(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
薬物の用量を投与する電子制御式の薬物送達デバイス(1)であって、タッチスクリーン(3)、および該タッチスクリーン(3)と用量の送達に関連する薬物送達デバイス(1)の動作とを制御する制御部(6)を備えた本体(2)を含み、ここで、制御部(6)はタッチスクリーン(3)を少なくとも3つの別個の区域(3.1、3.2、3.3)に分割するように構成され、制御部(6)は、区域(3.1、3.2、3.3)の1つに用量設定のための制御要素(5)を提供し、区域(3.1、3.2、3.3)の別の1つに設定用量を確認するボタン(4)を提供し、区域(3.1、3.2、3.3)のさらに別の1つに薬物の設定用量の送達を始動するボタン(4)を提供するように構成され、制御部(6)は、設定用量を確認するボタン(4)の動作後にのみ、設定用量の送達を始動するボタン(4)をアクティブにするように構成され、そして、制御部(6)は期間を設定するタイマを含み、制御部(6)は、区域(3.1、3.2、3.3)の1つを操作した後にタイマを開始し、設定期間の経過後に、他の区域(3.1、3.2、3.3)の少なくとも1つにおける制御要素(5)またはボタン(4)を、非アクティブ状態からアクティブ状態に切り替えるように構成される、前記薬物送達デバイス(1)。
制御部(6)は、制御要素(5)またはボタン(4)をアクティブ状態で見えるようにし、非アクティブ状態で見えないようにするように構成される、請求項1に記載の電子制御式の薬物送達デバイス(1)。
制御部(6)は、制御要素(5)またはボタン(4)を、アクティブ状態における外観に比べて、非アクティブ状態ではうす暗くするかまたは暗くするように構成される、請求項1に記載の電子制御式の薬物送達デバイス(1)。
【背景技術】
【0002】
注射剤の投与は、精神面と肉体面の両方で、ユーザおよび医療従事者に対して多数のリスクと課題を与えるプロセスである。
【0003】
注射デバイス(すなわち、薬物容器から薬剤を送達することができるデバイス)は、一般的に、手動デバイスおよび自己注射器という2つのカテゴリーに分類される。
【0004】
手動デバイスでは、ユーザは、針を通して流体を推進するのに機械的エネルギーを提供しなければならない。これは、一般的に、注射中はユーザが継続的に押し込んでいなければならない、何らかの形態のボタン/プランジャによって行われる。ユーザにとってこの方策による多数の欠点がある。ユーザがボタン/プランジャを押し込むのを止めた場合、注射も止まる。このことは、デバイスが適切に使用されない(すなわち、プランジャがその終端位置まで完全に押し込まれない)場合、ユーザが送達するのが過少用量であり得ることを意味する。特に患者が高齢者であるかまたは器用さの面で問題がある場合、注射力がユーザにとって大きすぎることがある。
【0005】
ボタン/プランジャの延長は大きすぎることがある。したがって、ユーザが完全に延長したボタンに達するのが不便な場合がある。注射力とボタンの延長との組合せによって、手の震え/揺れが引き起こされる場合があり、それによって、挿入された針が動く際の不快感が増大する。
【0006】
自動注射デバイスは、注射治療の自己投与を患者にとってより簡単にすることを目的とする。自己投与される注射剤によって送達される現在の治療は、糖尿病(インスリンおよびより新しいGLP−1クラスの薬物)、片頭痛、ホルモン療法、抗凝血剤などのための薬物を含む。
【0007】
自動注射器は、標準的な注射器からの非経口薬物送達に関与する作業に完全にまたは部分的に取って代わるデバイスである。これらの作業は、保護用シリンジキャップを除去すること、針を患者の皮膚に挿入すること、薬剤を注射すること、針を除去すること、針を遮蔽すること、および針の再使用を防ぐことを含んでもよい。これは、手動デバイスの欠点の多くを克服する。注射力/ボタンの延長、手の揺れ、および不完全な用量送達の可能性が低減される。トリガは、多数の手段によって、たとえばトリガボタン、または針が注射深さに達する作用によって、行われてもよい。いくつかのデバイスでは、流体を送達するエネルギーはばねによって提供される。他のデバイスでは、これは電気機械的駆動部によって達成される。電気機械および/または電子構成要素を備えたデバイスは、カートリッジまたはシリンジ内の栓を電気的に変位させる駆動部を含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、薬物の用量を投与する改善された電子制御式の薬物送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その目的は、請求項1に記載の、薬物の用量を投与する電子制御式の薬物送達デバイスによって達成される。
【0010】
本発明の好ましい実施形態は従属請求項で与えられる。
【0011】
本発明によれば、薬物の用量を投与する電子制御式の薬物送達デバイスは、タッチスクリーン、およびタッチスクリーンと用量の送達に関連する薬物送達デバイスの動作とを制御する制御部を備えた本体を含む。
【0012】
タッチスクリーンはユーザインタラクションのための強力な手段である。タッチスクリーンにより、カスタマイズ可能な一連のアイコン、ボタン、およびインタラクション点を備えたユーザインターフェースが有効になる。これにより、インタラクション点が異なるデバイスモードの代替的なスクリーン区域にあることが可能になり;また、特定のユーザ群に、たとえば老齢者向けおよび小児向けのソフトウェアバージョンに合わせて、ユーザインターフェースを適合させることができる。それに加えて、タッチスクリーンシステムを用いて、「身振り」で制御、スクロール、ズームなどすることが可能であり;それらは、履歴およびグラフタイプの機能性を備えたデバイスに有用である。
【0013】
例示的な一実施形態では、制御部は、操作したときに別個の作用を引き起こす少なくとも2つの別個の区域に、タッチスクリーンを分割するように構成される。これにより、ボタンおよび制御要素などのすべての制御がタッチスクリーンに近接して位置している場合に生じることがある、不注意によるユーザ動作のリスクが低減されてもよい。
【0014】
例示的な一実施形態では、制御部は、タッチスクリーンを少なくとも3つの別個の区域に分割し、そのようにして、薬物送達デバイスの操作に対する選択肢を向上させるように構成される。
【0015】
例示的な一実施形態では、制御部は、区域の1つに用量設定のための制御要素を、たとえばダイヤル、ラジオボタン、スライド制御、スクロールバー、トグルボタン、ドロップダウンリストなどを提供し、区域の別の1つに薬物の設定用量の送達を始動するボタンを提供するように構成される。
【0016】
例示的な一実施形態では、制御部は、区域の1つに用量設定のための制御要素を、たとえばダイヤル、ラジオボタン、スライド制御、スクロールバー、トグルボタン、ドロップダウンリストなどを提供し、区域の別の1つに設定用量を確認するボタンを提供し、区域のさらに別の1つに薬物の設定用量の送達を始動するボタンを提供するように構成される。
【0017】
例示的な一実施形態では、制御部は、区域の少なくとも1つにある制御要素またはボタンを、アクティブ状態と非アクティブ状態との間で切り替えるように構成される。
【0018】
例示的な一実施形態では、制御部は、他の区域の少なくとも1つにおける前回の動作に応じて、区域の少なくとも1つにある制御要素またはボタンを、アクティブ状態と非アクティブ状態との間で切り替え、そのようにして、特定の動作シーケンスを厳守するようにユーザに働きかけることによって、不注意による動作のリスクを低減するように構成される。
【0019】
例示的な一実施形態では、制御部は、制御要素またはボタンを、アクティブ状態で見えるようにし、非アクティブ状態で見えないようにするように構成される。
【0020】
別の例示的な一実施形態では、制御部は、制御要素またはボタンを、アクティブ状態における外観に比べて、非アクティブ状態ではうす暗くするかまたは暗くするように構成される。同様に、アクティブおよび非アクティブ状態は異なる色によって区別されてもよい。
【0021】
例示的な一実施形態では、制御部は、設定用量の送達を始動するボタンが、設定用量を確認するボタンの操作後にのみアクティブであるようにし、そのようにして、用量を設定するか、または送達を始動する前に現在の設定用量に気付くようにユーザに働きかけるように構成される。
【0022】
例示的な一実施形態では、制御部は期間を設定するタイマを含み、制御部は、区域1つを操作した後にタイマを開始し、設定期間の経過後に、他の区域の少なくとも1つにおける制御要素またはボタンを、非アクティブ状態からアクティブ状態に切り替えるように構成される。したがって、最小期間はユーザ工程の間であることを要し、それにより、ユーザが1つを超える区域にわたって不用意に「スワイプ」し、不注意によってそれら区域を作動させる機会が排除される。
【0023】
タッチスクリーンは、たとえば、赤外線グリッド、赤外線アクリル突出部、または光学イメージングに基づく、表面弾性波タッチスクリーン、容量性タッチスクリーン、抵抗性タッチスクリーン、光学タッチスクリーンとして配置されてもよい。さらなる選択肢は、分散信号技術および音響パルス認識を含む。
【0024】
本発明の適用可能性のさらなる範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明白となろう。しかしながら、本発明の精神および範囲内にある様々な変更および修正はこの詳細な説明から当業者には明白となることから、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方で単なる例として与えられることを理解されたい。
【0025】
本発明は、以下に与えられる詳細な説明、および単に例として与えられ、したがって本発明を限定するものではない添付図面から、より十分に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
すべての図面において、対応する部分には同じ参照符号を付けている。
【0028】
図1は、電子制御式の薬物送達デバイス1の例示的な一実施形態の概略図である。薬物送達デバイス1は、ユーザにインターフェースを提供するタッチスクリーン3を有する本体2を含む。
【0029】
本体2は、薬物カートリッジ(図示なし)を受けるように適用される。皮下注射針、好ましくは、一方が注射部位を穿孔し、他方がカートリッジのセプタムを穿孔してカートリッジと針との間に流体連通を確立する、2つの先端を有する針が、カートリッジに付着されてもよい。薬物送達デバイス1は、針を注射部位に、たとえば患者の皮膚に挿入するため、および/または針を通して薬物をカートリッジから投薬するため、および/または注射後に針を撤回するため、制御部および/または電気機械的駆動部(図示なし)など、少なくとも1つの電気ユニットまたは電子デバイス(図示なし)をさらに含んでもよい。ユーザは、タッチスクリーン3を通して薬物送達デバイス1の動作を制御してもよい。
【0030】
タッチスクリーン3により、ボタン4などのカスタマイズ可能な一連のアイコンおよび制御と、インタラクション点、たとえばダイヤル、ラジオボタン、スライド制御、スクロールバー、トグルボタン、ドロップダウンリストなどの制御要素5とを備えた、ユーザインターフェースが有効になる。これにより、制御要素5およびボタン4が異なるデバイスモードの代替的なスクリーン区域にあることが可能になり;また、特定のユーザ群に、たとえば老齢者向けおよび小児向けのソフトウェアバージョンに合わせて、ユーザインターフェースを適合させることができる。それに加えて、タッチスクリーン3を用いて、「身振り」で制御、スクロール、ズームなどすることが可能であり;それらは、履歴およびグラフタイプの機能性を備えたデバイスに有用である。
【0031】
図2は、電子制御式の薬物送達デバイス1の例示的な一実施形態の概略図である。この実施形態では、タッチスクリーン3の制御部6は、タッチスクリーン3を、別個の目的にそれぞれ役立つ2つの別個の区域3.1、3.2に分割する。タッチスクリーン3の下側の第1の区域3.1は用量送達ボタン4として作用してもよく、タッチスクリーン3の上側の第2の区域3.2は用量設定制御要素5として作用してもよい。これにより、薬物送達デバイス1の駆動機構の不注意による起動を防いでもよい。
【0032】
図3は、電子制御式の薬物送達デバイス1の別の例示的な実施形態の概略図である。この実施形態では、タッチスクリーン3は、別個の目的にそれぞれ役立つ3つの別個の区域3.1、3.2、3.3に分割される。上側の第1の区域3.1は、制御要素5による用量設定に使用されてもよく、中央の第2の区域3.2は、「OK」ボタン4を表示することによって設定量を確認し、そのようにして薬物送達デバイス1を準備するのに使用されてもよく、下側の第3の区域3.3は、容量の送達を始動するトリガボタン4を提供してもよい。第3の区域3.3は、第2の区域3.2の「OK」または「準備」ボタン4が押し込まれた後でアクティブもしくは活動状態になり、そうでなければ非アクティブのままであるように配置されてもよい。
【0033】
図2または3に示される実施形態のスクリーンレイアウトに基づいた代替実施形態は、最小期間がユーザ工程の間であることを要するタイマ機能も含み、それにより、ユーザが1つを超える区域3.1、3.2、3.3にわたって不用意にスワイプする機会が排除されてもよい。異なる区域3.1、3.2、3.3はまた、状況に応じて変化してもよい。たとえば、用量設定中、第1および第2の区域3.1および3.2のみが、
図4に示されるように目に見えるかまたはアクティブであってもよいが、用量が設定された後は、第2および第3の区域3.2、3.3のみが、
図5に示されるように目に見えるかまたはアクティブである。
【0034】
タッチスクリーン3は、任意の適切な技術、たとえば容量性、抵抗性、光学、または表面弾性波によって実現されてもよい。
【0035】
本発明は、薬物送達デバイス1以外の電子制御式デバイスとともに同様に使用されてもよい。
【0036】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0037】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0038】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0039】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0040】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0041】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0042】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0043】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0044】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0045】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0046】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0047】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0048】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0049】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0050】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0051】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0052】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0053】
当業者であれば、本明細書に記載される装置、方法、および/またはシステムの様々な構成要素、ならびに実施形態の修正(追加および/または除去)は、かかる修正およびその任意のおよびあらゆる等価物を包含する、本発明の全体の範囲および精神から逸脱することなく、行われてもよいことを理解するであろう。