特許第6348440号(P6348440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6348440動植物の育成場の環境を適正に保つための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348440
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】動植物の育成場の環境を適正に保つための装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 21/00 20060101AFI20180618BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20180618BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20180618BHJP
   A01K 1/00 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   G01D21/00 A
   A01G7/00 603
   H04M11/00 301
   A01K1/00 C
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-54717(P2015-54717)
(22)【出願日】2015年3月18日
(65)【公開番号】特開2016-174536(P2016-174536A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗田 涼平
(72)【発明者】
【氏名】東 哲平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 洋侍
(72)【発明者】
【氏名】平川 満
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−169149(JP,A)
【文献】 特開2012−83986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 21/00
A01G 7/00
A01K 1/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動植物の育成場の環境属性を計測し計測結果を示す計測属性データを生成する計測装置と、前記計測装置により生成された計測属性データを受信しサーバ装置に送信する中継装置と、前記サーバ装置とを備えるシステムのための装置であって、
前記動植物の生育に適した環境属性を示す適正属性データを取得する適正属性取得手段と、
前記計測装置により生成された環境属性を示す計測属性データを取得する計測属性取得手段と、
前記適正属性取得手段が取得した適正属性データと前記計測属性取得手段が取得した計測属性データとに基づき、前記中継装置から前記サーバ装置に対する計測属性データの送信タイミングに関する規則を決定する決定手段と
を備える装置。
【請求項2】
動植物の育成場の環境属性を計測し計測結果を示す計測属性データを生成する計測装置と、前記計測装置により生成された計測属性データを受信しサーバ装置に送信する中継装置と、前記サーバ装置とを備えるシステムのための装置であって、
前記動植物の生育に適した環境属性を示す適正属性データを取得する適正属性取得手段と、
前記計測装置により生成された環境属性を示す計測属性データを取得する計測属性取得手段と、
前記適正属性取得手段が取得した適正属性データと前記計測属性取得手段が取得した計測属性データとに基づき、前記計測装置から前記中継装置に対する計測属性データの送信タイミングに関する規則を決定する決定手段と
を備える装置。
【請求項3】
動植物の育成場の環境属性を計測し計測結果を示す計測属性データを生成する計測装置と、前記計測装置により生成された計測属性データを受信しサーバ装置に送信する中継装置と、前記サーバ装置とを備えるシステムのための装置であって、
前記動植物の生育に適した環境属性を示す適正属性データを取得する適正属性取得手段と、
前記計測装置により生成された環境属性を示す計測属性データを取得する計測属性取得手段と、
前記適正属性取得手段が取得した適正属性データと前記計測属性取得手段が取得した計測属性データとに基づき、前記計測装置による環境属性の計測タイミングに関する規則を決定する決定手段と
を備える装置。
【請求項4】
前記決定手段は、環境属性の変化量が閾値を超えたことをトリガとしてデータの送信を行う場合の前記閾値、または、時間が経過したことをトリガとしてデータの送信を行う場合の前記時間を示す前記規則を決定する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
動植物の育成場の環境属性を計測し計測結果を示す計測属性データを生成する複数の計測装置と、前記複数の計測装置により生成された計測属性データを受信しサーバ装置に送信する中継装置と、前記サーバ装置とを備えるシステムのための装置であって、
前記動植物の生育に適した環境属性を示す適正属性データを取得する適正属性取得手段と、
前記複数の計測装置のいずれかにより生成された環境属性を示す計測属性データを取得する計測属性取得手段と、
前記適正属性取得手段が取得した適正属性データと前記計測属性取得手段が取得した計測属性データとに基づき、前記複数の計測装置のうち環境属性の計測を行う計測装置の選択に関する規則を決定する決定手段と
を備える装置。
【請求項6】
動植物の育成場の環境属性を計測し計測結果を示す計測属性データを生成する計測装置と、前記計測装置により生成された計測属性データを受信しサーバ装置に送信する中継装置と、前記サーバ装置とを備えるシステムのための装置であって、
前記動植物の生育に適した環境属性を示す適正属性データを取得する適正属性取得手段と、
前記計測装置により生成された環境属性を示す計測属性データを取得する計測属性取得手段と、
前記適正属性取得手段が取得した適正属性データと前記計測属性取得手段が取得した計測属性データとに基づき、前記計測装置による環境属性の計測精度の選択に関する規則を決定する決定手段と
を備える装置。
【請求項7】
前記動植物の生育の段階を示す生育段階データを取得する生育段階取得手段を備え、
前記適正属性取得手段は前記生育段階取得手段が取得した生育段階データが示す生育段階に応じた前記適正属性データを取得する
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
現在時刻を示す時刻データを取得する時刻取得手段を備え、
前記適正属性取得手段は1日または1年における前記時刻取得手段が取得した時刻データが示す現在時刻に応じた前記適正属性データを取得する
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記育成場における気象属性を示す気象属性データを取得する気象属性取得手段を備え、
前記決定手段は、前記気象属性取得手段が取得した気象属性データに基づき、前記規則を決定する
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記システムは、複数の育成場の各々に関し、当該育成場の環境属性を計測し計測結果を示す計測属性データを生成する計測装置と、当該計測装置により生成された計測属性データを受信し前記サーバ装置に送信する中継装置とを備え、
前記複数の育成場の各々に関し、当該育成場おける前記動植物の収穫時の状態を示す収穫状態データを取得する収穫状態取得手段と、
前記収穫状態取得手段が取得した収穫状態データと、当該収穫状態データが示す状態で収穫された前記動植物に関し前記計測属性取得手段が取得した計測属性データとに基づき、前記適正属性データを生成する適正属性生成手段と
を備える
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動植物の育成場の環境を適正に保つための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物を育成するためのビニルハウス、水産物を育成するための養殖場、畜産物を育成するための畜舎等の育成場において、育成対象の動植物の収量や品質を高めるためには、温度、湿度、照度、二酸化炭素濃度、土壌水分、水質等の環境属性の管理が重要である。
【0003】
動植物の育成場の環境属性を管理するために、育成場に温度計、湿度計等の計測装置を配置し、計測装置から育成場の管理者に対し計測結果を通知する仕組みが考えられる。
【0004】
上記の仕組みにおいて、例えば日照による照度を計測する照度計が育成場に配置された場合、夜間に照度計を稼動させる意義は乏しい。従って、夜間に照度計の稼動率を低下させれば、照度計の電力消費が低減される。
【0005】
昼夜の別により計測装置の稼動率を変化させる仕組みを開示した文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1には、無線検針用通信機の子機が親機から受信した現在時刻に基づき昼夜の識別を行い、子機が行う間欠動作時間を中間は短く、夜間は長くすることで、消費電力の低減を実現する仕組みが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−054683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
動植物の育成場に環境属性を計測する計測装置が設置される場合、計測装置による計測結果を示すデータ(以下、「計測属性データ」という)がサーバ装置に送信されると、サーバ装置から育成場の管理者に対する計測結果の通知や、サーバ装置から育成場に設置されている空調装置等に対する適正制御の指示等が可能となる。
【0008】
多くの場合、育成場における電源ケーブルや通信ケーブルの設置は多くの制約を伴う。従って、バッテリで動作し無線通信により計測属性データを送信する計測装置を用いれば、電源ケーブルや通信ケーブルの設置を要さず望ましい。
【0009】
計測装置とサーバ装置が直接データ通信を行うと、計測装置が携帯電話網等の公衆通信網に接続する必要があり多大な電力を消費する。その結果、計測装置のバッテリを頻繁に交換または充電する必要が生じる。
【0010】
計測装置から無線でデータを受信し、受信したデータを無線でサーバ装置へ送信する中継装置を育成場に設置すれば、計測装置は中継装置との間で近距離の無線通信を行えばよく、計測装置の電力消費量が抑えられる。
【0011】
なお、育成場において中継装置は任意の場所に設置可能であるため、多くの場合、ケーブルによる電源供給を受けることができる。また、中継装置からサーバ装置への公衆通信網の利用には、多くの場合、データ通信の量および回数に応じた通信料の課金が伴う。
【0012】
本発明は、上記のように、動植物の育成場に配置された計測装置と、計測装置の計測結果を示すデータを利用するサーバ装置と、計測装置からサーバ装置へのデータ通信を中継する中継装置を備えるシステムにおいて、電力消費量または通信料の低減を実現する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明は、動植物の育成場の環境属性を計測し計測結果を示す計測属性データを生成する計測装置と、前記計測装置により生成された計測属性データを受信しサーバ装置に送信する中継装置と、前記サーバ装置とを備えるシステムのための装置であって、前記動植物の生育に適した環境属性を示す適正属性データを取得する適正属性取得手段と、前記計測装置により生成された環境属性を示す計測属性データを取得する計測属性取得手段と、前記適正属性取得手段が取得した適正属性データと前記計測属性取得手段が取得した計測属性データとに基づき、前記中継装置から前記サーバ装置に対する計測属性データの送信タイミングに関する規則を決定する決定手段とを備える装置を提供する。
【0014】
また、本発明は、動植物の育成場の環境属性を計測し計測結果を示す計測属性データを生成する計測装置と、前記計測装置により生成された計測属性データを受信しサーバ装置に送信する中継装置と、前記サーバ装置とを備えるシステムのための装置であって、前記動植物の生育に適した環境属性を示す適正属性データを取得する適正属性取得手段と、前記計測装置により生成された環境属性を示す計測属性データを取得する計測属性取得手段と、前記適正属性取得手段が取得した適正属性データと前記計測属性取得手段が取得した計測属性データとに基づき、前記計測装置から前記中継装置に対する計測属性データの送信タイミングに関する規則を決定する決定手段とを備える装置を提供する。
【0015】
また、本発明は、動植物の育成場の環境属性を計測し計測結果を示す計測属性データを生成する計測装置と、前記計測装置により生成された計測属性データを受信しサーバ装置に送信する中継装置と、前記サーバ装置とを備えるシステムのための装置であって、前記動植物の生育に適した環境属性を示す適正属性データを取得する適正属性取得手段と、前記計測装置により生成された環境属性を示す計測属性データを取得する計測属性取得手段と、前記適正属性取得手段が取得した適正属性データと前記計測属性取得手段が取得した計測属性データとに基づき、前記計測装置による環境属性の計測タイミングに関する規則を決定する決定手段とを備える装置
【0016】
上記の装置において、前記決定手段は、環境属性の変化量が閾値を超えたことをトリガとしてデータの送信を行う場合の前記閾値、または、時間が経過したことをトリガとしてデータの送信を行う場合の前記時間を示す前記規則を決定する、という構成が採用されてもよい。
【0017】
また、本発明は、動植物の育成場の環境属性を計測し計測結果を示す計測属性データを生成する複数の計測装置と、前記複数の計測装置により生成された計測属性データを受信しサーバ装置に送信する中継装置と、前記サーバ装置とを備えるシステムのための装置であって、前記動植物の生育に適した環境属性を示す適正属性データを取得する適正属性取得手段と、前記複数の計測装置のいずれかにより生成された環境属性を示す計測属性データを取得する計測属性取得手段と、前記適正属性取得手段が取得した適正属性データと前記計測属性取得手段が取得した計測属性データとに基づき、前記複数の計測装置のうち環境属性の計測を行う計測装置の選択に関する規則を決定する決定手段とを備える装置を提供する。
【0018】
また、本発明は、動植物の育成場の環境属性を計測し計測結果を示す計測属性データを生成する計測装置と、前記計測装置により生成された計測属性データを受信しサーバ装置に送信する中継装置と、前記サーバ装置とを備えるシステムのための装置であって、前記動植物の生育に適した環境属性を示す適正属性データを取得する適正属性取得手段と、前記計測装置により生成された環境属性を示す計測属性データを取得する計測属性取得手段と、前記適正属性取得手段が取得した適正属性データと前記計測属性取得手段が取得した計測属性データとに基づき、前記計測装置による環境属性の計測精度の選択に関する規則を決定する決定手段とを備える装置を提供する。
【0019】
上記の装置において、前記動植物の生育の段階を示す生育段階データを取得する生育段階取得手段を備え、前記適正属性取得手段は前記生育段階取得手段が取得した生育段階データが示す生育段階に応じた前記適正属性データを取得する、という構成が採用されてもよい。
【0020】
また、上記の装置において、現在時刻を示す時刻データを取得する時刻取得手段を備え、前記適正属性取得手段は1日または1年における前記時刻取得手段が取得した時刻データが示す現在時刻に応じた前記適正属性データを取得する、という構成が採用されてもよい。
【0021】
また、上記の装置において、前記育成場における気象属性を示す気象属性データを取得する気象属性取得手段を備え、前記決定手段は、前記気象属性取得手段が取得した気象属性データに基づき、前記規則を決定する、という構成が採用されてもよい。
【0022】
また、上記の装置において、前記システムは、複数の育成場の各々に関し、当該育成場の環境属性を計測し計測結果を示す計測属性データを生成する計測装置と、当該計測装置により生成された計測属性データを受信し前記サーバ装置に送信する中継装置とを備え、前記複数の育成場の各々に関し、当該育成場おける前記動植物の収穫時の状態を示す収穫状態データを取得する収穫状態取得手段と、前記収穫状態取得手段が取得した収穫状態データと、当該収穫状態データが示す状態で収穫された前記動植物に関し前記計測属性取得手段が取得した計測属性データとに基づき、前記適正属性データを生成する適正属性生成手段とを備える、という構成が採用されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、動植物の育成場に配置された計測装置と、計測装置の計測結果を示すデータを利用するサーバ装置と、計測装置からサーバ装置へのデータ通信を中継する中継装置を備えるシステムにおいて、動植物の生育に適した環境属性と計測された環境属性とに基づきデータの送信タイミング等が調整される。その結果、例えば無駄に高い頻度でデータの送信が行われる等の不都合が回避され、電力消費量または通信料の低減が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は一実施形態にかかる育成場監視システムの全体構成を示した図である。
図2図2は一実施形態にかかる計測装置の機能構成を示した図である。
図3図3は一実施形態にかかる中継装置の機能構成を示した図である。
図4図4は一実施形態にかかるサーバ装置の機能構成を示した図である。
図5図5は一実施形態にかかるサーバ装置に記憶される育成場DBのデータ構成を例示した図である。
図6図6は一実施形態にかかるサーバ装置に記憶される計測属性DBのデータ構成を例示した図である。
図7図7は一実施形態にかかるサーバ装置に記憶される適正属性DBのデータ構成を例示した図である。
図8図8は一実施形態にかかるサーバ装置に記憶される適正属性データが示す環境属性の適正値を示したグラフである。
図9図9は一実施形態にかかるサーバ装置に記憶される基準送信インターバルDBのデータ構成を例示した図である。
図10図10は一実施形態にかかる端末装置の機能構成を示した図である。
図11A図11Aは一実施形態にかかる育成場監視システムが行う処理のシーケンスを示した図である。
図11B図11Bは一実施形態にかかる育成場監視システムが行う処理のシーケンスを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[実施形態]
以下に、本発明の一実施形態にかかる育成場監視システム1を説明する。育成場監視システム1は、ビニルハウス、養殖場、畜舎等の動植物の育成場における温度、湿度、照度等の環境属性を監視するためのシステムである。
【0026】
図1は育成場監視システム1の全体構成を示した図である。図1は、複数の育成場FDの各々に配置された1または複数の計測装置11と、育成場FDの各々に配置され同じ育成場FDに配置された計測装置11から無線により計測属性データを受信し無線によりサーバ装置13に送信する中継装置12と、中継装置12を介して計測装置11から送信された計測属性データを受信するサーバ装置13と、育成場FDの管理者が育成場FDで育成される動植物に関するデータをサーバ装置13に送信するために用いる端末装置14を備える。
【0027】
育成場FDの各々において、計測装置11と中継装置12は近距離無線通信により互いにデータ通信を行う。計測装置11と中継装置12の間で行われる近距離無線通信は例えばZigBeeに従うが、WiFi等の他の無線通信規格に従ってもよい。
【0028】
中継装置12は携帯電話網8を介してサーバ装置13との間でデータ通信を行う。携帯電話網8はインターネット9に接続されており、サーバ装置13はインターネット9を介して中継装置12との間でデータ通信を行う。携帯電話網8は例えばLTE(Long Term Evolution)に従い通信サービスを提供するが、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)等の他の携帯電話の通信規格に従い通信サービスを提供してもよい。
【0029】
端末装置14は携帯電話網8に接続し、インターネット9を介してサーバ装置13との間でデータ通信が可能な携帯端末装置である。なお、端末装置14は通話機能を持たなくてもよい。
【0030】
計測装置11は、例えば温度計、湿度計、照度計等の計測装置であり、設定された時間間隔(以下、「計測インターバル」という)で定期的に計測を行い、計測結果を示す計測属性データを生成する。計測装置11はメモリを備え、生成した計測属性データをメモリに一時的に記憶する。また、計測装置11はZigBeeに従い無線通信を行う通信ユニットを備え、メモリに一時的に記憶した計測属性データを、設定された時間間隔(以下、「送信インターバル」という)で定期的に中継装置12に送信する。なお、異なる計測装置11において用いられる計測インターバルは異なってよい。また、異なる計測装置11において用いられる送信インターバルは異なってよい。
【0031】
計測装置11が備える通信ユニットは、計測属性データの送信に応じて中継装置12から送信されてくる送信インターバルデータに従い、設定されている送信インターバルを更新する。
【0032】
図2は計測装置11の機能構成を示した図である。以下に図2に示される計測装置11の構成部を説明する。計測手段111は、計測対象の環境属性を計測し、計測結果を示す計測属性データを生成する。記憶手段112は、計測手段111が生成した計測属性データを記憶する。なお、記憶手段112は記憶している計測属性データが中継装置12に送信されると、送信された計測属性データを削除する。
【0033】
制御手段113は、計測インターバルに従い計測手段111に対し計測を指示する。また、制御手段113は、送信インターバルに従い記憶手段112に記憶されている計測属性データの中継装置12に対する送信を送信手段114に指示する。送信手段114は、制御手段113の指示に従い、記憶手段112に記憶されている計測属性データを中継装置12に送信する。
【0034】
受信手段115は、送信手段114による計測属性データの送信に応じて中継装置12から送信されてくる送信インターバルデータを受信する。制御手段113は受信手段115が受信した送信インターバルデータに従い設定されている送信インターバルを更新する。
【0035】
計時手段116は、基準時刻からの経過時間を継続的に計測し経過時間を示す経過時間データを生成する。制御手段113は計時手段116が生成した経過時間データが示す経過時間に基づき、計測インターバルに従う計測手段111に対する計測の指示と、送信インターバルに従う送信手段114に対する計測属性データの送信の指示を行う。
【0036】
中継装置12はZigBeeに従い無線通信を行う通信ユニットと、LTEに従い無線通信を行う通信ユニットを備え、計測装置11とサーバ装置13との間のデータ通信を中継する。中継装置12はメモリを備え、計測装置11から受信した計測属性データを一時的にメモリに記憶する。また、中継装置12は例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備え、計測装置11から受信した計測属性データが示す環境属性の変化量が設定された閾値(以下、「変化量閾値」という)を超えたか否かに応じてメモリに記憶されている計測属性データの即時送信を行うか否かを判定する。なお、中継装置12が当該判定を行うための構成部として、ASIC以外の種別の集積回路や、メモリに記憶されているプログラムに従いデータ処理を行うプロセッサ等を備えてもよい。
【0037】
図3は、中継装置12の機能構成を示した図である。以下に図3に示される中継装置12の構成部を説明する。受信手段121は、計測装置11から送信されてくる計測属性データを受信する。記憶手段122は、受信手段121が受信した計測属性データを記憶する。なお、記憶手段122は記憶している計測属性データがサーバ装置13に送信されると、送信された計測属性データのうち最新のものを残して他を削除する。
【0038】
制御手段123は、設定された所定の時間間隔(以下、「送信インターバル」という)で定期的に、記憶手段122に記憶されている未送信の計測属性データのサーバ装置13に対する送信を送信手段124に指示する。なお、中継装置12で用いられる送信インターバルは計測装置11で用いられる送信インターバルと異なってよい。以下、例として、中継装置12で用いられる送信インターバルは計測装置11で用いられる送信インターバルの10倍であるものとする。
【0039】
また、制御手段123は、受信手段121が新たな計測属性データを受信したとき、新たに受信された計測属性データのうち最新のものが示す環境属性と、サーバ装置13に送信済みの計測属性データのうち最新のものが示す環境属性との差、すなわち環境属性の最終送信時から最終受信時までの期間における変化量が設定された変化量閾値を超えるか否かを判定する。制御手段123は、環境属性の変化量が変化量閾値を超えると判定した場合、送信インターバルに従う時間の経過を待つことなく即時に、記憶手段122に記憶されている未送信の計測属性データのサーバ装置13に対する送信を送信手段124に指示する。
【0040】
また、制御手段123は、受信手段125がサーバ装置13から送信インターバルデータを受信したとき、受信した送信インターバルデータが示すインターバルの10分の1のインターバルを示す計測装置11用の送信インターバルデータを生成する。
【0041】
送信手段124は、制御手段123の指示に従い、記憶手段122に記憶されている計測属性データのうち未送信のものをサーバ装置13に送信する。受信手段125は、送信手段124による計測属性データの送信に応じてサーバ装置13から送信されてくる送信インターバルデータと閾値データを受信する。なお、閾値データは変化量閾値を示すデータである。制御手段123は受信手段125が受信した送信インターバルデータに従い設定されている送信インターバルを更新する。また、制御手段123は受信手段125が受信した閾値データに従い設定されている変化量閾値を更新する。
【0042】
計時手段126は、基準時刻からの経過時間を継続的に計測し経過時間を示す経過時間データを生成する。制御手段123は計時手段126が生成した経過時間データが示す経過時間に基づき、送信インターバルに従う送信手段124に対する計測属性データの送信の指示を行う。
【0043】
送信手段127は、受信手段121が計測装置11から計測属性データを受信した際、受信手段125がサーバ装置13から受信した送信インターバルデータに応じて制御手段123が生成した計測装置11用の送信インターバルデータを計測装置11に送信する。
【0044】
サーバ装置13はメモリとプロセッサと通信インタフェースを備えた一般的なサーバ用のコンピュータにより実現される。すなわち、一般的なサーバ用のコンピュータのプロセッサが、メモリに記憶されているサーバ装置13用のプログラムに従うデータ処理を行うと、以下に説明する機能構成を備えるサーバ装置13が実現される。ただし、サーバ装置13がいわゆる専用装置として構成されてもよい。
【0045】
図4は、サーバ装置13の機能構成を示した図である。以下に図4に示されるサーバ装置13の構成部を説明する。受信手段131は、中継装置12から送信されてくる計測属性データを受信する。また、受信手段131は、端末装置14から送信されてくる生育状態データ、収穫状態データ等のデータを受信する。なお、生育状態データは育成場FDで育成されている動植物の現在の生育状態(例えば、発芽、開花等)を示すデータである。また、収穫状態データは育成場FDで育成された動植物の収穫時の状態(例えば、収量、品質等)を示すデータである。生育状態データと収穫状態データは、いずれも育成場FDの管理者により端末装置14に入力され、端末装置14からサーバ装置13に送信される。
【0046】
記憶手段132は育成場FDに関するデータを格納する育成場DB(DataBase)、計測属性データを格納する計測属性DB、育成場FDにおいて育成される動植物の種別に応じた適正な環境属性を示す適正属性データを格納する適正属性DB、育成場FDにおいて育成される動植物の種別に応じた基準送信インターバルデータを格納する基準送信インターバルDBを記憶する。基準送信インターバルデータとは、中継装置12で用いられる送信インターバルの基準となる送信インターバルを示すデータである。
【0047】
図5は、育成場DBのデータ構成を例示した図である。育成場DBは育成場FDの各々に応じたレコードの集まりであり、フィールドとして[育成場ID]、[育成場名]、[場所]、[電話番号]、[動植物ID]、[動植物名]、[育成開始日]、[生育状態]、[収穫状態]を備える。
【0048】
[育成場ID]には育成場FDを識別するID(Identifier)が格納される。[育成場名]には育成場FDの名称を示すデータが格納される。[場所]には育成場FDの地名を示すデータが格納される。[電話番号]には育成場FDの管理者の端末装置14の電話番号が格納される。[電話番号]には複数の電話番号が格納されてもよい。[動植物ID]には育成場FDで育成される動植物を識別するIDが格納される。[動植物名]には育成場FDで育成される動植物の名称を示すデータが格納される。[育成開始日]には育成場FDにおいて動植物の育成が開始された日付を示すデータが格納される。[生育状態]には最新の生育状態データと、生育状態データが入力された日付を示すデータが格納される。[収穫状態]には収穫状態データが格納される。なお、動植物が未収穫の場合、[収穫状態]には空データが格納される。
【0049】
育成場DBに格納されるデータは、育成場FDの管理者が端末装置14に入力し、端末装置14からサーバ装置13に送信されたデータである。育成場FDの管理者は、例えば育成場FDにおける新たな動植物の育成の開始にあたり、端末装置14を操作してサーバ装置13にアクセスし、育成場データ登録画面を端末装置14に表示させる。育成場FDの管理者は、育成場データ登録画面において育成場ID、育成場名、場所、電話番号、作物ID、作物名、育成開始日を入力する。また、育成場FDの管理者は、動植物の生育状態に変化が見られた場合、育成場データ登録画面において、変化後の生育状態を入力する。また、育成場FDの管理者は、動植物の収穫を行った後、育成場データ登録画面において、収穫した動植物の状態(収穫状態)を入力する。育成場データ登録画面において入力されたデータは端末装置14からサーバ装置13に送信され、育成場DBに格納される。
【0050】
図6は、計測属性DBのデータ構成を例示した図である。計測属性DBは中継装置12から送信されてくる計測属性データを格納するデータベースである。中継装置12から送信されてくる計測属性データには、当該計測属性データを生成した計測装置11の設置されている育成場FDのID(育成場ID)、計測装置11の種別(計測装置種別)、計測装置11のID(計測装置ID)、計測属性データが示す環境属性が計測された時刻(計測時刻)を示すデータが付加されている。計測属性DBは計測装置IDに応じた計測属性テーブルの集まりである。計測属性テーブルは、計測属性データに応じたレコードの集まりであり、フィールドとして[計測時刻]、[計測属性]を備える。[計測時刻]には計測属性データに付加されている計測時刻を示すデータが格納される。[計測属性]には環境属性データが格納される。
【0051】
図7は、適正属性DBのデータ構成を例示した図である。適正属性DBはいずれかの育成場FDにおいて育成される可能性のある様々な動植物の種別に応じた適正属性テーブルの集まりである。適正属性テーブルは、動植物の生育段階の各々に応じたレコードの集まりであり、フィールドとして[生育段階]、[生育状態]、[日数]、[適正属性]を備える。
【0052】
[生育段階]には動植物の生育段階を識別する名称を示すデータが格納される。[生育状態]には生育段階に応じた動植物の生育状態を示すデータが格納される。[日数]には生育段階に応じた日数、すなわち、動植物が対象の生育段階で維持される標準的な日数を示すデータが格納される。[適正属性]には、生育段階に応じた適正属性データが格納される。適正属性データは、例えば対象の生育段階にある動植物の生育に適した環境属性の上限値、最適値、下限値を示す。
【0053】
図8は、或る種別の動植物に関し適正属性DBに格納されている適正属性データが示す環境属性の上限値、最適値、下限値を縦軸に、育成開始日からの経過日数([日数]に格納されているデータが示す日数を順次加算した日数)を横軸にとって示したグラフである。図8に示されるように、動植物の種別に応じて、また、動植物の生育段階に応じて、適正な環境属性の範囲は異なる。
【0054】
図9は、基準送信インターバルDBのデータ構成を例示した図である。基準送信インターバルDBはいずれかの育成場FDにおいて育成される可能性のある様々な動植物の種別に応じたレコードの集まりであり、フィールドとして[動植物ID]、[動植物名]、[計測装置種別]、[基準送信インターバル]を備える。
【0055】
[計測装置種別]には、動植物に応じた計測すべき環境属性を計測する計測装置の種別を示すデータが格納される。[計測装置種別]には複数のデータが格納されてもよい。[基準送信インターバル]には計測装置種別に応じた基準送信インターバルデータが格納される。基準送信インターバルデータは、最新の計測属性データが示す環境属性が適正属性データにより示される最適値の近辺である場合に、中継装置12において用いられる送信インターバルを示す。
【0056】
以上が記憶手段132に記憶されるデータの説明である。図4に戻り、サーバ装置13の構成部の説明を続ける。計測属性取得手段133は、決定手段136または適正属性生成手段139が必要とする計測属性データを計測属性DBから読み出して取得する。
【0057】
生育段階取得手段134は、適正属性取得手段135から指定された育成場FDにおける動植物の現在の生育段階を示す生育段階データを取得する。具体的には、生育段階取得手段134は、育成場DB(図5)から、指定された育成場FDに応じたレコードを読み出して、[生育状態]に格納されている生育状態データを取得する。
【0058】
ただし、育成場FDの管理者が生育状態データの更新を怠っている場合があるため、育成場DBに格納されている生育状態データは必ずしも最新のものとは限らない。そこで、生育段階取得手段134は、適正属性DB(図7)に含まれる適正属性テーブル(指定された育成場FDで育成されている動植物に応じたもの)の[生育状態]および[日数]に格納されているデータに照らして、育成場DBから読み出したレコードの[生育状態]に格納されているデータが妥当であるか否かを判定する。生育段階取得手段134は、育成場DBから読み出したレコードの[生育状態]に格納されているデータが妥当でない、と判定した場合、育成場DBの該当するレコードの[育成開始日]および[生育状態]に格納されているデータと、適正属性DBの該当するレコードの[生育状態]および[日数]に格納されているデータとに基づき、指定された育成場FDで育成されている動植物の生育状態を推定し、推定した生育状態を示す生育状態データを生成する。
【0059】
生育段階取得手段134は上記のように取得または生成した生育状態データを適正属性取得手段135に引き渡す。
【0060】
適正属性取得手段135は、適正属性DB(図7)に含まれる適正属性テーブル(育成場FDで育成されている動植物に応じたもの)から、生育段階取得手段134から引き渡される生育状態データに応じたレコードを読み出し、読み出したレコードの[適正属性]に格納されている適正属性データを取得する。
【0061】
決定手段136は、受信手段131が新たに受信した計測属性データが示す環境属性に応じた適正な送信インターバルと変化量閾値を決定する。具体的には、決定手段136は、計測属性取得手段133から最新の計測属性データを受け取り、また、適正属性取得手段135から現在の動植物の生育段階に応じた適正属性データを受け取る。決定手段136は、計測属性データが示す環境属性が、適正属性データが示す値に照らし以下の(1)〜(5)のいずれであるかを判定する。
【0062】
(1)最適値と一致、または上限値および下限値のいずれよりも最適値に近い値。
(2)上限値以下で、最適値より上限値に近い値。
(3)下限値以上で、最適値より下限値に近い値。
(4)上限値を超えた値。
(5)下限値を超えた値。
【0063】
決定手段136は、(1)の場合、基準送信インターバルDB(図9)の該当するレコードの[基準送信インターバル]に格納されるデータが示す基準送信インターバルを中継装置12用の送信インターバルとして決定する。また決定手段136は、(1)の場合、上限値と下限値の差の、例えば10分の1の値を変化量閾値として決定する。
【0064】
また決定手段136は、(1)以外の場合、基準送信インターバルの、例えば半分の時間を中継装置12用の送信インターバルとして決定する。また決定手段136は、(1)以外の場合、上限値と下限値の差の、例えば20分の1の値を変化量閾値として決定する。
【0065】
上記の結果、現在の育成場FDにおける環境属性が育成場FDで育成されている動植物の現在の生育段階に応じた最適な環境属性の近辺であるか否かに応じて、中継装置12からサーバ装置13への計測属性データの送信頻度が調整される。また、計測装置11用の送信インターバルは中継装置12用の送信インターバルに連動して変化するため、計測装置11から中継装置12への計測属性データの送信頻度も同時に調整される。
【0066】
送信手段137は、受信手段131が計測属性データを受信した際、決定手段136が決定した送信インターバルを示す送信インターバルデータと、決定手段136が決定した変化量閾値を示す閾値データを中継装置12に送信する。
【0067】
収穫状態取得手段138は、適正属性生成手段139の要求に応じて、育成場DB(図5)から、指定された動植物の種別に応じたレコードを抽出し、抽出したレコードの[収穫状態]に格納されている収穫状態データを適正属性生成手段139に引き渡す。
【0068】
適正属性生成手段139は、或る種別の動植物に関し、過去に様々な育成場FDにおいて育成された動植物の収穫状態(収量、品質等)と、当該動植物の生育中に計測された環境属性とに基づき、その種別の動植物に関する適正属性データを生成する。具体的には、適正属性生成手段139は、例えば所定時間の経過毎に、収穫状態取得手段138から対象の種別の動植物に関する収穫状態データを受け取り、受け取った収穫状態データに応じた動植物が育成された育成場FDにおいて当該動植物の生育期間中に生成された計測属性データを計測属性取得手段133から受け取る。適正属性生成手段139は、計測属性データが示す環境属性が、収穫状態データが示す収穫状態に与える影響の程度を、既知の統計解析手法により特定し、適正属性データを生成する。
【0069】
適正属性生成手段139により新たな適正属性データが生成された場合、適正属性DB(図7)に格納されている適正属性データは新たな適正属性データで更新される。
【0070】
端末装置14は、携帯電話網8を介してサーバ装置13と通信可能な一般的な端末装置である。図10は、端末装置14の機能構成を示した図である。以下に図10に示される端末装置14の構成部を説明する。受信手段141は、サーバ装置13から各種データ(育成場データ登録画面を示すデータ等)を受信する。表示手段142は、受信手段141が受信したデータに従い画面を表示する。
【0071】
操作手段143は、端末装置14を使用する育成場FDの管理者により行われる各種データ(生育状態データ等)の入力操作を受け付ける。送信手段144は、操作手段143が受け付けたデータをサーバ装置13に送信する。
【0072】
以上が育成場監視システム1の構成である。続いて、育成場監視システム1の動作を説明する。図11Aおよび図11Bは、育成場監視システム1が行う処理のシーケンスを示した図である。まず、計測装置11は、設定されている計測インターバルの経過毎に(ステップS101;「Yes」)、計測対象の環境属性を計測する(ステップS102)。続いて、計測装置11は計測結果を示す計測属性データを記憶する(ステップS103)。
【0073】
計測装置11は、設定されている送信インターバルが経過したか否かを判定する(ステップS104)。送信インターバルが経過している場合(ステップS104;「Yes」)、計測装置11は記憶している未送信の計測属性データを中継装置12に送信する(ステップS105)。一方、送信インターバルが経過していない場合(ステップS104;「No」)、計測装置11は処理をステップS101に戻す。
【0074】
中継装置12は、ステップS105において計測装置11から受信した計測属性データを記憶する(ステップS106)。続いて、中継装置12はその時点で中継装置12に設定されている送信インターバルの10分の1の送信インターバルを示す送信インターバルデータを計測装置11に送信する(ステップS107)。計測装置11は中継装置12から受信した送信インターバルデータに従い、設定されている送信インターバルを更新する(ステップS108)。その後、計測装置11は処理をステップS101に戻す。
【0075】
中継装置12は、ステップS105において計測装置11から新たな計測属性データを受信する前後における最新の計測属性データが示す環境属性の差、すなわち環境属性の変化量が、設定されている変化量閾値以下であるか否かを判定する(ステップS109)。環境属性の変化量が変化量閾値以下である場合(ステップS109;「Yes」)、中継装置12は設定されている送信インターバルが経過したか否かを判定する(ステップS110)。送信インターバルが経過していない場合(ステップS110;「No」)、中継装置12は処理をステップS106の前に戻し、計測装置11からの計測属性データの送信を待機する。
【0076】
送信インターバルが経過している場合(ステップS110;「Yes」)、中継装置12は記憶されている未送信の計測属性データをサーバ装置13に送信する(ステップS111)。また、ステップS109の判定において、環境属性の変化量が変化量閾値以下でない場合(ステップS109;「No」)、中継装置12はステップS110の判定を行うことなく記憶されている未送信の計測属性データをサーバ装置13に送信する(ステップS111)。
【0077】
サーバ装置13は、中継装置12から受信した計測属性データを記憶する(ステップS112)。続いて、サーバ装置13は最新の計測属性データに基づき中継装置12用の送信インターバルと変化量閾値を決定する(ステップS113)。サーバ装置13は決定した送信インターバルを示す送信インターバルデータと、変化量閾値を示す閾値データを中継装置12に送信する(ステップS114)。その後、サーバ装置13は処理をステップS112の前に戻し、中継装置12からの計測属性データの送信を待機する。
【0078】
中継装置12は、受信した送信インターバルデータと閾値データに従い、設定されている送信インターバルと変化量閾値を更新する(ステップS115)。その後、中継装置12は処理をステップS106の前に戻し、計測装置11からの計測属性データの送信を待機する。
【0079】
以上のように、育成場監視システム1によれば、育成場FDにおいて育成されている動植物の種別に応じて、計測装置11から中継装置12へのデータの送信頻度と、中継装置12からサーバ装置13へのデータの送信頻度が適正に調整される。具体的には、例えば育成場FDの環境属性が動植物の生育において最適値の近辺で安定している期間においては、その他の期間と比較して、計測装置11から中継装置12へ、または中継装置12からサーバ装置13へのデータの送信頻度が低く抑えられる。その結果、計測装置11の消費電力量および中継装置12とサーバ装置13の間の通信に伴う通信料が低減される。
【0080】
[変形例]
上述した育成場監視システム1は本発明の一実施形態であって、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形することができる。以下にそれらの変形の例を示す。なお、上述した実施形態および下記の変形例の2以上が適宜組み合わされてもよい。
【0081】
(1)上述した実施形態においては、計測装置11から中継装置12に対する計測属性データの送信タイミングに関する規則の一例として、送信インターバルが経過したことをトリガとして計測属性データを送信する、という規則が採用されている。また、上述した実施形態においては、中継装置12からサーバ装置13に対する計測属性データの送信タイミングに関する規則の一例として、送信インターバルが経過したこと、または環境属性の変化量が閾値を超えたことをトリガとして計測属性データを送信する、という規則が採用されている。計測属性データの送信タイミングに関する規則はこれらに限られず、他の規則が採用されてもよい。
【0082】
(2)上述した実施形態においては、決定手段136が、計測属性データと適正属性データに基づき、中継装置12からサーバ装置13に対する計測属性データの送信タイミングに関する規則、および中継装置12からサーバ装置13に対する計測属性データの送信タイミングに関する規則を決定する。これに代えて、もしくは加えて、決定手段136が、計測属性データと適正属性データに基づき、計測装置11による環境属性の計測タイミングに関する規則を決定する構成が採用されてもよい。この場合、例えば決定手段136は計測属性データと適正属性データに基づき、適正な計測インターバルを示す計測インターバルデータを生成する。サーバ装置13において生成された計測インターバルデータは中継装置12を介して計測装置11に送信され、計測装置11において計測インターバルの更新に用いられる。
【0083】
(3)同じ育成場FDに同種の計測装置11が複数設置される場合、決定手段136が、計測属性データと適正属性データに基づき、同種の複数の計測装置11のうち環境属性の計測を行う計測装置11の選択に関する規則を決定する構成が採用されてもよい。この場合、例えば育成場DB(図5)には育成場FDに設置された計測装置11の配置位置を示すデータが格納される。そして、決定手段136は、計測属性データと適正属性データに基づき、例えば環境属性の計測を行うべき適正な計測装置11の数を決定する。続いて、決定手段136は育成場FDにおける配置位置が互いに近接しないように、決定した数の計測装置11を稼動対象の計測装置11として選択する。サーバ装置13において選択された稼動対象の計測装置11を示すデータは、中継装置12に送信される。中継装置12はサーバ装置13から受信したデータに従い、稼動対象の計測装置11に対し環境属性の計測を行わせる一方で、稼動対象でない計測装置11に対し環境属性の計測を停止させる。
【0084】
(4)計測装置11が環境属性の計測を異なる精度で行える場合、決定手段136が、計測属性データと適正属性データに基づき、計測装置11による環境属性の計測精度の選択に関する規則を決定する構成が採用されてもよい。この場合、例えば決定手段136は、計測属性データと適正属性データに基づき、適正な計測精度の範囲を決定し、決定した計測精度の範囲を示す計測精度データを生成する。サーバ装置13において生成された計測精度データは中継装置12を介して計測装置11に送信され、計測装置11において計測精度の選択に用いられる。
【0085】
(5)上述した実施形態においては、育成場FDにおいて育成されている動植物の生育状態に応じた適正属性データが決定手段136による送信インターバルや変化量閾値の決定に用いられる。これに代えて、もしくは加えて、1日または1年における現在時刻に応じた適正属性データが用いられてもよい。この場合、適正属性DB(図7)には1日における時間帯(例えば、夜間、日中等)または1年における時間帯(例えば、春、夏、秋、冬等)に応じて異なる適正属性データが格納される。また、サーバ装置13は現在時刻を示す時刻データを取得する時刻取得手段を備える。決定手段136は、送信インターバル等の決定において、時刻取得手段が取得した時刻データが示す現在時刻に応じた適正属性データを適正属性DBから読み出して用いる。
【0086】
(6)決定手段136が育成場FDにおける気象属性に基づき送信インターバルや変化量閾値を決定する構成が採用されてもよい。この場合、サーバ装置13は例えば、気象情報を配信するサーバ装置から、育成場FDにおける気象属性(例えば予想値)を示す気象属性データを取得する気象属性取得手段を備える。決定手段136は、計測属性データと適正属性データに加え、気象属性取得手段が取得した気象属性データに基づき、適正な送信インターバルや変化量閾値の決定を行う。例えば、決定手段136は気象属性データが急速な気温変化の予測を示す場合や、台風の到来を示す場合等において、現在の育成場FDの環境属性が最適値の近辺であるか否かにかかわらず、送信インターバルや変化量閾値を小さくすることで、計測属性データの送信頻度を高める。
【0087】
(7)上述した実施形態において、適正属性生成手段139は既存の適正属性データとは無関係に新たな適正属性データを生成する。これに代えて、適正属性生成手段139が既存の適正属性データを、収穫状態データと計測属性データに基づき調整することで新たな適正属性データを生成する構成が採用されてもよい。
【0088】
(8)上述した実施形態において、サーバ装置13が行う処理の一部を中継装置12が行う構成が採用されてもよい。また、中継装置12が行う処理の一部をサーバ装置13または計測装置11が行う構成が採用されてもよい。
【0089】
(9)サーバ装置13が中継装置12経由で計測装置11から受信する計測属性データの用途は様々なものが考えられる。例えば、計測属性データが、育成場FDの管理者に対し育成中の動植物の収量や品質の向上のためのアドバイスの通知のために用いられてもよい。この場合、例えばサーバ装置13は、育成場FDの現在の環境属性が最適値から乖離している場合、環境属性を最適値に近付けるための対策を講じるようにアドバイスするメッセージを生成し、育成場FDの管理者の端末装置14に宛てて送信する。
【0090】
また、例えば、計測属性データが、育成場FDの管理者に対し育成場FDにおける環境属性の異常を通知するために用いられてもよい。この場合、例えばサーバ装置13は、或る育成場FDで計測された環境属性が近隣の育成場FDで計測された環境属性から乖離している場合や、同じ育成場FDで過去に計測された環境属性等に基づき予測していた環境属性から乖離している場合等に、その旨の警告を行うメッセージを生成し、育成場FDの管理者の端末装置14に宛てて送信する。
【0091】
また、育成場FDの環境属性を管理する空調装置等の環境管理装置が育成場FDに設置されている場合、計測属性データがそれらの環境管理装置の制御のために用いられてもよい。この場合、例えばサーバ装置13は、環境管理装置が育成場FDの環境属性を最適値に近付けるように動作するように、環境管理装置に対する制御データを生成し送信する。環境管理装置はサーバ装置13から受信した制御データに従い動作を行い、育成場FDの環境属性を最適値に近付ける。
【0092】
(10)上述した実施形態において、計測装置11用の送信インターバルは中継装置12用の送信インターバルに基づき決定される。これに代えて、例えば決定手段136が計測装置11用の送信インターバルを中継装置12用の送信インターバルとは無関係に決定してもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…育成場監視システム、8…携帯電話網、9…インターネット、11…計測装置、12…中継装置、13…サーバ装置、14…端末装置、111…計測手段、112…記憶手段、113…制御手段、114…送信手段、115…受信手段、116…計時手段、121…受信手段、122…記憶手段、123…制御手段、124…送信手段、125…受信手段、126…計時手段、127…送信手段、131…受信手段、132…記憶手段、133…計測属性取得手段、134…生育段階取得手段、135…適正属性取得手段、136…決定手段、137…送信手段、138…収穫状態取得手段、139…適正属性生成手段、141…受信手段、142…表示手段、143…操作手段、144…送信手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B