(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(C)シリコーン系レベリング剤が、シリコーン変性アクリル、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
前記(C)シリコーン系レベリング剤の配合量が、前記(A)エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して固形分換算で0.045〜5重量部の範囲内の値であることを特徴とする請求項1または2に記載のハードコートフィルム。
前記(B)疎水化シリカゾルを塗膜にした際の塗膜に対するJIS R 3257に準拠して測定される水の接触角を100°以上の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
前記(B)疎水化シリカゾルの配合量が、前記(A)エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して固形分換算で0.3〜55重量部の範囲内の値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
前記ハードコートフィルムのJIS K 7105に準拠して測定されるヘイズ値が、1.0%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
前記ハードコート層の表面におけるJIS B 0601−1994に準拠して測定される算術平均粗さRaが、1.5〜5nmの範囲内の値であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層を備えたハードコートフィルムであって、ハードコート層が、少なくとも(A)エネルギー線硬化性樹脂と、(B)疎水化シリカゾルと、(C)シリコーン系レベリング剤とを含むハードコート層形成材料
(但し、反応性フッ素化合物を除く)の硬化物からなり、(B)疎水化シリカゾルが、ハードコート層形成材料を硬化した後のハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在しており、ハードコートフィルムの最表面から5nmの位置までの領域において、深さ方向のXPS分析によって測定される炭素原子、酸素原子、ケイ素原子の合計量(100atom%)に対して、ケイ素原子濃度が0.2〜1.95atom%範囲内の値であることを特徴とするハードコートフィルムである。
以下、第1の実施形態のハードコートフィルムにつき、適宜図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
1.ハードコート層形成材料
(1)(A)エネルギー線硬化性樹脂
(1)−1.種類
ハードコート層形成材料を構成する(A)エネルギー線硬化性樹脂の種類としては、特に制限はなく、従来公知のものの中から選択でき、エネルギー線硬化性のモノマー、オリゴマー、樹脂、またはそれらを含む組成物等が挙げられる。
具体例としては、多官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートや、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール多官能(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートや、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のジペンタエリスリトール多官能(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリアリル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
これらのうち、ハードコート層に適度な堅硬性を付与できることから、ペンタエリスリトール多官能(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリトール多官能(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
【0024】
また、多官能(メタ)アクリレートが、EO(エチレンオキサイド)あるいはPO(プロピレンオキサイド)付加型の多官能(メタ)アクリレートを含むことも好ましい。
EO(エチレンオキサイド)あるいはPO(プロピレンオキサイド)付加型の多官能(メタ)アクリレートとは、EOあるいはPO付加型の多価アルコールをアクリル酸でエステル化することによって得られる化合物であり、より具体的には、EOまたはPO変性グリセロールトリアクリレート、EOまたはPO変性トリメチロールプロパンアクリレート、EOまたはPO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、EOまたはPO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
これらのうち、ハードコート層に適度な柔軟性を付与することでハードコート層のクラックや割れを防止できることから、EOまたはPO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、EOまたはPO変性トリメチロールプロパンテトラアクリレートであることがより好ましい。
【0025】
また、EOまたはPO付加型多官能(メタ)アクリレートにおいて、ハードコート層に適度な柔軟性を付与するために、かかる多官能(メタ)アクリレート1mol当たりのEOまたはPO付加量が6〜18モルの範囲内の値であることが好ましく、8〜16モルであることがより好ましい。
【0026】
(1)−2.配合量
また、ハードコート層形成材料を構成する(A)エネルギー線硬化性樹脂が、(a1)多官能(メタ)アクリレート化合物と、(a2)エチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加型の多官能(メタ)アクリレート化合物と、を含有し、(a1)多官能(メタ)アクリレート化合物と、(a2)エチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加型の多官能(メタ)アクリレート化合物との含有重量比が、100:0〜20:80の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、ハードコート層形成材料が、エネルギー線照射により比較的高硬度となる多官能(メタ)アクリレート化合物と、エネルギー線照射によっても、比較的高い柔軟性を有するエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加型の多官能化合物と、を所定の含有量で含むことにより、ハードコート層の硬度を容易に調整することができるためである。
すなわち、(a1)多官能(メタ)アクリレート化合物の含有重量比が20未満の値になると、硬化後のハードコート層の耐擦傷性が低下する場合があるためである。
したがって、(a1)多官能(メタ)アクリレート化合物と、(a2)エチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加型の多官能(メタ)アクリレート化合物との含有重量比が95:5〜30:70の範囲内の値であることがより好ましく、90:10〜50:50の範囲内の値であることがさらに好ましい。
【0027】
(1)−3.(D)光重合開始剤
また、本発明におけるハードコート層形成材料においては、所望により、(D)光重合開始剤を含有させることが好ましい。
この理由は、光重合開始剤を含有させることにより、ハードコート層形成材料に対して活性エネルギー線を照射した際に、効率的にハードコート層を形成することができるためである。
ここで、光重合開始剤とは、紫外線等の活性エネルギー線の照射により、ラジカル種を発生させる化合物をいう。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン]等が挙げられ、これらのうち一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、(D)光重合開始剤を含有させる場合の含有量としては、(A)エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対し、0.2〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜15重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜13重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0028】
(2)(B)疎水化シリカゾル
(2)−1.種類
また、ハードコート層形成材料が、(B)疎水化シリカゾルを含むことを特徴とする。
ここで、シリカゾルの種類としては、アルコキシシラン化合物やクロロシラン化合物等を原料とするシリカ微粒子のゾルが挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、加水分解性のアルコキシル基を有するケイ素化合物であれば、特に限定されず、例えば一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
R
1nSi(OR
2)
4-n (1)
(式中R
1は、水素原子、または非加水分解性基、具体的には、アルキル基、置換アルキル基(置換基:ハロゲン原子、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基等)、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を示し、R
2は、低級アルキル基を示す。nは、0〜2の整数であり、R
1およびOR
2がそれぞれ複数である場合、複数のR
1は同一でも異なっていてもよく、また複数のOR
2は、同一でも異なっていてもよい。)
【0029】
また、一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、トリメトキシシランヒドリド、トリエトキシシランヒドリド、トリプロポキシシランヒドリド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン等の一種単独または二種以上の組み合わせが好ましい。
【0030】
この場合、アルコキシシラン化合物として、nが0またはnが1〜2でR
1が水素原子である化合物を完全加水分解すれば無機シリカ系硬化物が得られるし、部分加水分解すれば、ポリオルガノシロキサン系硬化物または無機シリカ系とポリオルガノシロキサン系との混合系硬化物が得られる。
一方、nが1〜2で、R
1が非加水分解性基である化合物では、非加水分解性基を有するので、部分または完全加水分解により、ポリオルガノシロキサン系硬化物が得られる。
クロロシラン化合物としては、エチルジクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等が挙げられる。
【0031】
また、シリカゾルは、シリカ微粒子が水または有機溶媒中で、ゾル状態で分散したものである。
かかる有機溶媒に特に制限はなく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、n−プロピルセロソルブ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等が挙げられるが、比較的沸点が高いメチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
【0032】
また、本発明のシリカゾルは、シリカ粒子表面のシラノール基の一部又は全部が疎水性基を有する表面改質剤で処理されている疎水化シリカゾルであることを特徴とする。
ここで、表面改質剤としては、シリカ粒子表面上のシラノール基に対して、反応可能な官能基と、疎水基とを併せ持つシランカップリング剤が挙げられる。
より具体的に、疎水化シリカゾルとして、例えば、CIKナノテック社製SIRPGM15WT%−E26等が挙げられる。
【0033】
(2)−2.疎水化度
また、シリカゾルの疎水化度は、シリカゾルを、PETフィルム上に塗工し、溶剤を除去してシリカゾル塗膜を作成し、かかる塗膜に対する水の接触角を測定して判断した。
より具体的には、シリカゾルを塗膜にした際の塗膜に対する水の接触角を100°以上の値とすることが好ましい。
すなわち、シリカゾルの塗膜に対するJIS R 3257に準拠して測定される水の接触角が100°以上の値であれば、シリカゾルの表面が疎水性であると判断できる。
ここで、
図2に、本発明のハードコートフィルム20を概念的に説明するために供する図を示す。
より具体的には、本発明の疎水化シリカゾル16は、ハードコート層形成材料を基材表面に塗布して硬化させると、ハードコート層12内で、他の成分と相分離し、基材表面10とは反対の表面側に多く偏在し、基材表面付近およびハードコート層内に存在する割合が低くなると考えられる。
したがって、少量の疎水化シリカゾルの添加で、ハードコート層の表面に、適度な表面粗さを付与できるため、ハードコートフィルム同士が重なって時間が経過した場合であっても、フィルム同士のブロッキング(圧着)が生じることを防止することができる。
すなわち、比較的少量の添加で所定の耐ブロッキング性(アンチブロッキング性と称する場合がある)の効果を発揮可能であるため、透明性の高いハードコートフィルムを得ることができることが理解される。
なお、疎水化シリカゾルの塗膜に対する水の接触角が過度に高くなると、ハードコートフィルムにさらに透明導電層等を積層する場合に密着性が低下する恐れがあるため、疎水化シリカゾルの塗膜に対する水の接触角を100〜130°の範囲内の値とすることがより好ましい。
一方、シリカゾルの塗膜に対する水の接触角が100°未満の値となり、親水性が高くなると、
図6に示すように、シリカゾル18は、基材フィルムと反対の表面側のみに偏在することなく、ハードコート層内全体に分散した状態で存在することが確認されている。
したがって、ハードコート層に所定の表面粗さを付与するためには、シリカゾルを比較的多い量で配合する必要があることが理解される。
なお、シリカゾルの塗膜に対する水の接触角の測定方法は、実施例1において、具体的に説明するようにシリカゾル塗膜を作成し、水の接触角を測定することにより算出することができる。
【0034】
(2)−3.平均粒子径
また、本発明の疎水化シリカゾルの平均粒子径が10〜100nmの範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、疎水化シリカゾルの平均粒子径が10nm未満の値となると、所定の表面粗さを得ることが困難となり、特に、少量の配合では、ブロッキングの発生を防止することが困難となる場合があるためである。
一方、疎水化シリカゾルの平均粒子径が100nmを超えた値となると、ハードコートフィルムの光学特性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、疎水化シリカゾルの平均粒子径が10〜50nmの範囲内の値であることがより好ましく、15〜40nmの範囲内の値であることがさらに好ましい。
なお、シリカゾルの平均粒子径は、レーザー回折錯乱式粒度分布測定装置を用いて求めた体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径(メジアン径D50)であり、平均一次粒子径を意味する。
【0035】
(2)−4.配合量
また、本発明の疎水化シリカゾルの配合量が、(A)エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、固形分換算で0.3〜55重量部の範囲内の値であることを特徴とする。
この理由は、疎水化シリカゾルの配合量が0.3重量部未満の値となると、ハードコートフィルム同士のブロッキングを防止する効果を発現させることが困難となる場合があるためでる。
一方、疎水化シリカゾルの配合量が55重量部を超えた値となると、ハードコートフィルムの密着性や耐擦傷性が過度に低下する場合があるためである。
また、上述のようにハードコート層内で基材表面とは反対の表面側に疎水化シリカゾルが偏在し易いため、疎水化シリカゾルの配合量が、(A)エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、固形分換算で、0.3〜25重量部の範囲内の場合は、疎水化シリカゾルの配合量が比較的少量であっても、耐ブロッキング効果を効果的に発現させることができるだけでなく、透明性にも優れるため、透明度が求められる透明導電フィルム用のハードコートフィルムとして好適に用いることができる。
したがって、疎水化シリカゾルの配合量が、(A)エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、固形分換算で、0.3〜25重量部の範囲内の値がより好ましく、0.3〜10重量部の範囲内の値がさらに好ましく、0.4〜3.0重量部の範囲内の値であることが特に好ましい。
【0036】
(3)(C)レベリング剤
(3)−1.構成
また、ハードコート層形成材料として、(C)シリコーン系レベリング剤を含むことを特徴とする。
また、ハードコートフィルムの最表面から5nmの位置までの領域において、深さ方向のXPS分析によって測定される炭素原子、酸素原子、ケイ素原子の合計量(100atom%)に対して、ケイ素原子濃度が0.2〜1.95atom%範囲内の値であることを特徴とする。
一般的に、レベリング剤は、ハードコート層形成材料内で、最表面側に多く偏在することによって、基材フィルムに対し塗膜のゆがみやハジキを抑制することができることが知られている。
本発明において、
図2に示すように、ハードコート層内で、上述のように、疎水化シリカゾルが、基材表面とは反対の表面側に偏在しており、シリコーン系レベリング剤が疎水化シリカゾルを覆って最表面に所定量の範囲で偏在することによって、疎水化シリカゾルおよびシリコーン系レベリング剤の相互作用により、耐ブロッキング性およびレベリング性能に優れたハードコートフィルムを得ることができる。
【0037】
より具体的には、本発明のハードコートフィルムにおいて、最表面から基材に向かって深さ方向のXPS分析(X線光電子分光分析)によって測定した結果を、
図3に示す。
ここで、
図3より、最表面より基材に向かって、5nmまでの領域において、ケイ素原子濃度は0.28atom%であり、10nmまでの領域において0.29atom%、50nmまでの領域において、0.30atom%、100nmまでの領域において、0.20atom%であり、100nmを超えた領域から急激にケイ素濃度が上昇し150nmまでの領域において、22.01atom%となっていることが理解される。
すなわち、上述のように、本願発明において、ハードコート層内で、
図2に例示するように、基材から最も離れた領域にシリコーン系レベリング剤が、疎水化シリカゾルを覆うように極薄膜の状態14で偏在していることが理解される。
【0038】
したがって、ハードコートフィルムの最表面から5nmの位置までの領域において、深さ方向のXPS分析によって測定される炭素原子、酸素原子、ケイ素原子の合計量(100atom%)に対して、ケイ素原子濃度が0.2〜1.95atom%範囲内の値であることを規定することにより、最表面に存在するレベリング剤を効率的に制御することにより、レベリング性能と、耐ブロッキング性とを効果的に向上させることができる。
すなわち、ケイ素原子濃度が0.2atom%未満の値となると、ハードコート層形成材料を塗工する際、レベリング剤がハードコート層形成材料の塗膜の最表面において薄膜を形成できないため、塗膜がゆがみ、ハジキを伴い、均一な薄膜の形成が困難になる場合があるためである。
一方、ケイ素原子濃度が1.95atom%を超えた値となると、ハードコート表面の表面エネルギーが低下するため、さらに導電層等を積層しても、その後、導電層の脱落等が生じる場合があるためである。
したがって、ハードコートフィルムの最表面から5nmの位置までの領域におけるケイ素元素濃度を0.21〜1.95atom%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.23〜1.94atom%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、XPSの元素分析測定によるケイ素原子濃度は、ハードコート層全体において、深さ方向のXPS分析によって測定される、各深さにおけるケイ素原子濃度を意味する。
【0039】
(3)−2.種類
また、(C)シリコーン系レベリング剤として、シリコーン変性アクリル、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
この理由は、シリコーンレベリング剤がこのような種類であれば、ハードコート層表面のレベリング剤薄膜14におけるケイ素原子濃度を上述の範囲内の値とすることが容易となり、レベリング剤に求められる表面平滑化と、導電層等をさらに積層する場合の接着性とをバランスよく向上させることができるためである。
したがって、本発明のシリコーン系レベリング剤であれば、導電層だけでなく、例えば、ハードコート層上に接着剤層や印刷層を形成する場合、かかる接着剤層等との密着性を高めることができる。
また、上述したシリコーン系レベリング剤の中でも、特に、ビニル基等を有する反応性シリコーン系レベリング剤を含むことがより好ましい。
この理由は、シリコーン系レベリング剤が、反応性レベリング剤であれば、エネルギー線硬化性樹脂と反応し、より強固なレベリング剤薄膜を形成できるため、例えば、画像表示装置等に組み込んだ場合のレベリング剤に由来する汚染等を軽減できるためである。
なお、レベリング剤として、一般的に有用とされるフッ素系レベリング剤については、本発明においては、確かに、ハジキを効果的に抑制することができるものの、撥水性が高いために、導電層等の接着性が劣り、シリコーン系レベリング剤と、疎水化シリカゾルとによる相乗効果が発現されないことが確認されている。
【0040】
(3)−3.配合量
また、(C)レベリング剤を、(A)エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0.045〜5重量部の範囲内の値でさらに配合することが好ましい。
この理由は、レベリング剤をこのような範囲内の値にすることにより、ハードコート層上に透明導電層を形成する場合に、透明導電性層との密着性を向上させることができるためである。
より具体的には、レベリング剤の配合量が0.045重量部未満の値となると、レベリング剤の基材の最表面での偏在が不十分となり、ハードコート層形成材料の塗膜がゆがみ、ハジキを伴い、均一な塗膜の形成が困難になる場合となる場合があるためである。
一方、レベリング剤の配合量が5重量部を超えた値となると、レベリング効果を超えてレベリング剤が局在化し、ハードコート表面の表面エネルギーが低下し、ハードコート層上に導電層等を積層しても、その後、導電層の脱落等が生じる場合があるためである。
したがって、(D)レベリング剤の配合量を0.05〜3重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜2重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0041】
(4)その他の添加剤
また、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜、その他の添加剤を含むことができる。
その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、重合促進剤、重合禁止剤、赤外線吸収剤、可塑剤および希釈溶剤等が挙げられる。
なお、その他の添加剤の含有量は、一般に(A)エネルギー線硬化樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.02〜3重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜2重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0042】
(5)厚さ
また、
図1に例示されるハードコート層12の厚さを1〜10μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるハードコート層の厚さが1μm未満の値となると、耐擦傷性が著しく低くなる場合があるためである。
一方、ハードコート層の厚さが10μmを超えた値となると、カールが大きくなる場合があるためである。
したがって、ハードコート層の厚さを1〜5μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1.5〜4μmの範囲内とすることがさらに好ましい。
【0043】
2.基材フィルム
(1)種類
図1(a)〜(b)に例示する基材フィルム10に使用される樹脂としては、柔軟性および透明性に優れるものであれば特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリウレタン樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等の他のプラスチックフィルムを挙げることができる。
これらの中でも、透明性に優れ、かつ汎用性があることから、ポリエチレンテレフタレートまたはポリカーボネートからなる透明樹脂フィルムを使用することが好ましい。
【0044】
(2)厚さ
また、
図1(a)〜(b)に例示する基材フィルム10の厚さを15〜250μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、基材フィルムの厚さが15μm未満の値となると、シワが生じやすいなど取扱性が著しく低下するためであり、一方、基材フィルムの厚さが250μmを超えると、取扱性が低下し、特にロール状にすることが困難となる場合があるためである。
したがって、機械的強度と光透過性との間のバランスがより良好となることから基材フィルムの厚さを25〜125μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
【0045】
(3)プライマー層
また、図示しないものの、基材フィルムの表面にプライマー層を設けることにより、基材フィルムとハードコート層との密着性を向上させてハードコート層の耐擦傷性をさらに向上させることができる。
ここで、プライマー層の構成材料としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0046】
また、プライマー層の厚さを0.01〜20μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、プライマー層の厚さが0.01μm未満の値となると、プライマー効果が発現しない場合があるためである。一方、プライマー層の厚さが20μmを超えた値となると、ハードコートフィルムを構成した場合に、光透過性が低下する場合があるためである。
したがって、プライマー効果と、光透過性との間のバランスがより良好となるため、プライマー層の厚さを0.1〜15μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
【0047】
3.ハードコートフィルムの特性
(1)ハードコート層の表面粗さ
また、
図1(a)〜(b)に例示されるハードコート層12、12´の表面におけるJIS B 0601−1994に準拠して測定される算術平均粗さ(Ra)が、1.5〜5nmの範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、かかる算術平均粗さ(Ra)が、1.5nm未満の値となると、ハードコートフィルムを巻き取ったり、積み重ねたりする場合に、隣接するハードコートフィルム同士が貼りついてしまう、所謂ブロッキングを防止することが困難となる場合があるためである。
一方、算術平均粗さ(Ra)が、5nmを超えた値となると、光透過性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、ハードコート層の表面における算術平均粗さ(Ra)が、2.0〜4nmの範囲内の値であることがより好ましく、2.5〜3.5nmの範囲内の値であることがさらに好ましい。
【0048】
(2)ハードコート層の鉛筆硬度
また、
図1(a)〜(b)に例示されるハードコート層のJIS K 5600−5−4に準じて測定される鉛筆硬度がHB以上であることが好ましい。
この理由は、かかる鉛筆硬度がHB未満の値となると、静電容量タッチパネルに用いた場合に、耐擦傷性が不十分となる場合があるためである。
【0049】
(3)ハードコートフィルムのヘイズ値
また、
図1(a)〜(b)に例示されるハードコートフィルム20、20´のJIS K 7105に準拠して測定されるヘイズ値が、1.0%以下の値であることが好ましい。
この理由はかかるヘイズ値が、1.0%を超えた値となると、携帯電話等に用いた場合に、液晶表示装置の表示がぼやけたように見える場合があるためである。
【0050】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層を備えたハードコートフィルムの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むことを特徴とするハードコートフィルムの製造方法である。
(1)少なくとも(A)エネルギー線硬化性樹脂と、(B)疎水化シリカゾルと、(C)シリコーン系レベリング剤とを含むハードコート層形成材料
(但し、反応性フッ素化合物を除く)を準備する工程
(2)ハードコート層形成材料を、基材フィルムの少なくとも片面に塗布する工程
(3)ハードコート層形成材料を硬化させ、(B)疎水化シリカゾルが、ハードコート層形成材料を硬化させた後のハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在しており、ハードコートフィルムの最表面から5nmの位置までの領域において、深さ方向のXPS分析によって測定される炭素原子、酸素原子、ケイ素原子の合計量(100atom%)に対して、ケイ素原子濃度が0.2〜1.95atom%範囲内の値であるハードコート層を備えたハードコートフィルムを形成する工程
以下、使用する基材フィルムおよびハードコート層については、第1の実施形態と同様の内容とすることができるため、ハードコートフィルムの製造方法に関する事項を中心に説明する。
【0051】
(1)工程1:ハードコート層形成材料の準備工程
工程(1)は、少なくとも(A)エネルギー線硬化性樹脂と、(B)疎水化シリカゾル
と、(C)シリコーン系レベリング剤と、を含むハードコート層形成材料
(但し、反応性フッ素化合物を除く)を準備する工程である。
より具体的には、前述のハードコート層形成材料と、希釈溶剤と、を均一に混合する工程である。
溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、エチルセロソルブ、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、プロピレンモノメチルエーテル及び水等が挙げられ、二種以上の溶剤を組み合わせてもよい。
特に、アクリルモノマー等のエネルギー線硬化性樹脂を容易に溶解できることから、プロピレンモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、シクロヘキサノン、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール等を使用することが好ましい。
なお、所定のハードコート層形成材料の構成については、既に記載した通りであるため、省略する。
【0052】
(2)工程2:ハードコート層形成材料の基材フィルムへの塗布工程
工程(2)は、ハードコート層形成材料を基材フィルムの少なくとも片面に塗布する工程である。
より具体的には、基材フィルム10を準備し、その上に、工程(1)で調整したハードコート層形成材料を、硬化後のハードコート層の膜厚が1〜10μmの範囲内の値となるように塗工する工程である。
なお、ハードコート層形成材料の塗工方法について、特に制限されるものではなく、公知の方法、たとえば、バーコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法等を用いることができる。
【0053】
(3)工程3:ハードコート層形成材料の硬化およびハードコートフィルム形成工程
工程(3)は、前述のハードコート層形成材料を硬化させ、(B)疎水化シリカゾルが、ハードコート層の基材フィルムとは反対の表面側に偏在しており、かつ、ハードコートフィルムの最表面から5nmの位置までの領域において、深さ方向のXPS分析によって測定される炭素原子、酸素原子、ケイ素原子の合計量(100atom%)に対して、ケイ素原子濃度が0.2〜1.95atom%範囲内の値であるハードコートフィルムを形成する工程である。
より具体的には、乾燥工程を経て、溶剤を蒸発させたハードコート層形成材料の塗工物に対して、エネルギー線、例えば紫外線や電子線を照射して硬化させることが好ましい。
このように実施するとハードコート層を迅速に形成することができるとともに、基材フィルムと強固に密着させることができる。
また、疎水化シリカゾルをハードコート層の基材フィルムとは反対の表面側に効果的に偏在させることができる。
さらに、シリコーン系レベリング剤を最表面に偏在させることができ、最表面のケイ素原子濃度を上述した範囲に調整することが容易となる。
したがって、ハードコート層の機械的強度を向上させることができるとともに、ハードコートフィルム同士のブロッキングを効果的に防止し、かつ、導電層等をさらに積層させる場合の接着性を向上させることができる。
【0054】
また、ハードコート層を形成するにあたり、例えば、紫外線を照射した場合、ハードコート層形成材料に対する照射量(積算光量)を100〜1000mJ/cm
2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる紫外線照射量が100mJ/cm
2未満の値となると、ハードコート層の硬化が不十分となる場合があるためである。
一方、かかる紫外線照射量が1000mJ/cm
2を超えた値となると、紫外線によりハードコート層及び基材フィルムが劣化する場合があるためである。
なお、使用するエネルギー線照射装置の種類について特に制限はなく、例えば高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ヒュージョンHランプなどを用いた紫外線照射装置等を使用することができる。
【0055】
(4)工程4:基材フィルムの他の面へのハードコート層形成工程
工程(4)は、基材フィルムの両面にハードコート層を備えたハードコートフィルムの製造において採用される工程である。
より具体的には、
図1(a)に示すように、基材フィルム10の一方の表面にハードコート層12を形成した後、基材フィルムの他の面にハードコート層12´を形成する工程である。
すなわち、前述の基材フィルムの一方の表面にハードコート層を形成した後に、同様の方法で、基材フィルムの他の面にハードコート層形成材料を塗布し、硬化して基材フィルムの両面にハードコート層を形成する工程である。
なお、塗布工程、硬化工程は、前述と同様であるため、詳細は省略する。
【0056】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、前述したハードコートフィルムの少なくとも片面に透明導電層を備えた透明導電性フィルムである。
以下、第1および第2の実施形態において記載した内容と異なる点を中心に、図を参照して、透明導電性フィルムについて、具体的に説明する。
すなわち、本発明の透明導電性フィルムは、
図4(a)に示すように、ハードコートフィルム20の少なくとも片面に透明導電層30を備えた透明導電性フィルム40である。
また、本発明のハードコートフィルムを用いた透明導電性フィルムは、耐ブロッキング性に優れるため、フィルム同士のブロッキングを防ぐためのプロテクトフィルムを用いる必要がなく、プロテクトフィルムとの貼り合せに用いる粘着剤も必要ない。
したがって、生産性が高く、安価な透明導電フィルムを得ることができる。
さらに、ハードコートフィルムと透明導電層との密着性に優れるため、耐久性に優れた透明導電フィルムを得ることができる。
【0057】
(1)透明導電層
本発明の透明導電層を構成する材料としては、透明導電層の550nmにおける可視光線透過率が70%以上であれば、特に制限はなく、例えば、白金、金、銀、銅等の金属;グラフェン、カーボンナノチューブ等の炭素材料;ポリアリニン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロール等の有機導電材料;ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性材料;カルコゲナイド、六ホウ化ランタン、窒化チタン、炭化チタン等の非参加化合物;酸化亜鉛、二酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、酸化亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、錫及びガリウムドープ酸化インジウム(IGZO)、フッ素ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、フッ素ドープ酸化錫(FTO)等の導電性金属酸化物;等が挙げられる。
これらの中でも、優れた透明導電性を有する透明導電性フィルムをより簡便に得られることから、導電性金属酸化物が好ましい。
【0058】
(2)形成方法
透明導電層は、従来公知の方法により形成することができる。例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング放、真空蒸着法、化学気相成長法、バーコーターやマイクログラビアコーター等の塗布方法等が挙げられる。
これらの中でも、簡便に透明導電層を形成できることから、スパッタリング法が好ましい。
【0059】
(3)厚さ
透明導電層の厚さは、5nm〜500nmの範囲内の値が好ましく、5〜200nmの範囲内の値がより好ましく、10〜100nmの範囲内の値がさらに好ましい。
【0060】
(4)パターニング
形成された透明導電層には、
図4(b)に示すように、必要に応じてパターニング30´を行ってもよい。パターニングする方法として、フォトリソグラフィー等による化学的エッチング、レーザー等を用いた物理的エッチング、マスクを用いた真空蒸着法やスパッタリング法、リフトオフ法、印刷法等が挙げられる。
【0061】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、ガラス飛散防止フィルムを備えたカバーガラスと、第一の透明導電性フィルムと、第二の透明導電性フィルムと、液晶表示体とを含む静電容量タッチパネルであって、第一の透明導電性フィルムおよび第二の透明導電性フィルムあるいはいずれか一方が、ハードコート層を有するハードコートフィルムのハードコート層上に透明導電層を備えており、当該ハードコートフィルムが、基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層を備えてなり、ハードコート層が、少なくとも(A)エネルギー線硬化性樹脂と、(B)疎水化シリカゾルと、(C)シリコーン系レベリング剤と、を含むハードコート層形成材料
(但し、反応性フッ素化合物を除く)の硬化物からなり、(B)疎水化シリカゾルが、ハードコート層形成材料を硬化した後のハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在しており、ハードコートフィルムの最表面から5nmの位置までの領域において、深さ方向のXPS分析によって測定される炭素原子、酸素原子、ケイ素原子の合計量(100atom%)に対して、ケイ素原子濃度が0.2〜1.95atom%範囲内の値であることを特徴とする静電容量タッチパネルである。
以下、第1〜第3の実施形態において記載した内容と異なる点を中心に、図を参照して、静電容量タッチパネルについて、具体的に説明する。
【0062】
すなわち、静電容量タッチパネルの基本構成としては、特に制限されるものではない。例えば、静電容量タッチパネル100は、
図5に示すように、液晶表示装置70上に、光学用粘着剤50を介して、ハードコート層を備えたハードコートフィルム20、透明導電層30(第一電極)、光学用粘着剤50、ハードコート層を備えたハードコートフィルム20、透明導電層30´´(第二電極)、光学用粘着剤50´´、光学用粘着剤層を備えたガラス飛散防止フィルム60、およびカバーガラス80が積層されている静電容量タッチパネルが挙げられる。
また、本発明では、上記の層以外に必要に応じて、他の層を設けてもよい。
なお、本発明の静電容量タッチパネルは、表面型静電容量方式であっても、投影型静電容量方式であってもよい。
本発明の静電容量タッチパネルは、特に、表面層(導電層等)を形成した場合に、良好な接着性を有するハードコートフィルムを備えるため、耐久性に優れた静電容量タッチパネルとすることができる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、以下の説明は、本発明を例示的に示すものであり、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
【0064】
[実施例1]
1.ハードコートフィルムの作成
(1)ハードコート層形成材料の準備工程
表1に示すように、(A)成分としてのエネルギー線硬化性樹脂と、(B)成分としての疎水化シリカゾルと、(C)成分としてのシリコーン系レベリング剤と、(D)成分としての光重合開始剤と、から、実施例1のハードコート層形成材料を調整した。
より具体的には、(A)成分として、(a1)ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学工業社製NKエステル、A−TMM−3L)100重量部と、(a2)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(EO12モル付加物)(新中村化学工業社製、A−DPH−12E)100重量部と、(D)成分としての光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア184)10重量部、(B)成分としての疎水化シリカゾルA(CIKナノテック社製、SIRPGM15WT%−E26、平均粒子径30nm)0.8重量部、(C)成分としてのシリコーン系レベリング剤としてのシリコーン変性アクリルa(ビックケミージャパン社製、BYK−3550)0.1重量部と、希釈溶剤としてプロピレンモノメチルエーテル492.1重量部で希釈して、ハードコート層形成材料(固形分濃度30重量%)を調整した。
【0065】
(2)ハードコート層形成材料の塗布工程
次いで、ハードコート層形成材料を、基材フィルムとして、両面に易接着処理が施された易接着層付のPETフィルム(東レ社製、ルミラーU48、膜厚100μm)の片面に、マイヤーバーを用いて、乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布した。
【0066】
(3)乾燥工程
次いで、基材フィルムに塗布したハードコート層形成材料に含まれる希釈溶剤を除去した。
すなわち、熱風乾燥装置を用いて、70℃、1分間の条件で加熱乾燥し、希釈溶剤を十分に除去した。
【0067】
(4)硬化工程
次いで、高圧水銀ランプを用いて、紫外線を300mJ/cm
2で照射して、ハードコート層形成材料を光硬化させてハードコートフィルムを得た。
なお、図示しないものの、実施例1で製造したハードコートフィルムの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製作所社製、S−4700型)を用いて、加速電圧10kV、倍率20,000倍の条件で撮影したところ、疎水化シリカゾルが、ハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在していることが確認できた。
【0068】
2.ハードコートフィルムの評価
(1)ケイ素原子濃度分析
XPS測定分析装置(アルバックファイ社製、Quantum2000)を用いて、得られたハードコートフィルムにおけるハードコート層の深さ方向のXPS分析によって測定される炭素原子、酸素原子、ケイ素原子の元素分析を行った。得られたXPS測定によるケイ素原子濃度分布を
図3に示す。
また、かかる測定から、最表面から5nmの位置までの領域において、炭素原子、酸素原子、ケイ素原子の合計量(100atom%)に対する、ケイ素原子濃度を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0069】
(2)疎水化度測定
メチルイソブチルケトンに分散した疎水化シリカゾルA(固形分濃度15%)を、PETフィルム(東レ社製、ルミラーU48、膜厚100μm)上にマイヤーバー#8で塗工した。
次いで、90℃のオーブンで1分間乾燥させ、乾燥後の厚さが1μmのシリカゾル塗膜を得た。
次いで、かかるシリカゾル塗膜に対するJIS R 3257に準拠して測定される水の接触角を測定し、疎水化度を評価した。
すなわち、平坦なガラス基板上にかかるシリカゾル塗膜を形成したPETフィルムを静置し、ガラス基板の傾きを0度としたときに、水滴2μLを滴下し、液滴が静止したところで、Youngの式にて水接触角を求めた。得られた結果を表1に示す。
【0070】
(3)ハードコート層の接着性の評価
得られたハードコートフィルムの表面に、紫外線硬化型インキ(帝国インキ製造(株)製、UVPAL911墨)を塗布し、紫外線を照射してインキを硬化させ、膜厚1μmの印刷層を形成した。印刷層の表面に碁盤目状に1mm幅のクロスカットを施し、その碁盤目状にクロスカットされた印刷層の表面に粘着テープ(ニチバン社製、セロテープ(登録商標))を貼り、JIS K 5600−5−6(クロスカット法)の碁盤目テープ法に準拠してセロテープ(登録商標)剥離試験を行い、下記の基準に従い硬化性樹脂層の印刷密着性を評価した。得られた結果を表1に示す。
○:ハードコートフィルムから剥がれ粘着テープに転写する印刷層が1つもない。
△:粘着テープに転写する印刷層の数が5割未満である。
×:粘着テープに転写する印刷層の数が5割以上である。
【0071】
(4)塗工性(はじき)の評価方法
ハードコート層形成材料を、易接着層付のPETフィルムの片面に、マイヤーバーを用いて、乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布したハードコートフィルムを硬化前に蛍光灯下にて目視検品を行い、はじきの有無を確認し、下記の基準に従い、塗工性を評価した。得られた結果を表1に示す。なお、目視検品を行う面積は、0.5m
2とする。
○:はじきが無い。
×:はじきが1個以上ある。
【0072】
(5)鉛筆硬度評価
得られたハードコートフィルムの鉛筆硬度をJIS K 5600-5-4に準じて、鉛筆引っかき硬度試験機(安田精機製作所製、No.553-M)を用いて測定した。なお、引っかき速度は、1mm/秒とした。得られた結果を表1に示す。
【0073】
(6)耐ブロッキング性評価
得られたハードコートフィルムを100×100mmの大きさに切り出し、2枚のハードコートフィルムを重ね合わせた(この状態を初期とする)。
次いで、10kg/m
2の荷重をかけた状態で、初期および23℃50%RHの保管環境で5日間経過させた後(この状態を経時後とする)、それぞれ重ね合わせたフィルムを剥がして、その状態を蛍光灯下で目視にて観察し、ブロッキングの有無を下記の基準に従い評価した。得られた結果を表1に示す。
○:初期および経時後であっても、ブロッキングが全く生じておらず、フィルム面同士の貼りつきが生じていない
△:初期では、ブロッキングが生じていないものの、経時後に、ブロッキングが生じている(フィルム面同士の貼りつき面積は、3割未満である。)。
×:初期からブロッキングが生じている(フィルム面同士の貼りつき面積は、3割以上である。)。
【0074】
(7)ヘイズ値
得られたハードコートフィルムのヘイズ値を、JIS K7105に準拠して、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH−2000)を用いて測定した。得られた結果を表1に示す。
【0075】
[実施例2]
実施例2では、(C)シリコーン系レベリング剤aの配合量を0.1重量部から0.16重量部に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0076】
[実施例3]
実施例3では、(C)シリコーン系レベリング剤aの配合量を0.1重量部から0.2重量部に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0077】
[実施例4]
実施例4では、(C)シリコーン系レベリング剤のシリコーン変性アクリルaに変えて、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンb(ビックケミージャパン社製、BYK−300)を0.1重量部配合した以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、図示しないものの、実施例1と同様に、実施例4で製造したハードコートフィルムの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影したところ、疎水化シリカゾルが、ハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在していることが確認できた。
【0078】
[実施例5]
実施例5では、(C)シリコーン系レベリング剤のシリコーン変性アクリルaに変えて、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサンc(ビックケミージャパン社製、BYK−375)を0.1重量部配合した以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、図示しないものの、実施例1と同様に、実施例5で製造したハードコートフィルムの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影したところ、疎水化シリカゾルが、ハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在していることが確認できた。
【0079】
[実施例6]
実施例6では、(C)シリコーン系レベリング剤のシリコーン変性アクリルaに変えて、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサンd(ビックケミージャパン社製、BYK−370)を0.1重量部配合した以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、図示しないものの、実施例1と同様に、実施例6で製造したハードコートフィルムの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影したところ、疎水化シリカゾルが、ハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在していることが確認できた。
【0080】
[実施例7]
実施例7では、(C)シリコーン系レベリング剤のシリコーン変性アクリルaに変えて、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンe(ビックケミージャパン社製、BYK−331)を0.1重量部配合した以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、図示しないものの、実施例1と同様に、実施例7で製造したハードコートフィルムの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影したところ、疎水化シリカゾルが、ハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在していることが確認できた。
【0081】
[比較例1]
比較例1では、(C)シリコーン系レベリング剤aの配合量を0.1重量部から0.08重量部に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、図示しないものの、実施例1と同様に、比較例1で製造したハードコートフィルムの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影したところ、疎水化シリカゾルが、ハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在していることが確認できた。
【0082】
[比較例2]
比較例2では、(C)シリコーン系レベリング剤aの配合量を0.1重量部から0.04重量部に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0083】
[比較例3]
比較例3では、(C)シリコーン系レベリング剤のシリコーン変性アクリルaに変えて、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサンf(ビックケミージャパン社製、BYK−325)を0.1重量部配合した以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、図示しないものの、実施例1と同様に、比較例3で製造したハードコートフィルムの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影したところ、疎水化シリカゾルが、ハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在していることが確認できた。
【0084】
[比較例4]
比較例4では、(C)シリコーン系レベリング剤のシリコーン変性アクリルaに変えて、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンg(ビックケミージャパン社製、BYK−378)を0.1重量部配合した以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、図示しないものの、実施例1と同様に、比較例4で製造したハードコートフィルムの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影したところ、疎水化シリカゾルが、ハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在していることが確認できた。
【0085】
[比較例5]
比較例5では、(C)シリコーン系レベリング剤のシリコーン変性アクリルaに変えて、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンh(ビックケミージャパン社製、BYK−UV3510)を0.1重量部配合した以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、図示しないものの、実施例1と同様に、比較例5で製造したハードコートフィルムの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影したところ、疎水化シリカゾルが、ハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在していることが確認できた。
【0086】
[比較例6]
比較例6では、(B)成分として、シリカゾルI(CIKナノテック社製、SIRMIBK15WT%−K18、平均粒子径100nm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0087】
[比較例7]
比較例7では、(B)成分として、シリカゾルJ(日揮触媒社製、OSCAL−1632、平均粒子径30nm)を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0088】
[比較例8]
比較例8では、(B)成分として、シリカゾルK(日産化学工業社製、MIBK−ST、平均粒子径15nm)を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0089】
[比較例9]
比較例9では、(C)シリコーン系レベリング剤のシリコーン変性アクリルaに変えて、パーフルオロ変性アクリル含有樹脂(DIC社製、メガファックRS75)を0.1重量部配合した以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、図示しないものの、実施例1と同様に、比較例9で製造したハードコートフィルムの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影したところ、疎水化シリカゾルが、ハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在していることが確認できた。
【0090】
[比較例10]
比較例10では、(C)シリコーン系レベリング剤のシリコーン変性アクリルaに変えて、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンj(東レダウコーニング社製、SH−28)を0.1重量部配合した以外は、実施例1と同様の方法により、ハードコートフィルムを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、図示しないものの、実施例1と同様に、比較例10で製造したハードコートフィルムの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影したところ、疎水化シリカゾルが、ハードコート層の、基材フィルムとは反対の表面側に偏在していることが確認できた。
【0091】
【表1】
レベリング剤の種類;
a:シリコーン変性アクリル
b:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
c:ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン
d:ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン
e:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
f:ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン
g:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
h:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
i:パーフルオロ変性アクリル含有樹脂
j:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
【0092】
所定の疎水化シリカゾルを用い、かつ、ハードコートフィルムの最表面から5nmの位置までの領域において、深さ方向のXPS分析によって測定されるケイ素原子濃度が所定の範囲内の値である、実施例1〜7は、耐ブロッキング性に優れ、かつ、塗工性および接着性にも優れていた。
しかしながら、表面のケイ素原子濃度が所定範囲より低い比較例1〜2は、耐ブロッキング性は有していたものの、塗工性に劣り、ハードコート層形成材料を平滑に塗工することが困難であった。
また、ケイ素原子濃度が所定範囲より高い比較例3,4,5,10は、耐ブロッキング性は有していたものの、ハードコートフィルムに表面層をさらに積層した場合の接着性が劣っていた。
また、所定の疎水化シリカゾルを用いなかった比較例6〜8は、塗工性等は良好であったものの、耐ブロッキング性が得られなかった。
また、フッ素系のレベリング剤を用いた比較例9は、表面が平滑になり、さらに、撥水性が高いために、耐ブロッキング性および接着性がともに劣っていた。