特許第6348351号(P6348351)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348351
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】グリル、グリル皿
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20180618BHJP
   F24C 15/16 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   A47J37/06 311
   A47J37/06 316
   F24C15/16 B
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-130354(P2014-130354)
(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公開番号】特開2016-7427(P2016-7427A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】冨山 宏
(72)【発明者】
【氏名】辻中 英昭
(72)【発明者】
【氏名】藤本 善夫
(72)【発明者】
【氏名】宮藤 章
(72)【発明者】
【氏名】石木 達也
(72)【発明者】
【氏名】宇野 香奈
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−071106(JP,A)
【文献】 実開昭61−194439(JP,U)
【文献】 実開昭54−041755(JP,U)
【文献】 特開平06−181849(JP,A)
【文献】 特開2004−135852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
F24C 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前開口を有するグリル庫と、
前記前開口を介して前後に出入れ自在に前記グリル庫に収納されるグリル皿と、
前記グリル庫に収納された前記グリル皿の下側に配置される下バーナと、
を備え、
前記グリル皿は、底壁部と、前記底壁部の周囲から立ち上がる周壁部とを備え、
前記底壁部の平面視において前記下バーナに対応する部分と前記底壁部の周端縁との間に、前記下バーナに対応する部分側より下方に位置する水切り部を備え
前記周壁部が前壁部と後壁部と左右の側壁部とを備え、
前記前壁部と前記後壁部の正面視において前記下バーナに対応する部分が、前記前壁部と前記後壁部の正面視において前記下バーナに対応しない部分に位置する低壁部よりも高さが高い高壁部となることを特徴とするグリル。
【請求項2】
前開口を介して前後に出入れ自在にグリル庫に収納されるグリル皿であって、
底壁部と、前記底壁部の周囲から立ち上がる周壁部とを備え、
前記底壁部の平面視において前記グリル庫の下バーナに対応する部分と前記底壁部の周端縁との間に、前記下バーナに対応する部分側より下方に位置する水切り部を備え
前記周壁部が前壁部と後壁部と左右の側壁部とを備え、
前記前壁部と前記後壁部の正面視において前記下バーナに対応する部分が、前記前壁部と前記後壁部の正面視において前記下バーナに対応しない部分に位置する低壁部よりも高さが高い高壁部となることを特徴とするグリル皿。
【請求項3】
前記前壁部と左右の前記側壁部との間と、前記後壁部と左右の前記側壁部との間に、左右の前記側壁部に沿って前後方向に流動する煮汁を左右方向に偏向させる偏向部を備えることを特徴とする請求項2記載のグリル皿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリルと、グリルに用いられるグリル皿に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前開口を有するグリル庫と、前開口を介して前後に出入れ自在にグリル庫に収納されるグリル皿と、グリル庫に収納されたグリル皿の下側に配置される下バーナと、を備えるグリルが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
グリル皿は、底壁部と、底壁部の周囲から立ち上がる前壁部と後壁部と左右の側壁部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−151067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グリル皿をグリル庫に出入れするには、グリル皿を前後方向に移動させる。このとき、グリル皿に溜まっている煮汁等が、前壁部や後壁部の上端を乗り越えてグリル皿より溢れ出易い。煮汁等が前壁部や後壁部の上端を乗り越えて溢れ出ると、グリル皿を伝って下バーナに付着してしまう惧れがある。煮汁等が下バーナに付着してしまった場合、下バーナの清掃はし難く、また、付着した煮汁等を放置することは好ましくない。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、グリル皿に溜まっている煮汁等が、前壁部や後壁部の上端を乗り越えても、下バーナに煮汁等が付着し難いグリル、グリル皿を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係るグリルにあっては、前開口を有するグリル庫と、前記前開口を介して前後に出入れ自在に前記グリル庫に収納されるグリル皿と、前記グリル庫に収納された前記グリル皿の下側に配置される下バーナと、を備え、前記グリル皿は、底壁部と、前記底壁部の周囲から立ち上がる周壁部とを備え、前記底壁部の平面視において前記下バーナに対応する部分と前記底壁部の周端縁との間に、前記下バーナに対応する部分側より下方に位置する水切り部を備え、前記周壁部が前壁部と後壁部と左右の側壁部とを備え、前記前壁部と前記後壁部の正面視において前記下バーナに対応する部分が、前記前壁部と前記後壁部の正面視において前記下バーナに対応しない部分に位置する低壁部よりも高さが高い高壁部となることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、前開口を介して前後に出入れ自在にグリル庫に収納されるグリル皿であって、底壁部と、前記底壁部の周囲から立ち上がる周壁部とを備え、前記底壁部の平面視において前記グリル庫の下バーナに対応する部分と前記底壁部の周端縁との間に、前記下バーナに対応する部分側より下方に位置する水切り部を備え、前記周壁部が前壁部と後壁部と左右の側壁部とを備え、前記前壁部と前記後壁部の正面視において前記下バーナに対応する部分が、前記前壁部と前記後壁部の正面視において前記下バーナに対応しない部分に位置する低壁部よりも高さが高い高壁部となることを特徴とする。
【0010】
請求項に係る発明は、請求項に係る発明において、前記前壁部と左右の前記側壁部との間と、前記後壁部と左右の前記側壁部との間に、左右の前記側壁部に沿って前後方向に流動する煮汁を左右方向に偏向させる偏向部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にあっては、水切り部が形成されるため、煮汁等が、周壁部の上端を乗り越えて溢れても、水切り部を越えて煮汁等が伝わらず、下バーナに付着することが抑制される。
【0012】
さらに、高壁部が形成されている部分において、煮汁が前壁部および後壁部の上端を乗り越えて溢れ出難い。このため、溢れ出た煮汁が下バーナに付着することが抑制される。
【0013】
また、偏向部を備えることにより、左右の前記側壁部に沿って前後方向に流動する煮汁が前壁部および後壁部の上端を乗り越えて溢れ出るのが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第一実施形態のグリル付きガスコンロの前斜め上方より見た斜視図である。
図2】第一実施形態のグリルの正面断面図である。
図3】第一実施形態のグリル皿の前斜め上方より見た斜視図である。
図4】第一実施形態のグリル皿の平面図である。
図5】第一実施形態のグリル皿のA−A断面図である。
図6図6Aは第一実施形態におけるグリル皿の引出し状態を説明するグリルの前斜め上方より見た斜視図であり、図6Bは第一実施形態におけるグリル皿の引出し状態を説明するグリルの後斜め上方より見た一部拡大斜視図である。
図7】第一実施形態におけるグリル皿の収納状態を説明するグリルの前斜め上方より見た斜視図である。
図8図8Aは第一実施形態のグリル皿の引出し状態における上下連動機構を説明するグリルの前斜め上方より見た斜視図であり、図8Bは第一実施形態の引出し状態における上下連動機構の断面図である。
図9図9Aは第一実施形態のグリル皿の収納状態における上下連動機構を説明するグリルの前斜め上方より見た斜視図であり、図9Bは第一実施形態の収納状態における上下連動機構の断面図である。
図10】第一実施形態のグリル皿の収納状態における上下連動機構の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のグリルの第一実施形態について添付図面に基いて説明する。
【0016】
第一実施形態のグリルは、グリル付きガスコンロにおけるグリルであるが、本発明のグリルはコンロを備えないグリル単体であってもよい。また、第一実施形態のグリル付きガスコンロは、キッチンカウンターに形成された開口部に上方より挿入されて設置されるドロップインコンロであるが、特にドロップインコンロに限定されず、テーブルコンロであってもよい。
【0017】
図1に示すように、グリル付きガスコンロ(以下、単にガスコンロ1という)は、加熱手段と、加熱手段を制御する加熱制御手段と、本体ケーシング10とを備える。ガスコンロ1は、加熱手段として、コンロバーナ11とグリルバーナ3(図2参照)とを備えている。加熱手段および加熱制御手段は本体ケーシング10に収納される。本体ケーシング10は、上方に開口する略箱状をし、上開口を覆う天板12が設置される。天板12のコンロバーナ11が挿通される部分には、コンロバーナ挿通口13が形成されている。このコンロバーナ挿通口13を介して、ブンゼンバーナであるコンロバーナ11の略円形状をした上部が上方に露出する。
【0018】
天板12のコンロバーナ挿通口13の周囲には、調理容器を支持する五徳14が設置されている。なお、コンロ(コンロバーナ11、五徳14等)は本発明において任意の構成であり、設けられなくてもよい。
【0019】
第一実施形態では、コンロバーナ11は、図1に示すように、五徳14に載置される調理容器の底部の温度を検知する温度センサー15を備えている。温度センサー15により検知された温度に基いて、加熱制御手段が自動調理モード等を実行する。
【0020】
天板12の上面には、コンロバーナ11の点火/消火の切り替えや火力調節の制御指令を与える操作部16が設けられている。操作部16の操作を受けて、マイクロコンピュータからなる加熱制御手段がコンロバーナ11の制御を行う。
【0021】
ガスコンロ1は、グリル2を備えている。グリル2は、図2に示すように、本体ケーシング10内に収納されるグリル庫20を有する。グリル庫20は、内部にグリルバーナ3を備え、内部空間を燃焼室とするものである。グリル庫20は、前開口を有しており、前開口を介して前方より被加熱物を出入れ可能である。前開口には、図1に示すように、グリル扉21が開閉自在に設けられる。グリル2については後述する。なお、ガスコンロ1における前後方向は、便宜上、図1に示すように、設計上使用者が位置する方を前方Fとするとともにその反対を後方Bとし、左右方向は、後方Bを向いた時の左方Lおよび右方Rをいうものとする。
【0022】
ガスコンロ1の前面パネル17(図1参照)内には、グリルバーナ3の点火/消火の切り替えや火力調節の制御指令を加熱制御手段に与える操作部(不図示)と、ガスコンロ1における調理タイマーモード、湯沸しモード・炊飯モード等の自動調理モード、グリル2における調理タイマーモード、種々の焼成モードといった自動調理モードの制御指令を加熱制御手段に与える自動調理操作部(不図示)と、が設けられる。
【0023】
コンロバーナ11およびグリルバーナ3には、図示しないが、本体ケーシング10内に収納されるガス供給路を介して都市ガス等の燃料ガスが供給される。ガス供給路には、元電磁弁、流量制御弁が設けられる。操作部を操作して、加熱制御手段に点火の指令を送ると、加熱制御手段は、対応するコンロバーナ11、グリルバーナ3のガス供給路の元電磁弁を開き、流量制御弁を所定開度で開くと共に点火プラグでスパークさせて点火させる。
【0024】
以下、グリル2について説明する。グリル2は、図2に示すように、前開口を介して前後に出入れされるグリル皿4を有する。グリル皿4は、図3図5に示すように、底壁部40と、底壁部40の周縁より上方に向けて突出する周壁部と、を有している。周壁部は、前壁部41、後壁部42、左側の側壁部43、右側の側壁部44を有している。なお、前壁部41、後壁部42、左右の側壁部43、44の境界にて明確に区別されていなくてもよい。また、第一実施形態では、グリル皿4は平面視において点対称となるように形成されているが、特に限定されない。
【0025】
グリル皿4は、底壁部40の上面に、被加熱物が直接載置されてもよいし、調理容器が載置されてもよいし、焼き網が載置されてこの上に被加熱物が載置されてもよく、特に利用形態は限定されない。
【0026】
グリルバーナ3は、図2図6に示すように、グリル庫20に収納されたグリル皿4の下側に配置される下バーナ31を備える。第一実施形態では、下バーナ31は、グリル庫20に収納されたグリル皿4の平面視における略中央部の下方に設けられる。また、下バーナ31は、コンロバーナ11と同様の略円形状をしたブンゼンバーナであるが、バーナの形態や形状は特に限定されない。
【0027】
下バーナ31は、図2図6に示すように、グリル皿4の底壁部40の温度を検知する温度センサー31aを備えている。温度センサー31aは、下バーナ31の中央部より上方に突出しており、グリル皿4の底壁部40の一部(第一実施形態では平面視における中央部)に当接する。そして、温度センサー31aにより検知された温度に基いて、加熱制御手段が自動調理モード等を実行する。なお、温度センサー31aは設けられなくてもよい。
【0028】
グリルバーナ3は、図2に示すように、グリル庫20に収納されたグリル皿4の上側に配置される上バーナ32を備える。上バーナ32および下バーナ31により、グリル皿4の上下からの加熱(両面焼き)が可能となる。なお、本発明において、上バーナ32は任意の構成であり、設けられなくてもよい。
【0029】
グリル皿4は、図2図6に示すように、皿受け6に支持される。皿受け6は、第一実施形態では、線材が屈曲されて平面視において概ね矩形状となる枠により構成されているが、枠状でなくてもよく、形状等も限定されない。
【0030】
皿受け6は、図2図6に示すように、可動レール22に固定されるグリル扉21に支持される。可動レール22は、グリル扉21の左右端部からそれぞれ後方に向けて突出して、前後方向を長手方向とするもので、外側の面に中間レール23が装着される。また、図2に示すように、グリル庫20の内側壁に、固定レール24が取付けられる。固定レール24は、前後方向を長手方向とするもので、内側の面に中間レール23が装着される。
【0031】
中間レール23には、ベアリング(不図示)が設けられており、ベアリングが可動レール22と固定レール24とにそれぞれ抜け止め状態で転動自在に装着されている。これにより、可動レール22が中間レール23を介して固定レール24に対して前後にスライド移動自在となる。なお、第一実施形態では、可動レール22と中間レール23と固定レール24とを備えているが、これらを備えていなくてもよく、例えば中間レール23を備えていなくてもよい。
【0032】
また、可動レール22には、図2に示すように、ビス等の固着具(不図示)により、断面逆L字状をしたレールカバー25が取り付けられる。グリル皿4がグリル庫20に収納されたときに、レールカバー25により、可動レール22と中間レール23と固定レール24の内側方および上方が覆われる。
【0033】
図6に示すように、皿受け6の前辺の左右両端部には、前方に突出する前突出部61が形成されているとともに、皿受け6の後辺の左右両端部には、後方に突出する後突出部62が形成されている。皿受け6の前辺の左右の前突出部61の間の部分(中間部)は、上方に突出するように形成され、その両端部が、グリル皿4を支持する前支持部63となっている。また、皿受け6の後辺の左右の後突出部62の間の部分(中間部)は、上方に突出するように形成され、その両端部が、グリル皿4を支持する後支持部(不図示)となっている。
【0034】
図3図6に示すように、グリル皿4の前壁部41の左右両端部の前支持部63に対応する位置には、前方に突出する前被支持部45が形成されている。また、グリル皿4の後壁部42の左右両端部の後支持部に対応する位置には、後方に突出する後被支持部46が形成されている。
【0035】
図6に示すように、前被支持部45が前支持部63に載置されるとともに、後被支持部46が後支持部に支持されて、グリル皿4が皿受け6に支持される。
【0036】
また、皿受け6の前辺の上方に突出する中間部に前壁部41が当接することにより、グリル皿4の前方への移動が規制され、皿受け6の後辺の上方に突出する中間部に後壁部42が当接することにより、グリル皿4の後方への移動が規制される。また、皿受け6の前辺の上方に突出する中間部に左側の前被支持部45が当接するとともに後辺の上方に突出する中間部に左側の後被支持部46が当接することにより、グリル皿4の右方への移動が規制される。また、皿受け6の前辺の上方に突出する中間部に右側の前被支持部45が当接するとともに後辺の上方に突出する中間部に右側の後被支持部46が当接することにより、グリル皿4の左方への移動が規制される。グリル皿4は、前後左右への移動が規制されるとともに皿受け6に対する位置決めがなされ、皿受け6の所定位置に設置される。
【0037】
図6Bに示すように、グリル扉21の後面に、上方に突出する逆L字状をした係止部21aが形成されている。前突出部61が係止部21aに係止され、グリル扉21と皿受け6とが連結される。すなわち、前突出部61と係止部21aとが、グリル扉21と皿受け6とを連動させる開閉連動機構を構成する。これにより、グリル扉21の開閉(前後移動)に連動して、皿受け6およびグリル皿4が前後移動する。
【0038】
図6に示すように、前突出部61が係止部21aに係止されることで、皿受け6の前部がグリル扉21に支持される。皿受け6の後部は、後突出部62がグリル庫20の皿受け支持部26に載置されることで支持される。
【0039】
皿受け支持部26は、図2図6に示すように、前後方向を長手方向とするもので、グリル庫20の内側壁の固定レール24の上側に取り付けられる。図6に示すように、グリル扉21を前方に移動させて開くとともに皿受け6およびグリル皿4をグリル庫20の前方に引出した状態でも、後突出部62がグリル庫20に残って皿受け支持部26に載置される。
【0040】
また、図7に示すように、グリル扉21を後方に移動させて前開口を閉じるとともに皿受け6およびグリル皿4をグリル庫20内に収納した状態では、後突出部62がグリル庫20の後方に突出する。図6に示すように、グリル庫20には、後壁27の後突出部62に対応する位置に、後突出部62が挿通可能な挿通口27aが形成されているとともに、後壁27から後方に向けて、後突出部62を受けて支持する後突出部受け部28が設けられている。これにより、図7に示すように、皿受け6をグリル庫20内に収納した状態でも、後突出部受け部28が後突出部62を支持することができる。
【0041】
また第一実施形態では、図8図10に示すように、グリル2が、グリル扉21の開閉と連動して温度センサー31aを上下動させる上下連動機構7を備えている。図8に示すように、グリル扉21が開いているときは温度センサー31aが下位置に位置し、図9に示すように、グリル扉21が閉じているときは温度センサー31aが上位置に位置する。
【0042】
第一実施形態では、図8図10に示すように、グリル庫20に軸支部材70が固定されており、この軸支部材70にシーソー部材71が軸支される。
【0043】
シーソー部材71は、回転腕72と温度センサー支持部73とを備えている。回転腕72は、中間部に回転軸72aを備え、この回転軸72aが軸支部材70に軸支されている。軸支部材70は、筒状をしたもので、内部に回転腕72が挿入されており、回転腕72が所定の角度範囲で回動自在となっている。回転腕72の一方の側に、温度センサー支持部73が設けられ、他方の側にローラー76が設けられる。
【0044】
温度センサー支持部73は、ビス等からなる固着具74により、回転腕72の回転軸72aに対する一方の側に若干可動となるように取り付けられ、回転腕72と一体的に回動する。温度センサー31aは、下バーナ31の本体と分離しており、温度センサー支持部73に取り付けられる。
【0045】
また、図8図9に示すように、レールカバー25の上片には、前側の部分に、後側の上位置部25aよりも下方に位置する下位置部25bが設けられている。下位置部25bの高さ位置は、ローラー76の高さ位置と略同じ位置に設定され、上位置部25aの高さ位置は、ローラー76の高さ位置よりも高い位置に設定される。また、レールカバー25の上片の上位置部25aと下位置部25bとの部分は、上位置部25aと下位置部25bとを滑らかに繋ぐ傾斜部となっている。
【0046】
図8Aに示すように、グリル扉21が前方に移動して前開口が開かれているときには、下位置部25bはローラー76よりも前方に位置し、上位置部25aがローラー76の上方に位置する。このとき、図8Bに示すように、ローラー76はレールカバー25の上片に下方に押されないため、ローラー76が高い位置にあるとともに、シーソー部材71の反対側に取り付けられている温度センサー31aが下位置に位置する。
【0047】
次に、図9Aに示すように、グリル扉21が後方に移動して前開口が開じられているときには、下位置部25bがローラー76に当接し、図9Bに示すように、ローラー76が下方に押される。これにより、ローラー76が低い位置にあるとともに、シーソー部材71の反対側に取り付けられている温度センサー31aが上位置に位置する。
【0048】
グリル皿4が皿受け5に載置されているときには、図10に示すように、グリル扉21が前開口を開じて温度センサー31aが上昇して、グリル皿4の底壁部40の下面の被当接部51に当接するものである。また、シーソー部材71には、ばね部75が設けられている。ばね部75は、温度センサー支持部73の一部が屈曲して軸支部材70の筒内に配置される。そして、温度センサー支持部73は回転腕72に対して若干可動となるように取り付けられている。これにより、グリル皿4の被当接部51が温度センサー31aを下方に押圧しても、温度センサー31aおよび温度センサー支持部73が下方に若干移動可能となり、温度センサー31aにグリル皿4より過度の力がかかるのが抑制される。
【0049】
図8に示すように、グリル扉21が前方に移動して前開口が開かれている状態より、グリル扉21が後方に移動すると、レールカバー25の上片の傾斜部がローラー76に当接してローラー76を下方に押し、温度センサー31aが上昇を始める。そして、図9に示すように、さらにグリル扉21が後方に移動し、下位置部25bがローラー76に当接してローラー76を下方に押すことで、図10に示すように、温度センサー31aがグリル皿4の被当接部51に当接する。ここで、温度センサー31aがグリル皿4に当接するのが、グリル扉21が前開口を開じる直前となるように設定するのが好ましい。すなわち、グリル扉21が前開口を開じる前の早い段階で、温度センサー31aがグリル皿4に当接すると、温度センサー31aが当接した状態でグリル皿4が後方へ移動し、温度センサー31aとグリル皿4とが擦れてしまう。温度センサー31aがグリル皿4に当接するのが、グリル扉21が前開口を開じる直前であれば、温度センサー31aが当接した状態でグリル皿4が移動する距離が短くて済む。
【0050】
また、図9に示すように、グリル扉21が前開口を開じている状態より、グリル扉21が前方に移動すると、すぐに下位置部25bがローラー76を下方に押さなくなって、ローラー76が上昇するとともに温度センサー31aが下降し、温度センサー31aがグリル皿4に当接しなくなる。温度センサー31aがグリル皿4に当接せず擦れない状態で、図8に示すように、グリル扉21を前方に移動させて前開口を開くことができる。
【0051】
本発明におけるグリル皿4は、底壁部40の平面視において下バーナ31に対応する部分と底壁部40の周端縁との間に、下バーナ31に対応する部分側より下方に位置する水切り部5を備えることに特徴を有するものである。図5に示すように、第一実施形態では、底壁部40の平面視において下バーナ31に対応する部分というのは、温度センサー31aが当接する被当接部51である。水切り部5として、平面視において被当接部51を囲むように底壁部40の下面より下方に突出する、外側の垂下壁53を備える。外側の垂下壁53の下端は、外側の垂下壁53の下バーナ31に対応する部分側、すなわち、外側の垂下壁53のすぐ内側の凹部54の天面より下方に位置する。この外側の垂下壁53により、底壁部40の周端縁52から被当接部51に向けて液体が伝うのが抑制される。
【0052】
さらに第一実施形態では、水切り部5として、平面視において被当接部51を囲むように底壁部40の下面より下方に突出する、外側の垂下壁53よりも内側に設けられる内側の垂下壁55を備える。内側の垂下壁55の下端は、内側の垂下壁55の下バーナ31に対応する部分側、すなわち、内側の垂下壁55のすぐ内側の凹部56の天面より下方に位置する。この内側の垂下壁55により、底壁部40の周端縁52から被当接部51に向けて液体が伝うのが抑制される。
【0053】
グリル皿4をグリル庫20に出入れするには、グリル皿4を前後方向に移動させるが、その場合、被加熱物より生じてグリル皿4に溜まっている油や煮汁やその他の液体(煮汁等)が、前壁部41や後壁部42の上端を乗り越えてグリル皿4より溢れ出易い。そして、グリル皿4より溢れ出て下バーナ31に煮汁等が付着しても、下バーナ31の清掃はし難く、また、付着した煮汁等を放置することは好ましくないため、下バーナ31に煮汁等が付着するのを抑制することが望ましい。
【0054】
本発明においては、水切り部5が形成されるため、煮汁等が、前壁部41および後壁部42の上端を乗り越えて溢れても、水切り部5にて煮汁等が下方に落下し、水切り部5より被当接部51側には煮汁等が伝わらず、下バーナ31に付着することが抑制される。これにより、温度センサー31aの昇降不良や、温度センサー31aの検知不良の不具合の発生が抑制される、信頼性の高いグリル2とすることができる。
【0055】
特に、第一実施形態においては、下バーナ31に設けられる温度センサー31aがグリル皿4の底壁部40に当接する。このため、煮汁等が、前壁部41や後壁部42の正面視において下バーナ31に対応する部分の上端を乗り越えると、外面を伝って底壁部40の下面を前後に移動して温度センサー31aに到達し、下バーナ31に付着してしまう。このような温度センサー31aを有する第一実施形態においては、特に本発明が有効である。
【0056】
また、第一実施形態においては、図3図6に示すように、グリル皿4の前壁部41と後壁部42の正面視において下バーナ31に対応する部分が、その他の部分よりも高さが高い高壁部47となっている。詳述すると、左右の前被支持部45、後被支持部46の間の部分が高壁部47となり、高壁部47の左右両側の部分は高壁部47よりも高さが低い低壁部48となっている。
【0057】
第一実施形態においては、前壁部41および後壁部42に高壁部47が形成されるため、高壁部47が形成されている部分においては、煮汁等が、前壁部41および後壁部42の上端を乗り越えて溢れ出難い。これにより、煮汁等が前壁部41および後壁部42の上端を乗り越えて溢れ出て、下バーナ31に付着することがより一層抑制される。
【0058】
また、第一実施形態においては、図3図5に示すように、前壁部41と左右の側壁部43、44との間、および、後壁部42と左右の側壁部43、44の間に、左右の側壁部43、44に沿って前後方向に流動する煮汁等を左右方向に偏向させる偏向部49を備える。具体的には、偏向部49は、前壁部41または後壁部42と、左右の側壁部43、44とを繋ぐR状の壁にて構成される。このような偏向部49を備えることにより、被加熱物より生じた煮汁等が左右の側壁部43、44に沿って前後方向に流動したとき、煮汁等が、前壁部41および後壁部42の上端(特に低壁部48の上端)を乗り越えて溢れ出るのがより一層抑制される。
【符号の説明】
【0059】
1 ガスコンロ
10 本体ケーシング
11 コンロバーナ
12 天板
13 コンロバーナ挿通口
14 五徳
15 温度センサー
16 操作部
17 前面パネル
2 グリル
20 グリル庫
21 グリル扉
21a 係止部
22 可動レール
23 中間レール
24 固定レール
25 レールカバー
25a 上位置部
25b 下位置部
26 皿受け支持部
27 後壁
27a 挿通口
28 後突出部受け部
3 グリルバーナ
31 下バーナ
31a 温度センサー
32 上バーナ
4 グリル皿
40 底壁部
41 前壁部
42 後壁部
43 側壁部
44 側壁部
45 前被支持部
46 後被支持部
47 高壁部
48 低壁部
49 偏向部
5 水切り部
51 被当接部
52 周端縁
53 外側の垂下壁
54 凹部
55 内側の垂下壁
56 凹部
6 皿受け
61 前突出部
62 後突出部
63 前支持部
7 上下連動機構
70 軸支部材
71 シーソー部材
72 回転腕
72a 回転軸
73 温度センサー支持部
74 固着具
75 ばね部
76 ローラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10