(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1はハイブリッド車両に搭載されるパワーユニット10の一例を示す図である。パワーユニット10は、エンジン11およびモータジェネレータ12を有している。また、パワーユニット10は、プライマリプーリ13およびセカンダリプーリ14からなる無段変速機15を有している。プライマリプーリ13には、クラッチ16およびトルクコンバータ17を介してエンジン11が連結されるとともに、モータ軸18を介してモータジェネレータ12が連結されている。セカンダリプーリ14には、出力軸19およびデファレンシャル機構20を介して駆動輪21が連結されている。また、エンジン11にはスロットルバルブやインジェクタ等の補機22が設けられており、トルクコンバータ17にはエンジン始動用のスタータモータ23が設けられている。なお、無段変速機15やクラッチ16等には、バルブユニット24から制御用や潤滑用のオイルが供給されている。
【0010】
また、モータジェネレータ12のステータ30には、インバータ31を介してバッテリパック(蓄電体)32が接続されている。バッテリパック32には、冷風や温風を送風する送風ファン(送風機)33が接続されている。送風ファン33およびその制御系34によって、本発明の一実施の形態である車両用制御装置35が構成されている。ここで、
図2は本発明の一実施の形態である車両用制御装置35を示す図である。
図2に示すように、バッテリパック32は、バッテリケース36と、これに収容される複数のバッテリモジュール37とによって構成されている。バッテリケース36の上流側には吸気ダクト38が接続されており、バッテリケース36の下流側には排気ダクト39が接続されている。そして、吸気ダクト38の送風ファン33を駆動することにより、車室内の空気を吸気ダクト38からバッテリケース36内に導入することができ、バッテリパック32の温度を調節することが可能となる。なお、バッテリケース36内の空気流路を流れた空気は、排気ダクト39から車室外に放出される。
【0011】
車両用制御装置35の制御系34には、送風ファン33の回転速度(以下、回転数と記載する。)を制御する制御ユニット40が設けられている。制御ユニット40には、バッテリパック32の温度を検出するバッテリ温度センサ41、車室内の温度を検出する車室温度センサ42、アクセルペダルの操作量(以下、アクセル操作量と記載する。)を検出するアクセルセンサ43、ブレーキペダルの操作量(以下、ブレーキ操作量と記載する。)を検出するブレーキセンサ44、車速を検出する車速センサ45、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ46、車両加速度および車両減速度を検出する加速度センサ47が接続されている。また、制御ユニット40には、車両前方を撮像するカメラユニット48、運転手に操作されるクルーズコントロールスイッチ49、運転手に操作されるセレクトレバーユニット50、運転手に操作されるモードセレクター51等が接続されている。制御ユニット40は、バッテリパック32を適切な温度範囲に保持するため、各種センサやスイッチ等からの信号に基づいて、電動ファンである送風ファン33の回転状態を制御している。また、
図1に示すように、制御ユニット40は、パワーユニット10の作動状態を制御するため、各種センサやスイッチ等からの信号に基づいて、エンジン11、インバータ31、バッテリパック32、スタータモータ23およびバルブユニット24等を制御している。なお、制御ユニット40は、CPU、ROMおよびRAM等によって構成される。
【0012】
続いて、パワーユニット10の各種制御モードについて説明する。ハイブリッド車両は、パワーユニット10の駆動モードとして、モータモードとパラレルモードとを有している。モータモードが設定されると、クラッチ16が解放状態に切り替えられ、プライマリプーリ13とエンジン11とが切り離される。このモータモードにおいては、エンジン11が停止されてモータジェネレータ12が駆動され、モータ動力によって駆動輪21が駆動される。一方、パラレルモードが設定されると、クラッチ16が接続状態に切り替えられ、プライマリプーリ13とエンジン11とが接続される。このパラレルモードにおいては、エンジン11およびモータジェネレータ12が駆動され、エンジン動力やモータ動力によって駆動輪21が駆動される。
【0013】
ここで、
図3はモータモードおよびパラレルモードの設定領域の一例を示すモードマップである。
図3に示すように、モードマップには、目標駆動力および車速に基づいてモード閾値αが設定されている。
図3に矢印Aで示すように、モード閾値αを上回るように目標駆動力や車速が上昇すると、エンジン11が始動されて駆動モードがモータモードからパラレルモードに切り替えられる。一方、
図3に矢印Bで示すように、モード閾値αを下回るように目標駆動力や車速が低下すると、エンジン11が停止されて駆動モードがパラレルモードからモータモードに切り替えられる。なお、目標駆動力は、例えば、アクセル操作量に基づいて設定されている。つまり、アクセル操作量が増加すると目標駆動力は大きく設定され、アクセル操作量が減少すると目標駆動力は小さく設定される。
【0014】
また、図示する車両は、車速を自動制御するクルーズコントロール機能を有している。クルーズコントロール機能として、車速を一定に保持する定速制御機能を有するとともに、先行車両との車間距離を一定に保持する追従制御機能を有している。運転手によるクルーズコントロールスイッチ49の操作により、クルーズコントロール機能の起動・停止を切り替えることが可能となり、クルーズコントロール機能の制御目標である設定車速や設定車間距離を設定することが可能となる。クルーズコントロール機能が起動されると、制御ユニット40は、カメラユニット48からの画像情報に基づき、車両前方の先行車両情報を判定する。先行車両情報としては、先行車両の有無、先行車両との車間距離、先行車両との速度差等が挙げられる。そして、制御ユニット40は、所定の車間距離内に先行車両が存在しない場合に、設定車速を維持するように車速を自動制御する。一方、制御ユニット40は、所定の車間距離内に先行車両が存在する場合に、設定車速を超えない範囲で設定車間距離を維持するように車速を自動制御する。なお、車速の自動制御は、エンジン11、モータジェネレータ12、無段変速機15等を制御することで実行される。
【0015】
また、図示する車両は、無段変速機15の変速モードとして、走行状況に応じて自動的に変速を行うオートマチックモード(第1変速モード)と、運転手の操作に応じて変速を行うマニュアルモード(第2変速モード)とを有している。
図2に示すように、セレクトレバーユニット50には、運転手に操作されるセレクトレバー52が設けられている。また、セレクトレバーユニット50には、セレクトレバー52を案内するゲートとして、自動変速ゲート53および手動変速ゲート54が設けられている。セレクトレバー52が自動変速ゲート53に操作されると、変速モードとしてオートマチックモードが設定される。一方、セレクトレバー52が手動変速ゲート54に操作されると、変速モードとしてマニュアルモードが設定される。
【0016】
オートマチックモードにおいては、車速とアクセル操作量とに基づいて目標変速比が設定され、この目標変速比に向けて無段変速機15が制御される。このように、オートマチックモードが設定されると、刻々と変化する車速とアクセル操作量とに基づいて、無段変速機15の変速比が連続的に制御される。また、マニュアルモードにおいては、セレクトレバー52の操作に応じて、複数の固定変速比つまり変速段が切り替えられる。例えば、
図2に示すように、セレクトレバー52が前方(+方向)に操作された場合には、アップシフトが実行されて変速段が増速側に1段切り替えられる。一方、セレクトレバー52が後方(−方向)に操作された場合には、ダウンシフトが実行されて変速段が減速側に1段切り替えられる。このように、マニュアルモードが設定されると、運転手のセレクトレバー操作に応じて、無段変速機15の変速比が段階的に切り替えられる。
【0017】
さらに、図示する車両は、パワーユニット10の走行モードとして、パワーユニット10の出力を抑えて燃費性能を向上させるインテリジェントモード、パワーユニット10の出力を高めて動力性能を向上させるスポーツモード(第2走行モード)、燃費性能と動力性能とを兼ね備えた標準モード(第1走行モード)とを有している。運転手によるモードセレクター51の操作に応じて、インテリジェントモード、スポーツモードおよび標準モードの何れかが設定される。また、スポーツモードが設定された場合には、標準モードが設定された場合よりも、車両の動力性能が高められる。例えば、車速およびアクセル操作量が同一であったとしても、スポーツモードが設定された場合には、標準モードが設定された場合よりも、パワーユニット10の出力や応答性が高められる。
【0018】
以下、送風ファン33の回転制御について説明する。送風ファン33の回転制御を実行する制御ユニット40は、第1目標設定部、第2目標設定部、および送風機制御部として機能している。また、制御ユニット40は、下限設定部、上限設定部、走行モード設定部、変速モード設定部、および渋滞判定部として機能している。
図4および
図5は回転制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
図4および
図5のフローチャートは、符号Aの箇所で接続されている。また、
図6は送風ファン33の目標回転数の設定状況を示す図であり、
図7(a)は送風ファン33の回転上昇量の設定状況を示す図であり、
図7(b)は送風ファン33の回転下降量の設定状況を示す図である。さらに、
図8は回転制御に伴う送風ファン33の回転速度(以下、ファン回転数と記載する。)の推移を示す図である。なお、以下の説明においては、送風ファン33を用いてバッテリパック32を冷却しているが、これに限られることはなく、送風ファン33を用いてバッテリパック32を加温することも可能である。
【0019】
図4に示すように、ステップS10では、バッテリ温度つまりバッテリパック32の温度に基づいて、送風ファン33の目標回転速度つまり目標回転数TNが設定される。例えば、バッテリ温度が高い場合には、バッテリパック32に供給する冷却風量を増大させる観点から、送風ファン33の目標回転数TNが高く設定される。一方、バッテリ温度が低い場合には、バッテリパック32に供給する冷却風量を減少させる観点から、送風ファン33の目標回転数TNが低く設定される。続いて、ステップS11では、目標回転数TNの上限値である上限回転数Nmaxとして、エンジン回転数および車速に基づき上限回転数H1が設定される。例えば、エンジン回転数や車速が高い状況とは、送風ファン33の周囲の暗騒音が大きい状況、つまりエンジン音や走行音が大きい状況である。このように、エンジン音や走行音が大きい状況においては、車両品質面から送風ファン33の音が許容されるため、送風ファン33の上限回転数H1が高く設定される。一方、エンジン回転数や車速が低い状況とは、送風ファン33の周囲の暗騒音が小さい状況、つまりエンジン音や走行音が小さい状況である。このように、エンジン音や走行音が小さい状況においては、車両品質面から送風ファン33の音が制限されるため、送風ファン33の上限回転数H1が低く設定される。
【0020】
また、ステップS12では、車速や車間距離に基づいて、渋滞走行であるか否かが判定される。ステップS12において、制御ユニット40は、所定時間に渡って、車速が所定値以下であり、かつ車間距離が所定値以下であった場合に、渋滞走行であると判定する。一方、制御ユニット40は、所定時間内に車速が所定値を上回る場合や、所定時間内に車間距離が所定値を上回る場合には、渋滞走行でないと判定する。そして、ステップS12において、渋滞走行であると判定された場合には、ステップS13に進み、上限回転数Nmaxとして、渋滞走行用の上限回転数H2が設定される。一方、ステップS12において、渋滞走行でないと判定された場合には、ステップS13を迂回し、ステップS14に進む。なお、渋滞走行においては低車速走行が継続され、バッテリパック32の充放電量も抑制されるため、バッテリパック32の温度上昇も抑制されることが予測される。このため、渋滞走行用の上限回転数H2は、前述した上限回転数H1よりも低く設定される。
【0021】
ステップS14では、目標回転数TNの下限値である下限回転数Nminとして「0」が設定される。続いて、ステップS15では、走行モードがスポーツモードに設定されているか否か、若しくは変速モードがマニュアルモードに設定されているか否かが判定される。ステップS15において、スポーツモードやマニュアルモードが設定されていると判定された場合には、ステップS16に進み、下限回転数Nminとして、スポーツモード・マニュアルモード用の下限回転数L1が設定される。一方、ステップS15において、スポーツモードやマニュアルモードが設定されていないと判定された場合には、ステップS16を迂回し、ステップS17に進む。なお、スポーツモードやマニュアルモードにおいては、車両の動力性能や変速時の応答性が高められるため、バッテリパック32の充放電量が増大することが予測される。つまり、バッテリパック32の温度上昇が予測されるため、スポーツモード・マニュアルモード用の下限回転数L1は、前述した「0」よりも高く設定される。
【0022】
ステップS17では、目標回転数TNが、下限回転数Nmin以下であるか否かが判定される。ステップS17において、目標回転数TNが、下限回転数Nmin以下であった場合には、ステップS18に進み、目標回転数TNとして下限回転数Nminが設定される。例えば、
図6に符号N1で示すように、スポーツモードやマニュアルモード用の下限回転数L1が設定され、バッテリ温度に基づく目標回転数TNが下限回転数L1を下回る場合には、目標回転数TNが「L1」まで引き上げられて設定される。一方、ステップS17において、目標回転数TNが、下限回転数Nminを上回る場合には、ステップS19に進み、目標回転数TNが、上限回転数Nmax以上であるか否かが判定される。ステップS19において、目標回転数TNが、上限回転数Nmax以上であった場合には、ステップS20に進み、目標回転数TNとして下限回転数Nminが設定される。例えば、
図6に符号N2,N3で示すように、エンジン回転数および車速に基づく上限回転数H1や渋滞走行用の上限回転数H2が設定され、バッテリ温度に基づく目標回転数TNが上限回転数H1,H2を上回る場合には、目標回転数TNが「H1」または「H2」まで引き下げられて設定される。なお、目標回転数TNが、ステップS17において下限回転数Nminを上回り、かつステップS19において上限回転数Nmaxを下回る場合には、目標回転数TNがそのまま維持される。
【0023】
次いで、
図5に示すように、ステップS21では、上昇側の目標変化速度を規定する回転上昇量Uとして、基準走行用の回転上昇量U1が設定される。また、ステップS21では、下降側の目標変化速度を規定する回転下降量Dとして、基準走行用の回転下降量D1が設定される。ここで、回転上昇量Uとは、ファン回転数の単位時間当たりの上昇量である。つまり、回転上昇量Uが増加する程に、ファン回転数を上昇させる際の変化速度が増加する一方、回転上昇量Uが減少する程に、ファン回転数を上昇させる際の変化速度が減少する。また、回転下降量Dとは、ファン回転数の単位時間当たりの下降量である。つまり、回転下降量Dが増加する程に、ファン回転数を下降させる際の変化速度が増加する一方、回転下降量Dが減少する程に、ファン回転数を下降させる際の変化速度が減少する。このように、回転上昇量Uおよび回転下降量Dを設定することにより、ファン回転数を上下させる際の目標変化速度が設定されることになる。
【0024】
ステップS22では、アクセル操作量や車両加速度に基づいて、車両の走行状態が加速走行であるか否かが判定される。ステップS22において、制御ユニット40は、アクセル操作量が所定値以上であり、車両加速度が所定値(加速閾値)以上であり、かつ車速が所定値以上であった場合に、加速走行であると判定する。一方、制御ユニット40は、アクセル操作量が所定値未満である場合、車両加速度が所定値未満である場合、または車速が所定値未満であった場合に、加速走行ではないと判定する。そして、ステップS22において、加速走行であると判定された場合には、ステップS23に進み、回転上昇量Uとして、加速走行用の回転上昇量U2が設定される。一方、ステップS22において、加速走行でないと判定された場合には、ステップS23を迂回し、ステップS24に進む。なお、
図7(a)に示すように、加速走行用の回転上昇量U2は、基準走行用の回転上昇量U1よりも、大きく設定されている。つまり、車両加速度が加速閾値を上回る加速走行時の回転上昇量U2は、車両加速度が加速閾値を下回りかつ車両減速度が減速閾値を下回る基準走行時の回転上昇量U1よりも、大きく設定されている。すなわち、加速走行時における上昇側の目標変化速度は、基準走行時における上昇側の目標変化速度よりも、大きく設定されている。
【0025】
ステップS24では、ブレーキ操作量や車両減速度に基づいて、車両の走行状態が減速走行であるか否かが判定される。ステップS24において、制御ユニット40は、ブレーキ操作量が所定値以上であり、車両減速度が所定値(減速閾値)以上であり、かつ車速が所定値以下であった場合に、減速走行であると判定する。一方、制御ユニット40は、ブレーキ操作量が所定値未満である場合、車両減速度が所定値未満である場合、または車速が所定値を超えた場合に、減速走行ではないと判定する。そして、ステップS24において、減速走行であると判定された場合には、ステップS25に進み、回転下降量Dとして、減速走行用の回転下降量D2が設定される。一方、ステップS24において、減速走行でないと判定された場合には、ステップS25を迂回し、ステップS26に進む。なお、
図7(b)に示すように、減速走行用の回転下降量D2は、基準走行用の回転下降量D1よりも、小さく設定されている。つまり、車両減速度が減速閾値を上回る減速走行時の回転下降量D2は、車両加速度が加速閾値を下回りかつ車両減速度が減速閾値を下回る基準走行時の回転下降量D1よりも、小さく設定されている。すなわち、減速走行時における下降側の目標変化速度は、基準走行時における下降側の目標変化速度よりも、小さく設定されている。
【0026】
ステップS26では、車両の走行状態が定常走行であるか否かが判定される。ステップS26において、制御ユニット40は、クルーズコントロール機能が実行されている場合に、定常走行であると判定する、また、ステップS26において、制御ユニット40は、クルーズコントロール機能が停止している場合であっても、車両加速度および車両減速度が所定値以下であり、かつアクセル操作量が所定値以下であった場合に、定常走行であると判定する。そして、制御ユニット40は、クルーズコントロール機能が停止した状態のもとで、車両加速度および車両減速度が所定値を超えた場合や、アクセル操作量が所定値を超えた場合に、定常走行ではないと判定する。
【0027】
ステップS26において、定常走行であると判定された場合には、ステップS27に進み、回転上昇量Uとして、定常走行用の回転上昇量U3が設定され、回転下降量Dとして、定常走行用の回転下降量D3が設定される。一方、ステップS26において、定常走行でないと判定された場合には、ステップS27を迂回し、ステップS28に進む。なお、
図7(a)に示すように、定常走行用の回転上昇量U3は、基準走行用の回転上昇量U1よりも、小さく設定されている。また、
図7(b)に示すように、定常走行用の回転下降量D3は、基準走行用の回転下降量D1よりも、小さく設定されている。つまり、クルーズコントロール時の回転上昇量U3は、前述した基準走行時の回転上昇量U1よりも小さく設定されており、クルーズコントロール時の回転下降量D3は、前述した基準走行時の回転下降量D1よりも小さく設定されている。すなわち、クルーズコントロール時における上昇側と下降側との目標変化速度は、基準走行時における上昇側と下降側との目標変化速度よりも、小さく設定されている。
【0028】
ステップS28では、現在のファン回転数Nfが、目標回転数TN未満であるか否かが判定される。ステップS28において、ファン回転数Nfが目標回転数TN未満であると判定された場合には、ステップS29に進み、送風ファン33の制御回転数として、現在のファン回転数Nfに回転上昇量Uが加算される。すなわち、制御ルーチンを繰り返す度に、送風ファン33の制御回転数に回転上昇量Uが加算され、ファン回転数Nfが目標回転数TNに向けて上昇制御される。また、ステップS28において、ファン回転数Nfが目標回転数TN以上であると判定された場合には、ステップS30に進み、ファン回転数Nfが目標回転数TNを超えるか否かが判定される。ステップS30において、ファン回転数Nfが目標回転数TNを超えると判定された場合には、ステップS31に8進み、送風ファン33の制御回転数として、現在のファン回転数Nfから回転下降量Dが減算される。すなわち、制御ルーチンを繰り返す度に、送風ファン33の制御回転数から回転下降量Dが減算され、ファン回転数Nfが目標回転数TNに向けて下降制御される。
【0029】
図7(a)に示すように、加速走行時の回転上昇量U2は、基準走行時の回転上昇量U1よりも大きく設定されており、定常走行時の回転上昇量U3は、基準走行時の回転上昇量U1よりも小さく設定されている。つまり、加速走行時におけるファン回転数の目標変化速度は、基準走行時の目標変化速度よりも大きく設定されており、定常走行時におけるファン回転数の目標変化速度は、基準走行時の目標変化速度よりも小さく設定されている。このように、回転上昇量U1〜U3を用いて目標変化速度を設定することにより、運転手に違和感を与えることなく送風ファン33を制御することが可能となる。すなわち、
図8に示すように、加速走行時において、ファン回転数を目標回転数TN1に向けて上昇させる場合には、運転手の意識が車両加速に向くことから、基準走行時よりもファン回転数を急速に上昇させている。このように、加速走行時においては、ファン回転数を急速に上昇させることにより、騒音面から車両品質を損なうことなく送風ファン33を制御することが可能となる。また、
図8に示すように、定常走行時においてファン回転数を目標回転数TN1に向けて上昇させる場合には、送風ファン33の周囲の暗騒音が減少することから、基準走行時よりもファン回転数を緩やかに上昇させている。このように、定常走行時においては、ファン回転数を緩やかに上昇させることにより、騒音面から車両品質を損なうことなく送風ファン33を制御することが可能となる。
【0030】
また、
図7(b)に示すように、減速走行時の回転下降量D2は、基準走行時の回転下降量D1よりも小さく設定されており、定常走行時の回転下降量D3は、基準走行時の回転下降量D1よりも小さく設定されている。つまり、減速走行時におけるファン回転数の目標変化速度は、基準走行時の目標変化速度よりも小さく設定されており、定常走行時におけるファン回転数の目標変化速度は、基準走行時の目標変化速度よりも小さく設定されている。このように、回転下降量D1〜D3を用いて目標変化速度を設定することにより、運転手に違和感を与えることなく送風ファン33を制御することが可能となる。すなわち、
図8に示すように、減速走行時において、ファン回転数を目標回転数TN2に向けて下降させる場合には、送風ファン33の周囲の暗騒音が減少したり、モータモードに移行してエンジン11が停止したりすることから、基準走行時よりもファン回転数を緩やかに下降させている。このように、減速走行時においては、ファン回転数を緩やかに下降させることにより、騒音面から車両品質を損なうことなく送風ファン33を制御することが可能となる。また、
図8に示すように、定常走行時においてファン回転数を目標回転数TN2に向けて下降させる場合には、送風ファン33の周囲の暗騒音が減少することから、基準走行時よりもファン回転数を緩やかに下降させている。このように、定常走行時においては、ファン回転数を緩やかに下降させることにより、騒音面から車両品質を損なうことなく送風ファン33を制御することが可能となる。
【0031】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、ハイブリッド車両に対して車両用制御装置35を適用しているが、これに限られることはなく、蓄電体が搭載される車両であれば、如何なる車両に対して本発明の車両用制御装置35を適用しても良い。例えば、動力源としてエンジン11のみを備える車両に本発明を適用しても良く、動力源として電動モータのみを備える電気自動車に本発明を適用しても良い。また、前述の説明では、クルーズコントロール機能として、定速制御機能と追従制御機能とを備えているが、これに限られることはなく、クルーズコントロール機能として定速制御機能だけを備えていても良く、クルーズコントロール機能として追従制御機能だけを備えていても良い。
【0032】
図示する送風ファン33は、遠心ファンとしてのシロッコファンであるが、これに限られることはなく、送風ファン33として軸流ファンを採用しても良い。図示する場合には、吸気ダクト38に送風ファン33を設けているが、これに限られることはなく、排気ダクト39に送風ファン33を設けても良い。また、前述の説明では、バッテリパック32に車室内の空気を導入しているが、これに限られることはなく、バッテリパック32に車室外の空気を導入しても良い。また、前述の説明では、バッテリモジュール37を用いて蓄電体を構成しているが、これに限られることはなく、キャパシタモジュールを用いて蓄電体を構成しても良い。また、前述の説明では、パワーユニット10に無段変速機15を組み込んでいるが、これに限られることはない。例えば、パワーユニット10に遊星歯車式や平行軸式の自動変速機を組み込んでも良く、パワーユニット10に手動変速機を組み込んでも良い。