特許第6348832号(P6348832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6348832部品実装装置、表面実装機、及び部品厚み検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348832
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】部品実装装置、表面実装機、及び部品厚み検出方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20180618BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   H05K13/04 B
   H05K13/08 Q
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-251799(P2014-251799)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-115754(P2016-115754A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲村 誠司
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−124293(JP,A)
【文献】 特開2010−169584(JP,A)
【文献】 特開2007−123807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30;13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品をその上方から吸着口に吸着する吸着部を備え、前記吸着部で吸着した前記部品を基板に実装する部品実装装置であって、
前記吸着部と前記吸着部に吸着された前記部品とを側方から撮像する撮像部と、
前記吸着部と前記撮像部とを制御する制御部と、を備え、
前記吸着部は、前記吸着口を有するノズル部と、前記ノズル部より上側に位置し前記ノズル部よりも外方に突出する円板部とを有し、
前記円板部の下面の端縁は、前記吸着部の特徴部であり、
前記制御部は、前記吸着部の前記特徴部及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部が前記撮像部の同一の撮像視野内に収まるか否かを判断する第1判断処理を少なくとも実行する判断処理部と、前記吸着部と前記吸着部に吸着された前記部品との少なくとも一方を前記撮像部で撮像する撮像処理を実行する撮像処理部と、前記吸着部に吸着された前記部品の上下方向の厚みを算出する算出処理を実行する算出処理部と、を有し、
前記撮像処理部は、前記判断処理部が前記第1判断処理で前記吸着部の前記特徴部及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部が前記撮像部の同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、前記吸着部の前記特徴部を含む第1の画像及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部を含む第2の画像を、前記吸着部と前記撮像部との上下方向における相対位置を変化させて前記撮像部で撮像する前記撮像処理を実行し、
前記算出処理部は、前記判断処理部が前記第1判断処理で前記吸着部の前記特徴部及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部が前記撮像部の同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、前記撮像処理で撮像された前記第1の画像から検出される前記吸着部の前記特徴部の高さ位置と、前記吸着口と前記吸着部の前記特徴部との間の距離と、前記撮像処理で撮像された前記第2の画像から検出される前記吸着部に吸着された前記部品の下端部の高さ位置と、前記撮像処理で変化された前記相対位置の変化距離と、に基づいて前記算出処理を実行する部品実装装置。
【請求項2】
記憶部を有し、
前記記憶部は、前記算出処理にて前記部品の上下方向の厚みの算出に使用される、前記吸着口と前記吸着部の前記特徴部との間の距離に関するデータを記憶する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記判断処理部は、前記第1判断処理で前記吸着部の前記特徴部及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部が前記撮像部の同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、その第1判断処理を実行したときの吸着部が前回の第1判断処理を実行したときの吸着部と同一であるか否かを判断する第2判断処理をさらに実行し、
前記制御部は、記憶部を有し、前記判断処理部が前記第2判断処理で前記吸着部が同一でないと判断した場合、前記撮像処理部が前記撮像処理で前記第1の画像を撮像した後に該第1の画像から検出される前記特徴部の高さ位置に関する情報を前記記憶部に記憶させるとともに、前記判断処理部が前記第2判断処理で前記吸着部が同一であると判断した場合、前記記憶部に記憶された前記特徴部の高さ位置に関する情報を読み出し、
前記撮像処理部は、前記判断処理部が前記第1判断処理で前記特徴部及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部が前記撮像部の同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合であっても、前記判断処理部が前記第2判断処理で前記吸着部が同一であると判断したことを条件として、前記第2の画像のみを前記撮像部で撮像する前記撮像処理を実行する、請求項1又は請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記吸着部を上下方向に昇降させるとともに前記制御部によって制御される昇降部をさらに備え、
前記撮像処理部は、前記判断処理部が前記第1判断処理で同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、前記撮像処理では、前記昇降部を制御して前記吸着部を上下方向に昇降させることで前記相対位置を変化させ、
前記算出処理部は、前記判断処理部が前記第1判断処理で同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、前記昇降部で昇降された前記吸着部の昇降距離を前記変化距離として前記算出処理を実行する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の部品実装装置と、
前記部品実装装置に前記部品を供給する部品供給装置と、
前記基板を搬送方向に搬送する基板搬送の装置と、
を備える表面実装機。
【請求項6】
部品をその上方から吸着口に吸着する吸着部と、前記吸着部と前記吸着部に吸着された前記部品とを側方から撮像する撮像部と、を備え、前記吸着部は、前記吸着口を有するノズル部と、前記ノズル部より上側に位置し前記ノズル部よりも外方に突出する円板部とを有し、前記円板部の下面の端縁は、前記吸着部の特徴部であり、前記吸着部で吸着した前記部品を基板に実装する部品実装装置において、前記吸着部に吸着された前記部品の上下方向の厚みを検出する部品厚み検出方法であって、
前記吸着部の前記特徴部と前記吸着部に吸着された前記部品の下端部とが前記撮像部の同一の撮像視野内に収まるか否かを判断する判断工程と、
前記吸着部と前記撮像部との上下方向における相対位置を変化させることで、前記吸着部の前記特徴部を含む第1の画像及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部を含む第2の画像を、前記吸着部と前記撮像部との上下方向における相対位置を変化させて前記撮像部でそれぞれ撮像する撮像工程と、
前記判断工程で前記吸着部の前記特徴部と前記吸着部に吸着された前記部品の下端部とが前記撮像部の同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、前記撮像工程で撮像された前記第1の画像から検出される前記吸着部の前記特徴部の高さ位置と、前記吸着口と前記吸着部の前記特徴部との間の距離と、前記撮像工程で撮像された前記第2の画像から検出される前記吸着部に吸着された前記部品の下端部の高さ位置と、前記撮像工程で変化された前記相対位置の変化距離と、に基づいて前記吸着部に吸着された前記部品の上下方向の厚みを算出する算出工程と、を備える部品厚み検出方法。
【請求項7】
前記算出工程において、前記吸着口と前記吸着部の前記特徴部との間の距離は、前記部品実装装置の記憶部から読み出したデータを使用する、請求項6に記載の部品厚み検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、部品実装装置、その部品実装装置を備える表面実装機、及び部品厚み検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を吸着する吸着ノズルを備え、吸着ノズルで吸着した電子部品をプリント基板上に実装する部品実装装置が知られている。この種の部品実装装置では、吸着ノズルで電子部品を吸着する際、吸着ずれや吸着ミスが生じることがある。このような吸着ずれや吸着ミスが生じると、プリント基板に対する電子部品の実装精度が低下する虞がある。このため、吸着ノズルに吸着された電子部品の吸着状態を確認することが必要とされる。
【0003】
下記特許文献1には、吸着ノズルの下端部に吸着された電子部品の吸着状態を検査するための吸着状態検査装置が開示されている。この吸着状態検査装置は、吸着ノズルに吸着された電子部品の側面を撮像する側面撮像用カメラを備えており、側面撮像用カメラで撮像した電子部品の下端部の高さ位置と、側面撮像用カメラで撮像した吸着ノズルの一部に設けられた特徴部分の高さ位置と、吸着ノズルの下端部に対する上記特徴部分の位置関係とに基づいて、吸着ノズルの下端部から電子部品の下端部までの距離を演算する。そして、この演算により得られた上記距離、即ち電子部品の厚みに基づいて電子部品の吸着状態を検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4331054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記側面撮像用カメラのような電子部品の側面を撮像する撮像部を備える部品実装装置では、電子部品の厚みが大きい場合や電子部品が傾いた状態で吸着ノズルに吸着された場合など、電子部品の大きさや吸着ノズルの吸着態様によっては、電子部品の下端部と吸着ノズルの一部とが側面撮像用カメラの同一の撮像視野内に収まらないことがある。この場合、吸着ノズルに吸着された電子部品の厚みを良好な精度で算出することができず、電子部品の厚みの算出精度が低下する虞がある。また、電子部品の下端部と吸着ノズルの一部とを同レベルの解像度で同一の撮像視野内に収めるためには、より画素数の多い高額なカメラを設ける必要がある。
【0006】
上記特許文献1に開示される吸着状態検査装置では、このように電子部品の下端部と特徴部分が設けられた吸着ノズルの一部とが側面撮像用カメラの同一の撮像視野内に収まらない場合、電子部品の側面を撮像する二台のカメラを用いて、電子部品の下端部と吸着ノズルの特徴部分とをそれぞれ撮像する。しかしながら、このように電子部品の側面を撮像するための複数のカメラを備える構成とすると、装置の構成が複雑なものとなり、また、装置コストが嵩んでしまう。
【0007】
本明細書で開示される技術は、上記の課題に鑑みて創作されたものであって、簡単な構成で、吸着部に吸着された部品の厚みの算出精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示される技術は、部品をその上方から吸着口に吸着する吸着部を備え、前記吸着部で吸着した前記部品を基板に実装する部品実装装置であって、前記吸着部と前記吸着部に吸着された前記部品とを側方から撮像する撮像部と、前記吸着部と前記撮像部とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記吸着部の一部及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部が前記撮像部の同一の撮像視野内に収まるか否かを判断する第1判断処理を少なくとも実行する判断処理部と、前記吸着部と前記吸着部に吸着された前記部品との少なくとも一方を前記撮像部で撮像する撮像処理を実行する撮像処理部と、前記吸着部に吸着された前記部品の上下方向の厚みを算出する算出処理を実行する算出処理部と、を有し、前記撮像処理部は、前記判断処理部が前記第1判断処理で前記吸着部の一部及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部が前記撮像部の同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、前記吸着部の前記一部を含む第1の画像及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部を含む第2の画像を、前記吸着部と前記撮像部との上下方向における相対位置を変化させて前記撮像部で撮像する前記撮像処理を実行し、前記算出処理部は、前記判断処理部が前記第1判断処理で前記吸着部の一部及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部が前記撮像部の同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、前記撮像処理で撮像された前記第1の画像から検出される前記吸着部の前記一部の高さ位置と、前記吸着口と前記吸着部との間の距離と、前記撮像処理で撮像された前記第2の画像から検出される前記吸着部に吸着された前記部品の下端部の高さ位置と、前記撮像処理で変化された前記相対位置の変化距離と、に基づいて前記算出処理を実行する部品実装装置に関する。
【0009】
上記の部品実装装置では、吸着部に吸着された部品が撮像部の同一の撮像視野内に収まらない場合、即ち判断処理部が第1判断処理で収まらないと判断した場合、撮像処理部は、撮像部と吸着部との上下方向における相対位置を変化させて上記第1の画像及び上記第2の画像を撮像部で撮像する撮像処理を実行する。ここで、吸着部に部品が吸着された状態では、部品の上端部の高さ位置は吸着部の吸着口の高さ位置に等しい。このため、制御部の判断処理部が第1判断処理で収まらないと判断した場合に実行される算出処理では、算出処理部は、第1の画像から検出される吸着部の一部の高さ位置と、吸着口と吸着部の一部との間の距離と、から部品の上端部の高さ位置を算出することができる。
【0010】
また、第1の画像の撮像位置と第2の画像の撮像位置は上記相対位置の変化距離の分だけ上下方向にずれているので、上記算出処理では、算出処理部は、第1の画像から検出される部品の上端部の高さ位置と、上記相対位置の変化距離とから、第2の画像を基準とした場合の部品の上端部の高さ位置を算出することができる。そして上記算出処理では、算出処理部は、第2の画像を基準とした場合の部品の上端部の高さ位置と、第2の画像から検出される部品の下端部の高さ位置と、から吸着部に部品が吸着された状態における部品の上端部の高さ位置と部品の下端部の高さ位置との差、即ち部品の厚みを算出することができる。
【0011】
このように上記の部品実装装置では、吸着部に吸着された部品が撮像部の同一の撮像視野内に収まらないような厚みや吸着態様であっても、部品の側面を撮像するために複数の撮像部を用いることなく、一つの撮像部を用いるのみで、吸着部に吸着された部品の厚みを良好な精度で算出することができる。このため上記の部品実装装置では、簡単な構成で、吸着部に吸着された部品の厚みの算出精度を高めることができる。
【0012】
上記の部品実装装置において、前記吸着部の前記一部は、前記吸着口の上方において該吸着口から離間した位置に設けられた固有の特徴部を含み、前記判断処理部は、前記特徴部に対して前記第1判断処理を実行し、前記撮像処理部は、前記特徴部に対して前記撮像処理を実行し、前記算出処理部は、前記特徴部に対して前記算出処理を実行してもよい。
【0013】
例えば吸着部の上記一部が吸着部の吸着口である場合、部品の大きさや部品の吸着態様によっては、制御部が第1の画像から吸着口を直接的に認識できず、第1の画像から吸着口の高さ位置を検出できないことがある。上記の構成によると、特徴部が吸着口の上方において吸着口から離間した位置に設けられているので、制御部は、部品の大きさや部品の吸着態様に拘わらず、第1の画像から特徴部を認識することができるとともにその高さ位置を検出することができる。その結果、算出処理部は、第1の画像から部品の上端部の高さ位置を良好な精度で算出することができる。このため上記の構成では、算出処理における算出精度を高めることができる。
【0014】
上記の部品実装装置において、前記判断処理部は、前記第1判断処理で前記吸着部の一部及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部が前記撮像部の同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、その第1判断処理を実行したときの吸着部が前回の第1判断処理を実行したときの吸着部と同一であるか否かを判断する第2判断処理をさらに実行し、前記制御部は、記憶部を有し、前記判断処理部が前記第2判断処理で前記吸着部が同一でないと判断した場合、前記撮像処理部が前記撮像処理で前記第1の画像を撮像した後に該第1の画像から検出される前記特徴部の高さ位置に関する情報を前記記憶部に記憶させるとともに、前記判断処理部が前記第2判断処理で前記吸着部が同一であると判断した場合、前記記憶部に記憶された前記特徴部の高さ位置に関する情報を読み出し、前記撮像処理部は、前記判断処理部が前記第1判断処理で前記吸着部の一部及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部が前記撮像部の同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合であっても、前記判断処理部が前記第2判断処理で前記吸着部が同一であると判断したことを条件として、前記第2の画像のみを前記撮像部で撮像する前記撮像処理を実行してもよい。
【0015】
判断処理部が今回の第1判断処理を実行したときの吸着部が前回の第1判断処理を実行したときの吸着部と同一である場合、その吸着部の上記一部の高さ位置は以前実行された第1判断処理の後に既に検出されている。上記の構成では、吸着部が前回と同一である場合、前回の第1判断処理の後に上記一部の高さ位置に関する情報が記憶されるため、上記一部の高さ位置に関する情報を読み出すことで、前回と同一と判断された吸着部について第1の画像を再び撮像しなくとも、その吸着部について上記一部の高さ位置を検出することができる。このため、撮像処理部が第2の画像のみを撮像部で撮像することで、算出処理部が部品の厚みを算出することができ、吸着部に吸着された部品の厚みを算出する際のタクトロスを低減することができる。
【0016】
上記の部品実装装置は、前記吸着部を上下方向に昇降させるとともに前記制御部によって制御される昇降部をさらに備え、前記撮像処理部は、前記判断処理部が前記第1判断処理で同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、前記撮像処理では、前記昇降部を制御して前記吸着部を上下方向に昇降させることで前記相対位置を変化させ、前記算出処理部は、前記判断処理部が前記第1判断処理で同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、前記昇降部で昇降された前記吸着部の昇降距離を前記変化距離として前記算出処理を実行してもよい。
【0017】
これによると、昇降部が制御部によって制御されて吸着部が上下方向に昇降することで、撮像処理で上記相対位置を変化させるための具体的な構成を提供することができ、算出処理では、昇降された吸着部の昇降距離を上記変化距離として用いることができる。
【0018】
本明細書で開示される他の技術は、上記の部品実装装置と、前記部品実装装置に前記部品を供給する部品供給装置と、前記基板を搬送方向に搬送する基板搬送装置と、を備える表面実装機に関する。
【0019】
本明細書で開示される他の技術は、部品をその上方から吸着口に吸着する吸着部と、前記吸着部と前記吸着部に吸着された前記部品とを側方から撮像する撮像部と、を備え、前記吸着部で吸着した前記部品を基板に実装する部品実装装置において、前記吸着部に吸着された前記部品の上下方向の厚みを算出する部品厚み検出方法であって、前記吸着部の一部と前記吸着部に吸着された前記部品の下端部とが前記撮像部の同一の撮像視野内に収まるか否かを判断する判断工程と、前記吸着部と前記撮像部との上下方向における相対位置を変化させることで、前記吸着部の前記一部を含む第1の画像及び前記吸着部に吸着された前記部品の下端部を含む第2の画像を、前記吸着部と前記撮像部との上下方向における相対位置を変化させて前記撮像部でそれぞれ撮像する撮像工程と、前記判断工程で前記吸着部の一部と前記吸着部に吸着された前記部品の下端部とが前記撮像部の同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、前記撮像工程で撮像された前記第1の画像から検出される前記吸着部の前記一部の高さ位置と、前記吸着口と前記吸着部の前記一部との間の距離と、前記撮像工程で撮像された前記第2の画像から検出される前記吸着部に吸着された前記部品の下端部の高さ位置と、前記撮像工程で変化された前記相対位置の変化距離と、に基づいて前記吸着部に吸着された前記部品の上下方向の厚みを算出する算出工程と、を備える部品厚み検出方法に関する。
【発明の効果】
【0020】
本明細書で開示される技術によれば、簡単な構成で、吸着部に吸着された部品の厚みの算出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】表面実装機の平面図
図2】ヘッドユニットを正面から視た拡大正面図
図3】吸着ノズルを撮像する際のヘッドユニットを正面から視た拡大正面図
図4】吸着ノズルの拡大正面図
図5】表面実装機の電気的構成を示すブロック図
図6】実施形態1において制御部が実行する処理の流れを示すフローチャート
図7】吸着ノズルに吸着された電子部品が部品側面認識カメラの同一の撮像視野内に収まる場合の、部品厚みの算出方法を説明するための側面図
図8】吸着ノズルに吸着された電子部品が部品側面認識カメラの同一の撮像視野内に収まらない場合の、部品厚みの算出方法を説明するための側面図
図9】実施形態2において制御部が実行する処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
(表面実装機の全体構成)
図面を参照して実施形態1を説明する。本実施形態では、図1に示す表面実装機1について例示する。なお、表面実装機1は、後述する各実施形態において同様の構成とされる。表面実装機1は、基台10と、プリント基板(基板の一例)P1を搬送するための搬送コンベア20と、プリント基板P1上に電子部品(部品の一例)E1を実装するための部品実装装置30と、部品実装装置30に電子部品E1を供給するためのフィーダ型供給装置40等とを備えている。
【0023】
基台10は、平面視長方形状をなすとともに上面が平坦とされる。また、基台10における搬送コンベア20の下方には、プリント基板P1上に電子部品E1を実装する際にそのプリント基板Pをバックアップするための図示しないバックアッププレート等が設けられている。以下の説明では、基台10の長辺方向(図1の左右方向)及び搬送コンベア20の搬送方向をX軸方向とし、基台10の短辺方向(図1の上下方向)をY軸方向とし、基台10の高さ方向(図2の上下方向)をZ軸方向とする。
【0024】
搬送コンベア20は、Y軸方向における基台10の略中央位置に配置され、プリント基板P1を搬送方向(X軸方向)に沿って搬送する。搬送コンベア20は、搬送方向に循環駆動する一対のコンベアベルト22を備えている。プリント基板P1は、両コンベアベルト22に架設する形でセットされるようになっている。本実施形態では、プリント基板P1は、搬送方向の一方側(図1で示す右側)からコンベアベルト22に沿って基台10上の作業位置(図1の二点鎖線で囲まれる位置)に搬入され、作業位置で停止して電子部品E1の実装作業がされた後、コンベアベルト22に沿って他方側(図1で示す左側)に搬出されるようになっている。
【0025】
フィーダ型供給装置40は、搬送コンベア20の両側(図1の上下両側)においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。これらのフィーダ型供給装置40には、複数のフィーダ42が横並び状に整列して取り付けられている。各フィーダ42は、複数の電子部品E1が収容された部品供給テープ(不図示)が巻回されたリール(不図示)、及びリールから部品供給テープを引き出す電動式の送出装置(不図示)等を備えており、搬送コンベア側に位置する端部から電子部品E1が一つずつ供給されるようになっている。
【0026】
部品実装装置30は、基台10及びフィーダ型供給装置40等の上方に設けられる一対の支持フレーム31と、ヘッドユニット32と、ヘッドユニット32を駆動するヘッドユニット駆動機構とから構成される。各支持フレーム31は、それぞれX軸方向における基台10の両側に位置しており、Y軸方向に延びている。支持フレーム31には、ヘッドユニット駆動機構を構成するX軸サーボ機構及びY軸サーボ機構が設けられている。ヘッドユニット32は、X軸サーボ機構及びY軸サーボ機構によって、一定の可動領域内でX軸方向及びY軸方向に移動可能とされている。
【0027】
Y軸サーボ機構は、Y軸方向に延びる形で各支持フレーム31に設置されたY軸ガイドレール34Yと、Y軸方向に延びる形で各Y軸ガイドレール34Yに取り付けられ、図示しないボールナットが螺合されたY軸ボールねじ36Yと、Y軸ボールねじ36Yに付設されたY軸サーボモータ38Yとを有している。各Y軸ガイドレール34Yには、X軸方向に延びる形でボールナットに固定されたヘッド支持体39が取り付けられている。Y軸サーボモータ38Yが通電制御されると、Y軸ボールねじ36Yに沿ってボールナットが進退し、その結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体39、及び次述するヘッドユニット32がY軸ガイドレール34Yに沿ってY軸方向に移動する。
【0028】
X軸サーボ機構は、X軸方向に延びる形でヘッド支持体に設置されたX軸ガイドレール34X(図2参照)と、X軸方向に延びる形でヘッド支持体39に取り付けられ、図示しないボールナットが螺合されたX軸ボールねじ36Xと、X軸ボールねじ36Xに付設されたY軸サーボモータ38Xとを有している。X軸ガイドレール34Xには、その軸方向に沿ってヘッドユニット32が移動自在に取り付けられている。X軸サーボモータ38Xが通電制御されると、X軸ボールねじ36Xに沿ってボールナットが進退し、その結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット32がX軸ガイドレール34Xに沿ってX軸方向に移動する。
【0029】
ヘッドユニット32は、フィーダ型供給装置40から基台10上に供給される電子部品E1を取り出してプリント基板P1上に実装する。ヘッドユニット32には、図2に示すように、電子部品E1の実装動作を行う実装ヘッド52が列状をなして複数個搭載されている。各実装ヘッド52は、ヘッドユニット32の下面から下向きに突出しており、その先端には電子部品E1を負圧によって吸着する吸着ノズル(吸着部の一例)54がそれぞれ設けられている。なお、各吸着ノズル54は、各実装ヘッド52に対して脱着可能となっている。
【0030】
各実装ヘッド52は、R軸サーボモータ38R(図5参照)等によって軸周りの回転動作が可能とされている。また、各実装ヘッド52は、Z軸サーボモータ38Z(昇降部の一例、図5参照)等の駆動によってヘッドユニット32のフレーム32Aに対して上下方向に昇降可能とされている。従って、Z軸サーボモータ38Zが通電制御されると、実装ヘッド52と共に吸着ノズル54が上下方向に移動し、吸着ノズル54の下端部の高さ位置が変化する。表面実装機1では、これらの各種サーボモータ38X,38Y,38Z,38Rが駆動されることにより、フィーダ型供給装置40から供給される電子部品E1の吸着位置及びプリント基板P1に対する実装位置が最適な位置となるように制御されるようになっている。
【0031】
なお、図2及び図3に示すように、ヘッドユニット32には、基板認識カメラC1が設けられている。基板認識カメラC1は、撮像面を下に向けた状態でヘッドユニット32に固定されており、ヘッドユニット32とともに一体的に移動する構成とされている。このため、上述したX軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を駆動させることで、作業位置に停止したプリント基板P1上の任意の位置の画像を、基板認識カメラC1によって撮像することができる。
【0032】
また、図2に示すように、ヘッド支持体39には、下方に延びるカメラユニット39Cが設けられている。カメラユニット39Cは、ヘッド支持体39に固定されており、その下端部には撮像面を吸着ノズル54側(Y軸方向の一方側、図2の手前側)に向けた状態で、部品側面認識カメラ(撮像部の一例)C2が設けられている。ヘッドユニット32がX軸方向に移動して部品側面認識カメラC2の手前側に位置した状態(図3に示す状態)では、部品側面認識カメラC2は、吸着ノズル54の画像及び吸着ノズル54に吸着された電子部品E1の画像を撮像する。
【0033】
また、図1に示すように、基台10上において、ヘッドユニット32による実装位置の近傍には、2つの部品底面認識カメラC3がそれぞれ固定されている。各部品底面認識カメラC3は、実装ヘッド52によってフィーダ型供給装置40から取り出された電子部品E1の底面の画像を撮像することで、吸着ノズル54に吸着された電子部品E1の実装ヘッド52の軸周りの吸着角度等、各電子部品E1の吸着ノズル54による吸着姿勢を認識する。
【0034】
次に、各吸着ノズル54の構成について詳しく説明する。本実施形態の各吸着ノズル54は、図4に示すように、円板部54Aと、ノズル部54Bとから構成される。円板部54Aは、肉厚な円板状の部位であり、実装ヘッド52に取り付けられる。ノズル部54Bは、円板部54Aの下面に取り付けられ、円板部54Aから下方に向かって縮径する形でノズル状に伸びている。ノズル部54Bの先端部、即ち吸着ノズル54の下端部は吸着口54B1となっており、この吸着口54B1に電子部品E1が吸着される。
【0035】
各吸着ノズル54は、図4に示すように、円板部54Aの下面における端縁に、固有の特徴部54A1を有している。各吸着ノズル54において吸着口54B1の上方に位置するこの特徴部54A1は、吸着された電子部品E1の大きさや吸着態様に拘わらず認識できる目印としての機能を有している。特徴部54A1は、同一種類の吸着ノズル54であっても、各吸着ノズル54の個体差ばらつきによって、吸着ノズル54毎に吸着口54B1に対する位置関係がわずかに異なっている(数μm程度)。
【0036】
ここで本実施形態では、カメラユニット39Cの近傍に、部品側面認識カメラC2によって吸着ノズル54の画像を撮像する際に、吸着ノズル54に対して撮像用の光を照射する図示しないノズル撮像用ライトが設けられている。このノズル撮像用ライトから光を照射することで、部品側面認識カメラC2によって、吸着ノズル54、吸着ノズル54の特徴部54A1、吸着ノズル54に吸着された電子部品E1を明瞭な画像で撮像できるようになっている。
【0037】
(表面実装機の電気的構成)
次に、表面実装機1の電気的構成について、図5を参照して説明する。表面実装機1の本体は制御部70によってその全体が制御統括されている。制御部70はCPU等により構成される演算処理部71を備えている。演算処理部71には、モータ制御部72と、記憶部73と、画像処理部74と、外部入出力部75と、判断処理部76Aと、撮像処理部76Bと、算出処理部76Cと、表示部77と、入力部78と、がそれぞれ接続されている。
【0038】
モータ制御部72は、後述する実装プログラム73Aに従って各ヘッドユニット32のX軸サーボモータ38XとY軸サーボモータ38YとZ軸サーボモータ38ZとR軸サーボモータ38Rとをそれぞれ駆動させる。また、モータ制御部72は、実装プログラム73Aに従って搬送コンベア20を駆動させる。
【0039】
記憶部73は、CPUを制御するプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び装置の動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等から構成されている。記憶部73には、次述する実装プログラム73Aと各種データ73Bとが記憶されている。
【0040】
記憶部73に記憶される実装プログラム73Aには、具体的には、実装対象となるプリント基板P1の生産台数に関する基板情報、プリント基板P1に実装される電子部品E1の個数や種類、厚み等を含む部品情報、各吸着ノズル54による電子部品E1の吸着位置(X軸方向及びY軸方向における吸着位置、電子部品E1の厚みに応じた吸着ノズル54の吸着高さ位置、電子部品E1の大きさや形状に応じた実装ヘッド52の軸周りの回転角度等)に関する吸着位置情報、プリント基板P1上の電子部品E1の実装位置に関する実装位置情報等が含まれている。
【0041】
また、記憶部73に記憶される各種データ73Bには、フィーダ型供給装置40の各フィーダ42に保持された電子部品E1の数や種類に関するデータ、各実装ヘッド52に取り付けられた吸着ノズル54を特定するためのノズル特定データ、各吸着ノズル54について特徴部54A1と吸着口54B1との間の距離(吸着口54B1に対する特徴部54A1の位置関係)に関するデータ、部品側面認識カメラC2の撮像視野の上下方向における幅寸法等に関するデータ等が含まれている。
【0042】
画像処理部74には、各種認識カメラC1,C2,C3から出力される撮像信号がそれぞれ取り込まれるようになっている。画像処理部74では、取り込まれた各種認識カメラC1,C2,C3からの撮像信号に基づいて、基板画像の解析、吸着ノズル画像の解析、電子部品画像の解析がそれぞれ行われるようになっている。
【0043】
外部入出力部75は、いわゆるインターフェースであって、表面実装機1の本体に設けられる各種センサ類75Aから出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部75は、演算処理部71から出力される制御信号に基づいて、表面実装機1の本体に設けられる各種アクチュエータ類75Bに対する動作制御を行うように構成されている。
【0044】
判断処理部76Aは、部品側面認識カメラC2によって吸着ノズル54の画像及び吸着ノズル54に吸着された電子部品E1の画像を撮像する際に、吸着ノズル54の及び電子部品E1の下端部が当該部品側面認識カメラC2の同一の撮像視野内に収まるか否かを判断する。撮像処理部76Bは、吸着ノズル54と吸着ノズル54に吸着された電子部品E1との少なくとも一方を部品側面認識カメラC2で撮像する。算出処理部76Cは、吸着ノズル54に吸着された電子部品E1の上下方向の厚みを算出する。
【0045】
表示部77は、表示画面を有する液晶表示装置等から構成され、表面実装機1の状態等を表示画面上に表示する。入力部78は、キーボード等から構成され、手動による操作によって外部からの入力を受け付けるようになっている。
【0046】
(表面実装機の動作態様)
本実施形態の表面実装機1では、自動運転中において、搬送コンベア20によるプリント基板P1の搬送作業を行う搬送状態と、基台10上の作業位置に搬入されたプリント基板P1上への電子部品E1の実装作業を行う実装状態と、が交互に実行される。
【0047】
本実施形態の表面実装機1では、制御部70は、上記実装作業において電子部品E1を吸着ノズル54によって吸着する毎に、吸着した電子部品E1の厚みを検出する部品厚み検出処理を実行する。制御部70は、この部品厚み検出処理で検出された電子部品E1の厚みと、部品底面認識カメラC3によって撮像された画像から検出される吸着した電子部品E1の実装ヘッド52の軸周りの吸着角度と、X−Y平面における吸着位置とに基づいて、吸着ノズル54に吸着された電子部品E1の吸着状態を確認する。
【0048】
また、各実装ヘッド52に対する吸着ノズル54の交換作業及び取り付け作業は、実装プログラムに従って自動的に行われるか又は作業者によって、上記自動運転の停止中に行われる。本実施形態の表面実装機1では、制御部70は、各実装ヘッド52に取り付けられた吸着ノズル54が別の吸着ノズル54に交換されると、記憶部73に記憶されているノズル特定データを更新する。
【0049】
(部品厚み検出処理)
本実施形態に係る表面実装機1は以上のような構成であって、次に、表面実装機1において制御部70が実行する上記部品厚み検出処理に関する各実施形態を説明する。以下に示す一連の処理は、上述した実装プログラム73Aに従って制御部70が実行する処理である。
【0050】
なお、各電子部品E1の厚みに関する情報は、予め部品情報として記憶部73に記憶されているが、同一種類の電子部品E1であってもその厚みにはわずかな個体差ばらつきがあり、また、吸着態様によっては吸着ノズル54に吸着された電子部品E1の上端部から電子部品E1の下端部までの距離が異なってくる場合もある。このため、電子部品E1の吸着状態を確認するためには、この部品厚み検出処理を実行することによって、吸着ノズル54に吸着された状態の電子部品E1の厚みを良好な精度で算出する必要がある。
【0051】
(実施形態1)
実施形態1の部品厚み検出処理ついて、図6に示すフローチャートを参照して説明する。本実施形態の部品厚み検出処理では、制御部70の判断処理部76Aは、まず、吸着ノズル54及び吸着ノズル54に吸着された実装対象の電子部品E1について、吸着ノズル54の特徴部54A1と電子部品E1の下端部が部品側面認識カメラC2の同一の撮像視野内に収まるか否かを判断する(S2)。
【0052】
具体的には、S2では、判断処理部76Aは、記憶部73に記憶されている電子部品E1の厚みに関する情報、各吸着ノズル54についての特徴部54A1と吸着口54B1との間の距離に関するデータ、及び部品側面認識カメラC2の撮像視野の上下方向における幅寸法をそれぞれ記憶部73から読み出し、これらの情報(以下、「上記各情報」と称する)に基づいてS2の処理を実行する。制御部70の判断処理部76AがS2で実行する処理は、第1判断処理及び判断工程の一例である。
【0053】
ここで、図7に、吸着ノズル54に吸着された電子部品E1が部品側面認識カメラC2の同一の撮像視野IF1内に収まる場合の電子部品E1の吸着状態の一例を示す。また、図8の(A)に、吸着ノズル54に吸着された電子部品E1が部品側面認識カメラC2の同一の撮像視野IF1内に収まらない場合の電子部品E1の吸着状態の一例を示す。
【0054】
例えば吸着ノズル54に吸着された電子部品E1が図7に示すような大きさ及び吸着態様である場合、制御部70の判断処理部76Aは、S2では、上記各情報に基づいて、電子部品E1の厚みと特徴部54A1と吸着口54B1との間の距離との和が、部品側面認識カメラC2の撮像視野の上下方向における幅寸法よりも小さいことを算出し、その結果から、同一の撮像視野内に収まると判断する。一方、例えば吸着ノズル54に吸着された電子部品E1が図8の(A)に示すような大きさ及び吸着態様である場合、制御部70の判断処理部76Aは、S2では、電子部品E1の厚みと特徴部54A1と吸着口54B1との間の距離との和が、部品側面認識カメラC2の撮像視野の上下方向における幅寸法よりも大きいことを算出し、その結果から、同一の撮像視野内に収まらないと判断する。
【0055】
図6に示すフローチャートの続きを説明する。制御部70の判断処理部76Aは、S2で同一の撮像視野に収まると判断した場合(S2:YES)、S4に移行する。制御部70の判断処理部76Aは、S2で同一の撮像視野に収まらないと判断した場合(S2:NO)、S14に移行する。S4では、制御部70は、S2で記憶部73から読み出した上記各情報に基づいて、吸着ノズル54の特徴部54A1と当該吸着ノズル54に吸着された電子部品E1の下端部とが部品側面認識カメラC2の同一の撮像視野内に収まるように吸着ノズル54を上下方向に移動させることで、吸着ノズル54の高さ位置を調整し、S6に移行する。なお、S4の処理で吸着ノズル54が移動する移動距離は、上記各情報から得られる電子部品E1の厚みに基づいて予め設定されている。
【0056】
S6では、制御部70の撮像処理部76Bは、吸着ノズル54の特徴部54A1と当該吸着ノズル54に吸着された電子部品E1の下端部とを含む画像を部品側面認識カメラC2によって撮像し、S8に移行する。この画像は、図7に示す例では、図7における撮像視野IF1内の画像に相当する。制御部70の撮像処理部76BがS6で実行する処理は、撮像処理の一例である。
【0057】
S8では、制御部70は、S6で撮像した画像を画像処理部74で解析することで、当該画像から吸着ノズル54の特徴部54A1の高さ位置を検出し、S10に移行する。ここでいう特徴部54A1の高さ位置とは、図7に示す例では符号Z1に相当し、部品側面認識カメラC2の撮像視野(当該画像)の上端部から下方に向かって特徴部54A1に至るまでの距離に基づいて決定される位置情報である。従って、部品側面認識カメラC2の撮像視野(当該画像)の上端部から下方に向かって離れた位置になるほど、高さ位置の値は大きくなる。
【0058】
ここで、吸着ノズル54に電子部品E1が吸着された状態では、電子部品E1の上端部の高さ位置は吸着ノズル54の下端部、即ち吸着ノズル54の吸着口54B1の高さ位置Z2に等しい。このため、制御部70は、上記画像から検出される吸着ノズル54の特徴部54A1の高さ位置Z2と、上記各情報から得られる吸着口54B1に対する特徴部54A1の位置関係と、から電子部品E1の上端部の高さ位置を検出することができる。
【0059】
S10では、制御部70は、電子部品E1の下端部の高さ位置を検出し、S12に移行する。具体的には、制御部70は、S2で判断処理部76Aが同一の撮像視野内に収まると判断した場合、S6で撮像した画像を画像処理部74で解析することで、当該画像から電子部品E1の下端部の高さ位置を検出する。ここでいう電子部品E1の下端部の高さ位置とは、図7に示す例では符号Z2に相当し、特徴部54A1の高さ位置と同様に、部品側面認識カメラC2の撮像視野(当該画像)の上端部から下方に向かって電子部品E1の下端部に至るまでの距離に基づいて決定される位置情報である。なお、電子部品E1が傾いた状態で吸着ノズル54に吸着され、電子部品E1の下端部が傾いている場合、制御部70は、傾いた状態の電子部品E1の下端部のうち最も下端にある位置を電子部品E1の下端部として検出する。
【0060】
S12では、制御部70の算出処理部76Cは、吸着ノズル54に吸着された状態の電子部品E1の厚みを算出し、部品厚み検出処理を終了する。具体的には、制御部70の算出処理部76Cは、S2で判断処理部76Aが同一の撮像視野内に収まると判断した場合、上記各情報と、S8で検出した吸着ノズル54の特徴部54A1の高さ位置と、S10で検出した電子部品E1の下端部の高さ位置と、に基づいて、電子部品E1の厚みを算出する。
【0061】
即ち、S12では、制御部70の算出処理部76Cは、撮像した画像を基準とした電子部品E1の上端部の高さ位置と、画像から検出される電子部品E1の下端部の高さ位置と、から吸着ノズル54に電子部品E1が吸着された状態における電子部品E1の上端部の高さ位置と電子部品E1の下端部の高さ位置との差、即ち電子部品E1の厚みを算出することができる。なお、S2で判断処理部76Aが同一の撮像視野内に収まると判断した場合に制御部70の算出処理部76CがS12で実行する処理は、算出処理の一例である。
【0062】
ここで、制御部70がS2で判断処理部76Aが同一の撮像視野内に収まると判断した場合、制御部70の算出処理部76CがS12で実行する処理の具体例について、図7を参照して説明する。図7における符号L1は、上記各情報に基づくものであり、吸着ノズル54についての特徴部54A1と吸着口54B1との間の距離を示している。上記各情報に基づいて算出される。図7における符号L2は、S12の処理で算出される実装対象である電子部品E1の厚みを示している。図7における符号H1は、上記各情報に基づくものであり、部品側面認識カメラC2の撮像視野IF1の上下方向における幅寸法を示している。
【0063】
電子部品E1が図7に示すような大きさ及び吸着態様である場合、S12では、制御部70の算出処理部76Cは、S10で検出した電子部品E1の下端部の高さ位置Z2からS8で検出した吸着ノズル54の特徴部54A1の高さ位置Z1を減算し、その結果からさらに吸着ノズル54についての特徴部54A1と吸着口54B1との間の距離L1を減算し、その結果を実装対象である電子部品E1の厚みL2として算出する。従って図7に示す例では、電子部品E1の厚みL2を算出するための計算式はZ2−Z1−L1で示される。
【0064】
次に、S2で制御部70が同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合(S2:NO)、制御部70が実行する各処理について説明する。S14では、制御部70は、S2で記憶部73から読み出した上記各情報に基づいて、吸着ノズル54の特徴部54A1が部品側面認識カメラC2の撮像視野内に収まるように吸着ノズル54を上下方向に移動させることで、吸着ノズル54の高さ位置を調整し、S16に移行する。
【0065】
S16では、制御部70の撮像処理部76Bは、吸着ノズル54の特徴部54A1を含む第1の画像を部品側面認識カメラC2によって撮像し、S18に移行する。この第1の画像は、図8に示す例では、符号PI1で示され、図8の(A)における撮像視野IF1内の画像に相当する。制御部70の撮像処理部76BがS16で実行する処理は、撮像処理及び撮像工程の一例である。S18では、制御部70は、S16で撮像した第1の画像を画像処理部74で解析することで、当該第1の画像から吸着ノズル54の特徴部54A1の高さ位置を検出し、S20に移行する。ここでいう特徴部54A1の高さ位置とは、図8の(A)に示す例では符号Z1に相当し、その決定方法等については上述したとおりである。
【0066】
S20では、制御部70は、S2で記憶部73から読み出した上記各情報に基づいて、吸着ノズル54に吸着された電子部品E1の下端部が部品側面認識カメラC2の撮像視野内に収まるように吸着ノズル54を上下方向に移動させることで、吸着ノズル54の高さ位置を調整し、S22に移行する。なお、S20の処理で吸着ノズル54が移動する移動距離は、上記各情報から得られる電子部品E1の厚みに基づいて予め設定されている。
【0067】
S20で制御部70が実行する処理は、図8に示す例では、吸着ノズル54の特徴部54A1が部品側面認識カメラC2の撮像視野IF1内に収まる図8の(A)に示す状態から吸着ノズルを上方に移動させることで、図8の(B)に示すように、吸着ノズル54に吸着された電子部品E1の下端部が部品側面認識カメラC2の撮像視野IF1内に収まるように吸着ノズル54の高さ位置を調整する。なお、S20の処理で吸着ノズル54が昇降された昇降距離は、図8に示す例では符号L3に相当する。
【0068】
S22では、制御部70の撮像処理部76Bは、吸着ノズル54に吸着された電子部品E1の下端部を含む第2の画像を部品側面認識カメラC2によって撮像し、S10に移行する。この第2の画像は、図8に示す例では、符号PI2で示され、図8の(B)における撮像視野IF1内の画像に相当する。制御部70の撮像処理部76BがS22で実行する処理は、撮像処理及び撮像工程の一例である。S2で判断処理部76Aが同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、S10では、制御部70は、S22で撮像した第2の画像から電子部品E1の下端部の高さ位置を検出し、S12に移行する。ここでいう電子部品E1の下端部の高さ位置とは、図8の(B)に示す例では符号Z2に相当し、その決定方法等については上述したとおりである。
【0069】
S2で判断処理部76Aが同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、S12では、制御部70の算出処理部76Cは、上記各情報と、S18で検出した特徴部54A1の吸着高さ位置と、S10で検出した電子部品E1の下端部の高さ位置と、S20で昇降された吸着ノズル54の昇降距離と、に基づいて、電子部品E1の厚みを算出し、部品厚み検出処理を終了する。S2で判断処理部76Aが同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合に制御部70がS12で実行する処理は、算出処理及び算出工程の一例である。
【0070】
即ち、第1の画像の撮像位置と第2の画像の撮像位置は昇降された吸着ノズル54の昇降距離L3の分だけ上下方向にずれているので、S12では、制御部70の算出処理部76Cは、第1の画像から検出される電子部品E1の上端部の高さ位置と、上記昇降距離L3とから、第2の画像を基準とした場合の電子部品E1の上端部の高さ位置を算出することができる。そしてS12では、制御部70の算出処理部76Cは、第2の画像を基準とした場合の電子部品E1の上端部の高さ位置と、第2の画像から検出される電子部品E1の下端部の高さ位置と、S20で昇降された吸着ノズル54の昇降距離と、から吸着ノズル54に電子部品E1が吸着された状態における電子部品E1の上端部の高さ位置と電子部品E1の下端部の高さ位置との差、即ち電子部品E1の厚みを算出することができる。
【0071】
ここで、制御部70がS2で判断処理部76Aが同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合、制御部70の算出処理部76CがS12で実行する処理の具体例について、図8を参照して説明する。なお、図8に示す符号L2は、S12の処理で算出される実装対象である電子部品E1の厚みを示しており、図8に示す符号L1、H1は、それぞれ図7に示す例で説明したものと同一である。
【0072】
電子部品E1が図8に示すような大きさ及び吸着態様である場合、S12では、制御部70の算出処理部76Cは、まず、S18で検出した吸着ノズル54の特徴部54A1の高さ位置Z2からS20の処理で吸着ノズル54が昇降された昇降距離L3を減算する。そして、制御部70の算出処理部76Cは、S10で検出した電子部品E1の下端部の高さ位置Z1から上記減算結果の値を減算し、その結果からさらに吸着ノズル54についての特徴部54A1と吸着口54B1との間の距離L1を減算し、その結果を実装対象である電子部品E1の厚みL2として算出する。従って図8に示す例では、電子部品E1の厚みL2を算出するための計算式はZ2−(Z1−L3)−L1で示される。
【0073】
なお、吸着ノズル54が電子部品E1の吸着に失敗した場合、S12の処理では、電子部品E1の厚みがゼロと算出される。この場合、制御部70は、吸着エラーを示す表示を表示部77に表示させる。
【0074】
(実施形態1の効果)
以上説明したように本実施形態では、吸着ノズル54に吸着された電子部品E1が部品側面認識カメラC2の同一の撮像視野内に収まらないような厚みや吸着態様であっても、電子部品E1の側面を撮像するために複数のカメラや高額なカメラを用いることなく、一つのカメラを用いるのみで、吸着ノズル54に吸着された電子部品E1の厚みを良好な精度で算出することができる。このため、本実施形態の部品実装装置30では、低コストかつ簡単な構成で、吸着ノズル54に吸着された電子部品E1の厚みの算出精度を高めることができる。
【0075】
ここで例えば、電子部品の大きさや電子部品の吸着態様によって、吸着ノズルに吸着された電子部品の上端部の幅方向の寸法と吸着ノズルの吸着口の幅方向の寸法とがほぼ同等になっている場合、制御部は、吸着ノズルの吸着口を含む画像から吸着ノズルの吸着口と電子部品の上端部との境界部分を認識できず、当該画像から吸着口の高さ位置を検出できないことがある。このため、仮に吸着ノズルが上記特徴部を有していなければ、制御部は、吸着ノズルの吸着口を含む画像から吸着ノズルの吸着口の高さ位置を直接検出しようとしても、当該画像から吸着ノズルの吸着口の高さ位置を検出できないことがある。
【0076】
これに対し本実施形態では、吸着ノズル54が吸着口54B1の上方に設けられた特徴部54A1を有している。このため、制御部70は、電子部品E1の大きさや電子部品E1の吸着態様に拘わらず、特徴部74A1を含む画像から特徴部74A1を認識することができるとともに特徴部74A1の高さ位置を検出することができる。その結果、算出処理部76Cは、特徴部74A1を含む画像から電子部品E1の上端部の高さ位置を良好な精度で算出することができ、実装対象である電子部品E1の厚みの算出精度を高めることができる。
【0077】
(実施形態2)
次に、実施形態2の部品厚み検出処理について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。本実施形態は、部品厚み検出処理が複数回実行される場合に適用されるものであり、記憶部73に記憶される各種データ73Bに吸着ノズル54の特徴部の高さ位置に関する情報が含まれ、当該情報が記憶部73に記憶される。制御部70の判断処理部76Aは、まず、図9に示すS2の処理を実行する。この処理は、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。なお、S2で判断処理部76Aが同一の撮像視野内に収まると判断した場合(S2:YES)、S2の処理以降から部品厚み検出処理が終了するまでに制御部70が実行する処理(S4、S6、S8、S10、S12)は実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0078】
S2で判断処理部76Aが同一の撮像視野内に収まらないと判断した場合(S2:NO)、S30では、制御部70の判断処理部76Aは、S2の処理を実行したときの吸着ノズル54が、複数回実行される部品厚み検出処理のうち前回の部品厚み検出処理におけるS2の処理、即ち吸着ノズル54に吸着された電子部品E1が部品側面認識カメラC2の同一の撮像視野内に収まるか否かの判断を実行したときの吸着ノズル54と同一であるか否かを判断する。S30で制御部70の判断処理部76Aが実行する処理は、第2判断処理の一例である。
【0079】
具体的には、S30では、制御部70の判断処理部76Aは、今回の部品厚み検出処理でS2の処理を実行したときの吸着ノズル54についてのノズル特定データが、前回の部品厚み検出処理でS2の処理を実行したときの吸着ノズル54についてのノズル特定データから更新されているのか否かを判断し、更新されていればS30で同一でないと判断し、更新されていなければS30で同一であると判断する。
【0080】
S30で制御部70の判断処理部76Aが同一でないと判断した場合(S30:NO)、制御部70は、S14、S16、S18の処理を順に実行し、S34に移行する。S14、S16、S18の処理は実施形態1で説明したものと同一であるため説明を省略する。S34では、制御部70は、S18で検出した吸着ノズル54の特徴部54A1の高さ位置に関する情報を記憶部73に記憶させる。なお、既に記憶部73に以前の吸着ノズル54の特徴部54A1の高さ位置に関する情報が記憶されている場合、S18で検出した吸着ノズル54の特徴部54A1の高さ位置に関する情報を上書きする形で記憶させる。その後、制御部70は、S20、S22、S10、S12の処理を順に実行し、部品厚み検出処理を終了する。S20、S22、S10、S12の処理は実施形態1で説明したものと同様であるため説明を省略する。
【0081】
S30で制御部70の判断処理部76Aが同一であると判断した場合(S30:YES)、制御部70は、以前実行された部品厚み検出処理において記憶部73に記憶された吸着ノズル54の特徴部54A1の高さ位置に関する情報を記憶部73から読み出す(S32)。その後、制御部70は、S20、S22、S10、S12の処理を順に実行し、部品厚み検出処理を終了する。なお、S20、S22、S10、S12の処理は実施形態1で説明したものと同様であるが、S12では、制御部70の算出処理部76Cは、S32で記憶部73から読み出した吸着ノズル54の特徴部54A1の高さ位置を用いて、実装対象である電子部品E1の厚みを算出する。
【0082】
(実施形態2の効果)
判断処理部が今回のS2の処理を実行したときの吸着ノズル54が前回のS2の処理を実行したときの吸着ノズル54と同一である場合、今回の吸着ノズル54の特徴部54A1の高さ位置は以前実行されたS2の処理の後に既に検出されている。本実施形態では、吸着ノズル54が前回と同一である場合、S2の処理の後に実行されるS34の処理で吸着ノズル54の特徴部54A1の高さ位置に関する情報が記憶されるため、特徴部54A1の高さ位置に関する情報を読み出すことで、前回と同一と判断された吸着ノズル54について第1の画像を再び撮像しなくとも、その吸着ノズル54について特徴部54A1の高さ位置を検出することができる。このため、撮像処理部76Bが第2の画像のみを部品側面認識カメラC2で撮像することで、算出処理部76Cが電子部品E1の厚みを算出することができ、部品厚み検出処理におけるタクトロスを低減することができる。
【0083】
(他の実施形態)
本明細書で開示される技術は、上記既述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0084】
(1)上記の各実施形態では、撮像処理部が吸着ノズル及び吸着ノズルに吸着された電子部品を撮像する前に吸着ノズルの高さ位置が調整される構成を例示したが、各吸着ノズルが電子部品を吸着する毎に、実装対象となる電子部品の大きさや種類に拘わらず、Z軸サーボモータによって、当該吸着ノズルの特徴部が撮像視野内に収まるような所定の基準高さ位置まで吸着ノズルが上方に移動される構成であってもよい。この場合、撮像処理部が吸着ノズルの特徴部が撮像する前に吸着ノズルの高さ位置を調整する必要がないため、部品厚み検出処理におけるタクトロスを低減することができる。
【0085】
(2)上記の各実施形態では、吸着ノズルが特徴部を有する構成を例示したが、吸着ノズルが特徴部を有しない構成であってもよい。この場合、吸着ノズルの一部を特徴部の代わりとして部品厚み検出処理の各処理を実行してもよく、例えば吸着ノズルの吸着口を吸着ノズルの上記一部としてもよい。
【0086】
(3)上記の各実施形態では、吸着ノズルの円板部における下面の端縁を吸着ノズルの特徴部とする例を示したが、吸着ノズルが有する特徴部は、電子部品の大きさや吸着態様に拘わらず制御部が認識できるものであればよく、その位置や態様は限定されない。
【0087】
(4)上記の各実施形態では、Z軸サーボモータによって吸着ノズルが上下方向に昇降される構成を例示したが、部品側面認識カメラが上下方向に移動する構成であってもよい。この場合、吸着ノズルが電子部品を吸着した後、所定の高さで停止され、部品側面認識カメラが上下方向に移動することで撮像処理部が吸着ノズル及び吸着ノズルに吸着された電子部品の画像を撮像し、品側面認識カメラの移動距離を用いて電子部品の厚みを算出してもよい。
【0088】
(5)上記の各実施形態では、部品側面認識カメラの撮像視野の上端部から対象位置までの距離に基づいて高さ位置が決定される構成を例示したが、部品側面認識カメラで撮像した画像を解析することで検出される高さ位置の検出方法については限定されない。例えば、部品側面認識カメラの撮像視野の下端部から対象位置までの距離に基づいて高さ位置が決定される構成であってもよい。
【0089】
(6)上記の各実施形態では、吸着ノズルが円板部とノズル部とから構成された例を示したが、吸着ノズルの構成については限定されない。
【0090】
(7)上記の各実施形態では、電子部品を供給するための部品供給装置としてフィーダ型供給装置を例示したが、これに限定されない。例えばトレイ上に複数の電子部品が載置されたトレイ型の部品供給装置であってもよい。
【0091】
以上、各実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1…表面実装機
10…基台
20…搬送コンベア
30…部品実装装置
32…ヘッドユニット
38Z…Z軸サーボモータ(昇降部)
40…フィーダ型供給装置
52…実装ヘッド
54…吸着ノズル(吸着部)
54A…円板部
54A1…特徴部(吸着部の一部)
54B…ノズル部
54B1…吸着口
70…制御部
73…記憶部
76A…判断処理部
76B…撮像処理部
76C…算出処理部
C1…基板認識カメラ
C2…部品側面認識カメラ(撮像部)
C3…部品底面認識カメラ
E1…電子部品(部品)
IF1…(部品側面認識カメラの)撮像視野
L1…吸着ノズルの特徴部と吸着ノズルの下端部(吸着口)との間の距離
L2…(算出される)電子部品の厚み
L3…吸着ノズルの昇降距離
P1…プリント基板(基板)
PI1…第1の画像
PI2…第2の画像
Z1…吸着ノズルの特徴部の高さ位置
Z2…電子部品の下端部の高さ位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9