特許第6348289号(P6348289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348289
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】検査装置および検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20180618BHJP
【FI】
   G01N21/956 B
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-17108(P2014-17108)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-143656(P2015-143656A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】塩見 順一
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−300448(JP,A)
【文献】 特開2013−092514(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/074770(WO,A1)
【文献】 米国特許第06084663(US,A)
【文献】 特開2006−332646(JP,A)
【文献】 特開平08−194737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
H01L 21/64−21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の外観を検査する検査装置であって、
プリント基板の複数の色成分の画像をカラー撮像画像として取得するカラー画像撮像部と、
前記プリント基板の白黒の濃淡画像を白黒撮像画像として取得する白黒画像撮像部と、
前記プリント基板上の第1領域に対して前記カラー撮像画像を用いて欠陥を検出し、前記プリント基板上の第2領域に対して前記白黒撮像画像を用いて欠陥を検出する欠陥検出部と、
を備え
前記カラー画像撮像部の複数の受光素子および前記白黒画像撮像部の複数の受光素子が混在しつつ2次元に配列された1つの受光ユニットが、前記カラー画像撮像部および前記白黒画像撮像部として設けられ、
前記受光ユニットにより、前記プリント基板上の一の領域に対して前記カラー撮像画像および前記白黒撮像画像が同時に取得されることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項に記載の検査装置であって、
対物レンズを有し、前記プリント基板と前記対物レンズとの間の光軸が前記プリント基板に垂直であり、前記光軸に沿って前記プリント基板から前記対物レンズに入射する光を前記受光ユニットへと導く光学系と、
前記光軸に対して傾斜した方向から前記プリント基板を照明する斜光照明部と、
をさらに備えることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の検査装置であって、
前記第2領域がソルダーレジスト部を含むことを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項に記載の検査装置であって、
前記欠陥検出部が、前記第2領域に含まれる前記ソルダーレジスト部にて検出した欠陥の種別を、前記カラー撮像画像が示す前記欠陥の色に基づいて分類することを特徴とする検査装置。
【請求項5】
請求項に記載の検査装置であって、
前記複数の色成分にて規定される色空間において、偽欠陥の色の範囲を偽欠陥色範囲として示す虚報テーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記欠陥検出部が、前記ソルダーレジスト部にて検出した欠陥において、前記色空間における存在範囲が前記偽欠陥色範囲と重なる部分を偽欠陥として分類することを特徴とする検査装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の検査装置であって、
前記第2領域が半田部を含むことを特徴とする検査装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の検査装置であって、
前記第2領域がめっき部を含むことを特徴とする検査装置。
【請求項8】
プリント基板の外観を検査する検査方法であって、
a)プリント基板の複数の色成分の画像をカラー画像撮像部によりカラー撮像画像として取得する工程と、
b)前記プリント基板の白黒の濃淡画像を白黒画像撮像部により白黒撮像画像として取得する工程と、
c)前記プリント基板上の第1領域に対して前記カラー撮像画像を用いて欠陥を検出し、前記プリント基板上の第2領域に対して前記白黒撮像画像を用いて欠陥を検出する工程と、
を備え
前記カラー画像撮像部の複数の受光素子および前記白黒画像撮像部の複数の受光素子が混在しつつ2次元に配列された1つの受光ユニットが、前記カラー画像撮像部および前記白黒画像撮像部として設けられ、
前記受光ユニットにより、前記プリント基板上の一の領域に対して前記カラー撮像画像および前記白黒撮像画像が同時に取得されることを特徴とする検査方法。
【請求項9】
請求項に記載の検査方法であって、
対物レンズを有し、前記プリント基板と前記対物レンズとの間の光軸が前記プリント基板に垂直である光学系により、前記光軸に沿って前記プリント基板から前記対物レンズに入射する光が前記受光ユニットへと導かれ、
前記a)およびb)工程において、前記プリント基板が斜光照明部により前記光軸に対して傾斜した方向から照明されることを特徴とする検査方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の検査方法であって、
前記第2領域がソルダーレジスト部を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項11】
請求項1に記載の検査方法であって、
d)前記c)工程において前記第2領域に含まれる前記ソルダーレジスト部にて検出された欠陥の種別を、前記カラー撮像画像が示す前記欠陥の色に基づいて分類する工程をさらに備えることを特徴とする検査方法。
【請求項12】
請求項1に記載の検査方法であって、
前記複数の色成分にて規定される色空間において、偽欠陥の色の範囲を偽欠陥色範囲として示す虚報テーブルが予め準備されており、
前記d)工程において、前記ソルダーレジスト部にて検出された欠陥において、前記色空間における存在範囲が前記偽欠陥色範囲と重なる部分が偽欠陥として分類されることを特徴とする検査方法。
【請求項13】
請求項8または9に記載の検査方法であって、
前記第2領域が半田部を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項14】
請求項8または9に記載の検査方法であって、
前記第2領域がめっき部を含むことを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の外観を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリント基板の外観を検査することが行われている。プリント基板では、ソルダーレジストが表面に存在するソルダーレジスト部や、金や銅がめっきされためっき部等が設けられる。ソルダーレジスト部やめっき部等では、互いに色が異なるため、プリント基板の検査では、カラー画像が多く用いられる。
【0003】
なお、特許文献1では、シリコンウエハの検査において、検査対象のカラー画像信号を取得し、当該カラー画像信号を構成する複数の信号成分に基づいて複数の分析画像を得て、分析画像ごとに欠陥候補を検出する手法が提案されている。特許文献2では、印刷物の検査において、RGBカラーカメラにより入力したカラー画像を、各RGB値に所定の係数を乗算し、加算して白黒画像に変換し、この白黒画像に対して検査を行う手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/074770号
【特許文献2】特開平8−318619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プリント基板を撮像したカラー画像では、例えば、ソルダーレジスト部におけるコントラストが低くなり、プリント基板の検査においてソルダーレジストの下に存在する欠陥を検出することが困難な場合がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、プリント基板上の欠陥を精度よく検出することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、プリント基板の外観を検査する検査装置であって、プリント基板の複数の色成分の画像をカラー撮像画像として取得するカラー画像撮像部と、前記プリント基板の白黒の濃淡画像を白黒撮像画像として取得する白黒画像撮像部と、前記プリント基板上の第1領域に対して前記カラー撮像画像を用いて欠陥を検出し、前記プリント基板上の第2領域に対して前記白黒撮像画像を用いて欠陥を検出する欠陥検出部とを備え、前記カラー画像撮像部の複数の受光素子および前記白黒画像撮像部の複数の受光素子が混在しつつ2次元に配列された1つの受光ユニットが、前記カラー画像撮像部および前記白黒画像撮像部として設けられ、前記受光ユニットにより、前記プリント基板上の一の領域に対して前記カラー撮像画像および前記白黒撮像画像が同時に取得される。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の検査装置であって、対物レンズを有し、前記プリント基板と前記対物レンズとの間の光軸が前記プリント基板に垂直であり、前記光軸に沿って前記プリント基板から前記対物レンズに入射する光を前記受光ユニットへと導く光学系と、前記光軸に対して傾斜した方向から前記プリント基板を照明する斜光照明部とをさらに備える。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の検査装置であって、前記第2領域がソルダーレジスト部を含む。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の検査装置であって、前記欠陥検出部が、前記第2領域に含まれる前記ソルダーレジスト部にて検出した欠陥の種別を、前記カラー撮像画像が示す前記欠陥の色に基づいて分類する。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の検査装置であって、前記複数の色成分にて規定される色空間において、偽欠陥の色の範囲を偽欠陥色範囲として示す虚報テーブルを記憶する記憶部をさらに備え、前記欠陥検出部が、前記ソルダーレジスト部にて検出した欠陥において、前記色空間における存在範囲が前記偽欠陥色範囲と重なる部分を偽欠陥として分類する。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の検査装置であって、前記第2領域が半田部を含む。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の検査装置であって、前記第2領域がめっき部を含む。
【0015】
請求項に記載の発明は、プリント基板の外観を検査する検査方法であって、a)プリント基板の複数の色成分の画像をカラー画像撮像部によりカラー撮像画像として取得する工程と、b)前記プリント基板の白黒の濃淡画像を白黒画像撮像部により白黒撮像画像として取得する工程と、c)前記プリント基板上の第1領域に対して前記カラー撮像画像を用いて欠陥を検出し、前記プリント基板上の第2領域に対して前記白黒撮像画像を用いて欠陥を検出する工程とを備え、前記カラー画像撮像部の複数の受光素子および前記白黒画像撮像部の複数の受光素子が混在しつつ2次元に配列された1つの受光ユニットが、前記カラー画像撮像部および前記白黒画像撮像部として設けられ、前記受光ユニットにより、前記プリント基板上の一の領域に対して前記カラー撮像画像および前記白黒撮像画像が同時に取得される。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の検査方法であって、対物レンズを有し、前記プリント基板と前記対物レンズとの間の光軸が前記プリント基板に垂直である光学系により、前記光軸に沿って前記プリント基板から前記対物レンズに入射する光が前記受光ユニットへと導かれ、前記a)およびb)工程において、前記プリント基板が斜光照明部により前記光軸に対して傾斜した方向から照明される。
【0018】
請求項1に記載の発明は、請求項8または9に記載の検査方法であって、前記第2領域がソルダーレジスト部を含む。
【0019】
請求項1に記載の発明は、請求項1に記載の検査方法であって、d)前記c)工程において前記第2領域に含まれる前記ソルダーレジスト部にて検出された欠陥の種別を、前記カラー撮像画像が示す前記欠陥の色に基づいて分類する工程をさらに備える。
【0020】
請求項1に記載の発明は、請求項1に記載の検査方法であって、前記複数の色成分にて規定される色空間において、偽欠陥の色の範囲を偽欠陥色範囲として示す虚報テーブルが予め準備されており、前記d)工程において、前記ソルダーレジスト部にて検出された欠陥において、前記色空間における存在範囲が前記偽欠陥色範囲と重なる部分が偽欠陥として分類される。
【0021】
請求項1に記載の発明は、請求項8または9に記載の検査方法であって、前記第2領域が半田部を含む。
【0022】
請求項1に記載の発明は、請求項8または9に記載の検査方法であって、前記第2領域がめっき部を含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、プリント基板上の欠陥を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】検査装置の構成を示す図である。
図2】コンピュータの構成を示す図である。
図3】検査装置における機能構成を示すブロック図である。
図4】プリント基板を検査する処理の流れを示す図である。
図5】プリント基板に形成されるパターン、並びに、カラー撮像画像および白黒撮像画像の画素値の変化を示す図である。
図6】カラー撮像画像および白黒撮像画像を示す写真である。
図7】カラー撮像画像および白黒撮像画像を示す写真である。
図8】カラー撮像画像および白黒撮像画像の画素値の変化を示す図である。
図9】カラー撮像画像および白黒撮像画像の画素値の変化を示す図である。
図10】カラー撮像画像を示す図である。
図11】カラー撮像画像の画素値の変化を示す図である。
図12】カラー撮像画像を示す図である。
図13】カラー撮像画像の画素値の変化を示す図である。
図14】カラー撮像画像、白黒生成画像および白黒撮像画像を示す写真である。
図15】カラー撮像画像、白黒生成画像および白黒撮像画像の画素値の変化を示す図である。
図16】カラー画像撮像部の分光感度特性を示す図である。
図17】白黒画像撮像部の分光感度特性を示す図である。
図18】プリント基板に形成されるパターン、並びに、カラー撮像画像および白黒撮像画像の画素値の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る検査装置1の構成を示す図である。検査装置1は、例えば、電子部品が実装される前のプリント基板9(プリント配線基板とも呼ばれる。)の外観を検査する装置である。
【0026】
検査装置1は、プリント基板9を撮像する装置本体2、および、検査装置1の全体動作を制御するとともに、後述の演算部を実現するコンピュータ5を備える。装置本体2は、プリント基板9上の各検査対象領域を撮像して撮像画像(のデータ)を取得する撮像デバイス3、プリント基板9を保持するステージ22、および、撮像デバイス3に対してステージ22を相対的に移動するステージ駆動部23を有する。ステージ駆動部23はボールねじ、ガイドレール、モータ等により構成される。
【0027】
撮像デバイス3は、第1照明部31、第2照明部32、光学系33および受光ユニット34を備える。第1照明部31および第2照明部32は白色光を照明光として出射する。光学系33は、対物レンズ331、ハーフミラー332および他のレンズ(図示省略)を有する。第1照明部31から出射される照明光は、ハーフミラー332にて反射し、対物レンズ331等を介してプリント基板9に照射される。光学系33では、対物レンズ331とプリント基板9との間の光軸J1がプリント基板9の主面に垂直であり、第1照明部31からの照明光はプリント基板9に垂直に照射される。プリント基板9から光軸J1に沿って対物レンズ331に入射する光は、ハーフミラー332等を通過して受光ユニット34へと導かれる。上述のように、第1照明部31からの照明光は、対物レンズ331を介してプリント基板9に光を照射する、いわゆる落射照明(同軸落射照明)に利用され、以下の説明では、第1照明部31を「落射照明部31」と呼ぶ。
【0028】
第2照明部32は、複数の光源321を有する。複数の光源321は光学系33の鏡筒に対して固定され、当該鏡筒の側方に配置される。複数の光源321は、対物レンズ331とプリント基板9との間の光軸J1に対して傾斜した方向からプリント基板9を照明する。すなわち、第2照明部32からの照明光は、プリント基板9に対して傾斜した方向から光を照射する、いわゆる斜光照明に利用され、以下の説明では、第2照明部32を「斜光照明部32」と呼ぶ。斜光照明部32からの照明光のプリント基板9上における照射領域は、落射照明部31からの照明光のプリント基板9上における照射領域、および、受光ユニット34による撮像領域を含む。本処理例では、落射照明部31からの照明光の強度、および、斜光照明部32からの照明光の強度はほぼ同じである。
【0029】
受光ユニット34は、光学系33により受光面に結像されたプリント基板9の像を電気信号に変換する。詳細には、受光ユニット34は、R(赤)のフィルタが設けられた複数の受光素子、G(緑)のフィルタが設けられた複数の受光素子、B(青)のフィルタが設けられた複数の受光素子、および、カラーフィルタが設けられない複数の受光素子を備える。受光素子は、例えばCCD(電荷結合素子)である。受光ユニット34の受光面では、これらの受光素子が混在して2次元に配列されており、Rのフィルタを利用したRの画像、Gのフィルタを利用したGの画像、Bのフィルタを利用したBの画像、および、カラーフィルタを利用しない画像が取得される。
【0030】
カラーフィルタを利用しない画像は、プリント基板9上の撮像領域の各位置における輝度を示す白黒の濃淡画像である。以下の説明では、カラーフィルタを利用しない画像を「白黒撮像画像」と呼び、白黒撮像画像を取得する複数の受光素子の集合を「白黒画像撮像部」と呼ぶ。また、R、G、Bの画像の集合、すなわち、各画素がR、G、Bの値(画素値)を有する画像を「カラー撮像画像」と呼び、カラー撮像画像を取得する複数の受光素子の集合を「カラー画像撮像部」と呼ぶ。受光ユニット34では、プリント基板9上の同一の領域(撮像領域)に対してカラー撮像画像および白黒撮像画像が同時に取得される。
【0031】
図2は、コンピュータ5の構成を示す図である。コンピュータ5は各種演算処理を行うCPU51、基本プログラムを記憶するROM52および各種情報を記憶するRAM53を含む一般的なコンピュータシステムの構成となっている。コンピュータ5は、情報記憶を行う固定ディスク54、画像等の各種情報の表示を行うディスプレイ55、操作者からの入力を受け付けるキーボード56aおよびマウス56b(以下、「入力部56」と総称する。)、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体8から情報の読み取りを行う読取装置57、並びに、検査装置1の他の構成との間で信号を送受信する通信部58をさらに含む。
【0032】
コンピュータ5では、事前に読取装置57を介して記録媒体8からプログラム80が読み出されて固定ディスク54に記憶されている。CPU51は、プログラム80に従ってRAM53や固定ディスク54を利用しつつ演算処理を実行する。
【0033】
図3は、検査装置1における機能構成を示すブロック図であり、図3では、コンピュータ5のCPU51、ROM52、RAM53、固定ディスク54等により実現される機能構成を、符号5を付す破線の矩形にて囲んでいる。コンピュータ5は、演算部41、記憶部49、入力部56およびディスプレイ55を有する。演算部41は、テーブル更新部42、欠陥検出部43および表示制御部44を有し、欠陥検出部43は、欠陥領域特定部431および欠陥種別分類部432を有する。これらの構成が実現する機能の詳細については後述する。なお、これらの機能は専用の電気回路により構築されてもよく、部分的に専用の電気回路が利用されてもよい。
【0034】
図4は、検査装置1がプリント基板9を検査する処理の流れを示す図である。図4中にて破線の矩形にて示すステップS17は後述の他の処理例にて行われ、図3中のテーブル更新部42は、当該他の処理例にて利用される。
【0035】
図1の検査装置1では、検査対象のプリント基板9がステージ22上に載置され、ステージ駆動部23により、プリント基板9上の所定の検査対象領域が受光ユニット34による撮像領域に配置される。続いて、図3の受光ユニット34のカラー画像撮像部341によりカラー撮像画像が取得されるとともに、白黒画像撮像部342により白黒撮像画像が取得される(ステップS11,S12)。既述のように、カラー撮像画像および白黒撮像画像は同時に取得され、演算部41の欠陥検出部43に出力される。
【0036】
図5は、プリント基板9に形成されるパターン、並びに、カラー撮像画像および白黒撮像画像の画素値の変化を示す図である。図5の上段は、プリント基板9に形成されるパターンの一部を示し、図5の中段は、上段中の線L上におけるカラー撮像画像の一の色成分の画素値の変化を示し、図5の下段は、上段中の線L上における白黒撮像画像の画素値の変化を示す。図5の中段および下段において、縦軸は画素値を示し、横軸は線L上の位置を示す(後述の図8図9図11図13図15および図18において同様)。ここでは、カラー撮像画像および白黒撮像画像のそれぞれは、0〜255までの256階調にて表現されるものとする。もちろん、カラー撮像画像および白黒撮像画像の階調範囲は0〜255には限定されない。
【0037】
本実施の形態におけるプリント基板9では、図5の上段に示すように、銅等にて形成される回路パターンである配線部911が主面上に設けられ、配線部911はソルダーレジストにより覆われる。すなわち、プリント基板9の主面においてソルダーレジストが表面に存在する領域91(図5の上段にて間隔が狭い平行斜線を付す領域であり、以下、「ソルダーレジスト部91」という。)に配線部911が含まれる。プリント基板9の主面上には、金や銅等のめっきにより形成されるとともにソルダーレジストにより覆われない領域92(以下、「めっき部92」という。)、および、ソルダーレジストの表面にシルク印刷等により形成された文字等の領域(以下、「シルク部93」という。)がさらに設けられる。このようなプリント基板9は、めっき基板とも呼ばれる。プリント基板9の表面における光の反射に関して、めっき部92では拡散反射および鏡面反射の割合が同程度であり、ソルダーレジスト部91およびシルク部93では拡散反射の割合が高い。以下の説明では、白黒撮像画像およびカラー撮像画像のそれぞれにおいて、プリント基板9上のソルダーレジスト部91、めっき部92およびシルク部93を示す領域を、同様に「ソルダーレジスト部91」、「めっき部92」および「シルク部93」と呼ぶ。
【0038】
欠陥検出部43の欠陥領域特定部431では、白黒撮像画像およびカラー撮像画像を用いてプリント基板9上の検査対象領域における欠陥が検出される(ステップS13)。ここで、既述のように、カラー画像撮像部341では、受光素子にカラーフィルタが設けられるのに対し、白黒画像撮像部342では、受光素子にカラーフィルタが設けられない。したがって、白黒画像撮像部342の各受光素子における感度(単位時間当たりに所定の強度の光が入射した場合に得られる出力値)は、カラー画像撮像部341の各受光素子における感度よりも高くなる。受光ユニット34では、カラー画像撮像部341および白黒画像撮像部342において同じ照明条件にて撮像が行われるため、図5の中段および下段に示すように、ソルダーレジスト部91については、白黒撮像画像におけるコントラスト(ここでは、最も明るい部分と最も暗い部分との画素の値の差)がカラー撮像画像におけるコントラストよりも高くなる。したがって、図5の上段において符号Kを付す破線の丸にて示すように、プリント基板9の主面においてソルダーレジストの下に(基板本体とソルダーレジストとの間に)欠陥が存在する場合等に、白黒撮像画像では、当該欠陥を示す欠陥領域がカラー撮像画像よりも特定されやすくなる。
【0039】
図6および図7は、カラー撮像画像および白黒撮像画像の一例を示す写真であり、図6および図7の上段はカラー撮像画像(ただし、グレースケールにて表現されている。)を示し、下段は白黒撮像画像を示す。図6および図7では、ソルダーレジストの下に存在する欠陥を示す欠陥領域に符号Kを付している。また、図8および図9は、カラー撮像画像および白黒撮像画像の画素値の変化を示す図である。図8および図9の上段は、図6および図7の上段中の欠陥領域Kを横断する線L上におけるカラー撮像画像の画素値の変化を示し、図8および図9の下段は、図6および図7の下段中の欠陥領域Kを横断する線L上における白黒撮像画像の画素値の変化を示す。図8および図9の上段では、R、G、Bの値の変化を示す線にそれぞれ符号R、G、Bを付す(後述の図11図13および図15の上段において同様)。図6ないし図9から、白黒撮像画像では、欠陥領域Kと背景であるソルダーレジスト部91の他の領域との画素値(または、明るさ)の差が、カラー撮像画像における当該差よりも大きいことが判る。
【0040】
したがって、欠陥領域特定部431では、プリント基板9上のソルダーレジスト部91に対して白黒撮像画像を用いて欠陥が検出される。例えば、欠陥が存在しないプリント基板9を示す白黒の濃淡画像である参照画像のソルダーレジスト部91と、ステップS12にて取得される白黒撮像画像のソルダーレジスト部91とが比較される。これにより、白黒撮像画像におけるソルダーレジスト部91の欠陥領域が特定され、プリント基板9上のソルダーレジスト部91の欠陥が検出される。1つの欠陥領域は、例えば、欠陥を示す画素が連続した画素群を欠陥画素群として、所定距離内にて互いに近接する欠陥画素群の集合である。後述するように、本実施の形態では、欠陥領域特定部431にて検出された欠陥が真欠陥または偽欠陥に分類されるため、当該欠陥は欠陥候補と捉えることができる。
【0041】
一方、めっき部92については、図5に示すように、白黒撮像画像における画素の値が最大画素値(255)となる(すなわち、飽和する)のに対し、カラー撮像画像における画素の値が最大画素値よりも低くなる。また、シルク部93については、カラー撮像画像および白黒撮像画像の双方において、画素の値が最大画素値となる。したがって、めっき部92の表面にシルク部93の材料が付着する欠陥が存在する場合等に、カラー撮像画像では、当該欠陥を示す欠陥領域の特定が可能となる。もちろん、シルク部93の欠け等の欠陥領域も特定可能である。よって、欠陥領域特定部431では、プリント基板9上のめっき部92およびシルク部93に対してカラー撮像画像を用いて欠陥が検出される。例えば、欠陥が存在しないプリント基板9を示すカラーの参照画像のめっき部92およびシルク部93と、ステップS11にて取得されるカラー撮像画像のめっき部92およびシルク部93とが比較される。これにより、カラー撮像画像におけるめっき部92およびシルク部93の欠陥領域が特定され、プリント基板9上のめっき部92およびシルク部93の欠陥が検出される。
【0042】
欠陥領域特定部431にて欠陥が検出されると、欠陥種別分類部432では、各欠陥の種別が分類される(ステップS14)。ここでは、ソルダーレジスト部91にて検出された欠陥の種別が、カラー撮像画像が示す当該欠陥の色(欠陥領域の色)に基づいて分類される。以下の説明では、欠陥の種別は偽欠陥または真欠陥であるが、欠陥の種別は、真欠陥の複数の種類等に細分化されてよい。
【0043】
図10は、カラー撮像画像を示す図であり、図11は、図10のカラー撮像画像におけるソルダーレジスト部91の欠陥領域Kを横断する線L上の画素値の変化を示す図である。図10の欠陥領域Kは、プリント基板9のソルダーレジスト上の微小なゴミである欠陥(プリント基板9の機能に影響を及ぼさない外観不良と捉えることができる。)を示し、図11に示すように、R、G、Bの全ての色成分において欠陥領域Kの画素の値が背景に対して高くなる(明るくなる)。
【0044】
図12は、カラー撮像画像を示す図であり、図13は、図12のカラー撮像画像におけるソルダーレジスト部91の欠陥領域Kを横断する線L上の画素値の変化を示す図である。図12の欠陥領域Kは、ソルダーレジストの下に存在する銅の酸化部分である欠陥(機能不良と捉えることができる。)を示し、図13に示すように、欠陥領域Kにおける画素のGの値(Gの画素値)が背景に対して低くなる。
【0045】
したがって、欠陥種別分類部432では、カラー撮像画像におけるソルダーレジスト部91の各欠陥領域KのGの画素値と、カラーの参照画像における対応する領域のGの画素値とが比較される。そして、カラー撮像画像のGの画素値が参照画像のGの画素値よりも高い場合には、欠陥領域K(が示すプリント基板9上の欠陥)が偽欠陥と分類され、カラー撮像画像のGの画素値が参照画像のGの画素値以下である場合には、欠陥領域Kが真欠陥と分類される。欠陥種別分類部432では、プリント基板9上の各欠陥(めっき部92およびシルク部93における欠陥を含む。)が、そのサイズ等に基づいて偽欠陥または真欠陥に分類されてもよい。
【0046】
以上のようにして欠陥が偽欠陥または真欠陥に分類されると、表示制御部44により、欠陥領域特定部431にて検出された欠陥のうち、真欠陥と分類された欠陥の画像がディスプレイ55に表示される(ステップS15)。例えば、カラー撮像画像において当該欠陥を含む矩形領域の部分(以下、「カラー欠陥画像」という。)がディスプレイ55に表示される。ディスプレイ55には、白黒撮像画像における当該欠陥を含む領域が、カラー欠陥画像と共に表示されてもよい。
【0047】
操作者は、各カラー欠陥画像を参照することにより、当該カラー欠陥画像が示す欠陥の最終的な種別(ここでは、偽欠陥または真欠陥の種別)を決定し、入力部56を介して当該最終的な種別を演算部41に入力する(ステップS16)。これにより、プリント基板9上の検査対象領域に対する検査が完了する。実際には、プリント基板9上の複数の検査対象領域に対して上記ステップS11〜S16の処理が部分的に並行して行われる。
【0048】
以上に説明したように、検査装置1では、カラー撮像画像を取得するカラー画像撮像部341および白黒撮像画像を取得する白黒画像撮像部342が設けられる。そして、欠陥検出部43において、プリント基板9上のめっき部92およびシルク部93に対してカラー撮像画像を用いて欠陥が検出され、プリント基板9上のソルダーレジスト部91に対して白黒撮像画像を用いて欠陥が検出される。これにより、プリント基板9上のソルダーレジスト部91、めっき部92およびシルク部93のそれぞれにおいて、欠陥を精度よく検出することが可能となる。
【0049】
ところで、カラー撮像画像から生成される白黒画像(以下、「白黒生成画像」という。)を用いてソルダーレジスト部91における欠陥を検出することも考えられる。図14は、カラー撮像画像、白黒生成画像および白黒撮像画像の一例を示す写真である。図14の上段はカラー撮像画像(ただし、グレースケールにて表現されている。)を示し、中段は白黒生成画像を示し、下段は白黒撮像画像を示す。白黒生成画像における各画素の値は、カラー撮像画像における対応する画素のR、G、Bの値から導かれる。図15は、カラー撮像画像、白黒生成画像および白黒撮像画像の画素値の変化を示す図である。図15の上段、中段および下段は、図14の上段、中段および下段中の欠陥領域Kを横断する線L上における画素値の変化をそれぞれ示す。図14および図15から明らかなように、カラー撮像画像から白黒生成画像を生成しても、白黒撮像画像のように、欠陥領域Kと背景との明るさの差を大きくすることは困難である。したがって、ソルダーレジスト部91において白黒撮像画像を用いて欠陥を検出することにより、白黒生成画像を用いる場合に比べて、欠陥を精度よく、かつ、容易に検出することができるといえる。
【0050】
欠陥検出部43では、ソルダーレジスト部91にて検出した欠陥の種別が、カラー撮像画像が示す当該欠陥の色に基づいて分類される。これにより、欠陥の種別を精度よく分類することができる。また、ステップS15の処理では、真欠陥と分類された欠陥の画像のみがディスプレイ55に表示されることにより、虚報を少なくすることができ、作業者による確認作業の効率を向上することができる。なお、欠陥領域特定部431にて検出される欠陥の個数が少ない場合等には、ステップS15の処理において、偽欠陥と分類された欠陥のカラー欠陥画像もディスプレイ55に表示されてよい。この場合、カラー欠陥画像は、分類結果と共に表示されることが好ましく、ステップS16の処理において、操作者により各欠陥の最終的な種別が決定される。
【0051】
検査装置1では、カラー画像撮像部341の複数の受光素子および白黒画像撮像部342の複数の受光素子が配列された1つの受光ユニット34が、カラー画像撮像部341および白黒画像撮像部342として設けられ、受光ユニット34により、プリント基板9上の一の領域に対してカラー撮像画像および白黒撮像画像が同時に取得される。これにより、カラー画像撮像部341および白黒画像撮像部342を個別に設ける場合に比べて、カラー撮像画像および白黒撮像画像を短時間にて取得することができる。
【0052】
欠陥種別分類部432では、上記とは異なる手法で(または、上記手法に追加して)ソルダーレジスト部91における欠陥が偽欠陥または真欠陥に分類されてよい。この場合、R、G、Bにて規定される色空間において、偽欠陥の色の範囲を偽欠陥色範囲として示す虚報テーブル491(図3参照)が予め準備され、記憶部49にて記憶される。欠陥種別分類部432では、カラー撮像画像において各欠陥領域の各位置における画素のR、G、Bの値が取得される。そして、色空間において当該R、G、Bの値により特定される位置が偽欠陥色範囲に含まれる場合に、欠陥領域の当該位置(が示すプリント基板9上の欠陥の部分)が偽欠陥として分類され、色空間において特定される位置が偽欠陥色範囲に含まれない場合に、欠陥領域の当該位置が真欠陥として分類される(図4:ステップS14)。このように、ソルダーレジスト部91において検出された欠陥において、色空間における存在範囲が虚報テーブル491が示す偽欠陥色範囲と重なる部分が偽欠陥として分類される。
【0053】
続いて、真欠陥と分類された部分を含む欠陥を示すカラー欠陥画像がディスプレイ55に表示される(ステップS15)。また、操作者により、各カラー欠陥画像が示す欠陥の最終的な種別が決定される(ステップS16)。さらに、一のカラー欠陥画像が示す欠陥の最終的な種別が偽欠陥である場合には、操作者が所定の入力を行うことにより、テーブル更新部42により、当該カラー欠陥画像における欠陥領域の全ての位置の色が特定され、これらの色の色空間における存在範囲が偽欠陥色範囲として虚報テーブル491に追加(登録)される。すなわち、虚報テーブル491が更新される(ステップS17)。偽欠陥色範囲の追加は、例えばディスプレイ55上の当該カラー欠陥画像にマウスポインタを重ねてマウスの右クリックによりメニューを表示し、「偽欠陥色範囲の登録」を選択することにより、容易に行うことが可能である。更新された虚報テーブル491は、次のステップS14の処理における欠陥の分類に利用される。
【0054】
以上のように、検査装置1では、複数の色成分にて規定される色空間において、偽欠陥の色の範囲を偽欠陥色範囲として示す虚報テーブル491が予め準備され、ソルダーレジスト部91にて検出した欠陥において、当該色空間における存在範囲が偽欠陥色範囲と重なる部分が偽欠陥として分類される。これにより、偽欠陥を容易に区別することが実現される。
【0055】
また、プリント基板9の検査では、めっき部92における欠陥を厳しく検査することが求められることがある。このような場合には、検査装置1では、図1の落射照明部31からの照明光の強度が、斜光照明部32からの照明光の強度と比較して低い値に設定される。また、白黒画像撮像部342におけるゲインも下げられる。したがって、白黒画像撮像部342により取得される白黒撮像画像では、めっき部92における画素の値が最大画素値(255)よりも十分に低くなる。
【0056】
図16はカラー画像撮像部341の分光感度特性を示す図であり、図17は白黒画像撮像部342の分光感度特性を示す図である。図16および図17の縦軸は、相対感度を示し、横軸は入射光の波長を示す。相対感度は、入射光の各波長における感度を最大感度にて割って得た値である。図16では、Rの受光素子、Gの受光素子、Bの受光素子の分光感度特性を示す線にそれぞれ符号R、G、Bを付す。白黒画像撮像部342では、図17に示すように、可視光の波長範囲400〜700nmの全体において相対感度が比較的高い。一方、カラー画像撮像部341におけるRの受光素子、Gの受光素子、Bの受光素子の相対感度のピークは、図16に示すように、それぞれ波長650nm近傍、波長550nm近傍、波長450nm近傍となり、500nm近傍および600nm近傍の波長では、カラー画像撮像部341の相対感度が、白黒画像撮像部342に比べて低下する。
【0057】
欠陥検出部43では、めっき部92に対して白黒撮像画像を用いて欠陥が検出される。これにより、めっき部92において、カラー撮像画像では検出が容易ではない波長の色の欠陥も精度よく検出することが可能となる。ソルダーレジスト部91およびシルク部93に対しては、カラー撮像画像を用いて欠陥が検出される。
【0058】
次に、めっき部92に代えて、半田部が形成されたプリント基板9の検査について述べる。図18は、プリント基板9に形成されるパターン、並びに、カラー撮像画像および白黒撮像画像の画素値の変化を示す図である。図18の上段は、プリント基板9に形成されるパターンの一部を示し、図18の中段は、上段中の線L上におけるカラー撮像画像の一の色成分の画素値の変化を示し、図18の下段は、上段中の線L上における白黒撮像画像の画素値の変化を示す。
【0059】
図18の上段に示すプリント基板9では、ソルダーレジスト部91、半田部94およびシルク部93が形成される。半田部94は、プリント基板9の主面上において半田により形成されるとともにソルダーレジストにより覆われない領域である。ソルダーレジスト部91およびシルク部93は、図5の上段と同様である。このようなプリント基板9は、半田基板とも呼ばれる。プリント基板9の表面における光の反射に関して、ソルダーレジスト部91およびシルク部93では拡散反射の割合が高く、半田部94では鏡面反射の割合が高い。
【0060】
半田部94を有するプリント基板9の検査では、落射照明部31からの照明光の強度が、斜光照明部32からの照明光の強度と比較して低い値に設定される。また、白黒画像撮像部342におけるゲインも下げられる。このような条件にてプリント基板9を撮像することにより、カラー画像撮像部341では、図18の中段の画素値の変化を示すカラー撮像画像が取得され、白黒画像撮像部342では、図18の下段の画素値の変化を示す白黒撮像画像が取得される。
【0061】
図18の中段に示すカラー撮像画像では、半田部94およびシルク部93の双方の画素の値が最大画素値となるのに対し、図18の下段に示す白黒撮像画像では、半田部94の画素の値が最大画素値よりも低くなり、シルク部93の画素の値との差が生じる。したがって、欠陥検出部43では、半田部94およびシルク部93に対して白黒撮像画像を用いて欠陥を検出することにより、例えば、半田部94の表面にシルク部93の材料が付着する欠陥等を精度よく検出することが可能となる。なお、ソルダーレジスト部91に対しては、カラー撮像画像を用いて欠陥が検出される。
【0062】
上記検査装置1では様々な変形が可能である。
【0063】
プリント基板9上において、カラー撮像画像を用いて欠陥が検出される領域、および、白黒撮像画像を用いて欠陥が検出される領域は、適宜変更されてよい。検査装置1では、プリント基板9上の第1領域に対してカラー撮像画像を用いて欠陥を検出し、第1領域とは異なる第2領域に対して白黒撮像画像を用いて欠陥を検出することにより、プリント基板9上の各領域における欠陥を精度よく検出することが可能となる。
【0064】
検査装置1の設計によっては、カラー画像撮像部341および白黒画像撮像部342が分離して設けられてよく、この場合に、カラー撮像画像および白黒撮像画像が異なるタイミングで取得されてよい。また、カラー画像撮像部では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色成分のフィルタが設けられた受光素子が用いられてよい。
【0065】
プリント基板9において欠陥が検出される領域の種類によっては、例えば、落射照明部31が消灯され、斜光照明部からの照明光のみにより、カラー撮像画像および白黒撮像画像が取得されてよい。
【0066】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0067】
1 検査装置
9 プリント基板
32 斜光照明部
33 光学系
34 受光ユニット
43 欠陥検出部
49 記憶部
91 ソルダーレジスト部
92 めっき部
94 半田部
331 対物レンズ
341 カラー画像撮像部
342 白黒画像撮像部
491 虚報テーブル
J1 光軸
K 欠陥領域
S11〜S17 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18