(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記小さな目標組合せ重量を第2目標組合せ重量とすると共に、該第2目標組合せ重量に変更する前の目標組合せ重量を第1目標組合せ重量とし、前記第1目標組合せ重量から前記第2目標組合せ重量を減算した重量を、付着補正量としたときに、該付着補正量を設定する付着補正量設定手段を備える、
請求項1ないし3のいずれかに記載の組合せ秤。
前記小さな目標組合せ重量を第2目標組合せ重量とすると共に、該第2目標組合せ重量に変更する前の目標組合せ重量を第1目標組合せ重量としたときに、前記組合せ演算手段は、前記第1目標組合せ重量を、前記零点補正手段による前記零点補正で得られる零点変動量に応じて変更する、
請求項1ないし3のいずれかに記載の組合せ秤。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤は、一般に、複数の計量ホッパを備えており、複数の計量ホッパに供給された被計量物の重量を種々に組合せた組合せ重量が、目標組合せ重量に等しい、又は、目標組合せ重量に最も近い所定重量範囲内となる計量ホッパの組合せを選択し、選択した計量ホッパから被計量物を排出するものである。通常、組合せ秤は包装機と共に用いられ、組合せ秤で計量された所定重量範囲内の被計量物は、組合せ秤から排出されて包装機へ投入され、包装機で1つの包装品として包装される。
【0003】
被計量物が、例えば、甘納豆などの砂糖漬けされた菓子類や漬物などの水分を多く含んだ食品の場合、計量ホッパの内壁に砂糖や漬け汁、あるいは、被計量物の欠片などが付着する場合がある。
【0004】
このため、計量ホッパを、凹凸面を有する板材で構成し、被計量物の付着を凹凸面で防止することも行われているが、完全に被計量物の付着を防止することは困難である。
【0005】
計量ホッパに被計量物が付着すると、計量ホッパから排出される被計量物の実重量が目標組合せ重量より少ないものとなる。
【0006】
この被計量物の付着等による計量誤差を小さくするために、計量ホッパへの被計量物の供給を1計量サイクル禁止して計量ホッパを空の状態にし、この空の状態の計量ホッパの重量(零点重量)を計量し、被計量物の付着分を風袋量とする零点補正を行うようにしている。
【0007】
また、特許文献1では、計量ホッパから排出した被計量物の重量の実測値に関するデータを外部秤から取得し、実測値の平均が予定重量より小さい場合には目標組合せ重量を上方に修正し、実測値の平均が予定重量より大きい場合には目標組合せ重量を下方に修正することで、被計量物の付着による計量への影響を抑制するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
組合せ秤では、上記の「目標組合せ重量」が設定されると共に、組合せ秤から排出されて包装機で包装される商品の実際の内容量が、「公称重量」を下回らないようにするための「入れ目」が設定される。
【0010】
組合せ秤では、設定された目標組合せ重量(以下、「設定目標組合せ重量」という)に、「入れ目」を加算した重量を、組合せ演算に使用する実際の目標組合せ重量としている。すなわち、組合せ演算に使用される実際の「目標組合せ重量」は、次のように表される。
【0011】
「目標組合せ重量」=「設定目標組合せ重量」+「入れ目」
「入れ目」は、各種の要因によって商品の実際の内容量が公称重量を下回らないように加算されるものであり、従来では、例えば、商品からの水分の蒸散などによる目減り分、計量ホッパへの被計量物の投入時点から計量信号が安定して重量値を取得する時点までの安定時間の不足、組合せ秤が設置されている床振動などの外乱、上記の被計量物の計量ホッパへの付着量などを、必要に応じて考慮し、設定されている。
【0012】
入れ目を設定することによって、その分、組合せ演算で使用される目標組合せ重量は、嵩上げされることになるので、入れ目を多くする程、歩留りは低下する。
【0013】
計量ホッパへの被計量物の付着は、運転開始からの経過時間が比較的短い運転初期は、進行するが、その後は、殆ど進行することなく、安定する。
【0014】
従来、「入れ目」は、計量ホッパへの被計量物の付着量分を含むように設定されるが、運転開始からの経過時間によらず、当初設定した値のままである。
【0015】
したがって、運転開始からの経過時間が長く、被計量物の付着が殆ど進行することなく、付着量が安定した後にも、当初に設定された「入れ目」を加算した目標組合せ重量によって組合せ演算が行われており、不必要に目標組合せ重量が嵩上げされて歩留りの低下を招いているという課題がある。
【0016】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、不必要に目標組合せ重量を嵩上げすることなく、歩留りの向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0018】
(1)本発明は、被計量物が供給される複数の計量ホッパを備える組合せ秤であって、
各計量ホッパに供給される被計量物の重量及び目標組合せ重量に基づいて、被計量物を排出させる計量ホッパの組合せを選択する組合せ演算を行う組合せ演算手段と、
計量ホッパへの被計量物の付着量が安定したか否かを判定する判定手段と、
計量ホッパの零点補正を行う零点補正手段とを備え、
前記組合せ演算手段は、前記判定手段で前記付着量が安定したと判定されたときには、前記目標組合せ重量を、該目標組合せ重量よりも小さな目標組合せ重量に変更する。
【0019】
本発明によると、計量ホッパの零点補正を行うと共に、計量ホッパへの被計量物の付着量が安定したと判定したときには、目標組合せ重量を、小さな目標組合せ重量に変更するので、被計量物の付着が進行して付着量が安定しない運転初期は、計量ホッパの零点補正によって被計量物の付着量が風袋量とされると共に、被計量物の付着を見越して嵩上げした目標組合せ重量で組合せ演算を行い、その後、新たな付着が殆ど進行することなく、付着量が安定した状態になると、嵩上げを少なくした小さな目標組合せ重量に変更して組合せ演算を行うので、不必要に目標組合せ重量を嵩上げすることなく、組合せ演算が行われることになり、従来例に比べて歩留りを向上させることができる。
【0020】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記判定手段は、運転開始からの経過時間に基づいて、前記付着量が安定したか否かを判定する。
【0021】
この実施態様によると、運転開始からの経過時間が長くなると、計量ホッパへの被計量物の付着が殆ど進行しなくなって、付着量が安定するので、前記経過時間を計測することによって、付着量が安定したか否かを判定することができる。
【0022】
(3)本発明の好ましい実施態様では、前記判定手段は、前記零点補正手段による前記零点補正で得られる零点変動量に基づいて、前記付着量が安定したか否かを判定する。
【0023】
この実施態様によると、計量ホッパへの被計量物の付着が進行してその付着量が安定しない運転初期は、被計量物の付着量に応じて計量ホッパの零点が変動するが、その後、新たな付着が殆ど進行しなくなって、付着量が安定した状態になると、零点の変動も殆どなくなるので、零点変動量に基づいて、付着量が安定したか否かを判定することができる。
【0024】
(4)本発明の他の実施態様では、前記小さな目標組合せ重量を第2目標組合せ重量とすると共に、該第2目標組合せ重量に変更する前の目標組合せ重量を第1目標組合せ重量とし、前記第1目標組合せ重量から前記第2目標組合せ重量を減算した重量を、付着補正量としたときに、該付着補正量を設定する付着補正量設定手段を備える。
【0025】
この実施態様によると、被計量物の付着が進行して付着量が安定しない運転初期は、被計量物の付着を見越して、付着補正量分を嵩上げした第1目標組合せ重量を用いて組合せ演算を行い、その後、新たな付着が殆ど進行しなくなって、付着量が安定した状態になると、付着補正量分少なくした第2目標組合せ重量に変更して組合せ演算を行うので、不必要に目標組合せ重量を嵩上げすることなく、組合せ演算が行われることになり、従来例に比べて歩留りを向上させることができる。また、この付着補正量を、設定手段を操作して予め設定することができる。
【0026】
(5)上記(4)の実施態様では、前記零点補正手段による前記零点補正で得られる零点変動量を報知する報知手段を備えるようにしてもよい。
【0027】
報知する零点変動量は、零点補正が行われる度に、前回の零点補正からの零点変動量であってもよいし、運転開始から判定手段によって被計量物の付着量が安定したと判定されるまでの零点変動量の累積値であってもよい。
【0028】
また、この零点変動量は、零点変動が最も大きい計量ホッパのものであってもよいし、複数の計量ホッパの零点変動量の平均値などであってもよい。
【0029】
報知手段は、零点変動量を表示して報知するのが好ましいが、印字、あるいは、音声などで報知してもよい。
【0030】
零点補正は、計量ホッパが空の状態の重量(零点重量)を測定して零点を補正し、被計量物の付着量を風袋量とするものであり、零点変動量は、計量ホッパへの被計量物の付着量に応じたものとなる。
【0031】
この実施態様によると、計量ホッパへの被計量物の付着量に応じた零点変動量が報知されるので、作業者は、設定手段で付着補正量を設定する際に、報知される零点変動量を参考にすることができる。
【0032】
(6)本発明の好ましい実施態様では、前記小さな目標組合せ重量を第2目標組合せ重量とすると共に、該第2目標組合せ重量に変更する前の目標組合せ重量を第1目標組合せ重量としたときに、前記組合せ演算手段は、前記第1目標組合せ重量を、前記零点補正手段による前記零点補正で得られる零点変動量に応じて変更する。
【0033】
上記のように、零点補正は、計量ホッパが空の状態の重量(零点重量)を測定して零点を補正し、被計量物の付着量を風袋量とするものであり、零点変動量は、計量ホッパへの被計量物の付着量に応じたものとなる。
【0034】
この実施態様によると、被計量物の付着が進行して付着量が安定しない運転初期には、そのときの目標組合せ重量である第1目標組合せ重量を、被計量物の付着量に応じて変動する零点変動量に基づいて、変更するので、被計量物の付着に応じて第1目標組合せ重量を嵩上げすることができ、不必要に第1目標組合せ重量を嵩上げすることがなく、歩留まりを一層向上させることができると共に、嵩上げ量を、付着補正量として予め設定しておく必要がない。
【0035】
(7)上記(6)の実施態様では、前記組合せ演算手段は、前記零点変動量に、組合せ演算で選択された計量ホッパの数の平均値を乗じて、前記第1目標組合せ重量の変更量を求めるようにしてもよい。
【0036】
目標組合せ重量は、複数の計量ホッパの被計量物の重量を組合せた組合せ重量の目標値であるのに対して、計量ホッパの零点補正によって得られる零点変動量は、計量ホッパ1個当たりの変動量であるので、この実施態様によると、計量ホッパ1個当たりの零点変動量に、組合せ演算で選択された計量ホッパの数の平均値を乗じることによって、目標組合せ重量に対応した変更量とすることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、零点補正を行うと共に、被計量物の付着が進行して付着量が安定しない運転初期は、付着を見越して嵩上げした目標組合せ重量で組合せ演算を行い、その後、新たな付着が殆ど進行しなくなって、付着量が安定した状態になると、嵩上げを少なくした目標組合せ重量に変更して組合せ演算を行うので、不必要に目標組合せ重量を嵩上げすることなく、組合せ演算を行うことができ、従来例に比べて歩留りを向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0040】
図1に、本発明の一実施形態に係る組合せ秤の概略構成を示す模式図が示されている。この組合せ秤は、その装置上部の中央に、供給装置1から落下供給された被計量物を振動によって放射状に分散移送するメインフィーダ(分散フィーダ)2が設けられている。
【0041】
被計量物は、特に限定されないが、例えば、個々に包装されていない菓子類や漬物などの食品等に好適である。
【0042】
上記分散フィーダ2は、円錐形のトップコーン3と、このトップコーン3を振動駆動する加振機構4とで構成されている。
【0043】
分散フィーダ2の周囲には、トップコーン3の周縁部にまで振動移送されてきた被計量物を更に外方に向けて直線的に搬送する複数のリニアフィーダ5が放射状に配備されている。このリニアフィーダ5は、被計量物を載置するトラフ(フィーダパン)6と、このトラフ6を振動駆動する加振機構7とで構成されている。
【0044】
各リニアフィーダ5の外端部下方には供給ホッパ8が配備されると共に、各供給ホッパ8の下方に計量ホッパ9がそれぞれ配備されている。
【0045】
供給ホッパ8及び計量ホッパ9の下部には、開閉可能な排出用ゲート8a,9aがそれぞれ設けられている。供給ホッパ8は、リニアフィーダ5によって搬送されてその搬送端から落下排出される被計量物を受け取って一時保留し、その下方に配置された計量ホッパ9が空になると、投入用ゲート8aを開放して被計量物を落下排出して計量ホッパ9へ投入する。また、各計量ホッパ9には、ホッパ内の被計量物の重量を計測するロードセル等の重量センサ10が連結され、各重量センサ10による計量データは制御装置11へ出力される。
【0046】
計量ホッパ9から排出された被計量物は、各計量ホッパ9の下方に配備した集合シュート12によって装置中心下方へ流下案内され、集合ファンネル13でまとめられた後、その下方に配備された集合ホッパ14に投入されて一時保留される。
【0047】
制御装置11による組合せ演算によって複数の計量ホッパ9の中から被計量物を排出すべき計量ホッパ9の組合せが求められ、その組合せに該当する計量ホッパ9から被計量物が集合ホッパ14へ排出されて一旦貯留され、包装機から排出要求信号の入力があると、集合ホッパ14の排出ゲート14aが開放制御され、その下方に配備されている包装機15へと排出される。
【0048】
この実施形態では、供給装置1からトップコーン3上に供給される被計量物の重量が、重量センサ16によって計測され、その計量値が制御装置11に与えられる。制御装置11では、トップコーン3上の被計量物が予め設定されている範囲内に保たれるように供給装置1を制御する。
【0049】
制御装置11においては、供給装置1の動作制御、及び、組合せ秤の全体の動作制御を行うとともに、組合せ演算及び計量ホッパ9における零点補正を行う。組合せ演算では、複数の計量ホッパ9の中から、被計量物の重量値の合計である組合せ重量が、目標組合せ重量に等しい、あるいは、許容範囲内の目標組合せ重量に最も近い重量となる適量組合せが一つ選択される。
【0050】
計量ホッパ9の零点補正は、計量ホッパ9から被計量物を排出した後、新しい被計量物の投入を1計量サイクル禁止して、計量ホッパ9を空の状態にし、その時の重量(零点重量)を計測して零点補正を行い、被計量物の付着量は風袋量として記憶されるものであり、計量ホッパ9毎に順次に行われる。
【0051】
この零点補正は、運転開始からの経過時間が短く、計量ホッパ9への被計量物の付着が進行する運転初期は、短い時間間隔で行われ、その後は、計量ホッパ9への被計量物の付着が殆ど進行しないとして、長い時間間隔で行われる。
【0052】
図2は、この実施形態における組合せ秤の制御系統の概略構成を示すブロック図であり、
図1に対応する部分には同一の参照符号が付されている。
【0053】
図2に示すように、制御装置11には、演算制御部としてのCPU部17、メモリ部18、A/D変換回路部19、ゲート駆動回路部20、振動制御回路部21、包装機15に接続されたI/O回路部22とが備えられると共に、操作設定表示部23が接続されている。
【0054】
演算制御部としてのCPU部17は、各部を制御すると共に、組合せ演算、計量ホッパ9の零点補正、及び、運転開始からの経過時間を計測して、計量ホッパ9への被計量物の付着量が安定したか否かの判定を行う。メモリ部18は、組合せ秤の動作プログラム及び設定される動作パラメータ等を記憶しており、CPU部17に対する演算などの作業領域となる。A/D変換回路部19は、トップコーン3上の被計量物の重量を検出するトップコーン用重量センサ16及び計量ホッパ9における被計量物の重量を検出する各重量センサ10からのアナログ信号をデジタル信号に変換してCPU部17に出力する。
【0055】
ゲート駆動回路部20は、CPU部17からの制御信号に基づいて、供給ホッパ8の排出用ゲート8a、計量ホッパ9の排出用ゲート9a、及び、集合ホッパ14の排出ゲート14aの開閉を制御する。振動制御回路部21は、CPU部17からの制御信号に基づいて、供給装置1、メインフィーダ2の加振機構4、及び、各リニアフィーダ5の加振機構7を制御する。
【0056】
制御装置11は、CPU部17がメモリ部18に記憶されている動作プログラムを実行することにより、供給装置1及び組合せ秤全体の動作を制御する。
【0057】
組合せ秤では、上記のような動作を行うために多数の動作パラメータの設定が必要であり、その設定はオペレータが操作設定表示部23を用いて行い、設定された動作パラメータの値はCPU部17に送られてメモリ部18に記憶される。動作パラメータには、組合せ演算における目標値である目標組合せ重量、入れ目、および、目標組合せ重量に対する許容範囲、後述の付着補正量、各フィーダ2,5の振幅や駆動時間(1回の振動継続時間)等がある。
【0058】
被計量物が、例えば、個々に包装されていない菓子類などであるときには、計量ホッパ9の内壁に砂糖や被計量物の欠片などが付着する場合がある。
【0059】
この計量ホッパ9への被計量物の付着は、計量ホッパ9に被計量物の付着のない状態の運転開始からの経過時間が短い運転初期に進行し、その後は、殆ど進行しなくなって付着量は安定する。
【0060】
従来から、包装機15によって包装された商品の実際の内容量が公称重量を下回らないように、「入れ目」が操作設定表示部23を操作して設定されるが、従来では、この「入れ目」には、被計量物の計量ホッパ9への付着量分を含めて設定されている。また、目標組合せ重量が、操作設定表示部23を操作して設定される。
【0061】
従来では、設定された目標組合せ重量(以下、「設定目標組合せ重量」という)に、入れ目を加算した重量を、組合せ演算に使用する実際の目標組合せ重量としている。すなわち、組合せ演算に使用される実際の「目標組合せ重量」は、次のように表される。
【0062】
「目標組合せ重量」=「設定目標組合せ重量」+「入れ目」
入れ目は、上記のように、計量ホッパへの被計量物の付着量分を含めて設定されるが、運転開始からの経過時間によらず、当初設定した値のままである。
【0063】
したがって、運転開始からの経過時間が長く、被計量物の付着が殆ど進行せず、付着量が安定した後にも、当初に設定された「入れ目」を加算した目標組合せ重量によって組合せ演算が行われており、不必要に目標組合せ重量が嵩上げされて歩留りが低下している。
【0064】
この実施形態では、不必要に目標組合せ重量を嵩上げすることなく、歩留りの向上を図るために、次のように構成している。
【0065】
すなわち、この実施形態では、「入れ目」には、被計量物の計量ホッパ9への付着量分を含めることなく設定し、被計量物の計量ホッパ9への付着量については、設定手段としての操作設定表示部23を操作して「付着補正量」として設定する。
【0066】
そして、計量ホッパ9への被計量物の付着が進行して付着量が安定しない運転初期、具体的には、運転開始から一定時間が経過するまでは、被計量物の付着量が安定していないと判定し、次式で表される第1目標組合せ重量を用いて組合せ演算を行う。
【0067】
「第1目標組合せ重量」
=「設定目標組合せ重量」+「入れ目」+「付着補正量」
そして、前記一定時間が経過したときには、新たな付着が殆ど進行せず、付着量が安定したと判定し、第1目標組合せ重量よりも小さな、次式で表される第2目標組合せ重量に変更して組合せ演算を行う。
【0068】
「第2目標組合せ重量」
=「設定目標組合せ重量」+「入れ目」
すなわち、計量ホッパ9への被計量物の付着が進行する運転開始からの一定時間は、被計量物の付着量が安定していないとし、「付着補正量」分、嵩上げした「第1目標組合せ重量」を使用して組合せ演算を行う。そして、計量ホッパ9への被計量物の付着が殆ど進行しなくなる一定時間経過後は、被計量物の付着量が安定したとし、「付着補正量」分の嵩上げをなくした「第2目標組合せ重量」を使用して組合せ演算を行うものである。
【0069】
これによって、被計量物の付着が殆ど進行しなくなった後にも、被計量物の付着量分を含んで設定された「入れ目」をそのまま加算した目標組合せ重量によって組合せ演算を行う従来例に比べて、歩留りが向上する。
【0070】
この実施形態では、零点補正は、計量ホッパ9への被計量物の付着が進行する運転開始から前記一定時間が経過する迄は、短い時間間隔で行われ、その後は、計量ホッパ9への被計量物の付着が殆どなくなり、運転状態も安定するので、長い時間間隔で行われる。この零点補正によって、計量ホッパ9への被計量物の付着量は、風袋量とされる。零点補正の時間間隔は、操作設定表示部23を操作して、予め設定される。
【0071】
「付着補正量」の設定は、従来、「入れ目」に含めていた計量ホッパ9への被計量物の付着量分として設定することができる。
【0072】
したがって、この実施形態は、計量ホッパ9への被計量物の付着量分を含めていた従来の「入れ目」を、被計量物の付着量分を含まない「入れ目」と、被計量物の付着量分の「付着補正量」とに分けたと把握することもできる。
【0073】
このように「付着補正量」は、従来の「入れ目」の設定において、計量ホッパ9への被計量物の付着量分として含ませていたものとすればよいが、この「付着補正量」の設定では、零点補正によって得られる零点変動量を参考して設定できるようにしてもよい。
【0074】
すなわち、零点補正は、計量ホッパ9から被計量物を排出した後、新しい被計量物の投入を1計量サイクル禁止して、計量ホッパ9を空の状態にし、その時の重量(零点重量)を計測して零点を補正するものであり、被計量物の付着量は風袋量とされる。
【0075】
したがって、前回の零点補正から今回の零点補正までの期間に、計量ホッパ9への被計量物の付着量が増えると、その分が、零点の変化、すなわち、零点変動量として現れる。
【0076】
そこで、運転開始から一定時間が経過するまでの零点変動量を累積して操作設定表示部23に表示することによって、オペレータは、表示される零点変動量の累積値を参考にして、「付着補正量」を決定するようにしてもよい。
【0077】
零点補正は、計量ホッパ9毎に順次行われるので、計量ホッパ9毎に零点変動量の累積値は算出されるが、例えば、最も零点変動量が大きい計量ホッパ9の零点変動量の累積値を用いてもよいし、複数の計量ホッパ9の零点変動量の累積値の平均値を用いるようにしてもよい。
【0078】
また、目標組合せ重量は、複数の計量ホッパ9の被計量物の重量を組合せた組合せ重量の目標値であるのに対して、零点変動量の累積値は、1個当りの計量ホッパ9の零点変動量の累積値である。
【0079】
そこで、直近の複数回の組合せ演算で適量組合せとして選択された計量ホッパ9の数の平均値を求め、この計量ホッパ9の数の平均値を、前記零点変動量の累積値に乗算して「付着補正量」として表示するようにしてもよい。
【0080】
また、計量ホッパ9の数の平均値を、前記零点変動量の累積値に乗算し、更に係数を乗じた値を、「付着補正量」として表示するようにしてもよい。
【0081】
図3は、この目標組合せ重量の変更による組合せ演算の処理を示すフローチャートである。
【0082】
計量ホッパ9に被計量物の付着のない状態での運転が開始(始業運転の開始、あるいは、被計量物の品種の切替えための組合せ秤の洗浄後の運転の開始など)がされると、一定時間を計測する付着補正タイマーがセットされ(ステップS01)、付着補正タイマーがタイムアップしたか否かが判断される(ステップS02)。なお、付着補正タイマーにセットされる一定時間は、操作設定表示部23において予め設定入力される。この一定時間は、同種の被計量物を計量処理した際に、運転開始して付着物量が安定するまでの時間として予め取得された実測データ等を参考にして設定入力される。
【0083】
ステップS02で付着補正タイマーがタイムアップしていないときには、組合せ演算に使用する目標組合せ重量を、「付着補正量」を加算した「第1目標組合せ重量」(=「設定目標組合せ重量」+「入れ目」+「付着補正量」)とし(ステップS03)、この「第1目標組合せ重量」を用いて組合せ計量運転を実行し(ステップS04)、付着補正タイマーをデクリメントし(ステップS05)、ステップS02に戻る。
【0084】
このようにして、運転開始から付着補正タイマーがタイムアップするまでの一定時間は、計量ホッパ9への被計量物の付着が進行するとして、上記の「付着補正量」を加算した「第1目標組合せ重量」を用いて組合せ演算が行われる。
【0085】
前記一定時間が経過して、ステップS02で付着補正タイマーがタイムアップすると、目標組合せ重量を、「第1目標組合せ重量」から、「付着補正量」を加算しない「第2目標組合せ重量」(=「設定目標組合せ重量」+「入れ目」)に変更し(ステップS06)、以降は、この「第2目標組合せ重量」を用いて組合せ計量運転を実行する(ステップS07)。
【0086】
このように、運転開始から被計量物の付着が安定するまでの一定時間は、「付着補正量」を加算した第1目標組合せ重量での組合せ計量運転が行われ、前記一定時間が経過して付着が安定した後は、「付着補正量」を加算しない第2目標組合せ重量での組合せ計量運転が行われるので、計量ホッパ9への被計量物の付着が安定した後に、不必要に目標組合せ重量を嵩上げすることなく、組合せ演算が行われることになり、従来例に比べて歩留が向上する。
【0087】
計量ホッパ9への被計量物の付着が安定したか否かを判定するための一定時間の起点となる運転開始は、計量ホッパ9に被計量物が付着していない状態における運転開始であり、始業時の運転開始や被計量物の品種の切替えのための洗浄が行われた後の運転開始である。
【0088】
したがって、運転開始した後一旦休止し、洗浄しないで運転を再開する場合には、運転開始には該当せず、運転休止前の状態から継続する。
【0089】
この運転開始を明確に区別するために、
図3の処理を最初から実行する始動運転開始用スイッチと、運転休止前の状態から継続する通常運転開始用スイッチとを別個に設けるようにしてもよい。
【0090】
図4は、本発明の他の実施形態の
図3に対応するフローチャートである。
【0091】
上記実施形態では、運転開始から一定時間が経過して付着補正タイマーがタイムアップしたときには、計量ホッパ9への被計量物の付着が殆ど進まなくなって付着量が安定したと判定して、目標組合せ重量を、第1目標組合せ重量から第2目標組合せ重量に変更したけれども、この実施形態では、零点補正時の零点変動に基づいて、計量ホッパ9への被計量物の付着量が安定したか否かを判定するようにしている。
【0092】
すなわち、零点変動量が殆どなく、零点が安定したときには、計量ホッパ9への被計量物の付着の進行が殆どなく、安定したと判定し、目標組合せ重量を、第1目標組合せ重量から第2目標組合せ重量へ変更するものである。
【0093】
先ず、計量ホッパ9に被計量物が付着していない状態での運転が開始されると、組合せ演算に使用する目標組合せ重量を、「付着補正量」を加算した「第1目標組合せ重量」(=「設定目標組合せ重量」+「入れ目」+「付着補正量」)とし(ステップS101)、この「第1目標組合せ重量」を用いて組合せ計量運転を実行し(ステップS102)、零点補正時の零点の値を記憶し(S103)、今回の零点補正時の零点の値と前回の零点補正時の零点の値との差である零点変動量から零点の値が安定したか否かを判断する(ステップS104)。具体的には、今回の零点補正時の零点の値と前回の零点補正時の零点の値との差が、閾値以下になったときに、安定したと判定する。
【0094】
ステップS104で、零点の値が安定していない、すなわち、計量ホッパ9への被計量物の付着が進行していて付着量が安定していないと判定されたときには、ステップS102に戻り、「第1目標組合せ重量」を用いた組合せ演算を継続する。
【0095】
ステップS104で、零点の値が安定したと判断したときには、計量ホッパ9への被計量物の付着の進行が殆どなくなり、付着量が安定したと判定して、それまでの零点変動量に基づいて、「付着補正量」を演算して表示すると共に、次回の運点開始時の「付着補正量」として更新記憶し(ステップS105)、ステップS106に移る。この「付着補正量」は、上記のように、直近の複数回の組合せ演算で適量組合せとして選択された計量ホッパ9の数の平均値に、零点変動量の累積値に乗算したものとしてもよいし、更に、係数を乗算したものとしてもよい。
【0096】
ステップS106では、目標組合せ重量を、「第1目標組合せ重量」から、「付着補正量」を加算しない「第2目標組合せ重量」(=「設定目標組合せ重量」+「入れ目」)に変更し(ステップS106)、以降は、この「第2目標組合せ重量」を用いて組合せ計量運転を実行する(ステップS107)。
【0097】
このように、計量ホッパ9への付着量に応じて変動する零点変動量に基づいて、第1目標組合せ重量を、第2目標組合せ重量に変更するので、運転開始から一定時間が経過したときに、第1目標組合せ重量を、第2目標組合せ重量に変更する実施形態に比べて、計量ホッパ9への被計量物の付着の状態に即して、適切な時期に目標組合せ重量を切替え変更することができる。
【0098】
(その他の実施形態)
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0099】
(1)上記実施形態では、第1目標組合せ重量と第2目標組合せ重量との2段階で目標組合せ重量を切替えたが、3段階以上で目標組合せ重量を切替えるようにしてもよい。
【0100】
(2)上記
図4の実施形態では、零点の値が安定したと判定されると、その零点の値に基づく付着補正量が演算され、その値が操作設定表示部23に表示され、かつ、その付着補正量が次回の運転開始における付着補正量として更新記憶されるが、簡易には、運転の開始毎に、操作設定表示部23に表示された付着補正量をオペレータによって入力設定するようにしてもよい。
【0101】
(3)上記各実施形態では、計量ホッパ9への被計量物の付着が進行する運転初期においては、「付着補正量」を加算した第1目標組合せ重量を用いて組合せ演算を行うようにしたけれども、本発明の他の実施形態として、零点補正によって得られる零点変動量に応じて、「付着補正量」、したがって、「第1目標組合せ重量」を変更するようにしてもよい。
【0102】
すなわち、「付着補正量」を設定するのではなく、零点補正を行う度に得られる、前回の零点補正の零点と今回の零点補正の零点との差である零点変動量を、計量ホッパ9への被計量物の付着量であるとして、その零点変動量に、組合せ演算で適量組合せとして選択された計量ホッパ9の数の平均値を乗じて、上記の「付着補正量」とするものである。
【0103】
この零点変動量は、例えば、1個の計量ホッパ9の零点変動量としてもよいし、複数の計量ホッパ9の零点変動量の平均値としてもよい。
【0104】
これによれば、零点補正によって、零点変動量が得られる度に、その零点変動量に、適量組合せとして選択された計量ホッパ9の数の平均値を乗じて、「付着補正量」として、それまでの「付着補正量」に置き換えて更新するものである。
【0105】
なお、初回の零点補正時には、前回の零点補正がないので、従来の「入れ目」の設定おいて、被計量物の付着量分として含ませている値を、「付着補正量」として設定しておき、その「付着補正量」を使用する。
【0106】
この構成によれば、計量ホッパ9への被計量物の付着が進行する運転初期において、被計量物の付着量に応じた零点変動量を、「付着補正量」とするので、「付着補正量」が、実際の被計量物の付着量に即したものとなり、不必要に第1目標組合せ重量を嵩上げすることがなく、歩留まりを一層向上させることができると共に、「付着補正量」を予め設定しておく必要がない。