特許第6348520号(P6348520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348520
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】ポリマーベースの型とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/38 20060101AFI20180618BHJP
   B29C 64/10 20170101ALI20180618BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20180618BHJP
【FI】
   B29C33/38
   B29C64/10
   B33Y80/00
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-562559(P2015-562559)
(86)(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公表番号】特表2016-509968(P2016-509968A)
(43)【公表日】2016年4月4日
(86)【国際出願番号】IL2014050279
(87)【国際公開番号】WO2014141276
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年3月7日
(31)【優先権主張番号】61/781,697
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513156560
【氏名又は名称】ストラタシス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ディコフスキー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】エイロン イド
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−174563(JP,A)
【文献】 特開2001−079855(JP,A)
【文献】 特開平11−300838(JP,A)
【文献】 特開平09−316113(JP,A)
【文献】 特開2012−111226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00−33/40
B29C 45/26
B29C 64/00−64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形用のポリマー製型を作成する方法であって、
0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する第1の材料を層状に堆積して、それにより、前記ポリマー製型の第1部分を形成することと、
0℃超のTgを有する第2の材料を層状に堆積して、それにより、前記ポリマー製型の第2部分を形成することと、を含み、
前記第2部分は、前記第1部分を少なくとも部分的に覆い、前記第2部分は、前記第1部分よりも薄く、かつ前記ポリマー製型の空洞にする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
0℃未満のTgを有する前記第1の材料又は別の材料を層状に堆積して、それにより、前記第2部分を被覆するように前記型の第3部分を形成することを更に含む、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、堆積はインクジェット印刷及び層の固化によってなされる、方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の方法であって、前記第2の材料は、80℃超の熱たわみ温度(HDT)を有する、方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の方法であって、固化後に前記第2の材料となる組成物は、前記組成物の総重量に対して45重量%超の濃度で、多官能性モノマー及びオリゴマーを含む、方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の方法であって、固化後に前記第2の材料となる組成物は、前記組成物の総重量に対して45重量%超の濃度で、100℃超のTgを有するモノマー及びオリゴマーを含む、方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の方法であって、
前記第2部分が、高温に暴露されることが予測される温度の領域においてくなるように、前記射出成形中に、予測される前記ポリマー製型内の温度分布によって第1及び第2部分の形状を決定することを更に含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記射出成形プロセスのコンピュータシミュレーションに基づいて前記温度分布を決定することを更に含む、方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の方法であって、前記第1の材料は60℃未満のTgを有し、前記第2の材料は90℃超のTgを有する、方法。
【請求項10】
射出成形用のポリマー製型であって、
0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する第1の材料を含む第1部分と、
0℃超のTgを有する第2の材料を含む第2部分と、
を含み、
前記第2部分は、少なくとも部分的に前記第1部分を被覆し、前記第2部分は、前記第1部分よりも薄く、かつ前記ポリマー製型の空洞にする、
型。
【請求項11】
請求項10に記載のポリマー製型であって、
0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する材料を含み、前記第2部分を被覆する第3部分を更に含む、型。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のポリマー製型であって、前記第2部分は1mm以上の厚さを有する、型。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかに記載のポリマー製型であって、固化後に前記第2の材料となる組成物は、前記組成物の総重量に対して45重量%超の濃度で、多官能性モノマー及びオリゴマーを含む、型。
【請求項14】
請求項10〜12のいずれかに記載のポリマー製型であって、固化後に前記第2の材料となる組成物は、前記組成物の総重量に対して45重量%超の濃度で、100℃超のTgを有するモノマー及びオリゴマーを含む、型。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれかに記載のポリマー製型であって、前記第1の材料は60℃未満のTgを有し、前記第2の材料は90℃超のTgを有する、型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
射出成形プロセスは、柔軟化又は液状化された材料を、最終製品の所望の形状から反転された形状の空洞を有する型に射出することを伴う。射出された材料は、例えば熱相転移等の物理的プロセス、又は、例えば架橋や縮合重合等の化学的プロセスを経て、型内で固化される。射出成形プロセスは、意図した部品の高速で効果的な形成に必要な高温及び高応力を伴う。更に、射出成形プロセスは通常、大量生産において実装されるため、型はその寿命の間、数百回、更には数千回のサイクルを耐えるものである必要がある。
【背景技術】
【0002】
射出成形用の型は、様々な材料から製造され得る。大半の型は、鋼又はアルミニウム合金等の金属製である。これらの金型は異なる方法の組み合わせによって形成され、その大半はコンピュータ数値制御(CNC)フライス等のサブトラクティブ法である。サブトラクティブ法は高コストであるため、これらの型の利用は超大型の生産系に限られてしまう。
【発明の概要】
【0003】
射出成形用の型のより低コストな製造方法は、熱硬化性ポリマーの3次元(3D)プリント又は3D造形プロセスの利用を伴う。しかしながら、このような型は性質が金型に劣り(例えば、型の寿命がより短い)、ならびに最終製品の性質が劣る(例えば寸法の歪み、又は形状の不正確さ)。
【図面の簡単な説明】
【0004】
発明として見なされる主題は、本明細書の終盤部で具体的に指摘され別個に請求される。しかしながら本発明は、操作の組織化と方法の両方につき、その対象物、特徴、及び利点と共に、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解され得る。
図1】本発明に一部の実施形態に係る印刷システムのハイレベルブロック図である。
図2】本発明に一部の実施形態に従って製造された型の図である。
図3】本発明の一部の実施形態に係る型の部品の図である。
図4】本発明の一部の実施形態に係る型の部品の図である。
図5】本発明の一部の実施形態に係る型の部品の図である。
図6】本発明の一部の実施形態に係る型の部品の図である。
図7】本発明の一部の実施形態に係る型の製造方法のフロー図である。
図8】本発明の一部の実施形態に係る型の製造方法のフロー図である。
【0005】
説明の単純さと明確さのために、図面に示される要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解される。例えば、一部の要素の寸法は、明確さのために、その他の要素と比較して誇張され得る。更に、適切と思われる箇所において、対応する、もしくは類似する要素を示すために、複数の図面にわたって参照番号が繰り返し用いられ得る。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明において、多数の具体的な細部が、本発明の網羅的な理解を提供するために記載される。しかしながら、本発明がこれらの具体的な細部がなくても実施可能であることが、当業者によって理解されるだろう。その他の例では、公知の方法、手順、及び部品は、本発明を曖昧にしないために、詳細には記載されていない。
【0007】
本発明の実施形態は、アディティブマニュファクチャリング(additive manufacturing)(AM)システム、例えば2次元インクジェット印刷システムを用いた射出成形用の型の製造に関する。本発明の実施形態は、選択堆積モデリング(selective deposition modeling)(SDM)、固体自由成形(solid freeform fabrication)(SFF)、又は3Dプリントについての説明を容易にするために記載されるが、本発明はこのようなシステムに限定されず、その他のAMシステムにおいて利用され得ることが理解されるべきである。
【0008】
射出成形中に、型は高温、高圧、及び応力にさらされる。したがって、このような型は良好な機械的性質、高い表面品質、および高温における熱安定性を有することが求められる。例えば、一部の射出成形プロセスにおいて、溶融ポリマーが約400〜1600barの高圧、20〜80トンの締め付け圧、及び約220℃の温度で型に射出され得て、型そのものが高い閉鎖圧で保持される。射出後、型の開封時に、射出部分に隣接する型領域に高い引張応力が加えられ得る。
【0009】
本発明の一部の実施形態による型は、型の製造のために必要となる材料堆積プロセス中の寸法精度を維持しつつ、射出成形に伴う高温及び応力に耐える型の性能を向上するために、異なる2つの熱硬化性又はUV硬化性ポリマーを含み得る。本発明の一部の実施形態による型は、約80℃未満、例えば約70℃未満、60℃未満、55℃未満のガラス転移温度(glass transition temperature)(Tg)又は熱たわみ温度(heat deflection temperature)(HDT)を有する第1の材料を含む第1部分又は領域と、約80℃超、例えば約90℃超のTg又はHDTを有する第2の材料を含む第2部分又は領域と、を含み得る。積層造形プロセス中にUV硬化によって作成された、約80℃未満のTg又はHDTを有するポリマーは、良好又は許容可能な寸法精度を可能にし得て、これにより、これらのポリマーから製造された物体は、堆積プロセス後に正確な寸法を有し得る。
【0010】
熱たわみ温度(HDT)は、材料、例えばポリマー又はプラスチック試料が、指定された荷重によってたわむ温度である。特定のポリマーのHDTは、ASTM D648に概説される標準試験によって決定される。この試験において、試料には、2℃/分で上昇する様々な温度でエッジワイズ方向に三点曲げが行われる。試験に用いられる外部繊維応力は0.455MPa又は1.82MPaである。試料が投入され、温度は、試料が0.25mm曲がるまで上昇する。ガラス転移温度は、非晶質材料(ポリマー等)における、硬質かつ任意で脆い状態から、軟化された又は弾力のある状態への可逆的転移である。TgはASTM D4065により、E”(損失弾性率)ピーク温度として測定され得る。
【0011】
本発明の一部の実施形態は、同じTg及びHDTを有し得る。例えば、60℃のTgを有する材料は、約55℃のHDTを有し得て、90℃のTgを有する材料は、約85℃のHDTを有し得る。
【0012】
型の体積の大部分は、約80℃未満、例えば約70℃未満、60℃未満、55℃未満のTg及び/又はHDTを有する第1の材料を用いて、積層によって製造され得る。第1の材料は単一のビルド材料、又は複合材料であり得る。第1の材料は、寸法精度の高い形状を得るために堆積され得る。しかしながら、約80℃未満のTg及び/又はHDTを有する材料は、溶融ポリマーの型への射出中、高温に暴露されると変形し得る。例えば、第1の材料は約40〜60℃のTg及び/又はHDTを有し得る。
【0013】
約80℃超の(例えば約90℃超)のTg及び/又はHDTを有する第2の材料は、第1の材料の上に、及び/又は隣接して、堆積され得る。第2の材料は第1の材料よりも厚さが小さく、型のより小さな体積を占め得る。このような材料は、例えばObjet(登録商標)Eden500(商標)3Dプリンターで単一のビルド材料(モデリング材料)として用いられた場合、大きな厚さ(5mm超)で堆積されると、3mm超の寸法の歪みをもたらし得る。しかしながら、第2の材料は、第1の材料が第2の材料への基礎を形成するような形で堆積され得るため、堆積された様々な要素の寸法精度は維持され得て、寸法の歪みは3mm未満、例えば約1mm未満になり得る。第2の材料は、射出成形温度において遥かに優れた温度安定性を有し得て、そのため、第2の材料で被覆された型領域は、重大な幾何変形又は歪みをもたらすことなく、型に射出された高温の材料に暴露され得る。
【0014】
本明細書において、材料は、500mm×400mm×200mmの寸法を有する堆積部分の寸法の歪みがどの方向においても3mm未満(例えば、約1mm未満)である場合、アディティブマニュファクチャリングプロセス中に良好な寸法精度を有するものと見なされ得る。第1のポリマーは第1の熱硬化性又はUV硬化性ポリマーであり得る;すなわち、第1のポリマーは、第1の領域を形成するように堆積された組成物の、UVにより開始された重合からもたらされる。例えば、Objet Eden500 3Dプリンターで用いられる典型的な樹脂組成物としては、官能性モノマー又はオリゴマーが挙げられる。
【0015】
樹脂組成物は、例えば、アクリルモノマー及び/又はアクリルオリゴマーを含み得る。アクリルモノマーは官能性アクリル化分子であり、例えばアクリル酸及びメタクリル酸のエステルであり得る。モノマーは単官能性又は多官能性(例えば、2、3、4官能、及びその他)であり得る。本発明のアクリル単官能性モノマーの一例は、SR−339の商品名でSartomerによって販売されているフェノキシエチルアクリレートである。アクリル2官能性モノマーの一例は、SR−9003の商品名でSartomerによって販売されているプロポキシル化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレートである。アクリルオリゴマーは、官能性アクリル化分子であり、例えばアクリル酸及びメタクリル酸のポリエステルであり得る。アクリルオリゴマーのその他の例は、ウレタンアクリレート及びウレタンメタクリレートの各類である。ウレタンアクリレートは、脂肪族又は芳香族又は脂環式ジイソシアネート又はポリイソシアネート及びヒドロキシル含有アクリル酸エステルから製造される。ウレタンアクリレートの一例は、Photomer−6010の商品名でCognisによって販売されているウレタンアクリレートオリゴマーである。
【0016】
本明細書において、高官能性又は多官能性のモノマー又はオリゴマーは、ポリマー内に含まれる際、固化プロセス(例えば硬化)中に架橋を促進し得るように、1よりも多い(例えば2、3、4官能、及びその他)反応基を有するモノマー又はオリゴマーである。架橋度が高いほど、ポリマーのTgは高くなる。ポリマーのTgに影響しうるモノマー又はオリゴマーのその他の特性は、分子の剛性である。分子の剛性が高いほど、Tgは高くなる。
【0017】
型は、約80℃超のTg及び/又はHDTを有する第2の材料を含む第2部分を更に含み得る。約80℃超のTg及び/又はHDTを有する第2の材料を含む第2部分は、第1部分の上に、及び/又は第1部分に平行に隣接して堆積され得る、及び/又は任意で、第1部分を被覆する。一部の実施形態において、型のうち第2部分の領域は高温及び応力に暴露されることが予測される。堆積後、第2部分は0.5mm未満の寸法の歪みを有し得る。第2の材料は第2の熱硬化性又はUV硬化性ポリマーであり得る。第2のポリマーは、単独重合された際に高いTg(例えば100℃超)を有するポリマーをもたらすモノマー又はオリゴマーの組成物を用いて製造され得て、このモノマー又はオリゴマーの濃度は例えば45%(重量%、すなわちw/w)以上である。本明細書において、全ての組成物の百分率は組成物全体に対する重量%である。
【0018】
第2の材料の組成物は、例えば45%以上の多官能モノマー及び/又は多官能オリゴマーを含み得る。例示的なアクリル2官能モノマーは、SR−9003の商品名でSartomerによって販売されているプロポキシル化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレートである。
【0019】
ここで、例示的な3Dプリントシステムのハイレベルブロック図を図示する図1を参照する。3Dプリントシステムは、本発明の一部の実施形態に係る射出成形型を製造するのに用いられ得る。システム10は、印刷ユニット又は印刷ブロック20、供給システム30、1以上のコントローラ40、ユーザーインターフェース50、及び製造プラットフォーム又はトレイ60を含み得る。1又は複数のコントローラ40は、システム10の他の要素すべてを制御するように構成され得る。
【0020】
印刷ユニット20は1以上の印刷ヘッド22、例えば図示される印刷ヘッド1〜nと、1以上の固化、凝固、又は硬化装置24、例えば図示される2つの装置24と、1以上のレベリング装置26とを含み得る。印刷ヘッド22は任意のインクジェット法を用いて材料を堆積させるように構成され得る。印刷ユニット20はX方向とY方向に平行に、及び/又はZ方向に垂直に移動し得る。
【0021】
印刷ヘッド22は、例えば一列又は2次元配列に配置された2以上のノズルの配列を含み得る。印刷ヘッド22は異なる材料を堆積させ得る。例えば、印刷ヘッド1及び2は、約80℃未満のTg及び/又はHDT、又は60℃未満のHDTを有する第1の材料を堆積させるよう構成され得て、印刷ヘッド3及び4は、約80℃超(80℃超、又は100℃超)のTg及び/又はHDTを有する第2の材料を堆積させるよう構成され得る。一部の実施形態において、その他の印刷ヘッドは、型の構築/製造プロセス中に支持される必要のある型内の要素、例えば張り出し部や空洞部に支持を提供するように構成される支持材料を堆積させ得る。印刷ヘッド22は、供給システム30から堆積材料を供給され得る。
【0022】
固化装置24は、堆積された材料を固化させ得る光、熱等を発光するように構成された任意の装置を含み得る。例えば、固化装置24は、UV硬化性の堆積された材料を硬化させるための1以上のUVランプを含み得る。レベリング装置26は、新しく形成された層を、層の上を擦過して余分な材料を除去することで平滑化する及び/又は所望の厚さを確立するよう構成された任意の装置を含み得る。例えば、レベリング装置26はローラーであり得る。レベリング装置24は、レベリング中に発生した余剰の材料を収集するための廃材収集装置(図示せず)を含み得る。
【0023】
供給システム30は、複数のビルド材料を印刷ヘッド22に提供するように構成される2以上の材料コンテナ又はカートリッジを含み得る。一部の実施形態において、型の異なる部分を形成するために第1、第2、第3、等のビルド材料の各々が堆積され得る。別法として、供給システム30に含まれる異なるコンテナからの2以上のビルド材料が、印刷面/トレイ上で互いに隣接して、重なりうるが混合されず、それぞれ別の印刷ヘッド22から堆積され得る、すなわち、各ビルド材料がそれぞれの性質を保持しつつ堆積後に不均質な第1の材料を形成する。第2の材料が、共に堆積されて不均質な第2の材料を形成する1以上のビルド材料の同様の「組み合わせ」を含む場合には、同様のプロセスが第2の材料についても実装され得る。2以上のビルド材料の堆積プロセスと、供給システム30から印刷ヘッド22への材料供給のその他の側面とは、コントローラ40によって制御され得る。
【0024】
1以上のコントローラ40の各々は、例えば中央処理装置(CPU)、チップ又は任意の適切な演算又は計算装置であり得るプロセッサ42、メモリ44、及びストレージユニット46を含み得る。例えば、プロセッサ42は所望の方向に印刷ユニット20の移動を制御し得る。メモリ44は例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレート(DDR)メモリチップ、フラッシュメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、キャッシュメモリ、バッファ、短期記憶メモリユニット、長期記憶メモリユニット、又はその他の適切なメモリユニット又はストレージユニットを含み得る。メモリ44は、複数の、場合によっては異なるメモリユニットであり得る、又は含み得る。
【0025】
1以上のメモリ44は、実行可能コード、例えばアプリケーション、プログラム、プロセス、タスク、又はスクリプト、を含み得る。実行可能コードは、本発明の実施形態に従って装置10を制御して3Dオブジェクトを印刷するためのコード又は命令を含み得る。例えば、メモリ44は、例えば第1の組の印刷ヘッド22を用いて、第1のビルド材料を3Dオブジェクト(例えば型)の第1の場所に堆積させて、例えば固化装置24を用いて第1の場所の材料を固化させるためのコードを含み得る。コードは更に、第2のビルド材料を、第1の場所の上の、及び/又は隣接する、型の第2の場所に堆積させることを含み得る。
【0026】
ストレージユニット46は、装置10によって製造/構築/作成される3D型の設計パラメータを含むファイルを格納し得る。例えば、3D型の設計を含む3Dコンピュータ支援設計(CAD)ファイルがストレージユニット46に格納され得る。ファイルは、型の異なる部分の寸法と一を含み得る。
【0027】
装置10はユーザーインターフェース50を更に含み得る。ユーザーインターフェース50は、マウス、キーボード、タッチスクリーン又はタッチパッド、又は任意の適切な入力装置等の入力装置であり得る、又は含み得る。任意の適切な数の入力装置がユーザーインターフェース50に含まれ得ることが認識される。ユーザーインターフェース50は、1以上のディスプレイ、スピーカー、及び/又はその他任意の適切な出力装置等の出力装置を更に含み得る。任意の適切な数の出力装置がユーザーインターフェース50に含まれ得ることが認識される。ブロック50に示されるように、任意の適用可能な入力/出力(I/O)装置がコントローラ40に接続され得る。例えば、有線又は無線ネットワークインターフェースカード(NIC)、モデム、プリンター、ファクシミリ機、ユニバーサルシリアルバス(USB)装置又は外付けハードドライブが、ユーザーインターフェース50に含まれ得る。ユーザーインターフェース50は、ユーザがストレージユニット46へ、本発明の一部の実施形態による型の堆積を制御するための命令をアップロードすること、及び/又は、堆積させる型の設計を含むファイル(例えばcomputer aided design(CAD)ファイル)をアップロード及び更新することを可能にする。
【0028】
トレイ60は、支持に適した、すなわち3Dオブジェクトのインクジェット印刷又はその他のアディティブマニュファクチャリングに耐える、任意のトレイであり得る。トレイ60はX−Yテーブルに取り付け又は接続され得て、例えばコントローラ40によって、印刷又は堆積プロセスの要件に従ってZ方向に移動するよう制御され得る。追加として、もしくは別法として、トレイ60はX−Y平面において移動するよう構成され得る。
【0029】
コントローラ40は、印刷ユニット20及び/又はトレイ60を、印刷ユニット20と、トレイ60又はトレイ上にすでに堆積されたオブジェクトの各部との間の相対的移動を、印刷ヘッド22の各々がビルド材料の液滴(例えば第1又は第2のビルド材料)をX−Y平面の所定の位置、かつZ方向の所定の高さに堆積しうるように引き起こすように制御し得る。
【0030】
本発明に一部の実施形態に係る例示的な型の図示である図2を参照する。型200は、第1部分210と第2対応部分220とを含み得る。第1部分210は、空洞215を含み得て、第2部分220は、突起225を含み得る。部分210と220とを取り付けると、閉鎖空間が形成される。空間の形状は、型を用いて製造される製品の形状に対応する。溶融ポリマーはこの空間に射出され、型内で少なくとも部分的に固化して最終製品を形成し得る。空洞215及び突起225は、射出成形プロセス中に約150〜330℃の高温、及び約400〜1600Barの高圧に暴露され得る。部分210及び220の各々は、3D印刷法を用いて、熱硬化性又はUV硬化性ポリマーから製造され得る。
【0031】
図3〜6は、本発明の一部の実施形態に係る、空洞を有する例示的な型の部品を図示する。例示的な型の部品310は図3Aに図示される。型の部品310は、空洞315、第一部分312、及び第2部分314を含み得る。第1部分312は、約80℃未満、例えば70℃、60℃、又は55℃未満、もしくは40〜60℃の範囲内のガラス転移温度(Tg)及び/又はHDTを有する第1の材料(例えば、硬化後に熱硬化又はUV硬化性ポリマーになる材料)を用いて(例えばインクジェット印刷によって)1層ずつ堆積され得る。この材料は、堆積中に良好な寸法精度を呈し得る。第1部分312は、型の部品310の体積の大部分を占め得る。本発明の一部の実施形態に係る例示的な第1の材料は、約48℃のTg及び/又はHDTと、約2〜2.5GPaの弾性係数を有し得る。
【0032】
第1の材料は、第1のビルド材料組成物の、UVにより開始された重合の結果であり得る。該第1の組成物は、官能基を有する硬化性成分(例えば。硬化性成分は官能性モノマー及び/又はオリゴマーを含み得る)、光開始剤、界面活性剤、及び安定剤を含み得る。硬化性成分は(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルオリゴマー、(メタ)アクリル架橋剤、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。第1の組成物は、50〜80%の単官能性モノマー及び/又はオリゴマー及び/又は0〜50%の多官能性モノマー及び/又はオリゴマーを有する硬化性成分を含み得る。
【0033】
第2部分314は、第2のビルド材料組成物を堆積することで作成され得る。該組成物は、重合されると約80℃超、例えば約90℃超、もしくは85〜100℃の範囲内のTg及び/又はHDTを有する。第2の部分は型の部品310内の、約150〜330℃の高温及び400〜1600Barの高圧に暴露される場所、例えば空洞315に対向する場所に形成され得る。第2部分314は、第1及び第2部分との間の接着が、堆積プロセス中に第2部分314の堆積された材料の歪みを防ぎ得るだけの強度を有しうるように、第1部分312を被覆し得る。1mm超の寸法的歪みを防ぐために、第1部分312は寸法的に第2部分314を支持し得る。第2部分314は1〜5mmの厚さを有しうる。
【0034】
第2の組成物は、多官能基を有する硬化性成分(例えば、硬化性成分は多官能性モノマー及び/又はオリゴマーを含み得る)、光開始剤、界面活性剤、及び安定剤を含み得る。硬化性成分は(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルオリゴマー、(メタ)アクリル架橋剤、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。例示的な第2の組成物は、45%以上の多官能性モノマー及び/又はオリゴマーを含み得る。第2の組成物は45%以上の、単独重合された場合に高Tgを有するポリマーをもたらす成分、例えば高Tg(約100℃超)を有する多官能性アクリレート、及び/又は剛体分子を有するモノマー又はオリゴマー、例えばSartomerからSR833s,SR834,CN968,CN975,SR368,SR295,SR9041として市販されているもの等を含み得る。
【0035】
一部の実施形態において、追加の第3部分は、第1部分を被覆し得る。第3部分は、第1の材料、又は約80℃未満のTg及び/又はHDTを有するその他の材料を含み得る。第3部分は、第2部分をひび割れ及び脆さから保護し得る。第3部分を含む型の部品320が図3Bに図示されている。型の部品320は、型の部品310とほぼ同じ部分及び材料を含み得る。型の部品320は、更に第3部分316を含み得る。第3部分316は、第1部分312と同じ第1の組成物を用いて堆積され得る、又はその他の組成物(例えば、固化又は重合後に、約80℃未満のTg及び/又はHDTを有するポリマー材料をもたらす材料)を用いて堆積され得る。このような材料は、約80℃超のTg及び/又はHDTを有する第2の材料より高い延性を有し得る。第3部分は第2部分を被覆し得て、約0.05〜0.5mm、例えば0.3mmの厚さを更に有し得る。
【0036】
他の例示的な型の部品410が図4に図示される。型の部品410は、第1部分412、及びより薄いサブ部分415とより厚いサブ部分416との2つのサブ部分を含む第2部分414を含み得る。第1部分412は、約80℃未満、例えば70℃、60℃、又は55℃未満のガラス転移温度(Tg)及び/又はHDTを有する第1の材料(例えば、固化後にポリマーを形成する材料)を用いて堆積され得る。第1部分412は、型の部品410の体積の大部分を占め得る。
【0037】
第2部分414は、約80℃超、例えば約90℃超、のTg及び/又はHDTを有する第2の材料を用いて堆積され得る。第2部分は型の部品410内の、約150〜330℃の高温及び400〜1600Barの高圧に暴露される場所に形成され得る。第2部分414は、第1部分412を被覆及び保護するために堆積された、例えば1〜5mmの厚さを有するより薄いサブ部分415を含み得る。第2部分414は、型内、例えば型の空洞に射出された溶融ポリマーに対向し得て、そのため高温及び高圧へのより高い抵抗性を必要とし得る場所に堆積されたより厚いサブ部分416を更に含み得る。サブ部分416の厚さは、例えば6〜10mmであり得る。
【0038】
一部の実施形態において、型の部品の所望の位置において、例えば空洞全体又は空洞内の別々の位置において、追加の抵抗性及び耐久性が必要とされ得る。この位置は、型内の射出及び固化プロセスのコンピュータシミュレーションによって決定され得る。所望の位置は第2部分に含まれ得るが、第2部分に含まれるポリマーのTg又はHDTよりも高いTg又はHDT、例えば約100℃超のTg及び/又はHDT、を有する第3の材料により更にコーティングされ得る。所望の位置に堆積された第4部分を有する例示的な型の部品が図5に図示される。型の部品510は、型410とほぼ同じ部分を含み得る。しかしながら、一部の所望の位置において、型の部品510は、第2部分414内の、150〜330℃のより高温に暴露される所望の位置を被覆するように堆積された第4部分518を少なくとも含み得る。第4部分518の厚さは0.05〜0.5mmであり得る。
【0039】
固化又は重合された際に第3の材料を形成する組成物は、多官能基を有する硬化性成分(例えば、硬化性成分は多官能性モノマー及び/又はオリゴマーを含み得る)、光開始剤、界面活性剤、及び安定剤を含み得る。例示的な組成物は40〜80%の多官能性モノマー及び/又はオリゴマーを含み得る。組成物は、0〜50%の単官能性モノマー及び/又は40〜80%の多官能性オリゴマーを有する硬化性成分を含み得る。
【0040】
一部の実施形態において、第1部分はポリマー以外の材料、例えばアルミニウム合金、鋼等の金属又は合金、もしくは溶融シリカ、アルミナ等のセラミック材料から構築され得る。この第1部分は、多様な型の基礎として再利用されるために構築され得る。第1部分は、例えば積層造形によらずに既成であって、その後空洞の細部が積層造形によって追加されてよい。例えば、第1部分は、大まかな空洞の構成を有しえて、固化後に熱硬化性又はUV硬化性ポリマーを形成する材料を用いて、所望の設計に従って型の詳細な要素が堆積され得る。堆積された型の第2部分は、約80℃超、例えば90℃超のTg及び/又はHDTを有する材料を用いて堆積され得る。堆積された第2部分における寸法の歪みを防ぐために、第1部分と第2部分との間に非常に良好な密着性が確立されなければならない。このような密着は、第1部分と第2部分との間に特殊な接着剤を含む領域を作ること、又は、第2部分に対向する第1部分の表面に網を溶接すること、又は、表面の粗さを変えることによって確立され得る。堆積された部分は、堆積された第2部分の堆積プロセス中、更には射出成形プロセス中に、堆積された部分と金属部分とのいかなる分離も防ぐように、十分な密着力をもって第1部分に接続され得る。
【0041】
ここで、本発明の一部の実施形態に係る例示的な型の部品を図示する図6を参照する。型の部品610は、第1部分612、第2の堆積された部分614、及び部分614と部分612とを接続する密着領域616を含み得る。第1部分612は、2.5GPa超の弾性係数を有する任意の材料を含み得る。第1部分は、射出成形用の型の形成に適した金属又は合金、例えばアルミニウム合金又は鋼を含み得る。部分612は、例えば機械加工等の任意の公知の方法によって所望の形状に成形され得る。部分612は、第2部分614の堆積の基礎として用いられ得る大まかな型の形状に成形され得る。部分612は、射出成形プロセス中に部分614から熱を奪い得る。
【0042】
部分614は、例えばインクジェット印刷法を用いて、第1部分612の上に、又は隣接して堆積され得る。一部の実施形態において、射出成形されるオブジェクトの細部は部分614において輪郭堆積され得る。3D堆積法の製造柔軟性は、短期間かつ低コストでの詳細な型の製造を可能にし得る。部分614は、型に射出される溶融ポリマーに対向する型の部品610の空洞内に堆積され得る。部分614は、固化後に約80℃超(例えば90℃超)のTg及び/又はHDTを有する熱硬化性又はUV硬化性ポリマーを形成する組成物、例えば45%以上の多官能性モノマー及び/又は多官能性オリゴマーを有するポリマー、を用いて堆積され得る。部分614は、約100℃超のTg及び/又はHDTを有するモノマー及び/オリゴマーを45%以上有するポリマーを用いて堆積され得る。
【0043】
部分614の堆積中に寸法精度を達成するために、第1部分が、堆積中に、堆積された層を支持して安定化させ得るよう、第1部分612と第2の堆積された部分614との間に良好な密着性が得られるべきである。このような密着は、例えば部分612と部分614との間に密着領域616を形成する等のいくつかの密着法によって確立され得る。密着領域612は、部分612と堆積されたポリマーとの間の密着を向上するために接着剤を含み得る。接着剤は、第2部分614の堆積に先立って堆積され得る。密着領域612は、接触面の金属ポリマーが増加し得て、2つの部分間の密着が向上するよう、堆積された部分614と接し得る、部分612の表面に溶接された金網を含み得る。追加で、又は別法として、人工的な表面の粗さが、例えば表面に摩耗を形成することによって部分612の表面に導入され得て、これにより堆積されたポリマーと金属又はセラミック部分との間の接触表面積を増加させる。
【0044】
一部の実施形態において、追加の第3部分(図示せず)は、第2部分を被覆するように堆積され得る。第3部分(例えば図3Bに図示の部分316)は、固化後に約80℃未満、例えば約60℃又は55℃未満、もしくは40〜60℃の範囲のTg及び/又はHDTを有する熱硬化性又はUV硬化性ポリマーを形成する材料組成物を用いて堆積され得る。このような材料は、約80℃超のTg及び/又はHDTを有する材料よりも高い延性を有し得る。第3部分は第2部分を被覆し得て、更に、約0.3mm、例えば0.05〜0.5mmの厚さを有し得る。
【0045】
本発明の一部の実施形態に係る型の製造方法のフロー図を示す図7を参照する。ボックス700において、方法は第1及び第2部分の(例えば部分312〜314又は412〜414)寸法を決定することを含み得る。第1部分は、約80℃未満、例えば約70℃、60℃、又は55℃未満、もしくは40〜60℃の範囲のTg及び/又はHDTを有する第1の材料を含み得て、第2部分は、約80℃超、例えば約90℃超、もしくは85〜100℃の範囲のTg及び/又はHDTを含み得る第2の材料を含み得る。射出成形中の予測温度のコンピュータシミュレーションは、型の3Dモデルを用いて実施され得る。シミュレーションされた温度分布は、型のどの部分に第2の材料を堆積する必要があるか、例えばより高い温度(例えば150℃超)に面する型の部分を決定するための基礎となり得る。シミュレーションされた温度分布は、型のどの部分に第1の材料を堆積可能であるか、例えば中程度〜低温(例えば40〜150℃)に面する型の部分を更に決定し得る。
【0046】
一部の実施形態において、第2部分はより高い予測温度の領域においてより厚くなり得る。例えば、より厚いサブ部分416が、図4に図示されるように型のコアの中央部分に堆積され得る。一部の実施形態において、方法は、第1の材料(又は約80℃未満、例えば70℃未満、もしくは40〜60℃の範囲内のTg及び/又はHDTを有する任意のその他の材料)を含む第3部分(例えば部分316)の配置及び形状を決定することを含み得る。第3部分は第2及び第2部分よりもはるかに薄くなり得て、第2部分を被覆し得て、例えば0.05〜0.5mmである。
【0047】
第1及び第2(及び任意で第3)部分の決定された配置は、3Dモデル又はオブジェクトを形成するために、堆積装置に関連付けられた格納媒体、例えばインクジェット装置10内のストレージ46に(例えばCADファイルとして)保存され得る。格納された部分は、堆積装置によって堆積される各層における第1及び第2又はそれ以上のビルド材料の堆積シーケンスを更に決定するために用いられ得る。一部の実施形態において、堆積シーケンスは堆積された型の特定の要素を支持するための支持材料を堆積させることを含み得る。
【0048】
操作710,720及び730は、例えば図1に図示のシステム10を用いて、インクジェット印刷によって実行され得る。別法として、操作は、ビルド材料を1層ずつ堆積することにより3Dオブジェクトの形成を可能にする任意の堆積/印刷プロセスを用いて実行され得る。
【0049】
ボックス710において、方法は、約80℃未満、例えば約70℃、60℃、又は55℃未満、もしくは40〜60℃の範囲内のガラス転移温度(Tg)及び/又はHDTを有する第1の材料の2以上の層を堆積して、型の第1部分(例えば部分312及び412)を形成することを含み得る。第1の材料は1層ずつ堆積されて型の第1部分を形成し得る。一部の実施形態において、印刷ユニット(例えば印刷ユニット20)の一度の走査で、第1の材料だけが1つの層に堆積され得て、ここで走査された型の断面全体が第1部分、例えば型310,410及び510の第1部分の下端に含まれる。
【0050】
ボックス720において、方法は、約80℃超、例えば90℃超、もしくは85〜100℃の範囲内のTg及び/又はHDTを有する第2の材料の2以上の層を堆積して型の第2部分(部分314及び414)を形成することを含み得る。第2の材料は、一層ずつ堆積されて型の第2部分を形成し得る。第2の材料は、45%以上のモノマー又はオリゴマーを含み、100℃超のTgを有し、及び/又は45%以上の多官能性モノマー又はオリゴマーを含み、固化後に熱硬化性又はUV硬化性ポリマーをもたらし得る組成物で形成され得る。
【0051】
一部の実施形態において、方法は、型のうち射出成形プロセス中に超高温、例えば300℃超に暴露される場所で第2部分を少なくとも部分的に被覆するために、例えば約100℃超のTg及び/又はHDTを有する追加の高Tg材料を堆積することを含み得る。追加の部分(例えば部分518)は、型のうち、射出成形プロセス中により高い温度安定性を必要とする領域及び場所に堆積され得る。
【0052】
一部の実施形態において、印刷ユニット(例えば印刷ユニット20)の一度の走査で、第1の材料及び第2の材料の両方が同時に堆積されて1つの層を形成し得て、ここで走査された型の断面、例えば型の部品310,410及び510の中央部分が第1部分と第2部分の両方を含む。一部の実施形態において、1つの層における一度の走査中に、例えば型の部品310,410及び510の上端において第2の材料のみが堆積され得る。一部の実施形態において、印刷ユニットの一度の走査中に、3以上の異なる材料が1つの層に堆積され得る。例えば、第1の材料、第2の材料、任意で第3の材料、及び支持材料が、型の部品のコアにおける形状を形成するために堆積され得る。
【0053】
ボックス730において、方法は、約80℃未満、例えば60℃又は55℃未満、のTg及び/又はHDTを有する材料の2以上の層を堆積して、第2部分を被覆するように型の第3部分(部分316)を形成することを含み得る。第3部分は、約80℃未満のTg及び/又はHDTを有する第1の材料又は任意の他の材料を用いて堆積され得る。第3部分は0.1〜0.3mmの厚さを有して堆積され得る。
【0054】
本発明の一部の実施形態に係る型(例えば型の部品610)の製造方法のフローチャートを示す図8を参照する。ボックス810において、方法は、2.5GPa超の弾性係数を有する材料を含む型の第1部分(例えば部分612)を取得することを含み得る。第1部分は、鋼やアルミニウム合金等の金属、アルミナ等のセラミック材料、複合材料又は2.5GPa超の弾性係数を有するその他任意の材料を含み得る。第1部分は、様々な型を形成するために利用及び再利用され得る標準形状を有するように製造され得る。
【0055】
ボックス820において、方法は、第1部分の上に、約80℃超、例えば90℃超のガラス転移温度(Tg)及び/又はHDTを有するポリマー材料の2以上の層を堆積して型の第2部分(例えば部分614)を形成することを含み得る。第2の材料は一層ずつ堆積されて型の第2部分を形成し得る。一部の実施形態において、第2部分の厚さは1mm超である。
【0056】
一部の実施形態において、第1と第2部分との間の密着を向上するために密着領域(例えば領域616)が得られ得る。一部の実施形態において、第2部分の第1部分への密着は接着剤を用いてなされる。一部の実施形態において、第2部分の第1部分への密着は、第2部分との界面を形成する金網を第1部分の表面(例えば領域616)に溶接することでなされる。追加で、または別法として、第2部分に対向する第1部分の表面は、表面の粗さを増大させること(例えば人工的な引っかき傷を追加することにより)で第2部分の材料の、第1部分への接続表面積を増加させるよう変形され得る。
【0057】
ボックス830において、方法は、約80℃未満、例えば70℃または40〜60℃の範囲内のTg及び/又はHDTを有する材料の2以上の層を堆積して、第2部分を被覆するように型の第3部分(例えば図3Bに図示の部分316)を形成することを含み得る。第3部分は0.1〜0.3mmの厚さを有して堆積され得る。
【0058】
本明細書において本発明の特定の特徴が図示及び記載されてきたが、数々の変形、置換、変更、及び等価物が、当業者によって想到されるだろう。したがって、添付の請求の範囲は、このような変形及び変更を、本発明の真の意図に含まれるものとして包含するよう意図されることが理解される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8