【実施例1】
【0017】
実施例1に係る搬送台車の制御システム、搬送台車の制御装置及び搬送台車につき、
図1から
図11を参照して説明する。なお、
図2の画面左斜め下を搬送台車の正面側(前方側)、画面右斜め上を背面側(後方側)とする。
【0018】
図1に示されるように、搬送台車1は、複数の収容部2aを上下左右に備えた収容棚2が複数配置された大型倉庫等において、指定された物品3を収容棚2の所定の収容部2aに対して搬入もしくは搬出を行う際に用いられる。収容棚2の各収容部2aの底面2bには、正面視L字状、逆L字状で一対に対向する走行レール4が敷設されており、走行レール4の上端面4aには、物品3が載置された複数のパレット5が支持されている。
【0019】
搬送台車1の構成について説明する。
図1及び
図2に示されるように、搬送台車1は走行レール4の走行面4bを走行可能な車体6と、物品3を載置支持し、車体6に対し昇降可能に設けられた載置台7(本発明の物品載置部材)と、該載置台を昇降させる昇降駆動部(図示せず)と、搬送台車1を走行レール4上で走行可能とする走行装置12とを備えており、載置台7がパレット5の下面から離間する最下降状態で走行レール4の走行面4bを走行してパレット5の下方に進入した後、載置台7を上昇させることでパレット5ごと物品3を持ち上げ、パレット5及び物品3を走行レール4の上端面4aから所定高さ浮かせて運搬するようになっている。
【0020】
図2に示されるように、搬送台車1の車体6は、金属板の前後を屈曲して形成され、走行用の走行駆動部12、図示しない昇降用の昇降駆動部、制御装置、電源装置としてのバッテリを備えている。制御装置は、走行用の駆動モータを駆動制御する駆動モータ制御部、昇降用の昇降モータを駆動制御する昇降モータ制御部、記憶部、通信部を備えている。記憶部は、制御装置の駆動信号の履歴、搬送台車の運転履歴等を記憶する機能を有する。また、通信部は、外部からの駆動指令等の受信、記憶部に記憶されたデータ、後述する操作指示手段等の送信を行う。
【0021】
走行駆動部12、12は、駆動モータ12a、12a、走行車輪13、13、複数個の従動車輪14、14、…により主に構成される。駆動モータ12a、12aは図示しないケーブルにより駆動モータ制御部と接続されており、さらに駆動モータ制御部は車体6内に内蔵されたバッテリに接続される。そして、制御部は、指令信号に基づき、駆動モータに電力を供給して、駆動モータを回転駆動し、駆動モータ12a、12aにより駆動した走行車輪13、13が、
図1及び
図2に示す走行レール4の走行面4b、4bを走行することにより、従動車輪14、14、…が従動して車体6が安定的に走行するようになっている。
【0022】
また、載置台7の昇降用の昇降装置についても、昇降モータにより昇降駆動され、昇降モータ制御部が、指令信号に基づき、昇降用モータに電力を供給して、昇降用モータを昇降駆動して、載置台7を昇降させている。
【0023】
なお、搬送台車1の駆動等によって、バッテリの電圧が低下した場合には、車体6からバッテリを取外して、後述のコントロール盤の充電手段によって充電することができる。そして、充電後、搬送台車1の車体6に取付け、搬送台車のバッテリとして繰返し使用することができる。
【0024】
さらに、
図2、
図3に示すように、搬送台車1の車体6の前方側、後方側にはそれぞれ、コントロールパネル30が備えられている。後述するように、コントロールパネル30は、タッチパネルPC(パーソナルコンピュータ)となっており、搬送台車1の運転、運転監視、操作するための操作指示手段が表示され、該操作指示手段をタッチ操作して、搬送台車を駆動できるようになっている。
【0025】
たとえば、1号機の搬送台車のコントロールパネル30には、
図4に示すようなメニューボタン31が表示され、該メニューボタン31をタッチして搬送台車1を駆動できるようになっている。
【0026】
たとえば、
図4の手動モードのボタンをタッチ操作すると、
図5に示すように、搬送台車1を手動で操作するための手動モードメニューボタン32が表示される。
【0027】
また、1号機の搬送台車の異常が検知された場合には、
図4の異常のボタンをタッチすると、
図6に示すように、異常モードメニューボタン33が表示される。
図6は、温度高で異常信号が発せられている場合を示し、温度高ボタンが色変えて表示されるようになっている。さらに、
図6の温度高のボタンをタッチすると、搬送台車のどの箇所が温度異常となっているのかが表示され、異常箇所を特定できるようになっている。
【0028】
さらに、搬送台車の駆動に関する情報、たとえば、メンテナンス履歴、運転履歴、搬送台車が走行している棚の位置(段、列)が搬送台車に備えられた記憶装置に逐一記憶され、
図4の履歴のボタンをタッチすると、
図7に示すように履歴メニューボタン34が表示され、さらに運転履歴のメニューボタンをタッチすると、運転履歴等の操作内容、警告信号等が日時とともに表示される。
【0029】
つぎに、入庫動作を説明する。
図1に示すように、物品3は、
図1の左の矢印の方向から順次搬入され、
図1の右側から順次出庫される。パレット5に載置された物品3は、フォークリフト等を使用して収容棚2の入り口部2cに搬入される。搬送台車1は、
図1の1aで示すように、物品3に向かって移動し、該搬送台車に備えられたセンサー(図示せず)によって物品3の位置を検出して、物品3の真下で停止する。つぎに、物品載置部材7を昇移動させて物品3をパレット5ごと持ち上げ、その状態で走行路4bを走行し、該搬送台車に備えられたセンサーによって、先づめされた物品3の位置を検出して、先づめされた別の物品3の手前で停止し、搬送台車1は、物品載置部材7を降移動させて物品3をパレット5ごと荷載置面4aに載置し、入庫を完了する。
【0030】
このような搬送台車の一連の入庫動作は、
図4に示す自動モードのボタンをタッチすると自動的に行なわれる。しかし、搬送台車1のコントロールパネル30を操作するためには、搬送台車1の側で操作する必要があり、大倉庫の場合には、操作者に負担がかかり、不便である。そこで、搬送台車1は、操作端末40を操作して遠隔で操作できるようになっている。
【0031】
図3に示すように、搬送台車の制御システムは、複数の搬送台車1、…を遠隔操作するための操作端末40、搬送台車の制御信号及び運転履歴を受信して記憶するとともに、搬送台車及び本発明のコントロール盤としての地上盤50、アクセスポイント60を備え、操作端末40と複数の搬送台車1、…はアクセスポイント60を介して無線LANで接続することができる。さらに、操作端末40と地上盤50はアクセスポイント60を介して無線LANで接続することができる。
【0032】
ここで、操作端末40について説明する。操作端末40は、タッチパネルPC(パーソナルコンピュータ)となっており、
図9に示すように、搬送台車接続あるいは地上盤接続の選択メニューボタン41が表示され、搬送台車接続のメニューボタンをタッチすると、
図10に示すように、操作端末は複数の搬送台車の中から1台を選択するための搬送台車選択ボタン42が表示される。たとえば、1号機のメニューボタンをタッチすると、操作端末40から1号機搬送台車のIDが送信され、駆動対象となる1号機搬送台車は該IDを受信して、操作端末40と1号機搬送台車1とは1対1にリンクされる。
【0033】
操作端末40と1号機搬送台車とは1対1にリンクされると、1号機搬送台車のコントロールパネル30は、
図4に示すコントロールパネルの操作指示手段31を1号機搬送台車に備えられた通信手段を介して送信する。すると、
図11に示すように、操作端末40には1号機搬送台車のコントロールパネル30の操作指示手段31(
図4参照)が送信、表示されるので、操作端末40に送信、表示された操作指示手段31を操作して、1号機搬送台車を操作できるようになる。このように、搬送台車1、…が複数であっても、1台の操作端末から所望の搬送台車1をリンクして、操作端末40に表示された操作指示手段31を操作して、所望の搬送台車を操作できるので、あたかも搬送台車の傍らで操作する状況を得ることができるようになる。なお、
図3は、1台の操作端末40から複数の搬送台車1、…を操作することを説明したが、複数の操作端末40と複数の搬送台車1、…とからなる搬送台車の制御システムとしてもよい。さらに、操作端末40と搬送台車1とを1対1で使用できることは言うまでもない。
【0034】
ここで、複数の操作端末40を使用して、複数の搬送台車1を駆動する場合には、安全を図るため、操作端末40にリンクされている搬送台車1には、他の操作端末40は割り込みできないように保護されている。たとえば、1号機搬送台車と1号機操作端末40とがリンクされると、2号機操作端末、3号機操作端末から1号機搬送台車を操作することはできない。しかし、1号機操作端末40から連続入庫するように1号機搬送台車が操作された状態で、1号機搬送台車と1号機操作端末40とのリンクが解除されると、2号機操作端末は1号機搬送台車とリンクできるようになり、2号機操作端末は1号機搬送台車が実施中の連続入庫の作業を引き継いで、1号機搬送台車を操作できるようになる。
【0035】
なお、通常は、複数の搬送台車は、同一の仕様で製作されたものを一か所の倉庫で使用される。しかしながら、他の倉庫で使用している仕様の異なる搬送台車を混在して1つの倉庫で使用したいという要望もある。このような場合であっても、搬送台車から、操作指示手段が1つの操作端末40に送信され表示されるので、仕様の異なる複数の搬送台車であっても、表示された操作指示手段を操作端末40で操作して、搬送台車を駆動できる。
【0036】
つぎに、
図2の地上盤50について説明する。地上盤50も、タッチパネルPC(パーソナルコンピュータ)となっており、さらに、複数の搬送台車から送信された制御データ、操作データ、運転履歴等を記憶する記憶手段を備えている。そして、複数の搬送台車1、…の記憶手段に記憶された制御データ、操作データ、運転履歴等の情報は地上盤50に送信され、地上盤50は記憶手段に送信された情報を各搬送台車のIDに対応付けて記憶する。
【0037】
図8に示すように、地上盤50の表示部には、台車状況を表示するための台車ステイタスボタン、台車の運転履歴を表示するための運転履歴ボタン、メンテナンス履歴を表示するためのメンテナンス履歴ボタンのメニューボタン51が表示される。ここで、運転履歴のボタンをタッチすると、各台車ごとの制御データ、操作データ、運転履歴等が地上盤50の表示部に表示される。このように、複数台の搬送台車の情報は、地上盤50にて一元管理把握することができるので、複数の搬送台車1、…の傍らで各搬送台車1、…の運転ログデータを吸い上げなくとも、地上盤50にアクセスすることで、すべての搬送台車の情報を容易に得ることができ、計画的にメンテナンス等を行えるようになり、搬送システムの信頼性を向上できる。
【0038】
また、地上盤50は監視機能を有しており、搬送台車等に異常が発生すると警報等を報知する機能を有している。また、複数の搬送台車のうち、どの搬送台車のどの箇所が異常なのかを特定することもできる。
【0039】
また、
図8に示すように、地上盤50の表示部の台車状況を表示するための台車ステイタスのボタンをタッチすれば、運転中の搬送台車1のリアルタイムで搬送台車1の運転状況、制御データ等を観ることもできる。
【0040】
さらに、搬送台車1の駆動等によって、バッテリの電圧が低下した場合には、車体6からバッテリを取外して、地上盤50の充電手段に接続して充電し、バッテリとして繰返し使用することができる。また、地上盤50は診断機能を有しており、充電中にバッテリの寿命を診断することもできる。
【0041】
加えて、
図9に示すように、操作端末40は、搬送台車接続あるいは地上盤接続の選択メニューボタン41が表示されるので、地上盤接続のボタンをタッチすれば、地上盤50の表示画面を表示させることができ、地上盤の側へ行くことなく、操作端末40からすべての搬送台車の情報を観ることができる。
【0042】
また、地上盤50をインターネット、イントラネットで接続することで、倉庫の外の事務所から搬送台車の状況を監視したり、運転ログデータを観ることもできる。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0044】
例えば、前記実施例では、リチウムイオン電池を使用しているが、鉛蓄電池を使用してもよい。