(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記車両に構築された前記通信バスと、上記車両に搭載され、上記通信バスに接続した請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の前記m個の車載センサとを有する車載センサシステムであって、
上記m個の上記車載センサは、
前記通信外部端子、及び、前記設定用外部端子を含み、上記通信バスへの接続に用いるバス接続コネクタを有し、
前記識別子記憶部に、共通の前記m個の有効符号及び前記m個の有効識別子を記憶してなり、
上記m個の上記車載センサの上記バス接続コネクタにそれぞれ嵌合するセンサ接続コネクタを含み、各車載センサを上記通信バスへ接続するm組の接続路を備え、
m組の上記接続路は、それぞれ、
前記通信外部端子を上記通信バスの前記通信線に接続する一組の通信接続路、及び、
n個の前記設定用外部端子についての前記接続状態を定める一組の設定路を有し、
m組の上記設定路は、各々の定める上記設定用外部端子の上記接続状態の組合せが互いに異なり、上記接続状態の組合せに対応する前記判別符号が、それぞれ前記m個の有効符号のいずれかに重複することなく一致するように、上記接続状態を定めてある
車載センサシステム。
車両に構築された通信バスと、上記車両に搭載され、上記通信バスに接続し、固有識別子で識別される複数の車載センサとを有する車載センサシステムにおいて、複数の上記車載センサのそれぞれに上記固有識別子を設定する識別子設定方法であって、
上記車載センサは、
上記通信バスの通信線に接続される1又は複数の通信外部端子、及び、それぞれが、当該車載センサの外部で第1接続状態及びこれとは異なる第2接続状態のうちいずれかの接続状態にされるn個(nは2以上の自然数)の設定用外部端子を含み、上記通信バスへの接続に用いるバス接続コネクタを有し、
上記通信バスへ接続される当該車載センサの接続数が、2≦m≦2n-1の関係を満たすm個(mは自然数)であり、
上記車載センサシステムは、
上記m個の上記車載センサの上記バス接続コネクタにそれぞれ嵌合するセンサ接続コネクタを含み、各車載センサを上記通信バスへ接続するm組の接続路を備え、
m組の上記接続路は、それぞれ、
上記通信外部端子を上記通信バスの上記通信線に接続する一組の通信接続路、及び、
n個の上記設定用外部端子についての上記接続状態を定める一組の設定路を有し、
m個の上記車載センサのそれぞれが、
n個の上記設定用外部端子の上記接続状態がとり得る2n通りの組合せを、nビットの2n個の符号で表したときに、この2n個の符号のうち上記接続数mに対応して予め定めたm個の有効符号、及び上記m個の有効符号のそれぞれに対応して予め定めたm個の有効識別子を記憶する識別子記憶部を備え、
上記識別子記憶部は、上記nビットの2n個の符号を隣同士では1ビットのみ異なる順序に並べた符号テーブル上において、一つとびに位置する2n-1個の符号の中から選択したm個の符号を、上記有効符号として割り当てて記憶してなり、
m組の上記設定路は、各々の上記設定路の定める上記設定用外部端子の上記接続状態の組合せが互いに異なり、上記接続状態の組合せを、これに対応するnビットの判別符号で表したとき、上記判別符号が、それぞれ上記m個の有効符号のいずれかに重複することなく一致するように、上記接続状態を定めてあり、
上記接続路を通じて上記バス接続コネクタが上記通信バスに接続された状態において、n個の上記設定用外部端子のそれぞれについて、上記接続状態が上記第1接続状態及び上記第2接続状態のいずれであるかを判別する接続判別ステップと、
上記接続判別ステップで判別したn個の上記設定用外部端子の上記接続状態の組合せに対応する上記判別符号が上記識別子記憶部に記憶した上記m個の有効符号のいずれかと一致した場合に、この一致した有効符号に対応して上記識別子記憶部に記憶されている上記有効識別子を、当該車載センサの上記固有識別子として設定する識別子設定ステップと、を備え、
前記識別子設定ステップは、
前記接続判別ステップで判別した前記判別符号が前記識別子記憶部に記憶した前記m個の有効符号のいずれにも一致しなかった場合に、当該車載センサを除いた(m−1)個の他の車載センサが用いている使用済み固有識別子の情報を取得する他識別子取得ステップと、
上記他識別子取得ステップで取得した上記使用済み固有識別子の情報から、未使用となっている有効識別子が1つ特定でき、かつ、この未使用の有効識別子に対応する上記有効符号と上記判別符号とが1ビットのみ異なっているときは、上記未使用の有効識別子を、訂正した当該車載センサの固有識別子として設定する識別子訂正設定ステップと、を備える
車載センサシステムにおける複数の車載センサの識別子設定方法。
車両に構築された通信バスと、上記車両に搭載され、上記通信バスに接続し、固有識別子で識別される複数の車載センサとを有する車載センサシステムにおいて、複数の上記車載センサのそれぞれに上記固有識別子を設定する識別子設定方法であって、
上記車載センサは、
上記通信バスの通信線に接続される1又は複数の通信外部端子、及び、それぞれが、当該車載センサの外部で第1接続状態及びこれとは異なる第2接続状態のうちいずれかの接続状態にされるn個(nは3以上の自然数)の設定用外部端子を含み、上記通信バスへの接続に用いるバス接続コネクタを有し、
上記通信バスへ接続される当該車載センサの接続数が、2n-1<m≦(2n−2)の関係を満たすm個(mは自然数)であり、
上記車載センサシステムは、
上記m個の上記車載センサの上記バス接続コネクタにそれぞれ嵌合するセンサ接続コネクタを含み、各車載センサを上記通信バスへ接続するm組の接続路を備え、
m組の上記接続路は、それぞれ、
上記通信外部端子を上記通信バスの上記通信線に接続する一組の通信接続路、及び、
n個の上記設定用外部端子についての上記接続状態を定める一組の設定路を有し、
m個の上記車載センサのそれぞれが、
n個の上記設定用外部端子の上記接続状態がとり得る2n通りの組合せを、nビットの2n個の符号で表したときに、この2n個の符号のうち上記接続数mに対応して予め定めたm個の有効符号、及び上記m個の有効符号のそれぞれに対応して予め定めたm個の有効識別子を記憶する識別子記憶部を備え、
上記識別子記憶部は、上記nビットの2n個の符号を隣同士では1ビットのみ異なる順序に並べた符号テーブル上において、一つとびに位置する2n-1個の符号と、上記符号テーブル上の残りの2n-1個の符号の中から選択した(m−2n-1)個の符号とを、上記有効符号として割り当てて記憶してなり、
m組の上記設定路は、各々の定める上記設定用外部端子の上記接続状態の組合せが互いに異なり、上記接続状態の組合せを、これに対応するnビットの判別符号で表したとき、上記判別符号が、それぞれ上記m個の有効符号のいずれかに重複することなく一致するように、上記接続状態を定めてあり、
上記接続路を通じて上記バス接続コネクタが上記通信バスに接続された状態において、n個の上記設定用外部端子のそれぞれについて、上記接続状態が上記第1接続状態及び上記第2接続状態のいずれであるかを判別する接続判別ステップと、
上記接続判別ステップで判別したn個の上記設定用外部端子の上記接続状態の組合せに対応する上記判別符号が上記識別子記憶部に記憶した上記m個の有効符号のいずれかと一致した場合に、この一致した有効符号に対応して上記識別子記憶部に記憶されている上記有効識別子を、当該車載センサの上記固有識別子として設定する識別子設定ステップと、を備える
車載センサシステムにおける複数の車載センサの識別子設定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、各車載センサは、あらかじめ通信バスでの通信で用いる識別子を割り当てた状態で、車両の決められた場所に設置する必要があるが、このような車載センサの中には、1つの車両の中で同じものを複数個使用する場合がある。例えば、特許文献1の
図6に示すように、燃料電池車では、車載センサとして、同じ水素センサを複数個搭載している。このため、同一品種でありながら、設置箇所に対応して識別子を異ならせた車載センサを用意する必要がある。また、車両に複数の車載センサを設置するにあたって、車載センサ相互の混用によって識別子の異なるセンサが接続される誤配置を防ぐべく、これらを管理する手間が大きかった。
【0005】
そこで、各々の車載センサにあらかじめ識別子を割り当てておくことを不要とするため、各車載センサに、識別子設定用の外部端子を設ける。
そして、この外部端子の電圧などの設定パターンの違いによって、各々の車載センサについて別々の識別子を設定(割り当て)可能とすることが考えられる。しかしながら、このような外部端子等を用いて識別子の設定を行う場合には、例えば、車載センサの外部端子に接続端子を介して接続するケーブルの断線や接地電位への短絡、この接続端子と車載センサの外部端子との接触不良、または、車載センサ内部の回路上の断線などによって、外部端子に連なり識別子設定に用いる部位に故障を生じる場合がある。すると、正しい識別子を適切に設定することができなくなる。そこで、外部端子を用いて各車載センサに識別子を割り当てる場合には、外部端子に連なり識別子設定に用いる部位に生じた故障を検知できることが好ましい。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、外部端子を用いて車載センサへ識別子の割り当てを可能とした上で、この外部端子に連なり識別子の設定に用いる部位に生じた故障について、故障検知の可能性を高めた車載センサ、このような車載センサを複数個通信バスに接続した車載センサシステム、及び、車載センサシステムにおける車載センサの識別子設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その一態様は、車両に複数搭載され、上記車両に構築された通信バスにそれぞれが接続され、固有識別子で識別される車載センサであって、上記通信バスの通信線に接続される1又は複数の通信外部端子と、それぞれが、当該車載センサの外部で第1接続状態及びこれとは異なる第2接続状態のうちいずれかの接続状態にされるn個(nは2以上の自然数)の設定用外部端子とを有し、上記通信バスへ接続される当該車載センサの接続数が、2≦m≦2
n-1の関係を満たすm個(mは自然数)であり、n個の上記設定用外部端子のそれぞれについて、上記接続状態が上記第1接続状態及び上記第2接続状態のいずれであるかを判別する接続判別部と、n個の上記設定用外部端子の上記接続状態がとり得る2
n通りの組合せを、nビットの2
n個の符号で表したときに、この2
n個の符号のうち上記接続数mに対応して予め定めたm個の有効符号、及び上記m個の有効符号のそれぞれに対応して予め定めたm個の有効識別子を記憶する識別子記憶部と、上記接続判別部で判別したn個の上記設定用外部端子の上記接続状態の組合せを、これに対応するnビットの判別符号で表したとき、上記判別符号が上記識別子記憶部に記憶した上記m個の有効符号のいずれかと一致した場合に、この一致した有効符号に対応して上記識別子記憶部に記憶されている上記有効識別子を、当該車載センサの上記固有識別子として設定する識別子設定部と、を備え、上記識別子記憶部は、上記nビットの2
n個の符号を隣同士では1ビットのみ異なる順序に並べた符号テーブル上において、一つとびに位置する2
n-1個の符号の中から選択したm個の符号を、上記有効符号として割り当てて記憶してな
り、前記通信バスから、これに接続された当該車載センサを除く(m−1)個の他の車載センサが用いている固有識別子を取得する他識別子取得手段を備え、前記識別子設定部は、前記接続判別部で判別された前記接続状態の組合せに対応する前記判別符号が、前記識別子記憶部に記憶している前記m個の有効符号のいずれとも一致しなかった場合において、上記識別子記憶部に記憶されている前記m個の有効識別子のうち、上記(m−1)個の他の車載センサが用いている使用済み固有識別子のいずれとも相違して未使用となっている有効識別子が1つ特定でき、かつ、この未使用の有効識別子に対応する上記有効符号と上記判別符号とが1ビットのみ異なっているときは、上記未使用の有効識別子を、訂正した当該車載センサの固有識別子として設定する識別子訂正設定部を有する車載センサである。
【0008】
この車載センサでは、設定用外部端子を設けることによって、固有識別子をあらかじめ割り当てることを不要とした上で、有効識別子に対応させた有効符号を、上述のように合理的に割り当てている。これにより、n個の設定用外部端子について、このうちの1箇所のみの故障(以下、1ビット故障という)が生じた場合には、確実に検知が可能であり、設定用外部端子の接続状態についての故障検知の可能性を高めたセンサとなっている。
【0009】
この車載センサでは、n個(nは2以上)の設定用外部端子を有している。また、通信バスへ接続される車載センサの接続数は、2≦m≦2
n-1の関係を満たすm個である。例えば、n=2個であれば、m=2個の場合、n=3個であれば、m=2〜4個の場合、n=4個であれば、m=2〜8個の場合が当てはまる。
また、接続判別部は、n個の設定用外部端子のそれぞれについての接続状態を判別する。
一方、識別子記憶部は、n個の設定用外部端子の接続状態がとり得る2
n通りの組合せを、nビットの2
n個の符号で表したときに、この2
n個の符号のうち接続数mに対応して予め定めたm個の有効符号、及びこのm個の有効符号のそれぞれに対応して予め定めたm個の有効識別子を記憶している。
【0010】
そして、接続判別部で判別したn個の設定用外部端子の接続状態の組合せを、これに対応するnビットの判別符号で表したとき、この判別符号が識別子記憶部に記憶したm個の有効符号のいずれかと一致した場合には、識別子設定部により、この一致した有効符号に対応して識別子記憶部に記憶されている有効識別子を、通信バスでの通信で用いる当該車載センサの固有識別子として設定する。すなわち、この車載センサでは、固有識別子を設定するべく、n個の設定用外部端子の接続状態の組合せが、識別子記憶部に記憶したm個の有効符号のうちの1つに対応する組合せとなるように設定される。
【0011】
ところで、この車載センサでは、識別子記憶部は、nビットの2
n個の符号を、隣同士では1ビットのみ異なる順序に並べた符号テーブル上において、一つとびに位置する奇数番目または偶数番目の2
n-1個の符号の中から選択したm個の符号を、それぞれ有効符号として割り当てて記憶している。
m個の有効符号がこのように割り当てられていると、所定の接続状態にされたn個の設定用外部端子について、1ビット故障が生じた場合には、接続判別部で判別された接続状態の組合せに対応するnビットの符号は、必ずm個の有効符号以外の符号となる。このため、この場合には、固有識別子が設定されず、設定用外部端子の接続状態に1ビット故障が生じていることを、適切に認識することができる。
加えて、この車載センサでは、識別子設定部は、識別子訂正設定部を有しており、判別された接続状態の組合せに対応する判別符号が、m個の有効符号のいずれとも一致しなかった場合であっても、他識別子取得手段で、(m−1)個の他の車載センサが用いている固有識別子を取得することにより、未使用となっている有効符号が1つに特定できるなどの所定の条件を満たす場合には、当該車載センサに訂正した固有識別子を設定することができる。
これにより、設定用外部端子の接続状態に1ビット故障が生じていても、訂正された固有識別子を用いて、通信バスでの通信が可能となる。
【0012】
また、他の態様は、車両に複数搭載され、上記車両に構築された通信バスにそれぞれが接続され、固有識別子で識別される車載センサであって、上記通信バスの通信線に接続される1又は複数の通信外部端子と、それぞれが、当該車載センサの外部で第1接続状態及びこれとは異なる第2接続状態のうちいずれかの接続状態にされるn個(nは3以上の自然数)の設定用外部端子とを有し、上記通信バスへ接続される当該車載センサの接続数が、2
n-1<m≦(2
n−2)の関係を満たすm個(mは自然数)であり、n個の上記設定用外部端子のそれぞれについて、上記接続状態が上記第1接続状態及び上記第2接続状態のいずれであるかを判別する接続判別部と、n個の上記設定用外部端子の上記接続状態がとり得る2
n通りの組合せを、nビットの2
n個の符号で表したときに、この2
n個の符号のうち上記接続数mに対応して予め定めたm個の有効符号、及び上記m個の有効符号のそれぞれに対応して予め定めたm個の有効識別子を記憶する識別子記憶部と、上記接続判別部で判別したn個の上記設定用外部端子の上記接続状態の組合せを、これに対応するnビットの判別符号で表したとき、上記判別符号が上記識別子記憶部に記憶した上記m個の有効符号のいずれかと一致した場合に、この一致した有効符号に対応して上記識別子記憶部に記憶されている上記有効識別子を、当該車載センサの上記固有識別子として設定する識別子設定部と、を備え、上記識別子記憶部は、上記nビットの2
n個の符号を隣同士では1ビットのみ異なる順序に並べた符号テーブル上において、一つとびに位置する2
n-1個の符号と、上記符号テーブル上の残りの2
n-1個の符号の中から選択した(m−2
n-1)個の符号とを、上記有効符号として割り当てて記憶してなる車載センサである。
【0013】
この車載センサでは、有効符号を上述のように合理的に割り当てることによって、設定用外部端子の端子数に対する車載センサの通信バスへの接続数を多く確保しながら、設定用外部端子の接続状態についての故障検知の可能性を高めたセンサとしている。
【0014】
この車載センサでは、n個(nは3以上)の設定用外部端子を有している。また、通信バスへ接続される車載センサの接続数は、2
n-1<m≦(2
n−2)の関係を満たすm個である。例えば、n=3個であれば、m=5〜6個の場合、n=4個であれば、m=9〜14個の場合が当てはまる。
この車載センサの識別子記憶部は、前述のセンサと同様の符号テーブル上において、一つとびに位置する奇数番目または偶数番目の2
n-1個の符号を、有効符号として割り当てて記憶する。これに加えて、符号テーブル上の残りの2
n-1個の符号の中から選択した(m−2
n-1)個の符号も、有効符号として割り当てて、合計m(=2
n-1+m−2
n-1)個の有効符号を記憶する。これにより、n個の設定用外部端子の接続状態がとり得る2
n通りの組合せのうち、半分よりも多くの組合せを使用して、設定用外部端子の端子数に対する車載センサの通信バスへの接続数を多く確保している。
【0015】
一方、この車載センサでは、前述のセンサの場合と異なり、m個の有効符号の一部又は全部は、符号テーブル上で、自身の片側あるいは両側の隣に他の有効符号が割り当てられている。このため、このように隣りに他の有効符号が割り当てられている有効符号については、1ビット故障が生じても、接続判別部で判別された接続状態の組合せに対応する判別符号が、隣りの他の有効符号に一致することがあり、接続状態の異常を認識できない場合がある。
但し、この車載センサでは、符号テーブル上の2
n個の符号のうち、m個の有効符号以外の(2
n−m)個の符号(以下、無効符号ともいう)が、それぞれ符号テーブル上で奇数番目または偶数番目の位置に配置されている。従って、無効符号同士は、符号テーブル上で、互いに隣り合わない配置とされている。このように、無効符号を配置することで、1ビット故障が生じた場合に、判別符号が無効符号に一致する場合の数が最大となり、設定用外部端子の接続状態についての故障検知の可能性が高められている。
【0016】
さらに、上述
の車載センサであって、前記通信バスから、これに接続された当該車載センサを除く(m−1)個の他の車載センサが用いている固有識別子を取得する他識別子取得手段を備え、前記識別子設定部は、前記接続判別部で判別された前記接続状態の組合せに対応する前記判別符号が、前記識別子記憶部に記憶している前記m個の有効符号のいずれとも一致しなかった場合において、上記識別子記憶部に記憶されている前記m個の有効識別子のうち、上記(m−1)個の他の車載センサが用いている使用済み固有識別子のいずれとも相違して未使用となっている有効識別子が1つ特定でき、かつ、この未使用の有効識別子に対応する上記有効符号と上記判別符号とが1ビットのみ異なっているときは、上記未使用の有効識別子を、訂正した当該車載センサの固有識別子として設定する識別子訂正設定部と、を有する車載センサとすると良い。
【0017】
この車載センサでは、識別子設定部は、識別子訂正設定部を有しており、判別された接続状態の組合せに対応する判別符号が、m個の有効符号のいずれとも一致しなかった場合であっても、他識別子取得手段で、(m−1)個の他の車載センサが用いている固有識別子を取得することにより、未使用となっている有効符号が1つに特定できるなどの所定の条件を満たす場合には、当該車載センサに訂正した固有識別子を設定することができる。
これにより、設定用外部端子の接続状態に1ビット故障が生じていても、訂正された固有識別子を用いて、通信バスでの通信が可能となる。
【0018】
また、他の態様は、前記車両に構築された前記通信バスと、上記車両に搭載され、上記通信バスに接続した上述のいずれかの前記m個の車載センサとを有する車載センサシステムであって、上記m個の上記車載センサは、前記通信外部端子、及び、前記設定用外部端子を含み、上記通信バスへの接続に用いるバス接続コネクタを有し、前記識別子記憶部に、共通の前記m個の有効符号及び前記m個の有効識別子を記憶してなり、上記m個の上記車載センサの上記バス接続コネクタにそれぞれ嵌合するセンサ接続コネクタを含み、各車載センサを上記通信バスへ接続するm組の接続路を備え、m組の上記接続路は、それぞれ、前記通信外部端子を上記通信バスの前記通信線に接続する一組の通信接続路、及び、n個の前記設定用外部端子についての前記接続状態を定める一組の設定路を有し、m組の上記設定路は、各々の定める上記設定用外部端子の上記接続状態の組合せが互いに異なり、上記接続状態の組合せに対応する前記判別符号が、それぞれ前記m個の有効符号のいずれかに重複することなく一致するように、上記接続状態を定めてある車載センサシステムである。
【0019】
この車載センサシステムでは、m個の車載センサのバス接続コネクタにそれぞれ嵌合するセンサ接続コネクタを含み、各車載センサを通信バスへ接続するm組の接続路を備えている。また、m組の接続路は、それぞれ、n個の設定用外部端子についての接続状態を定める一組の設定路を有している。そして、m組の設定路は、各々の定める設定用外部端子の接続状態の組合せが、互いに異ならせてある。また、この接続状態の組合せは、これに対応する判別符号が、それぞれm個の有効符号のいずれかに重複することなく一致するように定めてある。これにより、あらかじめ固有識別子を割り当てることを不要とし、各車載センサの固有識別子を自動的に互いに異なる設定にできる。しかも、各車載センサの設定用外部端子の接続状態についての故障検知の可能性を高めた車載センサシステムが得られる。
【0020】
また、他の態様は、車両に構築された通信バスと、上記車両に搭載され、上記通信バスに接続し、固有識別子で識別される複数の車載センサとを有する車載センサシステムにおいて、複数の上記車載センサのそれぞれに上記固有識別子を設定する識別子設定方法であって、上記車載センサは、上記通信バスの通信線に接続される1又は複数の通信外部端子、及び、それぞれが、当該車載センサの外部で第1接続状態及びこれとは異なる第2接続状態のうちいずれかの接続状態にされるn個(nは2以上の自然数)の設定用外部端子を含み、上記通信バスへの接続に用いるバス接続コネクタを有し、上記通信バスへ接続される当該車載センサの接続数が、2≦m≦2
n-1の関係を満たすm個(mは自然数)であり、上記車載センサシステムは、上記m個の上記車載センサの上記バス接続コネクタにそれぞれ嵌合するセンサ接続コネクタを含み、各車載センサを上記通信バスへ接続するm組の接続路を備え、m組の上記接続路は、それぞれ、上記通信外部端子を上記通信バスの上記通信線に接続する一組の通信接続路、及び、n個の上記設定用外部端子についての上記接続状態を定める一組の設定路を有し、m個の上記車載センサのそれぞれが、n個の上記設定用外部端子の上記接続状態がとり得る2
n通りの組合せを、nビットの2
n個の符号で表したときに、この2
n個の符号のうち上記接続数mに対応して予め定めたm個の有効符号、及び上記m個の有効符号のそれぞれに対応して予め定めたm個の有効識別子を記憶する識別子記憶部を備え、上記識別子記憶部は、上記nビットの2
n個の符号を隣同士では1ビットのみ異なる順序に並べた符号テーブル上において、一つとびに位置する2
n-1個の符号の中から選択したm個の符号を、上記有効符号として割り当てて記憶してなり、m組の上記設定路は、各々の上記設定路の定める上記設定用外部端子の上記接続状態の組合せが互いに異なり、上記接続状態の組合せを、これに対応するnビットの判別符号で表したとき、上記判別符号が、それぞれ上記m個の有効符号のいずれかに重複することなく一致するように、上記接続状態を定めてあり、上記接続路を通じて上記バス接続コネクタが上記通信バスに接続された状態において、n個の上記設定用外部端子のそれぞれについて、上記接続状態が上記第1接続状態及び上記第2接続状態のいずれであるかを判別する接続判別ステップと、上記接続判別ステップで判別したn個の上記設定用外部端子の上記接続状態の組合せに対応する上記判別符号が上記識別子記憶部に記憶した上記m個の有効符号のいずれかと一致した場合に、この一致した有効符号に対応して上記識別子記憶部記憶されている上記有効識別子を、当該車載センサの上記固有識別子として設定する識別子設定ステップと、を備え
、前記識別子設定ステップは、前記接続判別ステップで判別した前記判別符号が前記識別子記憶部に記憶した前記m個の有効符号のいずれにも一致しなかった場合に、当該車載センサを除いた(m−1)個の他の車載センサが用いている使用済み固有識別子の情報を取得する他識別子取得ステップと、上記他識別子取得ステップで取得した上記使用済み固有識別子の情報から、未使用となっている有効識別子が1つ特定でき、かつ、この未使用の有効識別子に対応する上記有効符号と上記判別符号とが1ビットのみ異なっているときは、上記未使用の有効識別子を、訂正した当該車載センサの固有識別子として設定する識別子訂正設定ステップと、を備える車載センサシステムにおける複数の車載センサの識別子設定方法である。
【0021】
この車載センサシステムにおける複数の車載センサの識別子設定方法では、m組の接続路を通じて、各車載センサのバス接続コネクタが通信バスに接続された状態において、接続判別ステップで設定用外部端子の接続状態を判別し、判別した判別符号が有効符号のいずれかと一致した場合には、識別子設定ステップで車載センサの固有識別子を設定する。
これにより、各車載センサの固有識別子を互いに異ならせて設定でき、かつ、各車載センサの設定用外部端子の接続状態についての1ビット故障を確実に検知し、故障検知の可能性を高めることができる。
加えて、この車載センサシステムにおける識別子設定方法では、他識別子取得ステップと識別子訂正設定ステップとを備えている。即ち、判別された接続状態の組合せに対応する判別符号が、m個の有効符号のいずれとも一致しなかった場合には、まず、他識別子取得ステップで、(m−1)個の他の車載センサが用いている固有識別子の情報を取得する。さらに、識別子訂正設定ステップで、未使用となっている有効識別子が1つに特定できるなどの所定の条件を満たす場合には、当該車載センサに訂正した固有識別子を設定する。これにより、訂正された固有識別子を用いて、通信バスでの通信が可能となる。
【0022】
また、他の態様は、車両に構築された通信バスと、上記車両に搭載され、上記通信バスに接続し、固有識別子で識別される複数の車載センサとを有する車載センサシステムにおいて、複数の上記車載センサのそれぞれに上記固有識別子を設定する識別子設定方法であって、上記車載センサは、上記通信バスの通信線に接続される1又は複数の通信外部端子、及び、それぞれが、当該車載センサの外部で第1接続状態及びこれとは異なる第2接続状態のうちいずれかの接続状態にされるn個(nは3以上の自然数)の設定用外部端子を含み、上記通信バスへの接続に用いるバス接続コネクタを有し、上記通信バスへ接続される当該車載センサの接続数が、2
n-1<m≦(2
n−2)の関係を満たすm個(mは自然数)であり、上記車載センサシステムは、上記m個の上記車載センサの上記バス接続コネクタにそれぞれ嵌合するセンサ接続コネクタを含み、各車載センサを上記通信バスへ接続するm組の接続路を備え、m組の上記接続路は、それぞれ、上記通信外部端子を上記通信バスの上記通信線に接続する一組の通信接続路、及び、n個の上記設定用外部端子についての上記接続状態を定める一組の設定路を有し、m個の上記車載センサのそれぞれが、n個の上記設定用外部端子の上記接続状態がとり得る2
n通りの組合せを、nビットの2
n個の符号で表したときに、この2
n個の符号のうち上記接続数mに対応して予め定めたm個の有効符号、及び上記m個の有効符号のそれぞれに対応して予め定めたm個の有効識別子を記憶する識別子記憶部を備え、上記識別子記憶部は、上記nビットの2
n個の符号を隣同士では1ビットのみ異なる順序に並べた符号テーブル上において、一つとびに位置する2
n-1個の符号と、上記符号テーブル上の残りの2
n-1個の符号の中から選択した(m−2
n-1)個の符号とを、上記有効符号として割り当てて記憶してなり、m組の上記設定路は、各々の定める上記設定用外部端子の上記接続状態
の組合せが互いに異なり、上記接続状態の組合せを、これに対応するnビットの判別符号で表したとき、上記判別符号が、それぞれ上記m個の有効符号のいずれかに重複することなく一致するように、上記接続状態を定めてあり、上記接続路を通じて上記バス接続コネクタが上記通信バスに接続された状態において、n個の上記設定用外部端子のそれぞれについて、上記接続状態が上記第1接続状態及び上記第2接続状態のいずれであるかを判別する接続判別ステップと、上記接続判別ステップで判別したn個の上記設定用外部端子の上記接続状態の組合せに対応する上記判別符号が上記識別子記憶部に記憶した上記m個の有効符号のいずれかと一致した場合に、この一致した有効符号に対応して上記識別子記憶部に記憶されている上記有効識別子を、当該車載センサの上記固有識別子として設定する識別子設定ステップと、を備える車載センサシステムにおける複数の車載センサの識別子設定方法である。
【0023】
この車載センサシステムにおける識別子設定方法でも、前述のシステムにおける識別子設定方法と同様に、各車載センサの固有識別子を互いに異ならせて設定でき、かつ、各車載センサの設定用外部端子の接続状態についての故障検知の可能性を高めることができる。
【0024】
さらに上述
の車載センサシステムにおける複数の車載センサの識別子設定方法であって、前記識別子設定ステップは、前記接続判別ステップで判別した前記判別符号が前記識別子記憶部に記憶した前記m個の有効符号のいずれにも一致しなかった場合に、当該車載センサを除いた(m−1)個の他の車載センサが用いている使用済み固有識別子の情報を取得する他識別子取得ステップと、上記他識別子取得ステップで取得した上記使用済み固有識別子の情報から、未使用となっている有効識別子が1つ特定でき、かつ、この未使用の有効識別子に対応する上記有効符号と上記判別符号とが1ビットのみ異なっているときは、上記未使用の有効識別子を、訂正した当該車載センサの固有識別子として設定する識別子訂正設定ステップと、を備える車載センサシステムにおける複数の車載センサの識別子設定方法とすると良い。
【0025】
この車載センサシステムにおける識別子設定方法では、他識別子取得ステップと識別子訂正設定ステップとを備えている。即ち、判別された接続状態の組合せに対応する判別符号が、m個の有効符号のいずれとも一致しなかった場合には、まず、他識別子取得ステップで、(m−1)個の他の車載センサが用いている固有識別子の情報を取得する。さらに、識別子訂正設定ステップで、未使用となっている有効識別子が1つに特定できるなどの所定の条件を満たす場合には、当該車載センサに訂正した固有識別子を設定する。これにより、訂正された固有識別子を用いて、通信バスでの通信が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、車両VEに搭載された、本実施形態1に係る車載センサ1の概略構成を示す図である。また、
図2は、複数の車載センサ1を、車両VEに構築された通信バスを介してECUに接続した車載センサシステム2の概略図である。この車載センサシステム2では、通信バスとして、CANバスを用いている。なお、車載センサ1は、具体的には、特許文献1に開示された水素センサに、本発明を適用したものである。但し、本実施形態1では、車載センサ1のセンサ部分についての説明は省略し、通信バスであるCANバスとの接続及びECUとの通信に関わる部分についてのみ説明する。
【0028】
複数の車載センサ1は、いずれも
図1に示すように、主として、CANコントローラ機能を内蔵するマイクロプロセッサ10、CANトランシーバ50、サージ保護回路20、安定化電源回路30、及び、7つの端子T1〜T7を有するバス接続コネクタ40を備える。なお、バス接続コネクタ40の7つの端子T1〜T7のうち、端子T5,T6,T7の3つ(n=3個)の端子は、それぞれ車載センサ1の外部で、いずれの電位にも接続されない開放状態(第1接続状態)と接地電位GNDに接続した接地状態(第2接続状態)の2つの接続状態のうち、いずれかの接続状態にされる設定用外部端子である。
また、本実施形態1では、車載センサシステム2におけるCANバス(通信バス)へ接続される車載センサ1の接続数は、2≦m≦2
n-1の関係を満たすm=4個とされており、車両VE内の4つのセンサ接続箇所C1〜C4に、車載センサ1が接続している。
【0029】
車載センサシステム2において、センサ接続箇所C1〜C4の4個の車載センサ1は、
図1及び
図2に示すように、バス接続コネクタ40に嵌合するセンサ接続コネクタ110,210,310,410を含む接続路100,200,300,400を通じて、それぞれCANバス及び電源ラインに接続されている。
CANバスは、通信データが流れる2本の通信線CANH,CANLを有し通信線CANHとCANLとの間の電位差で信号を伝送する差動式のシリアル通信のバスである。また、電源ラインは、車両VEのバッテリBT(12V仕様)の+端子から供給される電源電位VBに接続されるVSUP線、及び、バッテリBTの−端子に繋がる接地電位GNDに接続されるCOM線を有する。
【0030】
まず、接続路100,200,300,400について説明する。
センサ接続箇所C1〜C4に対応する接続路100〜400は、それぞれ、センサ接続コネクタ110,210,310,410のほか、このセンサ接続コネクタ110〜410に嵌合するバス接続コネクタ40の端子T1,T2を電源ラインのVSUP線,COM線に接続する線路121,122からなる一組の電源線路120、及び、バス接続コネクタ40の端子T3,T4をCANバスの通信線CANH,CANLに接続する線路131,132からなる一組の通信接続路130を有する。
さらに、接続路100〜400は、それぞれ、車載センサ1の外部でバス接続コネクタ40の3つ(n=3個)の端子T5,T6,T7についての接続状態を定める一組の設定路140(線路141,142,143),240,340,440を有する。
【0031】
なお、
図1では、設定路140のうち、実線で示す線路141及び線路142は、電源ラインのCOM線に接続している。これにより、接続路100に接続するバス接続コネクタ40の端子T5及び端子T6は、車載センサ1の外部で接地電位GNDに接続されている。また、破線で示す線路143は、実際には存在しておらず、COM線には未接続である。これにより、接続路100に接続するバス接続コネクタ40の端子T7は、車載センサ1の外部でいずれの電位にも接続されない開放状態とされている。即ち、接続路100の設定路140(線路141,142,143)は、端子T5,T6が接地電位GNDに接続され、端子T7が開放状態とされる組合せとなるように定めてある。
【0032】
また、接続路200,300,400は、接続路100の設定路140に代えて、それぞれ設定路240,340,440を有する。図示しないが、設定路240は、端子T5,T7が接地電位GNDに接続され、端子T6が開放状態とされる組合せとなるように定めてある。また、設定路340は、端子T5,T6,T7がいずれも開放状態とされる組合せとなるように定めてある。また、設定路440は、端子T5が開放状態とされ、端子T6,T7が接地電位GNDに接続される組合せとなるように定めてある。
【0033】
このように、4組の接続路100〜400は、各設定路140,240,340,440の定める端子T5,T6,T7の接続状態の組合せが、互いに異ならせてある。なお、接続路100〜400のうち、センサ接続コネクタ110〜410は、それぞれ異なる設定路140〜440が繋がっている点を除き、コネクタの仕様は共通である。また、設定路140〜440及びセンサ接続コネクタ110〜410以外の電源線路120及び通信接続路130については、接続路100〜400ですべて共通である。
【0034】
次いで、車載センサ1の内部の構成について説明する。
バス接続コネクタ40の端子T1は、前述したように、接続路100〜400のうち電源線路120の線路121を通じて、電源ラインのVSUP線に接続されている。即ち、端子T1は、電源電位VBに接続される電源端子である。また、端子T2は、前述したように、接続路100〜400のうち電源線路120の線路122を通じて、電源ラインのCOM線に接続されている。即ち、端子T2は、接地電位GNDに接続される接地端子である。
また、端子T1に供給される電源電位VBは、この電源電位VBに重畳したサージ電圧を吸収するバリスタ等で構成されたサージ保護回路20に接続されており、このサージ保護回路20の出力電位VB1から、車載センサ1の内部で使用する安定化した制御用電源電圧Vcc1(=+5V),Vcc2(=+3.3V)が安定化電源回路30により生成されている。なお、マイクロプロセッサ10のVcc端子は、制御用電源電圧Vcc2(=+3.3V)に接続されており、マイクロプロセッサ10は、この制御用電源電圧Vcc2で駆動されている。また、CANトランシーバ50は、Vcc端子に接続される制御用電源電圧Vcc1(=+5V)と、Vio端子に接続される制御用電源電圧Vcc2(=+3.3V)の2つの電源で駆動されている。
【0035】
バス接続コネクタ40の端子T3,T4は、車載センサ1の外部で、接続路100〜400のうち通信接続路130(線路131,132)を通じて、CANバスの通信線CANH,CANLに接続される通信外部端子であり、車載センサ1の内部では、CANトランシーバ50に接続されている。また、CANトランシーバ50は、CANコントローラであるマイクロプロセッサ10のシリアル通信ポートTxD,RxDに接続されている。車載センサ1は、バス接続コネクタ40の端子T3,T4に接続される通信接続路130及び通信線CANH,CANLを通じて、ECUとの間で通信データをやりとりする。なお、ECUは、CANバスに接続された機器を固有の識別子(固有識別子IDK)によって指定し、各機器との通信を行う。このため、各車載センサ1に、CANバス上で重複しない固有識別子IDKを割り当てることが必要となる。
【0036】
バス接続コネクタ40の設定用外部端子である3つ(n=3個)の端子T5,T6,T7はそれぞれ、接続路100〜400の設定路140〜440により、車載センサ1の外部で、いずれの電位にも接続されない開放状態(第1接続状態)と接地電位GNDに接続した接地状態(第2接続状態)の2つの接続状態のうち、いずれかの接続状態にされる。なお、前述したように、
図1では、接続路100の設定路140(実線で示す線路141及び線路142、並びに、破線で示す存在しない線路143)により、端子T5,T6が接地電位GNDに接続した接地状態(第2接続状態)とされており、端子T6が開放状態(第1接続状態)とされている。
【0037】
これら3つの端子T5,T6,T7は、それぞれサージノイズ等に対する保護用のダイオードD1,D2,D3のカソード側に接続されており、これらダイオードD1,D2,D3のアノード側は、それぞれ抵抗器R1,R2,R3を介して制御用電源電圧Vcc2(=+3.3V)に接続されている。すなわち、端子T5,T6,T7は、それぞれ保護用のダイオードD1,D2,D3及び抵抗器R1,R2,R3を介して制御用電源電圧Vcc2に接続されている。そして、この抵抗器R1,R2,R3を介して制御用電源電圧Vcc2に接続するダイオードD1,D2,D3のアノード側は、それぞれマイクロプロセッサ10のデジタルの入力ポートI1,I2,I3に接続されている。
これにより、端子T5,T6,T7が開放状態(第1接続状態)の場合には、入力ポートI1,I2,I3の入力レベルは、制御用電源電圧Vcc2(=+3.3V)に等しく、マイクロプロセッサ10は、これをハイレベルと認識する。一方、端子T5,T6,T7が接地電位GNDに接続された場合(第2接続状態)には、入力ポートI1,I2,I3の入力レベルは、接地電位GNDに対してダイオードD1,D2,D3の順方向電圧分だけ高い約0.7Vであり、マイクロプロセッサ10は、これをローレベルと認識する。
【0038】
そこで、この車載センサ1のマイクロプロセッサ10は、接続路100〜400を通じて、バス接続コネクタ40がCANバス(通信バス)に接続された状態で、車載センサ1の電源が投入されたときに、端子T5,T6,T7のそれぞれについて、開放状態とされているか、接地電位GNDに接続されているかの接続状態を、入力ポートI1,I2,I3の入力レベルにより判別する(接続判別部)。具体的には、例えば、入力ポートI1の入力レベルがハイレベルである場合に、この入力ポートI1が接続している端子T5が開放状態(第1接続状態)であると判断し、入力ポートI1の入力レベルがローレベルである場合に、この入力ポートI1が接続している端子T5が接地電位GNDに接続されている(第2続状態)と判断する。入力ポートI2に繋がっている端子T6及び入力ポートI3に繋がっている端子T7についても同様である。
【0039】
本実施形態1では、設定用外部端子として3つの端子T5,T6,T7を有しており、それぞれを開放状態(第1接続状態)と接地状態(第2接続状態)の2つの接続状態のうちのいずれかの接続状態にするとすれば、3つの端子T5,T6,T7の接続状態がとり得る組合せは、2
3=8通りである。
【0041】
表1は、設定用外部端子である3つの端子T5,T6,T7の接続状態がとり得る2
3=8通りの組合せを、3ビットの8個の符号(表中のT5,T6,T7の組合せ)で表し、この8個の符号を、隣同士では1ビットのみ異なる順序に並べた符号テーブルに並ぶ8個の符号を示した表である。ここで、8個の符号は、表中の上から下に向けて、以下の順に並んでいる。
[000],[001],[011],[010],[110],[111],[101],[100]
【0042】
なお、本実施形態1の車載センサシステム2において、車載センサ1のCANバス(接続バス)への接続数mは、前述したように、m=4個とされている。そこで、本実施形態1の車載センサ1では、表1に示す符号テーブル上に並ぶ2
3=8個の符号のうち、一つとびに位置する偶数番目の[001],[010],[111],[100]の2
2=4個の符号の中からm=4個の符号(4個中の4個すべて)を選択し、車載センサシステム2における4つのセンサ接続箇所C1〜C4に、それぞれ対応するm=4個の有効符号として、マイクロプロセッサ10のメモリ11(フラッシュメモリまたはPROM)に記憶している。また、メモリ11は、これら4個の有効符号と共に、有効符号にそれぞれ対応する4個の有効識別子IDE(0x410,0x420,0x430,0x440)を記憶している(識別子記憶部)。
そして、車載センサ1の接続判別部で判別した3つの端子T5,T6,T7の接続状態の組合せを、これに対応する3ビットの判別符号で表したとき、この判別符号が、[001],[010],[111],[100]の4個の有効符号のいずれかと一致した場合に、この一致した有効符号に対応して記憶されている有効識別子IDEを、CANバス(通信バス)での通信で用いる車載センサ1の固有識別子IDKとして設定する(識別子設定部)。
【0043】
そこで、車載センサシステム2では、接続路100〜400の設定路140〜440により、4個の車載センサ1のそれぞれについて、3つの端子T5,T6,T7の接続状態の組合せに対応する3ビットの判別符号が、[001],[010],[111],[100]の4個の有効符号のいずれかに一致するように設定している。
具体的には、センサ接続箇所C1に対応する接続路100の設定路140は、前述したように、端子T5,T6が接地電位GNDに接続され、端子T7が開放状態とされる組合せとなるように定めてある。したがって、センサ接続箇所C1に接続された車載センサ1の端子T5,T6,T7の接続状態は、マイクロプロセッサ10の入力ポートI1,I2,I3を通じて、それぞれ、ローレベル,ローレベル,ハイレベルと判別され、これに対応する判別符号は、4個の有効符号のうちの[001]となる。これにより、センサ接続箇所C1に接続された車載センサ1には、有効符号の[001]に対応する有効識別子IDEである0x410が、固有識別子IDKとして割り当てられる。
【0044】
また、センサ接続箇所C2に対応する接続路200の設定路240は、端子T5,T7が接地電位GNDに接続され、端子T6が開放状態とされる組合せとなるように定めてある。したがって、センサ接続箇所C2に接続された車載センサ1の端子T5,T6,T7の接続状態は、マイクロプロセッサ10の入力ポートI1,I2,I3を通じて、それぞれ、ローレベル,ハイレベル,ローレベルと判別され、対応する判別符号は、4個の有効符号のうちの[010]となる。これにより、センサ接続箇所C2に接続された車載センサ1には、有効符号の[010]に対応する有効識別子IDEである0x420が、固有識別子IDKとして割り当てられる。
【0045】
また、センサ接続箇所C3に対応する接続路300の設定路340は、端子T5,T6,T7がいずれも開放状態とされる組合せとなるように定めてある。したがって、センサ接続箇所C3に接続された車載センサ1の端子T5,T6,T7の接続状態は、マイクロプロセッサ10の入力ポートI1,I2,I3を通じて、いずれもハイレベルと判別され、対応する判別符号は、4個の有効符号のうちの[111]となる。これにより、センサ接続箇所C3に接続された車載センサ1には、有効符号の[111]に対応する有効識別子IDEである0x430が、固有識別子IDKとして割り当てられる。
【0046】
さらに、センサ接続箇所C4に対応する接続路400の設定路440は、端子T5が開放状態とされ、端子T6,T7が接地電位GNDに接続される組合せとなるように定めてある。したがって、センサ接続箇所C4に接続された車載センサ1の端子T5,T6,T7の接続状態は、マイクロプロセッサ10の入力ポートI1,I2,I3を通じて、それぞれ、ハイレベル,ローレベル,ローレベルと判別され、対応する判別符号は、4個の有効符号のうちの[100]となる。これにより、センサ接続箇所C4に接続された車載センサ1には、有効符号の[100]に対応する有効識別子IDEである0x440が、固有識別子IDKとして割り当てられる。
【0047】
以上により、センサ接続箇所C1〜C4に接続された4個の車載センサ1には、固有識別子IDKとして、4個の有効符号に対応する有効識別子IDEである0x410,0x420,0x430,0x440が、それぞれ重複することなく割り当てられる。これにより、この車載センサ1では、固有識別子IDKをあらかじめ割り当てることが不要であり、車載センサシステム2において、各車載センサ1の固有識別子IDKを自動的に互いに異なる設定とすることができる。
また、この車載センサ1では、4個の有効符号を、上述のように合理的に割り当てることによって、設定用外部端子である端子T5,T6,T7の接続状態についての故障検知の可能性を高めたセンサとなっている。即ち、端子T5,T6,T7の接続状態を定める設定路140〜440の断線や接地電位GNDへの短絡など、3つの端子T5,T6,T7の接続状態に関し、このうちの1箇所のみの故障である1ビット故障が生じた場合には、判別符号は必ず、4個の有効符号以外の符号(具体的には[000],[011],[110],[101])のいずれかとなる。このため、この車載センサ1では、1ビット故障が生じた場合には、確実に検知が可能となっている。なお、端子T5,T6,T7の接続状態について、同時に2箇所以上の故障が生じる確率は、1ビット故障が生じる確率に比して低いため、この車載センサ1では、高い確率で故障検知が可能となっている。
【0048】
例えば、4つの車載センサ1のうち、あるセンサについて1ビット故障が生じて、判別符号が、有効符号以外の[000]になったとする。この場合には、正常であれば、有効符号のうちの[001],[010],[100]のいずれかとなるはずのセンサについて、1ビット故障が生じていると考えられる。
【0049】
このように、この車載センサ1について、判別符号が4個の有効符号のいずれとも一致しない場合には、1ビット故障が生じていることを認識することができる。ただし、このようにして、1ビット故障が生じていることを認識することができても、車載センサ1の単体では、3つの端子T5,T6,T7のうち、いずれの箇所に故障を生じているかを特定することはできない。
【0050】
そこで、この車載センサ1は、判別符号が4個の有効符号のいずれとも一致しない場合には、CANバス(通信バス)から、これに接続された他の3個の車載センサ1が通信で用いている固有識別子IDKを取得する。これにより、記憶されている0x410,0x420,0x430,0x440の4個の有効識別子IDEのうち、他の車載センサ1が用いている使用済みの固有識別子IDKのいずれとも相違して未使用となっている有効識別子IDEを特定する。
そして、未使用の有効識別子IDEが1つ特定できた場合には、さらに、この未使用の有効識別子IDEに対応する有効符号と、取得した判別符号とが3ビットのうちの1ビットのみ異なっているか否かを判断する。そして、異なっているのが1ビットのみである場合は、1ビット故障が生じたこと及び特定した未使用の有効識別子IDEが、固有識別子IDKとして設定すべき値であることが確定されるので、この特定した未使用の有効識別子IDEを、訂正した固有識別子IDKとして設定する。
【0051】
次いで、本実施形態1に係る車載センサ1のうち、固有識別子IDKを設定するためのマイクロプロセッサ10の動作を、
図3のフローチャートを参照して説明する。
マイクロプロセッサ10の電源が投入されると、初期設定の後に、まず、ステップS1で、マイクロプロセッサ10の3つの入力ポートI1,I2,I3の入力レベルを読み取る。
【0052】
次いで、ステップS2では、ステップS1で読み取った3つの入力ポートI1,I2,I3の入力レベルがそれぞれハイレベルであるかローレベルであるかによって、端子T5,T6,T7の接続状態を確定する。
そして、続くステップS3では、ステップS2で確定した端子T5,T6,T7の接続状態の組合せに対応する3ビットの判別符号を取得する。
【0053】
次いで、ステップS4では、メモリ11に記憶している[001],[010],[111],[100]の4個の有効符号のうち、ステップS3で取得した判別符号に一致する有効符号があるか否かを判断する。前述したように、端子T5,T6,T7は、正常であれば、判別符号が[001],[010],[111],[100]の4個の有効符号のいずれかに一致するように設定されている。
判別符号に一致する有効符号があれば、ステップS4でYesとなって、ステップS9に進む。一方、判別符号に一致する有効符号がない場合には、ステップS4でNoとなって、ステップS5に進む。
【0054】
ステップS9に進んだ場合は、このステップS9で、判別符号に一致した有効符号に対応してメモリ11に記憶されている有効識別子IDE(0x410,0x420,0x430,0x440の4個のうちのいずれか)を、固有識別子IDKとして設定する。以上により、マイクロプロセッサ10による固有識別子IDKの設定が正常に終了する。
【0055】
一方、ステップS5に進んだ場合は、このステップS5で、CANバス(通信バス)から、これに接続された当該車載センサ1を除く他の3個の車載センサ1が通信で用いている固有識別子IDKを取得する。そして、他の車載センサ1の固有識別子IDKの取得が終了すると、ステップS6に進む。
【0056】
ステップS6では、メモリ11に記憶されている0x410,0x420,0x430,0x440の4個の有効識別子IDEのうち、他の車載センサ1が用いている使用済み固有識別子IDKのいずれとも相違して未使用となっている有効識別子IDEを特定し、この未使用の有効識別子IDEが1つ特定できたか否かを判別する。そして、未使用の有効識別子IDEが1つ特定できた場合には、このステップS6でYesとなって、ステップS7に進む。一方、これに当てはまらない場合は、ステップS6でNoとなり、ステップS10に進み、端子T5,T6,T7の接続状態について故障と判断し、故障通知用の予約された識別子を用いて、ECUに異常を通知する。そして、マイクロプロセッサ10は、そのまま固有識別子IDKの設定を行わず、処理を終了する。
【0057】
ステップS7では、未使用の有効識別子IDEに対応する有効符号([001],[010],[111],[100]のうちのいずれか)と、ステップS3で取得した判別符号とが3ビットのうちの1ビットのみ異なっているか否かを判断する。そして、異なっているのが1ビットのみである場合は、このステップS7でYesとなって、ステップS8に進む。一方、これに当てはまらない場合は、ステップS7でNoとなり、ステップS6でNoとなった場合と同様に、ステップS10に進み、故障通知用の予約された識別子を用いてECUに異常を通知した後、マイクロプロセッサ10は、そのまま固有識別子IDKの設定を行わず、処理を終了する。
【0058】
ステップS8では、ステップS6で特定した未使用の有効識別子IDEを、訂正した固有識別子IDKとして設定する。これにより、マイクロプロセッサ10による固有識別子IDKの設定が終了する。
【0059】
なお、本実施形態1では、ステップS1〜S2を実行しているマイクロプロセッサ10が、接続判別部に相当する。また、ステップS5を実行しているマイクロプロセッサ10が、他識別子取得手段に相当し、ステップS6〜S8を実行しているマイクロプロセッサ10が、識別子訂正設定部に相当する。また、これらを含むステップS3〜S9を実行しているマイクロプロセッサ10が、識別子設定部に相当する。また、マイクロプロセッサ10のメモリ11が識別子記憶部に相当する。
【0060】
次いで、
図2に示す車載センサシステム2について説明する。この車載センサシステム2では、4組の接続路100,200,300,400を通じて、本実施形態1に係る同一仕様の車載センサ1をCANバスに4個接続している。なお、4組の接続路100,200,300,400は、前述したように、センサ接続コネクタ110〜410のコネクタ仕様は共通であり、電源線路120及び通信接続路130についてもすべて共通である。但し、各車載センサ1の端子T5,T6,T7の接続状態を定める設定路140,240,340,440の接続状態の組合せが、互いに異ならせてある。また、この設定路140〜440により、各車載センサ1の端子T5,T6,T7の接続状態の組合せは、これに対応する判別符号が、それぞれ[001],[010],[111],[100]の4個の有効符号のいずれかに一致するように定められている。これにより、この車載センサシステム2では、各車載センサ1の端子T5,T6,T7の接続状態を互いに異なる状態にして、4通りの固有識別子IDKを設定している。
【0061】
本実施形態1では、車載センサシステム2において、複数の車載センサ1のそれぞれに固有識別子IDKを設定する識別子設定方法に関し、ステップS1〜S2が、接続判別ステップに相当する。また、ステップS3〜S9が、識別子設定ステップに相当する。さらに、この識別子設定ステップのうち、ステップS5が、他識別子取得ステップに相当し、ステップS6〜S8が、識別子訂正設定ステップに相当する。
【0062】
以上で説明したように、本実施形態1の車載センサ1では、固有識別子IDKをあらかじめ割り当てることを不要とした上で、有効識別子IDEに対応させた4個の有効符号を合理的に割り当てている。これにより、設定用外部端子である端子T5,T6,T7の接続状態に1ビット故障が生じた場合には、確実に検知が可能であり、端子T5,T6,T7の接続状態についての故障検知の可能性を高めたセンサとなっている。
【0063】
さらに、本実施形態1の車載センサ1では、判別された端子T5,T6,T7の接続状態の組合せに対応する判別符号が、4個の有効符号のいずれとも一致しなかった場合、まず、当該車載センサ1を除く他の3個の車載センサ1が用いている固有識別子IDKを取得し、未使用となっている有効識別子IDEを特定する。さらに、特定された未使用の有効識別子IDEが1つのみであり、かつ、この未使用の有効識別子IDEに対応する有効符号と、取得した判別符号とが1ビットのみ異なっていることが判明した場合には、この特定した未使用の有効識別子IDEを、固有識別子IDKとして設定する。
かくして、車載センサ1の端子T5,T6,T7の接続状態に1ビット故障が生じていても、訂正された固有識別子IDKを用いて、CANバス(通信バス)での通信が可能となる。
【0064】
また、本実施形態1に係る車載センサシステム2では、4個の車載センサ1に、あらかじめ固有識別子IDKを割り当てることを不要とし、各車載センサ1の固有識別子IDKを自動的に互いに異なる設定にできる。しかも、各車載センサ1の設定用外部端子である端子T5,T6,T7の接続状態についての故障検知の可能性を高めた車載センサシステム2が得られる。
【0065】
また、本実施形態1に係る識別子設定方法では、接続路100〜400を通じて、各車載センサ1のバス接続コネクタ40がCANバス(通信バス)に接続された状態において、接続判別ステップ(ステップS1〜S2)で設定用外部端子である端子T5,T6,T7の接続状態を判別し、判別した判別符号が有効符号のいずれかと一致した場合には、識別子設定ステップ(ステップS3〜S9)で車載センサ1の固有識別子IDKを設定する。
これにより、すべての車載センサ1について、固有識別子IDKを互いに異ならせて設定でき、かつ、設定用外部端子である端子T5,T6,T7の接続状態についての故障検知の可能性を高めてある。
【0066】
さらに、本実施形態1に係る識別子設定方法では、他識別子取得ステップ(ステップS5)と識別子訂正設定ステップ(ステップS6〜S8)とを備えている。即ち、判別された端子T5,T6,T7の接続状態の組合せに対応する判別符号が、4個の有効符号のいずれとも一致しなかった場合には、まず、他識別子取得ステップ(ステップS5)で、他の3個の車載センサ1が用いている固有識別子IDKの情報を取得し、未使用となっている有効識別子IDEを特定する。さらに、識別子訂正設定ステップ(ステップS6〜S8)により、未使用の有効識別子IDEが1つ特定でき、かつ、この未使用の有効識別子IDEに対応する有効符号と、取得した判別符号とが1ビットのみ異なっている場合には、特定した未使用の有効識別子IDEを固有識別子IDKとして、当該車載センサ1に設定する。これにより、訂正された固有識別子IDKを用いて、CANバス(通信バス)での通信が可能となる。
【0067】
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図4は、車両VEに搭載された、本実施形態2に係る車載センサ1Aの概略構成を示す図である。また、
図5は、複数の車載センサ1Aを、車両VEに構築された通信バスであるCANバスを介してECUに接続した車載センサシステム2Aの概略図である。
【0068】
本実施形態2に係る車載センサ1Aは、
図4に示すように、主として、マイクロプロセッサ10A、CANトランシーバ50、サージ保護回路20、安定化電源回路30、及び、7つの端子T1〜T7を有するバス接続コネクタ40を備えており、ハードウェアの構成は、実施形態1に係る車載センサ1(
図1参照)と同様である。したがって、この車載センサ1Aでも、バス接続コネクタ40の7つの端子T1〜T7のうち、端子T5,T6,T7の3つ(n=3個)の端子が、設定用外部端子である。
また、本実施形態2では、車載センサシステム2AにおけるCANバス(通信バス)へ接続される車載センサ1Aの接続数は、2
n-1<m≦(2
n−2)の関係を満たすm=6個とされており、車両VE内の6つのセンサ接続箇所C1〜C6に、車載センサ1Aが接続している。
【0069】
車載センサシステム2Aにおいて、センサ接続箇所C1〜C6の6個の車載センサ1Aは、
図4及び
図5に示すように、バス接続コネクタ40に嵌合するセンサ接続コネクタ110,210,310,410,510,610を含む6組の接続路100,200,300,400,500,600を通じて、それぞれCANバス(通信線CANH,CANL)及び電源ライン(VSUP線,COM線)に接続されている。
【0070】
まず、接続路100〜600について説明する。
センサ接続箇所C1〜C6に対応する接続路100〜600は、それぞれ、センサ接続コネクタ110〜610のほか、このセンサ接続コネクタ110〜610に嵌合するバス接続コネクタ40の端子T1,T2を電源ラインのVSUP線,COM線に接続する一組の電源線路120(線路121,122)、及び、バス接続コネクタ40の端子T3,T4をCANバスの通信線CANH,CANLに接続する一組の通信接続路130(線路131,132)を有する。
さらに、接続路100〜600は、それぞれ、車載センサ1Aの外部でバス接続コネクタ40の3つ(n=3個)の端子T5,T6,T7についての接続状態を定める一組の設定路140(線路141,142,143),240,340,440,540,640を有する。
【0071】
なお、
図4では、設定路140のうち、実線で示す線路141及び線路142は、電源ラインのCOM線に接続している。これにより、接続路100に接続するバス接続コネクタ40の端子T5及び端子T6は、車載センサ1の外部で接地電位GNDに接続されている。また、破線で示す線路143は、実際には存在しておらず、COM線には未接続である。これにより、接続路100に接続するバス接続コネクタ40の端子T7は、車載センサ1の外部でいずれの電位にも接続されない開放状態とされている。即ち、接続路100の設定路140(線路141,142,143)は、端子T5,T6が接地電位GNDに接続され、端子T7が開放状態とされる組合せとなるように定めてある。
【0072】
また、接続路200,300,400,500,600は、接続路100の設定路140に代えて、それぞれ設定路240,340,440,540,640を有する。図示しないが、設定路240は、端子T5が接地電位GNDに接続され、端子T6,T7が開放状態とされる組合せとなるように定めてある。また、設定路340は、端子T5,T7が接地電位GNDに接続され、端子T6が開放状態とされる組合せとなるように定めてある。また、設定路440は、端子T5,T6,T7がいずれも開放状態とされる組合せとなるように定めてある。また、設定路540は、端子T5,T7が開放状態とされ、端子T6が接地電位GNDに接続される組合せとなるように定めてある。また、設定路640は、端子T5が開放状態とされ、端子T6,T7が接地電位GNDに接続される組合せとなるように定めてある。
【0073】
このように、6組の接続路100〜600毎に、各設定路140,240,340,440,540,640が定める端子T5,T6,T7の接続状態の組合せが、互いに異ならせてある。なお、接続路100〜600のうち、センサ接続コネクタ110〜610は、それぞれ異なる設定路140〜640が繋がっている点を除き、コネクタの仕様は共通である。また、設定路140〜640及びセンサ接続コネクタ110〜610以外の電源線路120及び通信接続路130については、接続路100〜600ですべて共通である。
【0074】
次いで、車載センサ1Aについて説明する。なお、車載センサ1Aのうち、実施形態1に係る車載センサ1と同様の部分については、説明を省略する。
バス接続コネクタ40の設定用外部端子である3つ(n=3個)の端子T5,T6,T7はそれぞれ、接続路100〜600の設定路140〜640により、車載センサ1Aの外部で、いずれの電位にも接続されない開放状態(第1接続状態)と接地電位GNDに接続した接地状態(第2接続状態)の2つの接続状態のうち、いずれかの接続状態にされる。なお、前述したように、
図4では、接続路100の設定路140(実線で示す線路141及び線路142、並びに、破線で示す存在しない線路143)により、端子T5,T6が接地電位GNDに接続した接地状態(第2接続状態)とされており、端子T6が開放状態(第1接続状態)とされている。
【0075】
車載センサ1Aのマイクロプロセッサ10Aは、接続路100〜600を通じて、バス接続コネクタ40がCANバス(通信バス)に接続された状態で、車載センサ1Aの電源が投入されたときに、端子T5,T6,T7のそれぞれについて、開放状態とされているか、接地電位GNDに接続されているかの接続状態を、入力ポートI1,I2,I3の入力レベルがハイレベルであるかローレベルであるかにより判別する(接続判別部)。
【0077】
表2は、表1と同様に、設定用外部端子である3つの端子T5,T6,T7の接続状態がとり得る2
3=8通りの組合せを、3ビットの8個の符号で表し、この8個の符号を、隣同士では1ビットのみ異なる順序に並べた符号テーブルに並ぶ8個の符号を示した表である。表1と同様、8個の符号は、表中の上から下に向けて、以下の順に並んでいる。
[000],[001],[011],[010],[110],[111],[101],[100]
【0078】
なお、本実施形態2の車載センサシステム2Aにおいて、車載センサ1AのCANバス(接続バス)への接続数mは、前述したように、m=6個とされている。そこで、本実施形態2の車載センサ1Aでは、表2に示す符号テーブル上に並ぶ2
3=8個の符号のうち、一つとびに位置する偶数番目の[001],[010],[111],[100]の2
2=4個の符号を、有効符号として割り当てて記憶する。これに加えて、符号テーブル上の残りの奇数番目の[000],[011],[110],[101]の2
2=4個の符号の中から選択した[011],[101]の2(=m−2
2)個の符号も、有効符号として割り当てて、合計m=6個の有効符号を記憶する。すなわち、本実施形態2の車載センサ1Aでは、表2に示す符号テーブル上に並ぶ8個の符号のうち、奇数番目の互いに隣り合わない位置に位置する[000],[110]の2個の符号を除いた、残りの[001],[011],[010],[111],[101],[100]の6個の符号を、車載センサシステム2Aにおける6つのセンサ接続箇所C1〜C6に、それぞれ対応するm=6個の有効符号として、マイクロプロセッサ10Aのメモリ11Aに記憶している。また、メモリ11Aには、これら6つの有効符号と共に、これらの有効符号にそれぞれ対応する6個の有効識別子IDE(0x410,0x420,0x430,0x440,0x450,0x460)を記憶している(識別子記憶部)。
そして、車載センサ1Aの接続判別部で判別した3つの端子T5,T6,T7の接続状態の組合せを、これに対応する3ビットの判別符号で表したとき、この判別符号が、[001],[011],[010],[111],[101],[100]の6個の有効符号のいずれかと一致した場合に、この一致した有効符号に対応して記憶されている有効識別子IDEを、CANバス(通信バス)での通信で用いる車載センサ1Aの固有識別子IDKとして設定する(識別子設定部)。
【0079】
そこで、車載センサシステム2Aでは、接続路100〜600の設定路140〜640により、6個の車載センサ1Aのそれぞれについて、3つの端子T5,T6,T7の接続状態の組合せに対応する3ビットの判別符号が、[001],[011],[010],[111],[101],[100]の6個の有効符号のいずれかに一致するように設定している。
具体的には、センサ接続箇所C1に対応する接続路100の設定路140は、前述したように、端子T5,T6が接地電位GNDに接続され、端子T7が開放状態とされる組合せとなるように定めてある。したがって、センサ接続箇所C1に接続された車載センサ1Aの端子T5,T6,T7の接続状態は、マイクロプロセッサ10Aの入力ポートI1,I2,I3を通じて、それぞれ、ローレベル,ローレベル,ハイレベルと判別され、これに対応する判別符号は、6個の有効符号のうちの[001]となる。これにより、センサ接続箇所C1に接続された車載センサ1Aには、有効符号の[001]に対応する有効識別子IDEである0x410が、固有識別子IDKとして割り当てられる。
【0080】
また、センサ接続箇所C2に対応する接続路200の設定路240は、端子T5が接地電位GNDに接続され、端子T6,T7が開放状態とされる組合せとなるように定めてある。したがって、センサ接続箇所C2に接続された車載センサ1Aの端子T5,T6,T7の接続状態は、マイクロプロセッサ10Aの入力ポートI1,I2,I3を通じて、それぞれ、ローレベル,ハイレベル,ハイレベルと判別され、対応する判別符号は、6個の有効符号のうちの[011]となる。これにより、センサ接続箇所C2に接続された車載センサ1Aには、有効符号の[011]に対応する有効識別子IDEである0x420が、固有識別子IDKとして割り当てられる。
【0081】
また、センサ接続箇所C3に対応する接続路300の設定路340は、端子T5,T7が接地電位GNDに接続され、端子T6が開放状態とされる組合せとなるように定めてある。したがって、センサ接続箇所C3に接続された車載センサ1Aの端子T5,T6,T7の接続状態は、マイクロプロセッサ10Aの入力ポートI1,I2,I3を通じて、それぞれ、ローレベル,ハイレベル,ローレベルと判別され、対応する判別符号は、6個の有効符号のうちの[010]となる。これにより、センサ接続箇所C3に接続された車載センサ1Aには、有効符号の[010]に対応する有効識別子IDEである0x430が、固有識別子IDKとして割り当てられる。
【0082】
また、センサ接続箇所C4に対応する接続路400の設定路440は、端子T5,T6,T7がいずれも開放状態とされる組合せとなるように定めてある。したがって、センサ接続箇所C4に接続された車載センサ1Aの端子T5,T6,T7の接続状態は、マイクロプロセッサ10Aの入力ポートI1,I2,I3を通じて、いずれもハイレベルと判別され、対応する判別符号は、6個の有効符号のうちの[111]となる。これにより、センサ接続箇所C4に接続された車載センサ1Aには、有効符号の[111]に対応する有効識別子IDEである0x440が、固有識別子IDKとして割り当てられる。
【0083】
また、センサ接続箇所C5に対応する接続路500の設定路540は、端子T5,T7が開放状態とされ、端子T6が接地電位GNDに接続される組合せとなるように定めてある。したがって、センサ接続箇所C5に接続された車載センサ1Aの端子T5,T6,T7の接続状態は、マイクロプロセッサ10Aの入力ポートI1,I2,I3を通じて、それぞれ、ハイレベル,ローレベル,ハイレベルと判別され、対応する判別符号は、6個の有効符号のうちの[101]となる。これにより、センサ接続箇所C5に接続された車載センサ1Aには、有効符号の[101]に対応する有効識別子IDEである0x450が、固有識別子IDKとして割り当てられる。
【0084】
さらに、センサ接続箇所C6に対応する接続路600の設定路640は、端子T5が開放状態とされ、端子T6,T7が接地電位GNDに接続される組合せとなるように定めてある。したがって、センサ接続箇所C6に接続された車載センサ1Aの端子T5,T6,T7の接続状態は、マイクロプロセッサ10Aの入力ポートI1,I2,I3を通じて、それぞれ、ハイレベル,ローレベル,ローレベルと判別され、対応する判別符号は、6個の有効符号のうちの[100]となる。これにより、センサ接続箇所C6に接続された車載センサ1には、有効符号の[100]に対応する有効識別子IDEである0x460が、固有識別子IDKとして割り当てられる。
【0085】
以上により、センサ接続箇所C1〜C6に接続された6個の車載センサ1Aには、固有識別子IDKとして、6個の有効符号に対応する有効識別子IDEである0x410,0x420,0x430,0x440,0x450,0x460が、それぞれ割り当てられる。これにより、この車載センサ1Aでは、固有識別子IDKをあらかじめ割り当てることが不要であり、車載センサシステム2Aにおいて、各車載センサ1Aの固有識別子IDKを互いに異なる設定とすることができる。
また、この車載センサ1Aでは、6個の有効符号を、上述のように割り当てることによって、設定用外部端子の端子数(n=3個)に対する車載センサ1AのCANバスへの接続数(m=6個)を多くする一方、設定用外部端子である端子T5,T6,T7の接続状態についての故障検知の可能性を高めたセンサとしている。
【0086】
例えば、判別符号が、有効符号以外の[000]となったとする。この場合には、正常であれば、有効符号のうちの[001],[010],[100]となる場合のいずれかについて、1ビット故障が生じていることを認識することができる。同様に、判別符号が、有効符号以外の[110]となった場合には、正常であれば、有効符号のうちの[010],[111],[100]となる場合のいずれかについて、1ビット故障が生じていることを認識することができる。一方、有効符号のうち、[011],[101]の2個については、1ビット故障が生じても、他の有効符号のいずれかと重なって有効符号以外の符号にはならないため、1ビット故障が生じていることを認識することはできない。したがって、この車載センサ1Aでは、すべての故障を検知することができないが、有効符号以外の符号(無効符号)を奇数番目の互いに隣り合わない位置に配置することによって、1ビット故障が生じた場合に、判別符号が無効符号に一致する場合の数が最大となり、故障を検知できる可能性を高めてある。
【0087】
また、この車載センサ1Aは、実施形態1に係る車載センサ1と同様に、1ビット故障が生じても、可能な場合には、訂正した固有識別子IDKを設定する。すなわち、判別符号が6個の有効符号のいずれとも一致しない場合には、CANバス(通信バス)から、これに接続された当該車載センサ1Aを除く6個中の5個の他の車載センサ1Aが通信で用いている固有識別子IDKを取得する。これにより、記憶されている0x410,0x420,0x430,0x440,0x450,0x460の6個の有効識別子IDEのうち、他の車載センサ1Aが用いている使用済みの固有識別子IDKのいずれとも相違して未使用となっている有効識別子IDEを特定する。
そして、未使用の有効識別子IDEが1つ特定できた場合には、さらに、この未使用の有効識別子IDEに対応する有効符号と、取得した判別符号とが3ビットのうちの1ビットのみ異なっているか否かを判断する。そして、異なっているのが1ビットのみである場合は、1ビット故障が生じたこと及び特定した未使用の有効識別子IDEが、固有識別子IDKとして設定すべき値であることが確定されるので、この特定した未使用の有効識別子IDEを、訂正した固有識別子IDKとして設定する。
【0088】
なお、本実施形態2の車載センサ1Aでは、マイクロプロセッサ10Aのメモリ11Aに記憶している有効符号及び有効識別子IDEの割り当ては、実施形態1に係る車載センサ1と異なるものの、固有識別子IDKを設定するためのマイクロプロセッサ10Aの動作は、
図3に示す実施形態1のフローチャートと同じである。このため、本実施形態2では、マイクロプロセッサ10Aの動作フローについては、説明を省略する。
したがって、本実施形態2では、実施形態1と同様に、
図3において、ステップS1〜S2を実行しているマイクロプロセッサ10Aが、接続判別部に相当する。また、ステップS5を実行しているマイクロプロセッサ10Aが、他識別子取得手段に相当し、ステップS6〜S8を実行しているマイクロプロセッサ10Aが、識別子訂正設定部に相当する。また、これらを含むステップS3〜S9を実行しているマイクロプロセッサ10Aが、識別子設定部に相当する。また、マイクロプロセッサ10Aのメモリ11Aが識別子記憶部に相当する。
【0089】
次いで、
図5に示す車載センサシステム2Aについて説明する。この車載センサシステム2Aでは、6組の接続路100,200,300,400,500,600を通じて、本実施形態2に係る同一仕様の車載センサ1AをCANバスに6個接続している。なお、6組の接続路100〜600は、各車載センサ1Aの端子T5,T6,T7の接続状態を定める設定路140,240,340,440,540,640の接続状態の組合せが、互いに異ならせてある。また、各車載センサ1の端子T5,T6,T7の接続状態の組合せは、これに対応する判別符号が、それぞれ[001],[011],[010],[111],[101],[100]の6個の有効符号のいずれかに一致するように定めてある。これにより、この車載センサシステム2Aでは、各車載センサ1Aの端子T5,T6,T7の接続状態を互いに異なる状態にして、6通りの固有識別子IDKを設定している。
【0090】
本実施形態2では、車載センサシステム2Aにおいて、複数の車載センサ1Aのそれぞれに固有識別子IDKを設定する識別子設定方法に関し、ステップS1〜S2が、接続判別ステップに相当する。また、ステップS3〜S9が、識別子設定ステップに相当する。さらに、この識別子設定ステップのうち、ステップS5が、他識別子取得ステップに相当し、ステップS6〜S8が、識別子訂正設定ステップに相当する。
【0091】
以上で説明したように、本実施形態2の車載センサ1Aでは、固有識別子IDKをあらかじめ割り当てることを不要とした上で、有効識別子IDEに対応させた6個の有効符号を合理的に割り当てることによって、設定用外部端子の端子数(n=3個)に対する車載センサ1AのCANバスへの接続数(m=6個)を多くする一方、設定用外部端子である端子T5,T6,T7の接続状態についての故障検知の可能性を高めたセンサとしている。
【0092】
さらに、本実施形態2の車載センサ1Aでは、実施形態1の車載センサ1と同様に、判別された端子T5,T6,T7の接続状態の組合せに対応する判別符号が、6個の有効符号のいずれとも一致しなかった場合、まず、当該車載センサ1Aを除く他の5個の車載センサ1Aが用いている固有識別子IDKを取得し、未使用となっている有効識別子IDEを特定する。さらに、特定された未使用の有効識別子IDEが1つのみであり、かつ、この未使用の有効識別子IDEに対応する有効符号と、取得した判別符号とが1ビットのみ異なっていることが判明した場合には、この特定した未使用の有効識別子IDEを、固有識別子IDKとして設定する。
かくして、車載センサ1Aの端子T5,T6,T7の接続状態に1ビット故障が生じていても、訂正された固有識別子IDKを用いて、CANバス(通信バス)での通信が可能となる。
【0093】
また、本実施形態2に係る車載センサシステム2Aでは、6個の車載センサ1Aに、あらかじめ固有識別子IDKを割り当てることを不要とし、各車載センサ1Aの固有識別子IDKを自動的に互いに異なる設定にできる。しかも、各車載センサ1Aの設定用外部端子である端子T5,T6,T7の接続状態についての故障検知の可能性を高めた車載センサシステム2Aが得られる。
【0094】
また、本実施形態2に係る識別子設定方法では、接続路100〜600を通じて、各車載センサ1Aのバス接続コネクタ40がCANバス(通信バス)に接続された状態において、接続判別ステップ(ステップS1〜S2)で設定用外部端子である端子T5,T6,T7の接続状態を判別し、判別した判別符号が有効符号のいずれかと一致した場合には、識別子設定ステップ(ステップS3〜S9)で車載センサ1Aの固有識別子IDKを設定する。
これにより、すべての車載センサ1Aについて、固有識別子IDKを互いに異ならせて設定でき、かつ、設定用外部端子である端子T5,T6,T7の接続状態についての故障検知の可能性を高めてある。
【0095】
さらに、本実施形態2に係る識別子設定方法では、他識別子取得ステップ(ステップS5)と識別子訂正設定ステップ(ステップS6〜S8)とを備えている。即ち、判別された端子T5,T6,T7の接続状態の組合せに対応する判別符号が、6個の有効符号のいずれとも一致しなかった場合には、まず、他識別子取得ステップ(ステップS5)で、他の5個の車載センサ1Aが用いている固有識別子IDKの情報を取得し、未使用となっている有効識別子IDEを特定する。さらに、識別子訂正設定ステップ(ステップS6〜S8)により、未使用の有効識別子IDEが1つ特定でき、かつ、この未使用の有効識別子IDEに対応する有効符号と、取得した判別符号とが1ビットのみ異なっている場合には、特定した未使用の有効識別子IDEを固有識別子IDKとして、当該車載センサ1Aに設定する。これにより、訂正された固有識別子IDKを用いて、CANバス(通信バス)での通信が可能となる。
【0096】
以上において、本発明を実施形態1,2に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態1,2では、車載センサ1,1Aは、いずれも設定用外部端子として3つ(n=3個)の端子T5,T6,T7を有していた。そして、実施形態1では、CANバスへ接続される車載センサ1の接続数は、m=4個とし、実施形態2では、車載センサ1Aの接続数は、m=6個としていた。
【0097】
しかし、実施形態1に示した発明は、設定用外部端子の端子数n(nは2以上)に対して、接続数mが、2≦m≦2
n-1の関係を満たす場合に適用可能であり、端子数n及び接続数mを適宜変更して適用することができる。例えば、n=2個であれば、m=2個の場合、n=3個であれば、m=2〜4個の場合、n=4個であれば、m=2〜8個の場合について、それぞれ適用が可能である。なお、これらのうち、接続数mが互いに重なる部分を除くと、n=3個であれば、m=3〜4個の場合、n=4個であれば、m=5〜8個の場合に適用するのに適している。
【0098】
また、実施形態2に示した発明は、設定用外部端子の端子数n(nは3以上)に対して、接続数mが、2
n-1<m≦(2
n−2)の関係を満たす場合に適用可能である。例えば、n=3個であれば、m=5〜6個の場合、n=4個であれば、m=9〜14個の場合について、それぞれ適用が可能である。なお、上述の実施形態1に示した発明では、接続数m=5〜8個の場合に、端子数はn=4個が必要となるのに対し、実施形態2に示した発明では、端子数が1つ少ないn=3個で、接続数m=5〜6個について適用が可能である。
【0099】
また、実施形態1,2では、車載センサがCANバスに接続されるセンサであったが、例えば、LINバスなど、CANバス以外の通信バスに接続される車載センサに本発明を適用しても良い。