特許第6348423号(P6348423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6348423炭化水素系樹脂、炭化水素系ブロックコポリマー、不揮発性フェニルジメチコン油及び不揮発性炭化水素化油を含む化粧用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348423
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】炭化水素系樹脂、炭化水素系ブロックコポリマー、不揮発性フェニルジメチコン油及び不揮発性炭化水素化油を含む化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20180618BHJP
   A61K 8/90 20060101ALI20180618BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20180618BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20180618BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20180618BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20180618BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/90
   A61K8/891
   A61K8/31
   A61K8/25
   A61Q1/04
   A61Q1/02
【請求項の数】24
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2014-560576(P2014-560576)
(86)(22)【出願日】2013年6月21日
(65)【公表番号】特表2015-520117(P2015-520117A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】JP2013067746
(87)【国際公開番号】WO2013191304
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2016年5月16日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2012/066451
(32)【優先日】2012年6月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】清水 桃子
(72)【発明者】
【氏名】ロメン・タション
(72)【発明者】
【氏名】石田 真紀
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−297392(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0002864(US,A1)
【文献】 特表2002−537314(JP,A)
【文献】 特開平11−236314(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/150852(WO,A1)
【文献】 特開2011−140481(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/071148(WO,A1)
【文献】 特開2012−082188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される媒体中に、
- 数平均分子量が10000g/mol以下である少なくとも1種の炭化水素系樹脂と、
- 少なくとも1種の炭化水素系ブロックポリマーと、
- 組成物の総質量に対して合計で19質量%から80質量%の、少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油又はその混合物と、
- 組成物の総質量に対して合計で1質量%から80質量%の不揮発性炭化水素化無極性油又はその混合物と
を含む少なくとも1種の脂肪相を含む、皮膚及び/又は唇をメイクアップする及び/又はケアするための化粧用組成物。
【請求項2】
前記炭化水素系樹脂が、非水素化又は水素化されたインデン炭化水素系樹脂である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記炭化水素系樹脂が、水素化されたインデン/メチルスチレン/スチレンコポリマーから選択されるインデン樹脂である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記炭化水素系樹脂が、組成物の総質量に対して、1〜45質量%範囲とする量で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記炭化水素系ブロックコポリマーが1つ又は2つのエチレン性不飽和を有する2〜5個の炭素原子を有するエチレン性不飽和モノマーの重合により形成された非晶質コポリマーである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記炭化水素系ブロックコポリマーが、少なくとも1つのスチレンブロック、並びにブタジエン、エチレン、プロピレン、ブチレン及びイソプレン又はそれらの混合物から選択される単位を含む少なくとも1つのブロックを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記炭化水素系ブロックコポリマーが、非水素化又は水素化されている、スチレン-エチレン/プロピレン、スチレン-エチレン/ブタジエン、スチレン-エチレン/ブチレンのジブロックコポリマーから、並びに非水素化又は水素化されている、スチレン-エチレン/ブタジエン-スチレン、スチレン-ブチレン/エチレン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン、及びスチレン-ブタジエン-スチレンのトリブロックコポリマー、並びにそれらの混合物から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記炭化水素系ブロックコポリマーが、水素化されたスチレン-ブチレン/エチレン-スチレントリブロックコポリマーと、スチレン-エチレン/ブチレンジブロックコポリマーとの混合物である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記炭化水素系ブロックコポリマーが、組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%から20質量%範囲とする含量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記炭化水素系樹脂の、前記炭化水素ブロックコポリマーに対する質量比が、1から10の間である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記不揮発性炭化水素化無極性油が、ポリブテン、水素化ポリブテン、ポリイソブテン、水素化ポリイソブテン、ポリデセン、水素化ポリデセン、及びそれらの混合物から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油が、以下:
a)次式(IV)に相当するフェニルシリコーン油
【化1】
[式中、Meはメチルを表し、yは、1から1000の間であり、Xは、-CH2-CH(CH3)(Ph)を表す]
b)次式(V)に相当するフェニルシリコーン油
【化2】
[式中、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、OR'は-OSiMe3基を表し、yは、1から1000の間を範囲とし、zは、1から1000の間を範囲とする]
c)次式(VI)に相当するフェニルシリコーン油、及びその混合物
【化3】
(式中、
- R1からR10は、メチル基であり、
- m、n及びqは、互いに独立に、0から900の間の整数であり、pは、1から900の間の整数であり、但し、和m+n+qは0ではない)
d)次式(VII)に相当するフェニルシリコーン油、及びその混合物
【化4】
(式中、
- R1、R2、R5及びR6は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1〜C30炭化水素系基であり、
- R3及びR4は、メチルであり、
- pは、1から100の間の整数であり、
- m及びnは、互いに独立に、0から100の間の整数であり、但し、和n+mは1から100の間である)
e)次式(IX)に相当するフェニルシリコーン油、及びその混合物
【化5】
(式中、
R1、R2、R5及びR6は、メチル基であり、
R3及びR4は、一緒に又は別々に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、又はアリール基であり、但し、R3及びR4の少なくとも1つはフェニル基であり、Xは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基又はビニル基であり、n及びpは、1を超える又は1に等しい整数である)
f)並びにそれらの混合物
から選択されうる、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油が、式(VII)(式中、m、n、p及びR1からR6は、前に定義した通りであり式中、m=0であり、n及びpは、互いに独立に、1から100の間の整数である)に相当するフェニルジメチコン油から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油が、式(VII)(式中、m、n、p及びR1からR6は、前に定義した通りであり式中、pは、1から100の間であり、和n+mは、1から100の間であり、n=0である)に相当するフェニルジメチコン油から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油が、
- ジフェニルジメチコン、
- トリメチルシロキシフェニルジメチコン、及び
- それらの混合物
から選択される、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油を、組成物の総質量に対して、合計で20質量%から60質量%含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
疎水性シリカエアロゲル粒子を更に含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記疎水性シリカエアロゲル粒子が、1質量単位当たりの比表面積(SM)が500〜1500m2/g範囲とし、平均体積直径(D[0.5])で表されるサイズが1〜1500μm範囲とする、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記疎水性シリカエアロゲル粒子が、1質量単位当たりの比表面積(SM)が600〜800m2/gを範囲とし、平均体積直径(D[0.5])で表されるサイズが5〜20μm範囲とし、充填密度(ρ)が0.04g/cm3〜0.10g/cm3範囲とする、請求項17及び18に記載の組成物。
【請求項20】
前記疎水性シリカエアロゲル粒子が、トリメチルシリル基で表面修飾された疎水性シリカエアロゲル粒子である、請求項17から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
不揮発性炭化水素化極性油、及び/若しくは前記少なくともジメチコン部分を有するフェニル化シリコーン油とは異なる追加の不揮発性シリコーン油、及び/若しくは脂肪ペースト状化合物、及び/若しくは半結晶性ポリマー、及び/若しくはフィラー、及び/若しくは着色剤、並びに/又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種の追加の化合物を更に含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
用製品である、請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
液体である、請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物を、皮膚及び/又は唇の上に適用する工程を含む、皮膚及び/又は唇をメイクアップする及び/又はケアするための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用組成物に関し、より詳細には、少なくとも1種の炭化水素系樹脂、炭化水素系ブロックコポリマー、不揮発性フェニル化ジメチコン油及び不揮発性炭化水素化無極性油を含む、皮膚及び/又は唇をメイクアップする及び/又はケアする化粧用組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、こうした組成物を皮膚及び/又は唇をメイクアップする及び/又はケアするために使用する方法にも関し、該方法は、こうした化粧用組成物を皮膚及び/又は唇へ適用する工程を含む。
【背景技術】
【0003】
一般に、女性が、特にリップスティック又はリップグロスのタイプ等のリップ製品のメイクアップ製品を使用するとき、彼女たちは、この製品が、適用しやすいこと、及び適用後に皮膚又は唇の上に快適さ及び良好な残存性があること、具体的には移らないこと、特定すると色移りが全くないこと又は色移りが低量であることを望む。
【0004】
米国特許出願第2007/258933号は、皮膚又は唇の上の輝く堆積物、及び光沢の残存性を得るための、炭化水素系樹脂の使用、及び特定の炭化水素系ブロックポリマーの使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第2007/258933号
【特許文献2】米国特許第A-2002/005562号
【特許文献3】米国特許第A-5221534号
【特許文献4】仏国特許第0853634号
【特許文献5】欧州特許第A-847752号
【特許文献6】特開平23-20933
【特許文献7】欧州特許第A-0951897号
【特許文献8】米国特許第A-5156911号
【特許文献9】国際公開第A-01/19333号
【特許文献10】米国特許A-5736125号
【特許文献11】米国特許A-5519063号
【特許文献12】欧州特許第A-0550745号
【特許文献13】米国特許7470725号
【特許文献14】欧州特許第A-542669号
【特許文献15】欧州特許第A-787730号
【特許文献16】欧州特許第A-787731号
【特許文献17】国際公開第A-96/08537号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Handbook of Pressure Sensitive Adhesive、Donatas Satas編集、第3版、1989年、609〜619頁
【非特許文献2】C.M. Hansen、「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol.、第39巻、105頁(1967年)
【非特許文献3】「Intelimer(登録商標) polymers、Landec IP22」(4〜97頁)
【非特許文献4】S. Nojimaら、「Melting behavior of poly(ε-caprolactone)-block-polybutadiene copolymers」、Macromolecules、第32巻、3727〜3734頁(1999年)
【非特許文献5】B. Boutevinら、「Study of morphological and mechanical properties of PP/PBT」、Polymer Bulletin、第34巻、117〜123頁(1995年)
【非特許文献6】P. Rangarajanら、「Morphology of semi-crystalline block copolymers of ethylene-(ethylene-alt-propylene)」、Macromolecules、第26巻、4640〜4645頁(1993年)
【非特許文献7】P. Richterら、「Polymer aggregates with crystalline cores: the system poly(ethylene)-poly(ethylene-propylene)」、Macromolecules、第30巻、1053〜1068頁(1997年)
【非特許文献8】I.W.Hamley、「Crystallization in block copolymers」、Advances in Polymer Science、第148巻、113〜137頁(1999年)
【非特許文献9】CTFA(第6版、1995年)
【非特許文献10】Brinker C.J.及びScherer G.W.、Sol-Gel Science、ニューヨーク、Academic Press、1990年
【非特許文献11】「The Journal of the American Chemical Society」、第60巻、309頁、1938年2月
【非特許文献12】Van de Hulst, H.C.、「Light Scattering by Small Particles」第9章及び第10章、Wiley、ニューヨーク、1957年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ユーザは、これらの炭化水素系樹脂及び炭化水素系ブロックコポリマーを組み入れている製品について、適用中に「粘着性」の感覚(適用しにくい)、及び皮膚又は唇の上の乾燥の感覚を有する。更に、こうした炭化水素系樹脂及び炭化水素系ブロックコポリマーを組み入れているガレヌス製剤から形成された堆積物は、色移り耐性のレベルが不十分である。
【0008】
したがって、前記組成物の化粧特性、特にすべり及び適用しやすさ等の適用特性を更に向上させること、並びに唇及び/又は皮膚の上に均一な堆積物を得ること、並びに特に移り耐性、とりわけ色移り耐性が良好である堆積物を皮膚及び/又は唇の上に得ることが探索されている。堆積物はまた、粘着性がわずかである又は全くないものであるべきであり、且つ良好な輝きのレベルを有するべきである。
【0009】
発明者らが予想外に見出したのは、こうした炭化水素系樹脂及び炭化水素系ブロックコポリマーを、少なくとも19%の、少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油、及び不揮発性炭化水素化無極性油との組合せで使用すれば、この欠点を克服することが可能になることである。
【0010】
本発明の目的は、これらの欠点を克服することであり、且つ均質で安定で(例えば顔料の、2つの相への分離及び/又はエキスデーション及び/又は沈降が起きず、特に、組成物は、24℃で24時間後、更には47℃で72時間後でも安定であるべきである)、一方で良好な化粧特性[詳細には、特に唇の上での、すべり及び適用しやすさ等の適用特性、支持体(皮膚又は唇)への良好な付着性、及びそのことによる、組成物の堆積物の良好な残存性、とりわけ堆積物の、全くないか低量の色移り、及び粘着性がない又はわずかである堆積物、輝きのレベルが良好であること]を付与できる化粧用組成物を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明の態様のうちの1つによれば、本発明は、生理学的に許容される媒体中に、
- 数平均分子量が10000g/mol以下である少なくとも1種の炭化水素系樹脂と、
- 少なくとも1種の炭化水素系ブロックポリマーと、
- 組成物の総質量に対して19質量%から80質量%の、少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油又はその混合物と、
- 組成物の総質量に対して1質量%から80質量%の不揮発性炭化水素化無極性油又はその混合物と
を含む少なくとも1種の脂肪相を含む、皮膚及び/又は唇をメイクアップする及び/又はケアするための化粧用組成物に関する。
【0012】
こうした組成物は、安定で均質であり、好ましくは、ケラチン物質の上の、及び特に唇及び/又は皮膚の上のその堆積物が適用しやすく(良好なすべり、均質な堆積物)、且つ堆積物が、適用後の移り耐性が良好である(具体的には、特に例えば飲んでいるカップ又はグラス上に堆積物の色移りが全くないか少ない)メイクアップ組成物である。それ以外に、こうした組成物で得られる堆積物には、粘着性がわずかにあるか又は全くなく、且つ輝きのレベルが良好である。
【0013】
本発明はまた、皮膚及び/又は唇をメイクアップする及び/又はケアするための化粧方法にも関し、該方法は、生理学的に許容される媒体中に、
- 数平均分子量が10000g/mol以下である少なくとも1種の炭化水素系樹脂と、
- 少なくとも1種の炭化水素系ブロックポリマーと、
- 組成物の総質量に対して19質量%から80質量%の、少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油又はその混合物と、
- 組成物の総質量に対して1質量%から80質量%の不揮発性炭化水素化無極性油又はその混合物と
を含む少なくとも1種の脂肪相を含む組成物を、前記皮膚及び/又は前記唇へ少なくとも適用する工程を含む。
【0014】
有利には、本発明による検討中の組成物は、油中油型の組成物である。本発明の油中油型の組成物では、不揮発性シリコーン油及び不揮発性炭化水素油は、適用前に安定な油中油状態にあり、互いから分離しない。適用後に、不揮発性シリコーン油が堆積物の表面へ上がってきて、この分離した不揮発性シリコーン油は、不揮発性炭化水素化油、炭化水素系樹脂及び炭化水素系ブロックポリマーの付着層を覆う。したがって、得られた組成物は、良好な移り耐性を有し、良好な輝きのレベルを付与する。適用中に再び上下の唇を互いにこすると、この分離が更に促進される。
【0015】
有利には、本発明による検討中の組成物は、無水物である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
生理学的に許容される媒体
本発明の目的では、用語「生理学的に許容される媒体」は、組成物を皮膚及び/又は唇へ適用するのに好適な媒体、例えば、化粧用組成物で通常使用される油又は有機溶媒を示すことが企図される。
【0017】
生理学的に許容される媒体(許容される、耐性、毒性及び感触)は、一般に、その上に組成物が適用されることになる支持体の性質に適合され、並びにそこで組成物が条件付けされることになる形態に適合される。
【0018】
以下の例から浮かび上がるように、本発明により検討中の組合せは、組成物に、その、光沢のある性質及び色移りのない性質を同時に向上させる皮膚又は唇の上の堆積物を付与するのに最も特に効果的であることが判明している。それ以外に、堆積物はまた、経時的な残存性を呈し、詳細には堆積物の色の残存性(堆積物の脆化又は断片化が起きず、均質なまま残る)及び満足のいく快適な性質を呈し、それは、適用時(特に、形成された堆積物のすべり性、崩壊性、濃さ及び均一性、並びに乾燥時の粘りの減少)、並びに装着時(即ち柔軟性、粘着する感覚の不在、又は緊縮性若しくは乾燥する感覚の不在)の双方において見られる。
【0019】
それ以上に、リップスティックの事例(固体、又はグロス等の液体)では、色移りがなく、且つ粘着性がない又はわずかであるというこの改善は、輝きを犠牲にして得たものではなく、輝きは、このタイプのメイクアップ製品で一般に探求されている別の性質である。特に、全ての予想に反して、本発明により検討中の組合せを含有する化粧用製品のマット効果は、認められていない。
【0020】
本発明また、生理学的に許容される媒体中に、少なくとも炭化水素系樹脂、少なくとも炭化水素系ブロックポリマー、19%から80%の、少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油、1%から80%の不揮発性炭化水素化無極性油、及び少なくとも1種の着色剤を含む、皮膚及び/又は唇をメイクアップする及び/又はケアするための組成物にも好ましくは関する。
【0021】
本発明により検討中であって本発明による方法で使用される組成物は、20℃で固体又は液体であることができる。
【0022】
好ましい一実施形態では、特に唇をケアする及び/又はメイクアップすることを企図された組成物の事例では、本発明により使用される組成物は、無水物である又は組成物の総質量に対して3質量%未満の水、好ましくは1質量%未満の水を含有する。
【0023】
用語「無水物」は、水が、好ましくは組成物に意図的には添加されないが、組成物中で使用される各種化合物中に微量で存在しうることを特に意味する。
【0024】
本発明による組成物、及び/又は本発明による方法に従って使用される組成物は、皮膚及び/又は唇をメイクアップするための、とりわけ顔の又は体の皮膚のための組成物の形態にあってもよく、これは、ファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウ等の顔の色つや用の製品;リップスティック、リップケア製品等の唇用の製品;コンシーラー製品;ブラッシャー;アイライナー;リップペンシル又はアイペンシル;ボディーメイクアップ製品;グロス(リップグロス)とすることができる。
【0025】
本発明の有利な第1の実施形態によれば、組成物は、唇をメイクアップすることが企図され、より詳細にはリップスティック(棒の口紅)又はグロス(液状の口紅)である。
【0026】
有利には、本発明によるリップスティック組成物は、無水物である。
【0027】
本発明の目的では、用語「固体」は、温度20℃での組成物の状態を特徴付ける。詳細には、本発明による固体組成物は、温度20℃及び大気圧(760mmHg)で、硬度が30Nm-1超、好ましくは35Nm-1超である。
【0028】
硬度を測定するプロトコル
組成物の硬度、特に棒の口紅のタイプの硬度は、以下のプロトコルに従って求める:
【0029】
リップスティックのスティックを、硬度測定の24時間前に、20℃で貯蔵する。
【0030】
硬度は、「チーズワイヤ」法を介して20℃で測定でき、これは、直径250μmの硬質タングステンワイヤにより、スティックに対してワイヤを速度100mm/分で移動させることにより、好ましくは円柱である製品の棒を横方向に切断することから成る。
【0031】
本発明の組成物のサンプルのNm-1で表される硬度は、Indelco-Chatillon社製のDFGHS2引張試験機を用いて測定する。
【0032】
測定を、3回繰り返し、次いで平均する。上記の引張試験機を用いて読み取った3つの値の平均値は、Yと記され、グラムとして示される。この平均値を、ニュートンに変換し、次いでワイヤが通過する最も長い距離を表すLで除する。円柱形の棒の事例では、Lは、直径に等しい(メートル単位)。
【0033】
硬度を、以下の式によってNm-1に変換する:
(Y×10-3×9.8)/L
【0034】
異なる温度で測定するために、スティックを、測定前に、この新しい温度で24時間貯蔵する。
【0035】
この測定方法によれば、本発明による固体組成物は、20℃での硬度が、30Nm-1以上、好ましくは35Nm-1超、好ましくは40Nm-1超である。
【0036】
好ましくは、本発明による組成物は、詳細には、20℃での硬度が500Nm-1未満、特に400Nm-1未満、好ましくは300Nm-1未満である。
【0037】
特に、20℃及び大気圧(760mmHg)でその硬度が30Nm-1超である組成物が、「固体」であると言われる。
【0038】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、20℃で液体である。
【0039】
粘度の測定のためのプロトコル:
粘度の測定は、No.4スピンドルを備えたRheomat RM180を用いて25℃で一般に実施し、該測定は、組成物中でスピンドルが回転してから10分後に(このとき、粘度の安定化及びスピンドルの回転スピードの安定化が観察される)、せん断率200rpmで実施する。
【0040】
好ましくは、組成物は、25℃での粘度が、1から25Pa.sの間、好ましくは2から20Pa.sの間、好ましくは4から17Pa.sの間である。
【0041】
好ましくは、本発明による組成物の25℃での粘度は、5から16Pa.sの間である。
【0042】
用語「の間の」及び「を範囲とする」は、上下値を含むと理解されるべきである。
【0043】
以下の例は、例示として付与されるものであり、限定する性質は一切ない。
【0044】
本発明はまた、唇をメイクアップする及び/又はケアするための化粧方法も包括し、該方法は、少なくとも、上に定義した組成物を前記唇へ適用する工程を含む。
【0045】
有利には、本発明による組成物は、揮発性油を、組成物の総質量に対して5質量%未満、更に良好には2質量%未満含む。好ましくは、本発明による組成物は、揮発性油を含まない。
【0046】
炭化水素系樹脂
本発明による組成物は、少なくとも1種の炭化水素系樹脂を含む。
【0047】
好ましくは、本発明による組成物中で使用される樹脂(粘着性樹脂としても知られる)は、数平均分子量が、10000g/mol以下であり、特定すると250〜5000g/molを範囲とし、更に良好には2000g/mol以下であり、特定すると250〜2000g/molを範囲とする。
【0048】
数平均モル質量(Mn)は、ゲル透過液体クロマトグラフィー(THF溶媒、直鎖状ポリスチレン標準液によって作成された検量線、屈折率検出器)によって求められる。
【0049】
本発明による組成物の樹脂は、有利には粘着性樹脂である。こうした樹脂は、具体的には、Handbook of Pressure Sensitive Adhesive、Donatas Satas編集、第3版、1989年、609〜619頁に記載されている。
【0050】
好ましくは、炭化水素系樹脂は、
- インデン炭化水素系樹脂、好ましくは例えばインデンモノマーを主要な比率で、且つスチレン、メチルインデン及びメチルスチレン並びにそれらの混合物から選択されるモノマーを少ない比率で重合して誘導される樹脂のような、それらが含むモノマーの種類に応じて分類されうる低分子量ポリマーから選択される。これらの樹脂は、任意選択で水素化されてもよい。これらの樹脂は、分子量が、290〜1150g/molを範囲とすることができる。
【0051】
挙げることができるインデン樹脂の例は、Exxon Chem社により参照名Escorez7105で、Neville Chem社によりNevchem100及びNevex100で、Sartomer社によりNorsolene S105で、Hercules社によりPicco6100で、Resinall Corp.社によりResinallで販売されているもの、又はEastman Chemical社により名称「Regalite」で、具体的にはRegalite R1100、Regalite R1090、Regalite R7100、Regalite R1010 Hydrocarbon Resin及びRegalite R1125 Hydrocarbon Resinで販売されている水素化インデン/メチルスチレン/スチレンコポリマー;
- 脂肪族ペンタンジエン樹脂、例えば、大多数の1,3-ペンタジエン(トランス-又はシス-ピペリレン)モノマーと、イソプレン、ブテン、2-メチル-2-ブテン、ペンテン及び1,4-ペンタジエン並びにそれらの混合物から選択される少数のモノマーとの重合から誘導されるもの。これらの樹脂は、分子量が、1000〜2500g/molを範囲とすることができる。
こうした1,3-ペンタジエン樹脂は、例えば、Eastman Chemical社により参照名Piccotac95で、Exxon Chemicals社によりEscorez1304で、Neville Chem.社によりNevtac100で、又はGoodyear社によりWingtack95で販売されており;
- 例えば上記のもの等のペンタジエンとインデンとの混合物の重合から誘導された、ペンタジエンとインデンとの混合樹脂、例えばExxon Chemicals社により参照名Escorez2101で、Neville Chem.社によりNevpene9500で、Hercules社によりHercotac 1148で、Sartomer社によりNorsolene A100で、及びGoodyear社によりWingtack86、Wingtack Extra及びWingtack Plusで販売されている樹脂;
- シクロペンタンジエンダイマーのジエン樹脂、例えばインデン及びスチレンから選択される第1のモノマーと、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタンジエン及び他のペンタンジエンダイマー、並びにそれらの混合物等のシクロペンタンジエンダイマーから選択される第2のモノマーとの重合から誘導されるもの。これらの樹脂は、分子量が500〜800g/molであり、例えばArizona Chemical Co.社により参照名Betaprene BR100で、Neville Chem.社によりNeville LX-685-125 and Neville LX-1000で、Hercules社によりPiccodiene2215で、Lawter社によりPetro-Rez200で、又はResinall Corp.社によりResinall760で販売されており;
- イソプレンダイマーのジエン樹脂、例えばα-ピネン、β-ピネン及びリモネン並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマーの重合から誘導されるテルペン系樹脂。これらの樹脂は、分子量が、300〜2000g/molを範囲とすることができる。こうした樹脂は、例えば、Hercules社により名称Piccolyte A115及びS125で、又はArizona Chem社により名称Zonarez7100又はZonatac105 Liteで販売されている。
【0052】
更に挙げることができるのは、修飾された特定の樹脂であり、例えば水素化された樹脂、例えばEastman Chemical Co. 社により名称Eastotac C6〜C20 Polyolefinで、Exxon Chemicals社により参照名Escorez5300で販売されているもの、又はNeville Chem.社により樹脂Nevillac Hard若しくはNevrozで、Hercules社により樹脂Piccofyn A-100、Piccotex100若しくはPiccovar AP25で、Schenectady Chemical Co.社により樹脂SP-553で販売されているものである。
【0053】
好ましい一実施形態によれば、炭化水素系樹脂は、インデン炭化水素系樹脂、脂肪族ペンタジエン樹脂、ペンタンジエンとインデンとの混合樹脂、シクロペンタンジエンダイマーのジエン樹脂、及びイソプレンダイマーのジエン樹脂、並びにそれらの混合物から選択される。
【0054】
好ましくは、組成物は、前に記載した炭化水素系樹脂、特にインデン炭化水素系樹脂及び脂肪族ペンタジエン樹脂又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物を含む。好ましい一実施形態によれば、炭化水素系樹脂は、インデン炭化水素系樹脂から選択される。
【0055】
好ましい一実施形態によれば、樹脂は、インデン/メチルスチレン/水素化スチレンコポリマーから選択される。
【0056】
詳細には、使用できるのは、インデン/メチルスチレン/水素化スチレンコポリマーであり、例えばEastman Chemical社により名称Regaliteで、例えばRegalite R1100、Regalite R1090、Regalite R-7100、Regalite R1010 Hydrocarbon Resin及びRegalite R1125 Hydrocarbon Resinで販売されているものである。
【0057】
好ましくは、炭化水素系樹脂は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して1質量%〜45質量%を範囲とする含量で、好ましくは3質量%〜30質量%を範囲とする含量で、より優先的には5質量%〜25質量%を範囲とする含量で存在する。
【0058】
好ましくは、組成物が固体形態である場合、炭化水素系樹脂は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して3質量%〜20質量%を範囲とする含量で、より優先的には5質量%〜15質量%を範囲とする含量で存在する。好ましくは、組成物が液体形態である場合、炭化水素系樹脂は、本発明の組成物中に、組成物の総質量に対して5質量%〜25質量%を範囲とする含量で、より優先的には8質量%〜20質量%を範囲とする含量で存在する。
【0059】
炭化水素系ブロックコポリマー
本発明による組成物は、樹脂以外に、炭化水素系ブロックコポリマー、好ましくは前に定義した、液体脂肪相中で溶解性又は分散性であるブロックコポリマーを含む。
【0060】
ポリマー性ゲル化剤は、組成物の有機相を濃化する又はゲル化することが可能である。用語「非晶質ポリマー」は、結晶形態をもたないポリマーを意味する。ポリマー性ゲル化剤はまた、好ましくは成膜性であり、即ちそれは皮膚へ適用されるときに膜を形成することができる。
【0061】
炭化水素系ブロックコポリマーは、詳細には、ジブロック、トリブロック、マルチブロック、放射状若しくは星型のコポリマー、又はそれらの混合物とすることができる。
【0062】
こうした炭化水素系ブロックコポリマーは、米国特許第A-2002/005562号及び米国特許第A-5221534号に記載されている。
【0063】
炭化水素系ブロックコポリマーは、好ましくは少なくともスチレンモノマーを含む(即ち少なくともスチレンモノマーから得られる)。
【0064】
該コポリマーは、そのガラス転移温度が好ましくは20℃未満、好ましくは0℃以下、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-40℃以下である少なくとも1つのブロックを含有してもよい。前記ブロックのガラス転移温度は、-150℃から20℃の間、特に-100℃から0℃の間とすることができる。
【0065】
本発明による組成物中に存在する炭化水素系ブロックコポリマーは、オレフィンの重合によって形成される非晶質コポリマーである。オレフィンは、特に、エラストマー性のエチレン性不飽和モノマーであってもよい。
【0066】
挙げることができるオレフィンの例は、エチレン性カーバイドモノマー、特に1つ又は2つのエチレン性不飽和を有し、2〜5個の炭素原子を有し、例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン又はペンタジエンである。
【0067】
有利には、炭化水素系ブロックコポリマーは、スチレンの及びオレフィンの、非晶質ブロックコポリマーである。
【0068】
少なくとも1つのスチレンブロックと、少なくとも1つのブロック(ブタジエン、エチレン、プロピレン、ブチレン及びイソプレン又はそれらの混合物から選択される単位を含む)とを含むブロックコポリマーが、とりわけ好ましい。
【0069】
好ましい一実施形態によれば、炭化水素系ブロックコポリマーは、モノマーの重合の後に残っているエチレン性不飽和を減らすために、水素化される。
【0070】
特に、炭化水素系ブロックコポリマーは、任意選択で水素化される、スチレンブロック及びエチレン/C3〜C4アルキレンブロックを含有するコポリマーである。
【0071】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、好ましくは水素化されており、少なくとも1種のジブロックコポリマーを含み、スチレン-エチレン/プロピレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエンコポリマー及びスチレン-エチレン/ブチレンコポリマーから好ましくは選択される。ジブロックポリマーは、特にKraton Polymers社により名称Kraton(登録商標)G1701Eで販売されている。
【0072】
好ましい別の実施形態によれば、本発明による組成物は、好ましくは水素化された少なくとも1種のトリブロックコポリマーを含み、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、及びスチレン-ブタジエン-スチレンコポリマーから好ましくは選ばれる。トリブロックポリマーは、特にKraton Polymers社により名称Kraton(登録商標)G1650、Kraton(登録商標)G1652、Kraton(登録商標)D1101、Kraton(登録商標)D1102及びKraton(登録商標)D1160で販売されている。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、炭化水素系ブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレントリブロックコポリマーである。
【0074】
本発明の好ましい一実施形態によれば、炭化水素系ブロックコポリマーは、スチレン-ブチレン/エチレン-スチレントリブロックコポリマーと、スチレン-エチレン/ブチレンジブロックコポリマーとの混合物、具体的にはKraton Polymers社により名称Kraton(登録商標)G1657Mで販売されている製品を使用することが特に可能である。
【0075】
好ましい別の実施形態によれば、本発明による組成物は、スチレン-ブチレン/エチレン-スチレン水素化トリブロックコポリマーと、エチレン-プロピレン-スチレン水素化星型ポリマーとの混合物を含み、こうした混合物は、特にイソデカンの中又は別の油の中におそらくはある。こうした混合物は、例えば、Penreco社により商品名Versagel(登録商標)M5960及びVersagel(登録商標)M5670で販売されている。
【0076】
有利には、先に記載したもの等のジブロックコポリマーが、ポリマー性ゲル化剤として使用され、特に、前述のスチレン-エチレン/プロピレンジブロックコポリマー、又はジブロックコポリマーとトリブロックコポリマーとの混合物が使用される。
【0077】
炭化水素系ブロックコポリマー(又は炭化水素系ブロックコポリマーの混合物)は、組成物の総質量に対して、0.1質量%から20質量%を範囲とする含量で、好ましくは1質量%から15質量%を範囲とする含量で、より好ましくは1質量%から10質量%を範囲とする含量で存在することができる。
【0078】
炭化水素系ブロックコポリマー(又は炭化水素系ブロックコポリマーの混合物)は、組成物の総質量に対して、2質量%から10質量%を範囲とする含量で存在することができる。
【0079】
好ましくは、炭化水素系樹脂の、炭化水素系ブロックコポリマーに対する質量比は、1から10の間である。
【0080】
より好ましくは、炭化水素系樹脂の、炭化水素系ブロックコポリマーに対する質量比は、1から8の間である。
【0081】
より好ましくは、炭化水素系樹脂の、炭化水素系ブロックコポリマーに対する質量比は、1から5の間であり、好ましくは1から3の間である。
【0082】
脂肪相
本発明による組成物は、少なくとも1種の脂肪相を含み、より特定すると少なくとも1種の液体脂肪相を含む。
【0083】
ジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油
本発明による組成物は、少なくとも1種の、少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油を含む。
【0084】
より詳細には、本発明による組成物は、少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油又はその混合物を、組成物の総質量に対して合計で19質量%から80質量%含む。
【0085】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油を、組成物の総質量に対して合計で20質量%から60質量%、好ましくは20質量%から50質量%含む。
【0086】
特に、唇をケアする及び/又はメイクアップするための、より特定するとリップスティック又はリップグロスのタイプの本発明による組成物は、本発明による不揮発性シリコーン油を、組成物の総質量に対して合計で20質量%から60質量%含むことができる。
【0087】
有利には、唇をケアする及び/又はメイクアップするための、より特定するとリップスティック又はリップグロスのタイプの本発明による組成物は、本発明による不揮発性シリコーン油を、組成物の総質量に対して合計で20質量%から50質量%含むことができる。
【0088】
有利には、唇をケアする及び/又はメイクアップするための、より特定するとリップスティック又はリップグロスのタイプの本発明による組成物は、本発明による不揮発性シリコーン油を、組成物の総質量に対して合計で20質量%から45質量%含むことができる。
【0089】
用語「油」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で液体である、水と非混和性の非水性化合物を意味する。
【0090】
本発明に従って使用できるシリコーン油は、不揮発性である。
【0091】
特に、本発明で使用できる不揮発性シリコーン油は、25℃での粘度が、9cStから800000cStの間、好ましくは600000cSt以下、好ましくは500000cSt以下であることが好ましい。これらのシリコーン油の粘度は、ASTM規格D-445に従って測定されうる。
【0092】
用語「不揮発性油」は、その、室温及び大気圧での蒸気圧が、非ゼロであり、0.02mmHg(2.66Pa)未満、より良好には10-3mmHg(0.13Pa)未満である油を意味する。
【0093】
本発明で使用できる不揮発性シリコーン油は、詳細には、特に25℃での粘度が9センチストーク(cSt)(9×10-6m2/s)以上で好ましくは800000cSt未満、好ましくは50から600000cStの間、好ましくは100から500000cStの間であるシリコーン油から選択されうる。このシリコーン油の粘度は、ASTM規格D-445に従って測定されうる。
【0094】
「フェニル化シリコーン油」又は「フェニルシリコーン油」という表現は、少なくとも1つのフェニル置換基を有するシリコーン油を意味する。「ジメチコン」(INCL名)という表現は、ポリジメチルシロキサン部分(化学物質名)に相当する。
【0095】
少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油はまた、不揮発性「フェニルジメチコン油」とも呼ばれる。
【0096】
少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油は、以下から選択されうる:
a)次式(IV)に相当するフェニルシリコーン油
【0097】
【化1】
【0098】
[式中、Meはメチルを表し、yは1から1000の間であり、Xは-CH2-CH(CH3)(Ph)を表す]。
b)次式(V)に相当するフェニルシリコーン油
【0099】
【化2】
【0100】
(式中、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、OR'は-OSiMe3基を表し、yは、1から1000の間を範囲とし、zは、1から1000の間を範囲とする)。詳細には、y及びzは、化合物(V)が不揮発性油であるような数である。使用できるのは、例えば、特にWacker社により参照名Belsil PDM1000で販売されているトリメチルシロキシフェニルジメチコンである。
c)次式(VI)に相当するフェニルシリコーン油、及びその混合物
【0101】
【化3】
【0102】
(式中、
- R1からR10は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1〜C30炭化水素系基であり、
- m、n、p及びqは、互いに独立に、0から900の間の整数であり、pは、1から900の間の整数であり、但し、和m+n+qは0ではない)。
【0103】
好ましくは、和m+n+qは、1から100の間である。好ましくは、和m+n+p+qは、1から900の間であり、更に良好には1から800の間である。好ましくは、qは、0に等しい。
【0104】
好ましくは、R1からR10は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状又は環状のC1〜C30炭化水素基を表し、好ましくは飽和であり、特にC1〜C12炭化水素系基であり、特定するとC3〜C16、より特定するとC4〜C10、又は単環式又は多環式C6〜C14及び特にC10〜C13アリール基、又はアラルキル基である。好ましくは、R1からR10は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、デシル、ドデシル若しくはオクタデシル基、又は代わりにフェニル、トリル、ベンジル又はフェネチル基を表すことができる。R1からR10は、特に同一であってもよく、更に、好ましくはメチル基とすることができる
d)次式(VII)に相当するフェニルシリコーン油、及びその混合物
【0105】
【化4】
【0106】
(式中、
-R1、R2、R5及びR6は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1〜C30炭化水素系基であり、好ましくはC1〜C30アルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
- R3及びR4は、互いに独立に、C1〜C30炭化水素系アルキル基、好ましくはメチルであり、
- pは、1から100の間の整数であり、
- m及びnは、互いに独立に、0から100の間の整数であり、但し、和n+mは、1から100の間である)。
【0107】
好ましくは、R1、R2、R5及びR6は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1〜C30炭化水素基であり、好ましくは飽和であり、特にC1〜C12炭化水素系基であり、特定するとC3〜C16、より特定するとC4〜C10、又は単環式又は多環式C6〜C14及び特にC10〜C13アリール基、又はアラルキル基である。好ましくは、R1、R2、R5及びR6は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、デシル、ドデシル若しくはオクタデシル基、又は代わりにフェニル、トリル、ベンジル又はフェネチル基を表すことができる。
【0108】
R1、R2、R5及びR6は、特に同一であってもよく、更に、メチル基であってもよい。好ましくは、式(VII)において、m=1若しくは2若しくは3、及び/又はn=0が、適用されうる。
e)次式に相当するフェニルシリコーン油、及びその混合物
【0109】
【化5】
【0110】
(式中、
R1、R2、R5及びR6は、一緒に又は別々に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R3及びR4は、一緒に又は別々に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、又はアリール基であり、但し、R3及びR4の少なくとも1つはフェニル基であり、
Xは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基又はビニル基であり、
n及びpは、油に、質量平均分子量200000g/mol未満、好ましくは150000g/mol未満、より好ましくは100000g/mol未満を付与するように選択される、1を超える又は1に等しい整数である)
f)並びにそれらの混合物。
【0111】
好ましくは、本発明による、少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニルシリコーン油の質量平均分子量は、500〜10000g/molを範囲とする。
【0112】
好ましくは、少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油は、次式(VII)に相当するフェニルジメチコン油から選択される:
【0113】
【化6】
【0114】
(式中、R1からR6、m、n及びpは、前に定義した通りである)。
【0115】
A)第1の実施形態によれば、式(VII)中、m=0であり、n及びpは、互いに独立に、1から100の間の整数である。好ましくは、R1からR6は、メチル基である。この実施形態によれば、シリコーン油は、好ましくは、ジフェニルジメチコンから、例えば信越化学工業株式会社からのKF-54(400cSt)、信越化学工業株式会社からのKF54HV(5000cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-300CS(300cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-53(175cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-100CS(100cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-1000CS(1000cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-3000CS(3000cSt)、及びそれらの混合物から選択される。
【0116】
B)第2の実施形態によれば、式(VII)中、pは、1から100の間であり、式(VII)中、和mは、1から100の間であり、n=0である。式(VII)(式中、n=0であり、R1からR6はメチル基である)のシリコーン油として、Wacker社からのBelsil PDM1000等のトリメチルシロキシフェニルジメチコンから選択されるシリコーン油を使用することが特に可能である。
【0117】
好ましくは、少なくともジメチコン部分を有する不揮発性シリコーン油は、以下から選択される:トリメチルシロキシフェニルジメチコン[例えばWacker社からのBelsil PDM1000(上記の式(V)を参照されたい)]、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン[例えば信越化学工業株式会社からのKF-54 (400cSt)、信越化学工業株式会社からのKF54HV(5000cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-300CS(300cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-53(175cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-100CS(100cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-1000CS(1000cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-3000CS(3000cSt)、及びそれらの混合物]。
【0118】
好ましい第1の実施形態によれば、不揮発性シリコーン油は、少なくともジメチコン部分を有するフェニルシリコーン油であり、好ましくは以下から選択される:
- ジフェニルジメチコン、例えば信越化学工業株式会社からのKF-54(400cSt)、信越化学工業株式会社からのKF54HV(5000cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-300CS(300cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-53(175cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-100CS(100cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-1000CS(1000cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-3000CS(3000cSt)、及びそれらの混合物、
- トリメチルシロキシフェニルジメチコン、例えばWacker社からのBelsil PDM1000
- 並びにそれらの混合物。
【0119】
上述のシリコーン油の中で、フェニルジメチコンシリコーン油がとりわけ有利であることが判明していることが留意されるべきである。それらは、特に、本発明による組成物で作製された皮膚又は唇の上の堆積物に、粘りを一切発生させずに良好なレベルの光沢を授けることができ、且つ不揮発性炭化水素化無極性油に伴って、色移りのしない堆積物を形成させることができる。
【0120】
追加の不揮発性シリコーン油
本発明による組成物は、前記少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油とは異なる少なくとも1種の追加の不揮発性シリコーン油を含んでもよい。
【0121】
これらの追加のシリコーン油の中で、フェニルを含有するか含有しないかに応じて、2つのタイプの油に区別されうる。
【0122】
1.非フェニル化不揮発性シリコーン油
第1の実施形態によれば、追加の不揮発性シリコーン油は、非フェニル化シリコーン油である。
【0123】
「非フェニル化シリコーン油」又は「非フェニルシリコーン油」という表現は、フェニル置換基を有さないシリコーン油を意味する。
【0124】
挙げることができるこれらの不揮発性非フェニル化シリコーン油の代表的な例には、ポリジメチルシロキサン;アルキルジメチコン;ビニルメチルメチコンがあり;並びに任意選択でフッ素化された脂肪族基で修飾された、又はヒドロキシル基、チオール基及び/又はアミン基等の官能基で修飾されたシリコーンもある。
【0125】
第1の実施形態によれば、追加の不揮発性シリコーン油は、非フェニル化油であり、好ましくは、ポリジメチルシロキサン;アルキルジメチコン;ビニルメチルメチコン;並びに任意選択でフッ素化されている脂肪族基で修飾された、又はヒドロキシル基、チオール基及び/若しくはアミン基等の官能基で修飾されたシリコーンから選択される。
【0126】
追加の不揮発性非フェニル化シリコーン油は、ポリジメチルシロキサン、アルキルジメチコンから好ましくは選択されるジメチコン油から選択されることが好ましい。
【0127】
「ジメチコン」(INCL名)は、ポリジメチルシロキサン(化学物質名)に相当する。
追加の非フェニル化不揮発性シリコーン油は、以下から選択されうる:
- 不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、
- ペンダントであり且つ/又はシリコーン鎖の末端にあり、これらの基がそれぞれ2〜24個の炭素原子を有しているアルキル基又はアルコキシ基を含むPDMSで、例えばEvonik Goldschmidt社からの市販参照名ABIL WAX9801で販売されているセチルジメチコン、
- 脂肪族基及び/又は芳香族基、又はヒドロキシル基、チオール基及び/又はアミン基等の官能基を含むPDMS、
- ポリアルキルメチルシロキサン、例えばEvonik Goldschmidt社からの市販参照名ABIL WAX9801で販売されているセチルジメチコン、又は任意選択でフッソ化基で置換されたポリアルキルメチルシロキサン、例えばポリメチルトリフルオロプロピルジメチルシロキサン、
- ヒドロキシル基、チオール基及び/又はアミン基等の官能基で置換されたポリアルキルメチルシロキサン、
- 脂肪酸、脂肪アルコール又はポリオキシアルキレンで修飾されたポリシロキサン、並びにそれらの混合物。
【0128】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の追加の非フェニル化直鎖状シリコーン油を含有する。
【0129】
これらの追加の不揮発性非フェニル化直鎖状シリコーン油は、ポリジメチルシロキサン;アルキルジメチコン;ビニルメチルメチコン;並びに任意選択でフッ素化された脂肪族基で修飾された、又はヒドロキシル基、チオール基及び/若しくはアミン基等の官能基で修飾されたシリコーンから選択されうる。
【0130】
追加の非フェニル化直鎖状シリコーン油は、特に、次式(I)のシリコーンから選択されうる。
【0131】
【化7】
【0132】
(式中、
R1、R2、R5及びR6は、一緒に又は別々に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R3及びR4は、一緒に又は別々に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ビニル基、アミン基又はヒドロキシル基であり、
Xは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基又はアミン基であり、
n及びpは、特に、その25℃での粘度が、9センチストーク(cSt)(9×10-6m2/s)から800000cStの間である液体化合物を有するように選択される整数である)。
【0133】
本発明に従って使用できる追加の不揮発性非フェニル化シリコーン油として、以下を挙げることができる:
- 置換基R1〜R6及びXがメチル基を表し、p及びnが、粘度が500000cStになるような数である、例えばGeneral Electric社により名称SE30で販売されている製品、Wacker社により名称AK 500000で販売されている製品、Bluestar社から名称Mirasil DM 500000で販売されている製品、及びDow Corning社により名称Dow Corning200 Fluid500000cStで販売されている製品、
- 置換基R1〜R6及びXがメチル基を表し、p及びnが、粘度が60000cStになるような数である、例えばDow Corning社により名称Dow Corning200 Fluid 60000CSで販売されている製品、及びWacker社により名称Wacker Belsil DM60000で販売されている製品、
- 置換基R1〜R6及びXがメチル基を表し、p及びnが、粘度が350cStになるような数である、例えばDow Corning社により名称Dow Corning200 Fluid350CSで販売されている製品、
- 置換基R1からR6がメチル基を表し、X基がヒドロキシル基を表し、n及びpが、粘度が700cStになるような数である、例えばMomentive社により名称Baysilone Fluid T0.7で販売されている製品。
【0134】
特定の一実施形態によれば、組成物は、ポリアルキルメチルシロキサン、例えばEvonik Goldschmidt社からの市販参照名ABIL WAX9801で販売されているセチルジメチコンを含む。好ましくは、組成物は、0.1〜10%のポリアルキルメチルシロキサン、例えばセチルジメチコンを含む。
【0135】
2.ジメチコン部分を有していない不揮発性フェニル化シリコーン油
第2の実施形態の一変形によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の、追加の、ジメチコン部分を有していない不揮発性フェニル化シリコーン油を含有する。
【0136】
「フェニル化シリコーン油」又は「フェニルシリコーン油」という表現は、少なくとも1つのフェニル置換基を有するシリコーン油を意味する。
【0137】
ジメチコン部分を有していない不揮発性フェニル化シリコーン油は、以下から選択される:
a)次式(I)に相当するフェニルシリコーン油
【0138】
【化8】
【0139】
(式中、R基は、互いに独立に、メチル又はフェニルを表し、但し、少なくとも1つのR基はフェニルを表す)。好ましくは、この式中、フェニルシリコーン油は、少なくとも3つのフェニル基、例えば少なくとも4つ、少なくとも5つ又は少なくとも6つのフェニル基を含む。
b)次式(II)に相当するフェニルシリコーン油
【0140】
【化9】
【0141】
(式中、R基は、互いに独立に、メチル又はフェニルを表し、但し、少なくとも1つのR基はフェニルを表す)。好ましくは、この式中、前記オルガノポリシロキサンは、少なくとも3つのフェニル基、例えば、少なくとも4つ又は少なくとも5つのフェニル基を含む。前述のフェニルオルガノポリシロキサンの混合物が、使用されうる。挙げることができる例には、トリフェニル、テトラフェニル又はペンタフェニルオルガノポリシロキサンの混合物がある。
c)次式(III)に相当するフェニルシリコーン油
【0142】
【化10】
【0143】
(式中、Meはメチルを表し、Phはフェニルを表す)。
【0144】
こうしたフェニルシリコーン油は、好ましくは、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、又はテトラメチルテトラフェニルトリシロキサンである。こうした油は、特にDow Corning社により参照名PH-1555HRI若しくはDow Corning555Cosmetic Fluid(化学物質名:1,3,5-トリメチル-1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン;INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)で製造されており、又はDow Corning社により参照名Dow Corning554Cosmetic Fluidで販売されているテトラメチルテトラフェニルトリシロキサンもまた使用されうる。
d)次式(V')に相当するフェニルシリコーン油
【0145】
【化11】
【0146】
[式中、MeはメチルでありPhは、フェニルであり、OR'は-OSiMe3基を表し、yは0であり、zは、1から1000の間を範囲とし、特定するとzは、化合物(V')が不揮発性油であるような数である]。
【0147】
第2の実施形態によれば、yは0に等しい。使用できるのは、例えば、特に参照名Dow Corning556Cosmetic Grade Fluid(DC556)で販売されているフェニルトリメチルシロキシトリシロキサンである。
e)次式(VIII)に相当するフェニルシリコーン油、及びその混合物
【0148】
【化12】
【0149】
(式中、
- Rは、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1〜C30炭化水素系基であり、好ましくはRは、C1〜C30アルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
- m及びnは、互いに独立に、0から100の間の整数であり、但し、和n+mは、1から100の間である)。
【0150】
好ましくは、Rは、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1〜C30炭化水素基であり、好ましくは飽和であり、特にC1〜C12炭化水素基であり、特定するとC3〜C16、より特定するとC4〜C10、又は単環式若しくは多環式C6〜C14及び特にC10〜C13アリール基、又はアラルキル基である。好ましくは、Rは、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、デシル、ドデシル又はオクタデシル基、又は代わりにフェニル、トリル、ベンジル又はフェネチル基を表すことができる。Rは、特に同一であってもよく、更にメチル基であってもよい。好ましくは、式(VIII)中、m=1若しくは2若しくは3、及び/又はn=0が適用されうる。
【0151】
好ましい一実施形態によれば、式(VIII)中、nは、0から100の間の整数であり、mは、1から100の間の整数であり、但し、和n+mは、1から100の間である。好ましくは、Rは、メチル基である。
【0152】
一実施形態によれば、25℃での粘度が5から1500mm2/sの間(即ち5〜1500cSt)である、好ましくは粘度が5から1000mm2/sの間(即ち5〜1000cSt)である、式(VIII)のフェニルシリコーン油が使用されうる。
【0153】
この実施形態によれば、不揮発性フェニルシリコーン油は、好ましくはフェニルトリメチコンから選択され、例えばDow Corning社からのDC556(22.5cSt)、信越化学工業株式会社からのKF56A等の油ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、Rhone-Poulenc社からの油Silbione70663V30(28cSt)である。かっこ内の値は、25℃での粘度を表す。
【0154】
この実施形態によれば、n=0のとき、前記シリコーン油は、好ましくはDow Corning社からのDC556であり、m及びnが1から100の間であるとき、前記シリコーン油は、好ましくは信越化学工業株式会社からのKF56Aである。
f)及びそれらの混合物。
【0155】
第2の実施形態によれば、追加のシリコーン油は、ジメチコン部分を有していないフェニルシリコーン油であり、以下がある:
- フェニルトリメシルシロキシトリシロキサン、フェニルトリメチコン、例えばDow Corning社からのDC556、
- テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、例えばDow Corning社からのPH-1554HRI又はDow Corning554Cosmetic Fluid、
- ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、例えば信越化学工業株式会社からのKF56A、Rhone-Poulenc社からの油Silbione70663V30、
- トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、例えばDow Corning社からのPH-1555HRI又はDow Corning555Cosmetic Fluid、
- 及びこれらの混合物。
【0156】
前記不揮発性フェニルジメチコン油とは異なる好ましい追加の不揮発性シリコーン油として、以下のシリコーンを例として挙げることができる:
- 好ましくは以下から選択される、ジメチコン部分を有していない不揮発性フェニルシリコーン油:テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン(例えばDow Corning社からのPH-1554HRI又はDow Corning554Cosmetic Fluid)、フェニルトリメチコン(例えばDow Corning社により商標名DC556で販売されているフェニルトリメチコン)、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、トリメチルシロキシシリル化2-フェニルエチル、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(例えばDow Corning社により名称Dow Corning PH-1555HRI Cosmetic fluidで販売されている製品)[上の式(III)を参照されたい]、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(例えば信越化学工業株式会社からのKF56A)、
- ペンダントであり且つ/又はシリコーンの末端にある不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、アルキル基又はアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサン、
- 並びにこれらの混合物。
【0157】
本発明による組成物は、追加の不揮発性シリコーン油を、総計で、組成物の総質量に対して、0.1質量%から80質量%、特定すると1質量%から70質量%、好ましくは5質量%から60質量%含むことができる。
【0158】
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、前記少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油とは異なる追加の不揮発性シリコーン油を含まない。
【0159】
不揮発性炭化水素化無極性油
本発明による組成物は、少なくとも1種の不揮発性無極性炭化水素化油(無極性「炭化水素系」油とも呼ばれる)を含む。
【0160】
より詳細には、本発明による組成物は、不揮発性炭化水素化無極性油又はその混合物を、組成物の総質量に対して合計で1質量%から80質量%含む。
【0161】
本発明の目的では、用語「無極性油」は、25℃での溶解度パラメータであるδaが0(J/cm3)1/2に等しい油を意味する。
【0162】
ハンセン3次元溶解度空間における溶解度パラメータの定義及び計算は、C.M.Hansenによる記事「The three dimensional solubility parameters」、J.Paint Technol.、第39巻、105頁(1967年)に記載されている。
【0163】
このHansen空間によれば、
- δDは、分子の衝突中に誘起される双極子の形成から生じるロンドン分散力を特徴とし、
- δpは、永久双極子間のデバイ相互作用力、並びに誘起双極子と永久双極子との間のケーソム相互作用力を特徴とし、
- δhは、特定の相互作用力(例えば水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプター等)を特徴とし、且つ
- δaは、方程式:δa=(δp2h2)1/2によって求められる。
【0164】
パラメータδp、δh、δD及びδaは、(J/cm3)1/2で表される。
【0165】
用語「炭化水素系油」(又は「炭化水素化油」若しくは「炭化水素油」)は、炭素原子及び水素原子、並びに任意選択で酸素原子及び窒素原子から基本的に形成され、又は更にこれらによって構成され、ケイ素原子又はフッ素原子を一切含有しない油を意味する。これは、アルコール基、エステル基、エーテル基、カルボン酸基、アミン基及び/又はアミド基を含有してもよい。
【0166】
これらの油は、植物起源、鉱物起源又は合成起源のものとすることができる。
【0167】
好ましくは、不揮発性無極性炭化水素系油は、直鎖状又は分枝状の、鉱物起源又は合成起源の炭化水素から選択されうる。
【0168】
具体的には、前記不揮発性無極性炭化水素系油は、以下から選択される:
- 液状パラフィン又はその誘導体、
- スクワラン、
- イソエイコサン、
- ナフタレン油、
- ポリブチレン、例えばAmoco社により製造又は販売されているIndopol H-100(モル質量又はMW=965g/mol)、Indopol H-300(MW=134g/mol)及びIndopol H-1500(MW=2160g/mol)、
- ポリイソブテン、
- 水素化ポリイソブチレン、例えば日油株式会社により販売されているParleam(登録商標)、Amoco社により製造又は販売されているPanalane H-300E(MW=1340g/mol)、Synteal社により製造又は販売されているViseal20000(MW=6000g/mol)、及びWitco社により製造又は販売されているRewopal PIB1000(MW=1000g/mol)、又は代わりにNOF Corporation社により販売されているParleam Lite、
- デセン/ブテンコポリマー、ポリブテン/ポリイソブテンコポリマー、特にIndopol L-14、
- ポリデセン及び水素化ポリデセン、例えばMobil Chemicals社により製造又は販売されているPuresyn10(MW=723g/mol)及びPuresyn150(MW=9200g/mol)、又は代わりにExxonMobil Chemical社により販売されているPuresyn 6、
- 並びにそれらの混合物。
【0169】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種の不揮発性炭化水素系無極性油を含み、これは好ましくは、ポリブテン、ポリイソブテン、水素化ポリイソブテン、ポリデセン及び/又は水素化ポリデセン、並びにそれらの混合物から選択される。
【0170】
本発明による組成物は、不揮発性炭化水素化無極性油を、組成物の総質量に対して、1質量%から80質量%、例えば2質量%から70質量%、好ましくは5質量%から60質量%を範囲とする含量で含むことができる。
【0171】
好ましくは、前記不揮発性無極性炭化水素化油は、少なくとも水素化ポリデセン及び/又は水素化ポリイソブテンを、好ましくは、組成物の総質量に対して、1質量%から80質量%、好ましくは2質量%から70質量%を範囲とする総含量で含む。
【0172】
好ましくは、前記不揮発性炭化水素油は、少なくとも水素化ポリデセン及び/又は水素化ポリイソブテンを、好ましくは、組成物の総質量に対して、5質量%から60質量%、好ましくは10質量%から50質量%を範囲とする総含量で含む。
【0173】
好ましくは、無極性不揮発性炭化水素化油の総計の、不揮発性フェニルジメチコン油の総計に対する質量比は、0.2から3の間である。
【0174】
より好ましくは、無極性不揮発性炭化水素化油の総計の、不揮発性フェニルジメチコン油の総計に対する質量比は、0.5から2の間である。
【0175】
より好ましくは、無極性不揮発性炭化水素化油の総計の、不揮発性フェニルジメチコン油の総計に対する質量比は、0.8から1.5の間である。
【0176】
好ましくは、不揮発性フェニル化ジメチコン油の総計の、不揮発性炭化水素化油の総計に対する質量比は、0.5から1.5の間、好ましくは0.8から1.2の間、更により好ましくは0.9から1.1の間である。
【0177】
不揮発性炭化水素化極性油
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、追加の不揮発性極性炭化水素化油を含む。
【0178】
本発明の目的では、用語「極性油」は、その25℃での溶解性パラメータδaが0(J/cm3)1/2ではない油を意味する。
【0179】
これらの油は、植物起源、鉱物起源又は合成起源のものとすることができる。
【0180】
特に、追加の炭化水素系不揮発性極性油は、以下の油の列挙及びそれらの混合物から選択されうる:
- 炭化水素系植物油、例えば4〜10個の炭素原子を有する脂肪酸の液体トリグリセリド、例えばヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド、又はホホバ油、
- 好ましくは以下から選択される、エステル油:
- 脂肪酸エステル、特に4〜22個の炭素原子のもの、詳細には、オクタン酸、ヘプタン酸、ラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸又はステアリン酸のもの、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコール又はジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、
- 合成エステル、例えば式R1COOR2(式中、R1は、4〜40個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、R2は、4〜40個の炭素原子を有する、特に分枝状である炭化水素系鎖を表し、但し、R1+R2≧16である)の油、例えばプルセリン油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、C12〜C15安息香酸アルキル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸2-オクチルドデシル、オクタン酸、デカン酸又はリシノール酸アルコール又はポリアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル又はコハク酸2-ジエチルヘキシル;好ましくは、好ましい合成エステルR1COOR2(式中、R1は、4〜40個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、R2は、4〜40個の炭素原子を有する、特に分枝状である炭化水素系鎖を表し、但し、R1+R2≧20である)、
- 総炭素数が35〜70を範囲とする直鎖状脂肪酸エステル、例えばテトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル(MW=697g/mol)、
- ヒドロキシル化エステル、好ましくは総炭素数35〜70を範囲とするもの、例えばトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=965g/mol)、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、マレイン酸ジイソステアリル、ステアリン酸グリセリル;ジイソノナン酸ジエチレングリコール、
- 芳香族の酸と、4〜22個の炭素原子を有するアルコールとのエステル、例えばトリデシルトリメリテート(MW=757g/mol)、
- 欧州特許第A-0955039号に記載のもの等の分枝状の脂肪アルコール又は脂肪酸のC24〜C28エステル、特にクエン酸トリイソアラキジル(MW=1033.76g/mol)、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル(MW=697g/mol)、トリイソステアリン酸グリセリル(MM=891g/mol)、トリス(2-デシル)テトラデカン酸グリセリル(MW=1143g/mol)、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(MW=1202g/mol)、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=1232g/mol)又はテトラキス(2-デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル(MW=1538g/mol)、
- 少なくとも1つのヒドロキシル化したカルボン酸トリグリセリドを、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸でエステル化することによって得られる、任意選択で不飽和であるポリエステル、例えばZenitech社から参照名Zeniglossで販売されているコハク酸及びイソステアリン酸ヒマシ油、
- ジオールダイマーと、一般式HO-R1-(-OCO-R2-COO-R1-)h-OH
(式中、
R1は、ジリノール酸二酸の水素化により得られるジオールダイマー残基を表し、
R2は、炭化水素化ジリノール酸二酸残基を表し、且つ
hは、1〜9を範囲とする整数を表す)
の二酸ダイマーとのエステル、
特に、日本ファインケミカル株式会社により商品名Lusplan DD-DA5(登録商標)及びDD-DA7(登録商標)で販売されている、ジリノール酸二酸とジリノレイルジオールダイマーとのエステル、
- 不飽和脂肪酸タイマー及び/又はトリマーの並びにジオールの縮合により得られるポリエステル、例えば仏国特許第0853634号に記載のもの、特に例えばジリノール酸と1,4-ブタンジオールとの縮合により得られるポリエステル。この点に関して挙げることができるのは、Biosynthis社により名称Viscoplast14436Hで販売されているポリマー(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー)、又はポリオールと二酸ダイマーとのコポリマー、及びそれらのエステル、例えばHailuscent ISDA、
- 12〜26個の炭素原子を有する脂肪アルコール、好ましくは分枝状の、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール及びオレイルアルコール、
- C12〜C22高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸及びリノレン酸、並びにそれらの混合物、
- 植物起源の油、例えばゴマ油(820.6g/mol)、
- 12〜26個の炭素原子を有する脂肪酸、例えばオレイン酸、
- 2つのアルキル鎖がおそらく同一又は異なっている炭酸ジアルキル、例えばCognis社により名称Cetiol CC(登録商標)で販売されている炭酸ジカプリリル、
- ビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマー等のビニルピロリドンコポリマー、ISP社により製造又は販売されているAntaron V-216(MW=7300g/mol)。
【0181】
好ましくは、本発明による組成物は、以下から選択される少なくとも1種の追加の不揮発性極性炭化水素油を含む:
- ビニルピロリドンコポリマー、好ましくは例えばビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマー、
- ヒドロキシル化したエステル、好ましくは総炭素数35〜70を範囲とし、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、マレイン酸ジイソステアリル、ステアリン酸グリセリル;ジイソノナン酸ジエチレングリコールから好ましくは選択されるもの、
- 脂肪酸の液体トリグリセリドから好ましくは選択される植物起源からの油、
- クエン酸トリイソアラキジル(MW=1033.76g/mol)、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル(MW=697g/mol)、トリイソステアリン酸グリセリル(MM=891g/mol)、トリス(2-デシル)テトラデカン酸グリセリル(MW=1143g/mol)、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(MW=1202g/mol)、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=1232g/mol)又はテトラキス(2-デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル(MW=1538g/mol)から好ましくは選択される分枝状の脂肪アルコール又は脂肪酸のC24〜C28エステル、
- 式R1COOR2(式中、R1は、4〜40個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、R2は、4〜40個の炭素原子を有する、特に分枝状の炭化水素系鎖を表し、但し、R1+R2≧16である)の合成エステル、
- 及びそれらの混合物。
【0182】
本発明による組成物は、追加の不揮発性極性炭化水素化油を、組成物の総質量に対して、1質量%から80質量%、例えば2質量%から70質量%、好ましくは5質量%から60質量%を範囲とする含量で含むことができる。
【0183】
本発明による組成物は、追加の不揮発性極性炭化水素化油を、組成物の総質量に対して、5質量%から60質量%、好ましくは10質量%から50質量%を範囲とする含量で含むことができる。
【0184】
好ましくは、不揮発性炭化水素化油の総計(即ち極性油及び無極性油)の、不揮発性シリコーン油の総計に対する質量比は、0.1から20の間、より好ましくは0.2から10の間である。
【0185】
好ましくは、不揮発性炭化水素化油の総計(即ち極性油及び無極性油)の、不揮発性シリコーン油の総計に対する質量比は、0.5から5の間である。
【0186】
本発明のメイクアップ及び/又はケアの化粧用組成物はまた、組成物の企図された使用の機能として通常の成分を含みうる、化粧品として許容される媒体も含む。
【0187】
本発明による組成物はまた、極性炭化水素化不揮発性油、及び/若しくは脂肪ペースト状化合物、及び/若しくは半結晶性ポリマー、及び/若しくはフィラー、及び/若しくは着色剤、並びに/又はそれらの混合物から好ましくは選択される少なくとも1種の追加の化合物も含むことができる。
【0188】
追加の脂肪相
一実施形態によれば、本発明による組成物は、前記不揮発性シリコーン油及び前記不揮発性炭化水素化油以外に、追加の液体脂肪相を含んでもよく、これは、前に記載した不揮発性極性炭化水素化油、及び/又は前に記載した前記非フェニル化ジメチコン油とは異なる不揮発性シリコーン油から好ましくは選択される。
【0189】
追加の液体脂肪相は、組成物の総質量に対して、0.1質量%から88質量%を表すことができる。
【0190】
特定すると、本発明による組成物及び/又は本発明による組成物中で使用される組成物は、追加の液体脂肪相を、組成物の総質量に対して0.1質量%から85質量%含むことができる。
【0191】
より特定すると、本発明による組成物及び/又は本発明による組成物中で使用される組成物は、追加の液体脂肪相を、組成物の総質量に対して0.5質量%から80質量%含むことができる。
【0192】
揮発性油
一実施形態によれば、本発明による組成物は、揮発性油を含んでもよい。
【0193】
そのため、本発明により検討中の組成物は、有利には揮発性炭化水素系油、揮発性シリコーン油及びフルオロ油、及びそれらの混合物から特に選択されうる1種又は複数の油を含むことができる。
【0194】
本発明の目的では、用語「揮発性油」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で、ケラチン物質と接触すると1時間未満で蒸発可能な油を意味する。揮発性油は、化粧用揮発性油であり、これは、室温で液体であり、詳細には、蒸気圧が、0.13Paから40000Pa(10-3〜300mmHg)を範囲とし、好ましくは1.3Paから13000Pa(0.01〜100mmHg)、優先的には1.3Paから1300Pa(0.01〜10mmHg)を範囲とする。
【0195】
油は、動物起源、植物起源、鉱物起源又は合成起源のものとすることができる。
【0196】
揮発性フルオロ油
用語「フルオロ油」は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味する。
【0197】
本発明で使用できるフルオロ油は、フルオロシリコーン油、フルオロポリエーテル及び欧州特許第A-847752号に記載されているフルオロシリコーン、並びにペルフルオロ化合物から選択されうる。
【0198】
本発明によれば、用語「ペルフルオロ化合物」は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されている化合物を意味する。
【0199】
好ましい一実施形態によれば、本発明によるフルオロ油は、ペルフルオロ油から選択される。本発明で使用できるペルフルオロ油の例として挙げることができるのは、ペルフルオロデカリン及びペルフルオロペルヒドロフェナントレンである。
【0200】
好ましい一実施形態によれば、フルオロ油は、ペルフルオロペルヒドロフェナントレン、具体的にはCreations Couleurs社により販売されているFiflow(登録商標)製品から選択される。詳細には、使用できるのは、そのINCI名がペルフルオロペルヒドロフェナントレンであり、F2Chemicals社により参照名Fiflow220で販売されているフルオロ油である。
【0201】
揮発性炭化水素油
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、イソドデカン及び/又はイソヘキサデカン等の揮発性炭化水素化油を更に含む。
【0202】
こうした化合物は、不揮発性炭化水素化油及びシリコーン油と親和性があり、適用中の展延性、及び堆積物の移り耐性を向上させる。
【0203】
用語「炭化水素系油」(又は「炭化水素化油」若しくは「炭化水素油」)は、炭素原子及び水素原子、並びに任意選択で酸素原子及び窒素原子から本質的に形成され、又は更にこれらから構成され、ケイ素原子又はフッ素原子を一切含有しない油を意味する。それは、アルコール基、エステル基、エーテル基、カルボン酸基、アミン基及び/又はアミド基を含有してもよい。
【0204】
揮発性炭化水素系油は、8〜16個の炭素原子を有する炭化水素系油、とりわけ分枝状のC8〜C16アルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとも呼ばれる)、イソデカン及びイソヘキサデカン、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0205】
揮発性炭化水素系油はまた、7個から17個の炭素原子、特定すると9個から15個の炭素原子、より特定すると11個から13個の炭素原子を有する直鎖状の揮発性アルカンであってもよい。特に挙げることができるのは、n-ノナデカン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、n-ペンタデカン及びn-ヘキサデカン、並びにそれらの混合物である。
【0206】
用語「炭化水素系油」は、炭素原子及び水素原子、並びに任意選択で酸素原子及び窒素原子から本質的に形成され、又は更にこれらから構成され、且つケイ素又はフッ素原子を含有しない油を意味することが企図される。それは、アルコール基、エステル基、エーテル基、カルボン酸基、アミン基及び/又はアミド基を含有してもよい。
【0207】
一実施形態によれば、本発明による組成物はまた、少なくともイソデカン及び/又はイソヘキサデカンを含む。
【0208】
一実施形態によれば、組成物は、イソデカン及び/又はイソヘキサデカン以外の追加の揮発性炭化水素化油を含まない。
【0209】
より詳細には、本発明の組成物は、その総質量に対して0.1質量%から20質量%の間の揮発性油、好ましくはイソデカン及び/又はイソヘキサデカンを含有する。
【0210】
好ましくは、本発明による組成物は、その総質量に対して1質量%から15質量%の間の揮発性油、好ましくはイソデカン及び/又はイソヘキサデカンを含有する。
【0211】
有利には、本発明による組成物は、その総質量に対して1質量%から10質量%の間の揮発性油、好ましくはイソデカン及び/又はイソヘキサデカンを含有する。
【0212】
本発明による組成物中で使用できる他の揮発性炭化水素系溶媒(油)として挙げることができるのは、室温で液体であるケトン、例えばメチルエチルケトン又はアセトン;短鎖エステル(合計で3〜8個の炭素原子を有する)、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル又は酢酸n-ブチル;室温で液体であるエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメチルエーテル又はジクロロジエチルエーテル;アルコール、及び特に2〜5個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の低級モノアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール又はn-プロパノールである。
【0213】
好ましい一実施形態によれば、揮発性油は、引火点が65℃超であり、より良好には80℃超である。こうした揮発性油の例として挙げることができるのは、イソヘキサデカンである。
【0214】
有利には、本発明による組成物は、引火点が80℃未満である揮発性油を、組成物の総質量に対して5質量%未満、更に良好には2質量%未満含む。好ましくは、本発明による組成物は、引火点が80℃未満である揮発性油を含まない。
【0215】
揮発性シリコーン油
一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の揮発性シリコーン油を含んでもよい。
【0216】
用語「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子を含み、特にSi-O基を含む油を意味することが企図される。
【0217】
本発明中で使用できる揮発性シリコーン油は、詳細には、粘度が≦8センチストーク(cSt)(8×10-6m2/s)であり、好ましくは0.5cSt超であるシリコーン油から選択されうる。
【0218】
用語「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子を含み、特にSi-O基を含む油を意味することが企図される。
【0219】
本発明で使用できる揮発性シリコーン油は、引火点が40℃〜150℃を範囲とする、好ましくは引火点が55℃超で105℃以下である、優先的には65℃〜95℃を範囲とするシリコーン油から選択されうる。引火点は、具体的には、ISO規格3679に従って測定される。
【0220】
揮発性シリコーン油は、直鎖状又は環状のシリコーン油から、例えば3〜7個のケイ素原子を有する直鎖状又は環状のポリジメチルシロキサン(PDMS)から選択されうる。
【0221】
より具体的に挙げることができる揮発性シリコーン油には、特にDow Corning社により名称DC-245で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、特にDow Corning社により名称DC-246で販売されているドデカメチルシクロヘキサシロキサン、特にDow Corning社により名称DC-200Fluid 1cStで販売されているオクタメチルトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、例えば特にDow Corning社により名称DC-200Fluid 1.5cStで販売されているデカメチルテトラシロキサン、及びDow Corning社により販売されている名称DC-200 Fluid 5cSt、信越化学工業株式会社からのオクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルエチルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサン、オクチルトリメチコン、ヘキシルトリメチコン、デカメチルシクロペンタシロキサン(シクロペンタシロキサ又はD5)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(シクロテトラジメチルシロキサン又はD4)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、デカメチルテトラシロキサン(L4)、KF96A、並びにそれらの混合物がある。
【0222】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、揮発性油を含まない。
【0223】
固体の脂肪物質
本発明の組成物はまた、好ましくは、特にワックス及び/又はペースト状脂肪物質から選択される少なくとも1種の固体の脂肪物質も含んでもよい。
【0224】
ワックス
好ましい第1の実施形態によれば、組成物は、ワックスを含まず、又はワックスを組成物の総質量に対して5質量%未満、好ましくは3質量%未満含む。有利には、この実施形態によれば、組成物は、室温で液体である。特に、メイクアップ組成物の事例、例えば唇用のメイクアップ組成物の事例では、組成物は、リップグロスとすることができる。
【0225】
第2の実施形態において、組成物は、少なくとも1種のワックスを含む。この実施形態によれば、本発明によるメイクアップ及び/又はケア組成物中のワックスの量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%から30質量%の間、特に1質量%から20質量%、又は更には2質量%から15質量%の間である。
【0226】
詳細には、本発明による組成物が室温で固体であるとき、ワックスの存在は、好ましい。詳細には、メイクアップ組成物の事例、例えば唇用メイクアップ組成物の事例では、組成物はリップスティックとすることができる。
【0227】
用語「ワックス」は、室温(25℃)で固体であり、固体/液体の可逆的な状態変化を伴い、融点が30℃以上であり、200℃までは可能である、親油性化合物を意味する。ワックスは、動物起源、植物起源、鉱物起源又は合成起源のワックス及びそれらの混合物から選択されうる。特に挙げることができるのは、炭化水素系ワックス、例えば蜜ろう、ラノリンワックス及びシナロウ;コメヌカロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オーリキュリーワックス、アルファルファワックス、ベリーワックス、セラックワックス、木ろう及びウルシロウ;モンタンワックス、オレンジワックス、レモンワックス、微結晶性ワックス、パラフィン及びオゾケライト;ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュ合成により得られるワックス及びワックス状コポリマー、並びにそれらのエステルである。更に挙げることができるのは、直鎖状又は分枝状のC8〜C32脂肪鎖を有する動物性油又は植物性油の触媒的水素化によって得られるワックスである。これらの中で、特に挙げることができるのは、水素化ヒマワリ油、水素化ヒマシ油、水素化ヤシ油、水素化ラノリン油及びテトラステアリン酸ビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)である。更に挙げることができるのは、シリコーンワックス及びフルオロワックスである。セチルアルコールでエステル化したヒマシ油の水素化によって得たワックスも使用されうる。
【0228】
有利には、本発明による組成物は、少なくとも1種のワックス、特に炭化水素系ワックスを含んでもよい。
【0229】
ペースト状脂肪物質
第1の実施形態によれば、組成物は、ペースト状脂肪物質を含まない。
【0230】
好ましい第2の実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種のペースト状脂肪物質を含む。この実施形態によれば、好ましくは、本発明によるメイクアップ及び/又はケア組成物中のペースト状脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%から60質量%の間、特に1質量%から50質量%、又は更には2質量%から40質量%の間である。
【0231】
用語「ペースト状」は、本発明の趣旨において、固体状態において異方性の結晶配置を呈し、温度23℃で液体画分及び固体画分を含む、固体/液体の可逆性の状態変化を伴う、親油性脂肪化合物を意味すると理解される。
【0232】
用語「ペースト状化合物」は、本発明の趣旨において、20℃での硬度が0.001〜0.5MPa、好ましくは0.002〜0.4MPaを範囲とする化合物を意味すると理解される。
【0233】
硬度は、プローブを化合物のサンプル中へ貫通させる方法で測定され、特に直径2mmのステンレス鋼シリンダーを備え付けたテクスチャ分析器(例えばRheo社製のTA-XT2i)を用いる。硬度の測定は、5つのサンプルの中央で、20℃で実施する。シリンダーを、各サンプル中へ、予備速度1mm/sで導入し、次いで測定速度0.1mm/sで、貫通深さ0.3mmとする。硬度として記録する値は、最大ピークの硬度である。
【0234】
加えて、このペースト状化合物は、温度23℃で、液体画分及び固体画分の形態にある。言い換えれば、ペースト状化合物の出発融点温度は、23℃未満である。23℃で測定したペースト状化合物の液体画分は、化合物の9〜97質量%を占める。この、23℃での液体画分は、好ましくは15質量%から85質量%の間、より好ましくは40質量%から85質量%の間を占める。
【0235】
23℃での、質量による、ペースト状化合物の液体画分は、23℃で消費される融解エンタルピーの、ペースト状化合物の融解エンタルピーに対する比に等しい。
【0236】
ペースト状化合物の融解エンタルピーは、固体状態から液体状態へ変化させるために化合物によって消費されるエンタルピーである。ペースト状化合物は、その質量の全てが結晶性固体形態であるとき、「固体状態にある」。ペースト状化合物は、その質量の全てが液体形態にあるとき、「液体状態にある」。
【0237】
ペースト状化合物の融解エンタルピーは、例えばTA Instruments社により名称MDSC2920で販売されているカロリーメーター等の示差走査熱量計(DSC)を用いて、ISO規格11357-3、1999年に従って、1分当たり5℃又は10℃の温度上昇で得たサーモグラムの曲線下面積に等しい。ペースト状化合物の融解エンタルピーは、化合物を固体状態から液体状態に変えるのに必要なエネルギーの量である。これは、J/gで表される。
【0238】
23℃で消費される融解エンタルピーは、固体状態から、液体画分及び固体画分から成る状態に変える(これは23℃で示される)ためにサンプルに吸収させるエネルギーの量である。
【0239】
32℃で測定されるペースト状化合物の液体画分は、好ましくは、化合物に対して、30質量%から100質量%、好ましくは80質量%から100質量%、より好ましくは90質量%から100質量%を占める。32℃で測定されたペースト状化合物の液体画分が100%に等しいとき、ペースト状化合物の溶融範囲の終わりの温度は、32℃以下である。
【0240】
32℃で測定されるペースト状化合物の液体画分は、32℃で消費される融解エンタルピーの、ペースト状化合物の融解エンタルピーに対する比に等しい。32℃で消費される融解エンタルピーは、23℃で消費される融解エンタルピーと同じ方法で計算される。
【0241】
ペースト状化合物は、好ましくは、合成化合物、及び植物起源の化合物から選択される。ペースト状化合物は、植物起源の出発材料からの合成によって得られうる。特に挙げることができるのは、単独で又は混合物として、以下のものである:
【0242】
ペースト状脂肪物質は、有利には、以下から選択される:
- ラノリン及びその誘導体、例えばラノリンアルコール、オキシエチレン化ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンエステル、例えばラノリン酸イソプロピル、及びオキシプロピレン化ラノリン、
- ワセリン、具体的にはそのINCI名がペトロラタムであり、Penreco社により名称Ultima White PET USPで販売されている製品、
- 以下から選択されるポリオールエーテル:ポリアルキレングリコールペンタエリスリチルエーテル、糖の脂肪アルコールエーテル、及びそれらの混合物、5つのオキシエチレン(5OE)単位を含むポリエチレングリコールペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PEG-5ペンタエリスリチルエーテル)、5つのオキシプロピレン(5OP)単位を含むポリプロピレングリコールペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PEG-5ペンタエリスリチルエーテル)、及びそれらの混合物、より特定すると、PEG-5ペンタエリスリチルエーテルと、PPG-5ペンタエリスリチルエーテルと大豆油との混合物で、Vevy社により名称Lanolideで販売されているもの、これは、質量構成比が46/46/8(46%のPEG-5ペンタエリスリチルエーテルと、46%のPPG-5ペンタエリスリチルエーテルと、8%の大豆油)である混合物、
- ポリマー性又は非ポリマー性シリコーン化合物、
- ポリマー性又は非ポリマー性フルオロ化合物、
- ビニルポリマー、特に以下のもの:
・オレフィンホモポリマー及びコポリマー、
・水素化ジエンホモポリマー及びコポリマー、
・C8〜C30アルキル基を好ましくは有する、(メタ)アクリル酸アルキルの、直鎖状又は分枝状のオリゴマー、ホモポリマー又はコポリマー、
・C8〜C30アルキル基を有する、ビニルエステルのオリゴマー、ホモポリマー及びコポリマー、
・C8〜C30アルキル基を有する、ビニルエーテルのオリゴマー、ホモポリマー及びコポリマー、
- 1種又は複数のC2〜C100、好ましくはC2〜C50ジオール間でのポリエーテル化から得られる脂溶性ポリエーテル、
- エステル(即ち少なくとも1つのエステル官能基を含むペースト状脂肪物質)、
- 並びに/又はそれらの混合物。
【0243】
脂溶性ポリエーテルの中で特に好ましいものは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとC6〜C30長鎖アルキレンオキシドとのコポリマーであり、より好ましくは、コポリマーにおける、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの、アルキレンオキシドに対する質量比が5:95〜70:30となるものである。このファミリーにおいて、特に挙げることができるのは、長鎖アルキレンオキシドが平均分子量が1000〜10000であるブロック状に配列されるようなコポリマー、例えば、Akzo Nobel社により商品名Elfacos ST9で販売されている、ドデカンジオール(22mol)とポリエチレングリコール(45OE)とのエーテル等のポリオキシエチレン/ポリドデシルグリコールブロックコポリマーである。
【0244】
好ましくは、ペースト状脂肪物質は、少なくとも1つのエステル官能基を含む。エステルの脂肪物質の中で、以下のものが、特に好ましい:
- グリセロールオリゴマーのエステル、特にジグリセロールエステル、具体的にはアジピン酸とグリセロールとの縮合物、そこでグリセロールのヒドロキシル基のいくつかが、ステアリン酸、カプリン酸及びイソステアリン酸、並びに12-ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸の混合物と反応している、好ましくは例えばSasol社により商品名Softisan649で販売されているアジピン酸ビス-ジグリセリルポリアシル-2、
- C8〜C30アルキル基を有するビニルエステルホモポリマー、例えばラウリン酸ポリビニル(特にChimex社により参照名Mexomer PPで販売されている)で、及びAlzo社により商品名Waxenol801で販売されているプロピオン酸アラキジル、
- フィトステロールエステル、
- 脂肪酸トリグリセリド及びその誘導体、例えば脂肪酸のトリグリセリド、これは特にC10〜C18であり、且つ部分的に又は全体的に水素化されており、例えばSasol社により参照名Softisan100で販売されており、
- ペンタエリトリトールエステル、
- 直鎖状又は分枝状のC4〜C50ジカルボン酸又はポリカルボン酸とC2〜C50ジオール又はポリオールとの重縮合から得られる非架橋ポリエステル、
- 脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルの、脂肪族カルボン酸とのエステル化から得られるエステルの脂肪族エステル。好ましくは、脂肪族カルボン酸は、4〜30個、好ましくは8〜30個の炭素原子を有する。それは、好ましくは、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、イソアラキジン酸、オクチルドデカン酸、ヘンエイコサン酸及びドコサン酸、並びにそれらの混合物から選択される。脂肪族カルボン酸は、好ましくは分枝状である。脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルは、有利には、2〜40個の炭素原子、好ましくは10〜34個の炭素原子、より良好には12〜28個の炭素原子、及び1〜20個のヒドロキシル基、好ましくは1〜10個のヒドロキシル基、より良好には1〜6個のヒドロキシル基を有するヒドロキシル化脂肪族カルボン酸から誘導される。脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルは、以下から選択される:
a)飽和の直鎖状のモノヒドロキシル化脂肪族モノカルボン酸の部分的又は全体的エステル、
b)不飽和のモノヒドロキシル化脂肪族モノカルボン酸の部分的又は全体的エステル、
c)飽和のモノヒドロキシル化脂肪族ポリカルボン酸の部分的又は全体的エステル、
d)飽和のポリヒドロキシル化脂肪族ポリカルボン酸の部分的エステル又は全体的エステル、
e)モノヒドロキシル化若しくはポリヒドロキシル化した脂肪族モノカルボン酸又はポリカルボン酸と反応しているC2〜C16脂肪族ポリオールの部分的エステル又は全体的エステル、
並びにそれらの混合物、
- 必要に応じて遊離のアルコール官能基又は酸官能基が酸基又はアルコール基でエステル化された、ジオールダイマーと二酸ダイマーとのエステル、特にダイマージリノール酸エステル:こうしたエステルは、以下のINCI名を有するエステルから特に選択されうる:ビス-ベヘニル/イソステアリル/ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルフィトステリル(参照名Plandool G及びPlandol G7で市販されている)、フィトステリル/イソステアリル/ステアリル/ダイマージリノール酸ベヘニル(プランドールH又はプランドールS)及びそれらの混合物、
- 1〜34個の炭素原子を有する一価アルコールをエステルと反応させることにより得られるエステルで、これは、ダイマー酸を、ダイマージオールと、3〜10個の炭素原子を有する3価以上の多価アルコールとのアルコール混合物と反応させることによって得られ、ダイマー酸とアルコールの混合物から得られるエステル中に残っているカルボン酸基の1モル当量に対して0.8〜1.5モル当量、好ましくは0.4〜0.8モル当量、更により好ましくは0.2〜3.5モル当量の一価アルコールを使用することによって得る。
【0245】
ダイマー酸は、標準の工業的方法により得ることができる。より詳細には、ダイマー酸は、11〜22個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸、又は粘土触媒若しくは類似のものを有するその低級アルコールエステルを二量化することにより得ることができる。得られたダイマー酸は、主な成分として約36個の炭素原子を有する二塩基酸を有し、純化の程度に応じてトリマー酸及びモノマー酸を含有することができる。植物の脂肪及び油に由来するダイマーが好ましい。前述のダイマーとして、例えばCroda Inc.社により提供されているPRIPOL1006、PRIPOL1009、PRIPOL1015及びPRIPOL1025並びに類似のものが使用されうる。
【0246】
ダイマージオールは、より具体的には、主な成分として約36個の炭素原子を有するジオールを有する生成物である。ダイマージオールは、前述のダイマー酸及び/又はその低級アルコールエステルを、触媒の存在下で水素化して、約36個の炭素原子を有するジオールを形成することにより得られ、そこでダイマー酸のカルボン酸部分はアルコールである。植物の脂肪及び油に由来するダイマージオールが好ましい。例えば、Croda Inc.社により提供されているPRIPOL2033が使用されうる。
【0247】
3〜10個の炭素原子を有する三価以上の多価アルコールは、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン及びジペンタエリトリトールから好ましくは選択される。
【0248】
1〜34個の炭素原子を有する一価アルコールは、より詳細には、12〜22個の炭素原子を有する直鎖状の飽和のアルコール、8〜22個の炭素原子を有する分枝状の飽和のアルコール、コレステロール及びフィトステロールから選択される。好ましくは、一価アルコールは、16個以上の炭素原子を有する直鎖状の飽和の1価のアルコールであり、ペースト状の形態にある。別の実施形態によれば、一価アルコールは、コレステロール又はフィトステロールである。加えて、二重結合が、二量化反応の後に残る。したがって、そこで水素化が更に実施されるダイマー酸が使用されうる。
【0249】
こうした製品は、例えば日本ファインケミカル株式会社の名において提起された特開平13-20933に記載されている。
- マンゴー脂、例えば、Aarhuskarlshamn社により参照名Lipex203で販売されている製品、
- 植物起源の水素化油、例えば水素化イソステアリン酸ヒマシ油[日清オイリオグループ株式会社によりSALACOS HCIS (V-L)として販売されている]、水素化大豆油、水素化ヤシ油、水素化ナタネ油、水素化した植物性油の混合物、例えば水素化された、大豆油、ヤシ油、パーム油及びナタネ油の混合物、例えばAarhuskarlshamn社により参照名Akogel(登録商標)で販売されている混合物(INCI名:水素化合物植物油)、
- シア脂、特にそのINCI名がButyrospermum Parkii Butterである製品、例えばAarhuskarlshamn社により参照名Sheasoft(登録商標)で販売されている製品、
- 水素化ロジン酸エステル、例えば水素化ロジン酸のジリノレイルダイマー(日本ファインケミカル株式会社からのLusplan DD-DHR又はDD-DHR)、
- 並びにそれらの混合物。
【0250】
好ましくは、ペースト状脂肪物質は、少なくとも1つのエスエル官能基を含む炭化水素系化合物である。
【0251】
好ましくは、ペースト状脂肪物質は、水素化イソステアリン酸ヒマシ油[日清オイリオグループ株式会社によるSALACOS HCIS (V-L)]、ビス-ベヘニル/イソステアリル/ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルフィトステリル、1〜34個の炭素原子を有する一価アルコールをエステル(ダイマー酸を、ダイマージオールを、3〜10個の炭素原子を有する三価以上の多価アルコールとの混合物と反応させることによって得られ、ダイマー酸とアルコールの混合物から得られるエステル中に残っているカルボン酸基の1モル当量に対して0.8〜1.5モル当量の一価アルコールを使用することによって得られる)と反応させることにより得たエステル(例えば特開平23-20933に記載されている)、ビス-ジグリセリルポリアシルアジピペート-2、水素化ヒマシ油ダイマージリノレエート[高級アルコール工業株式会社により販売されているRisocast-DA-L(登録商標)、Risocast DA-H(登録商標)]、ラウリン酸ポリビニル、マンゴー脂、シア脂、水素化大豆油、水素化ヤシ油及び水素化ナタネ油、並びにそれらの混合物から選択される。
【0252】
本発明の特に好ましい一実施形態によれば、皮膚及び/又は唇をメイクアップする及び/又はケアするための化粧用組成物は、生理学的に許容される媒体中に、以下を含む少なくとも1種の脂肪相を含む:
- 数平均分子量が10000g/mol以下である少なくとも1種の炭化水素系樹脂、
- 少なくとも1種の炭化水素系ブロックポリマー、
- 組成物の総質量に対して合計で19質量%から80質量%の、少なくともジメチコン部分を有する不揮発性フェニル化シリコーン油又はその混合物、及び
- 組成物の総質量に対して合計で1質量%から80質量%の不揮発性炭化水素化無極性油又はその混合物、
- (i)ビス-ベヘニル/イソステアリル/ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルフィトステリル、(ii)1〜34個の炭素原子を有する一価アルコールを、エステルと反応させて得るエステル(ダイマー酸を、ダイマージオール及び3〜10個の炭素原子を有する三価以上の多価アルコールとのアルコール混合物と反応させることによって得られ、ダイマー酸とアルコールの混合物から得られるエステル中に残っているカルボン酸基の1モル当量に対して0.8〜1.5モル当量の一価アルコールを使用することによって得られる)から選択される、並びに好ましくは(ii)の中で選択される、少なくとも1種のペースト状化合物。
【0253】
半結晶性ポリマー
本発明による組成物はまた、半結晶性ポリマーも含んでよい。
【0254】
用語「ポリマー」は、本発明の趣旨において、少なくとも2つの繰り返し単位、好ましくは少なくとも3つの繰り返し単位、より特定すると少なくとも10の繰り返し単位を含む化合物を意味すると理解される。
【0255】
用語「半結晶性ポリマー」は、本発明の趣旨において、主鎖の中に結晶性部分と非晶質部分とを含み、且つ第1のオーダーの可逆性相変化温度、特に融点(固体-液体転移)を呈するポリマーを意味すると理解される。結晶性部分は、側鎖(又は、ペンダント鎖)又は主鎖の中のブロックのいずれかである。
【0256】
半結晶性ポリマーの結晶性部分がポリマー主鎖のブロックであるとき、この結晶性ブロックは、非晶質ブロックとは化学的性質が異なり、この事例では、半結晶性ポリマーは、例えば、ジブロック、トリブロック又はマルチブロックタイプのブロックコポリマーである。結晶性部分が主鎖に対してペンダント鎖である場合、半結晶性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーでありうる。
【0257】
用語「有機化合物」又は「有機構造を有する」は、単独で又は組合せで、炭素原子及び水素原子、且つ任意選択でS、O、N又はP等のヘテロ原子を含む化合物を意味すると理解される。
【0258】
半結晶性ポリマーの融点は、好ましくは150℃未満である。
【0259】
半結晶性ポリマーの融点は、好ましくは30℃以上で100℃未満である。更に好ましくは、半結晶性ポリマーの融点は、好ましくは30℃以上で60℃未満である。
【0260】
本発明による半結晶性ポリマー又はポリマーは、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で固体であり、その融点は、30℃以上である。融点の値は、Mettler社により名称DSC30で販売されているカロリメーター等の示差走査熱量計(DSC)を用いて、毎分5℃又は10℃の温度上昇で測定された融点に相当する(考慮される融点は、サーモグラムの最大の吸熱ピークの温度に相当する融点である)。
【0261】
本発明による半結晶性ポリマー又はポリマーは、融点が、前記組成物を受け取ることが企図されたケラチン性支持体、特に皮膚又は唇の温度よりも好ましくは高い。
【0262】
本発明による半結晶性ポリマー又はポリマーは、単独で又は混合物として、フィラーの又はワックスの特殊な界面活性剤を添加せずに組成物を構成することが可能である。
【0263】
本発明によれば、半結晶性ポリマーは、有利には脂肪相に可溶性であり、詳細には、それらの融点よりも高い温度で少なくとも1質量%まで可溶性である。結晶性鎖又はブロックとは離れて、該ポリマーのブロックは、非晶質である。
【0264】
用語「結晶性鎖又はブロック」は、本発明の趣旨において、単独である場合、温度が融点を超えるか下回るかに応じて、非晶質状態から結晶状態へ可逆的に変化する鎖又はブロックを意味することが理解される。「鎖」は、本発明の趣旨において、ポリマーの主鎖に対してペンダントである又は側面位置にある原子の群である。ブロックは、主鎖に属する原子の群であり、該群は、ポリマーの繰り返し単位のうちの1つを構成する。
【0265】
半結晶性ポリマーのポリマー主鎖は、好ましくは脂肪相に可溶性である。
【0266】
好ましくは、半結晶性ポリマーの結晶性ブロック又は鎖は、各ポリマーの総質量に対して、少なくとも30%、より良好には少なくとも40%を占める。結晶性側鎖を有する半結晶性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーである。結晶性ブロックを有する本発明の半結晶性ポリマーは、ブロックコポリマー又はマルチブロックコポリマーである。それらは、反応性(又はエチレン性)二重結合を有するモノマーの重合によって、又は重縮合によって得られうる。本発明のポリマーが結晶性側鎖を有するポリマーである場合、これらの側鎖は、有利には統計形態又はランダム形態にある。
【0267】
好ましくは、本発明の半結晶性ポリマーは、起源において合成性である。本発明の一実施形態によれば、本発明の半結晶性ポリマーは、多糖類の主鎖を含まない。
【0268】
本発明で使用できる半結晶性ポリマーは、具体的には以下から選択されうる:
- 結晶化が制御されたポリオレフィンのブロックコポリマー、そのモノマーが欧州特許第A-0951897号に記載されているもの、
- 重縮合体、特に脂肪族の、又は芳香族の、脂肪族/芳香族ポリエステルタイプのもの、
- 少なくとも1つの結晶性側鎖を担持するホモポリマー又はコポリマー、及び主鎖内に少なくとも1つの結晶性ブロックを担持するホモポリマー又はコポリマー、例えば米国特許第A-5156911号に開示されているもの、
- 特にフッ素基の中に、少なくとも1つの結晶性側鎖を担持するホモポリマー又はコポリマー、例えば国際公開第A-01/19333号に開示されているもの、
- 並びにそれらの混合物。
【0269】
最後の2つの事例では、結晶性側鎖又はブロックは、疎水性である。
【0270】
A) 結晶性側鎖を有する半結晶性ポリマー
好ましい第1の実施形態によれば、半結晶性ポリマーは、結晶性側鎖を有する半結晶性ポリマーから選択される。
【0271】
特に挙げることができるのは、米国特許A-5156911号及び国際公開第A-01/19333号に定義されているものである。
これらは、結晶性疎水性の側鎖を担持する1種又は複数のモノマーを重合することから得られる単位を50〜100質量%含むホモポリマー又はコポリマーである。
【0272】
これらのホモポリマー又はコポリマーは、これらが下に示す状態を呈するのであれば、任意の性質をもつことができ、具体的にはこれらの融点M.P.を超えて加熱することによって脂肪相に可溶性又は分散性であるという特徴を有する。それらは、以下から生成されうる:
- 二重結合を有する1種又は複数のモノマー、又は重合に関して、即ちビニル、(メタ)アクリル若しくはアリル基と反応性であるエチレン性モノマーの重合、特にラジカル重合から、及び/又は
- 共反応性基(カルボン酸又はスルホン酸、アルコール、アミン又はイソシアネート基)を担持する1種又は複数のモノマー、例えばポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ尿素又はポリアミド等の重縮合から。
【0273】
一般に、本発明による半結晶性ポリマーの結晶性単位(鎖又はブロック)は、半結晶性ポリマーを製造するために使用される結晶性ブロック又は鎖を有するモノマーを起源とする。これらのポリマーは、特に、式Xにより表されうる結晶性鎖を有する少なくとも1種のモノマーの重合から得られるホモポリマー及びコポリマーから選択される。
【0274】
【化13】
【0275】
(式中、Mは、ポリマー主鎖の原子を表し、Sは、スペーサを表し、Cは、結晶性基を表す)。
【0276】
結晶性鎖「-S-C」は、脂肪族又は芳香族であってもよく、任意選択でフッ素化されていても又は全フッ素化されていてもよい。「S」は、詳細には、直鎖状又は分枝状又は環状の(CH2)n又は(CH2CH2O)n又は(CH2O)基を表し、式中、nは0〜22を範囲とする整数である。好ましくは、「S」は、直鎖状基である。好ましくは、「S」と「C」とは異なっている。
【0277】
結晶性鎖が、脂肪族炭化水素鎖であるとき、それらは、少なくとも11個の炭素原子、多くとも40個の炭素原子、より良好には多くとも24個の炭素原子を有するアルキル炭化水素鎖を含む。それらは、詳細には、少なくとも12個の炭素原子を有する脂肪族鎖又はアルキル鎖であり、好ましくは、それらは、C14〜C24、好ましくはC16〜C22アルキル鎖である。それらが、フッ素化されている又は全フッ素化されているアルキル鎖である場合、それらは、少なくとも11個の炭素原子、少なくとも6個のフッ素化されている炭素原子を有する。
【0278】
結晶性鎖を有する半結晶性ホモポリマー又はコポリマーの例として挙げることができるのは、以下の1種又は複数のモノマーの重合から得られるものである:C14〜C24アルキル基を有する飽和(メタ)アクリル酸アルキル、C11〜C15ペルフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ペルフルオロアルキル、フッ素原子を有する又は有していないC14〜C24アルキル基を有するN-アルキル(メタ)アクリルアミド、C14〜C24アルキル基を有するアルキル又はペルフルオロ(アルキル)鎖を伴うビニルエステル(ペルフルオロアルキル鎖1つ当たり少なくとも6個のフッ素原子を有する)、C14〜C24アルキル基を有し且つペルフルオロアルキル鎖1つ当たり少なくとも6個のフッ素原子を有するアルキル又はペルフルオロ(アルキル)鎖を伴うビニルエーテル、C14〜C24α-オレフィン、例えばオクタデセン等、12〜24個の炭素原子を有するアルキル基を有するパラ-アルキルスチレン、並びにそれらの混合物。
【0279】
ポリマーが重縮合から得られる場合、上に定義した結晶性炭化水素系鎖及び/又はフッ素化鎖は、二酸、ジオール、ジアミン又はジイソシアネートでありうるモノマーによって担持される。
【0280】
本発明の主題であるポリマーがコポリマーである場合、それらは、以下の共重合から得られるY基又はZ基を0%〜50%、更に含む:
α)極性若しくは非極性モノマーである、又はこれら2種の混合物であるYの共重合:
・Yが極性モノマーである場合、Yは、ポリオキシアルキレン化基(特にオキシエチレン化基及び/又はオキシプロピレン化基)を担持するモノマー、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN,N-ジイソプロピルアクリルアミド若しくはN-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニルカプロラクタム、又は少なくとも1つのカルボン酸基、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸若しくはフマル酸を担持する、又はカルボン酸無水物基、例えば無水マレイン酸を担持するモノマー、並びにそれらの混合物である。
・Yが非極性モノマーである場合、Yは、直鎖状、分枝状又は環状(メタ)アクリル酸アルキル(メタ)のタイプのエステル、ビニルエステル、アルキルビニルエーテル、α-オレフィン、スチレン、又はC1〜C10アルキル基で置換されたスチレン、例えばα-メチルスチレン、又はビニル不飽和を有するポリオルガノシロキサンのタイプのマクロモノマーとすることができる。
【0281】
用語「アルキル」は、本発明の趣旨において、特に記載がない限り、飽和基、特にC8〜C24基を意味すると理解される。
【0282】
β)極性モノマー、又は極性モノマー混合物であるZの共重合。この事例では、Zは、上に定義した「極性Y」と同じ定義を有する。
【0283】
好ましくは、結晶性側鎖を有する半結晶性ポリマーは、上に定義したアルキル基、特にC14〜C24アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル又はアルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマー、これらのモノマーと、好ましくは(メタ)アクリル酸とは性質が異なる親水性モノマーとのコポリマー、例えばN-ビニルピロリドン又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、及びそれらの混合物である。
【0284】
有利には、結晶性側鎖を有する半結晶性ポリマー又はポリマーは、質量平均分子量Mwが、5000〜1000000、好ましくは10000〜800000、優先的には15000〜500000、より好ましくは100000〜200000を範囲とする。
【0285】
本発明による組成物中で使用できる半結晶性ポリマーの特定の例として挙げることができるのは、冊子「Intelimer(登録商標) polymers、Landec IP22」(4〜97頁を参照)に記載されているLandec社からのIntelimer(登録商標)製品である。これらのポリマーは、室温(25℃)で固体形態にある。これらは、結晶性側鎖を担持し、上の式Xを呈する。
【0286】
例えば、選択されるのは、Landec社からのIntelimer(登録商標)製品IPA13-1であり、これは、分子量がおよそ145000で融点が49℃であるポリ(アクリル酸ステアリル)である。
【0287】
半結晶性ポリマーは、具体的には、米国特許第A-5156911号の実施例3、4、5、7及び9で開示のものとすることができ、それは、アクリル酸と、融点が20℃から35℃を範囲とするC5〜C16(メタ)アクリル酸アルキルとの共重合から得られる-COOH基を含み、より特定すると、以下の共重合から得られる:
・アクリル酸と、アクリル酸ヘキサデシルと、アクリル酸イソデシルとの、比1/16/3での共重合、
・アクリル酸と、アクリル酸ペンタデシルとの、比1/19での共重合、
・アクリル酸と、アクリル酸ヘキサデシルと、アクリル酸エチルとの、比2.5/76.5/20での共重合、
・アクリル酸と、アクリル酸ヘキサデシルと、アクリル酸メチルとの、比5/85/10での共重合、
・アクリル酸と、メタクリル酸オクタデシルとの、比2.5/97.5での共重合。
【0288】
更に使用できるのは、National Starch社からのポリマー構造「O」であり、例えば米国特許第A-5736125号で開示されている、融点が44℃のものである。
【0289】
半結晶性ポリマーは、具体的には、フッ素化基を含む結晶性ペンダント鎖を有する半結晶性ポリマーとすることができ、例えば国際公開第A-01/19333号の実施例1、4、6、7及び8で開示されているものである。
【0290】
更に使用できるのは、アクリル酸ステアリルとアクリル酸又はNVPとの共重合によって得られる半結晶性ポリマーであり、米国特許第US-A-5519063号又は欧州特許第A-0550745号で開示されているものである。こうした半結晶性ポリマーは、例えばAir Product and Chemicals社により参照名INTELIMER13-1で市販されている製品である。こうした製品のINCL名は、アクリル酸ポリC10〜30アルキルである。
【0291】
更に使用できるのは、該文献で開示されている、アクリル酸ベヘニルとアクリル酸又はNVPとの共重合によって得られる半結晶性ポリマーである。こうした半結晶性ポリマーは、例えばAir Product and Chemicals社により参照名INTELIMER13-6で市販されている製品である。こうした製品のINCL名は、アクリル酸ポリC10〜30アルキルである。
【0292】
好ましい一実施形態によれば、結晶性側鎖を有する半結晶性ポリマーは、アクリル酸ポリC10〜30アルキルから選択され、より詳細には、ポリステアリルアクリルレート及び/又はアクリル酸ベヘニルから選択される。
【0293】
B)主鎖内に少なくとも1つの結晶性ブロックを担持するポリマー
第2の実施形態によれば、半結晶性ポリマーは、主鎖中に少なくとも1つの結晶性ブロックを担持するポリマーから選択される。
【0294】
更にそれらは、それらの融点M.P.を超えて加熱することによって脂肪相に可溶性又は分散性であるポリマーである。これらのポリマーは、特に、これらうちの1つが結晶性である、化学的性質が異なる少なくとも2つのブロックから構成されるブロックコポリマーである。
【0295】
主鎖中に少なくとも1つの結晶性ブロックを担持しているポリマーは、結晶性鎖を有するオレフィンとシクロオレフィンとのブロックコポリマーから選択されることが可能であり、例えば以下のブロック重合から得られるものである:
- シクロブテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン[即ち、ビシクロ(2,2,1)ヘプテ-2-ン]、5-メチルノルボルネン、5-エチルノルボルネン、5,6-ジメチルノルボルネン、5,5,6-トリメチルノルボルネン、5-エチリデンノルボルネン、5-フェニルノルボルネン、5-ベンジルノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8a-オクタヒドロナフタレン、ジシクロペンタジエン又はそれらの混合物、
- エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-エイコセン、又はそれらの混合物、
並びに特に、コポリ(エチレン/ノルボルネン)ブロック及び(エチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン)ターポリマーブロック。更に使用できるのは、少なくとも2つのC2〜C16α-オレフィン、より良好にはC2〜C12α-オレフィンのブロック共重合から得られるもの、例えば上に挙げたもの、並びに特にエチレンと1-オクテンとのブロックビポリマーである。
【0296】
主鎖中に少なくとも1つの結晶性ブロックを担持するポリマーは、少なくとも1つの結晶性ブロックを呈するコポリマーから選択されることが可能であり、該コポリマーの残りは、非晶質である(室温において)。加えて、これらのコポリマーは、化学的性質の異なる2つの結晶性ブロックも呈することができる。
【0297】
好ましいコポリマーは、室温で、結晶性ブロックと、疎水性及び親油性の双方の非晶質ブロックとの双方を有するものであり、これらは連続的に分布される。挙げることができるのは、例えば、以下の結晶性ブロックのうちの1つ、及び以下の非晶質ブロックのうちの1つを有するポリマーである:
- ポリエステルタイプの性質にて結晶性ブロック、例えばポリ(アルキレンテレフタレート)、又はポリオレフィンのタイプ、例えばポリエチレン若しくはポリプロピレン、
- 非晶質及び親油性のブロック、例えば非晶質ポリオレフィン又はコポリ(オレフィン)、例えばポリ(イソブチレン)、水素化ポリブタジエン又は水素化ポリ(イソプレン)。
【0298】
例として挙げることができるのは、以下の、結晶性ブロックを有するコポリマー、及び非晶質ブロックを有するコポリマーである:
α)好ましくは水素化されて使用されるポリ(ε-カプロラクトン)-b-ポリ(ブタジエン)ブロックコポリマー、例えばS. Nojimaによる論文「Melting behavior of poly(ε-caprolactone)-block-polybutadiene copolymers」、Macromolecules、第32巻、3727〜3734頁(1999年)に記載されているもの、
β)ブロック又はマルチブロックの水素化ポリ(ブチレンテレフタレート)-b-ポリ(イソプレン)ブロックコポリマー、B. Boutevinらによる論文「Study of morphological and mechanical properties of PP/PBT」、Polymer Bulletin、第34巻、117〜123頁(1995年)に引用されているもの、
γ)ポリ(エチレン)-b-コポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー、P. Rangarajanらによる論文「Morphology of semi-crystalline block copolymers of ethylene-(ethylene-alt-propylene)」、Macromolecules、第26巻、4640〜4645頁(1993年)、及びP. Richterらによる論文「Polymer aggregates with crystalline cores: the system poly(ethylene)-poly(ethylene-propylene)」、Macromolecules、第30巻、1053〜1068頁(1997年)に引用されているもの、
δ)ポリ(エチレン)-b-ポリ(エチルエチレン)ブロックコポリマー、I.W.Hamleyによる一般の記事「Crystallization in block copolymers」、Advances in Polymer Science、第148巻、113〜137頁(1999年)に引用されているもの。
【0299】
C)脂肪族又は芳香族又は脂肪族/芳香族のポリエステルタイプの重縮合物
第3の実施形態によれば、半結晶性ポリマーは、脂肪族又は芳香族又は脂肪族/芳香族のポリエステルのタイプの重縮合物から選択される。
【0300】
ポリエステル重縮合物は、脂肪族ポリエステルから選択されうる。これらの分子量は、好ましくは200g/mol以上で10000g/mol以下であり、より好ましくは300g/mol以上で5000g/mol以下であり、好ましくは500g/mol以上で2000g/mol以下である。
【0301】
ポリエステル重縮合物は、詳細には、ポリカプロラクトンから選択される。具体的には、ポリカプロラクトンは、ε-カプロラクトンホモポリマーから選択されうる。単独重合は、ジオールで開始されることが可能であり、特に2〜10個の原子を有するジオール、例えばジメチレングリコール、1,4-ブタンジオール又はネオペンチルグリコールである。
【0302】
使用できるのは、例えば、ポリカプロラクトンであり、具体的には、Solvay社による、名称Capa(登録商標)240(融点68℃、分子量4000)、223(融点48℃、分子量2000)、222(融点48℃、分子量2000)、217(融点44℃、分子量1250)、2125(融点45℃、分子量1250)、212(融点45℃、分子量1000)、210(融点38℃、分子量1000)及び205(融点39℃、分子量830)で市販されているもの、並びにUnion Carbide社により名称PCL-300及びPCL-700で市販されているものである。
【0303】
特に使用できるのは、Capa(登録商標)2125であり、その融点は35から45℃の間であり、その質量平均分子量は1250に等しい。
【0304】
本発明の組成物の半結晶性ポリマーは、これらの融点を超えて加熱することによって、架橋度が、液体脂肪相中にポリマーが溶解する又は分散するのを妨害しないことを条件として、部分的に架橋されていてもよく又は架橋されていなくてもよい。その場合、架橋は、重合中に多官能性モノマーとの反応によって生じる化学的架橋とすることもできる。架橋はまた、物理的な架橋とすることもでき、その場合、この架橋は、ポリマーに担持される基の間の、水素結合若しくは双極子型の結合のいずれかに、例えばカルボキシレートイオノマー間の双極子相互作用(これらの相互作用は少なく、且つポリマー骨格によって担持される)の確立、又はポリマーに担持される、結晶性ブロックと非晶質ブロックとの間の相分離のいずれかに起因しうる。
【0305】
本発明による組成物の半結晶性ポリマーは、好ましくは架橋されていない。
【0306】
実践では、半結晶性ポリマーの総量は、組成物の総質量に対して、0.1〜20質量%、より良好には0.1〜10質量%、更により良好には0.1〜5質量%を占める。
【0307】
フィラー
本発明によるメイクアップ及び/又はケア組成物はまた、1種又は複数のフィラーを含んでもよい。
【0308】
第1の実施形態によれば、組成物は、フィラーを含まない。
【0309】
好ましい第2の実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種の、又は複数の、フィラーを含む。
【0310】
用語「フィラー」は、組成物が製造される温度に関わりなく、組成物の媒体に不溶性である、無色又は白色の、無機又は合成の、任意の形の粒子を意味すると理解されるべきである。これらのフィラーは、組成物のレオロジー又はテクスチャを改変するために特に役立つ。
【0311】
フィラーは、無機又は有機であってもよく、結晶学的な形態(例えば層状、立方体、六角形、斜方晶等)に関係なく、小平状、球状又は楕円形の任意の形のものとすることができる。挙げることができるのは、任意選択で親水性若しくは疎水性に処理された、タルク、雲母、シリカ、カオリン、粘土、ベントン、ヒュームドシリカ粒子と、ポリアミド[Nylon(登録商標)]粉末[Atochem社からのOrgasol(登録商標)]、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー[Teflon(登録商標)]粉末、ラウロイルリジン、デンプン、窒化ホウ素、中空ポリマー微小球、例えばポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリル微小球、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie社)、アクリル酸コポリマー微小球[例えばDow Corning社からのPolytrap(登録商標)]及びシリコーン樹脂ミクロビーズ[例えば東芝株式会社からのTospearls(登録商標)]、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカ微小球[Maprecos社からのSilica Beads(登録商標)]、エラストマー性ポリオルガノシロキサン粒子、ガラス若しくはセラミックのマイクロカプセル、並びに8〜22個の炭素原子、及び好ましくは12〜18個の炭素原子を有する有機カルボン酸に由来する金属石けん、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウム、並びにそれらの混合物である。
【0312】
これらはまた、コポリマーを含む粒子であってもよく、前記コポリマーは、トリメチロールヘキシルラクトンを含む。詳細には、これらは、ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンのコポリマーであってもよい。こうした粒子は、具体的には、例えば東色ピグメント株式会社から名称Plastic Powder D-400(登録商標)又はPlastic Powder D-800(登録商標)で市販されている。
【0313】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくともシリカ、好ましくは疎水性に処理されたシリカを含む。
【0314】
好ましい一実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種のフィラーを含み、詳細には、任意選択で親水性又は疎水性に処理された、好ましくは疎水性に処理された、ヒュームドシリカから選択される。好ましくは、組成物は、シリル化シリカジメチル(CTFAによる)として知られる少なくとも1種のフィラーを含む。
【0315】
疎水性基は、詳細には、ジメチルシリルオキシル基又はポリジメチルシロキサン基であってもよく、これらは、詳細には、ポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下で、ヒュームドシリカを処理することによって得られる。このように処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)に従って、シリル化シリカジメチルとして知られる。これらは、例えば、Degussa社から参照名Aerosil R972(登録商標)及びAerosil R974(登録商標)、並びにCabot社からCab-O-Sil TS-610(登録商標)及びCab-O-Sil TS-720(登録商標)で販売されている。
【0316】
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、「ナノシリカ」を含まず、好ましくは、INCL名がシリル化シリカジメチルである、疎水性に処理されたシリカを含まない。用語「ナノシリカ」は、ナノメートルのサイズを有する、又は少なくともナノメートルのサイズの画分を有するシリカを意味する。
【0317】
好ましくは、組成物は、フィラーを、組成物の総質量に対して、0.01質量%から25質量%の間、特定すると0.1質量%から20質量%の間含む。
【0318】
好ましくは、組成物が液体形態にあるとき、それは、好ましくは疎水性に処理された、シリカ、カオリン、ベントン、ヒュームドシリカ粒子と、ラウロイルリジン及びデンプンから好ましくは選択される少なくとも1つのフィラーを含む。
【0319】
好ましくは、本発明による組成物は、以下から選択されるフィラーを含むことができる:
- 有機修飾された粘土、好ましくは第四級アミン及び第三級アミンから特に選択される化合物で処理されたもの。挙げることができる有機修飾された粘土は、有機修飾されたベントナイト、例えばRheox社により名称Bentone34で販売されている製品、及び有機修飾されたヘクトライト、例えばRheox社により名称Bentone27及びBentone38で販売されている製品、
- 疎水性ヒュームドシリカ。こうしたシリカは、例えば、Degussa社により参照名Aerosil R812(登録商標)で、及びCabot社によりCab-O-Sil TS-530(登録商標)で、並びにDegussa社により参照名Aerosil R972(登録商標)及びAerosil R974(登録商標)で、並びにCabot社によりCab-O-Sil TS-610(登録商標)及びCab-O-Sil TS-720(登録商標)で販売されている。
【0320】
フィラーは、組成物の総質量に対して、0.1質量%から5質量%、より良好には0.4質量%から3質量%を範囲とする含量で存在することができる。
【0321】
疎水性シリカエアロゲル粒子
好ましい一実施形態によれば、組成物は、少なくとも疎水性シリカエアロゲル粒子を含んでもよい。こうした化合物は、フィラーである。
【0322】
好ましくは、こうした化合物は、組成物がナノシリカを含まないときに、より特定するとシリル化シリカジメチルを含まないときに、存在する。
【0323】
好ましくは、疎水性シリカエアロゲル粒子は、組成物の総質量に対して、0.1質量%から15質量%、より良好には0.1質量%から10質量%を範囲とする含量で存在することができる。
【0324】
好ましくは、疎水性シリカエアロゲル粒子は、組成物の総質量に対して、0.1質量%から6質量%、より良好には0.2質量%から4質量%を範囲とする含量で存在することができる。
【0325】
この実施形態によれば、組成物は、少なくとも追加のフィラーを含んでもよく、例えば前に例として記載したものである。
【0326】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物が、前に記載したナノメートルのシリカ粒子、例えばシリカジメチルシリレートを含まないときに、少なくとも疎水性シリカエアロゲル粒子を含む。
【0327】
シリカエアロゲルは、シリカゲルの液体成分を、空気を用いて置き換えることによって(乾燥することによって)得られる多孔質物質である。
【0328】
これらは一般に、ゾル-ゲル法を介して液体媒体中で、次いで、通常は超臨界流体で抽出することによって乾燥され、最もよく使用されるものは超臨界CO2である。このタイプの乾燥は、孔の収縮、及び該物質の収縮を回避させることが可能である。ゾル-ゲル法及び種々の乾燥方法は、Brinker C.J.及びScherer G.W.、Sol-Gel Science、ニューヨーク、Academic Press、1990年に詳細に記載されている。
【0329】
本発明で使用できる疎水性シリカエアロゲル粒子は、1質量単位当たりの比表面(SM)が500〜1500m2/g、好ましくは600〜1200m2/g、より良好には600〜800m2/gを範囲とし、体積平均径(D[0.5])で表されるサイズが1〜1500μm、より良好には1〜1000μm、好ましくは1〜100μm、特定すると1〜30μm、より好ましくは5〜25μm、より良好には5〜20μm、更により良好には5〜15μmを範囲とする。
【0330】
一実施形態によれば、本発明で使用できる疎水性シリカエアロゲル粒子は、体積平均径(D[0.5])で表されるサイズが1〜30μm、好ましくは5〜25μm、より良好には5〜20μm、更により良好には5〜15μmを範囲とする。
【0331】
1質量単位当たりの比表面積は、BET(Brunauer-Emmett-Teller)窒素吸収法を介して求められることが可能であり、これは、The Journal of the American Chemical Society、第60巻、309頁、1938年2月に記載されており、国際規格ISO 5794/1(添付書類D)に対応している。BET比表面積は、検討中の粒子の総比表面積に相当する。
【0332】
疎水性シリカエアロゲル粒子のサイズは、Malvern社製のMasterSizer2000機等の市販の粒径分析器を使用した静的光散乱によって測定されうる。データは、ミー散乱理論に基づいて処理される。この理論は、等方性粒子について厳密であり、非球形粒子の事例で「効果的な」粒径を求めることを可能にする。この理論は、具体的には、Van de Hulst, H.C.による刊行物「Light Scattering by Small Particles」第9章及び第10章、Wiley、ニューヨーク、1957年に記載されている。
【0333】
有利な一実施形態によれば、本発明で使用される疎水性シリカエアロゲル粒子は、1質量単位当たりの比表面積(SM)が600から800m2/gを範囲とし、体積平均直径(D[0.5])で表されるサイズが5から20μm、より良好には5から15μmを範囲とする。
【0334】
本発明で使用される疎水性シリカエアロゲル粒子は、有利には、充填密度ρが0.04g/cm3から0.10g/cm3、好ましくは0.05g/cm3から0.08g/cm3を範囲とすることができる。
【0335】
本発明との関連で、この密度は、充填密度として知られ、以下のプロトコルに従って評定されうる:
【0336】
粉末40gをメスシリンダーへ注ぐ;次いでメスシリンダーをStampf Volumeter社製のStav2003機の上に置く;次いでメスシリンダーを一連の2500回の充填モーションにかける(この操作は、2つの連続した試験間の体積の差が2%未満になるまで繰り返す);次いで、充填済み粉末の最終体積Vfを、メスシリンダーで直接測定する。充填密度は、比m/Vf(Vfはcm3で表され、mはgで表される)により求められ、この場合、40/Vfである。
【0337】
一実施形態によれば、本発明で使用できる疎水性シリカエアロゲル粒子は、1体積単位当たりの比表面積Svが5〜60m2/cm3、好ましくは10〜50m2/cm3、より良好には15〜40m2/cm3を範囲とする。
【0338】
1体積単位当たりの比表面積は、以下の関係式により得られる:
Sv=Swxρ(上に定義した通り、式中、ρは、g/cm3で表される充填密度であり、SMは、m2/gで表される1体積単位当たりの比表面積である)。
【0339】
好ましくは、本発明による疎水性シリカエアロゲル粒子は、吸油能が、湿潤点で測定して、5〜18ml/g、好ましくは6〜15ml/g、より良好には8〜12ml/gを範囲とする。
【0340】
湿潤点で測定される吸油能は、Wpと記され、均質なペーストを得るために粒子100gへ加える必要のある油の量に相当する。
【0341】
これは、「湿潤点」法、又はNF T30-022規格に記載されている、粉末の油取込み量を求める方法に従って測定される。これは、湿潤点の測定による、粉末の空いている表面に吸着される油量、及び/又は湿潤点を求めることにより粉末に吸収される油の量に相当し、以下に記載する:
【0342】
粉末の量m=2gをガラス板の上に置き、次いで、油(イソノナノン酸イソノニル)を滴下で加える。4滴から5滴の油を粉末へ加えた後、へらを用いて混合し、油と粉末との集成体が形成されるまで油を添加する。この瞬間に、油を1回に1滴添加し、次いで、混合物をへらで磨りつぶす。堅く滑らかなペーストが得られたら、油の添加を中止する。このペーストは、ひび割れること又は塊を形成することなしにガラス板上に広がることができなければならない。次いで、使用した油の体積Vs(mlで表す)を書き留める。
【0343】
油の取込み量は、比Vs/mに相当する。
【0344】
本発明に従って使用できる疎水性シリカエアロゲル粒子は、好ましくはシリル化シリカのタイプ(INCI名:シリル化シリカ)である。
【0345】
用語「疎水性シリカ」は、OH基を、シリルSi-Rn基、例えばトリメチルシリル基で官能化させるために、その表面がシリル化剤で処理されている任意のシリカ、例えばアルキルクロロシラン等のハロゲン化シラン、シロキサン、特にヘキサメチルジシロキサン等のジメチルシロキサン、又はシラザンを意味する。
【0346】
シリル化によって表面修飾されている疎水性シリカエアロゲル粒子の調製に関しては、米国特許第7470725号を参照することができる。
【0347】
特に使用されることになるのは、トリメチルシリル基で表面修飾された疎水性シリカエアロゲル粒子である。
【0348】
本発明で使用できる疎水性シリカエアロゲル粒子として挙げることができる例には、Dow Corning社により名称VM-2260(INCI名:シリル化シリカ)で販売されているエアロゲルがあり、その粒子は、平均サイズが約1000ミクロンであり、1質量単位当たりの比表面積が600〜800m2/gを範囲とする
【0349】
更に挙げることができるのは、Cabot社により、参照名Aerogel TLD201、Aerogel OGD201、Aerogel TLD203、及びENOVA AEROGEL MT1100で販売されているエアロゲルである。
【0350】
より具体的には使用されるのは、Dow Corning社により名称VM-2270(INCI名:シリル化シリカ)で販売されているエアロゲルであり、その粒子は、平均サイズが5〜15ミクロンを範囲とし、1質量単位当たりの比表面積が600〜800m2/gを範囲とする(1080ml/100gに等しい油の取込み量)。
【0351】
有利には、本発明による中空粒子は、疎水性シリカエアロゲル粒子から少なくとも部分的に形成されており、好ましくは1質量単位当たりの比表面積(SM)が500〜1500m2/gを範囲とし、好ましくは600〜1200m2/gを範囲とし、体積平均直径(D[0.5])で表されるサイズが1〜1500μm、より良好には1〜1000μm、好ましくは1〜100μm、特定すると1〜30μm、より好ましくは5〜25μm、より良好には5〜20μm、更により良好には5〜15μmを範囲とする。
【0352】
疎水性シリカエアロゲル粒子を使用すると、有利なことに、組成物の安定度を向上させることもできる。
【0353】
デキストリンエステル
本発明による組成物は、少なくともデキストリンのエステル、好ましくはデキストリンと脂肪酸とのエステル、好ましくはC12〜C24脂肪酸を含んでもよい。
【0354】
好ましくは、デキストリンエステルは、デキストリンとC14〜C18脂肪酸とのエステルである。
【0355】
好ましくは、デキストリンエステルは、パルミチン酸デキストリンであり、例えば千葉製粉株式会社により参照名Rheopearl TL(登録商標)又はRheopearl KL(登録商標)で市販されているものである。
【0356】
本発明による組成物は、デキストリンエステルを、組成物の総質量に対して、0.1質量%から15質量%、好ましくは0.5質量%から10質量%を範囲とする含量で含むことができる。
【0357】
本発明による組成物は、デキストリンエステルを、組成物の総質量に対して、1質量%から8質量%、好ましくは2質量%から6質量%を範囲とする含量で含むことができる。
【0358】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、デキストリンエステルを含まない。
【0359】
染料
本発明による組成物は、好ましくは、少なくとも1種の染料(着色剤としても知られる)を含むことができ、これらは、水溶性の染料又は脂溶性の染料、顔料及び真珠光沢剤、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0360】
本発明による組成物はまた、水溶性染料及び粉末状染料から選択される1種又は複数の染料も含むことができ、例えば当業者に周知である、顔料、真珠光沢剤、及び光輝性フレークである。
【0361】
染料は、組成物中に、組成物の質量に対して、0.01質量%〜30質量%、好ましくは0.1質量%〜20質量%の含量で存在することができる。
【0362】
用語「顔料」は、生じる塗膜を着色する及び/又は不透明化することが企図される水性溶液に不溶性である、白色又は着色された、無機又は有機の粒子を意味すると理解されるべきである。
【0363】
顔料は、化粧用組成物の総質量に対して、0.01質量%〜30質量%、特に0.1質量%〜25質量%、特定すると0.2質量%〜15質量%の割合で存在することができる。
【0364】
本発明で使用できる無機顔料として挙げることができるのは、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、及び更に酸化亜鉛、酸化鉄又は酸化クロム、フェリックブルー、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー並びに水酸化クロムである。
【0365】
これはまた、例えばセリサイト/ブラウン酸化鉄/二酸化チタン/シリカのタイプであってもよい構造を有する顔料とすることもできる。こうした顔料は、例えばChemicals and Catalysts社により参照名Coverleaf NS又はJSで販売されており、30の領域にコントラスト比を有する。
【0366】
染料はまた、例えば、酸化鉄を含有するシリカ微小球のタイプであってもよい構造を有する顔料も含むことができる。この構造を有する顔料の例は、三好化成株式会社により参照名PC BALL PC-LL-100Pで販売されている製品であり、この顔料は、イエロー酸化鉄を含有するシリカ微小球から成る。
【0367】
本発明で使用できる有機顔料の中で挙げることができるのは、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、コチニールカルミン系、又はバリウム系、ストロンチウム系、カルシウム系若しくはアルミニウム系のレーキ、又は代わりに、欧州特許第A-542669号、欧州特許第A-787730号、欧州特許第A-787731号及び国際公開第A-96/08537号に記載されているジケトピロロピロール(DPP)がある。
【0368】
用語「真珠光沢剤」は、虹色であってもなくてもよく、具体的にはある種の軟体類によってその殻中で生成される、又はそうでなければ合成される、且つ光学干渉を介して色彩効果を有する、任意の形態の、着色された粒子の意味であると理解されるべきである。
【0369】
真珠光沢剤は、酸化鉄で被覆されたチタン雲母、オキシ塩化ビスマスで被覆された雲母、酸化クロムで被覆されたチタン雲母、有機染料で被覆されたチタン雲母、及び更にオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢顔料等の真珠光沢顔料から選択することができる。それらは、その表面で、金属酸化物及び/又は有機染料の少なくとも2つの連続相のが積層している雲母の粒子であることもできる。
【0370】
更に挙げることができる真珠光沢剤の例には、酸化チタンで、酸化鉄で、天然顔料で、又はオキシ塩化ビスマスで被覆された天然雲母がある。
【0371】
市販されている真珠光沢剤の中で挙げることができるのは、Engelhard社により販売されている真珠光沢剤Timica、Flamenco及びDuochrome(雲母系)、Merck社により販売されているTimiron真珠光沢剤、Eckart社により販売されているPrestige雲母系真珠光沢剤、並びにSun Chemical社により販売されているSunshine合成雲母系真珠光沢剤がある。
【0372】
真珠光沢剤は、より詳細には、黄、桃、赤、ブロンズ、オレンジ、茶、金及び/又は銅の、色又は色合いを有することができる。
【0373】
本発明との関連で使用できる真珠光沢剤の例示として挙げることができるのは、特にEngelhard社により名称Brilliant gold212G(Timica)、Gold222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold4504(Chromalite)及びMonarch gold233X(Cloisonne)で販売されている金色の真珠光沢剤;特にMerck社により名称Bronze fine(17384)(Colorona)及びBronze(17353)(Colorona)で、及びEngelhard社により名称Super bronze(Cloisonne)で販売されているブロンズ色の真珠光沢剤;特にEngelhard社により名称Orange363C(Cloisonne)及びOrange MCR101(Cosmica)で、及びMerck社により名称Passion orange(Colorona)及びMatte orange(17449)(Microna)で販売されているオレンジ色の真珠光沢剤;特にEngelhard社により名称Nu-antique copper340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chromalite)で販売されている茶色の真珠光沢剤;特にEngelhard社により名称Copper340A(Timica)で販売されている銅の色合いを有する真珠光沢剤;特にMerck社により名称Sienna fine(17386)(Colorona)で販売されている赤の色合いを有する真珠光沢剤;特にEngelhard社により名称Yellow(4502)(Chromalite)で販売されている黄の色合いを有する真珠光沢剤;特にEngelhard社により名称Sunstone G012(Gemtone)で販売されている金の色合いを伴う赤色の真珠光沢剤;特にEngelhard社により名称Tan opale G005(Gemtone)で販売されている桃色の真珠光沢剤;特にEngelhard社により名称Nu antique bronze240AB(Timica)で販売されている金の色合いを伴う黒色の真珠光沢剤;特にMerck社により名称Matte blue(17433)(Microna)で販売されている青色の真珠光沢剤;特にMerck社により名称Xirona Silverで販売されている銀色のような色合いを有する白色真珠光沢剤;及び特にMerck社により名称Indian summer(Xirona)で販売されている金色がかった緑色の、桃色がかったオレンジ色の真珠光沢剤、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0374】
用語「染料」は、一般に有機化合物であって、油等の脂肪性物質、又は水性アルコール性相に可溶である化合物を意味すると理解されるべきである。
【0375】
本発明による化粧用組成物はまた、水溶性又は脂溶性の染料も含むことができる。脂溶性の染料は、例えば、スーダンレッド、DCレッド17、DCグリーン6、β-カロテン、スーダンブラウン、DCイエロー11、DCバイオレット2、DCオレンジ5及びキノリンイエローである。水溶性染料は、例えばビートの根の汁、又はメチレンブルーである。
【0376】
本発明による化粧用組成物はまた、特殊な光学的効果を伴う少なくとも1種の材料も、染料として含有することができる。
【0377】
この効果は、単純な従来技術の色調効果、即ち標準の染料が生ずるような統一され安定化された効果、例えば単色性顔料とは異なっている。本発明の目的では、用語「安定化された」は、見る角度に応じて、又は代わりに温度変化に応答して、色のばらつきの影響がないことを意味する。
【0378】
例えば、この物質は、メタリックな色合い、ゴニオクロマチック着色剤、回折顔料、サーモクロミック剤、蛍光増白剤、及び更に繊維、特に干渉繊維を有する粒子から選択されうる。言うまでもなく、これらの各種物質を組み合わせて、2種の効果の、又は本発明による新規な効果の明示さえ、同時に付与することができる。
【0379】
水性相
本発明の組成物はまた、水性相も含んでもよく、これは、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜50質量%、特に0.1質量%〜30質量%、又は更には1質量%〜20質量%構成することができる。この水性相は、本質的に水から形成されることが可能であり、又は水と、水混和性溶媒(25℃で水に50質量%超の混和性)(特に1〜5個の炭素原子を有するモノアルコール、例えば、エタノール又はイソプロパノール、2〜8個の炭素原子を有するグリコール、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等、C3〜C4ケトン、C2〜C4アルデヒド、並びにそれらの混合物から選択される)との混合物を含むことができる。
【0380】
しかし、上で指定した通り、有利には、本発明による組成物は無水物である。
【0381】
用語「無水物」は、水が好ましくは組成物に意図的には添加されないが、組成物で使用される各種化合物中に微量で存在しうることを特に意味する。
【0382】
添加剤
本発明によるメイクアップ及び/又はケア組成物はまた、化粧品で通常使用される少なくとも1種の作用剤を含んでもよく、それらは、例えば、特に疎水性である、還元剤、増粘剤、成膜剤と、シリコーンエラストマー、柔軟剤、抗泡剤、湿潤剤、UVスクリーニング剤、セラミド;化粧用活性剤;ペプタイザー、芳香剤、タンパク質、ビタミン、噴霧剤、親水性又は親油性の、成膜性又は非成膜性ポリマー;親油性又は親水性ゲル化剤から選択される。上述の添加剤は、それらの各量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%から10質量%の間で一般に存在する。言うまでもなく、当業者であれば、本発明に関連した有利な特性が、有害な影響を全く受けない又は実質的に受けないように、組成物の構成物を注意深く選択することになる。
【0383】
通常の追加の化粧用成分
本発明に従って使用される組成物はまた、任意の通常の化粧用成分を含んでもよく、それは、特に、抗酸化剤、成膜ポリマー、香料、保存剤、柔軟剤、湿潤剤、中和剤、日焼け止め、甘味剤、ビタミン、フリーラジカル捕捉剤及び隔離剤、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0384】
これらの種々の成分のそれぞれの量は、想定される分野で従来使用されている量であり、例えば、組成物の総質量に対して、0.01質量%から10質量%を範囲とする。
【0385】
言うまでもなく、当業者であれば、本発明による組成物の有利な特性が、想定される添加によって有害な影響を全く受けない又は実質的に受けないように、任意選択の追加の成分及び/又はそれらの量を注意深く選択することになる。
【0386】
本発明による組成物は、液体形態又は固体形態とすることができる。
【0387】
第1の実施形態によれば、組成物は、固体形態にある。詳細には、それは、リップバーム及び/又はリップスティックから選択される化粧用製品とすることができる。この製品は、好ましくはスティックの形態にある又はディッシュ中のキャストの形態にありうる。
【0388】
一実施形態によれば、それは、リップスティック、又はスティック形態にあるリップバームである。
【0389】
本発明による組成物は、唇用の液体リップスティック、体用のメイクアップ製品、フェイシャル若しくはボディのケア製品、又は日焼け止め製品を構成することができる。
【0390】
好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、液体形態にある。液体配合物の例証として特に挙げることができるのは、リップグロスである。
【0391】
前に述べた通り、本発明による組成物は、均質であり、安定であり、詳細には光沢、快適性(堆積物の濃さ)、及び堆積物の色移りの不在の点で、良好な化粧特性を有する、皮膚又は唇の上の堆積物を利用できるようにする。特に、本発明による組成物は、具体的には、組成物が1種又は複数の着色剤を含有するときに、飲んでいる間にリップ製品がカップ上に色移りしない堆積物を形成させることができる。
【0392】
記載において、及びそれに続く実施例において、特に別の記述がない限り、パーセントは質量パーセントであり、「・・・から・・・の間」という形で付与された値の範囲は、記述されている下限値及び上限値を含む。
【0393】
別の記述がない限り、以下の実施例における値は、組成物の総質量に対する質量%で表される。
【0394】
以下の実施例は、本発明の技術分野の非限定的な例示として提示されるものである。
【実施例】
【0395】
(実施例1〜3):液体リップ製品タイプ(グロス)の化粧用配合物
以下の組成物を有する3種の液体メイクアップ配合物を調製した(示したパーセントは質量%である)。配合物1及び3は、本発明を例示し、式2は、本発明以外の比較組成物である。
【0396】
【表1】
【0397】
調製方法
実施例1〜3の組成物を、以下のプロトコルに従って得た:
【0398】
第1の段階で、脂肪相の、フィラー、顔料及び/又は活性剤を、一部の油性相の中で3ロールミルで粉砕した(オクチルドデシルネオペンタノエートのように、極性油が好ましい)。
【0399】
それと平行して、プレゲルを、一部の油性相(炭化水素化ポリイソブテン、オクチルドデシルネオペンタノエート及びポリデセン)の中で、炭化水素系樹脂及び炭化水素系ブロックコポリマーのディスパーションのために調製した。このプレゲルを、加熱パンの中へ導入した。次いで、脂溶性成分の残りを、加熱パンの中で、温度約100℃で、ライネリ(Rayneri)ブレンドで混合して均質な混合物を得た。次いで、粉砕した顔料材料を、該混合物中へ、真珠光沢剤(存在する場合)と共に組み入れ、撹拌し続けて混合物を均質にした。
【0400】
次いで、混合物をゆっくり混合しながら冷却させ、バルクで40℃で滴下した。次いで、組成物を24時間、室温で置いた。
【0401】
評価
組成物1〜3の25℃での粘度を、前に記載したプロトコルに従って評価した。
【0402】
得られた各組成物を、組成物の安定度を評価するために、24℃で及び47℃で72時間置いた。より詳細には、組成物が、均質性(相分離が起きない、及び/又は顔料の沈降が起きない)を残しているかどうかを観察する。
【0403】
次いで、各組成物を、適用特性、及び得られた堆積物の特徴(輝き、色移り耐性及び粘り)を評価するために、唇へ適用した。
【0404】
評価されることになる配合物を有する、唇の上に作製された堆積物の粘り性を、適用5分後に、上唇及び下唇を一緒にこすり合わせることにより評価し、粘りは、人が、彼女の上唇及び下唇の堆積物除去時に評定した。
【0405】
色移り耐性を、唇に組成物を適用してから5分後に、飲んでいる間、白色のカップに唇をつけることにより評価した。
【0406】
【表2】
【0407】
本発明以外の組成物の比較配合物2は、18%のフェニルジメチコン油、及び6%の、ジメチコン部分を有していないフェニルシリコーン油を有し、適用特性が良好でなく、この配合物で唇の上に得られた堆積物は、色移り耐性が悪い。対照的に、同じ総含量の不揮発性シリコーン油を有するが24%のフェニルジメチコン油を有する本発明による配合物1は、適用特性がきわめて良好であり、且つ色移り耐性が良好である(カップに色がほとんどつかない)。配合物1及び2で作製された堆積物には、わずかに粘りがある。
【0408】
20%のフェニルジメチコン油、及び5%の、ジメチコン部分を有していないフェニルシリコーン油を有する本発明による配合物3はまた、適用特性がきわめて良好であり、色移り耐性が良好である(カップに色がほとんどつかず、堆積物には粘りがない)。配合物1〜3で作製した堆積物の全ては、輝きのレベルが良好である。
【0409】
(実施例4〜6):液体リップ製品タイプ(グロス)の化粧用配合物
【0410】
以下の組成物を有する3種の液体メイクアップ配合物を調製した(示したパーセントは質量%である)。配合物4〜6は、本発明を例示している。
【0411】
【表3】
【0412】
組成物4〜7を、前に記載したのと同じ方法で調製し評価する。
【0413】
結果は、以下の通りである。
【0414】
【表4】
【0415】
本発明による配合物4〜7の全ては、同じ総含量(25%)の不揮発性フェニルジメチコン油を有し、適用特性が良好である(滑らかですべる)。これらの配合物を有する、唇の上に得られた堆積物の全ては、色移り耐性が良好である(カップに色がほとんどつかない)。それ以外に、配合物4〜7で作製した堆積物は、わずかに粘りがある又は全く粘りがない。
【0416】
配合物4〜7で作製した堆積物の全ては、輝きのレベルがきわめて良好である(非常に輝く)。
【0417】
比較例8〜13:液体リップ製品タイプ(グロス)の化粧用配合物
以下の組成物を有する6種の液体メイクアップ配合物を調製した(示したパーセントは質量%である)。
【0418】
配合物10及び12は、本発明を例示している。
【0419】
配合物8、9、11及び13は、本発明によらない比較配合物である。
【0420】
【表5】
【0421】
組成物8〜13を、前に記載したのと同じ方法で調製する。
【0422】
組成物8〜13の全ては、均質で安定である。
【0423】
各配合物の色移り耐性を、前に記載したように評価した。結果は、以下の通りである。
【0424】
【表6】
【0425】
比較配合物8、9、11及び13で実現させた堆積物の全ては、色移り耐性が悪い。対照的に、少なくとも19%の不揮発性フェニル化ジメチコン油を含む、本発明による配合物10及び12で実現させた堆積物は、色移り耐性が良好である。
【0426】
(実施例14):液体リップ製品タイプ(グロス)の化粧用配合物
以下の組成物を有する液体メイクアップ配合物を調製した(示したパーセントは質量%である)。実施例14は、本発明を例示している。
【0427】
【表7】
【0428】
組成物14を、前に記載したのと同じ方法で調製し評価する。
【0429】
結果は、以下の通りである。
【0430】
【表8】
【0431】
本発明による組成物14は、均質で安定である。この配合物は、適用特性が良好であり(滑らかで均質な適用ができる)、唇の上に得られた堆積物は、色移り耐性が良好である(カップに色がほとんどつかない)。それ以外に、配合物14で作製した堆積物は、輝きのレベルが良好であり、粘りが少なくて快適である。
【0432】
(実施例15):液体リップ製品タイプ(グロス)の化粧用配合物
以下の組成物を有する本発明による液体メイクアップ配合物を調製した(示したパーセントは質量%である)。配合物15は、本発明を例示している。
【0433】
【表9】
【0434】
組成物15を、前に記載したのと同じ方法で調製し評価する。
【0435】
結果は、以下の通りである。
【0436】
【表10】
【0437】
本発明による組成物15は、均質で安定である。この配合物は、適用特性が良好であり、滑らかで均質な適用ができ、唇の上に得られた堆積物は、色移り耐性が良好である(カップに色がほとんどつかない)。それ以外に、配合物15で作製した堆積物は、快適で、わずかに粘りがあり、輝き及び装着のレベルが良好である。
【0438】
(実施例16〜17):液体リップ製品タイプ(グロス)の化粧用配合物
同じ調製方法を実施して、本発明による以下の組成物を調製する(示したパーセントは質量%である)。
【0439】
【表11】
【0440】
混合物を、窒素流れの下で210℃〜220℃へ加熱して、41時間、エステル化反応を実施し、同時に該反応の間に生成された水を留去する。
【0441】
それにより、1618gの目的のエステルを得た(収率:99.2%)。
【0442】
得られたエステルは、淡黄色のペーストであった。(ガードナー色数:1以下、酸価:4.0、けん化価:133.6、ヒドロキシル価:6.8)
【0443】
評価
前の実施例において詳細に記した評価方法と同じものを用いた。
【0444】
組成物の性質を、以下の表に示す。
【0445】
【表12】