(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、テーブル等の家具の天板の場合、上面は露出して筆記等の各種の用途に供されるため、表面の美しさや硬さ(傷つきにくさ)が求められる。この点、従来からテーブルの天板の上面を化粧体としてのメラミン化粧板で構成することは広く行われており、そこで、各特許文献1の上面を化粧板で構成したらよいと云えるが、これでは、天板の層数が増えてコストが嵩むのみならず重量も増加するという問題がある。
【0007】
本願発明はかかる現状に鑑み成されたものであり、表面(上面)の化粧性は確保しつつ簡単な構造で高い強度の家具用天板を提供すること、及び、これに関連して現実性が高くて商品価値が高い天板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は多くの構成を含んでおり、その典型を請求項で特定している。このうち請求項1の発明に係る天板は、
「軽量コア材と、前記軽量コア材の上面に接着されたメラミン化粧板、及び、前記軽量コア材の下面に接着された薄金属板
製の下面板との三層で本体が構成されており、前記本体の前端部又は後端部若しくは前端と後端との間の中間部に、左右横長の補強部材を
、前記メラミン化粧板と下面板とに
固定されるようにして配置してい
る」
という基本構成において、
「前記下面板の前端と後端とには上向きの折り曲げ片が形成されており、前記折り曲げ片の外面に化粧用のフロットエッジ及びリアエッジが固定されている一方、
前記下面板の左右両側部には、上向き起立片を有するサイドフレームが固定されており、前記サイドフレームにおける起立片の左右外面に化粧用のエッジが固定されている」
という構成になっている。
【0009】
請求項2の発明は請求項1を具体化したもので、この発明では、
前記サイドフレームには、前記下面板に下方から重なる脚の内側に突出した張り出し片を設けており、前記張り出し片に、前記脚に設けたブラケットをねじで締結するための雌ねじ部を設けている。
【0010】
【0011】
【0012】
請求項
3の発明は、
請求項1と同じ基本構成において、
「前記下面板には、当該下面板の下面に配置されるオプション部材に設けたフックが嵌まる係合穴を空けており、前記下面板のうち前記係合穴の近傍部の上面に前記補強部材が重ね配置されており、前記補強部材に、前記オプション部材のフックが上から載るフック支持部を設けている
」
という構成になっている。
【0013】
請求項
4の発明は、
請求項1〜3のうちのいずれかにおいて、
「前記軽量コア材は、平面視で並列に配置されたライナー紙の群と隣り合ったライナー紙の間に配置された波形の中芯紙の群とで構成されて上下に開口した多数の独立空間を有するダンボール積層体から成っており、前記軽量コア材が左右横長の場合は、前記ライナー紙も左右横長の姿勢になっている」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0014】
さて、特許文献1は机やテーブルの天板を対象にしており、そこで、上面は化粧性を有する上面板(化粧板)で構成しているが、天板には上から大きな荷重が掛かることがあるため、天板は上からの荷重に抗する高い強度が求められる。そこで特許文献1では、基板と裏板と発泡樹脂との三層構造体によって強度を確保しつつ、上面板で化粧性を確保している。
【0015】
他方、特許文献2は、パネルの用途として建物の内外装、間仕切、ドアなどを挙げており、更に、特許文献3は用途として自動車の内装部品を挙げているが、これらの用途ではパネルの厚さ方向に大きな荷重が掛かることはあまりないため、厚さ方向の荷重に対する強度はさほど必要ないといえる。つまり、特許文献2,3はできるだけ軽量化しつつ厚さを稼ぐことに主眼があって、ハニカム構造体はスペーサとしての役割が高いと云える。
【0016】
これに対して本願発明が対象にしている家具用天板は、特許文献1と同じであって厚さ方向の荷重(上からの荷重)に対する高い強度が要請されるが、本願発明では、軽量コア材が強度メンバーとして機能しており、上からの荷重に対しては軽量コア材を介して下面板に水平方向の引っ張り荷重(応力)が作用するため、天板の厚さをできるだけ薄くしつつ、強度を確保できる。
【0017】
しかも、メラミン化粧板と下面板との間に左右横長の補強部材が配置されているため、重量を大きく増大させることなく、上からの荷重に対する強度(曲げ強度)を格段に向上できる。その結果、汎用性を格段に向上させて、例えば長さが3mといった大型であっても、従来の木製天板やスチール製天板に置き換えて使用することが可能になる。従って、実用的価値は非常に高い。
【0018】
軽量コア材は樹脂シートを接着して製造したハニカム構造品や成形品も使用できるが、請求項
4のように紙製のダンボール積層体を使用すると、圧縮強度に優れた安価に入手できる利点がある。また、天板はその左右両端部を脚で支持してテーブルや机と成していることが普通であり、従って、天板は両端支持の状態になっていて、上からの荷重によって正面視下向き凸状に曲がる傾向を呈するが、ダンボール積層体を構成するライナー紙を左右横長の姿勢とすることで、上からの荷重に対するダンボール積層体の断面係数を格段に高くして強度を格段に向上できる。従って、請求項
4の実用的価値は高い。
【0019】
請求項1
では、下面板に前後の折り曲げ片を形成することで強度アップに貢献しつつ、折り曲げ片はエッジで覆われるため美感を損なうこともない。また、請求項
1では、正面視L形のサイドフレームが下面板の左右側端部に上から重なっているため、天板の左右側部を脚等の支持部材に固定するに際して、高い固定強度を確保できる。
【0020】
しかも、サイドフレームの起立片は外側からサイドエッジで覆われているため、サイドフレームを設けたことによって美感が損なわれることもない。また、ダンボール積層体にしても他の軽量コア材にしても、その端面は見た目が良くないことが多いが、請求項
1では、軽量コア材の左右端面はサイドフレームとサイドエッジとで覆われているため、軽量コア材には特段の美粧加工を施す必要はない。このため、軽量コア材の加工性に優れている。また、軽量コア材がダンボール積層体のように湿気を嫌う材質から成っている場合、エッジによって湿気の侵入を阻止できる利点もある。
【0021】
天板を使用してテーブル等の家具と成すには天板を脚等に固定する必要があり、その固定方法として、脚等の支持部材を直接に又はブラケットを介してねじ(ビス、ボルト) で天板に締結する方法がある。この場合、例えば下面板の上面にナットを溶接してこれに下方からねじをねじ込むことも可能であるが、この場合は、下面板が薄いと変形しやすくなるため、天板の軽量化と高い締結強度とを両立できない可能性がある。
【0022】
これに対して請求項
2のようにサイドフレームに突設した張り出し片に雌ねじ部を設けると、ねじのねじ込みによる外力が下面板に作用こるとはないため、下面板の変形を招来することなく、ブラケット等を強固に締結することができる。
【0023】
また、天板が例えば3mといった長尺である場合、左右中途部において後端部を中間脚等の中間支持部材で支持するのが好ましいが、この場合も、下面板の上面にナットを直接に固定してこれにねじをねじ込む構成であると、下面板が変形し易くなる。これに対して
実施形態のように添え板を使用すると、下面板の変形を招来することなく、天板の左右中途部を中間支持部材に強固に固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、オフィス等で使用されるテーブル(机)に適用している。まず、
図1〜
図13に示す第1実施形態を説明する。以下の説明で方向を特定するための前後・左右の文言を使用するが、この前後・左右は、テーブルと向かい合わせの普通の姿勢で使用している人を基準にしている。
図1では方向を明示している。
【0026】
(1).第1実施形態の概要
まず、
図1〜4に基づいて概要を説明する。
図1のとおり、テーブル1は、左右横長の天板2とこれを左右両側において支持する脚3とを備えており、天板2の下面には引出し4を取り付けることができる。図では複数の引出し4を左右同じ横幅に描いているが、左右幅が異なる引出し4も取り付け可能である。天板2は、例えば横幅(左右長さ)が3m程の大型である。片側仕様の天板2の場合、前後幅は600〜700mm程度が多い。
【0027】
脚3は平板状のものを使用しているが、側面視コ字型のL脚や下向き開口コ字型の門型脚も使用可能である。また、天板2の支持手段は脚3には限らず、袖キャビネットを使用することも可能である。或いは、間仕切り壁から前向きに突出したアームブラケットで天板2を
支持することも可能である。また、天板2の四隅部をそれぞれ棒状の足で支持したり、天板2の左右中途部を中間足で支持したりすることも可能である。
【0028】
本実施形態では2つのテーブル1を背中合わせに配置し、両テーブル1の間に配線枠5は左右の端足5aとその間の装架した上向き開口の配線受け樋5bを備えている。端足5aに加えて、配線受け樋5bが左右中途部において支持される中間足を設けることも可能である。前後のテーブル1は配線枠5に固定されている。配線受け樋5bには、多数に分離したカバー5cが着脱自在に装着されている。
【0029】
図3のとおり、天板2は、その厚さの大部分を保持する軽量コア材6と、その上面に接着剤で接着されたメラミン化粧板7、及び、軽量コア材6の下面に接着剤で接着された下面板8とを備えており、これら三者で天板2の本体が構成されている。軽量コア材6にはダンボール積層体を使用して、メラミン化粧板7には高圧メラミン化粧板を使用し、下面板8にはSPCC等の薄鋼板を使用している。なお、高圧メラミン化粧板は、メラミン樹脂を含浸させた紙とフェノール樹脂を含浸させた紙との多数枚を積層して加熱・加圧して一体化したもので、フェノール樹脂にメラミン層が上から積層された構造になっている。
【0030】
メラミン化粧板7と下面板8との間の空間のうち、その前端部には補強部材9が配置されている。従って、補強部材9と軽量コア材6とは前後に並んでいて、互いに密着又は近接している。天板2の前端はフロントエッジ10aで構成されて、左右両側面はサイドエッジ10bで構成され、後面はリアエッジ11で構成されている。
【0031】
図3,4のとおり、天板2の左右側部には、前後長手で正面視L形のサイドフレーム12を配置している。サイドフレーム12は鋼板製(金属板製)であって、水平片と起立片とを有する正面視L形の形態を成している。起立片は軽量コア材6の端面に横から重なっており、サイドフレーム12の起立片の外面に、樹脂製のサイドエッジ10bが接着剤で接着されている。
【0032】
サイドフレーム12の水平片は、下面板8の上面に溶接又は接着で固定されている。サイドフレーム12の前部と後部には、脚3の内側に突出した張り出し片12aを設け、その上面に、雌ねじ部の一例としてのナット13を溶接で固定している。なお、張り出し片12aにバーリング部を形成してこれにタップ加工してもよい。
【0033】
他方、脚3の内側面には、平面視でサイドフレーム12の張り出し片12aと重なる逆L形のブラケット14をビス14aで固定しており、ブラケット14の水平片14bに下方から挿通したねじ15を張り出し片12aのナット13にねじ込むことにより、天板2を脚3に固定している。
【0034】
この場合、天板2の左側部では1つの張り出し片12aについて2本のねじ15が使用されているが、天板2の右側部では1つの張り出し片12aには1つのねじ穴しか空いておらず、右側部では、1つの張り出し片12aは1本のねじで固定されている。もとより、左右両側の張り出し片12aとも同じ本数のねじ15で固定してもよい。
【0035】
図4(C)のとおり、天板2の左右中間部が、配線受け樋5bにリアブラケット16を介してねじ17で固定されている。そこで、下面板8の上面に添え板18を溶接又は接着で固定し、添え板18にナット19を固定している。軽量コア材6は、添え板18の箇所では、当該リア添え板18の厚さ分だけ削り取っている(押し潰してもよい。)。なお、天板2の左右複数の箇所を配線受け樋5bに固定しても良いし、配線受け樋5bでない中間足に天板2を固定することも可能である。
【0036】
(2).
天板の詳細
図4から容易に理解できるように、下面板8の前端には前部上向き折り曲げ片21が曲げ形成されて、下面板8の後端には後部上向き片22が形成されており、後部上向き折り曲げ片22の上端に水平片22aを前向きに形成して、水平片22aの前端は下向きに折り曲げている。従って、下面板8の後端は手前側に折り返されている。
【0037】
他方、下面板8の前端部には補強部材9を重ね配置している。補強部材9は下面板8と同じ板厚の鋼板から成っており、前部上向き折り曲げ片22に後ろから重なる下向き開口略コ字形の溝形部9aと、溝型部9aの後端に一体に設けられていて下面板8の上面に重なる後部水平片9bとを有している。後部水平片9bは請求項に記載したフック支持部であり、下面板8に接着剤による接着又はスポット溶接にて固定されている。軽量コア材6は溝形部9aの後面に当接又は近接している。このため、軽量コア材6は、補強部材9の後部水平片9bの箇所では、当該後部水平片9bの厚さ分だけ切除されるか又は押し潰されている。
補強部材9とメラミン化粧板7とは、接着で固定されている。
【0038】
溝型部9aの前端部下端にも、下面板8の上面に重なる後ろ向き水平部
9cを設けている。このため、補強部材9は剛性が高くなっていると共に、高い安定性で下面板8に固定されている。
【0039】
図5のとおり、軽量コア材6はダンボール積層体が使用されている。すなわち、軽量コア材6は、並列配置したライナー紙23の群と、隣り合ったライナー紙23の間に配置された形中芯紙(波形紙)24とで構成されており、隣り合ったライナー紙23と中芯紙24とを接着することで、多数の独立空間(セル)25が縦横(或いは斜め方向)に規則正しく並んだハニカム構造になっている。
【0040】
ライナー紙23及び中芯紙24とも、その広幅面が鉛直姿勢となるように立てられている。また、天板2は左右方向に細長い形状であるが、ライナー紙23は左右方向に長く延びる姿勢になっており、中芯紙24もジグザグを無視すると左右方向に長く延びる姿勢になっている。
【0041】
本実施形態ではライナー紙23と中芯紙24とを同じ厚さに設定しているが、ライナー紙23を厚くして中芯紙24を薄くしたり、又はその逆にするなど、両者の厚さを変えることも可能である。軽量コア材6の強度(上からの荷重に対する強度)は、ライナー紙23及び中芯紙24の厚さを調節することと、ライナー紙23の配置ピッチ(間隔)を変えること、中芯紙24におけるジグザグのピッチを変えること、鉛直方向の厚さを変えることのうちの1つ又は複数を選択することで実現できる。
【0042】
ダンボール積層体より成る軽量コア材6を製造する場合、軽量コア材6の厚さに合わせた幅のライナー用原紙及び中芯用原紙を用意して、これらを繰り出しつつ接着することで所定厚さの軽量コア材6を製造することも可能であるが、一般には、軽量コア材6の厚さの数十倍の幅の原紙を使用して大きなダンボールブロック状を製造してから、これを軽量コア材6の厚さにスライスすることが多いと云える。
【0043】
天板2の製造工程は、補強部材9とサイドフレーム12及びリア添え板18が固定された下面板8を製造しておいてから、軽量コア材6と下面板8との接着、軽量コア材6
及び補強部材9とメラミン化粧板7の接着、各エッジ10a,10b,11の接着、という手順で行われる。下面板8とメラミン化粧板7とはいずれを先に接着してもよい。接着剤は種々のものを使用できるが、2液ウレタン接着剤が好適であった。
【0044】
接着剤は軽量コア材6に塗布することも可能であるが、垂れ落ち防止や塗布厚さの均一性の点からは、メラミン化粧板7及び下面板8に塗布するのが好ましい。接着工程で均等に加圧するのは好ましい。スチール板製の部材同士の固定では、厚さが0.5mm以下の場合は、反りの防止のため、スポット溶接で固定するよりも接着剤で接着するのが好ましい。従って、例えば下面板8と補強部材9とは接着するのが好ましいといえる。
【0045】
さて、天板2は左右両端部を脚3で支持されているので、天板2に上から荷重が掛かると、
図6(B)に誇張して示すように、天板2は上向き凹状(或いは下向き凸状)に曲がろうとする傾向を呈するが、メラミン化粧板7と下面板8とは軽量コア材6を介して離れているため、メラミン化粧板7には水平方向の圧縮応力(荷重)F1が作用し、下面板8には水平方向の引っ張り応力(荷重)F2が作用する。
【0046】
そして、高圧メラミン化粧板よりなるメラミン化粧板7は圧縮に対して高い抵抗を発揮する一方、鋼板は引っ張りに対して非常に高い抵抗を発揮するため、天板2は上からの荷重に対して高い曲げ強度を発揮する。このため、奥行き600mm程度、横幅3m程度の 大型天板2であっても、全体の厚さを30mm程度として、軽量コア材6の厚さを28mm程度、メラミン化粧板7の厚さを1.2mm程度、下面板8の厚さを0.5mm程度に設定して軽量化を図りつつ必要な強度を得ることができた。特に、実施形態のように少なくとも前端部に補強部材9を設けると、強度を格段に向上できるため好ましい。
【0047】
更に、実施形態のように、天板2を軽量コア材6におけるライナー紙23の長手方向に長く延びる形態にすると、軽量コア材6の曲げ強度が格段に高くなるため、強度は一層高くなる。
【0048】
つまり、板材の特性として、
図6(C)のようにその広幅面を鉛直姿勢にして横長に配置すると、上からの荷重は、
図6(B)の場合と同様に上部では圧縮力F1として作用して下端では引っ張り力F2として作用することから、断面係数が著しく高くなって曲げに対する抵抗が格段に向上するのであり、このため、軽量コア材6の剛性も格段に高くなって、天板2の耐曲げ強度を一層向上できるのである。
【0049】
(3).引出し支持レールの前部の支持構造
次に、主として
図7以下の図面を参照して、引出し4の支持構造(すなわち、引出し支持レールの取り付け構造)を説明する。
図7では1本の引出し支持レール27を表示しているが、当然ながら、引出し4は左右一対の引出し支持レール27で支持される(
図7では右側の引出し支持レール27を表示している。)。
【0050】
支持レール6はオプション部材の一例であって、1枚の金属板を板金加工して製造されており、天板2の下面に近接して配置される上水平板28と、上水平板28の外端から垂下した垂直片29と、垂直片29の下端に曲げ形成した下水平板30とで正面視コ字状に形成されている。上水平板28は下水平板30よりも広巾に形成されている。垂直片29の前端部には、支持ローラ31が回転自在に取り付けられている。
【0051】
他方、引出し4の左右両側部の上端には、支持ローラ31に上から載る上ガイド部32を外向きに突設している。
図10に示すように、引出し4の前端には、下向きに突出した指掛け部4aを設けている。図示していないが、下水平板30の後端部には、引出し4の後部を支持する樹脂製のスライダーを設けており、引出し4は前後2か所において支持されている(引出し4にはスライダーを上下から抱持する部材を設けているが、これは図示していない。)。
【0052】
引出し支持レール27は、その上水平板28の前端に設けた左右一対のフロントフック34と、それよりも後ろに設けた前後一対のミドルフック35によって天板2に取り付けられている。そこで、天板2の下面板8には、フロントフック34が嵌まるフロント係合穴36と、ミドルフック35が嵌まるミドル係合穴36とが、左右方向に並んで多数空いている。従って、引出し支持レール27の左右位置を選択して、引出し4の左右位置を調節したり、引出し4の左右幅に応じて引出し支持レール27の取り付け位置を選択したりすることができる。
【0053】
フロントフック34は平面視で前後長手の姿勢であり、そこで、フロント係合穴36は前後に長いスリット形状になっている。他方、ミドルフック35は平面視で左右方向に長い形態であり、そこで、ミドル係合穴37は左右長手のスリット形状になっている。ミドル係合穴47の手前には、角形のストッパー穴38が空いている。
【0054】
フロントフック34は側面視で鉤形になっており、上水平板28から上向きに突出して、先端には、上水平板28の手前に突出した鉤部34aを設けている。また、フロントフック34の鉤部34aは側面視で先窄まりになっており、
図9,10に示すように、フロント係合穴36を介して鉤部34aを天板2の軽量コア材6に突き刺すことで、鉤部34aを天板2における補強部材9の後部水平片9bに上から引っ掛けている。
【0055】
フロントフック34の鉤部34aが補強部材9の後部水平片9bに乗った状態で、引出し支持レール27の上水平板28と天板2との間には若干の隙間が空いている。そこで、隙間を維持するため、引出し支持レール27における上水平板28の前端部には、スペーサ手段の一例として、フロント突起39を膨出形成している。
【0056】
また、引出し支持レール27の前進位置を規制するため、フロントフック34の鉤部34aには、補強部材9における後部水平片9bの後端に当たるストッパーとしての下向き段部40を設けている。もとより、フロントフック34の鉤部34aを補強部材9の溝状部9aに後ろから当てることで、引出し支持レール27の前進位置を規制することも可能である。
【0057】
引出し支持レール27の前部は補強部材9で支持されているため、下面板8が例えば0.5〜0.8mmの薄い鋼板から成っていても、引出し4を安定的に支持して下面板8の曲がりや反りを防止できる。特に、手前に引出した引出し4に下向きの荷重が掛かると、引出し支持レール27を介して下面板8に下向き荷重が掛かるが、引出し支持レール27の前端部は補強部材9で支持されているため、下面板8に応力が集中することはなくて、下面板8の曲がりや反りを防止できるのである。
【0058】
また、フロントフック34の鉤部34aは、軽量コア材6に突き刺すことで補強部材9の後部水平片9bで支持されるため、
図8(B)に示すように、フロントフック34の鉤部34aは軽量コア材6を構成する板紙によって左右両側から弾性的に押されている(或いは、板紙の弾性力によって左右から挟持されている。)。このため、引出し支持レール27はその前部においてガタ付きのない状態に安定的に保持されている。その結果、引出し4の前後動に際して、引出し支持レール27が左右にガタついて異音が発生するようなことはなく、静粛性に優れている。
【0059】
(4).引出し支持レールの後部の支持構造
次に、ミドルフック35による引出し支持レール27の取り付け構造を説明する。
図11に明示するように、引出し支持レール27の上水平板28のうちミドルフック35を設けた箇所には、樹脂製のスペーサ部材42が上から装着されて抜け不能に保持されており、既述したフロント突起39と協働して、引出し支持レール27と天板2との間の間隔を一定に保持している。
【0060】
そして、
図13(A)のように、先にフロントフック34をフロント係合穴36に嵌め込んでから、ミドルフック35をミドル係合穴37に下方から押し込むことで、ミドルフック35を軽量コア材6に突き刺し、次いで、
図13(B)のように、引出し支持レール27を横向き移動させてミドルフック35を左右方向にスライドさせることで、ミドルフック35で軽量コア材6を突き破りつつ、ミドルフック35をミドル係合穴37に係合させている。つまり、フロントフック34を支点にして引出し支持レール27を水平回動させることで、ミドルフック35をミドル係合穴37に係合させている。
【0061】
ミドルフック35をミドル係合穴37に嵌め込み切ると、スペーサ部材42に設けたストッパー突起43が下面板8に設けたストッパー穴38に嵌まり込んで、引出し支持レール27は左右動不能に保持される。例えば
図11(A)から理解できるように、ストッパー突起43は三方がスリットで囲われて、左右方向の一端部が付け根になっていて先端は上下方向に動き得る自由端になっており、このため、スペーサ部材42を下面板8の下面に当てると、いったん弾性変形して先端は下面板8の下方に隠れるが、ミドルフック35がミドル係合穴37に嵌まり切ると、弾性復元力で戻り変形してストッパー穴38に嵌まり込む。
【0062】
そして、ミドルフック35は軽量コア材6を構成する板紙を突き破ることでミドル係合穴37に係合するため、ミドルフック35は軽量コア材6を構成する板紙によって前後方向から弾性的に挟持されており、このため、引出し支持レール27はそのミドルフック35の箇所においても前後にガタ付きのない状態に維持されている。
【0063】
スペーサ部材42を引出し支持レール27の上水平板28に抜け不能に取り付ける手段として、本実施形態では、例えば
図11から理解できるように、スペーサ部材42の前後2か所に、正面視で左向き鉤状の係合爪44は右向き鉤状の係合爪45とを下向き突設する一方、引出し支持レール27の上水平板28には、係合爪44,45を上向き動不能に保持する左右の係合片46,47を切り起こし形成している。
【0064】
係合片46,47の後方には、係合爪44,45が上から嵌まる空所48を空けており、係合爪44,45を空所48に落とし込んでからスペーサ部材42を手前にずらすと、係合爪44,45が係合片46,47の下方に位置してスペーサ部材42は上向き抜け不能に保持される。また、スペーサ部材42の前後位置は、スペーサ部材42に設けた下向きストッパー49が、上水平板28に設けた上向きストッパー50に当たることで規制される。
【0065】
上水平板28には、ミドルフック35を切り起こし形成するための抜き穴51が空いており、係合片46,47及び上向きストッパー50は抜き穴51に露出している。他方、スペーサ部材42には角形に形成された前後の窓穴52が空いており、手前側のミドルフック35は手前の窓穴52を介して上向きに突出している。スペーサ部材42を設ける場合、その取り付け構造(係合手段、ストッパー手段)は任意に設定できる。例えばビス止めも可能である。
【0066】
本実施形態のようにミドルフック35を前後2か所(複数箇所)に設けると、ミドルフック35による荷重が下面板8の特定箇所に集中することを防止できるため、引出し支持レール27の支持強度を向上できる利点がある。また、安定性にも優れている。
図13(B)に一点鎖線で示すように、ミドルフック35が取り付く部分に補強部材9を設けて、ミドルフック35を補強部材9の係合穴に係合させることも可能であり、この場合は、ミドルフック35は1か所のみでもよい。
【0067】
(5).
参考例・他の実施形態
次に、
図14〜
図15に示す他の実施形態
と参考例を説明する。
図14に示す第2実施形態は軽量コア材6の別例であり、一対のライナー紙23とその間に配置された中芯紙24とを1セットとして、多数のセットを接着している。この実施形態では2枚のライナー紙23が重なっているので、強度が一層高くなっている。また、ダンボール箱に使用されているダンボール紙を使用して、その多数枚を積層接着することで製造できるため、製造工程が簡単になる利点もある。
【0068】
図15のうち(A)に示す
第1参考例では、下面板8の前端部を内側に折り返している(従って、第1実施形態における後端部と同じ構造になっている。)。また、(B)に示す
第2参考例は、下面板8の前端に前部上向き折り曲げ片21を設けただけで、軽量コア材6の前端を前部上向き折り曲げ片21に当接又は近接させている。
【0069】
図15(C)に示す
第2実施形態では、複数の軽量コア材6を天板2の幅方向に並べている。また、この実施形態では天板2の前端部と後端部との両方に補強部材9を配置している。天板2の奥行きが大きい場合は、このように複数の軽量コア材6を並べたらよい。前後に補強部材9を設けると、当然ながら強度は格段にアップする。
【0076】
本願発明の具体例は上記の実施形態に限定されるものではなく、更に様々に具体化できる。例えば、軽量コア材は必ずしもダンボール積層体を使用する必要はないのであり、板紙と発泡樹脂板とを交互に積層したものなども使用できる。また、下面板にはステンレス板も使用できる。