特許第6348519号(P6348519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6348519家庭用電気機器のコントロールパネルおよびそのようなコントロールパネルを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348519
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】家庭用電気機器のコントロールパネルおよびそのようなコントロールパネルを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/02 20060101AFI20180618BHJP
【FI】
   H01H9/02 E
【請求項の数】16
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-560736(P2015-560736)
(86)(22)【出願日】2014年2月27日
(65)【公表番号】特表2016-514349(P2016-514349A)
(43)【公表日】2016年5月19日
(86)【国際出願番号】FR2014050434
(87)【国際公開番号】WO2014135765
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2017年1月24日
(31)【優先権主張番号】1352102
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ルイ デシャイエ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ルトゥール
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル ジェラール
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−233996(JP,A)
【文献】 特開2001−238793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用電気機器のコントロールパネル(6)であって、
バッキング部分(8)によって支持された膜(7)を備え、
該膜(7)は、前記コントロールパネル(6)のキーを定め、該コントロールパネル(6)の外側に向かって凸側である球面キャップの形状を有するブリスター(70)を備え、
前記バッキング部分(8)は、スイッチを受けるために設計された前記ブリスター(70)の反対側の開口部(80)を備え、
前記膜(7)および前記バッキング部分(8)は、それぞれ、第1のおよび第2のプラスチック材料から作られていて、
前記バッキング部分(8)は、前記膜(7)によって覆われていない少なくとも1つの部分を備え、その上に、ABSプラスチックで作られている装飾的な部分(9)はオーバーモールドされ、前記装飾的な部分(9)は、該装飾的な部分(9)に付着される金属を含む槽に前記バッキング部分(8)、前記膜(7)および前記装飾的な部分(9)を合同で浸けることによって湿式で金属化される外面を備える、コントロールパネル。
【請求項2】
前記膜はポリエステルである、請求項1に記載のコントロールパネル。
【請求項3】
前記バッキング部分(8)は、ポリカーボネートで、または、共ポリエステルのファミリーに属している材料で作られている、請求項1または請求項2に記載のコントロールパネル。
【請求項4】
前記装飾的な部分(9)は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)で作られている、請求項1から請求項までのうちのいずれか一項に記載のコントロールパネル。
【請求項5】
前記装飾的な部分(9)は、クロムめっきされている、請求項1から請求項までのうちのいずれか一項に記載のコントロールパネル。
【請求項6】
前記バッキング部分(8)は、前記膜(7)にオーバーモールドされている、請求項1から請求項5までのうちのいずれか一項に記載のコントロールパネル。
【請求項7】
前記膜(7)は透明であり、前記コントロールパネル(6)の、ーのための表示のデザインが印刷されている底面を備える、請求項1から請求項までのうちのいずれか一項に記載のコントロールパネル。
【請求項8】
前記バッキング部分(8)は透明であり、前記膜(7)の前記底面は、印刷無しの領域(71)を備え、前記領域(71)はディスプレイユニットへの視覚アクセスを可能にするために前記コントロールパネル(6)のウインドウを形成する、請求項1から請求項までのうちのいずれか一項に記載のコントロールパネル。
【請求項9】
請求項1から請求項までのうちのいずれか一項に記載のコントロールパネルを備える、家庭用電気調理機器。
【請求項10】
キーの近くに、該コントロールパネル(6)の外側に向かって凸側である球面キャップの形状を有するブリスター(70)を有する上側を備える膜(7)を備え、該膜(7)は
第1のプラスチック材料から作られている、家庭用電気調理機器のコントロールパネル(6)を製造する方法であって、
前記ブリスター(70)の反対側の開口部(80)を備えるバッキング部分(8)は、前記膜(7)の底側に取り付けられ、該バッキング部分(8)は第2のプラスチック材料から作られ、
装飾的な部分(9)は、前記バッキング部分(8)および/または前記膜(7)の少なくとも一部にオーバーモールドされ、前記装飾的な部分(9)はABSプラスチックで作られ、前記装飾的な部分(9)は、湿式で化学的に金属化される、製造方法。
【請求項11】
前記装飾的な部分(9)は、前記バッキング部分(7)、前記膜(8)および前記装飾的な部分(9)をクロム槽に合同で浸けることによってクロムめっきされる、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記バッキング部分(8)は、前記膜(7)にオーバーモールドされる、請求項10または請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記膜は、透明なポリエステルから作られる、請求項10から請求項12までのうちのいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記膜(7)に前記バッキング部分(8)をオーバーモールドする段階の前に、前記膜(7)の前記底側に、表示は印刷される、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記バッキング部分(8)は、ポリカーボネートで、または、共ポリエステルのファミリーに属している材料で作られている、請求項10から請求項14までのうちのいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記装飾的な部分(9)は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)で作られる、請求項10から請求項15までのうちのいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッキング部分によって支持される膜、有利にはポリエステルの膜を備え、該膜は、コントロールパネルのキーを定めるブリスターを備え、バッキング部分は、スイッチを受けるように設計されるブリスターの反対側の開口部を備える、家庭用電気調理機器のコントロールパネルの一般的な技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
外側に逆向きの球面キャップの形状を有するブリスターを含む判剛性のプラスチック膜を備え、該膜がバッキング部分に接着剤でつけられている、コントロールパネルは、特許文献1に開示されている。ブリスター膜を備えるそのようなコントロールパネルは、コントロールパネルの電気部品の保護シールばかりでなく、使用の優れた人間工学を引き起こすキーの柔軟性を確実にするという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】FR2647588
【発明の概要】
【0004】
しかし、そのようなコントロールパネルは、かなりつや無しの低品質な外観を有するという欠点を有する。さらに、そのようなコントロールパネルは、機器のハウジングとの接続部で、浸透が膜の外周で生じ得るという欠点を有する。
【0005】
したがって、本発明の目的は、製造が簡単でかつ経済的である改善された様相を有するコントロールパネルを提供し、また、そのようなコントロールパネルを作る製造方法を提供することにある。本発明の別の目的は、浸透の危険性が限定されるコントロールパネルを提供することにある。
【0006】
この目的のために、本発明は、家庭用電気機器のコントロールパネルであって、バッキング部分によって支持された膜を備え、該膜は、コントロールパネルのキーを定めるブリスターを備え、前記バッキング部分は、スイッチを受け入れるために設計された前記ブリスターの反対側の開口部を備え、前記膜および前記バッキング部分は、それぞれ、第1のおよび第2の化学的に金属化可能でない材料から作られていて、前記バッキング部分は、前記膜によって覆われていない少なくとも1つの部分を備え、その上に、化学的に金属化可能な装飾的な部分はオーバーモールドされ、前記装飾的な部分は、該装飾的な部分に付着される金属を含む槽に前記バッキング部分、前記膜および前記装飾的な部分を合同で浸けることによって湿式で金属化される外面を備える、コントロールパネルに関する。
【0007】
本発明の別の特徴によると、膜はポリエステルで作られる。
【0008】
本発明の別の特徴によると、バッキング部分は、ポリカーボネートの、または、共ポリエステルのファミリーに属している材料でできている。
【0009】
本発明のさらに別の特徴によると、装飾的な部分は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)でできている。
【0010】
本発明のさらに別の特徴によると、装飾的な部分は、クロムめっきされている。
【0011】
本発明の別の特徴によると、バッキング部分は、膜にオーバーモールドされている。
【0012】
本発明の別の特徴によると、膜は透明であり、コントロールパネルの、特にキーのための表示のデザインが印刷されている底面を備える。
【0013】
本発明の別の特徴によると、前記バッキング部分は透明であり、前記膜の前記底面は、印刷無しの領域を備え、前記領域はディスプレイユニットへの視覚アクセスを可能にするコントロールパネルのウインドウを形成する。
【0014】
本発明は、また、前述のようなコントロールパネルを備える家庭用電気調理機器に関係する。
【0015】
本発明は、また、
キーの近くにブリスターを有する上側を備える膜を備え、該膜は第1の化学的に金属化可能でない材料から作られている、家庭用電気調理機器のコントロールパネルを製造する方法であって、
前記ブリスターの反対側の開口部を備えるバッキング部分は、前記膜の底側に取り付けられ、該バッキング部分は第2の化学的に金属化可能でない材料から作られ、
装飾的な部分は、前記バッキング部分および/または前記膜の少なくとも一部にオーバーモールドされ、前記装飾的な部分は化学的に金属化可能な材料から作られ、
前記装飾的な部分は、湿式で化学的に金属化される、
製造方法に関する。
【0016】
本発明の別の特徴によると、前記装飾的な部分は、前記バッキング部分、前記膜および前記装飾的な部分をクロム槽に合同で浸けることによってクロムめっきされる。
【0017】
本発明の別の特徴によると、バッキング部分は、膜の上へオーバーモールドされる。
【0018】
本発明の別の特徴によると、膜は透明なポリエステルでできている。
【0019】
本発明の別の特徴によると、前記膜に前記バッキング部分をオーバーモールドする段階の前に、前記膜の前記底側に、表示は印刷される。
【0020】
本発明の別の特徴によると、バッキング部分は、ポリカーボネートd、または、共ポリエステルのファミリーに属している材料でできている。
【0021】
本発明の別の特徴によると、装飾的な部分は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)でできている。
【0022】
本発明の対象、態様および利点は本発明の特別な実施形態の以下の説明からより明らかになるであろう。そして、それは非限定的な例として与えられ、それは添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の特別な実施形態に係る調理機器の分解斜視図である。
図2図1の機器の縦断面図である。
図3A図1の機器に搭載のコントロールパネルのブリスター膜の上からの斜視図である。
図3B図1の機器に搭載のコントロールパネルのブリスター膜の上からの斜視図である。
図4A】膜の裏にバッキング部品を形作る第1段階の後の、コントロールパネルの上からの斜視図である。
図4B】膜の裏にバッキング部品を形作る第1段階の後の、コントロールパネルの下からの斜視図である。
図5A】プラスチック装飾部品を形作る段階の後の、コントロールパネルの上からの斜視図である。
図5B】プラスチック装飾部品を形作る段階の後の、コントロールパネルの下からの斜視図である。
図6図5AのVI−VI線に沿ったコントロールパネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を理解するために必要な要素だけが例示されている。図を読むのをより簡単にするために、同じ要素は、1つの図から他のもので、同じ参照符号を有する。
【0025】
図1および図2は、ふた3を備えている分離可能な作業容器2を支持するハウジング1を備える調理機器を示し、作業容器2は運動学的チェーンによってモーター10に接続されている回転ドライブ20を備えている底部を備える。それは図2においてのみ視認可能であり、作業容器2の底部に置かれる食物を切るための器具4をドライブ20は受けることができる。
【0026】
作業容器2はステンレス鋼で有利にできていて、ハウジング1に組み入れられた加温プレート11の上に設置され、加温プレート11は作業容器2の中身を加熱するために抵抗器、特にシールド抵抗器を備えている底面を備え、作業容器2の頂部は、蒸し料理用のバスケット5を受入可能である。
【0027】
加熱プレート11およびモーター10は、ハウジング1の前側に存在するコントロールパネル6の下に位置付けられた回路基板12によって、それ自体既知の方法で制御される。この回路基板12は、温度センサーで測定される温度の値を受け、作業容器2の中身を設定温度にもたらすように加熱プレート11への電力供給を制御する。
【0028】
図3Aおよび図3Bによれば、コントロールパネル6は、第1の化学的に金属化可能でない材料、好ましくはポリエステルでできている透明膜7を備える。膜7は、ブリスター70によって形成されているキーを備えるキーボードを備える上側を有する。スイッチと協働するブリスター70は、押されたとき、回路基板によって支えられ、図に示されない。
【0029】
有利に、ブリスター70は、コントロールパネル6の外側に向かって凸側である球面キャップの形状を有し、キーの機能を示すために各ブリスター70の近くに、(図示しない)表示を取り入れているデザインが、膜7の底面に印刷される。
【0030】
例えば、膜7の底面は、その表面領域の大部分に亘って黒色で覆われ、キーの機能を示すためにブリスター70の近くに異なる色の表示を備え、膜7は何らかの印刷が自由な領域71を保持し、それは回路基板12によって支持されているディスプレイユニットへの視覚アクセスを可能にするウインドウを定める。
【0031】
図4A図4Bおよび図6によると、膜7はブリスター70の反対側に開口部80を備える透明バッキング部分8に取り付けられ、バッキング部分8は膜7の底面に有利にオーバーモールドされ、膜7の上面の周辺部を覆う周縁部を備える。
【0032】
バッキング部分8は、第2の化学的に金属化可能でないプラスチック材料、例えばポリカーボネートまたはEastmanによって市場に出されているTritan(登録商標)のような共ポリエステルのファミリーのプラスチック材料でできていて、回路基板12を固定するための止め金具82だけでなく、バッキング部分8の剛性を補強するためのリブ81を備える底面を有する。
【0033】
このオーバーモールド作業は、型に膜7を置くことによって行われ、バッキング部分8は膜7の正確な位置決めを確実にするために型のピンと協力する3つの位置決め穴72を備え、そして、後者を閉じた後に型に第2のプラスチック材料を注入する。
【0034】
図5A図5Bおよび図6によると、コントロールパネル6は、バッキング部分8の上にオーバーモールドされるフレーム9からなる装飾的な部分を備え、このフレーム9は、例えばABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)プラスチックのような、化学的に金属化可能な材料で作られている。
【0035】
したがって膜7、バッキング部分8およびフレーム9が組み立てられたサブアセンブリは、次に、フレーム9の外面の(亜鉛めっきによる)コーティングのためにクロム槽に完全に通される。フレーム9のプラスチック材料だけがそれ自体をクロムめっきに導くことを考えると、クロム層はフレーム9に付着するが膜7とバッキング部分8とには付着しない。
【0036】
したがって、キーボードの品質を強化するクロム・メッキのフレームを備え、かつ、製造に単純で経済的であるコントロールパネルは得られ、コントロールパネルを介した浸入の危険性がオーバーモールド作業中の膜とバッキング部分とフレームとの間を形成する堅固なシールのために排除されていて、さらに、膜の周囲はバッキング部分とフレームとの間に挟まれている。
【0037】
明らかに、本発明は、ここで説明されて図示された実施形態に何ら限定されず、それは単に一例として与えられただけである。修正は、本発明の保護の範囲をどんな形であれ超えることなく、特に様々な要素の構成に関しては、または、代わりの等価な技術によって、まだ可能である。
【0038】
したがって、例示されない他の実施形態において、フレームはクロム以外の金属で、例えば銅で、コーティング可能である。
【0039】
例示されない別の代替の実施形態において、バッキング部分は、ポリプロピレンまたはポリアミドのような、化学的な金属化に向かない別の種類の材料で作られ得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6