(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の前記振動腕部に設けられた前記連結溝部同士は、一対の前記振動腕部同士の間の前記幅方向の中心を通り、かつ、前記長さ方向に平行な中心線に対して、線対称に設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の圧電振動片。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態に係る圧電振動片、及び圧電振動子について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0020】
(第1実施形態)
[圧電振動子]
図1及び
図2は、本実施形態の圧電振動子1を示す図である。
図1は、分解斜視図である。
図2は、断面図である。
図3から
図5は、本実施形態の圧電振動片100を示す図である。
図3は、平面図である。
図4は、
図3におけるIV−IV断面図である。
図5は、
図3におけるV−V断面図である。
【0021】
なお、以下の説明においては、XYZ軸を設定し、このXYZ座標系を参照しつつ各部材の位置関係を説明する。この際、圧電振動子1(
図1参照)の厚み方向をZ軸方向、圧電振動子1の長手方向をY軸方向、圧電振動子1の短手方向をX軸方向とする。
【0022】
本実施形態の圧電振動子1は、
図1に示すように、外形が略直方体状のいわゆるセラミックパッケージタイプの表面実装型振動子である。圧電振動子1は、気密に封止されたキャビティC1を有するパッケージ2と、キャビティC1に収容された圧電振動片100とを備える。
【0023】
パッケージ2は、
図1に示すように、パッケージ本体(ベース部材)3と、封口板(リッド部材)4とを備える。パッケージ本体3は、有底の凹部3aを有する部材である。凹部3aは、後述するシールリング52の内側面52aと、後述する第2ベース基板51上に形成された貫通孔51aの内側面と、後述する第1ベース基板50の上面50aとで構成されている。
【0024】
封口板4は、パッケージ本体3の凹部3aの開口を塞いでおり、パッケージ本体3と接合されている。キャビティC1は、パッケージ本体3の凹部3aの内側に相当する内部空間であり、パッケージ本体3と封口板4とによって、パッケージ2の外部と仕切られている。
【0025】
パッケージ本体3は、第1ベース基板50と、第1ベース基板50上に配置された第2ベース基板51と、第2ベース基板51上に配置されたシールリング52とを含む。
【0026】
第1ベース基板50と第2ベース基板51とは、それぞれ、平面視(XY面視)において外形が概ね長方形の板状部材である。第2ベース基板51は、平面視(XY面視)において外形寸法が第1ベース基板50とほぼ同じである。
【0027】
第1ベース基板50と第2ベース基板51とは、それぞれ、セラミックス製である。第1ベース基板50と第2ベース基板51との形成材料は、例えば、アルミナを主成分とする高温焼成セラミックス(HTCC:High Temperature Co−Fired Ceramic)であってもよいし、ガラスセラミックス等の低温焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co−Fired Ceramic)であってもよい。
【0028】
第1ベース基板50において、第2ベース基板51側(+Z側)の上面50aの一部は、パッケージ本体3の凹部3aの底面に相当する。
第2ベース基板51は、第1ベース基板50に重ねられており、第1ベース基板50と焼結などで結合されている。すなわち、第2ベース基板51は、第1ベース基板50と一体化されている。
【0029】
第2ベース基板51には、
図1及び
図2に示すように、貫通孔51aが形成されている。貫通孔51aの内側面は、パッケージ本体3の凹部3aの側壁の一部を構成している。貫通孔51aの短手方向の一方側(−X側)の内側面には、貫通孔51aに突出して実装部55が設けられている。貫通孔51aの短手方向の他方側(+X側)の内側面には、貫通孔51aに突出して実装部56が設けられている。実装部55と実装部56とは、互いに対向して設けられている。貫通孔51aの平面視(XY面視)形状は、矩形から実装部55,56の平面視(XY面視)形状を除いた形状である。
【0030】
実装部55,56のシールリング52側(+Z側)の面は、圧電振動片100がマウントされる実装面55a,56aである。実装面55aには、電極パッド53が設けられている。実装面56aには、電極パッド54が設けられている。実装部55,56の平面視(XY面視)形状は、本実施形態においては、例えば、矩形状である。実装部55,56は
図2に示すように、電極パッド53,54を介して圧電振動片100と接触する。
【0031】
電極パッド53と電極パッド54とは、圧電振動片100と電気的に接続される一対の端子である。電極パッド53及び電極パッド54は、例えば、バンプ電極である。
詳しくは後述するが、圧電振動片100には、基板実装用のマウント部17及びマウント部18が設けられている。電極パッド53は、圧電振動片100のマウント部17に形成された図示しないマウント電極と電気的に接続され、電極パッド54は、圧電振動片100のマウント部18に形成された図示しないマウント電極と電気的に接続される。
【0032】
シールリング52は、
図1に示すように、平面視(XY面視)で矩形状の枠状部材であり、パッケージ本体3の凹部3aの側壁の一部を構成する。シールリング52は、平面視(XY面視)における外形寸法が、第2ベース基板51よりも一回り小さい。シールリング52は、銀ロウ等のロウ材や半田材等を用いた焼付けによって、第2ベース基板51のシールリング52側(+Z側)の面(以下、第2ベース基板51の上面)に接合されている。シールリング52は、第2ベース基板51の上面に形成された金属接合層に対する溶着等によって、第2ベース基板51の上面と接合されていてもよい。この金属接合層は、電解メッキ法、無電解メッキ法、蒸着法、スパッタ法の少なくとも1つを用いて形成されていてもよい。
【0033】
シールリング52は、導電性の部材であり、例えば、ニッケル基合金を含む。このニッケル基合金は、コバール、エリンバー、インバー、42−アロイのうち1種または2種以上を含んでいてもよい。シールリング52の形成材料は、第1ベース基板50及び第2ベース基板51と熱膨張係数が近い材料から選択されていてもよい。例えば、第1ベース基板50及び第2ベース基板51の形成材料として、熱膨張係数が6.8×10
-6/℃のアルミナを用いる場合には、シールリング52の形成材料は、熱膨張係数が5.2×10
-6/℃のコバールであってもよいし、熱膨張係数が4.5〜6.5×10
-6/℃の42−アロイであってもよい。
【0034】
シールリング52の内形は、実装部55,56が形成されている箇所を除いて、貫通孔51aと平面視(XY面視)で重なっている。
【0035】
封口板4は、
図2に示すように、シールリング52上に重ねられており、シールリング52の開口(凹部3aの開口)を塞いでいる。上述のキャビティC1は、第1ベース基板50と第2ベース基板51とシールリング52と封口板4とに囲まれる空間である。すなわち、圧電振動片100は、平面視(XY面視)で、シールリング52の内側に収容されている。
【0036】
封口板4は、導電性の基板であり、シールリング52と接合されている。シールリング52は、例えば、ローラ電極を接触させることによるシーム溶接、レーザ溶接、超音波溶接などの溶接によって、封口板4と接合される。封口板4とシールリング52とを溶接する場合に、封口板4の下面(−Z側の面)とシールリング52の上面(+Z側の面)との一方または双方にニッケル、金等の接合層が設けられていると、溶接による接合の信頼性が向上し、例えば、キャビティC1の気密性を確保しやすくなる。
【0037】
第1ベース基板50の下方側(−Z側)の面には、外部電極57及び外部電極58が設けられている。
外部電極57及び外部電極58は、圧電振動子1の外部のデバイス、例えば、圧電振動子1が実装されるデバイスからの電力の供給を受ける端子である。
【0038】
パッケージ本体3には、電極パッド53と外部電極57とを電気的に接続する第1配線(図示せず)と、電極パッド54と外部電極58とを電気的に接続する第2配線(図示せず)とが設けられている。すなわち、外部電極57に印加された電位は、第1配線及び電極パッド53を介して、圧電振動片100のマウント部17に形成されたマウント電極に印加される。また、外部電極58に印加された電位は、第2配線及び電極パッド54を介して、圧電振動片100のマウント部18に形成されたマウント電極に印加される。圧電振動片100は、各マウント電極に供給される電力によって、振動する。
【0039】
なお、第1配線は、例えば、第1ベース基板50を厚み方向(Z軸方向)に貫通して外部電極57と導通する第1貫通電極と、第2ベース基板51を厚み方向(Z軸方向)に貫通して電極パッド53と導通する第2貫通電極と、第1ベース基板50と第2ベース基板51との間に設けられ第1貫通電極と第2貫通電極とを電気的に接続する接続配線と、を含む。電極パッド54と外部電極58とを電気的に接続する第2配線は、第1配線と同様の構成である。第1配線と第2配線の構成は、適宜変更できる。
【0040】
[圧電振動片]
次に、本実施形態の圧電振動片100について説明する。
圧電振動片100は、水晶、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電体に、電極あるいは配線として機能する導電膜パターンなどの付帯物が形成された板状の部品である。本実施形態の圧電振動片100は、いわゆるサイドアーム型の圧電振動片である。
なお、本実施形態においては、圧電振動片100の圧電体が水晶である場合について説明する。
【0041】
圧電振動片100は、
図3に示すように、基部10と、基部10に接続され、幅方向(X軸方向)に並んで配置された一対の振動腕部21,22と、基部10における振動腕部21,22の幅方向(X軸方向)の両側に接続された2つの支持腕部15,16と、支持腕部15,16に設けられた2つのマウント部17,18とを備える。本実施形態において、基部10、一対の振動腕部21,22及び支持腕部15,16は、一体的に形成されており、隣接する各部が界面なく連続している。
図3及び
図4においては、各部の範囲を示すために、各部の基端あるいは先端を2点鎖線で示している。後述する
図6及び
図7においても同様である。
【0042】
基部10は、支持腕部15,16と振動腕部21,22とを接続している。
基部10の平面視(XY面視)形状は、
図3に示すように、矩形状である。
基部10における振動腕部21,22の幅方向両側(±X側)の端部には、それぞれ支持腕部15,16が接続されている。基部10における振動腕部21,22の長さ方向の一方側(+Y側)には、振動腕部21,22が接続されている。
【0043】
振動腕部21,22は、それぞれ長さ方向の一方側(−Y側)の端部で、基部10と接続されている。振動腕部21と振動腕部22とは、振動腕部21と振動腕部22との間の幅方向(X軸方向)の中心を通り、振動腕部21,22の長さ方向(Y軸方向)に平行な中心線P21に対して線対称に設けられている。
振動腕部21と振動腕部22とは、形状及び寸法が同様であるため、以下の説明においては、代表して、振動腕部21についてのみ説明する場合がある。
【0044】
振動腕部21は、略均一な幅で直線的に延びる帯状部11と、幅(X軸方向長さ)が帯状部11よりも広いハンマー部13とを備える。同様にして、振動腕部22は、帯状部12と、ハンマー部14とを備える。
【0045】
ハンマー部13,14は、それぞれ帯状部11,12の基部10と接続されている側と逆側(+Y側)の先端から、帯状部11,12の長手方向(Y軸方向)に沿うように延出して形成されている。ハンマー部13,14の幅(X軸方向長さ)は、帯状部11,12の幅(X軸方向長さ)よりも大きく形成されている。ハンマー部13,14は、基部10を固定端として、幅方向(X軸方向)に振動する自由端に設定されている。
【0046】
振動腕部21の帯状部11は、基部10から圧電振動子1の長手方向(Y軸方向)に沿って、直線的に延びている。
帯状部11における圧電振動片100の表面(+Z側の主面)19aには、溝部31a及び溝部32aと、連結溝部35aとが形成されている。溝部31aと溝部32aとは、振動腕部21の幅方向(X軸方向)に並んで形成されている。溝部31a,32aは、振動腕部21の基部10側(−Y側)の端部から、振動腕部21の長さ方向(Y軸方向)とほぼ平行に延びている。溝部31a,32aの深さ方向は、圧電振動片100の厚み方向(Z軸方向)とほぼ平行である。
【0047】
溝部31a,32aの断面視(ZX面視)形状は、特に限定されず、矩形状であっても、多角形状であっても、その他の形状であってもよい。本実施形態においては、溝部31a,32aの断面視(ZX面視)形状は、
図5に示すように、例えば、5角形状である。本実施形態においては、後述するように溝部31a,32aはエッチングにより形成されるため、溝部31a,32aの内壁は、結晶面に応じた形状となる。
【0048】
連結溝部35aは、
図3に示すように、溝部31aと溝部32aとを連結している。すなわち、溝部31aの内部と溝部32aの内部とは、連結溝部35aを介して連通している。連結溝部35aは、溝部31a,32aの長さ方向(Y軸方向)の中心を通り、かつ、幅方向(X軸方向)と平行な中心線P11よりも、先端側(+Y側)に形成されている。言い換えると、連結溝部35aは、溝部31a,32aの長さ方向の先端側(+Y側)で、隣り合う溝部31aと溝部32aとを連結している。本実施形態において、連結溝部35aは、振動腕部21が2次屈曲モードで振動する際に先端側(+Y側)の振動節部となる部分、あるいはその近傍に形成されている。
【0049】
なお、本明細書において、連結溝部35aが2次屈曲モードにおける振動腕部21の先端側(+Y側)の振動節部となる部分に設けられている、とは、先端側の振動節部となる部分に壁部が設けられていない状態を意味し、連結溝部35aの長さ方向(Y軸方向)の中心位置が先端側の振動節部の位置と一致していることを必要としない。すなわち、連結溝部35aが2次屈曲モードにおける振動腕部21における先端側(+Y側)の振動節部となる部分に設けられている、とは、連結溝部35aが先端側の振動節部となる部分を含んでいればよいものとする。
【0050】
また、本明細書において、連結溝部35aが2次屈曲モードにおける振動腕部21の先端側(+Y側)の振動節部となる部分の「近傍」に設けられている、とは、例えば、連結溝部35aと振動節部との位置のずれが振動腕部21の長さの1/6以下程度となることを意味する。また、連結溝部35aと振動節部との位置のずれとは、振動節部に連結溝部35aが形成されていない場合における、振動節部から最も近い側の連結溝部35aの端部までの距離を意味するものとする。
【0051】
帯状部11における圧電振動片100の裏面(−Z側の主面)19bには、
図4及び
図5に示すように、表面19aと同様にして、溝部31b及び溝部32bと、連結溝部35bとが形成されている。本実施形態においては、溝部31aと溝部31bとは、平面視(XY面視)において重なるように形成されている。溝部32aと溝部32bとは、平面視において重なるように形成されている。連結溝部35aと連結溝部35bとは、平面視において重なるように形成されている。
【0052】
図3から
図5に示すように、振動腕部21と同様にして、振動腕部22の帯状部12における表面19aには、溝部33a及び溝部34aと、連結溝部36aとが形成されている。帯状部12における裏面19bには、溝部33b及び溝部34bと、連結溝部36bとが形成されている。
【0053】
なお、各溝部及び各連結溝部は、それぞれ同様の構成であるため、代表して溝部31a及び連結溝部35aのみについて説明する場合がある。
【0054】
図3に示すように、振動腕部21における連結溝部35a,35bと、振動腕部22における連結溝部36a,36bとは、中心線P21に対して、線対称に設けられている。
【0055】
なお、本明細書において、「線対称」とは、厳密に線対称である場合のみを意味するものではなく、寸法比が0.9以上、1.1以下程度である範囲、及び位置のずれが対象物の幅の5%以下程度である範囲までは含まれるものとする。また、水晶がエッチングされる際において結晶面によって決まる内壁の形状のわずかな違いについても含まれるものとする。
【0056】
図3及び
図4に示すように、隣り合う溝部31aと溝部32aとの間には、溝部31aと溝部32aとを隔てる第1壁部41a及び第2壁部42aが形成されている。
第1壁部41aは、溝部31a,32aの基部10側(−Y側)の端部から溝部31a,32aの長さ方向の先端側(+Y側)に延出して設けられている。すなわち、第1壁部41aは、基部10から中心線P11よりも先端側(+Y側)に延出して設けられている。言い換えると、第1壁部41aの一部は、中心線P11よりも振動腕部21の先端側(+Y側)に設けられている。
【0057】
第2壁部42aは、溝部31a,32aの先端側(+Y側)の端部から基部10側(−Y側)に延出して設けられている。第2壁部42aの全体は、中心線P11よりも先端側(+Y側)に設けられている。
第1壁部41aと第2壁部42aとは、連結溝部35aを挟んで振動腕部21の長さ方向(Y軸方向)に対向して設けられている。言い換えると、溝部31aと溝部32aとの間に形成された壁部は、連結溝部35aによって、第1壁部41aと、第2壁部42aとに分割されている。
【0058】
第1壁部41a及び第2壁部42aの断面視(ZX面視)形状は、特に限定されず、矩形状であっても、多角形状であっても、その他の形状であってもよい。本実施形態においては、第1壁部41a及び第2壁部42aの断面視(ZX面視)形状は、
図5に示すように、例えば、台形状である。本実施形態においては、後述するように溝部31a,32aはエッチングにより形成されるため、第1壁部41a及び第2壁部42aの側壁は、結晶面に応じた形状となる。
【0059】
上記と同様にして、隣り合う溝部31bと溝部32bとの間には、溝部31bと溝部32bとを隔てる第1壁部41b及び第2壁部42bが形成されている。
また、振動腕部22においても同様に、隣り合う溝部33aと溝部34aとの間には、溝部33aと溝部34aとを隔てる第1壁部43a及び第2壁部44aが形成されている。隣り合う溝部33bと溝部34bとの間には、溝部33bと溝部34bとを隔てる第1壁部43b及び第2壁部44bが形成されている。
第1壁部41b,43a,43bは、第1壁部41aと同様である。第2壁部42b,44a,44bは、第2壁部42aと同様である。
【0060】
本実施形態においては、溝部31a,32a及び連結溝部35aはエッチングにより形成される。エッチングする方法としては、特に限定されず、ドライエッチングを選択してもよいし、ウエットエッチングを選択してもよい。
【0061】
振動腕部21における表面19a、裏面19b及び溝部31a,31b,32a,32bの内壁には、図示しない励振電極が形成されている。振動腕部22についても同様である。
【0062】
一対の支持腕部15,16は、基部10から、振動腕部21,22の幅方向(X軸方向)両側に延出した後、振動腕部21,22の長さ方向(Y軸方向)に沿って、振動腕部21,22の先端側(+Y側)に向かって屈曲延出して形成されている。
【0063】
支持腕部15,16の裏面19b側(−Z側)には、それぞれマウント部17,18が設けられている。マウント部17,18が設けられている位置は、支持腕部15,16が振動する際に、振動の節となる位置である。
【0064】
支持腕部15,16のマウント部17,18には、図示しないマウント電極が形成され、図示しない引き出し電極により、振動腕部21,22の外表面上に形成された励振電極と接続されている。そして、これらの各電極に所定の電圧が印加されると、一対の振動腕部21,22の双方の励振電極同士の相互作用により、一対の振動腕部21,22が互いに接近または離間する方向(X軸方向)に所定の共振周波数で振動する。
【0065】
本実施形態によれば、溝部31a及び溝部32aの先端側(+Y側)に連結溝部35aが形成されているため、振動腕部の強度低下を抑制しつつ、2次屈曲モードで振動されることを抑制できる。以下、詳細に説明する。
【0066】
図11から
図14は、振動腕部の振動モードについて説明するための図である。
図11は、参考例の圧電振動片2001を示す平面図である。
図12は、圧電振動片2001が基本波モードで振動した場合を示す挙動説明図である。
図13は、圧電振動片2001が2次屈曲モードで振動した場合を示す挙動説明図である。
図14は、圧電振動片2001におけるR1値、及びR2値の変化を示すグラフである。
【0067】
図11に示すように、音叉型の圧電振動片2001は、幅方向に並んで配置された一対の振動腕部2010,2011と、これら一対の振動腕部2010,2011の長さ方向基端を連結する基部2020とを備えた薄板状の水晶片である。そして、一対の振動腕部2010,2011の外表面上には、これら一対の振動腕部2010,2011を振動させる励振電極2030が形成されている。
【0068】
図12に示すように、圧電振動片2001は、各振動腕部2010に形成された励振電極2030に電圧が印加されると、一対の振動腕部2010,2011の先端が接近・離間するように、所定方向に所定の共振周波数で振動する。なお、以下の説明において、このように一対の振動腕部2010,2011の先端が接近・離間するように振動する振動モードを基本波モードという。
【0069】
図13に示すように、圧電振動片2001が2次屈曲モードで振動した場合、それぞれ振動腕部2010,2011の基端に振動節部2010a,2011aが形成されると共に、先端側に振動節部2010b,2011bが形成され、これら振動腕部2010,2011の基端側の振動節部2010a,2011aと、先端側の振動節部2010b,2011bとの間の略中央の変位量が最大になるように振幅する。
【0070】
このとき、振動腕部2010,2011の全長をL100としたとき、振動腕部2010,2011の基端と先端側の振動節部2010b,2011bとの間の距離SL1は、約(3×L100)/4程度になる。そして、振動腕部2010,2011の基端と振動腕部2010,2011の変位量が最大となる位置P100(以下、最大振幅部P100という)との間の距離SL2は、約L100/2程度になる。
このような場合、振動モードが変化することにより圧電振動片2001の周波数も変化してしまう。例えば、音叉型の圧電振動片2001場合、周波数が32kHzから200kHzに変化してしまう。そのため、圧電振動片2001を基本波モードで振動させることが好ましい。
【0071】
ここで、振動腕部2010,2011に形成される溝部2040を大きく形成すると、その分CI値を低下させることができる。溝部2040を大きく形成するには、溝幅を拡げたり、溝深さを深くしたり、溝長さを長くしたりすることが考えられる。しかしながら、いずれの方法も以下のような問題点があった。
【0072】
まず、溝長さTL100を長くした場合では、基本波モードのCI値(R1値)だけでなく、2次屈曲モードのCI値(R2値)も低下してしまう。しかも、R1値よりもR2値の方が大きく低下する。
【0073】
図14に示すように、TL100/L100の値が大きくなるにしたがうR1値の低下勾配よりもR2値の低下勾配が大きいことが確認できる。
ここで、R1値よりもR2値が小さくなると、振動腕部2010が2次屈曲モードで振動してしまう。例えば、圧電振動片2001の場合、
図14に示すようにTL100/L100の値が約0.58になるとR1値よりもR2値が小さくなり、振動腕部2010が2次屈曲モードで振動してしまうという問題があった。
【0074】
一方、溝幅を拡げたり、溝深さを深くした場合では、振動腕部の強度が低下してしまう虞があった。特に、厚み方向の屈曲剛性が低下し、振動腕部が振動する際に、厚み方向の振動ブレが生じる場合があった。
【0075】
これらの問題に対して、本実施形態によれば、連結溝部35aが溝部31a及び溝部32aの先端側(+Y側)に形成されている。そのため、振動腕部21が2次屈曲モードで振動する際に先端側の振動節部となる部分が振動しやくなり、振動の節になりにくくなる。すなわち、本実施形態によれば、2次屈曲モードのCI値(R2値)が低減することを抑制できる。
【0076】
また、本実施形態によれば、第1壁部41aの一部が、溝部31a,32aの先端側(+Y側)に設けられている。そのため、基本波モードのCI値(R1値)を低減することができる。
したがって、本実施形態によれば、R1値を低減しつつ、R2値が低減することを抑制できるため、振動腕部21が2次屈曲モードで振動することを抑制できる。
【0077】
また、一方で、本実施形態によれば、溝部が幅方向に並んで複数設けられている。これにより、第1壁部41a及び第2壁部42aが形成され、振動腕部21の強度が低下することを抑制できる。
また、溝部が複数設けられていることで、溝部内壁の表面積を大きくできるため、溝部内壁に形成される励振電極の表面積を大きくできる。これにより、電界効率を大きくでき、その結果CI値を低減できる。
【0078】
以上により、本実施形態によれば、振動腕部の強度低下を抑制しつつ、2次屈曲モードで振動することを抑制できる圧電振動片が得られる。
【0079】
また、本実施形態によれば、連結溝部35aは、振動腕部21が2次屈曲モードで振動する際に先端側の振動節部となる部分、あるいはその近傍に形成されているため、より先端側の振動節部となる部分が振動しやすくなる。すなわち、本実施形態によれば、より振動腕部21が、2次屈曲モードで振動することを抑制できる。言い換えると、本実施形態によれば、R2値が低減することをより抑制できる。
【0080】
また、本実施形態によれば、振動腕部21に設けられた連結溝部35a,35bと振動腕部22に設けられた連結溝部36a,36bとは、振動腕部21,22同士の間の中心を通り、振動腕部21,22の長さ方向と平行な中心線P21に対して線対称に設けられている。これにより、本実施形態によれば、圧電振動片100の振動特性が不安定になることを抑制できる。
【0081】
また、本実施形態によれば、連結溝部35aが壁部を分割するように設けられているため、連結溝部35aの形成する位置を壁部が形成されている範囲内で任意に決めることができる。そのため、本実施形態によれば、連結溝部35aを振動節部となる部分、あるいはその近傍に形成することが容易である。
【0082】
また、本実施形態の圧電振動子1によれば、上記説明した圧電振動片100を備えているため、信頼性に優れた圧電振動子が得られる。
【0083】
なお、本実施形態においては、以下の構成、及び方法を採用することもできる。
【0084】
上記説明した実施形態においては、振動腕部21の表面19aに連結溝部35aが1つ形成されている構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、振動腕部21の表面19aに複数の連結溝部が形成されていてもよい。
【0085】
また、上記説明した実施形態においては、表面19aと裏面19bとの両面に溝部及び連結溝部が形成されている構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、両面に溝部が形成され、片面にのみ連結溝部が形成されているような構成であってもよいし、溝部及び連結溝部が片面にのみ形成されているような構成であってもよい。
【0086】
また、上記説明した実施形態においては、第1壁部41a及び第2壁部42aともに少なくとも一部が、中心線P11よりも先端側(+Y側)に設けられている構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、壁部の少なくとも一部が中心線P11よりも先端側(+Y側)に設けられている範囲内において、第1壁部41a及び第2壁部42aがどのように配置されていてもよい。
【0087】
また、本実施形態においては、圧電振動片100の圧電体は水晶で形成されていなくてもよい。
【0088】
また、本実施形態においては、溝部31aの形成方法は、特に限定されず、エッチング以外のいかなる方法を用いてもよい。
【0089】
また、本実施形態においては、連結溝部35aは、中心線P11よりも先端側(+Y側)である範囲内において、どこに設けられていてもよい。
【0090】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態に対して、連結溝部が複数の溝部の先端側の端部に設けられている点において異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により、説明を省略する場合がある。
【0091】
図6は、本実施形態の圧電振動片200を示す平面図である。
本実施形態の圧電振動片200は、
図6に示すように、基部10と、基部10に接続され、幅方向(X軸方向)に並んで配置された一対の振動腕部221,222と、基部10における振動腕部221,222の幅方向(X軸方向)の両側に接続された2つの支持腕部15,16と、支持腕部15,16に設けられた2つのマウント部17,18とを備える。
【0092】
振動腕部221,222は、帯状部211,212と、ハンマー部13,14とを備える。
帯状部211における表面19aには、溝部231と、溝部232と、連結溝部235とが形成されている。溝部231,232は、連結溝部235によって連結されている位置が異なる以外は、第1実施形態の溝部31a,32aと同様である。
【0093】
連結溝部235は、先端側(+Y側)の端部において溝部231と溝部232とを連結している。すなわち、連結溝部235は、溝部231,232の長さ方向(Y軸方向)の中心を通り、かつ、幅方向(X軸方向)と平行な中心線P12よりも先端側(+Y側)に形成されている。
【0094】
溝部231と溝部232とが形成されていることにより、溝部231と溝部232との間には、壁部241が形成されている。
壁部241は、溝部231,232の基部10側(−Y側)の端部から溝部231,232の長さ方向の先端側(+Y側)に延出して設けられている。すなわち、壁部241は、基部10から中心線P12よりも先端側(+Y側)に延出して設けられている。言い換えると、壁部241の一部は、中心線P12よりも振動腕部221の先端側(+Y側)に設けられている。
本実施形態においては、連結溝部235が溝部231,232の先端側(+Y側)の端部に設けられているため、壁部241は分割されず、一体として形成されている。
【0095】
帯状部211の裏面19bには、表面19aと同様にして、図示しない2つの溝部と、2つの溝部を連結する図示しない連結溝部とが形成されている。各溝部及び連結溝部は、それぞれ、溝部231,232及び連結溝部235と平面視(XY面視)において重なるように形成されている。
【0096】
振動腕部222の表面19aには、振動腕部221と同様にして、溝部233,234と、連結溝部236と、壁部242とが形成されている。裏面19bについても、同様である。
振動腕部221に形成された連結溝部235と、振動腕部222に形成された連結溝部236とは、振動腕部221,222同士の間の幅方向(X軸方向)の中心を通り、かつ、振動腕部221,222の長さ方向(Y軸方向)と平行な中心線P22に対して、線対称に設けられている。
【0097】
本実施形態によれば、連結溝部235が溝部231,232の先端側(+Y側)の端部に設けられているため、連結溝部235を形成することが容易である。
【0098】
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態に対して、各振動腕部に形成されている溝部が3つである点において異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により、説明を省略する場合がある。
【0099】
図7は、本実施形態の圧電振動片300を示す平面図である。
本実施形態の圧電振動片300は、
図7に示すように、基部10と、基部10に接続され、幅方向(X軸方向)に並んで配置された一対の振動腕部321,322と、基部10における振動腕部321,322の幅方向(X軸方向)の両側に接続された2つの支持腕部15,16と、支持腕部15,16に設けられた2つのマウント部17,18とを備える。
【0100】
振動腕部321,322は、帯状部311,312と、ハンマー部13,14とを備える。
帯状部311における表面19aには、溝部331と、溝部332と、溝部333と、連結溝部337とが形成されている。溝部331,332,333は、それぞれ第1実施形態の溝部31a,32aと同様である。
【0101】
連結溝部337は、溝部331と、溝部332と、溝部333とを連結している。言い換えると、溝部331の内部と、溝部332の内部と、溝部333の内部とは、連結溝部337によって連通している。連結溝部337は、溝部331,332,333の長さ方向(Y軸方向)の中心を通り、かつ、幅方向(X軸方向)と平行な中心線P13よりも先端側(+Y側)に形成されている。言い換えると、連結溝部337は、中心線P13よりも先端側(+Y側)で溝部331と溝部332と溝部333とを連結している。
【0102】
溝部331と溝部332とが形成されていることにより、溝部331と溝部332との間に、第1壁部341及び第2壁部343が形成されている。溝部332と溝部333とが形成されていることにより、溝部332と溝部333との間に、第1壁部342及び第2壁部344が形成されている。
【0103】
第1壁部341,342及び第2壁部343,344は、第1実施形態の第1壁部41a及び第2壁部42aと同様である。
【0104】
帯状部311の裏面19bには、表面19aと同様にして、3つの溝部と、3つの溝部を連結する連結溝部が形成されている。各溝部及び連結溝部は、それぞれ、溝部331,332,333及び連結溝部337と平面視(XY面視)において重なるように形成されている。
【0105】
振動腕部322の表面19aには、振動腕部321と同様にして、溝部334,335,336と、連結溝部338と、第1壁部345,346と、第2壁部347,348とが形成されている。裏面19bについても同様である。
【0106】
振動腕部321に形成された連結溝部337と振動腕部322に形成された連結溝部338とは、振動腕部321,322同士の間の幅方向(X軸方向)の中心を通り、かつ、振動腕部321,322の長さ方向(Y軸方向)と平行な中心線P23に対して、線対称に設けられている。
【0107】
本実施形態によれば、1つの振動腕部の片面に3つの溝部が形成されているため、よりCI値を低減することができる。
【0108】
なお、上記説明した実施形態においては、連結溝部337は、3つの溝部331と溝部332と溝部333とを連結する構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、連結溝部337が、3つの溝部331と溝部332と溝部333とのうち、隣り合う2つの溝部のみを連結する構成であってもよい。
【0109】
また、本実施形態においては、例えば、溝部331と溝部332とを連結する連結溝部と、溝部332と溝部333とを連結する連結溝部とが、それぞれ別々に設けられていてもよい。
【0110】
なお、上記説明した各実施形態においては、1つの振動腕部の片面に溝部が2つ、あるいは3つ形成されている構成としたが、これに限られない。各実施形態においては、1つの振動腕部の片面に溝部が4つ以上形成されていてもよい。1つの振動腕部の片面に形成される溝部の数が多いほど、CI値を低減することができる。
【0111】
また、各実施形態においては、サイドアーム型の圧電振動片を用いたが、音叉型のものであっても、センターアーム型のものであってもよい。
【0112】
また、各実施形態においては、圧電振動片を用いた圧電振動子として、セラミックパッケージタイプの表面実装型振動子について説明したが、圧電振動片を、ガラス材によって形成されるベース基板及びリッド基板が陽極接合によって接合されるガラスパッケージタイプの圧電振動子に適用することも可能である。
【0113】
(圧電振動子を備える機器の実施形態)
[発振器]
次に、圧電振動子1を備える本実施形態の発振器について説明する。
図8は、本実施形態の発振器1000を示す図である。
発振器1000は、基板1010と、集積回路1020と、電子部品1030と、圧電振動子1とを備える。
電子部品1030は、例えば、キャパシタなどであり、基板1010に実装されている。集積回路1020は、発振器用であり、基板1010に実装されている。
【0114】
集積回路1020は、圧電振動子1と電子部品1030とのそれぞれと、図示略の配線を介して電気的に接続されている。圧電振動子1は、例えば、基板1010において集積回路1020の近傍に実装される。圧電振動子1は、
図1などを参照して上記説明した実施形態の圧電振動子であり、発振子として機能する。発振器1000の少なくとも一部は、適宜、図示しない樹脂によりモールドされていてもよい。
【0115】
発振器1000は、圧電振動子1に電力が供給されると、圧電振動子1の圧電振動片が振動する。圧電振動片の振動は、圧電振動片が有する圧電特性により、電気信号へ変換される。この電気信号は、圧電振動子1から集積回路1020へ出力される。集積回路1020は、圧電振動子1から出力された電気信号に各種処理を実行することで、周波数信号を生成する。
【0116】
発振器1000は、例えば、時計用の単機能発振器、コンピューターなどの各種装置の動作タイミングを制御するタイミング制御装置、時刻あるいはカレンダーなどを提供する装置などに応用できる。集積回路1020は、発振器1000に要求される機能に応じて構成され、いわゆるRTC(リアルタイムクロック)モジュールを含んでいてもよい。
【0117】
本実施形態によれば、圧電振動子1を備えているため、上述したのと同様にして、信頼性に優れた発振器1000が得られる。
【0118】
[電子機器]
次に、圧電振動子1を備える本実施形態の電子機器の一つの形態として、携帯情報機器について説明する。
この携帯情報機器は、腕時計のような形態であり、一般的な携帯電話よりも格段に小型かつ軽量であるが、携帯電話と同様の通信が可能である。この携帯情報機器は、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイなどの表示部が配置されており、表示部に時刻情報などを表示可能である。また、この携帯情報機器は、バンドの内側部分にスピーカ、マイクロフォンなどの入出力部が設けられており、入出力部を利用して通話などが可能である。
【0119】
図9は、本実施形態の携帯情報機器1100の一例を示す図である。
図9に示す携帯情報機器1100は、計時部1110と、表示部1120と、通信部1130と、制御部1140と、電源部1150と、電圧検出部1160と、電源遮断部1170とを備える。
【0120】
制御部1140は、携帯情報機器1100の各部を総括的に制御する。例えば、制御部1140は、計時部1110による時刻の計測、表示部1120による情報の表示、通信部1130による外部との通信などを制御する。制御部1140は、例えば、予めプログラムが書き込まれたROMと、このROMに書き込まれたプログラムを読み出し、このプログラムに従って各種処理を実行するCPUと、このCPUのワークエリアとして使用されるRAMとを含む。
【0121】
計時部1110は、集積回路と、圧電振動子1とを備える。この集積回路は、発振回路と、レジスタ回路と、カウンタ回路と、インターフェース回路とを含む。圧電振動子1は、上記説明した実施形態に係る圧電振動子である。圧電振動子1は、電力の供給を受けて圧電振動片が振動し、この振動を、圧電振動片が有する圧電特性に応じた電気信号に変換する。圧電振動子1から出力された電気信号は、集積回路の発振回路へ入力される。
【0122】
計時部1110の集積回路において、発振回路の出力は、二値化されてレジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。この計数結果は、インターフェース回路を介して制御部1140に供給される。制御部1140は、集積回路からの計数結果に基づいて各種演算などを実行することで時刻や日付などを算出し、その算出結果に基づいて、表示部1120に時刻、日付、カレンダーなどの各種情報を表示させる。
【0123】
通信部1130は、外部との通信、すなわち外部へのデータの送信および外部からのデータの受信を行う。通信部1130は、無線部1200と、音声処理部1210と、切替部1220と、増幅部1230と、音声入出力部1240と、電話番号入力部1250と、着信音発生部1260と、呼制御メモリ部1270とを含む。
【0124】
無線部1200は、符号化された音声データ等の各種データを、アンテナ1280を介して基地局とやりとりする。音声処理部1210は、無線部1200から入力されたデータを、復号化して増幅部1230へ出力する。また、音声処理部1210は、増幅部1230から入力されたデータを、符号化して無線部1200へ出力する。増幅部1230は、音声処理部1210と音声入出力部1240との間の信号の受け渡しを行うとともに、受け渡される信号を適宜、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部1240は、スピーカおよびマイクロフォンなどを含み、増幅部1230からの信号に応じた音声を外部へ出力し、外部から音声の入力を受け付ける。
【0125】
また、切替部1220は、基地局からの呼び出しなどに応じた制御部1140からの指令により、着信音発生部1260を増幅部1230と接続する。着信音発生部1260は、基地局からの呼び出しに応じた制御部1140からの指令により、着信音のデータを切替部1220に出力する。すなわち、制御部1140は、基地局からの呼び出しなどに応じて、着信音のデータを増幅部1230へ出力させることにより、音声入出力部1240によって着信音を出力させる。
【0126】
呼制御メモリ部1270は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部1250は、例えば0から9の番号キー及びその他のキーを備え、これら番号キー等の押下により、通話先の電話番号等の入力に利用される。
【0127】
電源部1150は、例えば、リチウムイオン二次電池を含み、携帯情報機器1100の各部へ電力を供給する。電圧検出部1160は、電源部1150から携帯情報機器1100の各部へ供給されている電圧を検出する。電圧検出部1160は、検出した電圧が所定値以下になった場合に、電圧が所定値以下であることを制御部1140に通知する。この所定値は、通信部1130を安定して動作させるために必要とされる電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度である。電圧検出部1160から電圧降下の通知を受けた制御部1140は、無線部1200、音声処理部1210、切替部1220、及び着信音発生部1260を含む複数の機能部の少なくとも一部の動作を、禁止または制限する。この場合に、制御部1140は、複数の機能部のうち相対的に消費電力が大きい機能部の動作を、複数の機能部のうち相対的に消費電力が小さい機能部よりも先に禁止または制限する。制御部1140は、供給電力の低下によって機能が停止または制限されていることを示す情報を、表示部1120に表示させる。この表示は、文字を含んでいてもよいし、記号を含んでいてもよく、例えば、表示部1120に表示された電話アイコンに×(バツ)印を付ける態様でもよい。電源遮断部1170は、複数の機能部のうち、電圧低下により機能が停止する機能部への電力の供給を選択的に停止する。
【0128】
本実施形態によれば、圧電振動子1を備えているため、上述したのと同様にして、信頼性に優れた携帯情報機器1100が得られる。
【0129】
[電波時計]
次に、圧電振動子1を備える本実施形態の電波時計について説明する。
電波時計は、表示する時刻を、標準電波から取得される時刻に合わせる機能を有する。標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を含む変調信号によって、所定周波数の搬送波にAM変調をかけたものである。標準電波は、例えば日本国内では、福島県の送信所と佐賀県の送信所とから送信されている。福島県の送信所から送信される標準電波は、搬送波の周波数が40kHzであり、佐賀県の送信所から送信される標準電波は、搬送波の周波数が60kHzである。
【0130】
図10は、本実施形態の電波時計1300を示す図である。この電波時計1300は、アンテナ1310と、アンプ1320と、フィルタ部1330と、検波整流回路1340と、波形整形回路1350と、CPU1360と、RTC1370とを備える。
【0131】
アンテナ1310は、標準電波を受信する。アンプ1320は、アンテナ1310が受信した標準電波の信号を、増幅してフィルタ部1330へ出力する。フィルタ部1330は、アンプ1320からの信号を、濾波、同調して検波整流回路1340へ出力する。検波整流回路1340は、フィルタ部1330からの信号を、検波復調して波形整形回路1350へ出力する。波形整形回路1350は、検波整流回路1340からの信号からタイムコードを取得し、このタイムコードをCPU1360へ供給する。CPU1360は、タイムコードから現在の年、積算日、曜日、時刻等の時刻に関する情報を取得する。RTC1370は、いわゆるリアルタイムクロックであり、現在の年、月、日、時、分、秒などの情報を保持している。CPU1360は、タイムコードから取得した時刻に関する情報を、RTC1370が保持する情報に反映させる。RTC1370が保持する情報は、適宜読みだされて、時刻の表示に利用される。
【0132】
フィルタ部1330は、濾波する信号の周波数に相当する共振周波数の圧電振動子を含む。フィルタ部1330において、圧電振動子は、共振子として機能する。例えば、
図10の電波時計1300は、日本国内での使用が想定されたものであり、フィルタ部1330は、共振周波数が40kHzの圧電振動子1aと、共振周波数が60kHzの圧電振動子1bとを含む。なお、日本国内以外の地域での使用が想定される電波時計1300は、使用される地域に対応した標準電波の搬送波の周波数に応じて、フィルタ部1330の圧電振動子の共振周波数が設定される。
本実施形態において、フィルタ部1330の圧電振動子1aと圧電振動子1bとは、それぞれ、上記説明した実施形態の圧電振動子1と同様の圧電振動子である。
【0133】
本実施形態によれば、圧電振動子1と同様の構成を有する圧電振動子1a,1bを備えているため、上述したのと同様にして、信頼性に優れた電波時計1300が得られる。
【0134】
なお、上記の説明においては、発振器、電子機器及び電波時計の例として、第1実施形態の圧電振動片100が実装された圧電振動子1を備える例を示したが、これに限られない。発振器、電子機器及び電波時計の実施形態としては、例えば、第2実施形態及び第3実施形態に示した圧電振動片のうちいずれか一つが実装された圧電振動子を備える構成であってもよい。