特許第6348730号(P6348730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348730
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】電気錠制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20180618BHJP
【FI】
   E05B49/00 B
   E05B49/00 J
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-29204(P2014-29204)
(22)【出願日】2014年2月19日
(65)【公開番号】特開2015-151833(P2015-151833A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(74)【代理人】
【識別番号】100128864
【弁理士】
【氏名又は名称】川岡 秀男
(72)【発明者】
【氏名】今田 真悟
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−043364(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0013408(US,A1)
【文献】 特公平03−031861(JP,B2)
【文献】 特開平08−042207(JP,A)
【文献】 特開平06−004535(JP,A)
【文献】 特開2014−066048(JP,A)
【文献】 東邦金属工業株式会社,製品紹介 GATEMAN,日本,2017年12月12日,URL,https://web.archive.org/web/20131208071718/http://www.tohometal.co.jp/irevo/products.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なった暗証用符号を予め定められた配列により配置した暗証符号入力部と、
暗証符号入力部から入力された入力符号列の予め登録された認証用暗証符号列との一致を認証成立条件とする暗証符号認証部と、
暗証符号認証部での本認証操作後における暗証符号入力部への任意の暗証用符号の入力を検出するダミー入力検出部と、
本認証動作時の認証成立に加え、ダミー入力検出部における暗証用符号入力の検出を条件に電気錠を解錠駆動する制御部とを備え、
前記暗証符号入力部は暗証用符号を非表示状態への遷移可能に表示するとともに、
前記ダミー入力操作時に暗証用符号の適数をダミー入力用符号として表示し、
表示されたダミー入力用符号の全ての選択によりダミー入力操作が完了する電気錠制御装置。
【請求項2】
前記暗証符号入力部にはエンターキーが配置され、
エンターキーが入力される前の適数が本認証操作における認証用暗証符号列として採用される請求項1記載の電気錠制御装置。
【請求項3】
前記暗証符号入力部は静電容量式タッチセンサにより形成されるとともに、
前記暗証符号入力部へのダミー入力がスワイプ操作により実行可能な請求項1または2記載の電気錠制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気錠制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気錠の施解錠を制御する電気錠制御装置としては特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この従来例における電気錠制御装置は、表示区画毎に設定された番号を選択的に表示可能な番号表示部と、暗証符号の入力前に任意の番号を表示し、該番号へのスイッチング動作が終了したときに表示区画の全ての番号を表示して暗証符号の入力を可能にする制御部とを備えた暗証符号入力盤を有して構成される。
【0004】
しかし、この従来例は、暗証符号の入力前にダミー入力を促すために、入力中の暗証符号を他人に知られにくいという利点を有するものの、暗証符号入力盤には最終操作された番号、すなわち、暗証符号が割り当てられた表示区画に指紋等が付着するために、操作後の他人による表示区画の観察により暗証符号が知られる虞がある。
【0005】
また、ダミー入力時には、操作すべき番号のみが表示されるのに対し、暗証符号入力時には盤上の全体が表示されるために、暗証符号の入力タイミングは盤面の明るさから判別できるために、ダミー入力による暗証符号の保護も多くは望めないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4884879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、暗証符号入力に伴う暗証符号の漏洩を確実に防止可能な電気錠制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記目的は、
異なった暗証用符号1を予め定められた配列により配置した暗証符号入力部2と、
暗証符号入力部2から入力された入力符号列の予め登録された認証用暗証符号列との一致を認証成立条件とする暗証符号認証部3と、
暗証符号認証部3での本認証操作後における暗証符号入力部2への任意の暗証用符号の入力を検出するダミー入力検出部4と、
本認証動作時の認証成立に加え、ダミー入力検出部4における暗証用符号1入力の検出を条件に電気錠5を解錠駆動する制御部6とを備え、
前記暗証符号入力部2は暗証用符号1を非表示状態への遷移可能に表示するとともに、
前記ダミー入力操作時に暗証用符号1の適数をダミー入力用符号として表示し、
表示されたダミー入力用符号の全ての選択によりダミー入力操作が完了する電気錠制御装置を提供することにより達成される。
【0009】
電気錠制御装置は、暗証符号入力部2に認証用暗証符号列を入力する本認証動作に続いて、該暗証符号入力部2に認証に使用しないダミー符号が入力されることを電気錠5の駆動条件とすることにより、認証操作を行った後では、暗証符号入力部2に認証用暗証符号列を示す指紋のみが残留することがない。
【0010】
この結果、電気錠制御装置を使用した後の暗証符号入力部2を観察することによっては認証用暗証符号列を推測することが不可能となり、かつ、暗証符号入力部2には、常に同じ配列により暗証用符号1が配置されるために、認証動作のたびに異なった位置に表示される場合に発生する暗証用符号位置の探索操作が不要となるために、使い勝手が向上する。
【0011】
また、電気錠制御装置は、請求項2に記載のように、
前記暗証符号入力部2にはエンターキー7が配置され、
エンターキー7が入力される前の適数が本認証操作における認証用暗証符号列として採用されるように構成することができる。
【0012】
本認証操作の終了は、制御部6が本認証操作入力モードにおける入力数が所定数に達するまで入力符号を蓄積して認証用暗証符号列として暗証符号認証部3に通知すれば足りるために、特別なエンターキー7を設定する必要はないが、エンターキー7を設定すると、利用者にダミー入力操作への遷移を知らせることができるために、勘違い等による誤入力を防ぐことができる。
【0013】
また、エンターキー7を設定すると、最初の適数に認証に使用しないダミー符号を入力することも可能になり、入力時の盗み見による認証用暗証符号列の漏洩を防止することができる。この場合、制御部6は、エンターキー7に先行する所定個数の入力符号のみを抽出して暗証符号認証部3に通知すればよい。
【0014】
さらに、電気錠制御装置は、
前記暗証符号入力部2は暗証用符号1を非表示状態への遷移可能に表示するとともに、
前記ダミー入力操作時に暗証用符号1の適数をダミー入力用符号として表示し、
表示されたダミー入力用符号の全ての選択によりダミー入力操作が完了するように構成される。
【0015】
ダミー用入力符号は、利用者がそのたびに自由に設定して選択すれば足りるが、ダミー入力時に適宜の暗証用符号1を表示するように構成すると、利用者に迷いがなく、かつ、暗証用符号1の配置を好適に設定すると、暗証符号入力部2の広範囲にわたって利用者に入力指示を行うことができるために、指紋等が付着した符号が多くなり、より認証用暗証符号の推定が困難になる。
【0016】
また、電気錠制御装置は、請求項3に記載されるように
前記暗証符号入力部2は静電容量式タッチセンサにより形成されるとともに、
前記暗証符号入力部2へのダミー入力がスワイプ操作により実行可能に構成することができる。
【0017】
ダミー入力は、所定の位置を指示するだけで足りるが、暗証符号入力部2を静電容量式タッチセンサにより形成することにより暗証符号入力部2表面を指でなぞる、いわゆるスワイプ操作が可能になり、暗証符号入力部2上の指示痕跡を積極的に消去することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、暗証符号入力に伴う暗証符号の漏洩を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による電気錠制御装置を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は扉に固定した状態を示す斜視図である。
図2】暗証符号入力部を示す図で、(a)は全符号、マークを表示した状態を示す図、(b)は本認証動作における状態を示す図、(c)はダミー入力時を示す図、(d)は解錠完了状態を示す図、(e)は認証媒体による認証モードを示す図である。
図3】本発明を示す機能ブロック図である。
図4】電気錠制御装置の動作を示すフローチャートである。
図5】暗証番号認証ステップのフローチャートである。
図6】暗証番号認証ステップのフローチャートである。
図7】カード認証ステップのフローチャートである。
図8】管理ステップのフローチャートである。
図9】ID削除後処理ステップのフローチャートである。
図10】ユーザーカード削除後処理ステップのフローチャートである。
図11】暗証番号削除後処理ステップのフローチャートである。
図12】ユーザーカード登録後処理ステップのフローチャートである。
図13】暗証番号登録後処理ステップのフローチャートである。
図14】解錠後処理ステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1以下に本発明が適用された玄関ドア用の錠装置を示す。本例の錠装置は、ケース10内に、ドア11内に組み込まれた箱錠5aを作動させるためのモーター等のアクチュエータ5b、およびアクチュエータ5bの動作を制御するための本発明の電気錠制御装置を組み込んで形成され、玄関ドアの屋外側壁面に固定されて使用される。
【0023】
また、ケース10に開設される貫通孔10aにはハンドル12の操作軸12aが挿通し、箱錠5aに設けられたラッチ(図示せず)を操作する。
【0024】
ケース10上部には暗証符号入力部2が配置され、この暗証符号入力部2を使用した認証動作に対する認証が成立すると、アクチュエータ5bによりドライブ軸13が回転駆動され、箱状5aが施解錠操作される。
【0025】
なお、図1において電気錠5は、ケース10内のアクチュエータ5bと、ドア11内の箱錠5aとにより構成されている場合が示されているが、錠杆とアクチュエータ5bとを同一ケースに収納した電気錠5を制御するように必要部分のみをケース10に収納したり、あるいは後述する認証部14をケース10外に配置するものであってもよい。
【0026】
電気錠制御装置は、図3に示すように、制御部6と、制御部6により制御されて作動する暗証符号入力部2、暗証符号認証部3、上記暗証符号認証部3とともに認証部14を構成する媒体認証部9、ダミー入力検出部4、モード管理部15、モード設定部16、および電気錠駆動部17とを有し、電気錠駆動部17から出力される施解錠駆動信号により電気錠5内のアクチュエータ5bを駆動し、施解錠状態間を遷移させる。また、装置の適宜箇所には、利用者による利用開始を装置に知らせるための操作開始ボタン18が配置される。
【0027】
図2に示すように、暗証符号入力部2は、ディスプレイが組み込まれた静電容量タッチセンサにより形成され、制御部6からの制御により、施解錠状態表示マーク2a、2b、暗証用符号キー(テンキー1)、エンターキー7、モード管理キー2c、カードマーク2d、および警告マーク2e、2fを所定位置に表示、あるいは非表示状態にすることができる。
【0028】
施解錠状態表示マーク2a、2bは、電気錠5が施錠状態であるときに表示される施錠状態表示マーク2aと、解錠状態であるときに表示される解錠状態表示マーク2bとからなる。テンキー1は、認証用符号列の構成要素である1から0までの算用数字から構成され、表示されている数字の上を触れることによって入力することができる。
【0029】
暗証符号による認証方式が選択されているとき、制御部6は、まず、図2(b)に示すように、テンキー1の全部を表示することにより本認証動作に移行し、後述する暗証符号認証部3での認証が成立すると、一旦全てのテンキー1を非表示状態にした後、図2(c)に示すように、適数個を再び表示し、ダミー入力の待ち受け画面に遷移させる。
【0030】
エンターキー7は、利用者による認証用暗証符号列の入力終了を知らせるために入力され、制御部6がエンターキー7の入力を検出すると、入力された符号列を後述する暗証符号認証部3に出力する。本例において認証用暗証符号列は、入力開始から所定桁数(4桁)を入力した後エンターキー7を入力する仕様になっているが、エンターキー7から遡って4桁を認証用暗証符号列として採用する仕様とすることも可能である。
【0031】
モード管理キー2cは、認証用暗証符号列の新規登録等、管理ステップへの遷移に使用され、警告マーク2e、2fは、操作音がミュート状態に設定されている際にミュート通知マーク2eが、電池残量が少なくなった場合には、バッテリ消耗マーク2fが表示される。
【0032】
また、ケース10には暗証符号入力部2表面に翳された認証媒体8(認証カード)を読み取る読み取り装置が組み込まれており、認証カード8による認証方式が選択されているとき、暗証符号入力部2には、カードの読み取り可能領域を知らせるためのカードマーク2dが表示される。
【0033】
暗証符号認証部3は、暗証符号入力部2から入力された符号列が予め登録された認証用暗証符号列と一致するか否かを判定し、一致する場合には制御部6に認証成立信号を出力する。
【0034】
ダミー入力検出部4は、本認証動作に続くダミー入力画面において表示されているテンキー1が入力されたか否かを判定し、表示された全ての暗証用符号1が入力されるとダミー入力終了信号を制御部6に出力し、ダミー入力終了信号を受信した制御部6は電気錠駆動部17にアクチュエータドライブ信号をセットしてアクチュエータを駆動し、電気錠5を作動させる。
【0035】
本認証動作におけるテンキー1の入力、すなわち、暗証符号認証部3での認証動作は、入力符号種、および入力順の双方において認証用暗証符号列と一致し、異なった暗証用符号1が含まれていると認証は成立しないのに対し、ダミー入力検出部4における判定は、入力順、あるいは非表示暗証用符号1の混入は判定結果に影響を与えず、表示された暗証用符号1の全てが入力されたか否かのみが判定基準とされる。この結果、図2(c)において鎖線で示すように、表示された暗唱用符号1をなぞるようにしてスワイプ操作することによりダミー入力操作を行うことが可能であり、この場合、スワイプする順序も経路も問われない。
【0036】
媒体認証部9は、利用者が所持する認証カード8に保持される認証コードを上記読み取り部によって読み取り、図外のコード格納部内に登録された基準コードとの一致により認証判定を行い、認証が成立すると、制御部6に認証成立信号を出力し、該認証成立信号を受領した制御部6は、暗証符号認証方式の場合とは異なり、直ちに電気錠駆動部17にアクチュエータドライブ信号をセットしてアクチュエータを駆動し、電気錠5を作動させる。
【0037】
電気錠制御装置の運用に際して、媒体認証部9での認証を行うために、通常の運用時にユーザーが使用するユーザーカード8A、ユーザーカード8Aの登録、暗証コードの削除、変更を行うための管理カード8B、および後述する”ブランクモード”で使用し、媒体認証部9で認証可能なブランクモードカード8Cが用意される。
【0038】
電気錠制御装置には認証カード8を使用して認証を行う媒体認証方式(カード認証方式)のみを利用可能認証方式として使用する「媒体単独モード(カード単独モード)」、暗証番号認証方式のみを使用する「暗証番号単独モード」、カード認証方式と暗証番号認証方式の双方が利用可能認証方式として利用可能で、カード認証方式を優先使用する「カード優先モード」、およびカード認証方式と暗証番号認証方式の双方が利用可能で、暗証番号認証方式を優先使用する「暗証番号優先モード」、さらに上述したブランクモードが設定されており、現在の運用モードは上記モード管理部15に記憶される。
【0039】
単独モードと優先モードを設けることにより、使用環境に応じて双方を好みにより選択することが可能になるために、使い勝手が向上し、認証方式の指定操作によりモード変換が行われることから、利用者は、内部のモード等を意識することなく合理的な運用を行うことができるために、使い勝手が向上する。
【0040】
このモード管理部15は、記憶された運用モード情報に基づいて実行手順を管理し、使用可能認証方式として単一の認証方式が選択されている場合、本例においては、「カード単独モード」、あるいは「暗証番号単独モード」が登録されている場合には、指定されたモード以外の使用は禁止される。
【0041】
これに対し、優先モード、本例では「カード優先モード」、あるいは「暗証番号優先モード」が指定されている場合には、利用者の利用要求の受領により、まず、優先される認証方式が実行される。この状態で利用者による当該認証方式による認証動作が行われた場合には、認証動作を完了して初期状態に移行するが、優先された認証方式による認証操作が行われなかった場合には、他の認証方式による認証装置が起動され、当該認証方式による認証操作を促す。
【0042】
利用者による優先認証方式の登録が可能で、利用時に登録済み優先認証方式が最先に実行されるようにすることにより、例えば、カードによる認証をしようとする場合、初期設定によって暗証番号入力画面が表示され、これをスキップしてカードによる認証画面に遷移する等の、不要なスキップ操作が不要となるために、使い勝手が良好な上に、不要な認証手段に対する給電が不要となるために、電源の効率的な使用も可能になる。
【0043】
モード設定部16は、暗証符号認証部3、あるいは媒体認証部9による認証成立を条件に起動され、利用者による利用可能認証方式の追加、削除動作に基づいてモードを自動変更する。
【0044】
本例において、暗証番号単独モード下で利用者がカード認証方式を登録すると、モード管理部15における登録モードを暗証番号優先モードに変更し、カード単独モード下での暗証番号認証方式の登録によりカード優先モードに変更する。また、暗証番号方式とカード方式の双方を利用可能認証方式から除外した場合には、ブランクモードに移行し、以後、ブランクモードカード8Cによる認証のみが可能になる。
【0045】
電気錠駆動部17は、電気錠5、あるいはドア11から出力される施解錠状態信号を監視しており、施錠状態信号を受信している場合、制御部6が電気錠5への駆動信号の出力条件を充足していることを条件に解錠用ドライブ信号を生成して電気錠5に出力し、該電気錠5を解錠駆動する。また、電気錠駆動部17は、解錠状態信号を受信している状態では、モード管理部15における現在の運用モードを確認し、カード単独モード以外の場合には、操作開始ボタン18の押下信号の受信により施錠用ドライブ信号を生成して電気錠5を施錠駆動する。
【0046】
これに対し、現在の運用モードがカード単独モードである場合、施錠に際して認証カード8の認証が条件とされ、室内に認証カード8を置き忘れて施錠してしまう締め出し状態の発生が防止される。
【0047】
なお、本例では、操作開始ボタン18の押下操作を施錠要求とする場合を示したが、操作開始ボタン18の押下を要することなく、所定時間経過後自動的に施錠されるように形成することも可能であり、この場合も、カード単独モード下では、自動施錠に際して認証カード8の認証を要求するように形成される。
【0048】
図4以下に本実施の形態を動作フローを示す。図4に示すように、運用が開始されると、種々の初期設定が読み込まれ、カードマーク、およびテンキー1を消灯状態にして利用者の操作を待つ(ステップS1-1)。
【0049】
この状態で操作開始ボタン18が利用者により押下されると(ステップS1-2)、モード管理部15内の現在の運用モード情報に基づいて処理を分岐させ(ステップS1-3)、現在の運用モードがカード単独モード、あるいはブランクモードである場合には、図7に示すカード認証ステップが実行される。
【0050】
これに対し、ステップS1-3でカード優先モードが検出された場合には、まず、施解錠信号が確認され(ステップS1-5)、当該ステップS1-5で解錠状態信号が検出されると施錠処理を実行して待ち状態に復帰し(ステップS1-51)、施錠状態が検出されると、認証カード8を認証するためにカード認証ステップが実行される。
【0051】
また、ステップS1-3で暗証番号優先モード、または暗証番号単独モードが検出されると、施解錠信号が確認され(ステップS1-4)、当該ステップS1-4で解錠状態信号が検出されると施錠処理を実行して待ち状態に復帰し(ステップS1-41)、施錠状態が検出されると、暗証番号を認証するために、図5、6に示す暗証番号認証ステップが実行される。
【0052】
暗証番号認証ステップにおいては、まず、テンキー1を点灯させて暗証番号の入力を促すことにより本認証動作が開始され(ステップS2-1)、次いで、暗証番号入力の時間計測のため、動作タイマーをスタートさせる(ステップS2-2)。動作タイマーによる計時時間中、操作開始ボタン18の押下(ステップS2-3)、または暗証番号の入力(ステップS2-4)が監視され、タイマー設定時間内に双方の操作が行われなかった場合には(ステップS2-5)、待ち状態に復帰する。
【0053】
これに対し、ステップS2-4で暗証番号が入力され、エンターキー7が入力されると、図6に示すように、暗証符号認証部3での認証動作が開始され(ステップS2-41)、認証が成立したなかった場合にはエラー通知をした後(ステップS2-411)、待ち状態に復帰する。ステップS2-41で認証が成立すると、一旦暗証符号入力部2の全符号、マークを非表示状態とした後(ステップS2-42)、動作タイマーをスタートさせ(ステップS2-43)、さらに、複数のテンキー1の適数(本例においては4個)をランダムに表示させてダミー入力段階を開始する(ステップS2-44)。
【0054】
ダミー入力段階で操作開始ボタン18が押し下げられ(ステップS2-45)、あるいは所定時間内にダミー入力が開始されなかった場合は(ステップS2-46)、キャンセル操作として待ち状態に復帰する。
【0055】
これに対してダミー入力段階で表示キーがタッチされた場合には(ステップS2-47)、タッチされたキーを非表示とし(ステップS2-48)、表示キーの全てがタッチされると(ステップS2-49)、施錠状態か否かを検出し(ステップS2-50)、解錠状態のときには施錠処理を行った後(ステップS2-501)、待ち状態に復帰する。
【0056】
また、ステップS2-50において施錠状態のときには解錠処理を行った後(ステップS2-51「)、 ”暗証番号”フラグをセットし(ステップS2-52)、図14に示す解錠処理後ステップが実行される。
【0057】
さらに、ステップS2-3で操作開始ボタン18の押下が検出されると、現在の運用モードが確認される(ステップS2-31)。このステップS2-31でカード優先モード、カード単独モード、またはブランクモードが検出されると、これらが暗証番号モードの次の選択肢とはなり得ないために、操作開始ボタン18の押下操作は初期状態への復帰操作と解し、待ち状態に復帰する。
【0058】
また、ステップS2-31で暗証番号優先モードが検出された場合には、ステップS2-3における操作開始ボタン18の押下操作は、暗証番号認証ステップのスキップ操作と考えられるために、図7に示すカード認証ステップが実行される。
【0059】
さらに、ステップS2-31で暗証番号単独モードが検出された場合、暗証番号単独モードにおける管理カード8Bによる認証を可能にするために、ステップS2-311で操作開始ボタン18の押下時間が所定時間(本例においては2秒)を超えたか否かを判定し、超えなかった場合には、操作開始ボタン18の押下操作は初期状態への復帰操作と解して待ち状態に復帰し、超えた場合には、管理カード8Bによる認証要求と解してカード認証ステップが実行される。
【0060】
カード認証ステップは、図7に示すように、まず、カードマークを点灯、表示させて認証カード8をカード読み取り部に翳すことを促した後(ステップS3-1)、認証カード8を翳すための時間計測のため、動作タイマーをスタートする(ステップS3-2)。動作タイマーによる計時中、操作開始ボタン18の押下(ステップS3-3)、または認証カード8情報の読み取り(ステップS3-4)が監視され、タイマー設定時間内に双方の操作が行われなかった場合には(ステップS3-5)、待ち状態に復帰する。
【0061】
これに対し、ステップS3-4で認証カード8の情報が入力されると、読み取った認証カード8がユーザーカード8Aか管理カード8Bかが識別され、ユーザーカード8Aである場合、正確には認証可能なユーザーカード8Aである場合(ステップS3-41)、施解錠状態が検出され、解錠状態である場合には(ステップS3-42)施錠処理が実行された後(ステップS3-421)、待ち状態に復帰する。
【0062】
上記ステップS3-42は、図4の開始ステップにおいてカード単独モード以外は、施錠処理が終了しているために、カード単独モードを対象とした検査ステップとして機能し、結果、カード単独モードでの施錠操作は、認証成立を条件とすることが求められる。
【0063】
また、ステップS3-42で施錠状態が検出されると、 ”ユーザーカード”フラグをセットした後(ステップS3-43)、解錠処理を行い(ステップS3-44)、図14に示す解錠処理後ステップが実行される。
【0064】
これに対し、ステップS3-41でユーザーカード8Aと識別されなかった場合、まず、管理カード8Bか否かが識別され(ステップS3-411)、管理カード8Bでない場合には、待ち状態に復帰し、管理カード8Bである場合、”管理カード”フラグをセットした後(ステップS3-412)、図8に示す管理ステップが実行される。
【0065】
さらに、ステップS3-3で操作開始ボタン18の押下が検出されると、現在の運用モードを確認し(ステップS3-31)、運用モードがカード優先モードの場合には暗証ステップが実行され、それ以外の場合には、操作開始ボタン18の押下操作は初期状態への復帰操作と解し、待ち状態に復帰する。
【0066】
管理ステップは、図8に示すように、まず、テンキー1を点灯し(ステップS4-1)、管理種別の特定を促す(ステップS4-2)。モード管理は、IDの登録、削除操作により自動的に決定される。
【0067】
上記IDの削除操作権限は、管理カード8Bを使用した管理ステップの実行に対してのみ付与され、管理カード8Bを使用しないID削除操作要求があった場合(ステップS4-3、4、5)、エラー通知を発した後(ステップS4-32、42、52)、待ち状態に復帰する。
【0068】
これに対し、設定変更種別が暗証番号、および認証カード8の削除要求である場合には、当該ID削除処理を実行した後(ステップS4-31)、図9に示すように、動作モードをブランクモードに変更した後(ステップS5)、待ち状態に復帰する。また、ステップS4-2でユーザーカード8Aの削除要求があった場合には、ユーザーカード削除処理を実行した後(ステップS4-41)、図10に示すユーザーカード削除後処理ステップが、暗証番号削除が要求された場合には、暗証番号削除処理が実行された後(ステップS4-51)、図11に示す暗証番号削除後処理ステップが各々実行される。
【0069】
また、ステップS4-2でユーザーカード8Aによる処理が許されるユーザーカード8Aの登録、あるいは暗証番号の登録、変更が要求された場合、ユーザーカード8A、あるいは管理カード8Bか否かの判定が行われ(ステップS4-6、7)、いずれでもない場合にはエラー通知を発した後(ステップS4-62、72)、待ち状態に復帰する。
【0070】
さらに、ステップS4-2において管理カード8Bまたはユーザーカード8Aによるユーザーカード8Aの登録処理要求がなされた場合には、ユーザーカード8A登録処理を実行した後(ステップS4-61)、図12に示すユーザーカード8A登録後処理ステップが、暗証番号登録処理要求がなされた場合には、暗証番号登録処理を実行した後(ステップS4-71)、図13に示す暗証番号登録後処理ステップが実行される。
【0071】
ユーザーカード8A削除後処理ステップにおけるモード変更は、図10に示すように、現在の実行モードがブランクモード、あるいは暗証番号単独モードである場合には、ユーザーカード8Aの削除により認証環境は変化しないために、動作モードが維持、継続され(ステップS61、62)、カード単独モードである場合、認証カード8によるアクセスが管理カード8B、およびブランクカードに限定されるブランクモードに移行し(ステップS63)、待ち状態に復帰する。
【0072】
また、ユーザーカード削除後処理ステップにおいて実行ステップが暗証番号優先モードである場合には、切替対象であるカード認証方式が削除されるために、暗証番号単独モードに変更された後(ステップS64)、待ち状態に復帰し、カード優先モードの場合には、暗証番号単独モードに移行した後(ステップS65)、待ち状態に復帰する。
【0073】
さらに、暗証番号削除後処理ステップにおけるモード変更は、図11に示すように、現在の実行モードがブランクモード、あるいはカード単独モードである場合には、暗証番号の削除により認証環境は変化しないために、動作モードが維持、継続され(ステップS71、73)、暗証番号単独モードである場合には、ブランクモードに移行し(ステップS72)、待ち状態に復帰する。
【0074】
また、暗証番号削除後処理ステップにおいて実行ステップが暗証番号優先モードである場合には、カード単独モードに移行した後(ステップS74)、カード優先モードである場合には、切替対象である暗証番号認証方式が削除されるために、カード単独モードに変更された後(ステップS75)、待ち状態に復帰する。
【0075】
ユーザーカード登録後処理ステップにおけるモード変更は、図12に示すように、現在の実行モードがカード単独モード、暗証番号優先モード、あるいはカード優先モードである場合には、ユーザーカード8Aの登録により認証環境は変化しないために、動作モードが維持、継続される(ステップS83、84、85)。
【0076】
また、実行モードがブランクモードの場合には、ユーザーカード8Aの登録によりカード単独モードに変更された後(ステップS81)、待ち状態に復帰し、暗証番号単独モードの場合、従前の暗証番号認証方式を優先表示する優先モード、すなわち、暗証番号優先モードに変更された後(ステップS82)、待ち状態に復帰する。
【0077】
図13は暗証番号登録後処理ステップにおけるモード変更を示し、現在の実行モードが暗証番号単独モード、暗証番号優先モード、あるいはカード優先モードの場合には、暗証番号の登録により認証環境は変化しないために、動作モードが維持、継続される(ステップS92、94、95)。また、実行モードがブランクモードの場合には、暗証番号の登録により暗証番号単独モードに変更された後(ステップS91)、待ち状態に復帰し、カード単独モードの場合、従前のカード認証方式を優先表示する優先モード、すなわち、カード優先モードに変更された後(ステップS93)、待ち状態に復帰する。
【0078】
一方、解錠処理後ステップは、図14に示すように、まず、解錠動作が正常に実行されたか否かが判定され(ステップS10)、正常な実行が確認されなかった場合には施解錠エラー表示を発した後(ステップS101)、待ち状態に復帰する。
【0079】
これに対し、ステップS10で正常な解錠動作が確認された場合、解錠完了表示を実行した後(ステップS11)、管理ステップへの移行操作が可能になる。管理ステップへの移行は、解錠動作後、所定時間内に操作開始ボタン18を押下し、さらにそのまま一定時間操作開始ボタン18を押し続けることにより行われ、当該操作を検出するために、まず、タイマーAを起動し(ステップS12)、所定時間内に操作が行われなかった場合には(ステップS14)、待ち状態に復帰する。
【0080】
一方、タイマーAのアップ前に操作開始ボタン18の押下操作が行われた場合(ステップS13)、タイマーBをスタートさせ(ステップS131)、所定時間の経過が検出されると(ステップS133)、管理ステップに移行し、その前に操作開始ボタン18の押下操作が中止されると(ステップS132)待ち状態に復帰する。
(付記)
(付記1)
異なった暗証用符号1を予め定められた配列により配置した暗証符号入力部2と、
暗証符号入力部2から入力された入力符号列の予め登録された認証用暗証符号列との一致を認証成立条件とする暗証符号認証部3と、
暗証符号認証部3での本認証操作後における暗証符号入力部2への任意の暗証用符号1の入力を検出するダミー入力検出部4と、
本認証動作時の認証成立に加え、ダミー入力検出部4における暗証用符号1入力の検出を条件に電気錠5を解錠駆動する制御部6とを備える電気錠制御装置。
(付記2)
前記暗証符号入力部2にはエンターキー7が配置され、
エンターキー7が入力される前の適数が本認証操作における認証用暗証符号列として採用される付記1記載の電気錠制御装置。
(付記3)
前記暗証符号入力部2は暗証用符号1を非表示状態への遷移可能に表示するとともに、
前記ダミー入力操作時に暗証用符号1の適数をダミー入力用符号として表示し、
表示されたダミー入力用符号の全ての選択によりダミー入力操作が完了する付記1または2記載の電気錠制御装置。
(付記4)
前記暗証符号入力部2は静電容量式タッチセンサにより形成されるとともに、
前記暗証符号入力部2へのダミー入力がスワイプ操作により実行可能な付記1、2または3記載の電気錠制御装置。
(付記5)
利用者の選択により、前記暗証符号認証部3に代えて認証媒体8に保持された電子的な認証コードに対して認証する媒体認証部9を有するとともに、
前記暗証符号入力部2の一部には、前記認証媒体8の認証コード読み取り可能領域が設定され、
かつ、前記制御部6は、前記媒体認証部9による認証方式が選択された際には、暗証用符号1に代えて認証コード読み取り可能領域を暗証符号入力部2に表示する付記1から4のいずれかに記載の電気錠制御装置。
(付記6)
前記暗証符号認証部3による認証方式と、媒体認証部9における認証方式のいずれかを優先認証方式として登録可能であり、
前記制御部6は、起動時に優先利用認証方式を最先に実行する付記5記載の電気錠制御装置。
(付記7)
切替可能な複数の認証方式を備えた認証部を備え、該認証部での認証成立を条件として電気錠5を解錠駆動する電気錠制御装置であって、
利用者による優先認証方式の登録が可能で、認証部の利用時に登録済み優先認証方式が最先に実行される電気錠制御装置。
(付記8)
前記複数の認証方式から利用者により利用可能認証方式として選択された複数の認証方式の一が優先認証方式として指定された優先モードと、前記適数の認証方式のうち一が利用者により利用可能認証方式として選択された単独モードとを有し、
単独モードにおける認証成立後の他の認証方式の登録により優先モードに自動遷移する付記7記載の電気錠制御装置。
(付記9)
認証媒体8に保持された電子的な認証コードに対して認証する媒体認証方式を前記利用可能認証方式に含み、
前記認証媒体8方式のみが利用可能な媒体単独モード以外において認証操作を要求することなく施錠操作を可能にし、
媒体単独モードにおいては、認証媒体8による認証成立を施錠操作の実行条件とする付記8記載の電気錠制御装置。
(付記10)
前記単独モードにおける他の認証方式の登録により単独モード時の利用可能認証方式を優先認証方式とする優先モードに自動遷移する付記8または9記載の電気錠制御装置。
(付記11)
利用者による利用可能認証方式の未決定時に認証動作可能で、利用可能認証方式の全削除により移行するブランクモードを有し、
前記ブランクモードにおける認証後の利用可能認証方式の登録により単独モードに自動遷移する付記8、9または10記載の電気錠制御装置。
【符号の説明】
【0081】
1 暗証用符号
2 暗証符号入力部
3 暗証符号認証部
4 ダミー入力検出部
5 電気錠
6 制御部
7 エンターキー
8 認証媒体
9 媒体認証部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14