特許第6348493号(P6348493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348493
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】汎用回転弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/074 20060101AFI20180618BHJP
   F16K 3/08 20060101ALI20180618BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20180618BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   F16K11/074 Z
   F16K3/08
   G01N1/00 101L
   G01N30/26 M
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-528439(P2015-528439)
(86)(22)【出願日】2013年8月21日
(65)【公表番号】特表2015-527547(P2015-527547A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】SE2013050985
(87)【国際公開番号】WO2014031069
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2016年8月3日
(31)【優先権主張番号】1250942-8
(32)【優先日】2012年8月22日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ビヤーヌルフ,オレ
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,クリスター・オロフ
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第04425393(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00−11/24
F16K 3/08
G01N 1/00
G01N 30/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側ステータ面を有するステータと、内側ステータ面とシール接触するように配設された内側ロータ面を有するロータとを備える回転弁であって、ロータが、内側ステータ面に対して回転軸線の周りで複数のロータ位置に回転運動可能であり、ステータが、複数の接続ポートであって、各々内側ステータ面で対応する弁オリフィスと流体接触する複数の接続ポートを備えており、ロータが、ロータ位置に対する弁オリフィスの選択的な流体相互接続のための2以上の相互接続経路を備えており、ステータが、入口ポートと、出口ポートと、成分供給ポートと、成分戻りポートとを備えており、
ロータの相互接続経路が、
第1のロータ位置で入口ポートを出口ポートに相互接続し、
第2のロータ位置で入口ポートを成分供給ポートに相互接続するとともに成分戻りポートを出口ポートに相互接続し、
第3のロータ位置で入口ポートを成分戻りポートに相互接続するとともに成分供給ポートを出口ポートに相互接続するように構成されており
前記相互接続経路のうちの少なくとも一つが流体接続を形成し、かつ他の一つ又は二つ以上の前記相互接続経路が流体接続を形成しない時、該他の一つ又は二つ以上の前記相互接続経路は、前記弁オリフィスをカバーしない、回転弁。
【請求項2】
ロータの相互接続経路が、第4のロータ位置で成分供給ポートを成分戻りポートに相互接続するように構成されている、請求項1記載の回転弁。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の1以上の回転弁を備える分析機器。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の1以上の回転弁を備える処理システム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2記載の1以上の回転弁を備えるクロマトグラフィーシステム(190)。
【請求項6】
請求項1又は請求項2記載の第1の回転弁(10a)及び第2の回転弁(10b)並びに第1の流体成分及び第2の流体成分を備える流体回路であって、
第2の弁の入口ポートが、第1の弁の出口ポートに接続され、
第1の流体成分が、第1の弁の成分供給ポートと第2の弁の成分供給ポートとの間に接続され、
第2の流体成分が、第1の弁の成分戻りポートと第2の弁の成分戻りポートとの間に接続される、流体回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁に関し、より具体的には、成分をメインフローに選択的に流入させるための回転弁に関する。
【背景技術】
【0002】
弁は、流体の移送を伴う装置に一般に使用される。例えば、中規模の実験システムに使用される典型的な種類の弁は、回転弁である。
【0003】
一般に、回転弁は、本明細書ではステータと呼ばれる静止体を有し、このステータは、本明細書ではロータと呼ばれる回転体と協働する。
【0004】
ステータには、多数の入口ポート及び出口ポートが設けられる。ポートは、内側ステータ面上の対応する一連のオリフィスとボアを介して流体連通する。内側ステータ面は、ロータの内側ロータ面と流体密に接触するステータの内表面である。ロータは、典型的には、ディスクとして形成され、内側ロータ面は、回転的に協働するように内側ステータ面に押し付けられる。内側ロータ面には、ステータに対するロータの回転位置に応じて異なるオリフィスを相互接続する1以上の溝が設けられる。
【0005】
回転弁は、(25MPaを超える圧力などの)高圧に耐えるように設計することができる。それら回転弁は、ステンレス鋼、高性能高分子材料、及びセラミックなどの種々の材料で作ることができる。
【0006】
ロータ又はステータの入口/出口の数及び溝の設計は、特定の弁の使用目的を反映する。
【0007】
一般的な種類の多目的弁は、1つの入口ポート(典型的には弁の回転軸線に配置される)と、入口ポートの周りに等距離に配置される多数の出口ポートとを有する。ロータは、半径方向に延びる単一の溝であって、一端が回転中心にあり、それにより、常に入口に接続され、一方で、他端が、ステータに対するロータの角度位置に応じて出口のいずれか1つに接続する溝を有する。このような弁は、入口から一度に1つのいずれかの出口に流れを導くのに有用である。
【0008】
1以上の特定の作業を実施するために特別仕様とされるより複雑な構成が可能である。例えば、回転弁は、分析システムの流体経路に成分を導入するために使用することができる。
【0009】
液体クロマトグラフィーシステム(LCS)などの、液体の流れを処理する多くの機器では、時として、成分を含めるか又はバイパスすることができる必要がある。
【0010】
この状況は、図1及び図2に概略的に示す従来の4方向二重経路弁を用いて容易に解決される。
【0011】
しかしながら、成分を通って単一の弁内に入る流れを逆転させる能力などのより多くの機能を組み込むことができることが有益であろう。このことの1つの理由はコストが削減されることにある(例えば、自動弁の場合には、1つの弁モータ駆動装置しか必要としないので)。もう1つの理由は、可能な限り多くの経路を弁に組み込むことにより、配管を相互接続する必要性が低くなるので、経路の長さを短縮できることにある。
【0012】
したがって、成分がメインフローに対して接続/遮断される必要がある多くの状況で使用できる多目的弁が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0103887号明細書
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、従来技術の1以上の欠点を克服する回転弁を提供することである。この目的は、独立請求項に定義する回転弁により達成される。更に、1以上のこのような回転弁を備えるクロマトグラフィーシステムが提供される。
【0015】
これにより、3以上の異なる回転位置をとることができる1つの回転弁が達成され、これらの回転位置では、成分を順流及び逆流で接続することができ、かつ成分をバイパスすることができる。これにより、2つの別々の弁を使用するのに比べて安価な弁が得られるとともに、相互接続される配管が最小限に抑えられる。
【0016】
一態様では、内側ステータ面を有するステータと、内側ステータ面とシール接触するように配設された内側ロータ面を有するロータとを備える回転弁であって、ロータが、内側ステータ面に対して回転軸線の周りで複数のロータ位置に回転運動可能であり、ステータが、複数の接続ポートであって、各々内側ステータ面で対応する弁オリフィスと流体接触する複数の接続ポートを備えており、ロータが、ロータ位置に対する弁オリフィスの選択的な流体相互接続のための2以上の相互接続経路を備えており、ステータが、入口ポートと、出口ポートと、成分供給ポートと、成分戻りポートとを備えており、ロータの相互接続経路が、第1のロータ位置で入口ポートを出口ポートに相互接続し、第2のロータ位置で入口ポートを成分供給ポートに相互接続するとともに成分戻りポートを出口ポートに相互接続し、第3のロータ位置で入口ポートを成分戻りポートに相互接続するとともに成分供給ポートを出口ポートに相互接続するように構成されている、回転弁が提供される。
【0017】
第2の態様では、ロータの相互接続経路が、第4のロータ位置で成分供給ポートを成分戻りポートに相互接続するように構成されている、回転弁が提供される。
【0018】
以下の詳細な説明及び図面を参照することにより、本発明並びに本発明の更なる特徴及び利点のより完全な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1のモードで従来の弁を使用した際の成分を通る流れを示した図である。
図2】第2のモードで従来の弁を使用した際の図1の成分をバイパスする流れを示した図である。
図3】本発明の一実施形態による回転弁の概略側面図である。
図4】内側ステータ面の側から見た本発明の第1の実施形態のステータの斜視図である。
図5】ロータ内面から見た本発明の第1の実施形態のロータの斜視図である。
図6a】ロータが異なるロータ位置に位置決めされた回転弁の実施形態の概略図である。
図6b】ロータが異なるロータ位置に位置決めされた回転弁の実施形態の概略図である。
図6c】ロータが異なるロータ位置に位置決めされた回転弁の実施形態の概略図である。
図6d】ロータが異なるロータ位置に位置決めされた回転弁の実施形態の概略図である。
図7】回転弁の代替的な利用の概略図である。
図8】回転弁を備えるクロマトグラフィーシステムの一実施形態を概略的に示す図である。
図9】2ステップ精製プロセスを概略的に示す図である。
図10a図9a〜図9cの2ステップ精製プロセスを実施するための流体回路を概略的に示す図である。
図10b図9a〜図9cの2ステップ精製プロセスを実施するための流体回路を概略的に示す図である。
図10c図9a〜図9cの2ステップ精製プロセスを実施するための流体回路を概略的に示す図である。
図10d図9a〜図9cの2ステップ精製プロセスを実施するための流体回路を概略的に示す図である。
図11】回転弁の代替的な利用の概略図である。
図12a】回転弁の代替的な利用の概略図である。
図12b】回転弁の代替的な利用の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
典型的な回転弁の主要部品を図3に概略的に示している(ブラケット又は同様の荷重支持要素又は締結要素は図示せず)。回転弁10は、ステータ11と、ロータ12と、自身の角度位置を認識するための手段(図示せず)を任意選択的に設けることができる回転軸13と、(弁を手動で作動させることもできるが)典型的にはギヤボックス及びモータを備える駆動ユニット14とを有する。ロータは、弁の回転軸線RAを中心にステータに対して回転可能である。
【0021】
組み込まれる機器に対して固定されるステータ11には、流体供給源/出口及び(弁が協働する)任意の成分と流体連通する(点線で表す)ポートが設けられる。ポートは、ステータの任意の適切な部分にかつ任意の適切な向きに位置決めすることができる。ポートには、毛管又は配管を接続する手段が設けられる。そのような手段は、当業者には周知の従来のValco継手などの任意の適切な種類のものとすることができる。ポートは、内側ステータ面11a、すなわち、動作中にロータ12と接触するステータの表面上の対応する一連の弁オリフィスとチャネルを介して流体連通する。
【0022】
ロータ12は、典型的には、ディスクとして形成され、内側ロータ面12aと内側ステータ面11aとのシール接触を達成するために、動作中に平坦な内側ステータ面11aに押し付けられる内側ロータ面12aを有する。内側ロータ面12aには、ステータ11に対するロータ12の回転位置に応じて内側ステータ面11aの異なる弁オリフィスを相互接続する1以上の相互接続経路が設けられる。相互接続経路は、2つの弁オリフィスの間に流体接触をもたらすことが可能な任意の種類の経路とすることができ、かつ内側ロータ面の別個のオリフィス、溝などを備えた内部チャネルから構成することができる。
【0023】
ステータ111の前面側の簡略化した斜視図を示す図4aは、本発明による弁の一実施形態に関する入口ポート及び出口ポートの構成を図示している。
【0024】
一般に、本出願の図に示す、ポート、溝及び類似物の角度位置は、本発明の異なる実施形態の間で異なる場合があり、つまり、ポート、溝及び類似物の相互の協働が本発明の概念に依然として従っている限り、それらの角度位置を弁の回転軸線に対して変える、鏡面反転させる、又は別の方法で変更することができることに留意すべきである。
【0025】
加えて、入口/出口ポートは、ボア(又は任意の種類のチャネル)を介して内側ステータ面11a上のオリフィスに接続されるので、ポートとオリフィスとの間に非直線的なチャネルを作ることにより内側ステータ面11aのパターンとは異なるようにポートを配設することが可能である。しかしながら、簡略化する理由により、ポートは、内側ステータ面のオリフィスと一直線になるように位置決めされるものとして示してある。
【0026】
したがって、開示の実施形態のステータ111は、機器のすべての所望の動作可能な成分に弁を接続するために使用される4つのポート131a〜134aを有する。
【0027】
入口ポート131aは、ポンプなどの機器の第1の液体供給源からの(典型的には、検出器、他の弁などの機器の一連の成分、及びクロマトグラフィーカラムなどの任意の接続される成分を介する)入口ポートとして使用されるポートである。出口ポート132aは、液体が機器の残りの部分又は機器の外へと流出できる出口ポートとしての役割を果たす。
【0028】
クロマトグラフィーカラム、導電率モニター又は流量制限装置などの成分は、成分供給ポート133a及び成分戻りポート134aを介して弁に接続可能であり、それにより、供給ポート133aが、弁からの出口としての機能を果たし、かつ、戻りポート134aが、第1の成分から流れを戻すための弁への入口としての機能を果たし、又は、以下により詳細に開示するように、流れを逆転させた場合には、その反対となる。
【0029】
図4bは、他方側、すなわち内側ステータ面111aの側から見た図4aのステータ111の斜視図である。各ポートが、図4bに示す対応するオリフィス、入口弁オリフィス131b、出口弁オリフィス132b、成分供給弁オリフィス133b、成分戻り弁オリフィス134bで終端するチャネルを介して内側ステータ面111aに接続されることに留意されたい。
【0030】
弁オリフィスの位置は、ステータの中心(この中心は弁の回転軸線と一致する)の周りに等間隔に配置される。上で説明したように、オリフィスの位置及びオリフィス間の分割角度は、本発明の概念から逸脱することなく変えることができる。本実施形態によるステータには4つのそのような位置が存在するので、分割角度は90°である。すべての位置は、弁の回転軸線まで基本的に同じ半径方向距離Rで配置される。
【0031】
上記のステータ111と協働するロータ112の内側ロータ面112aの一実施形態を図5に示す。内側ロータ面112aには、ロータ位置に対する内側ステータ面111aの弁オリフィスの選択的な流体相互接続のための3つの相互接続経路が溝の形態で設けられる。斜め溝140は、それぞれ斜めに配設された弁オリフィス131b、132bと133b、134bとの間に相互接続経路を提供するように配設される。2つの平行溝141は、ロータが斜め溝140の位置に対して45°で位置決めされるときに成分を流路に接続するために、2つの隣接する弁オリフィスの間に相互接続経路141a及び141bを提供するように配設される。
【0032】
組み立てられるときに、内側ロータ面112aは、任意の従来の回転弁にとって典型的な方法(当業者には周知であり、本明細書では解説しない)で、内側ステータ面111aに押し付けられる。ロータ112とステータ111の相互の角度位置に応じて、弁に関して異なる動作モードが得られる。これらは、ロータの相互接続溝が太い破線で概略的に表され、弁内の流体流れが矢印で概略的に表される図6a〜図6dに示してある。
【0033】
図6aに示すように、第1のロータ位置で、弁10は、成分ポート133a及び134aをバイパスするように配設される。流体流れは、入口ポート131aに流入し、第1のオリフィス131bを介してロータ斜め溝140を通って進み、(第2のオリフィス132bを介して)出口ポート132aを通って弁から流出する。弁の他のポート及び溝は、第1のロータ位置ではアクティブではない、つまり、成分がバイパスされる。
【0034】
図6bは、ロータ12の相互接続経路が入口ポート131aを成分供給ポート133aに相互接続し、成分戻りポート134aを出口ポート132aに相互接続する第2のロータの位置にある弁10を示している。このロータ位置で、成分は、流体流れに順流接続で接続される。より具体的には、平行溝141aは、入口ポートの弁オリフィス131bと成分供給ポート133aの弁オリフィス133bとを相互接続し、その一方で、他の平行溝141bは、成分戻りポート134aの弁オリフィス134bと出口ポート132aの弁オリフィス132bとを相互接続する。
【0035】
図6cは、ロータ12の相互接続経路が入口ポート131aを成分戻りポート134aに相互接続し、成分供給ポート133aを出口ポート132aに相互接続する第3のロータ位置にある弁10を示している。このロータ位置で、成分は、流体流れに逆流接続で接続される。より具体的には、平行溝141aは、入口ポートの弁オリフィス131bと成分戻りポート134aの弁オリフィス134bとを相互接続し、その一方で、他の平行溝141bは、成分供給ポート133aの弁オリフィス133bと出口ポート132aの弁オリフィス132bとを相互接続する。
【0036】
図6dは、ロータ12の相互接続経路が成分供給ポート133aを成分戻りポート134aに相互接続する第4のロータ位置にある弁10を示しており、それにより、主入口ポート131aと出口ポート132aとの間の流路。
【0037】
上で説明したように、オリフィスの正確な位置は、上で説明した実施形態に従う必要はない。本発明に重要なことは、異なる溝が、上で説明した各回転位置に達するべき特定のオリフィスに達することである。本開示を通して、「入力」及び「出力」という用語は、弁がクロマトグラフィーシステムの2つのポンプへの入力流体を選択するように配設される開示の実施形態に関する特定のポートの機能を表すために使用される。本発明による弁は、汎用性の高い機能が有益であり得、かつ入力ポートの1以上がむしろ逆に出力ポートとしての役割も果たすことができる他の用途で使用することができる。
【0038】
本発明を成分選択弁に関して説明しているが、弁の構造によって弁の汎用性が非常に高くなり、分析機器又は処理システム、特にクロマトグラフィーシステムにおける広範な用途でそのような弁を使用できることに留意すべできある。
【0039】
図7a〜図7cは、本回転弁10が供給源入口131aから3つの出口A〜C、132a〜134aのうちのいずれか1つに流れを導くことが可能な出力選択弁として接続される一実施形態を概略的に示している。しかしながら、代替的に流れが反対方向であり得かつ回転弁が3つの入力供給源のうちの1つを選択するように配設され得ることに留意すべきである。
【0040】
図8は、2つのシステムポンプ150及び151のために流体供給源A1、A2、B1、B2から入力流体を選択するように配設された2つの入力3方向弁160及び161を備えるクロマトグラフィーシステム190の一実施形態を概略的に示している。クロマトグラフィーシステム190は更に、システムポンプの後の流路内のシステム圧力を記録するための圧力センサー200と、ポンプにより供給された流体の適切な混合を確実にする混合器210と、試料を流体経路に注入するための注入弁220と、流体経路内のカラム240を選択的に接続/遮断するためのカラム接続弁230と、カラムからの出力を検出するための紫外線(UV)モニター250と、導電率モニター260と、2以上の出力位置(例えば、フラクションコレクター280、廃棄物容器などに接続される)を備えた出力選択弁270とを含み得る。
【0041】
図8は、本弁10が2つの異なる位置で使用される、つまり、図6a〜図6dに開示するカラム接続弁230としてまた図7a〜7cに開示する出力選択弁270として使用されるクロマトグラフィーシステムの一実施形態を示している。
【0042】
図8のクロマトグラフィーシステムは、クロマトグラフィーシステムをどのように構築できるかの例を表しており、他の実施形態は、いくつかの成分の2以上を備える異なる設計とすることができ、かつ成分の一部を欠く可能性があり得る。一実施形態では、クロマトグラフィーシステムは、液体クロマトグラフィーシステムである。
【0043】
本回転弁10の汎用的性質は、この弁が流路設計においてかつすべての動作に関して実質的な利益を与えるいくつかの用途の特定の例により更に説明することができる。図9a〜図9cは、本設計の回転弁10を使用した構成により簡略化できる2ステップ精製プロセスを概略的に示している。この種類の2ステップ精製プロセスで、図9aに示す第1のステップは、典型的には、第1のカラムA240(例えば、親和性カラムなど)内のタンパク質などの目的試料の捕捉を伴う。目的試料の捕捉を監視するために、UVモニター250がカラムAの直後の流路に接続される。捕捉段階プロセスは従来通り、非目的分子などがカラムAから洗い流される洗浄段階を含み得、また、洗浄段階は、UVモニターにより監視され、すべての非目的物がいつ洗い流されたかを測定する。図9aに表すように、捕捉/洗浄段階中には、第2のカラムBは接続されていない。捕捉/洗浄段階が完了したことをUVモニターからの出力信号が示した場合、次の段階は、カラムAから目的試料を溶出させ、カラムBを使用して目的試料を更に精製することである。カラムAから目的試料を溶出させるために、供給源に溶出緩衝液などが供給され、それにより、目的試料がカラムAから放出される。溶出段階中に、目的試料がUVモニターにいつ達するかを確認するために、カラムAからの出力がUVモニターを使用して監視され、それにより、カラムBは、図9bに示すように、目的試料を受け入れ、次いで、すべての目的試料がカラムに充填されたときに溶出プロセスを終了し、第2の精製ステップである第3の段階を開始するように、UVモニター直後の流体経路に接続される。図9cに示すように、第2の精製ステップでは、カラムAが流路から遮断されることが好ましく、カラムB内でのクロマトグラフィー精製を促進するために、通常は、溶出緩衝液が第2の精製緩衝液に置き換えられる。このステップでは、カラムBの出力端部にUVモニターを導入することにより、カラムBからの出力を監視することが望ましい。したがって、第3の段階では、カラムB及びUVモニターの論理順序を前ステップに比べて変更する必要がある。2つの別々のUVモニターが利用可能でなければ、2つの流体成分の論理順序を変更するプロセスは、いくつかの弁成分を必要とする重要な動作である。更に、いくつかの状況では、カラムAから溶出した目的試料をカラムBにできるだけ速やかに導入し、次いで、緩衝液をできるだけ速やかに取り換える(例えば、溶出中に使用する緩衝液がタンパク質を不安定にする場合があるので)ことが望ましい。
【0044】
図10a〜図10dは、本設計の3つの回転弁10a〜10cを備える構成を使用して2ステップ精製プロセスをどのように設計できるかの例を示している。この構成において、3つの回転弁10a〜10cは、供給源から出口まで直列に接続される。カラムA 240は、図6a〜図6dに開示するように、弁10aの2つのポート、成分供給ポートと成分戻りポートとの間に接続され、カラムAが流路に対して接続及び遮断されることを可能にする。それぞれ、第2のカラムB 240は、第2の弁10bの成分供給ポートと第3の弁10cの成分供給ポートとの間に接続され、UVモニター250は、第2の弁10bの成分戻りポートと第3の弁10cの成分戻りポートとの間に接続される。この構成により、2つの弁のみを使用してカラムB及びUVモニターの論理順序を効果的に変更することが可能となり、それと同時に、両成分をバイパスすること及び成分を流路に個々に接続することも可能となる。
【0045】
図10aでは、3つのすべての弁10a〜10cが、バイパスモード、第1の位置で配設され、それにより、流体流れが供給源から出口へ真っ直ぐに進む。図10bは、流体流れがカラムA及びUVモニターを通して導かれ、それに対して、カラムBが遮断されたままである捕捉/洗浄段階及び初期溶出段階を表している。これは、弁10aを第2の位置に、弁10bを第3の位置に、また弁10cを第2の位置にセットすることにより達成される。図10cは、目的試料がUVモニターにより検出されており、かつ第2のカラムBがUVモニターの後に接続されている溶出段階を表している。これは、弁10aを第2の位置に、弁10bを第3の位置に保持し、また弁10cを第3の位置にセットすることにより達成される。単に弁10cの位置を第2の位置から第3の位置に切り替えることによるUVモニターの後のカラムBのその接続に留意されたい。図10dは、カラムAが流路から遮断され、かつカラムB及びUVモニターの論理順序が変更されている第2の精製ステップを表している。これは、弁10aを第1の位置に、弁10bを第2の位置に、また弁10cを第2の位置にセットすることにより達成される。
【0046】
上記の実施形態は、流路内の成分の論理順序を変更することが有益である場合の使用の一例を示しており、この構成は更に、この機能が有用である任意の用途で使用することができる。図10a〜図10dに従って、2つの成分に接続された2つの弁10b及び10cを使用して流路内の成分の論理順序を変更することにより、各ステップに利用可能な成分の使用を最適化する異なる流路構造を形成することができる。例えば、UVモニター、出口弁、又はカラムの位置は、現在の用途に最も適合するように変更することができる。上記から明らかであるように、流路内の成分の論理順序を変更するためのそのような構成は、第1の回転弁10a及び第2の回転弁10b並びに第1の流体成分及び第2の流体成分を備える流体回路であって、第2の弁の入口ポートが、第1の弁の出口ポートに接続され、第1の流体成分が、第1の弁の成分供給ポートと第2の弁の成分供給ポートとの間に接続され、第2の流体成分が、第1の弁の成分戻りポートと第2の弁の成分戻りポートとの間に接続される、流体回路により一般に達成することができる。
【0047】
更に、供給源A及びBが成分ポートにそれぞれ接続され、かつカラムA及びBが入口及び出口にそれぞれ接続される、図11a及び図11bに表すような2つの独立した流体経路の間のスイッチとして本弁10を使用することができる。この構造において、弁は、供給源A又はBをそれぞれのカラムA及びBに選択的に接続することを可能にする。そのような構成が有用である1つの用途は、例えば、バイオプロセス生成流路で、一方のカラムの調整を実施し、それと並行して、他方のカラム内でクロマトグラフィープロセスを実行することであり、そこでは、調整済みのカラムをクロマトグラフィープロセスに切り替えることができ、他方のカラムを清掃又は交換のために遮断することができる。
【0048】
図12a、図12bは、溶出した試料画分がその後の第2の精製ステップを実施するために試料ループ内に貯留される代替的な2ステップ精製プロセスを可能にするために、本弁10が図8のクロマトグラフィーシステム190の流路内の代替的な位置に導入される別の用途の特定の例を概略的に図示している。図12a及び図12bのシステム190において、弁215は、その出口ポートが注入弁220の入口ポートに接続された状態で、注入弁220の前の流路に導入される。混合器210は、弁215の成分ポートのうちの1つと注入弁220上の第2の入口ポートとの間に接続される。弁215の他の成分ポートは、出力選択弁270の出口ポートに接続される。更に、図12a及び図12bにおいて、ループ弁300は、注入弁のそれぞれの出口及び入口に接続される。開示の実施形態には、当分野における通常の実施方法に従って、その後の精製のために試料体積を収集することが各々可能な、ループ弁300に接続された8つの試料ループ310が示してある。代替的な実施形態では、ループ機能を注入弁220に組み込むことができる。図8と比べて、カラム選択弁230が、カラムA及びB 240で図示する、2以上のカラムを流体経路に接続することが可能な弁に置き換えられている。
【0049】
図12は、目的試料が、流体経路に導入され、並びにカラムA内で捕捉及び洗浄される第1の精製ステップを概略的に図示しており、液体流れを矢印で示す。任意選択的に混合器が流路に接続された状態で、図9及び図10に図示した上記の例のように、初めに初期の溶出について同じ設定が使用される。第1の目的試料がUVモニター250により検出されたときに、弁215及び270を図12bに示すそれぞれの位置にシフトさせ、それにより、溶出した試料の流れを注入弁220に再導入するための平行流路が形成される。この再注入プロセス中に、弁215と注入弁220の両方に2つの平行な流体経路が存在し、溶出した試料の流れは、所望の画分が収集され試料ループ310内に貯留されるループ弁300の入口に導かれる。注入弁220内の弁流路は、図12bに破線として概略的に示してある。前述のように、試料ループ310内に貯留された溶出画分を、その後、カラムBなどを使用して更に精製することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図11
図12a
図12b