(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348410
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】連続アンローダの付着防止装置
(51)【国際特許分類】
B65G 67/60 20060101AFI20180618BHJP
B65G 45/10 20060101ALI20180618BHJP
B65G 17/12 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
B65G67/60 D
B65G45/10 C
B65G17/12 A
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-250931(P2014-250931)
(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公開番号】特開2016-113227(P2016-113227A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】田畑 宏明
(72)【発明者】
【氏名】田中 良典
【審査官】
土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−267924(JP,A)
【文献】
特開2012−056712(JP,A)
【文献】
特開平09−165114(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0294318(US,A1)
【文献】
特開2005−024157(JP,A)
【文献】
特開2014−223989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 67/60
B65G 45/10
B65G 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船倉内の荷をチェーンに連結されたバケットで掻き取って荷揚げする連続アンローダにおいて、バケットが昇降するバケットエレベータケーシングに誘導加熱コイルを設けたことを特徴とする連続アンローダの付着防止装置。
【請求項2】
誘導加熱コイルに、高周波電源が接続される請求項1記載の連続アンローダの付着防止装置。
【請求項3】
船倉内の荷をチェーンに連結されたバケットで掻き取って荷揚げする連続アンローダにおいて、バケットが昇降するバケットエレベータケーシング内にマイクロ波を発振する発振器を設けたことを特徴とする連続アンローダの付着防止装置。
【請求項4】
発振器は、マイクロ波を下向きに降下するバケット内に発振する請求項3記載の連続アンローダの付着防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船倉内の鉄鉱石や石炭などの荷を荷揚げする連続アンローダに係り、特に連続アンローダのバケットへの荷の付着堆積を防止できる連続アンローダの付着防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連続アンローダは、鎖状チェーンに連結されたバケットで荷を掻き上げて荷役を行うが、含水分が多い荷を荷役する場合、バケットの風袋部に荷の付着が発生する。
【0003】
このように付着が発生すると、その分バケットでの持ち上げ量が減り荷役能力が低下する、或いは、先端部分の重量が増え起伏能力の不足が発生する。
【0004】
そのため、荷役中もしくは終了後に洗浄ピットでバケットの洗浄を行い、荷の付着を落とす作業を行うようにしている(特許文献1)。
【0005】
また、バケット内に付着物を掻き取る鎖を設けたり(特許文献2)、バケット内に付着防止用のライニングを施すようにしている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−154633号公報
【特許文献2】特開2004−256261号公報
【特許文献3】特開2009−137679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のバケットの洗浄は、実際の荷役時間ではなく、アイドル(非荷役)時間であるため、全体の荷役の効率低下となる。また、バケットの洗浄を荷役終了後に行う場合、荷役能力を低減した状態で作業することになる。
【0008】
また、特許文献2では、バケット内に付着物を掻き取る鎖を設けるため、その分の容積で搬送能力が低下する問題があり、また特許文献3では、ライニング材がゴムや樹脂製のため耐久性に問題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、荷役中でもバケットの風袋部への荷の付着を防止できると共に付着したときには取り除くことが可能な連続アンローダの付着防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、船倉内の荷をチェーンに連結されたバケットで掻き取って荷揚げする連続アンローダにおいて、バケットが昇降するバケットエレベータケーシングに誘導加熱コイルを設けたことを特徴とする連続アンローダの付着防止装置である。
【0011】
また、本発明は、船倉内の荷をチェーンに連結されたバケットで掻き取って荷揚げする連続アンローダにおいて、バケットが昇降するバケットエレベータケーシング内にマイクロ波を発振する発振器を設けたことを特徴とする連続アンローダの付着防止装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、高周波加熱やマイクロ波加熱により、バケットに付着する荷の水分を乾燥させることで、付着を防止できるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図1における高周波誘導加熱の作動を説明する図である。
【
図3】本発明の他の実施の形態を示す概略図である。
【
図4】本発明における連続アンローダを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0015】
先ず、
図4により連続アンローダ10を説明する。
【0016】
図4に示すように、連続アンローダ10は、埠頭などの岸壁11に設けられたレール12上を走行するポータル部13と、ポータル部13に水平旋回自在に設けられた旋回フレーム14と、旋回フレーム14の頂部に俯仰自在に設けられたバランシングレバー15と、バランシングレバー15にトップフレーム16を介して旋回自在に設けられ、荷役を行うためのバケットエレベータケーシング17と、トップフレーム16と旋回フレーム14とを連結して、これらとバランシングレバー15とで平行リンクを構成するブーム18とを備える。
【0017】
バランシングレバー15は、旋回フレーム14の後方へも延出されており、後端には、カウンターウェイト19が設けられる。バランシングレバー15と旋回フレーム14とは俯仰用シリンダ20で連結されており、俯仰用シリンダ20を伸縮させることで、バランシングレバー15及びブーム18を俯仰させるようになっている。
【0018】
バケットエレベータケーシング17は、多数のバケット21をチェーン22(
図1、
図3)で連結したバケットエレベータ23のケーシングを兼ねている。このバケットエレベータ23のチェーン22は、バケットエレベータケーシング17内上部に設けられた駆動スプロケット24と、バケットエレベータケーシング17の下方に掻取部25を形成する先端スプロケット26a、後端スプロケット26bとに巻き掛けられている。
【0019】
この連続アンローダ10による荷揚げは、岸壁11に貨物船などの船体30が接岸され、その船体30の船倉31上のハッチ32を開け、その船倉31内にバケットエレベータケーシング17を投入し、掻取部25を船倉31内の所定の位置に移動させると共に荷33上に位置させ、その状態でバケットエレベータ23を駆動して荷33を掻き取る。
【0020】
この掻取部25の各バケット21で掻き取られた荷33は、バケットエレベータケーシング17を通し、ブーム18内に設けたコンベア(図示せず)から旋回フレーム14内のシュート(図示せず)を介して、ポータル部13に設けた移送装置34から岸壁11に設けた陸揚げコンベア35に搬出され、陸揚げコンベア35から貯蔵設備に搬送されるようになっている。
【0021】
含水分の多い荷を荷揚げ中には、バケットエレベータケーシング17を通し、駆動スプロケット24で反転されてブーム18内のコンベアに荷33が投入されても、バケット21内の風袋部には、荷が付着して残ってしまい、これが順次堆積して風袋部内の容量が減少してしまう。
【0022】
本発明においては、
図1、
図2に示すように、バケット21が昇降するバケットエレベータケーシング17内に誘導加熱コイル40を設けたものである。
【0023】
この誘導加熱コイル40は、バケットエレベータケーシング17内に沿って螺旋状に配置され、そのコイル端にリード線42を介して高周波電源41が接続される。高周波電源41は、IHクッキングヒータなどに用いられる原理と同じであり、高周波電流を誘導加熱コイル40に流すようになっている。
【0024】
誘導加熱コイル40は、
図1、2では、バケットエレベータケーシング17内に昇降するバケット21の周囲を囲むように配置しているが、上昇側のバケット21uは荷があり、下降側のバケット21dは、荷を降ろした状態で空であり、その風袋部21tに荷33dが付着しているため、下降側のバケット21dを誘導加熱できるように、下降側のバケットエレベータケーシング17側の面に平行に誘導加熱コイル40を平面状に並べて配置するようにするのが好ましい。
【0025】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0026】
連続アンローダ10の掻取部25で荷が掻き取られ、各バケット21に取り込まれた荷は、バケットエレベータケーシング17を通して上昇して搬出され、空となったバケット21が、バケットエレベータケーシング17を通して降下する。この際、誘導加熱コイル40には、高周波電流が印加されて磁力線Lmが発生し、その磁力線Lmでバケット21が誘導加熱されるため、バケット21の風袋部21tに付着している含水分の多い荷33dが加熱乾燥される。これにより付着した荷33dがバケット21から剥離して落下するため、その付着が防止されると共にその堆積がなくなる。
【0027】
図3は、本発明の他の実施の形態を示したものである。
【0028】
本実施の形態においては、バケットエレベータケーシング17内、特に、空のバケット21が降下する側のバケットエレベータケーシング17にマイクロ波を発振する発振器45を複数間隔をおいて設けたものである。
【0029】
発振器45の発信周波数は、電子レンジ等に用いられる発振器と同じ原理のものである。
【0030】
この実施の形態においては、
図1、
図2の実施の形態と違って、バケット21に付着した荷中の水分を直接加熱するため、効率のよい乾燥が行える。
【0031】
発振器45のマイクロ波は、バケットエレベータケーシング17の内面やバケット21の面で反射されるため、バケット21内により効果的にマイクロ波が入射できるように、発振器45の導波管45wを、下向きに開口したバケット21の底面に向けてマイクロ波Mを発振できるようにすることで、より確実にバケット21に付着した荷にマイクロ波を照射できる。
【符号の説明】
【0032】
10 連続アンローダ
17 バケットエレベータケーシング
21 バケット
22 チェーン
40 誘導加熱コイル
45 発振器