(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る履歴管理装置1は、コンタクトセンタにおいて、管理者が1つの呼(着呼又は発呼)に対するエージェントの応答状態の履歴を把握するための表示制御を行うと共に、エージェントを適切に評価するための表示制御を行う。なお、以下、エージェントは適宜「オペレータ」とも呼ばれる。
【0015】
図1は、本実施形態に係る履歴管理装置1の機能構成を示すブロック図である。
履歴管理装置1は、ハードウェアとして、制御部10と、記憶部20と、通信部30と、入力部40と、表示部50とを備える。また、履歴管理装置1は、所定のネットワークを介してPBX2及びCTI3と接続されている。
【0016】
制御部10は、履歴管理装置1の全体を制御する部分であり、記憶部20に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上記のハードウェアと協働し、本実施形態における各種機能を実現している。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)であってよい。なお、制御部10が備える各部の機能は後述する。
【0017】
記憶部20は、ハードウェア群を履歴管理装置1として機能させるための各種プログラム、及び各種データ等の記憶領域であり、ハードディスク(HDD)又はフラッシュメモリ等であってよい。具体的には、記憶部20には、本実施形態の各種機能を実現させるため制御部10に実行させるプログラム(履歴管理プログラム)が記憶される。
【0018】
また、記憶部20は、制御部10により生成された後述の履歴データを記憶する履歴DB21を備える。
【0019】
通信部30は、履歴管理装置1が他の装置とデータを送受信する場合のネットワーク・アダプタである。通信部30は、ネットワークを介して、PBX2又はCTI3とデータ通信する。
【0020】
入力部40は、履歴管理装置1に対する操作者、即ちコンタクトセンタの管理者からの指示入力を受け付けるインタフェース装置である。入力部40は、例えば、キーボード、マウス又はタッチパネル等により構成される。
【0021】
表示部50は、制御部10の制御に従って、操作者にデータの入力を受け付ける画面を表示したり、履歴管理装置1による処理結果の画面を表示したりするディスプレイ装置である。表示部50は、ブラウン管表示装置(CRT)や液晶表示装置(LCD)等のディスプレイ装置であってよい。
【0022】
次に、制御部10の機能を詳述する。
制御部10は、取得部11と、履歴生成部12と、抽出部13と、評価指標生成部14と、画像生成部15と、表示制御部16とを備える。これら各部は、制御部10が履歴管理プログラムを実行することにより実現される機能ブロックである。
【0023】
取得部11は、呼に対するPBX2のアクション及びこのアクションの実行時刻を示す断片データを、PBX2又はCTI3から通信部30を介して取得する。
取得される断片データは、ある瞬間にPBX2又はCTI3が行ったアクションを示すデータであり、複数の断片データの間に相互の対応付けはされていない。具体的には、例えば、コンタクトセンタの1つの回線に対して連続して複数の着信があった場合、PBX2又はCTI3から時系列に取得される断片データは、着信の単位でグループ化されず、複数の着信に関するデータが混在する。
【0024】
図2は、本実施形態に係る断片データの一例を示す図である。
この例では、日付及び時刻に対して、PBX2のアクション、着信番号、発信番号、応答担当のエージェント(以下適宜「オペレータ」とも呼ぶ)が出力される。時系列で取得されるこれらの断片データには、着信番号「090xxxxxxxx」から着信した呼に関する断片データと、着信番号「080xxxxxxxx」から着信した呼に関する断片データとが混在している。
【0025】
履歴生成部12は、取得部11により取得された複数の断片データから、1つの呼に対するエージェントの応答状態の履歴を示す履歴データを生成する。
図2の断片データには、1つの呼に対する一連のアクションの夫々に応じて変化した各応答状態の継続時間及び回数等の履歴が含まれないため、履歴生成部12は、まず、断片データを着信番号により並べ替える。
【0026】
図3は、本実施形態に係る履歴生成部12によって生成される履歴データの一部を示す図である。
この例では、履歴生成部12は、着信から始まる1つの呼に対する一連の断片データを抽出し、呼の識別データ及び順序番号(No)によってグループ化する。
【0027】
さらに、履歴生成部12は、グループ化された断片データに基づいて、一連のアクションの夫々に応じて変化した各応答状態の継続時間及び回数等を算出し、呼の識別データと共に履歴データの一部として記憶する。
【0028】
例えば、「着信」から「オペレータ(OP)配信」までの時間は、「待ち」の状態の継続時間、即ち「待ち時間」として記憶される。また、「オペレータ(OP)配信」から「応答」までの時間は、「着信時間」として回数と共に記憶される。ここで、着信時間とは、エージェントの電話機に着信したものの(電話機が鳴っているものの)当該エージェントが電話機に未だ出てない「Ringig」の状態(以下、「着信」の状態と呼ぶ)の継続時間をいう。また、「保留開始」から「保留終了」までの時間の合計は、「保留」の状態の継続時間、即ち「保留時間」として回数と共に記憶される。また、「応答」から「切断」又は「転送終了」までの時間のうち、「保留時間」を除いた時間は、「通話」の状態(作業)の継続時間、即ち「通話時間」として回数と共に記憶される。
さらに、通話後にエージェントが呼に関する記録等の「後処理」の作業を行った場合、この「後処理」の状態(作業)の継続時間は、「後処理時間」として回数と共に、CTI3に蓄積される。この「後処理時間」は、取得部11により断片データとして取得された後、履歴生成部12により、履歴データの一部として記憶される。
また、1つの呼が終了してから次の呼が開始されるまでの間の時間のうち、エージェントが着座していつでも電話応答ができる状態(アイドル状態)の継続時間が「アイドル時間」として、エージェントが離席している状態の継続時間が「離席時間」として、回数と共に取得部11により取得された後、履歴生成部12により、履歴データの一部として記憶される。
換言すると、履歴生成部12は、複数のエージェント毎に、各状態の各呼毎の継続時間を含む履歴データを生成する。
なお、エージェントの売上金額も売上回数と共に、履歴生成部12により、履歴データの一部として記憶される。このようにエージェントが売り上げをあげた状態を、以下、「実績」の状態と呼ぶ。
【0029】
抽出部13は、履歴DB21に記憶されている履歴データから選別するための検索条件の入力を受け付け、この検索条件を満たす履歴データを抽出する。
【0030】
評価指標生成部14は、抽出部13により抽出された履歴データに基づいて、各エージェントの評価指標自体を示す情報又は当該評価指標の演算に用いる情報((以下、「評価指標情報」と呼ぶ)を生成する。なお、評価指標については、後述する。
【0031】
画像生成部15は、抽出部13により抽出された履歴データに基づいて、エージェント毎の各状態(呼の応答状態含む)の履歴を示す表示画像のデータを生成する。また、画像生成部15は、評価指標生成部14により生成された評価指標情報に基づいて、エージェント毎の評価指標を示す表示画像のデータを生成する。
表示制御部16は、画像生成部15により生成された表示画像を表示部50に表示させる。
【0032】
具体的には、画像生成部15は、例えば、エージェント毎の各状態(呼の応答状態含む)の履歴を示す表示画像のデータとして、
図4に例として示すような第1の画面101のデータを生成する。
第1の画面101には、
図4に示すように、各エージェント毎に、各状態(呼の応答状態含む)の履歴を示す各帯(長方形状の項目)が、それらの継続時間に応じた長さで、時系列に配置された帯グラフが夫々含まれる。
図4の例では、各状態を示す各帯は、異種のハッチングによって区別されている。例えば、「古川 未紀」についての帯61,62、「坂本 康太」についての帯71,72、及び「木下 和馬」についての帯81〜86は、何れも同一のハッチングで示されており、具体的には「通話」の状態を示している。
なお、各状態を示す各帯は、実際の画面では異種の色によって区別されると視認し易く好適である。
【0033】
このような第1の画面101については、本出願人により出願された上述の特願2012−180961号にかかる発明を適用することで、既に実現されていた。
そこで、本出願人らは、複数のエージェントの夫々について実際のアクションに対する第1の画面101を解析したところ、次のような知見を得た。
【0034】
即ち、作業が速やかで受電回数が多く、モニタリングの結果として通話品質が高いとされるエージェント(オペレータ)については、各状態(各作業)を示す各帯の長さが略均等になる傾向、即ち、各状態の各呼毎の継続時間が略均等になる傾向がある、という知見を本出願人らは得た。
逆に、各状態を示す各帯の長さが不均等(即ち各状態の各呼毎の継続時間が不均等)なエージェントについては、その動向を実際にモニタリングしてみると、通話相手(顧客)の会話に振り回されており、通話相手からの質問に対する回答がよくできていない、即ち肝心な会話がよくできていない、という知見も本出願人らは得た。
【0035】
そこで、本出願人らは、所定エージェントについての「所定状態(例えば通話時間)の各呼毎の継続時間(所定状態を示す各帯の長さ)の均等の度合」を、当該所定エージェントの評価指標として用いるという思想を想到した。さらに、本出願人らは、当該思想に基づいて、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」を評価指標として、評価指標を示す表示画像のデータを生成し、当該表示画像を表示させるという発明をした。
【0036】
ここで、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」の表示画像における表現手法は、特に限定されず、所定状態の各呼毎の継続時間の「分散」や「標準偏差」等の数値で表現する手法(以下、「数値指標手法」と呼ぶ)を採用してもよいし、所定状態の各呼毎の継続時間の分布状態を示すグラフ(例えば、帯グラフやヒストグラム)で表現する手法(以下、「グラフ指標手法」と呼ぶ)を採用してもよい。
【0037】
数値指標手法、即ち、「分散」や「標準偏差」の数値で、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」を表現する手法が適用された例が、後述の
図6に示されている。
このような数値指標手法が適用される場合、例えば、評価指標生成部14は、各エージェント毎に、「通話時間」等の各状態の各呼毎の継続時間の累積値を求める。そして、評価指標生成部14は、各状態の累積値と件数(作業回数の累積)に基づいて、各状態の統計情報を生成する。
各状態の統計情報としては、本実施形態では、通話等の各状態の「AHT」、「中央値」、「分散」、及び「標準偏差」が生成される。「AHT」とは、平均処理時間(Average Handle Time)であり、例えば「通話時間」と「後処理時間」の平均として求められる時間である。
このような統計情報のうち、「分散」及び「標準偏差」が、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」自体、即ち評価指標自体を示す評価指標情報である。
【0038】
これに対して、グラフ手法、即ち、所定状態の各呼毎の継続時間の分布状態を示すグラフで、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」を表現する手法が適用された例が、後述の
図7及び
図8に示されている。
このようなグラフ指標手法が適用される場合、例えば、評価指標生成部14は、各エージェント毎に、「通話」等の各状態についての、各呼毎の継続時間(通話時間)、件数(度数)、及び「中央値」等、当該評価指標の演算に用いる情報を、評価指標情報として生成する。
【0039】
以下、
図5〜
図8を参照して、本発明が適用される表示画像の具体例について幾つか説明する。
【0040】
画像生成部15は、例えば、
図5に例として示すような第2の画面102のデータを生成する。
第2の画面102とは、各エージェント毎に、各状態毎の各呼毎の継続時間の累計値と、件数(各状態の累積の回数)がリスト化された画面をいう。
第2の画面102におけるリストでは、各行が各エージェントに対応しており、「Memo」を除く各列が各状態に対応している。各状態としては、「アイドル」、「通話」、「着信」、「保留」、「後処理」、「離席」、及び「実績」が設けられている。つまり、所定行の所定列の項目には、当該所定行に対応するエージェントの、当該所定列に対応する状態についての、各呼毎の継続時間の(履歴の)累計値が上方に示され、件数(履歴)がかっこ書きで下方に示される。具体的には例えば、上から1行目の左から4列目の項目によれば、1行目に対応する「今井 静香」の4列目に対応する「通話」の状態について、各呼毎の継続時間(通話時間)の累計値が「2:22:19」であり、件数が「43」であることがわかる。
なお、左から2列目の「Memo」の項目は、各エージェントに関する各種情報をテキストデータにて保存することが可能な項目である。当該「Memo」の項目については、後述する
図6の画面103についても同様である。
【0041】
ここで、第2の画面102は未だ、本発明が適用される評価指標を示す表示画像、即ち「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」を表現している表示画像ではない。
そこで、以下、本発明が適用される評価指標を示す表示画像の3つの例として、
図6に示す第3の画面103、
図7に示す第4の画面104、及び
図8に示す第5の画面105の夫々について、その順番で個別に説明する。
なお、
図6に示す第3の画面103、
図7に示す第4の画面104、及び
図8に示す第5の画面105の夫々においては、所定状態として「通話」の状態が採用されているが、これは例示に過ぎず、その他の状態(例えば
図5の第2の画面102の各列に示される状態)も容易に採用できることはいうまでもない。
【0042】
例えば、画像生成部15は、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」を表現している表示画像のデータとして、
図6に例として示すような第3の画面103のデータを生成することができる。
第3の画面103とは、各エージェント毎に、所定状態(本例では「通話」の状態)の各呼毎の継続時間の統計情報がリスト化された画面をいう。
第3の画面103におけるリストでは、各行が各エージェントに対応しており、「Memo」を除く各列が各統計情報に対応している。各統計情報としては、「通話」の状態についての、「件数」、「AHT」、「中央値」、「分散」、及び「標準偏差」が設けられている。つまり、所定行の所定列の項目には、当該所定行に対応するエージェントの、当該所定列に対応する通話時間(所定状態の継続時間)の統計情報の値が示される。具体的には例えば、上から1行目の左から6列目の項目によれば、1行目に対応する「相田 奏恵」の6列目に対応する「分散」は、「2500」であることがわかる。
【0043】
ここで、各列のうち「分散」と「標準偏差」の値は、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」を示す一例である。従って、管理者は、「分散」と「標準偏差」の少なくとも一方を各エージェント毎に見比べることによって、各エージェントの評価を容易かつ即座に行うことができる。
即ち、「分散」や「標準偏差」が小さい方が、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」が高くなる傾向にあるので、良質なエージェントである可能性が高いと、管理者は評価することができる。
【0044】
また例えば、画像生成部15は、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」を表現している画像のデータとして、
図7に例として示すような第4の画面104のデータを生成する。
第4の画面104とは、各エージェント毎に、所定状態(本例では「通話」の状態)の各呼毎の継続時間の分布状態を示す帯グラフが表示される画面をいう。
第4の画面104における帯グラフは、3種類の帯が配置されて構成されている。
具体的には、所定のオペレータ毎に、所定状態(本例では「通話」の状態)の各呼毎の継続時間が、それらの中央値からどの程度離れているのかによって、多段階に分類される。本実施形態では、事前に設定された閾値に基づいて3段階に分類される。
ここで、中央値に近い継続時間として分類される段階を「第1段階」、中央値からやや離れた継続時間として分類される段階を「第2段階」、及び、中央値からかなり離れた継続時間として分類される段階を「第3段階」と呼ぶものとする。
図7の例では、帯111が第1段階を示し、帯112L,112Rが第2段階を示し、帯113L,113Rが第3段階を示す。
ここで、
図7の例では、各帯の夫々は、度数(各段階に分類された件数)に応じた長さとなっている。そして、各段階を示す各帯は、異種のハッチングによって区別されている。なお、各段階を示す各帯は、実際の画面では異種の色によって区別されると視認し易く好適である。
また、
図7の例では、第1段階を示す帯111が中央に配置される。このため、第2段階を示す帯は、中央値よりも短い継続時間を示す帯112Lと、中央値よりも長い継続時間を示す帯112Rとに分割されて、かつ、帯112Lは帯111の左方に、帯112Rは帯111の右方に、夫々配置される。同様に、第3段階を示す帯は、中央値よりも短い継続時間を示す帯113Lと、中央値よりも長い継続時間を示す帯113Rとに分割されて、かつ、帯113Lは帯112Lの左方(つまり帯111の左方)に、帯113Rは帯112Rの右方(つまり帯111の右方)に、夫々配置される。
【0045】
このように、第4の画面104では、各エージェント毎の帯グラフにより、各エージェント毎の、所定状態の各呼毎の継続時間(ここでは各呼毎の通話時間)の分布状態が示される。ここで、所定状態の各呼毎の継続時間の分布状態は、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」を示す一例である。
従って、管理者は、各エージェント毎の帯グラフを見比べることによって、各エージェントの評価を容易かつ即座に行うことができる。さらに、数値(
図6の画面103)と比較すると、グラフによる視覚効果により、管理者は、所定状態の各呼毎の継続時間の分布状態を直観的に視認できるので、より直観的な評価をすることができる。
【0046】
具体的な評価としては、第1段階の帯111が長い方が、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」が高くなる傾向にあるので、良質なエージェントである可能性が高いと、管理者は評価することができる。
【0047】
さらに、例えば2人のエージェントの夫々の第1段階の帯111が同じような長さであった場合、管理者は、第1段階の帯が中心から左方又は右方にずれているか否か、ずれているならばどの程度ずれているのかにより、当該2人のエージェントを比較して評価することができる。
即ち、第1段階の帯が中心から左方又は右方にずれていることは、第2段階の帯112L,112Rの夫々の長さや、第3段階の帯113L,113Rの夫々の長さが均一でないこと、つまり、第2段階又は第3段階では中央値よりも短すぎるか又は長すぎる傾向にあることを意味する。このことは、第1段階の帯が中心から左方又は右方にずれる程、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」が低くなる傾向にあることを意味する。
従って、第1段階の帯111が同じような長さである場合には、管理者は、第1段階の帯がより中心に近い方が、良質なエージェントである可能性が高いと評価することができる。
【0048】
また例えば、画像生成部15は、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」を表現している画像のデータとして、
図8に例として示すような第5の画面105のデータを生成する。
第5の画面105とは、第4の画面104に表示されている複数のエージェントの中から、入力部40(
図1)を用いたクリック操作により指定された所定エージェントについて、所定状態の各呼毎の継続時間(ここでは通話時間)の分布状態を示すヒストグラフが表示される画面をいう。
第5の画面105において、領域121が、中央値に近い継続時間として分類される「第1段階」を示しており、第4の画面104の帯111に対応する。領域122L,122Rが、中央値からやや離れた継続時間として分類される「第2段階」を示しており、第4の画面104の帯112L,112Rに対応する。領域123L,123Rが、中央値からかなり離れた継続時間として分類される「第3段階」を示しており、第4の画面104の帯113L,113Rに対応する。
ここで、
図8の例では、第5の画面105の各段階を示す各領域は、異種のハッチングによって区別されているが、第4の画面104の各帯に対応するものである。即ち、同一段階では、第4の画面104と第5の画面105とでは同一のハッチングとなっている。これにより、操作者(管理者)は、第4の画面104と第5の画面105との間で、各段階を容易に視認することができる。なお、第5の画面105の各段階を示す各領域は、実際の画面では異種の色(ただし、第4の画面104の各帯に対応した色)によって区別されると視認し易く好適である。
縦軸は度数(各段階に分類された件数)を示し、
図8の例のヒストグラフの階級としては、上述の3段階よりさらに細かく16段階に分類されている。
【0049】
このように、第5の画面105では、第4の画面104に示される複数のエージェントの中から選択された所定エージェントについて、ヒストグラフにより、所定状態の各呼毎の継続時間(ここでは通話時間)の分布状態が示される。上述したように、所定状態の各呼毎の各継続時間の分布状態は、「所定状態の各呼毎の各継続時間の均等の度合」を示す一例である。
ここで、上述したように、第5の画面105のヒストグラフの階級は、第4の画面104の帯の分割数(3段階)と比較して、さらに細かい16段階となっている。
従って、管理者は、所定エージェントのヒストグラフを見ることによって、当該所定エージェントの評価をより細かく行うことができる。
【0050】
具体的な評価としては、
図7の画面104における第1段階の帯111が同じような長さであったとしても、
図8の画面105のヒストグラフの中心(領域121の中央)付近の度数が多い方が、「所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合」が高くなる傾向にある。従って、管理者は、
図7の画面104において例えば2人のエージェントの第1段階の帯111が同じような長さである場合には、さらに
図8の画面105を見比べて、ヒストグラフが中心に集中している方を、より良質なエージェントである可能性が高いと評価することができる。
ここで、第5の画面105の領域121,122L,122R,123L,123Rの夫々は、第4の画面104の帯111,112L,112R,113L,113Rの夫々と対応しており、その表示形態(
図8の例ではハッチングの種類であり、実際には色の種類等)も対応している。このような統一した表示形態の視覚効果により、管理者は、第4の画面104と第5の画面105を直観的に比較することができるので、より直観的な評価をすることができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0052】
例えば、上述した実施形態では、エージェントの状態としては、「通話」の状態等
図5の第2の画面102の列に含まれるものが採用されたが、特にこれに限定されず、任意の状態を採用し得る。
【0053】
また例えば、上述した実施形態では、履歴データは、断片データからつくられたが、特にこれに限定されず、所定の状態の継続時間の履歴が把握可能な任意の情報から作ることができる。ただし、断片データから作る本実施形態の方が、1つの呼に対する応答の履歴を容易に把握できると共に、通話時間等の各状態の各呼毎の継続時間が正確につかめるのでより適切な評価が可能になる。
【0054】
換言すると、本発明が適用される履歴管理装置1は、次のような履歴生成部、評価指標生成部、画像生成部、及び表示制御部を備えれば足り、各種各様の実施形態をとることができる。
履歴生成部は、複数のエージェント毎に、各状態の各呼毎の継続時間を含む履歴データを生成する。
評価指標生成部は、所定エージェントについて、所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合を評価指標として、当該評価指標自体を示す情報又は当該評価指標の演算に用いる情報を、前記履歴データに基づいて評価指標情報として生成する。
画像生成部は、前記評価指標情報に基づいて、前記評価指標を示す表示画像のデータを生成する。
表示制御部は、前記表示画像を表示部に表示させる。
このような構成を有する履歴管理装置1は、所定エージェントについて、所定状態の各呼毎の継続時間の均等の度合を評価指標として、当該評価指標を示す表示画像を表示部に表示させることができる。従って、その表示画像をみたユーザ(管理者)は、各エージェントを適切に評価することができる。
【0055】
ここで、履歴管理装置1は、呼に対する交換機のアクション及び当該アクションの実行時刻を示す断片データを取得する取得部をさらに備えることができる。前記履歴生成部は、前記取得部により取得された複数の断片データから、1つの呼に対するエージェントの状態の履歴を示す前記履歴データを生成することができる。
履歴管理装置1は、このような断片データに基づいて履歴データを生成することができるので、1つの呼に対する応答の履歴を容易に把握できると共に、通話時間等の各状態の各呼毎の継続時間が正確につかめるのでより適切な評価が可能になる。
【0056】
また、履歴管理装置1において、前記評価指標生成部は、前記所定エージェントについて、前記所定状態の継続時間の分散と標準偏差のうち少なくとも一方を、前記評価指標情報として生成し、前記画像生成部は、前記評価指標情報を示す前記表示画像のデータを生成することができる。
これにより、ユーザ(管理者)は、各エージェント毎の分散や標準偏差の値を見比べることによって、各エージェントの評価を容易かつ即座に行うことができる。
【0057】
また、履歴管理装置1において、前記評価指標生成部は、前記所定エージェントについて、前記所定状態の継続時間の分布状態を求めるための情報を、前記評価指標情報として生成し、前記画像生成部は、前記評価指標情報に基づいて、前記所定状態の継続時間の分布状態を示す帯グラフ又はヒストグラフを含む前記表示画像のデータを生成することができる。
これにより、ユーザ(管理者)は、各エージェント毎の帯グラフやヒストグラフを見比べることによって、各エージェントの評価を容易かつ即座に行うことができる。さらに、数値と比較すると、グラフによる視覚効果により、管理者は、所定状態の各呼毎の継続時間の分布状態を直観的に視認できるので、より直観的な評価をすることができる。
【0058】
履歴管理装置1は、サーバ装置、PC(Personal Computer)又はタブレット端末等、様々な情報処理装置(コンピュータ)であってよく、前述の各機能は、ソフトウェアにより実現される。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが情報処理装置にインストールされる。また、これらのプログラムは、CD−ROM等のリムーバブルメディアに記録されて配布されてもよいし、ネットワークを介して情報処理装置にダウンロードされることにより配布されてもよい。
【0059】
また、履歴管理装置1の機能は、その一部がCTI3又は他のサーバ等に分散されてもよい。この場合、表示機能を有する管理者の端末において、処理負荷が低減される。