特許第6348565号(P6348565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デイコ アイピー ホールディングス,エルエルシーの特許一覧

特許6348565離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルト
<>
  • 特許6348565-離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルト 図000003
  • 特許6348565-離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルト 図000004
  • 特許6348565-離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルト 図000005
  • 特許6348565-離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルト 図000006
  • 特許6348565-離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルト 図000007
  • 特許6348565-離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルト 図000008
  • 特許6348565-離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルト 図000009
  • 特許6348565-離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルト 図000010
  • 特許6348565-離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルト 図000011
  • 特許6348565-離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルト 図000012
  • 特許6348565-離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルト 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348565
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルト
(51)【国際特許分類】
   F16G 5/20 20060101AFI20180618BHJP
   F16G 5/00 20060101ALI20180618BHJP
   F16G 5/06 20060101ALI20180618BHJP
   B29D 29/10 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   F16G5/20 A
   F16G5/00 D
   F16G5/06 A
   F16G5/06 D
   F16G5/00 F
   B29D29/10
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-500355(P2016-500355)
(86)(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公表番号】特表2016-518557(P2016-518557A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】US2014017957
(87)【国際公開番号】WO2014158541
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年2月2日
(31)【優先権主張番号】13/827,602
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512309299
【氏名又は名称】デイコ アイピー ホールディングス,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DAYCO IP HOLDINGS,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ジェイ・ウィット
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−219147(JP,A)
【文献】 特表2011−506862(JP,A)
【文献】 米国特許第04555241(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 1/00−17/00
B29D 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Vリブ付きベルトであって、
第1の長手方向に延在するフランクおよび第2の長手方向に延在するフランクを有する少なくとも一つの横方向に離間された、長手方向に延在するVリブを有する材料を備えた圧縮セクションを備え、前記Vリブは、
第2の乾燥摩擦係数を有する複数の補強体を被包する、第1の乾燥摩擦係数を有する弾性材料を具備し、
前記複数の補強体は、前記補強体の少なくとも一部が前記第1および第2の長手方向に延在するフランクの一つ以上の一部を形成するように、前記Vリブ内で略横方向に配置され、
前記第1の乾燥摩擦係数は前記第2の乾燥摩擦係数よりも大きく、かつ、
前記圧縮セクションは非圧縮状態および圧縮状態を有し、前記Vリブの前記第1および第2の長手方向に延在するフランクは、前記非圧縮状態では略平坦であり、かつ、前記複数の補強体は、前記圧縮状態では、前記Vリブの前記第1および第2の長手方向に延在するフランクに複数の突起を形成する、Vリブ付きベルト。
【請求項2】
前記弾性材料はゴムである、請求項1に記載のVリブ付きベルト。
【請求項3】
前記弾性材料は均質である、請求項1に記載のVリブ付きベルト。
【請求項4】
前記補強体は複数のストランドの束である、請求項1に記載のVリブ付きベルト。
【請求項5】
前記束は約0.1ミリメートルから約0.8ミリメートルの直径を有する、請求項4に記載のVリブ付きベルト。
【請求項6】
前記束は、平方インチ当たり約250束と、平方インチ当たり約2500束との間で、前記Vリブ内で離間されている、請求項4のVリブ付きベルト。
【請求項7】
前記補強体は、綿、ポリエステル、ナイロン、ポリアミド、アラミド、レーヨン、グラファイト、カーボン、グラスファイバー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料からなる、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のVリブ付きベルト。
【請求項8】
前記補強体の最大約40%が前記Vリブの先端に最も近いその三分の一の部分において前記圧縮セクション内に配置される、請求項1に記載のVリブ付きベルト。
【請求項9】
前記圧縮セクションは、結果として生じる有効摩擦係数が約0.7ないし約1.6であるように、前記第1の乾燥摩擦係数と前記第2の乾燥摩擦係数との間の値を備えた摩擦係数を有する、請求項1に記載のVリブ付きベルト。
【請求項10】
前記圧縮セクションは、乾燥条件において結果として生じる有効摩擦係数が湿潤条件における有効摩擦係数と略等しいように、前記第1の乾燥摩擦係数と前記第2の乾燥摩擦係数との間の値を備えた摩擦係数を有する、請求項1に記載のVリブ付きベルト。
【請求項11】
前記フランクの表面は、約0.7ないし約1.6の湿潤有効摩擦係数を有する、請求項1に記載のVリブ付きベルト。
【請求項12】
細長い前記補強体は互いに略平行な平面内で前記Vリブを横切る、請求項1に記載のVリブ付きベルト。
【請求項13】
Vリブ付きベルトの製造方法であって、前記Vリブ付きベルトは、
第1の長手方向に延在するフランクおよび第2の長手方向に延在するフランクを有する少なくとも一つの横方向に離間された、長手方向に延在するVリブを有する材料を備えた圧縮セクションを備え、前記Vリブは、
第2の乾燥摩擦係数を有する複数の補強体を被包する、第1の乾燥摩擦係数を有する弾性材料を具備し、前記方法は、
その圧縮セクション内に複数の細長い補強体を有するベルトを形成するステップであって、前記細長い補強体は、前記ベルトの長手方向軸線に対して概ね横方向にその中に配置されるステップと、
前記圧縮セクション内にVリブを切削するステップであって、これによって、その表面に前記補強体の切断端部を有する切削フランク表面を形成するステップと、を備え、
乾燥条件での前記切削フランク表面の有効摩擦係数は、湿潤条件での前記切削フランク表面の有効摩擦係数と略等しい、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達ベルトに関し、さらに詳しくは、乾燥および湿潤動作条件の両方のもとでの安定したベルト性能のための離間リブフランク補強材を備えた改良型Vリブ付きベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
VベルトおよびVリブ付きベルトは、さまざまな環境で使用されている。Vリブ付きベルトはその高い動力伝達性能のために好ましいが、これは、ベルト上のリブと、協働するプーリー上のフランクとの間の大きな接触面積に起因する。
【0003】
動作時、VベルトおよびVリブ付きベルトはノイズを発生する傾向があり、これは特に自動車の駆動機構における共通した不満である。ベルトノイズは、主に、ベルトのリブがプーリー溝に入り、そしてそこから出るときに生じる、あるいはベルトに対するプーリーの過剰な回転スリップから生じる、プーリーの係合および脱係合の結果である。回転スリップは、変速、エンジン始動あるいはエンジン停止の際に生じるような、駆動機構の急な加速あるいは減速の際に、あるいは過度の負荷またはプーリー周囲への不十分な巻き付けによって生じる。
【0004】
乾燥および湿潤の両方の動作条件においてベルトのVリブとプーリー溝との間に適切かつ安定したトラクションを持つことが好ましい。トラクションレベルを定量化する一般的な方法は、(その全体がこの引用によって本明細書に組み込まれる)SAE J2432に規定されるような「有効摩擦係数」(μ)を参照するものである。従来型のVリブ付きベルトは約0.4ないし2.1の範囲のμ値を有するが、自動車補機駆動機構のための好ましい範囲は約0.7ないし1.5である。
【0005】
既存のVリブベルトのための有効摩擦係数は、一般に、使用時の環境条件によって大幅に変化する。湿潤条件では、μは、ベルトとプーリーフランクとの間の水の潤滑効果によって上記範囲の下限にあり、そして乾燥条件ではμは上記範囲の上限にある。したがって、乾燥および湿潤の両方の動作条件において安定したトラクションの目標を達成するためには、湿潤トラクションレベルを増大させながら、乾燥トラクションレベルを同時に低下させることが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある態様では、機械的動力伝達用のVリブ付きベルトが開示される。このVリブ付きベルトは、少なくとも一つの横方向に離間した、長手方向に延在するVリブを有する圧縮セクションを含む。Vリブは第1の乾燥摩擦係数を有し、かつ、補強体の少なくとも一部がVリブの外面の一部を形成するようにVリブ内に略横方向に配置された複数の補強体を備える。補強体は第2の乾燥摩擦係数を有する。第1の乾燥摩擦係数は第2の乾燥摩擦係数よりも大きく、そして結果として得られる圧縮セクションは、従来型のベルトと比較して増大させられた湿潤有効摩擦係数を有するVリブの外面を形成する。湿潤条件での摩擦係数が湿潤条件での摩擦係数に略等しいので、こうしたVリブ付きベルトは有益である。そうしたベルトはエンジンに安定した性能をもたらす。
【0007】
有効摩擦係数の安定性は乾燥および湿潤の両条件で達成される。なぜなら、弾性材料の圧縮は、補強体が圧縮セクションの残部に対して突出することを可能とし、これが、補強体に起因するVリブの際立った量の表面積によって乾燥状態でのμを減少させ、さらに、ベルトとプーリーフランクとの間の水の潤滑作用への、突起が有する中断効果によって湿潤条件でのμを増大させるからである。
【0008】
別の態様では、少なくとも一つの横方向に離間した、長手方向に延在するVリブを有する圧縮セクションを含むVリブ付きベルトが開示され、Vリブは第1の長手方向に延在するフランクおよび第2の長手方向に延在するフランクを有する。圧縮セクションは、補強要素を被包する弾性材料を含む。複数の細長い補強体は、第1の長手方向に延在するフランクおよび第2の長手方向に延在するフランクの両方の表面に補強体の端部の少なくとも一部を伴って、フランク間で概して横方向に配置される。圧縮セクションには、平方インチ当たり約250の細長い補強体ないし平方インチ当たり約2500の細長い補強体が存在してもよい。
【0009】
一実施形態では、Vリブ付きベルトの圧縮セクションは、横方向圧縮荷重に抗するための改善された耐久性を有し、その上、最大限の屈曲寿命および亀裂抵抗性を維持する。なぜなら、配合繊維を含むのとは対照的に、補強体を被包する弾性材料は好ましくは均質であるからである。
【0010】
さらに別の態様では、Vリブ付きベルトの製造方法が開示される。この方法は、圧縮セクションを通って概ね横方向に延びる概して細長い補強体を有するベルトを形成するステップと、この圧縮セクションにVリブを切削加工するステップとを含む。その結果として得られたVリブは略平坦な長手方向フランクを有し、かつ、補強体の端部はフランクの表面領域の一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】前側および後側プーリーと係合したVリブ付きベルトの概略正面図である。
図2】離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルトの一実施形態の断面斜視図であり、その中の材料束の拡大図Bを含む。
図3図2のVリブ付きベルトの底面図である。
図4図2のVリブ付きベルトの断面斜視図であり、圧縮セクションは圧縮荷重を受けている。
図5図4のVリブ付きベルトの底面図である。
図6】Vリブの切削前の図2のベルトの断面斜視図であり、Vリブが切削加工されるべき場所を示すミシン目を含んでいる。
図7】乾燥スリップ試験#89‐222の概要および説明図である。
図8】湿潤スリップ試験#89‐338の概要および説明図である。
図9】条件が乾燥から湿潤に変わった際の従来のベルトおよび本明細書に開示した本発明に係るベルトのトラクション、すなわち有効摩擦係数のグラフである。
図10】ベルトの湿潤トラクションにおける補強材密度の効果を実証するために表1からのデータをプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、改良されたVリブ付きベルト102の好ましい実施形態を添付図面を参照しながら説明する。本発明のさまざまな特徴を以下で図面を参照して図示・説明するが、本発明の適用範囲は広く、描かれたこれらの実施形態に限定されないことに留意されたい。
【0013】
図1を参照すると、概して100で示された蛇行ベルト駆動システムは、Vリブ付きベルト102と、前側駆動プーリー108と、一つ以上の前側駆動付属プーリー104,106と、一つ以上の後側プーリー110とを含むことができる。図1に示す駆動システム100は駆動システム形態の一例に過ぎない。多くの代替構造は当該技術分野において公知であり、本発明との使用に適している。
【0014】
図2は、離間リブフランク補強材を備えたVリブ付きベルトの一実施形態を断面斜視図で示している。Vリブ付きベルト102は、複数の横方向に離間した、長手方向に延在するVリブ122を有する圧縮セクション120と、テンションセクション124と、圧縮セクションとテンションセクションとの間の負荷伝達セクション126とを含む。負荷伝達セクションは負荷伝達コード128を含むことができる。Vリブ付きベルト102は、リブ間ピッチの大きくなる順に、(米国)PVH、PVJ、PVK、PVLおよびPVM、(ISO)PH、PJ、PK、PLおよびPMと呼ばれる、さまざまな断面サイズのいずれかであってもよい。Vリブ付きベルト102の圧縮セクション120、テンションセクション124、そして負荷伝達セクション126は、公知の技術を用いて、弾性化合物、織物およびコードから製造されてもよい。
【0015】
Vリブ付きベルト102は一つ以上のプーリーと係合するよう構成可能である。プーリーとベルトとの間の摩擦接触は、ベルトがプーリーを駆動すること、あるいはベルトがプーリーによって駆動されることを可能とする。不十分な摩擦は滑りあるいはノイズの増大につながる。圧縮セクション120のVリブ122は、一つ以上の前側プーリー104,106,108と係合するよう構成されてもよく、そしてテンションセクションは、一つ以上の後側プーリー110と係合するよう構成されてもよい。テンションセクション124は、平滑なベルト受け面を備えた平面とすることができ、あるいはそれは、米国特許第8192315号(その全体がこの引用によって本明細書に組み込まれる)に開示されるように、あるいは当業者には公知のさまざまな選択肢の中のテクスチャー表面あるいは織物被覆表面によって、改良された摩擦接触のために改変されてもよい。
【0016】
さらに図2を参照すると、各Vリブは第1の長手方向に延在するフランク132と、第2の長手方向に延在するフランク250とを有し、そして各長手方向に延在するフランクは、プーリーまたはその他の対象物(図示せず)の表面と係合するよう設計された表面を有する。フランク132,250の表面は、好ましくは、圧縮セクション120が非圧縮状態にあるとき、平坦であってもよい。本明細書で使用するように、「平坦」との用語は、概ね平面であり、突起、バンプまたは意図的なテクスチャリングが存在しないことを意味する。
【0017】
圧縮セクション120は、鋼に対して乾燥状態で測定したとき、約0.3ないし約1.1の、好ましくは約0.4ないし約0.9の第1の摩擦係数を有する材料から形成される。この材料は弾性材であってもよく、一実施形態では、好ましくは天然または合成ゴムであってもよい。別の実施形態では、当該材料は、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)系ゴムであってもよい。当該材料は、ベルトの屈曲寿命および割れ抵抗を最大化するために好ましくは均質であるが、米国特許第6793599号(その全体がこの引用によって本明細書に組み込まれる)に記載されるように、限定された量の繊維が配合されてもよい。
【0018】
圧縮セクション120には、第2の摩擦係数を持つ材料からなる複数の補強体130が含まれており、この第2の摩擦係数は、圧縮セクション120における周囲の材料のそれよりも低い。第2の摩擦係数は、鋼に対して乾燥状態で測定したとき、約0.02ないし約0.3の、より好ましくは約0.1ないし約0.3であってもよい。複数の補強体は、補強体130の少なくとも一部、好ましくはその切断端部が、Vリブ122の長手方向に延在する外面すなわちフランク132,250の少なくとも一方あるいは両方の一部を形成するように、Vリブ122のそれぞれの中に略横方向に(すなわち、その幅の端から端まで)配置される。この結果、Vリブの外面132は、概して、好ましくは弾性材料から、ただし補強体130がVリブの表面まで延在する場所に比較的大きな中断を伴って構成される。一実施形態では、図6の端面図から分かるように、細長い補強体130の間隔および正確な角度配向は非均一であり、これは、補強体130は、ベルトの特定の面または基準点に関して厳密に整列させられず、むしろ各Vリブ122内の正確な配向に、ある程度の乱雑さあるいは変化を含むことを意味する。
【0019】
本明細書で説明されるように、細長い補強体130の配向は、横方向の圧縮荷重に対する抵抗性を提供することにより、Vリブ付きベルト102を強化する。補強体130の大部分は圧縮セクション120内で(ベルト102の横断面に対して平行に)横方向に配置され、したがって最小限の長手方向深さを有するので、Vリブ付きベルト102には亀裂が生じにくく、良好な屈曲寿命を有する。さらに、圧縮セクション120内の弾性材料は、好ましくは、均質であり、かつ、配合繊維を含む場合とは対照的に高い伸びのために調合されるが、これは、弾性材料の内部構造の中断を最小限に抑えかつ補強体間に高い伸長性を提供することによって、屈曲寿命および亀裂抵抗性をさらに高める。
【0020】
結果として得られた圧縮セクション120は、いったん束がその中に組み込まれると、圧縮セクションの、結果として得られる有効摩擦係数が約0.7〜約1.6であるように、束を被包する材料に関する第1の乾燥摩擦係数間の値を持つ摩擦係数を有する(これは第2の乾燥摩擦係数を有する)。
【0021】
ここで図2を参照すると、図示のように、圧縮セクション120は、負荷伝達セクション126に向って各Vリブ122の先端134から延在する三分の一の部分146と、この三分の一の部分と負荷伝達セクション126との間の三分の二の部分148とを有するものとして見なすことができる。一実施形態では、補強体130は、この補強体130の約0%ないし約40%が三分の一の部分146内に配置されるように、圧縮セクション120内に配置される。逆に言うと、補強体130の約100%ないし約60%が三分の二の部分148内に配置される。これは、亀裂発生領域として機能し得る補強体130の過剰さによって各Vリブ122の先端部分134における弾性材料マトリックスが弱体化されないことを保証することによってベルト102を機能強化し、これによって先端部分における早期亀裂形成のリスクが最小限に抑えられる。
【0022】
補強体130はコードであってもよい。一実施形態では、コードは、200ないし9000デニールのナイロン6またはナイロン66、またはその組み合わせであってもよい。別な実施形態では、コードは、ポリエステル、綿、ポリアミド、アラミド、レーヨン、グラファイト、カーボン、グラスファイバー、ナイロン6およびナイロン66を含むその他の利用可能な繊維材料、そして200ないし9000の結果として得られたデニールを持つこれらの材料の混合物であってもよい。
【0023】
製造業者によっては、コード、補強体130は、中実ロッドまたは繊維であってもよいが、図2の拡大図Bに見られるように、好ましくは、繊維138の束136を備える。束136は約0.1mmないし約0.8mmの直径を有することができ、かつ、Vリブの切削された長手方向に延在する第1および第2のフランクにおいて平方インチ当たり約750束を実現する間隔で、平方インチ当たり約250束ないし平方インチ当たり約2500束として、圧縮セクション120内で間隔を置いて配置されてもよい。一実施形態では、束136は0.11mmないし0.76mmの直径を有する。他の実施形態では、束136は、平方インチ当たり約260束、平方インチ当たり約520束、平方インチ当たり約800束、平方インチ当たり約1200束、平方インチ当たり1600束、平方インチ当たり2400束、そして平方インチ当たり3000束として、圧縮セクション120内で間隔を置いて配置されてもよい。補強体130は、それらが中実であるか材料138の束136から構成されているかどうかには関係なく、概して、圧縮セクション120を通して不均一に離間させられ、かつ、補強体130はサイズが変化してもよい。
【0024】
図では補強体130は略円形断面を有するものとして示されているが、当業者にとって補強体130の断面はこれに限定されないことは明らかである。他の実施形態では、補強体130の断面は、矩形、三角形、六角形、楕円形、または不規則な形状を含むその他の形状であってもよく、そして断面は個々の補強体130の長さにわたって均一である必要はなく、あるいは断面は特定の実施形態に含まれる全ての補強体130に関して均一である必要はない。
【0025】
以下でより詳細に説明するように、各Vリブ122の長手方向に延在する外面132に補強体130が露出状態で存在する結果として、各Vリブ122の外面132およびベルト102の有効摩擦係数は、ベルトが乾燥条件下/乾燥条件において動作させられるとき、(それが開示された補強体を持たないことを除いて同じ一般的な構造のVリブベルトと比べて)全体として低減される。乾燥条件下において、開示されたVリブ122の外面132全体に分散させられた低摩擦係数補強体130の存在は、表面132の平均乾燥摩擦係数に影響を与えることによって、各Vリブフランクの有効摩擦係数を低減させる。さらに、各Vリブ122の外面132およびベルト102の有効摩擦係数は、全体として、ベルトが湿潤条件下/湿潤条件において動作させられるとき増大させられる。従来型Vリブの摩擦係数が最小である湿潤条件では、開示されたVリブ122の補強体突起140は、水の存在にもかかわらず、水分を分離させかつそれと係合したプーリー(図示せず)のフランクを挟持することによって、Vリブフランク132の有効摩擦係数を著しく増大させる。いくつかの実施形態では、結果として得られる湿潤有効摩擦係数は、表1から分かるように約0.8である。別の実施形態では、湿潤有効摩擦係数は約0.9ないし約1であった。さらに別の実施形態では、湿潤有効摩擦係数は約0.6であると測定された。
【0026】
一実施形態では、ベルト102は、補強体130の存在の結果として、湿潤状態下/湿潤状態における摩擦係数に実質的に等しい乾燥状態下/乾燥状態における摩擦係数を有する。本明細書で使用されるように、「実質的に等しい」とは、摩擦値の二つの係数が互いの約20%を含むことを意味する。この改善は図9のグラフに示される。このグラフは、従来型ベルト、補強体の存在を除いて開示されたベルトと同じ材料で作られたものは、条件が乾燥から湿潤へと変化したときに有効摩擦係数が急激に低下することを示している。逆に、本発明のベルトは、概ね安定した有効摩擦係数を有する。ここで、図9に関して試験された補強ベルトは、圧縮セクションに含まれる平方インチ当たり約800束を有していた。このベルトは、それがほとんどの動作条件の下で安定したベルト性能を生じるので有利である。
【0027】
[実施例]
(表1ではベルトR1〜R14として特定される)特に補強材の束の端部がVリブのフランクに露出させられた、圧縮セクションに補強材の束を有するベルトが、湿潤トラクション(すなわち湿潤有効摩擦係数)を判定するために試験された。湿潤トラクションは、図7に記載された試験条件に基づいて測定された。R1〜R14は、同じ方法で試験された、圧縮セクションを形成するゴム内に配合された繊維を有する従来型ベルトと比較された。
【0028】
【表1】
【0029】
表1において、従来型ベルトはC1ないしC6で示されている。これらのベルトは、ベルト内にさまざまなレベルの既知の繊維強化材を含む。従来型ベルトC4は、繊維配合ベルトの異なる均一繊維分布の中断は、ベルトの湿潤トラクションを増加させるのに有効ではないことを示している。
【0030】
本明細書に開示されるように製造されたベルトは、表1のベルト試作品R1〜R14である。試作品R1〜R14のそれぞれにおいて、ベルトは、圧縮セクションを形成するゴム内に被包された補強材束を含んでいる。試作品R1〜R9に関して述べるように、補強材束は、やはり従来の配合繊維を含んだベルトに含まれた。補強束の存在は、従来型ベルトと比較して、これらのベルトのそれぞれに関して湿潤トラクションを増加させた。試作品R10〜R14から分かるように、従来の配合繊維を伴わないベルトもまた試験された。ここで、試作品R10,R11,R13およびR14は、増大した湿潤トラクション値のために被包ゴム内に繊維は存在する必要がないことを実証しており、これは、ベルトの屈曲寿命を増大させ、かつ、製造コストを低下させる。全ての実験されたベルトは、補強材束の存在の結果として、同様に湿潤トラクションが増大する。
【0031】
表1のデータは図10にグラフ表示されている。データおよび図10から分かるように、平方インチ当たりの束が平方インチ当たり2500束に向って増加するとき、湿潤トラクション(すなわちベルトの有効摩擦係数)は概して増大する。だが、平方インチ当たりの補強束が平方インチ当たり3000束を超えたとき、その存在は湿潤トラクションに悪影響を与える。これは、表1の試作品12によって示される。比較すると、補強材束を持たないこれらのベルト(従来型ベルト、Cl〜C6)は、一貫して、0.6未満の湿潤有効摩擦係数を有する。
【0032】
平方インチ当たりの束に加えて、圧縮セクション内への、すなわちVリブ内の束の配置が評価された。各Vリブは、記述的に、基端部分、中央部分および先端部分へと分割される(それぞれVリブの三分の一の部分を体現する)。表1のデータから分かるように、束が中央部分、基端および中央部分、中央および先端部分、または基端、中間および先端部分内で被包される場合に、増大した湿潤トラクションが生じる。試作品1〜4および10は、Vリブの先端部分に補強材束がないベルトは依然として増大した湿潤トラクション値を達成することを実証している。これらの実施形態は、補強材束がその中に存在する場合に生じ得る先端の亀裂の可能性を低減することにより、ベルトのより長い摩耗寿命にとって有利であると考えられる。
【0033】
図4および図5は、動作状態で、図2の離間リブフランクの実施を伴うVリブ付きベルト102を示す。動作時、ベルト102は圧縮荷重(図示せず)を受けるが、これはベルト102の圧縮セクション120を圧縮する。これは、Vリブ122の外面132を、図2および図3に示すように補強体130の露出部分がVリブ122の周囲の弾性材料と概ね面一である略平滑な状態から、図4および図5に示すように補強体130の露出部分がVリブ122の外面132に突起140を形成するようにVリブ122の周囲の弾性材料から外側に突出するざらついた(texturd)状態へと移行させる。図5図4のVリブを底面から見て示している。
【0034】
上述したVリブ付きベルト102の製造方法について、図6を参照して説明する。一実施形態では、本方法は、圧縮セクションが、この圧縮セクション120を通って概ね横方向に延びる複数の概して細長い補強体130を有するように、テンションセクション124、負荷伝達セクション126および圧縮セクション120を形成するステップを含む。テンションセクション124および負荷伝達セクション126は、当業者には周知の方法によって形成することができ、上述した材料のいずれかを使用することができる。概して細長い補強体130は、選択された層間に細長い補強体130を配置しかつ圧縮セクション120の幅の端から端まで横方向にそれらを配置しながら、複数の弾性材料の選択的に薄い層を合わせることによって、圧縮セクション120に対して付加されてもよい。補強体130はまた、依然として概ね横方向の配置を維持しながら位置を変更しかつランダム化するために、好ましくは弾性材料内に混ぜ込まれるか、あるいはさもなければそれによって覆われてもよい。この結果として得られたベルトは、補強体130が圧縮セクション120の本体部分内に収まった状態で、全ての面において概ね平坦となる。
【0035】
続いて、Vリブ122が、図6に示す破線に沿って、圧縮セクション120に切削加工される。圧縮セクションは、Vリブが形成される際に、この圧縮セクション120の大部分を含む弾性材料および補強体130が同時に切削されるように、補強体130の位置に関係なく切削される。その結果として得られたVリブ付きベルトは、実質的に、図2のVリブ付きベルト102である。新しく形成されたVリブ122の結果として得られるフランク表面132,250は、好ましくは、平滑であるべきであり、さらに弾性材料の一部分および露出させられた補強体130の一部分を含むべきである。Vリブ切削は、これらに限定されるわけではないが、フライカッティング、ナイフカッティングあるいはグラインディングを含む当業者には周知の方法で実施できる。Vリブ切削は、特定のプーリーのサイズ要件を満たすように調整されてもよい。
【0036】
その特定の実施形態を参照して本発明を詳しく説明したが、数多くの変更および改変が特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨から逸脱することなく可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0037】
100 駆動システム
102 ベルト
104 前側プーリー
106 前側プーリー
108 前側プーリー
110 後側プーリー
120 圧縮セクション
122 リブ
124 テンションセクション
126 負荷伝達セクション
128 負荷伝達コード
130 補強体
132 フランク(外面)
134 先端部分
136 束
138 繊維
140 突起
146 三分の一の部分
148 三分の二の部分
250 フランク
図1
図2
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10