特許第6348502号(P6348502)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348502
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 123/04 20060101AFI20180618BHJP
   C09D 123/10 20060101ALI20180618BHJP
   C09D 123/20 20060101ALI20180618BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20180618BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20180618BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20180618BHJP
   B32B 15/085 20060101ALI20180618BHJP
   B65D 25/14 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   C09D123/04
   C09D123/10
   C09D123/20
   C09D5/02
   C09D7/20
   C09D7/65
   B32B15/085
   B65D25/14
【請求項の数】8
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-543138(P2015-543138)
(86)(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公表番号】特表2016-501292(P2016-501292A)
(43)【公表日】2016年1月18日
(86)【国際出願番号】US2013071027
(87)【国際公開番号】WO2014081841
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2016年10月18日
(31)【優先権主張番号】61/729,014
(32)【優先日】2012年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ウィルバー
(72)【発明者】
【氏名】デニス・リンデンムス
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド・イー・ドラムライト
(72)【発明者】
【氏名】ダラクマー・メトラ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィット・エル・マロトキー
(72)【発明者】
【氏名】バーナード・カインズ
【審査官】 仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/011705(WO,A1)
【文献】 特表2013−500210(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/011707(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0176529(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0225057(US,A1)
【文献】 特表2009−500497(JP,A)
【文献】 特表平06−507443(JP,A)
【文献】 米国特許第03900438(US,A)
【文献】 米国特許第05741823(US,A)
【文献】 特開2006−131672(JP,A)
【文献】 特開2009−091426(JP,A)
【文献】 特開2010−111879(JP,A)
【文献】 特開2003−119328(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/133016(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/104090(WO,A1)
【文献】 特表2002−544362(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/191826(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
B32B 15/085
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング組成物であって、
前記コーティング組成物の総重量に基づいて50〜85パーセントの水性分散液であって、前記水性分散液は、
(a)少なくとも1つの、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンの1または2以上のポリオレフィンを含む基剤ポリマー、
(b)エチレンアクリル酸またはエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、およびこれらの組み合わせから選択されるポリマー安定化剤、および
(c)酸無水物、カルボン酸またはカルボン酸誘導体で修飾されたオレフィンポリマーから選択される相溶化剤、の溶融混合生成物を含み、前記水性分散液の総重量に基づいて15重量パーセント〜70重量パーセントの固形分を有し、前記固形分が、前記固形分の総重量に基づいて50〜85重量パーセントの前記基剤ポリマー、前記固形分の前記総重量に基づいて10〜35重量パーセントの前記ポリマー安定化剤、および前記固形分の前記総重量に基づいて2〜15重量パーセントの前記相溶化剤を含む、水性分散液と、
摩耗低減組成物であって、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて前記コーティング組成物の0.01重量パーセント〜1.5重量パーセントである蝋を含む、摩耗低減組成物と、
溶媒であって、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて前記コーティング組成物の3重量パーセント〜20重量パーセントである、溶媒と、
基剤としての水組成物であって、前記基剤としての水組成物の総重量に基づいて90〜99.99重量パーセントの水および前記基剤としての水組成物の前記総重量に基づいて0.01重量パーセント〜10重量パーセントの塩基を含み、前記基剤としての水組成物が、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて前記コーティング組成物の10重量パーセント〜25重量パーセントである、基剤としての水組成物と、
架橋剤であって、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて前記コーティング組成物の0.01重量パーセント〜40重量パーセントである、架橋剤と、を含む、コーティング組成物であって、前記蝋はFischer−Tropsch蝋またはポリエチレン蝋であり、前記ポリエチレン蝋がASTM−D−127に従って測定するとき129℃未満の融点を有する、コーティング組成物
【請求項2】
前記摩耗低減組成物が、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて前記コーティング組成物の0.01重量パーセント〜0.10重量パーセントであるヒドロキシ官能性ポリシロキサンを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記ヒドロキシ官能性ポリシロキサンが、ポリエーテル修飾されるか、ポリエステル修飾されるか、またはポリエーテル−ポリエステル修飾される、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記溶媒が、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エタノール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、およびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記架橋剤が、ヒドロキシアルキルアミドである、請求項1〜のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記相溶化剤が、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンポリマーを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
基板および前記基板上の硬化コーティングを含む塗装物品であって、前記硬化コーティングが、請求項1〜のいずれか1項に記載のコーティング組成物を硬化することによって形成される、塗装物品。
【請求項8】
前期基板が金属基板である、請求項に記載の塗装物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、コーティング組成物を対象とし、より具体的には、実施形態は、摩耗低減組成物を含むコーティング組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
コーティング組成物は、基板に適用され、基板上にコーティングを提供するために硬化、例えば、架橋され得る。異なるコーティングを提供するために利用される種々のコーティング組成物が存在する。コーティングは、とりわけ、基板の保護を提供する、装飾用コーティング等の後続の適用のためのベースを提供する、摩擦を低減させ、改善された取り扱いを提供することを補助する、および塗装基板で形成された容器内に保管された内容物に対する保護を提供するために、利用され得る。
【0003】
いくつかの基板、例えば、金属基板は、食品および/または飲料容器等の容器内に形成され得る。コーティング組成物は、基板に、ならびに/またはこれらの容器の内部および/もしくは外部に適用され得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、コーティング組成物の総重量に基づいて50〜85パーセントの水性分散液、摩耗低減組成物、溶媒、基剤としての水組成物、および架橋剤を含む、コーティング組成物を提供する。
【0005】
本開示は、基板および基板上のコーティングを含む塗装物品を提供し、そのコーティングは、本コーティング組成物を含む。
【0006】
本開示は、基板および基板上の硬化コーティングを含む塗装物品を提供し、その硬化コーティングは、本コーティング組成物を硬化することによって形成される。
【0007】
本開示の上記の概要は、本開示のそれぞれの開示される実施形態またはすべての実装を記載することを意図しない。以下の記述は、例証となる実施形態をより具体的に例示する。本出願の全体に渡りいくつかの箇所において、実施例の一覧を通してガイダンスが提供され、その実施例は種々の組み合わせにおいて使用され得る。各事例において、その列挙される一覧は、代表的なグループとしてのみ役立ち、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
コーティング組成物が、本明細書に記載される。これらのコーティング組成物は、水性分散液および摩耗低減組成物を含み得る。水性分散液を含む他の組成物、例えば、飲料缶の蓋のコーティングのために用いられるいくつかの組成物は、潤滑剤を利用する。これらの潤滑剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、およびいくつかのヒドロキシ官能性ポリシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。潤滑剤は、缶コーティングを含む、いくつかの用途において望ましい摩擦係数を提供するために利用され得る。例えば、特定の用途において高すぎる摩擦係数を有するコーティングは、その特定の用途のために用いられる備品の汚染および/または粘着を生じ得る。しかしながら、いくつかの他の組成物とともに潤滑剤を使用することは、非持続的な硬化コーティングおよび/またはいくつかのコーティング適用において高すぎる摩擦係数を有する硬化コーティングを促進し得る。驚くべきことに、摩耗低減組成物を含む本明細書に開示されるコーティング組成物は、例えば、いくつかの他のコーティングと比較して低減された摩耗値を特徴とし得る、望ましい摩擦係数を有する持続的な硬化コーティングを提供できることが発見された。
【0009】
本開示の実施形態は、(a)少なくとも1つのポリオレフィンを含む基剤ポリマー、(b)安定化剤、および(c)相溶化剤の溶融混合生成物を含む水性分散液を含む、コーティング組成物を提供する。
【0010】
言及されたように、本開示の実施形態は、水性分散液が、(a)少なくとも1つのポリオレフィンを含む基剤ポリマーを含み得ることを規定する。ポリオレフィンの例には、典型的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−l−ブテンコポリマー、およびプロピレン−1−ブテンコポリマーで表されるような、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、および1−ドデセン等の1つ以上のα−オレフィンのホモポリマーおよびコポリマー(エラストマーを含む)、エチレン−ブタジエンコポリマーおよびエチレン−エチリデンノルボルネンコポリマーで表され得るような、共役または非共役ジエンを有する1つのα−オレフィンのコポリマー(エラストマーを含む)、ならびにエチレン−プロピレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエンコポリマー、およびエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンコポリマーで表され得るような、共役または非共役ジエンを有する2つ以上のα−オレフィンのコポリマー等のポリオレフィン(エラストマーを含む)、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−ビニルクロライドコポリマー、エチレンアクリル酸またはエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、およびエチレン−(メタ)アクリレートコポリマー等のエチレン−ビニル化合物コポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
いくつかの本開示の実施形態に従って、ポリオレフィンのうちの1つ以上は、ポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーもしくはコポリマー等の官能性ポリオレフィンであってもよく、そのポリマーは、ヒドロキシル、アミン、アルデヒド、エポキシド、エトキシレート、カルボン酸、エステル、無水物群、またはそれらの組み合わせで修飾されている。ポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーもしくはコポリマー等のこれらの官能性ポリオレフィンのいくつかは、例えば、Baker Hughes,Inc.の小会社であるBaker Petroliteから入手可能である。
【0012】
ポリオレフィンは、種々の用途のための異なる分子量を有し得る。例えば、ポリオレフィンは、800グラム/モル超、例えば、5,000グラム/モル超、または代替として、50,000グラム/モル超の分子量を有し得る。ポリオレフィンは、種々の用途のための異なる結晶融点を有し得る。例えば、ポリオレフィンは、60℃超、95℃超、100℃超、120℃超、130℃超の結晶融点を有し得る。
【0013】
いくつかの本開示の実施形態に従って、ポリオレフィンは、プロピレン−αオレフィンコポリマー、例えば、プロピレン−エチレンまたはプロピレン−エチレン−ブテンコポリマーもしくはインターポリマーであり得る。ポリオレフィンは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有すると特徴付けられるプロピレン/α−オレフィンコポリマーであり得る。「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」は、その配列が、13C NMRによって測定される、約0.85超、代替として約0.90超、別の代替として約0.92超、および別の代替として約0.93超のアイソタクチックな3連構造(mm)を有することを意味する。アイソタクチックな3連構造は、当該技術分野で周知であり、例えば、13C NMRスペクトルによって決定されるコポリマー分子鎖中の3連構造ユニットに関してアイソタクチックな配列に言及する米国特許第5,504,172号および国際公開第WO 00/01745号に記載されている。
【0014】
ポリオレフィン、例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有し得る。1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、結晶化度は、1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)、2.5重量パーセント(少なくとも4ジュール/グラムの融解熱)、または3重量パーセント(少なくとも5ジュール/グラムの融解熱)の下限から、30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)、24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)、15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)、または7重量パーセント(11ジュール/グラムの未満の融解熱)の上限であってもよい。例えば、ポリオレフィンは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)の結晶化度を有し得、または代替として、ポリオレフィンは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)の結晶化度を有し得、または代替として、ポリオレフィンは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の結晶化度を有し得、または代替として、ポリオレフィンは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜5重量パーセント(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)の結晶化度を有し得る。結晶化度は、Differential scanning calorimetry(DSC)法を介して測定され得る。実施形態は、プロピレン/α−オレフィンコポリマーが、プロピレンから導かれる単位および1つ以上のα−オレフィンコモノマーから導かれるポリマー単位を含み得ることを規定する。プロピレン/α−オレフィンコポリマーを製造するために利用され得るコモノマーの例は、C、およびC〜C10α−オレフィン、例えば、C、C、C、およびCα−オレフィンである。プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1つ以上のα−オレフィンコモノマーから導かれる単位の1〜40重量パーセントを含み得る。1〜40重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、1つ以上のα−オレフィンコモノマーから導かれる単位の重量パーセントは、1、3、4、5、7、または9重量パーセントの下限から、40、35、30、27、20、15、12、または9重量パーセントの上限であり得る。例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1つ以上のα−オレフィンコモノマーから導かれる1〜35重量パーセントの単位を含み、または代替として、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1つ以上のα−オレフィンコモノマーから導かれる1〜30重量パーセントの単位を含み、または代替として、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1つ以上のα−オレフィンコモノマーから導かれる3〜27重量パーセントの単位を含み、または代替として、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1つ以上のα−オレフィンコモノマーから導かれる3〜20重量パーセントの単位を含み、または代替として、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1つ以上のα−オレフィンコモノマーから導かれる3〜15重量パーセントの単位を含む。
【0015】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、重量平均分子量を数平均分子量で除す(M/M)ことによって定義される、3.5以下、代替として3.0以下、または別の代替として1.8〜3.0の分子量分布(MWD)を有し得る。そのようなプロピレン/α−オレフィンコポリマーが、米国特許第6,960,635号および同第6,525,157号にさらに記載され、参照により本明細書に組み込まれる。そのようなプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、The Dow Chemical CompanyからVERSIFY(商標)の商品名で、またはExxonMobil Chemical CompanyからVISTAMAXX(商標)の商品名で市販されている。
【0016】
いくつかの本開示の実施形態において、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、(A)プロピレンから導かれる60〜100未満、好ましくは80〜99、およびより好ましくは85〜99重量パーセント単位、ならびに(B)エチレンおよび/またはC4−10α−オレフィンのうちの少なくとも1つから導かれる0超〜40、好ましくは1〜20、より好ましくは4〜16、およびさらにより好ましくは4〜15重量パーセント単位を含むこと、ならびに少なくとも0.001の平均、好ましくは少なくとも0.005の平均、およびより好ましくは少なくとも0.01の平均の長鎖分枝/1000個の総炭素を含有することによりさらに特徴付けられ、長鎖分枝という用語は、本明細書で使用される場合、短鎖分枝よりも長い、少なくとも1つの炭素の鎖長を指し、短鎖分枝は、本明細書で使用される場合、コモノマー中の炭素の数未満の2個の炭素の鎖長を指す。例えば、プロピレン/1−オクテンインターポリマーは、少なくとも7個の炭素長の長鎖分枝を持つ骨格を有するが、これらの骨格はまた、6個の炭素長のみの短鎖分枝も有する。いくつかの実施形態において、長鎖分枝の最大数は、3の長鎖分枝/1000個の総炭素を超えない。そのようなプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、米国仮特許出願第60/988,999号および国際特許出願第PCT/US08/082599号にさらに記載されており、そのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
本開示の実施形態は、水性分散液が、(b)安定化剤を含み得ることを規定する。安定化剤は、安定した分散液、例えば、水性分散液の形成の促進を補助し得る。
【0018】
実施形態は、安定化剤が、界面活性剤、ポリマー、またはそれらの組み合わせを含むことを規定する。例えば、安定化剤は、例えば、コモノマーまたはグラフトモノマーのいずれかとして極性基を含む、極性ポリマーであり得る。いくつかの実施形態において、安定化剤は、例えば、コモノマーまたはグラフトモノマーのいずれかとして極性基を有する1つ以上の極性ポリオレフィンを含み得る。
【0019】
ポリマー安定化剤の例には、PRIMACOR(商標)の商品名でThe Dow Chemical Companyから市販されているもの、NUCREL(商標)の商品名でE.I.DuPont de Nemoursから市販されているもの、およびESCOR(商標)の商品名でExxonMobil Chemical Companyから市販されているもの、ならびに、そのそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号、および同第5,938,437号に記載されているもの等のエチレン−アクリル酸およびエチレン−メタクリル酸コポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。ポリマー安定化剤の他の例には、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンメチルメタクリレート、エチレンブチルアクリレート、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他のエチレン−カルボン酸コポリマーもまた使用され得る。当業者は、いくつかの他の有用なポリマーもまた使用され得ることを理解するであろう。
【0020】
いくつかの実施形態において、安定化剤は、官能性ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーもしくはコポリマーを含んでもよく、そのポリマーは、ヒドロキシル、アミン、アルデヒド、エポキシド、エトキシレート、カルボン酸、エステル、無水物群、またはそれらの組み合わせで修飾されている。ポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーおよびコポリマー等のこれらの官能性ポリオレフィンのいくつかは、例えば、Baker Hughes,Inc.の小会社であるBaker Petroliteから入手可能である。
【0021】
いくつかの実施形態において、安定化剤は、12〜60個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸、脂肪酸塩、または脂肪酸アルキルエステルを含み得る。他の実施形態において、長鎖脂肪酸または脂肪酸塩は、12〜40個の炭素原子を含み得る。
【0022】
言及されたように、安定化剤は、界面活性剤を含み得る。界面活性剤の例には、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。アニオン性界面活性剤の例には、スルホネート、カルボキシレート、およびホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。カチオン性界面活性剤の例には、四級アミンが挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤の例には、エチレンオキシドを含有するブロックコポリマーおよびシリコーン界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
安定化剤には、例えば、外部界面活性剤および/または内部界面活性剤が挙げられ得る。外部界面活性剤は、分散調製の間にポリオレフィン中に化学的に反応しない界面活性剤である。外部界面活性剤の例には、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩およびラウリルスルホン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。内部界面活性剤は、分散調製の間にポリオレフィン中に化学的に反応する界面活性剤である。
【0024】
市販の界面活性剤の例には、それぞれRTD Hallstarから入手可能であるOP−100(ステアリン酸ナトリウム)、OPK−1000(ステアリン酸カリウム)、およびOPK−181(オレイン酸カリウム)、Baker Petroliteから入手可能であるUNICID 350、それぞれCognisから入手可能であるDISPONIL FES 77−ISおよびDISPONIL TA−430、それぞれRhodiaから入手可能であるRHODAPEX CO−436、SOPROPHOR 4D384、3D−33、および796/P、RHODACAL BX−78およびLDS−22、RHODAFAC RE−610およびRM−710、およびSUPRAGIL MNS/90、ならびにそれぞれThe Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能であるTRITON QS−15、TRITON W−30、DOWFAX 2A1、DOWFAX 3B2、DOWFAX 8390、DOWFAX C6L、TRITON X−200、TRITON XN−45S、TRITON H−55、TRITON GR−5M、TRITON BG−10、およびTRITON CG−110が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
安定化剤は、溶解または懸濁ポリマー、例えば、アクリル酸および/もしくはメタクリル酸およびそれらの(C−C30)エステルまたはアミド、アクリルアミド/メタクリルアミドおよびそれらのN−置換誘導体、アクリロニトリル、スチレン、および置換スチレン誘導体等のエチレン性不飽和モノマーのポリマーを含み得る。
【0026】
安定化剤は、ポリマー安定化剤を含み得る。ポリマー安定化剤の例には、5重量パーセント〜95重量パーセントの1つ以上の親水性モノマーおよび5重量パーセント〜95重量パーセントの1つ以上の共重合性エチレン性不飽和疎水性モノマーの反応生成物を含むコポリマーである、両親媒性コポリマー組成物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの材料は、例えば、中和に際して水溶性および/または乳化性であり、コロイド安定剤として作用し得る。
【0027】
両親媒性コポリマー組成物の産生に有用な非イオン性モノマーの例には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、t−ブチルアクリルアミド、Nメチロールアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、およびエチルアクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、エチレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジ−イソブチルエチレン、ビニルアセテート、およびN−ビニルピロリドン等のビニルモノマー、ならびにアリル(メタ)アクリレート等のアリルモノマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
両親媒性コポリマー組成物の産生に有用なモノマーの例には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、t−ブチルアクリルアミド、およびN−メチロールアクリルアミド等の不飽和アミド官能性モノマー、トリブチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、メチルアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリクオタニウム−11、およびポリクオタニウム−4等の四級アンモニウム塩を含有するモノマー、ならびにビニルイミダゾール等のアミン官能性モノマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
両親媒性コポリマー組成物の産生に有用な「アニオン性」または「酸含有モノマー」には、カルボン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルフィン酸、スルホン酸基、およびその後加水分解される無水物を含有するエチレン性不飽和モノマーが挙げられるが、これらに限定されない。好適な例には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニルホスホン酸、ホスホエチル(メタ)アクリレート、およびビニルスルホン酸が挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態に従って、安定化剤のうちの1つ以上は、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂に基づいていてもよく、アクリル樹脂またはアクリルモノマーと反応し、ポリエステルアクリレート、ポリアミドアクリレートエポキシ樹脂アクリレートを形成し得る。
【0031】
安定化剤を生成するために有用なポリエステル樹脂は、溶媒の存在を伴うか、または伴わずに高温で、従来のエステル化触媒の存在下で、例えば、多塩基酸分子1個当たり少なくとも2個のカルボキシル基を含有する多塩基酸(例えば、少なくとも二塩基性のポリカルボン酸)を、多価アルコール中に少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する多価アルコール(例えば、少なくとも二価のアルコール)と反応させることによって、当業者に既知の従来の手順に従って得ることができる。あるいは、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸の無水物のアルキルエステルは、高温で、従来のエステル化触媒の存在下で反応し得る。1つ以上の重合性二重結合が、重合性二重結合を含有する多塩基酸および/または重合性二重結合を含有する多価アルコールを用いることによって、ポリエステル中に含まれ得る。
【0032】
安定化剤は、ポリエステルアクリレートを含み得る。ポリエステルアクリレートは、ポリエステルの存在下で共重合性エチレン性不飽和モノマーのインサイツ重合を介して、形成され得る。例には、エチレン性不飽和単官能性または多官能性酸、エチレン性不飽和単官能性または多官能性酸エステル、アミド、ニトリル、ならびに反応流体の存在下で、または反応流体を伴わずにポリエステルを有するビニルモノマーおよびビニルエステルが挙げられる。溶媒中のポリエステルアクリレートは、当業者に既知の好適な方法に従って乾燥され得る。
【0033】
安定化剤は、エポキシ樹脂を含み得る。エポキシ樹脂は、例えば、ポリエポキシドを好適な多求核試薬と反応させることによって、当業者に周知の従来の手順に従って、得ることができる。好適なエポキシドには、グリシジルエーテルおよび分子を含有する他のエポキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。好適な多求核試薬には、多価フェノールおよびポリフェノール、ポリチオール、脂肪族ポリアルコールもしくは多塩基酸、またはポリアミンが挙げられるが、これらに限定されない。エポキシの例には、溶媒の存在を伴うか、または伴わずに高温で、従来の触媒の存在下において、多価ポリフェノール中に少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する多価フェノール(例えば、少なくとも二価のフェノールまたはジフェノール)を有する、ポリグリシジルエーテル分子1個当たり少なくとも2個のグリシジルエーテル基を含有するグリシジルエーテル(例えば、少なくともジグリシジルエーテル)が挙げられるが、これらに限定されない。他のエポキシ樹脂は、溶媒の存在を伴うか、または伴わずに高温で、従来の触媒の存在下において、例えば、ポリグリシジルエーテル分子1個当たり少なくとも2個のグリシジルエーテル基を含有するポリグリシジルエーテル(例えば、少なくともジグリシジルエーテル)を、多塩基酸分子1個当たり少なくとも2個のカルボキシル基を含有する多塩基酸(例えば、少なくとも二塩基性のポリカルボン酸)と反応させることによって、当業者に既知の従来の手順に従って得ることができる。
【0034】
安定化剤は、エポキシアクリレートを含み得る。エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂の存在下における共重合性エチレン性不飽和モノマーのインサイツ重合を介して、形成され得る。例には、エチレン性不飽和単官能性または多官能性酸、エチレン性不飽和単官能性または多官能性酸エステル、アミド、ニトリル、ならびに反応流体の存在下で、または反応流体を伴わずにエポキシ樹脂を有するビニルモノマーおよびビニルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、ポリマー性酸官能性アクリル性樹脂が、エポキシアクリレートを形成するための好適な触媒の存在下で、エポキシ樹脂と反応され得る。溶媒中のエポキシアクリレートは、当業者に既知の好適な方法に従って乾燥され得る。
【0035】
本開示の実施形態は、水性分散液が、(c)相溶化剤を含み得ることを規定する。相溶化剤は、水性分散液の形成を補助することができ、例えば、より均一な分散を提供すること、および/または硬化コーティング組成物の特性を改善することを補助し得る。相溶化剤はまた、カップリング剤とも称され得る。
【0036】
相溶化剤は、修飾された、例えば、官能化されたポリマー、および任意に反応性極性基を有する低分子量化合物を含み得る。相溶化剤の例には、修飾オレフィンポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。修飾オレフィンポリマーは、プロピレン−無水マレイン酸グラフトコポリマー等のグラフトコポリマーおよび/またはブロックコポリマーを含み得る。ポリマーを修飾することができる群の例には、酸無水物、カルボン酸、カルボン酸誘導体、一級および二級アミン、ヒドロキシル化合物、オキサゾリンおよびエポキシド、およびイオン化合物、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーを修飾することができる群の具体的な例には、不飽和環状無水物およびそれらの脂肪族ジエステル、ならびに二酸誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、無水マレイン酸ならびにC−C10直鎖および分枝鎖ジアルキルマレアート、C−C10直鎖および分枝鎖ジアルキルフマレート、無水イタコン酸、C−C10直鎖および分枝鎖イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、およびそれらの組み合わせから選択される化合物。市販の相溶化剤の例には、プロピレン−無水マレイン酸グラフトコポリマーであるLICOCENE(登録商標)6452等のClariant CorporationからLICOCENE(登録商標)の商品名で入手可能なポリマー、ExxonMobil Chemical CompanyからEXXELOR(商標)の商品名で、ならびにWestlake Chemical CompanyからEpoleneの商品名で入手可能なポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
水性分散液は、流体媒体、例えば、水を含む。水性分散液は、水性分散液の総重量に基づいて30重量パーセント〜85重量パーセントの水を含み得る。例えば、水性分散液は、水性分散液の総重量に基づいて、35重量パーセント〜80重量パーセント、40重量パーセント〜75重量パーセント、または45重量パーセント〜70重量パーセントの水を含み得る。
【0038】
したがって、水性分散液は、水性分散液の総重量に基づいて、15重量パーセント〜70重量パーセントである固形分を含み得る。例えば、水性分散液は、水性分散液の総重量に基づいて、20重量パーセント〜68重量パーセント、25重量パーセント〜65重量パーセント、または30重量パーセント〜60重量パーセントである固形分を含み得る。
【0039】
水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、50〜85重量パーセントの基剤ポリマーを含み得る。例えば、水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、55〜80重量パーセントまたは60〜80重量パーセントの基剤ポリマーを含み得る。
【0040】
水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、10〜35重量パーセントの安定化剤を含み得る。例えば、水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、12〜33重量パーセントまたは15〜30重量パーセントの安定化剤を含み得る。
【0041】
水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、2〜15重量パーセントの相溶化剤を含み得る。例えば、水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、3〜13重量パーセントまたは5〜10重量パーセントの相溶化剤を含み得る。
【0042】
水性分散液は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の50〜85重量パーセントであり得る。例えば、水性分散液は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の55〜80重量パーセントまたは60〜75重量パーセントであり得る。
【0043】
いくつかの本開示の実施形態に従って、例えば、水性分散液が8〜11の範囲のpHを有するように、水性分散液は塩基を含み得る。8〜11のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、水性分散液は、8、8.1、8.2、または8.3の下限から、11、10.9、10.8、または10.7の上限の範囲のpHを有し得る。例えば、水性分散液は、8〜11、8.1〜10.9、8.2〜10.8、または8.3〜10.7のpHを有し得る。塩基の例には、水酸化物、炭酸塩、アミン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。水酸化物の例には、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、および水酸化ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。炭酸塩の例には、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、および炭酸塩カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。アミンの例には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、モノ−n−プロピルアミン、ジメチル−nプロピルアミン、N−メタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、N,N,N’N’−テトラキス(2−ヒドロキシルプロピル)エチレンジアミン、1.2−ジアミノプロパン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、N,N’−エチレンビス[ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン]トルエン−p−スルホナート、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
水性分散液は、当業者に理解される種々のプロセスによって形成され得る。実施形態は、1つ以上の基剤ポリマー、1つ以上の安定化剤、および1つ以上の相溶化剤が、例えば、溶融混合生成物を形成するためのBLUEWAVE(商標)プロセスを通して、押出機中で溶融混練されることを規定する。水およびアンモニア、水酸化カリウム、またはそれらの組み合わせ等の中和剤が、水性分散液、例えば、水性ポリオレフィン分散液を形成するために利用され得る。いくつかの実施形態において、水性分散液は、まず、重量で約1〜約3%の水を含有するように希釈され、次に続いて、重量で約25%超の水を含むようにさらに希釈される。
【0045】
当該技術分野で既知の種々の溶融混練プロセスが使用され得る。いくつかの実施形態において、捏加機、BANBURY(登録商標)混合機、単軸押出機、または多軸押出機、例えば、二軸押出機が利用され得る。本開示に従って水性分散液を生成するためのプロセスは、特に制限されない。ある特定の実施形態において、例えば、押出機、例えば、二軸押出機は、背圧調整器、溶解ポンプ、または歯車ポンプと連動される。実施形態はまた、塩基貯蔵器および初期貯水器も提供し、そのそれぞれは、ポンプを含む。所望の量の塩基および初期水は、それぞれ、塩基貯蔵器および初期貯水器から提供され得る。種々の好適なポンプが使用され得るが、いくつかの実施形態において、例えば、240バールの圧力で約150cc/分の流量を提供するポンプを使用して、塩基および初期水を押出機に提供し得る。他の実施形態において、注液ポンプは、200バールで300cc/分または133バールで600cc/分の流量を提供する。いくつかの実施形態において、塩基および初期水は、予熱器中で予熱される。例えば、いくつかの実施形態において、例えば、ペレット、粉末、または薄片の形態で1つ以上の基剤ポリマーが、供給機から、ポリマーが溶融される押出機の注入口に供給され得る。いくつかの実施形態において、分散剤は、樹脂を通して、および樹脂と共に1つ以上の基剤ポリマーに添加され得、他の実施形態において、分散剤は、押出機に別々に提供され得る。次いで、溶融されたポリマーは、押出機の混合および搬送区画から、貯水器および塩基貯蔵器から最初の量の水および/または塩基が注入口を通して添加され得る乳化区画に送達され得る。いくつかの実施形態において、分散剤は、追加的に、または排他的に水流に添加されてもよい。いくつかの実施形態において、さらなる希釈水が、水注入口を介して、貯水器から、押出機の希釈および冷却区画へ添加され得る。水性分散液は、冷却区画において、例えば、少なくとも30重量パーセントの水に希釈され得る。所望の希釈水準が達成されるまで、さらなる希釈が数回行われ得る。いくつかの実施形態において、水は、二軸押出機に添加されないが、溶融生成物が押出機から抜け出た後、溶融生成物を含有する流れに添加される。この方法では、押出機中の蒸気圧の蓄積が排除され、水性分散液がローター固定子混合機等の二次混合装置中で形成される。
【0046】
1つ以上の実施形態において、水性分散液を生成するためのプロセスは、(1)1つ以上の基剤ポリマーを選択するステップと、(2)1つ以上の安定化剤を選択するステップと、(3)1つ以上の相溶化剤を選択するステップと、(4)水を含む液体媒体を選択するステップと、(5)1つ以上の中和剤を任意に選択するステップと、(6)水および任意に1つ以上の中和剤の存在下で1つ以上の基剤ポリマー、1つ以上の安定化剤、および1つ以上の相溶化剤を溶融混合するステップと、(6)それにより、乳化された混合物を形成するステップと、(7)任意にそこから熱を除去しながら、その乳化された混合物をさらなる希釈水と接触させるステップと、(8)それにより、水中に分散した固体粒子を形成するステップと、(9)それにより、水性分散液を形成するステップと、を含む。
【0047】
水性分散液は、400〜1500ナノメートル(nm)の範囲の平均体積粒径直径を有し得る。400〜1500nmのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、水性分散液は、400、425、または450nmの下限から、1500、1475、または1450nmの上限の平均体積粒径直径を有し得る。例えば、水性分散液は、400〜1500nm、425〜1475nm、または450〜1450nmの平均体積粒径直径を有し得る。
【0048】
本開示の実施形態は、本明細書に開示されるコーティング組成物が、コーティング組成物を形成するように水性分散液を他の成分と組み合わせることによって形成され得ることを規定する。本明細書でさらに考察されるコーティング組成物の水性分散液および他の成分は、種々のプロセスによって組み合わされ得る。例えば、コーティング組成物の水性分散液および他の成分は、他のプロセスの中でも特に、本明細書に開示されるコーティング組成物を形成するように、インライン混合機とも称される静的混合機等の混合器を利用することによって、および/または撹拌タンク等の撹拌槽を利用することによって、手動で混合され得る。
【0049】
言及されたように、本明細書に開示されるコーティング組成物は、摩耗低減組成物を含む。実施形態は、摩耗低減組成物が、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.01重量パーセント〜1.5重量パーセントである蝋を含むことを規定する。コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.01重量パーセント〜1.5重量パーセントを含む、すべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、蝋は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.01、0.10、または0.25重量パーセントの下限から、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の1.5重量パーセント、1.25重量パーセント、または1.0重量パーセントの上限の範囲であり得る。蝋は、未希釈で利用されてもよく、例えば、蝋は、コーティング組成物に直接添加され得るか、または、例えば、コーティング組成物に添加され得る混合物もしくは分散液等のブレンドの成分として添加され得る。いくつかの本開示の実施形態は、水性分散液が蝋、例えば、水性分散液の成分であり得る蝋または蝋の一部分を含み得ることを規定する。
【0050】
本開示の実施形態は、蝋は、Fischer−Tropsch蝋、カルナバ蝋、ポリエチレン蝋、またはそれらの組み合わせを含み得ることを規定する。Fischer−Tropsch蝋は、既知のFischer−Tropsch合成から生成される合成蝋であり、石炭または一酸化炭素から得られる天然ガスのいずれかを水素と組み合わせ、炭化水素を生成し、その後重合することでFischer−Tropsch蝋を生成する。Fischer−Tropsch蝋は、300〜2000グラム/モルのモル質量を有し得る。300〜2000グラム/モルを含むすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、Fischer−Tropsch蝋は、300、325、または350グラム/モルの下限から、2000、1950、または1900グラム/モルの上限の範囲のモル質量を有し得る。Fischer−Tropsch蝋は、90℃〜110℃の融点を有し得る。90℃〜110℃を含むすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、Fischer−Tropsch蝋は、90℃、91℃、または92℃の下限から、110℃、109℃、または108℃の上限の範囲の融点を有し得る。市販のFischer−Tropsch蝋の一例には、Elementisから入手可能であるSLIP−AYD(登録商標)SL 404が挙げられる。
【0051】
カルナバ蝋は、天然植物蝋である。市販のカルナバ蝋の一例には、BYKから入手可能なAQUACER(登録商標)1547が挙げられる。
【0052】
ポリエチレン蝋の例には、Baker Hughes Inc.から販売されているものが挙げられる。ポリエチレン蝋の好ましい例には、POLYWAX(商標)500およびPOLYWAX(商標)1000の商品識別名で販売されるものが挙げられる。
【0053】
本開示の実施形態は、摩耗低減組成物が、ヒドロキシ官能性ポリシロキサンを含むことを規定する。ヒドロキシ官能性ポリシロキサンは、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.01重量パーセント〜0.10重量パーセントであり得る。コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.01重量パーセント〜0.10重量パーセントを含むすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、ヒドロキシ官能性ポリシロキサンは、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.01、0.02、または0.03重量パーセントの下限から、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.10重量パーセント、0.09重量パーセント、または0.08重量パーセントの上限の範囲であり得る。
【0054】
ヒドロキシ官能性ポリシロキサンは、ヒドロキシル1当量当たり、500〜2000グラムのヒドロキシル当量を有し得る。ヒドロキシル1当量当たり500グラム〜ヒドロキシル1当量当たり2000グラムを含むすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、ヒドロキシ官能性ポリシロキサンは、ヒドロキシル1当量当たり500、750、または1000グラムの下限から、ヒドロキシル1当量当たり2000、1750、または1500グラムの上限の範囲のヒドロキシル当量を含み得る。
【0055】
ヒドロキシ官能性ポリシロキサンは、ポリエーテル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、ポリエステル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、および/またはポリエーテル−ポリエステル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサンを含み得る。
【0056】
いくつかの本開示の実施形態は、ポリエーテル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサンが、以下の式Iで表されることを規定する。
【0057】
【化1】
【0058】
式中、各R基は、独立して、C−C20アルキル基またはC−C20アリール基であり、Rは、C−C20架橋基であり、Rは、((C(R)(R))であり、Rは、((C(R)(R))であり、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素およびC−Cアルキル基から選択され、mは、1〜25であり、nは、1〜20であり、yは、1〜500であり、xは、1〜4であり、zは、0〜4である。C−C20架橋基の例には、メチレンおよび高次のアルキレン基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
ポリエーテル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサンは、例えば、シリコン−炭素結合またはシリコーン−酸素−炭素結合を通して結合されるもう1つのポリエーテル基によって修飾される直鎖または分枝鎖ポリシロキサンを含み得る。ポリエーテルの例には、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ポリエーテル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサンの例には、特に、EvonikからTEGO(登録商標)Glide 440ポリエーテル修飾ポリシロキサン、TEGO(登録商標)Glide 410ポリエーテル修飾ポリシロキサン、およびTEGO(登録商標)Glide 425ポリエーテル修飾ポリシロキサンの商品名で市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
いくつかの本開示の実施形態は、ポリエステル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサンが、以下の式IIで表されることを規定する。
【0061】
【化2】
【0062】
式中、各R基は、独立して、C−C20アルキル基またはC−C20アリール基であり、Rは、C−C20架橋基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、C−CアルキレンまたはC−Cベンゼン−ジイルであり、mは、1〜25であり、nは、1〜20であり、yは、1〜500である。C−C20架橋基の例には、メチレンおよび高次のアルキレン基が挙げられるが、これらに限定されない。C−Cベンゼン−ジイルの例には、ベンゼン−1,2−ジイル、ベンゼン−1,3−ジイル、およびベンゼン−1,4−ジイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
ポリエステル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサンは、例えば、シリコン−炭素結合またはシリコーン−酸素−炭素結合を通して結合されるもう1つのポリエステル基によって修飾される直鎖または分枝鎖ポリシロキサンを含み得る。ポリエステルの例には、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ポリエーテル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサンの例には、特に、BYKからBYK(登録商標)−370の商品名で市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
いくつかの本開示の実施形態は、ポリエーテル−ポリエステル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサンが、以下の式IIIで表されることを規定する。
【0065】
【化3】
【0066】
式中、各R基は、独立して、C−C20アルキル基またはC−C20アリール基であり、Rは、C−C20架橋基であり、Rは、((C(R)(R))であり、Rは、((C(R)(R))であり、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素およびC−Cアルキル基から選択され、Rは、C−C20架橋基であり、RおよびR10は、それぞれ独立して、C−CアルキレンまたはC−Cベンゼン−ジイルであり、mは、1〜25であり、nは、1〜20であり、oは、1〜25であり、pは、1〜20であり、xは、1〜4であり、yは、1〜500であり、zは、0〜4である。C−C20架橋基の例には、メチレンおよび高次のアルキレン基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
ポリエーテル−ポリエステル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサンは、例えば、シリコン−炭素結合またはシリコーン−酸素−炭素結合を通して結合されるもう1つのポリエステル基および1つ以上のポリエーテル基によって修飾される直鎖または分枝鎖ポリシロキサンを含み得る。ポリエーテルの例には、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ポリエステルの例には、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ポリエーテル−ポリエステル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサンの例には、特に、BYKからBYK(登録商標)−375の商品名で市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
本開示の実施形態は、コーティング組成物が、溶媒を含むことを規定する。溶媒は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の3重量パーセント〜20重量パーセントであり得る。コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の3重量パーセント〜20重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、溶媒は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の3、4、または5重量パーセントの下限から、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の20、19、または18重量パーセントの上限であり得る。例えば、溶媒は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の3〜20、4〜19、または5〜18重量パーセントであり得る。溶媒の例には、グリコールエーテル、アルコール、芳香族類、例えば、芳香族炭化水素、ホワイトスピリット、分枝鎖ケトン、エステル、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態に従って、溶媒は、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エタノール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、およびそれらの組み合わせの群から選択される。
【0069】
本明細書に開示されるコーティング組成物は、基剤としての水組成物を含み得る。基剤としての水組成物は、塩基を含む。塩基の例には、本明細書で考察される塩基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
基剤としての水組成物は、基剤としての水組成物の総重量に基づいて、90〜99.9重量パーセントの水を含み得る。基剤としての水組成物の総重量に基づく、90〜99.99重量パーセントの水のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、基剤としての水組成物の総重量に基づく、水の重量パーセントは、90、90.5、91、または93パーセントの下限から、99.99、99.9、99、または98パーセントの上限であり得る。例えば、基剤としての水組成物は、基剤としての水組成物の総重量に基づいて、90〜99.99、90.5〜99.9、91〜99、または93〜98重量パーセントの水を含み得る。基剤としての水組成物は、基剤としての水組成物の総重量に基づいて、0.01〜10重量パーセントの塩基を含み得る。基剤としての水組成物の総重量に基づく、0.01〜10重量パーセントの塩基のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、基剤としての水組成物の総重量に基づく、塩基の重量パーセントは、0.01、0.1、1、または2パーセントの下限から、10、9.5、9、または7パーセントの上限であり得る。例えば、基剤としての水組成物は、基剤としての水組成物の総重量に基づいて、0.01〜10、0.1〜9.5、1〜9、または2〜7重量パーセントの塩基を含み得る。
【0071】
本明細書に開示されるコーティング組成物は、8〜11の範囲のpHを有し得る。8〜11のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、コーティング組成物は、8、8.1、8.2、または8.3の下限から、11、10.9、10.8、または10.7の上限のpHを有し得る。例えば、コーティング組成物は、8〜11、8.1〜10.9、8.2〜10.8、または8.3〜10.7のpHを有し得る。
【0072】
本明細書に開示されるコーティング組成物は、架橋剤を含み得る。架橋剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.01〜40重量パーセントであり得る。0.01〜40重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、架橋剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.01、0.02、または0.1重量パーセントの下限から、40、30、または20重量パーセントの上限であり得る。例えば、架橋剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.01〜40重量パーセント、0.02〜30重量パーセント、または0.1〜20重量パーセントであり得る。
【0073】
本開示の実施形態は、架橋剤が、コーティング組成物中に含有される反応官能基と反応する化合物であり得、それにより、そのような官能基間の架橋結合を促進することを規定する。そのような官能基は、水性分散液の成分中、例えば、(a)基剤ポリマー、(b)ポリマー安定化剤、および/または(c)相溶化剤中に存在し得る。例えば、反応官能基には、遊離型または中和形態のカルボン酸基等の酸性基、またはアルコール基、アミノ基、もしくは同等物等の別の成分によって別の活性水素を有する任意の官能基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
架橋剤中の架橋性官能基は、コーティング組成物の反応官能基と反応することができる基である。例えば、カルボジイミド基、オキサゾリン基、イソシアネート基、ヒドロキシアルキルアミド基、エポキシ基、メチロール基、アルデヒド基、酸無水物基、ヒドロキシ基、アジリジニル基、および/またはシラン基は、架橋剤に役立ち得る。
【0075】
架橋酸官能基の別の可能性は、前述の酸性基と、酸化亜鉛等の物質を含有する多価金属イオンとの反応による多価金属イオンの使用によるものである。カルボン酸もまた、強酸の触媒作用下で多官能性オレフィン不飽和物質との反応において、架橋され得る。多官能性炭酸塩もまた、エステル連鎖に二酸化炭素の遊離を与えるようにカルボン酸と反応し得る。また、ポリオレフィン系材料も、ペルオキシドの転化によって、または放射線、例えば、電子ビームを介して開始されるフリーラジカル架橋結合を介して架橋され得る。
【0076】
いくつかの実施形態に従って、架橋剤は、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシアルキルアミド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂を含むがこれに限定されないアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、無水樹脂、エポキシ樹脂を含むがこれに限定されない樹脂を含有するエポキシ基、ポリエステルもしくはアクリル系樹脂を含有するエポキシ基、およびブロックイソシアネート樹脂、ならびに、その架橋剤の組み合わせが相溶性を有することを条件とするそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0077】
架橋剤は、水分散された、水分散性の、または水溶性の物質であり得る。いくつかの実施形態に従って、架橋剤の例には、分子1個当たり2つ以上のオキサゾリン基、カルボジイミド基、ヒドロキシアルキルアミド基、エポキシ基、イソシアネート基、メチロール基等、またはそれらのいくつかを含有する水性モノマーまたはポリマー物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
オキサゾリン架橋剤の一例は、その分子中に2つ以上のオキサゾリン基を有する水性ポリマーであり、それは、オキサゾリン基含有モノマー、および必要に応じて、エチレン不飽和モノマーの重合によって得ることができる。あるいは、オキサゾリン架橋剤はまた、ニトリル基とアミノエタノール基間の反応、ヒドロキシルアルキルアミド基の脱水等によっても得ることができる。
【0079】
2つ以上のカルボジイミド基を有する架橋剤は、ジイソシアネート化合物の脱炭酸反応を伴う凝縮反応によってジイソシアネート化合物から生成され得る。ジイソシアネート化合物の例には、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサンメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、およびテトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物はまた、混合物としても使用され得る。単官能性イソシアネートは、例えば、有用なフェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、およびナフチルイソシアネート等の樹脂分子鎖長を制御するために含まれ得る。ジイソシアネート物質は、ヒドロキシル基、イミノ基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基等を有する脂肪族化合物、脂環式化合物、または芳香族化合物と部分的に反応され得る。ジイソシアネート化合物の脱炭酸を伴う凝縮反応において、カルボジイミド化触媒が使用され得る。そのような触媒として使用できるものは、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、およびそれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドである。
【0080】
カルボジイミド基含有ポリマーを水性ポリマーに変換するために、親水性部分が、カルボジイミド基含有ポリマーの分子構造中に提供され得る。例えば、カルボジイミド基を含有する水性ポリマーは、イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する親水性部分を提供するによって得ることができる。親水性部分として使用できるものは、ジアルキルアミノアルキルアミンの四級アンモニウム塩(例えば、2−ジメチルアミノエタノールの四級アンモニウム塩)、ジアルキルアミノアルキルアミンの四級塩(例えば、3−ジメチルアミノ−n−プロピルアミン)、少なくとも1つの反応性ヒドロキシル基を有するアルキルスルホン酸塩(例えば、ヒドロキシプロパンスルホネートナトリウム)、その末端がアルコキシ基でキャップされたポリエチレンオキシドまたはポリエチレンオキシドの混合物、およびポリプロピレンオキシド(例えば、その末端位がメトキシ基またはエトキシ基でキャップされたポリエチレンオキシド)である。
【0081】
架橋剤、例えば、水性架橋剤は、エポキシ基を含有し得、その例には、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、フェノールエチレンオキシドグリシジルエーテル、およびラウリルアルコールエチレンオキシドグリシジルエーテル、または同等物が挙げられるが、これらに限定されない。上記に加えて、例として言及されるものは、ポリオキシエチレンポリオール化合物と無水化合物との反応を通して得られるカルボキシ化合物を反応させることによって得られる水溶性エポキシ樹脂、およびその分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、ならびに水溶性エポキシ樹脂とその分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂とを混合することによって得られる自己乳化性エポキシ樹脂組成物である。そのような樹脂は、例えば、XZ 92533.00、XZ 92598.00、およびXZ 92446.00の商品名でThe Dow Chemical Companyから得ることができる。
【0082】
無水化合物の例には、無水フタル酸、無水トリメリト酸、および無水ピロメリト酸等の芳香族系無水物、ならびに無水マレイン酸、無水コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水メチルナド酸、無水アルケニルコハク酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、および無水メチルヘキサヒドロフタル酸等の環状脂肪族無水物が挙げられるが、これらに限定されない。その分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂上に制限はなく、2つを超える、または2つと同等のエポキシ官能性を有するすべての既知のエポキシ樹脂が使用され得る。例としては、エピクロロヒドリンから得られるポリグリシジルエーテル、ならびにフェノールノボラックおよびクレゾールノボラックビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、ヒドロキノン、またはカテキン等の多価化合物、アルキレンオキシド添加ビスフェノールA、ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、シクロヘキサンジメタノール等のポリアルコール、アジピン酸、フタル酸、ダイマー酸等のポリカルボン酸のポリグリシジルエステルおよびポリグリシジルアミン等である。
【0083】
架橋剤、例えば、イソシアネート基を含有する水性架橋剤は、例えば、そのそれぞれが、原料として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネートを含有するイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、ウレトジオン(urethodione)基含有ポリイソシアネート、ポリイソシアネートを含有するウレトジオン(urethodione)基/イソシアヌレート基、ポリイソシアネートを含有するウレタン基、ポリイソシアネートを含有するアロファネート基、ポリイソシアネートを含有するビウレット基、ポリイソシアネートを含有するカルボジイミド基、およびポリイソシアネートを含有するウレトジオン(uretodione)基からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを主に含有するポリイソシアネート、ならびにイソシアネート基と反応し得る少なくとも1つの活性水素基を有する親水性界面活性剤または少なくとも3つのポリ−エチレンオキシドユニットを含有するポリエチレンエーテルアルコールを、脂肪酸エステルと反応させることによって得られる自己乳化性ポリイソシアネートであり、原料として化合物を含有する脂肪酸およびヒドロキシルの炭素の数の和は、8個以上であり、それは、イソシアネート基と反応し得る少なくとも1つの活性水素基を有する。上記に加えて、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/もしくはイソホロンジイソシアネートと、活性水素基含有化合物との間の反応によって得られるウレタン基含有ポリイソシアネート、またはこれらのジイソシアネート化合物のアロファネート化反応、カルボジイミド化反応、ウレトジオン化(uretodionization)反応、およびビウレット化反応によって得られるポリイソシアネートが言及され得る。
【0084】
アルデヒドから導かれる架橋剤の例は、水分散された、もしくは水分散性の、もしくは水溶性のフェノールホルムアルデヒド樹脂、アミノホルムアルデヒド樹脂、またはそれらの組み合わせである。
【0085】
フェノールホルムアルデヒド架橋剤には、アルデヒドとフェノールとの反応生成物が挙げられるが、これらに限定されない。アルデヒドの例には、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。限定されないが、フェノール、クレゾール、p−フェニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、シクロペンチルフェノール、クレゾール酸、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F等、およびそれらの組み合わせ等の種々のフェノールが使用され得る。また、酸官能性フェノールもフェノールホルムアルデヒド樹脂の作製に使用され得る。架橋剤は、アルコールまたはポリオールで非エーテル化またはエーテル化され得る。これらのフェノールホルムアルデヒド樹脂は、水中で可溶性もしくは自己乳化性であり得るか、またはポリビニルアルコール等のコロイド安定剤の使用によって安定化され得る。
【0086】
アミノホルムアルデヒド架橋剤には、アルデヒドと分子を含有するアミノ基またはアミド基との反応生成物が挙げられるが、これらに限定されない。アルデヒドの例には、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。限定されないが、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、グリコール尿等の分子を含有する種々のアミノ基またはアミド基が使用され得る。好適なアミノ架橋樹脂には、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド、アセトグアナミン−ホルムアルデヒド、グリコール尿−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。また、アミノホルムアルデヒド樹脂のメチロール基は、メタノールおよび/またはn−ブタノール等の一価脂肪族アルコールの群のうちの少なくとも1つで部分的または完全にエーテル化され得る。これらのアミノホルムアルデヒド樹脂は、水中で可溶性もしくは自己乳化性であり得るか、またはアミノホルムアルデヒド分散液を安定化させるために使用され得るポリビニルアルコール等のコロイド安定剤の使用によって安定化され得る。
【0087】
水溶性もしくは水分散性であり、本目的に有用な市販のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂の例には、Cytec Surface SpecialtiesからのCymel(商標)301、Cymel(商標)303、Cymel(商標)370、およびCymel(商標)373が挙げられる。樹脂性材料を形成するためのアミノ化合物との反応に使用される他のアルデヒドは、クロトンアルデヒド、アクロレイン、またはヘキサメチレン−テトラミン、パラアルデヒド等のアルデヒドを生成する化合物である。
【0088】
いくつかの実施形態は、架橋剤が、ヒドロキシアルキルアミドを含むことを規定する。架橋剤は、水溶性であってもよく、架橋カルボン酸が用いられてもよい。ヒドロキシアルキルアミドの例には、ビス(N,N’−ジヒドロキシエチル)アジパミド等が挙げられるが、これらに限定されない。そのような化合物は、PRIMID(商標)架橋剤樹脂の商品名でスイスのEMS−PRIMIDから市販されており、例えば、PRIMID(商標)XL−522、PRIMID(商標)SF−4510、およびPRIMID(商標)QM−1260である。
【0089】
いくつかの実施形態は、1つ以上の架橋剤が、水性分散液形成プロセスの一部として、水性分散液に添加され得ることを提供する。または代替として、いくつかの実施形態は、1つ以上の架橋剤が、コーティング組成物に添加され得る、例えば、架橋剤が、分散形成プロセスの後で水性分散液に添加され得ることを規定する。
【0090】
コーティング適用、例えば、コーティングされた容器中に含有されている食品および/または飲料の種類、ならびに所望のコーティング特性に応じて、いくつかの架橋剤を組み合わせることが有益であり得る。また、いくつかのコーティング適用に関して、いくつかの架橋剤は、他のものよりも適している場合がある。いくつかの架橋剤は、特定のコーティング適用に関して適していない場合がある。いくつかの架橋剤は、硬化のための触媒の添加とともに用いられ得る。架橋剤は、例えば、架橋剤を含有しない同一のコーティング組成物と比較して、MEK Double Rubsのより高い値によって示される熱硬化性ネットワークを構築することを補助し得る。
【0091】
本開示の実施形態は、コーティング組成物が、抗酸化剤を含み得ることを規定する。抗酸化剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.001重量パーセント〜0.1重量パーセントであり得る。0.001〜0.1重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、抗酸化剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.001、0.002、または0.005重量パーセントの下限から、0.1、0.09、または0.07重量パーセントの上限であり得る。例えば、抗酸化剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.001〜0.1重量パーセント、0.002〜0.09重量パーセント、または0.005〜0.07重量パーセントであり得る。抗酸化剤は、例えば、高硬化温度で、水性分散液を保護することを補助し得る。本開示の実施形態は、抗酸化剤が、ヒンダードフェノールを含むことを規定する。ヒンダードフェノールの一例には、CibaからIRGANOX(商標)1010として市販されているペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
本開示の実施形態は、コーティング組成物が、添加剤を含み得ることを規定する。添加剤の例には、特に、充填剤、触媒、湿潤剤、消泡剤、フロー剤、放出剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、硫黄汚染を被覆するための添加剤、色素湿潤/分散剤、沈降防止剤、UV安定剤、接着促進剤、腐食防止剤、色素、例えば二酸化チタン、雲母、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、酸化亜鉛、ミルドガラス、三水和アルミニウム、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュ、および粘土等、任意に1つ以上の溶媒、例えば、グリコール、グリコールエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、ミネラルスピリット、およびベンゾエートエステル等、任意に1つ以上の分散剤、例えば、アミノアルコールおよびポリカルボキシレート、任意に1つ以上の消泡剤、任意に1つ以上の防腐剤、例えば、殺生物剤、防カビ剤、抗真菌薬、殺藻類剤、およびそれらの組み合わせ、任意に1つ以上の増粘剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系増粘剤、疎水性に修飾されたアルカリ可溶性乳剤、疎水性に修飾されたエトキシ化ウレタン増粘剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。異なるコーティング適用のために、異なる量の種々の添加剤が利用され得る。
【0093】
言及されたように、本明細書に開示されるコーティング組成物は、基板に適用され得る。基板の例には、特に、飲料缶、食品缶、非食品製品のためのもの等のエアロゾル容器、例えば、ヘアスプレー、髪染め、またはカラースプレーラッカー、ドラム、ケグ樽、手桶、装飾用ブリキ、オープントレイ、チューブ、ボトル、一体鋳造品、キャップ、ヨーグルトおよびバター容器のための薄いアルミホイルを土台とした蓋等の蓋、または王冠コルク、ロールオン閉鎖等のガラス瓶およびボトル用の閉鎖、真空閉鎖、ピルファープルーフ閉鎖、缶閉鎖のためのイージーピール蓋、ならびに缶用のイージーオープンエンドまたは従来のエンドが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示されるコーティング組成物が適用され得る缶は、2ピース缶または3ピース缶であり得る。飲料缶には、ビール缶、炭酸ソフト飲料缶、エナジー飲料缶、アイソトニック飲料缶、飲料水缶、ジュース缶、紅茶缶、コーヒー缶、牛乳缶等が挙げられるが、これらに限定されない。食品缶には、野菜缶、果物缶、肉缶、スープ缶、調理済み食品缶、魚缶、食用油缶、ソース缶等が挙げられるが、これらに限定されない。そのような缶は、種々の形状を有し得、例えば、そのような缶は、円筒形状、立方状、球状、半球状、ボトル形状、細長い立方体形状、浅いもしくは高い形状、円もしくは長方形状、または他の好適な形状、またはそれらの組み合わせを有し得る。いくつかの実施形態に従って、基板は、金属、例えば、金属基板を含む。金属の例には、アルミニウムおよびアルミニウム合金、鋼鉄、電解ブリキ板冷延低炭素軟鋼、電解クロム/酸化クロムコーティング冷延低炭素軟鋼、ならびに他の事前処理鋼鉄が挙げられるが、これらに限定されない。事前処理には、リン酸、リン酸ジルコニウム、リン酸クロム等を用いた処理、ならびに一次腐食保護および改善された接着等の理由のためのシランを用いた処理が含まれ得るが、これらに限定されない。金属基板には、シート、ストリップ、またはコイルを含み得る。基板は、1つ以上のプレコーティング組成物でプレコーティングされ得る。そのようなプレコーティング組成物には、1つ以上の樹脂結合剤、1つ以上の樹脂架橋剤、1つ以上の溶媒、1つ以上の添加剤、および1つ以上の色素が挙げられるが、これらに限定されない。樹脂結合剤の例には、エポキシ、ポリエステル、オルガノゾル/ビニルを含有するポリビニルクロライド、フェノール性、アルキド、含油樹脂、アクリル性樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。例となる架橋剤には、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒドを含むがこれに限定されないアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、無水樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、およびエポキシ樹脂を含むがこれに限定されない樹脂を含有するエポキシ基、ポリエステルを含有するエポキシ基、アクリル性樹脂、ビニル樹脂、または同等物が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒およびシンナーの例には、グリコールエーテル、アルコール、芳香族類、例えば、芳香族炭化水素、ホワイトスピリット、分枝鎖ケトン、およびエステルが挙げられるが、これらに限定されない。添加剤の例には、触媒、潤滑剤、湿潤剤、消泡剤、フロー剤、放出剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、硫黄汚染を被覆するための添加剤、色素湿潤/分散剤、沈降防止剤、UV安定剤、接着促進剤が挙げられるが、これらに限定されない。色素には、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、亜鉛、およびアルミニウムが挙げられるが、これらに限定されない。基板はまた、1つ以上のプレコーティングされた積層組成物でプレコーティングされ得る。そのような組成物には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエステル組成物が含まれてもよく、金属基板上にフィルム積層プロセスを介してフィルムとして、または溶融−押出コーティングプロセスを介して、適用され得る。
【0094】
基板は、スタンピング、引き抜き、再引き抜き、壁しごき、屈曲加工、ビーディング、エンボス加工、デボス加工、フランジング、ネッキング、延伸加工、ブロー延伸加工および/または他の好適な従来の方法を介して形成され得る。そのような方法は、当業者に既知である。いくつかの実施形態に従って、コーティング組成物は、例えば、基板、例えば、金属シートまたは金属ホイルに適用され得、次いで、コーティングされた基板は、塗装物品、例えば、容器装置またはコーティングされた閉鎖装置に形成され得る。いくつかの実施形態に従って、基板は、容器、例えば、容器装置または閉鎖装置に形成され得、次いで、容器装置または閉鎖装置は、塗装物品を形成するためにコーティング組成物でコーティングされ得る。コーティング組成物は、種々の方法によって、例えば、ローラーコーティング、スプレーコーティング、粉末コーティング、浸漬コーティング、電着塗装コーティング、印刷、洗浄コーティング、フローコーティング、ドローダウンコーティング、および/またはカーテンコーティングを介して適用され得る。コーティング、すなわち、基板に適用されるコーティング組成物は、0.01マイクロメートル(μm)〜2ミリメートル(mm)の範囲の厚さを有し得る。0.01μm〜2mmのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、コーティングは、0.01μm、0.05μm、または1μmの下限から、2mm、1.5mm、または1mmの上限の厚さを有し得る。例えば、コーティングは、0.01μm〜2mm、0.05μm〜1.5mm、または代替として、0.1μm〜1mmの厚さを有し得る。いくつかの実施形態に従って、コーティングは、5μm〜50μmの範囲の厚さを有し得る。
【0095】
基板に適用されるコーティング組成物は、例えば、硬化コーティングを形成するように、硬化され得る。硬化プロセスには、乾燥、例えば、特に、空気乾燥、対流式オーブン乾燥、熱気乾燥、および/または赤外線オーブン乾燥を含み得る。いくつかの実施形態に従って、硬化は、放射線硬化、例えば、電子ビーム硬化を含み得る。基板に適用されるコーティング組成物は、60分未満、例えば、40分未満、30分未満、20分未満、10分未満、5分未満、2分未満、1分未満、または20秒未満の期間で、10℃〜375℃の範囲の温度で硬化され得る。10℃〜375℃のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、基板に適用されるコーティング組成物は、15℃〜260℃の範囲の温度で、60分未満、例えば、40分未満、20分未満、10分未満、5分未満、2分未満、または1分未満の期間で硬化され得、または代替として、基板に適用されるコーティング組成物は、15℃〜235℃の範囲の温度で、60分未満、例えば、40分未満、10分未満、5分未満、2分未満、または1分未満の期間で硬化され得る。硬化コーティングは、0.01マイクロメートル(μm)〜2ミリメートル(mm)の範囲の厚さを有し得る。0.01μm〜2mmのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、硬化コーティングは、0.01μm、0.05μm、または1μmの下限から、2mm、1.5mm、または1mmの上限の厚さを有し得る。例えば、硬化コーティングは、0.01μm〜2mm、0.05μm〜1.5mm、または代替として、0.1μm〜1mmの厚さを有し得る。いくつかの実施形態に従って、硬化コーティングは、1μm〜50μmの範囲の厚さを有し得る。
【0096】
言及されたように、摩耗低減組成物を含む本明細書に開示されるコーティング組成物は、例えば、低減された摩耗値によって示されるように、望ましい摩擦係数を有する持続的な硬化コーティングを提供することができる。例えば、持続的な硬化コーティングは、比較的高い摩耗値を有する組成物から形成される非持続的な硬化コーティングと比較して、低減された摩耗値を有する硬化性組成物によって形成され得る。持続的な硬化コーティングは、目視検査によって決定される外観評定によって、例えば、倍率で、確認された。硬化コーティングに対する摩擦係数評定は、例えば、硬化コーティングを横断する鋼球の側方への引き摺り、およびそれぞれのサンプルの側方摩擦力の鋼球からの垂直抗力に対する割合を決定することによって、決定され得る。望ましい摩擦係数を有する持続的な硬化コーティングは、いくつかのコーティング適用に対して有用である。
【実施例】
【0097】
実施例において、例えば、以下を含む、材料に関する種々の用語および呼称が使用された。
【0098】
ポリオレフィン(The Dow Chemical Companyから入手可能なポリプロピレン、6D43ポリプロピレン)、安定化剤(Dow Chemical Companyから入手可能なエチレン−アクリル酸コポリマー、PRIMACOR(商標)5980i)、相溶化剤(Clariantから入手可能なプロピレン−無水マレイン酸グラフトコポリマー、LICOCENE(登録商標)6452)、抗酸化剤(Cibaから入手可能なペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート)、IRGANOX(商標)1010)、溶媒(Acros Organicsから入手可能なジエチレングリコールモノエチルエーテル)、塩基(Huntsmanから入手可能なジメチルエタノールアミン)、架橋剤(EMS−GRILTECHから入手可能なヒドロキシアルキルアミド、Primid(登録商標)QM−1260)、溶媒(MEGlobalから入手可能なエチレングリコール)、ポリエーテル−ポリエステル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサン(BYKから入手可能なBYK(登録商標)375[25重量パーセントのポリエーテル−ポリエステル修飾ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、75重量パーセントのジプロピレングリコールモノメチルエーテル])、蝋(BYKから入手可能なカルナバ蝋、AQUACER(登録商標)1547[35重量パーセントの蝋、65重量パーセントの水])、蝋(Elementisから入手可能なFischer−Tropsch蝋、SLIP−AYD(登録商標)SL 404[18重量パーセントの蝋、82重量パーセントの2−ブトキシエタノール])、潤滑剤(Shamrock Technologiesから入手可能なポリテトラフルオロエチレン、FLUORO A[100重量パーセントのポリテトラフルオロエチレン])、潤滑剤(DOW CORNING(登録商標)から入手可能なヒドロキシ官能性ポリシロキサン、163 Additive[100重量パーセントのヒドロキシ官能性ポリシロキサン])、潤滑剤(DOW CORNING(登録商標)から入手可能なポリジメチルシロキサン、200 Additive[100重量パーセントのポリジメチルシロキサン])。
【0099】
実施例1−コーティング組成物
コーティング組成物である実施例1を、以下のように調製した。水性分散液を以下のように調製した。1分当たり212グラムで添加されるポリプロピレン、1分当たり68グラムで添加されるPRIMACOR(商標)5980i、および1分当たり23グラムで添加されるLICOCENE(登録商標)6452を、それらが送られ、溶融される制御速度供給機によって直径25mmの二軸押出機に供給した。押出機温度プロファイルを約160℃に上昇させた。水および塩基を2:1の割合で一緒に混合し、中和剤として1分当たり98mlで押出機に供給した。希釈水を、2つの別々のポンプを介して、押出機の希釈区画中の2つの位置に供給した。押出機温度プロファイルを、押出機の終わりまでに、100℃未満の温度に下げた。押出機のスピードは、約1200rpmであった。押出機出口において、蒸気形成を低減するために、背圧調整器を使用して押出機バレル内部を好適な圧力に調節した。200ミクロンフィルターを通して、水性分散液を濾過した。水性分散液は、47重量パーセントの固形分および1.1ミクロンの平均粒径を有した。その後、水性分散液を手動で撹拌および濾過し(50ミクロンフィルター)、第1の容器に添加し、濾過された水性分散液(351.54グラム)を提供した。Cowles bladeを用いて1分当たり375回転で撹拌しながら、PRIMID(登録商標)QM−1260(2.523グラム)を第1の容器の内容物に添加した。撹拌を続けながら、約1分以上の間隔で、水(104.18グラム)中に混合された塩基(0.313グラム)を第1の容器の内容物に添加した。撹拌を続けながら、約1分以上の間隔で、エチレングリコール(17.42グラム)を第1の容器の内容物に添加した。撹拌を続けながら、約1分以上の間隔で、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(17.42グラム)に溶解されたIRGANOX(商標)1010(0.17グラム)を第1の容器の内容物に添加した。第1の容器の内容物に蓋をし、15分間撹拌した。第1の容器から30グラムのアリコートを取り、次いで、第2の容器に注ぎ、撹拌を続けながらBYK(登録商標)375(0.024グラム)およびAQUACER(登録商標)1547(0.30グラム)を第2の容器の内容物に添加し、実施例1を提供した。実施例1に蓋をし、1分当たり450回転で15分間撹拌した。
【0100】
実施例2−コーティング組成物
コーティング組成物である実施例2を以下のように調製した。BYK(登録商標)375(0.024グラム(実施例1))の代わりにBYK(登録商標)375(0.012グラム)を使用し、AQUACER(登録商標)1547(0.15グラム(実施例1))の代わりにAQUACER(登録商標)1547(0.15グラム)を使用したという変更を加えて、実施例2を実施例1のように調製した。
【0101】
実施例3−コーティング組成物
コーティング組成物である実施例3を以下のように調製した。AQUACER(登録商標)1547(0.30グラム(実施例1))の代わりにAQUACER(登録商標)1547(0.15グラム)を使用したという変更を加えて、実施例3を実施例1のように調製した。
【0102】
実施例4−コーティング組成物
コーティング組成物である実施例4を以下のように調製した。濾過された水性分散液(351.54グラム)の代わりに濾過された水性分散液(117.18グラム)を使用し、PRIMID(登録商標)QM−1260(2.523グラム)の代わりにPRIMID(登録商標)QM−1260(0.841グラム)を使用し、塩基(0.313グラム)の代わりに塩基(0.104グラム)を使用し、水(104.18グラム)の代わりに水(34.73グラム)を使用し、エチレングリコール(17.42グラム)の代わりにエチレングリコール(5.805グラム)を使用し、IRGANOX(商標)1010(0.17グラム)の代わりにIRGANOX(商標)1010(0.055グラム)を使用し、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(17.42グラム)の代わりにジエチレングリコールモノエチルエーテル(5.805グラム)を使用し、30グラムのアリコートの代わりに10グラムのアリコートを使用し、BYK(登録商標)375(0.024グラム(実施例1))の代わりにBYK(登録商標)375(0.004グラム)を使用し、AQUACER(登録商標)1547の代わりにSLIP−AYD(登録商標)SL 404(0.1グラム)を使用したという変更を加えて、実施例4を実施例1のように調製した。
【0103】
実施例5−コーティング組成物
コーティング組成物である実施例5を以下のように調製した。SLIP−AYD(登録商標)SL 404(0.1グラム)の代わりにSLIP−AYD(登録商標)SL 404(0.3グラム)を使用したという変更を加えて、実施例5を実施例4のように調製した。
【0104】
実施例6−コーティング組成物
コーティング組成物である実施例6を以下のように調製した。BYK(登録商標)375およびAQUACER(登録商標)1547の代わりにSLIP−AYD(登録商標)SL 404(0.3グラム)を使用したという変更を加えて、実施例6を実施例4のように調製した。
【0105】
実施例7−コーティング組成物
コーティング組成物である実施例7を以下のように調製した。BYK(登録商標)375およびAQUACER(登録商標)1547の代わりにSLIP−AYD(登録商標)SL 404(0.1グラム)を使用したという変更を加えて、実施例7を実施例4のように調製した。
【0106】
実施例8−コーティング組成物
コーティング組成物である実施例8を以下のように調製した。1分当たり212グラムで添加されたポリプロピレンの代わりに1分当たり206グラムでポリプロピレンを添加し、POLYWAX(登録商標)500(Baker Hughes Inc.)を1分当たり6グラムでコーティング組成物に添加し、水性分散液(351.54グラム)の代わりに水性分散液(13.00グラム)を撹拌および濾過し、第1の容器に添加し、PRIMID(登録商標)QM−1260(2.523グラム)の代わりにPRIMID(登録商標)QM−1260(0.290グラム)を使用し、塩基(0.313グラム)の代わりに塩基(0.011グラム)を使用し、水(104.18グラム)の代わりに水(3.71グラム)を使用し、エチレングリコール(17.42グラム)の代わりにエチレングリコール(0.64グラム)を使用し、IRGANOX(商標)1010(0.17グラム)の代わりにIRGANOX(商標)1010(0.006グラム)を使用し、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(17.42グラム)の代わりにジエチレングリコールモノエチルエーテル(0.64グラム)を使用し、BYK(登録商標)375(0.024グラム)の代わりにBYK(登録商標)375(0グラム)を添加せず、AQUACER(登録商標)1547(0.30グラム)の代わりにAQUACER(登録商標)1547(0.00グラム)を添加しなかったという変更を加えて、実施例8を実施例1のように調製した。POLYWAX(登録商標)500は、ASTM−D−127に従って測定するとき88℃の融点を有する。
【0107】
水性分散液は、46重量パーセントの固形分および1.0ミクロンの平均粒径を有した。
【0108】
実施例9−コーティング組成物
コーティング組成物である実施例9を以下のように調製した。POLYWAX(登録商標)500の代わりにPOLYWAX(登録商標)1000(Baker Hughes Inc.)を添加し、PRIMID(登録商標)QM−1260(0.290グラム)の代わりにPRIMID(登録商標)QM−1260(0.291グラム)を使用し、水(3.71グラム)の代わりに水(3.81グラム)を使用したという変更を加えて、実施例9を実施例8のように調製した。POLYWAX(登録商標)1000は、ASTM−D−127に従って測定するとき113℃の融点を有する。
【0109】
水性分散液は、46重量パーセントの固形分および0.9ミクロンの平均粒径を有した。
【0110】
比較例A
比較例Aを以下のように調製した。濾過された水性分散液(351.54グラム)の代わりに濾過された水性分散液(97.62グラム)を使用し、PRIMID(登録商標)QM−1260(2.523グラム)の代わりにPRIMID(登録商標)QM−1260(0.706グラム)を使用し、塩基(0.313グラム)の代わりに塩基(0.058グラム)を使用し、水(104.18グラム)の代わりに水(19.29グラム)を使用し、エチレングリコール(17.42グラム)の代わりにエチレングリコール(9.68グラム)を使用し、IRGANOX(商標)1010(0.17グラム)の代わりにIRGANOX(商標)1010(0.045グラム)を使用し、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(17.42グラム)の代わりにジエチレングリコールモノエチルエーテル(9.68グラム)を使用し、30グラムのアリコートの代わりに10グラムのアリコートを使用し、BYK(登録商標)375およびAQUACER(登録商標)1547の代わりにFLUORO A(0.05グラム)を使用したという変更を加えて、比較例Aを実施例1のように調製した。
【0111】
比較例B
比較例Bを以下のように調製した。濾過された水性分散液(351.54グラム)の代わりに濾過された水性分散液(45.56グラム)を使用し、PRIMID(登録商標)QM−1260(2.523グラム)の代わりにPRIMID(登録商標)QM−1260(0.329グラム)を使用し、塩基(0.313グラム)の代わりに塩基(0.041グラム)を使用し、水(104.18グラム)の代わりに水(13.54グラム)を使用し、エチレングリコール(17.42グラム)の代わりにエチレングリコール(2.24グラム)を使用し、IRGANOX(商標)1010(0.17グラム)の代わりにIRGANOX(商標)1010(0.021グラム)を使用し、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(17.42グラム)の代わりにジエチレングリコールモノエチルエーテル(2.24グラム)を使用し、30グラムのアリコートの代わりに10グラムのアリコートを使用し、BYK(登録商標)375およびAQUACER(登録商標)1547の代わりにFLUORO A(0.05グラム)を使用したという変更を加えて、比較例Bを実施例1のように調製した。
【0112】
比較例C
比較例Cを以下のように調製した。FLUORO A(0.05グラム)の代わりに163 Additive(0.05グラム)を使用したという変更を加えて、比較例Cを比較例Aのように調製した。
【0113】
比較例D
比較例Dを以下のように調製した。FLUORO A(0.05グラム)の代わりに200 Additive(0.05グラム)を使用したという変更を加えて、比較例Aのように比較例Dを調製した。
【0114】
比較例E
比較例Eを以下のように調製した。第1の容器から30グラムのアリコートを取り、次いでBYK(登録商標)375およびAQUACER(登録商標)1547を添加するのではなく、BYK(登録商標)375(0.395グラム)を第1の容器の内容物(493.56グラム)に添加したという変更を加えて、比較例Eを実施例1のように調製した。
【0115】
比較例F
比較例Fを以下のように調製した。BYK(登録商標)375の代わりにAQUACER(登録商標)1547(9.873グラム)を使用したという変更を加えて、比較例Fを比較例Eのように調製した。
【0116】
比較例G
比較例Gを以下のように調製した。POLYWAX(登録商標)500の代わりにPOLYWAX(登録商標)3000(Baker Hughes Inc.)を添加し、PRIMID(登録商標)QM−1260(0.290グラム)の代わりにPRIMID(登録商標)QM−1260(0.293グラム)を使用し、水(3.71グラム)の代わりに水(3.87グラム)を使用したという変更を加えて、比較例Gを実施例1のように調製した。POLYWAX(登録商標)3000は、ASTM−D−127に従って測定するとき129℃の融点を有する。
【0117】
水性分散液は、46重量パーセントの固形分および1.0ミクロンの平均粒径を有した。
【0118】
実施例10−塗装物品
塗装物品である実施例10を以下のように調製した。アルミニウムパネル(All Foilsから入手可能な0.009×4”×12”と測定される清潔なアルミニウムが使用され得る)をアセトンで清潔にし、次いで乾燥した。実施例1を調製した約12時間後、#13巻き線型ドローダウンバーを用いて実施例1(約3グラム)をそのアルミニウムパネルに適用して、アルミニウムパネルの表面を被覆し(20ミクロン〜30ミクロン湿潤コーティング厚)、実施例10を提供する。
【0119】
実施例11〜18−塗装物品
塗装物品である実施例11〜18を以下のように調製した。実施例1の代わりに実施例2〜9をそれぞれ使用したという変更を加えて、実施例11〜18を実施例10のように調製した。
【0120】
比較例H〜N
比較例H〜Nを以下のように調製した。実施例1の代わりに比較例A〜Gをそれぞれ使用したという変更を加えて、比較例H〜Mを実施例10のように調製した。
【0121】
実施例19−硬化コーティングを有する塗装物品
硬化コーティングを有する塗装物品である実施例19を以下のように調製した。コーティング組成物を硬化するために、実施例10を295℃の従来のオーブンに約25秒間置き、実施例19を提供した。
【0122】
実施例20〜27 硬化コーティングを有する塗装物品
硬化コーティングを有する塗装物品である実施例20〜27を以下のように調製した。実施例10の代わりに実施例11〜18をそれぞれ使用したという変更を加えて、実施例20〜27を実施例19にように調製した。実施例10の代わりに実施例26および27ならびに比較例Sをそれぞれ使用したという変更を加えて、塗装物品である実施例26および27、ならびに比較例Sを実施例19のように調製した。
【0123】
比較例O〜U
比較例O〜Uを以下のように調製した。実施例10の代わりに比較例H〜Nをそれぞれ使用したという変更を加えて、比較例O〜Uを実施例19のように調製した。
【0124】
硬化コーティングが上向きに面するように、実施例19〜27および比較例O〜Uのそれぞれを、それぞれ水平位置に固定することによって、実施例19〜27および比較例O〜Uの摩擦係数評定を決定した。直径0.25インチを有する鋼球を、0.5ニュートンの垂直抗力で、実施例19〜27および比較例O〜Uのそれぞれの硬化コーティング上にそれぞれ配置した。鋼球を実施例19〜27および比較例O〜Uのそれぞれの硬化コーティングを横切って側方に引き摺り、側方摩擦力を測定した。実施例19〜27および比較例O〜Uの摩擦係数評定は、それぞれのサンプルの側方摩擦力の垂直抗力に対する割合として、定義される。摩擦係数評定は、表1に報告されている。
【0125】
硬化コーティング内に目立つ穴、曝露された金属、広範囲におよぶ表面の粗さ、および/または広範囲におよぶ変色を有する非持続的な硬化コーティングを示す「0」の外観評定、持続的な硬化コーティング、一部の表面の粗さ、および/または一部の変色を示す「1」の外観評定、ならびに視認できる欠陥を有さない滑らかな持続的なコーティングを示す「2」の外観評定による、連続する定性的尺度に従って、10倍の拡大鏡を用いる目視検査によって、実施例19〜27および比較例O〜Uの外観評定を決定した。外観評定は、表1に報告されている。
【0126】
望ましい摩擦係数、例えば、0.15以下の摩擦係数評定に示され得る低減された摩耗値を有する持続的な硬化コーティング、例えば、1.0以上の外観評定を有する硬化コーティングは、いくつかのコーティング適用に有用である。
【0127】
【表1】
【0128】
表1のデータは、実施例19〜27のそれぞれが、持続的な硬化コーティングであったことを示す。さらに、表1のデータは、実施例19〜27のそれぞれが、低減された摩耗値を示す0.15以下の摩擦係数評定を有したことを示す。表1のデータは、実施例19〜27のそれぞれが、実施例19〜27のそれぞれが、0.15以下の摩擦係数評定および1.5以上の外観評定を有したことから、いくつかのコーティング適用に有用であることを示す。
【0129】
表1のデータが、比較例O〜RおよびT〜Uのそれぞれが、0.15超の摩擦係数評定を有したことを示す。さらに、表1のデータは、比較例O〜Sのそれぞれが、1.0未満の外観評定を有したことを示す。比較例Sは、0.09の摩擦係数評定を有したが、しかしながら、比較例Sは、0.5の外観評定から明らかであるように、持続的な硬化コーティングでなかった。比較例Tは、2の外観評定から明らかであるように、持続的な硬化コーティングであったが、しかしながら、比較例Tは、0.15以下の摩擦係数評定を有さなかった。
【0130】
表1のデータは、実施例19〜27のそれぞれが、比較例O〜Uのそれぞれと比較して改善された持続的な硬化コーティングであったことを示す。
本願は以下の発明に関するものである。
(1) コーティング組成物であって、
前記コーティング組成物の総重量に基づいて50〜85パーセントの水性分散液であって、前記水性分散液は、(a)少なくとも1つのポリオレフィンを含む基剤ポリマー、(b)ポリマー安定化剤、および(c)相溶化剤、の溶融混合生成物を含み、前記水性分散液の総重量に基づいて15重量パーセント〜70重量パーセントの固形分を有し、前記固形分が、前記固形分の総重量に基づいて50〜85重量パーセントの前記基剤ポリマー、前記固形分の前記総重量に基づいて10〜35重量パーセントの前記安定化剤、および前記固形分の前記総重量に基づいて2〜15重量パーセントの前記相溶化剤を含む、水性分散液と、
摩耗低減組成物であって、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて前記コーティング組成物の0.01重量パーセント〜1.5重量パーセントである蝋を含む、摩耗低減組成物と、
溶媒であって、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて前記コーティング組成物の3重量パーセント〜20重量パーセントである、溶媒と、
基剤としての水組成物であって、前記基剤としての水組成物の総重量に基づいて90〜99.99重量パーセントの前記水および前記基剤としての水組成物の前記総重量に基づいて0.01重量パーセント〜10重量パーセントの塩基を含み、前記基剤としての水組成物が、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて前記コーティング組成物の10重量パーセント〜25重量パーセントである、基剤としての水組成物と、
架橋剤であって、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて前記コーティング組成物の0.01重量パーセント〜40重量パーセントである、架橋剤と、を含む、コーティング組成物。
(2) 前記摩耗低減組成物が、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて前記コーティング組成物の0.01重量パーセント〜0.10重量パーセントであるヒドロキシ官能性ポリシロキサンを含む、上記(1)に記載のコーティング組成物。
(3) 前記ヒドロキシ官能性ポリシロキサンが、ポリエーテル修飾されるか、ポリエステル修飾されるか、またはポリエーテル−ポリエステル修飾される、上記(2)に記載のコーティング組成物。
(4) 前記ヒドロキシ官能性ポリシロキサンが、ヒドロキシル1当量当たり500〜2000グラムのヒドロキシル当量を有する、上記(2)または(3)のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(5) 前記蝋が、Fischer−Tropsch蝋である、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(6) 前記蝋が、カルナバ蝋である、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(7) 前記蝋が、ASTM−D−127に従って測定するとき129℃未満の融点を有するポリエチレン蝋である、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(8) 前記少なくとも1つのポリオレフィンが、ポリプロピレンを含む、上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(9) 前記溶媒が、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エタノール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、およびそれらの組み合わせの群から選択される、上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(10) 前記架橋剤が、極性ポリオレフィンを含む、上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(11) 前記安定化剤が、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、およびそれらの組み合わせの群から選択される、上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(12) 前記相溶化剤が、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンポリマーを含む、上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
(13) 基板および前記基板上のコーティングを含む塗装物品であって、前記コーティングが、上記(1)〜(12)のいずれか1項に記載のコーティング組成物を含む、塗装物品。
(14) 前記基板が、金属基板である、上記(13)に記載の塗装物品。
(15) 基板および前記基板上の硬化コーティングを含む塗装物品であって、前記硬化コーティングが、上記(1)〜(14)のいずれか1項に記載のコーティング組成物を硬化することによって形成される、塗装物品。