(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インバータは、前記複数対のスイッチング素子の各々の対に導通するタイミングが重ならないように、前記複数対のスイッチング素子の各々をスイッチングするタイミングをずらすこと
を特徴とする請求項2に記載のヒータ制御装置。
前記力率改善回路から出力される直流電圧は、前記複数対のスイッチング素子の各々の対をスイッチングするデューティ比のピーク値を加算した値が1を越えないように定められること
を特徴とする請求項3に記載のヒータ制御装置。
前記複数のスイッチの少なくとも一つを制御して、前記第2の交流電圧を前記複数のヒータの少なくとも一つへの出力を開始するオンタイミングは、前記インバータにより出力される前記第2の交流電圧の正弦波周期と同期するPWM信号に基づいて制御されること
を特徴とする請求項5に記載のヒータ制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
(構成の説明)
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置100を概略的に示す構成図である。
図1には、カラーの画像形成装置100を示したが、モノクロであってもよい。
画像形成装置100は、トナーカートリッジ101K、101Y、101M、101C(以下、特に各々を区別する必要がない場合には、トナーカートリッジ101という)と、LEDヘッド102K、102Y、102M、102C(以下、特に各々を区別する必要がない場合には、LEDヘッド102という)と、現像ユニット110K、110Y、110M、110C(以下、特に各々を区別する必要がない場合には、現像ユニット110という)と、転写ローラ103K、103Y、103M、103C(以下、特に各々を区別する必要がない場合には、転写ローラ103という)と、用紙カセット104と、ホッピングローラ105と、レジストローラ106A、106B(以下、特に各々を区別する必要がない場合には、レジストローラ106という)と、用紙検出センサ107と、転写ベルト108と、駆動ローラ120と、従動ローラ121と、転写ベルトクリーニングブレード122と、クリーナー容器123と、定着器130と、用紙ガイド124と、排紙トレー125とを備える。
なお、
図1の括弧内の符号は、実施の形態2〜4における構成を示す。
【0011】
現像ユニット110は、現像剤像としてのトナー像を形成する画像形成ユニットである。
現像ユニット110の各々は、感光体ドラム111と、帯電ローラ112と、供給ローラ113と、現像ローラ114と、現像ブレード115と、クリーニングブレード116とを備える。
感光体ドラム111は、帯電ローラ112によって一様に帯電される。
帯電された感光体ドラム111は、LEDヘッド102の発光によって潜像を形成される。
現像ユニット110に着脱自在にされているトナーカートリッジ101には、現像剤としてのトナーが収容されている。トナーカートリッジ101に収容されているトナーは、供給ローラ113によって現像ローラ114に供給される。現像ローラ114に供給されたトナーは、現像ブレード115により一様のトナー層に形成される。現像ローラ114のトナーは、感光体ドラム111に形成された潜像に付着され、感光体ドラム111の表面には、トナー像が形成される。
クリーニングブレード116は、感光体ドラム111に残ったトナーをクリーニングする。
【0012】
用紙カセット104は、媒体としての用紙PAを収容する。
ホッピングローラ105は、用紙PAを用紙カセット104から搬送する。
レジストローラ106は、転写ベルト108に用紙PAを適切なタイミングで搬送する。
用紙検出センサ107は、接触又は非接触で用紙の通過を検知する。
【0013】
転写ベルト108は、駆動ローラ120及び従動ローラ121に架け渡されている。
駆動ローラ120は、モータの駆動によって転写ベルト108を動かして、転写ベルト108上の用紙PAを搬送する。
転写ローラ103は、転写ベルト108の裏側から転写ニップにバイアスを印加することで、感光体ドラム111に形成されているトナー像を用紙PAに転写する。
転写ベルトクリーニングブレード122は、転写ベルト108上のトナーを掻き落とせるようになっていて、転写ベルトクリーナー容器123には掻き落とされたトナーが収容される。
定着器130は、用紙PAに転写されたトナー像を、熱と加圧によって定着する。
用紙ガイド124は、用紙PAを排紙トレー125にフェースダウンで排出する。
【0014】
図2は、画像形成装置100における制御系の構成を示すブロック図である。
画像形成装置100の制御系は、ホストインタフェース部140と、コマンド画像処理部141と、LEDヘッドインターフェース部142と、主制御部としてのプリンタエンジン制御部143とを備える。なお、括弧内の符号は、実施の形態2〜4における構成を示す。
ホストインタフェース部140は、コマンド画像処理部141にデータを送受信する。
コマンド画像処理部141は、LEDヘッドインターフェース部142に画像データを出力する。
LEDヘッドインターフェース部142は、プリンタエンジン制御部143によってヘッド駆動パルス等を制御され、LEDヘッド102を発光させる。
プリンタエンジン制御部143は、高圧発生部150に信号を送り、高圧を発生させ、現像ユニット110及び転写ローラ103にバイアスを印加する。用紙検出センサ107は、転写バイアスの発生タイミングを調整するために用いられる。
プリンタエンジン制御部143は、ホッピングモータ151、レジストモータ152、ベルトモータ153、定着器ヒータモータ154及びドラムモータ155を所定のタイミングで駆動する。また、LCD表示部156は、プリンタエンジン制御部143により制御される表示部である。
定着器130は、電源装置としての低圧電源160から電力の供給を受ける。また、定着器130の温度は、サーミスタ131の検出値に応じて、プリンタエンジン制御部143によって制御される。
【0015】
図3は、低圧電源160の構成を概略的に示すブロック図である。
定着器130は、2本のヒータ132A、132B(以下、各々を区別する必要がない場合には、ヒータ132という)を備える。本実施の形態では、ヒータ132として、ハロゲンヒータが使用される。なお、
図2に示されているサーミスタ131も、2本のヒータ132A、132Bの各々の温度を検知するため、2つ設けられているものとする。
低圧電源160は、外部から商用電源CPによりAC(Alternating Current)100V〜230Vを入力される。
低圧電源160は、力率改善回路161と、DC−ACインバータ162と、DC−DCコンバータ166とを備える。なお、
図3の括弧内の符号は、実施の形態2における構成を示す。
力率改善回路161は、商用の交流電圧を直流電圧に変換して出力する。本実施の形態では、力率改善回路161は、1500Wの入力を受けて、効率95%で変換を行い、1425Wの出力を行う。
DC−ACインバータ162は、直流電圧を交流電圧に変換するインバータである。DC−ACインバータ162は、スイッチング部163と、インバータ制御部164と、波形記憶部165とを備える。DC−ACインバータ162で変換された所望の交流電圧がヒータ132に印加される。
DC−DCコンバータ166は、直流電圧を降圧して異なる直流電圧を生成する。
ここで、低圧電源160、プリンタエンジン制御部143及びヒータ132によりヒータ制御装置が構成される。
【0016】
図4は、定着器130内のヒータ132を説明する模式図である。
ヒータ132Aには、A4縦送りの用紙幅に対応した発熱長L1のフィラメント133Aが実装されている。本実施の形態では、ヒータ132Aは、700Wである。
ヒータ132Bには、A3縦送りの用紙幅に対応した発熱長L2のフィラメント133Bが実装されている。本実施の形態では、ヒータ132Bは、1000Wである。
【0017】
図5は、力率改善回路161の回路図である。
符号501は、ヒューズを示す。符号502は、コモンモードチョークコイルを示す。符号503及び符号504は、ダイオードを示す。符号505、符号506、符号507及び符号508は、抵抗を示す。符号509は、コンデンサを示す。符号510は、ブリッジダイオードを示す。符号511は、PFC(Power Factor Correction)制御IC(Integrated Circuit)を示す。符号512は、DC(Direct Current)24V電源入力部を示す。符号513は、DC390V電源出力部を示す。符号514及び符号515は、抵抗を示す。符号516は、NPNトランジスタを示す。符号517は、PNPトランジスタを示す。符号518及び符号519は、抵抗を示す。符号520は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を示す。符号521は、ダイオードを示す。符号522は、電流検出抵抗を示す。符号523は、インダクタを示す。符号524は、ダイオードを示す。符号525及び符号526は、抵抗を示す。符号527は、NPNトランジスタを示す。符号528は、PNPトランジスタを示す。符号529及び符号530は、抵抗を示す。符号531は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を示す。符号532は、電流検出抵抗を示す。符号533は、ダイオードを示す。符号534は、インダクタを示す。符号535は、ダイオードを示す。符号536は、電解コンデンサを示す。符号537、符号538、符号539及び符号540は、抵抗を示す。符号541及び符号542は、抵抗及びトランジスタで構成されるゲートドライブ回路ブロックを示す。
【0018】
本実施の形態における力率改善回路161は、PFC制御IC511が、予め定められた電圧範囲(例えば、AC100V〜230V)の入力を受け付けることができるようにされており、いわゆる、ユニバーサル入力に対応している。
【0019】
図6は、
図5に示されているDC24V電源入力部512の回路図である。
この電源入力部512は、トランスにより絶縁されるDC−DCコンバータであり、DC−ACインバータ162にも同構成の電源が使用される。
符号601は、抵抗を示す。符号602は、NPNトランジスタを示す。符号603は、抵抗を示す。符号604は、コンデンサを示す。符号605及び符号606は、ダイオードを示す。符号607は、電解コンデンサを示す。符号608は、ダイオードを示す。符号609は、トランスを示す。符号610は、フォトカプラを示す。符号611は、ダイオードを示す。符号612は、電解コンデンサを示す。符号613は、抵抗を示す。符号614は、TL431等のシャントレギュレータを示す。符号615は、コンデンサを示す。符号616及び符号617は、抵抗を示す。符号618は、DC24V出力部を示す。
【0020】
図7は、DC−ACインバータ162のスイッチング部163の回路図である。
DC−ACインバータ162は、後述するインバータ制御部164から出力されるPWM(Pulse Width Modulation)信号によってスイッチングタイミングが制御される。
符号701は、DC24V電源入力部を示す。符号702は、抵抗を示す。符号703は、NチャンネルFETを示す。符号704は、DC24V電源入力部を示す。符号705は、抵抗を示す。符号706は、NチャンネルFETを示す。符号707、符号708、符号709、符号710、符号711及び符号712は、TLP251等のフォトカプラを示す。符号713及び符号714は、抵抗を示す。符号715は、IGBTを示す。符号716は、ダイオードを示す。符号717及び符号718は、抵抗を示す。符号719は、IGBTを示す。符号720は、ダイオードを示す。符号721は、DC24V入力部を示す。符号722は、抵抗を示す。符号723は、NチャンネルFETを示す。符号724は、抵抗を示す。符号725は、NチャンネルFETを示す。符号726及び符号727は、抵抗を示す。符号728は、IGBTを示す。符号729は、ダイオードを示す。符号730及び符号731は、抵抗を示す。符号732は、IGBTを示す。符号733は、ダイオードを示す。符号734は、DC390V入力部を示す。符号735は、DC24V入力部を示す。符号736は、抵抗を示す。符号737は、NチャンネルFETを示す。符号738は、抵抗を示す。符号739は、NチャンネルFETを示す。符号740及び符号741は、抵抗を示す。符号742は、IGBTを示す。符号743は、ダイオードを示す。符号744及び符号745は、抵抗を示す。符号746は、IGBTを示す。符号747は、ダイオードを示す。符号748は、インダクタを示す。符号749は、コンデンサを示す。符号750は、インバータ出力部を示す。符号751は、インダクタを示す。符号752は、コンデンサを示す。符号753は、インバータ出力部を示す。DC−ACインバータ162は、複数の出力部750、753を備え、それぞれの出力にはヒータ132が接続されている。
【0021】
図8は、DC−ACインバータ162のインバータ制御部164の回路図である。
インバータ制御部164は、ゲートアレイ等のロジック回路801により構成される。
符号802は、プリンタエンジン制御部143との通信インターフェースを示す。
符号803、符号804、符号805、符号806、符号807及び符号808は、PWM出力端子を示す。
【0022】
(動作の説明)
図1に示されている画像形成装置100は、不図示の外部機器から、
図2に示されているホストインタフェース部140を介して、PDL(Page Description Language)等で記述された印刷データの入力を受ける。入力された印刷データは、コマンド画像処理部141によってビットマップデータに変換される。
画像形成装置100は、サーミスタ131の検知値に応じて、ヒータ132を制御することで、定着器130の不図示の熱定着ローラを予め定められた温度にした後、印字動作を開始する。
ホッピングローラ105は、用紙カセット104にセットされた用紙PAを給紙する。以降説明する画像形成動作に同期したタイミングで、レジストローラ106は、用紙PAを転写ベルト108上に搬送する。現像ユニット110は、電子写真プロセスにより感光体ドラム111にトナー像を形成する。この時、ビットマップデータに応じてLEDヘッド102が点灯される。現像ユニット110によって現像されたトナー像は転写ベルト108上を搬送される用紙PAに、転写ローラ103に印加されたバイアスによって転写される。用紙PAは、4色のトナー像が転写された後、定着器130によって定着され排紙される。
現像ユニット110に着脱可能にされているトナーカートリッジ101は、内部のトナーを現像ユニット110に供給する。
【0023】
図2に示されているプリンタエンジン制御部143は、高圧発生部150で高電圧を発生させる。高圧発生部150で発生された高電圧は、帯電ローラ112、現像ローラ114及び転写ローラ103のそれぞれに印加させる。
プリンタエンジン制御部143は、低圧電源160を制御することで、定着器130に送る電力を制御する。
【0024】
次に
図3を用いて説明する。
低圧電源160は、商用電源CPから電力の供給を受け、力率改善回路161により半波整流された交流電圧をスイッチングして昇圧する。昇圧された電圧は、DC390Vの出力で、次段のDC−ACインバータ162及びDC−DCコンバータ166に供給される。本実施の形態では、公知であるので詳述しないが、DC−DCコンバータ166は、DC390Vの直流電圧をスイッチングし、1次―2次間が絶縁されたトランスを用いて降圧されたDC24VとDC5Vを出力する。
【0025】
出力されたDC電圧は、プリンタエンジン制御部143等のロジック系には5Vが供給され、ホッピングモータ151等の駆動系には24Vが供給される。さらに、5VのDC電圧は、必要に応じて、夫々の基板にて必要な3.3V等の電圧に変換される。また、DC24V及びDC5Vは、DC−ACインバータ162に供給される。さらに、力率改善回路161の制御ICにも、DC24Vが供給される。この時、初期状態では力率改善回路161のPFC制御IC511には電圧が供給されない。しかしながら、
図5に示されている回路図からも分かるように、力率改善回路161のスイッチング手段であるIGBT520、531がオフの状態では、力率改善回路161は、コンデンサインプット整流回路として動作する。このため、AC100Vが入力された場合は、DC141VがDC−DCコンバータ166に入力され、AC230Vが入力された場合は、DC325VがDC−DCコンバータ166に入力される。DC−DCコンバータ166は、その入力により動作することで、DC24Vを出力し、その電圧により力率改善回路161が起動する。
【0026】
DC−ACインバータ162は、2系統の出力を有し、夫々をヒータ132A、132Bに出力する。DC−ACインバータ162は、力率改善回路161から出力されるDC390Vをスイッチングし、その出力をLCフィルタにより平滑することにより、出力実効値を可変した交流電圧を出力する。交流電圧の実効値及びインバータ出力のオンオフは、プリンタエンジン制御部143からの信号に応じて制御される。プリンタエンジン制御部143は、サーミスタ131により検出される温度及び画像形成装置100の動作状態に応じてヒータ132へ印加するインバータ出力を可変する。
【0027】
図4は、ヒータ132の模式図である。
画像形成装置100の最大対応用紙サイズであるA3の用紙が搬送される場合には、発熱長L2がA3用紙幅に対応したヒータ132Bに交流電圧が印加される。また、A4サイズの用紙が縦送りで搬送される場合には、発熱長L1がA4用紙幅に対応したヒータ132Aに交流電圧が印加される。さらに、A4用紙幅に対応したヒータ132Aを加熱する場合に、A3用紙幅に対応したヒータ132Bを補助で点灯させることにより、ヒータ132A単体で加熱する場合より多い熱量を定着器130に与えることができる。
ヒータ132及びDC−DCコンバータ166が利用できる電力の総量は、1425Wである。プリンタエンジン制御部143は、トータルがその範囲内に収まる様に制御を行う。例えば、プリンタエンジン制御部143は、利用可能な電力の総量から、他の部分で使用している電力を減算し、残りの電力を用いてヒータ132の加熱を行う。本実施の形態では、演算により総電力を管理する方法を説明するが、電流検知回路等を用いて実電力トータルを制御することもできる。なお、本実施の形態の力率改善回路161における電力1500W、出力1425Wは、一例であり、これらは、効率等各種条件によって決まる値である。
【0028】
図5は、力率改善回路161の回路図である。
PFC制御IC511は、各種入力に応じて、IGBT520、531をスイッチングして出力を制御する。商用電源CPから入力されたAC電圧は、コモンモードチョークコイル502を通り、ブリッジダイオード510により半波整流される。ダイオード503、504は、ブリッジダイオード510の半分と組み合わせて、同様に半波整流を行う。ダイオード503、504により半波整流された電圧は、抵抗507及び抵抗508により分圧され、さらにコンデンサ509により整流に平滑化され、PFC制御IC511の開始電圧入力端子に入力される。この分圧値は、PFC制御IC511の回路内部で基準電圧と比較される。分圧値が基準電圧を超えると、PFC制御IC511は、制御を開始する。ここで、力率改善回路161は、ユニバーサル入力に対応するため、開始電力入力端子は、充分に低い電圧に対応しているものとする。抵抗505及び抵抗508で分圧された電圧は、AC入力電圧端子に入力され、PFC制御IC511のスイッチングを制御する為の信号となる。PFC制御IC511及びゲートドライブ回路541、542へ供給する電源は、24Vであり、24V電源入力部512から入力される。24V電源入力部512についての詳細は後述するが、0Vの入力側がFG(Frame Ground)と分離された絶縁電源である。PFC制御IC511は、GD1端子及びGD2端子からゲートドライブ信号を出力する。ゲートドライブ回路541、542は、力率が1に近くなるように制御される。PFC制御IC511は、多くの半導体メーカーより供給され、公知であるので詳細は割愛する。
【0029】
ゲートドライブ信号は、ゲートドライブ回路541、542で、NPNトランジスタ516、527と、PNPトランジスタ517、528との対によりドライブ電流を増幅され、IGBT520、531をスイッチングする。ブーストコイル523、534で昇圧された電圧が、ダイオード524、535と、電解コンデンサ536とにより平滑され、DC+390Vの出力が得られるように、PFC制御IC511はスイッチングデューティ比を制御する。出力された電圧は、上述の制御のために、抵抗537、539及び抵抗538、540により分圧される。抵抗539及び抵抗540で分圧された電圧が、フィードバック電圧としてPFC制御IC511に入力される。また、抵抗537及び抵抗538により分圧された電圧が、過電圧検出用の電圧としてPFC制御IC511に入力される。後述するインバータ負荷の変化に応じて、PFC制御IC511は、スイッチングデューティ比を変化させて出力電圧が+390Vの定電圧となるように制御を行う。また、電流検出抵抗522、532に流れる電流により生じる電圧は、PFC制御IC511に入力される。そして、過電流によってIGBT520、531が破壊されないように、検出電圧が所定閾値を超えた場合に、PFC制御IC511は、スイッチングを停止する等の処理を行う。
【0030】
図6は、トランスにより1次―2次間が絶縁された、24V入力及び24V出力のDC−DCコンバータの回路図である。これは、一般的な自励式フライバックコンバータである。シャントレギュレータ614のリファレンス端子に抵抗616及び抵抗617により分圧された電圧が入力され、出力電圧が24Vを超えた場合にシャントレギュレータ614のカソードからアノードに電流が流れることにより、フォトカプラ610の2次側発光ダイオードに電流が流れる。そして、フォトカプラ610の1次側に流れる電流によりNPNトランジスタ602のベース電流が減じられ定電圧制御となる。この回路も公知であるので詳細な説明は、割愛する。
【0031】
図7は、本実施の形態におけるDC−ACインバータ162のスイッチング部163の回路図である。
スイッチング部163は、インバータ制御部164から信号を入力され各IGBT715、719、728、732、742、746をスイッチングすることにより、DC390Vをスイッチングして交流の出力を得る。
IGBT715、719、728、732、742、746は、Si FET(Silicon Field Effect Transistor)、SiC FET(Silicon Carbide Field Effect Transistor)、GaN FET(Gallium nitride Field Effect Transistor)等のデバイスも使用可能である。
スイッチングにおいては、IGBT715及びIGBT719、IGBT728及びIGBT732、並びに、IGBT742及びIGBT746のハイサイドとローサイドの対で両方同時オンによる貫通電流が流れないように、各上下対では略反転した信号が入力される。さらに、純粋な反転信号である場合に、オフ時間の遅延により同時オンとなる時間が生じてしまうことを防止するため、上下対両方オフする時間としてのデッドタイムを1μsec設けた。このデッドタイムは、本実施の形態では、1μsecとしたが、使用デバイス及びスイッチング周波数によって適宜設定される時間であり、この時間に限られるものではない。
【0032】
IGBT728及びIGBT732の上下対、IGBT715及びIGBT719の上下対、並びに、IGBT742及びIGBT746の上下対により、ブリッジ回路が形成されている。
IGBT728及びIGBT732の上下対は、IGBT715及びIGBT719の上下対、並びに、IGBT742及びIGBT746の上下対の各々の対との組み合わせで、インバータ出力を得る。本実施の形態におけるIGBT728及びIGBT732の対は、50Hzで+390Vと0Vとを、IGBT728のエミッタとIGBT732のコレクタの接続点にスイッチする。50Hzは、DC−ACインバータ162の出力周波数である。本実施の形態では、出力周波数は50Hzとしたが、任意の周波数を設定することができる。他のIGBT715、719、742、746は、インバータの出力に応じてスイッチングを行う。そして、IGBT728及びIGBT732の対と、IGBT715及びIGBT719の対との組は、負荷であるヒータ132へ電流を流し、IGBT728及びIGBT732の対と、IGBT742及びIGBT746の対との組は、負荷であるヒータ132へ電流を流す。
IGBT715及びIGBT719の上下対と、IGBT742及びIGBT746の上下対とは、排他的タイミングでオンされる。スイッチングされた電圧は、インダクタ748とコンデンサ749とで構成されるLCフィルタ、及び、インダクタ751とコンデンサ752とにより構成されるLCフィルタにより、スイッチング周波数成分の高周波成分が除去されて、50Hzの正弦波としてヒータ132へ供給される。
【0033】
フォトカプラ707、708、709、710、711、712は、東芝製のTLP251に代表されるようなフォトカプラにより絶縁されたゲートドライバICである。フォトカプラ707、708、709、710、711、712は、24V電源入力部701、704、721、735により電力を供給される。これらの電源は、
図6で示されるものを4ケ並置される。24V電源入力部704に関しては、
図5に示されている24V電源入力部512と共通化可能である。残りの電源入力部701、721、735は、ハイサイドドライブ回路の絶縁電源であるので夫々絶縁が必要である。ゲートドライブ回路の絶縁電源は、各種あり、本実施の形態の方式に限るものではない。フォトカプラ707、708、709、710、711、712では、1次側をインバータ制御部164から出力されるPWM信号により、NチャンネルFET703、706、723、725、737、739がスイッチングされ、フォトカプラ707、708、709、710、711、712の1次側発光ダイオードに電流が流れ、2次側のゲートドライブ回路が駆動される。
【0034】
図8は、PWM信号を出力するインバータ制御部164のブロック図である。
インバータ制御部164は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現することができる。
プリンタエンジン制御部143から送信される信号に従って、PWM出力端子803は、PWM_A信号を出力し、PWM出力端子804は、PWM_B信号を出力し、PWM出力端子805は、PWM_C信号を出力し、PWM出力端子806は、PWM_D信号を出力し、PWM出力端子807は、PWM_E信号を出力し、PWM出力端子808は、PWM_F信号を出力する。プリンタエンジン制御部143からは、例えば、各ヒータ132に電圧の印加を開始することを示す信号、各ヒータ132に印加する電圧を上げることを示す信号、又は、各ヒータ132に印加する電圧を下げることを示す信号が出力される。波形記憶部165には、各ヒータ132に印加する最高出力の電圧から最低出力の電圧に至るまでの、予め定められた数の電圧の各々に対応するPWM_A信号、PWM_B信号、PWM_E信号又はPWM_F信号のデューティ比を示す波形情報が記憶されている。インバータ制御部164は、プリンタエンジン制御部143から送信される信号に従って、波形記憶部165に記憶されている波形情報に従って、PWM_A信号、PWM_B信号、PWM_E信号又はPWM_F信号の波形を特定して、対応するPWM出力端子から出力する。本実施の形態では、インバータ側にASICを設けたがプリンタエンジン制御部143の大規模集積回路から直接PWM信号が出力される等の構成であってもよい。
【0035】
図9(A)〜(C)は、DC−ACインバータ162から出力される電圧の波形を示す模式図である。
図9(C)は、交流出力実効値AC100Vの波形を示し、ピークは141Vである。
図9(B)は、その半分の実効値AC50Vの波形を示し、
図9(A)は、実効値AC25Vの波形を示す。
プリンタエンジン制御部143は、DC−ACインバータ162を制御することで、AC出力の周波数を一定とし、その波形(ここでは、振幅)を可変してヒータ132の発熱を制御する。ここで、DC−ACインバータ162は、各々のヒータ132に対して、異なる実効値のACを出力することができる。また、ハロゲンヒータは、冷えた状態で通電を開始時には、抵抗値が低く突入電流が大きくなるので、プリンタエンジン制御部143は、AC電圧が低い所から徐々に電圧を上げるように、制御を行う。このような制御は、従来の位相角制御と同様な考えであり、従来の位相角制御で180度全てオンにする制御が本実施の形態1におけるDC−ACインバータ162からの出力AC100Vに相当する。位相角制御における位相角90度でオンにする制御が出力AC50Vに相当し、位相角制御における位相角45度でオンにする制御が出力AC25Vに相当する。実際の回路動作では完全に等価にはならないが、適宜実験、計算等により補正して運用することは容易である。ヒータ制御については公知であるのでここでは正弦波電圧を可変する方法について記述する。
【0036】
図10(A)〜(E)は、インバータ制御部164から出力されるPWM信号のタイミングチャートを示す模式図である。
図10(A)〜(E)は、正弦波のインバータ出力を得る為のPWM信号の波形を示している。
図10(A)及び(B)に示すように、出力周波数を決定するPWM_D信号及びPWM_C信号は、50Hzの矩形波となる。
図10(C)及び(D)に示すように、出力電圧の振幅を決定するPWM_A信号及びPWM_B信号は、50Hzよりも大きな周波数となる。
図10では、簡略的に示す為に、PWM_A信号及びPWM_B信号は、1.8kHz(周期555.6μsec)で示されている。実際には、PWM_A信号及びPWM_B信号は、可聴域を超える20kHz以上が適している。しかしながら、周波数が高くなる程、損失が増えるので、PWM_A信号及びPWM_B信号の周波数は、選択デバイス及び出力に応じて最適値が決定される。本実施の形態では、
図10においては、1.8kHzで説明するが、20kHzの場合についても補助的に説明する。本実施の形態においては、スイッチング部163にIGBT715、719、728、732、742、746が用いられているため、20kHzとしたが、GaN FET等が用いられている場合には、もっと高い周波数が選択可能である。
【0037】
IGBT715及びIGBT719のハイサイド及びローサイドの対、並びに、IGBT742及びIGBT746のハイサイド及びローサイドの対に出力する矩形波には、
図10(E)に示されているように、1μsecのデッドタイムが設けられている。デッドタイムは、スイッチング周波数によらず一定としている。PWM信号のデューティ比は、
図11の表に示すように正弦波1周期を36の区間に分割し、SIN関数により決定される。
図10及び
図11では、1.8kHzで示しているが、20kHzとした場合に、半周期は10msec、200サイクルとなるので下記の(1)式により求められた値をテーブルとして保持しておき、デューティ比が決定されればよい。
【数1】
但し、Nは、0以上、199以下の整数である。
(1)式で求められるSIN値は、ピークで390Vとなる正弦波生成時のデューティ比であるので、これに必要な電圧となるように係数を乗算する。例えば、AC100Vを出力する場合なら0.362(=141÷390)を乗じる。これが、
図11の表のDutyの列に示されている値である。このDutyの列に示されている値は、テーブルとして保持されていてもよく、また、適宜演算により求められてもよい。
20kHzでは上記式となるが、模式図ではピークでSIN値が0.362となるように、下記の(2)式を用いて求めた。
【数2】
但し、Mは、0以上、35以下の整数である。
なお、ヒータ132に印加される正弦波は、歪率が出力に与える影響を無視してもよいので、適宜実装に応じてテーブル値の有効桁数、演算のbit数等を削減しても問題ない。
【0038】
図10(A)に示されているように、50HzでスイッチングされるIGBT728及びIGBT732の対のローサイドがオンとなっている際に、
図10(C)に示されているように、IGBT715及びIGBT719の対のハイサイドがオンとなって、ヒータ132へ電流が流れる。また、
図10(B)に示されているように、IGBT728及びIGBT732の対のハイサイドがオンとなっている際に、IGBT715及びIGBT719の対のローサイドがオンとなって、ヒータ132へ逆方向に電流が流れる。
これによりヒータ132には、交番電圧が印加される。390Vの電圧は、LCフィルタにより平滑化され最大141Vピークの電圧となる。本実施の形態では、PFC出力電圧390V、AC出力電圧100Vで説明したが、両者異なる電圧とすることも可能である。
【0039】
図12は、IGBT715及びIGBT719の対に出力される矩形波、並びに、IGBT742及びIGBT746の対に出力される矩形波のタイミングを説明する模式図である。
説明の為、どちらも同じデューティ比の図としてあるが、それぞれデューティ比を可変した出力が組み合わされる。PWM出力周期は、半サイクル、模式図では277.8μsecずらされている。20kHzの場合には25μsecのずれとなる。最大出力AC100V時で正弦波ピークのデューティ比が前記した通り0.361となるので、半周期ずらすことにより交互にオンすることになる。言い換えると、IGBT715及びIGBT719の対と、IGBT742及びIGBT746の対とに導通するタイミングが重ならないように、それぞれの対をスイッチングするタイミングがずらされている。これにより50HzでスイッチングされるIGBT728及びIGBT732の対に流れるピーク電流は、インバータ出力1チャンネルでも2チャンネルでも等しくなる。また、2チャンネルのインバータ出力に対して共用しても、6個のIGBT全て同じものを使用することができる。本実施の形態では、2出力で説明したが、PWM信号の立ち上がりのタイミングを1/3周期ずらして、3出力にするような構成も可能である。PFC出力を430V程度に上げればピークデューティ比が33%以下となりタイミングがオーバーラップすることがない。言い換えると、力率改善回路161から出力される直流電圧は、IGBTのそれぞれの対をスイッチングするデューティ比のピーク値の合計が1を越えないように予め定められている。
【0040】
図13の表及び
図14の模式図は、AC50V(DCピーク70.5V)、AC25V(DCピーク35.25V)の場合のデューティ比とタイミングを示す図である。
PWM_A信号及びPWM_B信号がAC50Vの出力波形、PWM_E信号及びPWM_F信号がAC25Vの出力波形となる。
以上のように、本実施の形態においては、波形記憶部165は、ヒータ132毎に、DC−ACインバータ162から最大出力を出力するためのPWM信号の波形を特定するためのデューティ比を記憶するとともに、この最大出力から予め定められた電圧(例えば、1V)刻みで低下させた複数の電圧を出力するためのPWM信号の波形を特定するための複数のデューティ比を記憶しているものとする。
【0041】
画像形成装置100では、本実施の形態のように、発熱長の異なるヒータ132を実装した場合に、用紙サイズによって選択点灯することとなる。A4幅700WとA3幅1000Wを使用する場合、画像形成装置100の最大電力が1500Wのときには、力率改善回路161の出力は、前記の通り1425Wとなる。さらに、DC−DCコンバータ166の消費電力もあるので、複数のヒータ132A、132Bを同時にフル点灯することはできない。この点、本実施の形態における画像形成装置100によれば、例えば、電源投入時にウォームアップでヒータ132A、132Bを余熱するために、DC−ACインバータ162から、それぞれAC50Vで350W及び500Wをヒータ132A、132Bへ印加する。そして、印字時には搬送用紙サイズによって、片方のヒータ132をAC100Vでフル点灯し、もう片方をオフする等の制御が行える。また、A4縦送り搬送時には、A4幅700Wのヒータ132Aをフル点灯し、補助で1000Wのヒータ132BをAC25Vで250Wの点灯を行う等の制御も可能である。プリンタエンジン制御部143は、1425Wから、DC−DCコンバータ166の最大消費電力を差し引いた値をヒータ132へ使用可能な最大電力として、双方のヒータ132A、132Bのトータルの電力を制御することができる。また、DC−DCコンバータ166の消費電力を動作状態によって複数記憶しておき、電源投入時のウォーミングアップ時には定着器130以外のモータを停止して定着器130の暖気を最初に行い、続いて他の初期動作を行うことにより、印字可能状態に早く移行することのできるように制御を行っても良い。
【0042】
図15は、本実施の形態におけるプリンタエンジン制御部143によるDC−ACインバータ162の制御を示すフローチャートである。
図15に示すフローは、画像形成装置100の電源がONされた際に開始される。
画像形成装置100の電源がONにされると、プリンタエンジン制御部143は、インバータ制御部164に対して、ヒータ132への電圧の印加を開始するように指示する(S10)。このような指示を受けたインバータ制御部164は、ヒータ132A、132Bの何れかに対して最大電圧を出力するように、最大電圧を出力するための波形のPWM信号に対応するデューティ比を波形記憶部165から読み出して、突入電流を抑制しながら最大電圧を出力する制御を開始する。インバータ出力されるAC正弦波電圧が最大電圧に達するまで出力AC周波数が50Hzなら1秒の時間、即ち、50周期の正弦波により徐々に電圧を上昇させる。PWM出力は、出力正弦波1サイクル毎にPWMデューティ比を波形記憶部165から読み出した値に対して、1/50、2/50、・・・、50/50を乗じたデューティ比で出力する。これにより1秒かけて最大電圧が出力される。その波形のPWM信号をPWM出力端子803、804、807、808から出力させる。なお、インバータ制御部164は、PWM出力端子805、806からは、DC−ACインバータ162から出力する交流電圧の周波数に対応する矩形波のPWM信号を出力させる。
【0043】
次に、プリンタエンジン制御部143は、ヒータ132Aの温度を計測するためのサーミスタ131からの検出値に基づいて、ヒータ132Aの温度tAが、目標として予め定められた温度tA#よりも大きいか否かを判断する(S11)。温度tAが閾値となる温度tA#よりも大きい場合(S11でYes)には、処理はステップS12に進み、温度tAが閾値となる温度tA#以下である場合(S11でNo)には、処理はステップS13に進む。
【0044】
ステップS12では、プリンタエンジン制御部143は、ヒータ132Aに印加する電圧を低くするように、インバータ制御部164に対して指示する。このような指示を受けたインバータ制御部164は、現在スイッチング部163に印加されている電圧よりも一段低い電圧となるように、そのような電圧を出力するための波形のPWM信号に対応するデューティ比を波形記憶部165から読み出して、その波形のPWM信号をPWM出力端子803、804から出力させる。
【0045】
ステップS13では、プリンタエンジン制御部143は、ヒータ132Bの温度を計測するためのサーミスタ131からの検出値に基づいて、ヒータ132Bの温度tBが、目標として予め定められた温度tB#よりも大きいか否かを判断する。温度tBが閾値となる温度tB#よりも大きい場合(S13でYes)には、処理はステップS14に進み、温度tBが閾値となる温度tB#以下である場合(S13でNo)には、処理はステップS15に進む。
【0046】
ステップS14では、プリンタエンジン制御部143は、ヒータ132Bに印加する電圧を低くするように、インバータ制御部164に対して指示する。このような指示を受けたインバータ制御部164は、現在スイッチング部163に印加されている電圧よりも一段低い電圧となるように、そのような電圧を出力するための波形のPWM信号に対応するデューティ比を波形記憶部165から読み出して、その波形のPWM信号をPWM出力端子807、808から出力させる。
【0047】
ステップS15では、プリンタエンジン制御部143は、ヒータ132Aの温度を計測するためのサーミスタ131からの検出値に基づいて、ヒータ132Aの温度tAが、温度tA#よりも小さいか否かを判断する。温度tAが閾値となる温度tA#よりも小さい場合(S15でYes)には、処理はステップS16に進み、温度tAが閾値となる温度tA#以上である場合(S15でNo)には、処理はステップS17に進む。
【0048】
ステップS16では、プリンタエンジン制御部143は、ヒータ132Aに印加する電圧を高くするように、インバータ制御部164に対して指示する。このような指示を受けたインバータ制御部164は、現在スイッチング部163に印加されている電圧よりも一段高い電圧となるように、そのような電圧を出力するための波形のPWM信号に対応するデューティ比を波形記憶部165から読み出して、その波形のPWM信号をPWM出力端子803、804から出力させる。
【0049】
ステップS17では、プリンタエンジン制御部143は、ヒータ132Bの温度を計測するためのサーミスタ131からの検出値に基づいて、ヒータ132Bの温度tBが、目標として予め定められた温度tB#よりも小さいか否かを判断する。温度tBが閾値となる温度tB#よりも小さい場合(S17でYes)には、処理はステップS18に進み、温度tBが閾値となる温度tB#以上である場合(S17でNo)には、処理はステップS11に戻る。
【0050】
ステップS18では、プリンタエンジン制御部143は、ヒータ132Bに印加する電圧を高くするように、インバータ制御部164に対して指示する。このような指示を受けたインバータ制御部164は、現在スイッチング部163に印加されている電圧よりも一段高い電圧となるように、そのような電圧を出力するための波形のPWM信号に対応するデューティ比を波形記憶部165から読み出して、その波形のPWM信号をPWM出力端子807、808から出力させる。
【0051】
なお、インバータ制御部164は、現在出力している波形に対応する電圧が最高値である場合に、プリンタエンジン制御部143から電圧を上げるように指示されたときには、現在の波形を維持すればよい。同様に、インバータ制御部164は、現在出力している波形に対応する電圧が最低値である場合に、プリンタエンジン制御部143から電圧を下げるように指示されたときには、現在の波形を維持すればよい。
【0052】
以上のように、画像形成装置100の定着器130のヒータ132の電力制御に力率改善回路161とDC−ACインバータ162とを組み合わせた回路を用いることにより、常に高い力率を得ることが可能となる。また、ヒータ132の突入電流を抑えることができるため、高調波電流も低くすることができる。また、商用電源CPの電圧変動が生じてもヒータ132への印加電圧変動を生じさせることがなくなった。さらに、商用電源CPの電圧によって異なるヒータ132を用意する必要がなくなり、画像形成装置100のユニバーサル化が可能となった。
【0053】
実施の形態2.
(構成の説明)
図1に示されているように、実施の形態2に係る画像形成装置200の構成は、実施の形態1に係る画像形成装置100と同様である。
【0054】
図2に示されているように、実施の形態2に係る画像形成装置200は、低圧電源260において、実施の形態1に係る画像形成装置100と異なっている。
【0055】
図3に示されているように、実施の形態2における低圧電源260は、力率改善回路161と、DC−ACインバータ262と、DC−DCコンバータ166とを備える。実施の形態2における低圧電源260は、DC−ACインバータ262において、実施の形態1における低圧電源160と異なっている。
【0056】
実施の形態2におけるDC−ACインバータ262は、スイッチング部163と、インバータ制御部264と、波形記憶部265とを備える。実施の形態2におけるDC−ACインバータ262は、インバータ制御部264及び波形記憶部265において、実施の形態1におけるDC−ACインバータ162と異なっている。
【0057】
インバータ制御部264は、プリンタエンジン制御部143からの信号に応じて、PWM信号をスイッチング部163に出力することで、DC−ACインバータ262から出力される電圧を制御する。なお、実施の形態2におけるインバータ制御部264は、出力するPWM信号の波形において、実施の形態1におけるインバータ制御部164と異なっている。
なお、実施の形態2におけるインバータ制御部264も、
図8に示されているようなロジック回路801により構成される。
【0058】
波形記憶部265は、インバータ制御部264から出力するPWM信号の波形を特定するデューティ比を示す波形情報を記憶する。
【0059】
(動作の説明)
以下に実施の形態2における動作を説明する。実施の形態1と同様な部分については説明を省略する。
図16は、実施の形態2におけるDC−ACインバータ262からの出力波形を示す模式図である。
実施の形態1では、AC出力電圧の振幅を可変してAC出力電圧の実効値を制御したが、実施の形態2では、振幅のピークは一定とし、正弦波の出力幅を可変することにより実効値を可変している。言い換えると、DC−ACインバータ262からの出力周波数は50Hzのままとし、正弦波の半サイクルの周期内において、正弦波の波形を、50Hzよりも高い周波数のものにすることで、実効値を下げている。このような制御は、波形記憶部265に記憶されている波形情報で示されるデューティ比に基づいて、インバータ制御部264から出力するPWM信号を変更することにより行うことができる。
【0060】
図17は、インバータ制御部264から出力されるPWM信号のデューティ比の一例を示すテーブルである。
図18(A)〜(F)は、インバータ制御部264から出力するPWM信号のタイミングチャートを示す模式図である。
図17及び
図18は、実施の形態1と同様に、PWM信号の周波数が1.8kHzとなるようにしているが、その周波数は、20kHz等他の周波数であってもよい。
【0061】
図18(C)及び(D)に示されている、PWM_A信号及びPWM_B信号の対が、出力実効値AC67VのときのPWM信号である。
図18(E)及び(F)に示されている、PWM_E信号及びPWM_F信号の対が、出力実効値AC33VのときのPWM信号である。実施の形態2においても、テーブル又は演算を用いることによりAC実効値をAC0V〜100Vに可変することができる。また、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、PWM_A信号及びPWM_B信号の対と、PWM_E信号及びPWM_F信号の対とで立ち上がりのタイミングを半周期ずらしている。
【0062】
また、実施の形態2においても、ヒータ132の通電初期時は、突入電流が大きくなるので、立ち上げ時のみ実施の形態1と同様に、振幅可変制御を行ってもよい。上記したデューティ比に予め定められた値を乗算することで、振幅を容易に変更することができる。また、ヒータ132の通電を開始してから予め定められた時間が経過するまでは、実施の形態1に記載された振幅制御を行い、その後、実施の形態2に記載された波形制御を行う等、実施の形態1の制御と実施の形態2の制御とを組み合わせてもよい。
【0063】
実施の形態2においては、正弦波電圧の幅を可変して制御しているが、正弦波電圧の幅を一定にして、IGBT728及びIGBT732の対に印加する矩形波の周期を可変することにより印加する実効値を可変することも可能である。そのような制御を行うと、従来の波数制御と同様な効果を得ることが可能となると同時に、力率改善回路161を介しているため、フリッカ等の影響は皆無となる。
【0064】
以上のように、実施の形態2においては、DC−ACインバータ262から出力される正弦波の幅、言い換えると、正弦波として出力される時間を制御とすることによりヒータ132への印加電圧のピークが一定となり、従来の波数制御のようにヒータ132へ電圧を印加することができる。
【0065】
実施の形態3.
(構成の説明)
図1に示されているように、実施の形態3に係る画像形成装置300の構成は、実施の形態1に係る画像形成装置100とほぼ同様であるが、定着器330において、実施の形態1に係る画像形成装置100と異なっている。
【0066】
図2に示されているように、実施の形態3に係る画像形成装置300は、低圧電源360、定着器330及びプリンタエンジン制御部343において、実施の形態1に係る画像形成装置100と異なっている。
【0067】
図19は、実施の形態3における低圧電源360の構成を概略的に示すブロック図である。
定着器330は、4本のヒータ332A、332B、332C、332D(以下、各々を区別する必要がない場合には、ヒータ332という)を備える。本実施の形態でも、ヒータ332として、ハロゲンヒータが使用される。
低圧電源360は、外部から商用電源CPA、CPBにより2系統のAC100V又はAC200Vを入力される。AC100Vの場合は、1500Wが通常コンセントの上限であるため、本実施の形態では、2系統入力されている。なお、AC200Vを使用する場合には、1つの商用電源から2系統の入力を受けてもよい。
低圧電源360は、力率改善回路161A、161B(特に各々を区別しない場合には、力率改善回路161という)と、DC−ACインバータ362と、DC−DCコンバータ166とを備える。
力率改善回路161は、商用の交流電圧から直流電圧を変換して出力する。力率改善回路161は、2つ設けられているが、構成は、実施の形態1と同様である。
DC−ACインバータ362は、直流電圧を交流電圧に変換するインバータである。DC−ACインバータ362は、スイッチング部363と、インバータ制御部364と、波形記憶部365と、スイッチ367A、367B、367C、367D(以下、各々を特に区別する必要がない場合には、スイッチ367という)とを備える。本実施の形態におけるDC−ACインバータ362は、ヒータ332のウェイクアップ時に、周波数は同じであるが、波形の異なる交流電圧を出力することで、徐々に高い実効値の電圧が出力されるようにする。また、ヒータ332の温度を管理する際には、DC−ACインバータ362は、スイッチ367をオン又はオフすることにより、ヒータ332に印加される交流電圧を制御する。
DC−DCコンバータ166は、直流電圧を降圧して異なる直流電圧を生成する。
ここで、低圧電源360、プリンタエンジン制御部343及びヒータ332によりヒータ制御装置が構成される。
【0068】
図20は、定着器330内のヒータ332を説明する模式図である。
ヒータ332Aには、A4縦送りの用紙幅に対応した発熱長L31のフィラメント333Aが実装されている。ヒータ332Aは、500Wである。
ヒータ332Bには、A3縦送りの用紙幅に対応した発熱長L32のフィラメント333Bが実装されている。ヒータ332Bは、700Wである。
ヒータ332Cには、A2縦送りの用紙幅に対応した発熱長L33のフィラメント333Cが実装されている。ヒータ332Cは、1000Wである。
ヒータ332Dには、A1縦送りの用紙幅に対応した発熱長L34のフィラメント333Dが実装されている。ヒータ332Dは、1400Wである。
【0069】
図21は、DC−ACインバータ362のスイッチング部363及びスイッチ367の回路図である。
DC−ACインバータ362は、後述するインバータ制御部364から出力されるPWM信号によってスイッチングタイミングを制御される。
符号901は、DC24V電源入力部を示す。符号902は、抵抗を示す。符号903は、NチャンネルFETを示す。符号904は、DC24V電源入力部を示す。符号905は抵抗を示す。符号906は、NチャンネルFETを示す。符号907、符号908、符号909、及び符号910は、TLP251等のフォトカプラを示す。符号913、及び符号914は、抵抗を示す。符号915は、IGBTを示す。符号916は、ダイオードを示す。符号917、及び符号918は、抵抗を示す。符号919は、IGBTを示す。符号920は、ダイオードを示す。符号921は、DC24V入力部を示す。符号922は、抵抗を示す。符号923は、NチャンネルFETを示す。符号924は、抵抗を示す。符号925は、NチャンネルFETを示す。符号926、及び符号927は、抵抗を示す。符号928は、IGBTを示す。符号929は、ダイオードを示す。符号930、及び符号931は、抵抗を示す。符号932は、IGBTを示す。符号933は、ダイオードを示す。符号934は、DC390V入力部を示す。符号948は、インダクタを示す。符号949は、コンデンサを示す。符号900は、インバータ出力部を示す。
インバータ出力部900に、スイッチ367を介してヒータ332が並列に接続されている。スイッチ367は、ヒータ332に印加される交流電圧をオン又はオフする交流スイッチである。
【0070】
符号950は、トライアックを示す。符号951、符号952、及び符号953は、抵抗を示す。符号954は、フォトトライアックを示す。符号956は、NチャンネルFETを示す。符号960は、トライアックを示す。符号961、符号962、及び符号963は、抵抗を示す。符号964は、フォトトライアックを示す。符号966は、NチャンネルFETを示す。符号970は、トライアックを示す。符号971、符号972、及び符号973は、抵抗を示す。符号974は、フォトトライアックを示す。符号976は、NチャンネルFETを示す。符号980は、トライアックを示す。符号981、符号982、及び符号983は、抵抗を示す。符号984は、フォトトライアックを示す。符号986は、NチャンネルFETを示す。
【0071】
図22は、DC−ACインバータ362のインバータ制御部364の回路図である。
インバータ制御部364は、ゲートアレイ等のロジック回路831により構成される。
符号832は、プリンタエンジン制御部343との通信インターフェースを示す。
符号833、符号834、符号835、符号836、符号837、符号838、符号839及び符号840は、PWM出力端子を示す。
【0072】
(動作の説明)
図19に示されているように、低圧電源360は、商用電源CPA、CPBから電力の供給を受け、力率改善回路161により半波整流された交流電圧をスイッチングして昇圧する。昇圧された電圧は、DC390Vの出力で次段のDC−ACインバータ362に供給される。本実施の形態では公知であるので詳述しないが、力率改善回路161とDC−DCコンバータ166とは、DC390Vの直流電圧をスイッチングし、1次−2次間が絶縁されたトランスを用いて降圧されたDC24VとDC5Vを出力する。出力されたDC電圧は、プリンタエンジン制御部343等のロジック系には5Vが供給され、ホッピングモータ151等の駆動系には24Vが供給される。さらに5VのDC電圧は、必要に応じて、夫々の基板にて必要な3.3V等の電圧に変換される。DC24V及びDC5Vは、DC−ACインバータ362及び力率改善回路161にも供給される。
【0073】
DC−ACインバータ362は、1系統の出力を有し、交流電圧をスイッチ367によりヒータ332に出力する。DC−ACインバータ362は、力率改善回路161から出力されるDC390Vをスイッチングし、その出力をLCフィルタにより平滑することにより、出力実効値を可変した交流電圧を出力する。その交流電圧は、ACスイッチ手段であるトライアックにより構成されたスイッチ367で夫々オンオフすることによりヒータ332へ供給される。交流電圧の実効値及びインバータ出力のオンオフは、プリンタエンジン制御部343からの信号に応じて制御される。プリンタエンジン制御部343は、サーミスタ331により検出される温度及び画像形成装置300の動作状態に応じてヒータ332へ印加するインバータ出力を可変する。また、プリンタエンジン制御部343は、画像形成装置300の印字用紙幅に応じて点灯するヒータ332を選択する。
【0074】
図20は、ヒータ332の模式図である。
画像形成装置300の最大対応用紙サイズであるA1の用紙が搬送される場合には、発熱長L34がA1用紙幅に対応したヒータ332Dに交流電圧が印加されて、ヒータ332Dが加熱される。
また、A2サイズの用紙が縦送りで搬送される場合には、A2用紙幅に対応したヒータ332Cに交流電圧が印加されて、ヒータ332Cが加熱される。
また、A3サイズの用紙が縦送りで搬送される場合には、A3用紙幅に対応したヒータ332Bに交流電圧が印加されて、ヒータ332Bが加熱される。
また、A4サイズの用紙が縦送りで搬送される場合には、A4用紙幅に対応したヒータ332Aに交流電圧が印加されて、ヒータ332Aが加熱される。
各ヒータ332は、選択的に1本又は2本が点灯され、例えば、DC−ACインバータ362の出力上限が1400Wであっても、その上限範囲内に収まるように制御される。
【0075】
図21は、本実施の形態におけるDC−ACインバータ362のスイッチング部363の回路図である。
スイッチング部363は、インバータ制御部364から信号を入力され各IGBT915、919、928、932をスイッチングすることにより、DC390Vをスイッチングして交流の出力を得る。
IGBT915、919、928、932は、Si FET、SiC FET、GaN等のデバイスも使用可能である。
スイッチングにおいてはIGBT915及びIGBT919、並びに、IGBT928及びIGBT932のハイサイドとローサイドの対で両方同時オンによる貫通電流が流れないように、各上下対では略反転した信号が入力される。さらに、純粋な反転信号である場合に、オフ時間の遅延により同時オンとなってしまうことを防止するため、上下対両方オフする時間としてのデッドタイムを1μsec設けた。このデッドタイムは、本実施の形態では、1μsecとしたが、使用デバイス及びスイッチング周波数によって適宜設定される時間であり、この時間に限られるものではない。
【0076】
IGBT928及びIGBT932の上下対は、IGBT915及びIGBT919の上下対との組み合わせでインバータ出力を得る。出力オフ時には、各上下対に対してIGBT928及びIGBT932の上下対と同じ信号が入力される。IGBT928及びIGBT932の対は、本実施の形態では50Hzで+390Vと0Vとを、IGBT928のエミッタとIGBT932のコレクタとの接続点にスイッチする。50Hzは、DC−ACインバータ362の出力周波数である。本実施の形態では、50Hzとしたが、任意の周波数を設定することができる。残りのIGBT915及びIGBT919は、DC−ACインバータ362の出力に応じてスイッチングを行う。そして、IGBT915及びIGBT919の対は、IGBT928及びIGBT932の対との組にてインバータ出力を生成し、負荷であるヒータ332へトライアック950、960、970、980を導通させることにより電流を流す。IGBT915及びIGBT919の上下対は、排他的タイミングでオンされる。スイッチングされた電圧は、インダクタ948とコンデンサ949で構成されるLCフィルタにより、スイッチング周波数成分の高周波成分を除去され、50Hzの正弦波として、トライアック950、960、970、980を介して、ヒータ332へ供給される。
【0077】
フォトカプラ907、908、909、910は、東芝製のTLP251に代表されるようなフォトカプラにより絶縁されたゲートドライバICである。フォトカプラ907、908、909、910は、24V電源入力部901、904、921により電力を供給される。24V電源入力部901、904、921は、
図6に示されているものを3つ並置する。24V電源入力部904に関しては、
図5に示されている24V電源入力部512と共通化可能である。残り2つの24V電源入力部901、921は、ハイサイドドライブ回路の絶縁電源であるので夫々絶縁が必要である。ゲートドライブ回路の絶縁電源は各種あり、本実施の形態の方式に限るものではない。フォトカプラ907、908、909、910では、1次側をインバータ制御部164から出力されるPWM信号により、NチャンネルFET903、906、923、925がスイッチングされ、フォトカプラ907、908、909、910の1次側発光ダイオードに電流が流れ、2次側のゲートドライブ回路が駆動される。
【0078】
図22は、PWM信号を出力するインバータ制御部364のブロック図である。
インバータ制御部364は、ASICにより実現することができる。
プリンタエンジン制御部343から送信される信号に従って、PWM出力端子833は、PWM_A信号を出力し、PWM出力端子834は、PWM_B信号を出力し、PWM出力端子835は、PWM_C信号を出力し、PWM出力端子836は、PWM_D信号を出力し、PWM出力端子837は、G_A4信号を出力し、PWM出力端子838は、G_A3信号を出力し、PWM出力端子839は、G_A2信号を出力し、PWM出力端子840は、G_A1信号を出力する。プリンタエンジン制御部343からは、例えば、各ヒータ332に電圧の印加を開始することを示す信号、各ヒータ332に印加する電圧を上げることを示す信号、又は、各ヒータ332に印加する電圧を下げることを示す信号が出力される。波形記憶部365には、各ヒータに印加する最低出力の電圧から、最高出力の電圧に至るまでの予め定められた数の電圧の各々に対応するPWM_A信号、PWM_B信号、PWM_E信号又はPWM_F信号のデューティ比を示す波形情報が記憶されている。インバータ制御部364は、プリンタエンジン制御部343から送信される信号に従って、波形記憶部365に記憶されている波形情報に従って、PWM_A信号、PWM_B信号、PWM_E信号又はPWM_F信号の波形を特定して、対応するPWM出力端子から出力する。本実施の形態では、インバータ側にASICを設けたがプリンタエンジン制御部343の大規模集積回路から直接PWM信号が出力される等の構成であってもよい。
G_A1信号、G_A2信号、G_A3信号及びG_A4信号は、スイッチ367に設けられているトライアック950、960、970、980をオンするためのゲートパルスを出力する際に、フォトトライアック954、964、974、984へ出力する信号である。プリンタエンジン制御部343から、各ヒータ332に印加する電圧を上げることを示す信号又は各ヒータ332に印加する電圧を下げすることを示す信号が出力されると、インバータ制御部364は、G_A1信号、G_A2信号、G_A3信号又はG_A4信号を出力するタイミングを変更することで、各ヒータ332に印加される電圧を上げ下げする。言い換えると、プリンタエンジン制御部343から送信される信号に従って、DC−ACインバータ362からの出力の周期に同期したゲートパルスが出力される。
【0079】
図23(A)〜(D)は、DC−ACインバータ362から出力される電圧の波形を示す模式図である。
図23(D)は、交流出力実効値AC100Vの波形を示し、ピークは141Vである。
図23(C)は、交流出力実効値AC70Vの波形を示し、
図23(B)は、交流出力実効値AC50Vの波形を示し、
図23(D)は、交流出力実効値AC25Vの波形を示す。
インバータ制御部364は、スイッチング部363を制御することで、AC出力の周波数を一定とし、その振幅を可変してヒータ332の発熱を制御する。ここで、ハロゲンヒータにより構成されるヒータ332は、冷えた状態で通電を開始すると抵抗値が低く突入電流が大きくなるので、インバータ制御部364は、ヒータ332をウェイクアップする場合に、AC電圧が低い所から徐々に電圧を上げる制御を行う。ここで、インバータ制御部364は、プリンタエンジン制御部343から各ヒータ332への電圧の印加を開始する指示の入力を受けた場合に、ヒータ332をウェイクアップする。そして、インバータ制御部364は、例えば、
図23(A)に示されている波形から、徐々に
図23(D)に示されている波形になるように、スイッチング部363を制御する。このような制御は従来の位相角制御と同様な考えであり、従来の位相角制御で180度全てオンにする制御が、本実施の形態でのインバータ出力AC100Vに相当し、位相角126度でオンにする制御がAC70Vに相当し、位相角90度でオンにする制御がAC50Vに相当し、位相角45度でオンにする制御がAC25Vに相当する。実際の回路動作では完全に等価にはならないが、適宜実験、計算等により補正して運用することは容易である。ヒータ制御については公知であるのでここでは正弦波電圧を可変する方法について記述する。
インバータ制御部364は、プリンタエンジン制御部343から各ヒータ332への電圧を上げることを示す信号又はそれを下げることを示す信号を受けた場合には、G_A1信号、G_A2信号、G_A3信号又はG_A4信号を出力するタイミングを変更することで、各ヒータ332に印加する電圧を変える。
【0080】
図24(A)〜(E)は、インバータ制御部364から出力されるPWM信号のタイミングチャートを表す模式図である。
図24(A)〜(E)は、正弦波のインバータ出力を得る為のPWM波形を示している。
図24(A)及び(B)に示すように、出力周波数を決定するPWM_D信号及びおよびPWM_C信号は50Hzの矩形波となる。
図24(C)及び(D)に示すように、出力の振幅を決定するPWM_A信号及びPWM_B信号は、50Hzよりも大きな周波数となる。
図24では、簡略的に示す為に、PWM_A信号及びPWM_B信号は、1.8kHz(周期555.6μsec)で示されている。実際には、PWM_A信号及びPWM_B信号は、可聴域を超える20kHz以上が適している。しかしながら、周波数が高くなる程、損失が増えるので、PWM_A信号及びPWM_B信号の周波数は、選択デバイス及び出力に応じて最適値が決定される。本実施の形態では、
図24においては、1.8kHzで説明するが、20kHzの場合についても補助的に説明する。本実施の形態においては、スイッチング部363にIGBT915、919、928、932が用いられているため、20kHzとしたが、GaN FET等が用いられている場合には、もっと高い周波数が選択可能である。
【0081】
IGBT915及びIGBT919のハイサイド及びローサイドの対に出力する矩形波には、
図24(E)に示されているように、1μsecのデッドタイムが設けられている。デッドタイムは、スイッチング周波数によらず一定としている。PWM信号のデューティ比は、
図25の表に示すように正弦波1周期を36の区間に分割し、SIN関数により決定される。
図24及び
図25では、1.8kHzで示しているが、20kHzとした場合に、半周期は10msec、200サイクルとなるので、上述した(1)式により求められた値をテーブルとして保持しておき、デューティ比が決定されればよい。
(1)式で求められるSIN値は、ピークで390Vとなる正弦波生成時のデューティ比であるので、これに必要な電圧となるように係数を乗算する。例えば、AC100Vを出力する場合なら0.362(=141÷390)を乗じる。これが、
図11の表のDutyの列に示されている値である。このDutyの列に示されている値は、テーブルとして保持されていてもよく、また、適宜演算により求められてもよい。
20kHzでは上記式となるが、模式図ではピークでSIN値が0.362となるように、上記の(2)式を用いて求めた。
ヒータ332に印加される正弦波は、歪率が出力に与える影響を無視してもよいので、適宜実装に応じてテーブル値の有効桁数、演算のbit数等を削減しても問題ない。
【0082】
図26の表及び
図27の模式図は、AC50V(DCピーク70.5V)、AC25V(DCピーク35.25V)の場合のデューティ比とタイミングを示す図である。PWM_A信号及びPWM_B信号がAC50Vの出力波形、PWM_E信号及びPWM_F信号がAC25Vの出力波形となる。
【0083】
図28(A)〜(C)は、トライアック980に入力されるゲートパルスとDC−ACインバータ362のPWM信号の波形のタイミングを示した模式図である。
トライアック980には、インバータ出力正弦波の半周期毎に、オンする場合は、ゲートパルスが入力される。
また、インバータ出力周期と同期しているPWM_D信号又はPWM_C信号のエッジで、ゲートパルスが出力されるように、スイッチ367Dは制御される。これにより、インバータ出力正弦波のゼロクロス点からヒータ332へ導通するように、スイッチ367Dは制御される。従って、ヒータ332Dへの突入電流が抑えられ、DC−ACインバータ362を構成するIGBT915、919、928、932に流れるピーク電流が抑制される。以上に説明したように、インバータ出力正弦波の振幅を徐々に上げる制御と組み合わせればハロゲンヒータの初期通電時の突入電流はほぼ抑制される。
【0084】
図29(A)〜(I)は、各トライアック950、960、970、980のゲートパルスのタイミング及びヒータ332に印加される電圧の波形を示す模式図である。
1400Wのヒータ332Dへ通電するときには、他のトライアック950、960、970はオフされ、排他的に導通される。これによりインバータ負荷は最大1400Wに制限される。また、1000Wのヒータ332Cのオン信号であるG_A2信号も排他的にオンされる。さらに、700Wのヒータ332Bと500Wのヒータ332Aとは、
図29(F)〜(I)に示されているように、G_A3信号とG_A4信号で同時にオンすることも可能である。このタイミングは説明のためのものであり、画像形成装置300の印宇状態に応じてプリンタエンジン制御部343によりトライアック950、960、970、980が選択的にオンされる。
【0085】
画像形成装置300は、本実施の形態のように、発熱長が異なるヒータ332を実装した場合に、用紙サイズによって選択点灯することとなる。ヒータ332への印加電力は、商用電源CPA、CPBをDC−ACインバータ362により変換され、ヒータ332の点灯パターンによらず力率が1に近い状態に消費電流が平均化される。よって、ヒータ332へ印加する電圧が間欠的であってもフリッカ等を生じさせることがない。さらに、インバータ出力1チャンネルに対してトライアック950、960、970、980を用いて複数のヒータ332への導通を制御することにより、DC−ACインバータ362を複数設ける必要がない。また、トライアック950、960、970、980の導通をDC−ACインバータ362からの出力のゼロクロス点にて行うことにより、インバータ負荷の急激な変動を抑えることができる。
【0086】
図30は、本実施の形態におけるプリンタエンジン制御部343によるDC−ACインバータ362の制御を示すフローチャートである。
図30に示されているフローは、ヒータ332Dの温度を制御する場合を例に示すが、他のヒータ332A、332B、332Cであっても同様である。
なお、
図30に示すフローは、画像形成装置300の電源がONされた際に開始される。
【0087】
画像形成装置300の電源がONにされると、プリンタエンジン制御部343は、インバータ制御部364に対して、ヒータ332への電圧の印加を開始するように指示する(S20)。このような指示を受けたインバータ制御部364は、波形記憶部365に記憶されている波形情報を参照して、最も振幅の小さい正弦波から順に、徐々に振幅の大きい正弦波となるように、PWM信号をPWM出力端子833、834から出力させる。なお、インバータ制御部364は、PWM出力端子835、836からは、DC−ACインバータ362から出力する交流電圧の周波数に対応する矩形波のPWM信号を出力させる。
【0088】
次に、プリンタエンジン制御部343は、ヒータ332Dの温度を計測するためのサーミスタ331からの検出値に基づいて、ヒータ332Dの温度t1が、目標として予め定められた温度t1#よりも大きいか否かを判断する(S21)。温度t1が閾値となる温度t1#よりも大きい場合(S21でYes)には、処理はステップS22に進み、温度t1が閾値となる温度t1#以下である場合(S21でNo)には、処理はステップS23に進む。
【0089】
ステップS22では、プリンタエンジン制御部343は、ヒータ332Dに印加する電圧を低くするように、インバータ制御部364に対して指示する。このような指示を受けたインバータ制御部364は、単位時間あたりにスイッチ367Dをオンにする回数を減らすことで、ヒータ332Dに印加する電圧を下げる。
【0090】
ステップS23では、プリンタエンジン制御部343は、ヒータ332Dの温度を計測するためのサーミスタ331からの検出値に基づいて、ヒータ332Bの温度t1が、目標として予め定められた温度t1#よりも低いか否かを判断する。温度t1が閾値となる温度t1#よりも低い場合(S23でYes)には、処理はステップS24に進み、温度t1が閾値となる温度t1#以上である場合(S23でNo)には、処理はステップS21に戻る。
【0091】
ステップS24では、プリンタエンジン制御部343は、ヒータ332Dに印加する電圧を高くするように、インバータ制御部364に対して指示する。このような指示を受けたインバータ制御部364は、単位時間あたりにスイッチ367Dをオンにする回数を増やすことで、ヒータ332Dに印加する電圧を上げる。
【0092】
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置300は、商用電源CPA、CPBの入力電圧によらずDC−ACインバータ362によりヒータ332への電力を制御するとともに、DC−ACインバータ362からの出力をトライアック950、960、970、980によりゼロクロス点にてオンしている。これにより、伝導ノイズレベルが低くなり、力率改善回路161によりフリッカも生じないという効果を得ることができる。
【0093】
実施の形態4.
(構成の説明)
図1に示されているように、実施の形態4に係る画像形成装置400の構成は、実施の形態3に係る画像形成装置300と同様である。
【0094】
図2に示されているように、実施の形態4に係る画像形成装置400は、低圧電源460において、実施の形態3に係る画像形成装置300と異なっている。
【0095】
図19に示されているように、実施の形態4における低圧電源460は、力率改善回路161と、DC−ACインバータ462と、DC−DCコンバータ166とを備える。実施の形態4における低圧電源460は、DC−ACインバータ462において、実施の形態3における低圧電源360と異なっている。
【0096】
実施の形態4におけるDC−ACインバータ462は、スイッチング部363と、インバータ制御部464と、波形記憶部465と、スイッチ367とを備える。実施の形態4におけるDC−ACインバータ462は、インバータ制御部264及び波形記憶部265において、実施の形態3におけるDC−ACインバータ362と異なっている。
【0097】
インバータ制御部464は、プリンタエンジン制御部343からの信号に応じて、PWM信号をスイッチング部363に出力することで、DC−ACインバータ462から出力される電圧を制御する。なお、実施の形態4におけるインバータ制御部464は、出力するPWM信号の波形において、実施の形態3におけるインバータ制御部364と異なっている。
なお、実施の形態4におけるインバータ制御部464も、
図22に示されているようなロジック回路831により構成される。
【0098】
波形記憶部465は、インバータ制御部464から出力するPWM信号の波形を特定する波形情報を記憶する。
【0099】
(動作の説明)
以下に実施の形態4における動作を説明する。実施の形態3と同様な部分については説明を省略する。
図31は、実施の形態4におけるDC−ACインバータ462からの出力波形を示す模式図である。
実施の形態3では、AC出力電圧の振幅を可変してAC出力電圧の実効値を制御したが、実施の形態4では、振幅のピークは一定とし、正弦波の出力幅を可変することにより実効値を可変している。言い換えると、DC−ACインバータ462からの出力周波数は50Hzのままとし、正弦波の半サイクルの周期内において、正弦波の波形を、50Hzよりも高い周波数のものにすることで、実効値を下げている。このような制御は、波形記憶部465に記憶されている波形情報で示されるデューティ比に基づいて、インバータ制御部464から出力するPWM信号を変更することにより行うことができる。
【0100】
図32は、インバータ制御部464から出力するPWM信号のデューティ比の一例を示すテーブルである。
図33(A)〜(F)は、インバータ制御部264から出力するPWM信号のタイミングチャートを示す模式図である。
図32及び
図33は、実施の形態1と同様に、PWM信号の周波数が1.8kHzとなるようにしているが、その周波数は、20kHzであってもよい。
図33は、出力実効値AC70V及びAC30V双方の場合を示す。実施の形態4でも、テーブル又は演算を用いることによりAC実効値をAC0V〜100Vに可変制御可能である。
【0101】
実施の形態3と同様に、ヒータ332への通電初期時は、突入電流が大きくなるので、例えば、
図31(C)に示されているような電圧から
図31(A)に示されているような電圧へと徐々に電圧が高くなるように、インバータ制御部364は制御を行う。
また、立ち上げ時のみ、実施の形態3に示されている振幅可変制御もさらに行うことも可能である。このような制御は、上述したテーブルで示されているデューティ比に予め定められた値を乗算して制御すれば容易に実現可能である。
さらに、実施の形態3に記載された制御と、実施の形態4に記載された制御を組み合わせることも可能である。
【0102】
実施の形態4においては、正弦波電圧の幅を可変して制御しているが、正弦波電圧の幅を一定にして、IGBT928及びIGBT932の対に印加する矩形波の周期を可変することにより印加実効値を可変することも可能である。そのような制御を行うと、従来の波数制御と同様な効果を得ることが可能となると同時に、力率改善回路161を介しているため、フリッカ等の影響は皆無となる。本実施の形態でも、実施の形態3と同様に、複数のトライアック950、960、970、980を選択的にオンすることにより各ヒータ332の温度を制御する。
【0103】
以上のように、実施の形態4においては、DC−ACインバータ462から出力される電圧のピーク電圧を等しくして、実効値を可変することによりヒータ332への印加電圧による特性変動を回避することができる。
【0104】
従来の画像形成装置では、商用電源からの電圧を直接ヒータに印加しているため、電源電圧に応じたヒータが必要となり、装置の共通化の妨げとなっていた。さらに、商用電源の電圧変動の影響がヒータの出力に影響を与えており、近年の省エネ化に対応するため、定着ローラの熱容量を少なくした場合に、画像形成装置の印字品質に影響を及ぼすことがあった。
以上に記載した実施の形態では、商用電源からの電圧を力率改善回路161で直流に変換し、DC−ACインバータ162、262、362、462で所望の交流に変換しているため、装置の共通化及び省エネ化を促進することができる。
【0105】
以上に記載した実施の形態1〜4では、カラーの画像形成装置100、200、300、400を例に説明したが、モノクロの画像形成装置であってもよい。
また、実施の形態1〜4では、ハロゲンヒータで説明したが、セラミックヒータ等他のヒータであってもよい。