(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348483
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】炭酸飲料の炭酸刺激の増強方法および炭酸飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20180618BHJP
A23L 2/38 20060101ALI20180618BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20180618BHJP
C12C 5/02 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
A23L2/00 T
A23L2/38 J
A23L2/52
C12C5/02
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-506545(P2015-506545)
(86)(22)【出願日】2013年11月12日
(86)【国際出願番号】JP2013080531
(87)【国際公開番号】WO2014147886
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2016年10月4日
(31)【優先権主張番号】特願2013-60742(P2013-60742)
(32)【優先日】2013年3月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 史佳
(72)【発明者】
【氏名】指原 浩一
(72)【発明者】
【氏名】佐見 学
【審査官】
伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−132703(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0165552(US,A1)
【文献】
特開2007−169245(JP,A)
【文献】
特開2000−325018(JP,A)
【文献】
特開2005−143467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−2/84
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを原料として用いることを特徴とする、炭酸飲料の炭酸刺激の増強方法。
【請求項2】
最終製品である炭酸飲料中のメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの含有量が30μM以上であることを特徴とする、請求項1に記載の炭酸飲料の炭酸刺激の増強方法。
【請求項3】
最終製品である炭酸飲料中のメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの含有量が400μM以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の炭酸飲料の炭酸刺激の増強方法。
【請求項4】
前記炭酸飲料がビールテイスト飲料であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の炭酸飲料の炭酸刺激の増強方法。
【請求項5】
30〜400μMのメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを含有することを特徴とする炭酸飲料。
【請求項6】
ビールテイスト飲料であることを特徴とする、請求項5に記載の炭酸飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸飲料の炭酸刺激を増強する方法、及び当該方法により製造された炭酸飲料に関する。
本願は、2013年3月22日に、日本に出願された特願2013−060742号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
炭酸飲料の主な特徴は、口腔内における炭酸刺激により得られる爽快感である。このため、炭酸飲料においては、充分な炭酸刺激を有することが、嗜好性の点から非常に重要である。
【0003】
炭酸飲料の炭酸ガス圧を高めることによって、炭酸刺激を増強することができる。しかしながら、従来製品よりも炭酸ガス圧を高めた炭酸飲料を製造するためには、製造時に耐圧をより高めたタンクを使用しなければならず、また、より耐圧性の高い缶や瓶等に充填する必要があり、充填設備を変更しなければならない。さらに、通常ガス圧製品と同じ設備を使用する場合、製造時に設備の切り替え時間が必要となることから、充填効率の低下が見込まれ、大幅なコスト増加になるという問題もある。
また、容器の種類によっては、炭酸ガス圧を高めたとしても、炭酸ガスは流通・販売過程で容器を透過し大気中へ放出されてしまう。さらに、開栓後、炭酸ガスの急速な脱気によって炭酸刺激感は低下するという問題があった。
【0004】
炭酸ガス圧を高めることなく、炭酸飲料の炭酸感を高める方法としては、微量の辛味成分を炭酸飲料に添加することが知られている。例えば、特許文献1には、微量のスピラントール(キク科オランダセンニチ等に含まれる辛味成分)を炭酸飲料に添加することにより、炭酸感が増強されることが開示されている。また、特許文献2には、炭酸飲料に、辛味物質を、辛味閾値の1/10濃度以上ないし辛味閾値未満の範囲内の濃度で添加することによって炭酸感が増強されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4679132号公報
【特許文献2】特開2010−68749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、炭酸ガス圧を高めることなく、炭酸飲料の炭酸刺激を増強し得る方法および炭酸刺激が増強された炭酸飲料を提供することを目的とする。
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、炭酸飲料にメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテート〔methyl (3−oxo−2−pentylcyclopentyl) acetate〕を原料として用いることにより、炭酸ガス圧を高めることなく、炭酸刺激を改善し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを原料として用いることを特徴とする、炭酸飲料の炭酸刺激の増強方法、
(2) 最終製品である炭酸飲料中のメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの含有量が30μM以上であることを特徴とする、前記(1)の炭酸飲料の炭酸刺激の増強方法、
(3) 最終製品である炭酸飲料中のメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの含有量が400μM以下であることを特徴とする、前記(1)又は(2)の炭酸飲料の炭酸刺激の増強方法、
(4) 前記炭酸飲料がビールテイスト飲料であることを特徴とする、前記(1)〜(3)の何れかの炭酸飲料の炭酸刺激の増強方法、
(
5)30〜400μMのメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを含有することを特徴とする炭酸飲料、および
(
6)ビールテイスト飲料であることを特徴とする、前記(
5)の炭酸飲料、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る炭酸飲料の炭酸刺激を増強する方法により、炭酸ガス圧を高めずとも、炭酸飲料の炭酸刺激を増強することができる。このため、当該方法により、既存の製造設備を大幅に変更することなく、より強い炭酸刺激を有する炭酸飲料を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1における官能評価の結果を示した図である。
【
図2】実施例1における官能評価の結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る炭酸飲料の炭酸刺激の増強方法(以下、「本発明に係る炭酸刺激増強方法」ということがある。)は、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテート(ジヒドロジャスモン酸メチル)を添加することを特徴とする。炭酸ガス含有量が等しいにもかかわらず、炭酸飲料にメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートが含有されていることにより、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートが含まれていない炭酸飲料に比べて、喫飲時の口腔内における炭酸刺激をより強く感じることができる。なお、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートは、一般的に香料として飲食品に添加される化合物である。
【0012】
本発明に係る炭酸刺激増強方法によって炭酸刺激が増強される炭酸飲料は、炭酸を含有する飲料であれば特に限定されるものではなく、アルコール飲料であってもよく、ノンアルコール飲料であってもよい。炭酸飲料としては、具体的には、ビール、発泡酒、新ジャンル、ノンアルコールビール等のビールテイスト飲料;ウイスキー、ブランデー、焼酎、リキュール等の非発泡性のアルコール飲料に炭酸ガスを圧入した発泡性アルコール飲料;コーラ、サイダー、ラムネ、ジンジャーエール等の清涼飲料水等が挙げられる。また、甘味料や香料等を含まない単なる炭酸水であってもよい。本発明に係る炭酸刺激増強方法は、ビールテイスト飲料に対して用いられることがより好ましい。
なお、本発明及び本願明細書において、ビールテイスト飲料とは、アルコール含有量や麦芽の使用の有無に関わらず、ビールと同等の又はそれと似た風味・味覚及びテクスチャーを有し、高い止渇感・ドリンカビリティーを有する発泡性飲料を意味する。より具体的には、ビールテイスト飲料とは、アルコール飲料であってもよく、アルコール含有量が1容量%未満である、いわゆるノンアルコール飲料またはローアルコール飲料であってもよい。また、麦芽を原料とする引用であってもよく、麦芽を原料としない飲料であってもよい。さらに、発酵飲料であってもよく、無発酵飲料であってもよい。さらに具体的には、ビールテイスト飲料としては、ビール、麦芽を原料とする発泡酒、麦芽を使用しない発泡性アルコール飲料、ローアルコール飲料、ノンアルコールビールなどが挙げられる。その他、麦芽を原料とし、発酵工程を経て製造された飲料と、アルコ−ル含有蒸留液とを混和して得られたリキュール類であってもよい。アルコール含有蒸留液とは、蒸留操作により得られたアルコールを含有する溶液であり、一般に、スピリッツなどの蒸留酒に分類されるものを用いることができる。
また、「新ジャンル」とは、酒税法上、ビールと発泡酒のいずれにも属さないアルコールを含有するビールテイスト飲料を指す。
【0013】
本発明に係る炭酸刺激増強方法においては、最終製品である炭酸飲料中に、炭酸ガスとメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートとが含有されていればよい。このため、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの添加時期は特に限定されるものではなく、炭酸飲料の製造工程の何れかの時点において、原料として添加して炭酸飲料を製造してもよく、製造された炭酸飲料に添加してもよい。また、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを原料として添加して炭酸飲料を製造し、製造された炭酸飲料にさらにメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを添加してもよい。
【0014】
発酵工程を経て製造されるビールテイスト飲料は、一般的に、仕込、発酵、貯酒、濾過、充填の工程で製造される。例えば、ヒドロキシ酸エステル類は、仕込工程において、大麦、小麦、コーンスターチ、コーングリッツ、米、こうりゃん等の澱粉原料や、液糖や砂糖等の糖質原料と共に原料水に添加されてもよく、ホップと共に添加されてもよく、発酵工程において発酵液に添加されてもよく、濾過後、容器への充填前に添加されてもよい。また、複数回に分けて添加してもよい。炭酸ガス圧を調整するために、充填前のビールテイスト飲料にさらに炭酸ガスが圧入される場合があるが、この場合、炭酸ガス圧入前のビールテイスト飲料にメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを添加してもよく、炭酸ガス圧入後、充填直前のビールテイスト飲料にメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを添加してもよい。
【0015】
また、炭酸ガス以外の全ての原料を添加して調製された飲料溶液に、炭酸ガスを圧入することによって製造される炭酸飲料の場合、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートは、その他の原料と共に添加し、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを含む試料溶液に炭酸ガスを圧入することによって炭酸飲料を製造してもよく、炭酸ガス圧入後の炭酸飲料に、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを添加してもよい。
【0016】
炭酸飲料に添加されるメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの量は、最終製品である炭酸飲料中に、炭酸刺激増強効果が奏されるために充分な量であればよい。例えば、充分な炭酸刺激増強効果が得られやすいため、最終製品中の含有量は30μM以上であることが好ましい。コーラやサイダー等の発泡性清涼飲料水のガス圧は0.3MPa程度であるが、ガス圧がこの程度の炭酸飲料であれば、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの含有量を30μM以上とすることにより、充分な炭酸刺激増強効果が得られる。
【0017】
メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの含有量が過剰になると、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートが有する香味が炭酸飲料に影響するおそれがある。このため、炭酸飲料中のメチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの含有量は、400μM以下であることが好ましく、200μM以下であることがより好ましい。
【実施例】
【0018】
次に実施例及び参考例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。
【0019】
[実施例1]
炭酸の受容体として知られるTRPA1(Transient Receptor Potential Ankyrin 1)を強制発現させたHEK293細胞を用いて、食品添加物に指定されている213種類のエステル類から、当該受容体のリガンドとなる物質の一次スクリーニングを実施した。なお、HEK293細胞は、ヒト胎児腎臓由来の培養細胞株である。
具体的には、TRPA1を強制発現させたHEK293細胞を、各エステル類をそれぞれ添加した培地中で培養し、カルシウムイメージング法により細胞内のカルシウムイオン濃度を測定した。TRPA1は、非選択性カルシウム透過性陽イオンチャネルであり、これにリガンドが結合すると、細胞内にカルシウムイオンが流入する。細胞内のカルシウムイオン濃度の上昇度が大きかった上位26種のエステル類を選抜した。この26種の物質名とそのCAS番号を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
次に、前記スクリーニングにより選抜したエステル類26種について、炭酸刺激感の増強効果を、パネリスト6名(男性4名、女性2名)による官能評価で検証した。具体的には、各選抜物質を予め60mMになるようにエタノールで希釈し、それを市販の炭酸水に対して1/1000倍量添加したものを、これを試験品(終濃度:60μM)とした。また、エタノールを当該炭酸水に対して1/1000倍量添加したものを対照品とした。評価は、対照品の刺激強度を4として、刺激強度を1〜7の7段階評価(1:非常に弱い、2:弱い、3:やや弱い、4:対照と同程度、5:やや強い、6:強い、7:非常に強い)とし、全パネリストの評価の平均値を各物質の評価とした。
【0022】
官能評価の結果を、
図1及び
図2に示す。この結果、26種の物質のうち13種の物質が、評点5以上の評価であった。特に、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテート及びシス−3−ヘキセン−1−イル シンナメートは、非常に炭酸の刺激強度が高かった。
【0023】
[実施例2]
メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートについて、炭酸刺激増強効果を示す下限濃度を特定するために、実施例1で用いた市販の炭酸水に、終濃度15μM又は30μMとなるように、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートのエタノール希釈液を添加し、実施例1と同様にして炭酸刺激感の官能評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
この結果、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの終濃度15μMの場合には、全パネリストの評点の平均値は5を下回り、炭酸刺激感はわずかに増強されていたにすぎなかった。これに対して、終濃度30μMの場合には、全パネリストの評点の平均値は5(やや強い)であり、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの添加によって炭酸刺激感が増強していた。つまり、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを終濃度30μM以上となるように添加することにより、炭酸刺激感の増強効果が得られることがわかった。
【0026】
[実施例3]
メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートは香料であり、添加量が多くなるほど香味に対する影響が強くなると推定される。そこで、炭酸飲料の香味を損なうことなく炭酸刺激感の増強効果が得られる上限濃度を特定するために、実施例1で用いた市販の炭酸水に、終濃度100μM、200μM、300μM、400μM、又は500μMとなるように、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートのエタノール希釈液を添加し、香味についてのパネリスト2名による官能評価を行った。評価は、3段階(○:好ましくない香味を感じない、△:好ましくない香味を感じるが、許容できる範囲である、×:好ましくない香味を強く感じる)で行った。なお、「好ましくない香味」とは、食品に馴染まない独特の香気や苦味をいう。評価結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
【0028】
この結果、全ての試験品において、炭酸刺激感は、無添加の炭酸水よりも充分に強かった。メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの終濃度が300μM以下では、好ましくない香味は全く感じられず、終濃度が400μMではやや好ましくない香味を感じたものの、許容できる範囲であった。これに対して、終濃度が500μMでは、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの独特の香味が強く感じられた。これらの結果から、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを終濃度400μM以下となるように添加することにより、香味に対する影響を抑えつつ、炭酸刺激感の増強効果が得られることがわかった。
【0029】
[実施例4]
サイダー、ノンアルコールビール、新ジャンルビール、及びチューハイに、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを終濃度100μMとなるようにそれぞれ添加し、炭酸刺激感について添加前の炭酸飲料と比較した。炭酸刺激感は、パネリスト2名により、実施例1と同様に、添加前の炭酸飲料の評点を4とした7段階により官能評価した。評価結果を表4に示す。この結果、全ての炭酸飲料において、メチル(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの添加により、炭酸刺激感が増強された。
【0030】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る炭酸刺激増強方法により、炭酸ガス圧を高めずとも、炭酸刺激が増強された炭酸飲料を製造し得るため、当該方法及びこれにより製造された炭酸飲料は、ビール、発泡酒等の発泡性アルコール飲料、ノンアルコールビール、コーラ等の発泡性清涼飲料等の製造分野で利用が可能である。