(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348596
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】サイクロン式プレナム組立体を備える直列結合流動床反応炉ユニット、およびフッ化水素処理の関連する方法
(51)【国際特許分類】
B01J 8/26 20060101AFI20180618BHJP
B01J 8/24 20060101ALI20180618BHJP
B04C 5/04 20060101ALI20180618BHJP
C01G 43/06 20060101ALN20180618BHJP
【FI】
B01J8/26
B01J8/24 311
B01J8/24 321
B04C5/04
!C01G43/06 C
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-538963(P2016-538963)
(86)(22)【出願日】2014年8月18日
(65)【公表番号】特表2016-534872(P2016-534872A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】US2014051431
(87)【国際公開番号】WO2015031087
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2017年8月14日
(31)【優先権主張番号】14/014,969
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン,テリス
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】トゥン,シュー・スン
【審査官】
河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−101241(JP,A)
【文献】
特開2006−046957(JP,A)
【文献】
特表2010−513622(JP,A)
【文献】
特開昭54−142200(JP,A)
【文献】
特開平01−151933(JP,A)
【文献】
米国特許第07521007(US,B1)
【文献】
実開昭63−006045(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00 − 8/46
B04C 1/00 − 11/00
C01G 25/00 − 47/00
C01G 49/10 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的に反応したガスの出口(56)を有する二次流動床反応炉(14)と、
一次流動床反応炉(12)とを備え、
前記一次流動床反応炉(12)が、
反応容器(16)と、
前記反応容器へと流体連結されるガス分配器(20)と、
サイクロン式プレナム組立体(22)とを備え、
前記サイクロン式プレナム組立体(22)が、
前記ガス分配器に流体連結され、環状側壁(74)を有するプレナム組立体筐体(70)と、
前記部分的に反応したガスの出口を前記プレナム組立体筐体へと流体連結するガス/固体入口管(72)であって、前記二次流動床反応炉から前記ガス/固体入口管を通って受け入れられる部分的に反応したガスの前記プレナム組立体筐体内での渦流れを誘発させるために、および、前記ガス分配器へと入る前に、部分的に反応したガスからの同伴固体のサイクロン分離を促進するために、前記プレナム組立体筐体の前記環状側壁に対して接線方向に位置決めされるガス/固体入口管(72)とを備える、
直列結合流動床反応炉ユニット(10)。
【請求項2】
前記ガス/固体入口管(72)が、前記プレナム組立体筐体(70)の前記環状側壁(74)へと引かれた接線(111)と実質的に平行な方向に延び、前記プレナム組立体筐体(70)の前記環状側壁(74)へと引かれた接線(111)に実質的に隣接して位置する、請求項1に記載の直列結合流動床反応炉ユニット(10)。
【請求項3】
前記サイクロン式プレナム組立体(22)が、
前記プレナム組立体筐体(70)内にあり、前記ガス/固体入口管(72)が供給物を提供するサイクロン分離室(76)と、
前記プレナム組立体筐体内にあり、前記サイクロン分離室と前記ガス分配器(20)との間に流体連結される洗浄ガス室(78)と
をさらに備える、請求項1に記載の直列結合流動床反応炉ユニット(10)。
【請求項4】
前記サイクロン式プレナム組立体(22)が、前記サイクロン分離室(76)と前記洗浄ガス室(78)との間で前記プレナム組立体筐体(70)内に配置される仕切り部材(80)をさらに備える、請求項3に記載の直列結合流動床反応炉ユニット(10)。
【請求項5】
前記仕切り部材(80)が、前記サイクロン分離室(76)を前記洗浄ガス室(78)へと流体連結する中心開口(84)を有し、前記仕切り部材が、
前記プレナム組立体筐体(70)内に備え付けられる円錐板(82)と、
前記中心開口(84)と流体連結され、前記円錐板から概して下向きの方向へと、前記ガス/固体入口管(72)を通って引かれる水平面を越えて延びる洗浄ガス入口管(86)と
を備える、請求項4に記載の直列結合流動床反応炉ユニット(10)。
【請求項6】
前記プレナム組立体筐体(70)が、
実質的な部分において前記洗浄ガス室(78)を画定するために、前記仕切り部材(80)および前記ガス分配器(20)と協働する上方筐体部材(94)と、
前記上方筐体部材(94)に固定的に連結され、実質的な部分において前記サイクロン分離室(76)を画定するために、前記仕切り部材(80)と協働する下方筐体部材(92)と
を備える、請求項4に記載の直列結合流動床反応炉ユニット(10)。
【請求項7】
前記部分的に反応したガスの出口(56)と前記ガス/固体入口管(72)と間で流体連結され、前記直列結合流動床反応炉ユニット(10)の運転の間、前記ガス/固体入口管へと供給される前記部分的に反応したガスの流量を所定範囲内に維持する、部分的に反応したガスの流れの調節システム(130)をさらに備える、請求項1に記載の直列結合流動床反応炉ユニット(10)。
【請求項8】
前記部分的に反応したガスの流れの調節システム(130)が、
前記部分的に反応したガスの出口(56)と前記ガス/固体入口管(72)との間に流体連結される流量センサ(132)と、
前記部分的に反応したガスの出口と前記ガス/固体入口管との間で前記流量センサの下流に流体連結される流れ制御弁(134)と、
前記流量センサおよび前記流れ制御弁にそれぞれ動作可能に連結される入力部および出力部を有し、前記直列結合流動床反応炉ユニットの運転の間、前記ガス/固体入口管へと供給される部分的に反応したガスの流量を所定範囲内に維持するために、前記流量センサから受信されるデータに少なくとも部分的に基づいて前記流れ制御弁を調節するように構成される制御装置(136)と
を備える、請求項7に記載の直列結合流動床反応炉ユニット(10)。
【請求項9】
二酸化ウラン(26)の供給源と、
フッ化水素ガス(48)の供給源と
をさらに備え、
前記一次流動床反応炉(12)が、二酸化ウランの前記供給源と連結される固体入口(24)と、部分的に反応した固体を排出するための部分的に反応した固体の出口(28)とを備え、
前記二次流動床反応炉(14)が、フッ化水素の前記供給源と流体連結されるガス入口(46)と、前記一次流動床反応炉(12)から部分的に反応した固体を受け入れるために前記部分的に反応した固体の出口(28)に連結される部分的に反応した固体の入口(52)とを備える、請求項1に記載の直列結合流動床反応炉ユニット(10)。
【請求項10】
二次流動床フッ化水素処理反応炉(14)と流体相互接続されると共にサイクロン式プレナム組立体(22)を備える一次流動床フッ化水素処理反応炉(12)を備える流動床フッ化水素処理反応炉ユニット(10)を利用して実施されるフッ化水素処理プロセスであって、
前記サイクロン式プレナム組立体内に渦流れを誘発させ、前記二次流動床フッ化水素処理から引き出される部分的に反応したガス流(60)からの同伴固体のサイクロン分離を促進するために、前記部分的に反応したガス流を、前記サイクロン式プレナム組立体へと、前記サイクロン式プレナム組立体の環状側壁(74)に対して接線方向に配置されるガス/固体入口管(72)を通じて方向付けるステップと、
前記部分的に反応したガス流から分離される同伴固体を、前記サイクロン式プレナム組立体内に備えられる固体排出管(112)を通じて除去するステップと
を含むフッ化水素処理プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、概して流動床処理に関し、より詳細には、一次反応炉のガスの分配器の目詰まりを最小限にするサイクロン式プレナム組立体を備える直列結合流動床反応炉ユニットの実施形態と、このような直列結合流動床反応炉ユニットを利用して実施されるフッ化水素処理方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]原子力発電所用の燃料は、供給物または入力物として六フッ化ウラン(UF
6)を必要とするウラン濃縮プロセスによって生成される。UF
6は、四フッ化ウラン(UF
4)のフッ素化によって一般的に生成され、そのUF
4はさらに、多段フッ化水素処理プロセスを利用して一般的に生成される。典型的な多段フッ化水素処理プロセスの間、二酸化ウラン(UO
2)は、第1の流動床フッ化水素処理反応炉(本明細書では「一次フッ化水素処理器」と称される)へと固体供給物として導入され、部分的に反応したUF
4を生成するために、部分的に反応したフッ化水素(HF)ガスと接触させられる。次に、部分的に反応したUF
4は、内部でUF
4が新たなHFガス供給物と接触させられる第2の流動床フッ化水素処理反応炉(本明細書では「二次フッ化水素処理器」と称される)に供給される。この第2の段階のフッ化水素処理プロセスは、完全に反応したUF
4の生成をもたらし、次に、完全に反応したUF
4は、下方固体出口を通って二次フッ化水素処理器から引き出される。第2の段階のフッ化水素処理反応に従って生成された部分的に反応したガスは、二次フッ化水素処理器から上方連結管を通って引き出され、一次フッ化水素処理器の反応室の下に配置された単室プレナムへと戻されて再利用される。部分的に反応したガスは、ガス/固体入口管を介してプレナムへと供給され、ガス/固体入口管は、プレナムの中心を通って突き出る軸に沿ってプレナムの環状側壁を貫通している。部分的に反応したガスは、ガス分配器(例えば、多孔板または焼結された格子)へと流れる前に、プレナム内で新たに方向付けられ、ガス分配器は、新たに供給されたUO
2とのさらなる反応に向けて、ガスを一次フッ化水素処理器の反応室へと投入する。
【0003】
[0003]粒子の固体は、不可避的に、二次フッ化水素処理器から引き出される部分的に反応したガスに同伴され、一次フッ化水素処理器の単室プレナムへと供給されることになる。ガス分配器に設けられたガス流開口の直径に近い直径を有し得るより大きい同伴粒子は、分配器のガス流開口を凝集物として部分的に目詰まりさせる可能性がある。分配器のガス流開口の目詰まりは、分配器を通るガス流を妨げるだけでなく、一次反応室内のフッ化水素ガスの分配不良ももたらす。HFガスの分配不良は、フッ化水素処理反応の全体効率を低下させ、ガス分配器の上面に沿って不能域を作り出し、これは、反応室内で発達する過剰な局所化した熱の領域(「ホットスポット」と一般的に称される)の可能性を増大させる。目詰まりしているガス分配器は、ガス分配器の洗浄を可能とするために、最終的にフッ化水素処理ユニットの停止を必要とする可能性があり、これは、フッ化水素処理プロセスに望ましくない費用および遅延を与える。1つまたは複数の独立した粒子フィルタが、ガス分配器に到達する同伴固体の量を減らすために、一次フッ化水素処理器の上流に配置されてもよいが、このようなフィルタは、飽和したフィルタエレメントの交換または洗浄のために定期的な保守を必要とし、したがってフッ化水素処理ユニットの周期的な停止も必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]したがって、ユニット内に備えられるガス分配器の目詰まりが、ガス分配器へと供給される部分的に反応したガス流からの同伴固体の除去によって最小化または除去される、多段流動床フッ化水素処理ユニットなどの直列結合流動床反応炉ユニットの実施形態を提供することが、望ましいと思われる。理想的には、このような直列結合流動床反応炉ユニットの実施形態は、最小限の保守の要件で、部分的に反応したガス流からのより大きい同伴固体の連続的で途切れのない除去を可能にするものである。また、このような直列結合流動床反応炉ユニットを利用して実施されるフッ化水素処理プロセスの実施形態を提供することも、望ましいと思われる。本発明の他の望ましい機能および特徴が、添付の図面および前述の背景技術と併せて、後にある詳細な説明と添付の特許請求の範囲とから明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]直列結合流動床反応炉ユニットの実施形態が提供される。一実施形態では、直列結合流動床反応炉ユニットは、一次流動床反応炉と、部分的に反応したガスの出口を有する二次流動床反応炉とを備える。一次流動床反応炉は、反応容器と、反応容器に流体連結されるガス分配器と、サイクロン式プレナム組立体とを備える。サイクロン式プレナム組立体は、ガス分配器と流体連結されると共に環状側壁を有するプレナム組立体筐体と、部分的に反応したガスの出口をプレナム組立体筐体に流体連結するガス/固体入口管とを備える。ガス/固体入口管は、二次流動床反応炉からガス/固体入口管を通って受け入れられる部分的に反応したガスのプレナム組立体筐体内での渦流れを誘発させて、ガス分配器へと入る前に、部分的に反応したガスからの同伴固体のサイクロン分離を促進するために、プレナム組立体筐体の環状側壁に対して接線方向に位置決めされる。
【0006】
[0006]流動床フッ化水素処理反応ユニットの実施形態が、六フッ化ウランを生成するために、二酸化ウラン供給物をフッ化水素ガスと接触させるためにさらに提供される。一実施形態では、流動床フッ化水素処理反応炉ユニットは、一次流動床フッ化水素処理反応炉と二次流動床フッ化水素処理反応炉とを備える。一次流動床フッ化水素処理反応炉は、(i)二酸化ウラン供給物を受け入れるための固体の入口を有し、部分的に反応した四フッ化ウランを排出するための部分的に反応した固体の出口を有する反応容器と、(ii)部分的に反応したフッ化水素ガスを受け入れるための部分的に反応したガスの入口を有するサイクロン式プレナム組立体と、(iii)サイクロン式プレナム組立体を反応容器へと流体連結するガス分配器とを備える。二次流動床フッ化水素処理反応炉は、部分的に反応した四フッ化ウランを一次流動床フッ化水素処理反応炉から受け入れるための部分的に反応した固体の出口に連結される部分的に反応した固体の入口と、フッ化水素ガスを受け入れるためのガス入口と、部分的に反応したフッ化水素ガスを一次流動床フッ化水素処理反応炉へと供給するための部分的に反応したガスの入口に流体連結される部分的に反応したガスの出口とを有する。
【0007】
[0007]フッ化水素処理プロセスの実施形態がなおもさらに提供される。一実施形態では、フッ化水素処理プロセスは、二次流動床フッ化水素処理反応炉と流体相互接続される一次流動床フッ化水素処理反応炉を備える流動床フッ化水素処理反応炉ユニットを利用して実施される。一次流動床フッ化水素処理反応炉はサイクロン式プレナム組立体を備える。フッ化水素処理プロセスは、サイクロン式プレナム組立体内に渦流れを誘発させ、二次流動床フッ化水素処理から引き出される部分的に反応したガス流からの同伴固体のサイクロン分離を促進するために、部分的に反応したガス流を、サイクロン式プレナム組立体へと、サイクロン式プレナム組立体の環状側壁に対して接線方向に配置されるガス/固体入口管を通じて方向付けるステップを含む。フッ化水素処理プロセスは、さらに、部分的に反応したガス流から分離される同伴固体を、サイクロン式プレナム組立体内に備えられる固体排出管を通じて除去するステップをさらに含む。
【0008】
[0008]本発明の少なくとも1つの例が、同様の番号が同様の要素を表している以下の図と併せて以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009]本発明の例示の実施形態により示された、第1および第2の流動床反応炉を備える直列結合流動床反応炉ユニット、具体的には、多段流動床フッ化水素処理ユニットの簡略的な概略図である。
【
図2】[0010]例示のサイクロン式プレナム組立体、ガス分配器、および反応容器の下方部分を示す、
図1に示された第1の流動床反応炉の下方部分の断面図である。
【
図3】[0011]ガス/固体入口管が、プレナム組立体筐体の環状側壁に対して接線方向に位置決めされ得る1つの手法を示す、
図2に示される例示のサイクロン式プレナム組立体の上から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0012]以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、本発明、または、本発明の用途および使用を限定するように意図されていない。さらに、先の背景技術または以下の詳細な説明に提示されるあらゆる理論によって縛られる意図はない。本明細書で用いられるとき、用語「管」は、流体連通で連結された流れ導管の組立体と共に、すべての種類の流れ導管を包含している。
【0011】
[0013]特定の種類の直列結合流動床反応炉ユニット、つまり、多段流動床フッ化水素処理反応炉ユニットと併せて以下に説明されているが、反応炉ユニットの実施形態は、ガス状の反応物の流れに対して検討されるとき、少なくとも2つの反応室が直列に連結され、固体粒子状物質が同伴される第2の反応室からの部分的に反応したガスが第1の反応室への投入ためにガス分配器へと方向付けられるあらゆる態様を取ることができる。直列結合流動床反応炉ユニットの実施形態は、還元反応、酸化反応、熱分解、および塩素化反応を含むがこれらに限定されないフッ化水素処理反応以外の流動床反応を実施するために利用されてもよい。しかしながら、以下に説明される直列結合流動床反応炉ユニットの実施形態は、ガス分配器におけるガス流開口の目詰まりが、少なくとも部分的には、フッ素の高い反応性のせいで、ガス分配器に設けられるガス流開口の直径と、部分的に反応したHFガス内に同伴される大きめの固体(UO
2およびUF
4)の平均的な粒子の大きさとの間にしばしば存在する、比較的小さな差異のせいで、より大きい塊状の物体へと凝集しようとする粒子状物質の傾向のせいで、および、ガス分配器の目詰まりによって作り出される不能域においてホットスポットとして局所化しようとする、フッ化水素処理反応によって発生される膨大な量の熱のせいで特に問題となり得る、二段フッ化水素処理反応を実施するのに特に良く適している。したがって、好ましい実施形態では、非限定的な例だけを用いて、直列結合流動床反応炉ユニットが、UO
2をHFガスと接触させることで固体のUF
4を生成するために利用される多段流動床フッ化水素処理反応炉ユニットとして実施される。
【0012】
[0014]
図1は、本発明の例示の実施形態により示された、直列結合流動床反応炉ユニット、具体的には、多段流動床フッ化水素処理反応炉ユニット10の簡略的な流れの概略図である。反応炉ユニット10は、第2の流動床フッ化水素処理反応炉14と流体相互接続された第1の流動床フッ化水素処理反応炉12を備えている。参照を容易にするために、第1の流動床フッ化水素処理反応炉12および第2の流動床フッ化水素処理反応炉14は、以下に説明されるように、固体供給物(例えば、UO
2)が処理される順番を考慮して、以降において、「一次フッ化水素処理器12」および「二次フッ化水素処理器14」とそれぞれ称されることになる。一次フッ化水素処理器12は、反応室18(
図2で特定されている)を有する鉛直に配向された反応容器16と、サイクロン式プレナム組立体22と、サイクロン式プレナム組立体22を容器16の反応室に流体連結するガス分配器20とを備えている。固体入口24が、供給源(
図1で矢印26によって概して表されている)からの固体供給材料の受け入れのために、反応容器16の環状側壁を貫いて設けられており、固体出口28が、反応容器16からの部分的に反応した固体の引き出しのために、反応容器16の環状側壁を貫いて同様に設けられている。使用済みガス出口30が、使用済みガスの引き出しのために、反応容器16の上方端を閉止する上方連結管32を通じてさらに設けられている。最後に、部分的に反応したガスの入口34が、二次フッ化水素処理器14から回収される部分的に反応したガスの受け入れのために、サイクロン式プレナム組立体22の環状側壁を貫いて設けられている。
【0013】
[0015]反応炉ユニット10が多段流動床フッ化水素処理反応炉ユニットの態様を取る図示された例では、反応容器16へと供給される固体供給材料は、UO
2原料を含み、好ましくはUO
2原料から実質的に全体として構成される。UO
2原料は、一定の大きさとされた酸化ウラン混合物(一般的に「イエローケーキ」と称される)が高温で水素と反応させられる還元反応によって生成できる。また、反応炉ユニット10が多段流動床フッ化水素処理反応炉ユニットの態様を取る図示された例では、固体出口28を通じて一次フッ化水素処理器12から引き出される部分的に反応した固体は、部分的に反応したUF
4(一般的に「グリーンソルト」と称される)を含み、好ましくはUF
4から実質的に全体として構成され、部分的に反応したガスの入口34を通じて一次フッ化水素処理器12へと投入される部分的に反応したガスは、フッ化水素処理反応の間に生成される他の副生成物(例えば、水または蒸気)と、様々なパージからのおそらくは不活性ガスとを伴って、部分的に反応したHFガスを含み、好ましくは部分的に反応したHFガスから実質的に全体として構成される。
【0014】
[0016]一次フッ化水素処理器12と同様に、二次フッ化水素処理器14は、反応室を内部に有する鉛直に配向された反応容器40と(反応室は容器40のシェルによって
図1では見えないように隠されている)、下方プレナム組立体42と、ガス分配器44とを備えている。ガス分配器44は、プレナム組立体42を反応容器40の反応室に流体連結し、多孔板または焼結された格子の態様を取り得る。ガス入口46が、新たな反応ガス供給物(
図1で矢印48によって概して表されている)の受け入れのためにプレナム組立体42の環状側壁を貫いて設けられている。図示された例では、ガス供給物は、HFガスを含み、好ましくはHFガスから実質的に全体として構成される。
図1に示されているように、HFガス供給流れは、反応容器40内でのフッ化水素処理反応を促進するためにプレナム組立体42への投入の前に、ヒータ50によって予加熱され得る。ガス入口46に加えて、二次フッ化水素処理器14は、以下の追加のポート、すなわち、(i)反応容器40の環状側壁を貫いて設けられている部分的に反応した固体の入口52と、(ii)固体入口52の下で反応容器40の環状側壁を貫いて設けられている完全に反応した固体または生成物の出口54と、(iii)反応容器40の上方端を閉止する上方連結管58を貫いて設けられる部分的に反応したガスの出口56とを備えている。
【0015】
[0017]
図1で符号60に概略的に示されているように、一次フッ化水素処理器12の部分的に反応した固体の出口28は、二次フッ化水素処理器14の部分的に反応した固体の入口52に連結されており、
図1で符号62に概略的に示されているように、二次フッ化水素処理器14の部分的に反応したガスの出口56は、一次フッ化水素処理器12の部分的に反応したガスの入口34に流体連結されている。反応炉ユニット運転の間、固体UO
2供給物は、部分的に反応したUF
4と使用済みガスとを生成するために、一次フッ化水素処理器12の反応室内で、再利用されたHFガスと接触させられる。使用済みガスが上方連結管32内に集まるにつれて、使用済みガスは使用済みガス出口30を通じて引き出され、一連の並列なフィルタ64を通るように方向付けられてから、最終的に反応炉ユニット10から除去される。部分的に反応したUF
4は、部分的に反応した固体の出口28を通じて一次フッ化水素処理器12から引き出され、さらなるフッ化水素処理のために二次フッ化水素処理器14の反応室へと方向付けられる。
図1に指し示されているように、一次フッ化水素処理器12は、部分的に反応した固体の出口28から部分的に反応した固体の入口52への部分的に反応したUF
4の重力の流れを促進するために、二次フッ化水素処理器14より上の高さに位置決めされてもよい。二次フッ化水素処理器14の反応室内では、部分的に反応したUF
4は、所望の生成物である完全に反応したUF
4を産出するために二次フッ化水素処理反応に曝され、その完全に反応したUF
4は、固体出口54を通じて二次フッ化水素処理器14から連続的に引き出される。二次フッ化水素処理器14からの引き出しの後、完全に反応したUF
4は、ウラン変換プロセスを完了するために次に蒸留または精製され得る六フッ化ウラン(UF
6)を産出するために、さらなる処理(例えば、単一の流動床フッ素化処理プロセス)に曝される。
【0016】
[0018]先に述べたように、二次フッ化水素処理器14の部分的に反応したガスの出口56は、一次フッ化水素処理器12の部分的に反応したガスの入口34と流体連結されている。反応炉ユニット10の運転の間、部分的に反応したガスは、二次フッ化水素処理器14の上方連結管58内に集まり、部分的に反応したガスの出口56を通ってフッ化水素処理器14を出て行き、導管62を通って流れ、サイクロン式プレナム組立体22に入る。前述の「背景技術」と表題の付けられている節に記載されているように、粒子の固体が、二次フッ化水素処理器14から引き出される部分的に反応したガス流に不可避的に同伴され、一次フッ化水素処理器14のサイクロン式プレナム組立体22へと供給される。ガス分配器20へと進むように許容される場合、これらの同伴固体は、潜在的に、分配器のガス流開口を目詰まりさせまたは塞ぎ、それによって、一次フッ化水素処理器14の反応室内のフッ化水素ガスの分配不良を含む、様々な運転上の問題を引き起こす可能性がある。1つまたは複数の独立した粒子フィルタが、二次フッ化水素処理器14の部分的に反応したガスの出口56と一次フッ化水素処理器12の部分的に反応したガスの入口34との間において、導管62に沿う位置に置かれてもよいが、このような粒子フィルタは、例えば、飽和したフィルタエレメントを交換または洗浄するために定期的なサービスを必要とする。これらの制約を克服するために、サイクロン式プレナム組立体22は、分配器ガス流開口の目詰まりの主な原因であるより大きい同伴粒子を、ガス分配器20へと入る直前に部分的に反応したガスの流れから連続的に分離するための特異な手段を提供する。有利には、サイクロン式プレナム組立体22は、この分離または洗浄の機能を連続的な保守の少ない手法で提供し、時間と共に飽和することになり、交換または洗浄を必要とする可能性のあるフィルタエレメントの使用を必要としない。
【0017】
[0019]
図2は、ガス分配器20およびサイクロン式プレナム組立体22をより詳細に図示する一次フッ化水素処理器12の下方部分の断面図である。この図では、ガス分配器20が、貫通して形成された複数のガス流開口66を有する実質的に平坦な多孔板の態様を取っているのが見て取れる。しかしながら、この例のガス分配器20は、HFガス(または、他のガス状の反応物)を、好ましくは
図2で矢印68によって指し示されているような複数の高速ジェットとして、反応室18へと投入するのに適した焼結された格子など、任意の構造要素または構造要素の集合体の態様を取ってもよい。ガス分配器20は、反応容器16の下方端とサイクロン式プレナム組立体22の上方端との間に備え付けられ、サイクロン式プレナム組立体22を反応室18に流体連結している。サイクロン式プレナム組立体22は、ガス分配器20の下に位置決めされ、プレナム組立体筐体70とガス/固体入口管72とを備えている。図示の例では、プレナム組立体筐体70は、実質的に円筒形の形状を有し、環状側壁74と、環状側壁74の下方周辺縁に連結される概して円錐形の底壁75とを備えている。ガス/固体入口管72は、部分的に反応したガスを、環状側壁74を貫いて形成されている部分的に反応したガスの入口34を通じてプレナム組立体筐体70へと供給する。ガス/固体入口管72は、環状側壁74を一部または全部で貫通してもよく、
図3と併せて後でより完全に説明されるように、プレナム組立体筐体70内に部分的に反応したガスの渦流れを誘発させるために、側壁74に対して接線方向に位置決めされている。
【0018】
[0020]プレナム組立体筐体70は、2つの室、すなわち、ガス/固体入口管72が供給されるサイクロン分離室76と、サイクロン分離室76とガス分配器20との間に流体連結されている洗浄ガス室78とを備えている。仕切り部材80が、サイクロン分離室76と洗浄ガス室78との間に配置されており、したがって、サイクロン分離室76と洗浄ガス室78とを仕切っている、または、流体的に分離している。図示された例では、仕切り部材80は円錐板82を備えており、その円錐板82は、プレナム組立体筐体70内に備え付けられており、ガス分配器20の近位で大きくなるように、直径が大きくなっている。中心開口84が、円錐板82を貫いて設けられており、サイクロン分離室76を洗浄ガス室78に流体連結している。洗浄ガス入口管86が中心開口84に流体連結されており、円錐板82から下向きにサイクロン分離室76の中心部分に向かって延びている。
図2に示されるように、洗浄ガス入口管86は、好ましくは、ガス/固体入口管72を通って、より好ましくは、ガス/固体入口管72の中心線(
図2で点線88によって表されている)を通って引かれる水平面を越えて延びる。別の言い方をすれば、ガス/固体入口管72の位置決めは、好ましくは、管72を通って引かれる水平面がサイクロン分離室76の上方部分を通って洗浄ガス入口管86を横断するように延びるようになっている。ガス/固体入口管72の位置決めは、好ましくは、管72の中心線を通って引かれる水平面が一次フッ化水素処理器12の長手方向軸線または鉛直方向軸線(
図2で点線90によって表されている)に実質的に垂直であるようにもなっている。中心開口84および洗浄ガス入口管86は、好ましくは、フッ化水素処理器12の長手方向軸線90と実質的に同軸である。
【0019】
[0021]サイクロン式プレナム組立体22内に含まれる構成部品の数と、組立構成部品の相対的な配置と、組立構成部品がサイクロン式プレナム組立体22を作り出すために連結される手法とは、様々な実施形態の間で不可避的に変わることになる。図示された例では、サイクロン式プレナム組立体22は、フランジ連結の方法で一体に固定的に連結されるいくつかの別々の構成部品から、組み立てられている。より具体的には、プレナム組立体筐体70は、2つの筐体部材、すなわち、下方筐体部材92と上方筐体部材94とを備えている。第1の周辺フランジ96が、下方筐体部材92の上方の周辺縁の周りに設けられており、第2の周辺フランジ98が、上方筐体部材94の下方の周辺縁の周りに設けられている。本明細書で用いられるとき、用語「周辺フランジ」は、連続的な環状の構造または壁と共に、複数の径方向に延びるタブも包含している。第3の周辺フランジ100が、仕切り部材80の円錐板82の外周の周りにさらに設けられている。サイクロン式プレナム組立体22が組み立てられるとき、仕切り部材80のフランジ100は、下方筐体部材92のフランジ96と上方筐体部材94のフランジ98との間に掴まれている、または、保持されている。各々のフランジ96、98、および100は、それらを貫く周方向に離間された複数の開口を備え、それらの開口は、複数のボルトまたは締結具が通されて配置される(図示せず)複数の締結用開口102を定めるために、サイクロン式プレナム組立体22が組み立てられるときに整列する。ガスケット(明確にするために、
図2では示されていない)が、サイクロン式プレナム組立体22の嵌り合う構成部品同士の間の漏れのないシールを実現するために設けられてもよい。
【0020】
[0022]フランジ連結は、サイクロン式プレナム組立体22と、ガス分配器20と、反応容器16の下方端とを連結するために有利に利用もされる。具体的には、
図2に示されているように、ガス分配器20には、ガス流開口66が貫通して設けられる分配器20の主体から径方向外向きに延びる周辺フランジ104がさらに設けられてもよい。
図2で指し示されているように、周辺フランジ104は、サイクロン式プレナム組立体22の上方端からであって、具体的には上方筐体部材94の上方周辺縁から、径方向外向きに延びる第1の嵌め合いフランジ106と、反応容器16の下方周辺縁から径方向外向きに延びる第2の嵌め合いフランジ108との間に掴まれ得る。先の場合であったように、複数の締結用開口110が、複数のボルトまたは他のこのような締結具(図示せず)を受け入れるためにフランジ104、106、および108を貫いて設けられ、それによって、反応容器16内の流動床の重量を支持し、容器16の熱サイクルを通じて漏れを防止するための構造的に堅牢な手法で、反応容器16とガス分配器20とサイクロン式プレナム組立体22とを一体的に固定して連結してもよい(この場合も、図示していないガスケットを設けてもよい)。
【0021】
[0023]
図2に示された例示の実施形態を引き続き参照すると、サイクロン分離室76は、仕切り部材80の下面と、プレナム組立体筐体70の下方筐体部材92の内周面とによって概して画定されている、または、境界を付けられており、一方、洗浄ガス室78は、仕切り部材80の上面と、プレナム組立体筐体70の上方筐体部材94の内周面と、ガス分配器20の下面とによって概して画定されている。前述のように、サイクロン分離室76は、仕切り部材80の円錐板82を通じて設けられている中心開口84を介して、洗浄ガス室78に流体連結されている。サイクロン分離室76は、プレナム組立体筐体70の円錐形の底壁75の中心部分を貫いて形成されている下方固体出口114を経由して、固体排出管112(「下降管」とも称される)にさらに流体連結されている。また、固体排出管112の上方端部分は、固体出口114を画定している円錐形の底壁75の内周面に機械的に連結されている(例えば、溶接またはネジ取り付け)。図示された例では、固体排出管112は、中心開口84および洗浄ガス入口管86と実質的に同軸である。円錐板82の設計は、ノズル/洗浄ガス入口管86を支持することに加えて、停止またはプロセス中断の時間の間、上方の分配板20から落下し得るあらゆる固体が、室78に残ることはないが、それら固体が容易に排出できるプレナムに向かって下方に落ちることになることももたらすことは、留意されるべきである。
【0022】
[0024]
図3は、ガス/固体入口管72が、プレナム組立体筐体70の環状側壁74に対して接線方向に位置決めされ得る1つの手法を示す、サイクロン式プレナム組立体22の上から見た断面図である。フランジ106は、プレナム組立体筐体70に対するガス/固体入口管72の接線方向の配置をより良く図示するために、
図3では部分的な断面で示されており、フランジ96、98、および100は、フランジ106によって
図3の視野では隠されている。本明細書で現れるとき、用語「接線方向に位置決めされる」、「接線方向に配置される」などの用語は、ガス/固体入口管72の長手方向軸線、中心線、または延長が、プレナム組立体筐体の環状側壁の内周面へと引かれる接線と実質的に平行であること、さらには、入口管の中心線が、サイクロン式プレナム組立体22の中心線または長手方向軸線(
図2で点線90によって表されている)に対してよりも接線の近くに位置することを、指し示すために用いられている。具体的には、
図3を参照すると、ガス/固体入口管72の中心線88が、プレナム組立体筐体70の環状側壁74へと引かれる接線111と実質的に平行な方向に延び、接線111に実質的に隣接して位置しているのが見て取れる。好ましい実施形態では、ガス/固体入口管72の末端部分は、プレナム組立体筐体70の環状側壁74の内周面へと引かれる接線に沿って概して延びる。
図3でさらに指し示されているように、ガス/固体入口管72の中心線88は、プレナム組立体筐体70の交差する半径113に実質的に垂直であってもよく、交差する半径113に沿って測定されるとき、プレナム組立体筐体70の半径と実質的に等しい距離だけ、サイクロン式プレナム組立体22の中心から離間されてもよい。本明細書で現れるとき、用語「実質的に等しい」とは、10%未満の量的な違いを意味している。
【0023】
[0025]ガス/固体入口管72の接線方向の配置のため、ガス/固体入口管72を通じてサイクロン分離室76へと導入される部分的に反応したガス(
図2で矢印116によって表されている)は、渦状の形で室76の内部の周りを旋回しようとする、または、流れようとする(
図2で矢印118によって表されている)。部分的に反応したガスの渦流れは、遠心力によって、部分的に反応したガスからのより大きくてより重い同伴固体のサイクロン分離を促進させる。したがって、より大きい同伴固体は、サイクロン分離室76の底へと徐々に押し込まれ、円錐形の底壁75によって下方固体出口114へと流し込まれ、最終的に、
図2で矢印120によって指し示されているように、固体排出管112を通じて室76から除去される。ここで、部分的に反応したガスは、より大きい同伴固体が実質的になく、分離室76の中心部分に向かって流れ、
図2で矢印122によって指示されているように、洗浄ガス入口管86へと上向きに進む。洗浄ガス入口管86は、洗浄ガスを、中心開口84を通じて洗浄ガス室78へと方向付ける。次に、洗浄ガスの流れは、ガス分配器20のガス流開口66を通り、先に記載したように、固体原料(例えば、UO
2)とのフッ化水素処理のために一次フッ化水素処理器12の反応室18へと流れる前に、洗浄ガス室78内で新たに方向付けられる。ガス/固体入口管72およびサイクロン分離室76の寸法および形状は、好ましくは、部分的に反応したガスの流れからの同伴粒子の遠心分離またはサイクロン分離を最適化するために、同伴される粒子の大きさおよび密度、ガス流れの速度、処理要件、ならびに他のこのような運転パラメータの関数として決定される。
【0024】
[0026]ガス分配器20へと入る直前に、より大きい同伴固体を部分的に反応したガスの流れから除去することによって、サイクロン分離室76は、ガス流開口66の目詰まりを効果的に防止または最小化し、そのため、そこから生じ得る様々な問題を緩和する。サイクロン分離室76によって用いられるサイクロン分離作用は、より小さくてより軽量な粒子を除去するのには効果が小さいが、このような粒子は、典型的には、分配器20のガス流開口66を比較的容易に通過でき、その結果、ガス分配器の目詰まりの危険性をほとんどもたらさない。有利には、サイクロン式プレナム組立体22は、部分的に反応したガスの流れから除去された同伴粒子を、フィルタエレメントを使用せずにシステムから粒子物質を連続的に除去するために、下方固体出口114を通じて固体排出管112へと下向きに方向付ける。その結果、サイクロン式プレナム組立体22は、最小限のサービス要件でガス流れの分配器20の目詰まりを確実に低減また排除することができる一方で、ガス室の従来の機能も行える。
【0025】
[0027]サイクロン式プレナム組立体22によってもたらされるサイクロン分離または洗浄の機能を最適化するために、サイクロン分離室76へと供給される部分的に反応したガスの流量は、理想的にはあらかじめ定められた範囲内に維持される。多くの場合では、サイクロン分離室76へと供給される部分的に反応したガスの部分的に反応したガス流量は、直列結合流動床反応炉ユニットの通常の運転の間、所望範囲内に概して留まることになる。しかしながら、部分的に反応したガスの流れの流量がより大幅に変動する可能性がある実施形態では、直列結合流動床反応炉ユニットには、サイクロン式プレナム組立体22に設けられるガス流の流量を調節するのに適したガス流調節システムがさらに備え付けられてもよい。この点において、
図1を再び参照すると、多段流動床フッ化水素処理反応炉ユニット10は、二次フッ化水素処理器14と一次フッ化水素処理器12との間で流管62に沿って配置された、部分的に反応したガスの流れの調節システム130内に設けられてもよい。
図1に示されているように、流れ調節システム130は、(i)二次フッ化水素処理器14の部分的に反応したガスの出口56と一次フッ化水素処理器12の部分的に反応したガスの入口34との間に流体連結された流量センサ132と、(ii)部分的に反応したガスの出口と部分的に反応したガスの入口34との間で流体連結され、流量センサ132の下流に位置決めされた流れ制御弁134と、(iii)流量センサ132および流れ制御弁134にそれぞれ動作可能に連結された入力部および出力部を有する制御装置136とを備えてもよい。反応炉ユニット10の運転の間、制御装置136は、サイクロン式プレナム組立体22へと、具体的には、サイクロン分離室76へと、ガス/固体入口管72を通じて供給される(
図2および
図3)部分的に反応したガスの流量を、サイクロン式プレナム組立体22が部分的に反応したガスの流れからより大きい粒子を除去するときに最も効率的である所定範囲内に維持するために、流量センサ132から受信されるデータに少なくとも部分的に基づいて、流れ制御弁134を調節することができる。
【0026】
[0028]したがって、上述により、ガス分配器の目詰まりを最小化または排除するために、ガス分配器へと入る前に粒子物質を部分的に反応したガスの流れから除去するサイクロン式プレナム組立体を備える、多段流動床フッ化水素処理ユニットなどの直列結合流動床反応炉ユニットの実施形態が、提供されている。有利には、前述のサイクロン式プレナム組立体は、小限の保守の要件で、部分的に反応したガス流からのより大きい同伴固体の連続的で途切れのない除去を提供する。また、上述により、このような直列結合流動床反応炉ユニット、具体的には、多段流動床フッ化水素処理ユニットを利用して実施されるフッ化水素処理プロセスの実施形態も、提供されている。一実施形態において、フッ化水素処理プロセスは、(i)サイクロン式プレナム組立体内に渦流れを誘発させ、二次流動床フッ化水素処理から引き出される部分的に反応したガス流からの同伴固体のサイクロン分離を促進するために、部分的に反応したガス流を、サイクロン式プレナム組立体へと、サイクロン式プレナム組立体の環状側壁に対して接線方向に配置されるガス/固体入口管を通じて方向付けるステップと、(ii)部分的に反応したガス流から分離される同伴固体を、サイクロン式プレナム組立体内に備えられる固体排出管を通じて除去するステップとを含む。
【0027】
[0029]複数の例示の実施形態が、前述の詳細な説明に提示されているが、非常に多くの数の変形が存在することは、理解されるべきである。1つまたは複数の例示の実施形態は、単なる例であり、本発明の範囲、用途、または構成をどんな形であっても限定するようには意図されていないことも、理解されるべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、本発明の例示の実施形態を実施するための都合の良い指針を当業者に提供するものであり、様々な変更が、添付の特許請求の範囲で述べられているような本発明の範囲から逸脱することなく、例示の実施形態で説明されている要素の機能および構成において行われ得ることは、理解されるものである。