【実施例】
【0050】
以下、具体的な実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いられているガスクロマトグラフィーの分析条件は次の通りである。
カラム:GLサイエンス社製Silicone OV−17 長さ:2m
温度条件:80℃で2分間保持した後、毎分10℃の割合で200℃まで昇温した。
インジェクションおよびディテクター温度 220℃
キャリヤーガス: 窒素
検出: FID
【0051】
NMRスペクトルは、日本電子社製、JNM−ECS 400MHzを用いて測定した。
また、IRスペクトルは、日本分光社製、FT/IR−400 Plusを用いて測定した。
【0052】
実施例1
4−ヘキシルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(4)(以下、IPDL−C6と略する)の製造
【化4】
イソプレノール86.1g(1モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液152.9g(1.83モル)テトラブチルアンモニウムブロミド6.45g(0.02モル)の混合液に、60〜70℃で1−n−ヘキシルブロミド137g(1モル)を1時間かけて滴下し、さらに80℃で7時間撹拌した。室温に冷却後静置し、反応液を上層と下層に分液した。上層を水50gで3回水洗し、粗生成物209gを得た。これをクライゼン単蒸留で蒸留精製(沸点:96℃、2.75kPa)し、4−ヘキシルオキシ−2−メチル−1−ブテン110.57gを得た。この化合物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.9%であった。
【0053】
得られた4−ヘキシルオキシ−2−メチル−1−ブテン102.2g(0.6モル)、タングステン酸3.75g(15ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド3.64g(9ミリモル)、85%リン酸水溶液5.4g(47ミリモル)の混合液に、41〜46℃の温度で、35%過酸化水素水76.2g(0.78モル)を3時間かけて滴下し、さらに2時間50℃で撹拌を続けた。反応混合物を、室温に冷却後、亜硫酸ナトリウム10.7gとトルエン128gを加えて静置した。2層に分離した反応混合物を上層と下層に分液した後、上層を20%水酸化ナトリウム水溶液50gで洗浄し、さらに水50gで2回洗浄後、ロータリーエバポレーターで溶剤を減圧留去し、粗生成物121.03gを得た。
この粗生成物を直径2.5cm、高さ15cmのスルーザー塔で蒸留精製を行い、4−ヘキシルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C6)54.4gを得た。この一部をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度97.0%であることが判った。
沸点:134℃/0.47kPa
1H−NMR:(400 MHz, CDCl
3) δ (ppm) : 0.83 (3H, t, J=7.1 Hz), 1.16 (3H, s), 1.20-1.29 (6H, m), 1.51-1.58 (2H, m), 1.60-1.69 (1H, m), 1.73 (1H, brs), 1.86-1.93 (1H, m), 2.92 (1H, brs), 3.22-3.61 (6H, m)
IR(KBr板液膜法)cm
−1:3406, 2925, 2857, 1465, 1377, 1107, 1054
【0054】
実施例2
4−n−ヘキシルオキシ−2−メチル−2,3−ブタンジオール(5)(以下PNDL−C6と略す)の製造例
【化5】
プレノール86.1g(1モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液165.1g(1.5モル)テトラブチルアンモニウムブロミド6.45g(0.02モル)の混合液に、60〜70℃で1−n−ヘキシルブロミド137g(1モル)を1.5時間かけて滴下し、さらに80℃で7時間撹拌した。室温に冷却後静置し、反応液を上層と下層に分液した。上層を水50gで3回水洗し、粗生成物212gを得た。これをクライゼン単蒸留で蒸留精製(沸点:100℃、2.79kPa)し、4−n−ヘキシルオキシ−2−メチル−2−ブテン119.5gを得た。この化合物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.9%であった。
【0055】
得られた4−n−ヘキシルオキシ−2−メチル−2−ブテン110.7g(0.65モル)、タングステン酸4.06g(16.3ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド3.13g(10ミリモル)、85%リン酸水溶液5.8g(50ミリモル)の混合液に、42〜50℃の温度で、35%過酸化水素水76.2g(0.78モル)を2時間かけて滴下し、さらに6時間50℃で撹拌を続けた。反応混合物を、室温に冷却後、亜硫酸ナトリウム10.7gとトルエン124gを加えて静置した。2層に分離した反応混合物を上層と下層に分液した後、上層を20%水酸化ナトリウム水溶液50gで洗浄し、さらに水50gで2回洗浄後、ロータリーエバポレーターで溶剤を減圧留去し、粗生成物127.7gを得た。
この粗生成物を直径2.5cm、高さ15cmのスルーザー塔で蒸留精製を行い、4−ヘキシルオキシ−2−メチル−2,3−ブタンジオール(PNDL−C6)67.85gを得た。この一部をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度98.9%であることが判った。
沸点:123℃/0.61kPa
1H−NMR (400 MHz, CDCl
3) δ (ppm) : 0.90 (3H, t, J=7.3 Hz), 1.19 (3H, s), 1.23 (3H, s), 1.28-1.42 (6H, m), 1.51-1.60 (3H, m), 3.41-3.59 (5H, m)
IR(KBr板液膜法)cm
−1:3407, 2927, 2858, 1466, 1376, 1107, 1054
【0056】
実施例3
4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(6)(以下、IPDL−COC5と略する)の製造
【化6】
イソプレノール86.1g(1モル)とトリエチルアミン112.5g(1.11モル)、テトラヒドロフラン371.8gの混合液に温度10〜13℃で、n−ヘキサノイルクロリド134g(1モル)をゆっくり滴下した。滴下終了後2時間撹拌し、次いで水206gおよびヘキサン96gを加えて分液した。分離した上層を水50gで2回洗浄後、エバポレーターで減圧下に溶剤を加熱留去し、粗生成物221.2gを得た。この粗生成物をクライゼン蒸留装置で蒸留精製し、4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1−ブテン179.77gを得た。この物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.7%であることが判った。
【0057】
得られた4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1−ブテン92.2g(0.5モル)、タングステン酸3.13g(12.5ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド3.13g(10ミリモル)、85%リン酸水溶液2.0g(17ミリモル)の混合液に、50〜52℃の温度で、35%過酸化水素水75.0g(0.75モル)を1時間かけて滴下し、さらに4.5時間52℃で撹拌を続けた。室温に冷却後静置して上層と下層に分液した後、上層を水50gで洗浄後、10%亜硫酸ナトリウム水溶液50g、さらに水50gで洗浄後、ロータリーエバポレーターで溶剤を除去し、粗生成物125gを得た。この粗生成物を直径2.5cm、高さ15cmのスルーザー塔で蒸留精製を行い、4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−COC5)41.3gを得た。この一部をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度96.0%であることが判った。
沸点:140℃/0.1kPa
1H−NMR:(400 MHz, CDCl
3) δ (ppm) : 0.85 (3H, t, J=7.2 Hz), 1.17 (3H, s), 1.24-1.28 (4H, m), 1.52-1.90 (4H, m), 2.23-2.34 (2H, m), 2.65 (1H, brs), 3.37-3.45 (2H, m), 4.21 (2H, t, J=6.7 Hz)
IR(KBr板液膜法)cm
−1:3421, 2958, 2872, 1737, 1465, 1379, 1175, 1056
【0058】
実施例4
4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(6)(以下、IPDL−COC5と略する)の製造
【化7】
イソプレノール202.2g(2.35モル)とn−ヘキサン酸232.2g(2モル)を温度150〜153℃に加熱し、留出してきた水を除去しながら11時間撹拌した。室温に冷却後、10%炭酸ナトリウム水溶液220gで洗浄し、さらに水50gで2回水洗することにより、4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1−ブテンの粗生成物329.8gを得た。
この粗生成物をクライゼン単蒸留装置で蒸留精製し、4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1−ブテン259.5gを得た。これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.5%であることが判った。
得られた4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1−ブテン49.2g(0.27モル)、35%過酸化水素水36.6g(0.38モル)、タングステン酸1.67g(6.7ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド1.67g(5.3ミリモル)、85%リン酸水溶液1.1g(10ミリモル)を用いて実施例2に記載の方法と同様にして酸化反応を行い、さらに蒸留で精製することにより4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−COC5)35.6gを得た。この物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度97.0%であることが判った。
沸点:140℃/0.1kPa
1H−NMR:(400 MHz, CDCl
3) δ (ppm) : 0.85 (3H, t, J=7.2 Hz), 1.17 (3H, s), 1.24-1.28 (4H, m), 1.52-1.90 (4H, m), 2.23-2.34 (2H, m), 2.65 (1H, brs), 3.37-3.45 (2H, m), 4.21 (2H, t, J=6.7 Hz)
IR(KBr板液膜法)cm
−1:3421, 2958, 2872, 1737, 1465, 1379, 1175, 1056
【0059】
実施例5
4−n−オクチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(7)(以下、IPDL−C8と略する)の製造
【化8】
実施例1と同じ方法で、出発原料としてイソプレノール103.2g(1.2モル)、1−n−オクチルブロミド154.5g(0.8モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液125g(1.5モル)、テトラブチルアンモニウムブロミド6.45g(0.02モル)から、4−n−オクチルオキシ−2−メチル−1−ブテンの粗生成物174.74gを得た。これをクライゼン単蒸留装置で蒸留精製(沸点:72℃、0.07kPa)し、4−n−オクチルオキシ−2−メチル−1−ブテン113.6gを得た。これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.5%であった。
【0060】
次いで、実施例1と同様にして、得られた4−n−オクチルオキシ−2−メチル−1−ブテン83.8g(0.42モル)、35%過酸化水素水61.2g(0.63モル)、タングステン酸2.63g(10ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド3.39g(8ミリモル)、85%リン酸水溶液1.82g(16ミリモル)を用い、4−n−オクチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオールの粗生成物110gを得た。これをヘキサン/酢酸エチル混液を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル300g、富士シリシア化学(株)製BW−820H)で精製し、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)でRf=0.5を示す画分を減圧濃縮することにより、4−n−オクチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C8)24.0gを得た。これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度98.9%であることが判った。
1H−NMR:(400 MHz, CDCl
3) δ (ppm) : 0.83 (3H, t, J=7.1 Hz), 1.16 (3H, s), 1.20-1.29 (10H, m), 1.50-1.58 (2H, m), 1.60-1.68 (1H, m), 1.73 (1H, brs), 1.87-1.93 (1H, m), 2.93 (1H, brs), 3.32-3.71 (6H, m)
IR(KBr板液膜法)cm
−1:3407, 2927, 2857, 1466, 1377, 1107, 1054
【0061】
実施例6
4−n−ブチルオキシ−2−メチル−2,3−ブタンジオール(8)(以下PNDL−C4と略す)の製造例
【化9】
実施例1と同様にして、プレノール86.1g(1モル)、1−n−ブロモブタン137g(1モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液122.4g(1.5モル)、およびテトラブチルアンモニウムブロミド6.45g(0.02モル)を用い、4−n−ブチルオキシ−2−メチル−2−ブテン120g(純度96.1%、沸点63℃/2.4kPa)を得た。
【0062】
得られた4−n−ブチルオキシ−2−メチル−2−ブテン49.8g(0.35モル)、35%過酸化水素水40.8g(0.42モル)、タングステン酸2.0g(8ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド2.0g(5ミリモル)、85%リン酸水溶液3g(26ミリモル)を用い、実施例1に記載の方法で酸化反応を行い、さらに減圧蒸留で精製することにより、4−n−ブチルオキシ−2−メチル−2,3−ブタンジオール(PNDL−C4)24.1gを得た。この物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.8%であった。
沸点:98℃/0.43kPa
1H−NMR (400 MHz, CDCl
3) δ (ppm) : 0.90 (3H, t, J=7.3 Hz), 1.19 (3H, s), 1.23 (3H, s), 1.30-1.40 (2H, m), 1.52-1.59 (3H, m), 3.40-3.59 (5H, m)
IR(KBr板液膜法)cm
−1:3407, 2926, 2856, 1465, 1376, 1108, 1054
【0063】
実施例7
4−n−ブチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(9)(以下、IPDL−C4と略する)の製造
【化10】
実施例1と同様にして、イソプレノール86.1g(1モル)、1−n−ブロモブタン137g(1モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液125g(1.5モル)、テトラブチルアンモニウムブロミド6.45g(0.02モル)を用い、4−n−ブチルオキシ−2−メチル−1−ブテン97g(純度95.0%、沸点59℃/2.7kPa)を得た。
【0064】
得られた4−n−ブチルオキシ−2−メチル−1−ブテン42.7g(0.3モル)、35%過酸化水素水37.9g(0.39モル)、タングステン酸2.0g(8ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド2.43g(6ミリモル)、85%リン酸水溶液3g(26ミリモル)を用い、実施例1に記載の方法で酸化反応を行い、さらに減圧蒸留で精製することにより、4−n−ブチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C4)24.1gを得た。この物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度97.1%であった。
沸点:115℃/0.56kPa
1H−NMR:(400 MHz, CDCl
3) δ (ppm) : 0.89 (3H, t, J=7.3 Hz), 1.16 (3H, s), 1.31-1.37 (2H, m), 1.52-1.94 (4H, m), 2.90 (1H, br s), 3.35-3.45 (5H, m), 3.52-3.56 (1H, m), 3.63-3.67 (1H, m)
IR(KBr板液膜法)cm
−1:3406, 2927, 2857, 1465, 1377, 1107, 1054
【0065】
実施例8
4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(10)(以下、IPDL−C9と略する)の製造
【化11】
実施例1と同様にして、イソプレノール86.1g、1−n−ブロモノナン207.2g、48%水酸化ナトリウム水溶液125g(1.5モル)とテトラブチルアンモニウムブロミド6.45g(0.02モル)を用い、4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1−ブテン134.8g(純度99.3%、沸点95℃/0.18kPa)を得た。
【0066】
得られた4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1−ブテン30g、35%過酸化水素水24g(0.25モル)、タングステン酸1.0g(4ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド1.3g(3ミリモル)、85%リン酸水溶液1.44g(13ミリモル)を用い、実施例1記載の方法で酸化反応を行い、得られた反応混合物を、ヘキサン/酢酸エチル混液を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル300g、富士シリシア化学(株)製BW−820H)で精製し、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)でRf=0.5を示す画分を減圧濃縮することにより、4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C9)20gを得た。これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.1%であることが判った。
1H−NMR:(400 MHz, CDCl
3) δ (ppm) : 0.83 (3H, t, J=7.1 Hz), 1.16 (3H, s), 1.18-1.30 (12H, m), 1.50-1.58 (2H, m), 1.60-1.68 (1H, m), 1.73 (1H, brs), 1.84-1.95 (1H, m), 3.01 (1H, brs), 3.31-3.71 (6H, m)
IR(KBr板液膜法)cm
−1:3407, 2926, 2856, 1465, 1376, 1108, 1054
【0067】
実施例9
4−n−デカニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(11)(以下、IPDL−C10と略する)の製造
【化12】
実施例1と同様にして、イソプレノール56g、1−n−ブロモデカン207.2g、48%水酸化ナトリウム水溶液81.3g(0.97モル)とテトラブチルアンモニウムブロミド4.2g(13ミリモル)を用い、4−n−デカニルオキシ−2−メチル−1−ブテン81.7g(純度99.4%、沸点106℃/0.15kPa)を得た。
【0068】
得られた4−n−デカニルオキシ−2−メチル−1−ブテン43g、35%過酸化水素水27g(0.28モル)、タングステン酸1.2g(5ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド1.5g(3.8ミリモル)、85%リン酸水溶液1.52g(13ミリモル)を用い、実施例1記載の方法に従って酸化反応を行い、反応成績体を、ヘキサン/酢酸エチル混液を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル300g、富士シリシア化学(株)製BW−820H)で精製し、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)でRf=0.5を示す画分を減圧濃縮することにより、4−n−デカニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C10)12gを得た。この物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.1%であることが判った。
1H−NMR:(400 MHz, CDCl3) δ (ppm) : 0.83 (3H, t, J=7.1Hz), 1.16 (3H, s), 1.18-1.30 (14H, m), 1.50-1.58 (2H, m), 1.60-1.70 (1H, m), 1.80 (1H, brs), 1.87-1.93 (1H, m), 3.0 (1H, brs), 3.33-3.8 (6H, m)
IR(KBr板液膜法)cm
−1:3408, 2929, 2856, 1465, 1376, 1108, 1054
【0069】
実施例10
4−(2−エチルヘキシル)−2−メチル−1,2−ブタンジオール(12)(以下、IPDL−EtHexと略する)
【化13】
実施例1と同様にして、イソプレノール103.2g(1.2モル)、2−エチル−1−ブロモヘキサン154.5g(0.8モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液125g(1.5モル)とテトラブチルアンモニウムブロミド6.45g(20ミリモル)を用い、4−(2−エチルヘキシル)−2−メチル−1−ブテン99.4g(純度99.4%、沸点65℃/0.19kPa)を得た。
得られた4−(2−エチルヘキシル)−2−メチル−1−ブテン48.6g、35%過酸化水素水36.6g(0.38モル)、タングステン酸1.56g(6.2ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド2.0g(3ミリモル)、85%リン酸水溶液1.1g(10ミリモル)を用い、実施例1と同様にして酸化反応を行い、得られた反応混合物を、ヘキサン/酢酸エチル混液を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル300g、富士シリシア化学(株)製BW−820H)で精製し、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)でRf=0.5を示す画分を減圧濃縮することにより、4−(2−エチルヘキシル)−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−EtHex)20gを得た。これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度98.7%であることが判った。
1H−NMR:(400 MHz, CDCl
3) δ (ppm) : 0.85 (3H, t, J=7.2 Hz), 0.87 (3H, t, J=7.0 Hz), 1.16 (3H, s), 1.24-1.35 (8H, m), 1.42-1.50 (1H, m), 1.62-1.69 (1H, m), 1.86-1.94 (1H, m), 2.91 (1H, brs), 3.31-3.69 (6H, m)
IR(KBr板液膜法)cm
−1:3408, 2929, 2872, 1464, 1379, 1102, 1054
【0070】
試験例1
本発明によるメチルブタンジオールの抗菌活性
寒天平版希釈法(ADT法)によるMIC(最少生育阻止濃度)測定
試験サンプルの終濃度により、2通りの希釈方法を用いた。高濃度の測定には、試験サンプルをMueller−Hinton(MH)液体培地で直接2倍段階希釈し、寒天濃度2倍のMH寒天培地と半量ずつ混合して、シャーレに撒いて固化させたものを試験プレートとして用いた。1600ppm(≒0.16%)以下の低濃度の測定には、2倍段階希釈したサンプルのエタノール溶液をMH寒天培地に1/100の割合で添加混合したものをシャーレに撒いて固化させたものを試験プレートとした。
【0071】
ポジティブコントロールのブチルパラベンは、常法に従い2倍段階希釈したサンプルのエタノール溶液を培地に1/100の割合で添加したものを用いた。
ネガティブコントロールは培地のみ(培地100%)、エタノール1%、エタノール10%の3種類を用意し試験した。この試験プレートに10
6CFU/mlに調整した菌液を約5μlスタンプし、37℃にて20時間培養した。各試験プレートにおける菌の生育有無を判定し、生育の見られない最低濃度をMICとした。
【0072】
試験濃度
各サンプルでMH寒天培地中の終濃度が以下となるよう調製して試験した。
MH溶液培地に直接添加濃度:10%、5%、2.5%、1.25%、0.63%、0.31%、0.16%、0.08%
エタノール溶液をMH寒天培地に添加:1600ppm、800ppm、400ppm、200ppm、100ppm、50ppm、25ppm、12.5ppm
【0073】
試験菌株
皮膚関連菌
【表1】
【0074】
一般細菌
【表2】
【0075】
以下の表1には、本発明によるメチルブタンジオールの抗菌活性の結果を示した。さらに対照として、市販品の炭素数5〜8のアルカン1,2−ジオール化合物および抗菌剤として公知のブチルパラベンを用いた試験結果も示した。
【0076】
【表3】
このように本発明で提供されるメチルブタンジールは高い抗菌活性を有すると言える。
【0077】
試験例2
本発明によるメチルブタンジオールの抗カビ活性
寒天平板希釈法(ADT法)による最小発育抑制濃度(MIC)の測定
試験サンプルおよび調製
それぞれポテトデキストロース寒天培地(PDA培地)中の終濃度が次の濃度になるように調整した。
6400、3200、1600、800、400、200、100、50、25、12.5ppm
試験に用いる最高濃度の100倍濃度となるようサンプルをエタノールにw/wで溶解し、2倍段階希釈(V/V)で各濃度の100倍濃度のサンプルを調製した。
【0078】
試験プレートの調製
サンプル溶液をPDA培地に1/100の割合で添加して混合したものをシャーレに撒いて固化させ、試験プレートとした。
ポジティブコントロールのブチルパラベンについても同様に行った。
ネガティブコントリールは培地のみ(培地100%)、エタノール1%を培地に添加したものを用意した。
【0079】
試験菌株
【表4】
【0080】
胞子液の調製
菌種はPDA培地のプレート上で前培養を行った。
AnおよびCcについては、前培養プレートの菌体表面を火炎減菌したL字白金耳で掻き取り、0.005%Tween80添加食塩水(TS)1ml中に懸濁した。15000rpmで1分間遠心分離を行い、胞子部分を残して上清と沈殿を除いた。残った胞子をTSに再懸濁して胞子液とした。
【0081】
Apについては、前培養プレートにTS5mlを加えてコンラージ棒で表面をやさしく掻き取り、懸濁液を遠沈管に回収して超音波分散機にて均一に懸濁させた。3000rpmで2分間遠心分離を行い、胞子部分を残して上清と沈殿を除いた。残った胞子をTSに再懸濁して胞子液とした。各菌種は、血球計算盤で胞子数の計数を行い、TSで1×10
6、10
5、10
4CFU/mlに調製した。
【0082】
試験プレートの調製と培養
調製した試験プレートにTSで1×10
6、10
5、10
4CFU/mlに調製した胞子液を約5μlずつスポットして25℃にて培養した。各試験プレートでの菌の生育状況を判定し、生育が認められない最低濃度をMICとした。
以下の表2には、本発明で提供されたメチルブタンジオールの抗カビ活性の結果を示した。さらに対照として、市販品であるブチルパラベンの試験結果も示した。
【0083】
【表5】
【0084】
実施例11
4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオールを含む化粧水の製造
精製水500gに尿素50g、グリセリン5gをよく混合し、化粧水原液Aとした。この化粧水原液A10gに、精製水90g、4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール0.03gを入れてよく混合し、良好な4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオールを含む化粧水を得た。
【0085】
実施例12
4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオールを含むゆず化粧水の製造
参考例1に示された化粧水原液A10gに、精製水90g、4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール0.05g、ゆず精油2滴を入れてよく混合し、良好な4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオールを含むゆず化粧水を得た。
【0086】
実施例13
4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオールを含む薄荷香気のリップクリームの製造
カルナウバワックス1g、キャノーラ油2g、大豆油2gの混合物に、薄荷白油1滴、および4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール0.02gを入れて、80℃で加熱混合した。得られた混合物をリップチューブに流し入れて室温で放置し、固めることにより、良好な4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオールを含む薄荷香気のリップクリームを得た。
【0087】
実施例14
4−(2−エチルヘキシル)−2−メチル−1,2−ブタンジオールを含む化粧クリームの製造
エミュオイル10g、月見草オイル2g、ビタミンEオイル2滴、サンダルウッドオイル1滴、さらに4−(2−エチルヘキシル)−2−メチル−1,2−ブタンジオール0.02gをよく混合し、4−(2−エチルヘキシル)−2−メチル−1,2−ブタンジオールを含む化粧クリームを得た。
【0088】
実施例15
化粧水の調製
以下の処方:
【表6】
に従って、常法により化粧水1kgを調製した。
【0089】
実施例16〜19
上記の実施例15において4−n−デカニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C10)0.01、0.1、1および5重量%をそれぞれ用いたこと以外は、実施例15と全く同様にして化粧水1kgをそれぞれ調製した。
【0090】
実施例20
乳液の調製
以下の処方:
【表7】
に従って、常法により乳液1kgを調製した。
【0091】
実施例21〜24
上記の実施例20において4−n−デカニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C10)0.01、0.1、1および5重量%をそれぞれ用いたこと以外は、実施例20と全く同様にして乳液1kgをそれぞれ製造した。
【0092】
実施例25
クリームの調製
以下の処方:
【表8】
に従って、常法によりクリーム1kgを調製した。
【0093】
実施例26〜29
上記の実施例25において4−n−デカニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C10)0.01、0.1、1および5重量%をそれぞれ用いたこと以外は、実施例25と全く同様にしてクリーム1kgをそれぞれ製造した。
【0094】
実施例30
日焼け止めクリームの調製
以下の処方:
【表9】
に従って、常法により日焼け止めクリーム1kgを調製した。
【0095】
実施例31〜34
上記の実施例30において4−n−デカニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C10)0.01、0.1、1および5重量%をそれぞれ用いたこと以外は、実施例30と全く同様にして日焼け止めクリーム1kgをそれぞれ製造した。
【0096】
実施例35
ファンデーションの調製
以下の処方:
【表10】
に従って、常法によりファンデーション1kgを調製した。
【0097】
実施例36〜39
上記の実施例35においてアルカロイド含有画分0.01、0.1、1および5重量%をそれぞれ用いたこと以外は、実施例35と全く同様にしてファンデーション1kgをそれぞれ製造した。
【0098】
実施例40
全身用日焼け止め乳液
以下の処方:
【表11】
に従って、常法により全身用日焼け止め乳液1kgを調製した。
【0099】
実施例41〜44
上記の実施例40において4−n−デカニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C10)0.01、0.1、1および5重量%をそれぞれ用いたこと以外は、実施例40と全く同様にして全身用日焼け止めクリーム1kgをそれぞれ製造した。