(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る表示制御装置を適用した表示システムの構成例を示した図である。
図1に示すように、表示システムは、表示制御装置1と、入力装置2と、ナビゲーション装置3と、透過型ディスプレイ4と、非透過型ディスプレイ5と、を有している。
図1に示す表示システムは、例えば、自動車等の車両に搭載される。
【0011】
入力装置2は、ユーザから操作を受付ける。入力装置2は、ユーザから受付けた操作を、ナビゲーション装置3に伝える。入力装置2は、例えば、ボタン入力装置やディスプレイ上に設けられたタッチパネル入力装置などである。または、入力装置2は、カメラや赤外線センサによるジェスチャ入力装置であってもよい。
【0012】
ナビゲーション装置3は、地図を主としたナビゲーション画面やオーディオプレイヤ等のアプリケーションの画面などのGUI(Graphical User Interface)を表示制御装置1に出力する。また、ナビゲーション装置3は、各種アプリケーションが扱う映像や画像などのコンテンツのデータを表示制御装置1に出力する。ナビゲーション装置3は、ナビゲーションやマルチメディアプレイヤなどのアプリケーションを動作させるために必要な演算装置やメモリなどの記憶装置を有している。
【0013】
表示制御装置1は、ナビゲーション装置3、透過型ディスプレイ4、および非透過型ディスプレイ5と接続されている。表示制御装置1は、例えば、ナビゲーション装置3から出力される画像データを合成し、透過型ディスプレイ4および非透過型ディスプレイ5に出力する。
【0014】
透過型ディスプレイ4は、可視光の透過性の高いガラス素子などの材質の板に、画像を投影する構造を備えた、画像を外界と重ねて表示するディスプレイである。透過型ディスプレイ4は、例えば、自動車等の車両に設けられる。より具体的には、透過型ディスプレイ4は、ドライバの前方に表示投影用の板が設置されるヘッドアップディスプレイである。透過型ディスプレイ4は、表示投影用の板がなく、ドライバ前方のウインドシールドに直接画像を投影する構造でもよい。または、透過型ディスプレイ4は、例えば、ドライバ等の利用者の視界と表示情報とを重ねるように表示するものであれば、メガネ型のヘッドマウントディスプレイであってもよい。
【0015】
非透過型ディスプレイ5は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)などのディスプレイである。非透過型ディスプレイ5は、一般にセンターディスプレイやナビ画面と呼ばれる、センターコンソール上に配置されるディスプレイである。
【0016】
図2は、表示制御装置の機能ブロックの一例を示した図である。
図2に示すように、表示制御装置1は、表示情報入力部11と、表示情報抽出部12と、表示情報加工部13と、表示情報合成部14と、表示情報出力部15と、を有している。
【0017】
表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力される表示情報(画像情報)を入力する。表示情報入力部11は、入力した表示情報の出力先(透過型ディスプレイ4および非透過型ディスプレイ5)と、コンテンツの属性とから、入力した表示情報を表示情報加工部13で加工(データ処理)するか否か判定する。
【0018】
表示情報入力部11は、入力した表示情報を表示情報加工部13で加工すると判定した場合、入力した表示情報を表示情報抽出部12に出力する。表示情報入力部11は、入力した表示情報を表示情報加工部13で加工しないと判定した場合、入力した表示情報を表示情報合成部14に出力する。
【0019】
ナビゲーション装置3から出力される表示情報には、例えば、GUI部品、テキスト、および画像コンテンツなどがある。GUI部品は、例えば、ボタンやウィンドウ枠など、表示画面中のGUIを構成する要素である。テキストは、ナビゲーションの住所情報やオーディオプレイヤの曲名などのテキストデータである。画像コンテンツは、ナビゲーションの道路交通案内図、注意喚起用のアイコン、オーディオプレイヤが扱うジャケット写真や、ウェブブラウザが取得した画像などである。表示情報合成部14は、表示情報に含まれるこれらの情報を合成し、表示情報出力部15を介して、透過型ディスプレイ4および非透過型ディスプレイ5に出力する。
【0020】
表示情報抽出部12は、透過型ディスプレイ4に表示される表示情報の色ごとの画素数に基づいて、表示情報の特定部分を抽出する。特定部分とは、以下でも説明するが、例えば、透過型ディスプレイ4に表示する表示情報の背景部分である。表示情報抽出部12は、表示情報の色ごとの画素数をカウントし、画素数の最も多かった色の部分を特定部分として抽出する。
【0021】
表示情報加工部13は、表示情報抽出部12によって抽出された特定部分の輝度を変更する。すなわち、表示情報加工部13は、透過型ディスプレイ4に表示される表示情報の背景部分の輝度を変化させる。表示情報加工部13は、例えば、表示情報の画素数の最も多かった色の輝度が所定の閾値より高い場合に、特定部分の輝度を下げる。また、表示情報加工部13は、表示情報の画素数の最も多かった色以外の輝度の平均値が、所定の閾値より低い場合、画素数の最も多かった色以外の輝度を上げる。
【0022】
表示情報合成部14は、表示情報入力部11から出力される表示情報を合成する。また、表示情報合成部14は、表示情報加工部13から出力される表示情報を合成する。表示情報合成部14は、例えば、上記したGUI部品、テキスト、および画像コンテンツの表示情報を合成する。
【0023】
表示情報出力部15は、表示情報合成部14によって合成された表示情報を、指定された出力先に従って、透過型ディスプレイ4または非透過型ディスプレイ5に出力する。
【0024】
図3は、非透過型ディスプレイに表示される画面例を示した図である。
図3の画面21は、非透過型ディスプレイ5に表示される画面例を示している。ナビゲーション装置3から出力される、非透過型ディスプレイ5に表示される表示情報は、表示制御装置1によって、データ加工されずに非透過型ディスプレイ5に表示される。例えば、非透過型ディスプレイ5に表示される表示情報は、表示情報入力部11に入力されると、表示情報抽出部12ではなく、表示情報合成部14に出力され、以下で説明する輝度変更の処理がされずに非透過型ディスプレイ5に表示される。
【0025】
図4は、透過型ディスプレイに表示される画面例を示した図である。
図4には、車両のウインドシールド31(一部)が示してある。透過型ディスプレイ4は、例えば、ドライバとドライバ前方のウインドシールド31との間に設けられる。また、透過型ディスプレイ4は、ウインドシールド31に直接画像を投影する構造でもよい。
【0026】
図4に示す画面32は、透過型ディスプレイ4に表示される画面例を示している。
図4の例の場合、透過型ディスプレイ4には、画面32に示すように、車両の速度を示すテキスト32aと、地図を示す画像コンテンツ32bとが表示されている。
【0027】
図4の点線で示す風景33は、ウインドシールド31および透過型ディスプレイ4を通して見える車外の風景を示している。
【0028】
図4の下方に示す画像34は、ナビゲーション装置3から出力される表示情報(画像コンテンツ)を示している。画像34の右隣に示す画像35は、画像34の背景部分の輝度を下げた状態の画像を示している。
図4では、輝度の低い状態を「黒」で示しており、画像35の背景部分(黒い部分35a)は、画像34の背景部分(灰色の部分34a)より輝度が低くなっている。透過型ディスプレイ4には、ナビゲーション装置3から出力された画像34ではなく、その背景部分の輝度が下げられた画像35が表示される。
【0029】
上記したように、表示情報入力部11には、ナビゲーション装置3から、表示情報が入力される。表示情報入力部11は、入力された表示情報の出力先が、透過型ディスプレイ4であるか、非透過型ディスプレイ5であるか判定する。表示情報入力部11は、例えば、表示情報に含まれているメタデータによって、入力された表示情報の出力先を判定できる。
【0030】
表示情報入力部11は、入力された表示情報の出力先が、非透過型ディスプレイ5であると判定した場合、入力された表示情報を表示情報合成部14に出力し、非透過型ディスプレイ5に出力されるようにする。すなわち、非透過型ディスプレイ5に出力される表示情報は、表示情報加工部13によって、データ加工(輝度の変更)がされずに、そのまま非透過型ディスプレイ5に出力される。これにより、非透過型ディスプレイ5には、例えば、
図3に示したような、輝度変更がされていない画面21が表示される。
【0031】
一方、表示情報入力部11は、入力された表示情報の出力先が、透過型ディスプレイ4であると判定した場合、入力された表示情報が、画像コンテンツであるか否か判定する。例えば、表示情報入力部11は、
図4の透過型ディスプレイ4に表示される速度(テキスト32a)を、テキストと判定する。また、表示情報入力部11は、
図4の透過型ディスプレイ4に表示される地図(画像コンテンツ32b)を、画像コンテンツと判定する。表示情報入力部11は、例えば、入力された表示情報に含まれるメタデータにより、入力された表示情報がGUI部品であるか、テキストであるか、または画像コンテンツであるか判定できる。
【0032】
表示情報入力部11は、入力された表示情報の出力先が透過型ディスプレイ4であり、かつ、入力された表示情報が画像コンテンツであると判定した場合、その表示情報を表示情報抽出部12に出力する。表示情報抽出部12は、表示情報入力部11から出力される表示情報(画像コンテンツ)の背景部分を抽出する。そして、表示情報加工部13は、表示情報抽出部12によって抽出された背景部分の輝度を下げる。
【0033】
なお、表示情報入力部11は、入力された表示情報の出力先が透過型ディスプレイ4であるが、入力された表示情報が画像コンテンツでない場合(GUI部品またはテキストである場合)、入力された表示情報を表示情報合成部14に出力する。
【0034】
画像コンテンツの背景とは、例えば、画像コンテンツの情報を持たない部分である。例えば、画像コンテンツの背景は、
図4に示す画像コンテンツ32bの文字や記号でない部分であり、画像34に示す灰色の部分または画像35に示す黒色の部分が対応する。
【0035】
透過型ディスプレイ4は、ディスプレイに映し出される画像の輝度が低いほど、ディスプレイ上の表示が薄くなり、ディスプレイの透過性が高くなる。反対に透過型ディスプレイ4は、輝度が高いほど、ディスプレイ上の表示が明瞭になり、ディスプレイの透過性は悪くなる。
【0036】
従って、画像コンテンツの背景部分の輝度を下げることにより、ドライバは、画像コンテンツの背景と重なる部分の風景の視認性がよくなる。例えば、表示情報加工部13は、
図4の画像35に示すように、ナビゲーション装置3から出力される画像34の背景部分の輝度を下げる。これにより、画像コンテンツ32bと重なる風景33の視認性は、向上する。
【0037】
表示情報抽出部12は、透過型ディスプレイ4に表示される画像コンテンツの色ごとの画素数に基づいて、画像コンテンツの背景部分を抽出する。例えば、表示情報抽出部12は、画像コンテンツの色ごとの画素数をカウントし、画素数の最も多かった部分を背景部分として抽出する。
【0038】
このように、画素数の最も多かった色の部分を、背景部分として抽出するのは、画素数の最も多かった色の部分は、画像コンテンツの背景部分と考えられるからである。例えば、写真を除く画像コンテンツの背景部分の色は、一般的に単一色であり、画像コンテンツを占める面積が最も大きいと考えられるからである。より具体的には、
図4の画像34に示すように、灰色の部分(画像コンテンツの背景部分)の面積は最も大きく、単一色で表されることが多いからである。
【0039】
ただし、グラデーションのように同系色でありながら複数の色で構成された背景であった場合、前述の方法では背景の抽出ができない。そこで、表示情報抽出部12は、色情報の所定の上位ビットを用いて、色を分類することにより、近い色(上位数ビットが同じ色)を同色としてカウントするようにしてもよい。
【0040】
透過型ディスプレイ4の透過率を上げるには、画像の輝度を下げればよいが、輝度の低下は、透過型ディスプレイ4の透過率の上昇に反して、ディスプレイ表示の視認性の低下に繋がる。従って、画像の中で輝度を落として視認性を悪くしても問題ない部分と、そうではない部分とに分けて輝度の調整を行う。
【0041】
文字や図形で情報を伝える目的の画像コンテンツは、単一色の背景が設定されている場合が多い。また、画像コンテンツは、背景部分がなくても、情報伝達に関しての影響は小さいと考えられる。そこで、表示情報加工部13は、表示情報抽出部12によって抽出された、画像コンテンツの背景部分の輝度を選択的に落とすようにする。一方、GUI部品およびテキストは、ドライバが認識すべき情報を有しており、これらに対しては、表示情報入力部11は、表示情報抽出部12ではなく、表示情報合成部14に出力して、輝度変更の処理が行わないようにする。
【0042】
図5は、表示制御装置の動作例を示したフローチャートである。表示制御装置1は、ナビゲーション装置3から表示情報が出力されると、
図3に示すフローチャートの処理を実行する。
【0043】
まず、表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報の出力先が、透過型ディスプレイ4であるか、非透過型ディスプレイ5であるか判定する(ステップS1)。例えば、ナビゲーション装置3から出力される表示情報には、当該表示情報を透過型ディスプレイ4に出力するかまたは非透過型ディスプレイ5に出力するかを示すメタデータが含まれており、表示情報入力部11は、表示情報に含まれるメタデータに基づいて、表示情報の出力先を判定する。表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報の出力先が、透過型ディスプレイ4であると判定した場合(ステップS1の「YES」の場合)、ステップS2の処理へ移行する。表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報の出力先が、非透過型ディスプレイ5であると判定した場合(ステップS1の「NO」の場合)、ステップS8の処理へ移行する。
【0044】
なお、表示情報の出力先が非透過型ディスプレイ5の場合、GUI部品、テキスト、および画像コンテンツのいずれの属性の表示情報も、そのまま表示情報合成部14によって合成され、非透過型ディスプレイ5に表示される。すなわち、表示情報入力部11は、表示情報の出力先が非透過型ディスプレイ5の場合、以下で説明するステップS5のデータ加工処理が実行されないよう、ステップS8の処理へ移行する。
【0045】
表示情報入力部11は、ステップS1にて、ナビゲーション装置3から出力された表示情報の出力先が、透過型ディスプレイ4であると判定した場合、表示情報が画像コンテンツであるか否か判定する(ステップS2)。表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報が、画像コンテンツであると判定した場合(ステップS2の「YES」の場合)、ステップS3の処理へ移行する。表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報が、画像コンテンツでないと判定した場合、例えば、表示情報がGUI部品またはテキストであると判定した場合(ステップS2の「NO」の場合)、ステップS8の処理へ移行する。
【0046】
すなわち、表示情報の出力先が透過型ディスプレイ4であって、かつ表示情報が画像コンテンツである場合に、表示情報(画像コンテンツ)は、以下で説明するステップS5のデータ加工処理が行われる。表示情報の出力先が透過型ディスプレイ4であっても、表示情報がGUI部品およびテキストである場合には、表示情報(GUI部品およびテキスト)は、以下で説明するデータ加工処理は行われず、ステップS8の処理へ移行する。
【0047】
なお、GUI部品については、ディスプレイごとに適した形で色や大きさが決められているものとする。従って、透過型ディスプレイ4に出力するGUI部品は、予め透過型ディスプレイ4での視認性を考慮した色と大きさになっているとする。よって、表示制御装置1は、これらの入力された情報に対しては、サイズ加工を行わずそのまま出力するものとする。
【0048】
表示情報抽出部12は、ステップS2にて、表示情報入力部11が、ナビゲーション装置3から出力された表示情報が画像コンテンツであると判定した場合(ステップS2の「YES」の場合)、画像コンテンツの色ごとに画素数をカウントし、画像コンテンツの中で、最も多くの画素数を占める色を抽出する(ステップS3)。
【0049】
次に、表示情報加工部13は、ステップS3にて抽出された色の輝度が、所定の閾値より高いか否か判定する(ステップS4)。輝度の計算は、R,G,Bいずれかの値をそのまま使用してもよいが、R,G,Bの各値に一定の重み付けをして加重平均を取り、輝度を計算するのが望ましい。表示情報加工部13は、抽出された色の輝度が所定の閾値より高くないと判定した場合(ステップS4の「NO」の場合)、ステップS8の処理へ移行する。表示情報加工部13は、抽出された色の輝度が所定の閾値より高いと判定した場合(ステップS4の「YES」の場合)、ステップS5の処理へ移行する。
【0050】
表示情報加工部13は、ステップS4にて、抽出された色の輝度が所定の閾値より高いと判定した場合、当該色の画素の輝度を下げる(ステップS5)。
【0051】
輝度を下げるかどうかの基準とする閾値は、透過型ディスプレイ4に画像コンテンツを投影した場合に、ドライバの前方視界をどの程度遮るかにより決定する。例えば、最大輝度で透過率0%、最大輝度の50%で透過率50%となるディスプレイで、画像コンテンツの背景部分の透過率を70%確保する場合、閾値を最大輝度の30%に設定する。透過型ディスプレイの輝度と透過率の関係は、ディスプレイによって異なるため、その輝度で投影しても十分な透過性が確保できるという基準で、そのディスプレイにあった値を設定する。
【0052】
また、変更後の輝度は、ステップS4の判定で用いる閾値に等しい値にしてもよいし、0%(黒)にしてもよい。黒に変更した場合、透過率は100%となるが、もとの画像コンテンツの背景色がすべて消えてしまうため、これを回避する場合は、0%より大きく閾値を超えない値に変更する。また、輝度を大きく下げた場合、表示画面の中で画像コンテンツとその他の部分との境界が曖昧になり、画像コンテンツの視認性が悪くなる場合もある。この場合、画像コンテンツの周辺を輝度の高い色で縁取りするようにしてもよい。
【0053】
次に、表示情報加工部13は、画像コンテンツの背景部分以外の輝度の平均値が、所定の閾値より低いか否か判定する(ステップS6)。表示情報加工部13は、画像コンテンツの背景部分以外の輝度の平均値が、所定の閾値より低い場合(ステップS6の「YES」の場合)、ステップS7の処理へ移行する。表示情報加工部13は、画像コンテンツの背景部分以外の輝度の平均値が、所定の閾値より低くない場合(ステップS6の「NO」の場合)、ステップS8の処理へ移行する。
【0054】
表示情報加工部13は、ステップS6にて、画像コンテンツの背景部分以外の輝度の平均値が、所定の閾値より低いと判定した場合、画像コンテンツの背景部分以外の輝度を上げる(ステップS7)。
【0055】
このような処理を行うのは、画像コンテンツの中心となる部分(背景部分以外の部分、例えば、進行方向を示す矢印や地名などの文字)の輝度が低い場合、ステップS5の背景部分の輝度低下処理によって、画像全体の輝度が下がってしまい、背景部分以外の部分の視認性が低下するためである。このような状況を防ぐため、表示情報加工部13は、画像コンテンツの中心となる部分の輝度が一定以下の場合、当該部分の輝度を上げる処理を行う。
【0056】
なお、ステップS6の輝度を上げるかどうかの判定基準とする閾値は、透過型ディスプレイ4に投影した場合に、背景以外の部分が十分視認できるかどうかにより決める。例えば、ステップS6の判定基準とする閾値は、輝度の最大値の70%程度に設定すればよい。変更後の輝度は、この閾値に等しい値にしてもよいし、より高い値にしてもよい。例えば、背景部分以外の平均輝度が50%であり、閾値を70%に設定した場合、表示情報加工部13は、背景部分以外のそれぞれの画素について、輝度を20%分上げる。輝度を上げると視認性は上がるが、すべての色が白に近づき元の画像の色が失われるため、適度な値を設定するのが望ましい。
【0057】
次に、表示情報合成部14は、表示情報を合成する(ステップS8)。例えば、表示情報合成部14は、ステップS1の「NO」を経由して、当該ステップS8の処理を行う場合、非透過型ディスプレイ5に出力される表示情報を合成する。また、表示情報合成部14は、ステップS5,S7等を経由して、当該ステップS8の処理を行う場合、ステップS5,S7にて輝度加工された、透過型ディスプレイ4に出力される画像コンテンツと、ステップS2の「NO」を経由した、透過型ディスプレイ4に出力されるGUI部品またはテキストとを合成する。
【0058】
次に、表示情報出力部15は、表示情報合成部14によって合成された表示情報を、透過型ディスプレイ4または非透過型ディスプレイ5に出力する(ステップS9)。表示情報出力部15は、例えば、表示情報に含まれるメタデータに基づいて、表示情報合成部14によって合成された表示情報を、透過型ディスプレイ4または非透過型ディスプレイ5に出力する。
【0059】
図6は、表示制御装置のハードウェア構成例を示した図である。表示制御装置1は、例えば、
図6に示すような、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置41と、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置42と、HDD等の補助記憶装置43と、有線又は無線により通信ネットワークと接続するための通信インターフェイス(I/F)44と、DVD(Digital Versatile Disk)などの持ち運び可能な記憶媒体に対する情報の読み書きを行う読み書き装置45と、によって、
図2に示したような機能を実現することができる。
【0060】
例えば、表示情報入力部11、表示情報抽出部12、表示情報加工部13、表示情報合成部14、および表示情報出力部15の機能は、補助記憶装置43などから主記憶装置42にロードされた所定のプログラムを演算装置41が実行することで実現される。表示情報入力部11の表示情報を入力する機能は、例えば、演算装置41が通信I/F44を利用することで実現される。表示情報出力部15の表示情報をディスプレイに出力する機能は、例えば、演算装置41が通信I/F44を利用することで実現される。
【0061】
なお、上記の所定のプログラムは、例えば、読み書き装置45により読み取られた記憶媒体からインストールされてもよいし、通信I/F44を介してネットワークからインストールされてもよい。
【0062】
このように、表示制御装置1の表示情報抽出部12は、車両が有するウインドシールドに設けられた透過型ディスプレイ4に表示される表示情報の色ごとの画素数に基づいて、表示情報の特定部分を抽出する。そして、表示情報出力部15は、表示情報抽出部12によって抽出された特定部分の輝度が変更された表示情報を透過型ディスプレイ4に出力する。これにより、表示制御装置1は、車外の視界を十分確保するとともに、表示情報の視認性低下を抑制することができる。
【0063】
また、表示情報加工部13は、表示情報抽出部によって抽出された特定部分の輝度を変更する。これにより、表示制御装置1は、表示情報の表示位置を変えなくても前方視界を遮らないようにすることができる。
【0064】
また、表示情報加工部13は、表示情報の画素数の最も多かった色の輝度が所定の閾値より高い場合に、特定部分の輝度を下げる。これにより、例えば、特定部分の輝度が、元々小さい表示情報の場合には、輝度変更処理を行わず、消費電力を低減することできる。
【0065】
また、表示情報加工部13は、表示情報の画素数の最も多かった色以外の輝度の平均値が所定の閾値より低い場合、画素数の最も多かった色以外の輝度を上げる。これにより、背景部分以外の部分に表示される、例えば、ドライバが認識すべき情報の視認性を高めることができる。
【0066】
なお、表示制御装置1とナビゲーション装置3は、別々の装置として図示されているが、一つの装置として構成してもよい。例えば、演算処理装置やメモリを共有し、表示制御装置1とナビゲーション装置3を1つの装置として構成してもよい。
【0067】
[第2の実施の形態]
第2の実施形態では、異なるディスプレイ間で表示形式を切り替える例について説明する。例えば、第2の実施の形態では、表示制御装置に複数のディスプレイが接続され、ディスプレイごとにおいて、出力するレイヤや輝度を変え、ディスプレイごとに異なる画面が表示されるようにする。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。
【0068】
図7は、第2の実施の形態に係る表示制御装置を適用した表示システムの構成例を示した図である。
図7において、
図1と同じものには同じ符号が付してある。
図7の表示システムでは、表示制御装置51に非透過型ディスプレイ52が接続されている。
【0069】
非透過型ディスプレイ52は、例えば、メーターディスプレイと呼ばれるメーター内に備えられているディスプレイである。メーターディスプレイは、メーター内に備えられている特性上、表示領域が小さい。また、メーターディスプレイは、メーター表示に合わせて背景の輝度が低く、表示される図形や文字の輝度が高く設定されている場合が多い。
【0070】
図8は、表示制御装置の機能ブロックの一例を示した図である。
図8において、
図2と同じものには同じ符号が付してある。
図8の表示制御装置51は、制御入力部61と、レイヤ情報管理部62と、表示情報合成部63と、を有している。また、表示制御装置51は、
図2示した表示制御装置1に対し、表示情報加工部13を有していない。
【0071】
制御入力部61は、レイヤ情報管理部62を制御する。例えば、制御入力部61は、ナビゲーション装置3からの制御信号によって、レイヤ情報管理部62が管理するレイヤ管理情報を制御する。また、制御入力部61は、ユーザが入力装置2を操作して、レイヤ画面の表示有無や表示色を変更する場合、ユーザが入力装置2に入力した情報を、レイヤ情報管理部62に出力する。
【0072】
レイヤ情報管理部62は、表示情報を出力するディスプレイのディスプレイ情報と、ディスプレイのサイズと、ディスプレイに出力する表示情報のレイヤを示したレイヤ情報と、レイヤごとの色の変換規則を規定した色変換ルールと、を対応付けて記憶したレイヤ管理テーブルを管理している。
【0073】
表示情報合成部63は、レイヤ管理テーブルの色変換ルールを参照して、レイヤの色を変換し、また、レイヤ管理テーブルのレイヤ情報を参照して、ディスプレイに出力する表示情報のレイヤを合成する。表示情報合成部63は、レイヤを合成する際、レイヤ管理テーブルを参照して、レイヤを所定のサイズに変換する。
【0074】
制御入力部61、レイヤ情報管理部62、および表示情報合成部63の機能は、補助記憶装置43などから主記憶装置42にロードされた所定のプログラムを演算装置41が実行することで実現される。
【0075】
図9は、各ディスプレイに表示される画面例を示した図である。
図9に示す画面71は、例えば、センターディスプレイ等の非透過型ディスプレイ5に表示される画面例を示している。画面72は、ヘッドアップディスプレイ等の透過型ディスプレイ4に表示される画面例を示している。画面73は、メーターディスプレイ等の非透過型ディスプレイ52に表示される画面例を示している。画面71〜73には、車両位置を含む地図、現在時間、到着予定時間、方位、および縮尺が表示されている。
【0076】
非透過型ディスプレイ5に表示される画面71は、表示制御装置51によって加工(輝度変更)が加えられないで表示される。
【0077】
透過型ディスプレイ4に表示される画面72は、非透過型ディスプレイ5に表示される画面71に対して、背景部分の輝度が下げられ、背景部分以外の部分の輝度が上げられて表示される。すなわち、透過型ディスプレイ4に表示される画面72は、表示制御装置51によって加工がされて表示される。
【0078】
非透過型ディスプレイ52に表示される画面73は、非透過型ディスプレイ5に表示される画面71に対して、詳細な情報(例えば、細街路や道路が何号線であるかを示す情報等)が描画されない状態で表示される。また、非透過型ディスプレイ52に表示される画面73は、非透過型ディスプレイ5に表示される画面71に対して、背景部分の輝度が下げられ、背景部分以外の部分の輝度が上げられて表示される。すなわち、非透過型ディスプレイ52に表示される画面73は、表示制御装置51によって加工がされて表示される。
【0079】
表示制御装置51は、画面71〜73に示すように、ディスプレイごとに表示形式を切り替えるため、レイヤ単位での描画と色変換とを行う。レイヤ単位での描画とは、一つの表示情報をいくつかのレイヤに分け、ディスプレイに合わせてどのレイヤを出力するか、適宜切り替える方法である。
【0080】
例えば、レイヤには、基本レイヤ、詳細レイヤ、および背景レイヤがあり、それぞれ別々の情報を有している。表示制御装置51は、ディスプレイごとに所定のレイヤを重ね合わせて出力する。
【0081】
図10は、レイヤを説明する図のその1である。
図10に示す画像81は、基本レイヤの画像例を示している。画像82は、詳細レイヤの画像例を示している。画像83は、背景レイヤの画像例を示している。
【0082】
ナビゲーション装置3からは、レイヤ単位で表示情報が出力される。例えば、ナビゲーション装置3からは、
図10に示すレイヤごとの画像81〜83が出力される。表示制御装置51は、ナビゲーション装置3から出力される各レイヤの画像を、出力するディスプレイに応じて合成し、ディスプレイに出力する。
【0083】
例えば、表示制御装置51は、表示情報を透過型ディスプレイ4に出力する場合、全レイヤの画像81〜83を合成して、透過型ディスプレイ4に出力する。また、表示制御装置51は、表示情報を非透過型ディスプレイ5に出力する場合も、全レイヤの画像81〜83を合成して、透過型ディスプレイ4に出力する。
図10の画像84は、各レイヤの画像81〜83を合成した画像例を示している。
【0084】
これに対し、表示制御装置51は、表示情報を非透過型ディスプレイ52に出力する場合、レイヤの一部の画像81,83を合成して、非透過型ディスプレイ52に出力する。例えば、表示制御装置51は、表示情報を非透過型ディスプレイ52に出力する場合、画像81と画像83を合成して、非透過型ディスプレイ52に出力する。
【0085】
基本レイヤに割り当てられる情報は、表示情報の中でも重要度の高いものである。例えば、GUI部品、テキスト、幹線道路等の画像コンテンツ、および車両の位置情報などは、基本レイヤに割り当てられる。
【0086】
詳細レイヤに割り当てられる情報は、基本レイヤに割り当てられる情報を補足する情報である。例えば、細街路等、詳細な道路情報の画像などは、詳細レイヤに割り当てられる。
【0087】
背景レイヤは、背景画像が割り当てられる。
【0088】
図11は、レイヤを説明する図のその2である。
図11に示す画像91は、基本レイヤの画像例を示している。画像91には、画像コンテンツが表示されており、例えば、幹線道路と車両の位置情報とが表示されている。
【0089】
画像92は、基本レイヤの画像例を示している。画像92には、GUI部品およびテキストが表示されており、例えば、文字やウィンドウ枠が表示されている。
【0090】
画像93は、詳細レイヤの画像例を示している。画像93には、画像コンテンツが表示されており、例えば、細街路等の基本レイヤの情報を捕捉する情報が表示されている。
【0091】
画像94は、背景レイヤの画像例を示している。画像94には、画像コンテンツが表示されており、例えば、単一色の画像が表示されている。
【0092】
図12は、レイヤ情報管理部が有するテーブルのデータ構成例を示した図である。レイヤ情報管理部62は、
図12に示すようなレイヤ管理テーブル101を有している。レイヤ管理テーブル101は、「ディスプレイ情報」の欄と、「サイズ」の欄と、「レイヤ情報」の欄と、「色変換ルール」の欄とを有している。レイヤ管理テーブル101は、例えば、
図6に示す主記憶装置42において記憶される。
【0093】
「ディスプレイ情報」の欄には、表示制御装置51に接続されているディスプレイの名称が記憶される。例えば、
図12に示す「センターディスプレイ」は、非透過型ディスプレイ5の名称を示し、「メーターディスプレイ」は、非透過型ディスプレイ52の名称を示し、「ヘッドアップディスプレイ」は、透過型ディスプレイ4の名称を示している。なお、
図12の例では、「ディスプレイ情報」の欄にディスプレイの名称を記載しているが、説明の都合上であり、実際はユニークなIDを振るなどして管理する。
【0094】
「サイズ」の欄には、表示制御装置51に接続されているディスプレイのサイズが記憶される。ディスプレイのサイズは、例えば、ピクセルで表される。表示情報合成部63は、ナビゲーション装置3から出力される各レイヤの画像を、「サイズ」の欄の大きさに変換する。例えば、表示情報合成部63は、「メーターディスプレイ」に出力するレイヤに対しては、「メーターディスプレイ」に対応する「サイズ」の欄に基づいて、画像サイズを「400×300」に変換する。
【0095】
「レイヤ情報」の欄には、ディスプレイに出力するレイヤの情報が記憶される。表示情報合成部63は、ナビゲーション装置3から出力される表示情報の各レイヤを、「レイヤ情報」の欄に基づいて合成する。
【0096】
例えば、ナビゲーション装置3から、
図11に示した各レイヤの画像91〜94が出力されたとする。この場合、表示情報合成部63は、「センターディスプレイ」に対しては、「センターディスプレイ」に対応する「レイヤ情報」の欄に基づいて、基本レイヤの画像91,92と、詳細レイヤの画像93と、背景レイヤの画像94とを合成する。これにより、例えば、
図9に示すような画面71の画像データが得られる。
【0097】
また、表示情報合成部63は、「メーターディスプレイ」に対しては、「メーターディスプレイ」に対応する「レイヤ情報」の欄に基づいて、基本レイヤの画像91,92と、背景レイヤの画像94とを合成する。これにより、例えば、
図9に示すような画面73の画像データが得られる。
【0098】
また、表示情報合成部63は、「ヘッドアップディスプレイ」に対しては、「ヘッドアップディスプレイ」に対応する「レイヤ情報」の欄に基づいて、基本レイヤの画像91,92と、詳細レイヤの画像93と、背景レイヤの画像94とを合成する。これにより、例えば、
図9に示すような画面72の画像データが得られる。
【0099】
なお、
図12の例では、「レイヤ情報」の欄に名称を記載しているが、説明の都合上であり、実際はユニークなIDを振るなどして管理する。
【0100】
「色変換ルール」の欄には、表示情報をディスプレイに出力する際の、色変換のルールが記憶される。色変換ルールは、レイヤごとに定義されている。表示情報合成部63は、ナビゲーション装置3から出力される表示情報の各レイヤを、「色変換ルール」の欄に基づいて色変換する。
【0101】
例えば、表示情報合成部63は、「センターディスプレイ」に対しては、「センターディスプレイ」に対応する「色変換ルール」の欄に基づいて、各レイヤの色を変換せずに合成する。これにより、例えば、センターディスプレイには、
図9の画面71に示すように、地図、テキスト、およびGUI部品ととともに、背景が表示される。
【0102】
また、表示情報合成部63は、「メーターディスプレイ」に対しては、「メーターディスプレイ」に対応する「色変換ルール」の欄に基づいて、基本レイヤのR,G,Bの輝度を20%上げ、背景レイヤのR,G,Bの輝度を20%下げて合成する。これにより、例えば、メーターディスプレイには、
図9の画面73に示すように、メーターディスプレイの背景は暗くなる。
【0103】
また、表示情報合成部63は、「ヘッドアップディスプレイ」に対しては、「ヘッドアップディスプレイ」に対応する「色変換ルール」の欄に基づいて、基本レイヤおよび詳細レイヤのR,G,Bの輝度を20%上げ、背景レイヤのR,G,Bの輝度を20%下げて合成する。これにより、例えば、
図9の画面72に示すように、ヘッドアップディスプレイの背景の透過率は高くなり、風景の視認性が向上する。
【0104】
各レイヤの色は、レイヤ管理テーブル101の「色変換ルール」の欄の情報に従って色指定が行われ、各ディスプレイに出力される。従って、同じ表示情報でも、色変換ルールが異なる出力先が指定された場合には、互いに異なる色で表示される。
【0105】
例えば、
図12の例では、センターディスプレイは、色変換ルールが定義されていない。これは色変換を行わないことを示している。センターディスプレイは、ヘッドアップディスプレイのような背景色の変更などは不要であるため、色変換ルールを定義していない。このように表示に際して色の変更を行わない場合は、色変換ルールを定義しなくてもよい。
【0106】
これに対し、ヘッドアップディスプレイは、色変換ルールが定義されている。
図12の例では、ヘッドアップディスプレイの特性に合わせて基本レイヤと詳細レイヤの輝度を上げ、背景レイヤの輝度を下げるよう色変換ルールが設定されている。
【0107】
すなわち、センターディスプレイとヘッドアップディスプレイは、表示内容が同じ(レイヤが同じ)であるが、色変換ルールによって、異なる色で表示される。
【0108】
なお、
図12の例は、説明の都合上のものであり、実際の色変換ルールは、R,G,Bの各値に対してどのような変換式を適用するかを定義しておく。また、色ごとに変換する色を直接決めるカラーパレットのような形式で定義してもよい。
【0109】
また、
図12の例では、各色とも一律に輝度を変えるように定義しているが、ヘッドアップディスプレイは、白の他、緑の表示の視認性が高いとされるため、全体に緑を強めた色で構成するルールを定義してもよい。また、昼と夜など周囲の明るさによって、ディスプレイの視認性の輝度が異なるため、複数の色変換ルールを定義して状況に応じて切り替えるようにしてもよい。例えば、レイヤ管理テーブル101は、昼用と夜用の2つを用意する。ナビゲーション装置3から、昼用のレイヤ管理テーブル101を用いるか、または夜用のレイヤ管理テーブル101を用いるかの指示が出力され、制御入力部61は、ナビゲーション装置3からの指示に応じて、使用するレイヤ管理テーブル101を切替える。
【0110】
図13は、表示制御装置の動作例を示したフローチャートである。表示制御装置51は、ナビゲーション装置3から表示情報が出力されると、
図13に示すフローチャートの処理を実行する。
【0111】
まず、表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報が、警告や注意を喚起する表示情報であるか否か判定する(ステップS11)。例えば、表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報のメタデータから、表示情報が警告や注意を喚起する表示情報であるか否か判定する。表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報が、警告や注意を喚起する表示情報であると判定した場合(ステップS11の「YES」の場合)、ステップS16の処理へ移行する。表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報が、警告や注意を喚起する表示情報でないと判定した場合(ステップS11の「NO」の場合)、ステップS12の処理へ移行する。
【0112】
なお、警告または注意を喚起する表示情報は、例えば、先行車との衝突を警告する図形などで、アイコンや文字によって構成される。警告または注意を喚起する表示情報は、ナビゲーション装置3によって、例えば、赤、黄、またはオレンジなど、ドライバ等が注意を惹きやすい色に指定されており、表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から、警告または注意を喚起する表示情報が出力された場合、ナビゲーション装置3が指定した色を変更しないように、以下で説明するステップS16の処理へ移行する。
【0113】
表示情報入力部11は、ステップS11にて、ナビゲーション装置3から出力された表示情報が、警告や注意を喚起する表示情報でないと判定した場合、表示情報が画像コンテンツであるか否か判定する(ステップS12)。表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報が、画像コンテンツであると判定した場合(ステップS12の「YES」の場合)、ステップS13の処理へ移行する。表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報が、画像コンテンツでないと判定した場合、例えば、表示情報がGUI部品またはテキストであると判定した場合(ステップS12の「NO」の場合)、ステップS15の処理へ移行する。
【0114】
表示情報入力部11は、ステップS12にて、ナビゲーション装置3から出力された表示情報が、画像コンテンツであると判定した場合、ナビゲーション装置3から出力された画像コンテンツに、背景レイヤが含まれているか否か判定する(ステップS13)。表示情報入力部11は、例えば、ナビゲーション装置3から出力された画像コンテンツに含まれるメタデータにより、背景レイヤが含まれているか否か判定できる。
【0115】
このように、画像コンテンツに背景レイヤが含まれているか否か判定するのは、ナビゲーション装置3が生成して出力する画像コンテンツは、基本レイヤ、詳細レイヤ、および背景レイヤに分かれているが、交通情報システムから配信される渋滞情報や交通規制情報の画像コンテンツ(ナビゲーション装置3が交通情報システムから配信される画像コンテンツを受信し、表示情報入力部11に出力する画像コンテンツ)は、基本レイヤ、詳細レイヤ、および背景レイヤに分かれていない場合があるからである。そこで、表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力される画像コンテンツが、背景レイヤを有する画像コンテンツであるか否か判定する。表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報に、背景レイヤが含まれていると判定した場合(ステップS13の「YES」の場合)、ステップS15の処理へ移行する。表示情報入力部11は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報に、背景レイヤが含まれていないと判定した場合(ステップS13の「NO」の場合)、ステップS14の処理へ移行する。
【0116】
表示情報入力部11が、ステップS13にて、ナビゲーション装置3から出力された表示情報に、背景レイヤが含まれていないと判定した場合、表示情報抽出部12は、画像コンテンツの背景部分を抽出し、背景レイヤに設定する(ステップS14)。表示情報抽出部12は、例えば、
図5のステップS3と同様の処理によって(色ごとの画素数をカウントして)、画像コンテンツの背景部分を抽出する。そして、表示情報抽出部12は、抽出した背景部分の画像を、背景レイヤに設定し、その他の部分の画像を、例えば、基本レイヤに設定する。
【0117】
表示情報入力部11が、ステップS12にて、表示情報が画像コンテンツでないと判定した場合、表示情報入力部11が、ステップS13にて、背景レイヤがあると判定した場合、または、表示情報抽出部12が、ステップS14にて、背景レイヤの設定処理を行った場合、表示情報合成部14は、レイヤ管理テーブル101の「色変換ルール」の欄を参照して、表示情報の色変換を行う(ステップS15)。例えば、表示情報合成部14は、表示情報の出力先ディスプレイに基づいて、レイヤ管理テーブル101の「色変換ルール」の欄を参照し、各レイヤの色変換を行う。
【0118】
表示情報入力部11が、ステップS1にて、ナビゲーション装置3から出力された表示情報が、警告や注意を喚起する表示情報であると判定した場合、または、表示情報合成部14が、ステップS15にて、表示情報の色変換を行った場合、表示情報合成部14は、各レイヤのサイズが、ディスプレイのサイズより大きいか否か判定する(ステップS16)。表示情報合成部14は、例えば、表示情報の出力先ディスプレイごとにおいて、レイヤ管理テーブル101の「サイズ」の欄を参照し、受信された警告等の表示情報または色変換した表示情報のサイズが、ディスプレイのサイズより大きいか否か判定する。表示情報合成部14は、警告等の表示情報または色変換した表示情報のサイズが、ディスプレイのサイズより大きいと判定した場合(ステップS16の「YES」の場合)、ステップS17の処理へ移行する。表示情報合成部14は、警告等の表示方法または色変換した表示情報のサイズが、ディスプレイのサイズより大きくないと判定した場合(ステップS16の「NO」の場合)、ステップS18の処理へ移行する。
【0119】
表示情報合成部14は、ステップS16にて、表示情報のサイズが、ディスプレイのサイズより大きいと判定した場合、レイヤ管理テーブル101の「サイズ」の欄を参照し、表示情報のサイズを縮小する(ステップS17)。表示情報合成部14は、例えば、ディスプレイの表示領域内に収まるよう縦横比を保ったまま縮小変換を行う。
【0120】
なお、
図12のレイヤ管理テーブル101の例では、メーターディスプレイのサイズは、他のディスプレイより小さく設定されている。ナビゲーション画面が、センターディスプレイのサイズに合わせて作成されている場合、これをメーターディスプレイに表示する場合は、ステップS17にて縮小変換が行われる。
【0121】
表示情報合成部14は、ステップS16にて、表示情報のサイズが、ディスプレイのサイズより大きくないと判定した場合、または、ステップS17にて、表示情報の縮小処理を行った場合、レイヤ管理テーブル101の「レイヤ情報」の欄を参照し、表示情報の各レイヤを合成する(ステップS18)。
【0122】
次に、表示情報出力部15は、ステップS18にて合成された表示情報を各ディスプレイに出力する(ステップS19)。
【0123】
なお、ナビゲーション装置3は、予め背景を別のデータとして用意しておいてもよい。この場合、用意した背景画像は背景レイヤに指定しておく。このように背景レイヤが指定された表示情報の場合、ステップS13の背景レイヤの有無の判定およびステップS14の分離処理は省略できる。
【0124】
このように、表示制御装置51のレイヤ管理テーブル101は、表示情報を出力するディスプレイのディスプレイ情報と、ディスプレイに出力する表示情報のレイヤを示したレイヤ情報と、レイヤごとの色の変換規則を規定した色変換ルールと、を対応付けて記憶する。そして、表示情報合成部63は、レイヤ管理テーブル101の色変換ルールを参照して、レイヤの色を変換し、レイヤ管理テーブル101のレイヤ情報を参照して、透過型ディスプレイ4および非透過型ディスプレイ5,52に出力する表示情報のレイヤを合成する。これにより、表示制御装置51は、異なるディスプレイ間での表示形式を切替えることができる。
【0125】
また、表示情報抽出部12は、ナビゲーション装置3から出力される表示情報に背景レイヤが含まれていない場合、表示情報の特定部分を抽出し、背景レイヤとして抽出する。これにより、表示制御装置51は、ナビゲーション装置3から出力される表示情報が背景レイヤに分かれていなくても、表示形式を切替えることができる。
【0126】
また、表示情報合成部63は、表示情報が警告等の特定種類の情報である場合、背景レイヤの色の輝度を変化しない。これにより、表示制御装置51は、警告等の特定種類の情報の視認性を維持することができる。
【0127】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0128】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。例えば、第2の実施の形態の
図13のステップS11の処理を、第1の実施の形態で行うようにしてもよい。例えば、第1の実施の形態の表示情報加工部13は、ナビゲーション装置3から出力された表示情報が、警告や注意を喚起する表示情報である場合、特定部分の輝度を変更しないようにする。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0129】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理ステップ等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。
【0130】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。