特許第6348608号(P6348608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6348608予め接続されたケーブルリールを含む光エンクロージャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348608
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】予め接続されたケーブルリールを含む光エンクロージャ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20180618BHJP
   G02B 6/36 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   G02B6/46
   G02B6/36
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-558654(P2016-558654)
(86)(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公表番号】特表2017-509023(P2017-509023A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】FR2015050726
(87)【国際公開番号】WO2015145055
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年11月22日
(31)【優先権主張番号】1452674
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591034154
【氏名又は名称】オランジュ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ルコック
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0209049(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0074370(US,A1)
【文献】 特開2001−091753(JP,A)
【文献】 特開平04−221906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00 − 6/02
G02B 6/24 − 6/255
G02B 6/36 − 6/40
G02B 6/46 − 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・平面の表面とほぼ平行に固定できるベース(12)と、
・前記ベースにほぼ垂直な軸(4)の回りに回転するように配置されるスプール(13)と、
・前記スプールに巻き付けられる光ケーブル(5)と、
・接続具(16)であって、その内側(17)は、光エンクロージャ(11)の内部において、ケーブルの内部端部と呼称される前記ケーブルの第1端部(7)に接続され、その接続具の外側(18)は、外部の光接続プラグに接続するように想定される、接続具(16)と、
・前記ベース(12)および前記スプール(13)の上部を覆蓋し得る取り外し可能な蓋(22)と、
を含む光エンクロージャ(11)であって、
前記ケーブルは、ケーブルの外部端部と呼称される前記ケーブルの第2端部(8)を引き出すことによって、前記光エンクロージャ(11)からほどくように想定され、この引き出しによって前記スプール(13)が前記軸(4)上において回転する、光エンクロージャ(11)において、
前記接続具(16)が、前記スプール(13)に合されると共に、前記スプール(13)の上面の上側の少なくとも1つの位置と、前記蓋(22)が前記ベース(12)および前記スプール(13)を覆蓋することを可能にする、前記スプール(13)の前記上面と前記ベース(12)との間の保管位置とを占めるように配置可能である、ことを特徴とする光エンクロージャ(11)。
【請求項2】
前記スプール(13)が、前記接続具(16)を固定するための可動部分(19)を含み、この可動部分(19)は、前記接続具(16)を、前記スプールの前記上面の上側の少なくとも1つの位置と、前記保管位置との間に傾けるように配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の光エンクロージャ(11)。
【請求項3】
前記可動部分が、前記スプール(13)にヒンジ(20)によって接続されるフラップ(19)である、ことを特徴とする請求項2に記載の光エンクロージャ(11)。
【請求項4】
前記可動部分が、一端が前記スプール(13)に固定された可撓帯材である、ことを特徴とする請求項2に記載の光エンクロージャ(11)。
【請求項5】
前記光エンクロージャ(11)が、前記接続具が前記スプールの前記上面の上側の位置にある時に前記接続具(16)を動かないようにし得る遮断手段(28)をさらに含む、ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の光エンクロージャ(11)。
【請求項6】
前記光エンクロージャ(11)が、前記接続具が前記保管位置にある時に前記接続具(16)を動かないようにし得る遮断手段(21、23)をさらに含む、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光エンクロージャ(11)。
【請求項7】
前記遮断手段が、前記接続具を前記保管位置に閉じ込めることができる前記ベース内の少なくとも1つの当接片(21)を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の光エンクロージャ(11)。
【請求項8】
前記光エンクロージャ(11)が、前記ベース(12)および前記スプール(13)を覆蓋し得る取り外し可能な蓋(22)をさらに含むこと、および、前記遮断手段が、前記蓋(22)が前記ベース(12)を覆う時に前記接続具(16)を前記保管位置に閉じ込める前記蓋(22)内の少なくとも1つの当接片(23)を含むこと、を特徴とする請求項6に記載の光エンクロージャ(11)。
【請求項9】
前記ケーブル(5)の断面が円形、楕円形または長方形である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光エンクロージャ(11)。
【請求項10】
・平面の表面とほぼ平行に固定できるベース(12)と、
・前記ベース(12)にほぼ垂直な軸(4)の回りに回転するように配置されるスプール(13)と、
・前記スプール(13)に巻き付けられる光ケーブル(5)と、
・接続具(16)であって、その内側(17)は、光エンクロージャ(11)の内部において、ケーブルの内部端部と呼称される前記ケーブルの第1端部(7)に接続され、その接続具の外側(18)は、外部の光接続プラグに接続するように想定される、接続具(16)と、
を含む光エンクロージャ(11)の敷設方法であって、
前記ケーブル(5)は、ケーブルの外部端部と呼称される前記ケーブルの第2端部(8)を引き出すことによって、前記光エンクロージャ(11)からほどくように想定され、この引き出しによって前記スプール(13)が前記軸(4)上において回転する、光エンクロージャ(11)の敷設方法において、
・前記ベース(12)を前記平面の表面に固定するステップと、
・前記接続具(16)を、前記スプール(13)の上面の上側の位置に配置するステップと、
・前記ケーブル(5)の前記外部端部(8)により前記ケーブル(5)を前記光エンクロージャ(11)から引き出すことによって、ある長さのケーブル(5)をほどくステップと、
・前記接続具(16)を、前記スプール(13)の前記上面と前記ベース(12)との間の保管位置に配置するステップと、
・蓋(22)を前記ベース(12)上に固定するステップと、
を含む、ことを特徴とする敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子通信サービスに対する加入者の家屋内における光ファイバの接続分野に関し、さらに具体的には、加入者の光ネットワーク端末を接続するように想定される光エンクロージャ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FTTH(Fiber To The Home)の配備に関しては、光ケーブルが、第1に、サービスを受ける集合住宅内への光ファイバの入口部と、第2に、ONT(Optical Network Terminal)またはONU(Optical Network Unit)の名称によっても知られる加入者自体の光端末との間の接続を提供する。集合住宅内への入口部においては、エンクロージャは、室内光端末ボックス(interior optical termination box)を意味するIOTBと呼称され、ONT接続部においては、光端末エンクロージャ(optical terminal enclosure)を意味するOTEと呼称される。ケーブルには、一般的に、その端部のそれぞれに、SC/APC(「Subscriber Connector/Angled Physical Contact polish」)タイプのコネクタが設けられる。
【0003】
本発明はOTEエンクロージャに関し、そうでない旨を特に指示しない限り、「エンクロージャ(enclosure)」または「光エンクロージャ(optical enclosure)」という用語は、以下、このエンクロージャを意味する。
【0004】
最後に、このようなエンクロージャは、ある長さの予め巻き込まれたケーブルを含み、いくつかの制限条件が課せられる。このエンクロージャは、大多数の集合住宅に適合する十分な長さの光ケーブルを含むべきであり、一方では、目立たない特性を残すと共に限定された空間要件を満たさなければならない。装置の運転の前、その間およびその後に、ケーブルの曲げ半径は、ケーブルに含まれる光ファイバの破損限界値より決して小さくなってはならない。さらに、光ファイバの専門家でない作業者が、エンクロージャを制限された時間内に敷設できなければならない。
【0005】
集合住宅の入口部と、エンクロージャが敷設されるべき室内との間の距離をカバーするのに用いられるエンクロージャのモデルに従って、直径900μmおよび長さ25〜40mの光ケーブルがスプール内に巻き込まれた光エンクロージャが知られている。ケーブルの各端部には接続プラグが接続される。内部端部と呼称されるエンクロージャ内に残存する端部におけるプラグは、エンクロージャ内の接続具の内側に接続でき、外部端部と呼称されるもう一方の端部のプラグは、別の光エンクロージャ、例えばIOTBエンクロージャに接続できる。エンクロージャ内の接続具の外側は、その一部分が、ONTの接続プラグを受け入れるように想定されている。エンクロージャは、最初に、その最終位置、例えばONTに近いリビングルームの壁面に固定される。続いて、敷設者が、リールとして機能するエンクロージャから外部端部を引き出すことによって、入口部のIOTBエンクロージャに到達するのに必要なケーブル長さをほどく。ほどいたケーブルは、例えば、幅木に沿って、または壁および天井間の隅部に沿って、一般的にはリビングルームに向かう入口部から装着される。場合によっては、ケーブル敷設後の過剰にほどいたケーブル長さを、再度エンクロージャの中に巻き込む必要がある。一般的に、ケーブル敷設後、未使用の過剰ケーブル長さがエンクロージャのスプール内に巻き込まれて残存している。
【0006】
エンクロージャからケーブルを引き出すことによって、スプールが回転する。この回転の間は、ケーブルの内部端部のプラグを接続具に接続できない。この接続を行うと、回転が遮断されるからである。従って、この内部端部は、内部端部がスプールと共に回転する時に、プラグ、ケーブルまたはエンクロージャの任意の他の部品を損傷する可能性があるいかなる摩擦、もつれまたは引っ掛かりをも回避するように、スプールに固定しなければならない。敷設者は、例えば、1片の接着テープを使用して、突き出るケーブルの端部が回転を妨害しないスプールの位置において、ケーブルの内部端部のプラグをスプールに一時的に取り付ける。
【0007】
所要長さのケーブルをほどいたら、敷設者は、内部端部のプラグを把持して、それをスプールから取り外し、それをエンクロージャの接続具の内側に接続しなければならないが、これは、第1に、ケーブルおよびプラグを損傷する付加的なリスクを伴い、かつ、第2に、敷設者にとって時間の掛かる微妙な操作になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、先行技術の上記の欠点を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、次のような光エンクロージャを用いて上記の状況を改善する。すなわち、この光エンクロージャは、
・平面の表面とほぼ平行に固定できるベースと、
・ベースにほぼ垂直な軸の回りに回転するように配置されるスプールと、
・スプールに巻き付けられる光ケーブルと、
・接続具であって、その内側は、エンクロージャの内部において、ケーブルの内部端部と呼称されるケーブルの第1端部に接続され、その接続具の外側は、外部の光接続プラグに接続するように想定される、接続具と、
を含み、さらに、
ケーブルは、ケーブルの外部端部と呼称されるケーブルの第2端部を引き出すことによって、エンクロージャからほどくように想定され、この引き出しによってスプールが軸上において回転し、接続具は、スプールに剛結合されると共に、スプールの半径方向の広がり面の外側の少なくとも1つの位置を占めるように配置される、
光エンクロージャである。
【0010】
ケーブルがその外部端部によってエンクロージャから引き出される場合、スプール内に残っているケーブルの内部端部はスプールと共に回転する。本発明によれば、接続具はスプールに剛結合されるので、接続具およびスプールは、ケーブルが引き出される際、正確に同じ回転動作に従う。さらに、接続具は、スプールの半径方向の広がり面の外側の位置を占めるので、接続具は、ほどいたケーブルに対する障害にはならない。スプールの半径方向の広がり面の外側のこの位置は、例えばスプールの自由面上である。従って、本発明によって、ケーブルの内部端部をエンクロージャの接続具に予め接続することが可能になり、これによって敷設者にとっての微妙な操作が回避される。ケーブルの内部端部は、スプールの自由面上に配置されるスロットであって、スプールの自由面の周囲において開いているスロットを経由してスプールから出てくることができる。接続具に接続するために、端部には、例えば、SC/APCタイプのプラグが設けられる。
【0011】
従って、この光エンクロージャは、ケーブルの内部端部をエンクロージャの接続具に予め接続した状態で供給できる点が有利である。エンクロージャとその要素とを損傷するリスクが除去されるだけでなく、エンクロージャ敷設操作のための時間も節減される。
【0012】
本発明の一態様によれば、スプールが、接続具を固定するための可動部分を含み、この可動部分は、接続具を、スプールの半径方向の広がり面の外側の少なくとも1つの位置と、半径方向の広がり面内の保管位置との間に傾けるように配置される。
【0013】
このエンクロージャは壁面に対して固定するように想定されているので、その空間要件をできる限り抑制し、かつ、それをできるだけ目立たないものにするために、その全厚さを制限することが望ましい。スプールが回転する場合、ケーブルをほどくことを遮断しないようにするためには、スプールに剛結合されたどの要素も、その半径方向の広がり面内に配置されるべきではない。従って、接続具は、スプールが回転する間、スプールの半径方向の広がり面から離して配置しなければならない。それにも拘らず、接続具をその上に固定するための可動部分によって、例えば、スプールが回転しない場合には、接続具を、スプールの半径方向の広がり面内の保管位置に置くことが可能になる。
【0014】
接続具がこの保管位置にある場合は、接続具およびスプールを、エンクロージャのベース内に相互に並べて配置できる点が有利である。従って、エンクロージャの合計厚さは、スプールの軸方向高さまたは接続具の高さのいずれかによって定まることになり、この両者の合計厚さで定まる訳ではないので、エンクロージャの合計厚さは低減される。
【0015】
これは、外部の光接続プラグをこの保管位置において接続具の外側に接続できれば、この保管位置は接続具を使用する最終位置でもあるので、なお一層有利である。
【0016】
本発明の一態様によれば、可動部分が、スプールにヒンジによって接続されるフラップである。
【0017】
ヒンジによってスプールに接続されるこのフラップにより、フラップを動かなくするためには、従ってスプールを動かないようにするためには、接続具を動かないようにすることで十分である。これは、フラップおよびヒンジの剛性によってフラップに対するスプールのいかなる動きも防止されるためである。すなわち、接続具をその保管位置において動かないようにした場合、スプールの回転が遮断されるので、ほどいていない余剰のケーブル長さがスプール内部に保持される点が有利である。
【0018】
本発明の一態様によれば、フラップおよびヒンジに対する代替選択肢として、可動部分が、一端がスプールに固定される可撓な帯材である。
【0019】
この可撓帯材によって、フラップおよびヒンジの場合と同じ利点が得られると共に、さらに、ヒンジの使用が避けられるという利点も得られ、エンクロージャを容易かつ安価に製造できる。帯材は、スプールの頂部に、それに平行に、例えば、第1端部における1個所以上の接着剤付けを介して固定され、接続具が固定されるその第2端部は、スプールの半径方向の端部から突き出る。帯材は、接続具を有するその第2端部をスプールの頂部の上に折り込むことができるように、固体であるが曲げ方向において可撓でありかつ弾性を有する材料から作製される。スプールが回転する間、接続具は、一時的な取り付け手段によってスプールに保持される。従って、スプールが回転する時、接続具が、スプールの半径方向の広がり面内に不都合な形で位置することはなく、このため、ケーブルをほどくことを接続具が妨害することはない。接続具がスプールの頂部に保持されなければ、接続具は、帯材の弾性によって保管位置に戻される。
【0020】
本発明の一態様によれば、エンクロージャが、接続具がスプールの半径方向の広がり面の外側の位置にある時に接続具を動かないようにし得る遮断手段をさらに含む。
【0021】
この態様によって、スプールが回転する時、接続具が、スプールの半径方向の広がり面内に不都合な形で位置することはなく、従って、ケーブルをほどくことを接続具が妨害することはない。
【0022】
本発明の一態様によれば、エンクロージャが、接続具が保管位置にある時に接続具を動かないようにし得る遮断手段をさらに含む。
【0023】
この態様によって、エンクロージャの外側から接続プラグを差し込むことによって印加される押し込み力、または接続プラグを引き抜くことによって印加される引き抜き力に抵抗するように、接続具が安定化される。さらに、接続具がスプールに剛結合されているので、スプールが動かなくされ、これによって、ほどいていない余剰長さのケーブルが、エンクロージャから不都合な形で導出されることが防止される。
【0024】
本発明の一態様によれば、遮断手段が、接続具を保管位置に閉じ込めることができるベース内の少なくとも1つの当接片を含む。
【0025】
この当接片は、簡単に製作でき、エンクロージャの構成要素を閉じ込める複雑な操作を敷設者に要求することもない。
【0026】
本発明の一態様によれば、エンクロージャが、ベースおよびスプールを覆蓋し得る取り外し可能な蓋をさらに含み、遮断手段が、蓋がベースを覆う時に接続具を保管位置に閉じ込める蓋内の少なくとも1つの当接片を含む。
【0027】
この当接片は、簡単に製作でき、エンクロージャの構成要素を閉じ込める複雑な操作を敷設者に要求することもない。この当接片は、全く単純に、接続具が当接し得る蓋の頂部に垂直な端部の一部分とすることができる。
【0028】
さらに、蓋の頂部の内面は、接続具をベースに対して押し付け、スプールの回転面に垂直な平面内における接続具のいかなる動きをも防止する。従って、接続具およびスプールは、蓋がベースを覆う場合には完全に動かなくなる。
【0029】
本発明の一態様によれば、ケーブルの断面が円形、楕円形または長方形である。
【0030】
本発明によるエンクロージャは、円形断面のケーブルに適しているだけでなく、リボン形ケーブルのような平坦断面のケーブル、楕円形または長方形断面のケーブルにも適している。
【0031】
以上に記述した光エンクロージャの種々の態様は、相互に独立に、あるいは、互いに組み合わせて実施できる。
【0032】
本発明は、光エンクロージャの敷設方法にも関する。このエンクロージャは、
・平面の表面とほぼ平行に固定できるベースと、
・ベースにほぼ垂直な軸の回りに回転するように配置されるスプールと、
・スプールに巻き付けられる光ケーブルと、
・接続具であって、その内側は、エンクロージャの内部において、ケーブルの内部端部と呼称されるケーブルの第1端部に接続され、その接続具の外側は、外部の光接続プラグに接続するように想定される、接続具と、
を含み、さらに、
ケーブルは、ケーブルの外部端部と呼称されるケーブルの第2端部を引き出すことによって、エンクロージャからほどくように想定され、この引き出しによってスプールが軸上において回転し、
敷設方法は、次のステップ、すなわち、
・ベースを平面の表面に固定するステップと、
・接続具を、スプールの半径方向の広がり面の外側の位置に配置するステップと、
・ケーブルの外部端部をエンクロージャから引き出すことによって、ある長さのケーブルをほどくステップと、
・接続具を、スプールの半径方向の広がり面内の保管位置に配置するステップと、
・蓋をベース上に固定するステップと、
を含む。
【0033】
本発明による光エンクロージャの敷設方法は、エンクロージャからあるケーブル長さをほどくステップの後、ケーブルの内部端部を接続具に接続するステップを必要としないという点で、過去の実施態様と異なっている。本発明によるエンクロージャによって、ケーブルの内部端部が接続具に予め接続されるので、この微妙な操作はもはや必要でない。外部端部を引き出すことによってスプールを回転させる前に、敷設者が接続具をスプールの半径方向の広がり面の外側に配置し、続いて、ケーブルをほどいた後、敷設者が接続具を最終的な保管位置に配置することで十分である。敷設者は、ケーブルの内部端部に接触する必要はなく、これによって、ケーブルおよびその接続部の損傷リスクが除去されると共に、時間が節減される。
【0034】
本発明の他の利点および特徴は、本発明の具体的な実施形態に関する以下の説明を読解することによってより明確になるであろう。この実施形態は、以下の図面に、例示的にかつ非制限的な単純な例として提示されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】先行技術による光エンクロージャの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による例示的な光エンクロージャの斜視図であって、スプールが自由回転する位置における斜視図である。
図3図2の光エンクロージャの、スプールの回転が遮断された位置における斜視図である。
図4】蓋で覆われた図2の光エンクロージャの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書の以下の部分は、直径900μmの円形断面と、AS/APCタイプのコネクタプラグとを有する光ケーブルを使用するOTEエンクロージャに基づく本発明の例示的実施形態について記述するが、本発明は、例えば、IOTBエンクロージャのような他のタイプの光エンクロージャ、ケーブルおよび接続部、あるいは、非円形断面のケーブルにも適用される。
【0037】
図1は先行技術による光エンクロージャを示す。
【0038】
この光エンクロージャ1は、主請求項の前段部分に対応するものであって、
・平面の表面とほぼ平行に固定できるベース2と、
・ベースにほぼ垂直な軸4の回りに回転するように配置されるスプール3と、
・スプール3に巻き付けられる光ケーブル5と、
・接続具6であって、その内側17が、エンクロージャ1の内部において、ケーブルの内部端部と呼称されるケーブル5の第1端部7に接続され、その接続具6の外側18は、図示されていない外部の光接続プラグに接続するように想定される、接続具6と、
を含み、
・この場合、ケーブル5は、ケーブルの外部端部と呼称されるケーブルの第2端部8を引き出すことによって、エンクロージャ1からほどくように想定され、この引き出しによってスプール3が軸4上において回転する。
【0039】
このエンクロージャの大きな欠点の1つは、ケーブル5をほどく際に、ケーブル5の内部端部7を接続具6から切り離さなければならないという点である。ほどく場合はスプール3が回転するが、内部端部7がベース2に固定された接続具6に接続されたままであると、スプール3の回転が不可能になるからである。従って、遊離した内部端部7が障害物となって回転を妨害したり、ケーブル5またはエンクロージャ1の他の要素を損傷したりすることがないように、遊離した内部端部7を、スプール3の一部分に一時的に固定する必要がある。この一時的固定を実現する簡単な方法は接着テープ9によるものである。しかし、より複雑であるが、さらに確実な一時的固定手段も存在する。例えば、スプール3の一部分に設けられるハウジング(図示されていない)であって、内部端部7が接続具6に接続されていない時に、内部端部7を受け入れるように特別に設けられるハウジングである。
【0040】
ケーブル5をほどくステップが完了すると、ケーブル5の内部端部7をスプール3から取り外して、接続具6に接続しなければならないが、これも大きな不利な点である。この操作に必要な時間を度外視するとしても、各取り扱い操作において、ケーブルおよびその接続部を損傷するリスクが生じるからである。
【0041】
図2は、本発明による光エンクロージャの例示的な実施形態を、スプールが自由回転する位置において示す。
【0042】
本発明のこの実施形態による光エンクロージャ11は、先行技術による光エンクロージャの特徴に加えて、スプール13の上面に配置される1つ以上のヒンジ20によってスプール13に結合されるフラップ19を含むという特徴を有する。
【0043】
接続具16およびベース12は、接続具がベースに固定されずフラップ19に固定されるという点においても、先行技術と異なっている。このフラップはいくつかの位置を占めることができるが、その占め得る位置に、例えば、図2に示すようなスプール13およびベース12にほぼ垂直な位置が含まれる。この場合、接続具16は、スプール13の半径方向の広がり面の外側にある。フラップ19は、例えばヒンジ20の旋回軸におけるノッチ28を用いて、この位置に保持できる。従って、フラップ19および接続具16がこの位置にある時には、ケーブル5の内部端部7が接続具16に接続されていても、スプール13の回転、すなわち、ケーブル5の外部端部8を引き出すことによりエンクロージャ11からケーブル5をほどくことが妨害されることは全くない。
【0044】
従って、本発明によるエンクロージャ11のフラップ19によって、ケーブルの内部端部7を接続具16に予め接続することが可能になり、エンクロージャの敷設者がこの接続を実施する必要性はなくなる。
【0045】
ヒンジ20は、任意選択的に可撓ヒンジとすることができる。可撓ヒンジとすることによって、フラップ19およびスプール13の頂部を単一品として成形することが可能になり、これは、エンクロージャ11の製造をより簡単かつより安価にするという利点を有する。
【0046】
図3は、スプールの回転が遮断された位置における図2の光エンクロージャを示す。
【0047】
スプール13が自由に回転する場合は、接続具16は、保管位置と呼称されるその最終の使用位置にあるのではないことが理解される。
【0048】
フラップ19は、また、接続具16を保管位置に置く位置をも占めることができる。この位置においては、スプール13の回転は遮断される。実際、フラップ19がベース12に向かって折り畳まれる時に、スプール13は、接続具16が、ベース12に設けられる当接片21であってスプール13に隣接する当接片21に正確に当接する位置になるような方位に向けられる(当接片21は図2に示される。図3においては接続具16によって隠されている)。この保管位置においては、接続具16は、スプール13の半径方向の広がり面内にある。接続具16を当接片21によって保管位置に配置することによって、少なくとも3つの有利な効果が得られる。
・スプール13の回転が、当接片21と接続具16とフラップ19とヒンジ20とによって形成されるアセンブリによって遮断され、従ってほどいていないケーブル5はスプール13内に残される。
・接続具16は、押し込み力が、エンクロージャ11の内側に向けて接続具16に加えられる場合にも、例えば、外部接続プラグを接続具16の外側18から接続具16に差し込む場合にも、所定位置から動かない。
・接続具16が、スプール13の1つの面上に載っているのではなく、スプール13に隣接しているので、壁面に対するエンクロージャ11の厚さが最小化され、これによって、エンクロージャ11の空間要件が低減され、エンクロージャ11をより目立たないものにすることができる。
【0049】
図4は、蓋で覆われた図2の光エンクロージャを示す。
【0050】
エンクロージャ11が実質的に平坦な形状であることによって、簡単な形状の取り外し可能な蓋22を装着できる。この蓋22は、接続具16が保管位置にある時に所定位置に装着された場合、ベース12とスプール13と接続具16とフラップ19とを覆蓋し、エンクロージャ11の要素を衝撃から保護すると共に、それらを視界から隠す。蓋22は、例えば長方形であるベース12の輪郭に適合する輪郭のプレート24と、そのプレート24の周囲における端部25であって、プレート24にほぼ垂直に、ベース12およびフラップ19の間のエンクロージャ11の厚さに合致する高さを有する端部25とから作製される。端部25には、少なくとも2つの開口26および27が設けられる。その第1開口26は外部接続プラグ用であり、第2開口27はエンクロージャからほどいたケーブル5の部分用である。
【0051】
蓋22の重要な特徴は、それが、スプール13の回転面における接続具16のいかなる動きも防止する1つ以上の当接片23を含むことができるという点である。この当接片の1つは、ベースの当接片21と対称に配置するか、あるいは、当接片21と置き換えることが可能であり、別の当接片は、蓋22が所定位置にある時に、接続具16が接触する端部25の一部分である。この配置によって上記と同じ有利な効果を得ることができる。すなわち、スプール13が回転しないように遮断され、かつ、接続具16が、エンクロージャ11の内部に向かう押し込み力に抵抗する。
【0052】
さらに、蓋22は、所定位置にある時にはフラップ19と接触しており、フラップ19が保管位置から離れることを防止すると共に、本発明によるエンクロージャ11の堅固さと安定性とが増大する結果がもたらされる。
【0053】
蓋22は、任意の閉止システムを用いてベース12に固定できる。
【0054】
代替的な一実施形態(図示されていない)においては、フラップ19およびヒンジ20を、固体であるが曲げることができる薄い帯材に置き換えることができ、この薄い帯材は、接続具が保管位置にある時にスプール13および接続具16の両者を少なくとも部分的に覆う。この薄い帯材は、スプール13および接続具16の両者に、例えば、局所接着剤または任意の他の小型簡易な固定手段によって固定される。この帯材の可撓性によって、接続具16を、スプール13から帯材を引き剥がすことなくその保管位置から取り外して、スプール13の上面に戻すことができる。その場合、帯材の中央部分は可撓なヒンジとして機能することになる。この位置において、スプール13は自由回転する。スプール13は、接続具16を保持して、それが、スプール13の回転の間にその保管位置に再度不都合な形で戻ることを防止するために、フックまたは任意の他の既知の一時的な固定手段を含むことができる。接続具16がスプール13に対して保持されない時には、帯材の弾性によって、接続具16が、ベース12に対して押し戻されて保管位置に保持される。これは、蓋22が所定位置にまだ装着されていない場合に特に有用である。
【0055】
帯材は、フラップ19よりさらに薄くできる可能性があり、従ってエンクロージャ11の空間要件をさらに低減し得るという点でフラップ19に勝る利点を有する。
【0056】
フラップ19は、一層固くかつ剛構造であるという点で帯材に勝る利点を有する。
【0057】
本発明のこの実施形態による上記のようなエンクロージャは、スプール内に巻き込まれた直径900μmの長さ28mまでのケーブルを収納でき、蓋が所定位置に装着された内部寸法80mm×80mm×20mmの平行六面体に仕上げることができる。このエンクロージャの外部寸法は、住居の室内付属品に用いられる大多数の壁面の電気的筐体に適応している。従って、このエンクロージャは既存の構造標準に適合しており、例えばエンクロージャカバーまたは敷設用具のような既存のアクセサリを用い得る点で有利である。
【0058】
以上述べた本発明の例示的実施形態は、想定し得る実施形態のほんの数例である。それらは、本発明によって、ケーブルの内部端部を予め接続した状態で、かつ、一方ではエンクロージャの敷設方法を簡単化しながら、ケーブルを、エンクロージャからほどく間接続したままにしておくことを可能にする状態で、光エンクロージャを構成し得ることを示している。
【符号の説明】
【0059】
4 軸
5 光ケーブル
11 光エンクロージャ
12 ベース
13 スプール
16 接続具
17 内側
18 外側
図1
図2
図3
図4