特許第6348794号(P6348794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348794
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】面照明体
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20180618BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180618BHJP
【FI】
   F21S2/00 443
   F21Y115:10
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-151676(P2014-151676)
(22)【出願日】2014年7月25日
(65)【公開番号】特開2016-29618(P2016-29618A)
(43)【公開日】2016年3月3日
【審査請求日】2017年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】507148087
【氏名又は名称】明拓工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100073276
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 公總
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】松井 弘一
(72)【発明者】
【氏名】松井 克拓
(72)【発明者】
【氏名】増田 友彦
【審査官】 山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−277641(JP,A)
【文献】 特開2011−096506(JP,A)
【文献】 特開2007−213833(JP,A)
【文献】 特開2013−182731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板の入射端面に光源からの光を入射させて面発光する面照明体であって、
前記導光板の表面側に拡散シート及び乳半板の少なくとも一方を重ね合わせた重合体と、
前記導光板の前記入射端面を含む前記重合体の端縁に沿って設けられる枠部材と、
前記枠部材の長手方向両端部にて前記重合体と前記枠部材とを厚さ方向に締結する締結部材と、を備え、
前記枠部材は、前記入射端面に対向するとともに光源が設けられる対向面部と、該対向面部に連続し前記重合体の一方の面に沿って延びる第一側面部と、前記対向面部に連続し前記重合体の他方の面に沿って延びる第二側面部と、を有して断面略U字状に形成され、
前記第一側面部及び前記第二側面部には、前記締結部材を挿通させるとともに前記枠部材の長手方向に沿って前記締結部材を案内可能な案内孔が形成されて
前記枠部材の長手方向両端部それぞれの前記締結部材が、前記導光板の膨張・収縮に応じて該導光板の対角方向に斜めに移動し、
前記枠部材が、前記締結部材の斜めの移動における、前記入射端面に対する直交方向の成分の移動に応じて該直交方向に移動し、
前記枠部材の長手方向両端部それぞれについて、前記案内孔が、前記締結部材の斜めの移動における、前記入射端面に対する平行方向の成分の移動を案内することを特徴とする面照明体。
【請求項2】
前記導光板が、温度変化及び湿度変化のうちの少なくとも一方に応じて膨張・収縮する矩形板であり、
前記締結部材が、前記導光板のコーナー近傍に配置されていることを特徴とする請求項1記載の面照明体。
【請求項3】
前記締結部材が、前記第一側面部、前記第二側面部、及び前記重合体を貫通する貫通ネジと、該貫通ネジに螺合するナットと、を有して構成されると共に、前記貫通ネジが前記案内孔内を移動することを特徴とする請求項1又は2に記載の面照明体。
【請求項4】
前記案内孔は、前記枠部材の長手方向に沿って形成された長孔で構成されていることを特徴とする請求項1から3のうち何れか一項に記載の面照明体。
【請求項5】
前記面発光が両面発光であり、
前記導光板の一方及び他方の両面に、それぞれ少なくとも1枚の拡散シートや空間を間に挟んで乳半板が重ね合わされて前記重合体が構成されていることを特徴とする請求項1から4のうち何れか一項に記載の面照明体。
【請求項6】
前記面発光が片面発光であり、
前記導光板の一方の面に拡散シート及び乳半板の少なくとも一方が重ねられ、前記導光板の他方の面に反射シートが重ねられて前記重合体が構成され、
前記反射シートにおける前記導光板とは反対側に、前記反射シートを前記導光板の前記他方の面に押し付ける板部材が重ねられ、該板部材には、前記締結部材を余裕をもって挿通させる挿通孔が形成されていることを特徴とする請求項1から4のうち何れか一項に記載の面照明体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板の入射端面に光源からの光を入射させて面発光する面照明体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、陽画フィルムに描かれた図柄を発光表示させるディスプレイ装置における陽画フィルムの背面照射や、面発光する照明器具として、導光板の入射端面に光源からの光を入射させて面発光する面照明体が使われている。このような用途で使われる面照明体には、可及的高輝度を得るために消費電力の大きなLED光源が搭載されることがある。この場合、光源の点灯時の発熱による温度上昇や消灯時の温度低下等に起因して、合成樹脂製の導光板が膨張・収縮する可能性がある。また、同様の膨張・収縮は、面照明体の設置場所の温度や湿度が変動するときにも生じる可能性がある。このとき、導光板の膨張により導光板の入射端面が光源に近接し、更には入射端面が光源を圧迫するようなことになると、光源の点灯不良や破損を招来する恐れがある。
【0003】
そこで、このような膨張による点灯不良等の影響を回避するために、光源を保持する光源ホルダーを導光板の入射端面の近傍に固定し、導光板が膨張・収縮するときにはこの入射端面と一緒に光源が移動できるように構成された面照明体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の面照明体では、重合基体としてのベース板に、導光体、光拡散板、光源ホルダーから延在する板部分等を重ね合わせた重合体の外周に、断面が略U字状となった額縁が嵌め込まれ、この額縁越しのネジ止めにより上記の重合体が一体化されている。この面照明体では、導光板の入射端面と光源との一体移動により、入射端面と光源との距離の変動を抑えることで、導光板の膨張による光源への影響が抑えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2009−249143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、導光板の膨張・収縮は、入射端面と光源との距離を変動させるだけでなく、ネジ等の締結部材による締結箇所に負荷を掛けることがある。そして、このような負荷が大き過ぎる場合には、締結箇所での導光板の破損等が生じる恐れがある。このため、導光板の膨張・収縮による締結箇所や光源への影響が、総合的に抑えられた面照明体が求められている。
【0006】
本発明の目的は、導光板の膨張・収縮による締結箇所や光源への影響が、総合的に抑えられた面照明体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する請求項1に記載の発明は、導光板の入射端面に光源からの光を入射させて面発光する面照明体であって、前記導光板の表面側に拡散シート及び乳半板の少なくとも一方を重ね合わせた重合体と、前記導光板の前記入射端面を含む前記重合体の端縁に沿って設けられる枠部材と、前記枠部材の長手方向両端部にて前記重合体と前記枠部材とを厚さ方向に締結する締結部材と、を備え、前記枠部材は、前記入射端面に対向するとともに光源が設けられる対向面部と、該対向面部に連続し前記重合体の一方の面に沿って延びる第一側面部と、前記対向面部に連続し前記重合体の他方の面に沿って延びる第二側面部と、を有して断面略U字状に形成され、前記第一側面部及び前記第二側面部には、前記締結部材を挿通させるとともに前記枠部材の長手方向に沿って前記締結部材を案内可能な案内孔が形成されて、前記枠部材の長手方向両端部それぞれの前記締結部材が、前記導光板の膨張・収縮に応じて該導光板の対角方向に斜めに移動し、前記枠部材が、前記締結部材の斜めの移動における、前記入射端面に対する直交方向の成分の移動に応じて該直交方向に移動し、前記枠部材の長手方向両端部それぞれについて、前記案内孔が、前記締結部材の斜めの移動における、前記入射端面に対する平行方向の成分の移動を案内することを特徴とする面照明体となっている。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の面照明体において、前記導光板が、温度変化及び湿度変化のうちの少なくとも一方に応じて膨張・収縮する矩形板であり、前記締結部材が、前記導光板のコーナー近傍に配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の面照明体において、前記締結部材が、前記第一側面部、前記第二側面部、及び前記重合体を貫通する貫通ネジと、該貫通ネジに螺合するナットと、を有して構成されると共に、前記貫通ネジが前記案内孔内を移動することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のうち何れか一項に記載の面照明体において、前記案内孔は、前記枠部材の長手方向に沿って形成された長孔で構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のうち何れか一項に記載の面照明体において、前記面発光が両面発光であり、前記導光板の一方及び他方の両面に、それぞれ少なくとも1枚の拡散シートや空間を間に挟んで乳半板が重ね合わされて前記重合体が構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から4のうち何れか一項に記載の面照明体において、前記面発光が片面発光であり、前記導光板の一方の面に拡散シート及び乳半板の少なくとも一方が重ねられ、前記導光板の他方の面に反射シートが重ねられて前記重合体が構成され、前記反射シートにおける前記導光板とは反対側に、前記反射シートを前記導光板の前記他方の面に押し付ける板部材が重ねられ、該板部材には、前記締結部材を余裕をもって挿通させる挿通孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、枠部材が導光板の入射端面を含む重合体の端縁に設けられている。このため、導光板の膨張・収縮における入射端面に直交する直交成分については、枠部材が導光板の入射端面とその直交方向に一緒に動けるので、締結箇所への負荷が抑えられる。また、請求項1に記載の発明によれば、案内孔によって締結部材を枠部材の長手方向に沿って案内することで、導光板の膨張・収縮による導光板と枠部材との相対変位を吸収することができる。これにより、導光板の膨張・収縮における入射端面に沿った平行成分についても、締結箇所への負荷が抑えられる。さらに、請求項1に記載の発明によれば、膨張・収縮の直交成分に追随して枠部材が動けることから、その枠部材の対向面部に設けた光源と導光板の入射端面との距離の変動を抑えることができる。その結果、光源の破損を防止するとともに、安定した入射光により発光状態を良好に維持することができる。このように、請求項1に記載の発明によれば、導光板の膨張・収縮による締結箇所や光源への影響が、総合的に抑えられた面照明体を得ることができる。また、請求項1に記載の発明によれば、上述した特許文献1に記載の面照明体に設けられているベース板が不要にできることから、構造の簡素化、薄型化を促進させることができる。
【0014】
また、請求項1,2に記載の発明によれば、導光板のコーナー近傍に配置された締結部材の斜めの移動における、入射端面に対する直交方向及び平行方向の両成分それぞれについて、締結箇所や光源への影響を確実に抑えることができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、貫通ネジとナットとの螺合により重合体と枠部材とを簡単確実に締結することができる。また、貫通ネジの案内孔内の移動により、締結箇所への負荷を確実に抑えることができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明によれば、長孔で構成された案内孔の長手方向に直交する方向への締結部材の移動が規制される。これにより、導光板の膨張・収縮における入射端面に対する直交成分への枠部材(即ち、光源)の追随性が向上する。その結果、光源と導光板の入射端面との距離の変動を一層抑えることができので、導光板の膨張・収縮による光源への影響を一層抑えることができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば、導光板との間に拡散シートや空間を挟んで乳半板も重ね合わせた重合体が締結部材でまとめて締結、一体化される。これにより、汎用性の高い乳色光を発する面照明体を得ることができる。また、両面発光の場合において、導光板の両面に拡散シートや空間が配されることで、例えば、面照明体の両面に陽画フィルムを重ねてその図柄を発光表示する際に、一方の発光表示への他方の発光表示からの裏写りが軽減される。
【0018】
また、請求項6に記載の発明によれば、板部材によって反射シートのばたつきが防止される。そして、締結部材が板部材の挿通孔を余裕をもって挿通することで、例えば、導光板とは膨張が異なるアルミニウム板等で板部材を形成したとしても導光板と板部材との相対変位を吸収して締結箇所への負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第一実施形態にかかる面照明体を発光面側から見た正面図である。
図2図1中のA−A断面を示す断面図である。
図3図1及び図2に示されている面照明体における重合体及び枠部材の部分的な分解斜視図である。
図4】導光板の膨張・収縮に伴う、その導光板のコーナー近傍の移動の様子を模式的に示す図である。
図5】本発明の第二実施形態にかかる面照明体を発光面側から見た正面図である。
図6図5中のB−B断面を示す断面図である。
図7図5及び図6に示されている面照明体における重合体及び枠部材の部分的な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第一実施形態にかかる面照明体を、図1図4を参照して説明する。図1は、本発明の第一実施形態にかかる面照明体を発光面側から見た正面図である。図2は、図1中のA−A断面を示す断面図である。図3は、図1及び図2に示されている面照明体における重合体及び枠部材の部分的な分解斜視図である。図4は、導光板の膨張・収縮に伴う、その導光板のコーナー近傍の移動の様子を模式的に示す図である。
【0021】
図1に示されている面照明体1は、乳色光で両面発光する矩形板状の照明体である。この面照明体1は、LEDユニット11と、重合体12と、重合体12の図中上下の端縁12aそれぞれに沿って設けられる一対の枠部材13と、重合体12と枠部材13とを締結する締結部材14と、を備えている。
【0022】
LEDユニット11は、図2に示されているように基板111上に光源としてのLED112が搭載されたものである。基板111は、重合体12の端縁12aに沿って延びる帯板状の基板であり、LED112は、重合体12の端縁12aに光の出射口を向けて、その端縁12aに沿って一列に配列されている。
【0023】
重合体12は、図2及び図3に示されているように、重合基体としての導光板121と、拡散シート122と、乳半板123と、が重ね合わされたものである。本実施形態では、導光板121の一方及び他方の両面に、それぞれ2枚の拡散シート122を間に挟んで乳半板123が重ねられて重合体12が構成されている。
【0024】
導光板121は、重合基体としての剛性を有する例えばアクリル樹脂等の合成樹脂で形成された矩形板である。本実施形態では、この導光板121は、厚みが約5mmの板となっている。そして、本実施形態では、この導光板121における対向一対の端縁それぞれが、LED112から光が入射される入射端面121aとなっている。また、導光板121におけるコーナー近傍の4箇所には、貫通孔121bが設けられている。
【0025】
拡散シート122は、例えばポリエステル系の合成樹脂で形成され、厚みが約0.2mmで、光拡散機能を有する透明乃至半透明の矩形シートとなっている。この拡散シート122のコーナー近傍には、図3に示されているように、導光板121の貫通孔121bと連通する貫通孔122aが設けられている。
【0026】
乳半板123は、例えばアクリル樹脂等の合成樹脂で形成された、厚みが約2mmで、乳白色半透明の矩形板となっている。この乳半板123のコーナー近傍にも、図3に示されているように、導光板121の貫通孔121bと連通する貫通孔123aが設けられている。
【0027】
枠部材13は、導光板121の入射端面121aを含む重合体12の端縁12aに沿って設けられる。この枠部材13は、対向面部131と、第一側面部132と、第二側面部133と、を有している。対向面部131は、入射端面121aに対向するとともにLEDユニット11が設けられる。第一側面部132は、対向面部131に連続して重合体12の一方の面に沿って延び、第二側面部133は、対向面部131に連続して重合体12の他方の面に沿って延びている。これら3つの面部を有する枠部材13は、その断面形状が略U字状に形成されている。
【0028】
締結部材14は、図2に示されているように、枠部材13の長手方向両端部にて重合体12と枠部材13とを厚さ方向に締結する。この締結部材14は、貫通ネジ141とナット142と、を有して構成される。尚、本実施形態では、図2及び図3に示されているように、枠部材13の第一側面部132と重合体12の一方の面との間、及び、枠部材13の第二側面部133と重合体12の他方の面との間に、厚みが約1mmのスペーサ15が1枚ずつ配されている。スペーサ15のコーナー近傍にも、図3に示されているように、導光板121の貫通孔121bと連通する貫通孔15aが設けられている。
【0029】
導光板121の貫通孔121b、拡散シート122の貫通孔122a、乳半板123の貫通孔123a、及びスペーサ15の貫通孔15aは、いずれも貫通ネジ141の径よりも若干大径の円形孔となっている。
【0030】
ここで、枠部材13の第一側面部132及び第二側面部133には、締結部材14における貫通ネジ141を挿通させるとともに、枠部材13の長手方向に沿って貫通ネジ141を案内可能な案内孔134が形成されている。この案内孔134は、図1及び図3に示されているように、枠部材13の長手方向に沿って形成された長孔で構成されている。
【0031】
貫通ネジ141は、第一側面部132の案内孔134、第二側面部133の案内孔134、導光板121の貫通孔121b、拡散シート122の貫通孔122a、乳半板123の貫通孔123a、及びスペーサ15の貫通孔15aを貫通する。そして、この貫通ネジ141にナット142が螺合することで重合体12と枠部材13とが間にスペーサ15を挟んで厚さ方向に締結される。
【0032】
アクリル樹脂等の合成樹脂で形成された導光板121は、温度変化や湿度変化によって膨張・収縮することがある。例えば、導光板121がアクリル樹脂で形成されているとした場合、導光板121の温度変化10℃ごとに、1000mmあたり0.7mm程度、膨張・収縮することがある。また、湿度が上昇したときには、吸水により、1000mmあたり最大で2mm程度、膨張することがある。
【0033】
仮に、夏場に面照明体1が曝される温度を60℃、冬場に面照明体1が曝される温度を−10℃とし、両者間の温度変化を70℃とする。さらに、導光板121の平面視形状を、横サイズが2000mmで縦サイズが600mmの長方形とする。
【0034】
この場合、導光板121は、夏場と冬場との温度変化により、縦方向には、0.7mm×(600mm÷1000mm)×(70℃÷10℃)=2.94mm程度に膨張・収縮することがある。また、湿度上昇による縦方向の膨張は、最大で2mm×(600mm÷1000mm)=1.2mm程度となることがある。つまり、導光板121は、温度変化及び湿度変化により、合計で2.94mm+1.2mm=4.14mm程度縦方向に膨張・収縮することがある。導光板121の膨張・収縮が、縦方向に均等に生じるとすると、導光板121の対向一対の入射端面121aそれぞれの近傍では、4.14mm÷2=2.07mm程度縦方向に膨張・収縮することがある。
【0035】
図4には、このような導光板121の膨張・収縮に伴う、その導光板121のコーナー近傍の移動の様子が模式的に示されている。図4(a)には膨張前(又は、収縮後)のコーナー近傍が示され、図4(b)には膨張後(又は、収縮前)のコーナー近傍が示されている。図4に示されているように、導光板121が膨張・収縮するときには、導光板121のコーナー近傍は対角方向D1に斜めに移動する。その結果、そのコーナー近傍に配置されている締結部材14(貫通ネジ141及びナット142)も、導光板121のコーナー近傍と一緒に対角方向D1に斜めに移動する。
【0036】
本実施形態の面照明体1では、枠部材13が導光板121の入射端面121aを含む重合体12の端縁12aに設けられている。このため、導光板121の膨張・収縮に伴う締結部材14の斜めの移動における、入射端面121aに直交する直交方向D1−1の成分(即ち、上記のような縦方向の膨張・収縮による移動)については、枠部材13が導光板121の入射端面121a(即ち、締結部材14)とその直交方向D1−1に一緒に動くこととなる。その結果、導光板121の膨張・収縮に伴う締結部材14の直交方向D1−1の移動について、締結部材14による締結箇所への負荷が抑えられる。
【0037】
一方、導光板121は、夏場と冬場との温度変化により、横方向には、0.7mm×(2000mm÷1000mm)×(70℃÷10℃)=9.8mm程度に膨張・収縮することがある。また、湿度上昇による横方向の膨張は、最大で2mm×(2000mm÷1000mm)=4mm程度となることがある。つまり、導光板121は、温度変化及び湿度変化により、合計で9.8mm+4mm=13.8mm程度横方向に膨張・収縮することがある。導光板121の膨張・収縮が、横方向に均等に生じるとすると、導光板121の左右一対の端面それぞれの近傍では、13.8mm÷2=6.9mm程度横方向に膨張・収縮することがある。
【0038】
本実施形態の面照明体1では、上記の案内孔134によって締結部材14(即ち、貫通ネジ141及びナット142)を枠部材13の長手方向(即ち、横方向)に沿って案内することで、導光板121の膨張・収縮による導光板121と枠部材13との相対変位を吸収することができる。これにより、導光板121の膨張・収縮に伴う締結部材14の移動における、入射端面121aに沿った平行方向D1−2の成分(即ち、上記のような横方向の膨張・収縮)についても、締結箇所への負荷が抑えられる。
【0039】
ここで、導光板121の左右一対の端面それぞれの近傍における横方向の膨張・収縮が、上記のように6.9mm程度であるとすると、このような横方向の膨張・収縮に伴う貫通ネジ141の横方向の移動量も6.9mm程度となる。貫通ネジ141の外径を4.5mmとすると、横方向に延びる長孔で構成された上記の案内孔134の長手方向の長さを、6.9mm+4.5mm=11.4mm程度とすることで、横方向に上記のように移動する貫通ネジ141を十分案内可能となる。
【0040】
さらに、本実施形態の面照明体1では、上記のように膨張・収縮の直交成分に追随して枠部材13が動けることから、その枠部材13の対向面部131に設けたLEDユニット11のLED111と導光板121の入射端面121aとの距離の変動を抑えることができる。その結果、LED111の破損を防止するとともに、安定した入射光により発光状態を良好に維持することができる。
【0041】
以上に説明したように、本実施形態の面照明体1は、導光板121の膨張・収縮による締結箇所やLED111への影響が、総合的に抑えられた面照明体となっている。また、本実施形態の面照明体1では、上述した特許文献1に記載の面照明体に設けられているベース板が不要となっており、その文、構造の簡素化、薄型化が促進されている。
【0042】
また、本実施形態の面照明体1では、導光板121の膨張・収縮に応じて締結部材14が対角方向D1に斜めに移動する。このとき、入射端面121aに対する直交方向D1−1の成分の移動については、枠部材13がその直交方向D1−1することで締結箇所への負荷が確実に抑えられる。また、平行方向D1−2の成分の移動については、案内孔134が、その平行方向D1−2への締結部材14の移動を案内することで締結箇所への負荷が確実に抑えられる。
【0043】
また、本実施形態の面照明体1では、貫通ネジ141とナット142との螺合により重合体12と枠部材13とを簡単確実に締結することができる。そして、貫通ネジ141の案内孔134内の移動により、締結箇所への負荷を確実に抑えることができる。
【0044】
また、本実施形態の面照明体1では、上述したように枠部材13の第一側面部132及び第二側面部133それぞれの案内孔134が、枠部材13の長手方向に沿って形成された長孔で構成されている。これにより、案内孔134の長手方向に直交する方向への貫通ネジ141の移動が規制される。これにより、導光板121の膨張・収縮における入射端面121aに対する直交成分への枠部材13(即ち、LED112)の追随性が向上する。その結果、LED112と導光板121の入射端面121aとの距離の変動を一層抑えることができので、導光板121の膨張・収縮によるLED112への影響を一層抑えることができる。
【0045】
また、本実施形態の面照明体1によれば、導光板121との間に拡散シート122を挟んで乳半板123も重ね合わせた重合体12が締結部材14でまとめて締結、一体化される。これにより、汎用性の高い乳色光を発する面照明体1を得ることができる。また、導光板121の両面に拡散シート122が配されることで、例えば、面照明体1の両面に陽画フィルムを重ねてその図柄を発光表示する際に、一方の発光表示への他方の発光表示からの裏写りが軽減される。
【0046】
尚、上記の拡散シート122に替えて、この拡散シート122の部分にプラスして、導光板121と乳半板123との間の空間(即ち、隙間)を設けてもよい。このような方策によっても、上記のような裏写りが軽減される。
【0047】
次に、本発明の第二実施形態にかかる面照明体を、図5図7を参照して説明する。図5は、本発明の第二実施形態にかかる面照明体を発光面側から見た正面図である。図6は、図5中のB−B断面を示す断面図である。図7は、図5及び図6に示されている面照明体における重合体及び枠部材の部分的な分解斜視図である。
【0048】
図5に示されている面照明体3は、乳色光で片面発光する矩形板状の照明体である。この面照明体3は、LEDユニット31と、重合体32と、重合体32の図中上側の端縁32aに沿って設けられる枠部材33と、重合体32と枠部材33とを締結する締結部材34と、を備えている。
【0049】
LEDユニット31は、図6に示されているように基板311上に光源としてのLED312が搭載されたものである。
【0050】
本実施形態の重合体32は、図6及び図7に示されているように、まず、第一実施形態における導光板121、拡散シート122、及び乳半板123と同等な、導光板321、拡散シート322、及び乳半板323を有している。本実施形態の重合体32では、導光板321の一方の面に拡散シート122が1枚重ねられ、拡散シート122に乳半板323が重ねられる。この重合体32における乳半板323側が、重合体32の発光面、即ち面照明体3の発光面となる。
【0051】
尚、本実施形態では、片面発光の重合体の一例として、導光板321の一方の面に1枚の拡散シート122と乳半板323とが重ねられた形態が例示されている。しかしながら、片面発光の重合体はこのような形態に限るものではなく、例えば導光板の一方の面に拡散シートもしくは乳半板が重ねられた形態であってもよい。
【0052】
一方、導光板321の他方の面には反射シート324が1枚重ねられている。反射シート324は、例えばポリエステル系の合成樹脂で形成され、厚みが約0.2mmで、高反射率を有する白色の矩形シートとなっている。導光板321の入射端面321aに入射された光は、反射シート324で反射されつつ導光板321の内部を進行する。これにより、重合体32における上記の発光面が発光することとなる。また、反射シート324における導光板321とは反対側に、反射シート324を導光板321の上記の他方の面に押し付ける板部材としてのアルミニウム板325が重ねられる。反射シート324は、アルミニウム板325に糊付けによって貼付されている。
【0053】
導光板321における入射端面321a側の2つのコーナー近傍の2箇所には、貫通孔321bが設けられている。拡散シート322には導光板321の貫通孔321bに連通する貫通孔322aが設けられ、乳半板323にも同様の貫通孔323aが設けられている。また、反射シート324にも導光板321の貫通孔321bに連通する貫通孔324aが設けられている。他方、アルミニウム板325には、後述するようにこれらの貫通孔よりも大径の大径貫通孔325aが設けられている。
【0054】
枠部材33は、第一実施形態における枠部材13と同様に、対向面部331と、第一側面部332と、第二側面部333と、を有し、その断面形状が略U字状に形成されている。対向面部331には、入射端面321aに対向するとともにLEDユニット11が設けられ、第一側面部332は、対向面部331に連続して重合体12の発光面に沿って延び、第二側面部133は、対向面部331に連続して重合体12の裏面に沿って延びている。
【0055】
締結部材34は、第一実施形態の締結部材14と同様に、貫通ネジ341とナット342と、を有して構成される。また、本実施形態では、図6及び図7に示されているように、枠部材33の第一側面部332と重合体33の一方の面との間に、厚みが約1mmのスペーサ35が1枚配されている。スペーサ35のコーナー近傍にも、図7に示されているように、導光板321の貫通孔321bと連通する貫通孔35aが設けられている。
【0056】
導光板321の貫通孔321b、拡散シート322の貫通孔322a、乳半板323の貫通孔323a、及びスペーサ35の貫通孔35aは、いずれも貫通ネジ341の径よりも若干大径の円形孔となっている。また、アルミニウム板325の大径貫通孔325aは、これらの貫通孔よりも大径、即ち、貫通ネジ341の径に対して余裕を持った大径の円形孔であり、貫通ネジ341を余裕をもって挿通させる挿通孔となっている。
【0057】
そして、枠部材33の第一側面部332及び第二側面部333には、図5及び図7に示されているように、第一実施形態の案内孔14と同様の長孔で構成された案内孔334が形成されている。貫通ネジ341は、第一側面部332の案内孔334、第二側面部333の案内孔334、導光板321の貫通孔321b、拡散シート322の貫通孔322a、乳半板323の貫通孔323a、反射シート324の貫通孔324a、アルミニウム板325の大径貫通孔325a、及びスペーサ35の貫通孔35aを貫通する。そして、この貫通ネジ341にナット342が螺合することで重合体32と枠部材33とが間にスペーサ35を挟んで厚さ方向に締結される。
【0058】
以上に説明した第二実施形態の面照明体3も、第一実施形態の面照明体1と同様に、導光板321の膨張・収縮による締結箇所やLED312への影響が、総合的に抑えられた面照明体となっていることはいうまでもない。また、導光板321が重合体32の重合基体となっていることからベース板が不要で、構造の簡素化、薄型化を促進させることができる点、貫通ネジ341とナット342との螺合により重合体32と枠部材33とを簡単確実に締結することができる点も、第一実施形態の面照明体1と同様である。また、案内孔334による、その直交方向への貫通ネジ341の移動規制により、導光板321の膨張・収縮における入射端面321aに対する直交成分への枠部材33(即ち、LED312)の追随性が向上し、導光板321の膨張・収縮によるLED312への影響を一層抑えることができる点も、第一実施形態の面照明体1と同様である。そして、第二実施形態の面照明体3では、導光板321、拡散シート322、乳半板323、反射シート324、及びアルミニウム板325を重ね合わせた重合体32が締結部材34でまとめて締結、一体化される。これにより、第二実施形態の面照明体3は、汎用性の高い乳色光を発する片面発光の面照明体に構成されている。
【0059】
また、第二実施形態の面照明体3では、貫通ネジ341がアルミニウム板325の大径貫通孔325aを余裕をもって挿通することで、導光板321とは膨張が異なるアルミニウム板325と、その導光板321の相対変位を吸収して締結箇所への負荷を軽減することができる。
【0060】
本実施形態では、アルミニウム板325の大径貫通孔325aの径は、長孔で構成された案内孔334の長手方向の長さと同じ長さとなっている。上述した第一実施形態の案内孔134について説明した数値例と同様に、本実施形態の案内孔334の長手方向の長さを11.4mm程度とすると、アルミニウム板325の大径貫通孔325aの径も同様に11.4mm程度となる。これにより、導光板321の膨張・収縮に伴って貫通ネジ341がアルミニウム板325に対して如何なる方向に相対的に動いたとしても、貫通ネジ341の動きは大径貫通孔325aの内側に収まる。その結果、導光板321のアルミニウム板325に対する相対変位が吸収されることとなる。
【0061】
尚、上述した2つの実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これらに限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の面照明体の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0062】
例えば、上述した2つの実施形態では、導光板等の各構成要素の厚みや材質についての具体的な寸法や材質、及び案内孔等についての具体的な寸法が例示されている。しかしながら、本発明の面照明体における各構成要素の寸法や材質や案内孔等の寸法は、これらに限るものではなく、材質や寸法は適宜に変更し得る。
【0063】
また、上述した2つの実施形態では、本発明にいう光源の一例として、導光板の入射端面に沿って1列に配列された光源(LED)が例示されている。しかしながら、本発明にいう光源はこれに限るものではなく、例えば、導光板の厚み方向に、入射端面に沿って複数列に配列されたものであってもよい。
【0064】
また、上述した第一実施形態では、本発明にいう面照明体の一例として、矩形板形状の導光板における対向一対の端縁それぞれを光源からの光の入射端面とした両面発光の面照明体1、2が例示されている。また、上述した第二実施形態では、本発明にいう面照明体の一例として、矩形板形状の導光板における1つの端縁を光源からの光の入射端面とした片面発光の面照明体3、4が例示されている。しかしながら、本発明にいう面照明体は、このような形態に限るものではなく、導光板における1つの端縁を光源からの光の入射端面とした両面発光の面照明体であってもよく、導光板における対向一対の端縁それぞれを光源からの光の入射端面とした片面発光の面照明体であってもよい。
【0065】
また、上述した2つの実施形態では、本発明にいう案内孔の一例として、長孔で構成された案内孔134、334が例示されている。しかしながら、本発明にいう案内孔は、これに限るものではなく、締結部材を挿通させるとともに枠部材の長手方向に沿って締結部材な孔であれば、例えば楕円孔等といった長孔以外の形状であってもよくその具体的な形状を問うものではない。
【0066】
また、上述した2つの実施形態では、本発明にいう締結部材の一例として、貫通ネジとナットを有して構成される締結部材14、34が例示されている。しかしながら、本発明にいう締結部材はこれらに限るものではなく、重合体と枠部材とを厚さ方向に締結するものであれば、例えばリベット等といったネジを使わずに構成されるものであってもよくその具体的な構成を問うものではない。
【符号の説明】
【0067】
1,3 面照明体
11,31 LEDユニット
12,32 重合体
12a,32a 端縁
13,33 枠部材
14,34 締結部材
15,35 スペーサ
111,311 基板
112,312 LED(光源)
121,321 導光板
121a,321a 入射端面
121b,122a,123a,15a,321b,322a,323a,324a,35a 貫通孔
122,322 拡散シート
123,323 乳半板
131,331 対向面部
132,332 第一側面部
133,333 第二側面部
134,334 案内孔
141,341 貫通ネジ
142,342 ナット
324 反射シート
325 アルミニウム板(板部材)
325a 大径貫通孔(挿通孔)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7