特許第6348586号(P6348586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.の特許一覧

特許6348586アイランドでエッチングされたフィルタ通路
<>
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000002
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000003
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000004
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000005
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000006
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000007
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000008
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000009
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000010
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000011
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000012
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000013
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000014
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000015
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000016
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000017
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000018
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000019
  • 特許6348586-アイランドでエッチングされたフィルタ通路 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348586
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】アイランドでエッチングされたフィルタ通路
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/00 20060101AFI20180618BHJP
【FI】
   B01D39/00 B
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-526048(P2016-526048)
(86)(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公表番号】特表2016-537188(P2016-537188A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】US2013067595
(87)【国際公開番号】WO2015065394
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2016年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】マッケイ,ロジャー,エイ
(72)【発明者】
【氏名】サディク,パトリック,ダブリュー
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/140177(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/051727(WO,A1)
【文献】 特開2013−150978(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/050785(WO,A1)
【文献】 特開平06−120203(JP,A)
【文献】 特開昭50−089741(JP,A)
【文献】 特開2007−076188(JP,A)
【文献】 米国特許第03615953(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0106318(US,A1)
【文献】 特開2011−021049(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/093504(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00
B01D 71/02
H01L 21/306
H01L 21/308
B82Y 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタを形成するための方法であって、
基板上にエッチング・アイランドを形成
エッチング・アイランドを有する前記基板を、前記エッチング・アイランドと反応する溶液にさらし、前記基板の対向する第1及び第2の面から前記基板を同時にエッチングすることにより、前記基板を貫通して延びている相互接続された細孔からなるフィルタ通路を形成する
を含み、前記フィルタ通路が、前記基板への入口、及び前記基板からの出口を有し
前記エッチング・アイランドは、前記フィルタ通路に沿って、前記基板内に留まっており、
前記エッチング・アイランドは、前記フィルタに関する情報を提供するためのシグネチャーとして機能する特定の成分を有している、方法。
【請求項2】
前記入口は、前記基板の前記第1及び第2の面のうちの一方上にあり、前記出口は、前記基板の前記第1及び第2の面のうちの他方上にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の面と前記第2の面は平行である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エッチング・アイランドを形成することは、第1のエッチング・アイランドを前記第1の面上に形成し、第2のエッチング・アイランドを前記第2の面上に形成することを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のエッチング・アイランドは、前記第2のエッチング・アイランドに対して、前記第1の面に平行な方向にオフセットされている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記溶液にさらされることに応答して、前記第1の面上の前記第1のエッチング・アイランド、及び前記第2の面上のエッチング・アイランドが同時に反応し、前記第1の面及び前記第2の面のそれぞれから前記基板を内部まで同時にエッチングする、請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記エッチングは、前記第1のエッチング・アイランド、及び前記第2のエッチング・アイランドが前記基板の中にまで沈降し、前記基板内で互いに合流するまで、または、前記第1のエッチング・アイランド、及び前記第2のエッチング・アイランドが、前記基板内で所定の量だけ互いに通り過ぎるまで続けられる、請求項4〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記フィルタ通路を形成することは、第1のフィルタ通路、及び第2のフィルタ通路を形成することを含み、前記方法は、前記基板にトレンチを形成し、延長されたフィルタリング経路が得られるように、前記第1のフィルタ通路の前記出口と前記第2のフィルタ通路の前記入口を相互接続することをさらに含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エッチング・アイランドは、前記溶液中で第1のエッチング性質を有する第1の金属の第1のエッチング・アイランドと、前記溶液中で前記第1のエッチング性質とは異なる第2のエッチング性質を有する第2の金属の第2のエッチング・アイランドとを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記基板内にエッチング・コントローラを形成することをさらに含み、前記エッチング・コントローラは、前記基板内の前記エッチング・アイランドと相互作用するときに、前記エッチング・アイランドのエッチング速度を調節する、請求項1〜の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記エッチング・コントローラは、エッチング遅延手段を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
基板と、
前記基板の第1の面から前記基板の中にまで延びている相互接続された細孔からなる第1のフィルタ通路と、
前記第1の面とは反対側の前記基板の第2の面から前記基板の中にまで延びており、かつ、前記基板内において、前記第1の面と前記第2の面の間において前記第1のフィルタ通路に接続されている、相互接続された細孔からなる第2のフィルタ通路と、
前記基板内において、前記第1のフィルタ通路及び前記第2のフィルタ通路のうちの少なくとも一方に沿って保持された金属アイランドと
を含むフィルタであって、
前記金属アイランドは、前記フィルタに関する情報を提供するためのシグネチャーとして機能する特定の成分を有している、フィルタ
【請求項13】
前記第2の面から前記基板の中にまで延びており、かつ、前記第1のフィルタ通路に接続されている、相互接続された細孔からなる第3のフィルタ通路であって、前記第2のフィルタ通路から別個に間隔を空けて設けられた第3のフィルタ通路をさらに含む、請求項12に記載のフィルタ
【請求項14】
基板と、
前記基板の対向する面から前記基板を貫通して延びている相互接続された細孔からなるフィルタ通路と、
前記基板内において、前記フィルタ通路に沿って保持された金属アイランドと
を含むフィルタであって、
前記金属アイランドは、前記フィルタに関する情報を提供するためのシグネチャーとして機能する特定の成分を有している、フィルタ
【請求項15】
基板と、
前記基板の対向する面から前記基板を貫通して延びている相互接続された細孔からなる第1のフィルタ通路と、
前記基板内において、前記第1のフィルタ通路に沿って保持された第1の金属アイランドと、
前記基板の対向する面から前記基板を貫通して延びている相互接続された細孔からなる第2のフィルタ通路と、
前記基板内において、前記第2のフィルタ通路に沿って保持された第2の金属アイランドと、
延長されたフィルタリング経路が得られるように、前記第1のフィルタ通路の出口と前記第2のフィルタ通路の入口を相互接続する、前記基板に設けられたトレンチと
を含むフィルタであって、
前記第1及び第2の金属アイランドは、前記フィルタに関する情報を提供するためのシグネチャーとして機能する特定の成分を有している、フィルタ
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
フィルタ機構は時々、汚染物質その他の粒子を除去するために使用されている。小規模フィルタ機構は、製造が難しく、製造に高い費用を要することがある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】フィルタの一例を示す断面図である。
図2図1のフィルタを形成する方法の一例を示すフロー図である。
図3図2の方法による図1のフィルタの形成を示す斜視図である。
図4図2の方法の他の実施形態による図1のフィルタの形成を示す斜視図である。
図4A図4の基板、及び堆積されたエッチング・アイランドを示す底面図である。
図5図4に示した実施形態の方法による図1のフィルタのエッチングの一工程を示す断面図である。
図6図4に示した実施形態の方法による図1のフィルタのエッチングの一工程を示す断面図である。
図7図4に示した実施形態の方法による図1のフィルタのエッチングの一工程を示す断面図である。
図8図11のフィルタを形成するために、エッチング溶液にさらされている基板及びエッチング・アイランドを示す断面図である。
図9図11のフィルタを形成するための、図8の基板のエッチングの一工程を示す斜視図である。
図10図11のフィルタを形成するための、図8の基板のエッチングの一工程を示す斜視図である。
図11図11のフィルタを形成するための、図8の基板のエッチングの一工程を示す斜視図である。
図12図15に示した他の例によるフィルタを形成するための、基板のエッチングの一工程を示す斜視図である。
図13図15に示した他の例によるフィルタを形成するための、基板のエッチングの一工程を示す斜視図である。
図14図15に示した他の例によるフィルタを形成するための、基板のエッチングの一工程を示す斜視図である。
図15図12図14のエッチングより形成されたフィルタを、トレンチ・カバーを追加した状態で示す断面図である。
図16】フィルタをエッチングするときの、フィルタリング特性を調整するための方法の一例を示すフロー図である。
図17】エッチング・アイランド、及び、エッチング後のフィルタのフィルタリング特性を調整するためのエッチング遅延層を備えた基板を示す断面図である。
図18】基板を内部までエッチングした金属アイランドの成分の検出に基づいて、フィルタを識別するための方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
例示的実施形態の詳細な説明
図1は、一例によるフィルタ20を示す断面図である。後で説明されるように、フィルタ20は、小規模フィルタ機構として役目を果たすのによく適している。フィルタ20は、基板22、フィルタ通路24、26、及び金属アイランド34、36を含む。
【0004】
基板22は、金属アイランド34、36と反応するような特性を有する材料の層またはブロックを含み、それによって、基板22の上に金属アイランド34、36が堆積されたものが溶液にさらされたときに、金属アイランド34、36が、基板22を内部までエッチングするように構成される。一実施形態において、基板22は、金属アシスト化学エッチングのために構成された金属アイランド34、36と反応するような特性を有している。一実施形態において、基板22は、シリコン、ポリシリコン、シリコンゲルマニウム、窒化物、及び酸化物、ポリマー、セラミック、金属、(元素の周期表における)III-V族の物質、またはそれらの組み合わせを含む。
【0005】
ブロックで示されているが、基板22は、層、又は任意の他の構造を含み得る。基板22は、微小電気機械(MEMs)デバイス、プリントヘッド、又は他のデバイスに使用される基板を含み得る。基板22は、単一のブロックまたは層で示されているが、基板22は、相互に位置決めされ、又は結合された1以上の層またはブロックを含み得る。例えば、基板22は、相互に接合された複数の基板を含む場合があり、複数の基板は、同じ結晶配向を有する場合もあれば、異なる結晶配向を有する場合もある。
【0006】
フィルタ通路24、26は、基板22の中にまで延び、かつ基板22を貫通して延びる多孔性通路を含む。フィルタ通路24、26は、液体や気体のような流体をフィルタリングし、二相フローろ過を提供することができる。フィルタ通路24、26の各々は、入口28及び出口30を備えている。フィルタ通路24、26は、第1の側から基板22を貫通して基板22の反対側である第2の側まで延び、第2の側から出てゆくように示されているが、他の実施形態では、フィルタ通路24、26は、第1の側、すなわち面から基板22に入る場合があり、第1の側、すなわち面に対して非平行な第2の側、すなわち面から基板22を出てゆく場合がある。例えば、フィルタ通路24、26の一方または両方は、基板22の上面または底面を通って基板22に入り、基板22の側面を通って基板22から出てゆく場合がある。
【0007】
フィルタ通路24、26の各々は、相互接続された細孔を含む場合があり、それらの細孔38は、金属アイランド34、36及び基板22がさらされる相手方となる溶液と、金属アイランド34、36との反応の結果としてエッチングされる場合がある。一実施形態において、フィルタ通路34、36、及び細孔38は、10nmから1000nmまでの間の最大寸法、すなわち直径を有し、公称値としては、100nmの最大寸法、すなわち直径を有している。そのため、フィルタ通路24、26は、MEMsデバイスにおける使用のような、小規模フィルタ機構での使用によく適している。他の実施形態において、フィルタ通路34、36、及び細孔38は、他のフィルタリング特性を有する場合がある。
【0008】
金属アイランド34、36は、フィルタ通路24、26に沿ってそれらの中に、アイランド、すなわち金属のポケットを含む。金属アイランド34、36は、金属アシスト化学エッチング溶液にさらされたときに、基板22と反応し、基板22をエッチングするような特性を有する金属または他の材料から構成されている。一実施形態において、金属アイランド34、36は、フッ化水素酸及び過酸化水素の溶液と反応し、基板22をエッチングする金属触媒または他の金属を含む。使用可能な金属の例には、限定はしないが、銀、プラチナ、ルテニウム、プラチナ、パラジウム、モリブデン、クロム、銅、タンタル、チタン、金、イリジウム、及び、それらの混合物又は合金が含まれ得る。
【0009】
基板22内における金属アイランド34、36のサイズ及び間隔は、金属アイランド34、36の特性、フィルタ20の形成の際の、溶液とそれらの反応速度、並びに、金属アイランド34、36が溶液にさらされる前の、基板22の外側表面上の金属アイランド34、36のサイズ及び分布に基づいて決定される。一実施形態において、他の金属アイランド34、36と合併していない基板22内の金属アイランド34、36は、(流体通路24、26の中心線に対して垂直方向に測定したときに)約10nmから200nmまでの間のサイズ/直径分布を有している。一実施形態において、金属アイランド34、36は、基板体積の25%から75%までの基板内密度を有している。一実施形態において、金属エッチング・アイランド34、36は、表面42上の金粒子のようなエッチング材料を含み、エッチング材料は、エッチング前に、50μm未満のサイズ/直径を有し、隣り合うアイランド間に10nmから2000nmまでの間の間隔を有している。一実施形態において、金属エッチング・アイランド34、36は、表面42上に種々の大きなグループを成して形成され、アイランド34、36のそれらのグループは、20μmから50μmまでの間の距離だけ、互いに間隔を空けて形成される。そのようなサイズ及び密度によれば、フィルタリング特性を向上させるためのフィルタ通路24、26の形成が容易になる。他の実施形態において、金属アイランド34、36は、他のサイズ及び密度を有する場合がある。
【0010】
一実施形態において、フィルタ通路24、26は、異なる金属アイランドサイズ、異なる金属アイランド密度、又は、金属アイランド24、26のための異なる材料を使用して、流体通路24、26のフィルタリング性質、及び、細孔38のサイズまたは相互接続が、流体通路24、26の間で異なるものとなるように形成される。その結果、フィルタ通路24、26によれば、種々のフィルタリング機能が得られる。さらに別の実施形態において、フィルタ通路24、26は、同一または実質的に類似の金属アイランドサイズ、金属アイランド密度、及び/又は材料を使用して、流体通路24、26のフィルタリング性質、及び細孔38のサイズ又は相互接続が、実質的に同じになるように形成される。
【0011】
一実施形態において、多孔性フィルタ通路24、26内に入り込んだ金属アイランド34、36は、フィルタ20の内部に留まる場合がある。そのような金属アイランド34、36は、フィルタ20のサプライヤまたは出所を識別し、種々のフィルタ通路24、26のフィルタリング特性を識別し、及び/又は、特定のフィルタ20についてのバッチ番号若しくは製造日を識別するシグネチャー(痕跡)として機能する場合がある。入り込んだ金属アイランド34、36の成分をその後分析することにより、上記シグネチャーを読み取ることができる。
【0012】
図2は、フィルタ20を形成するための一例による方法100を示すフロー図である。図3は、フィルタ20の形成を示す斜視図である。図2にステップ102で示され、図3にも示されているように、エッチング・アイランドを形成する金属アイランド34、36は、基板22の外側表面42上に形成されている。図示の例において、それらのエッチング・アイランド34、36は、その後その下にフィルタ通路24、26(破線で示されている)を形成するような位置に、パターンを成して、すなわち、基板22の表面42の選択された種々の部分の上に堆積される。一実施形態において、表面42上のエッチング・アイランド34、36は、(表面42に平行な方向で測定したときに)約10nmから200nmまでの間のサイズ/直径分布を有している。一実施形態において、金属エッチング・アイランド34、36は、表面42上の金粒子のようなエッチング材料を含み、エッチング材料は、エッチング前に、50μm未満のサイズ/直径を有し、隣り合うアイランド間に10nmから2000nmまでの間の間隔を有している。一実施形態において、金属エッチング・アイランド34、36は、表面42上に種々の大きなグループを成すように形成され、アイランド34、36のそのようなグループは、20μmから50μmまでの間の距離だけ、互いに間隔を空けて形成されている。そのようなサイズ及び密度によれば、フィルタリング特性を向上させるためのフィルタ通路24、26の形成が容易になる。他の実施形態において、金属アイランド34、36は、他のサイズ及び密度を有する場合がある。上記のように、一実施形態において、エッチング・アイランド34、36は、エッチング・アイランド34、36が金属アシストエッチング溶液と異なる形で反応するような特性を有し、それによって、南寄りに形成されたフィルタ通路24、26が異なるフィルタリング特性を有するものとなるように、異なる速度でエッチングを行い、かつ異なる態様でエッチングを行う。
【0013】
一実施形態において、エッチング・アイランド34、36は、数秒から5分までの範囲の時間にわたって、100Wから200Wまでの範囲の電力投与量でスパッタリングされることによって表面42上に形成される。そのようなスパッタリングの際の温度は、周囲温度から250℃までの範囲内である。スパッタリング中の圧力は、1E−07トルから1E2トルまでの範囲内である。さらに別の実施形態では、そのようなスパッタリングのためのパラメタは、変わる場合がある。さらに別の実施形態では、エッチング・アイランド34、36は、インクジェット・プリンティング等のような他の堆積技術を使用して、表面42上に堆積され、あるいは形成される場合がある。一部の実施形態において、表面42に対するエッチング・アイランド34、36のパターニングは、マスキングを使用して達成される。さらに別の実施形態において、表面42上に対するエッチング34、36のパターニングは、制御されたインクジェット・プリンティングにより達成される。
【0014】
図2にステップ104で示され、図3にも示されているように、金属アイランド34、36が表面42上に形成され、あるいは堆積された後、相互接続された細孔38(図1に示されている)からなるフィルタ通路24、26を形成するために、エッチング・アイランド34、36は、溶液48にさらされる。図示の例では、表面42上に堆積された金属アイランド34、36を有する基板22は、溶液48の槽の中に沈められ、それによって、エッチング・アイランド34、36による細孔38の金属アシスト化学エッチングが開始される。図示の例では、溶液48は、塩酸−フッ化水素酸(HF)、及び過酸化水素(H)を含み、過酸化水素(H)は、エッチング・アイランド34、36と反応する。他の実施形態において、溶液48は、塩酸(HCL)及び過酸化水素(H)のような、金属アシスト化学エッチングを促進させる他の流体または液体を含む。他の実施形態において、エッチング・アイランド34、36は、他の形で、溶液48にさらされる場合がある。アイランド34、36によって基板22が内部まで十分にエッチングされた後、基板22は、溶液48から取り除かれる。一実施形態において、基板22は、エッチング・ストップ、又は抑止用クエンチにさらされる。例えば、基板22は、脱イオン水のクエンチにさらされる場合がある。
【0015】
一実施形態において、そのようなエッチングは、周囲温度で実施される。一部の実施形態では、エッチング速度またはエッチング性質を向上させ、あるいはそれらに影響を与えるために、エッチングは、周囲温度よりも高い温度の溶液48を用いて行われる場合がある。一実施形態において、基板22のエッチングは、攪拌しながら実施される場合がある。他の実施形態において、そのようなエッチングは、静止した槽の中で実施される場合がある。特定のエッチング速度を得るために、溶液48の構成は、変更される場合がある。例えば、過酸化水素と、フッ化水素酸と、水との割合は、特定のエッチング速度に従って変更される場合がある。この割合は、アイランド34、36によるエッチングの間に調節されてもよい。
【0016】
図4図7は、図2に示した方法100の他の例による実施形態を示している。図3に示した実施形態とは違い、図4及び図4Aに示される実施形態は、表面42の反対側であって、かつ表面42に対して平行である、基板22の底面142上に、エッチング・アイランド134、136をさらに形成することを必要とする。図示の例において、エッチング・アイランド134、136は、面42上のエッチング・アイランド34及び36と実質的に類似し、かつ、それらの反対側にある。他の実施形態では、細孔38の形成を向上させ、または容易にするために、エッチング・アイランド134、136は、エッチング・アイランド34、36に対してそれぞれ、x方向及びy方向のうちの一方または両方に、僅かにオフセットされている。図4及び図4Aは、表面42及び142のそれぞれの上に、同数の対応するアイランド34、134、及び36、136を示しているが、他の実施形態では、アイランド34の数及び位置は、アイランド134の数及び位置とは異なる場合がある。同様に、アイランド36の数及び位置は、アイランド136の数及び位置とは異なる場合がある。図4に示されるように、表面42、142の上に、エッチング・アイランド34、36、134、136がそれぞれ形成され、あるいは、堆積された後、それらのアイランドは、溶液48にさらされる。図示の例では、基板22は槽48に浸漬され、それによって、エッチングが開始される。
【0017】
図5図7に示されるように、金属アシストエッチング溶液(図示の例では、水、フッ化水素酸、及び過酸化水素の組み合わせ)にさらされると、表面42上のアイランド34、36と表面142上のアイランド134、136とが同時に、基板22を両側、すなわち表面42、142から内部までエッチングする。図7に示されているように、図示の例では、アイランド34、36及びアイランド134、136が基板22の中まで十分に沈降し、すなわち、基板22を内部までエッチングし、それらが基板22内で互いに合流し、又は連通するまで、そのような同時エッチングを続けることが可能である。一実施形態では、エッチング・アイランド34、36、134、136が合流し、フィルタ通路24、26を形成するまで、そのようなエッチングを続けることができる。
【0018】
さらに別の実施形態では、エッチング・アイランド34、36、134、136が基板22内で所定の量だけ互いに通り過ぎるまで、そのようなエッチングを続けることができる。エッチング・アイランド34、36、134、36が互いに通り過ぎる量を調整し、通り過ぎたエッチング・アイランドによって既にエッチングされた領域を通してエッチングを続けることによって、基板22の少なくとも選択された部分が2回エッチングされ、一回目は、エッチング・アイランド34、36の一方によりエッチングされ、二回目は、エッチング・アイランド134、136の一方によりエッチングされる。逆もまた同様である。その結果、フィルタ通路24及び26の多孔性及びフィルタリング性質を調整及び調節することが可能となる。上に記載したように、一実施形態において、そのようなエッチングは、金属アシストエッチング溶液48から基板22を取り除き、基板22を脱イオン水又は他のクエンチ液でクエンチすることによって停止される。
【0019】
基板22の両側からフィルタ通路24、26をエッチングすることによって、コストを低減しつつ、フィルタ通路24、26を形成するための時間が短縮される。さらに、フィルタ20の形成中に、エッチング・アイランド34、36、134、136が、より高い信頼性で基板22内に保持される。その結果、フィルタ20の出所、フィルタ20のフィルタリング性質、及び/又は、フィルタ20についての製造バッチ若しくは製造場所等を識別するため等のシグネチャーとしての使用のために、エッチング・アイランド34、36、134、136の成分を、より高い信頼性で突き止めることが可能となる。
【0020】
図11は、フィルタ20の別の実施形態であるフィルタ220を示している。図11に示されるように、フィルタ220は、(上で説明した)基板22、フィルタ通路224A、224B、224C(まとめて、フィルタ通路224と呼ばれる)、及び226、並びに、エッチング・アイランド234A、234B、234C(まとめて、エッチング・アイランド234と呼ばれる)、及び236を備えている。
【0021】
フィルタ通路224は、基板22の表面42からフィルタ通路226まで延びている、間隔を空けて設けられた個別のフィルタ通路を含む。フィルタ通路24及び26と同様に、フィルタ通路224は、相互接続された細孔38を含み、細孔38は、金属アイランド234と、金属アイランド234及び基板がさらされる相手方の溶液との間の反応の結果としてエッチングされている。一実施形態において、フィルタ通路224及びその細孔38は、10nmから1000nmまでの間の最大寸法、すなわち直径を有し、公称値としては100nmの最大寸法、すなわち直径を有している。その結果、フィルタ通路224は、MEMsデバイスにおける使用のような小規模フィルタ機構によく適している。他の実施形態において、フィルタ通路224、及びそ細孔38は、他のフィルタリング特性を有している場合がある。
【0022】
一実施形態において、フィルタ通路224の各々は、異なるフィルタリング性質を有しており、及び/又は、フィルタリングされるべき流体の異なる供給源に接続される。例えば、一実施形態において、フィルタ通路224Aは、第1の密度の細孔38又は第1の平均サイズを有する細孔38を有し、フィルタ通路224Bは、第2の異なる密度の細孔38及び/又は第2の異なる平均サイズを有する細孔38を有し、フィルタ通路224Cは、さらに別の第3の異なる密度の細孔38及び/又は第3の異なる平均サイズを有する細孔38を有している。さらに別の実施形態では、フィルタ通路224の各々が、類似のフィルタ特性を有している場合がある。
【0023】
フィルタ通路226は、フィルタ通路224の各々からフィルタリングされた流体を受け取り、追加的に第2段階のフィルタリングを行う。フィルタ通路226は、相互接続された細孔38を含み、細孔38は、金属アイランド236と、金属アイランド236及び基板22がさらされる相手方の溶液との間の反応の結果としてエッチングされている。一実施形態において、フィルタ通路226及びその細孔38は、10nmから1000nmまでの間のサイズ、最大寸法、またはサイズを有し、公称値としては、100nmのサイズ、最大寸法、またはサイズを有している。その結果、フィルタ通路226は、MEMsデバイスにおける使用のような小規模フィルタ機構によく適している。
【0024】
一実施形態において、フィルタ通路226は、フィルタ通路224のうちの1以上のものとは異なるフィルタリング特性を有している。例えば、一実施形態において、フィルタ通路226は、フィルタ通路224のうちの1以上のものとは異なる密度またはサイズを有する細孔38を含む場合がある。他の実施形態において、フィルタ通路226及びその細孔38は、他のフィルタリング特性を有している場合がある。
【0025】
図11に詳しく示されているように、図示の例では、フィルタ通路224の各々が、長さL1を有しているのに対し、フィルタ通路226は、L1よりも短い長さL2を有している。そのため、流体がフィルタ通路224の中を通過するための時間または空間は、同じ流体がフィルタ通路226の中を通過するための時間または空間よりも大きくなっている。フィルタ通路224の追加分の長さは、フィルタ220のフィルタリング特性に影響を与えるパラメタである。後で説明されるように、一実施形態では、図8に左正面に示されているエッチング溶液48にさらされたときに、エッチング・アイランド236と比較して異なるエッチング性質、又は特性を有するエッチング・アイランド234を使用することによって、異なる長さL1及びL2が達成される。その結果、基板22の両方の表面42、142からの同時エッチングを使用しながらも、異なる長さL1、L2を達成することができる。さらに別の実施形態では、クエンチ、又は他のエッチング・ストップが使用されるまでに、異なるエッチング時間を使用して流体通路224及び226を順番にエッチングすることによって、異なる長さL1、L2が達成される。
【0026】
フィルタ通路224はそれぞれ、実質的に同じ長さを有しているように示されており、また、フィルタ通路226は、基板22内の実質的に同じ深さにおいてフィルタ通路224の各々に接続されるように示されているが、他の実施形態では、フィルタ通路224のうちの1以上は、相互に比較して異なる長さを有している場合がある。例えば、一実施形態において、フィルタ通路224Aは、フィルタ通路224B及び224Cに比べて、短い長さを有している場合がある。そのような実施形態では、フィルタ220は、フィルタ通路226に類似するフィルタリング特性を有する追加的な下側フィルタ通路を含むが、その比較的短い長さの追加的な下側フィルタ通路と接続するように、より長い長さを有している。さらに別の実施形態では、代替的に、フィルタ通路244のうちの1以上が、基板22を完全に貫通して延びているが、フィルタ通路26には接続されない場合がある。
【0027】
エッチング・アイランド234、236は、上で説明したアイランド34、36、134、136に類似している。エッチング・アイランド234、236は、フィルタ通路224、226に沿ってそれらの中に、アイランド、すなわち金属のポケットを含む。エッチング・アイランド234、236は、金属アシストエッチング溶液にさらされたときに、基板22と反応し、基板22をエッチングするような特性を有する金属または他の材料から構成されている。一実施形態において、エッチング・アイランド234、236は、フッ化水素酸及び過酸化水素の溶液と反応し、基板22をエッチングする金属触媒または他の金属を含む。使用可能な金属の例には、限定はしないが、銀、プラチナ、ルテニウム、プラチナ、パラジウム、モリブデン、クロム、銅、タンタル、チタン、金、イリジウム、及び、それらの混合物又は合金が含まれ得る。
【0028】
基板22内におけるエッチング・アイランド234、236のサイズ及び間隔は、エッチング・アイランド234、236の特性、フィルタ20の形成の際の、溶液とそれらの反応速度、並びに、金属アイランド34、36が溶液にさらされる前の、基板22の外側表面上の金属アイランド34、36のサイズ及び分布に基づいて決定される。一実施形態において、他のエッチング・アイランド234、236と合併していない基板22内のエッチング・アイランド234、236は、(流体通路224、226の中心線に対して垂直方向に測定したときに)約10nmから200nmまでの間のサイズ/直径分布を有している。一実施形態において、エッチング・アイランド234、236は、基板体積の25%から75%までの基板内密度を有している。一実施形態において、金属エッチング・アイランド34、36は、表面42上の金粒子のようなエッチング材料を含み、エッチング材料は、エッチング前に、50μm未満のサイズ/直径を有し、隣り合うアイランド間に10nmから2000nmまでの間の間隔を有している。一実施形態において、金属エッチング・アイランド34、36は、表面42上に種々の大きなグループを成して形成され、アイランド34、36のそれらのグループは、20μmから50μmまでの間の距離だけ、互いに間隔を空けて形成される。そのようなサイズ及び密度によれば、フィルタリング特性を向上させるためのフィルタ通路224、226の形成が容易になる。他の実施形態において、エッチング・アイランド234、236は、他のサイズ及び密度を有する場合がある。
【0029】
一実施形態において、フィルタ通路224、226は、異なる金属アイランドサイズ、異なる金属アイランド密度、又は、エッチング・アイランド224、226のための異なる材料を使用して、流体通路224、226のフィルタリング性質、及び細孔38のサイズまたは相互接続が、流体通路224、226の間で異なるものとなるように形成される。その結果、フィルタ通路224、226によれば、種々のフィルタリング機能が得られる。さらに別の実施形態において、フィルタ通路224、226は、同一または実質的に類似の金属アイランドサイズ又はエッチング・アイランドサイズ、エッチング・アイランド密度、及び/又は材料を使用して、流体通路224、226のフィルタリング性質、及び細孔38のサイズ又は相互接続が、実質的に同じになるように形成される。
【0030】
一実施形態において、多孔性フィルタ通路224、226内に入り込んだエッチング・アイランド234、236は、フィルタ220の内部に留まる場合がある。そのようなエッチング・アイランド234、236は、フィルタ220のサプライヤまたは出所を識別し、種々のフィルタ通路224、226のフィルタリング特性を識別し、及び/又は、特定のフィルタ220についてのバッチ番号若しくは製造日を識別するシグネチャー(痕跡)として機能する場合がある。入り込んだ金属アイランド234、236の成分をその後分析することにより、上記シグネチャーを読み取ることができる。
【0031】
図8図11は、図2に概要を示し、図4図7に関係して説明された方法の他の実施形態を示している。図8図11は、フィルタ220の形成を示している(図11に完全な状態で示されている)。図8は、エッチングの開始前に、エッチング溶液48の中で基板22を位置決めする際に行われる、基板22上へのエッチング・アイランド234、236の堆積を示している。図9及び図10は、エッチング・アイランド234、236によるエッチングの処理中の基板22を示している。図11は、完成したフィルタ220を示している。
【0032】
図8図11に示したフィルタ220を形成する方法は、表面42上に堆積されたエッチング・アイランド234と、表面142上に堆積されたエッチング・アイランド236(図8に示されている)とが、エッチング溶液48にさらされたときに、異なるエッチング特性及びエッチング速度を有している点を除き、図4図7に関して上で図示説明した方法に類似している。そのため、フィルタ通路224、226は、対向する表面42、142から同時にエッチングされるものの、(上で説明した)異なる長さL1、L2を有している。一実施形態において、エッチング・アイランド234は、エッチング・アイランド236と比べて速い速度でエッチングするように、エッチング・アイランド236の材料とは異なる材料から構成されている。さらに別の実施形態において、エッチング・アイランド234は、エッチング・アイランド236と比べて速い速度でエッチングするように、エッチング・アイランド236に比べて高い密度または大きいサイズを有している。
【0033】
図15は、フィルタ20の他の実施形態であるフィルタ320を示している。フィルタ320によれば、比較的薄い基板322を使用して、長期にわたる流体のフィルタリングが可能となる。特に、フィルタ320によれば、基板322を貫通して逆向きに流れる流体をフィルタリングすることで、相対的に薄い基板322を用いて、事実上、比較的長いフィルタが得られる。
【0034】
図15に示されているように、フィルタ320は、基板322、フィルタ通路324、326、(上で説明した)エッチング・アイランド24、26、124、126、及びトレンチ・カバー350を含む。基板322は、トレンチ352、354を明確に含むものとして示されている点を除き、上で説明した基板22に類似している。トレンチ352、354は、面42、142から内部まで延びるトラフ、流路、溝、凹部、窪み等を含む。トレンチ352、354はそれぞれ、床面356を含み、そこからフィルタ通路324、326が延びている。
【0035】
トレンチ352は、フィルタリングすべき流体の供給源とフィルタ通路326との接続を容易にする(流体が液体であるか、気体であるか、それとも多相物質であるかに関わらず)とともに、フィルタリング後の流体の受取側とフィルタ通路324との接続を容易にする。他の実施形態において、トレンチ352は省略される場合がある。トレンチ354は、フィルタ通路324、326間の流体フロー通路を提供し、矢印360で示されているように、フィルタ通路326によってフィルタリングされた流体が、トレンチ354の中を通って、フィルタ通路324の中に流れ込むことを可能にする。トレンチ352、及び354は、矩形または台形であるものとして示されているが、他のサイズ、形、及び構成を有していてもよい。
【0036】
フィルタ通路324、326は、トレンチ352の床面356とトレンチ354の床面356との間に延びている点を除き、上で説明したフィルタ通路24、26に類似している。一実施形態において、フィルタ通路324とフィルタ通路326は、類似のフィルタリング特性を有している。他の実施形態において、フィルタ通路324とフィルタ通路326は、異なるエッチング特性を有するエッチング・アイランド24、26、124、126によりエッチングされた結果として、異なるフィルタリング特性を有している。図示の例では、フィルタ通路326は、表面42に隣接するトレンチ352の床面356上に入口を有し、表面142に隣接するトレンチ354の床面356上に出口を有している。フィルタ通路324は、表面142に隣接するトレンチ354の床面356上に入口を有し、表面42に隣接するトレンチ356の床面356上に出口を有している。
【0037】
トレンチ・カバー350は、トレンチ354の内部を封鎖するようにトレンチ354を横切って延びるキャップ、屋根、またはカバーを含む。トレンチ・カバー350は、フィルタ通路326の出口とフィルタ通路324の入口との間に延びる流通路362を形成している。その結果、フィルタリングされる流体は、フィルタ通路326に流れ込み、流通路362を通り、フィルタ通路324を通って出てゆくというUターン経路上を流れることになり、フィルタリング経路として基板322の厚みを2回利用して、延長されたフィルタリング経路を得ることができる。他の実施形態では、基板322を貫通して行き来する蛇行経路を全体として形成し、より長いフィルタリング経路を得るために、フィルタ320は、間隔を空けて設けられた複数のトレンチ、3以上のフィルタ通路、及び2以上のトレンチ・カバーを含む場合がある。
【0038】
図12図15は、フィルタ320を形成するための方法の一例を示している。図12は、基板322の面42、142におけるトレンチ352、354の形成を示している。図12は、基板322がエッチング溶液48にさらされる前における、エッチング・アイランド34、134、36、136の堆積または形成も、さらに示している。図13は、エッチング・アイランド34、134、36、136による基板322のエッチングを示している。図14は、そのエッチングの完了を示し、図15は、フィルタリング通路326、324を通る流れの方面におけるトレンチ・カバーの追加を示している。図12図15に示したフィルタ220を形成する方法は、図4図7に関して上で図示説明した方法に類似している。したがって、フィルタ通路224、226は、対向する表面42、142から同時にエッチングされる。
【0039】
図17は、方法100により形成されたフィルタのフィルタリング特性を調整、及び/又は調節するための、図2に示した方法100の例示的な一実施形態である、方法400を示している。ステップ402に示されるように、異なるエッチング特性を有するエッチング・アイランドが、基板22の対向する表面上に形成される。ステップ404に示されるように、それらの対向する表面の間に、エッチング遅延層が形成される。図17は、ステップ402、404の実施を示している。図17は、表面42及び142上へのエッチング・アイランド34、36、134、136の堆積、並びに基板22内への遅延層474、476の形成後であって、基板22及びエッチング・アイランド34、36、134、136がエッチング溶液48(図4に示されている)にさらされる前、かつ、フィルタ通路24、26(破線で示されている)の如何なるエッチングも行われる前における、基板22を示している。
【0040】
エッチング遅延層474、476は、エッチング・アイランド34、134及び/又はエッチング・アイランド36、136によるエッチングを妨げ、それらのエッチングに抵抗し、またはそれらのエッチングを遅らせる材料の層を含む。エッチング遅延層474は、エッチング・アイランド34、134の間に形成される。エッチング遅延層476は、エッチング・アイランド36、136の間に形成される。その結果、エッチング遅延層474は、エッチング・アイランド34によりエッチングされるフィルタ通路24の部分の深さまたは長さ、及びエッチング・アイランド134によりエッチングされるフィルタ通路24の部分の深さまたは長さを制限、及び調整するものとなる。同様に、エッチング遅延層424は、エッチング・アイランド36によりエッチングされるフィルタ通路26の部分の深さまたは長さ、及びエッチング・アイランド136によりエッチングされるフィルタ通路26の部分の深さまたは長さを制限、及び調整するものとなる。エッチング遅延層474、476によれば、フィルタ通路24及び26のフィルタリング性質を調節することが可能となる。例えば、一実施形態において、エッチング・アイランド34、36は、エッチング・アイランド134、136に比べて異なるエッチング特性を有している。エッチング・アイランド34、36によりエッチングされたそれらの部分は、エッチング・アイランド134、136によりエッチングされたそれらの部分と比べて、異なるフィルタリング性質を有するものとなる。エッチング・アイランド134により形成された種々の部分と比較したときの、エッチング・アイランド34により形成された種々の部分からなるフィルタ通路24の割合を異ならせることによって、フィルタ通路24の全体的フィルタリング特性を調節または制御することができる。同様のフィルタリング特性調節は、同様の形で、エッチング・アイランド36、136間にエッチング遅延層476を選択的に位置決めし、又は形成することによって行うことができる。
【0041】
図示の例において、エッチング遅延層474、476はそれぞれ、埋め込み酸化物のようなエッチング遅延材料の種々の層を含む。一実施形態において、エッチング遅延層474、476は、基板22のドーピングにより形成された種々の層を含む。一実施形態において、層474、476は、それらの層を貫通する開口部478を有するようにパターニングされ、エッチング遅延層474、476を横切って流体が流れることが可能となるように構成される。他の実施形態では、エッチング・アイランド34、134が、層474、476を横切り、層474、476を貫通して延びる相互接続流通路、または相互接続された細孔を形成するように、層474、476は、薄いものとされ、あるいは他の構成を有している。さらに別の実施形態において、エッチング遅延層474、476は、他の材料から形成される場合があり、また、他の形で形成され、配置される場合がある。
【0042】
ステップ406に示されるように、エッチング・アイランド34、36、134、136は、同時かつ一斉に、エッチング溶液48(図4に示されている)にさらされ、フィルタ通路24、26を形成する。2つの似たようなサイズのフィルタ通路24、26を基板22に形成するように示されているが、方法400は、他にも、異なるサイズ及び配置のフィルタ通路を形成するために使用される場合がある。例えば、他の実施形態において、方法400は、フィルタ220(図11に示されている)及びフィルタ320(図15に示されている)の形成に使用される。
【0043】
上記のように、エッチング・アイランド34、36、134、136は、フィルタ20のサプライヤまたは出所の識別情報、種々のフィルタ通路24、26のフィルタリング特性の識別情報、及び/又は、特定のフィルタ20についてのバッチ番号若しくは製造日の識別情報といった、特定のフィルタに関する種々の情報のその後の決定を可能にするバーコードやシリアル番号に類似するシグネチャーとして機能する特定の成分を有している。図18は、エッチング・アイランド34、36、134、136のシグネチャー特性を利用するための例示的方法500を示すフロー図である。ステップ502に示されるように、1以上のセンサーを使用して、フィルタの基板内にある金属アイランド34、36、134及び/又は36の成分を攻撃する。一実施形態において、種々の製造サイトは、それらのエッチング・アイランドに対し特定の様々な成分を採用する場合がある。一実施形態では、様々なバッチのフィルタが、エッチング・アイランドのための様々な成分を有するように提供される場合がある。一実施形態において、製造は、非機能性(特定の目的を持たない)成分や、フィルタの形成後に基板内に残るエッチング・アイランドのための材料の比率を利用して行われる場合がある。
【0044】
ステップ504に示されるように、基板を内部までエッチングした金属エッチング・アイランドの検出された成分を使用して、特定のフィルタの識別が行われる。一実施形態では、プロセッサが、非一時的コンピュータ読取可能媒体に格納された種々の命令に従って、基板においてエッチングを行った金属エッチング・アイランドの検出された成分をルックアップテーブル又は他のデータベースと対比し、フィルタを識別し、フィルタの識別情報を出力または表示する。開示の目的上、フィルタを識別するとは、フィルタの真正性、特定のフィルタについてのバッチ番号または製造時刻、特定のフィルタについてのフィルタリング特性、特定のフィルタについての製造場所等のうちの1以上を決定することを意味する。
【0045】
本開示は、例示的実施形態に関して記載されているが、当業者は、特許請求の範囲に記載した事項の思想及び範囲から外れることなく、形態や詳細に変更を施してもよいことを理解するであろう。例えば、種々の異なる例示的実施形態は、1以上の利益が得られる1以上の特徴を有しているものとして記載されているが、記載した例示的実施形態、または他の代替実施形態において、記載した特徴を相互に交換したり、あるいは、互いに結合したりすることは予期されることである。なぜなら、本開示の技術は比較的複雑であって、当該技術における全ての変更を予期することはできないからである。例示的実施形態を参照して記載された本開示、及び、下記の特許請求の範囲の記載は、明らかに、可能な限り広いものであることを意図している。例えば、特に断りがない限り、単一の特定の要素を記載している特許請求の範囲は、複数のそのような特定の要素をも包含している。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18