(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348287
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】圧電素子
(51)【国際特許分類】
H01L 41/083 20060101AFI20180618BHJP
H01L 41/047 20060101ALI20180618BHJP
H01L 41/053 20060101ALI20180618BHJP
H01L 41/09 20060101ALI20180618BHJP
H01L 41/273 20130101ALI20180618BHJP
【FI】
H01L41/083
H01L41/047
H01L41/053
H01L41/09
H01L41/273
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-4323(P2014-4323)
(22)【出願日】2014年1月14日
(65)【公開番号】特開2015-133415(P2015-133415A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】岩城 範史
(72)【発明者】
【氏名】稲田 豊
【審査官】
上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−010393(JP,A)
【文献】
特開2013−077755(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/031715(WO,A1)
【文献】
特開2005−045044(JP,A)
【文献】
特開2009−117667(JP,A)
【文献】
特開昭63−124507(JP,A)
【文献】
特開2007−281362(JP,A)
【文献】
特開2009−124791(JP,A)
【文献】
特開2009−130661(JP,A)
【文献】
特開2007−180387(JP,A)
【文献】
特開2003−209302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 41/047,41/053,41/083,41/09,
41/273,41/293,41/297
B41J 2/16
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧の印加により音波を放射する圧電素子を用いたサウンダであって、
底部に放音孔が設けられた座繰り穴が形成されたケースと、
前記ケースに接着され、中央部が中空に浮いた状態で前記ケース内部に保持される前記圧電素子と、
前記ケースに嵌着される蓋と、
前記ケースに設けられ、前記圧電素子の電極に接続された端子と、を備え、
前記圧電素子は、
電圧が印加される複数の電極層と、
前記複数の電極層の間に圧電材料で形成され、前記電圧の印加により伸縮する伸縮層と、
前記伸縮層と同じ圧電材料により形成され、前記電圧の印加により伸縮しないシム層と、を備え、
前記伸縮層の端面には、前記複数の電極層のうちの1つと、前記電極層と異なる電圧が印加される取り出し電極がいずれも露出して直接形成され、
前記シム層は、内部に電極層を有さず、
前記各層が厚み方向に積層されて板状に一体形成され、
前記伸縮層とシム層とがバイモルフ型の積層構造を形成し、
一方の前記伸縮層の端面は他の部材を介すことなく直接前記ケースに接着され、
前記シム層に対して前記伸縮層が伸縮することで屈曲し、音波を放射することを特徴とするサウンダ。
【請求項2】
前記複数の電極層のうち、前記端面に設けられた電極層は、Ptを含有することを特徴とする請求項1記載のサウンダ。
【請求項3】
前記複数の電極層のうち、同電圧を印加される電極層は、互いにバイアホール電極で接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のサウンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧の印加により屈曲する圧電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電体の単板表裏にAg印刷の焼き付けによる電極を形成し、分極処理後に金属板(シム)へ接着した圧電振動子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図9は、このような従来の圧電振動子800を示す斜視図である。金属板810の表面にはリード線850がハンダ855で接続されており、電極825の表面にもリード線860がハンダ865で接続されている。
【0003】
圧電振動子800は、金属板810の上に圧電素子820が接着され、圧電素子820の端面には電極825が設けられている。金属板810と電極825間に交流電圧が印加されると圧電素子820が径方向に伸縮する。一方、金属板810は伸縮しないため、圧電振動子800は、反りを伴って振動する。
【0004】
圧電振動子800は、例えばサウンダに用いられる。
図10は、従来の圧電振動子800を用いたサウンダ900を示す断面図である。サウンダ900は、ケース910、蓋920および圧電振動子800を備えており、座繰り穴が設けられたケース910の深い穴の縁部に圧電振動子800が接着され、蓋920がケース910に嵌着されている。ケース910には端子917、918が設けられており、端子917、918にリード線850、860がそれぞれ接続されている。圧電振動子800により発生された音は放音孔915から外部に放射される。
【0005】
圧電振動子800では金属板810と圧電素子820の電極との導通は、接着剤による密着接着によって得られる。また、リード線は、外部に露出した電極部分とハンダ付けにより接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−300426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような圧電振動子を作製する場合には、圧電素子を熱膨張係数の異なる金属に接着しなければならず、耐熱性のある接着剤の必要性、熱膨張係数の合わせ込みが必要となる。特に面付けのサウンダ用途として圧電振動子を使用する場合、製品の耐熱性は金属板と圧電体を接着する接着剤の耐熱性に左右される。
【0008】
また、リフローに使われるハンダのPbフリー化により、リフロー温度は上昇傾向にあり、使用部品の耐熱性向上は急務である。リフロー耐熱用途としてはエポキシ系接着剤が一般的に使用されるが、耐熱のみならず、吸水性があることからリフロー時の接着剤の耐熱信頼性の向上が望まれている。
【0009】
また、圧電素子の外部との電気的接続は印刷焼き付けされたAgもしくはAg−Pd電極にリード線をハンダ付けすることで行われる。その際に積層内部導体に使用するAgまたはAg−Pd導体は、圧電体焼成時にAgが圧電体内部に拡散する上に、ハンダによるAg食われが大きくハンダ付けができない原因となっている。また、外部との電気的接続のために積層体焼成後に電極ペーストを印刷焼き付けすることは生産工数を増やす結果となっている。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、接着剤の耐熱性や熱膨張係数の合わせ込みの設計を不要にして製造を容易にするとともに圧電体の特性劣化を防止できる圧電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記の目的を達成するため、本発明の圧電素子は、電圧の印加により屈曲する圧電素子であって、電圧が印加される複数の電極層と、前記複数の電極層の間に圧電材料で形成され、前記電圧の印加により伸縮する伸縮層と、前記伸縮層と同じ圧電材料により形成され、前記電圧の印加により伸縮しないシム層と、を備え、前記各層が厚み方向に積層されて板状に一体形成され、前記シム層に対して前記伸縮層が伸縮することで屈曲することを特徴としている。
【0012】
このように接着剤を使用せずにシム構造を取り込んだ一体構造として圧電素子が形成されるため、接着剤の耐熱性や熱膨張係数の合わせ込みを設計する必要がなくなり、製造が容易になる。また、金属板を使用せず一体構造で圧電素子が形成されるため、全体の熱膨張係数が等しくなり、リフロー炉等の熱歪みストレスによる圧電体の特性劣化を防止できる。
【0013】
(2)また、本発明の圧電素子は、前記伸縮層とシム層とがユニモルフ型の積層構造を形成していることを特徴としている。このようにユニモルフ型とすることで応力集中を低減することができる。
【0014】
(3)また、本発明の圧電素子は、前記伸縮層とシム層とがバイモルフ型の積層構造を形成していることを特徴としている。このようにバイモルフ型とすることで低い電圧でも大きな力を出力できる。
【0015】
(4)また、本発明の圧電素子は、前記複数の電極層のうち、端面に設けられた電極層が、Ptを含有することを特徴としている。これにより、端面の電極層にハンダ付けする際の電極食われを防止できる。
【0016】
(5)また、本発明の圧電素子は、前記複数の電極層のうち、同電圧を印加される電極層が、互いにバイアホール電極で接続されていることを特徴としている。これにより、外部電極による接続を無くし、ハンダ付けする際の電極食われを防止できる。また、焼成工程後に電極ペーストの印刷焼き付けを不要にし、生産工数を削減できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接着剤の耐熱性や熱膨張係数の合わせ込みの設計を不要にして製造を容易にするとともに圧電体の特性劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)、(b)それぞれ第1実施形態の圧電素子を示す斜視図および断面図である。
【
図2】第1実施形態の圧電素子の作製方法を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態の圧電素子を用いたサウンダを示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態の圧電素子を用いたサウンダを示す断面図である。
【
図5】(a)、(b)それぞれ第2実施形態の圧電素子を示す斜視図および断面図である。
【
図6】第2実施形態の圧電素子の作製方法を示す斜視図である。
【
図7】(a)、(b)それぞれ第3実施形態の圧電素子を示す斜視図および断面図である。
【
図8】第3実施形態の圧電素子の作製方法を示す斜視図である。
【
図10】従来の圧電振動子を用いたサウンダを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
[第1実施形態]
(圧電素子の構成)
図1(a)、(b)は、それぞれ圧電素子100を示す斜視図および断面図である。
図1(b)は、
図1(a)における断面1bで切断した断面図を示している。圧電素子100は、複数の電極層111、112、伸縮層120およびシム層130を備えており、電極層111、112への電圧の印加により屈曲し、交流電圧を印加すれば振動する。
【0021】
電極層111、112は、例えばAgまたはAg−Pd等の導電体で形成されている。電極層111は、圧電素子100の端面に形成されており、リード線150がハンダ155で接続されている。電極層112は、圧電素子100の内部に埋設されている。電極層112は、バイアホール電極112bにより圧電素子100の端面に形成された電極層112aに接続されており、電極層112aには、リード線160がハンダ165で接続されている。
【0022】
このように圧電素子100は、複数の電極層111、112のうち、同電圧を印加される電極層は、互いにバイアホール電極で接続されている。これにより、外部電極による接続を無くし、ハンダ付けする際の電極食われを防止できる。また、焼成工程後の電極ペーストの印刷焼き付けを不要にし、生産工数を削減できる。
【0023】
バイアホール電極の接続手法では、圧電層にφ0.1〜0.2程度の穴を開け、その中に共材などで焼成収縮率を合わせ込んだAgまたはAg−Pdを印刷充填した圧電体グリーンシートをプレス圧着する。そして、最高温度1000℃〜1260℃程度で一体焼成してバイアホール電極を形成する。
【0024】
バイアホール電極の接続を用いた圧電素子は、バイアホール電極の部分が外部接続電極の形成されたフレキシブル基板へ圧着され、外部へ接続が取り出される。バイアホール電極の部分にAg、Ag−Pdペーストを印刷焼成し、引き出しリード線をハンダ付けしてもよい。
【0025】
また、端面に設けられた電極層111は、Ptを含有することが好ましい。これにより、端面の電極層111に、リード線150、160をハンダ155、165で接続するためにリフロー処理した際に電極食われを防止することができる。なお、Ptは、AgまたはAg−Pdに1wt%以上含有されて電極層を構成していることが好ましく、100%Ptの電極層であってもよい。また、上記の例ではバイアホール電極の接続を用いているがPt含有の外部電極で接続してもよい。
【0026】
伸縮層120は、複数の電極層111、112の間に圧電材料で形成され、あらかじめ分極されており、電極層111、112への電圧の印加により伸縮する。圧電材料としては例えばPZTが挙げられる。
【0027】
シム層130は、伸縮層120と同じ圧電材料により形成され、分極されておらず電極層111、112に電圧が印加されても電界も生じることはなく伸縮しない。シム層130が伸縮せずに、伸縮層120が伸縮することで、圧電素子100は屈曲する。
【0028】
このようにして、圧電素子100は、各層が厚み方向に積層されて板状に一体形成され、電圧の印加により屈曲する。接着剤を使用せずにシム構造を取り込んだ一体構造として形成されるため、接着剤の耐熱性や熱膨張係数の合わせ込みを設計する必要がなくなり、製造が容易になる。また、金属板を使用せず一体構造で形成されるため、全体の熱膨張係数が等しくなり、リフロー炉等の熱歪みストレスによる圧電体の特性劣化を防止できる。
【0029】
図1(a)、(b)に示す例では、圧電素子100は、伸縮層120とシム層130とがユニモルフ型の積層構造を形成している。このようにユニモルフ型とすることで応力集中を低減することができる。
【0030】
(圧電素子の作製方法)
上記のように構成された圧電素子100の作製方法を説明する。
図2は、圧電素子100の作製方法を示す斜視図である。まず、押し出し成型法、ドクターブレード成型法等によって圧電体のグリーンシート121、131、132を準備し、その上に電極層111、112、112aのパターンでAgまたはAg−Pdペーストを塗布する。外部露出する電極にはAg−PtまたはAg−Pd−Ptペーストを印刷することが好ましい。
【0031】
これらを圧着プレス成形する。グリーンシート121には孔を開けてAgまたはAg−Pdと圧電材料とが混合された共材を充填し、バイアホール電極112bを形成する。積層されたグリーンシートの成形体を必要な大きさに切断した後、最高温度1000〜1260℃にて焼成焼結させる。そして、焼結体に電極間距離に対し1〜3kV/mmの直流電圧を印加し分極処理を行うことで、圧電素子100を作製することができる。
【0032】
圧電素子100では、グリーンシート121の部分が伸縮層120となり、グリーンシート131、132の部分がシム層130となる。分極された圧電素子の本体に外部との接続用のリード線150、160をハンダ付けする。なお、上記の例では、3層のグリーンシートを積層しているが、3層に限らず2層構造であってもよい。また、グリーンシートを用いずに印刷積層法で成形を行ってもよい。
【0033】
(圧電素子を用いたサウンダ)
図3、
図4は、それぞれ圧電素子100を用いたサウンダ200を示す斜視図および断面図である。サウンダ200は、ケース210、蓋220、および圧電素子100を備えている。ケース210は、座繰り穴が形成されており、深い穴の縁部211に圧電素子100が接着されている。圧電素子100は、中央部が中空に浮いた状態で接着されて蓋220が閉じられ、ケース210内部に保持されている。
【0034】
ケース210は、座繰り穴の縁部に端子217、218を有しており、リード線150、160は、それぞれ端子217、218に接続されている。端子217、218から、圧電素子100の電極層111、112に交流が印加されることで、圧電素子100が振動する。振動により発生した音は、座繰り穴の底部に設けられた放音孔215から外部に放射される。
【0035】
[第2実施形態]
(圧電素子の構成)
上記の実施形態では、単一の伸縮層により屈曲を発生させる単一層構造であるが、複数の伸縮層を設けた積層構造としてもよい。
図5(a)、(b)は、それぞれ積層構造を有する圧電素子300を示す斜視図および断面図である。
図5(b)は、
図5(a)における断面5bで切断した断面図を示している。
【0036】
圧電素子300は、複数の電極層311〜314、伸縮層320およびシム層330を備えており、電極層311〜314への電圧の印加により屈曲し、交流電圧を印加すれば振動する。電極層311は、圧電素子300の端面に形成されており、リード線150がハンダ155で接続されている。また、電極層311は、バイアホール電極312bにより電極層313に接続されている。
【0037】
電極層312は、圧電素子300の内部に埋設されている。電極層312は、バイアホール電極312bにより圧電素子300の端面に形成された電極層312aおよび電極層314に接続されており、電極層312aには、リード線160がハンダ165で接続されている。
【0038】
伸縮層320は、複数の電極層311〜314の間に圧電材料で形成され、あらかじめ分極されており、電極層311〜314への電圧の印加により伸縮する。シム層330は、伸縮層320と同じ圧電材料により形成され、分極されておらず電極層311〜314に電圧が印加されても電界も生じることはなく伸縮しない。シム層330が伸縮せずに、伸縮層320が伸縮することで、圧電素子100は屈曲する。
【0039】
(圧電素子の作製方法)
上記のように構成された圧電素子300の作製方法を説明する。
図6は、圧電素子300の作製方法を示す斜視図である。まず、圧電体のグリーンシート321〜323、331、332を準備し、グリーンシート321〜323、331の上には、それぞれ電極層311、312a、312、313、314のパターンでAgまたはAg−Pdペーストを塗布する。
【0040】
また、グリーンシート321〜323の電極層312aの位置に孔を開けて共材を充填し、バイアホール電極312bを形成し、グリーンシート321、322の電極層311の隅の位置にはバイアホール電極311bを形成する。これらを圧着プレス成形して焼成し、得られた焼成体を分極処理することで、圧電素子300を作製することができる。圧電素子300では、グリーンシート321〜323の部分が伸縮層320となり、グリーンシート331、332の部分がシム層330となる。
【0041】
[第3実施形態]
(圧電素子の構成)
上記の実施形態では、いずれも圧電素子はユニモルフ構造を有しているが、バイモルフ構造を有するものであってもよい。このようにバイモルフ型とすることで低い電圧でも大きな力を出力できる。
図7(a)、(b)は、それぞれバイモルフ構造の圧電素子400を示す斜視図および断面図である。
図7(b)は、
図7(a)における断面7bで切断した断面図を示している。
【0042】
圧電素子400は、複数の電極層411〜414、伸縮層420およびシム層430を備えており、電極層411〜414への電圧の印加により屈曲し、交流電圧を印加すれば振動する。電極層411は、圧電素子400の一方の端面に形成されており、リード線451がハンダ455で接続されている。電極層414は、圧電素子400の他方の端面に形成されており、リード線462がハンダで接続されている。
【0043】
電極層412、413は、圧電素子400の内部に埋設されている。電極層412は、バイアホール電極412bにより圧電素子400の一方の端面に形成された電極層412aに接続されており、電極層412aには、リード線461がハンダ465で接続されている。電極層413は、バイアホール電極413bにより圧電素子400の他方の端面に形成された電極層413aに接続されており、電極層413aには、リード線452がハンダで接続されている。リード線451、452に同じ電圧を印加し、リード線461、462に同じ電圧を印加する。
【0044】
伸縮層420は、電極層411、412間と電極層413、414間とにそれぞれ圧電材料で形成され、あらかじめ分極されており、電極層411〜414への電圧の印加により伸縮する。シム層430は、伸縮層420と同じ圧電材料により、中央部の電極層412、413間に形成され、分極されておらず電極層412、413に電圧が印加されても伸縮しない。シム層430が伸縮せずに、それぞれの伸縮層420が互いに異なる伸び縮みで伸縮することで、圧電素子400は屈曲する。
【0045】
(圧電素子の作製方法)
上記のように構成された圧電素子400の作製方法を説明する。
図8は、圧電素子400の作製方法を示す斜視図である。まず、圧電体のグリーンシート421、431、432、422を準備し、その上に電極層411、412a、412、413、414、413aのパターンでAgまたはAg−Pdペーストを塗布する。
【0046】
また、グリーンシート421、422には孔を開けて共材を充填し、バイアホール電極412b、413bを形成する。これらを圧着プレス成形し、焼成し、得られた焼成体を分極処理することで、圧電素子400を作製することができる。圧電素子400では、グリーンシート421、422の部分が伸縮層420となり、グリーンシート431、432の部分がシム層430となる。
【0047】
(用途)
上記のような圧電素子は、アクチュエータとしても用いることができるが、耐熱性を必要とされる発音素子として用いるのが好適である。例えば、リフロー炉による回路基板へのハンダ付け方法が必要となる面付けタイプの圧電体発音部品として用いるのも効果的である。表面電極に直接ハンダ付けを行う工程があっても耐久が可能になる。
【符号の説明】
【0048】
100 圧電素子
111、112、112a 電極層
112b バイアホール電極
120 伸縮層
130 シム層
121、131、132 グリーンシート
150、160 リード線
155、165 ハンダ
200 サウンダ
210 ケース
211 縁部
215 放音孔
217、218 端子
220 蓋
300 圧電素子
311、312、312a、313、314 電極層
312b バイアホール電極
320 伸縮層
330 シム層
321〜323、331、332 グリーンシート
400 圧電素子
411、412a、413、413a、414 電極層
412b、413b バイアホール電極
420 伸縮層
430 シム層
421、422、431、432 グリーンシート
451、452、461、462 リード線
455、465 ハンダ