【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、次のような光エンクロージャを用いて上記の状況を改善する。すなわち、この光エンクロージャは、
・平面の表面とほぼ平行に固定できるベースと、
・ベースにほぼ垂直な軸の回りに回転するように配置されるスプールと、
・スプールに巻き付けられる光ケーブルと、
・接続具であって、その内側は、エンクロージャの内部において、ケーブルの内部端部と呼称されるケーブルの第1端部に接続され、その接続具の外側は、外部の光接続プラグに接続するように想定される、接続具と、
を含み、さらに、
ケーブルは、ケーブルの外部端部と呼称されるケーブルの第2端部を引き出すことによって、エンクロージャからほどくように想定され、この引き出しによってスプールが軸上において回転し、接続具は、スプールに剛結合されると共に、スプールの半径方向の広がり面の外側の少なくとも1つの位置を占めるように配置される、
光エンクロージャである。
【0010】
ケーブルがその外部端部によってエンクロージャから引き出される場合、スプール内に残っているケーブルの内部端部はスプールと共に回転する。本発明によれば、接続具はスプールに剛結合されるので、接続具およびスプールは、ケーブルが引き出される際、正確に同じ回転動作に従う。さらに、接続具は、スプールの半径方向の広がり面の外側の位置を占めるので、接続具は、ほどいたケーブルに対する障害にはならない。スプールの半径方向の広がり面の外側のこの位置は、例えばスプールの自由面上である。従って、本発明によって、ケーブルの内部端部をエンクロージャの接続具に予め接続することが可能になり、これによって敷設者にとっての微妙な操作が回避される。ケーブルの内部端部は、スプールの自由面上に配置されるスロットであって、スプールの自由面の周囲において開いているスロットを経由してスプールから出てくることができる。接続具に接続するために、端部には、例えば、SC/APCタイプのプラグが設けられる。
【0011】
従って、この光エンクロージャは、ケーブルの内部端部をエンクロージャの接続具に予め接続した状態で供給できる点が有利である。エンクロージャとその要素とを損傷するリスクが除去されるだけでなく、エンクロージャ敷設操作のための時間も節減される。
【0012】
本発明の一態様によれば、スプールが、接続具を固定するための可動部分を含み、この可動部分は、接続具を、スプールの半径方向の広がり面の外側の少なくとも1つの位置と、半径方向の広がり面内の保管位置との間に傾けるように配置される。
【0013】
このエンクロージャは壁面に対して固定するように想定されているので、その空間要件をできる限り抑制し、かつ、それをできるだけ目立たないものにするために、その全厚さを制限することが望ましい。スプールが回転する場合、ケーブルをほどくことを遮断しないようにするためには、スプールに剛結合されたどの要素も、その半径方向の広がり面内に配置されるべきではない。従って、接続具は、スプールが回転する間、スプールの半径方向の広がり面から離して配置しなければならない。それにも拘らず、接続具をその上に固定するための可動部分によって、例えば、スプールが回転しない場合には、接続具を、スプールの半径方向の広がり面内の保管位置に置くことが可能になる。
【0014】
接続具がこの保管位置にある場合は、接続具およびスプールを、エンクロージャのベース内に相互に並べて配置できる点が有利である。従って、エンクロージャの合計厚さは、スプールの軸方向高さまたは接続具の高さのいずれかによって定まることになり、この両者の合計厚さで定まる訳ではないので、エンクロージャの合計厚さは低減される。
【0015】
これは、外部の光接続プラグをこの保管位置において接続具の外側に接続できれば、この保管位置は接続具を使用する最終位置でもあるので、なお一層有利である。
【0016】
本発明の一態様によれば、可動部分が、スプールにヒンジによって接続されるフラップである。
【0017】
ヒンジによってスプールに接続されるこのフラップにより、フラップを動かなくするためには、従ってスプールを動かないようにするためには、接続具を動かないようにすることで十分である。これは、フラップおよびヒンジの剛性によってフラップに対するスプールのいかなる動きも防止されるためである。すなわち、接続具をその保管位置において動かないようにした場合、スプールの回転が遮断されるので、ほどいていない余剰のケーブル長さがスプール内部に保持される点が有利である。
【0018】
本発明の一態様によれば、フラップおよびヒンジに対する代替選択肢として、可動部分が、一端がスプールに固定される可撓な帯材である。
【0019】
この可撓帯材によって、フラップおよびヒンジの場合と同じ利点が得られると共に、さらに、ヒンジの使用が避けられるという利点も得られ、エンクロージャを容易かつ安価に製造できる。帯材は、スプールの頂部に、それに平行に、例えば、第1端部における1個所以上の接着剤付けを介して固定され、接続具が固定されるその第2端部は、スプールの半径方向の端部から突き出る。帯材は、接続具を有するその第2端部をスプールの頂部の上に折り込むことができるように、固体であるが曲げ方向において可撓でありかつ弾性を有する材料から作製される。スプールが回転する間、接続具は、一時的な取り付け手段によってスプールに保持される。従って、スプールが回転する時、接続具が、スプールの半径方向の広がり面内に不都合な形で位置することはなく、このため、ケーブルをほどくことを接続具が妨害することはない。接続具がスプールの頂部に保持されなければ、接続具は、帯材の弾性によって保管位置に戻される。
【0020】
本発明の一態様によれば、エンクロージャが、接続具がスプールの半径方向の広がり面の外側の位置にある時に接続具を動かないようにし得る遮断手段をさらに含む。
【0021】
この態様によって、スプールが回転する時、接続具が、スプールの半径方向の広がり面内に不都合な形で位置することはなく、従って、ケーブルをほどくことを接続具が妨害することはない。
【0022】
本発明の一態様によれば、エンクロージャが、接続具が保管位置にある時に接続具を動かないようにし得る遮断手段をさらに含む。
【0023】
この態様によって、エンクロージャの外側から接続プラグを差し込むことによって印加される押し込み力、または接続プラグを引き抜くことによって印加される引き抜き力に抵抗するように、接続具が安定化される。さらに、接続具がスプールに剛結合されているので、スプールが動かなくされ、これによって、ほどいていない余剰長さのケーブルが、エンクロージャから不都合な形で導出されることが防止される。
【0024】
本発明の一態様によれば、遮断手段が、接続具を保管位置に閉じ込めることができるベース内の少なくとも1つの当接片を含む。
【0025】
この当接片は、簡単に製作でき、エンクロージャの構成要素を閉じ込める複雑な操作を敷設者に要求することもない。
【0026】
本発明の一態様によれば、エンクロージャが、ベースおよびスプールを覆蓋し得る取り外し可能な蓋をさらに含み、遮断手段が、蓋がベースを覆う時に接続具を保管位置に閉じ込める蓋内の少なくとも1つの当接片を含む。
【0027】
この当接片は、簡単に製作でき、エンクロージャの構成要素を閉じ込める複雑な操作を敷設者に要求することもない。この当接片は、全く単純に、接続具が当接し得る蓋の頂部に垂直な端部の一部分とすることができる。
【0028】
さらに、蓋の頂部の内面は、接続具をベースに対して押し付け、スプールの回転面に垂直な平面内における接続具のいかなる動きをも防止する。従って、接続具およびスプールは、蓋がベースを覆う場合には完全に動かなくなる。
【0029】
本発明の一態様によれば、ケーブルの断面が円形、楕円形または長方形である。
【0030】
本発明によるエンクロージャは、円形断面のケーブルに適しているだけでなく、リボン形ケーブルのような平坦断面のケーブル、楕円形または長方形断面のケーブルにも適している。
【0031】
以上に記述した光エンクロージャの種々の態様は、相互に独立に、あるいは、互いに組み合わせて実施できる。
【0032】
本発明は、光エンクロージャの敷設方法にも関する。このエンクロージャは、
・平面の表面とほぼ平行に固定できるベースと、
・ベースにほぼ垂直な軸の回りに回転するように配置されるスプールと、
・スプールに巻き付けられる光ケーブルと、
・接続具であって、その内側は、エンクロージャの内部において、ケーブルの内部端部と呼称されるケーブルの第1端部に接続され、その接続具の外側は、外部の光接続プラグに接続するように想定される、接続具と、
を含み、さらに、
ケーブルは、ケーブルの外部端部と呼称されるケーブルの第2端部を引き出すことによって、エンクロージャからほどくように想定され、この引き出しによってスプールが軸上において回転し、
敷設方法は、次のステップ、すなわち、
・ベースを平面の表面に固定するステップと、
・接続具を、スプールの半径方向の広がり面の外側の位置に配置するステップと、
・ケーブルの外部端部をエンクロージャから引き出すことによって、ある長さのケーブルをほどくステップと、
・接続具を、スプールの半径方向の広がり面内の保管位置に配置するステップと、
・蓋をベース上に固定するステップと、
を含む。
【0033】
本発明による光エンクロージャの敷設方法は、エンクロージャからあるケーブル長さをほどくステップの後、ケーブルの内部端部を接続具に接続するステップを必要としないという点で、過去の実施態様と異なっている。本発明によるエンクロージャによって、ケーブルの内部端部が接続具に予め接続されるので、この微妙な操作はもはや必要でない。外部端部を引き出すことによってスプールを回転させる前に、敷設者が接続具をスプールの半径方向の広がり面の外側に配置し、続いて、ケーブルをほどいた後、敷設者が接続具を最終的な保管位置に配置することで十分である。敷設者は、ケーブルの内部端部に接触する必要はなく、これによって、ケーブルおよびその接続部の損傷リスクが除去されると共に、時間が節減される。
【0034】
本発明の他の利点および特徴は、本発明の具体的な実施形態に関する以下の説明を読解することによってより明確になるであろう。この実施形態は、以下の図面に、例示的にかつ非制限的な単純な例として提示されている。