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特許6348949リチウム二次電池のエッジバンディング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348949
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】リチウム二次電池のエッジバンディング方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/08 20060101AFI20180618BHJP
   B29C 67/00 20170101ALI20180618BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20180618BHJP
   B29C 65/48 20060101ALI20180618BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20180618BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20180618BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20180618BHJP
【FI】
   H01M2/08 K
   B29C67/00
   B33Y10/00
   B29C65/48
   H01M2/02 K
   H01M10/058
   H01M10/052
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-221837(P2016-221837)
(22)【出願日】2016年11月14日
(65)【公開番号】特開2017-195171(P2017-195171A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2016年11月30日
(31)【優先権主張番号】201610244262.1
(32)【優先日】2016年4月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張亜杰
(72)【発明者】
【氏名】何平
(72)【発明者】
【氏名】林礼清
(72)【発明者】
【氏名】董佳麗
【審査官】 松本 陶子
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3183341(JP,U)
【文献】 特開平07−124653(JP,A)
【文献】 特開2013−043338(JP,A)
【文献】 特開2003−168245(JP,A)
【文献】 特開2015−185416(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/012080(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/08
B29C 65/48
B29C 67/00
B33Y 10/00
H01M 2/02
H01M 10/052
H01M 10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム二次電池のエッジバンディングしようとする電池エッジの3Dモデルを描画して、前記3Dモデルを3D印刷装置に入力するステップ(1)と、
エッジバンディングしようとするリチウム二次電池を3D印刷領域に位置決め、前記3D印刷領域におけるリチウム二次電池の相対位置を固定するステップ(2)と、
3D印刷装置は、前記3Dモデルに基づいて前記電池エッジをシミュレーションすると共に印刷経路を設定するステップ(3)と、
エッジバンディング接着剤を前記3D印刷装置のプリントヘッドに入れて、前記プリントヘッドは、設定された印刷経路に従って動作しながら、少なくても一回で印刷して、印刷されたエッジバンディング接着剤が前記電池エッジを包むステップ(4)と、
エッジバンディング接着剤を硬化させるステップ(5)と、を含み、
ステップ(4)では、前記プリントヘッドは、接着剤塗布用ピンヘッドが設けられて対称的に配置されている一対の接着剤塗布用注射器を備え、印刷時に、一対の前記接着剤塗布用注射器の接着剤塗布用ピンヘッドはそれぞれ前記電池エッジの両側に隣接され、同じ移動速度と接着剤出力速度で前記印刷経路に沿って同時に運動して、前記電池エッジの両側に体積均質な接着剤を印刷することを特徴とするリチウム二次電池のエッジバンディング方法。
【請求項2】
前記ステップ(1)はさらに、前記電池エッジのサイズに応じて印刷幅を設定することを含むことを特徴とする請求項1に記載のエッジバンディング方法。
【請求項3】
前記エッジバンディングしようとするリチウム二次電池を前記3D印刷領域に位置決める前に、前記リチウム二次電池の電池エッジをシェーピング・トリミングすることを特徴とする請求項1に記載のエッジバンディング方法。
【請求項4】
前記エッジバンディング接着剤の粘度は200mPa・s〜400mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載のエッジバンディング方法。
【請求項5】
前記エッジバンディング接着剤は光硬化型接着剤又は熱硬化型接着剤であることを特徴とする請求項1に記載のエッジバンディング方法。
【請求項6】
前記光硬化型接着剤はUV光硬化型接着剤であることを特徴とする請求項に記載のエッジバンディング方法。
【請求項7】
前記光硬化型接着剤の硬化条件は、100〜500cdの紫外線照射条件で5〜10秒硬化するものであり、前記熱硬化型接着剤の硬化条件は、160℃〜180℃の条件で12〜20分間硬化するものであることを特徴とする請求項に記載のエッジバンディング方法。
【請求項8】
ステップ(5)が完成した後、硬化した前記エッジバンディング接着剤が塗布された前記電池エッジには折り返し用接着剤が塗布され、前記折り返し用接着剤が半分に硬化した時、片方折り返しを行い、折り返し後に完全に硬化させることを特徴とする請求項1に記載のエッジバンディング方法。
【請求項9】
前記折り返し用接着剤は嫌気性接着剤であることを特徴とする請求項8に記載のエッジバンディング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池の製造技術分野に関し、具体的にはリチウム二次電池のエッジバンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は、裸セルが上下の2つの外装で被覆された後、被覆された界面には、非常に薄いアルミニウム層が存在しており、アルミニウム層が露出されることで電気部品に短絡が生じる恐れがある。エッジバンディングプロセスはテープや接着剤を使用することにより該アルミニウム層を被覆して、アルミニウム層の露出の発生を防止するものである。伝統的な片方折り返し及び両方折り返しは何れも、規則の形状を有する長方形の電池に適用される。
【0003】
片方折り返しプロセスとは、接着剤をスプレーガンにより噴射量を制御してアルミニウムの露出した断面へ噴射した後、一回の折り返しを行うこと、或い折り返しを行った後、テープを使用して折り返し後のアルミニウムの露出した断面を密封することを指す。両方折り返しとは、二回の折り返しを行ってアルミニウムの露出した断面を二回目折り返しをされた領域に包まれることによりエッジバンディングの目的を達成することを指す。既存の片方折り返し又は両方折り返しは規則の形状を有する長方形の電池に限られており、設備は、セルの位置決め、接着剤の塗布(接着剤のバッグ)、折り返しを行えばよい。電池が異なる形状又は複雑な構成になる場合、設備は設計上の問題で外装のエッジに直線運動することができず、断面がテープ又は接着剤に完全に被覆されることができないため、アルミニウムが露出するリスクがある。従って、従来では非常に規則的な形状のセルに適用することができない。この情況に鑑みて、本出願が提出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、接着剤密封と3D印刷とを結び付けることにより異なる形状のエッジのエッジバンディングが困難であるという課題を解決したエッジバンディング装置及びエッジバンディング方法を提供することを目的している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
リチウム二次電池のエッジバンディング方法であって、
リチウム二次電池のエッジバンディングしようとする電池エッジの3Dモデルを描画して、前記3Dモデルを3D印刷装置に入力するステップ(1)と、
エッジバンディングしようとするリチウム二次電池を3D印刷領域に位置決め、前記3D印刷領域におけるリチウム二次電池の相対位置を固定するステップ(2)と、
3D印刷装置は、前記3Dモデルに基づいて前記電池エッジをシミュレーションすると共に印刷経路を設定するステップ(3)と、
エッジバンディング接着剤を前記3D印刷装置のプリントヘッドに入れて、前記プリントヘッドは、設定された印刷経路に従って動作しながら、少なくても一回で印刷して、印刷されたエッジバンディング接着剤が前記電池エッジを包むステップ(4)と、
エッジバンディング接着剤を硬化させるステップ(5)と、を含む。
【0006】
好ましくは、ステップ(1)はさらに、前記電池エッジのサイズに応じて印刷幅を設定することを備える。
【0007】
好ましくは、前記エッジバンディングしようとするリチウム二次電池を前記3D印刷領域に位置決める前に、前記リチウム二次電池の電池エッジをシェーピング・トリミングする。
【0008】
好ましくは、ステップ(4)では、前記プリントヘッドは、接着剤塗布用ピンヘッドが設けられて対称的に配置されている一対の接着剤塗布用注射器を備え、印刷時に、一対の前記接着剤塗布用注射器の接着剤塗布用ピンヘッドはそれぞれ前記電池エッジの両側に隣接され、同じ移動速度と接着剤出力速度で前記印刷経路に沿って同時に運動して、前記電池エッジの両側に体積均質な接着剤を印刷する。
【0009】
好ましくは、前記接着剤塗布用ピンヘッドの移動速度は5〜100mm/sであり、接着剤出力速度は0.2〜4mm/sである。
【0010】
好ましくは、前記エッジバンディング接着剤の粘度は200mPa・s〜400mPa・sである。
【0011】
好ましくは、前記エッジバンディング接着剤は光硬化型接着剤又は熱硬化型接着剤であり、好ましくは、前記光硬化型接着剤はUV光硬化型接着剤であり、より好ましくは、前記光硬化型接着剤はアクリル樹脂粘着剤であり、好ましくは、前記熱硬化型接着剤はアクリル粘着剤である。
【0012】
好ましくは、前記光硬化型接着剤の硬化条件は、100〜500cdの紫外線照射条件で5〜10秒硬化するものであり、前記熱硬化型接着剤の硬化条件は、160℃〜180℃の条件で12〜20分間硬化するものである。
【0013】
好ましくは、ステップ(5)が完成した後、硬化した前記エッジバンディング接着剤が塗布された電池エッジには折り返し用接着剤が塗布され、前記折り返し用接着剤が半分に硬化した時、片方折り返しを行い、折り返し後に完全に硬化させる。
【0014】
好ましくは、前記折り返し用接着剤は嫌気性接着剤であり、好ましくは、前記折り返し用接着剤はビスメタクリル酸テトラエチレングリコールエステル嫌気性接着剤又はメタクリル酸ヒドロキシエチル嫌気性接着剤である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る技術案は、下記の有益な効果を達成することができる。
本発明に係るエッジバンディング方法では、従来設備のテープ貼付と比べて、より広く適用されることができ、任意の形状と任意の型番の電池に適用されることができる。また、プロセス開発の難しさ及び設備のコストは大幅に低減され、内蔵のモデルを変えるだけで動作軌跡を変え、且つ設備の安定性が高い。エッジの形状が異なる電池のエッジバンディングを大規模に生産することは現実になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本願の実施例に係るリチウム二次電池のエッジバンディング方法におけるリチウム二次電池、治具及びプリントヘッドの組立関係を示す斜視図である。
図2】本願の実施例に係るリチウム二次電池のエッジバンディング方法におけるプリントヘッドが電池エッジに接着剤を塗布するA部分の拡大図である。
図3】本願の実施例に係るリチウム二次電池のエッジバンディング方法におけるリチウム二次電池、治具及びプリントヘッドの組立関係を示す側面図である。
図4】本願の実施例に係るリチウム二次電池のエッジバンディング方法におけるリチウム二次電池、治具及びプリントヘッドの組立関係を示す部分の拡大側面図である。
図5】本願の実施例に係る片方折り返し後の電池を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技術案及び利点がより明確になるために、以下、本発明の実施例及び図面を参照しながら、本発明の技術案を明確に完全に説明する。当然ながら、説明する実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の実施形態の一部である。当業者が本発明に係る技術案及び実施例に基づいて進歩性に値する労働をしない限り得られるすべての他の実施例は、本発明の特許の請求の範囲に落とす。
【0018】
ここで記載されている「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、何れも図面における電池の配置状態を基準として定義されている。
【0019】
本願に係るリチウム二次電池のエッジバンディング方法は、主に以下のステップを含む。
(1)リチウム二次電池1のエッジバンディングしようとする電池エッジ13の3Dモデルを描画して、3Dモデルを3D印刷装置に入力する。
(2)エッジバンディングしようとするリチウム二次電池1を3D印刷領域に位置決め、3D印刷領域におけるリチウム二次電池1の相対位置を固定する。
(3)3D印刷装置は、3Dモデルに基づいて電池エッジ13をシミュレーションすると共に印刷経路を設定する。
(4)エッジバンディング接着剤を3D印刷装置のプリントヘッド3に入れて、プリントヘッド3は、設定された印刷経路に従って動作しながら、少なくても一回で印刷して、印刷されたエッジバンディング接着剤は電池エッジ13を包む。
(5)エッジバンディング接着剤を硬化させる。
【0020】
上記の技術案では、エッジバンディング接着剤33と3D印刷とを結び付けることにより、3D印刷装置は、所定粘度のエッジバンディング接着剤33をリチウム二次電池の形状をシミュレーションしながら合致する接着剤層に製作することができ、異なる形状のリチウム二次電池1のエッジを全て接着剤に完璧に被覆されることを保証し、エッジバンディングの目的を達成して、アルミニウムの露出の発生を防止する。
【0021】
上記のエッジバンディング方法に係る設備は、図1と3に示すように、主に、位置決め固定装置、3D印刷装置、3D印刷装置のプリントヘッである塗布構成、及び袋詰めされたリチウム二次電池1(正極タブ12、負極タブ11及び電池エッジ13を含む)を備える。
【0022】
ステップ(1)において、電池エッジ13のサイズに従って対応する3Dモデルを描画する。一般的に、3Dグラフィックスソフトウェアを利用して電池エッジ13の3Dモデルを描画して、リチウム二次電池1の外装のエッジをシミュレートする。3Dグラフィックスソフトウェアは、例えばSolidWorks(登録商標)、ProE、Auto、CAD、CATIA(登録商標)等の任意のグラフィックスソフトウェアであってもよい。
【0023】
好ましくは、ステップ(1)は、さらに、電池エッジ13のサイズに応じて適切な印刷幅を設計することを備える。
【0024】
設計された印刷幅に応じて適切な内径のピンヘッドを選択する。ピンヘッドの内径が異なると、一回の印刷の塗布幅も変わる。印刷幅が広すぎる場合、少なくとも二回の印刷を含む複数の回数の印刷、即ち同じ経路に沿って接着剤を繰り返して塗布することを採用してもよい。これにより、電池エッジを効率的に包むことを保証できる。
【0025】
内径0.41mmの青色の標準的なピンヘッドを利用することを例示として、印刷幅が500μmよりも小さい場合、一回の印刷で塗布することを採用する。印刷幅が500μmよりも大きい場合、少なくとも2回の印刷で塗布すると共に、複数の回数で印刷された接着剤を平坦に接続することを保証する。
【0026】
好ましくは、エッジバンディングしようとするリチウム二次電池1を3D印刷領域に位置決める前に、エッジバンディングしようとするリチウム二次電池1をシェーピング・トリミングする。図面サイズ要求に従って、過剰なアルミプラスチックフィルムのエッジを除去し、製品要求に応じて公差要件を適当に調整する。シェーピング・トリミングする方法は、カッターでトリミングする又は打ち抜きでトリミングするものである。
【0027】
好ましくは、リチウム二次電池1のシェーピング・トリミングは、トリミングが完全で、バリがなく、エッジ凹凸がないものである。
【0028】
ステップ(2)において、治具2により、リチウム二次電池1を3D印刷領域に位置決めて固定する。
【0029】
好ましくは、図1図2及び図4に示すように、真空圧の供給が可能な治具2を採用しており、該治具2は真空制御室、及び真空制御室と接続される複数の吸盤21を備える。該治具2はリチウム二次電池1の大きな平面の両側に対称配置されており、治具2の吸盤21がリチウム二次電池1の大きな平面に機能して、真空制御室を真空にして負圧を生成することにより、リチウム二次電池1が両側の吸盤21に吸着され固定される。
【0030】
エッジバンディングしようとするリチウム二次電池1を3D印刷領域に位置決めた後、3D印刷領域におけるリチウム二次電池1の相対位置は固定される。3D印刷装置は、イメージセンサ(CCD)を使用することにより電池エッジ13の外側輪郭を探して経路のシミュレーションを行ってもよく、保存された経路プログラムを使用してもよい。3D印刷領域における同一の形状のリチウム二次電池1の相対位置が固定されているため、3D印刷領域における外側輪郭も合致して、第1のリチウム二次電池1だけの外側輪郭のシミュレーションを行って経路を設定すればよい。
【0031】
本願の1つの改良としては、図1〜4に示すように、プリントヘッド3には、接着剤塗布用ピンヘッド32が設けられた一対の接着剤塗布用注射器31が含まれ、一対の接着剤塗布用注射器31は対称的に配置されている(図に示すように、対称的に上下に配置されている)。印刷時に、一対の接着剤塗布用注射器31の接着剤塗布用ピンヘッド32はそれぞれ電池エッジ13の両側に隣接され、選択されたエッジバンディング接着剤33を接着剤塗布用注射器31に注入し、二つの接着剤塗布用注射器31は3D印刷装置の運動制御装置により制御され一定の定常圧力が与えられることで、同じ移動速度と接着剤出力速度で印刷経路に沿って運動する。これにより、接着剤塗布用ピンヘッド32から電池エッジ13にエッジバンディング接着剤を塗布させて、電池エッジ13の両側に体積均質な接着剤を残して、電池エッジ13を包んでいる。
【0032】
好ましくは、接着剤塗布用ピンヘッド32の移動速度は5〜100mm/sであり、接着剤出力速度は0.2〜4mm/sである。
【0033】
好ましくは、本願の接着剤塗布用ピンヘッド32の内径は0.21〜1.43mmである。
【0034】
本願の改良としては、エッジバンディング接着剤33の粘度は200mPa・s〜400mPa・sである。接着剤の粘度が低すぎると、液体柱は切断されてしまい、接着剤が不連続することになり、又は液体が断面を流れて裂け目を形成してしまい、アルミニウムが露出することになる。また、狭いスリットに接着剤を塗布する特定の領域では、接着剤の粘度が大きすぎると、狭いスリットは接着剤により詰まったことになり、以後の折り返し又は使用中に潜在的な危険がある。
【0035】
本願の改良としては、ステップ(4)に使用されるエッジバンディング接着剤33は光硬化型接着剤又は熱硬化型接着剤である。光硬化型接着剤又は熱硬化型接着剤は紫外光環境又は熱環境で放置されると、完全に硬化させることができ、高速度で成形される。量産中、硬化速度は単位時間当たりの生産効率に影響を与え、且つ低温硬化等の他の成形方法は折り返し又はサーモエッジ中に接着剤が亀裂する又は溶融することになり、断面の保護効果を無くす。
【0036】
ここで、好ましくは、光硬化性接着剤はアクリル樹脂系接着剤等のUV光硬化性接着剤である。アクリル樹脂粘着剤は、アクリル樹脂、イソボルニルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートおよびシリカ等を主要組成としている。
【0037】
好ましくは、熱硬化型接着剤はアクリル粘着剤である。
【0038】
好ましくは、光硬化型接着剤の硬化条件は、100〜500cdの紫外線照射条件で5〜10秒硬化するものである。
【0039】
好ましくは、熱硬化型接着剤の硬化条件は、160℃〜180℃の条件で12〜20分間硬化するものである。
【0040】
本願の改良としては、エッジ封止過程は、さらに片方折り返しの工程を備える。図5に示すように、硬化したエッジバンディング接着剤が塗布された電池エッジ13には折り返し用接着剤4が塗布され、折り返し用接着剤4が半分に硬化した時、片方折り返しのプロセスを行い、折り返し後のエッジの接着剤が裂けしないように、折り返し後に完全に硬化させる。
【0041】
好ましくは、本願の折り返し用接着剤4は嫌気性接着剤であり、テトラエチレングリコールジメタクリル酸エステルである嫌気性接着剤、メタクリル酸ヒドロキシエチルである嫌気性接着剤等を含む。
実施例1:
【0042】
1、袋詰めされたエッジバンディングしようとするリチウム二次電池1は図1に示すように、リチウム二次電池1はほぼL字形を呈する。電池エッジ13の幅が2.5mmであり、電池エッジ13のエッジバンディングしようとする設計幅が0.4mmである。まず、3Dグラフィックスソフトウェアを利用して、エッジバンディングしようとする電池エッジ13の3Dモデルを描画して、3Dモデルを3D印刷装置に入力すると共に、プリントヘッド3の接着剤塗布用ピンヘッド32を内径0.41mmのピンヘッドに選択する。
2、カッターを利用してトリミングして、過剰なアルミプラスチックフィルムのエッジを除去すると共に、トリミングが完全で、バリがなく、エッジ凹凸がないことを保証する。
3、治具2を利用してシェーピング・トリミングしたエッジバンディングしようとするリチウム二次電池1を3D印刷領域に位置決めると共に、リチウム二次電池1をほぼ水平に設置して、3D印刷領域におけるリチウム二次電池1の相対位置を固定する。
4、3D印刷装置は上記の3Dモデルに基づいて、電池エッジ13のシミュレーションを行って印刷経路を設定する。
5、粘度374mPa・sのアクリル樹脂UV光硬化型接着剤を接着剤塗布用注射器31に入れて、印刷装置を動作させる時、一対の接着剤塗布用注射器31の接着剤塗布用ピンヘッド32はそれぞれ電池エッジ13の両側に隣接され、印刷装置の運動制御装置は二つの接着剤塗布用注射器31の運動を同時に制御すると共に、接着剤塗布用注射器31に定常圧力を与えることで、2つの接着剤塗布用注射器31の接着剤塗布用ピンヘッド32は上記の印刷経路に従って同じ移動速度100mm/sと接着剤出力速度4mm/sで電池エッジ13の軌跡に沿って同時に運動して、接着剤塗布用ピンヘッド32から電池エッジ13にエッジバンディング接着剤を塗布させて、電池エッジ13の両側に体積均質な接着剤を残して、両側の接着剤は封止構造を形成して電池エッジ13を包んでいる。
6、治具2は、エッジバンディングされたリチウム二次電池1をUV光の環境へ持ち運び、接着剤を7s硬化させ、完全な硬化を達成させる。
7、上記の硬化したエッジバンディング接着剤33が塗布された電池エッジ13には、接着性が良好なメタクリル酸ヒドロキシエチル嫌気性接着剤が塗布され、接着剤が半分に硬化した時、片方折り返しのプロセスを行い、片方折り返し後のエッジの接着剤が裂けしないように、折り返し後に完全に硬化させる。
【0043】
次の同じ形状のリチウム二次電池1をエッジバンディングする際に、エッジバンディングしようとするリチウム二次電池1を治具2に入れて位置決め固定するだけで、第1のリチウム二次電池1と同じ経路に従って印刷して接着剤を塗布することができる。入れた次のリチウム二次電池1の形状が上記のリチウム二次電池1の形状と異なる場合、上記のエッジバンディング方法の工程に従って改めて印刷して接着剤を塗布する必要がある。
実施例2:
【0044】
1、袋詰めされたエッジバンディングしようとするリチウム二次電池1は図1に示すように、リチウム二次電池1はほぼL字形を呈する。電池エッジ13の幅が2.5mmであり、電池エッジ13のエッジバンディングしようとする設計幅が0.4mmである。まず、3Dグラフィックスソフトウェアを利用して、エッジバンディングしようとする電池エッジ13の3Dモデルを描画して、3Dモデルを3D印刷装置に入力すると共に、プリントヘッド3の接着剤塗布用ピンヘッド32を内径0.41mmのピンヘッドに選択する。
2、カッターを利用してトリミングして、過剰なアルミプラスチックフィルムのエッジを除去すると共に、トリミングが完全で、バリがなく、エッジ凹凸がないことを保証する。
3、治具2を利用してシェーピング・トリミングしたエッジバンディングしようとするリチウム二次電池1を3D印刷領域に位置決めると共に、リチウム二次電池1をほぼ水平に設置して、3D印刷領域におけるリチウム二次電池1の相対位置を固定する。
4、3D印刷装置は上記の3Dモデルに基づいて、電池エッジ13のシミュレーションを行って印刷経路を設定する。
5、粘度374mPa・sのUV光硬化型接着剤を接着剤塗布用注射器31に入れて、二回で印刷及び接着剤の塗布を繰り返し実行して、毎回の印刷及び接着剤の塗布では、接着剤塗布用注射器31は移動速度が同じで、何れも100mm/sであり、接着剤出力速度も同じで、何れも4mm/sである。電池エッジ13の両側の接着剤塗布用ピンヘッドは設計された幅のエッジに沿って同時に軌跡運動して、注射ピンヘッドから該幅のエッジのエッジバンディングしようとする位置へッジバンディング接着剤を塗布して、電池エッジ13の両側に体積均質な接着剤を残して、電池エッジ13の最外側に、接着剤が電池エッジ13にてトリミングされた断面は、封止構造を形成して当該断面を包んでおり、二回の印刷において接着剤塗布が重複して、このように、電池エッジをより効率的に包むことができる。
6、治具2は、エッジバンディングされたリチウム二次電池1をUV光環境へ持ち運び、接着剤を7s硬化させ、完全な硬化を達成させる。
7、上記の硬化したエッジバンディング接着剤33が塗布された電池エッジ13には、接着性が良好な抗メタクリル酸ヒドロキシエチル嫌気性接着剤が塗布され、接着剤が半分に硬化した時、片方折り返しのプロセスを行い、片方折り返し後のエッジの接着剤が裂けしないように、折り返し後に完全に硬化させる。
【0045】
次の同じ形状のリチウム二次電池1をエッジバンディングする際に、エッジバンディングしようとするリチウム二次電池1を治具2に入れて位置決め固定するだけで、第1のリチウム二次電池1と同じ経路に従って印刷して接着剤を塗布することができる。入れた次のリチウム二次電池1の形状がその直前のリチウム二次電池1の形状と異なる場合、上記のエッジバンディング方法の工程に従って改めて印刷して接着剤を塗布する必要がある。
【0046】
本願は、好ましい実施例をもって以上のように開示されているが、それらの実施例は本発明を限定するものではない。当業者は、本願の構想を逸脱しない限り、幾つかの変更と修正を行ってもよい。従って、本願の保護範囲は、本願の特許の請求範囲を基準としている。
【符号の説明】
【0047】
1 リチウム二次電池。
11 負極タブ
12 正極タブ
13 電池エッジ
2 治具
21 吸盤
3 プリントヘッド
31 接着剤塗布用注射器
32 接着剤塗布用ピンヘッド
33 エッジバンディング接着剤
4 折り返し用接着剤
図1
図2
図3
図4
図5