(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明にかかる部品実装装置の第1実施形態を示す平面図である。また、
図2は
図1に示す部品実装装置の正面図である。この部品実装装置100は1台の実装機101により構成されている。部品実装装置100は、
図1および
図2に示すように、基台1と、基台1上に配置されX方向に基板110を搬送する基板搬送機構部2と、部品をそれぞれ供給する2つの部品供給部4a、4bと、部品実装用のヘッドユニット5とを備えている。
【0017】
基板搬送機構部2は、基板110の搬送方向(X方向)に延びる一対のコンベア2aを有している。一対のコンベア2aは、X1方向側から基板110を受け入れて所定の実装作業位置に搬送するとともに、実装作業後に、作業済みの基板110をX2方向側に搬出するように構成されている。
【0018】
部品供給部4a、4bは、基板搬送機構部2の前方側(Y2方向側)において互いにX方向に離間して配置されている。これらの部品供給部4a、4bでは、複数の部品供給ユニットが設けられている。本実施形態では、部品供給ユニットの一例として、IC、トランジスタおよびコンデンサ等のチップ部品を収納したテープフィーダー41が用いられており、各部品供給部4a、4bにおいて複数のテープフィーダー41が基板搬送機構部2に沿ってX方向に配列されている。そして、部品供給部4a、4bにおいて各テープフィーダー41は、間欠的にテープを繰り出しながらチップ部品を基板搬送機構部2近傍の所定の部品供給位置41aに供給するように構成されている。なお、これらのテープフィーダー41は作業者などにより各部品供給部4a、4bへの装着位置を適宜変更可能となっている。
【0019】
ヘッドユニット5は、後述するノズル20を介して部品供給部4a、4bから供給される部品を吸着して基板110に実装する機能を有している。ヘッドユニット5は、基板110の搬送方向(X方向)および前後方向(Y方向)に移動可能に構成されている。具体的には、ヘッドユニット5は、X方向に延びるユニット支持部材6によりX方向に移動可能に支持されている。また、ヘッドユニット5は、X軸モーター7aによりボールねじ軸7bが回動されることによってX方向に移動される。ユニット支持部材6は、Y方向に延びる一対の固定レール1bを介して、一対の高架フレーム1aによりY方向に移動可能に支持されている。ユニット支持部材6は、Y軸モーター8aによりボールねじ軸8bが回動されることによってY方向に移動される。
【0020】
また、ヘッドユニット5は、部品吸着用のノズル20が取り付けられる実装ヘッド51を複数個備えている。各実装ヘッド51は、Z軸モーター5a(
図3)により昇降(Z方向の移動)可能であるとともに、R軸モーター5b(
図3)によりノズル20の中心を通る鉛直軸線を回動中心としてR方向に回動可能に構成されている。実装ヘッド51は、6個設けられており、3個ずつ前後の2列で配列されている。また、ノズル20は、各実装ヘッド51に1つずつ取り付けられており、実装ヘッド51と同様に、3個ずつ前後の2列で配列されている。すなわち、6個のノズル20は、
図1に示すように、3個ずつY方向にずれた状態で配置されている。また、前列の3個のノズル20はX方向に沿って配置されて前側ノズル列21を形成するとともに、後列の3個のノズル20は前側のノズル20に対して中心間距離で離間距離を隔てた状態でX方向に沿って配置されて後側ノズル列22を形成している。このように本実施形態では、2つのノズル列21、22を互いにX方向にずらしながらY方向に配列し、前後のノズル20を千鳥状に配置している。
【0021】
部品実装装置100には、
図1に示すように、ヘッドユニット5により吸着された部品を撮像する部品撮像ユニット9が設けられている。部品撮像ユニット9は、ヘッドユニット5により部品供給部4a、4bから取り出されて各ノズル20に保持された部品の保持状態を認識する機能を有している。この部品撮像ユニット9は、基台1上に設けられており、本実施形態では平面視で部品供給部4a、4bの間において、各テープフィーダー41のX方向に1列に並ぶ部品供給位置41aと同じY方向位置に配置されている。部品撮像ユニット9は、ヘッドユニット5により吸着された部品をその下方から撮像するように構成されている。
【0022】
さらに、ヘッドユニット5のX2方向側には、基板撮像ユニット10が固定されており、ヘッドユニット5がX軸方向およびY軸方向に移動することで任意の位置で基板110の上方から撮像可能となっている。そして、基板撮像ユニット10は、実装作業位置上にある基板110に付された複数のフィデューシャルマークを撮像して基板位置、基板方向を画像認識する。
【0023】
図3は
図1の部品実装装置の電気的構成を示すブロック図である。この部品実装装置100は、基板データを作成するとともに当該基板データを用いて装置各部を制御して部品実装を効率的に行うコントローラ120を有している。このコントローラ120には、CPU(= Central Processing Unit)やRAM(=Random Access Memory)等を有するコンピューターにより構成される演算処理部121と、ハードディスクドライブなどの記憶部122と、モーター制御部123と、画像処理部124と、ディスクドライブインターフェース(I/F)部125とが設けられている。
【0024】
演算処理部121は、予め記憶部122に記憶されている自動実装プログラムP1や最適化プログラムP2を適宜読み出し、RAM(図示省略)に展開し、自動実装処理や最適化処理を行う。この最適化処理は、部品供給部4a、4bにおけるテープフィーダー41の配置、ヘッドユニット5における実装ヘッド51の配置や部品搭載順序などを考慮して実装効率を高めるのに有利な基板データを作成するデータ作成処理である。こうして作成された基板データは、最適化プログラムP2のバージョンデータと関連付けられた状態で実装計画情報MIとして記憶部122に記憶される。また、自動実装処理は基板データにしたがって装置各部を制御し、部品供給部4a、4bから供給される部品の受取、当該部品の撮像、当該部品の基板110への実装、およびこれらのためのヘッドユニット5の複数回の移動よりなる単位シーケンスを繰り返して行う処理である。こうして、複数の部品が全部基板110に実装される。
【0025】
モーター制御部123には、X軸モーター7a、Y軸モーター8a、Z軸モーター5aおよびR軸モーター5bが電気的に接続されており、各モーターを駆動制御する。また、これらのモーター7a、8a、5a、5bにはモーターの回転状況に応じたパルス信号を出力するエンコーダ(図示省略)がそれぞれ付設されている。各エンコーダから出力されるパルス信号はコントローラ120に取り込まれる構成となっており、これらの信号を受けた演算処理部121が各軸モーター7a、8a、5a、5bの回転量に関する情報を取得し、モーター制御部123と共に各軸モーター7a、8a、5a、5bを制御する。
【0026】
画像処理部124には部品撮像ユニット9および基板撮像ユニット10が電気的に接続されており、これら各ユニット9、10から出力される撮像信号がそれぞれ画像処理部124に取り込まれる。そして、画像処理部124では、取り込まれた撮像信号に基づいて、部品画像の解析ならびに基板画像の解析がそれぞれ行われる。
【0027】
ディスクドライブI/F部125はディスクドライブ11と電気的に接続されており、ディスクドライブ11に挿入されるCD−ROM(=Compact Disc Read Only Memory)やDVD−ROM(=Digital Versatile Disk Read Only Memory)などの外部記録媒体EMに記録されているインストールプログラムP3(
図5参照)を読み取り可能となっており、読取部として機能する。このインストールプログラムP3は部品実装装置100のアップデート用ソフトウェアであり、当該インストールプログラムP3をインストールすることで自動実装プログラムP1や最適化プログラムP2をバージョンアップさせることが可能となっている。なお、この実施形態では、記録媒体としてCD−ROMなどを用いているが、その他の記録媒体を用いてインストールプログラムP3の読み取りを行うようにしてもよい。また、通信手段を利用してインストールプログラムP3を読取るように構成してもよい。
【0028】
なお、
図3中の符号130は、演算処理部121により作成された基板データに関連する各種情報などを表示したり、ユーザがコントローラ120に対して各種データや指令などの情報を入力するための表示/操作ユニットである。特に、本実施形態では、次に説明するように、インストールプログラムP3を用いて部品実装装置100のアップデート作業を行った際に基板データの更新を提案するメッセージが表示/操作ユニット130に表示されることがある。
【0029】
図4はインストールプログラムを用いた部品実装装置のアップデート作業の一例を示すフローチャートである。また、
図5はアップデート作業に伴うプログラムおよび実装計画情報の変化を模式的に示す図である。なお、
図5(および後で説明する
図7)中の「記憶部」および「読取部」とは、それぞれ記憶部122およびディスクドライブ11を意味している。
【0030】
部品実装装置100のアップデート作業を行う場合、ユーザがアップデート用のインストールプログラムP3を記憶している外部記録媒体EMをディスクドライブ11に挿入する。すると、部品実装装置100の演算処理部121は外部記録媒体EMの挿入に対応してインストールプログラムP3を読み出し、RAM(図示省略)に展開し、インストール処理を実行して(ステップS101)、ソフトウェアのバージョンアップを行う。ここでは、バージョンアップ前の記憶部122に記憶されている自動実装プログラムおよび最適化プログラムをそれぞれ「自動実装プログラムP1(v1)」および「最適化プログラムP2(v1)」と称する。また、最適化プログラムP2(v1)による最適化処理に作成された基板データを「基板データBD(v1)」と称し、基板データBD(v1)をバージョンデータVD(v1)と関連付けた実装計画情報MIが記憶部122に記憶されている。
【0031】
このインストール処理によって常に全てのソフトウェアがバージョンアップされるというわけではなく、例えば
図5中の(b)欄に示すように自動実装プログラムのみがバージョンアップされて「自動実装プログラムP1(v2)」となったり、
図5中の(c)欄に示すように最適化プログラムも併せてバージョンアップされて「最適化プログラムP2(v2)」となることがある。
【0032】
そこで、本実施形態では、ステップS102で演算処理部121は、現状の実装計画情報MIに含まれるバージョンデータと、インストール処理完了後の最適化プログラムのバージョンデータを読み出し、両者を比較する。そして、その比較結果に基づいて演算処理部121は、現時点での最適化プログラムのバージョンよりも新しいバージョンの最適化プログラムがインストールされたか否かを判定する。例えば
図5(b)に示すように最適化プログラムのバージョンアップが行われていないときには「NO」と判定され、インストール処理を終了する。一方、
図5(c)に示すように最適化プログラムのバージョンアップが行われているときには「YES」と判定され、基板データの更新提案や更新動作を行う。
【0033】
ステップS102で「YES」と判定された際には、基板データBD(v1)の作成を行った最適化プログラムP2(v1)よりも改良された最適化プログラムP2(v2)がインストールされている。したがって、当該最適化プログラムP2(v2)による最適化処理を再実行することで基板データが更新され、この基板データを用いて自動実装処理を行うことで実装効率の向上を図ることができる。そこで、本実施形態では、演算処理部121は、既存の最適化プログラムP2(v1)のバージョンよりも新しいバージョンの新たな最適化プログラムP2(v2)がインストールされたことを検知すると、最適化処理を再実行して基板データの更新を行うことを提案するメッセージを表示/操作ユニット130に表示する(ステップS103)。このように、本実施形態では、演算処理部121が最適化プログラムP2のバージョンアップを検知する検知機能ブロック121aおよび更新提案を行う提案機能ブロック121bとして機能しており、これらの機能ブロック121a、121bがそれぞれ本発明の「検知部」および「提案部」の一例に相当している。
【0034】
こうしてユーザはインストール作業中に提案メッセージを確認し、実装効率の向上の可能性を知る。しかしながら、ユーザが更新しないと判断し、その旨を表示/操作ユニット130により入力すると、更新動作を行うことなくインストール処理を終了する。一方、ユーザが表示/操作ユニット130を介して更新を指示すると、演算処理部121はステップS104で「YES」と判定し、バージョンアップされた最適化プログラムP2(v2)による最適化処理を実行して新たな基板データBD(v2)を作成する(ステップS105)。このように、演算処理部121はバージョンアップされた最適化プログラムによる最適化処理を実行する最適化機能ブロック121cとしても機能する。
【0035】
そして、演算処理部121は実装計画情報MI中の基板データを既存の基板データBD(v1)から新たな基板データBD(v2)に書き換えるとともに、バージョンデータもバージョンデータVD(v1)からバージョンデータVD(v2)に書き換え(ステップS106)、インストール処理を終了する。なお、基板データの書換は必須事項ではなく、例えば新たな基板データの作成毎に別ファイルを作成してもよい。
【0036】
以上のように、第1実施形態では、最適化プログラムがバージョンアップされて実装効率の向上を図ることが可能となると、その旨を表示/操作ユニット130を表示してユーザに更新提案を行っている。このため、最適化プログラムのバージョンアップをユーザが見逃すのを確実に防止することができ、最適化プログラムのバージョンアップによる実装効率の向上の機会をユーザに的確に提供することができる。そして、当該更新提案を受けたユーザが最適化処理の再実行を指示することで基板データが更新される。これによって、当該ユーザは上記バージョンアップによる利益を的確に享受する。つまり、上記更新提案にしたがってユーザが新たな最適化プログラムにより最適化処理を行うと、アップデートされた部品実装装置100の性能を最大限発揮させることができる。
【0037】
なお、上記第1実施形態では、最適化プログラムがバージョンアップされると、最適化処理の再実行を提案しているのみであるため、ユーザとしては再実行による向上度合を具体的に把握することができない。そこで、例えば最適化処理後において基板データの更新による効果(向上度合:実装処理の短縮時間や短縮割合など)を確認し、それを示すメッセージ(例えば「○○だけ時間が短縮された」)を表示してもよい。また、更新された基板データに基づいて向上度合を求め、上記提案と一緒に表示/操作ユニット130を表示してもよい。この場合、このような具体的数値がユーザにとって更新提案にしたがって最適化処理を再実行すべきか否かの判断材料となり、有益である。以下、本発明の第2実施形態について、
図6および
図7を参照しつつ説明する。
【0038】
図6は本発明にかかる部品実装装置の第2実施形態の動作を示すフローチャートである。また、
図7は第2実施形態におけるアップデート作業に伴うプログラムおよび実装計画情報の変化を模式的に示す図である。なお、
図7中の「実装推定時間」とは、基板データを用いて全部品を基板110に実装するのに要する時間を演算処理部121が推定した値であり、実装計画情報MI内でバージョンデータおよび基板データに関連付けられている。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、実装推定時間の具体的数値を求め、これを更新提案と一緒に表示する点であり、その他の構成および動作は第1実施形態と基本的に同一である。そこで、以下においては、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
部品実装装置100のアップデート作業を行うために、ユーザが外部記録媒体EMをディスクドライブ11に挿入すると、第1実施形態と同様に、インストールプログラムP3によるインストール処理が実行される(ステップS201)。そして、次のステップS202で演算処理部121は第1実施形態と同様にバージョンデータの比較によって現時点での最適化プログラムのバージョンよりも新しいバージョンの最適化プログラムがインストールされたか否かを判定する。ここで、最適化プログラムのバージョンアップが行われていないときには演算処理部121は「NO」と判定し、インストール処理を終了する。一方、最適化プログラムのバージョンアップが行われているときには演算処理部121は「YES」と判定し、ステップS203に進む。
【0040】
このステップS203で演算処理部121はバージョンアップされた最適化プログラムによる最適化処理を再実行して仮基板データを作成する。また、演算処理部121は仮基板データを用いて全部品を基板110に実装するのに要する時間、つまり実装推定時間を導出する(ステップS204)。そして、例えば
図7の(b)欄に示すように、当該最適化プログラムのバージョンデータVD(v2)、仮基板データBD(v2)および実装推定時間T(v2)を相互に関連付けた実装計画情報TMIが記憶部122に記憶される(ステップS205)。なお、この段階では、実装計画情報TMIはあくまでも仮情報であり、バージョンアップ前に自動実装処理に用いられていた基板データBD(v1)を含む実装計画情報MIはそのまま記憶部122に残っている。
【0041】
次のステップS206で演算処理部121は、バージョンアップ前後の実装推定時間T(v1)、T(v2)を記憶部122から読み出し、バージョンアップによる実装推定時間の減少量ΔT(=T1−T2)を算出する。そして、減少量ΔTがゼロ以下である、つまり基板データの更新を行ったとしても実装効率は同じあるいは逆に低下するときには演算処理部121はステップS206で「NO」と判定し、インストール処理を終了する。一方、減少量ΔTがゼロよりも大きな値、つまり基板データの更新によって実装効率が向上するときには「YES」と判定し、基板データの更新を行うことを提案するメッセージと併せて減少量ΔTを表示/操作ユニット130に表示する(ステップS207)。
【0042】
こうしてユーザは提案メッセージを確認し、実装効率の向上の可能性に加え、基板データの更新によって実装効率がどの程度向上するのかを具体的に知ることができる。そして、ユーザが更新しないと判断し、その旨を表示/操作ユニット130により入力すると、更新動作を行うことなくインストール処理を終了する。一方、ユーザが表示/操作ユニット130を介して更新を指示すると、演算処理部121はステップS208で「YES」と判定し、バージョンアップ前に用いていた実装計画情報MIを過去の実装計画情報PMIとする一方で、仮の実装計画情報TMIを実装計画情報MIに昇格させて基板データの更新を行う。ここで、実装計画情報PMIを記憶部122中の別のフォルダ(図示省略)に移動させたり、消去するように構成してもよい。この点については、後で説明する第4実施形態においても同様である。
【0043】
以上のように、第2実施形態では、最適化プログラムがバージョンアップされて実装効率の向上を図ることが可能となると、その旨のみならず、基板データを更新したことによる実装効率の向上度合(具体的には減少量ΔT)が併せて表示/操作ユニット130に表示される。したがって、第1実施形態の作用効果に加え、ユーザは基板データを更新すべきか否かをより的確に判断することができるようになる。また、ユーザは実装効率の向上を具体的に知ることで作業計画も立案し易くなる。
【0044】
ところで、上記第1実施形態および第2実施形態では、最適化プログラムが基板110への複数の部品の実装に要する時間(以下「実装時間」という)に影響を与える因子のひとつとして捉え、最適化プログラムのバージョンアップを因子の変化となる点に着目している。当該因子はこれに限定されるものではなく、基板仕様(例えば基板形状や寸法)、部品仕様(例えば部品形状、寸法、外観)、装置仕様(部品供給部4a、4bの構造(例えばテープフィーダー41の配置)、ヘッドユニット5の構成(例えば実装ヘッド51の配置)、自動実装プログラムのバージョンアップに伴うヘッドユニット5の動作態様)などが含まれる。したがって、これらのうち少なくとも1つが変化したときに基板データを更新するのが望ましいこともある。そこで、基板仕様、部品仕様および装置仕様の変化を、実装時間に影響を与える因子の変化として捉え、基板データの更新を提案するように構成してもよい(第3実施形態、第4実施形態)。以下、
図8を参照しつつ第3実施形態について説明し、さらに
図9を参照しつつ第4実施形態について説明する。
【0045】
図8は本発明にかかる部品実装装置の第3実施形態の動作を示すフローチャートである。この第3実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、実装時間に影響を与える因子を基板仕様、部品仕様および装置仕様としており、これらのうち少なくとも1つが変化することをトリガーとして基板データの更新提案を行う点である。なお、その他の構成および動作は第1実施形態と基本的に同一である。そこで、以下においては、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
この第3実施形態では、部品実装装置100の電源投入直後の装置立ち上げ時、装置の稼働時間が一定値を超える時など、予め設定したタイミングで演算処理部121は基板仕様、部品仕様および装置構成に関する情報を取得する(ステップS301)。この動作はステップS302で基板仕様などにおいて変化が認められるまで繰り返して行われる。
【0047】
基板仕様などに変化が生じていることを検知する(ステップS302で「YES」)と、基板データの更新により実装効率が向上する可能性があると演算処理部121は判断し、最適化処理を再実行して基板データの更新を行うことを提案するメッセージを表示/操作ユニット130に表示する(ステップS303)。
【0048】
こうしてユーザは上記したタイミングで提案メッセージを確認し、実装効率の向上の可能性を知るが、更新しないと判断すると、その旨を表示/操作ユニット130により入力する。この場合、更新動作を行うことなく処理を終了する。一方、ユーザが表示/操作ユニット130を介して更新を指示すると、演算処理部121はステップS304で「YES」と判定し、記憶部122に保存されている最適化プログラムP2による最適化処理を実行して新たな基板データを作成する(ステップS305)。そして、演算処理部121は実装計画情報MI中の基板データを既存の基板データから新たな基板データに書き換え、処理を終了する。
【0049】
以上のように、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、基板仕様の変更などに応じた基板データに更新することで実装効率の向上を図ることが可能となると、その旨を表示/操作ユニット130を表示してユーザに更新提案を行っている。このため、基板仕様などが変化した場合であっても、実装効率の向上を図るチャンスをユーザが見逃すのを確実に防止することができ、基板仕様などの変化に対応した実装効率の向上の機会をユーザに的確に提供することができる。そして、当該更新提案を受けたユーザが最適化処理の再実行を指示することで基板データが更新される。これによって、当該ユーザは基板仕様などの変化にかかわらず部品実装装置100の性能を最大限発揮させることができる。
【0050】
図9は本発明にかかる部品実装装置の第4実施形態の動作を示すフローチャートである。この第4実施形態が第2実施形態と大きく相違する点は、実装時間に影響を与える因子を基板仕様、部品仕様および装置仕様としており、これらのうち少なくとも1つが変化することをトリガーとし、仮基板データの作成、実装推定時間の導出および基板データの更新提案を行う点である。なお、その他の構成および動作は第2実施形態と基本的に同一である。そこで、以下においては、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
この第4実施形態では、部品実装装置100の電源投入直後の装置立ち上げ時、装置の稼働時間が一定値を超える時など、予め設定したタイミングで演算処理部121は基板仕様、部品仕様および装置構成に関する情報を取得する(ステップS401)。この動作はステップS402で基板仕様などにおいて変化が認められるまで繰り返して行われる。
【0052】
基板仕様などに変化が生じていることを検知する(ステップS402で「YES」)と、基板データの更新により実装効率が向上する可能性があると演算処理部121は判断し、記憶部122に保存されている最適化プログラムP2による最適化処理を再実行して仮基板データを作成する(ステップS403)。また、演算処理部121は仮基板データを用いて実装推定時間を導出する(ステップS404)とともに、仮基板データおよび実装推定時間を相互に関連付けた実装計画情報を記憶部122に書き込む(ステップS405)。なお、この段階では、実装計画情報はあくまでも仮情報であり、これ以前に自動実装処理に用いられていた基板データを含む実装計画情報はそのまま記憶部122に残っている。
【0053】
次のステップS406で演算処理部121は、仮基板データの作成前後の実装推定時間を記憶部122から読み出し、基板仕様などの変化に対応する基板データの更新による実装推定時間の減少量を算出する。そして、減少量がゼロ以下であり、基板データの更新を行ったとしても実装効率は同じあるいは逆に低下するときには演算処理部121はステップS406で「NO」と判定し、処理を終了する。一方、減少量がゼロよりも大きく、基板データの更新によって実装効率が向上するときには「YES」と判定し、基板データの更新を行うことを提案するメッセージと併せて減少量を表示/操作ユニット130に表示する(ステップS407)。
【0054】
こうしてユーザは上記タイミングで提案メッセージを確認し、実装効率の向上の可能性に加え、基板データの更新によって実装効率がどの程度向上するのかを具体的に知ることができる。そして、ユーザが更新しないと判断し、その旨を表示/操作ユニット130により入力すると、更新動作を行うことなく処理を終了する。一方、ユーザが表示/操作ユニット130を介して更新を指示すると、演算処理部121はステップS408で「YES」と判定し、これ以前に用いていた実装計画情報MIを過去の実装計画情報とする一方で、仮の実装計画情報を実装計画情報MIに昇格させて基板データの更新を行う。
【0055】
以上のように、第4実施形態では、基板仕様の変更などに応じた基板データに更新することで実装効率の向上を図ることが可能となると、その旨のみならず、基板データを更新したことによる実装効率の向上度合(減少量)が併せて表示/操作ユニット130に表示される。したがって、第3実施形態の作用効果に加え、ユーザは基板データを更新すべきか否かをより的確に判断することができるようになる。また、ユーザは実装効率の向上を具体的に知ることで作業計画も立案し易くなる。
【0056】
このように、上記第1実施形態ないし第4実施形態では、演算処理部121は自動実装プログラムP1にしたがって装置各部を制御して基板データを用いた自動実装処理を行っており、本発明の「実装制御部」として機能している。また、自動実装プログラムP1にしたがってヘッドユニット5が移動するときの加減速パターンなどが本発明の「ヘッドユニットの動作態様」の一例に相当する。また、インストールプログラムP3が本発明の「更新提案のためのプログラム」の一例に相当し、これを記録する外部記録媒体EMが本発明の「記録媒体」の一例に相当している。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。部品実装装置100は
図1に示すものに限定されるものではなく、部品供給部やヘッドユニットの構成などは任意である。
【0058】
また、上記実施形態では、1台の実装機101により構成された部品実装装置100に対して本発明を適用しているが、例えば
図10に示すように、実装機102〜104と制御装置105とをローカルエリアネットワークなどの通信回線により接続してなる部品実装装置100に対して本発明を適用してもよい。もちろん、制御装置105に接続される実装機の台数は3台に限定されるものではなく、任意である。このように構成された部品実装装置100においては、制御装置105は、演算処理部121、記憶部122、ディスクドライブI/F部125および通信制御部126を有するコントローラ120を有している。そして、演算処理部121は上記第1実施形態ないし第4実施形態の演算処理部と同様に検知機能ブロック121a、提案機能ブロック121bおよび最適化機能ブロック121cとして機能する。これによって、第1実施形態ないし第4実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0059】
また、基板110に実装すべき部品の数が多くなるにしたがって最適化処理に要する時間が増大する。このため、例えば第2実施形態や第4実施形態においては、最適化処理を再実行して新たな基板データを作成する動作を、既存の基板データを用いた自動実装処理と並行して行うのが望ましい。これによって、部品実装装置100の稼働率を高めることができ、好適である。
【0060】
また、上記第2実施形態および第4実施形態では、実装効率の向上度合として、基板データの更新により短縮される時間(減少量ΔT)を表示/操作ユニット130に表示して通知しているが、短縮時間以外の物理量、例えば短縮割合や工程数の削減量などを用いてもよい。
【0061】
さらに、上記第1実施形態ないし第4実施形態では、表示/操作ユニット130へのメッセージの表示によって基板データの更新を提案しているが、提案態様はこれに限定されるものではなく、例えば音声通知やランプ通知などの他の方式で提案してもよい。この点については、減少量の通知も同様である。