特許第6348711号(P6348711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348711
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】呈味改善剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20180618BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20180618BHJP
【FI】
   A23L27/00 Z
   A23L27/10 C
【請求項の数】5
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-503626(P2013-503626)
(86)(22)【出願日】2012年3月9日
(86)【国際出願番号】JP2012056159
(87)【国際公開番号】WO2012121381
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2015年2月3日
【審判番号】不服2016-18472(P2016-18472/J1)
【審判請求日】2016年12月8日
(31)【優先権主張番号】特願2011-53430(P2011-53430)
(32)【優先日】2011年3月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大宮 忠将
(72)【発明者】
【氏名】平本 忠浩
【合議体】
【審判長】 田村 嘉章
【審判官】 莊司 英史
【審判官】 紀本 孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−322868(JP,A)
【文献】 特開平3−127973(JP,A)
【文献】 特開昭62−126935(JP,A)
【文献】 特開2010−13510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー抽出残渣の有機溶剤抽出物を有効成分として含み、有機溶剤を含まない、飲食品の呈味を増強する(ただし、コーヒー香味の付与を除く)ための呈味改善剤。
【請求項2】
コーヒー抽出残渣の有機溶剤抽出物の酸化物を有効成分として含み、有機溶剤を含まない、飲食品の呈味を増強する(ただし、コーヒー香味の付与を除く)ための呈味改善剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の呈味改善剤の製造方法であって、
コーヒー抽出残渣を有機溶剤で抽出して抽出物を得る工程、及び、前記抽出物から前記有機溶剤を除去する工程を含み
前記有機溶剤が、炭素数1〜4のアルコール化合物、炭素数3〜8の脂肪酸アルキルエステル化合物、炭素数4〜6のエーテル化合物、炭素数3〜8の脂肪族炭化水素及び炭素数3〜6の脂肪族ケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種である呈味改善剤の製造方法。
【請求項4】
前記有機溶剤が、炭素数1〜4のアルコール化合物、炭素数3〜8の脂肪酸アルキルエステル化合物、炭素数4〜6のエーテル化合物及び炭素数3〜8の脂肪族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の呈味改善剤の製造方法。
【請求項5】
飲食品に、請求項1又は2に記載の呈味改善剤を添加する飲食品の呈味改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲食品の呈味を改善するための呈味改善剤、該呈味改善剤を含有することを特徴とする飲食品、食用油、香料、及び香味油、ならびに該呈味改善剤を添加することを特徴とする飲食品の呈味の改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のコーヒー需要の増大に伴い、コーヒー豆から温水でコーヒーを抽出した後の抽出残渣量も増大している。コーヒーの抽出残渣は、一部で堆肥肥料や飼料として利用されているが、大部分は廃棄物として処理されている。コーヒー加工業者では排出されるコーヒー抽出残渣を産業廃棄物として処理するための多大なコスト、また廃棄物として処理するための処理場の確保など様々な問題を抱えている。
そこで、近年ではコーヒー抽出残渣を有用素材の物質原料として捉え、医薬品の中間体のシキミ酸の原料として活用する研究などの報告がある(特許文献1参照)。
また、コーヒーの抽出残渣には脂質などの非水溶性成分が含まれるが、該脂質成分を利用するために超臨界二酸化炭素を用いたコーヒー抽出残渣からの油脂抽出方法や(特許文献2参照)、コーヒー抽出残渣の圧搾法によるオイル分回収法などが報告されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2007−300809号公報
【特許文献2】日本国特開平2−283798号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】食品産業センター技研報 No.7,1983年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、コーヒー抽出残渣の利用は一部の方法で試みられているが、特殊な装置が必要であるなどまだ改良点は多い。本発明の目的は、コーヒー抽出残渣から簡便な方法で得ることができる、飲食品に総合的呈味を付与できる呈味改善剤、これらを含有する飲食品及び飲食品の呈味改善方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、これまで廃棄物処理されていたコーヒー抽出残渣を未利用資源として着目し、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、コーヒー抽出残渣の抽出物が新たな呈味改善剤として有効であることを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、コーヒー抽出残渣から得られる油溶性成分からなることを特徴とする飲食品の呈味改善剤である。また、本発明は、飲食品に呈味の改善をもたらす呈味改善剤を含む飲食品であり、飲食品に呈味改善をもたらす呈味改善剤を添加することを特徴とする呈味改善方法である。
【0007】
本発明は以下の内容を含むものである。
[1]コーヒー抽出残渣から得られる、飲食品の呈味改善剤。
[2]コーヒー抽出残渣を有機溶剤で抽出した抽出物から有機溶剤を除去して得られる、飲食品の呈味改善剤。
[3]コーヒー抽出残渣を有機溶剤で抽出した抽出物から有機溶剤を除去し、さらに酸化処理を行うことにより得られる、飲食品の呈味改善剤。
[4]前記有機溶剤が、炭素数1〜4のアルコール化合物、炭素数3〜8の脂肪酸アルキルエステル化合物、炭素数4〜6のエーテル化合物、炭素数3〜8の脂肪族炭化水素及び炭素数3〜6の脂肪族ケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記[2]または[3]に記載の呈味改善剤。
[5]前記有機溶剤が、炭素数1〜4のアルコール化合物、炭素数3〜8の脂肪酸アルキルエステル化合物、炭素数4〜6のエーテル化合物及び炭素数3〜8の脂肪族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種である前記[2]〜[4]のいずれか1に記載の呈味改善剤。
[6]前記[1]〜[5]のいずれか1に記載の呈味改善剤を含む飲食品。
[7]前記[1]〜[5]のいずれか1に記載の呈味改善剤を含む食用油。
[8]前記[1]〜[5]のいずれか1に記載の呈味改善剤を含む香料。
[9]前記[1]〜[5]のいずれか1に記載の呈味改善剤と香味性素材との混合物から加熱抽出して得られる香味油。
[10]飲食品に、前記[1]〜[5]のいずれか1に記載の呈味改善剤を添加する飲食品の呈味改善方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の呈味改善剤によれば、経口摂取可能な飲食品、中でも特に油脂類と相性のよい飲食品の呈味を増強すること、又は飲食品の持つ特有の不快な味や臭いのマスキングを行なうことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体的に説明する。なお、本願において“重量%”、“重量ppm”及び“重量部” は、それぞれ“質量%”、“質量ppm”及び“質量部”と同義である。
【0010】
本発明の「呈味の改善」又は「呈味改善」における「呈味」とは、味及び臭いの各々、味と臭いが複合的に存在するときに感じる感覚、及び味と喉への刺激が複合的に存在するときに感じる感覚の全てを包含する。
本発明でいう「呈味の改善」又は「呈味改善」とは、飲食品の苦味、渋味、酸味、エグ味、いがらっぽい味、その他の特異味(野菜の青臭味、魚の生臭い味等)等の呈味、酸臭、青臭み、その他の特異臭(魚の生臭み、魚臭、肉の臭み、ニラ・ニンニク等の強臭野菜などの臭み等)等の臭み及びフレーバーを包含する味と臭いの複合的な呈味の改善をいう。
【0011】
(a)コーヒー抽出残渣から得られる呈味改善剤
(1)原料のコーヒー抽出残渣
本発明で用いられるコーヒー抽出残渣のコーヒー豆の種類としては、品種や産地を問わず使用することができ、入手の容易さから、例えばブラジル、コロンビア等のアラビカ種、ベトナム、インドネシア等のロブスタ種などが選択される。
本発明で用いられるコーヒー抽出残渣は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0012】
(2)コーヒー抽出残渣からの呈味改善剤の製造方法
コーヒー抽出残渣から本発明の呈味改善剤を得る方法は、コーヒー抽出残渣に含まれる油溶性成分を分離できればよく、特に限定されない。具体的には、有機溶剤等を用いる溶剤抽出法、超臨界二酸化炭素を用いる超臨界法、圧搾法等が挙げられる。これらの方法の中でも簡便かつ安価である点から有機溶剤を用いる抽出法が好ましい。
以下、本発明の呈味改善剤を得る方法について溶剤抽出法を例示して説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0013】
(i)有機溶剤による抽出
まずコーヒー抽出残渣を有機溶剤により抽出して呈味改善剤の有機溶剤抽出液を得る。
抽出に用いられる有機溶剤としては、炭素数1〜4のアルコール化合物、炭素数3〜8の脂肪酸アルキルエステル化合物、炭素数4〜6のエーテル化合物、炭素数3〜8の脂肪族炭化水素及び炭素数3〜6の脂肪族ケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶剤を使用できる。これらの中でも人体への安全性と取り扱いの点から、炭素数3〜8の脂肪族炭化水素、炭素数1〜4のアルコール化合物、炭素数3〜8の脂肪酸アルキルエステル化合物及び炭素数4〜6のエーテル化合物が好ましい。具体的な有機溶剤としては、ブタン、プロパン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、プロピレングリコール、酢酸メチル、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、ジエチルエーテル、アセトン等が挙げられる。
【0014】
抽出に用いる有機溶剤の量は任意に選択できるが、一般には乾燥されたコーヒー抽出残渣に対して、重量基準で好ましくは1〜100倍量が用いられ、より好ましくは2〜10倍量が用いられる。抽出の温度及び時間は任意に定めることができ、特に限定されるものではないが、好ましくは0℃〜100℃、より好ましくは10℃〜80℃にて、好ましくは1時間〜72時間、より好ましくは2〜7時間程度が適当である。
抽出方法も回分式、半回分式、連続式とあるが、いずれの方法を用いても良い。また、溶剤と原料の接触方法も貫流式、浸漬式とあるがいずれの方法を用いても良い。
またコーヒー抽出残渣は、水を含有したものでも良いが、抽出効率等の効果を高めるために、有機溶剤と混合する前に出来る限り水分含有量を減らして、好ましくは3重量%以下に減少させ、さらに好ましくは粉砕しておくことが好ましい。
【0015】
(ii)有機溶剤抽出物からの有機溶剤の除去
(i)の方法で得られる有機溶剤抽出液から本発明の呈味改善剤を得るために有機溶剤を除去する必要がある。除去方法としては、常圧又は減圧下での蒸留による方法が好ましい。蒸留時の条件は、有機溶剤の常圧での沸点に応じて選択でき特に限定されないが、蒸留温度は好ましくは0℃〜200℃、より好ましくは10℃〜100℃で、蒸留圧力は好ましくは1.0Pa〜0.1MPaで行うことができる。
【0016】
(3)呈味改善剤
上記操作により得られる油状物を本発明の呈味改善剤としてそのまま使用することができる。また、適度に希釈して使用することもできる。例えば、食用油脂等で1.5〜1010倍に希釈して使用することもできる。また、種々の食品素材や食品添加物と任意の割合で混合して使用することもできる。さらに、本発明の呈味改善剤は様々な形態化を行なうことにより、あらゆる飲食品に添加することができる。例えば乳化や可溶化させることにより、水溶性の飲食品にも添加することも可能であり、それら飲食品の呈味改善を行なうことができる。
【0017】
乳化の方法は特に制限されないが、使用する乳化剤には多くの種類があり、一般的には、イオン性、非イオン性などの界面活性剤や天然ガム類などの保護コロイド物質を乳化剤、乳化安定剤として用いることができる。
【0018】
界面活性剤の一例として、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カリウム、ショ糖脂肪酸エステル、エンジュサポニン、大麦殻皮抽出物、キラヤ抽出物、酵素処理大豆サポニン、酵素処理レシチン、酵素分解レシチン、植物性ステロール、植物レシチン、スフィンゴ脂質、大豆サポニン、胆汁末、チャ種子サポニン、動物性ステロール、トマト糖脂質、ビートサポニン、分別レシチン、ユッカフォーム抽出物、卵黄レシチン等が挙げられるがこれらに特に制限されない。
【0019】
また、天然ガム類の一例として、アマシードガム、アラビアガム、アラビアガラクタン、アルギン酸、アロエベラ抽出物、ウェランガム、エレミ樹脂、オリゴグルコサミン、カシアガム、ガティガム、カラギナン、カラヤガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、キダチアロエ抽出物、キチン、キトサン、グァーガム、グァーガム酵素分解物、グルコサミン、サイリウムシードガム、サバクヨモギシードガム、ジュランガム、スクレロガム、セスバニアガム、タマリンドシードガム、タラガム、ダンマル樹脂、デキストラン、トラガントガム、トロロアオイ、納豆菌ガム、パフィア抽出物、微小繊維状セルロース、ファーセレラン、フクロノリ抽出物、プルラン、ペクチン、マクロホモプシスガム、モモ樹脂、ランザンガム、レバン等が挙げられるが、これらに特に制限されない。
【0020】
また、可溶化の方法として、含水アルコールやプロピレングリコールなどの水溶性溶剤に溶解するエッセンス法などがあげられるが特に制限されない。
【0021】
本発明の呈味改善剤は、必要に応じて精製処理を行ってもよい。精製の方法は公知の粗油精製法を適用でき、例えば、第四版油化学便覧―脂質・界面活性剤―p.605(日本油化学会)が挙げられる。
【0022】
本発明の呈味改善剤はまた、各種の被膜剤で処理して粉末状、顆粒状などにして使用することもできる。粉末状、顆粒状などとするには一般的に使用される被膜剤と配合し、例えば噴霧乾燥、凍結乾燥などの手段を用いればよい。被膜剤としては、例えばアラビアガム、サイクロデキストリン、デキストリン、ゼラチン、加工でんぷんなどが例示されるがこれらに特に制限されない。
【0023】
(4)呈味改善剤の酸化処理
また、本発明においては、上記(a)の方法により得られる呈味改善剤を更に酸化処理して酸化処理呈味改善剤を得ることができる。酸化処理を行うことにより力価が高く、少量の添加量で効果を発揮する呈味改善剤を得ることができる。
【0024】
酸化処理としては、この技術分野で通常知られている方法を適用すればよく、特に制限されない。具体的な方法としては、コーヒー抽出残渣から得られた上記呈味改善剤を、i)水などの極性溶媒で希釈した後、空気中で撹拌処理する方法、ii)酸素ガスまたは空気を通気する方法、及びiii)酵素を添加して、混合する方法、などが挙げられる。
酸素ガスまたは空気を通気する方法としては、例えば酸素ガスまたは空気を呈味改善剤100g当たり1〜2000ml/分、より好ましくは5〜1000ml/分の割合で撹拌しながら通過させることが挙げられる。
また、上記酵素としては、リパーゼ、及びリポキシゲナーゼなどが挙げられる他、大豆粗酵素などの酵素混合物、及び動植物由来の酵素含有抽出物なども利用可能である。
【0025】
酸化処理に際しては、必要に応じて加熱することが好ましい。加熱することにより力価の向上、または反応時間の短縮を図ることができる。酵素を用いない上記i)またはii)の方法では、80〜180℃程度に加熱しながら酸化処理することが好ましい。なお、80〜150℃程度がより好ましく、80〜120℃程度に加熱しながら酸化処理することがさらに好ましい。酵素を用いる上記iii)の方法では、酵素の最適な温度条件で加熱することが望ましい。
【0026】
酸化処理時間は加熱温度、製造規模などにより異なり、通常、1〜48時間程度であるが、酸化処理呈味改善剤の過酸化物価を好ましくは10.0〜120meq/kg、より好ましくは10〜40meq/kgとなるように処理を行なう。この過酸化物価の測定法には公知の方法を適用でき、例えば基準油脂分析試験法(日本油脂学会編)が挙げられる。
【0027】
このようにして得られた酸化処理物から低沸点成分を除去した高沸点成分混合物を調製し、これを本発明の呈味改善剤としてもよい。低沸点成分を除去することにより、風味が好ましくない酸化分解物または嗜好性を低下させる酸化分解物を除くことができる。
【0028】
酸化処理物から低沸点成分を除去する方法としては、例えば減圧蒸留法、水蒸気蒸留法あるいは減圧水蒸気蒸留法などが挙げられる。低沸点成分とは、加熱温度を45〜75℃に設定し、好ましくは10〜100mmHgでの減圧蒸留法または減圧水蒸気蒸留法により回収される成分をいうが、常圧水蒸気蒸留法により回収される成分ということもできる。これらの蒸留法は、この技術分野で用いられる普通の方法を採用すればよいのであって、特に制限されない。
【0029】
上記の酸化処理物または酸化処理物から低沸点成分を除去した高沸点成分混合物をさらに精製処理し、これを本発明の呈味改善剤としてもよい。特に、低沸点成分を除去した蒸留物残渣には、酸化処理に際して副生する過酸化物が含まれることがあり、保存安定性ならびに食品の安全性の観点から、これらの過酸化物を除去することが好ましい。可能な限り過酸化物を除去することが好ましいが、低沸点成分を除去した蒸留物残渣を精製することにより、例えば過酸化物の含有量が低い酸化処理物または高沸点成分混合物を得ることができる。
【0030】
精製処理は常法を採用すればよく、特に制限されないが、例えば吸着剤混合法などが好ましい。
使用する吸着剤としては特に制限は無いが、好ましい吸着剤としては、シリカゲル、活性白土、酸性白土、珪酸マグネシウム、及び活性炭等を挙げることができ、これらの1種あるいは2種以上を併用して用いてもよい。吸着剤を酸化処理物または高沸点成分混合物もしくは酸化処理物から低沸点成分を除去した蒸留物残渣に混合し、混合直後または一定時間経過後に、吸着剤を濾別することにより、不要分を吸着剤に吸着させ、除去し、精製物を得ることが出来る。
これらの処理により、とくに過酸化物価が5.0meq/kg以下となるように精製することが好ましい。
【0031】
(b)呈味改善剤を含む飲食品、食用油及び香料
(1)呈味改善剤を含む飲食品
本発明に係る呈味改善剤を添加することによって呈味が改善される飲食品としては、例えば、炭酸飲料、果実飲料、野菜飲料、嗜好飲料、酒類、茶飲料、コーヒー飲料、機能性飲料、シュガーレス飲料、スポーツ飲料、栄養・滋養ドリンク、酪農製品、乳製品、乳酸菌飲料、乳飲料、冷菓、和菓子類、洋菓子類、デザート、アイスクリーム、シャーベット、焼き菓子、ベーカリー類、キャンディー類、チューイングガム、油脂製品、マーガリン、コーヒーホワイトナー、チーズフード、ドレッシング、チョコレート類、調味料、味噌、醤油、ソース、マヨネーズ、ドレッシング、農産加工品、麺、植物タンパク加工品、ジャム、ペースト、デザートソース、漬物、農産缶詰、果汁、果肉加工品、粉末スープ、レトルトパウチスープ、缶詰スープ、畜産加工品、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、食肉缶詰、水産加工品、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、水産練り製品、水産缶詰、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品、家畜用飼料、養魚用飼料、ペット用飼料等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
従って、本発明は、本発明の呈味改善剤を含む飲食品も提供する。
特に限定されないが、上記飲食品の中でより好ましいのは、油脂類と相性の良い飲食品、乳を含む飲食品、及び調味料等である。具体的には、食用油、カレーやシチュー、ハヤシライス、スープ類、菓子、野菜飲料、コーヒー飲料、茶飲料、ココア飲料、カカオ飲料、乳製品、加工食品等が挙げられる。
【0032】
本発明の呈味改善剤の添加方法は、呈味の改善を必要とする飲食品に混合することにより行われる。例えば、飲食品を製造する段階で、他の原材料とともに通常の添加方法によって添加することができる。加工食品の場合、呈味の改善を必要とする原料に直接混合することが望ましいが、混合が困難であるときには、呈味の改善を必要とする原料の表面に呈味改善剤の溶液を噴霧する方法や、このような溶液に浸漬する方法なども可能である。
【0033】
本発明の呈味改善剤の添加量は、呈味改善を行う飲食品の種類によっても多少異なるが、改善剤による呈味改善効果と改善剤自体の味が飲食品の呈味に与える影響のバランスを考慮すると、飲食品中、0.1重量ppm〜10重量%の添加量が好適であり、特に1重量ppm〜1重量%の添加量が好ましい。
【0034】
(2)呈味改善剤を含む食用油
本発明の呈味改善剤は、そのまま又は精製して食用油として使用することができる。さらに、本発明の呈味改善剤と一般的な食用油とを配合することで、呈味が良好で、しかも多用途に適用可能な食用油(以下「配合油」ともいう)を得ることも可能である。精製の方法は、公知の粗油の精製法に従って行なうことができる。
【0035】
本発明の配合油における呈味改善剤の添加量は、油の種類によっても多少異なるが、呈味に与えるバランスの観点から、配合油中、10重量ppm〜100重量%の添加量が好適であり、特に100重量ppm〜80重量%の添加量が好ましい。
【0036】
本発明の食用油又は配合油を用いて食材の調理を行うことにより、良好な呈味と食味を呈する食品を提供できる効果や、食材本来が有する特有の不快な味や臭みなどを抑えることができる効果が期待できる。例えば、本発明の食用油又は配合油を用いて、フライ処理、炒め調理、焼き調理等をすることにより、呈味良好な食品を提供することができる。このような食品の一例として、焼肉、ソテー、コロッケ、天ぷら、唐揚げ、豚カツ、ドーナツ、揚げ菓子、炒飯、たこ焼などあるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
例えば、本発明の食用油又は配合油を、調味料のベースオイルとすることで、それらの呈味と食味を改善することができる。かかる調味料としては、例えばマヨネーズやドレッシング、ソース、焼肉のたれ、蒲焼のたれ、マリネ液などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0038】
(3)呈味改善剤を含む香料
本発明に係る呈味改善剤は、調合香料と適宜混合して香料として使用することができる。調合香料は、例えば、菓子、飲料、冷菓、デザート、酪農・油脂製品、スープ、調味料、食肉加工品、水産加工品、農産加工品、調理食品、たばこ用、口腔用、医療用、飼料用、産業用等の用途に用いられるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、調合香料と他の各種配合剤と適宜混合して使用することもできる。各種配合剤の一例として、甘味料、着色料、保存料、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、防ばい剤、酸味料、軟化剤、調味料、凝固剤、pH調整剤、及び膨張剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本発明の香料における呈味改善剤の添加量は、香料の種類によっても多少異なるが、呈味に与えるバランスの観点から、香料中、1重量ppm〜80重量%の添加量が好適であり、特に10重量ppm〜50重量%の添加量が好ましい。
【0040】
(c)香味油
上記本発明の呈味改善剤を香味性素材と混合し、容器中で加熱抽出することにより、香味油を得ることができる。この香味油は高力価でトップインパクトのある嗜好性の高いフレーバーを提供するものである。
香味油を取り出す方法は特に制限されないが、加熱工程及び固液分離において密閉された系で実施することにより、香味性素材が有する風味成分の飛散を抑制し、風味のより忠実な再現及び力価向上を実現することができる。
【0041】
香味性素材と呈味改善剤の混合を行なう工程は、各種方法で行なうことが可能であるが、香味性素材に呈味改善剤を添加した後に、混合物中で香味性素材を細断または磨砕しながら混合することが、香味性素材の風味成分の飛散を抑制する上で好ましい。細断や磨砕の方法は特に制限されず、カッターミキサー、フードプロセッサー、ミルなどの公知の方法を用いることができる。
【0042】
抽出に用いる装置は特に制限はないが、密閉された状態で実施することが好ましい。また、抽出率向上のため、撹拌機能を有する装置であることがより好ましい。
【0043】
加熱抽出の方法は特に限定されるものではなく、例えば、蒸気による加熱、電気による加熱など公知の加熱方法を利用することができる。また、加熱温度は特に限定されないが、10〜250℃の温度範囲が好ましい。250℃以上では焦げた風味などの好ましくない風味が生成する可能性がある。また、20℃以下では、抽出効率の低下、力価の低下を招くことがある。その中でも30℃〜150℃の温度範囲が、風味、力価、抽出効率の面から好ましく、50〜120℃の温度範囲が風味、力価、抽出効率を総合的に判断した製造効率の面から特に好ましい。一方、抽出時間は特に限定されないが、前記加熱温度において、1分間〜200時間の加熱時間が好ましい。
【0044】
本発明に用いる香味性素材は、香味を有する食品素材であれば特に制限されるものではなく、例えば、ブラックペッパー、ショウガなどの香辛料類、玉ねぎやセロリなどの野菜類などの植物性香味性素材が挙げられる。これらはそのままでも使用できるが、細断処理、ペースト、乾燥体、冷凍品でも使用でき、さらにこれらから得られる精油あるいは抽出物、加水分解物を使用することもできる。
一方、香味性素材として肉類、魚介類、節類、乳・乳製品、海草類、調味料類、糖類、アミノ酸・核酸類またはそれらの抽出物、加水分解物などの動物性香味性素材を使用することもできる。
また、必要に応じて、上記の各香味性素材を1種または2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0045】
前記香辛料類としては、例えばアサノミ、アサフェチダ、アジョワン、アニス、アンゼリカ、ウイキョウ、ウコン、エシャロット、オレガノ、オールスパイス、オレンジピール、ガジュツ、カショウ、カシア、カフィアライム、カモミール、ガランガル、カルダモン、カルダモン、カレープラント、カレーリーフ、カンゾウ、キャットニップ、キャラウェイ、クチナシ、クミン、クレソン、クローブ、ケシノミ、ケーパー、コショウ、ゴマ、コリアンダー、サフラン、サボリー、サラダバーネット、サンショウ、シソ、シナモン、ジャスミン、ジュニパーベリー、ショウガ、スターアニス、ステビア、スペアミト、セージ、セロリー、センテッドゼラニウム、ソレル、タイム、タデ、タマリンド、タラゴン、ダンディライオン、チャイブ、チャービル、ディル、トウガラシ、ドクダミ、ナスタチウム、ナツメグ、ニガヨモギ、ニジェラ、ニラ、ニンニク、ハイビスカス、バジル、パセリ、バニラ、ハッカ、パプリカ、パラダイスグレイン、ヒソップ、フェネグリーク、ピンクペッパー、ペパーミント、ベルガモット、ホースラディッシュ、ボリジ、マーシュ、マスタード、マジョラム、ミョウガ、メース、ヤロウ、ヨモギ、ユズ、ラベンダー、リンデン、ルッコラ、ルバーブ、レモングラス、レモンバーム、レモンバーベナ、レモンピール、ローズ、ローズマリー、ローズヒップ、ローレル、ロングペッパー、ワサビなどを挙げることができる。
【0046】
また、前記野菜類としては、例えば、ネギ(あさつき)、タマネギ、ギョウジャニンニク(アイヌネギ)、セリ、ミツバ、シソ(大葉、紫蘇の花)、ミョウガ、ニンニク(ガーリック)、クレソン、ケッパー、パセリ、セロリ、コリアンダー(コエンドロ、パクチー、香菜、ザウムイ)、バジル(バジリコ)、山椒の葉、レモンの葉、菊の花(花びら)、パプリカ、ニラ(葉、花)、貝割れ大根、ルッコラスプラウト、蕎麦の貝割れ、マスタードスプラウト、ブロッコリースプラウト、豆苗(エンドウ)、オクラ、蓼レタス、シュンギク、小松菜、セリ、ニラなどの香味野菜類;米、麦、粟、稗、蕎麦、ハトムギ、玄米などの穀類;緑茶、紅茶、ウーロン茶などの茶類;ユズ、カボス、スダチ、ヒラミレモン(シークヮーサー)、レモン、ライム、ダイダイなどの柑橘類;ゴマ、アーモンドナッツ、カシュウナッツ、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、ウォルナッツ(クルミ)、ペカンナッツ、チェスナッツ(栗)、マカデミアナッツ、ピスタチオ、松の実、カカオ豆、大豆、小豆、黒豆、ウズラ豆、グリーンピース、コーヒー豆などの種子類;リンゴ、チェリー、プルーン、アプリコット、バナナ、パイナップル、ブドウ、キーウィーなどの果実類などを挙げることができる。また、梅干し、乾し葡萄(レーズン)などのような乾燥された加工品も利用できる。
【0047】
前記肉類としては、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉、羊肉などが挙げられ、これら肉類において用いられる部位としては、肉、内臓、骨、エキスなどを挙げることができる。これらは生のまま、乾燥、冷凍等品のホール状態、もしくは細かくカットされたものでも薄く削られたものでも、破砕されたものでも、すりつぶされたペースト状のものでも良い。さらにエキス化されたものでも良いし、各種加工品も利用できる。
【0048】
また、前記魚介類としては、例えば、マグロ、カツオ、アジ、イワシ、サンマ、アナゴ、アコウダイ、アナゴ、アユ、アンコウ、ウナギ、アマダイ、サヨリ、サワラ、シシャモ、シタビラメ、シラウオ、クロダイ、マダイ、ハゼ、ハタハタ、ハモ、ヒラメ、カレイ、フグ、ブリ、ワカサギなどの魚類;イカ、タコなどの頭足類;アサリ、ハマグリ、シジミ、アカガイ、イガイ、トリガイ、アオヤギ、ホッキガイ、ムルガイ、タイラギ、ホタテガイ、カキなどの二枚貝、サザエ、アワビなどの巻貝などの貝類;毛ガニ、ズワイガニ、ハナサキガニ、タラバガニ、ガザミなどのカニ類;ホッコクアカエビ、イセエビ、クルマエビ、シバエビ、サクラエビ、ロブスター、ザリガニなどのエビ・ザリガニ類;エサザアミ、コマセアミ、オキアミなどのアミ類などが挙げられる。これら魚介類において、用いられる部位は、魚肉などの肉類、内臓、骨、殻、エキスなどである。これらは生のまま、乾燥、冷凍等品のホール状態、もしくは細かくカットされたものでも薄く削られたものでも、破砕されたものでも、すりつぶされたペースト状のものでも良い。さらにエキス化されたものでも良いし、各種加工品も利用できる。
【0049】
また、前記節類としては、例えば、魚類のうち、特に赤味魚のカツオ、サバ、イワシ、サンマなどの加工品であり、例えば、カツオ節、宗田節、サバ節、イワシ節、ムロ節、サンマ節、ナマリ節、マグロ節、ウルメ節、煮干しなどが挙げられる。また、魚介加工品である干物類も本発明において被抽出素材として用いられるものであり、例えば素干しスルメイカ、干しダラ、アゴ(トビウオ)干し貝柱、干しエビなどが挙げられる。
【0050】
また、前記乳・乳製品としては、例えば、牛乳、クリーム、練乳、脱脂粉乳、各種ナチュラルチーズ、プロセスチーズなどが挙げられる。
【0051】
また、前記海草類としては、例えば、マコンブ、リシリコンブ、ナガコンブなどのコンブ類、ワカメ、ノリ、ヒジキなど、更にはこれら海藻類の加工品である、干しコンブ(出汁コンブ)、乾燥ワカメなどが挙げられる。
【0052】
また、前記調味料類としては、例えば、醤油、ナンプラー、しょっつる、味噌、豆板醤、甜麺醤、XO醤、コチュジャン、テンジャン、もろみ、ソース、ケチャップ等の醸造物類、米酢、果実酢、穀物酢など食酢類、日本酒、みりん、ワイン等のアルコール系調味料、酒粕などが挙げられる。
【0053】
また、前記糖類としては、例えば、キシロース、リボース、ヘキソース、ペントース、グリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、フラクトース、ガラクトース、シュクロース、グルコース、マルトース、タクトース、セルビオース、トレハロース、ラクチトール、ラムノース等糖類、糖蜜、液糖、蜂蜜、メープルシュガーなどが挙げられる。また、グリチルリチン、グリチルリチン酸ジカリウム、ソーマチン、モネリン、アマチャ抽出物、甘草抽出物、羅漢果抽出物、ステビア、アスパルテーム、アリテーム、スクラロース、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、サッカリンナトリウム等の高甘味度甘味料も挙げられる。
【0054】
また、前記アミノ酸・核酸類としては、例えば、グリシン、アラニン、シスチン、システイン、バリン、リジン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、スレオニン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、アルギニン、カルニチン、ヒスチジン、トリプトファン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、アデノシン、2−リン酸、アデニル酸、イノシン酸、グアニル酸、ウルジル酸、シチジル酸、イノシン、ヒポキサンチン、植物・動物蛋白加水分解物、酵母エキスなどが挙げられる。
【0055】
本発明の呈味改善剤は、種々の飲食品に添加することや食用油として使用すること、又は香料と混合して飲食品に使用することにより、濃厚感、コク味、旨味、塩味などの増強効果や、脂肪感、後引き感、スパイス感や香ばしさの増強効果、酸味抑制効果、農産物や畜肉類を含む食肉や魚肉などの食材の持つ特有の不快な臭気をマスキングする効果が期待でき、呈味良好な食品を提供することができる。
【実施例】
【0056】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
【0057】
[実施例1]呈味改善剤の製造
1000gのコーヒー抽出残渣をエバポレーターを用いて減圧下にて乾燥させ、水分含量を1重量%以下まで減少させた乾燥コーヒー抽出残渣324gを得た。乾燥させたコーヒー抽出残渣を家庭用ミルにて粉砕し、4.5倍重量の酢酸エチルを混合し、室温にて5時間撹拌しながら抽出を行った。濾過した抽出液を減圧下で濃縮して酢酸エチルを除去し、44.5gの油状抽出物として呈味改善剤を得た。
【0058】
[実施例2]呈味改善剤の製造
1000gのコーヒー抽出残渣をエバポレーターを用いて減圧下にて乾燥させ、水分含量を1重量%以下まで減少させた乾燥コーヒー抽出残渣324gを得た。乾燥させたコーヒー抽出残渣を家庭用ミルにて粉砕し、4.5倍重量のエタノールを混合し、室温にて5時間撹拌しながら抽出を行った。濾過した抽出液を減圧下で濃縮してエタノールを除去し、45.4gの油状抽出物として呈味改善剤を得た。
【0059】
[実施例3]呈味改善剤の製造
1000gのコーヒー抽出残渣をエバポレーターを用いて減圧下にて乾燥させ、水分含量を1重量%以下まで減少させた乾燥コーヒー抽出残渣324gを得た。乾燥させたコーヒー抽出残渣を家庭用ミルにて粉砕し、4.5倍重量のジエチルエーテルを混合し、室温にて5時間撹拌しながら抽出を行った。濾過した抽出液を減圧下で濃縮してジエチルエーテルを除去し、40.2gの油状抽出物として呈味改善剤を得た。
【0060】
[実施例4]呈味改善剤の製造
1000gのコーヒー抽出残渣をエバポレーターを用いて減圧下にて乾燥させ、水分含量を1重量%以下まで減少させた乾燥コーヒー抽出残渣324gを得た。乾燥させたコーヒー抽出残渣を家庭用ミルにて粉砕し、4.5倍重量の1−プロパノールを混合し、室温にて5時間撹拌しながら抽出を行った。濾過した抽出液を減圧下で濃縮して1−プロパノールを除去し、51.1gの油状抽出物として呈味改善剤を得た。
【0061】
[実施例5]呈味改善剤の製造
1000gのコーヒー抽出残渣をエバポレーターを用いて減圧下にて乾燥させ、水分含量を1重量%以下まで減少させた乾燥コーヒー抽出残渣324gを得た。乾燥させたコーヒー抽出残渣を家庭用ミルにて粉砕し、4.5倍重量の2−プロパノールを混合し、室温にて5時間撹拌しながら抽出を行った。濾過した抽出液を減圧下で濃縮して2−プロパノールを除去し、40.1gの油状抽出物として呈味改善剤を得た。
【0062】
[実施例6]呈味改善剤の製造
1000gのコーヒー抽出残渣をエバポレーターを用いて減圧下にて乾燥させ、水分含量を1重量%以下まで減少させた乾燥コーヒー抽出残渣324gを得た。乾燥させたコーヒー抽出残渣を家庭用ミルにて粉砕し、4.5倍重量のアセトンを混合し、室温にて5時間撹拌しながら抽出を行った。濾過した抽出液を減圧下で濃縮してアセトンを除去し、47.6gの油状抽出物として呈味改善剤を得た。
【0063】
[実施例7]呈味改善剤の製造
未乾燥の1000gのコーヒー抽出残渣と2倍重量のヘキサンを混合し、60℃にて2時間撹拌しながら抽出を行った。濾過した抽出液を減圧下で濃縮してヘキサンを除去し、25.6gの油状抽出物として呈味改善剤を得た。
【0064】
[実施例8]呈味改善剤の精製
実施例1と同様の方法で呈味改善剤1000gを得て、遠心分離機を用いて懸濁性爽雑物の除去を行ない清澄化した912gの油状物質を得た。これに3重量%の水を加えて水脱ガムを行い、激しく撹拌した後に遠心分離機を用いて上清を回収して816gの油状物質を得た。更に0.5重量%のリン酸を加えて脱ガムを行い、激しく撹拌した後に遠心分離機を用いて上清を回収して752gの油状物質を得た。更に10%水酸化ナトリウム水溶液を油状物質に対して70重量%加えて脱酸を行い、激しく撹拌した後に遠心分離機を用いて上清を回収し、432gの油状物質を得た。更に10重量%の水を加えた洗浄を2回行ない、激しく撹拌した後に遠心分離機を用いて2相に分液し、上清を回収して410gの油状物質を得た。これに5重量%の活性白土と1重量%の活性炭を加えて50℃で30分間撹拌して脱色を行い、5重量%の濾過助剤を加えて濾別して350gの精製呈味改善剤を得た。
【0065】
[実施例9]呈味改善剤の酸化処理
前記実施例8で得られた精製呈味改善剤100gに120℃で3時間空気を通気しながら撹拌し、加熱及び通気処理を停止した。酸化処理物の過酸化物価は19.88meq/kgであった。得られた酸化処理物を精製するために0.2%重量の活性白土を添加し、60℃で1時間撹拌を行なった。撹拌後、濾過により活性白土を除去し、酸化処理呈味改善剤を得た(88.95g、過酸化物価2.78meq/kg)。
【0066】
[実施例10]精製呈味改善剤を用いた香味油(シーズニングオイル)の調製
卓上ミキサー(Labo Milser LM−2)にカルダモン40gを入れ、前記実施例8で得られた精製呈味改善剤160gを加えた後に、細断すると同時に混合を行なった。得られた細断混合物を卓上ミキサーから取り出し、500mlの四口フラスコを用いて撹拌しながら100℃、1時間の加熱還流抽出を行った。加熱抽出後、ブフナー漏斗と濾紙(アドバンテック東洋株式会社;No.2)を用いて固形部を取り除き、液相部125gを回収した。
【0067】
[実施例A1〜A4、比較例A1〜A4]ラーメンスープへの添加
市販即席麺の味噌味の粉末スープ(10g)を指定量のお湯(300g)で溶解し、実施例1で得られた呈味改善剤155mg(添加率0.05重量%)を添加したラーメンスープを調製した(実施例A1)。また比較例として市販のキャノーラ油を同量添加したラーメンスープを調製した(比較例A1)。以下同様に、醤油味、塩味、豚骨味のスープでも同様に調製した(醤油味:実施例A2、比較例A2、塩味:実施例A3、比較例A3、豚骨味:実施例A4、比較例A4)。
上記で調製した各ラーメンスープを、訓練されたパネル7名により官能評価を行った。結果を表1に示す。その結果、味噌味のスープに関しては、本発明の呈味改善剤を添加した実施例A1のスープが濃厚感の上昇が感じられ、旨味が増し、味の厚み、スパイス感が増強し、ロースト感を感じるという明らかに呈味が増強される結果を得た。キャノーラ油を添加した比較例A1スープは変化が無かった。
また醤油味、塩味、豚骨味のスープに関しても同様に、本発明の呈味改善剤を添加したスープ(実施例A2〜A4)が濃厚感の上昇が感じられ、味の厚みが増強し、ロースト感を感じるという明らかに呈味が増強される結果を得た。キャノーラ油を添加したスープ(比較例A2〜A4)に変化は無かった。
【0068】
【表1】
【0069】
[実施例B、比較例B1、B2]カレールーへの添加
市販カレールー(220g)を指定量のお湯(1400g)で溶解し、実施例1で得られた呈味改善剤810mg(添加率0.05重量%)を添加したカレールーを調製した(実施例B)。また比較例として市販の綿実油を同量添加したもの(比較例B1)及びパーム油を同量添加したもの(比較例B2)を調製した。
上記で調製したカレールーを訓練されたパネル7名により官能評価を行った。結果を表2に示す。その結果、本発明の呈味改善剤を添加したカレールーが、濃厚感とスパイシー感が増し、塩味が増し、味が濃くなった、といった明らかに呈味が増強される結果を得た。また、綿実油を添加したものは、後味がべたつく、油臭いといった結果を得、パーム油を添加したものは味が変わらないという結果を得た。
【0070】
【表2】
【0071】
[実施例C、比較例C]コーヒー飲料への添加
水溶性の飲食品に添加するために、実施例1で得た本発明の呈味改善剤を10重量%含む処方でエマルジョン(イオン交換水25重量%,モノステアリン酸ポリグリセリル5重量%、精製グリセリン60重量%,本発明の呈味改善剤10重量%)を作成した(実施例C)。市販缶コーヒー飲料に該エマルジョンを添加率0.02重量%として添加して、訓練されたパネル7名により官能評価を行った。結果を表3に示す。無配合品すなわち中鎖脂肪酸トリグリセリドを10重量%含む処方のエマルジョン(イオン交換水25重量%、モノステアリン酸ポリグリセリル5重量%、精製グリセリン60重量%、中鎖脂肪酸トリグリセリド10重量%)(比較例C)と比較して、コク、口当たり、脂肪感、嗜好性が高くなり、特に後引き感においては顕著な呈味改善効果が見られた。
【0072】
【表3】
【0073】
[実施例D、比較例D]インスタントコーヒーへの添加
市販のインスタントコーヒー2gを指定量のお湯138gで溶解し、実施例Cおよび比較例Cで作製したエマルジョンを28mg添加(添加率0.02重量%)して、訓練されたパネル7名により官能評価を行なった。結果を表4に示す。呈味改善剤を配合した実施例Dは、比較例Dとした無配合品と比較して、コク、嗜好性が高くなり、特に後引き感については顕著な呈味改善効果が見られた。
【0074】
【表4】
【0075】
[実施例E、比較例E]コンソメスープへの添加
実施例1で得られた呈味改善剤20mgを市販コンソメスープ40gに添加して(添加率0.05重量%)呈味改善コンソメスープを得た(実施例E)。比較例としてキャノーラ油を同量添加したものを調製した(比較例E)。
上記で調製したコンソメスープを訓練されたパネル7名により官能評価を行なった。結果を表5に示す。その結果、本発明の呈味改善剤を添加した実施例Eのコンソメスープが、ボディ感が増し、塩味が増大し、味が濃くなった、といった明らかに呈味が増強される結果を得た。キャノーラ油を添加した比較例Eは味が変わらないという結果を得た。
【0076】
【表5】
【0077】
[実施例F、比較例F]クッキーへの添加
実施例1で得られた呈味改善剤177mgをクッキーの生地177.52gに添加して(添加率0.1重量%)呈味改善クッキーを得た(実施例F)。比較例としてキャノーラ油を同量添加したものを調製した(比較例F)。
クッキーの生地は次のように調製した。まず、油脂36.00gに、脱脂粉乳5.00gと上白糖28.00g、食塩0.02gを加えてすり合わせた。すり合わせたものに、溶かした全卵8.00g、重曹0.25g、及び炭酸水素アンモニウム0.25gを数回に分けて加え、分離しないように混ぜ合わせた。混ぜ合わせたものに、篩った薄力粉100.00gを加えて混ぜ合わせることで生地を調製した。この生地に呈味改善剤又はキャノーラ油を加えて成型し、オーブンにて上火180℃、下火160℃で焼成した。
上記で調製したクッキーを訓練されたパネル7名により官能評価を行なった。結果を表6に示す。その結果、本発明の呈味改善剤を添加したクッキーが、コク味が増し、後引き感を感じるといったという明らかに呈味が増強される結果を得た。キャノーラ油を添加したものは味が変わらないという結果を得た。
【0078】
【表6】
【0079】
[実施例G、比較例G]アイスクリームへの添加
実施例1で得られた呈味改善剤100mgを市販アイスクリーム100gに添加して(添加率0.1重量%)呈味改善アイスクリームを得た(実施例G)。比較例としてパーム油を同量添加したものを調製した(比較例G)。
上記で調製したアイスクリームを訓練されたパネル7名により官能評価を行なった。結果を表7に示す。その結果、本発明の呈味改善剤を添加した実施例Gのアイスクリームが、コクや甘味が増し、後引き感を感じるといったという明らかに呈味が増強される結果を得た。パーム油を添加した比較例Gは味が変わらないという結果を得た。
【0080】
【表7】
【0081】
[実施例H1〜H4、比較例H1〜H4]食用油への添加(肉類の調理)
実施例1で得た本発明の呈味改善剤1gとキャノーラ油9gを混合した炒め油10gを作製し、比較例としてキャノーラ油10g(無配合品)を用いて比較実験を行なった。
一般の家庭用コンロでフライパンを十分に加熱し、上記の炒め油10g、又はキャノーラ油10gをフライパンによく馴染ませた後、市販の焼肉用牛肉カルビ100gの両面を十分に焼き、調味料を用いずにそのまま食した。訓練されたパネル7名によって官能評価を行なったところ、表8に示すように、本発明の呈味改善剤を添加した炒め油を使用した場合(実施例H1)、キャノーラ油のみを用いて炒めた場合(比較例H1)に比べて、濃厚感がでると同時に牛脂由来の獣臭さが抑えられている、キャノーラ油のみを用いて炒めた牛肉に対してさっぱりとしているという明らかに呈味が改善された結果を得た。
同様に、市販の焼肉用豚肉ロース100g及び市販の豚バラ肉100gを用いた結果、本発明の呈味改善剤を添加した炒め油を使用した場合(実施例H2、実施例H3)、濃厚感がでる、豚肉特有の獣臭さが抑えられている、キャノーラ油のみを用いて炒めた豚肉(比較例H2、比較例H3)に対してさっぱりしているという明らかな呈味が改善された結果を得た。
さらに、加熱調理用として市販されている鶏もも肉20gを適当な大きさに切り分けて同様に調理して官能評価を行なったところ、本発明の呈味改善剤を添加した炒め油を使用した場合(実施例H4)、キャノーラ油のみを用いて炒めた場合(比較例H4)に比べ、濃厚感がでる、鶏肉特有の臭みや油臭さが無くなる、ロースト感がある、焼き鳥の風味を付与している等の結果を得た。
以上より、本発明の呈味改善剤を用いて肉の脂身が多い部位を調理すると、素材の持つしつこい油臭さが抑えられてさっぱりと感じられたというように、呈味改善効果がより顕著に感じられる結果を得た。
【0082】
【表8】
【0083】
[実施例I1〜I4、比較例I1〜I4]食用油への添加(魚介類の調理)
実施例1で得た本発明の呈味改善剤5gとキャノーラ油5gを混合した炒め油10gを作製し、比較例としてキャノーラ油10g(無配合品)を用いて比較実験を行なった。
一般の家庭用コンロでフライパンを十分に加熱し、上記の炒め油10g、あるいはキャノーラ油10gをフライパンによく馴染ませた後、市販のギンザケ20gの両面を十分に焼き、調味料を用いずにそのまま食した。訓練されたパネル7名によって官能評価を行なったところ、本発明の呈味改善剤を添加した炒め油を使用した場合(実施例I1)、キャノーラ油のみを用いて炒めた場合(比較例I1)に比べて、脂っこさが抑えられサケ特有の臭みが低減される結果を得た。
その他魚類の例として、カジキマグロ、マアジ、イワシをそれぞれ同様に、各20gを加熱調理した場合でも、本発明の呈味改善剤を添加した炒め油を使用した場合(実施例I2〜I4)、キャノーラ油のみを用いて炒めた場合(比較例I2〜I4)いずれも素材特有の魚の生臭さが抑えられ、香ばしさが増すといった結果を得た。
【0084】
【表9】
【0085】
上記表9に示すとおり、本発明の呈味改善剤を飲食品に添加することにより、濃厚感、コク味、旨味、塩味などの増強効果や、脂肪感、後引き感、スパイス感やロースト感の上昇を感じるいわゆる呈味改善効果、蓄肉類を含む食肉や魚類などの食材の持つ特有の不快な臭気や味をマスキングする効果を有することが明らかである。
【0086】
[実施例J、比較例J]焼きそばへの添加
前記実施例8で得られた精製呈味改善剤100mgを市販焼きそばソース40gに添加して(添加率0.25重量%)呈味改善焼きそばソースを得た(実施例J)。比較例としてキャノーラ油を同量添加したものを調製した(比較例J)。
上記で調製した焼きそばソースを用いて市販焼きそば150gを調理した。これを訓練したパネル7名により官能評価を行なった。結果を表10に示す。その結果、本発明の呈味改善剤を添加した実施例Jの焼きそばは、味に厚みが出た、味の線が太くなった、スパイス感が上がったという明らかに呈味が増強される結果を得た。キャノーラ油を添加した比較例Jは味が変わらないという結果を得た。
【0087】
【表10】
【0088】
[実施例K、比較例K]焼肉のタレへの添加
前記実施例8で得られた精製呈味改善剤20mgを市販焼肉のタレ100gに添加して(添加率0.02重量%)呈味が改善がされた焼肉のタレを得た(実施例K)。比較例としてキャノーラ油を同量添加したものを調製した(比較例K)。
上記で調製した焼肉のタレを訓練したパネル7名により官能評価を行なった。結果を表11に示す。その結果、本発明の呈味改善剤を添加した実施例Kの焼肉のタレは、風味が広がる、コクがでたという明らかに呈味が増強される結果を得た。キャノーラ油を添加した比較例Kは味が変わらないという結果を得た。
【0089】
【表11】
【0090】
[実施例L、比較例L]ごまだれへの添加
前記実施例8で得られた精製呈味改善剤20mgを市販ごまだれ100gに添加して(添加率0.02重量%)呈味が改善されたごまだれを得た(実施例L)。比較例としてキャノーラ油を同量添加したものを調製した(比較例L)。
上記で調製したごまだれを訓練したパネル7名により官能評価を行なった。結果を表12に示す。その結果、本発明の呈味改善剤を添加した実施例Lのごまだれは、風味が広がる、コクがでた、焙煎ごまの風味を引き立てるという明らかに呈味が増強される結果を得た。キャノーラ油を添加した比較例Lは味が変わらないという結果を得た。
【0091】
【表12】
【0092】
[実施例M、比較例M]粒マスタードへの添加
前記実施例8で得られた精製呈味改善剤20mgを市販粒マスタード100gに添加して(添加率0.02重量%)呈味が改善された粒マスタードを得た(実施例M)。比較例としてキャノーラ油を同量添加したものを調製した(比較例M)。
上記で調製した粒マスタードを訓練したパネル7名により官能評価を行なった。結果を表13に示す。その結果、本発明の呈味改善剤を添加した実施例Mの粒マスタードは、苦味がエンハンスされたという明らかに呈味が増強される結果を得た。キャノーラ油を添加した比較例Mは味が変わらないという結果を得た。
【0093】
【表13】
【0094】
[実施例N、比較例N]コーヒー飲料への添加
前記実施例9で得られた酸化処理呈味改善剤を実施例Cと同じ操作でエマルジョンを作製し、市販缶コーヒー飲料に該エマルジョンを添加率0.02重量%になるように添加して(実施例N)、訓練されたパネル7名により官能評価を行った。結果を表14に示す。無配合品すなわち中鎖脂肪酸トリグリセリドを10重量%含む処方のエマルジョン(イオン交換水25重量%、モノステアリン酸ポリグリセリル5重量%、精製グリセリン60重量%、中鎖脂肪酸トリグリセリド10重量%)(比較例N)と比較して、コク、口当たり、脂肪感、嗜好性が高くなり、特に焙煎感においては顕著な呈味改善効果が見られた。
【0095】
【表14】
【0096】
[実施例O、比較例O]香味油のカレーへの添加
前記実施例10で得られた香味油をカレーに添加して官能評価を行なった(実施例O)。カレーは市販カレールウ250gを湯1500gに溶解したもの評価に用いた。香味油1.75gを上記のカレーに添加した(添加率0.1重量%)。比較例としてパーム油を使用した香味油を同量添加したものを調製した(比較例O)。
上記で調製したカレーを訓練したパネル7名により官能評価を行なった。結果を表15に示す。その結果、本発明の精製食用油を用いた実施例Oの香味油は、焙煎感を引き立てる、口に入れたときのフワッとしたスパイス感を感じるという明らかに呈味が増強される結果を得た。パーム油を用いた比較例Oの香味油は味が変わらないという結果を得た。
【0097】
【表15】
【0098】
[実施例P、比較例P]フライ調理
前記実施例8の方法により得られた精製呈味改善剤200gを用いてフライ調理を行なった。180度に加熱した精製呈味改善剤に市販冷凍コロッケを入れ、3分後に裏返し、2分間加熱調理を行なった後に取り出した(実施例P)。比較例としてキャノーラ油を同量用いて同様の調理を行なった(比較例P)。
上記で調理したコロッケを訓練したパネル7名により官能評価を行なった。結果を表16に示す。その結果、本発明の呈味改善剤を添加した実施例Pのコロッケは、風味が広がる、コクがでた、旨味が増すという明らかに呈味が増強される結果を得た。キャノーラ油を添加した比較例Pは味が変わらないという結果を得た。
【0099】
【表16】
【0100】
以下、本発明の呈味改善剤を含む香料の処方例を示す。
【0101】
(処方例Q)レモン香料
下記表17に示す処方の成分を混合し、常法によりレモン香料を製造した。
【0102】
【表17】
【0103】
(処方例R)ミント香料
下記表18に示す処方の成分を混合し、常法によりミント香料を製造した。
【0104】
【表18】
【0105】
(処方例S)ペパーミント香料
下記表19に示す処方の成分を混合し、常法によりペパーミント香料を製造した。
【0106】
【表19】
【0107】
(処方例T)ミント粉末香料
下記表20に示す処方の成分を混合し、常法によりミント粉末香料を製造した。
【0108】
【表20】
【0109】
(処方例U)オレンジ香料
下記表21に示す処方の成分を混合し、常法によりオレンジ香料を製造した。
【0110】
【表21】
【0111】
本発明を詳細にまた、特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは、当業者にとって明らかである。本出願は2011年3月10日出願の日本特許出願(特願2011−053430)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の呈味改善剤は飲食品に添加することにより、飲食品の呈味を強くするとともに、飲食品の呈味をより好ましいものに変える効果があり、各種飲食品に幅広く利用できる。