特許第6348551号(P6348551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6348551クロマトグラフィーカラムの充填方法、高圧で使用するための充填されたクロマトグラフィーカラム、及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348551
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】クロマトグラフィーカラムの充填方法、高圧で使用するための充填されたクロマトグラフィーカラム、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/56 20060101AFI20180618BHJP
【FI】
   G01N30/56 A
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-190692(P2016-190692)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-67780(P2017-67780A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2016年9月29日
(31)【優先権主張番号】14/872,139
(32)【優先日】2015年10月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591025358
【氏名又は名称】ダイオネックス コーポレイション
(73)【特許権者】
【識別番号】516293705
【氏名又は名称】サーモ ハイパーシル−キーストーン リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】シャオドン リウ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー エム グェン
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド エイ シェラン
(72)【発明者】
【氏名】マーク エル トレイシー
【審査官】 高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−524240(JP,A)
【文献】 特開2002−131300(JP,A)
【文献】 特開平08−050123(JP,A)
【文献】 特開昭59−070963(JP,A)
【文献】 特表2005−526974(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0151808(US,A1)
【文献】 特開平01−176209(JP,A)
【文献】 特開昭63−135856(JP,A)
【文献】 米国特許第06402958(US,B1)
【文献】 特開2006−078231(JP,A)
【文献】 特開2003−279553(JP,A)
【文献】 特開2010−230575(JP,A)
【文献】 特開昭59−028660(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/127044(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0017149(US,A1)
【文献】 J.J. Kirkland,The art and science of forming packed analytical high-performance liquid chromatography columns,Journal of Chromatography A,,米国,2006年 5月12日,1126,P50-57
【文献】 Packing Conditions for Self Pack POROS 20 OH Media,Applied Biosystems Instruction Sheet,1997年 1月 1日,P1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィーカラムを充填する方法であって、
クロマトグラフィー媒体粒子を、少なくとも90重量%の水を含む水系スラリー溶液中に分散させてスラリーを形成することと、ここで、前記スラリーは、100重量部の水に基づいて、少なくとも0.1〜50重量部の界面活性剤を含み;
前記スラリーを前記カラムに導入することによってクロマトグラフィーカラムを前記クロマトグラフィー媒体粒子で満たすことと
圧力を加えて前記クロマトグラフィー媒体粒子を前記クロマトグラフィーカラム内に充填することとを含み、前記圧力が、第1の期間にわたって第1の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれ、また、前記第1の期間の後、第2の期間にわたって前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれ、前記第1の圧力が100〜1500バールの範囲内であり、前記第2の圧力が1500〜6000バールの範囲内である、前記方法。
【請求項2】
前記水系スラリー溶液が、100重量%水、または少なくとも95重量%、もしくは少なくとも99重量%水である、請求項1に記載の前記方法。
【請求項3】
前記水系スラリー溶液が、100重量部の水に基づいて、10重量部以下、または5重量部以下、または1重量部以下の有機溶剤の量で、有機溶剤を含有する、請求項1に記載の前記方法。
【請求項4】
前記水系スラリー溶液が、100重量部の水に基づいて、
0〜50重量部の電解質または塩(イオン性界面活性剤以外)と、
0〜100重量部の酸と、
0〜100重量部の塩基と、をさらに含む、請求項1に記載の前記方法。
【請求項5】
前記第2の圧力が1500〜4000バールの範囲内である、請求項に記載の前記方法。
【請求項6】
前記第1の期間が0.1〜100時間の範囲内であり、前記第2の期間が0.1〜100時間の範囲内である、請求項に記載の前記方法。
【請求項7】
前記カラムが10μm〜5mmの内径を有し、前記カラムが20mm〜10,000mmの長さを有する、請求項1に記載の前記方法。
【請求項8】
前記クロマトグラフィー媒体粒子が、1〜5μmのメジアン粒径を有し、全体的に多孔質または表面的に多孔質である、請求項1に記載の前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフィーカラムの技術分野に関する。具体的には、本発明は、高い操作圧、特に1000バール超に耐え得る、かかるカラムの充填方法に関する。本発明はまた、この方法で充填された液体クロマトグラフィーカラム、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフィー(LC)、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、化学試料及び生体試料の両方の様々な試料中の分析物の質及び量を判定するために、分析クロマトグラフィー用途において日常的に使用されている。これらのクロマトグラフィー技術において、成分(分析物とも呼ばれる)の混合物を含む試料の分離は、成分の各々が移動相と固定相との間に別々に分配される(すなわち、成分が異なる分配係数を有する)ため、カラム内の固定相を通して液体移動相内に試料を運搬し、それにより、試料をその各成分に分離させることによって達成される。固定相は、最も一般的には、カラム内に充填された粒子の層の形態におけるものである。試料の高い解像度及びスループットを提供するために、典型的には最大600バールの高い操作圧がHPLCにおいて用いられる。
【0003】
データの質及び分析のコストに重要である、超高解像度かつ/または超高速スループットの分析を実現するために、低いシステム分散及び極端に高いシステム操作圧(典型的には1000バール超)の利点を用いる、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)が開発されている。UHPLCカラムは、UHPLCソリューションに非常に重要な要素である。UHPLC機器の能力を十分活用して超高解像度かつ超高スループットの分析を達成するために、カラムは典型的に、通常2μmより小さい(例えば1.5μmの)小粒子を含む固定相媒体で充填される。これらの粒子は、全体的に多孔質(すなわちバルク多孔質)、表面的に多孔質、または非多孔質であり得、該粒子は、特定の用途のために表面修飾される場合がある。このような過酷な操作条件(高圧及び/または高線速度)は、分離カラムが優秀な層安定性を有することを必要とする。
【0004】
従来、HPLCカラムは、1つ以上の有機溶剤を使用するプロセス(本明細書では「溶剤充填」)において充填される。しかしながら、この手法には、本発明者らが注目する関連したいくつかの欠点が存在する。第1に、溶剤充填は、1300バール以上の圧力下で操作され得るHPLCカラムを提供することができない場合が多く、それにより、UHPLCにおける(例えばTHERMO SCIENTIFIC(登録商標)VANQUISH(登録商標)H UHPLCシステムにおける)かかる圧力(例えば1500バール)の使用が限定されることを本発明者らは見出した。第2に、ほとんどの有機溶剤はある程度毒性かつ/または可燃性であり、したがって操作者に対する健康上及び安全上の問題ならびに環境汚染をもたらす。第3に、有機溶剤の使用は、製造プロセスに関連するコスト及び必要とされる廃棄物処理のために高価である。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様によると、先行技術の上記の欠点に対処する、好ましくは液体圧下でのスラリー作製及び/またはカラム充填のための水溶液を使用することを含むカラム充填の方法が提供される。有機溶剤系の充填方法と比較して、この水系の方法は、1000超、または1300バール超の操作圧における改善されたカラム安定性(耐久性)、改善された分離性能、及び改善された再現性をもたらすことができることが見出された。この水性充填方法は、溶剤系の方法と比べて改善された生産収率を提供することが見出された。例えば、水性充填方法は、溶剤系の方法の50%と比較して90%の収率を提供し得る。性能の改善には、ピークテーリングの低減及び分離効率の上昇が含まれる。これらの利点には、充填プロセスにおける溶剤消費量の大幅な低減(例えば、溶剤使用量の最大95〜100%の低減)が付随する。
【0006】
第2の態様によると、多段圧力充填方法を含むカラム充填の方法が提供される。繰り返しになるが、性能の改善は、カラム耐久性の改善、ピークテーリングの低減、及び分離効率の改善を含むことが見出された。
【0007】
本発明は、水系充填及び/または多段圧力充填方法を使用する、HPLCでは最大600バール、ならびにUHPLCでは最大1500バールの操作圧に耐え得るLCカラムを充填する方法を提供する。本発明は、最も好ましくは、水溶液及び多段圧力を使用する両方の態様を含むカラム充填の方法を提供する。
【0008】
本発明の実施形態によると、第1の態様では、クロマトグラフィーカラムを充填する方法であって、
クロマトグラフィー媒体粒子を水系スラリー溶液中に分散させてスラリーを形成することと、
スラリーをカラムに導入することによってクロマトグラフィーカラムをクロマトグラフィー媒体粒子で満たすことと、
圧力を加えてクロマトグラフィー媒体粒子をクロマトグラフィーカラム内に充填することと、を含む、方法が提供される。
【0009】
水系スラリー溶液は、好ましくは100重量%水、または少なくとも90重量%、もしくは少なくとも95重量%、もしくは少なくとも99重量%水である。水系スラリー溶液は、100重量部の水に基づいて、100重量部以下、50重量部以下、または40重量部以下、または30重量部以下、または20重量部以下、または10重量部以下、または5重量部以下、または1重量部以下の有機溶剤の量で、有機溶剤を含有し得る。
【0010】
水系スラリー溶液は、好ましくは、100重量部の水に基づいて、
0〜50重量部、または0〜40重量部、または0〜30重量部、または0〜20重量部、または0〜10重量部、または0〜5重量部、または0〜1重量部の界面活性剤と、
0〜50重量部、または0〜40重量部、または0〜30重量部、または0〜20重量部、または0〜10重量部、または0〜5重量部、または0〜1重量部の電解質もしくは塩(イオン性界面活性剤以外)と、
0〜100重量部、または0〜50重量部、または0〜30重量部、または0〜20重量部、または0〜10重量部、または0〜5重量部、または0〜1重量部の酸と、
0〜100重量部、または0〜50重量部、または0〜30重量部、または0〜20重量部、または0〜10重量部、または0〜5重量部、または0〜1重量部の塩基と、をさらに含む。
【0011】
加圧力は、好ましくは、ある期間にわたって少なくとも500バール、または少なくとも800バール、または少なくとも1000バール、または少なくとも1300バール、または少なくとも1500バール、または少なくとも2000バールの圧力を含む。
【0012】
この圧力は、好ましくは、第1の期間にわたって第1の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれ、また、第1の期間の後、第2の期間にわたって第1の圧力よりも高い第2の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれる。
【0013】
本発明の実施形態によると、第2の態様では、クロマトグラフィーカラムを充填する方法であって、クロマトグラフィー媒体粒子をスラリー溶液中に分散させてスラリーを形成することと、スラリーをカラムに導入することによりクロマトグラフィーカラムをクロマトグラフィー媒体粒子で満たすことと、圧力を加えてクロマトグラフィー媒体粒子をクロマトグラフィーカラム内に充填することと、を含む、方法が提供され、この圧力は、第1の期間にわたって第1の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれ、また、第1の期間の後、第2の期間にわたって第1の圧力よりも高い第2の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれる。
【0014】
第1の圧力は、好ましくは、100〜1500バール、または100〜1300バール、または100〜1000バール、または300〜1000バール、または500〜1000バールの範囲内であり、第2の圧力は、好ましくは、1500〜6000バール、または1500〜5000バール、または1500〜4000バール、または1500〜3000バールの範囲内である。第1の圧力は、好ましくは、100〜1500バールの範囲内であり、第2の圧力は、好ましくは、1500〜4000バールまたは1500〜4000バールの範囲内である。
【0015】
第1の期間は、好ましくは、0.1〜100時間、または0.2〜50時間の範囲内であり、第2の期間は、好ましくは、0.1〜100時間、または0.2〜50時間の範囲内である。
【0016】
カラムは、好ましくは、10μm〜5mm、または100μm〜5mmの内径を有し、カラムは、好ましくは、20mm〜10,000mm、または20mm〜1,000mmの長さを有する。クロマトグラフィー媒体粒子は、好ましくは、1〜5μmのメジアン粒径を有し、好ましくは、全体的に多孔質または表面的に多孔質である。
【0017】
別の態様における本発明は、少なくとも500バール、または少なくとも1000バール、または少なくとも1300バール、または少なくとも1500バールの液体圧における操作のための液体クロマトグラフィーカラムを提供し、クロマトグラフィー媒体粒子は、水系スラリー溶液からカラム内に充填されている。このカラムの充填は、好ましくは、本発明の第1の態様に従う。
【0018】
さらに別の態様における本発明は、少なくとも500バール、または少なくとも1000バール、または少なくとも1300バール、または少なくとも1500バールの液体圧における操作のための液体クロマトグラフィーカラムを提供し、第1の期間にわたって第1の圧力で実質的に一定であり、また、第1の期間の後、第2の期間にわたって第1の圧力よりも高い第2の圧力で実質的に一定であり、かつ実質的に一定に保たれる加圧力下で、クロマトグラフィー媒体粒子がスラリー溶液からカラム内に充填されている。このカラムの充填は、好ましくは、本発明の第2の態様に従う。
【0019】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、現時点で好ましい本発明の実施形態を例示し、本明細書と合わせて本発明の特徴を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一充填プロセスを実行するための一装置を概略的に示す。
図2】媒体1(1.5μmの表面的に多孔質のシリカ系C18)粒子が充填された100×2.1mmのカラムでのカラム充填頑強性試験に関する典型的な圧力トレースを示す。
図3】実施例1及び2の水系充填方法(クロマトグラムa)及び溶剤系充填方法(クロマトグラムb)の両方を使用して、2400バールで媒体1(1.5μmの表面的に多孔質のシリカ系C18)粒子が充填された100×2.1mmの2つのカラム間のカラム性能比較を示す。クロマトグラムbに対するピーク形状の相対差を例示する目的で、クロマトグラムaをy軸上で下方に移動させたことに留意されたい。
図4a】水系充填方法を使用して、820バールで媒体1(1.5μmの表面的に多孔質のシリカ系C18)粒子が充填された50×2.1mmのカラム(実施例3)での頑強性試験の前及び後のカラム性能結果(それぞれ、クロマトグラムa及びクロマトグラムb)を示す。クロマトグラムbに対するピーク形状の相対差を例示する目的で、クロマトグラムbをy軸上で上方に移動させたことに留意されたい。
図4b】水系充填方法を使用して、2400バールで媒体1(1.5μmの表面的に多孔質のシリカ系C18)粒子が充填された50×2.1mmのカラム(実施例4)での頑強性試験の前及び後のカラム性能結果(それぞれ、クロマトグラムa及びクロマトグラムb)を示す。ピーク形状の可能性のある差をクロマトグラムaと比較する目的で、クロマトグラムbをy軸上で上方に移動させたことに留意されたい。
図5】実施例1において2400バールで2段階の水系充填方法を使用して、媒体1(1.5μmの表面的に多孔質のシリカ系C18)粒子が充填された100×2.1mmのカラムでの頑強性試験の前及び後のカラム性能結果(それぞれ、クロマトグラムa及びクロマトグラムb)を示す。ピーク形状の可能性のある差をクロマトグラムbと比較する目的で、クロマトグラムaをy軸上で下方に移動させたことに留意されたい。
図6】2400バールで2段階の水系充填方法を使用して、媒体2(1.9μmの多孔質シリカ系C18)粒子が充填された200×2.1mmのカラム(上記の実施例5)での頑強性試験の前及び後のカラム性能結果(それぞれ、クロマトグラムa及びクロマトグラムb)を示す。ピーク形状の可能性のある差をクロマトグラムaと比較する目的で、クロマトグラムbをy軸上で上方に移動させたことに留意されたい。
図7a】実施例6の溶剤系充填方法を使用して、2400バールで媒体2(1.9μmの多孔質シリカ系C18)粒子が充填された150×2.1mmのカラムでの頑強性試験の前及び後のカラム性能結果(それぞれ、クロマトグラムa及びクロマトグラムb)を示す。ピーク形状の可能性のある差をクロマトグラムaと比較する目的で、クロマトグラムbをy軸上で上方に移動させたことに留意されたい。
図7b】実施例7の2段階の水系方法を使用して、2400バールで媒体2(1.9μmの多孔質シリカ系C18)粒子が充填された150×2.1mmのカラムでの頑強性試験の前及び後のカラム性能結果(それぞれ、クロマトグラムa及びクロマトグラムb)を示す。ピーク形状の可能性のある差をクロマトグラムaと比較する目的で、クロマトグラムbをy軸上で上方に移動させたことに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以降、本発明の様々な好ましい特徴、実施形態、及び実施例をより詳細に記載する。
【0022】
第1の態様において本発明は、好ましくは、クロマトグラフィー媒体粒子を、少なくとも50重量%の水を含有するスラリー溶液中に分散させることを含む。カラムを満たすのに十分な重量のクロマトグラフィー媒体粒子が分散される。それにより、スラリーが形成される。スラリー溶液は、好ましくは少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%、または少なくとも99重量%の水を含有する。この水は、好ましくは脱イオン(D.I.)水である。スラリー溶液は、任意選択だが好ましくは1つ以上の添加物を含む。添加物は、界面活性剤、塩などの電解質、酸、及び/または塩基から選択され得る。スラリー溶液は、任意選択により、100重量部の水に基づいて、好ましくは有機溶剤の重量により100重量部以下、50重量部以下、または40重量部以下、または30重量部以下、または20重量部以下、より好ましくは10重量部以下、または5重量部以下、または1重量部以下の量で有機溶剤を含有し得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、スラリー溶液は、100重量%の水を含み得る。したがって、この文脈において溶液という用語は、その厳密な意味で1つ以上の成分を含有する水を意味するだけではなく、いくつかの実施形態では純粋な(100%)水を意味するようにも使用されていることが理解されるであろう。ある特定の好ましい実施形態では、スラリー溶液は、90〜100重量%の水及び0〜10重量%の溶剤を含み得る。
【0024】
水及び任意選択の溶剤に加えて、スラリー溶液は、(100重量部の水に基づいて)
【0025】
0〜50重量部、好ましくは0〜40重量部、より好ましくは0〜30重量部、最も好ましくは0〜20重量部、または0〜10重量部、または0〜5重量部、または0〜1重量部の界面活性剤と、
【0026】
0〜50重量部、好ましくは0〜40重量部、より好ましくは0〜30重量部、最も好ましくは0〜20重量部、または0〜10重量部、または0〜5重量部、または0〜1重量部の電解質もしくは塩(イオン性界面活性剤以外)と、
【0027】
0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部、より好ましくは0〜30重量部、最も好ましくは0〜20重量部、または0〜10重量部、または0〜5重量部、または0〜1重量部の酸と、
【0028】
0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部、より好ましくは0〜30重量部、最も好ましくは0〜20重量部、または0〜10重量部、または0〜5重量部、または0〜1重量部の塩基と、をさらに含み得る。
【0029】
最も好ましくは、界面活性剤、例えば0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは0.1〜30重量部、最も好ましくは0.1〜20重量部、または0.1〜10重量部、または0.1〜5重量部、または0.1〜1重量部の界面活性剤が存在する。
【0030】
好ましいスラリー溶液及び/または充填溶液の組成物の1つは、
【0031】
少なくとも90重量%の水と、100重量部の水に基づいて、
0〜10重量部の有機溶剤と、
0〜10重量部の界面活性剤(特に0.1〜10重量部の界面活性剤)と、
0〜10重量部の電解質または塩と、
0〜10重量部の酸と、
0〜10重量部の塩基と、を含む。
【0032】
別の好ましいスラリー溶液及び/または充填溶液の組成物は、
【0033】
少なくとも95重量%の水と、100重量部の水に基づいて、
0〜5重量部の有機溶剤と、
0〜5重量部の界面活性剤(特に0.1〜1重量部の界面活性剤)と、
0〜5重量部の電解質または塩と、
0〜5重量部の酸と、
0〜5重量部の塩基と、を含む。
【0034】
この溶剤は有機溶剤であり、種類は特に限定されない。好ましくは、溶剤は、以下の一覧:メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン類、シクロヘキサンなどからの1つ以上の溶剤の選択を含む(しかしこれらに限定されない)。
【0035】
添加物は、例えば、酸類、塩基類、界面活性剤類、塩類、またはこれらの物質の任意の組み合わせから選択される任意の1つ以上の添加物であってよい。
【0036】
好ましい酸には、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、硫酸、リン酸類、硝酸、及びクエン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)などが含まれる。
【0037】
好ましい塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、ナトリウム、炭酸カリウムなどが含まれる。
【0038】
好ましい界面活性剤には、異なる分子量を有し得るポリエチレングリコール、デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、アルキルエトキシレート類、Triton X−100(ポリエチレングリコールp−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニルエーテル)、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、が含まれる。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、及び/または両性の界面活性剤であってよい。
【0039】
好ましい塩類には、NaCl、KCl、リン酸ナトリウム類及び/またはリン酸カリウム類、硫酸ナトリウム類及び/または硫酸カリウム類、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムなどが含まれる。
【0040】
したがって、本発明は水系スラリー溶液及び充填溶液を使用するカラム充填方法を提供することが分かる。スラリー溶液及び充填溶液は、各々独立して、
純水か、
記載されたような添加物を含有する水溶液か、
含水量が混合物の少なくとも50重量%である、水と溶剤との混合物か、または
含水量が混合物の少なくとも50重量%であり、記載されたような添加物をさらに含有する、水と溶剤との混合物、であってよい。
【0041】
好ましくは第1の態様と組み合わせられる第2の態様において本発明は、好ましくは、第1の圧力で行われる第1の充填段階(すなわち「第1の充填」)、続いて、第1の圧力よりも高い第2の圧力で行われる第2の充填段階(すなわち「第2の充填」)を含む。このように、本発明は、2段階または少なくとも2段階の充填プロセスを提供する。このプロセスは、図1を参照することにより一実施形態に例示される。圧力下での充填、例えば第1の充填段階の前に、本方法は好ましくは、HPLCまたはUHPLCカラムなどの空のカラム本体(2)の一端部(4)を、充填リザーバー(6)に、任意選択によりアダプタ(8)を介して取り付けることを含み、このカラムは、媒体をカラム内に保持するように他方の端部上に装着される端部装着具(10)を(好ましくはフリットなどの媒体支持体と合わせて)有する。本明細書においてこの配置は、充填ステーション、または(このような配置が2つ以上使用される場合)第1の充填ステーションと称される。カラムは、好ましくは、下端部上の端部装着具(10)、及び上端部(4)に取り付けられた充填リザーバー(6)と実質的に垂直に位置付けられる。好ましくは本方法は、好ましくは本明細書に記載されるスラリーであるが必ずしもそうではない、クロマトグラフィー媒体粒子を含有する調製されたスラリーを、充填リザーバー(6)内に移送すること、続いて、本明細書において「充填溶液」または「後押し用溶液(push solution)」と称される溶液、例えばさらなるスラリー溶液(例えば、クロマトグラフィー媒体粒子を実質的に含まない溶液単独)をつぎ足すことをさらに含む。後押し用溶液は、さらなるリザーバー(12)から充填リザーバー(6)に供給されてもよい。それによって、充填リザーバーからのスラリーがカラム(2)を満たす。あるいは、スラリー移送プロセスを省くために、スラリーを充填リザーバー内で形成してもよい。媒体を含有するスラリー溶液及び充填溶液の両方が、好ましくは水系である、すなわち、少なくとも50重量%の水、好ましくは前述の量の水及び他の成分を含有する。しかしながら、この2段階または少なくとも2段階の充填プロセスは、溶剤系スラリーのカラム充填にも有益であり得る。
【0042】
その場合本方法は、好ましくは、典型的にはポンプ(14)の手段によりカラム(2)及びリザーバー(6)内のスラリーに圧力を加えて充填を開始させること(すなわち、第1の充填段階)により進行する。この方法で、スラリー溶液がカラムにポンプで通され、スラリーからの媒体粒子が、カラムの他方の端部(10)、すなわちスラリーが導入される端部の他方の端部上の、フリットなどの媒体支持体によりカラム内に保持される。圧力は、好ましくは、緩徐から高速への圧力勾配を含む圧力勾配を用いて第1の充填段階において加えられる。媒体粒子を含むスラリーがカラム内に充填されるにつれて、充填溶液がさらなる圧力を粒子に加える。この圧力は、好ましくは、上昇して第1の圧力に到達した後、第1の充填時間にわたって第1の圧力に保たれる。第1の圧力は、好ましくは、100〜1500バール、または100〜1300バール、より好ましくは100〜1000バール、または300〜1000バール、または500〜1000バールの範囲内である。いくつかの実施形態では、第1の充填圧力は、600〜900バール、または700〜900バールの範囲内である。第1の充填時間(第1の圧力が加えられる時間)は、好ましくは、0.1〜100時間、より好ましくは0.2〜50時間、最も好ましくは0.3〜48時間の範囲内である。
【0043】
第1の充填段階の後に、特に、より高い第2の充填段階の圧力に充填リザーバーが耐えることができない場合、カラムが充填リザーバーから切り離され、より高い圧力が加えられ得る第2の充填ステーションに移動させられ、カラムが第2の段階のためにポンプ及び後押し用溶液の供給源に直接接続されることが好ましい。第2の充填ステーションに使用されるポンプは、第1の充填段階に使用されるポンプと同じか、または異なっていてもよい。第2の段階のための他の充填ステーションにカラムを移動させる前に、カラムから圧力が解放される。次いで、カラムは、さらなる充填のために他の充填ステーションに移動させられ得る。しかしながら、より高い圧力、例えば第2の充填段階で使用されるUHPLC圧力に充填リザーバーが耐え得る場合、第2の圧力は、第1の段階で、かつ好ましくは圧力を実質的に低下させることなく加えられ得る。
【0044】
本方法は、好ましくは、第2の圧力を加えること(1つのステーション上で充填が行われる場合、好ましくは、第1の圧力から第2の圧力に到達するように上昇させることによる)、及び第2の充填時間にわたって第2の圧力に保つことにより進行する。第2の圧力は、好ましくは、200〜6000バール、より好ましくは200〜5000バール、または200〜4000バール、最も好ましくは500〜4000バールまたは500〜3000バールの範囲内である。いくつかの実施形態では、第2の圧力は、好ましくは、1500〜6000バール、より好ましくは1500〜5000バール、または1500〜4000バール、最も好ましくは1500〜4000バールまたは1500〜3000バールの範囲内である。いくつかの実施形態では、第2の充填圧力は、2000〜4000バール、または2000〜3000バールの範囲内である。第2の充填時間(第2の圧力が加えられる時間)は、好ましくは、0.1〜100時間、より好ましくは0.2〜50時間の範囲内である。好ましくは、第2の充填圧力は、使用中のカラムの最大操作圧超である。第2の段階は、UHPLC条件における繰り返しの使用に対して媒体粒子の充填層を安定化させる際に重要な役割を果たすことが見出された。任意選択により、第3の充填段階などが、好ましくは以前の(第2の)段階よりもなお高い圧力における第3の充填圧力で、第3の充填時間などにわたって行われてもよい。第3の充填圧力は、例えば、300〜6000バール、または500〜5000バール、または500〜4000バールの範囲内であってよい。これらの充填ステップは、同じ充填ステーションまたは異なる充填ステーション上で行われてよい。充填プロセス(第1及び第2の段階)は、室温または周囲温度、最大約80摂氏度で行われ得る。
【0045】
充填後、カラムに、第1の装着具のそれ他方の端部において第2の端部装着具を(好ましくはフリットなどの媒体支持体と合わせて)装着し、クロマトグラフィー性能を試験することができる。充填されたカラムは、好ましくは、使用前に洗浄に供される。
【0046】
本発明の方法により生産されるHPLC及びUHPLCカラム製品は、400〜2000バールの圧力下で、好ましくは1000超、または1300超、または1500バール超の操作圧で操作され得る。カラム本体は典型的には管状であり、充填され得る典型的なカラムの内径は、10μm〜5mm、または100μm〜5mm、または1mm〜5mmであってよい。充填され得る典型的なカラムの長さは、20mm〜10,000mm、または20mm〜1,000mm、または20mm〜500mm、または20mm〜200mm、または50mm〜150mmであってよい。好ましくは、カラム寸法は、xが0.05〜10mmであり、yが20〜1000mmである、任意の組み合わせの内径xmm×長さymmであってよい。カラム本体は、典型的には鋼カラム、通常はステンレス鋼である。
【0047】
クロマトグラフィー媒体は、好ましくは微粒子媒体であり、媒体の粒子は典型的かつ好ましくは実質的に球状であるが、いくつかの実施形態では形状が不規則であってもよい。該粒子は、狭い粒度分布を有するのが好ましい。
【0048】
媒体粒子は、多孔質(全体的に、すなわちバルク多孔質の)粒子、表面的に多孔質の粒子、または非多孔質粒子であってよい。該粒子は、シリカ及び/または金属酸化物であってよい。該粒子は、好ましくは、シリカ、シリカ−有機ハイブリッド、または有機ポリマー粒子のうち任意の1つ以上から選択される。
【0049】
ある特定の実施例では、該粒子は、本質的に「単分散性」または本質的に「均一分散性(homodisperse)」であり、これは、粒子の過半数(例えば、粒子の80、90、または95%)の粒径が、メジアン粒径(D50)を下回ってまたはそれを超えて実質的に変動しない(例えば、10%以上変動しない)ことを示す。例示的な単分散性粒子集団では、粒子の90%が、約0.9×D50〜約1.1×D50の平均粒径を有する。これは、クロマトグラフィー用途に有益である。単分散の粒子が好ましいが、より広い粒径分布を有する粒子は多くの用途で有用であり得る。
【0050】
クロマトグラフィー媒体の粒子は、典型的には、好ましくはメジアン粒径が0.1μm以上のミクロ粒子である。より好ましくは、該粒子は、直径0.1〜100μm、もしくは0.1〜50μm、もしくは0.1〜20μm、またはさらにより好ましくは直径0.1〜10μm、もしくは0.1〜5μm、もしくは直径0.1〜3μm、またはより一層好ましくは直径0.1〜2μm、特に0.2〜5μm、もしくは0.2〜3μm、もしくは0.2〜2μm、もしくは0.5〜5μm、もしくは0.5〜3μm、もしくは0.5〜2μm、もしくは1〜5μm、もしくは1〜3μm、または最も好ましくは直径1〜2μmである。
【0051】
クロマトグラフィー媒体の粒子は、多孔質粒子(全体的に多孔質、すなわちバルク多孔質、もしくは表面的に多孔質の粒子を含む)、または非多孔質粒子であってよい。
【0052】
クロマトグラフィー媒体として多孔質粒子が使用されるとき、粒子の細孔は任意の大きさであってよい。公称の細孔径は、典型的には、オングストローム(10-10m、Å)の単位の直径として測定される。細孔径分布(PSD)は、BJH(Barrett Joyner−Halenda)方法を使用して吸着データから計算され、平均細孔径(WBJH)は、PSDの最大値と定義される。一例では、細孔の平均径すなわち直径は、約1〜約5000Å、特に約50〜約5000Åである。別の例では、細孔の平均直径は、約10〜約5000Å、約10〜約4000Å、約10〜約3000Å、約10〜約2000Å、約10〜約1000Å、約10〜約800Å、約10〜約600Å、約10〜約500Å、約10〜約400Å、約10〜約300Å、約10〜約200Å、約10〜約100Å、約20〜約2000Å、約20〜約1000Å、約20〜約500Å、約20〜約300Å、約20〜約200Å、約20〜約100Å、約30〜約2000Å、約30〜約1000Å、約30〜約500Å、約30〜約300Å、約30〜約200Å、約30〜約100Å、約40〜約2000Å、約40〜約1000Å、約40〜約500Å、約40〜約300Å、約40〜約200Å、約40〜約100Å、約50〜約2000Å、約50〜約1000Å、約50〜約500Å、約50〜約300Å、約50〜約200Å、約50〜約100Å、約60〜約2000Å、約60〜約1000Å、約60〜約500Å、約60〜約300Å、約60〜約200Å、約60〜約100Å、約70〜約2000Å、約70〜約1000Å、約70〜約500Å、約70〜約300Å、約70〜約200Å、約70〜約100Å、約80〜約2000Å、約80〜約1000Å、約80〜約500Å、約80〜約300Å、約80〜約200Å、約100〜約200Å、約100〜約300Å、約100〜約400Å、約100〜約500Å、約200〜約500Å、または約200〜約600Åである。好ましくは、平均細孔径(直径)は、約30〜約2000Å、より好ましくは約80〜約1000Åである。最も好ましくは、平均細孔径(直径)は、約80〜約300Åである。
【0053】
多孔質微粒子クロマトグラフィー媒体の(BET)比表面積は、典型的には約0.1〜約2,000m2/g、最も典型的には約0.1〜約1,000m2/gである。例えば、微粒子材料の比表面積は、約1〜約1,000m2/g、約1〜約800m2/g、約1〜約600m2/g、約1〜約500m2/g、約1〜約400m2/g、約1〜約200m2/g、または約1〜約100m2/gである。別の例では、材料の比表面積は、約10〜約1,000m2/g、約10〜約800m2/g、約10〜約600m2/g、約10〜約500m2/g、約10〜約400m2/g、約10〜約200m2/g、または約10〜約100m2/gである。別の例では、材料の比表面積は、約50〜約1,000m2/g、約50〜約800m2/g、約50〜約600m2/g、約50〜約500m2/g、約50〜約400m2/g、約50〜約200m2/g、または約50〜約100m2/gである。好ましくは、微粒子材料の比表面積は、約1〜約500m2/g、または約10〜約500m2/g(特に約50〜約500m2/g)である。別の例では、比表面積はより好ましくは約10〜約100m2/gである。
【0054】
非多孔質粒子の場合、比表面積は好ましくは約0.5〜10m2/gである。非多孔質粒子の場合、メジアン粒径は、好ましくは、0.1〜5μm、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.1〜2μmである。
【0055】
本発明のカラム充填方法は、以下のいずれをも含むがこれらに限定されない、異なる種類の微粒子クロマトグラフィー媒体に適用され得る:
逆相媒体(疎水性表面)
HILICまたは順相媒体(親水性表面)
イオン交換相媒体(荷電表面)
荷電表面と組み合わさった混合モード相媒体(疎水性(または親水性)。
【0056】
本発明により生産される液体クロマトグラフィーカラムは、好ましくは、高圧及び超高圧における繰り返しの使用に対して高い頑強性を有する。カラム効率(1メートル当たりの理論段数、N/m)は、好ましくは、カラムに加えられる圧力を2分間0バールと3分間1500バールとの間で100回往復させる頑強性試験の後に10%未満変化する。ピークテーリング係数は、好ましくは、頑強性試験の後に15%未満変化する(典型的には上昇する)。背圧は、好ましくは、頑強性試験の後に10%未満変化する(典型的には上昇する)。
【実施例】
【0057】
一般的手順
以降、カラムを充填するための例示的な一般的手順、続いて具体的な実施例を記載する。これらは本発明の範囲に対して非限定的である。
【0058】
好ましくは、全体的に多孔質または表面的に多孔質の微粒子クロマトグラフィー媒体が充填に使用される。
【0059】
ステップ1:0.2μmまたは0.5μmのフリットなどのフリットを有するカラム本体と、一端部上の端部装着具とを組み立て、他方の端部を、充填ポンプに接続されているカラム充填リザーバーに接続されたアダプタに取り付ける。このカラムを、カラムの下端部上の端部装着具、ならびに上端部上のアダプタ及びカラム充填リザーバーと垂直に位置付ける。この充填ポンプは、好適には、定圧ポンプまたは定流量ポンプであってよい。この充填ポンプは、水系、または、メタノール、イソ−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン類、及びその他、ならびにこれらのうち任意の2つ以上の混合物などの有機溶剤系であってよい充填溶液すなわち後押し用溶液を含むボトルまたはリザーバーを備える。しかしながら、本発明の態様に従って、水系の後押し用溶液、例えば、純水;界面活性剤、塩、酸、及び/もしくは塩基などの添加物を含有する水溶液;水と溶剤との混合物(水は少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも90重量%である);または、溶剤と、酸、塩基、界面活性剤、及び/もしくは塩などの添加物を含有する水溶液との混合物(水は混合物の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも90重量%である)のうちの1つなどを使用することが好ましい。
【0060】
ステップ2:クロマトグラフィー媒体粒子の適量、すなわちカラムを満たすための量を測定する。該粒子は、多孔質、表面的に多孔質、または非多孔質であってよい。該粒子は、純シリカ、有機−シリカハイブリッド、金属酸化物、有機ポリマー系粒子から選択されるべきである。粒径は、0.5〜10μm、好ましくは1〜5μm、最も好ましくは1〜2μmであるべきである。次いで、媒体粒子は、不均一分散のスラリーが得られるまでスラリー溶液中に分散され得る。スラリー溶液は、水系、または、メタノール、イソ−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン類、及びその他、ならびにこれらのうち任意の2つ以上の混合物などの有機溶剤系であってよい。しかしながら、本明細書に記載される態様に従って、水系の後押し用溶液、例えば、純水;界面活性剤、塩、酸、及び/もしくは塩基などの添加物を含有する水溶液;水と溶剤との混合物(この混合物は少なくとも50重量%水、好ましくは少なくとも90重量%水である);または、溶剤と、酸、塩基、界面活性剤、及び/もしくは塩などの添加物を含有する水溶液との混合物(この混合物は少なくとも50重量%水、好ましくは少なくとも90重量%水である)のうちの1つなどを使用することが好ましい。
【0061】
ステップ3:ステップ2から得られたスラリーを、充填リザーバーの底部に空のカラムが取り付けられている充填リザーバー内に注ぐ。粒子のスラリーは、この段階で(すなわち、ポンプ圧が加えられる前に)、重力によって空のカラム内に落ちる。次いで、充填リザーバーはキャップで閉じられ得る。
【0062】
ステップ4−第1の充填段階:選択された第1の圧力を加えるように制御された充填ポンプを用い、後押し用溶液を充填リザーバー及びカラム充填物に押し通し、この圧力を、ある特定の期間にわたって、選択された圧力で一定に保つ。十分に充填された層を形成するために、100〜1500バールの範囲内で選択された圧力が加えられる。選択された圧力は、急激または緩やかな圧力変化であり得る圧力勾配によって到達され、次いで、到達された選択された圧力を、20分間〜48時間(好ましくは2〜25時間、または5〜10時間、例えば約15時間)の範囲内の期間にわたって保つことが続く。
【0063】
ステップ5−第2の充填段階:充填ポンプを用い、より高い第2の圧力を加えて、後押し用溶液を充填リザーバー及びカラム充填物に押し通す。これは、カラム内の充填層をさらに安定化させることが見出された。より高い第2の圧力は、200〜4000バールの範囲内であるべきであり、充填圧力をより高い圧力に上昇させること、続いて、この圧力を、20分間〜48時間(好ましくは0.5〜25時間、特に0.5〜5時間、または0.5〜1時間)の範囲内のある特定の期間にわたって、より高い第2の圧力で一定に保つことによって到達される。
【0064】
ステップ6:この圧力を解放し、カラムを係脱し、フリット及び端部装着具をカラムの他方の端部上に置く。
【0065】
ステップ7:充填されたカラムを、洗浄溶剤または溶液で、例えばアセトニトリルで洗浄し、次いで、好ましくは使用及び/または試験前に移動相で洗浄する。
【0066】
以下の実施例では、2種類のクロマトグラフィー媒体をカラム内に充填した。
媒体1:1.5μmの表面的に多孔質のシリカ系C18粒子、及び
媒体2:1.9μmの全体的に多孔質のシリカ系C18粒子。
【0067】
実施例1−水系充填方法を使用して媒体1を100×2.1mmのカラム内に充填する
0.45gの媒体1粒子を、20mLのスラリー溶液(重量比により0.5:0.5:99のドデシル硫酸ナトリウム/エタノール/水)中に懸濁させた。得られたスラリーを、下端部に第1のフリット及び端部装着具が装着された100×2.1mmのブランクカラムに取り付けられた充填リザーバー内に注いだ。リザーバーキャップを閉じた後、後押し用溶液として水を用いて、圧力を600〜1000バールの範囲に上昇させた。この充填圧力を2〜24時間にわたって同じ圧力(800バール)に保った後、この充填圧力を1500〜3000バールの範囲に上昇させ、0.5〜24時間にわたって同じ圧力(2400バール)に保った。この圧力を解放し、第2のフリット及び端部装着具を充填リザーバーの代わりにカラム上で組み立てた。このカラムを、20カラム体積の100%のアセトニトリルで洗浄した。カラム性能を試験し、試験結果を図3aのクロマトグラムaに示す(クロマトグラフィー性能)。カラムを頑強性試験に供する前及び後にもカラム性能を試験し、これを、それぞれ図5のクロマトグラムa及びbに示す(頑強性)。
【0068】
実施例2−溶剤系充填方法を使用して媒体1を100×2.1mmのカラム内に充填する
0.45gの媒体1粒子を、20mLのスラリー溶液(重量比により10:90のメタノール/クロロホルム)中に懸濁させた。得られたスラリーを、下端部に第1のフリット及び端部装着具が装着された100×2.1mmのブランクカラムに取り付けられた充填リザーバー内に注いだ。リザーバーキャップを閉じた後、後押し用溶液としてメタノールを用いて、圧力を600〜1000バールの範囲に上昇させた。この充填圧力を2〜24時間にわたって同じ圧力(800バール)に保った後、この充填圧力を1500〜3000バールの範囲に上昇させ、0.5〜24時間にわたって同じ圧力(2400バール)に保った。この圧力を解放し、第2のフリット及び端部装着具を充填リザーバーの代わりにカラム上で組み立てた。このカラムを、20カラム体積の100%のアセトニトリルで洗浄した。次いで、カラム性能を試験し、試験結果を図3のクロマトグラムbに示す。
【0069】
行ったクロマトグラフィー試験評価(カラム性能試験)及びカラム頑強性試験評価の詳細を以下に提示する。
【0070】
実施例3 820バールで水系充填方法を使用して媒体1を50×2.1mmのカラム内に充填する
0.25gの媒体1粒子を、20mLのスラリー溶液(重量比により0.25:0.25:95.5のドデシル硫酸ナトリウム/エタノール/水)中に懸濁させた。得られたスラリーを、50×2.1mmのブランクカラムに取り付けられた充填リザーバー内に注いだ。リザーバーキャップを閉じた後、後押し用溶液として水を用いて、圧力を600〜1000バールの範囲に上昇させた。この充填圧力を2〜24時間(この実施例では15時間)にわたって同じ圧力(820バール)に保った後、この圧力を開放し、フリット及び端部装着具を充填リザーバーの代わりにカラム上で組み立てた。このカラムを、20カラム体積の100%のアセトニトリルで洗浄した。カラムを頑強性試験に供する前及び後にもカラム性能を試験し、これを、それぞれ図4aのクロマトグラムa及びbに示す。
【0071】
実施例4 2400バールで水系充填方法を使用して媒体1を50×2.1mmのカラム内に充填する
0.25gの媒体1粒子を、20mLのスラリー溶液(重量比により0.25:0.25:99.5のドデシル硫酸ナトリウム/エタノール/水)中に懸濁させた。得られたスラリーを、50×2.1mmのブランクカラムに取り付けられた充填リザーバー内に注いだ。リザーバーキャップを閉じた後、後押し用溶液として水を用いて、圧力を600〜1000バールの範囲に上昇させた。この充填圧力を2〜24時間(この実施例では15時間)にわたって同じ圧力(800バール)に保った後、この充填圧力を1500〜3000バールの範囲に上昇させ、0.5〜24時間(この実施例では1時間)にわたって同じ圧力(2400バール)に保った。次いで、この圧力を解放し、フリット及び端部装着具をカラム上で組み立てた。このカラムを、20カラム体積の100%のアセトニトリルで洗浄した。カラムを頑強性試験に供する前及び後にもカラム性能を試験し、これを、それぞれ図4bのクロマトグラムa及びbに示す。
【0072】
実施例5−2段階の水系充填方法を使用して2400バールで媒体2を200×2.1mmのカラム内に充填する
0.60gの媒体2粒子を、20mLのスラリー溶液(重量比により0.5:0.25:99.25のドデシル硫酸ナトリウム/エタノール/水)中に懸濁させた。得られたスラリーを、200×2.1mmのブランクカラムに取り付けられた充填リザーバー内に注いだ。リザーバーキャップを閉じた後、後押し用溶液として水を用いて、圧力を600〜1000バールの範囲に上昇させた。この充填圧力を2〜24時間(15時間)にわたって同じ圧力に保った後、この充填圧力を1500〜3000バールの範囲に上昇させ、0.5〜24時間(1時間)にわたって同じ圧力に保った。次いで、この圧力を解放し、フリット及び端部装着具をカラム上で組み立てた。このカラムを、20カラム体積の100%のアセトニトリルで洗浄した。カラムを頑強性試験に供する前及び後にもカラム性能を試験し、これを、それぞれ図6のクロマトグラムa及びbに示す。
【0073】
実施例6−2段階の溶剤系充填方法を使用して2400バールで媒体2を150×2.1mmのカラム内に充填する
0.42gの媒体2粒子を、20mLのスラリー溶液(重量比により10:90のメタノール/クロロホルム)中に懸濁させた。得られたスラリーを、150×2.1mmのブランクカラムに取り付けられた充填リザーバー内に注いだ。リザーバーキャップを閉じた後、後押し用溶液としてメタノールを用いて、圧力を600〜1000バールの範囲に上昇させた。この充填圧力を2〜24時間にわたって同じ圧力に保った後、この充填圧力を1500〜3000バールの範囲に上昇させ、0.5〜24時間にわたって同じ圧力に保った。次いで、この圧力を解放し、フリット及び端部装着具をカラム上で組み立てた。このカラムを、20カラム体積の100%のアセトニトリルで洗浄した。カラムを頑強性試験に供する前及び後にもカラム性能を試験し、これを、それぞれ図7aのクロマトグラムa及びbに示す。
【0074】
実施例7−2段階の水系充填方法を使用して2400バールで媒体2(1.9μmの全体的に多孔質のシリカ系C18)粒子を150×2.1mmのカラム内に充填する
0.42gの媒体2粒子を、20mLのスラリー溶液(重量比により0.5:0.25:97.25のドデシル硫酸ナトリウム/エタノール/水)中に懸濁させた。得られたスラリーを、150×2.1mmのブランクカラムに取り付けられた充填リザーバー内に注いだ。リザーバーキャップを閉じた後、後押し用溶液として水を用いて、圧力を600〜1000バールの範囲に上昇させた。この充填圧力を2〜24時間にわたって同じ圧力に保った後、この充填圧力を1500〜3000バールの範囲に上昇させ、0.5〜24時間にわたって同じ圧力に保った。次いで、この圧力を解放し、フリット及び端部装着具をカラム上で組み立てた。このカラムを、20カラム体積の100%のアセトニトリルで洗浄した。カラムを頑強性試験に供する前及び後にもカラム性能を試験し、これを、それぞれ図7bのクロマトグラムa及びbに示す。
【0075】
クロマトグラフィー試験評価
カラム性能試験
中性の疎水性プローブ(o−キシレン)を用いて、効率及びピークテーリング係数についてカラム性能を査定した。クロマトグラフィー条件は、以下に提示されるとおりであった。
【0076】
カラム:媒体1(1.5μmの表面的に多孔質のシリカ系C18)
寸法:2.1×50mm、2.1×100mm、及び2.1×150mm
移動相:MeCN/H2O=50/50(v/v)
温度:30℃
流速:0.40mL/分
注入体積:1μL
検出:UV(254nm)
【0077】
試料組成:
1.テオフィリン(0.008mg/mL
2.o−ニトロアニリン(0.025mg/mL)
3.安息香酸メチル(0.18mg/mL)
4.フェネトール(0.30mg/mL)
5.o−キシレン(0.48mg/mL)
【0078】
カラム:媒体2(1.9μmの全体的に多孔質のシリカ系C18)
寸法:2.1×50mm、2.1×100mm、2.1×150−mm、及び2.1×200−mm
移動相:MeCN/H2O=50/50(v/v)
温度:30℃
流速:0.50mL/分
注入体積:1μL
検出:UV(254nm)
【0079】
試料組成:
1.テオフィリン(0.032mg/mL
2.o−ニトロアニリン(0.10mg/mL)
3.安息香酸メチル(0.71mg/mL)
4.フェネトール(01.2mg/mL)
5.o−キシレン(1.92mg/mL)
【0080】
それぞれの媒体についてのカラム性能試験の結果を、図3、4a、4b、5、6、7a、及び7bに示す。
【0081】
カラム充填頑強性評価(UHPLC条件模擬実験)
カラム充填の質を、以下の方法によって査定した。
【0082】
1.新たに充填されたカラム上でカラム性能試験を行った。
【0083】
2.1500バールの定格圧力のUHPLC機器上で、カラム圧力を、0(2分間保持)と1500バール(3分間保持)との間で100回往復させた。図2は、典型的な圧力トレースを示す。
【0084】
3.このカラム性能試験を繰り返した。
【0085】
この頑強性試験の特定条件は次のとおりであった。
【0086】
カラム:媒体1(表面的に多孔質のC18、1.5μm)
寸法:2.1×100mm
移動相:50/50のA:B
A:水
B:アセトニトリル
温度:30℃
試料:なし
注入体積:なし
検出:圧力(バール)
流速:3分間1500バールにおいて各回0.675mL/分、
2分間0バールにおいて0mL/分
(100回;図1に示される10)
【0087】
図2は、媒体1(1.5μmの表面的に多孔質のシリカ系C18)粒子が充填された100×2.1mmのカラムでのカラム充填頑強性試験に関する典型的な圧力トレースを示す。
【0088】
図3は、実施例1及び2の水系充填方法及び溶剤系充填方法の両方を使用して、2400バールで媒体1(1.5μmの表面的に多孔質のシリカ系C18)粒子が充填された100×2.1mmの2つのカラム間のカラム性能比較を示す。水性充填方法が、著しいテーリングが見られる溶剤充填と比較して改善された充填の質を提供することは明らかである。
【0089】
図4a及び4bは、水系充填方法を使用して、820バール(上記の実施例3)及び2400バール(上記の実施例4)で媒体1(1.5μmの表面的に多孔質のシリカ系C18)粒子が充填された2つの50×2.1mmのカラムでの頑強性試験の前及び後のカラム性能結果を示す。両方のカラムが良好な性能試験結果を最初は示すが、続く頑強性試験は、より低い圧力での1段階充填には重度のピーク分裂があるのに対して、より高い圧力(2400バール)での圧密ステップを用いて充填されたカラムが、カラム効率の減少が3%未満である優れたカラム充填の質をもたらすことを明らかにする。
【0090】
図5は、2400バールで2段階の水系充填方法を使用して、媒体1(1.5μmの表面的に多孔質のシリカ系C18)粒子が充填された100×2.1mmのカラム(上記の実施例1)での頑強性試験の前及び後のカラム性能結果を示す。長期間にわたり0〜1500バールの間を変動した後、カラム性能は良好なままである(例えば、効率の減少が10%未満である)。
【0091】
図6は、2400バールで2段階の水系充填方法を使用して、媒体2(1.9μmの多孔質シリカ系C18)粒子が充填された200×2.1mmのカラム(上記の実施例5)での頑強性試験の前及び後のカラム性能結果を示す。長期間にわたり0〜1500バールの間を変動した後、カラム性能は良好なままである。
【0092】
図7a及び7bは、2段階の溶剤系充填方法(図7aのクロマトグラムa及びb)及び水系充填方法(図7bのクロマトグラムa及びb)を使用して、2400バールで媒体2(1.9μmの多孔質シリカ系C18)粒子が充填された150×2.1mmの2つのカラム(それぞれ実施例6及び7)での頑強性試験の前及び後のカラム性能結果を示す。両方のカラムが良好な性能試験結果を最初は示すが、続く頑強性試験は、溶剤充填で充填されたカラム(頑強性試験後に35%の効率損失)と比較して、水性充填方法で充填されたカラムが、カラム効率の減少が4%未満である優れたカラム充填の質をもたらしたことを明らかにした。
【0093】
さらなる実験データを以下の表1に提供する。
【表1】
【0094】
上記の説明から、本発明が以下の番号の条項に従って提供され得ることが分かる。
【0095】
クロマトグラフィーカラムを充填する方法であって、
クロマトグラフィー媒体粒子を水系スラリー溶液中に分散させてスラリーを形成することと、
スラリーをカラムに導入することによってクロマトグラフィーカラムをクロマトグラフィー媒体粒子で満たすことと、
圧力を加えてクロマトグラフィー媒体粒子をクロマトグラフィーカラム内に充填することと、を含む、方法。
【0096】
水系スラリー溶液が、100重量%水、または少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%、または少なくとも99重量%水である、条項iに記載の方法。
【0097】
水系スラリー溶液が、100重量部の水に基づいて、100重量部以下、50重量部以下、または40重量部以下、または30重量部以下、または20重量部以下、または10重量部以下、または5重量部以下、または1重量部以下の有機溶剤の量で、有機溶剤を含有する、任意の前項に記載の方法。
【0098】
水系スラリー溶液が、100重量部の水に基づいて、
0〜50重量部、または0〜40重量部、または0〜30重量部、または0〜20重量部、または0〜10重量部、または0〜5重量部、または0〜1重量部の界面活性剤と、
0〜50重量部、または0〜40重量部、または0〜30重量部、または0〜20重量部、または0〜10重量部、または0〜5重量部、または0〜1重量部の電解質もしくは塩(イオン性界面活性剤以外)と、
0〜100重量部、または0〜50重量部、または0〜30重量部、または0〜20重量部、または0〜10重量部、または0〜5重量部、または0〜1重量部の酸と、
0〜100重量部、または0〜50重量部、または0〜30重量部、または0〜20重量部、または0〜10重量部、または0〜5重量部、または0〜1重量部の塩基と、をさらに含む、任意の前項に記載の方法。
【0099】
加圧力が、ある期間にわたって少なくとも500バール、または少なくとも800バール、または少なくとも1000バール、または少なくとも1300バール、または少なくとも1500バール、または少なくとも2000バールの圧力を含む、任意の前項に記載の方法。
【0100】
圧力が、第1の期間にわたって第1の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれ、また、第1の期間の後、第2の期間にわたって第1の圧力よりも高い第2の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれる、任意の前項に記載の方法。
【0101】
第1の圧力が、100〜1500バール、または100〜1300バール、または100〜1000バール、または300〜1000バール、または500〜1000バールの範囲内であり、第2の圧力が、1500〜6000バール、または1500〜5000バール、または1500〜4000バール、または1500〜3000バールの範囲内である、任意の前項に記載の方法。
【0102】
第1の圧力が、100〜1500バールの範囲内であり、第2の圧力が、1500〜4000バールまたは1500〜4000バールの範囲内である、任意の前項に記載の方法。
【0103】
第1の期間が、0.1〜100時間、または0.2〜50時間の範囲内であり、第2の期間が、0.1〜100時間、または0.2〜50時間の範囲内である、任意の前項に記載の方法。
【0104】
カラムが、10μm〜5mm、または100μm〜5mmの内径を有し、カラムが、20mm〜10,000mm、または20mm〜1,000mmの長さを有する、任意の前項に記載の方法。
【0105】
クロマトグラフィー媒体粒子が、1〜5μmのメジアン粒径を有し、全体的に多孔質または表面的に多孔質である、任意の前項に記載の方法。
【0106】
クロマトグラフィーカラムを充填する方法であって、
クロマトグラフィー媒体粒子をスラリー溶液中に分散させてスラリーを形成することと、
スラリーをカラムに導入することによってクロマトグラフィーカラムをクロマトグラフィー媒体粒子で満たすことと、
圧力を加えてクロマトグラフィー媒体粒子をクロマトグラフィーカラム内に充填することと、を含み、この圧力が、第1の期間にわたって第1の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれ、また、第1の期間の後、第2の期間にわたって第1の圧力よりも高い第2の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれる、方法。
【0107】
第1の圧力が、100〜1500バール、または100〜1300バール、または100〜1000バール、または300〜1000バール、または500〜1000バールの範囲内であり、第2の圧力が、1500〜6000バール、または1500〜5000バール、または1500〜4000バール、または1500〜3000バールの範囲内である、条項xiiに記載の方法。
【0108】
第1の圧力が、100〜1500バールの範囲内であり、第2の圧力が、1500〜4000バールまたは1500〜3000バールの範囲内である、条項xii〜xiiiのいずれかに記載の方法。
【0109】
第1の期間が0.1〜100時間の範囲内であり、第2の期間が0.1〜100時間の範囲内である、条項xii〜xivのいずれかに記載の方法。
【0110】
カラムが、10μm〜5mm、または100μm〜5mmの内径を有し、カラムが、20mm〜10,000mm、または20mm〜1,000mmの長さを有する、条項xii〜xvのいずれかに記載の方法。
【0111】
クロマトグラフィー媒体粒子が、1〜5μmのメジアン粒径を有し、全体的に多孔質または表面的に多孔質である、条項xii〜xviのいずれかに記載の方法。
【0112】
少なくとも500バール、または少なくとも1000バール、または少なくとも1300バール、または少なくとも1500バールの液体圧における操作のための液体クロマトグラフィーカラムであって、クロマトグラフィー媒体粒子が、水系スラリー溶液からカラム内に充填されている、液体クロマトグラフィーカラム。
【0113】
第1の期間にわたって第1の圧力で実質的に一定であり、また、第1の期間の後、第2の期間にわたって第1の圧力よりも高い第2の圧力で実質的に一定であり、かつ実質的に一定に保たれる加圧力下で、クロマトグラフィー媒体粒子が水系スラリー溶液からカラム内に充填されている、条項xviiiに記載の液体クロマトグラフィーカラム。
【0114】
少なくとも500バール、または少なくとも1000バール、または少なくとも1300バール、または少なくとも1500バールの液体圧における操作のための液体クロマトグラフィーカラムであって、第1の期間にわたって第1の圧力で実質的に一定であり、また、第1の期間の後、第2の期間にわたって第1の圧力よりも高い第2の圧力で実質的に一定であり、かつ実質的に一定に保たれる加圧力下で、クロマトグラフィー媒体粒子がスラリー溶液からカラム内に充填されている、液体クロマトグラフィーカラム。
【0115】
カラム効率(1メートル当たりの理論段数、N/m)が、カラムに加えられる圧力が2分間0バールと3分間1500バールとの間で100回往復した後に10%未満変化する、条項xviii〜xxのいずれかに記載の液体クロマトグラフィーカラム。
【0116】
ピークテーリング係数が、カラムに加えられる圧力が2分間0バールと3分間1500バールとの間で100回往復した後に15%未満変化(上昇)する、条項xviii〜xxiのいずれかに記載の液体クロマトグラフィーカラム。
【0117】
背圧が、カラムに加えられる圧力が2分間0バールと3分間1500バールとの間で100回往復した後に10%未満変化(上昇)する、条項xviii〜xxiiのいずれかに記載の液体クロマトグラフィーカラム。
【0118】
特許請求の範囲を含め、本明細書において使用される場合、文脈による別段の指示がない限り、本明細書における用語の単数形は複数形を含むものと見なされるものとし、その逆も同様である。例えば、文脈による別段の指示がない限り、「1つの(a)」または「1つの(an)」などの単数形の言及は、「1つ以上」を意味する。
【0119】
本明細書の説明及び特許請求の範囲の全体にわたり、「備える(comprise)」、「含む(including)」、「有する(having)」、及び「含有する(contain)」という語、ならびにこれらの語の変形、例えば「備えている(comprising)」及び「備える(comprises)」、ならびに「など(etc.)」は、「限定されないが含む」ことを意味し、他の成分を除外することを意図しない(かつ除外しない)。
【0120】
本発明の前述の実施形態への変更が、依然として本発明の範囲内にありながら行われ得ることは理解されるであろう。本明細書に開示される各特徴は、別段の記載がない限り、同一、等価、または同様の目的を果たす代替的な特徴と置き換えられてもよい。したがって、別段の記載がない限り、開示される各特徴は、包括的な一連の等価または同様の特徴の一例に過ぎない。
【0121】
本明細書において提供されるありとあらゆる例、または例示的な言葉(「例えば(for instance)」、「など(such as)」、「例えば(for example)」、「例えば(e.g.)」及び同様の言葉)は、本発明をより良好に例示することのみを意図するものであり、別段の主張がない限り、本発明の範囲の限定を示すものではない。本明細書中のいかなる言葉も、特許請求されていない任意の要素を、本発明の実践に対して必須であるものとして示すものと解釈されるべきではない。
【0122】
本明細書に記載されるいかなるステップも、別段の記載がない限り、または文脈が別段必要としない限り、任意の順序で、または同時に行われてよい。
【0123】
本明細書に開示される特徴の全ては、かかる特徴及び/またはステップの少なくとも一部が相互排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてよい。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明の全ての態様に適用可能であり、任意の組み合わせで使用されてよい。同様に、非本質的な組み合わせで記載される特徴は、別々に(組み合わせずに)使用されてよい。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕クロマトグラフィーカラムを充填する方法であって、
クロマトグラフィー媒体粒子を水系スラリー溶液中に分散させてスラリーを形成することと、
前記スラリーを前記カラムに導入することによってクロマトグラフィーカラムを前記クロマトグラフィー媒体粒子で満たすことと、
圧力を加えて前記クロマトグラフィー媒体粒子を前記クロマトグラフィーカラム内に充填することと、を含む、前記方法。
〔2〕前記水系スラリー溶液が、100重量%水、または少なくとも90重量%、もしくは少なくとも95重量%、もしくは少なくとも99重量%水である、前記〔1〕に記載の前記方法。
〔3〕前記水系スラリー溶液が、100重量部の水に基づいて、100重量部以下、50重量部以下、または40重量部以下、または30重量部以下、または20重量部以下、または10重量部以下、または5重量部以下、または1重量部以下の有機溶剤の量で、有機溶剤を含有する、前記〔1〕に記載の前記方法。
〔4〕前記水系スラリー溶液が、100重量部の水に基づいて、
0〜50重量部の界面活性剤と、
0〜50重量部の電解質または塩(イオン性界面活性剤以外)と、
0〜100重量部の酸と、
0〜100重量部の塩基と、をさらに含む、前記〔1〕に記載の前記方法。
〔5〕前記加圧力が、ある期間にわたって少なくとも500バールの圧力を含む、前記〔1〕に記載の前記方法。
〔6〕前記圧力が、第1の期間にわたって第1の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれ、また、前記第1の期間の後、第2の期間にわたって前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれる、前記〔1〕に記載の前記方法。
〔7〕前記第1の圧力が100〜1500バールの範囲内であり、前記第2の圧力が1500〜6000バールの範囲内である、前記〔6〕に記載の前記方法。
〔8〕前記第1の圧力が100〜1500バールの範囲内であり、前記第2の圧力が1500〜4000バールの範囲内である、前記〔7〕に記載の前記方法。
〔9〕前記第1の期間が0.1〜100時間の範囲内であり、前記第2の期間が0.1〜100時間の範囲内である、前記〔6〕に記載の前記方法。
〔10〕前記カラムが10μm〜5mmの内径を有し、前記カラムが20mm〜10,000mmの長さを有する、前記〔1〕に記載の前記方法。
〔11〕前記クロマトグラフィー媒体粒子が、1〜5μmのメジアン粒径を有し、全体的に多孔質または表面的に多孔質である、前記〔1〕に記載の前記方法。
〔12〕クロマトグラフィーカラムを充填する方法であって、
クロマトグラフィー媒体粒子をスラリー溶液中に分散させてスラリーを形成することと、
前記スラリーを前記カラムに導入することによってクロマトグラフィーカラムを前記クロマトグラフィー媒体粒子で満たすことと、
圧力を加えて前記クロマトグラフィー媒体粒子を前記クロマトグラフィーカラム内に充填することと、を含み、前記圧力が、第1の期間にわたって第1の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれ、また、前記第1の期間の後、第2の期間にわたって前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で加えられ、かつ実質的に一定に保たれる、前記方法。
〔13〕前記第1の圧力が100〜1500バールの範囲内であり、前記第2の圧力が1500〜6000バールの範囲内である、前記〔12〕に記載の前記方法。
〔14〕前記第1の圧力が100〜1500バールの範囲内であり、前記第2の圧力が1500〜4000バールの範囲内である、前記〔13〕に記載の前記方法。
〔15〕前記第1の期間が0.1〜100時間の範囲内であり、前記第2の期間が0.1〜100時間の範囲内である、前記〔13〕に記載の前記方法。
〔16〕前記カラムが10μm〜5mmの内径を有し、前記カラムが20mm〜10,000mmの長さを有する、前記〔12〕に記載の前記方法。
〔17〕前記クロマトグラフィー媒体粒子が、1〜5μmのメジアン粒径を有し、全体的に多孔質または表面的に多孔質である、前記〔12〕に記載の前記方法。
〔18〕少なくとも500バールの液体圧における操作のための液体クロマトグラフィーカラムであって、クロマトグラフィー媒体粒子を含むカラム本体を備え、前記クロマトグラフィー媒体粒子が水系スラリー溶液から前記カラム内に充填されている、前記液体クロマトグラフィーカラム。
〔19〕第1の期間にわたって第1の圧力で実質的に一定であり、また、前記第1の期間の後、第2の期間にわたって前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で実質的に一定であり、かつ実質的に一定に保たれる加圧力下で、クロマトグラフィー媒体粒子が前記水系スラリー溶液から前記カラム内に充填されている、前記〔18〕に記載の前記液体クロマトグラフィーカラム。
〔20〕カラム効率(1メートル当たりの理論段数、N/m)が、前記カラムに加えられる圧力が2分間0バールと3分間1500バールとの間で100回往復した後に10%未満変化する、前記〔18〕に記載の前記液体クロマトグラフィーカラム。
〔21〕ピークテーリング係数が、前記カラムに加えられる圧力が2分間0バールと3分間1500バールとの間で100回往復した後に15%未満上昇する、前記〔18〕に記載の前記液体クロマトグラフィーカラム。
〔22〕背圧が、前記カラムに加えられる圧力が2分間0バールと3分間1500バールとの間で100回往復した後に10%未満上昇する、前記〔18〕に記載の前記液体クロマトグラフィーカラム。
〔23〕少なくとも500バールの液体圧における操作のための液体クロマトグラフィーカラムであって、第1の期間にわたって第1の圧力で実質的に一定であり、また、前記第1の期間の後、第2の期間にわたって前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で実質的に一定であり、かつ実質的に一定に保たれる加圧力下で、クロマトグラフィー媒体粒子がスラリー溶液から前記カラム内に充填されている、前記液体クロマトグラフィーカラム。
〔24〕前記カラム効率(1メートル当たりの理論段数、N/m)が、前記カラムに加えられる圧力が2分間0バールと3分間1500バールとの間で100回往復した後に10%未満変化する、前記〔23〕に記載の前記液体クロマトグラフィーカラム。
〔25〕前記ピークテーリング係数が、前記カラムに加えられる圧力が2分間0バールと3分間1500バールとの間で100回往復した後に15%未満上昇する、前記〔23〕に記載の前記液体クロマトグラフィーカラム。
〔26〕前記背圧が、前記カラムに加えられる圧力が2分間0バールと3分間1500バールとの間で100回往復した後に10%未満上昇する、前記〔23〕に記載の前記液体クロマトグラフィーカラム。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b