミングを「15分後」のみとした以外は実施例1に同じ。
【0058】
3.試験結果
結果を表5に示す。表5によれば、幼児検体においても、本発明の検体希釈液を用いることにより非特異反応を抑制できることを確認した。
【0059】
【表5】
【0060】
〔参考例〕分子内にカルボキシ基を2以上含む化合物のサンプル希釈液への添加検討<ノロウイルス測定試薬、成人検体の場合>
上記実施例1〜5は、乳幼児の糞便を検体とし、イムノクロマトグラフィーを利用した検出方法における本発明の希釈液の非特異抑制効果を確認した。そこで、この非特異抑制効果が、成人検体でも同様に奏されるかどうかを調べた。
1.試験材料
(1)テストデバイス
実施例3と同じ。
【0061】
(2)サンプル希釈液
クエン酸3Na2H
20を表6に示す添加濃度となるようにリン酸緩衝液(pH7.6)に添加してサンプル希釈液を調整した。クエン酸3Na2H
20を含まないサンプル希釈液も調製した。
【0062】
(3)サンプル
ノロウイルス陰性の成人2名の糞便を検体として用いた。各検体0.1mgをサンプル希釈液1.0mLに懸濁し、その上清をサンプルとした。
【0063】
2.試験方法
テストラインの発色強度を評価するタイミングを「10、15、30分後」とした以外は実施例1に同じ。
【0064】
3.試験結果
結果を表6に示す。本結果より、成人検体では、強い非特異反応がみられ、本発明のサンプル希釈液による非特異反応抑制効果はみられなかった。したがって、本発明のカルボン酸を含むサンプル希釈液による非特異反応抑制効果は、乳幼児検体に由来する非特異反応を特異的に抑制する効果であると考えられた。
【0065】
【表6】