(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6348977
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】通信コイル及び誘導コイルを備えるコイル構成
(51)【国際特許分類】
H01F 38/14 20060101AFI20180618BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20180618BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20180618BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20180618BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
H01F38/14
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/80
H01F27/28 K
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-528168(P2016-528168)
(86)(22)【出願日】2014年11月6日
(65)【公表番号】特表2016-539498(P2016-539498A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】FI2014050834
(87)【国際公開番号】WO2015067854
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2016年6月15日
(31)【優先権主張番号】61/901,786
(32)【優先日】2013年11月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ヒュアング ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ラルセン ニールス ボン
(72)【発明者】
【氏名】ファンデウセン マリエ
(72)【発明者】
【氏名】ザバコ ジョージ
【審査官】
右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−288889(JP,A)
【文献】
特開2013−192391(JP,A)
【文献】
特開2013−192390(JP,A)
【文献】
特表2014−518057(JP,A)
【文献】
特開2013−219791(JP,A)
【文献】
特開2009−200504(JP,A)
【文献】
特開2009−267077(JP,A)
【文献】
特開2013−138045(JP,A)
【文献】
特開2012−199370(JP,A)
【文献】
特開2010−206770(JP,A)
【文献】
特開2005−269537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/14
H01F 27/28
H02J 7/00
H02J 50/10
H02J 50/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一コイルを有する第一層であって、前記第一コイルはおおむね「8」の形状を有する、前記第一層と、
第二コイルを有する第二層であって、前記第一および第二コイルは、互いに対し積み重ねられ、導電性材料を備えるハウジング部材の開口部に位置するように構成される、前記第二層と、
前記第二層の下位に配置された第三層であって、前記第三層は、前記第二コイルが前記第一コイルとフェライト部材との間になるように前記第二コイルの下位に配置された前記フェライト部材を備える、前記第三層と、
を備える装置。
【請求項2】
前記第一コイルが通信コイルであり、前記第二コイルが充電コイルである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第一層及び前記第二層にはフェライトは含まれない、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、前記第一層と第二層との間に配置された第四層をさらに備え、前記第四層が印刷回路基板を備える、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記フェライト部材がその中に少なくとも一つの開口部を備え、前記第一および第二コイルは、光および/または音が前記第一、第二、および第三層を通り抜けることができるように成形される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記印刷回路基板がその中に、光が前記印刷回路基板を通り抜けることができるように、少なくとも一つの開口部を備える、請求項4または請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記フェライト部材がその中に少なくとも一つの開口部を備え、前記第一および第二コイルは、光および/または音が前記第一、第二、および第三層を通り抜けることができるように成形される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第一、第二、および第三層が、前記ハウジング部材中の前記開口部に収まるような大きさにされ、成形される、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記ハウジング部材を備えるハウジングと、
カメラと、
前記カメラ、前記第一コイル、および前記第二コイルを接続されたコントローラであって、前記コントローラは、プロセッサとソフトウェアを含む少なくとも一つのメモリとを有する印刷回路基板を備える、前記コントローラと、
前記コントローラに接続された電子ディスプレイと、
前記コントローラに接続された受信器と、
前記コントローラに接続された送信器と、
前記コントローラに接続された再充電式バッテリと、
をさらに備える、請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記第一〜第三層がモジュールとして固定的に接続され、前記モジュールは、単一のアセンブリとして前記ハウジング部材に接続されるように構成される、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記装置が、前記ハウジング部材を有する携帯電子デバイスである、請求項1から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
第一コイルを有する第一層と、
第二コイルを有する第二層であって、前記第一および第二コイルは、互いに対し積み重ねられ、導電性材料を備えるハウジング部材の開口部に位置するように構成される、前記第二層と、
前記第二層の下位に配置された第三層であって、前記第三層は、前記第二コイルが前記第一コイルとフェライト部材との間になるように前記第二コイルの下位に配置された前記フェライト部材を備える、前記第三層と、
を備える装置であって、前記第一コイルまたは前記第二コイルがおおむね「8」の形状を有する、装置。
【請求項13】
前記第一コイルが通信コイルであり、前記第二コイルが充電コイルである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第一コイルが充電コイルであり、前記第二コイルが通信コイルである、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
第二コイルの上方に第一コイルを配置することと、
前記第二コイルの下方にフェライト部材を配置することであって、前記第一コイル及び前記第二コイルと前記フェライト部材とがスタックにアセンブルされる、前記フェライト部材を配置することと、
を含む方法であって、前記第一コイルまたは前記第二コイルがおおむね「8」の形状を有する、方法。
【請求項16】
前記第一コイルが通信コイルであり、前記第二コイルが充電コイルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第一コイルが充電コイルであり、前記第二コイルが通信コイルである、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、前記第一コイルと第二コイルとの間に印刷回路基板を配置することをさらに備え、前記印刷回路基板が、前記スタックの一層である、請求項15〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記第一および第二コイルを前記印刷回路基板に電気的に接続することをさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
光および/または音が前記スタックを通り抜けることができるようになされ、前記フェライト部材および前記印刷回路基板のそれぞれを貫通する、少なくとも一つの開口部を設けることをさらに備える、請求項15〜18のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本例示的且つ非限定の諸実施形態は、一般に装置中の、さらに具体的には導電性材料を備えるハウジング部材を有する装置中のコイルの構成に関する。
【0002】
金属ハウジングを有する、例えば携帯電話などの携帯電子デバイスが知られている。近距離場で動作する近距離場通信コイルを用いる、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)および無線周波数認識(RFID:Radio Frequency IDentification)などの短距離通信システムが知られている。誘導コイルを用いる再充電式バッテリの充電が知られている。
【0003】
以下の摘要は単に例示を意図したものである。本摘要が、特許請求の範囲を限定することは意図されてない。
【0004】
一態様によれば、或る装置において例示の実施形態が提供され、本装置は、第一コイルを有する第一層であって、第一コイルがおおむね「8」の形状を有する、該第一層と、第二コイルを有する第二層であって、第一および第二コイルは互いに対し積み重ねられ、導電性材料を備えるハウジング部材の開口部に位置するように構成される、該第二層と、第二層の下位に配置された第三層であって、第三層は、第二コイルが第一コイルとフェライト部材との間にあるように、第二コイルの下位に配置された該フェライト部材を備える、該第三層と、を備える。
【0005】
別の例示の実施形態によれば、第一コイルを有する第一層と、第二コイルを有する第二層であって、第一および第二コイルは互いに対し積み重ねられ、金属ハウジング部材の開口部に位置するように構成される、該第二層と、第二層の下位に配置された第三層であって、第三層は、第二コイルが第一コイルとフェライト部材との間になるように第二コイルの下位に配置された該フェライト部材を備える、該第三層と、を備える装置が提供され、第一コイルまたは第二コイルはおおむね「8」の形状を有する。
【0006】
方法の或る例示の実施形態は、第二コイルの上方に第一コイルを配置することと、第二コイルの下方にフェライト部材を配置することとを備えることができ、これらコイルとフェライト部材とはスタックにアセンブルされ、第一コイルまたは第二コイルはおおむね「8」の形状を有する。
【0007】
以下の記載において、前述の態様および他の特徴を添付の図面に関連させて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本明細書に記載の特徴を備えた装置の例示の実施形態の前面図である。
【
図3】
図1〜2に示された装置の一部の構成部品を表す図である。
【
図4】短距離ワイヤレス通信システムを使用して別のデバイスと通信している、
図1〜2に示された装置を表す図である。
【
図5】第二コイルを有するワイヤレス充電システムを使用してバッテリを再充電している、
図1〜2に示された装置を表す図である。
【
図6】
図2に示された装置の構成部品の一部の分解図である。
【
図7】
図6に示された構成部品の一部の拡大分解図である。
【
図9】別の例示の実施形態の
図7と同様な分解図である。
【
図10】別の例示の実施形態の
図2と同様な背面側の図である。
【
図12】
図11に示された第一コイル上の表面電流を表す図である。
【
図13】
図11に示された第二コイル上の表面電流を表す図である。
【
図14】
図11に示された構成部品を有する、
図2に示された金属カバー上の表面電流を表す図である。
【
図15】別の例示の実施形態の
図7と同様な分解透視図である。
【
図16】別の例示の実施形態の
図6と同様な分解透視図である。
【0009】
図1を参照すると、例示の実施形態の特徴を組み込んだ装置10の正面図が示されている。図面中に示された例示の実施形態を参照しながらこれらの特徴を説明することになるが、当然のことながら特徴は多くの別の形の実施形態中に具現化することが可能である。さらに、任意の適切なサイズ、形状、または種類の素子または材料を用いることができよう。
【0010】
装置10は、例えば、電話アプリケーションを含む通信デバイスなど、ハンドヘルド携帯装置であってもよい。示された例において、装置10は、カメラおよびカメラアプリケーションを含むスマートフォンである。装置10は、これに加えまたはこれに換えて、インターネットブラウザアプリケーション、ビデオレコーダアプリケーション、ミュージックプレイヤおよびレコーダアプリケーション、eメールアプリケーション、ナビゲーションアプリケーション、ゲームアプリケーション、および/または任意の他の適切な電子デバイスアプリケーションを備えてもよい。別の例示の実施形態において、この装置は、スマートフォンであるとは限らず、代わりに、以下に限らないが、例えば、携帯電話、音声および/または映像を再生および/または記録することが可能なメディアデバイス、携帯コンピュータ、タブレットコンピュータ、ラップトップ、移動スポーツデバイス、移動医療デバイス、移動ナビゲーションデバイス、および/または移動通信デバイスであってもよい。
【0011】
また、
図2〜3も参照すると、この例示の実施形態において、装置10は、ハウジング12、タッチスクリーン14、受信器16、送信器18、コントローラ20、再充電式バッテリ26、およびカメラ30を備える。但し、以下に記載の特徴を実装するために、これらの特徴のすべてが必要なわけではない。コントローラ20は、少なくとも一つのプロセッサ22、少なくとも一つのメモリ24、およびソフトウェア28を含むことが可能である。ハウジング12内部の電子回路は、基板上にコントローラ20などの構成部品を有する少なくとも一つの印刷回路基板(PWB:printed wiring board)21を備えることができる。受信器16および送信器18は、装置10が、例えば携帯電話基地局などのワイヤレス電話システムと通信することを可能にするための主要な通信システムを形成する。
【0012】
この例において、装置10は、該装置の背面側13に配置されたカメラ30と、前面カメラ32と、LED34と、フラッシュシステム36とを含む。LED34およびフラッシュシステム36は、装置の背面側に見えており、カメラ30のために設けられている。カメラ30、32、LED34、およびフラッシュシステム36は、コントローラ20がこれらの動作を制御できるように、コントローラ20に接続される。別の例示の実施形態において、背面側には、複数のカメラ、および/または複数のフラッシュ/LEDを備えることができ、かつ/または前面側には、複数のカメラを備えることができよう。あるいは、前面および/または背面側に、カメラ32、LED34、またはフラッシュシステム36のうちの一つだけを備えてもよい。装置10は、マイクロフォン38として設けられたサウンドトランスデューサを含む。別の例において、本装置には、複数のマイクロフォン備えることが可能である。装置10は、受話口40として設けられたサウンドトランスデューサ、およびスピーカ42として設けられたサウンドトランスデューサを含む。一つより多いまたは少ないスピーカを設けてもよい。
【0013】
また、
図3に示されるように、この例示の実施形態では、装置10は、短距離ワイヤレス通信システム44およびワイヤレス充電(WLC:wireless charging)システム46も含む。この短距離ワイヤレス通信システム44は、例えば、近距離無線通信(NFC)システム、または無線周波数認識(RFID)通信システムであってよい。また
図4を参照すると、短距離ワイヤレス通信システム44はコイル48を含む。コイル48は、ワイヤレスリンク52によって示されるように別のデバイス50と情報を送信および受信するようになされている。コイル48は、「遠距離場」とは対照的に「近距離場」中で情報を送信および/または受信するようになされた通信コイルであるが、それでもなお電磁気ワイヤレス通信の能力を有する。
【0014】
また、
図5を参照すると、ワイヤレス充電システム46は、バッテリ26を充電するための誘導充電システムとすることができる。ワイヤレス充電システム46は、ワイヤレス充電コイル54を含む。このコイル54は、コイル54中に電流を誘導するため充電器56中のコイルと協働する誘導コイルとして用いられる。この電流は、バッテリ26を再充電するために使うことができる。送受給それぞれのデバイス内の、エネルギの送給部および受給部の各々に用いられる2つのコイルの間に小さなギャップがあることにより、誘導充電は、ユーザがこれら2つのデバイスの間の配線を取り扱う必要をなくすので、短距離「ワイヤレス」エネルギ伝達と見なされる。
【0015】
2つのコイル48、54は、両方とも基本的には「誘導コイル」として用いられ、一方は通信目的(RFIDもしくはNFC、または将来創成され得る何らか他のプロトコル)のために使われ、他方はワイヤレス充電のために使われる。但し、両コイルとも基本的にはインダクタ、すなわち劣弱な放射体であり、したがって「近距離場」においてだけ放射し「遠距離場」には放射しない。
【0016】
また、
図6を参照すると、分解図中に装置10の一部が示されている。この例示の実施形態において、ハウジング12は、金属製の背面側部材58を含む。但し、本明細書に記載の特徴は、例えば、導電材料の層でコートされたプラスチックハウジング部材など、金属以外の材料(群)で作製されたハウジング部材に用いることも可能である。この例では、開口部60が、背面側部材58中に設けられている。本例示の実施形態は、開口部60中に配置されたモジュール62を備える。
【0017】
また、
図7を参照すると、モジュール62の拡大図が示されている。モジュール62は、一般に、印刷回路基板(PWB)64(単に簡潔化のため
図7には示されず、単に簡潔化のため
図6にはシルエットで示されている)と、第一コイル48と、第二コイル54と、フェライト部材66とを備える。別の例示の実施形態では、これらの部材の一つ以上が、モジュールとしては設けられないこともあり得る。図示の例示の実施形態において、部材66、54、64、48は図示の順序で積み重ねられる。PWB64は、2つのコイル48、54へコントローラ20の電気接続の少なくとも一部を提供する。
【0018】
また、
図8を参照すると、モジュール62は、カメラ30を形成するモジュール31の上方に配置されている。別の例示の実施形態では、モジュール31は、カメラに加えてまたはカメラ以外の、任意の適切な種類のマルチメディア構成部品であってよい。モジュール62の上方にガラスカバー68が設けられる。ガラスカバー68は、例えば、フレーム部材72および接着剤70によってハウジング部材58に接続される。モジュール31は、印刷回路基板74上に搭載され、フレーム部材72に接続される。これは、カメラモジュール31を、ハウジング部材58中を貫通する開口部60の近傍に明確に位置付ける。また、モジュール62は、モジュール62が開口部60の近傍で且つカメラモジュール31の上方に明確に位置付けられるように、ガスケットおよび/または接着剤76によってフレーム部材72に搭載される。別の例示の実施形態の一種では、コイル48は、接着剤などによってガラスカバー68の内側面に付着されてもよい。以下に記載の各種の例示の実施形態の一つからさらに理解されるように、モジュール62は、モジュール31の上方に配置しなくてもよい場合もあり得る。モジュール62は、構成部品31から離して配置することも可能であろう。
【0019】
この例示の実施形態では、モジュール62は、カメラモジュール31の上方に配置されている。但し、前述のように、別の例示の実施形態では、モジュール62がカメラモジュール31の上方に配置されるとは限らない。別の例示の実施形態としては、本装置はカメラまたはカメラモジュールを備えていないこともあろう。図示の例では、コイルモジュール62がカメラの上方に配置されているので、カメラ30への画像、フラッシュシステム36からのフラッシュ、赤目軽減のためのLEDからのフラッシュ、自動焦点または距離計ビームなどの諸機能がモジュール62を通り抜けるのを可能にするよう調節される。この特定の例において、フェライト66およびPWB64は、これらの機能のための開口部78、79、80、81を備え、2つのコイル48、54は、光が遮られることなく部材66、54、64、48を通り抜けるための開口を形成する特定の形状を有する。この例では、5つの開口部78〜81が示されているが、5つより多いまたは少ない開口部を設けることも可能である。これらの開口部は、一般に、一つ以上のフラッシュ、一つ以上のカメラ、内蔵ハンズフリースピーカ(群)(IHF:internal hands free speaker)などのマルチメディア構成部品のために設けられる。これら開口部の位置は、図示された例示の実施形態に限らない。また、これらの穴部の一つ以上によって、光だけでなく音の通過をもたらすことも可能である。
【0020】
図7で最もよく分かるように、第二コイル54は、一般的なリング形状を有し、フェライト66の上方に配置されている。このコイルは、光が通り抜けるため穴部81と協働するための内側へのサイドノッチを付けて成形される。別の例示の実施形態では、このサイドノッチが設けられるとは限らない。コイル54の相対的に大きな中央開口部82は、光が、例えばカメラ30およびフラッシュシステム36など様々な光学構成部品に行き来し開口部82を通り抜けて移動するための大きな開口領域を提供する。別の実施形態において、例えば、以下に限らないが一つ以上のスピーカ、IHF、マイクロフォンなどのオーディオ構成部品が、イメージング関連構成部品(カメラ、フラッシュ、LEDなど)に置き換わることまたはそれらを補足することも可能であろう。例えば、開口部82は、音がコイル54を通り抜けて移動するために十分なスペースを提供することができる。印刷回路基板64は、2つのコイル48、54の間に挟み込まれる。第一コイル48は、PWB64の上面に搭載され、この例示の実施形態では、「8」の字の全体的形状を有する。コイル48の形状は、通り抜けのため穴部81と協働する開口部84、85を提供する。また、コイル48の形状は、それぞれの通り抜けのため穴部78、79、80と協働する3つの部分86A、86B、86Cを有する中央領域開口部も提供する。
【0021】
前述したように、本明細書に記載の特徴は、カメラに使われる必要はない。また、例えば
図9〜10を参照すると、モジュール62'は、装置10'中でカメラ30およびフラッシュシステム36から離して用いることも可能である。この例では、フェライト66'およびPWB64'は、開口部78〜81のような開口部は必要がなく有していない。後記の説明からさらに理解されるように、例えば、ハウジング12'の背面カバー13'が金属から成る場合などに、モジュール62'を設けることができる。
【0022】
また、
図11を参照すると、カメラの上方で用いるための別の例示の実施形態が示されている。構成部品として、第一コイル48'、第二コイル54'およびフェライト66"が含まれる。フェライト66'は、穴部78'、81を含み、コイル48'、54'は、カメラが画像を捕捉するための、および光が構成部品を通り抜けるための妨げのない経路を提供するように成形される。第一コイル48'は「8」の字の全体的形状を有する。第一コイル48'は、第二コイル54'の上方に配置される。フェライト66'は、第二コイル54'の下位に配置される。PWB(図示せず)は、前述の実施形態と同様に、コイル54'、48'の間に設けてもよい。
【0023】
本明細書に記載の特徴は、携帯電子デバイスのための近距離場通信コイルおよび/または電磁結合の構成に用いることができる。導電性カバーまたはハウジングを有する携帯デバイス中に、すべての必要なアンテナ性能基準を満たすかかるアンテナ構成を備えることは困難な課題である。本明細書に記載の特徴は、第一コイルが(例えば、13.56MHzなどの)RFIDまたはNFC近距離場システムにおいて動作し、第二コイルがWLC(ワイヤレス充電)プロトコル(例えば、Qi−最大4cm(1.6インチ)までの距離を介した誘導電力伝達のため、ワイヤレスパワーコンソーシアムによって作成されたインターフェース規格)において動作する、デュアルコイル構成を用いることができる。これら2つのコイルは、Z軸で一方を他方の上に積み重ね、同一の強磁性部材を共用してもよい。第一コイルは、「8」の字の形状に巻いてもよい。第一コイルは、強磁性部材から最も遠く、かつ携帯デバイスの導電性ハウジングの外部表面に最も近くしてもよい。携帯デバイスのハウジングは、ハウジングの背面中に形成された開口部を有することができ、その中にコイル群と強磁性部材とのスタックが収納される。また、カメラのレンズおよび/またはフラッシュも、コイルの内周内側に含めてもよい。
【0024】
本明細書に記載の特徴は、携帯デバイス導電性ハウジング中に形成された開口部内で動作するデュアル近距離場コイルソリューションを提供することができる。フェライト/磁性部材は一つだけが必要である。また、このスタックが、カメラのレンズおよび/またはフラッシュを取り囲むことも可能である。通信コイルの「8」の字の形状に起因して強い渦電流は発生せず、これは通信距離またはパフォーマンスを向上させる。また、これらコイルの間での干渉はほとんどない。しかして、これらは、混みあった体積の中で相互に共存することが可能である。
【0025】
「8」の字に巻かれ、(例えば、NFCのための)第一周波数帯域で共振するよう構成された第一コイルと、第一周波数帯域とは異なる、(例えばWLCのための)第二周波数帯域で共振するよう構成された第二コイルとを備えたコイル構成を提供することができ、第一および第二コイルの少なくとも一つが少なくとも部分的に他方コイルの上方に配置され、これらコイルは、携帯デバイスのハウジング中に形成された開口部内に配置されるように構成され、該ハウジングは導電性材料を備え、これらコイルは、第二コイルが第一コイルとフェライト部材との間に位置するように、該フェライト部材の上方に配置される。
【0026】
また、
図12を参照すると、第一コイル48'上の表面電流を表す図が示されている。金属カバー上の表面電流の大部分は、第一コイル上の表面電流に対して位相がずれている。金属カバー上の表面電流から生成される磁場は、第一コイルによって生成される磁場を阻害することはない。
【0027】
この型の構造がなければ、金属カバー上の表面電流の大部分が第一コイル上の表面電流と反対方向になるであろう。渦電流によって生成された金属カバー上の磁場が、第一コイルにより生成された磁場強度を低下させることになろう。しかして、NFCまたはWLC全体が金属カバーの下にある場合、そのどちらも機能しないことになろう。これは、WLCコイルおよび金属カバー上の表面電流の大部分が、NFC上の表面電流の反対方向になり、相互に打消しあうことになるであろうからである。NFCコイルとNFCフォーラムポーラ0のコイルとの劣弱な結合(例えば−38dBなど)が観測されることになろう。WLCに対して劣弱な充電効率が観測されよう。
【0028】
本明細書に記載の特徴は、例えば、携帯デバイスの金属カバー上のカメラ開口部域などにあるNFCおよびWLCの双方に対し現実的なソリューションを提供する。本明細書に記載の特徴は、例えば、金属プレートの円形開口部の中に組み込まれたような、Z方向に積み重ねられた、単一のフェライトを共用する8形状の第一コイルと第二コイルとを提供することができる。
【0029】
(
図13に示されるような)WLC上および(
図14に示されるような)金属カバー上の表面電流の大部分は、(
図12に示されるような)NFC上の表面電流に対して位相がずれるようにすることが可能である。したがって、WLCおよび金属から生成される場は、NFCコイルによって生成される磁場を阻害しない。NFCコイルとNFCフォーラムポーラ0と間の良好な結合(例えば約−16dBなど)が観測できよう。WLCに対する良好な充電効率が観測できよう。
【0030】
これら構成部品のすべての積み重ね順序がうまく機能するわけではない。第一コイル48を最上部に、第二コイル54を中間に、フェライト66を底部にすることによって、NFCおよびWLCの両方が好ましいパフォーマンスを有する。
図15は、第一コイル48がフェライト66と第二コイル54との間に配置された、別の構成を示す。このWLCのパフォーマンスは良好であろうが、第一コイル48による短距離通信は、
図7に示された構成ほどには良好でなかろう。他のどの積み重ね構成も、第一コイル48による劣弱な短距離通信の問題もしくは第二コイル54による劣弱な誘導充電の問題のいずれかをもたらし得る。
【0031】
図16は、第一コイル48"がフェライト66'''と第二コイル54"との間に配置された、別の構成を示す。但し、この例では、第二コイル54"の直径は、第一コイル48"よりも小さい。さらに、フェライト66'''および第一コイル48"は、ハウジング部材58中の開口部60よりも大きい。しかして、第一コイル48"およびフェライト66'''は、少なくとも部分的に金属ハウジング部材58の下側に配置され得る。
【0032】
WLCおよびNFCに対する最新の自主フレックス技術の使用によって、アセンブリ中の構成部品の積み重ねは、ガスケットからガラスまでで10部品となり得る。これらの層およびサブ層の設置を許容するには、XおよびY方向に多くの付加的なスペースが必要となろう。さらに、使用される材料(フレックス材、接着剤、ガスケット)が平坦でないことから、これらアセンブリの平面表面をガラスより下方に維持することが大きな問題となり得る。このことは、設置後のガラスが平坦にならず、信頼性および/または外観品質の問題を生じさせる可能性を残す。本明細書に記載の特徴を使えば、アセンブリ中の構成部品の積み重ねが今やガスケットからガラスまでで6部品だけになるようにして、第二コイル54および短距離通信コイル48の双方に対するPWB64の組み合わせを設けることが可能となる。これは、NFCフレックス材、接着剤、スペーサ、接着剤、WLCフレックス材のすべてが上記では一つの部品に組み合わされているからである。
【0033】
通信コイルの8の字型の構成を用いて、金属カバーの中で該コイルを機能させることができる。フェライト/磁性体66は、2つの異なる磁性体でなく、1つが必要なだけである。或る例示の実施形態が、短距離通信のための「8」の字のコイル、誘導充電のための通常型のコイルを備えるアンテナ構成において提供され、これらのコイルは、金属ハウジング部材中の開口部内にZ方向に積み重ねられ、そして第二コイルが短距離通信コイルとフェライト部材との間になるように該フェライト部材の上方に積み重ねられ、この開口部は携帯デバイスの導電性ハウジング中に形成される。該開口部は、アンテナ構成と同一場所に配置された電子構成部品(例えばカメラ)を受け入れるように構成されてもよい。
【0034】
或る装置において例示の実施形態が提供でき、本装置は、第一コイルを有する第一層であって、該第一コイルはおおむね「8」の形状を有する、該第一層と、第二コイルを有する第二層であって、第一および第二コイルは互いに対し積み重ねられ、それらコイルが金属ハウジング部材の開口内に位置するように構成される、該第二層と、第二層の下位に配置された第三層であって、第三層は、第二コイルが第一コイルとフェライト部材との間になるように第二コイルの下位に配置された該フェライト部材を備える、該第三層と、を備える。
【0035】
この第一コイルは通信コイルであり、第二コイルは充電コイルである。このフェライト部材は、層群中の唯一のフェライト部材とすることができる。本装置は、第一層と第二層との間に配置された第四層をさらに備えることが可能で、この第四層は印刷回路基板を備える。フェライト部材はその中に少なくとも一つの開口部を備えることができ、第一および第二コイルは、光が、第一、第二、および第三層を通り抜けることができるように成形が可能である。印刷回路基板は、光が該印刷回路基板を通り抜けることができるように、その中に少なくとも一つの開口部を備えることができる。フェライト部材はその中に少なくとも一つの開口部を備えることが可能で、第一および第二コイルは、光および/または音が、第一、第二、および第三層を通り抜けることができるように成形される。第一、第二、および第三層は、金属ハウジング部材中の開口部に収まるような大きさにし、成形してもよい。本装置は、カメラと、カメラ、第一コイル、および第二コイルを接続されたコントローラであって、該コントローラは、プロセッサとソフトウェアを含む少なくとも一つのメモリとを有する印刷回路基板を備える、該コントローラと、コントローラに接続された電子ディスプレイと、コントローラに接続された受信器と、コントローラに接続された送信器と、コントローラに接続された再充電式バッテリと、をさらに備えることが可能である。本装置は、装置の金属ハウジングを通り抜けて誘導充電および短距離ワイヤレス通信を提供する手段をさらに備えることができる。これらの層の少なくとも2つを、モジュールとして相互に固定的に接続することが可能で、このモジュールは、単一のアセンブリとしてハウジング部材に接続されるように構成される。本装置は、ハウジング部材を有する携帯電子デバイスであってもよい。
【0036】
或る装置において例示の実施形態が提供でき、本装置は、第一コイルを有する第一層と、第二コイルを有する第二層であって、第一および第二コイルは互いに対し積み重ねられ、それらコイルが金属ハウジング部材の開口部に位置するように構成される、該第二層と、第二層の下位に配置された第三層であって、第三層は、第二コイルが第一コイルとフェライト部材との間になるように第二コイルの下位に配置された該フェライト部材を備える、該第三層と、を備え、第一コイルまたは第二コイルはおおむね「8」の形状を有する。この第一コイルは通信コイルであってもよく、第二コイルは充電コイルであってもよい。第一コイルが充電コイルであって、第二コイルが通信コイルであってもよい。
【0037】
また、
図17を参照すると、或る例示の方法は、ブロック90に示されるように、第二コイルの上方に第一コイルを配置することと、ブロック92に示されるように、第二コイルの下方にフェライト部材を配置することとを備えることができ、これらコイルおよびフェライト部材はスタックにアセンブルされ、第一コイルまたは第二コイルはおおむね「8」の形状を有する。この第一コイルは通信コイルであってもよく、第二コイルは充電コイルであってもよい。第一コイルが充電コイルであって、第二コイルが通信コイルであってもよい。本方法は、第一コイルと第二コイルとの間に印刷回路基板を配置することをさらに備え、この印刷回路基板はスタックの一層である。本方法は、第一および第二コイルを印刷回路基板に電気的に接続することをさらに備えることができる。本方法は、光および/または音がスタックを通り抜けることができるようになされた、フェライト部材および印刷回路基板のそれぞれを貫通する、少なくとも一つの開口部を設けることをさらに備えることが可能である。
【0038】
当然のことながら、前述の説明は単なる例示である。当業者は、様々な代替および修改を考案することが可能である。例えば、各種の従属請求項中に記載された特徴は、任意の適切な組み合わせ(群)に互いに組み合わせることができよう。さらに、前述の各種実施形態からの特徴を、新規の実施形態の中に選択的に組み合わせることも可能であろう。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲に含まれるかかる全ての代替、修改、および変形を包含するよう意図されている。