特許第6348568号(P6348568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6348568線虫害虫防除のためのN−,C−二置換アゾール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348568
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】線虫害虫防除のためのN−,C−二置換アゾール
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/04 20060101AFI20180618BHJP
   A01P 5/00 20060101ALI20180618BHJP
   A01N 43/824 20060101ALI20180618BHJP
   A01N 63/00 20060101ALI20180618BHJP
   A01N 63/04 20060101ALI20180618BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20180618BHJP
   A61K 31/4245 20060101ALI20180618BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20180618BHJP
   A61P 33/02 20060101ALI20180618BHJP
   A01C 1/08 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   C07D413/04CSP
   A01P5/00
   A01N43/824 E
   A01N63/00 F
   A01N63/04
   A01N25/00 102
   A61K31/4245
   A61P33/00 171
   A61P33/02 171
   A01C1/08
【請求項の数】20
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2016-502300(P2016-502300)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-520522(P2016-520522A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】US2014026985
(87)【国際公開番号】WO2014152132
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年2月22日
(31)【優先権主張番号】61/788,273
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501231613
【氏名又は名称】モンサント テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100156122
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】ウルズラ・ジェイ・スロムツィンスカ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ダブリュー・ディミック
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ピー・ハーケンソン・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】アル・エス・ワイドマン
【審査官】 松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−154678(JP,A)
【文献】 国際公開第92/013451(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A01C
A01N
A01P
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物またはその塩であって、
式I
ここで、Aは、フェニルであり、それは独立してハロゲン、CF、CH、OCF、OCH、CN、及びC(H)Oからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;ならびに、
Cはピロリル、チエニル及びフラニルからなる群から選択され、それぞれは独立してアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい、前記式Iの化合物またはその塩。
【請求項2】
前記化合物が式Iaの化合物またはその塩であり、
式Ia
ここで、R及びRは独立して水素、CH、F、Cl、Br、CF及びOCFからなる群から選択され;
及びRは独立して水素、F、Cl、Br及びCFからなる群から選択され;
は水素、CH、CF、F、Cl、Br、OCF、OCH、CN及びC(H)Oからなる群から選択され;
、R及びRは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択され;ならびに、
EはO、S及びR10がアルキルであるN−R10からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が式Ibの化合物またはその塩であり、
式Ib
ここで、R及びRは独立して水素、CH、F、Cl、Br、CF及びOCFからなる群から選択され;
及びRは独立して水素、F、Cl、Br及びCFからなる群から選択され;
は水素、CH、CF、F、Cl、Br、OCF、OCH、CN及びC(H)Oからなる群から選択され;
、R及びRは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択され;ならびに、
EはO、S及びR10がアルキルであるN−R10からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が式Icまたはその塩であり、
式Ic
ここで、R及びRは独立して水素、CH、F、Cl、Br、CF及びOCFからなる群から選択され;
及びRは独立して水素、F、Cl、Br及びCFからなる群から選択され;
は水素、CH、CF、F、Cl、Br、OCF、OCH、CN及びC(H)Oからなる群から選択され;ならびに、
、R、R及びRは独立して水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式IIの化合物またはその塩であって、
式II
ここで、Aはフェニルでありれは独立してハロゲン、CF、CH、OCF、OCH、CN、及びC(H)Oからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;ならびに、
Cはピロリル及びチエニルからなる群から選択され、それぞれは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい、前記式IIの化合物またはその塩。
【請求項6】
前記化合物がIIaの化合物またはその塩であり、
式IIa
ここで、R及びRは独立して水素、CH、F、Cl、Br、CF及びOCFからなる群から選択され;
及びRは独立して水素、F、Cl、Br及びCFからなる群から選択され;
は水素、CH、CF、F、Cl、Br、OCF、OCH、CN及びC(H)Oからなる群から選択され;
、R及びRは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択され;ならびに
EはS及びR10がアルキルであるN−R10からなる群から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が式IIbの化合物またはその塩であり、
式IIb
ここで、R及びRは独立して水素、CH、F、Cl、Br、CF及びOCFからなる群から選択され;
及びRは独立して水素、F、Cl、Br及びCFからなる群から選択され;
は水素、CH、CF、F、Cl、Br、OCF、OCH、CN及びC(H)Oからなる群から選択され;
、R及びRは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択され;ならびに、
EはS及びR10がアルキルであるN−R10からなる群から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
EがSである、請求項2、3、6または7に記載の化合物。
【請求項9】
3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
5−(フラン−2−イル)−3−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
3−(4−クロロフェニル)−5−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
3−フェニル−5−(ピロール−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
3−(4−クロロフェニル)−5−(ピロール−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
5−フェニル−3−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン
及び5−(4−クロロフェニル)−3−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン
からなる群から選択される化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物を含む、水性殺線虫組成物。
【請求項11】
界面活性剤、共溶媒、生物的防除剤、微生物抽出物、植物成長促進剤、植物防御剤、第2の殺虫剤またはこれらの混合物をさらに含む、請求項10に記載の殺線虫組成物。
【請求項12】
細菌、真菌、有益な線虫及びウイルスからなる群から選択される生物的防除剤を含む請求項11に記載の殺線虫組成物。
【請求項13】
殺菌剤、殺虫剤及び除草剤またはこれらの混合物からなる群から選択される第2の殺虫剤を含む請求項11に記載の殺線虫組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物または殺線虫組成物を含むコーティングを含む種子。
【請求項15】
有効量の式Iもしくは式II:
式I
式II
ここで、Aはフェニルでありれは独立してハロゲン、CF、CH、OCF、OCH、CN、及びC(H)Oからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;ならびに、
Cはピロリル、チエニル及びフラニルからなる群から選択され、それぞれは独立してアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい、
で表される化合物またはそれらの塩を含む組成物を植物、種子または土壌に投与することを含む、所望しない線虫の防除方法。
【請求項16】
前記組成物を種子に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法に従って調製される処理した種子。
【請求項18】
前記組成物を植物に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物を植物の根部分を囲む土壌に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
非ヒト動物内における線虫寄生の防除または防止方法であって、式Iもしくは式II:
式I
式II
ここで、Aはフェニルでありれは独立してハロゲン、CF、CH、OCF、OCH、CN、及びC(H)Oからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;ならびに、
Cはピロリル、チエニル及びフラニルからなる群から選択され、それぞれは独立してアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい、
で表される化合物またはそれらの塩を含む殺線虫処理組成物を前記動物に投与することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、殺線虫活性を示し、例えば所望しない線虫の防除方法に有用である、新規の3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン及びその誘導体が提供される。
【背景技術】
【0002】
線虫は、活発で柔軟な細長い有機生物であり、土壌中の水膜及び他の有機生物の湿気を含んだ組織といった、湿気を含んだ面または液体環境内に生息する。線虫の多くの種は進化して成功をおさめた植物及び動物の寄生虫となり、その結果、農業及び家畜類では、顕著な経済的損失の原因である。
【0003】
植物寄生性線虫は、根、成長中の花のつぼみ、葉及び茎といった、植物の全部分に寄生し得る。植物の寄生虫は、その食性をもとに、いくつかの幅広いカテゴリーに分類できる:移動性外部寄生虫、移動性内部寄生虫及び定住性内部寄生虫である。ネコブセンチュウ(メロイドギネ(Meloidogyne))及びシストセンチュウ(シストセンチュウ(Globodera)及びダイズセンチュウ(Heterodera))を包含する定住性内部寄生虫は、収穫物にとって多大なダメージになり得る、長期にわたる寄生を根中に確立し得る。
【0004】
効果的、経済的で環境上安全な線虫防除方法の必要性が、産業内で差し迫っている。
【発明の概要】
【0005】
ここでは、式Iの3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンまたはその塩が提供され、
【化1】
式I
ここで、Aはフェニル、ピリジル、ピラジル、オキサゾリル及びイソキサゾリルからなる群から選択され、それぞれは独立してハロゲン、CF、CH、OCF、OCH、CN、及びC(H)Oからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;ならびに、Cはピロリル、チエニル、フラニル、オキサゾリル及びイソキサゾリルからなる群から選択され、それぞれは独立してアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0006】
また、式IIの3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンまたはその塩も提供され、
【化2】
式II
ここで、Aはフェニル、ピリジル、ピラジル、オキサゾリル及びイソキサゾリルからなる群から選択され、それぞれは独立してハロゲン、CF、CH、OCF、OCH、CN、及びC(H)Oからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;ならびに、Cはピロリル、チエニル、フラニル、オキサゾリル及びイソキサゾリルからなる群から選択され、それぞれは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0007】
さらに:3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、5−(フラン−2−イル)−3−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、3−(4−クロロフェニル)−5−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、3−フェニル−5−(ピロール−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、3−(4−クロロフェニル)−5−(ピロール−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、5−フェニル−3−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、3−(フラン−2−イル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン及び5−(4−クロロフェニル)−3−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンからなる群から選択される、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンが提供される。
【0008】
また、本明細書に記載される3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンを含む水性殺線虫組成物も提供される。
【0009】
また、本明細書に記載される3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンまたは殺線虫組成物を含むコーティングを含む種子も提供される。
【0010】
さらに、所望しない線虫を防除する方法が提供され、当該方法には、哺乳動物、鳥もしくはこれらの食物、植物、種子または土壌に、本明細書に記載される3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンを有効量で含む組成物を投与することが含まれる。
【0011】
他の目的及び特徴が以下で部分的に明らかになり、部分的に示される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載されるのは、殺線虫活性を示す新規の3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン及びその誘導体である。本明細書に記載される化合物は、以下で詳細に説明されるように、殺線虫組成物の調製に使用され得、また、所望しない線虫の防除のための方法に従って使用され得る。
【0013】
例えば、1つの実施形態では、化合物は、式Iの3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンまたはその塩であり、
【化3】
式I
ここで、Aはフェニル、ピリジル、ピラジル、オキサゾリル及びイソキサゾリルからなる群から選択され、それぞれは独立してハロゲン、CF、CH、OCF、OCH、CN、及びC(H)Oからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;ならびに、Cはピロリル、チエニル、フラニル、オキサゾリル及びイソキサゾリルからなる群から選択され、それぞれは独立してアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0014】
一実施形態では、Aは、上記の通り、独立して1つ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルである。一実施形態では、Cは、それぞれが上記の通り独立して置換されていてもよいピロリル、チエニルまたはフラニルからなる群から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、Cは独立してF、Cl、Br、CH及びOCFからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0016】
例えば、化合物は、式Iaの化合物またはその塩であり得、
【化4】
式Ia
ここで、R及びRは独立して水素、CH、F、Cl、Br、CF及びOCFからなる群から選択され;R及びRは独立して水素、F、Cl、Br及びCFからなる群から選択され;Rは水素、CH、CF、F、Cl、Br、OCF、OCH、CN及びC(H)Oからなる群から選択され;R、R及びRは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択され;EはO、S及びR10がアルキルであるN−R10からなる群から選択される。
【0017】
他の実施形態では、式IaのR、R及びRは独立して水素、F、Cl、Br、CH及びOCFからなる群から選択される。
【0018】
または、化合物は、式Ibの化合物またはその塩であり得、
【化5】
式Ib
ここで、R及びRは独立して水素、CH、F、Cl、Br、CF及びOCFからなる群から選択され;R及びRは独立して水素、F、Cl、Br及びCFからなる群から選択され;Rは水素、CH、CF、F、Cl、Br、OCF、OCH、CN及びC(H)Oからなる群から選択され;R、R及びRは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択され;EはO、S及びR10がアルキルであるN−R10からなる群から選択される。
【0019】
1つの実施形態では、式IbのR、R及びRは独立して水素、F、Cl、Br、CH及びOCFからなる群から選択される。
【0020】
別の実施形態では、化合物は、式Icの3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンまたはその塩であり、
【化6】
式Ic
ここで、R及びRは独立して水素、CH、F、Cl、Br、CF及びOCFからなる群から選択され;R及びRは独立して水素、F、Cl、Br及びCFからなる群から選択され;Rは水素、CH、CF、F、Cl、Br、OCF、OCH、CN及びC(H)Oからなる群から選択され;ならびに、R、R、R及びRは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択される。
【0021】
別の実施形態では、化合物は、式IIの3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンまたはその塩であり、
【化7】
式II
ここで、Aはフェニル、ピリジル、ピラジル、オキサゾリル及びイソキサゾリルからなる群から選択され、それぞれは独立してハロゲン、CF、CH、OCF、OCH、CN、及びC(H)Oからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;ならびに、Cはピロリル、チエニル、フラニル、オキサゾリル及びイソキサゾリルからなる群から選択され、それぞれは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0022】
1つの実施形態では、Aは、上記の通り、独立して1つ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルである。ある実施形態では、Cは、それぞれが上記の通り独立して置換されていてもよいピロリル、チエニルまたはフラニルからなる群から選択される。
【0023】
いくつかの実施形態では、Cは独立してF、Cl、Br、CH及びOCFからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0024】
例えば、化合物は、式IIaの化合物またはその塩であり得、
【化8】
式IIa
ここで、R及びRは独立して水素、CH、F、Cl、Br、CF及びOCFからなる群から選択され;R及びRは独立して水素、F、Cl、Br及びCFからなる群から選択され;Rは水素、CH、CF、F、Cl、Br、OCF、OCH、CN及びC(H)Oからなる群から選択され;R、R及びRは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択され;EはO、S及びR10がアルキルであるN−R10からなる群から選択される。
【0025】
別の実施形態では、式IIaのR、R及びRは独立して水素、F、Cl、Br、CH及びOCFからなる群から選択される。
【0026】
または、化合物は、式IIbの化合物またはその塩であり得、
【化9】
式IIb
ここで、R及びRは独立して水素、CH、F、Cl、Br、CF及びOCFからなる群から選択され;R及びRは独立して水素、F、Cl、Br及びCFからなる群から選択され;Rは水素、CH、CF、F、Cl、Br、OCF、OCH、CN及びC(H)Oからなる群から選択され;R、R及びRは独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル及びハロゲンからなる群から選択され;EはO、S及びR10がアルキルであるN−R10からなる群から選択される。
【0027】
別の実施形態では、式IIbのR、R及びRは独立して水素、F、Cl、Br、CH及びOCFからなる群から選択される。
【0028】
本明細書で使用される「ハロ」または「ハロゲン」という語句は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素のいずれかのラジカルを指す。
【0029】
本明細書で使用される「アルキル」という語句は、それ自体で、または、他の基の一部分として、10個以下の炭素の直鎖及び分岐ラジカルの双方を指す。C−C10アルキル基の非制限的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、3−ペンチル、ヘキシル及びオクチル基が挙げられ、それぞれは独立して置換されていてもよい。
【0030】
本明細書で使用される「ハロアルキル」という語句は、それ自体で、または、他の基の一部分として、少なくとも1つのハロゲンで置換されている、本明細書で定義されるアルキル基を指す。ハロアルキル基の非制限的な例としては、トリフルオロメチル及び2,2,2−トリフルオロエチルが挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される「アルコキシ」という語句は、それ自体で、または、他の基の一部分として、酸素原子を通して親分子部分に付加された、本明細書で定義されるアルキル基を指す。アルコキシ基の非制限的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ及びヘキシルオキシが挙げられ、それぞれは独立して置換されていてもよい。
【0032】
本明細書で使用される「ハロアルコキシ」という語句は、それ自体で、または、他の基の一部分として、アルコキシ基のアルキル部分がさらに少なくとも1つのハロゲンで置換されている、本明細書で定義されたアルコキシ基を指す。ハロアルコキシ基の非制限的な例としては、トリフルオロメトキシ及び2,2−ジクロロエトキシが挙げられる。
【0033】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という語句は、3〜8個の炭素原子を含む閉じた環を含むアルキル基を指す。シクロアルキル基の非制限的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが挙げられ、それぞれは独立して置換されていてもよい。
【0034】
本明細書で使用される「ヘテロシクリル」または複素環という語句は、飽和または部分的に飽和した、3〜7環員の単環式または7〜10環員の二環式環構造を指し、当該環構造は、炭素原子ならびにO、N及びSからなる群から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子からなり、窒素及び硫黄ヘテロ原子は酸化されていてもよく、窒素は4級化していてもよく、上記の複素環のいずれかがベンゼン環に縮合するいずれかの二環式基を包含し、また、複素環は、結果として得られる化合物が安定であるならば、炭素または窒素原子上で置換されていてもよい。通常の飽和または部分的に飽和した複素環基の非制限的な例としては、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、イソクロマニル、クロマニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、テトロノイル(tetronoyl)及びテトラモイル(tetramoyl)基が挙げられる。
【0035】
本明細書で使用される「3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン」または同等である「3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン誘導体」という語句は、以上で定義された式I、Ia、Ib、Ic、II、IIa及びIIbの化合物を包含する。
【0036】
式Iaの種の非制限的な例として、式Ia−iの3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
【化10】
式Ia−i
式Ia−iiの5−(フラン−2−イル)−3−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
【化11】
式Ia−ii
式Ia−iiiの3−(4−クロロフェニル)−5−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
【化12】
式Ia−iii
及び式Ia−ivの3−(4−フルオロフェニル)−5−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
【化13】
式Ia−iv
式Ia−vの3−(4−クロロフェニル)−5−(フラン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
【化14】
式Ia−v
及び式Ia−vの3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−5−(フラン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン
【化15】
式Ia―vi
が挙げられる。
【0037】
式Ibの種の非制限的な例にとしては、式Ib−iの3−フェニル−5−(チオフェン−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
【化16】
式Ib−i
及び式Ib−iiの5−(フラン−3−イル)−3−(フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン
【化17】
式Ib−ii
が挙げられる。
【0038】
式Icの種の非制限的な例としては、式Ic−iの3−フェニル−5−(1H−ピロール1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
【化18】
式Ic−i
式Ic−iiの3−(4−クロロフェニル)−5−(1H−ピロール1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン
【化19】
式Ic−ii
が挙げられる。
【0039】
式IIaの種の非制限的な例としては、式IIa−iの5−フェニル−3−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
【化20】
式IIa−i
式IIa−iiの3−(フラン−2−イル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
【化21】
式IIa−ii
式IIa−iiiの5−(4−クロロフェニル)−3−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
【化22】
式IIa−iii
及び式IIa−ivの5−(4−クロロフェニル)−3−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン
【化23】
式IIa−iv
が挙げられる。
【0040】
式IIbの種の非制限的な例としては、式IIb−iの5−フェニル−3−(チオフェン−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、
【化24】
式IIb−i
及び式IIb−iiの3−(フラン−3−イル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン
【化25】
式IIb−ii
が挙げられる。
【0041】
1つの実施形態では、化合物は、R、R及びRがそれぞれ水素である式IaもしくはIIaのうち1つの化合物、R、R及びRがそれぞれ水素である式IbもしくはIIbの化合物、または、R、R、R及びRがそれぞれ水素である式Icの化合物である。いくつかの実施形態では、R、R、R、R及びRのそれぞれも水素である。他の実施形態では、R、R、R、R及びRのうち少なくとも1つが水素以外である。例えば、いくつかの実施形態では、R、R、R、R及びRのうち少なくとも1つはハロゲンである。
【0042】
使用方法
一般的に、本明細書に記載される化合物は、種子、植物もしくは線虫の防除を必要とする植物の環境、または動物もしくは線虫寄生虫の防除を必要とする動物の食物に適用され得る。
【0043】
例えば、1つの実施形態では、本開示は概して、所望しない線虫の防除のための方法に関し、当該方法には、哺乳動物、鳥もしくはこれらの食物、植物、種子または土壌に、本明細書に記載される化合物(例えば、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン)を有効量で含む組成物を投与することが含まれる。
【0044】
種子への適用
【0045】
本開示の1つの実施形態は概して、種子及び/または種子から成長する植物の根もしくは植物部分を線虫のダメージから保護する方法に関する。1つの実施形態では、前記方法には、本明細書に記載される化合物(例えば、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン)またはその塩を含む種子処理組成物で、種子を処理することを含む。
【0046】
本明細書に記載される種子処理方法は、あらゆる種の植物及び/またはその種子と一緒に使用してよい。1つの実施形態では、前記方法は、農学的に重要である植物種の種子と一緒に使用される。例えば、トウモロコシ、ピーナッツ、アブラナ/ナタネ、ダイズ、ウリ科植物、アブラナ科の植物、綿、テンサイ、米、モロコシ、サトウダイコン、小麦、大麦、ライ麦、ヒマワリ、トマト、サトウキビ、タバコ、カラスムギならびに他の野菜及び需葉作物の種子であり得る。いくつかの実施形態では、種子はトウモロコシ、ダイズまたは綿の種子である。種子は、トランスジェニック植物が成長し得るトランスジェニック種子であり得、また、例えば特定の除草剤または除草剤の組合せへの耐性、向上した耐病性、ストレスへの強化した耐性及び/または強化した生産量を与えるトランスジェニックイベントを組み込む。トランスジェニック種子としては、トウモロコシ、ダイズ及び綿の種子が挙げられるが、これらに限定されない。種子は、例えば線虫の品種の形質(nematode breeding trait)といった、品種の形質を含み得る。
【0047】
種子処理方法には、種蒔き操作が簡潔になるように、種子を蒔く前に種子に種子処理組成物を適用することが含まれる。この方法で、種子は、例えば中心部で処理され得、次いで苗付けのために分布され得る。これによって、種子を植えた人は種子処理組成物の扱い及び適用に関する複雑さ及び労力を避けることが可能であり得、普通の未処理の種子に対する従来の方法で、処理した種子を単に植えることが可能であり得る。
【0048】
種子処理組成物は、あらゆる標準的な種子処理方法で種子に適用され得、当該方法としては、容器内(例えば瓶または袋)で混合すること、機械的適用、タンブリング、スプレー塗装、液浸及び固体マトリックスプライミングが挙げられるが、これらに限定されない。種子処理組成物の適用のための種子コーティング方法及び器具が、例えば、とりわけ米国特許第5,918,413号、同第5,891,246号、同第5,554,445号、同第5,389,399号、同第5,107,787号、同第5,080,925号、同第4,759,945号及び同第4,465,017号で開示されている。種子を種子処理組成物に接触させるために、従来のあらゆる活性または不活性物質が使用され得、例えば、限定はされないが、水系フィルムコーティング物質を包含する従来のフィルムコーティング物質が挙げられる。
【0049】
例えば、1つの実施形態では、種子処理組成物を、固体マトリックスプライミングを使用して種子上または種子内に導入し得る。例えば、ある量の種子処理組成物を固体マトリックス物質と混合し得、次いで、種子をある期間固体マトリックス物質と接触するよう配置し得、種子処理組成物が種子に導入されることを可能にする。種子を次いで固体マトリックス物質から分離し、保管もしくは使用してもよく、または、固体マトリックス物質と種子の混合物を保管または直接植えてもよい。有用な固体マトリックス物質の非制限的な例としては、ポリアクリルアミド、デンプン、粘土、シリカ、アルミナ、土、砂、ポリウレア、ポリアクリレートまたはある時間の間種子処理組成物を吸収もしくは吸着し、種子処理組成物の殺線虫剤を種子内もしくは種子上に放出することが可能ないずれかの他の物質が挙げられる。殺線虫剤及び固体マトリックス物質が互いに適合するよう確認することは有用である。例えば、固体マトリックス物質は、適切な速度、例えば、数分間、数時間、数日間または数週間の期間にわたって、殺線虫剤を放出できるように選択されるべきである。
【0050】
吸水は、種子を種子処理組成物で処理する別の方法である。例えば、植物の種子を種子処理組成物に、ある時間の間、直接浸し得る。種子が浸されている間、種子は、種子処理組成物の一部分を吸い上げる、すなわち、吸水する。植物の種子と種子処理組成物の混合物を、例えば、振とう、回転、タンブリングまたは他の手段で撹拌してもよい。吸水後、種子を種子処理組成物から分離し得、例えば、軽く叩いたり、空気乾燥したりすることで、乾燥させてもよい。
【0051】
種子処理組成物は、流動層技術、ローラーミル方法、ロトスタティック(rotostatic)種子処理機及びドラムコーターといった、従来のコーティング技術及び機械を用いて種子に適用され得る。噴流層といった他の方法も有用であり得る。種子を、コーティング前に前もってサイズを決定し得る。コーティング後、通常、種子を乾燥させ、次いで、サイズ決定のためにサイズ決定機に移す。そのような手順は一般的に当該技術分野で公知である。
【0052】
種子処理組成物をコーティングの形態で種子に適用する場合、種子は、当該技術分野で公知の各種方法を用いてコーティングされ得る。例えば、コーティングプロセスには、種子をタンブラーまたは皿型造粒機といった適切な装置で種子を撹拌しながら、種子上に種子処理組成物をスプレー塗装することが含まれ得る。
【0053】
1つの実施形態では、種子を大規模(例えば、商業的な規模)でコーティングする場合、種子コーティングは連続的なプロセスを用いて適用され得る。通常、種子は処理装置(タンブラー、攪拌機または皿型造粒機といった)内に、重量または流速のいずれかによって、導入される。処理装置に導入される処理組成物の量は、コーティングする種子の重量、種子の表面積、処理組成物の殺線虫剤及び/または他の活性成分の濃度、完成した種子での濃度などによって、変化し得る。処理組成物は、様々な方法で種子に適用され得、例えば、スプレーノズルまたは回転ディスクによってである。液体の量は調製物のアッセイ及び効果に必要な活性成分の必要とされる割合によって決定され得る。種子が処理装置内に落とされると、種子は処理(例えば、種子処理組成物を吹き付けたり、または、スプレー塗装したりすることで)され、持続した運動/タンブリングのもと処理機を通過し得、ここで、均等にコーティングされ、保管または使用の前に乾燥され得る。
【0054】
別の実施形態では、種子コーティングを、バッチプロセスを用いて適用され得る。例えば、既知の重量の種子を処理装置内に導入し得る(タンブラー、攪拌機または皿型造粒機など)。既知の体積の種子処理組成物を、種子処理組成物が種子上に均等に適用されることが可能な速度で処理装置内に導入し得る。適用の間、種子は、例えばスピニングまたはタンブリングによって混合され得る。タンブリング操作の間、種子を乾燥または部分的に乾燥させてもよい。コーティング完了後、処理サンプルをさらに乾燥させるもしくは追加のプロセシング、使用または保管のために、ある領域に除き得る。
【0055】
代替実施形態では、種子コーティングは、上記のバッチプロセス及び連続プロセス実施形態のそれぞれの特徴を組み込んだ半バッチプロセスを用いて適用され得る。
【0056】
さらに別の実施形態では、タンブラー、攪拌機または皿型造粒機といった実験室サイズの市販の処理装置内で、既知の量の種子を処理機に導入し、所望する量の種子処理組成物を添加し、種子をタンブリングまたはスピニングし、トレー上に置いて完全に乾燥させることで、種子をコーティングし得る。
【0057】
別の実施形態では、また、既知の量の種子を細首の瓶または蓋付きの入れ物内に入れることで、種子をコーティングし得る。タンブリングしながら、所望する量の種子処理組成物を入れ物内に添加し得る。種子が処理組成物でコーティングされるまでタンブリングする。コーティング後、種子を例えばトレー上で乾燥させてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態ではまた、処理した種子を、フィルムオーバーコーティングで包んで殺線虫コーティングを保護し得る。そのようなオーバーコーティングは当該技術分野で公知であり、従来の流動層及びドラムフィルムコーティング技術を用いて適用され得る。オーバーコーティングは、限定はしないが、固体マトリックスプライミング、吸水、コーティング及びスプレー塗装、または当該技術分野で公知のいずれかの他の種子処理技術といった、上記の種子処理技術のいずれかで処理された種子に適用され得る。
【0059】
植物及び/または土壌への適用
【0060】
本開示の別の実施形態は概して、線虫によるダメージから植物を保護することに関する。例えば、一実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン)またはその塩を含む処理組成物が植物に外因的に提供され得る。通常、処理組成物は、植物及び/またはまわりの土壌に、スプレー、点滴、及び/または他の形態の液体適用を通して適用される。
【0061】
1つの実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン)またはその塩を含む処理組成物は、植物の根の領域を囲む土壌に直接適用される。土壌適用は、散布基準で1ヘクタールあたり0.5〜2kg(散布または帯状にまく場合、処理面積あたりの割合)を必要とし得る。
【0062】
適用は、当該技術分野で公知の方法または器具を用いて実施され得、例えば、帯状噴霧機、機械的スプリンクラーまたは点滴灌漑といった灌漑が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
例えば、1つの実施形態では、殺線虫処理組成物は、点滴灌漑技術を用いて植物及び/または土壌に適用される。好ましくは、殺線虫処理組成物を、植物の根元または植物にすぐ隣接する土壌に直接適用する。組成物は、既存の点滴灌漑システムを介して適用され得る。この手順は、綿、いちご、トマト、ジャガイモ、野菜及び観賞植物との使用で特に好ましい。
【0064】
別の実施形態では、殺線虫処理組成物は、潅注適用を用いて、植物及び/または土壌に適用される。好ましくは、土壌を通して植物の根部分に流れるような十分な量の殺線虫処理組成物が適用される。潅注適用技術は、作物、芝草及び動物との使用で特に好まれる。
【0065】
いくつかの実施形態では、殺線虫組成物を、植え付け後に土壌に適用する。しかし、他の実施形態では、殺線虫組成物は植え付けの間に土壌に適用される。しかし、他の実施形態では、殺線虫組成物は、植え付け前に土壌に適用され得る。殺線虫組成物が土壌に直接適用される場合、当該技術分野で公知のいずれかの方法を用いて適用され得る。例えば、土壌中に耕作され得る、または、畝に適用され得る。
【0066】
動物への投与
【0067】
本開示の別の実施形態は概して、所望しない線虫を防除する方法に関し、当該方法には、本明細書に記載される化合物(例えば、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンまたはその誘導体)を含む殺線虫処理組成物を動物に投与することが含まれる。例えば、1つの実施形態では、殺線虫処理組成物は、動物に経口投与され、体内の寄生線虫に対する活性を助長し得る。別の実施形態では、殺線虫処理組成物は、宿主動物への注射によって投与され得る。別の実施形態では、殺線虫処理組成物は、局所適用によって宿主動物に投与され得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、殺線虫組成物を、ポアオンといった局所適用またはタグもしくは首輪(collars)での使用のために調製する。これらの実施形態では、宿主動物が非ヒト動物であることが特に好ましい。
【0069】
本明細書に記載される殺線虫組成物は、あらゆる脊椎動物(例えば、鳥または哺乳動物)に適用され得る。鳥は、家畜化した家禽(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒルまたはガチョウ)であり得る。哺乳動物は、家畜化した動物、例えばペット用の動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマもしくはウサギ)または家畜類(例えばウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、アルパカまたはラマ)であり得る。または、哺乳動物はヒトであり得る。
【0070】
本開示の別の実施形態は概して、非ヒト脊椎動物用の殺線虫餌に関し、ここで、殺線虫餌には、(a)餌;及び(b)本明細書に記載される化合物(例えば、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン)またはその塩を含む殺線虫組成物が含まれる。いくつかの実施形態では、餌は:大豆、トウモロコシ、モロコシ、アワ、アルファルファ、クローバー及びライからなる群から選択される。他の実施形態は、本明細書に記載される化合物(例えば、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン)またはその塩を1つ以上含むように動物の餌を補充する方法を対象とする。
【0071】
処理された種子
一般的な本開示の別の実施形態は概して、本明細書に記載される化合物を含む種子処理組成物で処理された種子に関する。いくつかの実施形態では、種子は、限定しないが、固体マトリックスプライミング、吸水、コーティング及びスプレー塗装といった、上記の種子処理方法のうち1つを用いて種子処理組成物で処理されている。種子は、上記の通り、あらゆる植物種の種子であり得る。
【0072】
処理した種子は、その化合物を、1つの種子あたり、少なくとも約0.1mg、約0.1〜約2mg、約0.1〜約1mg、約0.1〜約0.5mgの量で含む。
【0073】
殺線虫組成物
本開示の別の実施形態は概して本明細書に記載される3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン及びその誘導体を有効量で含む殺線虫組成物に関する。いくつかの実施形態では、殺線虫組成物は、水性組成物であり得る。
【0074】
一般的に、本明細書に記載される殺線虫組成物は、あらゆる補助剤、賦形剤または当該技術分野で公知の他の所望する成分を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、殺線虫組成物はさらに界面活性剤を含む。
【0075】
アニオン性活性剤の例としては、硫酸アルキル、硫酸アルコール、アルコールエーテルサルフェート、アルファオレフィンスルホネート、アルキルアリールエーテルサルフェート、硫酸アリール、スルホン酸アルキル、スルホン酸アルキルアリール、スルホサクシネート、ポリアルコキシ化アルキルアルコールまたはアルキルフェノールの一または二リン酸エステル、アルコールまたはポリアルコキシ化アルカノールの一または二スルホコハク酸エステル、アルコールエーテルカルボキシレート、フェノールエーテルカルボキシレートが挙げられる。1つの実施形態では、界面活性剤はスルホン酸アルキルアリールである。
【0076】
市販のアニオン性界面活性剤の非制限的な例としては、ドデシル硫酸ナトリウム(Na−DS、SDS)、MORWET D−425(アルキルナフタレンスルホネート縮合物のナトリウム塩(アクゾノーベル社から入手可能))、MORWET D−500(ブロック共重合体とのアルキルナフタレンスルホネート縮合物のナトリウム塩(アクゾノーベル社から入手可能))、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(Na−DBSA)(アルドリッチ社から入手可能)、ジフェニルオキシドジスルホネート、ナフタレンホルムアルデヒド縮合物、DOWFAX(ダウ(Dow)社から入手可能)、スルホコハク酸ジヘキシル及びジオクチルスルホコハク酸、アルキルナフタレンスルホネート縮合物及びこれらの塩が挙げられる。
【0077】
非イオン性界面活性剤の例としては、ソルビタンエステル、エトキシル化ソルビタンエステル、アルコキシル化アルキルフェノール類、アルコキシル化アルコール、ブロック共重合体エーテル及びラノリン誘導体が挙げられる。1つの実施形態に従うと、界面活性剤はアルキルエーテルブロック共重合体を含む。
【0078】
市販の非イオン性界面活性剤の非制限的な例としては、SPAN 20、SPAN 40、SPAN 80、SPAN 65、及びSPAN 85(アルドリッチ社から入手可能);TWEEN 20、TWEEN 40、TWEEN 60、TWEEN 80及びTWEEN 85(アルドリッチ社から入手可能);IGEPAL CA−210、IGEPAL CA−520、IGEPAL CA−720、IGEPAL CO−210、IGEPAL CO−520、IGEPAL CO−630、IGEPAL CO−720、IGEPAL CO−890及びIGEPAL DM−970(アルドリッチ社から入手可能);Triton X−100(アルドリッチ社から入手可能);BRIJ S10、BRIJ S20、BRIJ 30、BRIJ 52、BRIJ 56、BRIJ 58、BRIJ 72、BRIJ 76、BRIJ 78、BRIJ 92V、BRIJ 97及びBRIJ 98 (アルドリッチ社から入手可能);PLURONIC L−31、PLURONIC L−35、PLURONIC L−61、PLURONIC L−81、PLURONIC L−64、PLURONIC L−121、PLURONIC 10R5、PLURONIC 17R4及びPLURONIC 31R1(アルドリッチ社から入手可能);Atlas G−5000及びAtlas G−5002L(クローダ(Croda)社から入手可能);ATLOX 4912及びATLOX 4912−SF(クローダ社から入手可能);及びSOLUPLUS(BASF社から入手可能)、LANEXOL AWS(クローダ社から入手可能)が挙げられる。
【0079】
カチオン性界面活性剤の非制限的な例としては、モノアルキル四級アミン、脂肪酸アミド界面活性剤、アミドアミン、イミダゾリン及び多量体カチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0080】
いくつかの実施形態では、殺線虫組成物は、水に加えて共溶媒を含む。使用され得る共溶媒の非制限的な例としては、乳酸エチル、大豆メチル(methyl soyate)/乳酸エチル共溶媒混合物(例えばSTEPOSOL、ステパン(Stepan)社から入手可能)、イソプロパノール、アセトン、1,2−プロパンジオール、n−アルキルピロリドン(例えばAGSOLEXシリーズ、ISP社から入手可能)、石油系油(例えばエクソン・モービル社から入手可能なAROMATICシリーズ及びSOLVESSOシリーズ)、イソパラフィン系流体(例えばISOPARシリーズ、エクソン・モービル社から入手可能)、シクロパラフィン系流体(例えばNAPPAR 6、エクソン・モービル社から入手可能)、ミネラルスピリット(例えばエクソン・モービル社から入手可能なVARSOLシリーズ)及び鉱油(例えばパラフィン油)が挙げられる。
【0081】
市販の有機溶媒の例としては、ペンタデカン、ISOPAR M、ISOPAR V及びISOPAR L(エクソン・モービル社から入手可能)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンの殺線虫組成物は、調製され得、種子処理機タンク内で混合され得、種上でオーバーコーティングによって組み合わされ得、または、1つ以上の付加的な活性成分と組み合わされ得る。付加的な活性成分は、例えば、殺虫剤またはバイオ農薬を含み得る。いくつかの実施形態では、殺線虫組成物は3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン及び別の殺虫剤、例えば、殺線虫剤、殺虫剤、殺菌剤、除草剤及び/または他の化学物質を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、殺線虫組成物は第2の殺虫剤(例えば、殺線虫剤、殺虫剤または殺菌剤)をさらに含み、例えば、エバーメクチン(例えばイベルメクチン)、ミルベマイシン、イミダクロプリド、アルジカルブ、オキサミル、フェナミホス、ホスチアゼート、メタムナトリウム、エトリジアゾール、ペンタ−クロロ−ニトロベンゼン(PCNB)、フルトラニル、メタラキシル、メフォノキサム及びホセチル−alが挙げられる。有用な殺菌剤としては、シルチオファム、フルジオキソニル、ミクロブタニル、アゾキシストロビン、クロロタロニル、プロピコナゾール、テブコナゾール及びピラクロストロビンが挙げられるが、これらに限定されない。組成物はまた、除草剤(例えば、トリフロキスルフロン、グリフォセート、ハロスルフロン)及び/または他の病害防除に有用な他の化学物質(例えば、キトサン)を含み得る。
【0083】
殺虫剤及び殺線虫剤の非制限的な例としては、カルバメート、ジアミド、大環状ラクトン、ネオニコチノイド、有機リン酸、フェニルピラゾール、ピレトリン、スピノシン、合成ピレスロイド、テトロン酸及びテトラミン酸が挙げられる。別の実施形態では、殺虫剤及び殺線虫剤として、アバメクチン、アルジカルブ、アルドキシカルブ、ビフェントリン、カルボフラン、クロラントラニリプロール、クロチアニジン、シフルトリン、シハロトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、ジノテフラン、エマメクチン、エチプロール、フェナミホス、フィプロニル、フルベンジアミド、ホスチアゼート、イミダクロプリド、イベルメクチン、ラムダ・シハロトリン、ミルベメクチン、3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール、ニテンピラム、オキサミル、ペルメトリン、スピネトラム、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロテトラマト、テフルトリン、チアクロプリド、チアメトキサム及びチオジカルブが挙げられる。
【0084】
有用な殺菌剤の非制限的な例としては、芳香族炭化水素、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアジアゾール、カルボキサミド、カルボン酸アミド、モルホリン、フェニルアミド、ホスホネート、キノン外部阻害剤(quinone outside inhibitors)(例えばストロビルリン)、チアゾリジン、チオファネート、チオフェンカルボキサミド及びトリアゾールが挙げられる。殺菌剤の非制限的な例としては、アシベンゾラル−S−メチル、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ビキサフェン、ボスカリド、カルベンダジム、シプロコナゾール、ジメトモルフ、エポキシコナゾール、フルオピラム、フルオキサストロビン、フルチアニル、フルトラニル、フルキサピロキサド、ホセチル−Al、イプコナゾール、イソピラザム、クレソキシム−メチル、メフェノキサム、メタラキシル、メトコナゾール、ミクロブタニル、オリサストロビン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、ピコキシストロビン、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、セダキサン、シルチオファム、テブコナゾール、チフルザミド、チオファネート、トルクロホス−メチル、トリフロキシストロビン及びトリチコナゾールが挙げられる。
【0085】
除草剤の非制限的な例としては、ACCアーゼ阻害剤、アセトアニリド、AHAS阻害剤、カロテノイド生合成阻害剤、EPSPS阻害剤、グルタミン合成酵素阻害剤、PPO阻害剤、PS II阻害剤及び合成オーキシンが挙げられる。除草剤の非制限的な例としてはアセトクロル、クレトジム、ジカンバ、フルミオキサジン、ホムセイフェン、グリホサート、グルホシネート、メソトリオン、キザロホップ、サフルフェナシル、スルコトリオン及び2,4−Dが挙げられる。
【0086】
追加活性はまた、生物的防除剤、微生物抽出物、植物成長促進剤または植物防御剤といった物質を含み得る。生物的防除剤の非制限的な例としては、細菌、真菌、有益な線虫及びウイルスが挙げられる。
【0087】
特定の実施形態では、生物的防除剤は、放線菌(Actinomycetes)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、アルスロバクター(Arthrobacter)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、オーレオバクテリウム(Aureobacterium)、アゾバクター(Azobacter)、バチルス(Bacillus)、ベイジェリンキア(Beijerinckia)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、バークホルデリア(Burkholderia)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、クロストリディウム(Clostridium)、クラビバクター(Clavibacter)、コマモナス(Comamonas)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、クルトバクテリウム(Curtobacterium)、エンテロバクター(Enterobacter)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、グルコノバクター(Gluconobacter)、ヒドロゲノファガ(Hydrogenophaga)、クレブシェラ(Klebsiella)、メチロバクテリウム(Methylobacterium)、パエニバチルス(Paenibacillus)、パスツリア(Pasteuria)、フォトラブダス(Photorhabdus)、フィロバクテリウム(Phyllobacterium)、シュードモナス(Pseudomonas)、リゾビウム(Rhizobium)、セラチア(Serratia)、スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)、ステノトロホモナス(Stenotrophomonas)、バリオボラックス(Variovorax)及びゼノルハブダス(Xenorhabdus)の属の細菌であり得る。具体的な実施形態では、細菌は、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス・リケンフォルミス(Bacillus lichenformis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、クロモバクテリウム・スツスガ(Chromobacterium suttsuga)、パスツーリア・ペネトランス(Pasteuria penetrans)、パスツーリア・ユーセジ(Pasteuria usage)及びシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomona fluorescens)からなる群から選択される。
【0088】
特定の実施形態では、生物的防除剤は、アルタナリア(Alternaria)、アンペロマイセス(Ampelomyces)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、ビューベリア(Beauveria)、コレトトリカム(Colletotrichum)、コニオスリウム(Coniothyrium)、グリオクラディウム(Gliocladium)、メタリジウム(Metarhizium)、ムスコドル(Muscodor)、ペシロマイセス(Paecilomyces)、トリコデルマ(Trichoderma)、チフラ(Typhula)、ウロクラディウム(Ulocladium)及びバーティシリウム(Verticillium)の属の真菌であり得る。別の実施形態では、真菌は、ビューベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)、コレトトリカム・ミニタンス(Coniothyrium minitans)、グリオクラディウム・ウィレンス(Gliocladium virens)、ムスコドル・アルブス(Muscodor albus)、ペシロマイセス リラシヌス(Paecilomyces lilacinus)またはトリコデルマ・ポリスポラム(Trichoderma polysporum)である。
【0089】
さらなる実施形態では、生物的防除剤は、植物成長促進剤または植物防御剤であり得、ハーピン、オオイタドリ(Reynoutria sachalinensis)、ジャスモン酸、リポキトオリゴ糖及びイソフラボンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される殺線虫組成物は、測定可能な殺線虫活性を示し、もしくは、より少ない生存子孫またはゼロの子孫の結果となるように線虫において低下した妊孕性または不稔性をもたらし、または、線虫が宿主に内寄生または繁殖する能力を傷つける、または、線虫の成長または発達に干渉する。殺線虫組成物はまた、線虫忌避性も示し得る。
【0091】
例えば、本明細書に記載される殺線虫組成物は、成虫である線虫の生存時間を、曝露していない同様の段階にある成虫に比べて、例えば、約20%、40%、60%、80%以上低下し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される殺線虫組成物は、約20%、40%、60%、80%以上で、線虫が増殖、再生及び/または生存子孫を生産するのをやめることを引き起こし得る。効果はすぐに、もしくは、次に続く世代で現れ得るか、または、その双方で現れ得るかのいずれかである。
【0092】
本明細書に記載される殺線虫組成物は、次の非制限的で例示的な属の線虫が引き起こす病気または寄生を治療するのに使用され得る:グロボデラ(Globodera)、アングイナ(Anguina)、クキセンチュウ(Ditylenchus)、チレンコリンカス(Tylenchorhynchus)、ネグサレセンチュウ(Pratylenchus)、ラドホルス(Radopholus)、ヒルシュマニエラ(Hirschmanniella)、ナコブス(Nacobbus)、ホプロライムス(Hoplolaimus)、スクテロネマ(Scutellonema)、ロチレンクス(Rotylenchus)、ヘリコチレンクス(Helicotylenchus)、ロチレンクルス(Rotylenchulus)、ベロノライムス(Belonolaimus)、ヘテロデラ(Heterodera)、他のシスト線虫、メロイドギネ、クリコネモイデス(Criconemoides)、ヘミシクリオホラ(Hemicycliophora)、パラチレンクス(Paratylenchus)、チレンクルス(Tylenchulus)、アフェレンコイデス(Aphelenchoides)、ブルサフェレンクス(Bursaphelenchus)、ラジナフェレンクス(Rhadinaphelenchus)、ロンギドルス(Longidorus)、キシフィネマ(Xiphinema)、トリコドルス(Trichodorus)及びパラトリコドルス(Paratrichodorus)、ジロフィラリア(Dirofilaria)、オンコセルカ(Onchocerca)、ブルギア(Brugia)、アカントケイロネマ(Acanthocheilonema)、アエルロストロンギルス(Aelurostrongylus)、アンシロストーマ(Anchlostoma)、アンギオストロンギルス(Angiostrongylus)、アスカリス(Ascaris)、ブノストムム(Bunostomum)、キャピラリア(Capillaria)、シャベルチア(Chabertia)、クーペリア(Cooperia)、クレノソマ(Crenosoma)、ジクチオカウルス(Dictyocaulus)、ジオクトフィーマ(Dioctophyme)、ジペタロネーマ(Dipetalonema)、ドランクンクルス(Drancunculus)、エンテオビウス(Enteobius)、フィラロイデス(Filaroides)、ヘモンカス(Haemonchus)、ラゴキルアスカリス(Lagochilascaris)、ロア(Loa)、マンセオネラ(Manseonella)、ミュエレリウス(Muellerius)、ネカトール(Necator)、ネマトジルス(Nematodirus)、エソファゴストムム(Oesophagostomum)、オステルタジア(Ostertagia)、パラフィラリア(Parafilaria)、パラスカリス(Parascaris)、フィサロプテラ(Physaloptera)、プロトストロンギルス(Protostrongylus)、セタリア(Setaria)、スピロセルカ(Spirocerca)、ステファノジラリア(Stephanogilaria)、ストロンギロイデス(Strongyloides)、ストロンギルス(Strongylus)、テラジア(Thelazia)、トキソアスカリス(Toxascaris)、トキソカラ(Toxocara)、トリキネラ(Trichinella)、トリコストロンギルス(Trichostrongylus)、トリクリス(Trichuris)、ウンシナリア(Uncinaria)及びウケレリア(Wuchereria)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される殺線虫組成物は、ジロフィラリア、オンコセルカ、ブルギア、アカントケイロネマ、ジペタロネーマ、ロア、マンソネラ(Mansonella)、パラフィラリア、セタリア、ステファノフィラリア(Stephanofilaria)及びウケリア(Wucheria)、ネグサレセンチュウ、ヘテロデラ、メロイドギネ及びパラチレンクスを包含する線虫によって引き起こされる病気または寄生を治療するのに利用される。非制限的な種の例としては:イヌ鉤虫(Ancylostoma caninum)、捻転胃虫(Haemonchus contortus)、旋毛虫(Trichinella spiralis)、トリチュリス・ムリス(Trichurs muris)、イヌ糸状虫(Dirofilaria immitis)、ディロフィラリア・テヌイス、ディロフィラリア・レペンス(Dirofilaria repens)、ディロフィラリア・ウルシ(Dirofilaria ursi)、ブタ回虫(Ascaris suum)、イヌ回虫(Toxocara canis)、ネコ回虫(Toxocara cati)、ネズミ糞線虫(Strongyloides ratti)、パラストロンギロイデス・トリコスリ(Parastrongyloides trichosuri)、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、ジャガイモシロシストセンチュウ(Globodera pallida)、ジャワネコブセンチュウ(Meloidogyne javanica)、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)及びアレナリアネコブセンチュウ(Meloidogyne arenaria)、バナナネモグリセンチュウ(Radopholus similis)、ロンギドルス・エロンガトス(Longidorus elongatus)、キタネコブセンチュウ(Meloidogyne hapla)ならびにキタネグサレセンチュウ(Pratylenchus penetrans)が挙げられる。
【0093】
実施形態を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、本開示の修正及び変更が可能であることが明らかであろう。
【実施例】
【0094】
次の非制限的な実施例は、さらなる例示のために提供される。
【0095】
実施例1:殺線虫効力アッセイ
【0096】
小型化温室アッセイを実施して、複数の3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン化合物のサツマイモネコブセンチュウの線虫に対する効果を調べた。
【0097】
キュウリの種子を湿ったペーパータオルで3日間発芽させた。許容できる芽は3〜4cmの長さであり、側根が複数現れたところであった。各試験の化合物のために、殺虫剤試験化合物の濃度が5mg/mLとなるよう、アセトン及びTRITON X100界面活性剤(500mL中412mg)の混合物内で原液を調製した。その化学原液を次いで脱イオン水(10mL)及びTRITON X100(0.015%濃度)の混合物に添加し、徹底的に混合し、試験溶液を作製した。
【0098】
各試験溶液を3回評価した。乾燥砂(10mL)を各小瓶に加えた。小瓶を傾け、子葉が砂のちょうど上に来るように実生を正しい配向で配置し、次いで、小瓶を傾け直して小根が砂で覆われるようにすることで、実生を植え付けた。試験溶液(3.3mL)の試料を次いで各小瓶に加え、小瓶を蛍光灯列下のラック内に配置した。500個の虫状のサツマイモネコブセンチュウ(M.incognita)の卵を脱イオン水または湧水(50μL)中の各小瓶に加えることで、植え付けから2日後に、小瓶を接種した。小瓶を次いで周囲室温の蛍光ランプの下で静置し、必要な際には脱イオン水(1mL)で水をやり、通常は試験期間中2回であった。
【0099】
砂を根から洗い流すことで、接種から10〜12日後に、キュウリ植物の収穫を行った。次の虫こぶ評価尺度を用いて、根の虫こぶの評価を行った(虫こぶ:虫こぶができた根質量%):0=0−5%;1=6−20%;2=21−50%;及び3=51−100%。各試験溶液に関して、3回の虫こぶ評価の平均を次いで計算し、スコアを付けた:虫こぶなし=0.00−0.33;軽い虫こぶ形成=0.67−1.33;中程度の虫こぶ形成=1.67−2.33;重度の虫こぶ形成=2.67−3.00。
【0100】
結果として得られた、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン化合物の殺線虫活性が、以下の表1Aに示される。他の市販の殺線虫化合物を含む比較溶液もまた、対照群として評価した。
表1A:3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンの殺線虫活性
同じ文字のデータは同じ試験から取られる。
【0101】
実施例2:殺線虫効力アッセイ
【0102】
小型化温室アッセイを実施して、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン化合物の、ダイズ及びキュウリ植物に対する線虫関連ダメージの防止における有効性を調べた。
【0103】
まず、2mLのアセトン溶液に2ミリグラムの試験化合物を溶解することで、濃縮物を調製した。次いで、適切な量の濃縮物を、TRITON X100(0.05%)を含む水性界面活性溶液と合わせて、試験溶液を調製した。
【0104】
キュウリの種子を2インチ平方のプラスチック製ポット内の砂土混合物内に植えた。通常植え付けから7日後である、子葉が完全に開き、最初の葉がちょうど現れ始めた時に、殺線虫試験溶液を各ポットに適用した。5ミリリットルの適切な化学溶液を、植物の根元との接触を避けるよう確認しながら培地の表面にピペッティングした。化学的適用のすぐ後、ミストノズルを用いて、効果的に試験溶液を土壌中にやりながら、ポットの表面を十分に湿らせてポットを濡らした。
【0105】
試験溶液の適用から7日後、各ポットを、ネコブセンチュウ(RKN)の卵で接種した。RKN線虫卵を蒸留水に添加し、水1リットルあたり1000個の虫状卵である濃度を作製することで、線虫卵スラリーを調製した。約1cmの深さである小さな穴をポットの表面に作り、1ミリリットルの線虫卵スラリーをその穴の中にピペッティングした。すぐ後に、穴を優しくふさいだ。次いで、24時間の間、試験植物の水やりを制限して植物がしおれるのを予防するのに必要なだけ水やりを行った。24時間の制限した水やりの後、試験の間、通常な地下灌漑水やりを再開した。
【0106】
キュウリ植物を、卵接種から14日後の根の虫こぶ形成に関して評価した。以下の表2Aのデータは、対照群のブランク処理と比較した防除パーセント(すなわち、虫こぶ緩和)として示される。市販の殺線虫剤、フェナミホスも比較のために評価した。
表2A:キュウリ植物へのRKN温室土壌アッセイ(7日の長さの試験)
同じ文字のデータは同じ試験から取られる。
【0107】
ダイズ植物に対するダイズシストセンチュウ(SCN)の防除に関して、同様の実験を実施した。2インチ平方のプラスチック製ポット中80%の砂及び20%のシルトローム土壌(v/v)からなる培地中にダイズ種子を植えた。植え付けからおよそ10〜12日後の、最初の三つ葉が現れ始めているのをダイズが示した時に、殺線虫試験溶液での処理を実行した。殺線虫試験溶液の適用からおよそ4時間後、上記の手順を用いて線虫であるダイズシストセンチュウ(SCN)の卵を適用した。卵接種から28日後、ダイズ植物の根の虫こぶ形成を評価した。以下の表2Bは、土壌アッセイの結果を示す。
表2B:ダイズ植物に対するSCN温室砂アッセイ
同じ文字のデータは同じ試験から取られる。
【0108】
実施例3:種子処理
【0109】
実験を行って3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン化合物の種子処理としての効力を評価した。
【0110】
200個のキュウリの種子を、適切な濃度の試験化合物のアセトン溶液で処理し、種子1個あたり0.1mg、種子1個あたり0.25mg及び種子1個あたり0.5mgの適用量を達成した。試験化合物を30重量%余分に各処理に対して添加し、130%の所望する割合になり、標的の種子適用量を確実にした。試験化合物(下の表3Aで説明される量)及び界面活性剤(あってもなくてもよい)を3mLのアセトンに溶解した。AGRIMER VA−6不活性ポリマーを合計試験化合物重量の15%の濃度で添加した。種子をバッチ実験室処理機のドラム内に置いた。ドラムを回転させた。上記の試験組成物の溶液を種子上にピペッティングした。種子が乾燥するまでドラムを回転し続けた。
表3A:種子処理調製物
【0111】
縦3インチ、横3インチのプラスチック製ポットに、80%の砂及び20%のシルトローム土壌(v/v)からなる媒体を満たした。処理したキュウリの種子を土壌表面から1/2インチ下に植えた。必要に応じてポットに水をやった。植え付けから5日後、キュウリ植物に最初の本物の葉が現れ、各ポットを虫状のネコブセンチュウの卵1000個で接種した。接種から14日後、キュウリ植物の根の虫こぶを評価した。虫こぶの評価は、0〜100の尺度で点数をつけ、0=虫こぶなし、100=完全に虫こぶが形成されている。ブランク(未処理)との比較によって防除パーセントを決定した。結果が以下の表3Bに示される。
表3B:RKN防除に関するキュウリへの種子処理
同じ文字のデータは同じ試験から取られる。NT=未試験
【0112】
実施例4:式Ia及び式Ibの化合物の合成の説明
【0113】
式Ia及び式Ibの化合物を、当業者には公知の方法を用いて調製し得る。いくつかの実施形態では、対応するモノ−置換ヒドラジンを塩化アシルでアシル化し、続いてそのN−置換−2−カルボヒドラジドをCDI(カルボニルジイミダゾール)またはホスゲンで環化し、オキサジアゾロン環を作製することで、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンを調製し得る。
【0114】
例えば、式Ia及びIbの化合物は以下のスキーム1及びスキーム2に表される例示的な反応によって示される通りに調製され得る。
【0115】
下のスキーム1に示されるように、アリール−置換ヒドラジン塩酸塩1を、強塩基と反応させ、対応するアリール−置換ヒドラジン化合物2を作製する。化合物2を次いで、塩化アシル3と反応させてN−置換−2−カルボヒドラジド4を得る。中間化合物4を次いでCDI(カルボニルジイミダゾール)で環化させ、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン生成物5を得る。
【0116】
以下のスキーム1では、置換基Xは、上記の式Ia及びIbで示される通り、独立して置換されていてもよいフェニルに対応する。同様に、置換基Yは、フラニル、チエニルまたはn−置換ピロリルに対応し、それぞれは上記式Ia及びIbに関して詳細に説明される通り、置換されていてもよい。
【0117】
スキーム1:式Ia及びIbの化合物の調製のための合成スキーム
【化26】
【0118】
以下のスキーム2で示される通り、モノ−置換ヒドラジン化合物1を塩化アシル2で反応させ、N−置換−2−カルボヒドラジド3を得る。中間化合物3を次いでホスゲンで環化し、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン生成物4を作製する。
【0119】
以下のスキーム2では、置換基Xは、上記の式Ia及びIbで示される通り、独立して置換されていてもよいフェニルに対応する。同様に、置換基Yは、フラニル、チエニルまたはn−置換ピロリルに対応し、それぞれは上記式Ia及びIbに関して詳細に説明される通り、置換されていてもよい。
【0120】
スキーム2:式I及びIIの化合物の調製のための合成スキーム
【化27】
【0121】
実施例5:3−(4−クロロフェニル)−5−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン、式Ia−iiiの調製
【0122】
50mLの水中のLiOH(2.4g)の溶液を、EtO(300mL)中の1−(4−クロロ−フェニル)ヒドラジンHCl塩(17.9g、100mmol)の懸濁液に添加し、得られた混合物を30分間撹拌した。混合物が均一になった後、有機層を分離し、トリエチルアミン(1当量)、次いでチオフェン−2−塩化カルボニル(14.6g、100mmol)を0℃の一定温度でゆっくりと滴下して加えた。混合物をさらに1時間室温で撹拌し、次いで、有機層を酢酸エチル(100mL)で希釈し、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させた。溶媒を取り除いた後に得られた粗N’−(4−クロロフェニル)チオフェン−2−カルボヒドラジド(24g)を、さらに精製することなく次の工程で使用した。
【0123】
N’−(4−クロロフェニル)チオフェン−2−カルボヒドラジド(20g、79.3mmol)、トリエチルアミン(10mL)及びカルボニルジイミダゾール(16.2g、100mmol)の混合物を、THF(100mL)中で1時間還流した。溶媒を取り除いた後に得られた粗生成物を、水で粉砕、ろ過及び乾燥し、続いて酢酸エチル/ヘキサン類から再結晶化し、3−(4−クロロ−フェニル)−5−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(18g、64.7mmol、収率81%)を得た。最終生成物のHPLC純度は99.9%であった。LC−MS[M+H]279.9(C12ClNS+H、予測値279.72)。H−NMRスペクトルは、化学構造と一致した。
【0124】
実施例6:3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(式Ia−i)の調製
【0125】
式Ia−iiiに関して実施例5で上述される手順に従って、フェニルヒドラジン塩酸塩及びチオフェン−2−塩化カルボニルから出発し、98.4%のHPLC純度を伴って、18mg(0.073mmol、収率20.3%)の3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−3H−[1,3,4]オキサジアゾール−2−オンを、得た。LC−MS[M+H]245.6(C12S+H、予測値245.27)。
【0126】
実施例7:5−(フラン−2−イル)−3−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(式Ia−ii)の調製
【0127】
式Ia−iiiに関して実施例5で上述される手順に従って、遊離塩基としてのフェニルヒドラジン及びフラン−2−塩化カルボニルから出発し、3−フェニル−5−(フラン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(36.2mg、0.158mmol、収率63%)を得た。最終生成物のHPLC純度は99.9%であった。LC−MS[M+H]229.6(C12+H、予測値229.21)。H−NMRスペクトルは、化学構造に一致していた。
【0128】
実施例8:3−(4−フルオロフェニル)−5−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(式Ia−iv)の調製
【0129】
4−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩(1.63g、10.0mmol)をエタノール(150mL)及びピリジン(2.43mL、30.0mmol、3.0当量)と混合した。混合物を加熱還流し、ピリジン(2.43mL、30.0mmol、3.0当量)をさらに添加した。5分間室温で撹拌した後、塩化チオフェンカルボニル(10.8mL、1.47g、10.0mmol、1.0当量)を添加した。懸濁液を室温で2時間撹拌し、次いで、窒素雰囲気下で30分間還流温度で撹拌した。水(375mL)を添加し、次いで、混合物を酢酸エチル(2×300mL)で抽出した。まとめた有機層を次いでブライン(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過及び真空中で濃縮し、茶色の固形物として粗生成物(2.3g)を得た。ISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、勾配ヘプタン類/酢酸エチル)を用いた精製によって、N’−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−カルボヒドラジド(575mg、2.43mmol、収率24.3%)を茶色の固形物として得た。
【0130】
N’−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−カルボヒドラジド(575mg、2.43mmol)を、ガラス製のフラスコ内でジクロロメタン(14mL)及びテトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。フラスコを氷内で冷やした。ホスゲン(トルエン中20%、3.42mL、6.49mmol、2.67当量)を添加し、溶液を窒素雰囲気下で一晩撹拌し、溶液は室温まで温かくなった。酢酸エチル(40mL)を添加し、次いで溶液を水(2×25mL)及びブライン(25mL)で洗浄した。溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過及び真空中で濃縮し、0.59グラムの粗生成物を淡茶色の固形物として得た。ISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、勾配ヘプタン類/酢酸エチル)を用いた精製によって、99.7%のHPLC純度を伴って、3−(4−フルオロフェニル)−5−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(210mg、0.800mmol、収率33.0%)を灰色がかった白色の固形物として得た。LC−MS[M+H]263.02(C12FNS+H、予測値263.02).H−NMRスペクトルは、化学構造に一致していた。
【0131】
実施例9:3−(4−クロロフェニル)−5−(フラン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(式Ia−v)の調製
【0132】
EtO(4mL)中、塩酸塩としての1−(4−クロロフェニル)ヒドラジン(89.5mg、0.5mmol)の懸濁液に、2NのLiOHの溶液(1mL)を添加し、得られた混合物を15分間撹拌した。その系が均一になった後、有機層を分離してNaSO上で乾燥させた。遊離塩基としてのカルボヒドラジドの得られたエーテル溶液を−5℃まで冷やし、次いで、5mLのTHF中のフラン−2−塩化カルボニル(65mg、0.5mmol)の溶液を得られた混合物に滴下して添加した。0℃で30分間撹拌した後、反応混合物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(50mL)で抽出した。有機層を次いで分離し、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中5〜50%EtOAc)で精製し、99.9%のHPLC純度を伴って、100mg(0.382mmol、収率76.3%)の3−(4−クロロ−フェニル)−5−フラン−2−イル−3H−[1,3,4]オキサジアゾール−2−オンを得た。LC−MS[M+H]263.7C12ClN+H、予測値263.01)。H−NMRスペクトルは、化学構造に一致していた。
【0133】
実施例10:3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−5−(フラン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(式Ia−vi)の調製
【0134】
EtO(10mL)中の塩酸塩としての1−(4−クロロ−2−メチルフェニル)ヒドラジン(96mg、0.5mmol)の懸濁液に、2NのLiOHの溶液(3mL)を添加し、得られた混合物を15分間撹拌した。その系が均一になった後、フラン−2−塩化カルボニルを添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を水(100mL)で希釈し、EtOAc(70mL)で抽出した。有機層を次いで分離し、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させた。溶媒を取り除いた後に得られたN’−(4−クロロ−2−メチルフェニル)フラン−2−カルボヒドラジドの粗物質を、さらに精製することなく次の工程で使用した。
【0135】
N’−(4−クロロ−2−メチルフェニル)フラン−2−カルボヒドラジド(0.5mmol)、トリエチルアミン(0.1mL、0.75mmol)及びカルボニルジイミダゾール(0.24g、1.5mmol)の混合物を、80℃の2mLのTHF中で一晩撹拌した。溶媒を取り除いた後に得られた粗生成物を、次いでクロマトグラフィー(シリカゲル、1:9酢酸エチル−ヘキサン類)にかけ、続いてヘキサン類から結晶化し、98.9%のHPLC純度を伴って83mg(0.3mmol、収率60%)の3−(4−クロロ−2−メチル−フェニル)−5−フラン−2−イル−3H−[1,3,4]オキサジアゾール−2−オンを白色固形物として得た。LC−MS[M+H]277.9(C13ClN+H、予測値277.68)。H−NMRスペクトルは、化学構造に一致していた。
【0136】
実施例11:式IIa及びIIbの化合物の合成の説明
【0137】
式IIa及びIIbの化合物は当業者には公知の方法を用いて調製され得る。例えば、式IIa及びIIbの化合物は、次のスキーム3及び4の例示的な反応に示される通りに調製され得る。
【0138】
下のスキーム3に示されるように、アリール−置換ヒドラジン塩酸塩1を、強塩基と反応させ、対応するアリール−置換ヒドラジン化合物2を作製する。化合物2を次いで、塩化アシル3と反応させてN−置換−2−カルボヒドラジド4を得る。中間化合物4を次いでCDI(カルボニルジイミダゾール)で環化させ、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン生成物5を得る。
【0139】
以下のスキーム3では、置換基Xは、フラニル、チエニルまたはn−置換ピロリルに対応し、それぞれは上記式Ia及びIbに関して詳細に説明される通り、置換されていてもよい。同様に、置換基Yは、上記の式Ia及びIbで示される通り、独立して置換されていてもよいフェニルに対応する。
【0140】
スキーム3:式IIa及びIIbの化合物への合成経路
【化28】
【0141】
または、式IIa及びIIbの化合物は、スキーム4に示される通りに調製され得る。下のスキーム4に示されるように、置換ヒドラジン化合物1を、トリエチルアミン及びテトラヒドロフランの存在下で塩化アシル2と反応させてN−置換−2−カルボヒドラジド3を得る。中間化合物3を次いでホスゲンで環化させ、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン生成物4を得る。
【0142】
以下のスキーム4では、置換基Xは、フラニル、チエニルまたはn−置換ピロリルに対応し、それぞれは上記式Ia及びIbに関して詳細に説明される通り、置換されていてもよい。同様に、置換基Yは、上記の式Ia及びIbで示される通り、独立して置換されていてもよいフェニルに対応する。
【0143】
スキーム4:式IIaの化合物の調製のための合成スキーム
【化29】
【0144】
実施例12:5−(4−クロロフェニル)−3−(チオフェン−2−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(式IIa−iv)の調製
【0145】
THF(5mL)中のtert−ブチル1−(チオフェン−2−イル)ヒドラジンカルボキシレート(100mg、0.467mmol)の溶液に、トリエチルアミン(64μL、0.476mmol、1当量)及び4−塩化クロロベンゾイル(60μL、82mg、0.467mmol、1当量)を添加し、得られた混合物を1時間室温で撹拌した。反応混合物の試料(水でクエンチし、EtOAcで抽出)は、NMRの測定により、中間粗生成物tert−ブチル2−(4−クロロベンゾイル)−1−(チオフェン−2−イル)−ヒドラジンカルボキシレートの存在を示した。反応混合物を次いで水の中に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層をMgSO上で乾燥し、真空中で濃縮した。粗生成物(278mg)を自動カラムクロマトグラフィー(EtOAc/へプタン)で精製し、99%超のHPLC純度を伴って、淡茶色固形物としてtert−ブチル2−(4−クロロベンゾイル)−1−(チオフェン−2−イル)−ヒドラジンカルボキシレート(127mg、360mmol、収率77%)を得た。LC−MS(M−1)351(C1617ClNS−1、予測値352.06)。
【0146】
DCM(8mL)中のtert−ブチル2−(4−クロロベンゾイル)−1−(チオフェン−2−イル)−ヒドラジンカルボキシレート(136mg、0.385mmol)の溶液を氷浴中で冷やした。ホスゲン(539μL、2.66当量;トルエン中20%)及びジオキサン中4NのHCl(数滴)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。DCM及び水を添加し、相を分離した。水相をDCMで抽出した。1つにまとめた有機物をMgSO上で乾燥した。真空中での濃縮により、茶色の固形物(96mg)を得た。粗生成物を自動カラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)によって精製し、98%のHPLC純度を伴って、所望する生成物(16mg、0.057mmol、収率15.8%)を得た。LC−MS[M+H]279.05(C12ClNS+H、予測値279.99)。H−NMRスペクトルは、化学構造に一致していた。
【0147】
実施例13:式Icの化合物の合成の説明
【0148】
式Icの化合物は、当業者には公知の方法を用いて調製され得る。例えば、式Icの化合物は、以下のスキーム5に表される例示的な反応によって示される通りに調製され得る。
【0149】
下のスキーム5に示されるように、アリール−置換ヒドラジン塩酸塩1を、強塩基と反応させ、対応するアリール−置換ヒドラジン化合物2を作製する。化合物2を次いで、塩化アシル3と反応させてN−置換−2−カルボヒドラジド4を得る。中間化合物4を次いでホスゲンで環化させ、3,5−二置換−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン生成物5を得る。
【0150】
以下のスキーム1では、置換基Xは、上記の式Icで詳細に示される通り、独立して置換されていてもよいフェニルに対応する。
【0151】
スキーム5:式Icの化合物の合成スキーム
【化30】
【0152】
実施例14:3−フェニル−5−(1H−ピロール1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(式Ic−i)の調製
【0153】
フェニルヒドラジン(86μL、1.47mmol)をフラスコ内でエタノール(10mL)及びピリジン(211μL、2.61mmol、3.0当量)に溶解し、混合物を窒素雰囲気下で20分間撹拌した。フラスコを氷内で冷やした。テトラヒドロフラン(1.5mL)中の1H−ピロール−1−塩化カルボニル(1.47mmol、1当量)の溶液を混合物に添加した。得られた茶色の溶液を一晩撹拌し、溶液は室温まで温かくなった。水(60mL)を添加し、混合物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。まとめた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過及び真空中で濃縮し、0.18グラムの濃緑色の固形物を得た。ISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、勾配ヘプタン類/酢酸エチル)による精製によって、濃緑色の固形物(20mg、215nmでHPLC−MS純度81.7%;73mg、215nmでHPLC−MS純度29.5%)として、対応するN’−フェニル−1H−ピロール−1−カルボヒドラジドを伴う2つの分画を得た。双方のカルボヒドラジド分画をさらに精製することなく用いて、2つの異なる試験内で、以下に説明するオキサジアゾルン(oxadiazolne)に転化した。
【0154】
カルボヒドラジドの第1の分画(20mg、0.099mmol)をジクロロメタン(1mL)及びテトラヒドロフラン(1.2mL)に溶解した。フラスコを氷内で冷やした。ホスゲン(トルエン中20%、0.137mL、0.265mmol、2.67当量)を添加し、溶液を窒素雰囲気下で一晩撹拌し、溶液は室温まで温かくなった。酢酸エチル(5mL)を添加し、次いで溶液を水(2×3mL)及びブライン(3mL)で洗浄した。溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過及び真空中で濃縮し、39mgの粗生成物を黒色のタールとして得た。
【0155】
カルボヒドラジドの第2の分画(73mg、最大0.363mmol)を、同一の方法を用いて対応するオキサジアゾロンに転化した。粗生成物の2つのバッチをまとめ、ISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、勾配/ヘプタン類酢酸エチル)で精製し、99.5%のHPLC純度を伴って、21mg(0.0924mmol、収率20.0%)の3−フェニル−5−(1H−ピロール1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンを得た。LC−MS[M+H]228.0(C12+H、予測値228.07)。H−NMRスペクトルは、化学構造に一致していた。
【0156】
実施例15:3−(4−クロロフェニル)−5−(1H−ピロール1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(式Ic−ii)の調製
【0157】
4−クロロフェニルヒドラジン(156mg、1.47mmol)をエタノール(10mL)及びピリジン(211μL、2.61mmol、3.0当量)に溶解し、混合物を窒素雰囲気下で20分間撹拌した。フラスコを氷内で冷やした。テトラヒドロフラン(1.5mL)中の1H−ピロール−1−塩化カルボニル(1.47mmol、1当量)の溶液を添加した。得られた茶色の溶液を一晩撹拌し、溶液は室温まで温かくなった。水(60mL)を添加し、混合物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。まとめた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過及び真空中で濃縮し、0.27グラムの濃緑色の固形物を得た。ISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、勾配ヘプタン類酢酸エチル)による精製によって、濃緑色の固形物として、対応するN’−(4−クロロフェニル)−1H−ピロール−1−カルボヒドラジド(149mg、215nmでHPLC−MS純度62.7%;25mg、215nmでHPLC−MS純度23.1%)を伴う2つの分画を得た。双方のカルボヒドラジド分画をさらに精製することなく用いて、2つの異なる試験内で、以下に説明するオキサジアゾロンに転化した。
【0158】
カルボヒドラジドの第1の分画(149mg、0.632mmol)をジクロロメタン(4mL)及びテトラヒドロフラン(3mL)に溶解した。フラスコを氷内で冷やした。ホスゲン(トルエン中20%、0.888mL、1.69mmol、2.67当量)を添加し、溶液を窒素雰囲気下で一晩撹拌し、溶液は室温まで温かくなった。酢酸エチル(20mL)を添加し、次いで溶液を水(2×10mL)及びブライン(10mL)で洗浄した。溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過及び真空中で濃縮し、198mgの粗生成物を黒色のタールとして得た。
【0159】
カルボヒドラジドの第2の分画(25mg、最大0.106mmol)を、同一の方法を用いて対応するオキサジアゾロンに転化した。粗生成物の2つのバッチをまとめ、ISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、勾配ヘプタン類/酢酸エチル)で精製し、99.4%のHPLC純度を伴って3−(4−クロロフェニル)−5−(1H−ピロール1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(19mg、0.073mmol、収率9.8%)を灰色がかった白色の固形物として得た。LC−MS[M+H]262.0(C12ClN+H、予測値262.03)。H−NMRスペクトルは、化学構造に一致していた。
【0160】
本明細書で要素を紹介する際に、冠詞「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」及び「前記(said)」は、1つ以上の要素があることを意味するよう意図されている。「含んでいる(comprising)」、「含んでいる(including)」及び「有している(having)」という語句は、包括的であることが意図され、列挙される要素以外の要素がさらにあり得ることを意味する。
【0161】
上記に鑑みて、本発明の複数の目的が達成され、他の効果的な結果が成し遂げられることがわかるであろう。
【0162】
本発明の範囲を逸脱することなく、上記の生成物及び方法で様々な変更がなされ得る通り、上記の説明に含まれる事項は全て、例示的なものとして解釈され、制限する意味では解釈されない。