(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348614
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】容量結合型消弧回路及び装置
(51)【国際特許分類】
H03K 17/725 20060101AFI20180618BHJP
H03K 17/78 20060101ALI20180618BHJP
H02H 3/06 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
H03K17/725 A
H03K17/78 L
H02H3/06 B
【請求項の数】28
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-572876(P2016-572876)
(86)(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公表番号】特表2017-514409(P2017-514409A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】CN2015071334
(87)【国際公開番号】WO2015131693
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】201420115758.5
(32)【優先日】2014年3月7日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201420116613.7
(32)【優先日】2014年3月7日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201410093471.1
(32)【優先日】2014年3月7日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201410093455.2
(32)【優先日】2014年3月7日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201410150333.2
(32)【優先日】2014年4月4日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201420178613.X
(32)【優先日】2014年4月4日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201410345533.3
(32)【優先日】2014年7月12日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201410399658.4
(32)【優先日】2014年8月7日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516268415
【氏名又は名称】広州市金矢電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU KINGSER ELECTRONICS CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
(74)【代理人】
【識別番号】100185454
【弁理士】
【氏名又は名称】三雲 悟志
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】郭 橋石
【審査官】
齋藤 正貴
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−201266(JP,A)
【文献】
特開2001−217702(JP,A)
【文献】
実開平06−005053(JP,U)
【文献】
米国特許第05473202(US,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02701255(EP,A1)
【文献】
特開平07−296699(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0222191(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/725
H03K 17/78
H02H 3/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量結合型消弧回路であって、機械スイッチの両端に並列接続されるサイリスタを備え、前記サイリスタをオンに駆動する駆動信号が、前記サイリスタの主回路によってコンデンサを介して前記サイリスタのゲートに伝達され、前記駆動信号の回路には、少なくとも電子スイッチが接続され、前記電子スイッチは前記コンデンサに直列接続される容量結合型消弧回路。
【請求項2】
前記コンデンサは、抵抗とともに直列回路を構成し、前記駆動信号が、前記直列回路と前記電子スイッチとを介して前記サイリスタのゲートに接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項3】
前記電子スイッチには、前記電子スイッチを保護するための電圧制限素子が接続されており、前記電圧制限素子は前記コンデンサに直列接続され、前記電圧制限素子は前記サイリスタのゲートを介して前記電子スイッチに並列接続される
ことを特徴とする請求項2に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項4】
前記電子スイッチの耐電圧値は、前記サイリスタの主回路の両端の動作電圧よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項5】
前記電子スイッチは、半導体スイッチである
ことを特徴とする請求項1に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項6】
前記電子スイッチは、フォトカプラ、またはフォトカプラ駆動によるトランジスタ回路である
ことを特徴とする請求項1に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項7】
前記サイリスタは、単方向サイリスタであり、前記単方向サイリスタは、第1の単方向サイリスタと第2の単方向サイリスタとからなり、前記第1の単方向サイリスタは、前記第2の単方向サイリスタと逆並列接続され、
前記電子スイッチは、第1の電子スイッチと第2の電子スイッチとを含み、
前記コンデンサは、抵抗とともに直列回路を構成し、前記第1の単方向サイリスタのゲートは、前記第1の電子スイッチを介して前記直列回路の一端に接続され、前記第2の単方向サイリスタのゲートは、前記第2の電子スイッチを介して前記直列回路の他端に接続され、前記第1の電子スイッチおよび前記第2の電子スイッチには、第1の電圧制限素子、第2の電圧制限素子がそれぞれ接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項8】
前記第1の電圧制限素子および前記第2の電圧制限素子は、ツェナーダイオードまたはツェナーダイオードの等価素子であり、
前記第1の電圧制限素子のカソードは、前記第1の電子スイッチの電圧入力端に接続され、前記第1の電圧制限素子のアノードは、前記第1の単方向サイリスタのカソードに接続され、
前記第2の電圧制限素子のカソードは、前記第2の電子スイッチの電圧入力端に接続され、前記第2の電圧制限素子のアノードは、前記第2の単方向サイリスタのカソードに接続される
ことを特徴とする請求項7に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項9】
前記サイリスタは、双方向サイリスタであり、前記駆動信号が、前記双方向サイリスタの第2のアノードによって前記コンデンサを介して前記双方向サイリスタのゲートに伝達される
ことを特徴とする請求項1に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項10】
前記サイリスタは、単方向サイリスタであり、前記駆動信号が、前記単方向サイリスタのアノードによって前記コンデンサを介して前記単方向サイリスタのゲートに伝達される
ことを特徴とする請求項1に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項11】
前記サイリスタの主回路の両端電圧がゼロクロスするまたはゼロとなる時に、前記電子スイッチの出力端は、前記駆動信号を前記サイリスタのゲートに伝達できる動作状態になる
ことを特徴とする請求項1に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項12】
前記機械スイッチのノーマルオープン状態において、前記コンデンサに流れる電流は、前記サイリスタのトリガ電流よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項13】
前記コンデンサは、電流制限素子とともに直列回路を構成し、前記直列回路は、前記電子スイッチまたは電圧制限素子を介して、前記サイリスタの主回路の入力端と出力端との間に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項14】
前記電子スイッチは、ゼロクロス出力付きの電子スイッチである
ことを特徴とする請求項1に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項15】
前記駆動信号は、前記機械スイッチのオン時のバウンスまたは遮断の際に発生される、前記コンデンサに流れる電流である
ことを特徴とする請求項1に記載の容量結合型消弧回路。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一つに記載の容量結合型消弧回路を備え、少なくとも、前記電子スイッチの制御端に接続される制御回路をさらに備える
ことを特徴とする容量結合型消弧装置。
【請求項17】
前記サイリスタの主回路には、出力端が前記制御回路に接続される電流センサが接続され、前記電流センサは、前記サイリスタのオン電流を検出し、前記機械スイッチのオフを検出するものであり、
前記制御回路は、前記電流センサにより前記機械スイッチのオフが検出されると、前記サイリスタのオン制御信号を閉じ、前記サイリスタのオン時間は半サイクルまでに短い
ことを特徴とする請求項16に記載の容量結合型消弧装置。
【請求項18】
前記機械スイッチの主回路には、電流センサが接続され、前記電流センサは、前記機械スイッチに流れる電流を検出し、前記機械スイッチのオフを検出するものであり、
前記電流センサの出力端は、前記制御回路に接続され、前記制御回路は、前記電流センサにより前記機械スイッチのオフが検出されると、前記サイリスタのオン制御信号を閉じ、前記サイリスタのオン時間は半サイクルまでに短い
ことを特徴とする請求項16に記載の容量結合型消弧装置。
【請求項19】
前記機械スイッチの主回路には、電流センサが接続され、前記電流センサは、前記機械スイッチに流れる電流を検出し、前記機械スイッチのオンを検出するものであり、
前記電流センサの出力端は、前記制御回路に接続され、前記制御回路は、前記電流センサにより前記機械スイッチのオンが検出されると、前記サイリスタのオン制御信号を与える
ことを特徴とする請求項16に記載の容量結合型消弧装置。
【請求項20】
前記制御回路は、前記電流センサにより前記機械スイッチのオンが検出されると、前記機械スイッチのオン時のバウンスの消弧のために前記サイリスタのオン制御信号を与える
ことを特徴とする請求項19に記載の容量結合型消弧装置。
【請求項21】
前記電流センサは、変流器である
ことを特徴とする請求項17から20のいずれか一つに記載の容量結合型消弧装置。
【請求項22】
前記サイリスタには、電圧検出回路が接続され、前記電圧検出回路の出力端は、前記制御回路に接続され、前記電圧検出回路は、前記機械スイッチのオンを検出するものであり、前記制御回路は、前記電圧検出回路により前記機械スイッチのオンが検出されると、前記サイリスタのオン制御信号を与える
ことを特徴とする請求項16に記載の容量結合型消弧装置。
【請求項23】
前記制御回路は、前記電圧検出回路により前記機械スイッチのオンが検出されると、前記機械スイッチのオン時のバウンスの消弧のために前記サイリスタのオン制御信号を与える
ことを特徴とする請求項22に記載の容量結合型消弧装置。
【請求項24】
前記電圧検出回路の入力端は、前記サイリスタの主回路の入出力端に接続される
ことを特徴とする請求項22に記載の容量結合型消弧装置。
【請求項25】
前記電圧検出回路の入力端は、前記サイリスタの主回路の負荷端に接続される
ことを特徴とする請求項22に記載の容量結合型消弧装置。
【請求項26】
前記サイリスタの主回路の両端には、電圧検出回路が接続され、前記電圧検出回路の出力端は、前記制御回路に接続され、前記電圧検出回路は、前記サイリスタの主回路の両端の電圧信号を検出するものであり、前記制御回路は、前記電圧検出回路により前記サイリスタの主回路の両端電圧がゼロクロスするまたはゼロとなることが検出されると、前記サイリスタのオン制御信号を与える
ことを特徴とする請求項16に記載の容量結合型消弧装置。
【請求項27】
前記サイリスタの主回路の両端には、電圧検出回路が接続され、前記電圧検出回路の出力端は、前記制御回路に接続され、前記電圧検出回路は、前記機械スイッチのオフを検出するものであり、前記制御回路は、前記電圧検出回路により前記機械スイッチのオフが検出されると、前記サイリスタのオン制御信号を閉じる
ことを特徴とする請求項16に記載の容量結合型消弧装置。
【請求項28】
前記電圧検出回路は、抵抗とフォトカプラを含み、前記抵抗は、前記フォトカプラの制御端に接続される
ことを特徴とする請求項22から27のいずれか一つに記載の容量結合型消弧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の容量結合型消弧回路及び装置は、電気分野に属し、特にコンタクタ、リレー、ブレーカ、及びその他の機械スイッチにおいて消弧用途として適用される容量結合型消弧回路及び装置である。
【背景技術】
【0002】
現在、電気制御システムでは、負荷に対するオンオフ制御においてコンタクタやリレーなどの機械スイッチが広く使用されているが、通常の消弧用途としての消弧グリッドは、アークが一定の長さに引き伸ばされないと働かないので、消弧効果が悪く、負荷をオンオフする際のアークが大きいことで、機械スイッチが焼損しやすく、電気寿命が短いという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来の消弧グリッドの不足を解消するために、機械スイッチの消弧に適用でき、消弧効果が良く、信頼性が高い容量結合型消弧回路及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、以下の技術的手段により達成される。
【0005】
容量結合型消弧回路であって、機械スイッチの両端に並列接続されるサイリスタを備え、サイリスタをオンに駆動する駆動信号が、サイリスタの主回路によってコンデンサを介してサイリスタのゲートに伝達され、駆動信号の回路には、少なくとも電子スイッチが接続される容量結合型消弧回路。
【0006】
容量結合型消弧回路であって、コンデンサは、抵抗とともに直列回路を構成し、駆動信号が、直列回路と電子スイッチとを介してサイリスタのゲートに接続される容量結合型消弧回路。
【0007】
容量結合型消弧回路であって、電子スイッチには、電子スイッチを保護するための電圧制限素子が接続されている容量結合型消弧回路。
【0008】
容量結合型消弧回路であって、電子スイッチの耐電圧値は、サイリスタの主回路の両端の動作電圧よりも小さい容量結合型消弧回路。
【0009】
容量結合型消弧回路であって、電子スイッチは、半導体スイッチである容量結合型消弧回路。
【0010】
容量結合型消弧回路であって、電子スイッチは、フォトカプラ、またはフォトカプラ駆動によるトランジスタ回路である容量結合型消弧回路。
【0011】
容量結合型消弧回路であって、単方向サイリスタであり、単方向サイリスタは、第1の単方向サイリスタと第2の単方向サイリスタとからなり、第1の単方向サイリスタは、第2の単方向サイリスタと逆並列接続され、電子スイッチは、第1の電子スイッチと第2の電子スイッチとを含み、コンデンサは、抵抗とともに直列回路を構成し、第1の単方向サイリスタのゲートは、第1の電子スイッチを介して直列回路の一端に接続され、第2の単方向サイリスタのゲートは、第2の電子スイッチを介して直列回路の他端に接続され、第1の電子スイッチおよび第2の電子スイッチには、第1の電圧制限素子、第2の電圧制限素子がそれぞれ接続されている容量結合型消弧回路。
【0012】
容量結合型消弧回路であって、第1の電圧制限素子および第2の電圧制限素子は、ツェナーダイオードまたはツェナーダイオードの等価素子であり、第1の電圧制限素子のカソードは、第1の電子スイッチの電圧入力端に接続され、第1の電圧制限素子のアノードは、第1の単方向サイリスタのカソードに接続され、第2の電圧制限素子のカソードは、第2の電子スイッチの電圧入力端に接続され、第2の電圧制限素子のアノードは、第2の単方向サイリスタのカソードに接続される容量結合型消弧回路。
【0013】
容量結合型消弧回路であって、サイリスタは、双方向サイリスタであり、駆動信号が、双方向サイリスタの第2のアノードによってコンデンサを介して双方向サイリスタのゲートに伝達される容量結合型消弧回路。
【0014】
容量結合型消弧回路であって、サイリスタは、単方向サイリスタであり、駆動信号が、単方向サイリスタのアノードによってコンデンサを介して単方向サイリスタのゲートに伝達される容量結合型消弧回路。
【0015】
容量結合型消弧回路であって、サイリスタの主回路の両端電圧がゼロクロスするまたはゼロとなる時に、電子スイッチの出力端は、駆動信号をサイリスタのゲートに伝達できる動作状態になる容量結合型消弧回路。
【0016】
容量結合型消弧回路であって、機械スイッチのノーマルオープン状態において、コンデンサに流れる電流は、サイリスタのトリガ電流よりも小さい容量結合型消弧回路。
【0017】
容量結合型消弧回路であって、コンデンサは、電流制限素子とともに直列回路を構成し、直列回路は、電子スイッチまたは電圧制限素子を介して、サイリスタの主回路の入力端と出力端との間に接続される容量結合型消弧回路。
【0018】
容量結合型消弧回路であって、電子スイッチは、ゼロクロス出力付きの電子スイッチである容量結合型消弧回路。
【0019】
容量結合型消弧回路であって、駆動信号は、機械スイッチのバウンスまたは遮断の際に発生される、コンデンサに流れる電流である容量結合型消弧回路。
【0020】
容量結合型消弧装置であって、前記容量結合型消弧回路を備え、電子スイッチの制御端に接続される制御回路をさらに備える容量結合型消弧装置。
【0021】
容量結合型消弧装置であって、サイリスタの主回路には、出力端が制御回路に接続される電流センサが接続され、電流センサは、サイリスタのオン電流を検出し、機械スイッチのオフを検出するものであり、制御回路は、電流センサにより機械スイッチのオフが検出されると、サイリスタのオン制御信号を閉じる容量結合型消弧装置。
【0022】
容量結合型消弧装置であって、機械スイッチの主回路には、電流センサが接続され、電流センサは、機械スイッチに流れる電流を検出し、機械スイッチのオフを検出するものであり、電流センサの出力端は、制御回路に接続され、制御回路は、電流センサにより機械スイッチのオフが検出されると、サイリスタのオン制御信号を閉じる容量結合型消弧装置。
【0023】
容量結合型消弧装置であって、機械スイッチの主回路には、電流センサが接続され、電流センサは、機械スイッチに流れる電流を検出し、機械スイッチのオンを検出するものであり、電流センサの出力端は、制御回路に接続され、制御回路は、電流センサにより機械スイッチのオンが検出されると、サイリスタのオン制御信号を与える容量結合型消弧装置。
【0024】
容量結合型消弧装置であって、制御回路は、電流センサにより機械スイッチのオンが検出されると、機械スイッチのオン時のバウンスの消弧のためにサイリスタのオン制御信号を与える容量結合型消弧装置。
【0025】
容量結合型消弧装置であって、電流センサは、変流器である容量結合型消弧装置。
【0026】
容量結合型消弧装置であって、サイリスタには、電圧検出回路が接続され、電圧検出回路の出力端は、制御回路に接続され、電圧検出回路は、機械スイッチのオンを検出するものであり、制御回路は、電圧検出回路により機械スイッチのオンが検出されると、サイリスタのオン制御信号を与える容量結合型消弧装置。
【0027】
容量結合型消弧装置であって、制御回路は、電圧検出回路により機械スイッチのオンが検出されると、機械スイッチのオン時のバウンスの消弧のためにサイリスタのオン制御信号を与える容量結合型消弧装置。
【0028】
容量結合型消弧装置であって、電圧検出回路の入力端は、サイリスタの主回路の入出力端に接続される容量結合型消弧装置。
【0029】
容量結合型消弧装置であって、電圧検出回路の入力端は、サイリスタの主回路の負荷端に接続される容量結合型消弧装置。
【0030】
容量結合型消弧装置であって、サイリスタの主回路の両端には、電圧検出回路が接続され、電圧検出回路の出力端は、制御回路に接続され、電圧検出回路は、機械スイッチのオフを検出するものであり、制御回路は、電圧検出回路により機械スイッチのオフが検出されると、サイリスタのオン制御信号を閉じる容量結合型消弧装置。
【0031】
容量結合型消弧装置であって、サイリスタの主回路の両端には、電圧検出回路が接続され、電圧検出回路の出力端は、制御回路に接続され、電圧検出回路は、サイリスタの主回路の両端の電圧信号を検出するものであり、制御回路は、電圧検出回路によりサイリスタの主回路の両端電圧がゼロクロスするまたはゼロとなることが検出されると、サイリスタのオン制御信号を与える容量結合型消弧装置。
【0032】
容量結合型消弧装置であって、電圧検出回路は、抵抗とフォトカプラを含み、抵抗は、フォトカプラの制御端に接続される容量結合型消弧装置。
【0033】
本発明による容量結合型消弧回路の動作原理:サイリスタをオンに駆動する駆動信号が、サイリスタの主回路によってコンデンサを介して与えられており、サイリスタの両端に接続される機械スイッチの作動時に発生される電圧急変によって、コンデンサに大電流を流してサイリスタをオンに駆動し、機械スイッチに流れる電流をバイパスして、機械スイッチを消弧する役割を果たし、サイリスタの駆動回路に接続される電子スイッチを駆動信号の制御に用いる。
【0034】
本発明による容量結合型消弧装置の動作原理:電子スイッチの制御信号を与えてサイリスタのオンオフを制御するための制御回路が、上述した電子スイッチの制御端に接続される。
【0035】
動作過程:サイリスタに並列接続される機械スイッチがオンした時に、電子スイッチの制御信号を与えて、電子スイッチの出力端が、サイリスタの駆動信号をサイリスタのゲートに伝達できる動作状態になるようにし、機械スイッチのオン時にバウンスが起こると、サイリスタの両端に非常に高い電圧立ち上がりレートが発生され、コンデンサに高い駆動電流が流れることによって、駆動電流はサイリスタの駆動信号となり、サイリスタがオンにトリガされ、機械スイッチのオン時のバウンスの消弧という目的を実現する。機械スイッチSW1をオフにする過程において、機械スイッチがオフになる瞬間に、サイリスタの両端に高い電圧立ち上がりレートが発生され、コンデンサに高い駆動電流が流れることになり、サイリスタがオンにトリガされ、サイリスタにより電流がバイパスされ、アーク無しで機械スイッチをオフするという目的を実現し、そして電子スイッチの制御信号を閉じる。
【0036】
本発明による容量結合型消弧回路は、設計が合理的であり、消弧時にコンデンサがサイリスタへ駆動信号を伝達し、コンデンサの両端電圧が急変できない物理的特徴を利用し、機械スイッチがオンやオフする瞬間に、非常に高い電圧立ち上がりレートが発生される。ここで用いられるコンデンサは、容量が1μFの数分の一から数十分の一と小さいものであっても、大きな駆動電流が得られてサイリスタをオンに駆動することができ、消弧効果が良く、信頼性が高い利点がある。
【発明の効果】
【0037】
本発明による容量結合型消弧装置は、制御回路によって容量結合型消弧回路における電子スイッチに接続され、サイリスタのオン時間が短く、信頼性が高い利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本発明による容量結合型消弧回路の実施例1の回路原理図である。
【
図2】
図2は、本発明による容量結合型消弧回路の実施例2の回路原理図である。
【
図3】
図3は、本発明による容量結合型消弧回路の実施例3の回路原理図である。
【
図4】
図4は、本発明による容量結合型消弧装置の実施例1の回路原理図である。
【
図5】
図5は、本発明による容量結合型消弧装置の実施例2の回路原理図である。
【
図6】
図6は、本発明による容量結合型消弧装置の実施例3の回路原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1には、本発明による容量結合型消弧回路の実施例1が示され、機械スイッチSW1は、サイリスタTR1に並列接続され、消弧の必要がある機械スイッチであり、J1、J2は、主回路の入出力端点である。サイリスタTR1をオンに駆動する駆動信号は、サイリスタTR1の主回路によって、電流制限抵抗R1とコンデンサC1による直列回路と、電子スイッチOPT1(すなわち、サイリスタ出力付きのフォトカプラ)とを介してそのゲート(注記:本実施例のサイリスタTR1は双方向サイリスタであり、その駆動信号はサイリスタTR1の第2のアノードによってコンデンサC1を介して与えられる)に接続され、電子スイッチOPT1には、電子スイッチOPT1を保護するために、電圧を制限する電圧制限素子RV1が接続されている。
【0040】
動作過程:機械スイッチSW1をオンにする過程において、その両端電圧がゼロクロスするまたはゼロとなる時に、電子スイッチOPT1がオンになるように制御信号を入力することにより、サイリスタTR1のオンの方が機械スイッチSW1のオンよりも早くなることを避ける。機械スイッチSW1がオンする際にバウンスが起こると、サイリスタTR1の両端に非常に高い電圧立ち上がりレートが発生され、コンデンサC1に高い駆動電流が流れることによって、駆動電流はサイリスタTR1をオンに駆動する駆動信号となり、サイリスタTR1がオンにトリガされ、機械スイッチSW1のオン時のバウンスの消弧という目的を実現する。機械スイッチSW1をオフにする過程において、機械スイッチSW1がオフになる瞬間に、サイリスタTR1の両端に高い電圧立ち上がりレートが発生され、コンデンサC1に高い駆動電流が流れることによって、駆動電流はサイリスタTR1をオンに駆動する駆動信号となり、サイリスタTR1がオンにトリガされ、サイリスタTR1により電流がバイパスされ、アーク無しで機械スイッチSW1をオフするという目的を実現し、そして電子スイッチOPT1の制御信号を閉じる。機械スイッチSW1をオフにする過程において、機械スイッチSW1がオフになる瞬間に、ちょうど電圧のゼロ点となり、サイリスタTR1はオンにトリガされず、サイリスタTR1により主回路の電流がバイパスされなくても、アーク無しで機械スイッチSW1をオフするという目的を実現できる。
【0041】
以下の点は理解されるべきである。電子スイッチOPT1が、ゼロクロス出力を内蔵していない電子スイッチであれば、機械スイッチSW1をオンにする過程において、機械スイッチSW1の両端電圧がゼロクロスするまたはゼロとなる時に、制御信号を電子スイッチOPT1の制御端に入力することにより、サイリスタTR1のオンの方が機械スイッチSW1のオンよりも早くなることを避け、オンになる瞬間の大電流によるサイリスタTR1への衝撃を防止する。電子スイッチOPT1として、ゼロクロス出力を内蔵した電子スイッチ、例えば型番MOC3083のフォトカプラを用いる場合には、制御信号を直接に早めに電子スイッチOPT1に入力することができる。
【0042】
この実施例において、電子スイッチOPT1とコンデンサC1との間には電圧制限素子RV1(電圧制限値は数ボルトから数十ボルトであればよく、電圧制限値が高すぎると、電圧制限素子に必要な電力が大きく増加してしまう。数ボルトのツェナーダイオードを2つ逆直列接続して用いてもよい。)が接続されており、電子スイッチOPT1の耐電圧要求を一層低下させるとともに、その信頼性を向上させることができる。電子スイッチOPT1の入力端は、外部の制御信号が接続されるものであり、機械スイッチSW1がリレーなどの駆動コイル付きの機械スイッチであり、かつ、電子スイッチOPT1としてゼロクロス出力付きのフォトカプラ(例えば、MOC3083)が用いられる場合に、制御信号は、直接に駆動コイルの電源によって電流制限抵抗を介して与えることができる。電流制限抵抗R1は、コンデンサC1に瞬間的な過大電流が流れることを制限して、瞬間的な衝撃電流によるサイリスタTR1、電子スイッチOPT1への影響を低減するためのものである。注記:サイリスタTR1の主回路の両端の動作電圧が電子スイッチOPT1の耐電圧値よりもはるかに小さい場合には、電圧制限素子RV1を省いてもよい。
【0043】
図2には、本発明による容量結合型消弧回路の実施例2が示され、機械スイッチSW1は、サイリスタTR1に接続され、消弧の必要がある機械スイッチであり、J1、J2は、主回路の入出力端点である。サイリスタTR1をオンに駆動する駆動信号は、サイリスタTR1の主回路によって、電流制限抵抗R1とコンデンサC1による直列回路を介してそのゲート(注記:本実施例のサイリスタTR1は双方向サイリスタであり、その駆動信号はサイリスタTR1の主回路のT2電極によって与えられる)に接続され、駆動信号回路に接続される電子スイッチOPT1(CPC1117、CPC1219などのノーマルクローズ出力のフォトカプラが用いられる)は、機械スイッチSW1のノーマルオープン状態でコンデンサC1に流れる電流(静的商用周波数電流)をバイパスするためのものである。
【0044】
動作過程:機械スイッチSW1をオンにする過程において、その両端電圧がゼロクロスするまたはゼロとなる時に、(サイリスタTR1のオンの方が機械スイッチSW1のオンよりも早くなること避けるために)電子スイッチOPT1に制御信号を与えて、電子スイッチOPT1の出力をカットオフする。機械スイッチSW1をオンする際にバウンスが起こると、サイリスタTR1の両端に非常に高い電圧立ち上がりレートが発生され、コンデンサC1に高い駆動電流が流れることによって、駆動電流はサイリスタTR1をオンに駆動する駆動信号となり、サイリスタTR1がオンにトリガされ、機械スイッチSW1のオン時のバウンスの消弧という目的を実現する。機械スイッチSW1をオフにする過程において、機械スイッチSW1がオフになる瞬間に、サイリスタTR1の両端に高い電圧立ち上がりレートが発生され、コンデンサC1に高い駆動電流が流れることによって、駆動電流はサイリスタTR1をオンに駆動する駆動信号となり、サイリスタTR1がオンにトリガされ、サイリスタTR1により電流がバイパスされ、アーク無しで機械スイッチSW1をオフするという目的を実現し、そして電子スイッチOPT1の制御信号を閉じて、サイリスタTR1をオンにする駆動信号は電子スイッチOPT1によりバイパスされる。機械スイッチSW1をオフにする過程において、機械スイッチSW1がオフになる瞬間に、ちょうど電圧のゼロ点となり、サイリスタTR1はオンにトリガされず、サイリスタTR1により電流がバイパスされなくても、アーク無しで機械スイッチSW1をオフするという目的を実現できる。
【0045】
この実施例において、電子スイッチOPT1の入力端は、外部の制御信号が接続されるものであり、電流制限抵抗R1は、コンデンサC1に瞬間的な過大電流が流れることを制限して、瞬間的な衝撃電流によるサイリスタTR1、電子スイッチOPT1への影響を低減するためのものである。
【0046】
図3には、本発明による容量結合型消弧回路の実施例3が示され、サイリスタは、単方向サイリスタであり、単方向サイリスタは、逆並列接続される第1の単方向サイリスタSCR1と第2の単方向サイリスタSCR2と(第1の単方向サイリスタSCR1および第2の単方向サイリスタSCR2をオンに駆動する駆動信号は、それぞれのアノードによってコンデンサC1を介して与えられる)からなる。機械スイッチSW1は、第1の単方向サイリスタSCR1および第2の単方向サイリスタSCR2に接続され、消弧の必要がある機械スイッチであり、J1、J2は、主回路の入出力端点である。第1の単方向サイリスタSCR1のゲートは、(フォトカプラ駆動によるトランジスタ回路である)第1の電子スイッチOPT1を介して電流制限抵抗R1とコンデンサC1による直列回路の一端に接続され、第2の単方向サイリスタSCR2のゲートは、(フォトカプラ駆動によるトランジスタ回路である)第2の電子スイッチOPT2を介して直列回路の他端に接続され、第1の電子スイッチOPT1および第2の電子スイッチOPT2の電圧入力端にはそれぞれ第1の電圧制限素子Z1(ツェナーダイオード)および第2の電圧制限素子Z2(ツェナーダイオード)が接続され、第1の電圧制限素子Z1のカソードは、第1の電子スイッチOPT1の電圧入力端に接続され、第1の電圧制限素子Z1のアノードは、第1の単方向サイリスタSCR1のカソードに接続され、第2の電圧制限素子Z2のカソードは、第2の電子スイッチOPT2の電圧入力端に接続され、第2の電圧制限素子Z2のアノードは、第2の単方向サイリスタSCR2のカソードに接続され、電流制限抵抗R1は、コンデンサC1に瞬間的な過大電流が流れることを制限して、瞬間的な電流による第1の単方向サイリスタSCR1、第2の単方向サイリスタSCR2、第1の電子スイッチOPT1、第2の電子スイッチOPT2への衝撃の影響を低減するためのものである。
【0047】
動作過程:機械スイッチSW1をオンにする過程において、その両端電圧がゼロクロスするまたはゼロとなる時に、第1の単方向サイリスタSCR1および第2の単方向サイリスタSCR2のオンの方が機械スイッチのオンよりも早くなることを避けるために、制御信号を入力して第1の電子スイッチOPT1、第2の電子スイッチOPT2に与える。第1の電子スイッチOPT1、第2の電子スイッチOPT2として、フォトカプラ例えばMOC3083などのゼロクロス出力内蔵の電子スイッチを用いる場合には、制御信号を直接に早めに第1の電子スイッチOPT1、第2の電子スイッチOPT2に入力することができる。機械スイッチSW1をオンにする過程において、第1の電子スイッチOPT1、第2の電子スイッチOPT2の出力端をオンにし、機械スイッチSW1がオンする際にバウンスが起こると、第1の単方向サイリスタSCR1、第2の単方向サイリスタSCR2の両端に非常に高い電圧立ち上がりレートが発生され、コンデンサC1に高い駆動電流が流れることになり、第1の単方向サイリスタSCR1、第2の単方向サイリスタSCR2は、その対応する電圧位相に応じてオンにトリガされ(実際の動作過程では、その中の一つをオンにすればよい)、機械スイッチSW1のオン時のバウンスの消弧という目的を実現する。機械スイッチSW1をオフにする動作過程において、機械スイッチSW1がオフになる瞬間に、第1の単方向サイリスタSCR1、第2の単方向サイリスタSCR2の両端に高い電圧立ち上がりレートが発生され、コンデンサC1に高い駆動電流が流れることになり、第1の単方向サイリスタSCR1、第2の単方向サイリスタSCR2は、その対応する電圧位相に応じてオンにトリガされ、第1の単方向サイリスタSCR1、第2の単方向サイリスタSCR2により電流がバイパスされ(実際の動作過程では、その中の一つをオンにすればよい)、アーク無しで機械スイッチSW1をオフするという目的を実現し、そして第1の電子スイッチOPT1、第2の電子スイッチOPT2の制御信号を閉じる。
【0048】
この実施例では、
図3において、機械スイッチSW1のノーマルオープン状態で、両電圧制限素子Z1、Z2は、第1の電子スイッチOPT1、第2の電子スイッチOPT2の入力電圧を制限するために、コンデンサC1に流れる商用周波数電流をバイパスする。第1の電子スイッチOPT1、第2の電子スイッチOPT2は、通常のフォトカプラ駆動によるトランジスタ回路を電子スイッチとして採用し、より良い瞬間的な大電流導通性能を有する。両電圧制限素子Z1、Z2(電圧制限値が数ボルトであればよい)としてツェナーダイオードが採用され、電圧制限の役割たけではなく、単方向導電性も持たせ、コンデンサC1に対して駆動電流の経路を提供し、第1の電子スイッチOPT1、第2の電子スイッチOPT2の耐電圧要求を低下させるとともにその信頼性を向上させることができる。第1の電子スイッチOPT1、第2の電子スイッチOPT2の制御入力端は、外部の制御信号が接続されるものである。
【0049】
以上の三つの実施例における本発明による容量結合型消弧回路は以下の利点がある。
1.コンデンサC1と抵抗R1(抵抗R1として他の電流制限素子が用いられてもよい)による直列回路は、消弧時にサイリスタへ駆動信号を伝達する役割を果たし、その直列回路は、電圧制限素子(
図1、
図3参照)または電子スイッチ(
図2参照)を介して、サイリスタの主回路の入力端と出力端との間に接続され、機械スイッチSW1のノーマルオープン状態において瞬間的な過電圧を吸収する役割も果たし、サイリスタを保護するとともに、RCスナバ回路を別途に設置する必要がなく、回路が簡素化される。高圧消弧に適用する場合には、本発明による容量結合型消弧回路を数個直列接続して使用すればよい。
2.消弧時にコンデンサがサイリスタへ駆動信号を伝達し、コンデンサの両端電圧が急変できない物理的特徴を利用し、機械スイッチがオンやオフする瞬間に、非常に高い電圧立ち上がりレートが発生される。ここで用いられるコンデンサは、容量が1μFの数分の一から数十分の一と小さいものであっても、大きな駆動電流が得られてサイリスタをオンに駆動することができる。商用周波数の条件下でコンデンサに流れる商用周波数電流が小さく、電圧制限素子(
図1、
図3参照)または電子スイッチ(
図2参照)を用いて、コンデンサに流れる商用周波数電流をバイパスすることによって、電子スイッチに対する耐電圧要求を大幅に低下させ、電子スイッチの両端のdV/dtを大幅に低下させ、電子スイッチの定格耐電圧値は機械スイッチの両端の動作電圧よりも小さい値を用いることができ、電子スイッチのコストが下がるとともに電子スイッチの信頼性が向上される。
3.機械スイッチのオン時のバウンスの消弧が必要であり、かつサイリスタのオンの方が機械スイッチのオンよりも早くならないようにする必要がある場合には、機械スイッチのノーマルオープン状態で、コンデンサに流れる電流がサイリスタのトリガ電流よりも小さく、かつ、電子スイッチは、サイリスタの両端電圧がゼロクロスするまたはゼロとなる時に、電子スイッチの出力端が、サイリスタをオンに駆動する駆動信号をサイリスタのゲートへ伝達できる動作状態(電子スイッチ出力端のオン・オフ状態)になるようにコンデンサの容量値を設計することにより、機械スイッチがオンする前にサイリスタがオンすることを避け、機械スイッチのオン時のバウンスの消弧を行い、負荷をオンする瞬間の大電流によるサイリスタへの衝撃が低減される。
4.機械スイッチの両端電圧がゼロとなる時、機械スイッチがオフされ、サイリスタのオン時間はゼロであってもよい。
【0050】
図4には、本発明による容量結合型消弧装置の実施例1が示され、容量結合型消弧回路(B)を備え、さらに制御回路(A)と、電圧検出回路(C)と、変流器CT1とを備える。J1、J2は、主回路の入出力端点であり、変流器CT1は、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタ(注記:この実施例では単方向サイリスタSCR1、SCR2であり、以下は、特に明記しない限り、サイリスタと略称する)の主回路に接続(フィードスルー接続であるが、直列接続であってもよい)されている。変流器CT1は、サイリスタのオン電流を検出するとともに機械スイッチSW1のオフを検出するものであり、変流器CT1の出力端は、制御回路(A)に接続されている。制御回路(A)は、機械スイッチSW1がオフになる過程において、サイリスタにオン電流があり、すなわち機械スイッチSW1のオフが検出されると、サイリスタをオフに制御する。抵抗R2は、フォトカプラOPT3とともに電圧検出回路(C)を構成する。抵抗R2は、フォトカプラOPT3の入力端に直列接続され、その直列回路は、サイリスタの主回路の入出力端に接続される。電圧検出回路(C)の出力端は、制御回路(A)に接続され、電圧検出回路(C)は、機械スイッチSW1のオンおよび機械スイッチSW1のオフを検出するものである。機械スイッチSW1は、容量結合型消弧回路(B)に接続され、消弧の必要がある機械スイッチである。
【0051】
動作過程:制御回路(A)は、機械スイッチSW1をオンにする過程において、その両端電圧が交流電圧の非ゼロ点でゼロになる(すなわち、機械スイッチSW1がオンになる)と、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタにオン制御信号を与える。機械スイッチSW1をオンにする過程において、機械スイッチSW1をオンする際にバウンスが起こると、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタがオンされ、機械スイッチSW1のオン時のバウンスの消弧という目的を実現する。機械スイッチSW1をオフにする動作過程において、機械スイッチSW1がオフする瞬間に、機械スイッチSW1の両端電圧がゼロでなければ、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタの両端に高い電圧立ち上がりレートが発生され、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタがオンされ、アーク無しで機械スイッチSW1をオフすることを実現する。制御回路(A)は、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタにオン電流があり、すなわち変流器CT1により機械スイッチSW1のオフが検出されると、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタのオン制御信号を閉じ、サイリスタは急速にオフされる。機械スイッチSW1がオフする瞬間に電圧のゼロ点となれば、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタがオンされず、このとき電圧検出回路(C)を機械スイッチSW1のオフの検出に用いることができ、制御回路(A)は、電圧検出回路(C)から与えられる電圧信号に基づいて、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタのオン制御信号を閉じて、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタが、機械スイッチSW1がオフされた条件で誤ってオンすることを防止する。
【0052】
本発明による容量結合型消弧装置の実施例1は以下の利点がある。
1.電圧検出回路(C)によりリアルタイムに機械スイッチSW1のオンを検出して、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタが、機械スイッチSW1のオンが検出される前にオンすることを防止し、オン時の大電流によるサイリスタへの衝撃が低減され、サイリスタの不要なオン時間が減少される。同様に、電圧検出回路(C)を、サイリスタの主回路の両端電圧のゼロクロス点の検出に用いることもでき、制御回路(A)は、電圧がゼロクロスするまたはゼロとなる時に、サイリスタをオンにする制御信号を与えて、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタが、機械スイッチSW1のオンが検出される前にオンすることを避け、オン時の大電流によるサイリスタへの衝撃が低減され、サイリスタの不要なオン時間が減少される。
2.電圧検出回路(C)は、機械スイッチSW1のオフを検出するものであり、機械スイッチSW1がオフする瞬間に電圧のゼロ点となれば(アーク無しで機械スイッチSW1をオフすれば)、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタがオンされず、このとき、制御回路(A)は、電圧検出回路(C)から与えられる電圧信号に基づいて、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタのオン制御信号を閉じて、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタが、機械スイッチSW1がオフされた条件で誤ってオンすることを防止し、サイリスタが、機械スイッチSW1の両端電圧がゼロとなるときにオフし、オン時間がゼロであってもよいという利点がある。
3.本装置に接続される機械スイッチSW1が一旦オフすると、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタが直ちにオンされる。本装置は、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタに接続される電流センサから帰還される電流信号を用いて、制御回路(A)により直ちに容量結合型消弧回路(B)のサイリスタをオフするように制御して、サイリスタを急速にオフさせる目的を実現する。半サイクルと短いオン時間であれば、正確で確実に消弧する目的を達成でき、これは、本発明による容量結合型消弧装置のサイリスタの使用率、及び、本発明による容量結合型消弧装置の信頼性、実用性、経済性を大幅に向上させる。
4.容量結合型消弧回路(B)に流れるサイリスタのオン電流の動作時間がミリ秒のレベルと極めて短いため、サイリスタの主回路の導線が小さくても極大な動作電流を負担できるので、電流センサとしてマイクロ変流器を用いることができ、フィードスルー接続形態を採用しているが、直接に主回路の導線を変流器に直列接続する形態であってもよい。変流器は、体積が小さく、コストが低いという特性を有し、装置全体と一体化させやすい。
【0053】
図5には、本発明による容量結合型消弧装置の実施例2が示され、容量結合型消弧回路(B)を備え、さらに制御回路(A)と、電圧検出回路(C)と、変流器CT1とを備える。J1、J2は、主回路の入出力端点であり、変流器CT1は、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタ(注記:この実施例では単方向サイリスタSCR1、SCR2であり、以下は、特に明記しない限り、サイリスタと略称する)の主回路に接続(フィードスルー接続であるが、直列接続であってもよい)され、機械スイッチSW1のオフを検出するためにサイリスタのオン電流を検出するものである。変流器CT1の出力信号は制御回路(A)に接続される。制御回路(A)は、機械スイッチSW1がオフになる過程において、サイリスタにオン電流があり、すなわち機械スイッチSW1のオフが検出されると、サイリスタをオフに制御する。抵抗R2は、フォトカプラOPT3とともに電圧検出回路(C)を構成する。抵抗R2は、フォトカプラOPT3の入力端に直列接続される。J2、J4は、サイリスタの主回路の負荷端であり、その直列回路は、負荷端J2、J4に接続される。電圧検出回路(C)の出力端は制御回路(A)に接続され、電圧検出回路(C)は、機械スイッチSW1のオンを検出するものである。機械スイッチSW1は、容量結合型消弧回路(B)に接続され、消弧の必要がある機械スイッチである。
【0054】
動作過程:制御回路(A)は、機械スイッチSW1をオンにする過程において、電圧検出回路(C)により電圧信号があると検出され、すなわち機械スイッチSW1のオンが検出されると、(サイリスタのオンの方が機械スイッチのオンよりも早くなることを避けるために)容量結合型消弧回路(B)のサイリスタにオン制御信号を与える。機械スイッチSW1をオンにする過程において、機械スイッチSW1がオンになる瞬間にバウンスが起こると、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタがオンされ、機械スイッチSW1のオン時のバウンスの消弧という目的を実現する。機械スイッチSW1をオフにする動作過程において、機械スイッチSW1がオフする瞬間に、機械スイッチSW1の両端電圧がゼロでなければ、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタの両端に高い電圧立ち上がりレートが発生され、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタがオンされ、アーク無しで機械スイッチSW1をオフすることを実現する。制御回路(A)は、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタにオン電流があり、すなわち変流器CT1により機械スイッチSW1のオフが検出されると、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタのオン制御信号を閉じ、サイリスタは急速にオフされる。
【0055】
本発明による容量結合型消弧装置の実施例2は以下の利点がある。
1.電圧検出回路(C)によりリアルタイムに機械スイッチSW1のオンを検出して、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタが、機械スイッチSW1のオンが検出される前にオンすることを防止し、オン時の大電流によるサイリスタへの衝撃が低減され、サイリスタの不要なオン時間が減少される。
2.本装置に接続される機械スイッチSW1が一旦オフすると、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタが直ちにオンされる。本装置は、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタに接続される電流センサから帰還される電流信号を用いて、制御回路(A)により直ちに容量結合型消弧回路(B)のサイリスタをオフするように制御して、サイリスタを急速にオフさせる目的を実現する。半サイクルと短いオン時間であれば、正確で確実に消弧する目的を達成でき、これは、本発明による容量結合型消弧装置のサイリスタの使用率、及び、本発明による容量結合型消弧装置の信頼性、実用性、経済性を大幅に向上させる。
3.容量結合型消弧回路(B)に流れるサイリスタのオン電流の動作時間がミリ秒のレベルと極めて短いため、サイリスタの主回路の導線が小さくても極大な動作電流を負担できるので、電流センサとしてマイクロ変流器を用いることができ、フィードスルー接続形態を採用しているが、直接に主回路の導線を変流器に直列接続する形態であってもよい。変流器は、体積が小さく、コストが低いという特性を有し、装置全体と一体化させやすい。
【0056】
図6には、本発明による容量結合型消弧装置の実施例3が示され、容量結合型消弧回路(B)を備え、さらに制御回路(A)と、変流器CT1とを備える。J1、J2は、主回路の入出力端点であり、変流器CT1は、機械スイッチSW1の主回路に接続(フィードスルー接続であるが、直列接続であってもよい)される。変流器CT1は、機械スイッチSW1のオフおよびオンを検出するために機械スイッチSW1に流れるオン電流を検出するものであり、変流器CT1の出力信号は制御回路(A)に接続される。制御回路(A)は、機械スイッチSW1にオン電流があると、サイリスタ(注記:この実施例では単方向サイリスタSCR1、SCR2であり、以下は、特に明記しない限り、サイリスタと略称する)をオンに制御する。機械スイッチSW1は、容量結合型消弧回路(B)に接続され、消弧の必要がある機械スイッチである。
【0057】
動作過程:機械スイッチSW1をオンにする過程において、機械スイッチSW1にオン電流があると、制御回路(A)は、変流器CT1により機械スイッチSW1のオンを検出して、(サイリスタのオンの方が機械スイッチのオンよりも早くなることを避けるために)容量結合型消弧回路(B)のサイリスタにオン制御信号を与えて、機械スイッチSW1のオン時のバウンスの消弧という目的を実現する。機械スイッチSW1をオフにする動作過程において、機械スイッチSW1がオフする瞬間に、機械スイッチSW1のオン電流が容量結合型消弧回路(B)のサイリスタによりバイパスされ、アーク無しで機械スイッチSW1をオフすることを実現する。機械スイッチSW1にオン電流がなく、すなわち制御回路(A)が変流器CT1により機械スイッチSW1のオフを検出すると、制御回路(A)は、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタのオン制御信号を閉じ、サイリスタは急速にオフされる。
【0058】
本発明による容量結合型消弧装置の実施例3は以下の利点がある。
1.変流器CT1により機械スイッチSW1のオン電流を検出し、機械スイッチSW1のオンやオフ過程をリアルタイムに検出する。機械スイッチSW1が一旦オンすると、制御回路(A)は、直ちに容量結合型消弧回路(B)のサイリスタのオン制御信号を与え、機械スイッチにバウンスが起こると、サイリスタにより電流がバイパスされ、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタの極めて短いオン時間で快速に消弧するという目的を実現し、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタが、機械スイッチSW1のオンが検出される前にオンすることを避け、オン時の大電流によるサイリスタへの衝撃が低減され、サイリスタの不要なオン時間が減少される。
2.機械スイッチSW1がオフする過程において、機械スイッチSW1に流れる電流が、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタによりバイパスされ、機械スイッチSW1がアーク無しでオフされる。変流器CT1からの電流信号の出力が無くなると、制御回路(A)は、容量結合型消弧回路(B)のサイリスタのオン制御信号を閉じて、サイリスタがオフされ、サイリスタの極めて短いオン時間で快速に消弧するという目的を実現し、オン時間を半サイクルまでに短くすることができ、これは、消弧装置のサイリスタの使用率、及び、消弧装置の信頼性、実用性、経済性を大幅に向上させる。
【0059】
図4および
図5の容量結合型消弧装置の実施例において、容量結合型消弧回路(B)には具体的な一種の容量結合型消弧回路が用いられているが、実際の応用では、
図1から
図3のいずれか一つの容量結合型消弧回路が用いられてもよいことは理解されるべきである。