(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スラットの移送操作と回動操作は、無端状の操作コードの操作を介して切り替え可能に構成され、前記無端状の操作コードにて室内側の操作コードを下方に引いた際には各スラットが閉方向に動作し、室外側の操作コードを下方に引いた際には各スラットが開方向に動作するよう、前記無端状の操作コードに連動して動作する移送コードが前記ハンガーレール内を周回可能に配設された状態で、前記移送コードの各端部が先頭ランナーに室内側から取着されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の縦型ブラインド。
ハンガーレール内を移送可能なランナーに設けられ、下端部にフック部を有し、該フック部により各スラットを吊下支持するとともに、当該スラットを回動可能な吊下軸として各ランナーに設けられるランナーフックであって、
前記フック部の下端形状が、隣接するスラットの端部との干渉を避けるよう傾斜した形状を有することを特徴とするランナーフック。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、スラットの吊下支持のためにスラットハンガーが用いられ、スラットハンガーの両端部に当該スラットハンガーの厚さを増大させた鍔状のガイド部が形成されている縦型ブラインドでは、当該ガイド部により、スラットの端部がランナーフックに引っ掛からないようになっている。
【0009】
一方で、縦型ブラインドにおいて、アルミニウム製のスラット(以下、「アルミスラット」と称する)を用いる用途がある。このアルミスラットは、例えば厚さ1mm以下の極薄サイズで形成される。
【0010】
更に、この極薄のアルミスラットは、そのスラットそのものの剛性を生かして、スラットハンガーを用いず、アルミスラットの上端側中央に、吊下支持用の掛合穴が設けられる。また、このアルミスラット用に従来から用いられるランナーフックでは、その下端側のフック部の全体外形が略円柱状に形成される。そして、この略円柱状の全体外形の長尺方向略中央部における一側部にて開口し、その略円柱状の円形断面の径方向より下方に向けて当該略円柱状の軸上付近まで穿設された案内溝と、該案内溝の下縁部から更に当該軸上の上方に向けて穿設され、当該開口と略平行方向に透孔する透孔溝とにより、当該アルミスラットの掛合穴を介してアルミスラットを掛装し係止可能とする略V字状に穿設された引掛溝によって当該フック部が形成されている。そして、このフック部の底面、即ちランナーフックの下端面は略円形に形成されている。したがって、このアルミスラット用に従来から用いられるランナーフックは、長尺方向中央部からフック部の底面に向かって略円柱状の外周面を維持した形状を有する。このような形状を有するランナーフックを用いることにより、アルミスラットの上端側中央に設けられた掛合穴に当該ランナーフックにおけるフック部を掛装させることで、アルミスラットが吊下支持される。
【0011】
一方で、吊下支持された状態のアルミスラットは、可撓性を示し、スラットを畳み込む際に、スラットの移送操作と回動操作に起因して、スラット同士の重なりが大きくなり、スラットの端部がランナーフックに干渉し、引っ掛かりやすくなるという問題がある。
【0012】
したがって、例えばアルミスラットなどの極薄のスラットを用いる際に、スラットの端部がランナーフックに干渉せず、引っ掛かりが生じないような構成が要望される。
【0013】
本発明は、上述の問題を鑑みて、スラットの移送操作と回動操作を切り替え可能に構成された縦型ブラインド、及びランナーフックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による一態様の縦型ブラインドは、ハンガーレール内を移送可能なランナーに吊下支持されたスラットの移送操作と回動操作を切り替え可能に構成された縦型ブラインドであって、複数のスラットと、下端部にフック部を有し、該フック部により各スラットを吊下支持するとともに、当該スラットを回動可能な吊下軸として各ランナーに設けられるランナーフックとを備え、前記フック部の下端形状が、隣接するスラットの端部との干渉を避けるよう傾斜した形状を有することを特徴とする。
【0015】
本発明による一態様の縦型ブラインドにおいて、前記フック部の下端形状が、
隣接するスラットの端部との干渉を避けるよう傾斜した形状として、当該ランナーフックの長尺方向の中心軸を基準に当該隣接するスラットの端部形状及び回動状態を加味して定められた複数種の傾斜面を有
し、前記複数種の傾斜面のうち前記中心軸を基準に互いに対向する一対の第1の傾斜面は、各スラットの開方向時の回動動作で各ランナーフックと、該各ランナーフックが吊下支持するスラットに対し隣接するスラットの端部とが干渉しない第1の角度で傾斜しており、該複数種の傾斜面のうち前記中心軸を基準に互いに対向する一対の第2の傾斜面は、各スラットの回動操作に係る閉方向時の回動動作で各ランナーフックと、該各ランナーフックが吊下支持するスラットに対し隣接するスラットの端部とが干渉しない、前記第1の角度とは異なる第2の角度で傾斜していることを特徴とする。
【0016】
本発明による一態様の縦型ブラインドにおいて、前記スラットは、当該スラットの上端側中央に設けられた吊下支持用の掛合穴の両側近傍に
、隣接するスラットの端部との引っ掛かりを防止するための突起部を有することを特徴とする。
【0017】
更に、本発明による別態様の縦型ブラインドにおいて、ハンガーレール内を移送可能なランナーに吊下支持されたスラットの移送操作と回動操作を切り替え可能に構成された縦型ブラインドであって、複数のスラットと、下端部にフック部を有し、該フック部により各スラットを吊下支持するとともに、当該スラットを回動可能な吊下軸として各ランナーに設けられるランナーフックとを備え、前記スラットは、当該スラットの上端側中央に設けられた吊下支持用の掛合穴の両側近傍に
、隣接するスラットの端部との引っ掛かりを防止するための突起部を有することを特徴とする。
【0018】
本発明による前記一態様の縦型ブラインド又は前記別態様の縦型ブラインドにおいて、前記スラットの移送操作と回動操作は、無端状の操作コードの操作を介して切り替え可能に構成され、前記無端状の操作コードにて室内側の操作コードを下方に引いた際には各スラットが閉方向に動作し、室外側の操作コードを下方に引いた際には各スラットが開方向に動作するよう、前記無端状の操作コードに連動して動作する移送コードが、前記ハンガーレール内を周回可能に配設された状態で、前記移送コードの各端部が先頭ランナーに室内側から取着されていることを特徴とする。
【0019】
更に、本発明によるランナーフックは、ハンガーレール内を移送可能なランナーに設けられ、下端部にフック部を有し、該フック部により各スラットを吊下支持するとともに、当該スラットを回動可能な吊下軸として各ランナーに設けられるランナーフックであって、前記フック部の下端形状が、隣接するスラットの端部との干渉を避けるよう傾斜した形状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
スラットを吊下支持する縦型ブラインドにおいて、スラットの畳み込み時にスラットが全閉状態からほぼ180度反転した逆全閉状態まで回動される場合に、スラットハンガーなど他の干渉防止部材を用いることなく当該干渉を防ぎ、隣接するスラットの端部との引っ掛かりを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の縦型ブラインドを説明する。尚、本願明細書中、
図1に示す縦型ブラインドの正面図に対して、図示上方及び図示下方をスラットの吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示前方向を縦型ブラインドの室内側(又は前側)、及び、図示後方向を縦型ブラインドの室外側(又は後側)と定義して説明する。例えば、縦型ブラインドの前後方向と称するときは、
図1の正面図における図示面に対して垂直な方向を云う。
【0023】
(縦型ブラインドの構成)
まず、図面を参照して、本発明による一実施形態の縦型ブラインドについて説明する。
図1は、本発明による一実施形態の縦型ブラインドの構成を示す正面図である。
図2は、本発明による一実施形態の縦型ブラインドの構成を示す平面図である。
【0024】
図1及び
図2に示す縦型ブラインドは、ハンガーレール1から多数枚のスラット3が吊下支持され、各スラット3はハンガーレール1内に移動可能に支持されるランナー2(先頭ランナー2a)から吊下支持される。
【0025】
より具体的には、各スラット3の上端側中央に、吊下支持用の掛合穴3aが設けられる。この掛合穴3aに、詳細に後述する本発明に係るランナーフック12の下端部に形成されているフック部28を掛装させることで、スラット3が吊下支持される。このランナーフック12については詳細に後述するが、スラット3を回動可能に吊下支持する吊下軸として構成され、各ランナー2に設けられる。
【0026】
スラット3は、極薄の素材(本例では、厚さ1mm以下のアルミニウム製)で構成され、複数のスラット3が、配設されている。
【0027】
各ランナー2は
図2に示すスペーサー46で連結され、
図1においては、先頭ランナー2aがハンガーレール1の右端側へ移送されると、後続のランナー2がスペーサー46を介して等間隔を隔てて順次引き出されて、スラット3がハンガーレール1の右端側へ引き出される。
【0028】
各ランナー2には、3条のスプラインが刻設されたチルト軸16が軸方向に相対移動可能に挿通され、このチルト軸16の両端はハンガーレール1の両端にて回転可能に支持されている。
【0029】
また、先頭ランナー2aがハンガーレール1の左側へ移送されると、後続のランナー2が先頭ランナー2aにより順次ハンガーレール1の左側へ押し戻されて、スラット3がハンガーレール1の左側へ畳み込まれる。
【0030】
各スラット3の下端部にはバランスウェイト7が吊下支持され、各バランスウェイト7はボトムコード7aで連結されて、風等によるスラット3のバタつきを防止するようになっている。
【0031】
そして、ハンガーレール1の一端に設けられる操作装置4から無端状の操作コード(ボールチェーン5)が垂下され、このボールチェーン5の操作により、操作装置4内に設けられるギヤ機構(図示せず)を介してチルト軸16が回転され、チルト軸16の回転に伴って各ランナー2のランナーフック12が回転され、各ランナー2に吊下支持されるスラット3が回動されるようになっている。また、移送コード6が、ハンガーレール1内を周回可能に配設され、先頭ランナー2aに取着されている。そして、当該ギヤ機構に対してクラッチ動作を経て連動する移送プーリー8には移送コード6が掛装され、移送プーリー8の回転に基づいて、移送コード6がハンガーレール1内を周回するようになっている。このクラッチ動作の詳細は、特許文献1と同様であるため、更なる詳細な説明は省略する。このボールチェーン5の操作により、スラット3が全閉状態まで回動されると、移送コード6が移送され、その後に各スラット3がハンガーレール1に沿って移送されるようになっている。
【0032】
従って、ボールチェーン5を操作して先頭ランナー2aを移動させれば、その先頭ランナー2aに追随して後続のランナー2が順次引き出され、あるいは後続のランナー2が先頭ランナーにより順次押し戻される。このような動作により、各ランナー2に吊下支持されたスラット3がハンガーレール1に沿って引き出され、あるいはハンガーレール1の他端側に畳み込まれる。
【0033】
(ランナーフックの構成)
本発明に係るランナーフック12の具体的構成について、ランナー2の構成とともに、
図3乃至
図5を参照して説明する。
図3は、本発明による一実施形態の縦型ブラインドにおけるランナー2の構成を示す断面図である。
図4(a), (b)、並びに、
図5(a), (b), (c)は、本発明による一実施形態の縦型ブラインドにおけるランナーフック12の構成を示す図である。尚、
図5(a)はランナーフック12の正面図であり、
図5(b)はランナーフック12の側面図であり、
図5(c)はランナーフック12の下面図である。尚、
図4(a)は、
図5(a)の正面図で示されるランナーフック12を、その長尺方向の中心軸を基に左方向に45°回転させた際に視認される形状を示す図であり、
図4(b)は、
図5(a)の正面図で示されるランナーフック12を、その長尺方向の中心軸を基に左方向に135°回転させた際に視認される形状を示す図である。
【0034】
まず、
図3を参照するに、ランナー2は、そのケース8の中央部から一側にかけて上方に開口した中空状の直方体部9が形成され、その直方体部9の側壁に形成された軸受孔(図示せず)にウォーム11が回転可能に支持されている。ウォーム11は、軸受孔に対しウォーム11の径方向及び回転軸方向に若干のクリアランスを設けて支持されている。
【0035】
ケース8の中央部において、直方体部9には弾性を有する合成樹脂で形成されたランナーフック12がその軸心を上下方向として軸受部13に回転可能に支持され、ランナーフック12の上部にウォーム11に噛み合うウォームホィール14が常には相対回転不能に嵌合されている。
【0036】
直方体部9の側壁にはウォームホィール14の外周面に沿って抉られた保持部15が形成され、その保持部15間でウォームホィール14が回転可能に支持されている。
【0037】
ウォーム11の中心部には、チルト軸16が軸方向に相対移動可能に、且つ相対回転不能に挿通されている。従って、チルト軸16が回転されると、ウォーム11及びウォームホィール14を介してランナーフック12が回転される。
【0038】
図4及び
図5にも示すように、ランナーフック12の上端部は二股状に形成されるとともに、その二股部分の先端にはランナーフック12の径方向両側に楔状に突出するストッパー部17が形成されている。ウォームホィール14は中心部に貫通孔18を備えた筒状に形成されている。
【0039】
そして、ランナー2に対してランナーフック12を装着する時には、貫通孔18にストッパー部17を縮径方向に撓ませながら挿入し、貫通孔18の一端側(
図3において上端側)にストッパー部17を露出させると、ストッパー部17がウォームホィール14の一方の端縁に係合する。これにより、ランナーフック12の長手方向中間部に設けられたフランジ部19とストッパー部17との間で、ウォームホィール14が吊下軸12に対し軸方向に相対移動不能に支持される。
【0040】
ウォームホィール14の上部外周面にはウォーム11と噛み合う歯が形成されている。ウォームホィール14の下部はその歯先と同一の外形を備えた円筒状に形成されて、ウォームホィール14の上側部と下側部との間の境界部には段差が形成されている。そして、ランナーフック12がケース8に対し上方へ移動しようとすると、この段差がウォーム11の歯に係合するため、ランナーフック12が容易には上方へ抜けないようになっている。
【0041】
ランナーフック12のフランジ部19の下面には、中心に対し90度の範囲でフランジ部19を肉厚とする被回転規制部21が形成されている。また、軸受部13には被回転規制部21に当接する回転規制部22が形成されている。
【0042】
そして、被回転規制部21及び回転規制部22の作用により、スラット3が全閉状態からほぼ180度反転した逆全閉状態まで回動されるときのランナーフック12の回動範囲がほぼ180度に設定されている。
【0043】
また、ランナーフック12のフランジ部19の上部には、径方向に突出してウォームホィール14の内周面との間の摩擦を確保する摩擦生成部23が形成されている。そして、摩擦生成部23とウォームホィール14の内周面との間に生成される摩擦により、常には吊下軸12とウォームホィール14とが一体に回転される。
【0044】
また、スラット3が全閉状態あるいは逆全閉状態まで回動された後、ウォーム11が同方向にさらに回転されると、ウォームホィール14がランナーフック12に対し空回りするようになっている。従って、スラット3の角度が不揃いであるときは、チルト軸16を回動操作し続ければ、全てのスラット3が全閉方向、又は逆全閉状態まで回動される。
【0045】
ランナー2は、ケース8の両側において水平方向に延びるローラー軸24にローラー25が回転可能に支持され、このローラー25がハンガーレール1の内側面に突出されるリブ26を案内レールとしてハンガーレール1内を移動するようになっている。
【0046】
ランナー2のケース8の左右両側には、移送コード6を挿通可能とした透孔27が形成されている。ハンガーレール1内で周回可能に引き回される移送コード6でランナー2の移送操作を行うコード操作仕様の縦型ブラインドでは、この透孔27に移送コード6が挿通される。
【0047】
尚、ランナーフック12は、ウォームホィール14を嵌合した状態でケース8の軸受部13に上方から挿入される。ウォーム11は径方向及び軸方向に若干のクリアランスを設けてケース8に支持され、ウォーム11はウォームホィール14を回避しながらウォームホィール14に嵌合する。
【0048】
また、ウォーム11の外周面には螺旋状に連なる歯が形成され、その歯にウォームホィール14の歯が噛み合っているので、その噛み合いにより常にはウォームホィール14の上方への抜けが防止されている。
【0049】
ランナーフック12をケース8から取り外すには、ランナーフック12を上方へ押し上げる。すると、ウォームホィール14がウォーム11を押しのけながら上方へ移動してウォーム11から外れ、ランナーフック12の上方への抜き取りが可能となる。
【0050】
そして、各スラット3の上端側中央に、吊下支持用の掛合穴3aが設けられる。この掛合穴3aに、詳細に後述する本発明に係るランナーフック12の下端部に形成されているフック部28を掛装させることで、スラット3が吊下支持される。
【0051】
ここで、
図4及び
図5を参照して、本発明に係るランナーフック12において特徴的なフック部28の下端形状について詳細に説明する。
【0052】
ランナーフック12のフック部28の下端形状は、
図4及び
図5に示すように、ランナーフック12の長尺方向の中心軸を基準に複数種の傾斜面28a,28b,28a’,28b’を有するとともに、略平行四辺形となる四辺を有する当該中心軸に対して垂直な底面28cを有する。
【0053】
傾斜面28a及び28a’の各々は、底面28c上の当該中心軸に対して、ほぼ同一の傾斜角を有している。同様に、傾斜面28b及び28b’の各々は、底面28c上の当該中心軸に対して、ほぼ同一の傾斜角を有している。ただし、傾斜面28a及び28b(或いは傾斜面28a
’及び28b’)の各々は、底面28c上の当該中心軸に対して、異なる傾斜角を有しており、スラットを畳み込む際に、スラット3が全閉状態からほぼ180度反転した逆全閉状態まで回動されるときに、
図1に示す正面図において右側に配置されるスラット3の端部3bが干渉しない角度で傾斜している。同様に、傾斜面28
a及び28b(或いは傾斜面28a’及び28b’)の各々は、スラット3を畳み込む際に、スラット3が
逆全閉状態からほぼ180度反転した
全閉状態まで回動されるときに、
図1に示す正面図において右側に配置されるスラット3の端部3bが干渉しない角度で傾斜している。
【0054】
したがって、傾斜面28aと傾斜面28a’の為す角度R1は、傾斜面28aと傾斜面28b’の為す角度R2とは異なる角度で形成されている。このように、ランナーフック12のフック部28の下端形状は、回動操作に係る開方向時及び閉方向時のそれぞれにおけるスラットの動きが異なることに適応させた複数種の傾斜角を有する傾斜面で形成されており、例えば、本実施形態の例では、R1=68度で、R2=88度となっている。
【0055】
また、傾斜面28bと接する当該下端部の底面28cの一辺と底面28c上の当該中心軸との間の距離は、傾斜面28b’と接する当該下端部の底面28cの一辺と底面28c上の当該中心軸との間の距離とほぼ等しくなるように形成されている(
図5(c)に示す距離d)。同様に、傾斜面28aと接する当該下端部の底面28cの一辺と底面28c上の当該中心軸との間の距離は、傾斜面28a’と接する当該下端部の底面28cの一辺と底面28c上の当該中心軸との間の距離とほぼ等しくなるように形成されている。
【0056】
このようなフック部28の下端形状を有するランナーフック12の作用について
図6及び
図7を参照して説明する。
図6(a), (b)は、本発明による一実施形態の縦型ブラインドの実施例1として、ランナーフック12の作用を説明する図である。
図7(a), (b)は、比較例の縦型ブラインドとして、従来からのランナーフック112の作用を説明する図である。
【0057】
まず、
図6を参照するに、本発明に係るランナーフック12では、スラット3を畳み込む際に、スラット3が全閉状態からほぼ180度反転した逆全閉状態まで回動される場合でも、右側に配置されるスラット3の端部3bが干渉せず引っ掛からない。一方、
図7を参照するに、例えば図示する当該ランナーフック112のように、その長尺方向中央部からフック部の底面に向かって略円柱状の外周面を維持した形状を有する場合では、スラット3が全閉状態からほぼ180度反転した逆全閉状態まで回動されると右側に配置されるスラット3の端部が干渉して引っ掛かりが生じることになる。
【0058】
また、
図8(a), (b)は、本発明による一実施形態の縦型ブラインドの実施例2として、ランナーフック12の作用を説明する図である。
図8に示す例では、ランナーフック12の作用による効果をより高めるために、各スラット3の上端側中央に設けられた吊下支持用の掛合穴3aの両側近傍に、半球状の突起部3cが設けられている。これにより、スラット3を畳み込む際に、スラット3が全閉状態からほぼ180度反転した逆全閉状態まで回動される場合でも、右側に配置されるスラット3の端部3bが干渉せず、より引っ掛からないようにすることができる。
【0059】
(移送コードの配回し)
ここで、前述した
図1及び
図2に示す縦型ブラインドの例では、左操作左納まりの形態(室内側から見て左側に操作装置4があり、左方向にスラット3が移送する形態)を例に説明したが、左操作右納まりの形態(室内側から見て左側に操作装置4があり、右方向にスラット3が移送する形態)とすることや、右操作左納まりの形態(室内側から見て右側に操作装置4があり、左方向にスラット3が移送する形態)とするなど、操作装置4の位置とスラット3の移送方向について任意の形態で構成することができる。
【0060】
そして、移送コード6の配回し法を変更するのみで、回動操作に係る開方向時及び閉方向時のそれぞれにおけるスラット3の動きを異なるものとすることができる。
【0061】
図9(a), (b)は、左操作右納まりの形態(室内側から見て左側に操作装置4があり、右方向にスラット3が移送する形態)の本発明に係る縦型ブラインドにおける移送コード6の配回しとスラット3の動きについて、比較例とともに説明する図である。
【0062】
まず、
図9(a)に示す比較例では、移送コード6を、ハンガーレール1内を周回可能に配設した後、先頭ランナー2aに室外側から取着した場合の構成例を示している。この構成では、室内側のボールチェーン5を下方に引いた時にはスラット3が開方向に動作し、室外側のボールチェーン5を下方に引いた時にはスラット3が閉方向に動作する。そして、右方向にスラット3を移送する際には、スラット3を全閉状態にしてから移送することになるが、この移送動作に伴ってスラット3を閉方向に動作する際に、各スラット3の回動動作が不揃いになりやすく、特に、スラット3の端部3bとランナーフック12が干渉して回動動作が不揃いとなり、このためランナーフック12がスラット3の端部3bがより干渉しやすくなるとともに美観としても好ましくない。
【0063】
そこで、
図9(b)に示すように、本発明に係る形態では、移送コード6を、ハンガーレール1内を周回可能に配設した後、先頭ランナー2aに室内側から取着するように構成する。この構成では、室内側のボールチェーン5を下方に引いた時にはスラット3が閉方向に動作し、室外側のボールチェーン5を下方に引いた時にはスラット3が開方向に動作する。そして、右方向にスラット3を移送する際には、スラット3を全閉状態にしてから移送することになるが、この移送動作に伴ってスラット3を閉方向に動作する際に、そのスラット3の回動動作を考慮して、ランナーフック12のフック部28に傾斜面28a,28b,28a’,28b’が形成されていることから、スラット3の端部3bとランナーフック12が干渉しなくなって、各スラット3の回動動作も揃いやすくなり、このためランナーフック12がスラット3の端部3bが干渉しにくくなるとともに美観としても好ましくなる。
【0064】
続いて、
図10(a), (b)は、右操作左納まりの形態(室内側から見て右側に操作装置4があり、左方向にスラット3が移送する形態)の本発明に係る縦型ブラインドにおける移送コード6の配回しとスラット3の動きについて、比較例とともに説明する図である。
【0065】
まず、
図10(a)に示す比較例では、移送コード6を、ハンガーレール1内を周回可能に配設した後、先頭ランナー2aに室外側から取着した場合の構成例を示している。この構成では、室内側のボールチェーン5を下方に引いた時にはスラット3が開方向に動作し、室外側のボールチェーン5を下方に引いた時にはスラット3が閉方向に動作する。そして、左方向にスラット3を移送する際には、スラット3を全閉状態にしてから移送することになるが、この移送動作に伴ってスラット3を閉方向に動作する際に、各スラット3の回動動作が不揃いになりやすく、特に、スラット3の端部3bとランナーフック12が干渉して回動動作が不揃いとなり、このためランナーフック12がスラット3の端部3bがより干渉しやすくなるとともに美観としても好ましくない。
【0066】
そこで、
図10(b)に示すように、本発明に係る形態では、移送コード6を、ハンガーレール1内を周回可能に配設した後、先頭ランナー2aに室内側から取着するように構成する。この構成では、室内側のボールチェーン5を下方に引いた時にはスラット3が閉方向に動作し、室外側のボールチェーン5を下方に引いた時にはスラット3が開方向に動作する。そして、左方向にスラット3を移送する際には、スラット3を全閉状態にしてから移送することになるが、この移送動作に伴ってスラット3を閉方向に動作する際に、そのスラット3の回動動作を考慮して、ランナーフック12のフック部28に傾斜面28a,28b,28a’,28b’が形成されていることから、スラット3の端部3bとランナーフック12が干渉しなくなって、各スラット3の回動動作も揃いやすくなり、このためランナーフック12がスラット3の端部3bが干渉しにくくなるとともに美観としても好ましくなる。
【0067】
その他、右操作右納まりの形態、左操作左納まりの形態、或いは右操作両側納まりの形態や左操作両側納まりの形態なども同様に、室内側のボールチェーン5を下方に引いた時にはスラット3が閉方向に動作し、室外側のボールチェーン5を下方に引いた時にはスラット3が開方向に動作するよう、移送コード6を、ハンガーレール1内を周回可能に配設した後、移送コード6の各端部が先頭ランナー2aに室内側から取着するように構成することで、ランナーフック12がスラット3の端部3bが干渉しにくくなるとともに美観としても好ましくなり、本発明に係るランナーフック12の機能と協働して、その作用・効果をより高めることができるようになる。
【0068】
以上のように、本実施形態のランナーフック12によれば、スラット3を吊下支持するランナーフック12におけるフック部28の下端形状が、隣接するスラット3の端部3bとの干渉を避けるよう傾斜した形状を有するように構成したため、スラット3の畳み込み時にスラット3が全閉状態からほぼ180度反転した逆全閉状態まで回動される場合に、スラットハンガーなど他の干渉防止部材を用いることなく当該干渉を防ぎ、隣接するスラット3の端部3bとの引っ掛かりを防止することができるようになる。また、スラット3の畳み込み時にスラット3の端部3bとランナーフック12の干渉がランナーフック12の斜面によって回避されるため、畳み込みがスムーズになる。
【0069】
また、本実施形態のランナーフック12によれば、スラット3を吊下支持するランナーフック12におけるフック部28の下端形状として、隣接するスラット3の端部3bの形状及び回動状態を加味して定められた複数種の傾斜面を有するように構成したため、隣接するスラット3に対して非干渉となるよう適合させることができる。
【0070】
また、本実施形態のランナーフック12及びスラット3としてアルミスラットを備える縦型ブラインドによれば、各スラット3の上端側中央に設けられた吊下支持用の掛合穴3aの両側近傍に突起部3cを設けるように構成したときには、当該ランナーフック12の作用による効果をより高めることができ、即ち、スラット3の畳み込み時にスラット3が全閉状態からほぼ180度反転した逆全閉状態まで回動される場合に、スラットハンガーなど他の干渉防止部材を用いることなく当該干渉を防ぎ、隣接するスラット3の端部3bとの引っ掛かりをより防止することができるようになる。
【0071】
また、本実施形態のランナーフック12及びスラット3としてアルミスラットを備える縦型ブラインドによれば、無端状の操作コード(ボールチェーン5)にて室内側の操作コードを下方に引いた時にはスラット3が閉方向に動作し、室外側の操作コードを下方に引いた時にはスラット3が開方向に動作するよう、移送コード6を、ハンガーレール1内を周回可能に配設された状態で、移送コード6の各端部が先頭ランナー2aに室内側から取着するように構成したときには、ランナーフック12がスラット3の端部3bが干渉しにくくなるとともに美観としても好ましくなり、本発明に係るランナーフック12の機能と協働して、その作用・効果をより高めることができるようになる。
【0072】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、スラット3として、アルミスラットを例に説明したが、上述した作用効果を発揮させるものであれば、例えば樹脂製のスラットや木製のスラットなど他の如何なる材料でもよい。
【0073】
また、上述の実施形態の例では、スラット3を吊下支持するランナーフック12におけるフック部28の下端形状として、隣接するスラット3の端部3bの形状及び回動状態を加味して定められた複数種の傾斜面を有するように構成する例を説明したが、これは好適例であり、例えば、当該複数種の傾斜面からなる基本形状を基に滑らかな曲面形状となるよう成形してもよい。
【0074】
また、上述の実施形態の例では、各スラット3の上端側中央に設けられた吊下支持用の掛合穴3aの両側近傍に設けられた突起部3cの形状について半球状の例を説明したが、上述した作用効果を発揮させるものであれば他の如何なる形状でもよい。
【0075】
また、上述の実施形態の例では、ランナーフック12について、スラット3としてスラットハンガーを有しないアルミスラットを用いた際の縦型ブラインドへの適用について説明したが、当該ランナーフック12は、スラットハンガーを有する縦型ブラインドへの適用を妨げるものではない。
【0076】
また、上述の実施形態の例では、ランナーフック12及びスラット3としてアルミスラットを備える縦型ブラインドについて説明したが、隣接するスラット3の端部3bの形状及び回動状態を加味した際に、本発明に係るランナーフック12を用いる代わりに従来からのランナーフック112を用いた場合でも、各スラット3の上端側中央に設けられた吊下支持用の掛合穴3aの両側近傍に突起部3cを設けることにより、スラット3の畳み込み時にスラット3が全閉状態からほぼ180度反転した逆全閉状態まで回動される場合に、スラットハンガーなど他の干渉防止部材を用いることなく当該干渉を防ぎ、隣接するスラット3の端部3bとの引っ掛かりを防止することが可能な形態の縦型ブラインドとすることもできる。