特許第6348396号(P6348396)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本自動車部品総合研究所の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許6348396-アンテナ装置 図000002
  • 特許6348396-アンテナ装置 図000003
  • 特許6348396-アンテナ装置 図000004
  • 特許6348396-アンテナ装置 図000005
  • 特許6348396-アンテナ装置 図000006
  • 特許6348396-アンテナ装置 図000007
  • 特許6348396-アンテナ装置 図000008
  • 特許6348396-アンテナ装置 図000009
  • 特許6348396-アンテナ装置 図000010
  • 特許6348396-アンテナ装置 図000011
  • 特許6348396-アンテナ装置 図000012
  • 特許6348396-アンテナ装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348396
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20180618BHJP
   H01Q 5/10 20150101ALI20180618BHJP
   H01Q 1/52 20060101ALI20180618BHJP
   H01Q 23/00 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   H01Q13/08
   H01Q5/10
   H01Q1/52
   H01Q23/00
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-206418(P2014-206418)
(22)【出願日】2014年10月7日
(65)【公開番号】特開2016-76839(P2016-76839A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】池田 正和
(72)【発明者】
【氏名】倉岡 宏明
【審査官】 米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/087755(WO,A1)
【文献】 特開平06−037532(JP,A)
【文献】 特開2000−209026(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0280581(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
H01Q 1/52
H01Q 5/10
H01Q 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成された導体である第1導体板(12,112,313)と、
板状に形成され、前記第1導体板と離間して対向するように配置された導体である第2導体板(13,113,312)と、
前記第1導体板と前記第2導体板との間に配置されて、内部に電子部品(41,117,317)を収容するための第1収容空間(21,130,330)が形成され、前記第1導体板と前記第2導体板の両方に接続される導体である第1短絡部(14,114,314)と、
前記第1短絡部の内部に配置された前記電子部品から、前記第1短絡部および前記第1導体板と電気的に接続されることなく前記第1短絡部の外部に向かって延びて、さらに前記第1短絡部の外部から、前記第1導体板と電気的に接続されることなく前記第1導体板と前記第2導体板との間で延びて前記第2導体板と電気的に接続される導体である第1接続部(15,115,315)とを備える
ことを特徴とするアンテナ装置(1,101,301)。
【請求項2】
前記第1導体板と前記第2導体板との間に配置されるともに、前記第1収容空間を構成する貫通孔が形成された誘電体(11)を備え、
前記第1短絡部は、
前記貫通孔の外側において前記貫通孔を覆うように配置されて、前記誘電体を貫通する複数のスルーホール導体(51)によって構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項3】
板状に形成された導体である第1導体板(212)と、
板状に形成され、前記第1導体板と離間して対向するように配置された導体である第2導体板(213)と、
前記第1導体板と前記第2導体板との間に配置されて、内部にアンテナ(216,217)を収容するための第2収容空間(221)が形成され、前記第1導体板と前記第2導体板の両方に接続される導体である第2短絡部(214)と、
前記第1導体板と電気的に接続される導体である第2接続部(215)とを備える
ことを特徴とするアンテナ装置(201)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短絡部を有するアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、底面に凹部を有する誘電体と、誘電体の上面に形成された放射電極部と、誘電体の底面と凹部に形成された接地電極部と、凹部内に配置されて放射電極部と接地電極部とに接続される電子部品と、凹部を塞ぐ蓋部とを備えた平面アンテナ装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このような平面アンテナ装置は、電子部品を内蔵することができ、電子部品を平面アンテナ装置の外部に設置する場合よりも、電子部品と平面アンテナ装置とを含んだ全体の厚さを薄くすることが可能となる。さらに、このような平面アンテナ装置は、接地電極部と蓋部とにより電子部品を電磁的にシールドすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−64636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、電磁的にシールドされた電子部品を平面アンテナ装置に内蔵すると、平面アンテナ装置の内部で発生する電界が、平面アンテナ装置に内蔵された電子部品の影響を受け、平面アンテナ装置の性能が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、電子部品を内蔵することに起因したアンテナ性能の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた第1発明のアンテナ装置は、第1導体板と、第2導体板と、第1短絡部と、第1接続部とを備える。
第1導体板は、板状に形成された導体である。第2導体板は、板状に形成され、第1導体板と離間して対向するように配置された導体である。
【0008】
第1短絡部は、第1導体板と第2導体板との間に配置されて、内部に電子部品を収容するための第1収容空間が形成され、第1導体板と第2導体板の両方に接続される導体である。
【0009】
第1接続部は、第1短絡部の内部に配置された電子部品から、第1短絡部および第1導体板と電気的に接続されることなく第1短絡部の外部に向かって延びて、さらに第1短絡部の外部から、第1導体板と電気的に接続されることなく第1導体板と第2導体板との間で延びて第2導体板と電気的に接続される導体である。
【0010】
このように構成された第1発明のアンテナ装置では、第1短絡部の内部の電子部品から第1接続部を通って第2導体板に到り、さらに第2導体板から第1短絡部を通って第1導体板に到る経路で電流が流れる。
【0011】
このため、第1発明のアンテナ装置は、第1導体板を接地電極とし第2導体板を放射電極とした場合と、第1導体板を放射電極とし第2導体板を接地電極とした場合の両方で、電子部品を介して放射電極へ電気信号を伝達したり、放射電極からの電気信号を電子部品へ伝達したりすることが可能となる。
【0012】
そして第1短絡部は、第1導体板と第2導体板の両方に接続される導体であるため、接地電位となる。これにより、第1短絡部の内部に収容された電子部品は、第1短絡部の外部で発生する電界の影響を受け難くなる。
【0013】
さらに、第1短絡部の内部に電子部品が収容されているため、第1導体板と第2導体板との間で発生する電界は、第1短絡部内の電子部品の影響を受け難くなる。
これにより、第1発明のアンテナ装置は、電子部品を内蔵することに起因したアンテナ性能の低下を抑制することができる。
【0014】
また第2発明のアンテナ装置は、第1導体板と、第2導体板と、第2短絡部と、第2接続部とを備える。
第2短絡部は、第1導体板と第2導体板との間に配置されて、内部にアンテナを収容するための第2収容空間が形成され、第1導体板と第2導体板の両方に接続される導体である。第2接続部は、第1導体板と電気的に接続される導体である。
【0015】
このように構成された第2発明のアンテナ装置では、第1導体板を放射電極とし第2導体板を接地電極とした場合に、第2接続部を介して放射電極へ電気信号を伝達したり、放射電極からの電気信号をアンテナ装置の外部へ伝達したりすることが可能となる。
【0016】
そして第2短絡部は、第1導体板と第2導体板の両方に接続される導体であるため、接地電位となる。これにより、第2短絡部の内部に収容されたアンテナは、第1導体板と第2導体板との間で発生する電界の影響を受け難くなる。
【0017】
さらに、第2短絡部の内部にアンテナが収容されているため、第1導体板と第2導体板との間で発生する電界は、第2短絡部内のアンテナの影響を受け難くなる。
これにより、第2発明のアンテナ装置は、アンテナを内蔵することに起因したアンテナ性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態の平面アンテナ装置1の断面図である。
図2】第1実施形態の平面アンテナ装置1の斜視図である。
図3】第1実施形態の平面アンテナ装置1の電流経路R1を示す断面図である。
図4】第1実施形態の平面アンテナ装置1の電界分布を示す断面図である。
図5】VSWRの周波数特性を示すグラフである。
図6】第2実施形態の平面アンテナ装置1の断面図である。
図7】第2実施形態の平面アンテナ装置1の斜視図である。
図8】第3実施形態の平面アンテナ装置101の断面図である。
図9】第3実施形態の平面アンテナ装置101の斜視図である。
図10】第4実施形態の平面アンテナ装置201の断面図である。
図11】第4実施形態の平面アンテナ装置201の斜視図である。
図12】第5実施形態の平面アンテナ装置301の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下に本発明の第1実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態の平面アンテナ装置1は、図1に示すように、誘電体11、上部平板12、地板13、短絡部14、給電導体15および回路部16を備える。
【0020】
誘電体11は、矩形板状に形成されている(図2を参照)。誘電体11内には、誘電体11を貫通する貫通孔21が形成される。貫通孔21は、貫通孔21内に回路部16を収容可能な大きさを有する。
【0021】
上部平板12は、矩形板状の誘電体11における上面22と接触するように配置された導体板である。上部平板12は、上面22の周縁部を覆わない大きさの矩形板状に形成されている(図2を参照)。さらに上部平板12は、貫通孔21と対向する部分と、給電線路32(後述)が配置される部分に開口部が形成されている。
【0022】
地板13は、矩形板状の誘電体11における下面23と接触するように配置された導体板である。地板13は、下面23の全体を覆うように形成されている。さらに地板13は、貫通孔21と対向する部分において貫通孔21を塞ぐように形成される。
【0023】
短絡部14は、貫通孔21の内周面全体に亘って形成された導体である。これにより短絡部14は、上部平板12と地板13とを電気的に接続する。
給電導体15は、給電ピン31、給電線路32、給電線33および給電ピン34を備える。
【0024】
給電ピン31は、棒状に形成された導体であり、一端が回路部16に接続された状態で貫通孔21内に配置される。
給電線路32は、誘電体11における上面22と接触するように配置されたストリップ線路である。なお上部平板12は、上述のように、給電線路32が配置される部分に開口部が形成されている。このため、給電線路32と上部平板12とは電気的に絶縁されている。
【0025】
給電線33は、一端が給電ピン31に接続され、他端が給電線路32に接続される導体線である。これにより給電線33は、給電ピン31と給電線路32とを電気的に接続する。
【0026】
給電ピン34は、棒状に形成された導体であり、誘電体11内を貫通するように配置されている。そして給電ピン34は、一端が給電線路32に接続され、他端が地板13に接続される。これにより給電ピン34は、給電線路32と地板13とを電気的に接続する。
【0027】
回路部16は、電子部品41と回路基板42とを備える。
電子部品41は、給電部18と平面アンテナ装置1とを接続する同軸ケーブルとのインピーダンス整合をとるインピーダンス整合回路と、給電部18から出力される高周波信号を増幅する増幅回路などから構成される。
【0028】
回路基板42は、板状に形成されており、上面に電子部品41を実装する。そして回路基板42は、その下面が地板13と接触するようにして、貫通孔21内に配置される。これにより回路部16は、貫通孔21内に収容される。
【0029】
このように構成された平面アンテナ装置1では、図3に示すように、回路部16から給電導体15と地板13と短絡部14とを通って上部平板12に到る電流経路R1で電流が流れる。これにより平面アンテナ装置1は、図4に示すように、上部平板12と地板13との間に垂直電界E1を発生させ、上部平板12の端部から電波を放射する。
【0030】
このように平面アンテナ装置1は、上部平板12と、地板13と、短絡部14と、給電導体15とを備える。
上部平板12は、板状に形成された導体である。地板13は、板状に形成され、上部平板12と離間して対向するように配置された導体である。
【0031】
短絡部14は、上部平板12と地板13との間に配置されて、内部に電子部品41を収容するための貫通孔21が形成され、上部平板12と地板13の両方に接続される導体である。
【0032】
給電導体15は、短絡部14の内部に配置された電子部品41から、短絡部14および上部平板12と電気的に接続されることなく短絡部14の外部に向かって延びて、さらに短絡部14の外部から、上部平板12と電気的に接続されることなく上部平板12と地板13との間で延びて地板13と電気的に接続される導体である。
【0033】
このように構成された平面アンテナ装置1では、短絡部14の内部の電子部品41から給電導体15を通って地板13に到り、さらに地板13から短絡部14を通って上部平板12に到る経路で電流が流れる。
【0034】
このため平面アンテナ装置1は、電子部品41を介して上部平板12へ電気信号を伝達することが可能となる。
そして短絡部14は、上部平板12と地板13の両方に接続される導体であるため、接地電位となる。これにより、短絡部14の内部に収容された電子部品41は、平面アンテナ装置1の放射電界からの影響が非常に小さくなり、0次モードの動作周波数で、短絡部14の外部で発生する電界の影響を受け難くなる。
【0035】
なお、上記の0次モードとは、下記の1次モードに比べて、上部平板12が波長に対して小さい場合に、上部平板12と地板13との間に同位相の垂直電界が生じることで、水平方向に無指向性の垂直偏波放射特性を示すモードのことである。また1次モードとは、上部平板12の一辺の長さが約1/2波長である場合において上部平板12に正弦波電流分布が形成されることで天頂方向放射特性を示すモードのことである。
【0036】
さらに、短絡部14の内部に電子部品41が収容されているため、上部平板12と地板13との間で発生する電界は、短絡部14内の電子部品41の影響を受け難くなる。
これにより平面アンテナ装置1は、電子部品41を内蔵することに起因したアンテナ性能の低下を抑制することができる。
【0037】
図5は、平面アンテナ装置1と、上部平板12と地板13との間に電子部品41を設置した平面アンテナ装置と、平面アンテナ装置1から電子部品41を省略した平面アンテナ装置について、電圧定在波比(VSWR)の周波数特性を示すグラフである。
【0038】
図5に示すように、平面アンテナ装置1の電圧定在波比(曲線L1を参照)は、平面アンテナ装置1から電子部品41を省略した平面アンテナ装置の電圧定在波比(曲線L2を参照)と比較して、ほとんど変化していない。一方、上部平板12と地板13との間に電子部品41を設置した平面アンテナ装置の電圧定在波比(曲線L3を参照)は、平面アンテナ装置1から電子部品41を省略した平面アンテナ装置の電圧定在波比(曲線L2を参照)と比較して、動作周波数が変化するとともに動作帯域幅が狭くなっている。
【0039】
以上説明した実施形態において、平面アンテナ装置1は本発明におけるアンテナ装置、上部平板12は本発明における第1導体板、地板13は本発明における第2導体板、貫通孔21は本発明における第1収容空間、短絡部14は本発明における第1短絡部、給電導体15は本発明における第1接続部である。
【0040】
(第2実施形態)
以下に本発明の第2実施形態を図面とともに説明する。なお第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0041】
第2実施形態の平面アンテナ装置1は、図6図7に示すように、短絡部14の代わりに複数のスルーホール導体51を設けた点以外は第1実施形態と同じである。
スルーホール導体51は、誘電体11内において誘電体11を貫通するように形成された導体である。これによりスルーホール導体51は、上部平板12と地板13とを電気的に接続する。そしてスルーホール導体51は、貫通孔21の外側において貫通孔21を覆うように配置されている。
【0042】
このように構成された平面アンテナ装置1は、貫通孔21の外側において誘電体11を貫通するスルーホールを形成した後に、メッキ処理によってスルーホール内に導体を形成するという簡便な方法で、内部に電子部品を収容するための収容空間を有する短絡部を形成することができる。
【0043】
(第3実施形態)
以下に本発明の第3実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態の平面アンテナ装置101は、図8に示すように、誘電体111、上部平板112、地板113、短絡部114、給電導体115、スペーサ116および電子部品117を備える。
【0044】
誘電体111は、矩形板状に形成されており(図9を参照)、電子部品117を実装するためのプリント基板として利用される。
上部平板112は、矩形板状の誘電体111における上面122と接触するように配置された導体板である。上部平板112は、上面122の周縁部を覆わない大きさの矩形板状に形成されている(図9を参照)。さらに上部平板112は、給電線路142(後述)が配置される部分に開口部が形成されている。
【0045】
地板113は、誘電体111との間にスペーサ116を挟んで、矩形板状の誘電体111における下面123と対向するように配置された導体板である。
短絡部114は、図9に示すように、誘電体111と地板113との間に配置された4つの側面板131,132,133,134を備え、矩形筒状に形成されている。矩形筒状に形成された短絡部114の筒内が、電子部品117を収容する収容空間130となる。
【0046】
側面板131,132,133,134は、矩形状に形成されており、矩形を構成する4辺のうち誘電体111と接触する側の辺において上部接続片141,142,143,144が設けられている。また側面板131,132,133,134は、矩形を構成する4辺のうち地板113と接触する側の辺において下部接続片151,152,153,154が設けられている。
【0047】
上部接続片141,142,143,144は、誘電体111と上部平板112とを貫通するようにして側面板131,132,133,134から突出する。また下部接続片151,152,153,154は、地板113を貫通するようにして側面板131,132,133,134から突出する。これにより短絡部114は、誘電体111と地板113との間で固定されるとともに、上部平板112と地板113とを電気的に接続する。
【0048】
なお、側面板131,132,133,134のうち側面板134は、給電線路142(後述)と交差するように配置されている。このため側面板134は、矩形を構成する4辺のうち誘電体111と接触する側の辺において、側面板134と給電線路142とが接触しないように凹部149が形成されている。
【0049】
給電導体115は、図8に示すように、給電ピン161、給電線路162および給電ピン163を備える。
給電ピン161は、誘電体111を貫通するようにして形成された導体であり、一端が電子部品117の一部と接続される。
【0050】
給電線路162は、給電ピン161の他端と接続され、誘電体111における上面122と接触するように配置されたストリップ線路である。なお上部平板112は、上述のように、給電線路162が配置される部分に開口部が形成されている。このため、給電線路162と上部平板112とは電気的に絶縁されている。
【0051】
給電ピン163は、棒状に形成された導体であり、一端が給電線路162と接続される。さらに給電ピン163は、誘電体111を貫通して地板113に到るように配置される。これにより給電ピン163は、給電線路162と地板113とを電気的に接続する。
【0052】
スペーサ116は、誘電体111と地板113とが予め設定された配置間隔dを隔てて配置されている状態を保持するために、誘電体111と地板113との間に配置された絶縁部材である。なおスペーサ116は、矩形板状に形成された誘電体111の四隅に位置するようにして、誘電体111と地板113との間に配置されている。
【0053】
電子部品117は、給電部118と平面アンテナ装置101とを接続する同軸ケーブルとのインピーダンス整合をとるインピーダンス整合回路と、給電部118から出力される高周波信号を増幅する増幅回路などから構成される。そして電子部品117は、矩形板状の誘電体111における下面123に実装される。
【0054】
このように平面アンテナ装置101は、上部平板112と、地板113と、短絡部114と、給電導体115とを備える。
上部平板112は、板状に形成された導体である。地板113は、板状に形成され、上部平板112と離間して対向するように配置された導体である。
【0055】
短絡部114は、上部平板112と地板113との間に配置されて、内部に電子部品117を収容するための収容空間130が形成され、上部平板112と地板113の両方に接続される導体である。
【0056】
給電導体115は、短絡部114の内部に配置された電子部品117から、短絡部14および上部平板112と電気的に接続されることなく短絡部114の外部に向かって延びて、さらに短絡部114の外部から、上部平板112と電気的に接続されることなく上部平板112と地板113との間で延びて地板113と電気的に接続される導体である。
【0057】
このように構成された平面アンテナ装置101では、短絡部114の内部の電子部品117から給電導体115を通って地板113に到り、さらに地板113から短絡部114を通って上部平板112に到る経路で電流が流れる。
【0058】
このため平面アンテナ装置101は、電子部品117を介して上部平板112へ電気信号を伝達することが可能となる。
そして短絡部114は、上部平板112と地板113の両方に接続される導体であるため、接地電位となる。これにより、短絡部114の内部に収容された電子部品117は、平面アンテナ装置101の放射電界からの影響が非常に小さくなり、0次モードの動作周波数で、短絡部14の外部で発生する電界の影響を受け難くなる。
【0059】
さらに、短絡部114の内部に電子部品117が収容されているため、上部平板112と地板113との間で発生する電界は、短絡部114内の電子部品117の影響を受け難くなる。
【0060】
これにより平面アンテナ装置101は、電子部品117を内蔵することに起因したアンテナ性能の低下を抑制することができる。
以上説明した実施形態において、平面アンテナ装置101は本発明におけるアンテナ装置、上部平板112は本発明における第1導体板、地板113は本発明における第2導体板、収容空間130は本発明における第1収容空間、短絡部114は本発明における第1短絡部、給電導体115は本発明における第1接続部である。
【0061】
(第4実施形態)
以下に本発明の第4実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態の平面アンテナ装置201は、図10に示すように、誘電体211、上部平板212、地板213、短絡部214、給電ピン215、第2アンテナ誘電体216、第2アンテナ放射素子217および第2アンテナ誘電体給電ピン218を備える。
【0062】
誘電体211は、矩形板状に形成されている(図11を参照)。誘電体211内には、誘電体211を貫通する貫通孔221が形成される。貫通孔221は、貫通孔221内に第2アンテナ誘電体216と第2アンテナ放射素子217を収容可能な大きさを有する。
【0063】
上部平板212は、矩形板状の誘電体211における上面222と接触するように配置された導体板である。上部平板212は、上面222の周縁部を覆わない大きさの矩形板状に形成されている(図11を参照)。さらに上部平板212は、貫通孔221と対向する部分に開口部が形成されている。
【0064】
地板213は、矩形板状の誘電体211における下面223と接触するように配置された導体板である。地板213は、下面223の全体を覆うように形成されている。さらに地板213は、貫通孔221と対向する部分において貫通孔221を塞ぐように形成される。
【0065】
短絡部214は、貫通孔221の内周面全体に亘って形成されている。これにより短絡部214は、上部平板212と地板213とを電気的に接続する。
給電ピン215は、棒状に形成された導体であり、一端が上部平板212と接続される。さらに給電ピン215は、誘電体211と地板213を貫通して、他端が同軸ケーブル251に接続される。なお、給電ピン215と地板213とは電気的に絶縁されている。
【0066】
第2アンテナ誘電体216は、貫通孔221内に収容可能な大きさで矩形板状に形成されている(図11を参照)。
第2アンテナ放射素子217は、矩形板状の第2アンテナ誘電体216における上面232と接触するように配置された導体板である。第2アンテナ放射素子217は、第2アンテナ誘電体216の周縁部を覆わない大きさの矩形板状に形成されている(図11を参照)。
【0067】
第2アンテナ誘電体給電ピン218は、棒状に形成された導体であり、一端が第2アンテナ放射素子217と接続される。さらに第2アンテナ誘電体給電ピン218は、第2アンテナ誘電体216と地板213を貫通して、他端が同軸ケーブル252に接続される。なお、第2アンテナ誘電体給電ピン218と地板213とは電気的に絶縁されている。
【0068】
したがって、第2アンテナ誘電体216と第2アンテナ放射素子217と地板213は一体となって、誘電体211と上部平板212と地板213で構成されるアンテナとは独立に動作する第2アンテナとして機能する。
【0069】
このように平面アンテナ装置201は、上部平板212と、地板213と、短絡部214と、給電ピン215とを備える。
上部平板212は、板状に形成された導体である。地板213は、板状に形成され、上部平板212と離間して対向するように配置された導体である。
【0070】
短絡部214は、上部平板212と地板213との間に配置されて、内部に第2アンテナ誘電体216および第2アンテナ放射素子217を収容するための貫通孔221が形成され、上部平板212と地板213の両方に接続される導体である。給電ピン215は、上部平板212と電気的に接続される導体である。
【0071】
このように構成された平面アンテナ装置201では、上部平板212からの電気信号を給電ピン215を介して平面アンテナ装置201の外部へ伝達することが可能となる。
そして短絡部214は、上部平板212と地板213の両方に接続される導体であるため、接地電位となる。これにより、短絡部214の内部に収容された第2アンテナは、上部平板212と地板213との間で発生する電界の影響を受け難くなる。
【0072】
さらに、短絡部214の内部に第2アンテナが収容されているため、上部平板212と地板213との間で発生する電界は、短絡部214内の第2アンテナの影響を受け難くなる。
【0073】
これにより、平面アンテナ装置201は、アンテナを内蔵することに起因したアンテナ性能の低下を抑制することができる。
以上説明した実施形態において、平面アンテナ装置201は本発明におけるアンテナ装置、上部平板212は本発明における第1導体板、地板213は本発明における第2導体板、貫通孔221は本発明における第2収容空間、短絡部214は本発明における第2短絡部、給電ピン215は本発明における第2接続部である。
【0074】
(第5実施形態)
以下に本発明の第5実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態の平面アンテナ装置301は、図12に示すように、誘電体311、上部平板312、地板313、短絡部314、給電導体315、スペーサ316、電子部品317および回路基板318を備える。
【0075】
誘電体311は、矩形板状に形成されている。
上部平板312は、矩形板状の誘電体311における上面322と接触するように配置された導体板である。上部平板312は、上面322の周縁部を覆わない大きさの矩形板状に形成されている。
【0076】
地板313は、誘電体311との間にスペーサ316を挟んで、矩形板状の誘電体311における下面323と対向するように配置された導体板である。
短絡部314は、第3実施形態の短絡部114と同様に、誘電体311と地板313との間に配置された4つの側面板を備え、矩形筒状に形成されている。矩形筒状に形成された短絡部314の筒内が、電子部品317を収容する収容空間330となる。
【0077】
4つの側面板は、第3実施形態の側面板131〜134と同様に、矩形状に形成されており、矩形を構成する4辺のうち誘電体311と接触する側の辺において上部接続片が設けられている。また、4つの側面板は、矩形を構成する4辺のうち地板313と接触する側の辺において下部接続片が設けられている。
【0078】
上部接続片は、第3実施形態の上部接続片141〜144と同様に、誘電体311と上部平板312とを貫通するようにして側面板から突出する。また下部接続片は、第3実施形態の下部接続片151〜154と同様に、地板313を貫通するようにして側面板から突出する。これにより短絡部314は、誘電体111と地板313との間で固定されるとともに、上部平板312と地板313とを電気的に接続する。
【0079】
なお、4つの側面板のうち1つの側面板は、給電線路341(後述)と交差するように配置されている。このため、この側面板は、矩形を構成する4辺のうち地板313と接触する側の辺において、側面板と給電線路341とが接触しないように凹部331が形成されている。
【0080】
給電導体315は、給電線路341および給電ピン342を備える。
給電線路341は、回路基板318上に配置されたストリップ線路であり、一端が電子部品317の一部と接続される。
【0081】
給電ピン342は、棒状に形成された導体であり、一端が給電線路341と接続される。さらに給電ピン342は、誘電体311を貫通して上部平板312に到るように配置される。これにより給電ピン342は、給電線路341と上部平板312とを電気的に接続する。
【0082】
スペーサ316は、誘電体311と地板313とが予め設定された配置間隔を隔てて配置されている状態を保持するために、誘電体311と地板313との間に配置された絶縁部材である。なおスペーサ316は、矩形板状に形成された誘電体311の四隅に位置するようにして、誘電体311と地板313との間に配置されている。
【0083】
電子部品317は、給電部319と平面アンテナ装置301とを接続する同軸ケーブルとのインピーダンス整合をとるインピーダンス整合回路と、給電部319から出力される高周波信号を増幅する増幅回路などから構成される。
【0084】
回路基板318は、板状に形成されており、上面に電子部品317を実装する。そして回路基板318は、その下面が地板313と接触するようにして、誘電体311と地板313との間に配置される。
【0085】
このように構成された平面アンテナ装置301では、電子部品317から給電導体315と上部平板312と短絡部314とを通って地板313に到る電流経路R2で電流が流れる。これにより平面アンテナ装置301は、上部平板312と地板313との間に垂直電界を発生させ、上部平板312の端部から電波を放射する。
【0086】
このように平面アンテナ装置301は、地板313と、上部平板312と、短絡部314と、給電導体315とを備える。
地板313は、板状に形成された導体である。上部平板312は、板状に形成され、地板313と離間して対向するように配置された導体である。
【0087】
短絡部314は、地板313と上部平板312との間に配置されて、内部に電子部品317を収容するための収容空間330が形成され、地板313と上部平板312の両方に接続される導体である。
【0088】
給電導体315は、短絡部314の内部に配置された電子部品317から、短絡部314および地板313と電気的に接続されることなく短絡部314の外部に向かって延びて、さらに短絡部314の外部から、地板313と電気的に接続されることなく地板313と上部平板312との間で延びて上部平板312と電気的に接続される導体である。
【0089】
このように構成された平面アンテナ装置301では、短絡部314の内部の電子部品317から給電導体315を通って上部平板312に到る経路で電流が流れる。
このため平面アンテナ装置301は、電子部品317を介して上部平板312へ電気信号を伝達することが可能となる。
【0090】
そして短絡部314は、地板313と上部平板312の両方に接続される導体であるため、接地電位となる。これにより、短絡部314の内部に収容された電子部品317は、平面アンテナ装置301の放射電界からの影響が非常に小さくなり、0次モードの動作周波数で、短絡部314の外部で発生する電界の影響を受け難くなる。
【0091】
さらに、短絡部314の内部に電子部品317が収容されているため、上部平板312と地板313との間で発生する電界は、短絡部314内の電子部品317の影響を受け難くなる。
【0092】
これにより平面アンテナ装置301は、電子部品317を内蔵することに起因したアンテナ性能の低下を抑制することができる。
以上説明した実施形態において、平面アンテナ装置301は本発明におけるアンテナ装置、地板313は本発明における第1導体板、上部平板312は本発明における第2導体板、収容空間330は本発明における第1収容空間、短絡部314は本発明における第1短絡部、給電導体315は本発明における第1接続部である。
【0093】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば上記第1実施形態では、平面アンテナ装置1を、電子部品41を介して上部平板12へ電気信号を伝達することにより上部平板12の端部から電波を放射する送信アンテナとして用いるものを示した。しかし、平面アンテナ装置1を、上部平板12からの電気信号を給電導体15を介して電子部品へ伝達する受信アンテナとして用いるようにしてもよい。
【0094】
また上記第1実施形態では、電子部品41がインピーダンス整合回路と増幅回路などから構成されるものを示した。しかし、短絡部14の内部に収容されるものは、電子部品であればよく、インピーダンス整合回路および増幅回路などに限定されるものではない。なお電子部品とは、電子機器に使用される部品のことである。そして電子部品は、能動部品と受動部品と機構部品とに大別される。能動部品には、トランジスタおよびダイオードなどが含まれる。受動部品には、抵抗器およびコンデンサなどが含まれる。機構部品には、コネクタおよび電線などが含まれる。
【0095】
また、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【符号の説明】
【0096】
1,101,201,301…平面アンテナ装置、12,112,212,312…上部平板、13,113,213,313…地板、14,114,214,314…短絡部、15,115,215,315…給電導体、41,117,317…電子部品、216…第2アンテナ誘電体、217…第2アンテナ放射素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12